総裁秋篠宮妃殿下 ご動静 ︱ 結 核 予 防 会 に 携 わ り て ︱ 人 ら と と も に さ ら に つ く さ む こ の か た き 病 を さ む る 道 め ざ し 総裁秋篠宮妃殿下 財 団 法 人 結 核 予 会 防 長 会 青 木 正 和 き た い と 思 い ま す ︒ ぜ ひ 皆 様 に も こ の お 気 持 ち を 分 か ち 合 っ て 頂 さ せ て 頂 く 所 存 で す ︒ く こ の お 歌 を 噛 み 締 め ︑ 今 後 の 活 動 へ の 活 力 と 結 核 予 防 に た ず さ わ る 一 人 と し て ︑ あ り が た 頂 戴 し ま し た ︒ を う た わ れ た も の と 拝 察 し ︑ お 願 い し て 色 紙 を 御歌 結 核 対 策 の 難 し い 時 期 に あ た り ︑ 妃 殿 下 の 御 心 の ご 要 望 で 近 況 を 歌 わ れ た と い う こ と で す が ︑ わ る お 歌 を お 詠 み に な ら れ ま し た ︒ 同 窓 会 か ら 昨 年 の 秋 に 秋 篠 宮 妃 殿 下 が 結 核 の 予 防 に か か 秋 篠 宮 妃 殿 下 よ り お 歌 を 頂 戴 す る Message 第57回結核予防全国大会が,平成18年2月28日 及び3月1日の両日,結核予防会総裁秋篠宮妃殿 下の御臨席を賜り,東京で開催される運びとなり ましたことは,誠に光栄であり喜ばしいことであ ります。 顧みますと昭和31年6月第7回結核予防全国大 会が,秩父宮妃殿下の御臨席を賜り,ここ東京で 開催されて以来,今回が東京では8回目となります。 結核は,かつて我が国では国民病と言われ,昭 和14〜15年代は結核で死亡する者は,10数万人を 数え死亡原因の第1位でありました。 しかし,国民の生活水準の向上,医学・薬学の 進歩及び公衆衛生の向上等々により,結核対策は 大きく改善されました。しかし,近年はその改善 のスピードが鈍化し,未感染者の増加に伴う集団 感染の危険性,高齢患者の増加や糖尿病などの合 併症による重症化,不規則な服薬や治療中断によ る多剤耐性結核の出現,免疫力が低下し結核に感 染すると発病する確率の高いHIV感染者の増加など, 新たな課題も生じております。 このような状況の中,平成17年4月に施行され ました結核予防法の大幅な改正,加えて結核予防 法を廃止し感染症法への統合の動きなど,大きな 波が押し寄せております。 東京都におきましては,大都市東京都ならではの, 都市問題の特徴である,若年層のり患率が高いこと, 路上生活者や在日外国人などに患者の発生が多い こと,また,平成17年6月には東京都中野区の学習 塾で発生いたしました結核集団感染では感染者178 人で,このうち62人が発病するなど,依然として 集団感染疑い事例が見られる状況にあります。 このような時期に,第57回結核予防全国大会が 開催されるわけでありますが,研鑚集会では「新 結核対策体系のあるべき姿を求めて」及び「結核 対策なくして,エイズとの闘いに勝利はありえない」 と題して,新しい結核対策を追求する発表やこれ らに関して活発な討論が行われる予定であります。 結核予防全国大会の開催 にあたりましては,多くの 方々のご参加をいただき, 実りある御意見,御討議を 重ねられ,大きな成果を挙 げる大会となりますことを 願ってやみません。 ■メッセージ 第57回結核予防全国大会を迎えて ■新型インフルエンザ 石館 敬三…………1 〜聖人からのメッセージ〜 ■第57回結核予防全国大会特集 Contents ○開催要領………………………………………………2 森 亨…………3 ○研鑚集会「新結核対策体系のあるべき姿を求めて」 石川 青木 正和…………10 結核予防婦人会と連携したDOTSの試み 伊礼 壬紀夫………12 ■第27回(平成17年度)事務職員セミナー報告 横尾 義成,馬場 力…………14 ■新抗結核薬の開発状況,大塚製薬の新薬OPC-67683に ついて 土井 い世界へ命へのアクション! 小原 ■シリーズ 東京都支部 ユキ………20 篠原 幸一…………29 上田 千里…………30 橋本 秀行…………32 石塚 實…………33 ■平成18年度厚生労働省予算案(結核感染症課・生活習 慣病対策室・老人保健事業等)………………………34 ■結核予防会本部事業所から ○第4回新山手病院・保生の森・グリューネスハイム新 山手合同業績発表会の報告 瀬崎 和典…………36 ○結核予防会複十字病院第1回院内発表会をふりかえって 西平 ■ たばこ 哲郎…………37 タクシー車内における受動喫煙の調査 中田 尚美…………17 ■思い出の人を偲んで〜西本多美江さん 宇津野 信子…………28 №6 ■結核予防会支部紹介の頁 教生…………16 ■2006年3月24日世界結核デーテーマが決定! 結核のな 有希…………26 ■第1回結核予防会マンモグラフィ読影講習会 かたき病 結核(1)「日本の結核ゼロの日は, いつ やってくるのでしょうか?」 ■DOTS ■思い出の人を偲んで〜並河靖先生 信克…………5 ○第9回秩父宮妃記念結核予防功労賞各賞受賞者紹介 ……6 ■シリーズ 中田 ■結核予防会ネットワーク事業通信 ○結核予防会全国支部長会議「結核対策を後退させ ないために」 多田 ■シールだより 複十字シール募金を担当して感じたこと ゆり…………38 ▽予防会だより ………………………………………………39 ザンビアだより(第4回) I am always thinking of you 座間 智子…………22 ■ずいひつ 結核と私 下重 暁子…………23 ■本邦におけるエイズ合併結核の現状 佐々木結花…………24 〔表紙〕「東京三景」 (東京都内) 撮影者:堀川 春男氏 〔カット〕佐藤奈津江 2/2006 複十字 No.308 1 第57回結核予防全国大会開催要領 期 間 平成18年2月28日(火)〜3月1日(水) 場 所 東京都千代田区 ホテルニューオータニ 〒102−8578 東京都千代田区紀尾井町4−1 TEL 03-3265-1111(代表) 主 催 財団法人結核予防会 後 援 厚生労働省・東京都・社団法人日本医師会・社団法人日本歯科医師会・社団法人日本薬剤師会・ 社団法人全国結核予防婦人団体連絡協議会 財団法人健康・体力づくり事業財団 ●第1日● 2月28日(火) (1)結核予防会全国支部長会議 翠鳳の間 10:00〜11:30 (2)第1回全国結核予防婦人団体連絡協議会理事会 椿の間 10:00〜10:30 (3)全国結核予防婦人団体連絡協議会総会 舞の間 10:40〜11:40 (4)支部長午餐会 edo ROOM 12:15〜13:00 (5)研鑚集会 鶴の間 セッションⅠ:―新結核対策体系のあるべき姿を求めて― 座 13:30〜16:45 13:30〜15:30 長:財団法人結核予防会結核研究所副所長 石川 信克 助 言 者:厚生労働省健康局結核感染症課長 塚原 太郎 発 表 者:①科学的根拠に基づいた結核対策と結核研究の強化について 山形県村山保健所所長 阿彦 忠之 増田 和貴 加藤 誠也 ②東京都結核予防計画について 東京都福祉保健局健康安全室 感染症対策課課務担当係長 ③低蔓延国の結核対策に学ぶ −イギリス− 結核研究所研究部部長 ④DOTS拡大作戦 新宿区保健所保健指導主査 神楽岡 澄 ⑤地域における健康つくりと婦人団体の役割 健康を守る婦人会(東京)会長 ま と 松本 め:財団法人結核予防会結核研究所所長 美智子 森 セッションⅡ:世界結核デー(3月24日)記念シンポジウム 亨 15:45〜16:45 − アフリカの結核危機と日本の貢献 − 1.