ヒューマン・ヘルスケア企業をめざして 環境・社会報告書 2014 エーザイはWHOのリンパ系フィラリア症制圧活動を支援しています。 00 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス エーザイの企業理念 1. 本会社は、 患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、 そのベネフィット向上に貢献することを企業理念と定め、 この企業理念のもとヒューマン・ヘルスケア (hhc ) 企業をめざす。 2. 3. 4. 本会社の使命は、 患者様満足の増大であり、 その結果として売上、 利益がもたらされ、 この使命と結果の順序を重要と考える。 本会社は、 コンプライアンス(法令と倫理の遵守)を日々の活動の根幹に据え、 社会的責任の遂行に努める。 本会社の主要なステークホルダーズは、 患 者 様と生 活 者の皆 様 、 株 主の皆 様 および社員である。 本会社は、以下を旨としてステークホルダーズの価値増大をはかるとともに 良好な関係の発展・維持に努める。 ① 未だ満たされていない医療ニーズの充足、高品質製品の安定供給、 薬剤の安全性と有効性を含む有用性情報の伝達 ② 経営情報の適時開示、 企業価値の向上、積極的な株主還元 ③ 安定的な雇用の確保、 やりがいのある仕事の提供、能力開発機会の充実 エーザイ株式会社 会社概要(2014年3月末時点) 名 設 本 資 従 立 年 本 業 員 称 月 社 金 数 : : : : : エーザイ株式会社 1941年 (昭和16年) 12月 〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10 44,985百万円 連結:10,419人 個別:4,003人 国 内 営 業 拠 点 : コミュニケーションオフィス 全国65カ所 (海外営業拠点、 工場・研究所の詳細については、P6を参照) 定款 第1章第2条より 会社概要に関する詳細は、 コーポレート・ウェブサイト (http://www.eisai.co.jp) をご覧ください。 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 01 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス Contents p.2 TOP MESSAGE 環境・社会報告書2014 読者の皆様へ p.4 p.6 p.8 hhc の理念 ヒューマン・ヘルスケア (hhc )企業 エーザイ エーザイの事業活動 世界のヘルスケアの多様なニーズに応えるために 特集 医薬品アクセス 新興国・開発途上国における医薬品アクセス向上に向けて p.12 p.16 p.19 p.24 p.28 p.29 p.30 p.32 p.36 p.38 p.40 p.41 p.42 p.44 p.46 p.47 p.48 p.49 p.50 p.51 ナビゲーションボタンの使い方 直前の閲覧ページに戻ります 1ページ戻ります 01 患者様満足のために 研究開発 患者様の生命・生活の質を改善するために 製品供給 患者様満足の増大をめざした生産活動 情報提供 情報を通して 「患者様」 と向き合う 品質保証 患者様・生活者の皆様の立場から、常に品質を追求 患者様支援グループからのご意見 PDF内を検索できます 目次へ戻ります ページ番号 カテゴリータブの使い方 イントロダクション エーザイの経営と社会活動 1ページ進みます 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 クリックすると各カテゴリーの最初のページに移動します 危機管理 グローバルな危機管理に対する取り組み コーポレートガバナンスとコンプライアンス 公正で透明な経営をめざして 人財育成・活用 hhc 理念の実現に向けた人財育成 社会貢献活動 ヒューマン・ヘルスケア (hhc )企業としての社会貢献 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 資源の投入と環境への負荷 編集方針 本報告書は、 「ヒューマン・ヘルスケア (hhc ) 」 というエーザ とつなげられるよう、ステークホルダーズの皆様からご意見 イの企業理念に込められた思いに基づく活動、ステークホル をいただきました (P28、50)。 ダーズとの関わり、環境保全活動などについて、2013年度の 編集にあたっては、環境省「環境報告ガイドライン(2012 実績を中心に報告しています。 年版)」、GRI(Global Reporting Initiative) 「サステナビリ 各取り組み報告ページでは、hhc 理念を具現化した代表的 ティ・リポーティング・ガイドライン2006」 などを参考に、継 環境コスト な事例を紹介するとともに、取り組みごとの基本的な考え方 続的に把握できるパフォーマンスと活動事例を可能な限り取 環境マネジメント と個別の活動を報告しています。 り上げました。 低炭素社会形成への取り組み 循環型社会形成への取り組み 化学物質管理 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 また、エーザイの活動がどのように評価されているか、今 なお、本報告書は、環境への負荷低減のため、 コーポレート・ 後期待されていることは何かを検証・確認し、次なる活動へ ウェブサイトでの公開のみとしています。 ● 対象範囲 エーザイの企業価値創造について経済活動 や経営戦略を中心にまとめた 「アニュアル・ レポート2014」 も作成しています。 ウェブサイト http://www.eisai.co.jp/ir/annual/index.html 本報告書は、エーザイ株式会社の事業活動を中心にエーザイグループの事業活動について報告しています。 ● 対象期間 データは2013年4月1日から2014年3月31日の実績です。一部の活動については2014年6月までの状況も掲載しています。 ● 本報告書に関するお問い合わせ先 エーザイ株式会社 PR部 電話:03-3817-5120 FAX:03-3811-3077 総務・環境安全部 電話:03-3817-5358 FAX:03-3811-9982 02 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス TOP MESSAGE 環境・社会報告書2014 読者の皆様へ 世界の医薬品市場は、グローバルに進展する高齢化や新興国・開発途上国の経済発展 に伴う疾病構造の共通化、あるいは診療行為の標準化や新薬審査期間の短縮、さらには 承認医薬品数の増大などにより事業機会が拡大しております。また国内では、「健康・医 療戦略」や「医薬品産業ビジョン2013」が策定され、日本の成長戦略における製薬産業へ の期待が大きく膨らんでいます。一方、医薬品価格を中心とした医療費抑制策の推進や知 的財産に関する様々な議論が高まると同時に、適正な事業活動と高い倫理性と透明性の 確保など、製薬産業に求められる責任も重くなっています。 エーザイグループは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィッ ト向上に貢献することを企業理念としております。このヒューマン・ヘルスケア(hhc )理念 に則り、アンメット・メディカル・ニーズを充足する革新的新薬を創出して世界の患者様 に一日でも早くお届けすることが当グループの使命です。グローバルな市場環境が大きく 変化する中、持続的な成長と患者様貢献を果たすべく、 「アリセプト」と「パリエット/アシ フェックス」の2大ブランドで成長するビジネスモデルから、数多くのグローバルブランドを タイムリーに世界の患者様にお届けし、患者様のベネフィットに貢献するマルチブランド企 業へのトランスフォーメーションを着実に進めてまいります。 革新的新薬による貢献 現在臨床第Ⅲ相試験を進めております。また、 一方、早期の創薬研究においては、iPS細 米国の肥満症治療において13年ぶりに承認さ 胞や疾患に関与する遺伝子情報の研究など れた新薬として「Belviq」を2013年6月に発売 ヒューマンバイオロジーに基づく新たな治療 エーザイグループは、がん領域と脳・神経 でなくロシアやインドにおいても上市を果た いたしました。さらに、エーザイグループが 仮説をつくり出す力と、その治療仮説を治療 領域を重点領域として、革新的な新薬の創出 し、乳がん患者様に貢献しております。新 パイオニアである認知症領域においては、自 薬につなげるため低分子から天然物、バイオ と製品価値最大化に努めております。自社創 規作用機序を持つ自社創製の抗てんかん剤 社創製の次世代アルツハイマー型認知症治療 ロジクスまで幅広い化合物の合成技術力を強 製の新規抗がん剤「ハラヴェン」は、すでに世 「Fycompa」についても、欧州に引き続き米 剤について、米国バイオジェン・アイデック 化し、革新的新薬を創出する力を向上してま 界50カ国以上で承認を取得し、日米欧だけ 国でも発売し、日本・アジア地域においては 社との共同開発を加速してまいります。 いります。 03 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス TOP MESSAGE 医薬品アクセス向上に向けた取り組み 針を定め、社員への意識喚起・徹底をはかっ 動を展開し、持続可能な社会づくりに貢献し ています。低炭素社会、循環型社会の形成や てまいります。 多くの新興国・開発途上国では、貧困や医 進しております。このような疾患で苦しんで 省資源に向けた取り組みを中心に、自社独自 療システムの未整備などから、必要な医薬品 いる国々の健康福祉や医薬品アクセスを向上 の重点活動目標に基づく環境管理活動を推進 エーザイグループはコンプライアンスを経 が必要とされる患者様のもとに届かないという させることは、その国の経済成長や中間所得 しています。海外のエーザイグループでも遵 営の根幹に据え、適正かつ透明性の高い事業 「医薬品アクセス問題」を抱えています。エー 者層の拡大につながり、将来の市場形成への 法はもとより、一定水準の環境負荷にとどめ 活動を展開して世界の患者様のベネフィット ザイグループは、この医薬品アクセス問題に挑 長期的な投資であると考えています。 た事業活動の展開をめざしており、今後は全 向上に貢献していくとともに、ステークホル 戦すべく、hhc 理念に基づいた持続可能なビジ エーザイグループが開発した革新的新薬を 社的なレベルアップを着実にはかっていきた ダーズの皆様の信頼の獲得に努めてまいりま ネスモデルを追求し取り組んでおります。 世界の国々の人々に幅広くお届けするために いと思います。 す。皆様のご支援を賜りますようお願い申し エーザイグループは、顧みられない熱帯病 は、各国の経済状況や保険制度、患者様の所 CO2排出量削減につながるシェールガスの 上げます。 の一つであるリンパ系フィラリア症を制圧す 得水準などを考慮して、患者様が購入しやす 実用化や電気事業法改正など、エネルギー供 るため、世界的に供給不足となっている治療 い価格を設定すること(アフォーダブルプラ 給問題の解決に向けた動きが国内外で活発化 薬「ジエチルカルバマジン(DEC錠)」を世界保 イシング) が重要であると考えています。エー しています。また、近い将来において気候変 健機関(WHO)に「プライス・ゼロ(無償)」で ザイグループは、2013年10月、インドにお 動問題に対する国際的な取り決めなども行わ 提供しています。2013年10月、インド・バ いて抗がん剤「ハラヴェン」を新発売するにあ れる見通しです。エーザイグループは、引き イザッグにある自社工場で製造したDEC錠の たり、同一国内において患者様の所得水準に 続き環境保全面からもしっかりとした事業活 初出荷を果たし、今後2020年まで22億錠を 合わせた複数の価格を設定するティアードプ 提供してまいります。また、シャーガス病な ライシング(所得別段階的価格設定)を導入し ど他の顧みられない熱帯病、結核、マラリア ました。このように新薬をより多くの患者様 に対する新薬開発についても、これらの領域 にお届けし、当社製品が貢献する患者様数を を専門とする国際的な非営利団体や研究所な 大幅に拡大することで、持続可能なビジネス どとのパートナーシップにより、積極的に推 モデルの実現をめざします。 持続可能な社会の実現に向けて 工業化の進展は、私たちの経済を発展させ ます。特に、今日の環境問題はグローバルな 生活を豊かなものにしますが、同時に地球環 課題となっており、経済発展が著しい新興国 境の破壊につながる危険性をはらんでいます。 等への事業展開も進めている当社にとって果 そのため、企業活動を展開する上で環境保全 たすべき責任は大きいと考えています。 は重要な経営課題の一つであると認識してい 日本国内のエーザイグループでは、環境方 2014年9月 代表執行役 CEO 04 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス hhc の理念 ヒューマン・ヘルスケア (hhc ) 企業 エーザイ エーザイグループは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献し、 世界のヘルスケアの多様なニーズを充足することを企業理念と定めています。 この理念のもと、全役員および従業員が一丸となって事業活動を行い、 企業をめざしています。 いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア (hhc ) ※ hhc のロゴマークは、献身的な看護活動や公衆衛生の発展に貢献したフローレンス・ナイチンゲール (1820〜1910) の精神に、 “ヒューマン・ヘルスケア” に込められた思いを重ね合わせ、ナイチンゲールの直筆サインをもとにデザインされたものです。 hhc 実現のために ルの全社員に推奨しています。 「知創部」では、患者様と過ごす様々な機会を社員に提供しています。たとえば、 「現場体験研修」 エーザイグループでは、hhc 理念の実現をめざしています。hhc は、患者様価値の増大とい では医療現場や介護施設に赴いて今日の医療・介護の実態を学び、患者様や医療・介護従事者の うエーザイグループの事業目的を達成するための原動力です。グローバルの全社員が日常業務 視点を体感します。 また、 専門学校で介護の基礎知識を学びながら、 受講者同士で介護を体験する 「介 を通じてこの理念を実現する活動を展開する企業文化・風土を築いています。 護疑似体験研修」 も実施しています。新入社員研修では 「高齢者疑似体験プログラム」 として体におも hhc 理念を実現するための専任組織である「知創部」では、「知」の創造の推進とイノベーショ りやサポーターなどを装着して高齢者の身体的機能低下や心理的変化を体感します。 ンを創出できる組織風土の醸成を柱に、様々な活動を行っています。その一つとして、組織や このほかにも、患者様団体の工場見学や講演会、障がい者支援施設での交流会などを企画し、 プロジェクト単位での「hhc Driven Innovation活動」を推進し、患者様に大きく貢献した活動 社員が患者様とともに過ごす場を設けています。 を表彰する社内制度を有しています。また、患者様の喜怒哀楽を共体験し、患者様貢献につな がる日常業務を実践できる人財の育成にも注力しています。 患者様とともに時間を過ごすことで患者様のニーズと業務の意義を理解する 「hhc イニシアティブ」 による 「知」 の共有 グローバルに展開されている700以上のhhc Driven Innovation活動や社内公募論文などから、 特に優秀な活動を表彰する「hhc イニシアティブ」を毎年開催しています。このイベントには受賞者 患者様の真のニーズを理解するためには、患者様とともに時間を過ごすことが重要となります。 と各国グループ企業のトップマネジメントが参加し、お互いのベスト・プラクティスを発表し合い、 エーザイグループでは業務時間の1%、年間約2日間を患者様とともに時間を過ごすよう、グローバ 創造された 「知」 を共有します。これによりグローバルなhhc 実現をめざしています。 05 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス hhc の理念 hhc Driven Innovation 活動事例 活動事例 1 認知症早期発見のためのまちづくり 活動事例 3 リンパ系フィラリア症の集団投薬支援 京都府・滋賀県で活動する医薬情報提供担当者(MR)は、 「認知症のつどい」において認知症を持つ方の想い インドのアンドラ•プラデシュ州にあるバイザッグ工場の社員は、工場の近隣にある人口約3,500人のヤラ を聞き、さらに介護施設での介護実習研修では服薬介助の実態を知り、軽度〜高度それぞれの症状を目の当た ダ村において、リンパ系フィラリア症(LF)制圧のための様々な活動に取り組んでいます。バイザッグ工場では、 りにしました。そして、認知症に関わる様々な職種の方々と接する中で、認知症患者様の早期発見が滞ってい LF治療薬の「ジエチルカルバマジン(DEC錠) 」を製造していますが、インドにおいてさらに感染症の制圧活動 る原因は何かを考えました。かかりつけ医では、認知症診断後のフォローへの不安から、安心して診断をつけ を進めるため、アンドラ•プラデシュ州政府とパートナーを組み、ヤラダ村における公衆衛生活動を支援し にくかったり、医療従事者も、認知症の疑いのある方に気付いても相談できない、連絡ルートを知らないなど ています。バイザッグ工場の社員が、ふたのない排水溝や村の水溜まりへの殺虫剤散布や排水溝の清掃活動、 の問題点がありました。 古い公衆便所の修理などのインフラ整備をお手伝いするとともに、蚊が媒介する感染症に対する予防対策や 地域での認知症に対する“アンテナ”の感度を上げることで、認知症の早期発見と治療開始が可能となり、認 集団投薬の意義、衛生状況を改善する方法やゴミ処理について説明 知症を持つ方もこれまで慣れ親しんだ地域での暮らしを長く続けることができるようになります。そこで老人福 するなど、住民の方々に向けた様々な啓発活動にも参加しています。 祉センターや介護予防推進センターなどの高齢者の集まる場所に注目し、もの忘れ検診を実施したほか、薬剤 LF制圧のためにもっとも重要な活動である集団投薬においては、 師やかかりつけ医向けの認知症セミナーを開催しました。 一軒一軒家を訪ねて、薬の服用状況を確認し、炎症部を清潔に保つ 一例として、京都府の西京区では老人福祉センターと連携して認知症検診 ための消毒液やコットンなどのキットを必要としている患者様に寄贈 を実施し、54名の受診者のうち15名に認知症の疑いのあることがわかりまし しました。今後もヤラダ村の皆様の生活の質の向上に貢献していき た。今後は近隣エリアにこれを広め、定期的な検診につなげていくことが目標 ます。 です。認知症の早期治療およびケアに貢献していきたいと考えます。 活動事例 2 小児がんの子どもの研究所見学会 活動事例 4 がん患者様との交流 茨城県の筑波研究所では、がんの子どもを守る会(のぞみ財団)のご協力を得て、見学会を開催しました。当 香港では、乳がん啓発と資金調達のためのイベント「ピンクウォーク」に香港の全社員が参加しました。また、 日は、小児がんのお子様とそのご家族9家族30名にお越しいただきました。一家族あたり2〜3名の研究員が付 香港乳がん協会と「今日の乳がん治療」に関する講演会を共催しました。ボランティアスタッフとして会の運営に き添い、研究所内を見学したり、楽しい実験教室の企画に参加したりしてい 助力した社員たちは、参加された120名の乳がん患者様のご家族と交流することができました。 ただきました。 「くすりができるまで」 のレクチャーでは、 お子様から 「薬のもとっ て、具体的には何なんですか」などたくさんのご質問をいただき和やかに過 ごしました。 当日の記念に“ちびっ子博士認定証”をお子様お一人おひとりに手渡して、 ご家族一同楽しい思い出とともに帰路につかれました。見学会に参加した社 員は患者様とそのご家族と実際に触れ合うことで、“薬を創り、世に送り出し、 患者様とそのご家族に貢献する”製薬企業の使命や、自分の仕事の価値や意 義を再認識できました。 本見学会はご家族からも大変好評であり、病気の子どもたちの未来を創り 出すようなお薬を開発してほしいとの熱いエールも頂戴しました。 06 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス エーザイの事業活動 アジア アメリカス 研究拠点 EMEA (欧州・中東・アフリカ ・オセアニア) 医薬品事業 2013年度売上高 325億円 エーザイ・ナレッジセンター・インド (インド・アンドラ・プラデシュ州) 、 研究拠点 エーザイ・クリニカル・リサーチ・シンガポール (シンガポール) 生産拠点 エーザイ・インク (米国・ニュージャージー州) 、アンドーバー研究所 (米国・マサチューセッツ州) 、リサーチ・トライアングル・パーク (米 蘇州工場 (中国・蘇州) 、ボゴール工場 (インドネシア・ボゴール) 、 バイザッグ工場 (インド・アンドラ・プラデシュ州) 国・ノースカロライナ州) 、H3バイオメディシン・インク (米国・マサ チューセッツ州) 、モルフォテック・インク (米国・ペンシルバニア州) 生産拠点 ノースカロライナ工場 (米国・ノースカロライナ州) 、ボルチモア工場 (米国・メリーランド州) 販売拠点 米国、カナダ、ブラジル、メキシコ 販売拠点 中国、香港、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、マレーシア、 タイ、フィリピン、インド アジア 医薬品事業 2013年度売上高 580億円 EMEA(欧州・中東・アフリカ・オセアニア) 研究拠点 欧州ナレッジセンター(英国・ハートフォードシャー) 生産拠点 ハットフィールド工場 (英国・ハートフォードシャー) 販売拠点 英国、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、イタリア、 スイス、スウェーデン、ポルトガル、ベルギー、 オーストリア、ロシア、オーストラリア 日本 医薬品事業 (医療用医薬品、 ジェネリック、診断薬) 2013年度売上高 3,107億円 日本 薬粧事業 2013年度売上高 アメリカス 215億円 医薬品事業 2013年度売上高 1,589億円 日本 (医薬品事業、 薬粧事業) 研究拠点 小石川ナレッジセンター (東京) 、 筑波研究所 (茨城) 、 カン研 究所 (兵庫) 、 川島研究所 (岐阜) 、 鹿島事業所 (茨城) 、 本庄事 業所 (埼玉) 生産拠点 鹿島事業所 (茨城) 、川島工園 (岐阜) 、サンノーバ株式会社 (群馬) 販売拠点 日本 (医療用医薬品、ジェネリック医薬品、診断薬、一般用医薬品) 世界のヘルスケアの 多様なニーズに応えるために 研究拠点 生産拠点 販売拠点 ※エーザイ株式会社は美里工場における事業を 2014 年 3 月 31 日に武州製薬株式会社へ譲渡いたしましたが、注射剤については製造 施設を武州製薬株式会社よりリースバックし、製造を継続しています。 07 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス エーザイの事業活動 その他の事業 3.1% 188億円 医薬品事業 96.9% 5,816億円 パリエット (米国名/アシフェックス) 15.2% 914億円 てんかん領域 4.1% 244億円 プロトンポンプ阻害剤 「パリエット」 は、 逆流性食道炎、 胃潰瘍、 十二指腸潰瘍 てんかん領域を重点疾患領域の一つと 位 置 づ け、自社 創 製 の 抗 てんかん 剤 「Fycompa」 のほか、 「Zonegran」 「 、イノ エーザイグループは、事業活動の目的である「患者様満足の増大」を 実現するため、日本、米国、欧州、アジアなどグローバルで1万人を超 える社員がhhc の理念のもとに集い、ビジネス活動を展開しています。 エーザイグループは、これまでの事業の柱であった「アリセプト」およ び「パリエット/アシフェックス」の2大ブランドによる成長から、「ハラ ヴェン」などのがん関連領域製品や「Fycompa」などのてんかん領域製 品、肥満症治療剤「Belviq」といった次世代のグローバルブランドによ る成長をめざすマルチブランド企業への転換をはかっています。そのた などの治療に用いられ、 世界80カ国以 め、これらの製品価値極大化に向けた資源の投入と事業体制の変革を 上で販売されています。 推進しています。さらに、米国や主要な欧州諸国に加え、高い成長を ベロン/Banzel」など複数の抗てんかん 示しているアジアでの事業基盤の強化やロシア、メキシコ、ブラジルな 剤を販売しています。豊富な製品ライン どの新たな進出国での事業展開にも取り組んでいます。 ナップに基づいた複数の治療オプション を提供することで、 てんかん患者様のベ ネフィット向上に貢献してまいります。 売上総額 がん関連領域製品 16.8% 1,009億円 6,004億円 1986年からがん関連領域の研究に着 手し、自社で開発した抗がん剤「ハラ ヴェン」 はグローバル製品として成長し ています。 がん関連領域製品として、 抗 がん剤だけでなくがん支持療法剤を取 エーザイグループは、コンプライアンスを経営の根幹に据え、適正か つ透明性の高い事業活動をめざすとともに、hhc 、イノベーション、ア クセスという3つの原則に則り、世界各国の患者様とそのご家族のベネ フィット向上に貢献してまいります。 