平成 19 年度中国地区国立高等専門学校技術職員専門研修報告

平成 19 年度中国地区国立高等専門学校技術職員専門研修報告
(機械系)
技術教育支援センター第一技術班
目
的
:
横田
晴俊
この研修は、中国地区高等専門学校に在籍する技術職員(施設系を除く)に対して,
その職務に必要な専門的知識を修得させるとともに,相互啓発の機会を与えることに
より,技術職員の資質の向上を図ることを目的とする.
期
間
:平成 19 年 8 月 28 日(火)~8 月 31 日(金)
場
所
:呉工業高等専門学校会議室
主
催
:呉工業高等専門学校
添付資料:
研修日程:資料番号 1
受講者名簿:資料番号 2
1.講義・講演
演題:「工業技術と安全」
講師:呉工業高等専門学校長
遠藤
一太
氏
中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原子力発電所での放射性物質流出事故を例に挙げ,放射
性物質についての説明をされた.また,最近の飛行機や橋の事故から,安全対策の重要性につ
いても訴えられた.
演題:「技術への思い・・・ナノ粒子分散装置開発までの歴史」
講師:寿工業株式会社
院去
貢
氏
生成過程において凝集しやすいナノ粒子の分散方法として,直径 0.1mm 以下のビーズを内
蔵したロータ型の分散装置「ウルトラアペックスミル」の開発過程について説明された.
演題:「中国地区におけるものづくりの人材育成」
講師:広島修道大学教授
森川
譯雄
氏
中国地区の「成長力底上げ戦略」として,①人材能力戦略,②就労支援戦略,および③中小
企業賃金底上げ戦略の 3 つを基本とする考えについて説明された.①は,過去の実績や教育プ
ログラムの履修証明等が記載された「ジョブカード」の交付による,能力形成を目指す人への
支援である.②は,就労支援体制の全国展開とハローワークを中心とした支援による,公的扶
助を抜け出し経済的自立を目指す人への支援である.そして③は,最低賃金の周知徹底と最低
賃金法の改正等による,生産性向上と賃金の底上げを目指す中小企業への支援である.
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演題:「ダイヤモンドコーティング工具の開発」
講師:広島県立西部工業技術センター
副主任研究員
山本
晃
氏
ダイヤモンドと DLC(diamond like carbon)との違いを,物性とコーティング方法の視点か
ら,また,ダイヤモンドコーティング工具の今後の課題についても説明された.
演題:「3D-CAD を用いた設計と生産性向上」
講師:マツダ株式会社
アシスタントマネージャ
新山
知典
氏
3D データは車の設計のみにとどまらず,車の製造過程における作業者の動き,運転席から
の見晴らし,および運転者の操作時の動きをも表現可能であることを説明された.また,3D
データ活用の利点として,生産問題件数の減少と早期発見,および衝突試作車台数の減少を挙
げられた.
演題:「キャビテーション噴流による表面改質技術」
講師:呉工業高等専門学校機械工学科
教授
吉村
敏彦
氏
部材内の残留応力除去を目的として,水中での高圧水噴射により発生させたキャビテーショ
ンの崩壊時衝撃圧力を利用する「ウォータジェットピーニング」の研究について話された.
演題:「円筒内面微小傷欠陥検査システムの開発」
講師:シグマ(株)
レーザ傷検査装置事業室室長
矢式
良行
氏
回転式プローブを用いた,レーザ光非接触・非破壊検査についての説明,および製品のデモ
ンストレーションをされた.
演題:「職場の安全管理」
講師:IHI 株式会社
呉第二工場安全衛生グループ課長
川野
武彦
氏
現場の「危険有害要因の排除」について話された.具体的な対策として,要改善点が発見さ
れた場合には,改善前と改善後がどう変わったかを作業者全員に周知できるよう,現場に写真
つき掲示板を設置している.講話の中で,「やらされる」ではなく「危険のない職場は自分た
ちで作る」を協調されていた.
