鹿教湯病院院内報

鹿教湯病院院内報
りはから
Vo.25
2015.11. 1 発行
発行責任者
丸山 陽一
編集 渉外係
今号は平成 27 年度に実施された
宿泊型新保健指導施行事業 について紹介致します。
《 特定健診について 》
皆さんは特定健診についてご存じですか?
特定健診(正式名称:特定健康診査)とは、2008
年4月より始まった40~74歳までの公的医療
保険加入者全員を対象とした保険制度で、メタ
ボリックシンドロームに着目した検診となっ
ています。
《 宿泊型新保健指導施行事業 》
~誕生の理由と目的~
この事業は、理学療法士や保健師、管理栄養
特定健診に該当すると保健師や管理栄養士
などの専門スタッフが生活習慣に対する指導
を行います。この指導を特定保健指導と呼びま
す。従来の保健指導では、いわゆるメタボの方
士、医師、健康運動指導士、地域のホテル・観
光資源などの多職種・他業種が連携し 2 泊 3
日の宿泊の中で座学、グループ学習、体験学習、
相談等を通じ、普段の生活から離れリラックス
たちに対し特定保健指導(積極的支援)を行っ
ても約半数にしか効果が認められず、その中で
も明らかなメタボ改善効果があったのは、全体
の約1/3という結果でした。そこで保健指導の
できる環境の中で生活習慣の改善の必要性を
理解してもらい、実行可能な行動計画を立て行
動変容を促す取り組みとなっています。
効果をあげるための方策として今回の宿泊型
新保健指導施行事業が開発されました。
《 鹿教湯地区での取り組み内容 》
鹿教湯地区では 2015 年 5 月 29 日~31
日、6 月 26 日~28 日の 2 回に分け開催され
ました。長野県を含む1都 5 県の健康保険組合
から、1 クール目 3 名、2 クール目 18 名、計
21 名の方々が参加され、参加者の中には夫婦
で参加される方もいました。
2 泊 3 日のスケジュール概要です。1 日目は
保健師が中心となり生活習慣と検診結果の振
り返り、多職種が参加してのワークショップを
通して今後の行動目標を立てました。
2日目は理学療法士による運動講義と実技、
健康運動指導士によるレクリエーション、鹿教
湯地域の観光などを通し心身のリフレッシュ
をしてもらいました。3日目は2日間の振り返り
を行いながら保健師との個別面談の中で再度
初日に立てた行動目標の修正を行い終了とな
りました。適宜専門職が相談に応じる体制をと
り参加者の疑問や質問に答えました。宿泊中の
食事は当院管理栄養士が参加者の食事内容(齋
藤ホテルにてビュッフェスタイル)を記録し、
最終日にフィードバックを行い食行動への行
動変容を促しました。
1 日目のワークショップで実現困難であろう
これらに関しては、事前情報から予め参加者
のリスクを把握し、運動前の面談や簡単な評価
行動目標を立てていた参加者が、3 日目の個別
面談後は 2 泊 3 日の取り組みを通し運動習慣や
食事習慣などで具体的で現実的な行動目標を
立てられるようになる様は 2 泊 3 日の取り組み
が結実する感動を覚える瞬間でした。
から参加者のリスクに応じ運動内容を調整し
ました。また、晴天時や雤天時、全員が出来そ
うな運動、自宅でも継続して行える運動などい
くつかの運動プログラムを設け、状況に応じ実
施しました。
《リスクに応じたプログラム調整》
《 本事業を通して 》
事業開始前には齋藤ホテルスタッフや鹿教
湯病院関係スタッフと意見交換やプログラム
本事業を通し、他職種の業務内容や考え方、
アプローチ方法など、様々なノウハウを知る事
の調整など準備を行いました。事業を進めるに
あたり苦労した点として、参加者の事前情報か
らどのようなリスクを把握し管理していくか、
参加者の状況や天候に合わせプログラムを調
ができました。参加者の身体状況を評価し適切
な対応方法を検討できる事は理学療法士の強
みであり、今後予防分野にもさらに活躍の幅を
広げていく事が必要であると感じました。
整する点などがありました。
現在も当院保健師を中心に参加者に対し電
話やメールでの継続支援が行われており、参加
者の疑問や質問に対し、適宜管理栄養士や理学
療法士が運動指導やアドバイスを行い連携し
ています。結果については事業終了後に報告し
たいと思います。
今回の試みは鹿教湯温泉全体の活性化はも
とより、鹿教湯病院を全国へ発信できる良い機
会であったと思います。宿泊型新保健指導事業
の全国への広がりと今後の展望に期待してい
ます。
理学療法士
大塚貴史
《メタボって何だっけ?》
ウエストが男性 85cm、女性 90cm を超え、
さらに高血圧・高血糖・脂質代謝異常の 3 つの
男性:85cm 以上
うち 2 つに当てはまるとメタボと診断されます。
日本では予備軍も入れると男性で 2 人に 1 人、
女性では 5 人に 1 人がメタボと言われています。
高血圧、高血糖、脂質異常症の 1 つ 1 つは
軽くても、内臓肥満と重なると動脈硬化症になる
リスクが急激に増します。
動脈硬化症は脳卒中、心臓病を引き起こす原因と
なるため、健康寿命を延ばすために早期にメタボを
発見し、予防しましょう。
女性:90cm 以上
しかも・・・
最高血圧
130mmHg 以上
または最低血圧 85 mmHg 以上
HDL コレステロール 40mg/dl 未満
または中性脂肪
150mg/dl 以上
空腹時血糖値 110mg/dl 以上
の 3 項目のうち
2 項目以上に該当する方
【厚生労働省
2013 年
メタボリックシンドローム判定基準より
参照】