ビデオ上映:元南アフリカ大統領ネルソン・マンデラ氏スピーチ 「結核対策なくして、エイズとの闘いに勝利はありえない」 2.シンポジウム 座 長:UNFPA東京事務所長 池上 発表者:結核エイズ活動家(ザンビア) 清子 ウィンストン・ズル 「私の結核エイズとの闘い、日本への提言」 討 論:結核予防会顧問・エイズ財団理事長 外務省国際社会協力部参事官 (6)全国結核予防婦人団体連絡協議会懇談会 翔の間 島尾 忠男 辻 優 17:10〜17:50 (7)大会決議・宣言起草委員会 椿の間 17:10〜18:10 (8)大会歓迎レセプション 芙蓉の間 18:30〜20:00 鶴の間 10:00〜12:30 ●第 2 日● 3月 1 日(水) 大会式典 式次第 (1)開会のことば 財団法人結核予防会理事長 仲村 英一 (2)結核予防会会長あいさつ 財団法人結核予防会会長 青木 正和 (3)結核予防会総裁おことば 財団法人結核予防会総裁 秋篠宮妃殿下 (4)秩父宮妃記念結核予防功労賞第9回受賞者表彰 (5)来賓祝辞 厚生労働大臣 東京都知事 社団法人日本医師会会長 全国結核予防婦人団体連絡協議会会長 (6)議事 ①議長および副議長選出 ②前年度全国大会決議経過報告 ③全国支部長会議報告 ④研鑚集会報告及び追加討議 ⑤決議および宣言 ⑥次期開催地について (7)特別講演 11:30〜12:30 「結核を病んだ人たち−その生と死−」 (8)閉会のことば 2 2/2006 複十字 No.308 財団法人結核予防会会長 青木 財団法人結核予防会専務理事 喜多村 正和 悦史 第57回結核予防全国大会支部長会議 「結核対策を後退させないために」 盛り上がる世界の結核対策 1990年初めにWHOを中心に興り,DOTSをキー ワードにした結核対策運動は急速に途上国・先進 国を席巻し,2000年には「ストップTB パートナ ーシップ」という世界の官民300近い団体,機関が 結集する運動体を形成し,途上国を中心に作戦を 活発に展開している。この運動を支えているのは 先進国や各種ドナー機関の2国間プロジェクトの他, 共同でお金を拠出して基金を作り,そこから被援 助国に対策資金や薬剤を拠出するというスキームで, 後者としては「世界エイズ・結核・マラリア対策 基金」(GFATM)や「世界抗結核薬基金」(GDF) などがある。GFATM はこの4 年間にすでに4000 億円以上の事業申請を承認し,2000 億円を支出し た(結核対策はそのうちの15%ほどを受けた)。 またGDF はこの5 年間に450 万人の患者に良質の 薬剤を提供した。 ストップTB パートナーシップは図1のような 組織になっている。運営を統括しているのが調整 諮問委員会で,その委員には援助国やWHO(本部・ 地域事務局の代表)がでている。これを技術的お よび政策的に支えるのが,それぞれ上記の抗結核 薬基金とWHOの結核対策本部(Stop TB Department) である。またこれとより緩やかな連携関係を持ち ながら,しかし目標を共有しているのが「作業部会」 で,DOTS拡大計画,DOTS-Plus計画,結核/HIV 図1 世界ストップ結核パートナーシップ 計画(これらは主としてWHOが運営)といった政 策分野,およびワクチンや薬剤の開発といった技 術分野にわたる機関であり,これらがそろってパ ートナーシップを推進している。各計画,機関は それぞれが財源を持っていて,たとえば薬剤開発 は米国が中心となり,ビル・メリンダ・ゲイツ財 団などからの拠出金によって薬剤開発のために資 金提供を行っている。 このパートナーシップは2005年を期して「発生 する患者の7割を発見してDOTSで治療し,85% を治癒させる」ことをめざしてきた(世界結核目標)。 7つあるWHO地域でこれを達成したのは,どうや ら西太平洋地域だけであり,これにはごく最近の 中国の奮起が大きく貢献している。しかし,世界 はいまさらに新たな目標をめざして再出発した。「ミ レニアム開発目標」(MDG)がそれで,「2015年 までに結核罹患率を低下傾向に転じ,有病率,死 亡率を(1990年と比して)半減させる」というも のである。 この新しい目標と同時にそれを達成するための 計画書もつい先日公表された(世界ストップ結核 プラン2006〜2015)。パートナーシップの事務局 長 Dr. Marcos A Espinal氏が,これをもってスイ スのダボスまで行き,おりから開催中の世界経済 フォーラムの各国代表に訴えた(彼は来る3月, 結核研究所の開催する「国際結核セミナー」の講 師として来日の予定である)。 日本の結核問題 2004年の日本における結核の罹患率は人口10万 対23.3で,これは米国の4倍強,米国の1965年頃 のレベルである。2003年の24.8からは約6%減で あるが,どうやら1980年代以降ののろい低下傾向 の延長に戻ったようである。図2は罹患率の減り 方(年あたり低下率)を,1980年を境目にして前後で 主として若い年齢階級についてみたものである(後 半に関しては,1996〜2000年の逆転上昇期を無視 した)。全年齢では前半10.8%の低下率から後半の 3.8%へと減速しているが,19歳以下の年齢では, 後半の低下率はそれよりも大きい。しかし問題は 前半との落差で,0〜4歳では前半の21.7%から7.7% へと凋落が目立つ。中高齢者における芳しくない 2/2006 複十字 No.308 3 第57回結核予防全国大会支部長会議 傾向がこのようにして確実に次の世代にも影を落 としていることをしっかり認識しなければならない。 内容的にも重症化が目立ち,発生患者の約5%が 1年以内に結核で死亡する状況になっている(1988 年には2%であった)。これは患者の高齢化,基 礎疾患を持った者,社会経済弱者への偏在などが 原因となっていると思われるが,座視できない問 題である。