りそろえ、 開発中のパイプラインの進展 エーザイにおける3つの原則 により、製品群の充実に向け取り組ん でいます。 ヒュミラ 5.9% 356億円 ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体 「ヒュミラ」 は、 自己免疫 アリセプト 13.8% 827億円 アルツハイマー型認知症治療剤 「アリセプト」 は、 世界各国で患 疾患の炎症反応に関わる中心的なサイトカインであるTNFαを 者様のQOL (生活の質) の向上に貢献しています。 認知症治療 中和します。 日本では関節リウマチ、 乾癬、 クローン病、 強直性脊 のパイオニアとして、 本剤の新剤形や新適応の開発も積極的に 椎炎、 若年性特発性関節炎、 関節の構造的損傷の防止、 腸管型 行っています。 ベーチェット病、 潰瘍性大腸炎の適応を取得しています。 hhc 2. Innovation 3. Access 1. 08 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス 特集 医薬品アクセス 新興国・開発途上国における医薬品アクセス向上に向けて 「医薬品アクセス」問題とは、開発途上国や急速な経済成長を続けている新興国を中心に、貧困や医療制度の未整備などの事情により、必要な医薬品や医療サービスが、必要としている人々に届 ●エーザイ製品が入手可能な国の数 (単位:百万人) かない状況をいいます。エーザイグループは、医薬品アクセス問題の解決を長期的投資と位置づけ、hhc 理念に基づいた積極的かつ持続的な取り組みを行っています。 114 500+ 2 医薬品アクセス改善の鍵を握る 「3つのD」 2倍以上 「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、NTDs) 」とは、世界保健機関(WHO) が「人類の中で制圧しなければならない熱帯病」と定義している17の疾患のことを指します。現 在も、多くの新興国・開発途上国においてNTDsの蔓延が深刻で、世界の貧困層のうちの10億 人を超える人々が、これらの疾患に苦しんでいます。NTDsの中には、有効な治療薬があるに 200+ 6 3 中東 10 中南米 12 10 「顧みられない熱帯病」 北米 2 66 アフリカ 13 欧州 37 23 医薬品アクセス問題を改善・解決するためには、医薬品のシーズの発見 (Discovery) 、その開 アジア・ オセアニア 40 発(Development)および患者様の使用促進(Delivery) (3つのD)への包括的な取り 22の3つの方法 2006∼ 2011∼ 2006∼ 「3つのD」 2011∼ 組みが重要です。エーザイグループは の役割を専門的に担う国内外の官民学の団体・ 2010年度 2015年度 2010年度 2015年度 (社内推計) 機関とパートナーシップを締結して、医薬品アクセス改善に取り組んでいます。 もかかわらず、それが必要とされる人々に届かないために病気が蔓延している場合も多く、そ のことが医薬品アクセスや公衆衛生の問題になっています。こうした疾患に対して効果的な対 策をとることは、長期的には各国の貧困撲滅や経済成長にもつながると考え、エーザイグルー ■リンパ系フィラリア症を例にした医薬品アクセス改善 プでは、現在3つのNTDsの制圧に向けて取り組んでいます。 エーザイの 取り組み ■エーザイグループが制圧に向けて取り組んでいる3つのNTDs ス 各プロセス 病名 世界の患者数 リスクのある人数 リンパ系フィラリア症 1億2千万人 約13億人 シャーガス病 8〜9百万人 2千5百万人 リーシュマニア症 1千2百万人 3億5千万人 出典:Hotez他、NEJM 357 :1010-1027, 2007 3つのD パートナーシップによる 医薬品研究開発 探索研究 発見 Discovery 臨床開発 医薬品の製造・供給 申請作業 市場への 供給戦略 開発 Development 出典: Elias, Policies and Practices to Advance Global Health Technologies, 2009 行政への協力、 啓発活動 患者様の 薬の使用促進 使用促進 Delivery 医薬品 医 ア アクセス 向上 向上の実現 09 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス 特集 医薬品アクセス エーザイの医薬品アクセス向上への取り組み Delivery 2005 グローバルヘルスに関するパートナーシップ Discovery & Development 2009 2005年 ■インドにおけるアフォーダブル プライシングの実践と アルツハイマー型認知症の啓発 インドの経済・医療環境に合わせ た価格設定「アフォーダブルプラ イシング」により、 「アリセプト」 (イ ンドでのブランド名「Aricep」 )を 提供。物忘れ外来も開設し、治療 を受けた患者様が着実に増加し医 薬品アクセス問題の改善に貢献。 2010 2011 2012 2010年4月 ■インドネシアにおいて 「アリセプト」 の アフォーダブルプライシングを実践 インドネシアの経済・医療環境に合わせた価格改定により、アルツハイマー型認知症患者様の 「アリセプト」へのアクセスを大幅に改善。 2011年1月 ■インドでアルツハイマー型認知症と うつ病に関するパイロットプログラムを実施 インド国内の病院との協力により、診断から治療・ケアを包括的に連携して 行うビジネスモデルを試行。 2010年11月 ■世界保健機関 (WHO) とリンパ系フィラリア症 治療薬の無償提供に関する共同声明に調印 リンパ系フィラリア症治療薬 「ジエチルカルバマ ジン (DEC錠) 」 22億錠を WHOに無償提供する ことに合意し、インドのバイザッグ工場で製剤開 発を開始。 2009年9月 ■シャーガス病の新薬開発 パートナーシップ 日本 の 製 薬 企 業として初めて、顧 み られない熱帯病に関する医薬品開発 パ ート ナ ー「Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi ) 」とシャー ガス病に対する新しい治療薬の開発に 関する提携およびライセンス契約を締 結し、共同開発を開始。 2011年10月 ■世界知的所有権機関 (WIPO) の 熱帯病治療薬開発支援国際的 コンソーシアムに加盟 WIPO加盟機関は熱帯病治療薬やその 候補化合物等に関する知的財産などを 無償で提供し、世界の研究者らととも に知見を共有してオープンイノベーショ ンを促進。エーザイは、7つの候補化 合物の情報をデータベースに提供。 2012年1月 ■顧みられない熱帯病 (NTDs) 制圧に向けた 共同声明 「ロンドン宣言」 に参画 世界の製薬企業13社の一員として、ビル&メ リンダ・ゲイツ財 団、WHO、 米・英 政 府、 世界銀行、および NTDs 蔓延国政府とともに 過去最大の国際官民パートナーシップを構築 し、2020年までにNTDs10疾 患 を 制 圧 する ために共闘することを約束。 2012年7月・10月 ■セービンワクチン研究所・オズワルドクルス 財団とNTDs・マラリアの治療薬・ワクチン 開発に向けて提携 エーザイが創製した「E6446」をオズワルド クルス財団に、ワクチンアジュバント(免疫活 性剤)である「E6020」をセービンワクチン 研究所とオズワルドクルス財団に提供し、マラ リア・NTDsの治療薬・ワクチンの開発を開始。 2013 2014 2013年10月 ■インドにおいて抗がん剤 「ハラヴェン」 を 新発売:ティアードプライシングの導入 新薬である抗がん剤「ハラヴェン」をインドで 発売するにあたり、患者様の所得水準に応じ た負担価格を設定して提供する「ティアードプ ライシング(所得別段階的価格設定) 」を導入。 2014年4月 ■ NTDs の制圧活動に関する総合情報サイト 「Eisai ATM Navigator」 を開設 NTDsをはじめ、HIV/ エイズ・マラリア・結 核について感染原因、症状、治療・予防法な どをわかりやすく解説した総合情報サイトを開 設。 2013年10月 ■リンパ系フィラリア症のグローバル制圧 プログラムに 「DEC 錠」 の無償提供を開始 WHO品 質 基 準で承 認されたDEC錠をバイ ザッグ工場で製造し、出荷を開始。 2013年4月 ■公益社団法人グローバルヘルス技術振興 基金 (GHIT 基金) の設立に参画 開発途上国特有の感染症に対する日本発の新 薬創出を推進する官民パートナーシップGHIT 基金の設立に参画。 2013年11月 ■結核に対する革新的な治療法開発をめざす Tuberculosis Drug Accelerator (TBDA) パートナーシップに参画 TBDAは、6カ月間を要する既存の結核治療 法に対して、1カ月間の治療で完治しうる新し い治療法の開発をめざす。参画する各製薬企 業と情報を共有しながら早期に新治療法を創 出することをめざす。 2014年3月 ■リバプール熱帯医学研究所などと抗ボルバ キア菌作用に基づく新規フィラリア駆虫薬 創出に向けた共同研究を開発 リンパ系フィラリア症の原因となる原虫フィラ リアに寄生し、フィラリアの増殖を助長するボ ルバキア菌をターゲットとした新規薬剤の共同 研究をGHIT基金の助成金を受けて開始。 10 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス 特集 医薬品アクセス エーザイグループは、世界の国々で患者様が苦しむ多くの疾患に挑戦しています。貧困地域に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症に対する治療薬の創出と供給は、医薬品アクセ スにおける大きな課題になっていますが、エーザイグループは様々なパートナーとの協働で3つのD (Discovery, Development, Delivery) の観点から医薬品アクセスの改善に取り組んでいます。 DiscoveryとDevelopment:国際官民パートナーシップによる新薬開発 Column 抗NTDs薬の開発を得意とする医薬品開発パートナーとの協働 エーザイグループは、NTDsや三大感染症(HIV/エイズ・マラリア・結核)の薬の創出にあたり、専門性の高いこれらの 感染症に関する研究開発の経験やネットワークを持つ国際的な団体である医薬品開発パートナー (Product Development Partners、PDPs)との共同研究を積極的に推進し、新しい治療薬の開発をめざしています。現在、エーザイグループが PDPsとともに取り組んでいるプロジェクトは以下の通りです。 ■NTDsおよび三大感染症の研究開発プロジェクト一覧 初期研究段階 シャーガス病 非臨床試験段階 オズワルドクルス財団との E6020を用いたワクチン研究 ブロード研究所との共同研究 DNDiとの共同研究 セービンワクチン研究所との E6020を用いたワクチン研究 2014年4月、NTDsおよびその制圧に向けた取り組みなどについて わかりやすく解説した総合的な情報サイト「Eisai ATM Navigator」 (http://atm.eisai.co.jp/)を日本語および英語で開設しました。 本サイトでは、先進国だけでなくNTDs蔓延国の患者様・生活者・医 療従事者・ボランティアスタッフの方々への情報提供を目的に、WHO が定めた17のNTDsおよび三大感染症(HIV/エイズ・マラリア・結核) について、その感染原因、症状、感染地域、治療方法や予防方法などを わかりやすく解説したコンテンツを掲載しています。また、これらの疾 患の制圧に向けた製薬企業やNGO等の活動を紹介しています。 DNDiとの E1224の臨床第Ⅱ相試験 リバプール熱帯医学研究所ほかとの 新規メカニズムによる治療薬研究 リンパ系フィラリア症 プロジェクトの分類 リーシュマニア症 DNDiとの共同研究 マラリア MMVとの共同研究 MMV との新規メカニズムによる 治療薬研究 オズワルドクルス財団との E6020を用いたワクチン研究 オズワルドクルス財団との 脳マラリア治療薬研究 結核 臨床試験段階 Eisai ATM Navigator (ウェブサイト) を 使った啓発活動 TBDA への参画 低分子化合物 ワクチン コンソーシアムへの参加 Eisai ATM Navigator パートナーの名称 DNDi:Drugs for Neglected Diseases initiative MMV:Medicines for Malaria Venture TBDA:Tuberculosis Drug Accelerator Mr.ATMが ナビゲートします。 11 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 患者様満足のために イントロダクション 企業理念 hhc の理念 目次・編集方針など エーザイの事業活動 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 トップメッセージ 特集 医薬品アクセス 特集 医薬品アクセス Delivery:リンパ系フィラリア症のグローバル制圧に向けてDEC錠の無償提供を開始 Delivery:インドにおけるティアードプライシング エーザイグループは、2013年10月より、インドのバイザッグ工場で製造したリンパ系フィラリア症治療薬DEC錠のWHOへの (所得別段階的価格設定) の実践 無償提供を開始し、2014年6月までに合計10カ国に出荷しました。このDEC錠はWHOの薬剤集団投薬プログラムを通して、リ 2013年10月、インドで新規抗がん剤「ハラヴェン」 (一 ンパ系フィラリア症蔓延国26カ国でリスクにさらされている2.5億人の人々に、2020年までの7年間にわたって継続的に提供さ 般名:エリブリン)を発売しました。新発売にあたり、本 れます。エーザイは、医薬品アクセス向上への貢献を長期的投資と位置づけ、NTDsを含むグローバルな公衆衛生問題に積極的 剤を必要とされる患者様がその所得水準にかかわらず治療 に取り組み、世界の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。 を受けられるように、患者様の所得水準に応じて全額負担 から無償まで複数の負担価格を設定する「ティアードプラ ■2020年までのDEC錠供給予定国 イシング」 を導入して、 「ハラヴェン」 へのアクセスを改善し ています。今後も、エーザイが創出した革新的新薬を世界 WHO 東南アジア地域 WHO 東地中海地域 ●エジプト ●インドネシア ●バングラデシュ ●ミャンマー ●ネパール ●東ティモール 連携 エーザイ本社 ●ガンビア ●ケニア ●コモロ ●マダガスカル ●サントメ・プリンシペ ●ザンビア ●ジンバブエ ●青太字:既出荷国 けできるよう、各国の医療 (DEC錠) 制度に合わせた持続可能な ビジネスモデルを追求して WHO アメリカ地域 まいります。 ●ブラジル ●ドミニカ共和国 ●ガイアナ ●ハイチ インドで発売された 「ハラヴェン」 ■ティアードプライシングのイメージ 高所得の 患者様 インド バイザッグ工場 WHO アフリカ地域 のより多くの患者様にお届 ジエチルカルバマジン 治療サイクル スキーム 従来型ビジネスモデル WHO 西太平洋地域 ●フィジー ●フランス領ポリネシア ●ラオス ●マレーシア ●パプアニューギニア ●サモア ●ミクロネシア ●ツバル ●キリバス ※WHOはリンパ系フィラリア症の制圧目標年を2020年としています。(2014年4月現在の供給予定) 1 サイクル・プライスゼロ 低所得の 患者様 2 サイクル・プライスゼロ 3 サイクル・プライスゼロ 4 サイクル・プライスゼロ 1 2 3 4 保険償還*1適用 患者様負担*2 患者様 一部負担 プライスゼロ *1 国家公務員、地方公務員対象の保険。加入者は全人口の5%未満。 *2 公的保険適用外の富裕層。 2 3 4 1 2 3 4 12 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 研究開発 患者様の生命・生活の質を改善するために 患者様志向を明確にした研究開発活動をめざして エーザイグループは、患者様の生命・生活の質を改善する革新的な医薬品を一日でも早く患者様にお届けしたいという想いから、その源流となる研究開発活動を、プロダクトクリエーション(製 品創出活動)と定義しています。研究開発部門であるエーザイプロダクトクリエーションシステムズ (EPCS) では、患者様の喜怒哀楽を理解し、アンメット・メディカル・ニーズを充足するために、 新たな医薬品を生み出すイノベーションの創出に取り組んでいます。 イノベーションに基づいた医薬品の創出 イノベーション創出の鍵を握るのが、疾患の治療につながる治療仮説と、その治療仮説を医 自社創製の新規抗がん剤「ハラヴェン(一般名:エリブリン)」のもとになったハリコンドリ 薬品という形にする化合物の合成力・創出力です。EPCSは、日進月歩で進展する遺伝子情報 ンBは強い抗がん活性を示す天然有機化合物で、海洋生物クロイソカイメン(Halichondria などのヒューマンバイオロジーに基づいた情報から、最適な疾患ターゲットとなる治療仮説を okadai )から抽出されました。「ハラヴェン」は、EPCSが持つ世界レベルの「化合物の合成力・ 見出すために、自社での研究に加えグローバルで最先端の研究を進める社外の研究機関との 」を生かして、ユニークな作用を持つハリコンドリン類の全合成類縁 創出力(ケミストリー力) ネットワークを強化しています。これらのグループと連携することで、疾患ターゲット候補を 化合物として創出されました。2014年4月に発足したハリコンドリン研究室では、新たな生理 獲得する可能性と、そのバリデーション(ターゲット候補として適切かどうかの検証)の確度を 活性を示すハリコンドリン類天然物ならびにエリブリンの周辺化合物をさらに探索することに 高めています。そして、治療仮説を革新的な医薬品として患者様のお手元にお届けするには、 より、画期的な新規分子化合物の創出をめざしています。 りょく この治療仮説に基づいた化合物の創出が欠かせません。EPCSでは、化合物創出に向けた技術 基盤の拡充に向け、独自の化合物ライブラリーを充実させるとともに、低分子化合物や天然物 Me だけでなくバイオロジクス(生物学的製剤)医薬品を創出する能力を高めています。 H HO ヒューマンバイオロジー に基づいた治療仮説 HO HO = 化合物の合成力・創出力 (ケミストリー力) H O O O H H H H O O H O H H Me O O O O Me O Halichondrin B O H O Me イノベーション 革新的な医薬品 H O O O H 13 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 薬が生まれるまで 新薬は、長く厳しい道のりを経て誕生します。新薬の候補物質の探索・発見をする基礎研究から始まり、臨床試験、承認申請、審査など、 様々なプロセスを経て安全で有効な新薬が患者様に届けられます。 新薬になる可能性のある候補物質の 探索と創出を行います。植物や微生 物などの天然物質 か ら 抽 出 す る ほ か、有機合成化学やバイオテクノロ ジーを用いるなど、様々な化学的手 法を駆使します。 基礎研究(2〜3年) 臨床試験では健康な方や患者様を対象 第Ⅰ相試験: 少数の健康な成人または患者様を対象に、薬 に候補化合物の有効性と安全性を確認 します。 この臨床試験を「治験」ともいいます。 治験には3 つのステージがあり、同意を 得た上で、医療機関で行われます。 非臨床試験(3~5年) 新薬候補化合物の有効性と安全性を 動物などを用いて研究します。また、 候補化合物がどのように吸収・分布・ 代謝・排泄されるかの動態試験や品 質、安定性に関する試験も行います。 (フェーズⅠ) 剤の安全性や体内動態について調べます。 第Ⅱ相試験: 少数の患者様を対象に、薬剤の安全性、効果、 (フェーズⅡ) 適切な投与量などを調べます。 第Ⅲ相試験: 多数の患者様を対象に、実際の治療に近い形 (フェーズⅢ) での薬剤の有効性と安全性を確認します。 臨床試験/治験 (3~7年) 承認申請と審査 (1~2年) 治験で有効性や安全性、品質等を確 認したのち、各国の規制当局に承認 申請を行い、審査を受けます。 日本では厚生労働省に申請し、学識 経験者などで構成される薬事・食品 衛生審議会などの審査を受けます。 審査後に製造販売の承認を得ます。 薬価は国によって様々ですが、政府が 価格を定める国が多数あります。 日本では、医療保険の対象となる医療 用医薬品の品目と薬価は、薬価基準 制度に基づいて決定されます。 承認と販売 製造販売後調査/試験 薬が市場に出た後、実際に医療機関 で多くの患者様に使われて初めて発 見できる副作用情報や、適切な使用 に関する情報を継続的に収集します。 これらの調査が改良や新薬開発のヒン トになることもあります。 (参考:日本製薬工業協会ウェブサイトなど) 14 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 想いをカタチにする ー活動報告ー 日本における 「アリセプト」レビー小体型認知症の承認申請 自社創製の抗てんかん剤 「Fycompa」 を米国で新発売 エーザイグループは、「アリセプト」によって認知症薬物治療の道を拓いた企業として、日本の エーザイグループは、てんかん領域を重点疾患領域の一つと位置づけています。てんかん患 認知症患者様の現実を見つめ、患者様とそのご家族や介護者の皆様のクオリティ・オブ・ライフ 者様の中には、既存の抗てんかん薬では発作を完全に制御できない方が未だに多く、新しい薬 (QOL)の向上に貢献すべく、「アリセプト」の価値拡大に努めています。レビー小体型認知症は、 剤が求められています。当社が創製した「Fycompa」は、新規作用機序を有し、AMPA受容体 日本では、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症と並んで三大認知症に位置づけられており、 に拮抗して神経の過剰興奮を抑え、抗てんかん作用を発揮します。欧州を中心に35カ国以上 老年期認知症の5〜20%を占めると推定されています。患者数は高齢化の進行に伴い増加傾向に の国々で承認を取得しており、2012年9月の あることから、医療現場において新たな治療法のニーズが高まっています。日本人のレビー小体型 英国での新発売以降、欧州各国で順次発売し、 認知症患者様を対象とした臨床試験を実施し、2013年10月、「アリセプト」のレビー小体型認知 2014年1月には新たに米国で発売いたしまし 症に関する効能・効果の追加申請を行いました。 た。また、さらなる適応の拡大をめざし、難治 性の全般てんかんや小児患者様を対象とした臨 床試験も実施しています。 次世代アルツハイマー型認知症治療剤 (E2609、BAN2401) に関する共同開発・ 共同販促契約をバイオジェン・アイデック社と締結 2014年1月に米国で新発売された 抗てんかん剤「Fycompa」 日本におけるオンコロジー領域での患者様貢献- 「レンバチニブ」 の申請 「トレアキシン」 「ハラヴェン」 「ギリアデル」に続き、日本で4品目となる抗がん剤として、自 エーザイグループは、新たな治療コンセプトに基づく認知症治療剤の創出にも取り組んでい 社創製の抗がん剤「レンバチニブメシル酸塩(一般名)」について、2014年6月に日本で、甲状 ます。アルツハイマー型認知症の病因の一つとして、アミロイドβ(Aβ)というタンパクの脳 腺がんに係る適応の新薬承認申請を行いました。国際共同治験により開発を実施してきました 内への沈着が考えられています。その治療仮説としてAβを減少させることにより、症状改善 が、世界に先駆けて日本で承認申請をしました。日本の甲状腺がんの患者様数は約13,000〜 だけでなく、病態の進行を抑制する疾患修飾作用も期待されています。エーザイグループで開 29,000人と推定されています。甲状腺がんの多くは治療可能ですが、進行した甲状腺がんの治 発中のβサイト切断酵素阻害剤である「E2609」、およびAβの凝集体であるAβプロトフィブ 療選択肢が限られているため、未だアンメット・メディカル・ニーズが高い疾患の一つです。 リルに対する新規モノクローナル抗体「BAN2401」について、2014年3月、バイオジェン・アイ デック社(米国)と、共同開発・共同販促契約を締結いたしました。「アリセプト」を創出した知 識と経験を有し、病態進行を抑制する薬剤開発に注力してきたエーザイグループと、グローバ ルで神経変性疾患領域に強みを持つバイオジェ ン・アイデック社との連携により、次世代アルツ ハイマー型認知症治療剤の早期創出をめざしま す。 15 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために Column 日本の消化器領域における「ラベキュア」 「ラベファイン」 の新発売 Column ロンドン大学より「2014エンタープライズパートナー賞」 を受賞 ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃に生息する細菌で、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALT リンパ腫、胃がん UCLエ ン タ ー プ ラ イ ズ 賞 は、2008 などと密接な関係があることがわかっています。 除菌には「パリエット」のようなプロトンポンプ阻害薬(胃酸分泌を抑える薬)と抗菌剤2種類を1週間服用するヘリ 年 英 国 の ロ ン ド ン 大 学(University College London:UCL)が創設した、革 コバクター・ピロリ除菌治療を行います。