今さら人に聞けない!!マレーシアってどんな国?

どんな国シリーズ:マレーシア編
平成27年1月20日
SMBCフレンド証券 投資情報部
市川幹
今さら人に聞けない!!マレーシアってどんな国?
1
基礎データ
面積
約33万平方キロメートル(日本の約0.9倍)
人口
約2995万人(2013年マレーシア統計局)
主な都市
クアラルンプール(首都)、ペナン、ジョホールバル、コタキナバル
民族
南シナ海をはさんで東
西に分かれている。左
側のタイから南に延び
る「マレー半島」部分
が西マレーシアと呼ば
れ、右側「ボルネオ島
」の北部は東マレーシ
アと呼ばれている。
マレー系(約67%)、中国系(約25%)、インド系(約7%)
※マレー系には中国系及びインド系を除く他民族を含む
言語
マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語
宗教
イラスト
イスラム教(国教)(61%)、仏教(20%)、儒教・道教(1.0%)、
ヒンドゥー教(6.0%)、キリスト教(9.0%)、その他
(写真提供:日本アセアンセンター、(c)ASEAN-Japan Centre)
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(出所:外務省HPより投資情報部作成)
有効期限:平成28年1月31日
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意外と知らないマレーシアの魅力
2
 豊かな自然を持ちながら、東南アジア有数の近代都市もある
 ルックイースト政策を通じ二国間関係が深化
マレーシアは、東南アジアに位置するイスラム国家。民族は、マレー系・中国系・
2012年に30周年を迎えたマハティール元首相が打ち出した東方政策(ルック・イ
インド系などで構成される。のんびりとくつろぐことの出来る砂浜、魅力的な島々
ースト政策)は、日本の経済成長から学ぶことを目的としたもの。頻繁な要人往
や山岳地帯など自然美に溢れる国である。治安は比較的よく、英語が通じる。ま
来、直接投資や貿易・技術協力などを通じた緊密な経済関係や、活発な文化・
た、日本と同様の生活レベルでも物価が低いことから長期滞在者にとっても過ご
留学生交流に支えられ、二国間関係は全般的に良好である。一般財団法人ロ
しやすい地域といわれる。首都クアラルンプールは、豊かな緑の中に高層ビル
ングステイ財団の調査によれば、06年から8年連続で日本人が「住みたい国1位
が立ち並ぶ東南アジア有数の近代都市。繁華街でのショッピング、オペラ・コン
にマレーシアが選ばれているとのこと。国(地域)別在留邦人数では全体の12位
サートなどのイベントなどが楽しめる。
で、東南アジアではタイ、シンガポールに次ぐ3位である。
国(地域)別在留邦人数上位20位
(平成25年10月1日現在)
順位
国(地域)名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
米国
中国
オーストラリア
英国
カナダ
タイ
ブラジル
ドイツ
韓国
フランス
在留邦人数
順位
国(地域)名
(人)
412,639 11 シンガポール
135,078 12 マレーシア
81,981 13 フィリピン
67,148 14 台湾
62,349 15 インドネシア
59,270 16 ニュージーランド
56,217 17 イタリア
37,393 18 ベトナム
36,719 19 アルゼンチン
32,579 20 スイス
在留邦人数
(人)
31,038
21,385
17,948
16,797
16,296
15,807
13,401
12,254
12,035
9,870
(出所:外務省資料より投資情報部作成)
(写真提供:日本アセアンセンター、(c)ASEAN-Japan Centre)
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ポイント ①東南アジアの優等生、イスラム国家として初の先進国入りを目指す
3
 東南アジアの優等生
 先進国の仲間入りに向け、政府はさまざまな施策を打ち出す
マレーシアには、熱帯雨林に覆われた国土に、世界有数のエレクトロニクス拠点
先進国入りに向けた取り組みとして、ナジブ首相は(09年4月に就任)、政権成
がある。もともと天然資源の輸出中心の経済であったが、1970年代から政府主
立後直ちに外資の誘致に向けたサービス27分野の資本規制の撤廃などの措置
導で外資を積極的に導入することで製造業を推進、著しい経済成長を遂げた。
を打ち出した。また、10年3月の「新経済モデル」(同年12月に第二部を発表)に
その過程では国内の多民族間の融和を重視したブミプトラ政策が実施され、中
よる市場志向的制度への軌道修正発表、6月の「第10次マレーシア計画(11-
東のイスラム諸国と異なり大きな政変を経ず安定した政治・社会情勢が維持さ
15年)による中期的ビジョン提示、10月の「経済変革プログラム」(11年1月追加
れた。東南アジアの優等生といわれ、現在20年までに先進国入りを目指したプ
案件を発表)による20年までのロードマップおよび重点投資分野の明示など、矢
ロジェクトを推進中。達成されればイスラム国家として初の先進国誕生となる。
継ぎ早に政策を発表した。
「経済変革プログラム」における 12 の主要経済分野
石油ガスおよびエネルギー分野
金融サービス
パームオイルおよび関連製品
卸・小売業
情報通信テクノロジー
観光
電機・電子
教育サービス
農業
ビジネス・サービス
クアラルンプール/クランバレー首都圏
民間ヘルスケア
(出所:各種資料より投資情報部作成)
(写真提供:日本アセアンセンター、(c)ASEAN-Japan Centre)
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ポイント ②着実な経済成長
4
 15年の実質GDP成長率は4.5~5.5%とみられている
 電気・電子製品に加え、パーム油、LNG、原油が主な輸出品目
国際通貨基金(IMF)によると、14年のマレーシアの実質GDP成長率は前年比
マレーシアは、パーム油などの農産物、原油・天然ガスなどの天然資源に恵ま
5.2%の見通し。09年のマイナス成長を除けば、05年以降常に4%以上の成長を