とくに前2 者は多くが何らかの形で医 療の管理下にありながら結核を発病し,重症化し た事例が多いことは重視しなければならない。と くに都会の生活困窮者の問題は,東京都の急激な 悪化に象徴される(都道府県別の罹患率順位で見 ると,都は1984年には最低から13位にあったが, 2004年には最高から2位となった)。ちなみに指 定都市でみると大阪市61.8,神戸市36.1,名古屋市 36.1,東京都特別区34.7となっている。 図2 小児期の罹患率の推移 一方,集団感染は大規模化,複雑化し,そして 不定集団(飲食店や遊興施設など)での発生など, 対応困難な例が目立つ。これも新しい結核対策へ の重要な挑戦となっている。これらの問題は,一 般医療における結核への意識の向上,質の高い結 核医療の確保,接触者対策の向上,都市の社会的 リスク者への重点方策,等々の重要性を示している。 「ストップ結核パートナーシップ日本」 米国は結核の蔓延度が昨今の日本のレベルに達 したころから「結核はこのまま惰力で消えていく」 という安心感が政府や医療界の間に広がり,結核 対策はどんどん後退していった(図3)。それでも しばらくの間結核は順調に減少し続けたが, 15〜 20年後の1980年代後半から罹患率は横ばいから上 昇に転じ,その内容も多剤耐性,エイズ結核,ホ 4 2/2006 複十字 No.308 ームレス,薬物常習といった手ごわいものとなっ ていた。米国は1989年に「米国早期根絶戦略」を 発表し,対策のまき直しにかかり,その様子は図3 の予算の急上昇にみるとおりである。 図3 米国1960〜93年における結核対策予算額の (注:使途別補助は1972年〜82年は停止された。 変化(CDC)各州への交付金は結核を特定しない一括方式で交付されている。) 160 140 120 55 予 算 100 額 ︵ 百 80 万 ド ル 60 ︶ 50 45 結 核 40 患 者 35 数 ︵ 30 千 人 25 ︶ 患者数 40 20 20 a 68 70 72 15 74 76 78 80 82 84 86 年次(1900) 88 90 92 94 96 98 この間,多くの改革が行われたが,その中でも とくに重要と思われるのが関連団体の糾合,連合 形成である。米国の結核対策の司令塔になったの はもちろんCDC(米国疾病対策予防センター)であ ったが,この後にはACET(Advisory Committee for Elimination of Tuberculosis,結核根絶諮問委 員会)があり,これにはComstock 教授を長とし, 米国肺協会,国立衛生研究所,米国医師会等々の 結核専門家がメンバーとなっている。これは日本 では厚生科学審議会(結核部会)のようなものと いうことができるだろう。しかしこのような計画 段階だけでなく,対策実施においても多くの団体(肺 協会,胸部疾患学会,小児科学会,公衆衛生協会, マスコミ等々)に呼びかけてパートナーシップを 組んだのである。これによってそれぞれの団体, 機関の関連先での対策の浸透が図られるほか,異 なる経験の交流から新しい智慧が生まれることも 期待できる。なによりもその中から強力なアドボ カシー(戦略的普及啓発)活動が生まれるものと 期待される。 私はこのモデルはいまの日本にも必要なのでは ないかと考える。名づけて「ストップ結核パート ナーシップ日本」。日本の結核対策が後退しない ように,そして米国の70年代の轍を踏まないように, 各方面の英知とエネルギーを集めて新しい結核対 策を推進することが効果的なのではないか。そし て結核予防会はその舵取り役として重要な役割を 果たすことができるだろう。 2000 研鑚集会 「新結核対策体系のあるべき姿を求めて」 多くの西欧先進諸国の結核罹患率(10万対率) は既に10以下の低まん延国になっているが,日本 の結核罹患率(23.3)はスウェーデン(4.3)や米国(5.1) の5倍前後と高く,わが国は依然,毎年3万人近 い新患者が発生している結核中進国で,西欧諸国 より20〜30年後ろを走っている。しかし,この5 年間連続した減少が見られていることは喜ばしい ことで,次第に低まん延国の様相を示してきたこ とも事実である。それと同時に,地域格差の拡大, 高齢化の傾向,重症発病の増加,基礎的疾患合併 の増加,院内感染・集団感染の増加,多剤耐性結 核増加の兆し等々,課題は多様化している。青年 層での新しい感染も見逃すことは出来ない。対策 としては,平成11年の緊急事態宣言以降,時代に 合った様々な新しい動きが見られ,平成17年4月 より新結核予防法が施行されるに至った。その中で, 地方分権の流れと相まった結核対策をいかに実践 して行くか,地方自治体やそれを統括する国の責 任は新しい課題となってきている。一方,高齢化 社会を迎え,健康づくりの中心は,生活習慣病予 防に移行しつつあり,感染症対策は国民的関心か ら遠のきつつあることも事実である。一方,SARS や新型インフルエンザ等の急性感染症や,病原体 を用いたテロなどへの恐怖も新たに起こっており, 感染症対策に対する国の責任は大きくなっている。 その中で,結核対策を強化した感染症法に統合す る動きが出てきている。 結核が低まん延化した西欧諸国の多くは,対策 への予算削減や手抜きに,流入外国人や都市の貧 困層の増加も相まって,結核の逆転上昇を経験し ており,高いツケを払わされてきた経験がある。 日本は結核低まん延時代を迎えるに当たり,西欧 諸国の経験に学びつつ,日本の状況に合った効果 的な対策を作って行かねばならない大きな曲がり 角にあると言える。 研鑚集会では,厚生労働省健康局結核感染症課 の塚原太郎課長を助言者に迎え,結核の保健医療 活動の現場で活躍されている5人の方々によるそれ ぞれの情報発信と課題の討議をして頂く。 ① 阿彦忠之氏( 山形県村山保健所長)には,山形 県の患者登録の分析から,疫学研究による科 学的根拠に基づいた結核対策の強化について ② 増田和貴氏(東京都福祉保健局健康安全室感 染症対策課係長)には東京都の結核予防計画 について,その内容と実施上の課題を ③ 加藤誠也氏(結核予防会結核研究所研究部長) には,英国を中心とした低まん延先進国の結 核対策から学ぶべきものを ④ 神楽岡澄氏(新宿区保健所保健指導主査)には, 新宿区の実践からDOTS拡大戦略の効果の実 績と課題について ⑤ 松本美智子氏(健康を守る婦人会(東京)会長) には,住民の立場から結核予防婦人会の活動 についてご紹介をして頂く。 最後には森亨結核研究所所長からまとめのコメ ントを頂く。 2時間という限られた時間内であるが,結核を 取り巻く最近の疫学的,実践的,行政的情報や成果, 課題に関して,興味ある内容の討議がなされ,今 後の結核対策への重要な方向づくりがなされるこ とが期待される。 