除菌の成否には、適正な用法・用量を遵守することが大きく関わり、飲 新的で企業家精神に富んだ研究者、学 み忘れや飲み違いは、除菌率の低下をもたらすだけではなく、耐性菌の出現につながる可能性があります。 こうした飲み忘れ、飲み違いを防ぐため、「パリエット」と抗菌剤2種を1日服用分ずつ1シートにまとめたパック 生や大学の研究パートナーの努力と成果 を表彰するプログラムです。エーザイグ 製剤「ラベキュアパック400/ラベキュアパック800」 (一次除菌用パック製剤)、「ラ ベファインパック」 (二次除菌用パック製剤)を2014年2月に新発売しました。 これら製品により、より確実かつ適切な除菌治療の促進、服薬コンプライアンス と医療現場での利便性の向上に貢献することが期待されます。 ループは、オープン・イノベーションを 通じて、世界トップクラスの学術機関で あるUCLとともに神経領域での創薬探索 研究に注力していることが高く評価され、 2014年の同賞を受賞しました。 ロンドン大学関係者より表彰を受けるEPCSチーフクリニカル オフィサー:リン・クレイマー執行役 (右側) 日本で新発売された 「ラベキュア」 「ラベファイン」 国際的ルールと hhc 理念に基づく研究開発活動 公正で正確な研究活動は、エーザイグループの企業活動の基本です。医薬品の研究開発には、各国の様々な 規制のほか、GLP (Good Laboratory Practice:医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準) やGCP (Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施の基準)と呼ばれる国際基準があり、エーザイグループでは関連す るすべての規制や基準を遵守し、hhc 理念に基づく高い倫理観を持って医薬品の研究開発を行っています。 患者様の立場に立った臨床試験 臨床試験では、参加される患者様の人権や安全の確保、福祉に対する配慮が何よりも優先されなければなり ません。エーザイグループでは、実施するすべての臨床試験でGCPや薬事法の規制の遵守とhhc 理念に基づく 高い倫理観を持って研究活動を行うことを行動指針として定めています。また、臨床試験の実施には、あらか じめ臨床試験の倫理性や科学的な妥当性を検討するようにグローバルな標準作業手順書に定め、倫理性の確保 に努めています。 さらに一定の条件を満たす臨床試験については、適切なタイミングで正確な情報開示を行い、医療関係者や 患者様が情報にアクセスできるよう、臨床試験の透明性を高めています。 動物福祉に配慮した動物実験 新薬開発において、 安全性および有効性を立証するためには、 動物実験は必要不可欠です。 エーザイグループは、 動物実験に関するルール・規制を遵守した研究開発を推進しています。日本では、厚生労働省の「動物実験等に 関する基本指針」に準拠した「エーザイ動物実験指針」を策定し、法や各省庁指針を遵守しています。すべての実 験は外部専門家を含む動物実験委員会により監督・管理され、動物生命の尊厳や動物実験の3R*原則に充分な 配慮をしています。また、各国においても3Rの原則を踏まえ、法律に基づいた適正な動物実験の実施に努めて います。 筑波研究所では動物実験の実施状況を自己点検・評価し、適切な実施を確認しており、これらの動物実験 への取り組みは、厚生労働省の基本指針に基づき動物実験を適正に実施していると評価され、2009年3月と 2012年3月(更新)に財団法人ヒューマンサイエンス振興財団の動物実験実施施設認証センターより認証を取得 しています。また、米国アンドーバー研究所は国際的な第三者評価機関である国際実験動物ケア評価認証協会 (Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International)の認証を取得し ています。 * 3R:使用する動物数の削減 (Reduction) 、動物を用いない実験の可能性の追求 (Replacement) 、動物の苦痛軽減 (Refinement) 16 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 製品供給 患者様満足の増大をめざした生産活動 高品質な医薬品をアフォーダブルプライス(患者様が購入しやすい価格) で世界の患者様へ安定的にお届けする 「我々の造る一錠、一カプセル、一管が患者様の命とつながっている。 」これは私たちが掲げるエーザイグループ品質方針です。世界各地で医薬品を待つ人がいる限り、私たちには高品質な医 薬品を安定供給し続ける使命と責任があります。その目的を達成するため、製剤研究から生産、流通までのすべてのプロセスにおいて万全の体制で品質確保に努めています。 「すべては患者様とそのご家族、そして生活者の皆様のために」グローバルな独自のデマンド 患者様満足を実現する製品供給 チェーン(製品の生産、供給を行うだけでなく、患者様の要求を積極的にとらえ、生産活動・ 医薬品産業を取り巻く環境は、新興国需要の増大、医薬品アクセス問題、バイオロジクス等 製品改良に取り組む体制)展開によって、世界の多様な患者様ニーズに柔軟かつ迅速に対応し、 の新技術への対応など急速に変化しています。このような変化の中で患者様ニーズを的確にと より一層の患者様満足を実現する高品質な医薬品を安定的に供給していきます。 らえた製品を患者様にお届けするため、エーザイデマンドチェーンシステムズは、2012年10 月に従来の生産拠点単位で最適化を重視した生産体制から、製品群ごとに形成されたユニット によるグローバルな体制に移行しました。 グローバル生産拠点一覧 新体制では、製品群別に組織されたユニットが各製品領域における患者様ニーズを把握し、 グローバルに供給する製品については複数拠点での生産が可能な体制を確立し、有事におい ニーズに応えた剤形の提供や包装の利便性向上等をはかり、顧客歓喜につながる製品をお届け ても世界の人々に高品質な医薬品を安定して供給する体制を構築しています。 します。また、品質保証や製造委託先管理機能と協働して、高質かつアフォーダブルプライス による安定供給を実現します。 ●ハットフィールド工場(英国) ■“生産拠点をベースとした生産体制”から製品群別の“患者様価値増大をめざす体制”へ 生産拠点単位で最適化を重視した生産体制 製剤 製剤 包装 包装 バイザッグ 川島 ボゴール サンノーバ 蘇州 ハットフィールド ボルチモア ノースカロライナ バイオ製剤 調達 原薬 製剤 包装 抗がん剤 調達 原薬 製剤 包装 調達 原薬 製剤 包装 グローバル向け製品 調達 原薬 製剤 包装 日本・アジア向け製品 調達 原薬 製剤 包装 新製品(バイオ製剤・抗がん剤以外) 蘇州工場(中国)● 川島工園(岐阜県) ● 鹿島事業所(茨城県) サンノーバ株式会社(群馬県) バイザッグ工場(インド)● 患者様満足 鹿島 原薬 製品群別にエンド・トゥ・エンドを実践するグローバルな生産体制 患者様ニーズ 原薬 製品群別 ユニット ●ボゴール工場(インドネシア) ●ボルチモア工場(米国) ● ノースカロライナ工場(米国) 17 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 薬が届くまで 安全で高品質な薬が患者様のもとに届くまでには、いくつもの生産工程と品質チェック を経なければなりません。ここでは錠剤やカプセル剤の製造工程をご紹介します。 厳密な計量で確かな効き目を 医療従事者や患者様にとって扱いやすい薬へ 長い研究開発を経て創られた薬は、工場で製品化 錠剤に成型後、必要に応じて薬の苦味などを抑 されます。薬の主成分となる原薬は、効き目を正し えるコーティングを行います。また、コーティン く発揮させるため、必要な量が正確に計量されま グされた錠剤やカプセル剤には、薬剤名などを す。その後、 固めて安定させる添加物などを混合し、 示す文字や数字および記号を印刷します。さら 成分が均一な顆粒にします。 に、外観検査工程で、一つひとつの形や大きさ ② 造粒・整粒 を経て出荷され、患者様のお手元に届き ます。エーザイグループでは、高品質な 医薬品を安定供給するため、グローバル な生産物流体制を整えています。 に異常がないかをチェックします。 製造工程では人為的ミスを防ぐため、 無人搬送機で原料を運んでいます。 ① 原料入庫・計量 そして患者様へ 製品となった薬は、いくつもの品質検査 ③ 充填・打錠 ④ コーティング・印刷 ⑤ 包装 両面印刷 表 ⑥ 流通 PTP包装 裏 外装 クリーンな自動製造ラインで薬の姿に 医療従事者や患者様にとって扱いやすい包装へ 厳しく品質をチェック 薬剤はPTP包装(錠剤やカプセル しながら充填・打錠(顆 剤に一般的に使用されている、押 粒を圧縮して錠剤に成 して取り出す包装)やボトル包装な 型) を行います。また、 どによる包装と検査を経て、製品 カプ セ ル 剤 は、 顆 粒 情報を記載した“添付文書”ととも を直接カプセルに充填 に箱詰めされます。 します。 PTP包装から箱詰めまで、一つのラインで 製造しています。 18 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 日本向け 「ギリアデル脳内留置用剤7.7mg 」 新包種追加 脳内に留置する特殊なウェハー製剤である の搬送がスムーズになりました。 「ギリアデル」は、腫瘍切除腔の大きさや形状 患者様・生活者とともに歩む 患者様・生活者とともに時を過ごすことは、患者様の切なる想いに触れ、新たなアイデアを得る 貴重な機会となります。また、医薬品の創製に従事する者としての使命感や責任感の醸成にもつな に応じて最適なウェハー枚数を無駄なく使用 がります。 したいという医療機関からの要望がありまし 川島工園では社員が医療機関を継続的に訪問し、患者様とそのご家族、そして医療従事者との交 た。その声に応えるため、従来の1箱に8枚を 流を続けています。ご高齢の患者様には日常生活のお世話をさせていただき、小児の患者様には理 入れた包装に加え、1箱に1枚入り、4枚入り 科実験プログラムを提供しております。参加した皆様に楽しんでいただくとともに、患者様が製薬企 の2つの小包装を新たに追加しました。これ 業に期待することや各工場のhhc 活動をテーマとした意見交換会などの機会も設けております。患 らの小包装によって、医療機関での最適な在 者様とともに過ごし、その想いに触れることは、hhc の実現に向けて社員が何をすべきかを考える 庫管理にも柔軟に対応することが可能となり、 機会となっています。 また、コンパクトになったことから、院内で ギリアデルの小 包 装( 1枚 入り、 4枚 入り)の追 加 鹿島事業所では2013年10月に、神栖市で開催された認知症メモリーウォークに参加し、疾患啓 発と認知症への理解を呼びかけました。認知症になっても安心して暮らせるまちづくりをめざした 英国・ハットフィールド工場の包装施設拡大 ハットフィールド工場は、抗てんかん剤 「Fycompa」をはじめとする新製品のグロー 本活動への参加は、患者様に貢献できる一つのカタチと考えています。 また、バイザッグ工場の社員はアンドラ・プラデシュ州政府主導のもと行われるリンパ系フィラリ の包装スペースを設けます。 ア症の予防および治療のための集団投薬プログラムを支援しており、投薬時にリンパ系フィラリア 2014年度下期の稼働を予定しています。 症についての情報やその予防方法を説明しました。 バルに向けた供給拠点、また少量かつ多言語 に対応した多種包装が求められる欧州各国向 けの製品の生産・包装拠点としての役割を 担っています。 2013年9月より、現在稼働中の施設と隣接 する形で新施設の増設工事が開始されました。 増設部分では、開発中の抗がん剤「レンバチ ニブ(一般名)」の包装を予定しているため、 英国医薬品医療製品規制庁の定めるガイドラ インに従い、高活性化合物を扱うための専用 川島 医療機関訪問 英国・ハットフィールド工 場 鹿島 認知症メモリーウォーク インド リンパ系フィラリア症 制 圧 支 援 活動 19 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 情報提供 情報を通して 「患者様」 と向き合う 医薬品が有効かつ安全に使用されるためには、効果だけでなく、副作用や適正な用量など多岐 医薬品に関する正確な情報提供と将来に生かす情報収集 にわたる正確な情報提供がなされなければなりません。さらに、患者様とそのご家族、医療や介 エーザイグループは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのニーズを充足する 護に関わる方々の声を集めるとともに、その現場で、共体験を通じて潜在的なニーズや想いを知り、 製品の提供を事業活動としています。また、製品の提供だけでは解決しない様々な問題に対し、 それに応えることが真のhhc 実現につながると考えています。 患者様の視点で情報提供・収集活動を行うことを通じて、患者様とそのご家族のベネフィット向 エーザイグループではMR(Medical Representative:医薬情報担当者) を通じた情報提供・収 上に取り組んでいます。 集活動に加え、コールセンターやウェブサイト等のあらゆる方法でより質の高い情報を適時適切 に伝達する体制を構築しています。 ■情報提供を行う 3 つのチャネル:日本の事例 また、 社会の皆様に向けて、 認知症や乳がんをはじめとする様々な疾患について、 市民講座やフォー ラムの開催、印刷物の配布等を通じて啓発活動を行っています。さらに、医療・介護関係者がより 患者様とそのご家族 ご質問 ご意見 製品情報 疾患関連情報 コールセンター 医薬情報担当者(MR) MRとは コールセンター MRは医療機関や薬局に対し て、医薬品の副作用や効果など について情報提供を行います。 また、副作用や製品に関する情 報を医療機関から収集し、社内 で共有することもMRの重要な 役割です。 「 ホットライン」 ホットラインは、 通話料無 料、365日年中無休でお客様の ご質問やご指摘に対応していま す。 エーザイ製品の情報をわかり やすく、 丁寧に説明しています。 また、寄せられたご意見・ご 質問は 「お客様のVoice」 として 関連部署で共有され、 製品の改 良やよりよい情報提供に反映し ています。 ウェブサイト ウェブサイト 「Eisai.jp」 患 者 様・医 療 関 係 者 向けの ポ ー タ ル サ イト「 E i s a i . j p 」 (http://eisai.jp) では、 日本で 提供しているすべての医療用 医薬品・一般用医薬品などの製 品情報、疾患関連情報を提供し ています。 また、健康のちょっとした疑問 に 各 分 野 の 専 門 家 が 答 える コーナーなどで予防から治療ま での情報を提供しています。 関連部署での情報共有 連部 情報共有 研究会の 運営サポート MRの役割について 本人の声に応える思いの共有、 社会参加支援 MRには、自社製品の情報提供のみならず、病患や医学薬学など幅広い知識が求められます。そ エーザイの「まちづくり」活動 エーザイの3つのチャネル 情報提供 スムーズに連携する体制の支援として、多職種の方々が情報交換する場の提供なども行っています。 本人ネットワーク支援 情報の収集 ご質問 ご意見 医療関係者 製品情報 疾患関連情報 のため、日本においては製薬産業共通のMR認定試験制度があります。加えてエーザイでは関係者 コミュニティ・ネットワーク のニーズを充足するために、医療制度なども含めた幅広い知識を習得する研修を継続的に行ってい 支援推進機能 ます。 医療情報担当者 (MR) また、エーザイのMRは単に情報提供・収集を行うだけでなく、医療関係者間での情報交換の場 として研究会の開催や疾患啓発を目的としたフォーラムの開催、医療・介護関係者がよりスムーズ 「場」のコーディネート に連携するための支援をするコーディネーターの役割なども担っています。 医療・介護に関する多職種の話し合いの 「場」を創出 MRの4つの主な役割 情報提供 住民団体 (NPOなど)、自治体、地域包括支援センター、 かかりつけ医、介護保険サービス業者、専門医 医療機関や薬局に対して、 医薬品の副作用や効果などについて 情報提供を行います。 情報収集・共有 副作用や製品に関する情報を医療機関から 収集し、 社内で共有しています。 学術支援 医師や薬剤師などの医療関係者に対する 研究会や説明会などを支援し、 情報提供を行っています。 疾患啓発 社会の皆様に向けて、 市民講座や フォーラムの開催、印刷物の配布等を通じて 疾患に対する啓発活動を行っています。 20 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために エーザイ・ジャパン:患者様の想いに応える2つのhhc ユニット体制 日本では少子高齢化社会への対応として、医療・介護制度の変更が行われており、患者様と 想いをカタチにする ー活動報告ー 365日患者様とともに 「hhc ホットライン」 そのご家族を取り巻く医療・介護提供体制も大きく変化しています。この大きな環境変化の中 エーザイ株式会社は、患者様や医療従事者の皆様からのお問い合わせやご指摘に対して迅速 で日本の医薬品事業を担うエーザイ・ジャパンでは、患者様の行動や想いをしっかりと把握し、 に対応するため、1990年4月に「お客様ホットライン」を業界に先駆けて開設しました。365日 患者様とそのご家族のニーズに応じたきめ細かな対応をするために、2つのユニット体制をとっ 対応、フリーダイヤル化など、お電話していただきやすい環境を整えた結果、これまでのお問 ています。 い合わせ件数は169万件を超えました。2013年度のお問い合わせ総数は、9万9,471件でした。 一つは、認知症のように地域の医療圏で生活をおくりながら長期に疾患と向き合う患者様と 「患者様を取り巻く環境には休みはない」という信念のもと、これからも365日対応してまい そのご家族の方々のニーズを充足する地域包括hhc ユニットです。もう一つは、がんのように ります。引き続きお客様から寄せられた貴重な声を品質改善や製品改良に生かし、顧客歓喜の 深刻かつ切迫した状況下でより広範囲な医療圏で行動される患者様のニーズを充足するオンコ 実現をめざしてまいります。 ロジーhhc ユニットです。この体制により、エーザイ・ジャパンは従来の品目・領域区分だけ でなく、より患者様の受診行動に即した「医療圏」を重視した活動を展開しています。また、医 療提供体制の変化の中では、医師への情報提供はもちろんのこと、薬剤師や看護師、介護従事 者への情報提供も重要となってきています。エーザイ・ジャパンでは、保険薬局の薬剤師の方々 への情報提供の場として、「認知症対応力向上研修」や「在宅訪問研修会」を行っています。この ような活動を通じ、患者様満足の増大に向け取り組んでいます。 ■地域包括hhcユニット 患者様の受診行動に則した地域密着医療圏 1,200人 MR 約 ■オンコロジーhhcユニット 専門施設を中核とした広域医療圏 140人 オンコロジーMR 約 35統括部 235医療圏 7統括部 26医療圏 その他 1% 一般用 医薬品 18% うち 生活者の皆様 71% 薬局・ ドラッグストア等 24% 9万9,471 件 医療用 医薬品 81% うち 病院・保険薬局等 75% 患者様とそのご家族 12% その他 5% その他 13% 2013 年度のお問い合わせ件数とその内訳 視覚障がい者のための音声による情報提供 「指導せん」は患者様ご自身が疾患や治療などについての知識を深め、医療に従事する先生方との コミュニケーションを高めるツールとして活用されています。 エーザイ株式会社が提供している音声コード付きの「指導せん」は、切手サイズのバーコードの中 に記録された情報を活字読み上げ装置で読み取ることによって、音声として聞くことができます。現 在では約30種類の音声コード付きの「指導せん」を提供しています。今後も、日本国内の推定約30 万人の視覚障がい者の方々を含め、すべての患者様にとって読みやすく、わかりやすい医薬品情報 のバリアフリー化を推進していきます。 21 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 想いをカタチにする ー活動報告ー 認知症啓発サイト 『e-65.net (イーローゴ・ネット) 』−認知症地域支援マップ− わたしらしい暮らしを楽しむ乳がん患者様のためのサイト 『BreCare Garden』 オープン エーザイ株式会社の認知症啓発サイト『e- 検索することができるサービスです。ご本人 65.net( イーローゴ・ネット)』をリニューア やそのご家族に認知症と疑われる症状が生じ 乳がん患者様のよりよい生活をサポートす ブレケアガーデンを通して乳がん患者様に ルし、「認知症地域支援マップ」 (http://sasp. た時に、本サイトを通じて気軽にお住まい近 るウェブサイト『BreCare Garden(ブレケア 役立つ情報を提供し、乳がん患者様の自分ら mapion.co.jp/b/e-65/)の公開を開始しまし くの「医療機関」 「地域包括支援センター」にご ガーデン) 』 (http://brecaregarden.jp/)を開 しさを保つサポートをしていきます。 た。「認知症地域支援マップ」は、日本各地域 相談いただく一助となり、早期診断、早期対 設しました。 で認知症に関する相談や治療に対応している 応につながることを期待しています。 本サイトは乳がんの患者様が、治療中や治 「医療機関」や「地域包括支援センター」などを 療後に感じる様々な生活上の悩みをサポート するため、 「旅を楽しむ」 「 おしゃれを楽しむ」 「食事を楽しむ」 「心の疲れをとる」 「患者様の 悩みを軽くする」をテーマとしたウェブサイ 「認知症地域支援マップ」には、 「e-65.net(イー ローゴ・ネット)」 (http://www.e-65.net)から アクセスできます。 トです。 その中でも「美容室」ページでは、全国の医 療用ウィッグを扱う美容室やがん患者様をサ ポートする美容室ネットワークを紹介してい ます。今後もますます充実させ、より多くの がん患者様の身近な美容室を紹介する予定で す。 また、「本屋」ページでは、病気を理解し治 療につなげるための本から、気持ちが落ち込 リニューアルした『 e - 65.net(イーローゴ・ネット)』の画 面 んだ時、なんとなく元気が出ない時に心に効 くお薦めの本まで紹介しています。 『BreCare Garden(ブレケアガーデン)』 (http://brecaregarden.jp/)のトップページ 22 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために グローバル医薬品市場の大きな変化 患者様のもとにお届けすることが重要であり、 ビジネス・マトリクス体制」をスタートさせま 2014年5月、マルチブランド育成のための新 した。 医薬品産業を取り巻く環境は日々確実に変 より一層の連携を進めるべく話し合いを進め 化しており、世界市場はその結びつきをます ています。 このような大きな市場の動きの中で、 ます強めています。 従来よりもさらに統一されたグローバルブラ 国際的な学会では、数万人の医師が一堂に ンド戦略のもとで患者様に貢献するために活 会し、同じプレゼンテーション、同じデータ 動する重要性がますます高まっています。 エーザイグループでは、これまでの4つの バルニューロロジービジネスユニットには を参照します。著名な医学雑誌は世界中で広 現在エーザイグループは、大きく変化しつ リージョンによるマネジメントに加え、リー 「Fycompa」をはじめとする神経系の製品群 く読まれており、先進国、開発途上国という つある市場の中で、 「アリセプト」 と 「パリエッ ジョンを横断する2つのグローバル・ビジネ が属します。 段階を超えた医療技術や医療行為の標準化が ト」の2大ブランド企業から、今後の成長を担 ス・ユニットを立ち上げました。グローバル・ 一方、 リージョン (日本、 アメリカス、 アジア、 急速に進行しています。一方で、審査当局や う製品群によるマルチブランド企業への転換 ビジネス・ユニットはグローバルブランドの EMEA)は各々の地域において社を代表する しいビジネスモデル「エーザイ・グローバル・ エーザイ・グローバル・ビジネス・マトリクス体制の目的 保険償還当局も国際連携を強めています。日 を遂げようとしています。そのためには、世 統合された戦略の立案・実行、 中期計画の策定、 法人格であり、それに伴う広範な事業責任を 本においては新薬の審査期間は短縮されてき 界市場において同時にかつタイムリーに複数 ライフサイクルマネジメント等の責任を担い 担います。リージョン特有の患者様ニーズ、 ており、さらに欧州やアジアの審査当局が、 のグローバルブランドを確立し、一日も早く ます。単にビジネスの結果を追うのではなく、 疾病構造および医療システムに合致したオペ hhc に基づく患者様満足の増大をめざし、ブ レーションを遂行し、グローバル品、ローカ エーザイ・グローバル・ビジネス・マトリクス ランドの価値の拡大や臨床上のベネフィット ル品の両者を含むリージョンでのビジネス全 グローバル・ビジネス・ユニットとリージョンのマトリックスでより俊敏なオペレーションを可能とする体制へ 向上をはかる医療用医薬品ビジネスそのもの 体を統括します。 グローバル・ビジネス・コミッティ を司るユニットになります。統合されたブラ エーザイ・グローバル・ビジネス・マトリク ンド戦略のもとで各リージョンが密接に連携 ス体制により、グローバル・ビジネス・ユニッ し、自社の有力化合物をグローバルで同時に トのグローバルブランド戦略と、リージョン 開発し、一日も早く患者様にお届けすること のローカルマーケティング力のシナジーを最 を目的にしています。 