A BC 検 診 ∼胃がんリスク検診∼ 検査室 課長 佐藤 恵子 日本人の死因の 1 位は「がん」ですが、その中でも胃がんは、 肺がんに次いで 2 番目に多いがんで、毎年 5 万人がなくなられ ています。そのため早期発見や診断が重要と言われています。 ABC検診とは? 耳より情報 検査室 ABC分類判定結果 血液中のヘリコバクターピロリ抗体検査でピロ リ菌感染を、ペプシノゲン検査で胃粘膜の萎縮程 度を調べ、2 項目の検査結果から将来がんになり やすいかどうかを A, B, C に3分類する検診です。 採血のみでできる胃がんリスク検診です。食事 の影響を受けませんので、随時検査が可能です。 ヘリコバクターピロリ抗体検査 胃がヘリコバクターピロリ 菌に感染しているか調べる検 査です。 ヘリコバクターピロリの検 査は組織検査、呼気検査、便 検 査 な ど 種 々 あ り ま す が、 A BC 分類の場合は血液中の抗 ヘリコバクターピロリ菌 体を測定します。感染してい ると抗体が増加します。 ※ヘリコバクターピロリ抗体 10U/mℓ以上が陽性。 ペプシノゲン検査 胃粘膜の萎縮(老化)の 状態を客観的に調べる検査。 ペプシノゲンは胃から分泌 される蛋白質消化酵素「ペ プシン」のもとになる物質 です。 ペプシノゲンにはⅠとⅡ があり、 Ⅰは胃底部から、 Ⅱ は胃全体から分泌されます。 胃粘膜の萎縮の進展に伴ってペプシノゲンⅠ及び Ⅰ/Ⅱ比が低下します。 ※ ペプシノゲンⅠ70 ng/mℓ以下 かつ Ⅰ/Ⅱ比 3.0 以下をペプシノゲン検査陽性とします。 出典:生命科学教育 シェアリンググループ 胃がんとピロリ菌感染の関係 ピロリ菌は胃酸を中和するウレアーゼという酵 素を出して胃の中に生息しています。 ピロリ菌が胃粘膜に炎症を起こし、胃潰瘍や十 二指腸潰瘍になりやすくなることが確認され、慢 性萎縮性胃炎と胃がんの発生に密接な関係がある ことがわかっています。 ヘリコバクター・ピロリ抗体検査 ペプシノゲン 検 査 陰性 陰性 陽性 A タイプ B タイプ 陽性 C タイプ 胃の病気のかかりやすさ A タイプ < B タイプ < C タイプ * A タイプ 健康的な胃粘膜で、胃の病気になる 危険性は低いと考えられます。 * B タ イ プ 胃潰瘍・十二指腸潰瘍などに注意し ましょう。一度、胃の検診(X線撮影 または内視鏡検査)を受けましょう。 * C タ イ プ 胃がんなどの病気になりやすいタイ プ。内視鏡による定期的な検査を受け、 胃の病気の早期発見・早期治療に努 めましょう。 ABC分類対象外 * E タイプ ヘリコバクター・ピロリ菌除菌後の 方は、E タイプ(除菌群)として、定期 的に胃の検診 ( X 線撮影または内視鏡 検査) を受けましょう。 下記の方は ABC 健診では、正しい判定結果が 得られない場合があります。 ● 明らかな上部消化管症状のある方 ● 上部消化管疾患治療中の方 ● 胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬) を 服用中の方 ● 胃切除後の方 ● 腎不全の方 ● ヘリコバクターピロリ菌除菌治療を受けた方 平成26年1月1日 平成26年3月1日 第161号 第162号 3
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