2/2006 複十字 No.308 5 第9回秩父宮妃記念結核予防功労賞 各賞受賞者紹介 財団法人結核予防会では,結核予防に大きな功績のあった方々,あるいは団体に対して結核予防功労者表彰制度を設け, 昭和24年度(第1回)から平成8年度(第48回)までに165人,24団体を結核予防全国大会式典の際に表彰してまいりま した。 平成7年8月25日逝去されました秩父宮妃殿下のご遺言に基づき,本会に賜りましたご遺贈金を原資として,結核予防 功労賞をさらに発展させ,賞の種類を増やし,授賞対象を世界にも広げ新たに「秩父宮妃記念結核予防功労賞」として 平成9年度(第1回)に創設されました。本賞は、結核予防の一層の推進を図るとともに,半世紀以上にわたり結核予防 会総裁をつとめられた妃殿下のご遺志にお応えし,その御名を永く留めようとするものであり平成16年度(第8回)まで に,110人,6団体が授賞しております。 今年度第9回の受賞者は世界賞1名,国際協力功労賞1団体,保健看護功労賞4名,事業功労賞1団体9名の計14名2団体 で,大会式典の中で総裁秋篠宮妃殿下より表彰が行われます。なお,世界賞については,10月末にパリで開催される IUATLD世界会議の席上で表彰されます。 *紹介文は表彰順 国際協力功労賞(団体) 世界賞 トーマス・R ・フリーデン Thomas R. Frieden 医師 国籍 アメリカ けっかく よぼう かい きょうとふ しぶ 結核予防会京都府支部 油谷 桂朗 北海道旭川市 北海道上川保健福祉 事務所保健福祉部こ ナー 2/2006 複十字 No.308 ひさえ 保健師 び精神衛生コミッショ 6 たかぎし 高岸 久江 結核予防会京都府支部長 ニューヨーク市保健及 トーマス・フリーデン博士は 米国生まれ,1986年に医学部を 卒業し,公衆衛生,感染症に関 する研鑚の後,米国疾病対策セ ンターに入り,1992年からニュ ーヨーク市に派遣される。ニュ ーヨークは1980年代から結核の 逆転上昇や多剤耐性結核の集団 感染の頻発など,結核問題が深 刻な様相を呈していたが,その 対策の中心人物の一人として強 力な対策の展開に努め,問題の 沈静化を果たした。1996年途上 国の結核対策に転進,WHO南西 アジア地域事務局に入り,イン ド駐在医官としてインドの DOTS拡大に大きな功績を挙げた。 2002年ニューヨーク市の保健局 長に抜擢され今日に至る。その 後も結核に関する重要な見解を 引き続き公表し,世界の結核対 策に発信を続けている。 保健看護功労賞 ども・保健推進課長 平成11年度より国際協力機構 の委託を受けて結核予防会結核 研究所が行っている国際研修で ある「国家結核対策プログラム 管理コース」に積極的に協力し, 6年間でアジア,アフリカ圏を 中心とした多くの国々の95名も の研修生の受け入れを行ってき た。 受け入れにあたっては,京都 府,国立病院機構南京都病院, 京都市保健所等への協力を呼び かけ,保健師や看護師に講演等 を求め,結核対策や結核患者看 護について研修生に理解の場を 提供している。また,結核予防 婦人会へ支援を要請し,婦人会 幹部による研修生との交流会を 毎年開催している。 昭和49年から道内保健所保健 師として活躍。結核・成人病対 策の総合的・先駆的取り組み, 保健師訪問支援状況等の情報提 供様式の作成と活用の徹底,「新 発生患者調査票」の作成と新発 生時対策の充実,結核患者の確 実な服薬指導に向けての「コホ ート調査」,「予防可能例の検 討」などで実績を残した。 結核対策特別促進事業として, ツベルクリン反応検査・BCG接 種技術の向上や院内感染予防に 尽力している。 さいとう すみ 齋藤 スミ 保健師 山形県山形市 山形県村山総合支庁保 健福祉環境部村山保健 所地域保健予防課長 第57回 結核予防 全国大会 昭和43年に山形県に奉職以来, 2年6カ月間結核病棟,その後脳 外科病棟で2年6カ月臨床看護活 動に従事後,32年間保健師活動 に従事。 肺結核在宅療養者の健康管理 として健康実態調査を実施し, その結果から低肺機能による在 宅酸素療養者の交流の場となる 呼吸器教室を開催し,呼吸不全 の症状の理解とQOL向上への支 援を行った。 平成14年から,県内のDOTS 事業の推進に貢献しており,現 在は結核危機管理訓練を開催し 地域における結核対策の更なる 推進に向け活躍している。 くすのせ みえ 楠瀬 美枝 保健師 高知県高知市 高知県高幡福祉保健 所地域調整主任 昭和47年高知県に就職以来, 駐在保健師として5市町村に勤務 し,担当市町村の保健衛生活動 に従事。平成10年に中核市とし て高知市保健所が発足した折, 感染症対策係長として県より派 遣され,高知市職員と共に結核・ 感染症対策の基盤作りに従事し た。在任中に発生した結核集団 感染事例では,予想をはるかに 越える事態が続いたにもかかわ らず,患者や家族を精神的に支 えながら,迅速かつきめ細かな 対応により円滑に定期外健診を 実施した。その報告書は,現在, 集団感染の対応にあたる全国の 保健師にとって貴重な参考書と なっている。平成13年からは高 知県健康増進課感染症班長とし て,罹患率の高い県の結核対策 に取り組んだ。 めかる たつみ 銘苅 辰美 保健師 沖縄県名護市 沖縄県北部福祉保健 所地域保健課課長 昭和49年から,県内保健所で 駐在保健師として,結核在宅患 者治療精度及び患者管理向上, 結核サーベイランスシステム事 業推進に尽力した。肺結核喀痰 塗抹陽性患者の治療成績の評価 調査事業や学校健診の効率化に 寄与し,県下小中学校のBCG接 種の評価技術向上に努めた。施 設長期入所高齢者への結核健診 実施により結核患者の早期発見 に寄与した。結核予防技術研修 事業の実践・協力などにも尽力 している。 事業功労賞(団体) あきたし けっかく よぼう ふじんかい 秋田市結核予防婦人会 秋田市結核予防婦人 会会長 河野 二三四 団体役員 秋田県秋田市 秋田市結核予防婦人 会会長 昭和40年2月に秋田市連合婦人 会を母体として,市中に蔓延す る結核を撲滅することを目的に 結成された。 秋田市の結核行政担当者との 連携を図り,結核住民台帳の整 理をはじめ地域住民への結核健 診の必要性を啓発するとともに, 個々の居宅を訪問するなど健診 の受診勧奨を積極的に行ってき た。結成当初の受診率40%から 改善し,80%となっている。 複十字シール街頭募金活動の 実施や,研修会の毎年企画など 独自の活動を展開している。 事業功労賞(個人) なりた まさひろ 成田 昌弘 医師 青森県黒石市 (財)青森県総合健診 センター常勤嘱託医師 青森県在職中は,昭和27年か ら平成9年までの多年にわたり結 2/2006 複十字 No.308 7 核対策に従事し,県内保健所長, 青森県保健所長会会長,東北地 区保健所長会副会長,全国保健 所長会理事,全国保健所長会名 誉会員を歴任した。 