大化し、グローバルに一体となって、イノベー エーザイグローバルオンコロジービジネス ション創出とアクセス拡大を果たしてまいり ユニットには「ハラヴェン」をはじめとするオ ます。 アメリカス エーザイ グローバル オンコロジー ビジネスユニット アメリカス オンコロジー アメリカス ニューロロジー EMEA EMEA オンコロジー EMEA ニューロロジー アジア アジア オンコロジー アジア ニューロロジー& ジェネラル EMEA:ヨーロッパ、 中東、 アフリカ、 オセアニア 日本 日本 オンコロジー hhc ユニット 日本 地域包括 hhc ユニット エーザイ グローバル ニューロロジー ビジネスユニット ンコロジー製品群が属し、エーザイグロー りょく 23 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために エーザイの薬粧事業 医師の処方せんに従って薬局で処方・調剤される医療用医薬品のほかに、セルフメディケー す。飲みやすい「パイナップル味」で、「1瓶あた めいただくためにインターネットで販売を開始 ションのためにドラッグストアで販売される一般用医薬品や、コンビニエンスストアなどでも り約9kcal」という低カロリーも実現しました。 しました。今後は、アジア各国へのチョコラ お取り扱いいただける医薬部外品、栄養機能食品などの健康をサポートする製品群を総称して、 また、全国各地から多くの女性に手軽にお求 BBブランドの展開を進めていきます。 エーザイでは「薬粧品」と呼んでいます。 TVコマーシャル等でもおなじみのブランドとしては、キレイと元気を応援する「チョコラ BB」や弱った胃の粘液をベールで整える「セルベール」 、もんでも届かないコリをほぐす 「ナボリ 栄養機能食品 (飲料) シリーズのラインナップ強化 ン」、イオンの力で花粉をブロックする「クリスタルヴェール」などがあります。そのほかには、 1990年のチョコラBBドリンク(医薬品)発 さらに2014年4月には、拡大するエナジー スーッと効く緑の胃ぐすり 「サクロン」 や乗り物酔い薬 「トラベルミン」 などの製品を取りそろえ、 売以来、チョコラBBドリンクシリーズは、多 ドリンク市場の中で、未だ満たされていない 多くのお客様にご愛顧いただいております。 様化する女性の「キレイと元気」に対するニー 女性のエナジードリンクへのニーズにお応え 薬粧品事業は、エーザイの事業の中でも、もっともお客様に近いところで活動しています。 ズに、医薬品のみならず医薬部外品や栄養機 するため、「気分を高めて普段より高いポテ お客様やドラッグストアの薬剤師、店舗スタッフの方々からの意見に真摯に耳を傾け、お客様 能食品など、様々なカテゴリーでお応えして ンシャルを発揮したい」時に飲んでいただく のベネフィットに貢献する高品質な商品開発や改善に取り組んでいます。 きました。栄養機能食品(飲料)シリーズで エナジードリンク「Joma(ジョマ)」を発売い は、2013年6月に、ビタミンCを手軽に補給 たしました。 できる「チョコラBBスパークリング ビタミン 当社は、チョコラBBドリンクシリーズや きゅっとレモン味」、2014年6月には、夏場 Jomaを通じて、多様化する女性の「キレイと 中国で 「チョコラBBローヤルドリンク」 新発売 チョコラBBブランドは、1952年の発売以来 ラBBローヤルドリンク」を発売しました。本製 に需要の高まる「塩分補給」の機能を追加した 元気」へのニーズにお応えし、より多くの生 60年以上にわたって日本の生活者の皆様に広 品は、急激な経済成長とともに高まってきたヘ 「チョコラBBスパークリング ソルティなつみ 活者の皆様のベネフィット向上に貢献してま く愛用されているブランドです。女性の「キレ ルスケアと美容に対する中国人女性のニーズに イと元気」を応援するブランドとして、日本で お応えするため、長年 は、医薬品の錠剤のほか、チョコラBBドリン 日本で培ってきたチョ クIIなどの医薬品ドリンク、チョコラBBローヤ コラBBブランドと同 ル2ほか4種類の指定医薬部外品ドリンク、栄 じ成分であり、「キレ 養機能食品で炭酸飲料のチョコラBBスパーク イと元気」をサポート リングシリーズ、同じく栄養機能食品で清涼飲 するビタミンB6、ニコ 料のチョコラBB Feチャージ、ゼリー飲料の美 チン酸アミドなどに加 チョコラ コラーゲンジュレと様々な種類や剤型 えて、コラーゲンやヨ をそろえています。 クイニンといった成分 2014年6月、中国で初めての薬粧品「チョコ を配合したドリンクで 中 国で発 売したチョコラ B Bローヤルドリンク かん味」 を発売 (期間限定・数量限定) しました。 Jom aの広 告 いります。 24 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 品質保証 患者様・生活者の皆様の立場から、 常に品質を追求 規制要件の変化 医薬品の製造・流通には、様々な規制要件があります。GMP基準に加え、近年は特に、 GDP(Good Distribution Practice)基準の重要性が高まっています。工場から出荷された医薬 エーザイが実践している品質保証活動の取り組み 品が、世界各国に流通する際の品質管理を強化しようというものです。その背景として、新興 hhc 理念を実現するためには、医薬品本来の有効性・安全性が保たれた状態で患者様・生活者 国や開発途上国にとどまらず、先進国においても偽造医薬品使用の事例報告があり、違法流通 の皆様に正しく使用していただくための品質確保が重要です。エーザイグループでは、グローバル の監視や防止に、各国が取り組んでいます。 に統一された独自のGMP基準(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)による製造段階 このような流れに対応し、エーザイグループでもプロダクトセキュリティー (下記参照)など の品質管理を行うと同時に、流通段階の品質確保にも注力しています。グローバルな品質保証体 の取り組みを行っています。 制のもと、高質な医薬品の安定供給に向けた品質保証活動を世界各国で展開しています。 プロダクトセキュリティー グローバルに統一された品質管理基準 エーザイグループでは、医薬品を日本・米国・欧州・アジア・中東をはじめ、最近ではロシ ア・カナダ・ブラジル・アフリカなど、多くの国々の患者様・生活者の皆様にお届けしています。 医薬品の製造に関しては、各国、各地域に異なる規制要件が存在しており、それらを遵守する ためエーザイグループでは、グローバルに統一した GMP基準を独自に設定しています。使用 される原料・包装材料から製品に至るまで、すべての過程において厳しい基準に基づく規格に 適合した医薬品を生産しています。また、高度に構築された品質保証システムのもとで、高品 質な製品を安定的に出荷しています。どの国、どの地域の患者様・生活者の皆様にも安心して ご使用いただける医薬品の供給を可能とする品質保証活動を展開しています。 近年、医薬品の開発ならびに流通のグロー バル化が著しく加速する中、偽造医薬品のリス クが開発途上国や新興国にとどまらず、先進国 においても高まっていることが報告されていま す。また、違法な流通を経た正規の医薬品がイ ンターネットで販売されるリスクも否定できませ ん。エーザイグループでは、通常の品質保証活 動に加えて正規の医薬品が安全かつ確実に患者 様のお手元に渡るよう、グローバルなプロダク トセキュリティー活動を推進しています。規制当 局、業界他社および業界団体と連携して偽造医 製造販売業者としての使命 様々な状況下においてhhc 理念を実現していくためには、高品質な製品の安定供給が重要と なります。そのため、エーザイグループでは、医薬品を必要とする患者様・生活者の皆様のも とに届けられ、使用されるまで品質保証の範囲が及ぶと認識しています。取り扱う製品は世界 各国で生産されており、様々な流通過程を経た後、病医院・薬局を通じて患者様・生活者の皆 様のもとに届きます。有効性・安全性が保証された製品を患者様・生活者の皆様に正しくご使 用いただくために、品質保証活動が果たすべき役割は、非常に重要なものとなっています。 薬品・違法流通の監視や発生防止対策に積極的 に取り組んでいます。具体的な事例が検知され た場合には、調査、法的措置、安定供給の確保 など、迅速な対応をはかります。 偽造医薬品や違法な流通を経た医薬品が医療 現場に提供されることを防止するためには、医 薬品流通の実態をより的確に把握し、医薬品の 適正かつ安全な供給と使用をはかる必要があ ります。そのため、医薬品流通のトレーサビリ ティー(履歴管理)を確保する取り組みが世界各 地で展開され、一部の国/地域ではすでに規制 化されています。 エーザイではこうした規制当局、 製薬企業、医療現場による取り組みに積極的に 参加すると同時に、中国やインド等の規制には いち早く対応しています。また今後、社会基盤 としてのトレーサビリティーシステム導入が予定 されている欧米では、各地域で社内プロジェク トを立ち上げ、遅滞なく対応できるように準備 を進めています。 エーザイグループでは、新たな動向を注視し ながら、積極的かつ適切に時代の要請に応じた 対応を実践します。そこから得られた「知」を、 製品の開発、生産、販売に関わる世界中の拠点 とも共有して活用をはかっていきます。 * 偽造医薬品とは、意図的または詐欺目的で部分またはその すべてが偽造された医薬品のことで、名称や製造・販売元 が偽装表示された医薬品も含みます。偽造方法や内容は、 包装が偽造である場合や有効成分が含まれていないもの、 あるいは成分量が適正ではないものなどが存在し、一見した だけでは見分けが困難であるのが現状です。 25 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 顧客歓喜に向けた製品改善事例 をめざした品質保証活動 顧客歓喜 (CJ*) エーザイグループの品質保証部門では、外 ※実物大ではありません 「アリセプト錠」 の両面印字 アリセプトⓇ錠 3mg 的環境変化に即応しながら、常に患者様・生 アルツハイマー型認知症の治療剤である「アリセプト錠」の識別 活者の皆様の視点に立脚した製品の供給に努 コードを、刻印による番号表示から製品名カタカナ表示に変更しま めています。顕在化した要望のみならず、潜 した。 在的な欲求を満たす品質を追求することで顧 薬局では、処方せんに基づいて患者様に正確に薬剤をお渡しする 客歓喜につながる品質をめざしており、専門 ため、鑑査という確認業務を行いますが、錠剤に製品名を、それも 組織であるCJ部を中心に積極的な活動を展開 両面に表示することで、取り間違いの防止や作業効率の改善に役立 しています。 ちます。特に、飲み忘れ等を防ぐため、一回に服用する薬剤ごとに *CJ:Customer Joy (顧客歓喜) 一袋にまとめる 「一包化」 の際には、袋の外側からの鑑査が確実にな アリセプトⓇ錠 5mg アリセプトⓇ錠 10mg ります。 患者様にとっても、製品名がよりはっきりと読み取れることで、 改善前 改善後 複数の薬剤を使用する際にも識別が容易となり、安心して使用して いただけます。 局はもちろんのこと、老人ホームや在宅に 者様や生活者の皆様との共同化*により顧 おける医療・看護・介護の現場に出向き、 客の潜在的な欲求を理解し、製品、情報、 共同化を実践しています。そして、一連の サービス、ネットワークをパッケージで提 活動で得られた気づきを顧客から寄せられ 供して顧客歓喜を実現します」を掲げ、積 る声などとも関連付け、関連部署と共有化 極的な活動に取り組んでいます。具体的に して具体的な品質改善や製品改良につな は、患者様もまだ意識されていない潜在的 げています。 製品苦情 患者様や生活者の 皆様からの問い合わせ 潜在的な欲求を理解 CJ 部は、CJ 宣言として「私たちは、患 医療機関からの 問い合わせ 顕在的な要望を収集 顧客歓喜をめざす専門組織 「CJ部」 の活動 医療・介護の現場での 共同化体験 な欲求を理解するため、病医院や保険薬 *病医院、保険薬局への訪問や在宅での看護・介護の体験など、顧客が抱える課題や想いを理解するために行う活動。 顧客歓喜を実現する製品・情報・サービスなどの提供 26 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 顧客歓喜に向けた製品改善事例 「ルネスタ錠」 のシートデザイン変更 お客様とエーザイを結ぶ情報改善への取り組み 製品を作り出し、患者様に貢献するのは私たちの大きな使 使用実態や、医療従事者の方々が持つ課題等を身近に体感で 命ですが、製造、販売して終わりということではありません。 きます。そして、その場で指摘された問題点や改善点、自ら 不眠症治療剤である「ルネスタ錠」のPTPシート表面のデザ その製品が実際にどのように使用され、どんな課題があるの の気付き等を貴重な情報として技術部門にフィードバックし、 インを変更しました。 かまで知ってこそ、真に患者様のためになる活動ができると 製品改善等の対策につなげます。 「ルネスタ錠」には、1mg、2mg、3mgの3種類があり、 考えています。 こうした活動の成果として、医療現場に製品の使用法に関 症状によって服用量が調整されることから、それぞれの識別 その一環として、CJ部では製品のご指摘事項が発生した する情報をお伝えする資材を作成しています。今年度、新た 性を確保することは大切な課題です。従来は、シートの表面 医療現場に出向くことに注力しています。現場では、製品の に作成した2つの事例をご紹介します。 を色違いにしていましたが、3種類とも同じ2本線のデザイ ンでした。そこで、1mgの場合には1本線、3mgの場合には 3本線と、視覚的に短時間でも区別しやすいように向上をは ① 「イオメロン」 の正しい使用方法リーフレット かりました(2mgは2本線のまま)。 非イオン性造影剤 「イオメロン」 は、肝臓がんなどを診断す 1mg、3mgのPTP包装の個装箱には、変更した箇所をよ るための肝臓ダイナミックコンピューター断層撮影等に用い りわかりやすく患者様に伝える「患者様用お知らせカード」 を る造影剤です。 「イオメロン」 はプランジャー (押し子)をシリ 封入しています。 ンジにセットして使用しますが、その際に、斜めにセットす るなどのミスにより液漏れを起こしたり、自動注入機への ■患者様用お知らせカード セット位置違いなどにより破損を起こす場合があります。 このような、今までに報告された起こしやすいミスを未然 に防ぎ、製剤を安全に使用していただくために、正しい使用 方法を詳しく記載したリーフレットを作成し、製品に封入し ました。エーザイは、これからも製剤を実際に使用する現場 の声に応えていきます。 ルネスタ錠1mg ルネスタ錠3mg 27 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 慢性的な苦情への取り組み ② 「ギリアデル」 の開封方法リーフレット 「ギリアデル」は、悪性神経膠腫を切除する そこで、製剤を安全に無駄なく使用していた 品質に関してお客様から寄せられた苦情には、そのつど発生原因を調査した上で必要な改 手術の後に使用する治療剤です。術後療法(放 だくために、開封する際の注意点を記載した 善策を講じています。全社をあげて取り組み、過去4年連続で件数を減少させてきましたが、 射線療法、化学療法等)開始までの間、がん リーフレットを作成しました。外箱を開封す 2013年度の製品クレーム件数は1,062件と前年度比123件の増加となりました。これは、医 細胞を抑える効能があります。 る方法、外袋と内袋からの取り出し法等、失 療用医薬品およびヘルスケア製品ともに、新たなジャンルでの患者様貢献を企図する製品の この製剤は割れやすいという性質があり、 敗して破損させやすいポイントに対して丁寧 上市が続き、当社として未経験のご指摘や苦情が加わってきたことが要因です。 箱や袋から取り出す時の扱いにより、発売直 に解説をしています。 後から破損のご指摘を多数いただきました。 全社的な苦情削減活動に取り組む前は、未解決な慢性的苦情が存在していました。この慢 性的な苦情の原因の多くは、製造所を出荷した後の輸送、医療機関、患者様の取り扱い時に 起きており、事象の約50%を占めていました。昨年のご指摘を見ると、新たな領域での製品 のご使用時に発生したものが多いことから、これらを慢性化させることなく、製品と情報の 両面から迅速な対応、改善をはかってまいります。 ■苦情件数の推移 (件) 上期 1,600 1,400 1,200 1,000 800 1,178件 538 200 0 1,016件 939件 511 510 484 640 571 506 455 2009 2010 2011 2012 600 400 1,082件 下期 1,062件 539 523 2013 (年度) 28 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために 研究開発 品質保証 エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 製品供給 情報提供 患者様支援グループからのご意見 患者様満足のために 患者様支援グループからのご意見 がん患者が自分らしく自立できる社会の実現をめざして 特定非営利活動法人がんサポートセンター 副理事長 横山 光恒様 岐阜県在住、ソフトウエア開発会社に勤務していた2005年に右腋下の悪性軟 部肉腫と診断される。右腕の切断をすすめられるが温存を選択し、抗がん剤と 手術による10カ月にわたる入院加療を経験する。その後2007年よりがんサポー トセンターの活動に参画する。自身が感じた入院中やその後の孤独感や絶望感、 職場復帰後の再発転移の恐怖、将来に対する不安から、 「心の緩和」 の大切さを 訴える。 がん患者や家族に寄り添い、希望を持って生きることをサポート イコールパートナーとして同じゴールをめざしていく 当法人の活動の柱は大きく3つです。①患 のように不治の病ではなく6割が生還できる 者様とそのご家族やご遺族の心を支える活動 のも事実です。そのためにも早期発見が何よ ②がんの啓発・早期発見に結び付ける検診を り重要なのです。③については、地元のホテ 推奨する活動 ③雇用創出をめざした活動です。 ルなどから求人の話をいただいています。患 岐阜市に拠点を置き、全国の同様のNPO組織 者はフレキシブルな勤務体制であれば、がん などと情報交換等をしながら活動に取り組ん の治療をしながら働くことができます。でき でいます。 る限り多くの企業に理解を求めながら、がん 具体的には、まず①についてはピアサポー 患者の雇用創出に取り組んでいます。 ターの養成とがんサロンの設置が中心です。 私どもの活動に対し、エーザイには様々な 私たちがんサポートセンターのミッション 2人の子どもを抱えていた私が真っ先に抱い ピアサポーターとは、がん患者の方々やご家 ご協力をいただいており非常に感謝していま は、がん患者の方々をはじめそのご家族に たのは、家族への申し訳のない思いでした。 族の悩みや不安などに耳を傾ける傾聴ボラン す。がん患者の苦悩に対する深い理解とがん 寄り添い、希望を持って「生きて活きる」こと 会社を退職に追い込まれたことの理不尽。子 ティアです。悩みを抱えている方々に胸襟を の制圧にかける熱意。がん患者様とそのご家 をサポートすることです。がんの不安や心の どもの成長を見守ってやることのできない痛 開いていただけるよう、養成講座で傾聴のた 族との共体験を通じて同じ目線に立ち、がん 痛みを少しでも軽減し、がんに罹っていても 恨。300日に及んだ入院生活では、抗がん剤 めのトレーニングを実施しており、現在32人 患者にもっとも身近な企業として課題を解決 自分らしく自立した生活ができる社会の実現 治療による嘔吐などに苦しみました。そんな のピアサポーターが活動しています。がんサ していこうとするエーザイ社員一人ひとりの に貢献していくことが願いです。2005年に 時にがん患者の“先輩”に、悩みを聞いてもら ロンは、医療機関や医療支援者のご協力を仰 強い意志と情熱を本当に心強く思います。今 発足し、私が参画したのは2007年のことで うとともに生き方を教えられ、奮い立つ勇気 ぎ、がん患者の方々やご家族が忌憚のない話 後は、 「私たちがどのような情報を提供すると、 す。参画したきっかけは、私自身が9年前の の大切さを改めてかみしめました。私自身の をする場の提供をしています。②については、 がんを克服し得る創薬につながる可能性が広 36歳の時に肉腫と呼ばれる非常に珍しいがん 心のうちを存分に聞いてもらううちに、私と がんに関する正確な知識の普及が中心になり がるのか」、同じゴールをめざすイコールパー に罹ったことにあります。5年生存率はわず 同じように、それ以上にがんで苦しみ困って ます。私自身もそうでしたが、健康に自信の トナーとして、これまで以上に緊密な関係を か20%。最悪の事態を避けられても、右腕を いる人がいることを知り、微力ながら社会に ある人は往々にしてがんを他人事のように考 築いていきたいと思います。 切断せざるを得ない可能性があると医師に聞 恩返しをしたい。そう考えてがんサポートセ えているものです。しかし、日本人の2人に1 かされ愕然としたものです。妻と、まだ幼い ンターに参画したのです。 人はがんに罹るとされます。ただ、がんは昔 29 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 危機管理 グローバルな危機管理に対する取り組み エーザイグループでは、「危機管理委員会」を設け、危機管理に関する基本的な考え方と有事に 対して備えるべき事項を 「ENW*危機管理方針」 として定めています。 これに基づき、有事の際に各人がとるべき行動を示した「緊急時行動マニュアル」や危機対策本 部員による効果的な初動対応法を記載した「危機対策本部マニュアル」などをまとめ、継続的な改 善をはかっています。有事の際にも患者様への貢献活動を途絶えさせないための「ENW事業継続 計画(BCP)」を制定し、グローバルに展開している各事業の継続を確たるものとすべく、様々なプ ランの検討を継続的に行っています。 また、年2回の避難訓練を計画的に実施し、危機対応力の向上に努めています。訓練により見 出された課題は規程・マニュアルに反映し、継続的な改善をはかっています。各拠点におけるリ スク診断や免震・耐震工事等の対応も着実に進めており、ソフト・ハードの両面から危機管理体 制を強化しています。 * ENW (Eisai Network Companies) : 「エーザイ・ネットワーク企業」の略で、対象はエーザイ株式会社および国内外のグループ企業。 有事における効果的な初動対応に向けて 重要業務を継続させるために 医薬品の安定供給や進行中のプロダクトクリエーション(製品創出活動)など、重要業務を継続 するための具体的な行動計画を機能(部門)ごとに策定し、訓練実施による検証と見直しを継続的 に行っています。 ENW事業継続計画 (BCP) 基本方針 1. すべての従業員の安全確保に向けた取り組みを最優先する 2. 地域環境に配慮した災害拡大の防止を徹底する 3. 有事においても途絶えさせてはならない重要業務の中でも患者様貢献活動を最重要と位置 づけ、hhc 活動の継続、早期復旧ができるように努める 4. より確実な事業継続に向け、恒久的な防災対策を講じる 5. すべての従業員を対象とした各種訓練を繰り返し実施することにより、危機意識の醸成をは かるとともに、 「自助(まずは自分の身は自分で守る) ・共助(互いに助け合い、組織的な対 応を実践する) 」を原則とした社員行動を内面化する 海外におけるBCP対応 各リージョン(販売統括地域)が中心となり、それぞれの事業内容や地域特性に沿った危機管理 海外の工場・研究所を含むすべての現地子会社に対し、危機感知情報ルートの整備を含めた危 体制を構築しています。有事における従業員の安全確保を最優先とした 「初動対応」 に関する規程・ 機管理体制の構築を求めています。 マニュアルを策定し、継続的な改善を進めています。 有事の際には、危機情報が現地子会社から本社の危機管理委員会メンバーへ迅速に伝達され、 本社から的確な支援を行う体制づくりをめざしています。 国内のすべての施設が新耐震基準をクリア 従業員の安全確保を最優先とする基本方針に則り、国内すべての施設について新耐震基準をクリ さらに、研究開発活動や医薬品の安定供給を実現するため、グローバルで整合性のあるBCP体 系の構築をめざしています。各社に対して、初動対応から重要業務の継続、復旧にいたる規程・マ ニュアル類の整備とともに、訓練等による見直しを進めています。 アするために、耐震・免震・移転・建替えの選択肢から最適なものを順次実行しました。筑波研究 今後、各子会社では、訓練で生じた結果を規程・マニュアルに反映させる事業継続管理(BCM) 所の7階建て研究棟では、業務を停止することなく建物の地下を深く掘り、免震装置を挿入して免 サイクルの定着、組織体制の変更を速やかに規程に反映させること、それぞれの計画の実効性を 震工事を完了させるなど、全国的にハード面の対応をほぼ完了しました。 高めるべく内容の精査を進めることなどを強化のポイントとしていきます。 30 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 公正で透明な経営をめざして コーポレートガバナンスシステム また、経営の監督と業務執行を明確に分離するため、取締役 会の議長は社外取締役としています。