2.技術課題発表
受講者の 14 名の内 8 名による発表が,発表時間 10 分,質疑応答 10 分で行われた.課題内
容は「安全対策」,「教育改善」,および「産学連携」の中から選択可能であり,「安全対
策」に関する内容が半分を占めていた.高専の独立行政法人化により,人事院規則 10-4 から
労働安全衛生法に従うことになった際の変更点について,また,安全衛生対策として,中央防
止協会や中国労働災害防止協会に現場指導を依頼したという学校の話を聞くことができた.
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3.実習
内容:「3D-CAD」操作方法
講師:(株)理経
蔵所
佳範
氏
内容は,PTC 社の Pro/Engineer Wildfire3.0 を用いた,3D-CAD 入門コースの実習であっ
た.正味の実習時間は 3 時間程度であったが,正規の操作方法を学ぶことができたため,これ
まで独学で学んできた自分にとっては有意義な実習であった.
4.施設見学
見学場所:マツダ工業技術短期大学校およびマツダミュージアム
マツダ工業技術短期大学校では,旋盤,板金,手仕上げ等の各実習場を見学した.いずれの
実習場においても,学生が 2 年間で行う実習内容を段階的に示した見本作品とその手引書が展
示されていた.各学年は高校新卒者とマツダ社内選抜者の合計約 60 名で構成されており,さ
らに 8 つの班に分けられている.年の離れた者どうしが 1 つの班で学習することにより,企業
人教育をも実現している.また,各学年に 2 名ずつ,実務経験のある短大 OB をクラス担任と
して登用している点は特徴的であった.学生は 1 年末と 2 年末に行われる習熟度確認試験を受
け,合格した者は晴れてマツダ株式会社の社員となる.この学校では学生指導時に,「教える
より学ばせる」と「チームワーク」に重点を置いているとのことであった.
5.まとめ
普段,席に座りゆっくりと講義に耳を傾ける機会がないためか,約 50 分の講義は集中でき,
短く感じられた.また,今回は初めての他高専の訪問ということから,本校で行われた研修と
の相違点をいくつか見つけることができた.1つめに,研修時には受講者全員に司会・書記・
号令等の役割が与えられることである.これにより受講者を積極的に研修に参加させることが
できる.2 つめに,研修の進行は技術職員を中心としてではなかったことである.研修は全て
事務職員 4 名と機械科教授 1 名を中心に進行されていた.
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資料番号 1:平成 19 年度中国地区国立高等専門学校技術職員専門研修(機械系)日程
資料番号 2:平成 19 年度中国地区国立高等専門学校技術職員専門研修(機械系)受講者名簿
学校名
ふ り が な
所 属
1
米子工業高専
技術教育支援センター
2
松江工業高専
技術室第一技術班
3
津山工業高専
教育研究支援センター(学生課)
4
広島商船高専
学生課実験実習係
5
広島商船高専
学生課実験実習係
6
徳山工業高専
学生課(教育研究支援センター)
7
宇部工業高専
学生課技術室第一技術班
8
大島商船高専
学生課実験実習第二係
9
呉工業高専
学生課総合教育技術室
10
呉工業高専
学生課総合教育技術室
11
呉工業高専
学生課総合教育技術室
12
呉工業高専
学生課総合教育技術室
13
呉工業高専
学生課総合教育技術室
14
呉工業高専
学生課総合教育技術室
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氏 名
よこ
た
はる
とし
横 田 晴 俊
おく
はら
しん
や
奥 原 真 哉
かん
だ
なお
ひろ
神 田 尚 弘
まる
やま
まさ
ひろ
丸 山 真 弘
しげ
おか
よう
へい
重 岡 洋 平
なか
むら
きん
よし
中 村 金 良
ふじ
しげ
まこと
藤 重 誠
ふじ
たに
ちかし
藤 谷 親
いし
ばし
ひろ
ふみ
石 橋 博 文
さ
さ き
とも
ひろ
佐々木 智 大
おお ひがし
ゆ
き お
大 東 由喜夫
やま
だ
ち
づる
山 田 千 鶴
た
むら
ただ
し
田 村 忠 士
た
なか
とし
なお
田 中 利 直