県退職後は,結核予防会青森 県支部の常勤嘱託医師として, 結核健診の読影及び肺がん健診 読影委員会の委員に従事してお り,現在に至っている。 ますむら ゆうじろう 増村 雄二郎 医師 群馬県太田市 増村医院院長 昭和26年群馬県渋川保健所を はじめとし,25年間,保健所・ 県立病院において結核の行政, 診療に取り組んだ。特に昭和40 年からは太田保健所管内,その 後館林保健所管内を合わせた結 核診査協議会委員として結核予 防事業に貢献している。 また,平成元年から14年まで 太田市学校保健会長として,学 校保健の発展に尽力し,現在太 田保健福祉事務所管内学校結核 対策委員を務めている。 なおこの間,太田医師会立看 護専門学校・看護専修学校の学 校長として,結核の看護教育に 当たった。 8 2/2006 複十字 No.308 しんや てるみ 新谷 昭眞 医師 埼玉県朝霞市 医療法人兼愛会新谷 医院理事長 昭和37年4月朝霞市に開院以来, 43年の長きにわたり地域住民の 健康維持増進に寄与してきた。 昭和42年から朝霞市立第六小学 校校医として38年間,児童生徒 への結核予防普及活動に尽力し ている。昭和49年3月から31年間 にわたり朝霞保健所結核診査協 議会の委員長を務めた他,結核 指導医研修会を組織し結核対策 に貢献した。平成15年には朝霞 地区結核対策委員会を立ち上げ, 教育委員会と学校医を中心とし て児童生徒の結核予防に取り組 んでいる。 まつだ としえ 松田 敏江 声楽家 東京都千代田区 秩父宮妃殿下ご別邸のあった 静岡県御殿場市東山湖畔におい て,昭和40年から平成8年まで毎 年夏に開催された「結核予防関 係婦人団体幹部講習会」で歌唱 指導を32年間毎年欠かさず継続 した。「歌の時間」の指導,夜 のキャンプファイアー(雨天時 はキャンドルサービス)での音 楽演出により婦人会員の志気を 大いに鼓舞した。平成9年から東 京都に場所を移してからも指導 を続けており,通算すると40年 以上の継続は,多大な功績であ る。 複十字シール募金に,昭和56年, 57年の2回,ポスターのモデルと して協力し,結核予防事業推進 に貢献している。 たかはし よしろう 高橋 義郎 医師 長野県塩尻市 高橋内科医院院長 昭和26年から新潟大学桂内科 研究生,昭和28年から東北大学 抗酸菌病研究所を経て昭和39年 から現在地に医院を開業し現在 に至る。昭和49年から23年間松 本保健所結核診査協議会委員, 昭和62年から長野県医師会肺癌 検診検討委員長及び成人病検診 管理指導協議会肺癌部会員を二 期務めた。現在も塩筑地域市町 村住民の肺結核・肺癌の早期発 見に努めている。また,昭和43 年から塩尻中学校校医を務め現 在に至るなかで,生徒のツ反陽 転率向上のため,乾燥BCGの接 種方法改善や塩尻市ディスポ管 針移行などに尽力した。 第57回 結核予防 全国大会 はたの もといち 波多野 基一 医師 福井県福井市 医療法人雄久会ひかり ケアホーム嘱託医師 昭和25年以降,千葉大学,金 沢大学,神戸大学,福井医科大 学に勤務した後,金沢大学がん 研究所長を経て,昭和63年から 平成6年まで福井県衛生研究所 長として県結核感染症予防対策 委員会委員を務めるなど,県の 保健衛生の向上に貢献した。 平成5年から17年までは,結 核予防会福井県支部副支部長に 就任,支部長を補佐し,研修会 の開催や広報等の普及啓発を中 心とした福井県民の結核の予防 に関する事業に尽力した。 特に,結核関係婦人団体であ る「健康を守る女性の会」の活 動に積極的に参加し,また予防 研修会を開催し講演するなど連 携を図り,同会組織の強化,充 実に努めた。 くさがわ みのる 草川 實 医師 三重県津市 (財)三重県健康管理 事業センター副理事 長兼診療所特別顧問 昭和31年から36年間三重大学 医学部において,胸部外科教授, 附属病院院長を併任後,国立療 養所静澄病院,結核予防会三重 県支部で要職を歴任し,現在に 至っている。 三重県内で47年間結核診療を 続けて,地域医療に積極的に参 画してきた。県内保健所の結核 診査協議会委員,三重県学校職 員結核審査会委員等としても活 躍している。現在も健診や胸部 X線フィルム読影を続け後任の 指導育成を行い,結核及び胸部 疾患の早期発見に尽力している。 たなか としこ 田中 敏子 団体役員 高知県幡多郡大方町 高知県健康づくり婦 人会連合会会長 昭和45年から,県内外の各地 で婦人会活動に携わり,平成7 年には高知県連合婦人会長(平 成14年まで),同時に高知県健 康づくり婦人会連合会会長に就 任し現在に至っている。健康増 進,社会生活全般における婦人 の果たす役割を深く認識し,長 年の経験を踏まえ積極的に婦人 会活動に取り組み,持ち前のア イディアと力強い指導力で培っ た多大な影響力と功績は県内に とどまらず,平成15年3月より全 国結核予防婦人団体連絡協議会 中国・四国地区理事として会の 運営にも参画しており,全国的 なものとなっている。また,「健 康づくりは幸せづくり」や「シ ール募金は健康募金」の標語の 産みの親でもあり,シール募金 活動にも組織を挙げて熱心に取 り組んでいる。 ごとう ありと 後藤 有人 医師 宮崎県宮崎市 (財) 宮崎県健康づくり 協会委嘱医師 昭和34年から,鹿児島大学医 学部放射線医学教室,東京都立 駒込病院放射線科医長,東京都 衛生局主幹,都立放射線専門学 校長,都立医療技術短期大学診 療放射線学科長(教授)と,特 に放射線医学の分野の要職を歴 任し,平成6年から宮崎県に奉 職し延岡保健所長,10年から中 央保健所長を務めた。 平成11年からは結核予防会宮 崎県支部の健診部長として,フ ィルム読影,宮崎県全体の結核 健診精度の向上に尽力し,現在 も,協会委嘱医師として,結核 予防の第一線で活躍している。 2/2006 複十字 No.308 9 シリーズ かたき病――結核(1) 日本の結核ゼロの日は, いつやってくるのでしょうか? 「かたき病(やまい)」という言葉は, 巻頭の 総裁御歌よりお許しを頂き, シリーズ名に頂戴しました。 1 次は結核! 天然痘は根絶できたのですから 天然痘はソマリアで発生した1人の患者を最後 として,1977年に地球から根絶されました。天然 痘には,種痘という予防ワクチンがあり,徹底的 に実施することで防ぐことができました。もし発 病しても通報して貰って,感染に注意するよう, 周囲の町や村の人に残らず種痘をうち,ウイルス を封じ込めました。また,生命に関係する恐ろし い病気だったため,住民の協力的な意識も根絶に 向かった大きな要因です。 