取締役会の議長は、取締 エーザイ株式会社は、 コンプライアンスを経営の根幹に据え、 エーザイグループのコーポレートガバナンスシステムの機軸 役会が株主をはじめとするステークホルダーズのために公正で 適正かつ透明性の高い事業活動を展開するため、常に最良の は、委員会設置会社であることを最大限に活用した経営の監督 適切な判断を行えるよう、議題の選定や年間のテーマ設定を吟 コーポレートガバナンスを追求しています。ステークホルダー 機能と業務執行機能の明確な分離にあります。コーポレートガ 味するとともに、上程する議案について充分な時間をかけてそ ズと長期的な信頼関係を築いていくため、コーポレートガバ バナンスシステムを実効的に支えるのは、11名の取締役の過半 の内容を確認し、事務局を指揮して各取締役に議案の事前説明 ナンスとグローバルな内部統制システムの継続的な充実をは 数を占める独立性・中立性のある社外取締役の存在です。 を行っています。また、取締役会においては、多様なバックグ かり、コンプライアンスが企業存続の基盤であるという認識 取締役会は、業務執行のプロセスや意思決定について株主の ラウンドを持つ取締役から様々な知見に基づく意見を引き出す に立ち、法令と倫理の遵守の徹底を推し進めています。 皆様や社会の視点でその妥当性を点検し、経営の監督を行いま よう議事を運営しています。 す。執行役には、法令の許す範囲で経営の意思決定権限を大幅 に委任して機動的な経営を推進する一方で、委任された執行役 は内部統制を整備・運用して自律性を確保し、経営の活力を増 大させることを企図しています。 ■エーザイのコーポレートガバナンスシステム エーザイグループは、内部統制担当執行役のもと、コーポレー トIA部がエーザイグループの内部監査部門と連携し、内部監 株主総会 査を実施しています。 コーポレートIA部は、hhc 理念およびコンプライアンスに基 取締役会11名(社外7名、社内4名) 議長:社外取締役 業務決定の大幅委任 業務執行の監督 監査委員会監査 監査委員会監査 監査委員会 (5名:社外3名、 社内2名 委員長:社外) 高品質な内部監査の実施 指名委員会 (3名:全員社外) 報酬委員会 (3名:全員社外) 社外取締役独立委員会 (7名:全員社外) づいて業務活動が適正かつ効率的に行われていることを客観的 に評価しています。また、内部監査で発見された課題に対する 改善状況を、継続的に確認しています。 コーポレートIA部は、リスクの重要度を念頭に内部監査計画 取締役会事務局 を策定するとともに、定められた方法に従って監査活動を行う 経営監査部 執行部門 ことにより、内部監査の品質を確保しています。また、社内に 代表執行役CEO おける監査活動の継続的な改善と外部機関による定期的な評価 会計監査人 執行役会 会計監査 内部統制担当執行役 コーポレートIA*部 内部監査 執行役 各部門・国内外子会社 内部統制システムの整備・運用 * IA:Internal Audit (内部監査) により、グローバルスタンダードに対応した高品質な内部監査 の実施に努めています。 31 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 リスク管理推進体制 コンプライアンスの啓発 コンプライアンス・リスク管理推進部は、エーザイグループ ■コンプライアンス・ハンドブック ■コンプライアンス・カウンター を対象に日常的な業務リスク低減に取り組む仕組みとしてCSA エーザイグループは、すべての役員および従業員が同じ基準 コンプライアンス・カウンターは、法律の解釈などコンプラ (Control Self Assessment:統制自己評価)を実施し、リスク で活動できるよう、ビジネスの基本となる 「ENW企業行動憲章」 イアンスに関して判断に迷った場合や、自分自身の行動や上司、 マネジメントサイクル (リスクの識別、評価、対応、モニタリング) や行動に関する一般的な指針を示した「ENW行動指針」を定め 同僚の行動がコンプライアンスに則っているか疑問を感じた場合 の活性化をはかり、 内部統制全般の整備を支援しています。また、 ています。これらをまとめた「コンプライアンス・ハンドブック」 など、社員の身近な社内相談窓口として、2000年4月に開設さ 日本、アメリカス、EMEA (欧州・中東・アフリカ・オセアニア) 、 を日本 語、 英 語、中国 語な れました。個人情報保護、著作権、公務員倫理規程など様々な アジアのリージョンごとにCSAを推進する組織もしくは担当者を ど18カ国語で作成、配布し、 分野の問い合わせに活用されています。また、社内のみならず 設置し、リスク管理の支援を通してグローバルな内部統制整備 コンプライアンス・マインド 弁護士による社外カウンターや社外相談員が運営する社外相談 を推進しています。 の浸透に役立てています。ま 窓口を設置し、コンプライアンスに則った事業活動を推進するた た、部下を指導、監督するマ めの環境を幅広く整備しています。 ネジャーが組織でのコンプラ コンプライアンス推進体制 イアンス活動を実践する際に エーザイグループでは、内部統制を「事業活動を適正かつ効率 役に立つ知識やツールについ 的に遂行するために、社内に構築され運用される体制およびプ て記載した「マネジャーのため ■コンプライアンス・カード ロセス」と捉え、内部統制担当執行役のもとに内部統制の整備を のコンプライアンス・ガイド 「ENWコンプライアンス・テ グローバルに推進しています。 ブック」を全組織長に配布して スト」 のカードをすべての役員お コンプライアンス推進を統括するチーフコンプライアンスオ います。 よび従業員が常に携行し、自分 フィサーが、コンプライアンス・リスク管理推進部を指揮し、世 界の各リージョンに推進担当部署を設置し、エーザイグループの 自身の行動が、家族に胸を張っ コンプライアンス・ハンドブックのトップページ て話せるか、見つからなければ コンプライアンス推進担当者と連携しながら、グローバルなコン 大丈夫と思っていないか、第三 プライアンス活動を推進しています。 者としてニュースで見たらどう また、エーザイグループのコンプライアンス活動は、コンプラ ■研修 思うか、と問いかけ、いつでも イアンス委員会により、定期的にレビューを受けています。コン エーザイグループは、役員をはじめ、部門別、新任組織長、 チェックできるようにしていま プライアンス委員会は、国内外の弁護士やコンサルタント等社 新入社員など対象者を絞った研修やコンプライアンス・e-ラー す。 外専門家からなる諮問委員会であり、客観的なレビューを行うと ニング(インターネットを用いた研修)などを実施しています。 ともに、チーフコンプライアンスオフィサーに適切な助言および また、国内のすべての役員および従業員に対して、週1回、コ 勧告を行っています。 ンプライアンスに関するメールマガジンを発行しています。 携帯用コンプライアンス・カード 32 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 人財育成・活用 エーザイ株式会社では、定款において社員を主要なステークホルダーと位置づけ、安定的な 雇用の確保、やりがいのある仕事の提供、能力開発機会の充実に努めています。hhc 理念を実現 タレントマネジメント する上で、社員は大切な財産であり、社員一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる環境の整 ■ペイフォーパフォーマンス文化の醸成 備をしています。(エーザイ株式会社では人材を「人財」と表現しています。) エーザイ株式会社では、創業精神に謳われる「やれば報われる」というペイフォーパフォーマ ンス思想に基づいた人事制度を運用し、やる気がある社員がいきいきと活躍できる環境を整備 しています。2013年10月に経営職人事制度と賞与支給方式を刷新し、より高い目標に果敢に挑 hhc 理念の実現に向けた人財育成 戦し、困難を乗り越え、突破しようとする社員により報い、社員のさらなる成長を促しています。 エーザイグループは、すべての企業活動の出発点は「患者様とそのご家族の喜怒哀楽」を感じ 取り、共感することであると考えています。業務時間の1%、年間約2日間を患者様と過ごすよ ■グローバルな組織体制 う社員に推奨しているのも、その考えを反映したものです。社員が患者様と時間を共有し、肌 エーザイプロダクトクリエーションシステムズ(EPCS:研究開発部門) 、エーザイデマンド で感じたその“想い”や真のニーズを製品やサービスの質の向上につなげることで、患者様に歓 チェーンシステムズ (EDCS:生産部門) に加え、営業部門においてもグローバルな組織エーザイ・ び、希望、安心をお届けしたいと考えています。そして多様なバックグラウンド(国籍、性別、 グローバル・ビジネス・マトリクス(EGBM)を2014年5月に導入しました。世界で医薬品の同 「患 年齢などの属性)を持った社員がhhc 理念の実現という軸のもと、自らスキルアップに努め、 時開発が進行し、世界の医薬品市場が価格政策や保険償還でつながり、医療行為の標準化や審 者様とそのご家族」のために、何ができるのかを自ら考え、日々の業務の中で実践しています。 査当局の国際連携が進む中、各国の状況を勘案し、統一されたグローバルブランド戦略を展開 その一例が現場体験研修です。介護老人保健施設や知的障がい者施設を訪問し、施設利用者 することを目的としています。このマトリクス体制のもと、人財が国や文化を超えて、適材適 やスタッフの方々に寄り添い、患者様やそのご家族、介護者と共体験する試みです。体験終了 所で活躍することをめざしています。 後には社員同士で対話し、日常業務を振り返りながら新たなhhc 活動の動機付けとしています。 グローバルな組織体制 このほかにも認知症やてんかんの患者様と時間を過ごす機会や、患者会の方々の工場・研究 EPCS EDCS EGBM 患者様の満足 現場体験研修 (介護疑似体験) 患者様の満たされないニーズ 所見学など、hhc 理念の実現に向けて活動する人財 育成の機会を設けています。 33 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 エーザイグループでは、国籍や性別にかかわらず最適な人財が経営に参画しています。米国、 ダイバーシティの推進 欧州、アジアではいずれも管理職の40%以上を女性が占め、また当社では、22人の執行役のう ち外国人6人、女性2人が活躍しています。米国子会社エーザイ・インクでは、2014年4月1日 からプレジデント兼COO(最高業務執行責任者)に女性が就任しました。激しい環境変化の中、 エーザイ・ダイバーシティ宣言 地域や文化の違いを尊重しながら、エーザイグループならではのダイバーシティを推進し、世 エーザイは、企業としての存続を懸けて ダイバーシティの推進をはかっていきます。 界の患者様貢献につなげていきます。 * ダイバーシティ:性別、 国籍、 文化、 地域、 年齢、 学歴、 キャリア、 ライフスタイルなど、 社員一人ひとりの多様な考え方や価値観をビジネスに生かすことをさしています。 ■エーザイ株式会社の女性活躍推進への取り組み 女性のキャリア促進 エーザイグループでは、hhc 理念実現という全社共通の目的のもと、社員一人ひとりの多様な考 え方や価値観を尊重することによりイノベーションを引き起こし、企業理念である患者様貢献をよ 方針 り高い次元で実現していくことが、めざすダイバーシティの姿と考えています。 すべての社員が自らの個性と能力を最大限発揮して活躍できるよう、啓発冊子や社内ウェブサイ トを活用してダイバーシティの理解を共有するとともに、社内事例を紹介することで、多様な価値 ・エーザイ・ダイバーシティ宣言 (2012年10月) ・女性向けの層別キャリア研修実施 ・フレックスタイム制、裁量労働制 (一部) ・新任管理職/組織長を対象に女性のキャリア促進 ・2013年4 月より、 外勤者にも育児・介護短時間勤 のためのマネジメント&リーダーシッププログラム 導入 観を生かす組織風土の醸成に取り組んでいます。新任管理職・組織長研修では、ダイバーシティ の推進を目的とした研修の導入や、女性のキャリア促進を目的とした選抜プログラムを実施してい 仕事と家庭の両立サポート 取り組み ます。また、仕事と家庭の両立支援では、社内のロールモデルを積極的に紹介しています。 ・管理職人事評価項目に “多様性への対応” を導入 ・新入社員の導入研修期間における先輩社員のメン ター制開始 性社員向けに思いやり駐車スペースを整備 ・管理職にも時短勤務を適用 ・女性社員の仕事と家庭の両立のための時間の使 ・ダイバーシティ・イントラネットにて様々な社員を ロールモデルとして定期的に紹介 い方や家事の知恵を集めた 「エーザイ おなご流時 間術」 を電子版PDFにまとめ社員に公表 ・ダイバーシティ委員会 (2012〜2013) ・育児中ならびに復職した女性MR向けSNSを導入 し、両立の悩みや工夫の共有を促進 イントラネット、冊子を活用したダイバーシティの啓発と推進 2012年10月に 「エーザイ・ダイバーシティ宣言」 を 掲げました。 また、四半期ごとにダイバーシティに関する冊子 『PLEDGE』を発行し、社員への啓発ならびにダイ バーシティを受け入れる風土の醸成に努めています。 2013年7月には新たな取り組みとして「ダイバーシ ティ・イントラネット」を開設しました。このサイトで は、仕事と育児を両立させる女性社員を含め、主体 性を持って活躍を続ける社員をロールモデルとして 紹介し、一人ひとりの社員の主体的なキャリア形成 イントラネットのトップページ を支援しています。 務中のフレックスタイム制を導入 ・研究所・工場の社員用駐車場に、主に妊娠中の女 ・女性管理職比率 ・女性社員比率 22.4% (%) 実績 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 2.9 3.0 3.7 4.1 4.6 男性:20.7 年 女性:17.3 年 ・育児休職制度利用者数 女性 77 人 男性 1 人 ・育児休職復職率 98.8% 2010 2011 2012 2013 2014 (年度) (6月現在) ・女性執行役 2 人 冊子『PLEDGE』 ・平均勤続年数男女別 ・女性上席執行役員 1 人 ・女性社外取締役 1 人 ・育児短時間勤務制度利用者数 86 人 ・看護休暇制度利用者数 136人 34 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 グローバルな人財開発 やりがいを持ち、働きがいを感じられる職場づくり エーザイグループでは、hhc 理念をグローバルに実現するため、グローバルリーダーの育成に エーザイ株式会社は、創業以来、社員をもっとも大切な社の資産と位置づけています。 努めています。グローバルにトップ候補者を育成する選抜プログラム「E-GOLD」をはじめ、日 何故なら、社員は自力で社の企業価値を高めることのできる唯一のステークホルダーであり、 本、米国、欧州、アジアでの中堅リーダーを育成するプログラム 「E-elite」 や、日本での若手リー 社員が結果を生み、 その結果が患者様、 株主様、 社員の価値向上につながると考えているからです。 ダー育成プログラム「E-STAR」 、経営学修士(MBA)取得のための留学派遣など、様々な研修プ そのため、社員のモチベーションを高め、社員の活力、意欲を最大化するとともに、社員自身 ログラムを企画・実施しています。これらリーダーシップ開発プログラムの参加者は、すでに が患者様とそのご家族に貢献し、働きながら成長し、さらに高質な患者様貢献を実現していく 800人以上に達し、多くの人財がグローバル機能やリージョンの重要な役割で活躍しています。 職場づくりをめざしています。 2013年度は、国境を越えた人財交流の機会(グローバルモビリティ)を全部門に提供できるよう 環境を整え、業務を通してグローバルビジネスを学ぶ研修プログラム(公募制度と指名制度)を ■変化を見据えた就労環境整備への取り組み 開始しました。 就労環境に関する社会的な要請や社員ニーズは多様であり、かつ時代によって変化していま す。また、急速なグローバル化に加え、競争環境の激化、複雑化により、将来の成長に向けた 課題は年々その難易度を高めています。 ■ グローバルモビリティ参加者の声 このような背景の中、やる気や意欲を持った社員がやりがい、働きがいを実感しながら日々 エーザイ・ジャパン地域包括hhc ユニット 統合マーケティング部 川上勇生 の業務に邁進できるように就労環境を整備していくためには、社員一人ひとりを見つめつつ、 私は2014年3月より11カ月間の予定で米国子会社エーザイ・インクの事業戦略部門にてモビ その時々の社会環境変化や会社が直面する状況を踏まえた上で対応していく必要があります。 リティプログラムに参加しています。 エーザイ株式会社は高年齢者雇用の変遷を捉えて2012年4月に65歳定年制度を導入しました。 現地では、北米、メキシコ、ブラジルなどアメリカス地域の医療制度や製薬産業の最新事例と また、2013年4月からは女性の活躍を推進するための就労環境整備の一環として短時間勤務を 課題などについて実践的に習得しているほか、 「ハラヴェン」や「Belviq」といったグローバル製品 選択した外勤者が希望に応じてフレックスタイム制を選択できるようにしました。 による患者様貢献の実現に向けた戦略立案にも積極的に関わっています。 世界最大市場の米国を中心とする事業戦略、製品戦略を学ぶとともに、 私がこれまで日本で取り組んできたマーケティングに関するノウハウを 現地社員と共有することで新たなビジネスの発想が生まれることも期待 しています。このような国境を越えた知の交流により、入社以来の夢で あるエーザイの医薬品と理念を通じて世界中の患者様・ご家族に貢献す ることを実現していきたいと考えています。 今後も社会的に議論されている労働時間管理のあり方や女性の活躍推進のあり方等、変化を 捉えつつ、よりよい就労環境整備に取り組みます。 35 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 ■エーザイ株式会社の主な福利厚生 2013年度、国内グループ*2では、以下の重点実施事項に取り組みました。 社宅制度 育児支援制度 介護支援制度 休暇制度 財産形成・生活安定 のための制度他 施設 転勤社宅制度 転勤者家族が入居 できる社宅 育児休職制度 育児に専念するた め子どもが 満3歳 に達するまで休職 できる制度 介護休職制度 介護を行う必要の ある社員が一定期 間休職できる制度 リフレッシュ休暇 40歳・50歳で2週 間連続で休暇を取 得できる制度 持ち株会 社員の財産形成お よび生活安定のた めの制度 給食施設 事業所に給食施設 を 設け、 昼食を提 供 ●安全衛生に関する情報の共有化や意見交換を行い、相互にフォローアップし、 活動の質的向上を推進 ●ノウハウや失敗事例とその対策をもとに安全衛生教育・訓練を充実 ●類似の潜在リスク排除による事故再発防止 ●キャンペーンを通じた注意喚起を実施、一人ひとりの意識付けによる事故防止 ●従業員の心身の健康保持・増進 独身寮 35歳までの独身者 が入居できる寮 育児時短勤務制度 育児に専念するた め子どもが 満9歳 に 達した 次 の3月 末日までの 期 間、 短時間勤務ができ る制度 介護短時間勤務 制度 介護を行う必要の ある社員が一定期 間短時間勤務でき る制度 ドナー休暇制度 社員がドナーとなっ た場合、 休暇を取得 できる制度 医務室 財形貯蓄 社員の財産形成お 本 社・研 究 所・工 よび生活安定のた 場 に 医 務 室 完 備 ( 定 期 的に医 師 在 めの制度 勤) 新婚社宅制度 結婚後5年間入居 できる社宅 看護休暇制度 子女の看護などの ため年間5日 (子女 が2人以 上 の 場 合 は 年 間10日 )まで 休暇を取得できる 制度 介護休暇制度 家族の介護のため 年 間5日 ( 家 族 が2 人以上の場合は年 間10日)まで休 暇 を取得できる制度 ボランティア休暇 制度 数日のボランティ ア活動を行った場 合、休暇を取得で きる制度 福祉共済会 給付・貸付・リクリ エーション助成事 業など 保養施設 直営保養所ならび に全国多数の提携 保養施設 ●化学物質管理の強化 *1 Plan (計画) 、Do (実行) 、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを繰り返すことで管理業務を継続的に改善する方法。 *2 エーザイ株式会社および国内グループ企業。 エーザイ・ネットワーク企業 (ENW) 安全衛生方針 安全衛生基本理念 ENWは、 安全・衛生・健康を最優先とし、人間尊重の企業活動を推進します。 安全衛生行動指針 労働安全衛生への取り組み エーザイグループでは、 「安全・衛生・健康を最優先とし、人間尊重の企業活動を推進する」と いう基本理念のもとに「エーザイ・ネットワーク企業(ENW)安全衛生方針」を制定しています。7 項目の行動指針を定めており、この指針に基づき年度ごとの 「安全衛生管理計画」 が策定されます。 近年、労働災害は増加傾向にあり、災害撲滅のためのさらなる質の向上が求められています。 これに対し国内グループ5カ所、海外グループ企業2カ所の生産・研究拠点では、OHSAS18001 認証を取得し、労働安全衛生管理システム構築による活動を推進しています。本管理システム を確実に運用し、PDCA*1サイクルを自主的・継続的に展開することにより、労働安全衛生水準 1. 全ての業務において安全・衛生・健康を最優先し、 継続的に無事故・無災害を追求します。 2. 製品の研究・開発から製造、 流通、 販売、 使用、 廃棄に至る全ての段階において、 安全・衛生・健康の 確保を最優先します。 3. 安全・衛生・健康管理について体制を整備し、 活動を推進します。 4. 安全・衛生・健康に関する法令、 規則を遵守することはもとより、 さらに厳しい自主基準を定めて活動 します。 5. 科学技術の進歩を積極的に採り入れ、 最先端の安全技術を確保します。 6. 全従業員が安全衛生基本理念を共有するとともに、 各職場で求められる専門性強化をはかる教育 の向上をはかっています。全社員が安全衛生基本理念を共有し、 「安全・衛生・健康」を確保す 訓練を計画的かつ継続的に実施します。 る活動を展開する中で、 「誰一人ケガをさせない」 、 「誰一人病気にしない」職場の実現をめざし 7. 安全・衛生・健康に関する方針、 目標、 プログラムおよび実績などの情報を積極的に開示します。 ています。 36 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 社会貢献活動 ヒューマン・ヘルスケア (hhc ) 企業としての社会貢献 エーザイグループでは、患者様に製品を通して貢献することはもちろんのこと、よき企業市民として広く社会の皆様の信頼獲得に努めています。 hhc 企業として、医学の発展に寄与する活動や地域社会との交流など、事業活動を超えてhhc 理念に基づいた様々な社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。 内藤記念くすり博物館 医療功労賞 内藤記念くすり博物館は、創業者の内藤豊次により1971年に創設された日本初の医薬に関 エーザイ株式会社は、困難な環境のもと、地域住民の健康増進のため長年にわたり医療・福祉 する総合的な博物館です。2013年度は、約3万4千人の方々にご来場いただきました。 業務に従事された医療従事者の方々を顕彰する医療功労賞(主催:読売新聞社、後援:厚生労働 当博物館では12万点を超える収蔵資料・図書の中から約2千点を常設展示しているほか、毎 省、日本テレビ放送網) に協賛しています。 年の企画展では、常設展では公開していない資料をテーマに基づいて展示しています。2013 2013年度に表彰された第42回医療功労賞・中央表彰式では、国内部門として、難病患者様 しょう こ かん こん 年度は内藤記念科学振興財団と共催で特別展示「くすりと医療の照古鑒今 〜漢方の源流と医 のケアや在宅医療の向上、 薬の近代化産業遺産〜」を開催し、中国・韓国・日本の書籍を中心に漢方医学の起源をたどる 離島、山間、豪雪地帯な 展示を行いました。併せて、近代医 ど厳しい自然条件との戦 薬の資料展示、サーモグラフィーカ いを強いられる現場にお メラ、内視鏡の模擬操作体験も実施 ける地域医療に長年取り し、薬と医療の歴史の変遷を感じて 組んでこられた方々16人 いただける内容となりました。 の 方 が 受 賞 さ れ ま し た。 また、当博物館は薬用植物園を併 また、海外部門では、日 設しており、600種類の薬草・薬木 本政府が開発途上国で行 を育成し、一般に公開しています。 う災害時援助活動の一環 さらに地域の方々との交流の一環と として予防医学や公衆衛 して、各種講座なども行っています。 生の普及に尽力された医 ● 内藤記念くすり博物館ウェブサイト http://www.eisai.co.jp/museum/ 師の方が受賞されました。 第42回医療功労賞・中央表彰者の方々 ●「第42回医療功労賞」紹介ページ http://www.eisai.co.jp/social/award/award42.html 37 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 危機管理 人財育成・活用 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 コーポレートガバナンスとコンプライアンス 社会貢献活動 エーザイの社会活動 内藤記念科学振興財団 米国のがん克服基金を通して、がん患者様を長期的に支援 内藤記念科学振興財団は、エーザイ株式会社創業者の内藤豊次と当社の寄付をもとに、1969年 米国における独立非営利慈善団体であるエーザイUSA財団は、米国臨床腫瘍学会(ASCO) に設立されました。