“小学6年時の食習慣が成人女性のメタボ発症に強い影響” ~全国の勤労

独立行政法人
労働者健康福祉機構発表
平成20年7月24日
独立行政法人労働者健康福祉機構
担
厚生労働省3記者クラブ
神奈川県政記者クラブ
川崎市役所記者クラブ
同時発表
当
医療事業部
勤労者医療課長
吉谷
真治
勤労者医療班長
澤田
健
電話
044-556-9867 直通
東北労災病院
勤労者予防医療センター
主任研究者
電話
宗像
正徳
022-275-1111 代表
“小学6年時の食習慣が成人女性のメタボ発症に強い影響”
~全国の勤労者予防医療センターの調査で初めて判明~
独立行政法人労働者健康福祉機構(本部:神奈川県川崎市)が運営する全国
の労災病院内に設置する9つの勤労者予防医療センター ※1 では、メタボリッ
クシンドローム(内臓脂肪症候群。以下「メタボ」という。)の発症に係る背
景要因を検証するため、メタボ患者 400 名及び同患者と年齢、性を一致させた
399 名の健常者に対し、①食行動ならびに食事の嗜好、②幼少時の食習慣、運
動習慣、③不規則勤務(夜勤・シフト勤務)の有無、等についてのアンケート
調査を行った。(調査結果の概要は別紙を参照)
調査を分析した結果、①では男女ともに「食事は大食」、「ストレスで食べ
過ぎる」、②では「小学校6年生時に肥満」と回答した者について、それぞれ
メタボ患者のメタボ発症リスクが健常者と比較して高いことが判明した。(図
1)
特に、②について「小学校6年生時に肥満」であった者のメタボ発症リスク
は、男性で 2.8 倍、女性で 10.1 倍と女性のリスクが特に高いことが初めて判
明した。また、男女とも「小学校のとき決まったスポーツをしていた」者のリ
スクが高いほか、男性では「体育が好きだった」者のリスクが高いことも判明
した。(図 2)
一方、③では、夜勤の頻度及びシフト勤務の有無について、メタボ患者のメ
タボ発症リスクは健常者と比較して差異がみられないことが判明した。
(図 3)
こうした結果について、調査に当たった研究チームでは、「学童期のカロリ
ー過剰摂取、つまり学童期の食習慣がメタボ発症と強い相関を示している。子
供は活発に運動しているから、たくさん食べさせてもいいだろうという考えは
改めるべき。今年度から実施が義務化された特定保健指導や学童の食育の現場
で食習慣の見直しを提言していきたい。」としている。
※
本研究は本年6月にドイツで開催された第22回国際高血圧学会におい
て発表しておりますが、国内では初めて発表するものです。
※1
勤労者予防医療センター
勤労者予防医療センターにおいては、職場における勤労者の健康確保
という労働政策に寄与するため、次の事業を行っています。
・過重労働による健康障害防止対策の推進
・勤労者のメンタルヘルス対策の推進
・働く女性の健康管理対策の推進
北海道中央労災病院勤労者予防医療センター〔0126-22-1300〕
北海道岩見沢市四条東16-5
東北労災病院勤労者予防医療センター
〔022-275-1111〕
宮城県仙台市青葉区台原4-3-21
東京労災病院勤労者予防医療センター
〔03-3742-7301〕
東京都大田区大森南4-13-21
関東労災病院勤労者予防医療センター
〔044-434-6337〕
神奈川県川崎市中原区木月住吉町1-1
中部労災病院勤労者予防医療センター
〔052-652-2976〕
愛知県名古屋市港区港明1-10-6
大阪労災病院勤労者予防医療センター
〔072-252-3561〕
大阪府堺市北区長曽根町1179-3
関西労災病院勤労者予防医療センター
〔06-6416-1221〕
兵庫県尼崎市稲葉荘3-1-69
中国労災病院勤労者予防医療センター
〔0823-72-7171〕
広島県呉市広多賀谷1-5-1
九州労災病院勤労者予防医療センター
〔093-472-6835〕
福岡県北九州市小倉南区葛原高松1-3-1
(別紙)
アンケート調査結果の概要
1
調査の対象
①
内臓脂肪蓄積(ウエスト周囲径
男性85㎝以上
女性80㎝以
上)があり、高血圧、高血糖、高脂血症のうち2つ以上を有する者。
年齢は20歳から70歳。
②
対照は、ウエストサイズが正常(ウエスト周囲径
男性85㎝未満
女性80㎝未満)で、正常血圧、正常血糖、正常高脂血症で高血圧、
高血糖、高脂血症の治療を受けていない者
年齢は20歳から70
歳。
2
調査の目的
日本人におけるメタボリックシンドロームの発症に関わる要因の調査
3
調査を実施する機関
労働者健康福祉機構が9箇所の労災病院に併設する勤労者予防医療セ
ンター
4
調査の方法
アンケートによる調査
5
サンプル数
メタボリックシンドローム患者400名
性別、年齢を一致させた健常者399名
6
調査の期間
平成18年12月~平成19年8月(9ヶ月間)
7
調査の結果報告
別添
日
3
食
と
る
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事
食
事
食
な
い
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間
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4
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用
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用
1
図1
① 食行動ならびに食事の嗜好
オッズ比
6
5
**
***
3
*
**
2
***
* P<0.05
1
** P<0.01
0
*** P<0.001
男性
女性
仕
事
で
食
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ぎ
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4
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活
生
場
職
日
常
生
活
図1-2
① 食行動ならびに食事の嗜好
オッズ比
5
**
***
***
3
2
1
** P<0.01
*** P<0.001
0
男性
女性
図2
② 幼少時の食習慣、運動習慣
オッズ比
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
***
** **
*
**
*
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*** P<0.001
1日
代
時
**
小
学
の
と
子
供
* P<0.05
**
男性
女性
図3
③ 不規則勤務(夜勤・シフト勤務)の有無
頻度
(%)
頻度
(%)
男 性
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
女 性
0
0
夜勤
シフト勤務
夜勤
シフト勤務
メタボ
対照