結核も感染症の一つですし,リファンピシンな ど非常に良く効く薬もたくさんあります。天然痘 の根絶からそろそろ30年近くになりますので,結 核の根絶も遠いことではないと考えるのも当然の ことでしょう。 ところが残念ながら,結核の根絶はそれ程簡単 ではありません。次の3つの違いがその主な理由 です。第一に,結核の予防ワクチンBCGは,発病 をほぼ完全に防ぐ天然痘のワクチン(種痘)と違い, それほど強力ではありません。子供の粟粒結核や 髄膜炎は8割くらい防ぎますが,肺結核は5割く らいです。第二に,天然痘は発病すれば誰にでも すぐに分かるので隔離など感染防止策をとること ができますが,結核は発病しても当人は平気,医 師が診ても診断に迷う場合があるほどで,周りの 人に感染させてしまうことも決して少なくありま せん。そして第三に,結核は一度感染すると,1, 2年無事だった人でも5年後,10年後,時にはも っとずっと後になって発病することもあります。 感染後20日くらい無事ならその後一生の間発病す る心配がない天然痘とは大きく違います。 このような病気の違いのために,結核は天然痘 と同じ方法では根絶できません。それ程簡単には いかないのです。 2 結核の根絶はいつの日でしょうか? それにしても結核はいつ,根絶の日を迎えるの 10 2/2006 複十字 No.308 でしょうか? 答えは残念ながら,「今のままで いけば100年後,200年後にも達成できないでしょう」 というほかありません。 既に述べたように,結核は一度感染を受けると, 10年,20年無事に過ごしても,30年後に発病する かも知れません。肺にできた小さな病巣に閉じこ められた結核菌は20年でも30年でもじっと生き続け, 何らかの理由で抵抗力が弱くなると増殖を始め, 発病することがあるからです。つまり,国民の中 に結核の感染者がいる限りいつ発病するか分から ない。厳格にいえば,国民の中に感染者が一人も いなくなってはじめて,日本の結核が完全に根絶 できたと言えるというわけです。 今年生まれた赤ちゃんが結核に感染したとすれば, 今後70年,80年は生きるでしょう。その間は根絶 といえない訳です。 3 もっと現実的に考えれば・・・・ 1970年代,80年代には欧米先進国の多くで結核 が順調に減少していました。そして学者達はこの まま減り続けると考えていました。とすれば,ど うなったら「結核対策の手を抜いていい」と言え るのか,議論されました。厳密な意味での根絶で はなく,「公衆衛生学的立場から根絶といえるレ ベル」を考えようとしたわけです。 世界の学者に最も広く受け入れられたものは, IUATLD(国際結核肺疾患予防連合)の学術委員 長をしていたStybloの提案1)でした。この定義は, 「ある国の塗抹陽性肺結核罹患率が10万人につき 0.1人以下,または,結核に感染している者(結核 既感染者)が全国民の1%以下になれば根絶という ものでした。Stybloは自国オランダのデータを分 析し,オランダの結核がこの状態に達するのは 2025年と推測しました。1つの国の結核根絶を予 測した初めての研究です。その後,多くの欧米諸 国でも同様の検討が行われ,およそ2030〜35年頃 にはこのレベルに達するという報告が相次ぎました。 わが国でも同様の検討2)が行われています。わ が国では,BCG接種が広く行われているため,国 民の結核既感染率を推定することが難しいとか, 塗抹陽性罹患率は1975年以後はじめて報告される ようになったためデータの信頼性に問題があるなど, 推測を行う上で困難なことがありましたが,この 定義によるわが国の結核根絶は2060〜2065年と推 測されたのでした。60年後のことというわけです。 わが国の人口はおおよそ1億2,000万人ですので, 2060 年頃になれば1年間に新しく発生する塗抹陽性肺結 核患者は10万人に0.1人,全国で120人くらいにな るだろう,あるいは,1億2,000万人のうち結核既 感染者は120万人だけで,残りの1億1,880万人は結 核に感染していないだろうというわけです。 4 この予測は本当に信用できますか? これらの予測は今のところ最も信頼出来る予測で, これを上回る論文はないようです。もちろん,将 来の予測なので,はずれることもあります。根絶 が遅れる主な因子として,①AIDSの拡大と,②結 核が多い途上国からの移民・難民の流入,③経済 的不況などの社会・経済的変動が考えられます。 さらに,④結核を過去の病気と考えて対策の手を 緩めれば,減少が遅くなる可能性があります。結 核の根絶を遅くする主な因子はこの4つです。 現に,図に見るように,米 国では19 80年代の後 100 半から90年代の前半にかけて結核罹患率が上昇し ましたが,この4つのすべてのためと考えられて います。2025年に根絶の域に達すると予測されて いたオランダでも,主として移民の流入のために 結核が著しく増えています。実際にはオランダ本 国人だけで見るとほぼ予測どおりに減少している のですが,外国からの労働者の流入が続き,最近 ではオランダの新登録結核患者の60%以上が外国 から来た人たちで占めているのです。 このような事情のため,以前のように「結核根絶」 が論じられることは欧米ではほとんどなくなって しまいました。このままでいけばオランダでも 2025年に根絶のレベルに達することはできないと 考えられます。 わが国の結核減少も1980年頃から鈍化していま すが,これは過去(1950年頃まで)の著しい結核 まん延の影響と国民の老齢化を主な理由としており, 欧米とは理由が異なっています。しかし,今後は 外国人の流入の影響やAIDSの影響が無いとはいえ ません。 逆に,根絶を促進する要因として考えられるこ とは,結核化学療法などの学問の進歩です。結核 の感染を受けてできた肺の中の小さな病巣の中の 結核菌は,20年でも30年でも生き残ることがあり ますが,もし強力な薬が出来てこの眠った菌を殺 菌することが出来れば発病者は急速に減り根絶は 早まるでしょう。最近,強力な薬剤の開発が急速 に進んでおり決して不可能なことではありません。 5 まとめ 残念ながら今のままではわが国の結核根絶は早 くても2060年以後と考えられます。およそ60年後 よりも先のことです。これをさらに遅くする要因 も考えられます。もし結核対策の手を緩めればさ らに遅れるでしょう。まだまだ油断できないのです。 10 1)Styblo,K. The elimination of tuberculosis in the Netherlands. Bull IUATLD. 1990;65:49-55. 2)大森正子 1 1975 わが国における結核の根絶年の予測,結核, 1991;66:819-28. 