疾患の予防と治療に関する自然科学の研究を奨励し、学術の振興と人類の の が ん 克 服 基 金(Conquer Cancer Foundation of the American Society of Clinical On- 福祉に寄与することを目的に運営されています。 cology)の活動を支援するため、寄付を行っています。本寄付活動は、2013年5月に契約締結 活動の一環として、毎年第一線で活躍する研究者に対し助成金等を贈呈しています。2013年 されたもので、エーザイUSA財団ががん克服基金に対し2017年までの4年間にわたり、合計 度は、科学振興賞と科学奨励金など総件数267件、総額5億3,215万円の助成金等が贈呈されま 100万米ドルを寄付するというものです。 した。また、国内外の特定研究領域の第一人者が最新の情報を発表する「内藤コンファレンス」 がん克服基金は、がんの予防・治療・治癒を劇的に進歩させることを目的に、ASCOに所属 を毎年開催しています。エーザイ株式会社は、当財団の趣旨に賛同し、継続した寄付と運営へ する世界の著名ながん専門医により設立された団体です。革新性の高い研究に対する助成やが の協力を行っています。 んに関する最先端の知見を国境を越えて患者様・医療従事者と共有する活動を行うとともに、 患者様のQOL (生活の質)や治療へのアクセスの改善、患者様のご家族を含めたすべてのがんに ● 内藤記念科学振興財団ウェブサイト https://www.naito-f.or.jp/ 医療科学研究所 関わる人々のよりよい生活を支援する様々な活動に取り組んでいます。 フィリピンにおける台風被災者支援活動 エーザイ株式会社創業50周年記念事業の一環として1990年に設立された医療科学研究所は、 2013年11月にフィリピン中部を直撃した台風30号は、現地で土砂崩れや洪水など甚大な被害 医療経済研究を中心とした医療に関する学際的研究を眼目とし、若手研究者の支援、研究会・ をもたらしました。この大規模災害の被災者支援に シンポジウムの開催、機関誌『医療と社会』の定期刊行などの活動を行っています。2013年9月 あたり、エーザイ株式会社は約600万円相当の食料 開催のシンポジウムでは、「医療関連データベースの充実と活用−エビデンスに基づく我が国医 や衣料などの支援物資および医薬品を現地医療機関 療の更なる発展に向けて」をテーマに、電子レセプトやDPC*などの医療に関するデータベース に寄付しました。 の最新動向や課題について専門家によるパネルディスカッションが行われました。 支援物資の提供にあたっては、被災地でより迅速 当社は、本研究所の設立趣旨に賛同し、寄付と運営協力を行うことにより、医療社会経済学 に物資をお届けするため、当社現地子会社HI-Eisai の発展に寄与しています。 Pharmaceutical Inc.の社員が特に被害の激しかっ *厚生労働省のDiagnosis Procedure Combination (包括的診療報酬制度)。 DPCでは医療費の支払いにあたり、医療行為ごとに料金を算出する従来の「出来高払い方式」とは異なり、診断分類に基づき 定められた1日あたりの定額の診療点数を適用する。同制度では対象病院での入院診療行為の記録のみならず、入院患者様 の情報(身長や体重、病気の進行度合いなど)もデータベースに反映されるため、医療の効率化や良質化に向けた活用が期待 されている。 たセブ島やレイテ島に設置された避難所を訪問し、 ● 医療科学研究所ウェブサイト http://www.iken.org/ 被災者に直接手渡す取り組みを行いました。 フィリピン・セブ島での被災地にて支援物資を配布するHIEisai Pharmaceutical Inc.の社員。社員自ら食料や石鹸、 衣料、救急セッ トなどを袋詰めし、被災地にお届けしました。 38 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす エーザイグループは、 「エーザイ・ネットワーク企業(ENW) 環境方針」 に基づき地球環境の保護を重視した企業活動を展開しています。 資源投入と環境負荷の定量的な把握により環境負荷低減に努め、環境保全活動をグローバルに推進します。 社会の持続可能性に対し、 環境面から取り組む 企業活動のグローバル化に伴い、地球環境保全の重要性はますます高まっています。エー ザイグループでは、環境方針に基づき地球環境の保護を念頭においたビジネス活動を徹底し ており、環境面からも社会的課題解決に向けた取り組みを推進しています。 2013年度は、低炭素社会形成に向けた省エネルギーや循環型社会形成のための廃棄物削 減を中心に活動を進めました。国内グループでは、中期的なCO2排出量削減計画をスタート させ、初年度の計画を達成しました。また、廃棄物削減の面からは有価売却の促進や発生量 の削減に注力し、いずれも前進が認められました。最終埋立量/廃棄物発生量の比率を1%未 満とする 「ゼロエミッション」 も6期連続で達成しました。 省資源の観点からは、再啓発・教育を交え、グリーン購入を促進しました。医薬品の研究・ 製造に用いる化学物質の使用量削減・適正管理にも注力しました。 さらに、環境関連法規・条例・自治体との協定等を遵守するため、大気、水質、騒音、振動、 エーザイ・ネットワーク企業 (ENW) 環境方針 環境基本理念 ENWは、地球環境の保護を重視した企業活動を行い、環境保全に努めます。 環境行動指針 1. かけがえのない地球環境を守るため、従業員一人ひとりが「自然の尊さ・大切さ」に思いをめ ぐらせ、企業活動を行います。 2. 製品の研究・開発から製造、流通、販売、使用、廃棄に至るすべての段階において、環境保全 を最優先します。 3. 環境管理体制を整備し、環境保全活動を推進します。 4. 環境関連法、規則および協定の遵守はもとより、 さらに厳しい自主基準を定めて活動します。 5. 科学技術の進歩を積極的に採り入れ、最先端の環境負荷低減技術を確保します。 6. すべての企業活動において、省資源・省エネルギー、廃棄物削減および再利用に努めます。 悪臭など幅広い項目で定期調査を行い、適正かつ確実な管理を実行しました。2013年度に 7. 環境に影響を及ぼす化学物質の使用量削減、除去を推進し、環境汚染の未然防止に努めます。 施行された改正水質汚濁防止法への対応も、該当する工場・研究所で進めています。各事業 8. 全従業員が環境基本理念を共有するとともに、各職場で求められる専門性強化をはかる教育 所の自然環境保護には継続的に配慮しており、地域環境との調和を重視した事業活動へとつ なげています。 訓練を計画的かつ継続的に実施します。 9. 環境保全に関する方針、 目標、 プログラムおよび実績などの情報を、積極的に開示します。 39 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 ■2013年度 国内における環境保全活動への取り組みと実績 テーマ 2013年度目標 2013年度実績 評価 関連頁 ・PDCAサイクルの的確な運用 ・ISO14001*1の定期・更新審査 管理システムの充実と円滑な運用 ・EA21*2の中間・更新審査 環境マネジメント の充実 環境教育の計画・実施 2020年度までに2005年度比23%の CO2排出量を削減する 地球温暖化 防止 廃棄物削減 省資源 ○ P42 2013年度の目標は、 CO2排出量:88,555t*4 社内研修:47回、社外研修:12回 ○ P42 ・環境・社会報告書2013の発行 ○ P43 ・地区懇談会 (川島、美里) 、行政委員懇談会 (鹿島) 3 CO2排出量: 92,091t*(前年度比0. 6%減少) 4 CO2排出量:88,321t*(2005年度比3.6%減少) ○ P44 (社有車への導入率74%、私有車への導入率35%) ○ P45 風力発電によるグリーン電力購入 日本自然エネルギー株式会社から100万kWh購入 ○ ー ・廃棄物発生量の削減 ・廃棄物発生量5,140t (前年度比18%減少) ・最終埋立量の削減 ・最終埋立量12t (前年度比29%減少) P46 ・リサイクル量の拡大 ・リサイクル量1,794t (前年度比465t減少) △ 最終埋立量/廃棄物発生量の比率 < 1% ・国内グループ= 0.23% 廃掃法*5に基づく現地確認の実施 グリーン購入促進に向けた啓発・教育 の推進 化学物質管理 廃掃法*5に基づく現地確認を全国100カ所以上で 実施。違法な処理が行われていないことを確認 2013年度実績 評価 関連頁 グリーン購入率 34.5% (前年度比5.7%増加) ○ P45 PRTR対象物質の取扱量、排出量、 ○ P47 移動量把握と適正管理 ジクロロメタン使用量削減 使用量 156t (前年度比61%減) ○ P47 フロンの適正管理 代替フロン、 ノンフロンへの変更と設備の定期点検 ○ P47 大気汚染・ 大気汚染防止法、水質汚濁防止法 定期測定により、大気や水系への汚染物質排出量が 水質汚濁防止 および公害防止協定の遵守 基準値以下であることを確認 ○ P48 定期測定により法令遵守を確認 (騒音、振動、悪臭) ○ P43 各事業所、関連企業ごとに近隣や工業団地内の ○ ー × ー 環境関連法(騒音、振動、悪臭、土壌汚染) 営業用車両へのハイブリッド車導入促進 営業用車両への導入率49% (前年度比7%上昇) (エーザイ株式会社) 2013年度目標 PRTR*6制度対応と対象物質の適正管理 (サンプラネット、エーザイ物流) 環境コミュニケーションの実施 省エネルギー・ (川島、美里、鹿島、サンノーバ、エーディア茨城) テーマ の遵守 地域との関わり合い 清掃を定期的に実施 地域環境の保全 ・樹木の伐採要請 (2件、川島) 日照不足解消のため、 該当樹木を剪定または伐採 近隣住民による苦情ゼロ ・ボイラー設備運転中の騒音 (川島) 安全弁、減圧弁を交換した。安全弁からの ○ P46 ○ P46 排気先も大気中から水中へと変更した *1 *2 *3 *4 *5 *6 ISO14001:国際標準化機構 (International Organization for Standardization) が発行した環境マネジメントに関する国際規格。 EA21 (エコアクション21) :環境省が策定した中小事業者等向けの環境マネジメントシステム。 電気使用に基づく炭素排出係数として2012年度と同じ0.487t-CO2/Mwhを使用。 電気使用に基づく炭素排出係数としてグループ目標の評価に使用する0.458t-CO2/Mwhを使用。 廃掃法: 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の略。 PRTR:Pollutant Release and Transfer Registerの略称。環境リスクのある化学物質がどれくらい環境中に排出され、あるいは 廃棄物中に含まれ事業所外に移動しているかを把握、集計、公表する仕組み 40 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 資源の投入と環境への負荷 環境への負荷 OUTPUT ■国内グループの資源投入と環境負荷 廃棄物 資源の投入 エーザイ株式会社 INPUT 電気(MWh) LPG(t) エーザイ株式会社 エーザイ株式会社 国内グループ企業 合計 110,101 19,909 130,010 96 6 102 都市ガス(千N㎥) 10,235 1,333 11,568 水使用量(千㎥) 国内グループ企業 3,255 上水(千㎥) 工業用水(千㎥) 93 3,992 1,148 5,140 排水量(千㎥) 2,835 69 2,904 合計 リサイクル量(t) 1,462 332 1,794 3,348 最終埋立量(t) 7 5 12 7.6 0.1 7.7 窒素(t) 4.3 0.4 4.7 リン(t) 415 85 500 5 8 12 灯油(kl) 0 61 61 地下水(千㎥) 2,756 0 2,756 軽油(kl) 1 0 1 脱塩水(千㎥) 6 0 6 107 19 126 74 0 74 39,337 0 39,337 温水(GJ) 0 0 0 冷水(GJ) 305 0 305 A重油(kl) 産業用蒸気(GJ) (非届出分を含む) (t) そのほか コピー用紙使用量 (万枚) PRTR 対象物質 総取扱量 中水(再利用水)(千㎥) エーザイ株式会社 国内グループ企業 合計 451 25 477 合計 発生量(t) 水 エネルギー 車両からの排ガス 国内グループ企業 エーザイ株式会社 国内グループ企業 合計 3,048 595 3,643 注1)端数処理のため 「エーザイ株式会社」 と 「国内グループ企業」 の合計値が 「合計」 と合致しない項目があります。 注2)国内グループの国内における医薬品の物流や配送は、エーザイ物流株式会社が担っていますが、同社は主に流通の管理や物流セ ンターの管理を行っており、輸配送はすべて外部の業者に委託しています。 エーザイ物流株式会社所有の業務用車両は輸配送に は一切使用せず、社内用にのみ使用しています。 BOD(t) (生物化学的酸素要求量) エーザイ株式会社 国内グループ企業 合計 営業用車両の CO2(t) 3,772 204 3,976 業務用車両の CO2(t) 29 127 156 間接的な排出(スコープ3*) エーザイ株式会社 国内グループ企業 合計 442 1,546 1,988 0.1 0.1 0.2 通勤に基づく CO2(t) PRTR対象物質 (廃棄物) (t) 210 1 211 出張に基づく CO2(t) 527 217 744 PRTR対象物質 (水域) (t) 0.0 0.0 0.0 廃棄物処理に 基づく CO2(t) 2,211 329 2,540 スコープ1,2に 含まれない燃料 および エネルギー 関連活動(t) 4,444 705 5,149 大気への排出 CO2 (t) (スコープ1,2) SOx (硫黄酸化物) (t) NOx エーザイ株式会社 国内グループ企業 合計 79,197 12,894 92,091 1.3 0.0 1.4 そのほか エーザイ株式会社 (窒素酸化物) (t) 8.6 1.8 10.4 ばいじん(t) 0.5 0.0 0.5 PRTR対象物質 (大気) (t) 17.0 0.1 17.1 容器・包装リサイクル (再商品化義務量) (t) 1,915 国内グループ企業 70 *サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関するガイドラインVer2.1 (環境省・経済産業省) に基づき算出 合計 1,985 41 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 環境コスト 国内グループは、共通の環境コスト調査表を用いて、把握可能な環境保全の投資と費用を集計し、環境保全活動を効率的に推進しています。 環境保全対策に伴う経済効果を把握し、より有用な経営指標となるよう改善していきます。 ■2013年度 環境保全コスト ( 「主な実施事項」 の○は投資を、△は費用を表しています) 大分類 中分類 主な実施事項 対応コスト C 環境管理活動コスト ■環境効率の推移 189 8 ・単位時間あたりの消費電力量 約60%削減 ・消費電力量 14%削減 (前年度比98%) ・CO2排出量90トン削減 ・100万kWh (CO2排出量406トン相当) 0 3,429 10 24 3. 省資源活動 △ 中水設備維持管理 △ グリーン購入 4. 大気汚染防止 ○ ○ △ △ 5. 化学物質管理 △ データベース購入 0 0 6. 廃棄物の削減等の取り組み △ 廃棄物処理委託 0 160 7. 製品設計 B 環境関連法規制 P43 ・環境保全活動の推進 2. 省エネ・地球温暖化防止 0 0 90 1. 廃棄物の法規制対応 ○ 廃棄物置き場改修 △ 廃棄物施設管理* 10 2. 公害防止 ○ ○ △ △ △ △ 13 排水用配管の改修 合成排水用設備更新 排水槽清掃 浄化槽清掃・点検 排水処理施設修理・点検 排水・騒音・振動・悪臭測定 ・大気汚染の防止 6 ○ ○ ○ △ △ 研究用ドラフトへのスクラバー導入 高濃度VOC分解装置導入 ボイラー修理・点検 大気分析 P45 0 △ ISO14001定期・更新審査 A 環境目標達成コスト ・中水(再利用水73.8千m3) ・環境配慮型製品・包材の購入促進 △費用 1. 環境管理体制 空調機更新 LED導入(本社) 空調エリア分割・整備 ハイブリッド車(営業用)導入 グリーン電力購入 環境効率 国 内 グ ル ー プ を 対 象 に、CO2排 出 量、 廃 棄 物 発 生 量、 PRTR取扱量、水使用量、BOD、SOx排出量、NOx排出量 に対する環境効率を求めました。評価年度ごとに環境負荷 量を国内売上高で除した数値を各負荷の効率とし、2008年 度との比較値を下表にまとめました。数値の低下は、環境 面における改善を示しています。また、代表的な指標の推 移を下図に示しました。 (単位:百万円) ○投資 254 主な効果(成果) ・化学物質の適正管理 ・廃棄物発生量 1,149トン減少 ・リサイクル量 465トン減少 ・外部最終埋立量 5トン減少 関連頁 P42 P44-45 ー P46 ー ・関連法規制への対策 ・汚染物質の流出防止 ー 0 0 4. 容器包装リサイクル △ 容器包装リサイクル委託 0 21 ・容器包装リサイクル法への対応 ー 1. A,B以外の環境関連コスト △ 緑化維持管理コスト △ 環境社会報告書の発行 0 122 ・自然と共生した事業活動の推進 ・環境情報の公開 P38 221 4,115 ・土壌・地下水の汚染防止 P43 *減価償却費を含む。 項目 製品以外の副生物の売却額 合成溶媒循環利用による使用量の節減額 (単位:百万円) 内容 再資源化(有償物)により得られた収入額 工程内での廃溶媒の蒸留による再生利用の節減額 合 計 100 90 91 99 113 111 100 76 72 80 77 62 PRTR取扱量 100 64 88 117 85 71 水使用量 100 96 77 93 103 110 BOD 100 113 88 89 76 58 SOx排出量 100 88 86 62 67 58 NOx排出量 100 87 84 53 66 73 ■代表的な指標の推移 △ A重油漏出検査費 ■環境保全対策に伴う経済効果 CO2 排出量 廃棄物発生量 P43 3. 土壌対策 合 計 指標項目 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 金額 14 7 22 集計範囲:国内グループ 対象期間:2013年4月1日~2014年3月31日 注1) 金額は10万円単位を四捨五入しています。 注2) 人件費については、 2004年度より委託業者分のみを計上しています。 CO2 排出量 廃棄物発生量 PRTR 取扱量 水使用量 140 140 120 120 100 100 80 80 60 60 40 0 20 0 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度) CO2 水使用量 2008 42 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 環境マネジメント 環境マネジメント推進体制 環境教育 エーザイ株式会社は、全社環境安全委員会を設置し、環境に関連した重要事項の審議・決定 地球環境との調和をめざした環境保全活動を推進するためには、全社員が課題を認識し、そ を行っています。また、活動方針や活動事例の共有化をはかるため、国内グループの環境活動 の課題解決に向けた個々の意識を高め、日常業務と環境問題との関連を正しく理解していくこ を推進する協議機関として国内ENW環境安全協議会を設けています。さらに、各種専門委員 とが重要です。全社的な教育研修に加え、国内グループの各事業所・企業単位で自主的な教育 会を定期的に開催し、実務者レベルで議論を深め、国内グループの課題やその解決法・施策に 計画を立て、それぞれの事業特性・課題に沿った教育を実施しています。また、教育研修にお ついて検討しています。 いては、全従業員向けの教育に加え、新入社員、転入者、経営職から短期雇用者にいたるまで、 国内グループ各事業所では、環境関連会議を定期的に開催し、主体的な管理・運営を推 様々な階層を対象とした教育が用意され、環境保全活動に関する意識と理解のさらなる充実が 進しています。各事業所とも独自の管理システムを構築し、国内主要生産拠点においては はかられています。また、社内外の専門講習への参加も積極的に進めており、環境教育担当者 ISO14001を認証取得、株式会社サンプラネットやエーザイ物流株式会社ではEA21を認証取 や公的資格者の育成、レベル向上をはかっています。2013年度は、国内グループ全体で59回 得するなど、PDCAサイクルによる継続的な改善をはかっています。 の環境教育研修を行いました。 ■2013年度 環境マネジメント推進体制 総務・環境安全担当執行役 エーザイ株式会社 事業所・本社ビル群*1・ コミュニケーションオフィス*2 全社環境安全委員会 内部監査 環境関連会議 専門委員会 省エネ検討会 ● 廃棄物検討会 総務・環境安全部 国内ENW環境安全協議会 監査専門組織による環境関連の内部監査を実施しています。監査対象は、国内外のグループ 企業にも及び、より独立した立場から客観的な監査に努めています。2013年度の監査結果と ● して、緊急かつ重大な課題はありませんでした。 国内グループ企業 環境関連会議 一方、国内グループ各事業所では、事業所長による点検巡視を定期的に実施しています。 ISO14001やEA21を認証取得している事業所においては、年一回、外部審査を受け環境マネ 海外グループ企業 *1 エーザイ株式会社の本社機能を担うビル群 *2 エーザイ株式会社の国内営業拠点65カ所 ジメントシステムの有効性を確認しています。2013年度、外部審査機関による重大な指摘事 項はありませんでした。 これら認証を取得している事業所では、所内で自主内部監査員を養成しており、研修による レベルアップをはかっています。自主内部監査員により、毎年、行われる自主内部監査の結果 は環境マネジメントシステムの継続的改善に反映され、環境保全活動の質的向上につなげてい ます。 43 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 環境リスク対応 環境コミュニケーション 国内グループにおいて、環境事故への対応 それらを対象とした緊急事態訓練を定期的に 事業活動を進めていく上で、地域社会との 者との意見交換を行い、エーザイグループへ 方法は「災害・事故対応マニュアル」および「労 行って非常事態に備えています。 2013年度は、 相互理解・協調は大変重要です。そのため美 のご意見・ご要望をお聞きしました。 働災害・事故発生報告および集計基準」にま 以下の想定に基づく訓練を実施しました。 里工場や川島工園では、地域社会との情報共 川島工園でも同様に地区懇談会を開催し、 とめられています。正確な情報収集と迅速か 有やコミュニケーションの場として地区懇談 10名の方に出席いただきました。 つ適切な対応により環境事故による被害を最 会を開催しています。生産活動や環境保全活 地域社会とのさらなる協調・共存をはかる 動の取り組みを紹介するとともに、製造施設 ため、地区懇談会や工場見学などを通した地 や環境施設を見学いただき、工場への意見や 域の方々との交流を今後も積極的に進めてい 要望を直接お伺いしています。美里工場では きます。 小限にくい止めるとともに、再発防止に努め ています。 特に環境に著しい影響を与える事態として、 工場・研究所における排水、排ガス、廃液等 からの有害化学物質漏洩などが想定されます。 ● 原薬または、製剤製造時の有機溶剤等の漏洩 ● 原薬製造時の合成排水の漏洩 ● 排水処理設備の動作不良に基づく 汚水処理異常 ● ボイラーの燃焼装置異常による 大気汚染物質の放出 2001年から、川島工園では2008年から毎年 実施しており、近隣地区代表の皆様や行政担 当者の皆様に参加いただいています。 2013年12月に美里工場で開催した地区懇 法令の遵守 談会では、近隣地区代表者10名の方に参加い 国内グループの各事業所・各企業は、環境 工場・研究所における騒音・振動・悪臭に関 ただきました。美里工場の省エネルギーへの 関連法規・条例・自治体との協定等の遵守に する定期測定も実施しており、いずれも規制 取り組みの紹介後に、エネルギーセンターを 努めています。特に工場・研究所では、大気 値以下であることを確認しました。さらに、 見学いただき、美里工場の環境保全への取り 汚染・水質汚濁の原因物質の環境負荷量を定 環境関連の各種届出も遅滞なく当局へ提出し 組みをご理解いただきました。その後、参加 期的に測定しており、問題がないことを確認 ています。2013年度、 環境に関する行政処分、 しています。また、近隣環境保護の観点から、 訴訟等はありませんでした。 川島地区懇談会 環境事故報告 ■2013年度 環境リスクに関する事例と対策 環境リスク 事業所名 内容 対応 漏洩 筑波研究所 合成研究棟地下1階の冷 凍機より冷媒用フロンが 漏洩 漏洩箇所を特定し、部品交換を行った。点検 頻度を上げ、再発防止と早期発見に取り組ん だ。事故報告を茨城県へ提出した。 