れている。ここ数年パーム油の生産量はインドネシアに次いで世界第2位。石油
遂げている。マレーシア政府は15年の成長率を4.5~5.5%とみている。主要産業
・天然ガス生産量は、東南アジア諸国で第2位である。LNG輸出量は世界2位
は、電気機器などの製造業、天然ゴム、パーム油などが中心の農林業、原油、
であるなど天然資源が重要な役割を果たしている。13年の輸出品目は、1位が
液化天然ガス(LNG)などを中心とした鉱業である。また、金融・保険・不動産等、
電気・電子製品、2位がパーム油・同製品、3位が石油製品、4位がLNG、5位
卸売・小売・ホテル・レストラン、運輸・倉庫・通信などのサービス業も盛ん。
が原油と資源関連の品目が多く並んでいる。国別では、輸出の2位、輸入の1位
が中国であり、同国とのつながりの深さがうかがえる。
マレーシア実質GDP成長率推移(期間:05年~14年)
(%)
8
2013年の輸出入上位5ヵ国・地域
(単位:%)
輸出
輸入
中国 16.4
シンガポー
ル 14.0
6
4
中国 13.5
シンガポー
ル 12.4
2
EU27 10.9
0
日本 11.1
※14年はIMF推計値
-2
2005年
06年
07年
08年
09年
10年
11年
12年
13年
14年(推)
(出所:IMFデータより投資情報部作成)
EU27 9.1
日本 8.7
米国 7.9
米国 8.1
(出所:JETROデータより投資情報部作成)
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ポイント ③マレーシアの優位性を重視した政策を推進
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 イスラム経済発展の推進役
 経済成長に向けた政策
マレーシアはイギリスの植民地であった名残で、イギリス連邦(Commonwealth
マレーシアでは「イスカンダル計画」が進められている。これは、香港と中国の経
of Nations)に加盟しているほか、オーストラリア、ニュージーランドなどと深い交
済特区・深センの成功例を参考に、マレーシア・シンガポール両政府が互恵関
流がある。 一方、イスラム国家であるため中東諸国と親交も深い。イスラム諸
係を深めるべく、シンガポールの国土面積の約3倍にも及ぶ広大な土地を、06
国のなかでいち早く工業化を達成、世界のイスラム経済発展の推進役となって
年~25年にかけて再開発する共同国家プロジェクトである。また、高い医療技術
いる。イスラム金融(イスラム法に基づいた金融取引)やハラル食品(イスラム法
を活用した、メディカルツーリズムを国の成長産業の一つと位置づけ積極的に推
に基づきイスラム教徒が正当に食することができる食品)産業では、イスラム教
進、同国の医療機関への外国人患者の受け入れを図っている。
の慣習・規則をビジネスルール化、世界標準を確立し、市場を拡大している。
(10億ドル)
世界のイスラム銀行資産とマレーシアの
イスラム銀行資産(12年と18年の比較)
5000
世界のイスラム金融資産
マレーシアのイスラム金融資産
3400
4000
3000
2000
イスカンダル計画 累計投資額
(期間:06年~14年)
(10億リンギット)
200
※14年は6月までの数値
160
106.31
120
1540
1000
120
80
390
40
18年(推)
0
0
12年
69.48
※18年はアーンスト・アンド・ヤング推計値
(出所:アーンスト・アンド・ヤングデータより投資情報部作成)
25.80
41.76
07年
08年
146.20
131.64
84.78
55.56
11.30
06年
09年
10年
11年
12年
13年
14年
(出所:イスカンダル地域開発庁データより投資情報部作成)
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ポイント ④民族融和に向けた政策と財政健全化が課題
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 ブミプトラ政策の行方を注視
 財政健全化は資源価格の動向に左右される
マレーシアでは、人種・地域間の経済格差解消を目的としブミプトラ(マレー人お
マレーシアは歳入の3割を原油関連産業に依存している。原油価格下落は、関
よびその他先住民)政策と呼ばれるマレー人優遇政策を採用している。これによ
連企業の業績悪化につながり、税収減などを通じて財政健全化が遅れる懸念
り、民族間の格差は縮小する一方、生活水準の高い華人の経済活動に制約を
がある。同国は慢性的な財政赤字が定着しており、ナジブ政権は補助金などの
課すこととなり、優秀な非マレー人の頭脳流出が問題となっている。また、外国
歳出削減に踏み出したばかりだ。そのような中、ナジブ首相は15年1月20日、原
企業の参入に制限が設けられている。ナジブ首相は、ビジョン2020達成の一環
油安による歳入目減りが見込まれるため、14年10月に発表した15年度予算の
として投資環境の改善を図るため、ブミプトラ政策の見直しや外資の規制緩和を
歳出2739億リンギットのうち、55億リンギットの圧縮を発表。国主催のイベントな
行っている。
ど政府機関の節約が軸で、公共事業などへの支出は維持するとのこと。
政府総債務残高と政府総債務残高対GDP比率の推移
(期間:04年~17年)
民族別月額平均収入
(リンギット)
800
8000
09年
12年
6000
4457
4000
700
6366
5233
5011
3999
3624
2000
0
マレー系
華人系
64
政府総債務残高(10億リンギット/左軸)
政府総債務残高対GDP比(%/右軸)
インド系
(出所:JETROデータより投資情報部作成)
61
600
58
500
55
400
52
300
49
200
46
100
43
0
40
2004 05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
※13年以降はIMF推計値
(出所:IMFデータより投資情報部作成)
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