80 85 90 95 2000 年 2/2006 複十字 No.308 11 Use Use DOTS DOTS More More Widely Widely 結核予防婦人会と連携したDOTSの試み 1. はじめに 効果的な結核対策を推進するため,DOTSの重要性 が指摘されています。改正された結核予防法にも DOTSの考え方が導入され,限られた人的物的資源の 中で,DOTSを効果的に展開し拡大していくことが求 められています。そのためには,DOTSを実施できる 体制の整備が重要となります。早期の退院が可能と なりつつある現状で,地域におけるDOTS実施体制の DOTS劇 整備が急務となっています。 私が昨年まで勤務していた沖縄県中部保健所では, 図は沖縄県中部保健所におけるDOTS事業の流れで 結核予防婦人会と連携したDOTSを開始しました。本 すが,婦人会は青線で囲んだ部分に協力して頂いて 稿では,その経緯や活動について紹介したいと思い おります。最初の頃,会員の皆さんは「訪問で感染 ます。 するのでは」といった不安が強かったようですが, とりあえず,沖縄市結核予防婦人会員数人による訪 2. DOTS導入までの経緯 沖縄県中部保健所では,地域DOTSに向けて,業務 の整理を通して人と時間を確保し,協力者の確保に 問と服薬確認への協力が始まりました。 DOTS事業における婦人会の役割 所内DOTS検討会議 努めて体制を整備してきました。全結核患者への DOTS実施を目指していたこともあり,年間約100件 退院前調整会議 ・ケース選定 1回/月開催 ・健康推進課長を含めた疾病対策予防班職員 ・その他の関係者 ・対象者本人 ・主治医および病院関係者 ・保健師および保健所関係者 ・地域関係者(ヘルパー・訪問看護・ボランティア等) の新登録患者数に対してスタッフだけでDOTSを実施 するには限界がありました。 地域DOTSの実施 ☆主治医 との連携 ☆関係者との連携 (結核予防婦人会) 検討の末,所外協力者として,結核予防週間など で保健所と一緒に地域の結核対策,予防活動を行っ ☆DOT 地域DOTS評価会議 ・1回/月開催(第3火曜日) ・必要に応じて関係機関・地域関係者と連携 ・服薬終了時に総合評価の実施(2回/年) てきた実績と長い歴史を持つ結核予防婦人会にお願 いすることにしました。まず,結核予防会沖縄県支部, 地域DOTSの実施にあたっては,患者さんの家に伺 沖縄県結核予防婦人連絡協議会へDOTS事業の説明を って薬がきちんと飲まれているか患者さんに確認し, 行い,その後,中部地区婦人連合会,沖縄市婦人連 薬の空きシートの入ったビニールを数え,残ってい 合会と学習会や話し合いを重ねました。そして,結 る薬がないかチェックします。そして,確認後は, 核予防婦人会会員の中から協力者を募り,保健師と 薬の空きシートを保健所に届けてもらっています。 の同伴訪問あるいは保健所と連絡を取っての婦人会 訪問した結核予防婦人会員や保健師の報告によると, 員だけの訪問を行うことにしました。 DOTSは単なる服薬確認にとどまらず,患者さんの話 を聞くことが患者さんの大きな支えにもなっている 3. 沖縄県中部保健所と結核予防婦人会が連携 したDOTS 12 ことが伺えます。 写真は,保健師が沖縄市結核予防婦人会員(向か 写真は,2003年7月に開催された県の結核研修会 って左)と初めてDOTS訪問をした時のものです。こ における,保健所職員と沖縄市結核予防婦人会員に の日から,沖縄市内の82才男性の患者さんに対する よるDOTS劇の上演風景です。 沖縄市結核予防婦人会の訪問が始まりました。 2/2006 複十字 No.308 して,結核の治療や耐性菌の事を学ぶことができま したが,DOTS訪問でも,いい勉強になりました。訪 問では患者さんのほうからいろいろな話をして下さり, 最初緊張していましたが,終わる頃には服薬確認だ けでなく,楽しく時間をすごす事ができました。い やーほんと楽しかったですよ。」 「これまで私たち結核予防婦人会は複十字シール 募金への協力,結核予防週間での啓発活動に携わっ 最初の婦人会訪問 てきました。また,結核研修会やDOTS劇を通して結 次の写真は,DOTS訪問最後の日に,訪問した結核 核について学んできました。結核についてはよく知 予防婦人会員3人と患者さんで,治療終了のお疲れ っているつもりでしたが,今回の中部保健所との 様会と激励会を行った時のものです。この患者さんは, DOTS訪問を通して実際の結核患者さんにふれ,まだ 5カ月間の入院後に訪問DOTS4カ月,計9カ月間の まだ,結核は大きな問題であると実感しています。 服薬治療を終了しました。2005年12月までに,計8 なぜ大きな問題かといいますと,地域にまだ,たく 人の中部地区結核予防婦人会員の方々が,5例の結 さんの患者さんがいらっしゃるという事実,しかも 核患者さんのDOTSに協力して下さいました(2006年 目の前におられ,たくさんの薬を,それも1日に何 1月現在,全例治療完了)。 十錠という量の薬を服用されておられました。退院 時は非常にやせて大丈夫かと心配するほどでしたが, 薬を飲み終わる頃にはずいぶん元気になられ,治療 をすれば確実に治り人にうつす心配もない病気であ ることもわかり,きちんと治療することがどんなに 重要かを学ぶことができました。」 「結核予防婦人会が訪問することを患者さんが受 け入れてくださり,喜んでくださったことは大きな 励みにもなり今後,新たな活動としてDOTS訪問に協 DOTS終了後激励会 その後も,年に数回,地区結核予防婦人会の会合 等でDOTSに関する勉強会を続けるとともに,婦人会 員の皆さんは活動について県内や九州地区の結核関 連研修会で発表し,好評を博しております。 力していきたいと考えています。」 5. おわりに 効果的な地域DOTSを実施するにはまだまだ多くの 課題があり,実施にあたっては,種々の制約の中で さらに,DOTSに協力して下さった婦人会員の方に 工夫を重ねていく必要があります。保健所が地域 は,地域DOTS評価会議にも参加して頂いております。 DOTSの中心になると思いますが,現代は,専門家の みが対策を進めるだけでは十分な成果に結びつかな 4. DOTSに協力して下さった結核予防婦人会員の声 い時代になりました。人や組織など地域が持ってい 「地域に結核患者さんなんて本当にいるの? と思 る力を組み合わせることで,住民の幸せにつながる っていましたが実際に訪問してびっくりしました。 活動が展開できます。それは,DOTSにも当てはまる 患者さんから,入院中の話を聞いて,若い人もいる ことだ思います。 事を聞いて,まだまだ結核の患者さんはいるんだな ーと実感しました。