44 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 低炭素社会形成への取り組み 2013年度CO2排出量実績 低炭素社会形成に向けて ■各拠点別CO2排出量* の推移 国内グループでは、気候変動問題解決に向 (単位:t) 1 け低炭素社会形成への取り組みを進めていま 2009 す。新たな目標として「2020年度までに国内 2010 0 2011 5,000 2012 2013 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 エーザイ株式会社 川島工園 グループとして、2005年度比23%のCO2排 27,092 美里工場 ( 本庄を含む ) 出量を削減する」という独自の中期計画を策 20,231 鹿島事業所 定し、 2013年度より取り組みを開始しました。 7,746 筑波研究所 エーザイ株式会社の工場・研究所では、日本 20,549 本社ビル群 製薬団体連合会の低炭素社会実行計画にも参 1,863 コミュニケーション オフィス 加しており、国内グループ一丸となってCO2 1,717 サンノーバ (株) 国内グループが策定した中期計画では、日 8,260 (株)サンプラネット 本製薬団体連合会の低炭素社会実行計画と同 539 スケール拡大 200 エーザイ物流(株) 様、2020年度に電気使用に基づく炭素排出 2,269 0 エーザイ生科研(株) 係数が0.33t-CO2/MWhへと改善することを 400 表に示す炭素排出係数を用いて行います。下 エルメッドエーザイ(株) 表の係数を用いて2013年度のCO2排出量を エーザイ・フードケミカル(株) 求めた場合、88,321トンとなり計画比99.7% エーディア (株) 在の半分にできるなど大きな省エネルギー効 この数値は、電気使用に基づく炭素排出係数 果が見込まれています。気化式加湿空調機の として2012年度の係数を使用して求めたも 導入と合わせ2014度以降の省エネルギーに のです。今夏には電気事業連合会より正式な エーザイ株式会社 つなげていきます。また、蒸気ロスの改善や 係数が通知され、排出量が確定されますが、 川島工場 設備運用法の見直し、年度を通しての節電な 今日のエネルギー供給事情より係数上昇に伴 ど地道な省エネルギー活動も国内各事業所で 美里工場 う排出量増加が予想されます。また、2013 継続しました。一方、国内グループ企業では、 年度の国内グループエネルギー使用実績は、 鹿島事業所 エーザイ物流株式会社やエルメッドエーザイ 電 気 使 用 量 が3.5 % 増、 都 市 ガ ス 使 用 量 が 株式会社において業容が拡大しており、年間 筑波研究所 本社ビル群 海外グループ企業の工場・研究所に由来す 室へ気化式加湿空調機や低風量ドラフトを導 コミュニケーション るCO2排出量は、総計67,176トン、前年度比 オフィス ■国内グループのCO2排出量*1 100,000 105 63 91,797 79,470 80,000 148 国内グループ企業 92,692 92,091 82,082 30,000 40,000 40,000 年度 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 係数 (t-CO2/MWh) 0.458 0.440 0.421 0.403 0.385 0.367 0.348 0.330 計画排出量 (t) 88,555 86,591 83,081 79,997 78,034 75,985 73,643 71,008 6128 65,646 エーザイ株式会社 51,604 1188 1016 国内グループ企業 サンノーバ(株) 6086 67,176 国内グループの CO2排出量削減目標 (株)サンプラネット 88,125 10,744 76,921 75,293 77,472 71,037エーザイ物流(株) 9,473 9,552 10,545 9,302 660 スケール 1203 0 2 エーザイ生科研(株) 7,082 2008∼2012 年度のCO 2 排 出量平均値を 1 9 9カン研究所 0年度レ (株) ベルにする 20,000 20,000 44,575 77,381 67,448 65,741 66,927 61,735 20,000 0 100,000 60,000 64,977 40,000 60,000 51,658 813 ■ CO2中期削減計画における電気使用に伴う炭素排出係数 71,587 (CO2/t) 70,000(CO2/t) 80,000 50,000 60,000 注) エーザイ生科研 (株) は、 他社への譲渡により 2013年8月30日 付けでグループ外企業となりました。 100 国内グループ企業 ■海外事業所のCO2排出量*2,3 エーザイ株式会社 91,611 5000 ( 本庄を含む ) 国内事業所では、筑波研究所の化学系実験 (t) 0 電気使用量が上昇しました。 (t) 1,000 800 591 前提にしています。各年度の目標評価は、下 と目標を達成しました。 600 106 (株)カン研究所 ブラッコ・エーザイ(株) 入しました。低風量ドラフトでは、風量を現 92,091トン、前年度比99.4%となりました。 10.3%減となりました。 国内グループ企業 排出量削減に計画的に取り組んでいます。 2013年度、国内グループのCO2排出量は 10,000 2005 2009 2010 2011 2012 2013 (年度) *1 2012年度のデータは、下記排出係数の確定により昨年度 報告の数値から変更しました。 2012年度排出係数=0.487 t-CO2/MWh 0 0 エーザイマシナリー(株) 1990 2009 2007 2008 2009 2010 2010 2011 2012 2011 2013 (年度) ブラッコ・エーザイ(株) (年度) *2 集計範囲にモルフォテック・インクおよびH3バイオメディシン・イン クを加え、 数値を見直しました。 エルメッドエーザイ(株) *3 電気使用に基づく炭素排出係数は、下記出典の数値を使用し ました。 エーザイフードケミカル(株) IEA:CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION Highlights (2013) (株)パルマビーズ研究所 エーディア(株) (旧三光純薬) 55 64 85 30 15 45 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 93.8%となりました。海外における工場・研 より一層省エネルギーを進め、CO2排出量削 究所数や生産量が年々増加しており、昨年度 減に努めていきます。 エーザイ株式会社では、CO2排出量削減の までCO2排出量も増加傾向にありました。今 年度は、中途売却した台南工場由来の排出量 が半減、またノースカロライナ工場でも新規 設備の利用や設備運用法の改善により排出量 が20%削減されるなど、海外事業所からの排 ■エーザイグループのCO2排出量*4 (CO2/t) 150,000 取り組みを営業段階においても行っています。 国内グループ 200,000 出量が減少に転じました。 2013年度、エーザイグループ全体のCO2排 147,059 157,443 164,279 海外事業所 159,267 131,074 に上ります。今後、グローバルな事業の進展 により海外生産量が増加した場合、海外にお けるCO2排出量が再び増加に転じ、グループ 全体の排出量増加が予想されます。国内外で (CO /t) エーザイ株式会社 国内グループ企業 特に、国内営業用車両ではハイブリッド車へ 91,797 91,611 91,311 の切り替えを進めており、2013年度におけ 81,175 79,470 82,182 80,000 る導入率は49%にまで高まっています。ここ 60,000 推移しており、CO2排出量削減に対して一定 100,000 の効果が認められています。今後も燃費性能 40,000 50,000 の高い車両への移行を継続し、CO2排出量削 20,000 0 2010 2011 2012 2013 (年度) *4 国内グループと海外事業所の排出量を合算し、エーザイグルー プの排出量としました。 オフィスにおける取り組み (CO2/t) (%) CO2排出量 4,500 0 2005 2008 2009 グリーン購入の促進 4,000 ハイブリッド化率 2010 2011 49 4,080 3,862 42 3,500 60 3,772 50 40 30 33 3,000 20 2,500 2,000 減に努めてまいります。 2009 ■営業用車両からのCO2 排出量 2 100,000 3年間の国内営業用車両台数はほぼ横ばいで 出量は、159,267トン、前年度比96.9%とな りました。海外事業所の排出量割合は42.2% 営業用車両における取り組み 10 2011 2012 0 2013 (年度) 2012 (年度) 今日の環境問題を解決するためには、大量 2013年度は、社員への教育、意識啓発を 生産、大量消費からの脱却が必要と考えられ 促しました。その結果、グリーン購入率は、 ています。そのため国内グループでは、必要 34.5%と前年度比5.7%上昇につながりました。 国内グループでは、夏季・冬季のキャンペー 注力しました。その結果、エーザイ株式会社 な物を必要なだけ購入するグリーン購入を促進 今後ともグリーン購入を積極的に推進してい ン期間のみならず、通年で節電を進めていま の本社・営業部門における2013年度CO2排出 しています。 きます。 す。管理・営業などオフィス系職場において 量は、3,580トン、前年度比99.1%となりま 環境配慮型商品には、省資源と同時に省エ も空調の温度設定管理や不要時の消灯、長時 した。今年度、エーザイ株式会社の本社ビル ネルギーにつながる商品が多く、社員一人ひ 間離席時の電源オフなど節電に注力していま 群では、空調機更新や自社ビルへのLED導入 とりが日常的に関わる取り組みとしてグリーン す。また、大きなビルではデマンドコントロー なども行っており、2014年度以降の省エネ 購入を推進しています。特にエーザイ株式会社 ラーの設置によるピーク電力管理も行ってい ルギーにつなげていきます。 では、グリーン購入ネットワーク*5への参加と ます。定期的な省エネパトロールや節電実績 ともに独自のグリーン購入ガイドラインを定め の見える化なども交え、社員の意識喚起にも て活動を進めています。 *5 グリーン購入の主旨に賛同する企業、行政、消費者 (団体) から成る組織体 46 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 循環型社会形成への取り組み 15000 15000 12000 2013年度廃棄物削減実績 12000 9000 国内グループでは、ゼロエミッションの維持 9000 2013年度の国内グループにおける廃棄物発 を前提に「廃棄物発生量の削減、リサイクル率 6000 2年連続の比率低下とともに6年連続でゼロエ ぼ前年度と同水準になりました。これら数値 ミッションを継続する結果となりました。 は、リサイクル活動が積極的に行われているこ 一方、リサイクル率は34.9%と前年度比1.0% とを示しており、より一層の進展をはかってい 低下しました。しかし、古紙類の有価売却な きたいと考えています。循環型社会形成に向け、 の向上、最終埋立量の削減」を毎年継続すると で大きく減少しました。医薬品生産量の減少に どを推進した結果、有価物を含むリサイクル量 今後も廃棄物削減の取り組みを推進します。 3000 いう新たな計画を2011年度よりスタートさせま 3000 伴い汚泥や廃アルカリの廃棄量が大幅に低下し の廃棄物等発生量に対する比率は50.0%とほ した。毎年、各事業所、各グループ企業ごとに 0 ました。最終埋立量も12トン、前年度比71%と 0 ます。 発生量の比率は0.23%と前年度比0.03%低下し、 ■廃棄物発生量および最終埋立量/廃棄物発生量の推移 ■最終埋立量およびリサイクル量の推移 生量は、5,140トン、前年度比81.7%と2年連続 6000 数値目標を設定し、廃棄物削減に取り組んでい 2年連続で減少しました。最終埋立量/廃棄物 廃棄物発生量 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 最終埋立量/廃棄物発生量の比率 (t) (%) 9,000 6,785 6,558 6,288 6,000 3,000 0 0.23 2009 0.44 0.35 2010 1.5 7,412 2011 1.0 5,140 0.5 0.26 0.23 23 33 17 12 リサイクル量 (t) 2,768 2,841 2,518 2,259 1,794 4,671 4,783 4,825 4,079 3,341 40.8 43.3 34.0 35.9 34.9 53.8 56.3 49.6 50.3 50.0 リサイクル量 (t) (有価物を含む) リサイクル率 (%) リサイクル率 (%) 0.0 2013(年度) 2012 16 最終埋立量 (t) (有価物を含む) 注) 再集計により2010〜2012年度のデータを修正しました。 資源循環の取り組み 循環型社会を形成するためには、廃棄物の 方を工夫して発生量を削減するとともに古紙 発生を抑制するとともに、金属、ガラス、廃 類の有価売却も進めています。 油、紙類などの再利用やリサイクル化を推進 2013年度、エーザイ株式会社のコピー用 することが不可欠です。この観点から、機器 紙使用量は、前年度比3.3%減少しました。 類の再利用を目的とした有価売却や、鉄くず、 古紙類の有価売却も国内事業所および本社に ガラスびん、廃油等のリサイクル化処理を積 おいて実現しました。さらに、原薬の化学合 極的に進めています。また、紙類廃棄物量を 成等に用いる有機溶媒のリサイクル利用や、 削減するため、会議の進め方やコピーの取り 助燃材としての有価売却も行っています。 廃棄物処理委託先の現地確認調査 1.0 0.8 0.6 0.4 ■廃棄物発生量の推移 (単位:t) 2009 年度 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 汚泥 2,874 廃油 1,408 3,003 3,249 3,143 2,523 1,244 1,308 850 廃酸・廃アルカリ 764 678 464 1,168 619 廃プラスチック 327 769 724 594 540 491 金属くず 26 62 50 29 37 ガラス・陶磁器くず 48 35 106 59 78 その他の産業廃棄物 110 106 105 82 71 一般廃棄物 廃棄物発生量 872 930 832 966 849 6,785 6,568 7,412 6,288 5,140 有価売却量 1,903 1,942 2,308 1,820 1,547 廃棄物等発生量 8,688 8,510 9,720 8,108 6,687 0.2 国内グループでは、廃棄物処理委託先の現 実施しました。その結果、適正な廃棄物処理 地確認調査を定期的に実施しています。排出 が行われていることを確認しました。 0.0 した廃棄物の適正処理を確認するため、収集・ また、新規契約の場合には、現地確認を含 運搬、中間処理業者を対象に年1回、最終処 む入念な調査を行っています。特にエーザイ株 分業者に対しては3年に1回の割合で実施して 式会社の新規契約では、全社環境安全委員会 います。2013年度は、全国各地において国内 での審議・決裁を経て、優良産廃処理業者を グループ総計で100件以上の現地確認調査を 中心に契約を締結しています。 47 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 化学物質管理 PRTR*対象物質の管理 ます。指定の取扱量を超えたPRTR対象物質に 医薬品の研究開発や生産活動に用いる化学 おり、ジクロロメタン使用量は前年度比229トン減と大幅に低 ■ジクロロメタン使用量の推移 下しています。一方で、ビタミンEの製造に用いるトルエン、イ 1,000 ソフィトールの取扱量は、前年度比27トン、18トンそれぞれ増 (t) 物質中には、環境への影響が懸念されるPRTR 関しては、所在の都道府県へ遅滞なく届け出 加しました。届出物質数は、12物質と前年度から1物質減少し 対象物質が含まれており、取扱量、環境への を行っています。 ました。 排出量、廃棄物への移動量把握による適正管 医薬品の場合、化学物質使用量は生産量に ジクロロメタンやトルエンは、リサイクル利用や有価売却 400 理が求められています。そのため、国内グルー 大きく依存します。また、商業生産の段階で を行っています。また、大気中への排出も最小限にとどめて 200 プでは独自の試薬管理システムにより試薬類の は原薬の品質維持のため製造条件の変更は容 います。ヘキサンに関しても代替物質のヘプタン利用を促進 利用状況を把握するとともに、PRTR対象物質 易ではありません。そこで、化学物質使用量 するなど環境リスクの低減に努めています。 の使用量削減、環境への排出抑制に努めてい 削減に向け、研究開発段階より代替溶媒の利 用や、使用物質量を削減した合成方法の ■PRTR対象物質の使用実績 (t) 1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 取扱量 排出量 移動量 開発に積極的に取り組んでいます。 885 656 566 469 326 196 12 18 2009 2010 263 477 210 211 35 17 2011 2012 2013 物質名 0 2009 2010 2011 2012 2013 (年度) 注) 使用量には再利用分も含みます。 フロンの管理 割合は低いものの、指定フロンから代替フロン でに全世界で生産中止となっており、大気中の への切り替えは着実に進行している結果となり り、前年度比84%と2年連続して減少しま 濃度も頭打ちから減少に転じています。また、 ました。 した。揮発性の高いジクロロメタンを使 オゾン層破壊作用がより小さい指定フロンも生 代替フロンには、オゾン層破壊作用はありま (年度) 排出量 大気へ 156 108 PRTR対象物質総取扱量は、477トンであ (単位:t) 事業所 取扱量 385 365 オゾン層破壊作用の大きい特定フロンは、す ■2013年度 PRTR届出物質の排出・移動量 届出 号番号 事業所数 600 2013年 度 の 国 内 グ ル ープ に お け る 用する製品の生産量も引き続き減少して 70 818 800 移動量 水域へ 廃棄物として 下水へ 亜鉛の水溶性化合物 1 2 22.376 0.000 0.0479 0.065 0.000 アクリルアミド 2 1 1.862 0.000 0.000 0.000 0.000 アセトニトリル 13 3 17.829 0.104 0.000 17.724 0.000 エチルベンゼン 53 1 6.109 0.000 0.000 2.369 0.000 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 186 1 88.152 12.762 0.000 15.568 0.000 N,N- ジメチルホルムアミド 232 1 3.159 0.000 0.000 3.159 0.000 イソフィトール 269 1 144.210 0.000 0.000 0.000 0.000 銅水溶性塩(錯塩を除く) 272 1 1.626 0.000 0.001 0.000 0.000 トルエン 300 2 90.648 3.092 0.000 85.156 0.000 ヘキサン 392 1 81.794 0.744 0.000 81.051 0.000 ホルムアルデヒド 411 1 1.260 0.079 0.000 0.347 0.000 マンガンおよびその化合物 412 1 9.942 0.000 0.000 0.002 0.000 * PRTR:Pollutant Release and Transfer Registerの略称。環境リスクのある化学物質がどれくらい環境中に排出され、あるいは 廃棄物中に含まれ事業所外に移動しているかを把握、集計、公表する仕組み 産規制が実施されています。国内グループでは、 せんが強力な温室効果作用があります。そのた 設備の廃止や更新を計画的に行い、オゾン層破 め、厳格な定期点検により漏洩事故を防止する 壊作用のない代替フロンやノンフロンへの移行 と同時に、万一漏洩事故が起きた場合には、事 を進めています。 故情報の即時共 ■フロン使用量の推移 (t) (t) 2013年度に行ったエーザイ株式会社国内事 1,000 有・再発防止に 業所のフロン使用量の調査結果を右図に示し 818 努めています。さ 25 ます。全使用量は2011年度の32.9トンから33.5 615 らに設備廃棄時 20 800 600 トンとほぼ横ばいに推移しています。特定フロ に は、フロン 回 385 400 365 収・破壊法に従 ンの使用は、全体の1.5%となりました。指定 フロンの使用量は9.6トンから9.1トンへと5.2% 200 減少、代替フロン使用量は22.8トンから23.8ト 0 いきちんと処 理 108 を行っています。 2008 2009 2010 ンへと4.4%増加しています。ノンフロンの使用 2011 2012 (年度) 30 ■2009年度 ■2011年度 ■2013年度 20 10.8 9.6 15 9.1 10 0 25 20.8 15 5 30 23.8 22.8 0.5 0.6 0.5 特定フロン 10 0.002 0.002 0.001 指定フロン 代替フロン ノンフロン フロンの種類 5 0 1.7 15.4 2.5 14.4 2.0 10.4 NOx エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 8.6 患者様満足のために 1.8 エーザイの経営と社会活動 ■スケール拡大 1.0 0 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 0.9 0 ■大気汚染物質排出量の推移(年度) 2010 5 2012 2013 10 15 20 2009 2 ■2013年度 工場・研究所の大気汚染物質排出量 2010 2011 2012 0 3 6 9 9.4 2.3 0 BOD 2.3 0 1.8 0 12 15(t) 0.5 9.4 0.3 9.4 0.3 分類 エーザイ 株式会社 7.6 0.1 2.5 2.0 10.4 NOx 5.7 1.7 15.4 14.4 窒素 2.0 9.8 8.6 0.7 4.5 0.7 リン 0.7 0 0.5 0 0 2 2010 0 4 2011 2012 2013 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 3 0.4 6 9 9.4 BOD 6.4 12 0.5 9.4 0.3 9.4 0.3 0.5 7.6 0.1 15(t) NOx ばいじん (kg) (kg) 川島工園 969 5,013 314 美里工場 − − − 本庄事業所 − − − 鹿島事業所 − − − 筑波研究所 371 3,600 216 サンノーバ(株) − − 1,732 エーディア(株) 茨城事業所 46 72 6 ■2013年度 工場・研究所の排出負荷 0.2 0.9 0 SOx (kg) −:未測定 ■スケール拡大 0.9 0 事業所名・企業名 0.3 4.3 1.0 0 ばいじん 国内 グループ企業 1.0 4.5 4.1 1.8 ■スケール拡大 0 2013 0.5 6.4 1.3 0 2009 4 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 25(t) 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 0.5 0 0 2.9 0 SOx 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ ■排水負荷の推移(年度) 2011 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■エーザイ株式会社 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 ■国内グループ企業 0 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 0.7 0 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 2009 エーザイの環境活動 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 0.9 0 ばいじん エーザイの環境活動 48 2.0 9.8 0.2 0.1 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 分類 0.4 0.5 1 エーザイ 株式会社 国内 グループ企業 事業所名・ 企業名 BOD (kg) 窒素 (kg) リン (kg) 川島工園 3,700.7 3,086.8 54.6 美里工場 243.7 1,188.3 62.7 本庄事業所 420.7 74.0 20.8 鹿島事業所 405.3 − − 筑波研究所 2,845.4 − − エーザイ生科研(株) 熊本事業所 23.7 182.6 38.9 サンノーバ(株) 63.7 156.9 18.1 エーディア(株) 茨城事業所 8.0 27.4 0.7 −:未測定 49 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 資源投入・環境負荷データ (海外) ■ノースカロライナ工場 (米国) エネルギー使用量 電気(MWh) ■ボゴール工場(インドネシア) 2011 2012 2013 26,492 27,229 20,035 天然ガス(deca-therm*1) 154,460 155,531 140,759 軽油(kℓ) 10 10 10 廃棄物処理実績 発生量(USt*2) リサイクル量(USt) 404 179 366 160 最終埋立量(USt) 176 193 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量(千m3) 200 154 BOD(kg) 4,476 窒素(kg) リン(kg) SOx(kg) NOx(kg) ばいじん(kg) 120 8,540 630 3,992 802 120 8,520 620 237 53 143 201 2,780 3,399 682 110 7,570 540 電気(MWh) 液化天然ガス(t) 産業用蒸気(t) 廃棄物処理実績 発生量(t) リサイクル量(t) 焼却処理量(t) 2011 8,215 722 8,869 133 106 26 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量(千m3) 70 2012 8,732 681 8,824 2013 9,327 857 9,108 186 146 40 131 105 27 57 51 ■台南工場 (台湾) エネルギー使用量 電気(MWh) A重油(kℓ) LPG(t) 廃棄物処理実績 発生量(t) リサイクル量(t) 最終埋立量(t) 窒素 (kg) リン (kg) ■エーザイ・ナレッジセンター・インド (インド) 2012 2013 1,974 1 1,423 5 1,503 3 21 21 0 20 20 0 17 17 0 9 4.3 7 4.1 1 1 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量 (千m3) 5 BOD (kg) 6.0 3.1 – 4.5 – 1 6.0 – ■アンドーバー研究所 (米国) 2012 電気(MWh) 2,627 2,896 温水(GJ) 36 38 冷水(GJ) 223 224 廃棄物処理実績 発生量(t) 29 23 リサイクル量(t) 18 12 最終埋立量(t) 0 0 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量(千m3) 8 10 2013 1,483 35 207 16 8 0 5 電気(MWh) A重油(kℓ) 軽油(kℓ) 廃棄物処理実績 発生量(t) リサイクル量(kℓ) 焼却処理量(t) 2012 10,316 663 8,650 435 9,922 0 123 89 34 225 184 41 196 133 64 135 637 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量 (千m3) 98 84 SOx (kg) 6,358 7,574 NOx (kg) ばいじん (kg) 2013 4,509 2,648 5,939 3,125 726 99 6,381 7,196 4,302 廃棄物処理実績 発生量(USt) リサイクル量(USt) 焼却処理量(USt) ■モルフォテック・インク (米国) 2011 2012 2013 14,400 2,164 6 14,600 2,305 6 13,800 2,417 5 210 32 178 224 58 166 203 35 168 53 50 4,230 290 4,290 300 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量 (千m3) SOx (kg) NOx (kg) ばいじん (kg) 40 4,310 290 40 50 エネルギー使用量 電気(MWh) (千m3) 天然ガス 2011 7,273 935 A重油(kℓ) 0 廃棄物処理実績 発生量(t) 315 リサイクル量(t) 94 最終埋立量(t) 36 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量 (千m3) 23 2012 2013 6,955 979 0 エネルギー使用量 電気(MWh) 天然ガス(deca-therm) 軽油(kℓ) 廃棄物処理実績 発生量(USt) リサイクル量(USt) 2011 2012 2013 4,073 18,927 5 9,235 52,431 33 8,739 61,062 4 79 158 183 25 53 最終埋立量(USt) 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量 (千m3) 12 BOD (kg) 窒素 (kg) リン (kg) SOx (kg) NOx (kg) ばいじん (kg) ■欧州ナレッジセンター (英国) 2011 エネルギー使用量 2011 ■H3バイオメディシン・インク(米国) エネルギー使用量 電気(MWh) 天然ガス(deca-therm) 廃棄物処理実績 2011 6,892 909 7 291 52 0 244 244 0 23 19 50 106 33 678 200 40 3,910 281 50 106 39 1,343 477 57 40 3,550 270 *1 1deca-therm (サーム) = 1,050MJ *2 1USt = 0.907185t 注) 台南工場は、他社への譲渡により2013年9月 30日付けでグループ外企業となりました。 2012 152 2013 2,968 2,065 3,177 3,097 3,314 38 11 46 11 68 69 発生量(t) リサイクル量(t) 最終埋立量(t) 大気汚染物質排出量、排水負荷データ 水使用量 (m3) 46 1 1 ■使用した主な化学物質 ノースカロライナ工場 エネルギー使用量 電気(MWh) (千m3) 天然ガス 軽油(kℓ) ■蘇州工場 (中国) エネルギー使用量 エネルギー使用量 2011 2012 2013 イソプロパノール (t) メタノール (t) 0.6 0.5 0.3 0.7 水酸化ナトリウム (t) 蘇州工場 エタノール (t) 1.4 1.1 アセトニトリル (t) 硫酸 (t) メタノール (t) アセトニトリル (t) 酢酸エチル (t) 塩酸 (t) 台南工場 メタノール (t) アセトニトリル (t) エタノール (t) 塩酸 (t) 酢酸 (t) ボゴール工場 メタノール (ℓ) アセトニトリル (ℓ) 無水エタノール (ℓ) イソアミルアルコール (ℓ) 氷酢酸 (ℓ) アンドーバー研究所 メタノール (USt) 酢酸エチル (USt) アセトニトリル (USt) トルエン (USt) ジクロロメタン (USt) 0.2 0.8 0.2 0.3 16.6 17.3 0.3 0.1 0.0 0.3 0.1 0.0 0.4 0.4 0.34 0.16 0.18 0.06 0.01 0.01 0.01 0.00 0.02 0.01 220.0 107.0 43.0 245.0 97.0 47.9 9.2 8.0 12.9 16.6 11.3 5.6 4.9 3.9 8.9 7.7 7.1 2.4 3.3 0.9 欧州ナレッジセンター 酢酸エチル (t) ヘキサン (t) 2012 2013 2.0 1.7 1.1 1.1 アセトン (t) 0.7 エーザイ・ナレッジセンター・インド 酢酸エチル (t) 62.9 0.3 78.2 エチルベンゼン (t) メタノール (t) エタノール (t) 25.3 30.6 8.4 アセトニトリル (t) ジクロロメタン (t) 1.2 1.0 アセトン (t) 50.0 塩化アルミニウム (t) ピペリジン塩酸塩 (t) 塩化プロピオニル (t) 10.1 8.7 6.8 テトラヒドロフラン (t) トルエン (t) パラホルムアルデヒド (t) モルフォテック・インク 22.5 19.4 15.7 4.1 76.4 15.2 11.2 8.2 8.9 0.4 2.6 エタノール (ℓ) 水酸化ナトリウム (t) 水酸化ナトリウム水溶液 (ℓ) 482 298 298 リン酸 (ℓ) H3バイオメディシン・インク アセトニトリル (kg) ジクロロメタン (kg) メタノール (kg) アセトン (kg) ヘキサン (kg) 342 水酸化カリウム水溶液 (ℓ) 0.8 0.7 456 4.7 3.2 – 400 250 1,212 114 1,553.6 1,460.6 1,172.5 766.6 573.8 50 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 グローバルに地球環境との調和をめざす 循環型社会形成への取り組み 資源の投入と環境への負荷 化学物質管理 環境コスト 大気汚染物質排出量、 排水負荷データ 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 環境マネジメント 低炭素社会形成への取り組み 資源投入・環境負荷データ (海外) 環境専門家からのご意見 エーザイの環境活動 環境専門家からのご意見 地球環境との調和をめざすエーザイグループへの期待 今年度の重点的な活動の一つとして低炭素社会形成が挙げられますが、昨年からの中期的な CO2排出量削減計画目標を達成されており、省エネルギー活動など皆様の取り組みの結果が伺 株式会社 Control Union Japan えます。増加傾向にあった海外事業所の排出量も減少に転じましたが、今後の増加予想につい 代表取締役 ても削減への努力を認識されており、経年の評価を生かした対応と分析がなされています。 山口真奈美様 自然環境と経済・社会システムのバランス構築をテーマに活動。研究所等を 経て株式会社 FEMを設立、環境や社会に配慮したライフスタイルの提案を 軸に、環境・CSR・認証に関する研究・評価・教育事業のほか、株式会社 Control Union Japanでは国際的な認証審査を手掛ける。Control Union World Group (本部オランダ) は約60カ国で展開する国際的な認証・検査機関 であり、オーガニックの農業や繊維・森林・農園・フェアトレードなど対象分野は多岐にわたる。経済学&学術修士。 環境ビジネス総合研究所理事長。他NPO理事等を兼任。 全般的に以前より指摘させていただいた箇所について毎年改善されている点や、独自のグ リーン購入ガイドラインと教育や意識啓発による購入率の向上実績からも、行動に移す力が高 く評価できます。環境コストや様々な数値化も徹底して把握されていますので、様々な分野に ついても実績に対する評価の結果、今後の課題や求められる行動をより具体的にまとめられる と、これらのデータがさらに生かされることでしょう。 そして環境コミュニケーションを活用し、地域社会との交流による意見を反映させた報告や、 様々なステークホルダーズの方々とのコミュニケーションの場を増やし紙面に反映されること で、各部門や立場でどう取り組んでいくべきか、活発な議論が進むのではないでしょうか。 また、循環型社会形成のための廃棄物削減についても、発生量の減少やリサイクル活動が積 エーザイの企業理念にもあります、「喜怒哀楽」とともに私たちが自分らしく生きていくため 極的になされていました。より一層進展させるためにも、製造過程のみならず持続可能な原料 には、様々な条件が折り重なった奇跡の上に成り立っている生命と、取り巻く「環境」が大きな やパッケージの使用など、製品設計時から患者様が使用した後の廃棄に至るまで、環境や社会 影響を与えています。自分と家族、生い立ちや周りの人々との関係、住んでいる地域社会、生 に配慮した、バリューチェーン全体での重要な課題の特定がなされると、活動やその報告に更 まれた国の情勢など、同じこの時代に生きているにもかかわらず、おかれている環境は一人ひ なる深みが増すと思われます。 とり様々です。そして、きれいな空気や水、自然の産物の恩恵を受けて生活している点は皆共 企業が社会に与える影響は多大であり、経済性のみならず環境・社会的側面についてもどの 通であり、この自然や地球環境があってこそ、誰もが素敵な一日を過ごすことができるといえ ようにつながっているのかを把握し、自然の恩恵である資源の安定的調達と私たちの生活を支 るでしょう。 えるサービスについて、多角的かつ長期的な設計と取り組みが求められます。 医薬品においては、このかけがえのない地球から植物などの天然物資が抽出され、また人々 今後、グローバルな事業の進展に伴うCO2排出量や環境負荷の増大、またそれぞれの地域で の知恵と努力によるバイオテクノロジー等の化学的手法が駆使されて、はじめて素晴らしい製 必要な環境社会対策についての考察がさらに必要となることでしょう。そんな場面においても、 品やサービスが世界に提供されます。エーザイグループの活動はその様々な命と共にあり、医 この報告書が一つのきっかけとなり、私たちに何ができるのか、地球環境との調和をめざすエー 療品アクセス問題など世界が抱えている諸問題の解決を試みながら、企業の持続的な成長に必 ザイグループの姿とその想いが広がり、持続可能なビジネスモデルの実現と社会づくりに貢献 要な項目と取り組みについて、今年も透明性の高い活動報告がなされています。 されることを期待しています。 51 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 エーザイの社会活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 公正で透明な経営をめざして エーザイグループでは、企業活動をトータルかつ客観的にとらえるために、社会的責任に関する指標と、ステークホルダーズへの経済的付加価値分配の内訳を示しています。 社会的責任に関する指標 エーザイグループでは、社会的責任に関する取り 組みを客観的にはかるための指標を定めています。 これらの指標は報告書の構成に合わせて分類し、 年度ごとに取り組みの検証を行っています。 データの対象範囲: ■エーザイグループ (エーザイ株式会社および国内外のグループ企業47社) ■患者様との関わり 指標 申請中の医療用医薬品数 承認取得した医療用医薬品数 2011年度 2012年度 2013年度 年度 5品目 3品目 海外 年度 5品目 3品目 1品目 国内 年度 6品目 5品目 4品目 1品目 海外 特許件数 (特許出願件数) お問い合わせ数 「hhc ホットライン」 3品目 年度 1品目 3品目 年度 125件 109件 88件 年度 103,675件 108,298件 99,471件 うちウェブサイトのフォームによるお問い合わせ数 年度 1,080件 995件 797件 うちクレーム件数 (製品の品質に関するクレーム) 年度 256件 222件 368件 PCC (製品クレーム委員会) 実施回数 年度 9回 12回 12回 ■エーザイ株式会社 ■国内グループ (エーザイ株式会社および国内グループ企業8社) 期間 国内 お取引先 ベンダーバリデーションの回数 *1 適応および剤形の追加を含みます。 *2 2013年度から、食品を扱うお取引先を含みます。 病院 年度末時点 5,752施設 5,750施設 5,743施設 診療所 年度末時点 95,655施設 95,043施設 94,750施設 調剤薬局 年度末時点 9,660軒 10,042軒 10,198軒 薬局など 年度末時点 80,488軒 88,300軒 93,177軒 代理店 年度末時点 84社 83社 79社 ベンダー 年度末時点 236社 241社 244社 71回 50回 91回 年度 −*1 −*2 52 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 ■社会との関わり エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 ■社員との関わり 指標 期間 2011年度 2012年度 年度 1回 1回 1回 出席人数 (川島工園地区) 年度 12人 18人 12名 実施回数 (美里工場地区) 年度 1回 1回 1回 出席人数 (美里工場地区) 年度 12人 11人 10人 寄付金額 年度 2,185百万円 1,988百万円 2,377百万円 納税金額 年度 43,602百万円 26,677百万円 29,381百万円 くすり博物館来館者数 年度 38,035人 37,276人 34,111人 川島工園 年度 5,459人 4,859人 3,499人 美里工場 年度 631人 423人 545人 美里工場 年度 8,965人 8,693人 9,098人 工場所在地の 地区懇談会 工場見学者数 厚生施設利用者 指標 2013年度 実施回数 (川島工園地区) −*1 −*1 ■コーポレートガバナンス/コンプライアンス 指標 期間 2011年度 2012年度 2013年度 年度末時点 11人 11人 11人 うち社外取締役数 年度末時点 7人 7人 7人 社外取締役比率 (社外取締役数/取締役数) 年度末時点 63.6% 63.6% 63.6% 執行役数 年度末時点 18人 19人 23人 執行役の平均年齢 年度末時点 52.9歳 52.9歳 53.0歳 年度末時点 11,754万円 11,802万円 11,631万円 報酬額 (基本報酬、 賞与、退職慰労金など) 取締役 (社内) 2011年度 2012年度 2013年度 年度末時点 10,730人 10,495人 10,537人 日本 年度末時点 5,472人 5,320人 5,200人 アメリカス 年度末時点 1,843人 1,815人 1,768人 EMEA*1 年度末時点 872人 830人 811人 アジア (日本除く) 年度末時点 2,543人 2,530人 2,640人 地域別従業員数 合計 年度末時点 4,305人 4,163人 4,130人 男性 年度末時点 3,331人 3,228人 3,202人 女性 年度末時点 974人 935人 926人 管理職 年度末時点 1,454人 1,442人 1,455人 社員数 *1 2014年3月31日付けで美里工場における事業を武州製薬株式会社へ譲渡致しました。 取締役数 期間 従業員数 女性管理職比率 (女性管理職数/管理職数) 年度末時点 3.0% 3.7% 4.1% 平均年齢 年度末時点 42.8歳 43.4歳 42.5歳 平均勤続年数 年度末時点 19.0年 19.5年 20.0年 離職率 年度 2.4% 1.6% 1.6% 介護休暇制度利用者数 年度 24人 22人 28人 介護休職制度利用者数 年度 2人 3人 3人 介護短時間勤務制度利用者数 年度 1人 0人 2人 看護休暇制度利用者数 年度 141人 142人 136人 合計 年度 76人 78人 78人 男性 年度 0人 1人 1人 女性 年度 76人 77人 77人 育児短時間勤務制度利用者数 年度 79人 82人 86人 育児休職制度利用者数 取締役 (社外) 年度末時点 8,512万円 8,629万円 8,215万円 平均年間給与 (有価証券報告書より) 年度 11,094千円 11,063千円 10,401千円 執行役 年度末時点 87,574万円 87,232万円 105,519万円 障がい者雇用率 年度 2.03% 2.37% 2.39% 開催回数 年度 84回 120回 65回 年度内入社人数 年度 60人 28人 84人 うち役員対象研修 年度 2回 2回 2回 所定労働時間 (年間一人あたり) 年度 1,904時間 1,895時間 1,888時間 延べ参加人数 年度 約6,000人 約8,500人 約5,800人 開催回数 年度 15回 28回 23回 参加人数 年度 5,096人 3,123人 2,452人 コンプライアンス・e-ラーニング平均実施率 年度 94.2% 91.8% 90.0% コンプライアンス・カウンターアクセス数 年度 1,114回 1,648回 1,533回 −*1 GUIDEA (ガイディア) 相談件数 年度 130件 108件 138件 −*2 コンプライアンス研修 人権研修 *1 コンプライアンスに関する社内相談窓口へのアクセス回数。 *2 コンプライアンスに関し、社外相談員が運営する社員向け相談窓口への相談件数。 労働災害発生件数 健康診断の受診率 社員 家族 労働組合加入率 有給休暇の平均取得日数(組合員一人あたり) ウォーキングマイレージ ぷらす参加者数*2 年度 31件 42件 17件 年度 99.93% 99.75% 99.83% 年度 73.22% 72.01% 76.57% 年度末時点 99.23% 99.41% 99.59% 年度 13.9日 12.7日 12.3日 社員 年度 2,077人 2,429人 2,058人 配偶者 年度 535人 853人 521人 *1 欧州・中東・アフリカ・オセアニア。 *2 社員と配偶者が日常生活にウォーキングを取り入れることにより、生活習慣病を予防し、健康増進につなげる取り組みです。 *3 エーザイ株式会社の正社員の人数を基準としたものです。 *4 扶養する配偶者および40歳以上の被扶養者を対象としています。 −*3 −*3 −*4 53 エーザイ株式会社 環境・社会報告書 2014 イントロダクション 患者様満足のために エーザイの経営と社会活動 ■環境との関わり エーザイの環境活動 社会的責任に関する指標と付加価値の分配 ■株主との関わり 指標 期間 2011年度 2012年度 2013年度 指標 CO₂排出量 年度 91,797t 92,692t 92,091t 廃棄物発生量 年度 7,412t 6,288t 5,140t 化学物質 (PRTR制度対象物質) 取扱量 年度 876t 559t 469t グリーン購入金額 年度 3,686百万円 3,418百万円 3,409百万円 廃棄物のリサイクル率 年度 33.97% 35.93% 34.90% 期間 2011年度 2012年度 年度末時点 111,387人 95,835人 106,981人 発行済株式総数 年度末時点 296,566千株 296,566千株 296,566千株 外国法人等の所有株式数比率 年度末時点 19.0% 21.1% 23.0% 年度末時点 98.3% 98.1% 98.3% 自己資本利益率 (ROE) 年度 14.3% 10.9% 6.8% 配当性向 (DPR) 年度 73.1% 88.6% 129.8% 純資産配当率 (DOE) 年度 10.4% 9.6% 8.8% 配当金総額 年度 42,744百万円 42,748百万円 42,799百万円 一株あたり配当額 年度 150円 150円 150円 「個人・そのほか」 株主比率 ステークホルダーズへの付加価値の分配 エーザイグループは、高品質な医薬品を提供 することでお客様から対価をいただいています。 その対価の中から、お取引先に必要経費をお支 クホルダーズに分配しています。 また、 その一部は、 新たな医薬品を生み出すための研究開発に投資さ れ、創薬によってさらなる社会的・経済的な価値 がもたらされます。 こうした経済的活動を続けることで、新たな医 薬品を生み出し、未だ満たされていない医療ニー ズを充足するという企業使命を果たしていくこと ができると考えています。 注) 分配計算にあたっては、「SPI-Finance2002」やR-BEC007 「CSRガイドライン」などを参考にし、数値の信頼性を確保する 観点から、財務会計を構成する各勘定科目を適宜組み替えて 作成しています。 売上高 600,363 国・地方自治体 (行政) * △4.78% 付加価値分配の内訳 従業員 債権者 2.70% そのほかの 業務上 費用・損失 3 必要な 18,285 支払い 4 387,631 * 内部留保 14.31% ステークホルダーズ への分配 2 そのほか 205,385 1 の収入 10,938 * 国・地方自治体(行政) 、社会など、様々なステー 1.16% 611,301 611,301 払いし、 生み出した経済的付加価値を従業員、 株主、 社会 〈支出の部〉 〈収入の部〉 株主 * 20.94% 従業員 64.83% 0.85% 800000 (百万円) 133,153 役員 1,744 株主 43,007 債権者 国・地方自治体 (行政) 社会 役員 (百万円) *1 営業外収益と特別利益および自己株式処分差益の合計。 *2 収入から業務上必要な支払いとそのほかの費用・損失 を除いた額。 *3 支払利息を除く営業外費用と特別損失の合計。 *4 販売費、一般管理費および売上原価から、人件費と寄 付金額等を除いた額。 2013年度 株主数 内部留保 5,546 29,381 2,377 △9,822 従業員:販売費、一般管理費および売上原価中の人件費(給与、賞与および福利厚生費) の合計 :取締役と執行役への報酬額 株主 :配当金の総額と少数株主利益の合計 社会:支払利息 内部留保 600000 債権者 0.88% 6.37% 国・地方自治体 (行政) : 法人税、住民税および事業税、法人税等調整額、租税公課 500000 社会 :寄付金額 国・地方自治体 400000 (行政) 役員 700000 300000 200000 17.62% 債権者 2.79% 従業員 54.28% 100000 0 株主 17.45% 役員 0.61%
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