服薬の声かけのために訪問して 最後に,DOTSに協力して下さった結核予防婦人会 員の声を紹介して,本稿を終えたいと思います。 みて,患者さんが薬を飲み続けながら,だんだん元 「地域から結核をなくしていくために皆さんも 気になっていくのを見て,最後まで飲み終わって元 DOTS支援者としての活動を始められることを呼びか 気な姿を見ることができました。こんな小さな協力が, けたいと思います。」 役に立ってもらえるのだから私達は協力していきた いと思っています。いつでも,みんなに呼びかけて 行きたいと思います。」 「これまで結核の勉強会を自分の地域でやるため にビデオ上映をしましたが,実際に訪問するまで実 感がなかったです。患者さんは,元気そうにしてい るのに,たくさんの薬を飲まないといけないのは, 本当に大変だなーと思いました。昨年DOTS劇に参加 中部地区結核予防婦人会の各支部会長 2/2006 複十字 No.308 13 ● 第27回(平成17年度)事務職員セミナー報告 事務職としての 意識改革とともに, 参加者の 相互交流を図る 去る1月10日〜12日,結核予防会事務職員を対 象に,結核研究所において,日々の業務を見つめ 直し,3年〜10年というキャリアをさらに高める ため,北は北海道から南は沖縄まで,総勢37名が 参加。参加者を代表して,2名よりセミナー参加 の報告をお願いしました。プログラムについては, 予防会だより(p.39)をご参照ください。 結核予防会事務職員 セミナーの報告 結核予防会山形県支部 山形検診センター 横尾 義成 平成十七年度事務職員セミナーは,結核予防会 支部職員の資質の向上などを目的として,三日間 にわたり開催されました。 結核の知識や,結核予防会事業の講義では,普 段の健診業務で結核に深くかかわりを持ちながら, 自分の結核への知識のなさを痛感しました。また, 海外の発展途上国などでは,結核が大変大きな問 題になっているとの講義をいただき,結核の治療 の成功をめざしDOTSを中心に据えた患者,支 援者双方の治療教育の大切さを実感し,日本だけ 結核が減少すればよいという考えではなく世界の 結核問題に取り組むという大きな視野が必要であ ると感じました。 研修二日目の班別討議では,「まずは意識改革。 そして,職場全体へつなげよう!」との討議題目の もと,普段同じ事務職員として働いている全国の 支部の方々と,職場の悩みや,自己の悩みを助言 者のアドバイスのもと率直に意見交換をし,討論 を深めました。組織から事務職員は何を求められ ているのか,また,これから支部を担う中核的な 事務職員になるために,自分たちは何をしなくて はいけないのかを討議し,同じ事務職員として共 感できる意見や,自分のこれからの仕事への取り 組み方を考えさせられる意見など,大変貴重な討 議でありました。そこで交わされた班員の意見を 14 2/2006 複十字 No.308 もとに,自己業務を見直して,改善改革の風土を 作り出すためには,「上司,他係といろいろなこと が言い合える職場づくりを目指す」,「自分が日々 疑問に思ったこと,感じたことを提案し行動に移す」, 「周囲の人から信頼され任せられる職員になり事務 のプロフェッショナルになる」,このような各自の 仕事への取り組みで日々努力しようと,班員で意 識を高め合いました。 今回の班別討議では,司会・発表者を務めさせ ていただきました。議題にそって班員の意見を聴き, 意見集約しながら進行し,班としての考えを時間 内にまとめ,全体討議で発表するという大変貴重 な経験もでき,実りある班別討議になりました。 最終日に行われた,「心のふれあう接遇サービス」 の講義では,研修三日目ということもあり終始な ごやかな雰囲気のもと,接遇マナーの重要性を学 びました。 日々の仕事で,受診者や外部の方と接する機会 の多い中,仕事の忙しさに甘え,相手に思いやり の気持ちを持った行動が,自分には欠けていたと 感じました。 今回,接遇マナーの基本,挨拶,表情,身だし なみ,言葉遣い,態度を,実践を含めた形で学び, 一人一人が組織の代表であることを頭の中に常に 置き,お客様を大切にする心を忘れず,しっかり としたマナーで仕事に取り組みたいと思います。 今回の研修で学んだことを実行し,自分の意思 で考え,動き,具体案をしっかりもって行動でき る事務職員になろうと決意しました。 最後に,講義,助言を頂いた先生方に,この場 をお借りして深く感謝申し上げます。 事務職員セミナー報告 結核予防会福島県支部 総務部情報管理課 主事 馬場 力 情報管理課に所属し,日々プログラム開発など の仕事を行っておりますが,日頃の実務を振り返 るべく,事務職員セミナーに参加しましたので, 報告いたします。 一日目は,講義形式で,結核に対する知識と歴 史の説明,近年の医療サポート業界の動き・その 理由と今後の動向,昨年実稼動した結核予防会ネ ットワーク事業について,結核予防会の活動,国 際活動とこれから起こるであろうマクロ的問題の 示唆など,非常に内容の濃いものでした。 特に,青木会長の「結核の知識,結核予防法改 正後の現状」では,自分ではなかなか知ることが 難しい結核の歴史や,最新の結核診断クォンティ フェロン−G2,また,注目される新しい抗結核薬 のことなどを伺いました。実務では聞きなれない 言葉でしたが,結核についての理解が深まり,よ り一層自分の仕事の意味も考えることができました。 二日目は,シンポジウムで4人の講師 縄田屋氏, 山根氏,足立氏,飯田氏に「組織が求める事務職 員像とは」を題材に以下のものを講義していただ きました。 「自分たちの立場と組織に求められる人材,自 分の意思で行動するプロ意識」,「組織が求める プロの資質と人材,相手から求められる心遣い」, 「健診機関が置かれている社会環境と職員への期 待」,「より良い職員像と組織ネットワーク」,「法 律や保険制度・国の方針を理解し経営意識を取り 入れたプロ」,「これからの渉外担当の理想像と 実施例」,「赤字解消の基本方針の告示と実施例 そして成果」,「毎月一回の症例検討会(品質向 上活動),毎月一回経営者との意見交換会(ES 向上活動)」,「組織の透明性アップ(情報の共 有)」,「課の壁を越えたグループ業務発表会」, 「ヒヤリ・ハット報告と検討会,そして成果(品 質管理)」など各支部や事業所での実践例を目の あたりにし,どれも日常業務改善のヒントになり, 身に染みて感じました。 シンポジウムの後,10人ずつの班になりサブタ イトル「まずは,意識改革。そして,職場全体へ つなげよう!」として議題(問題点)を出し合い, 各支部の話を比較しながら共通する問題・疑問を 引き続き討議,各班発表をしました。 それぞれの班は議題に「なぜ今意識改革が必要 なのか? また必要なものとは?」,「渉外担当が 健診価格を下げざるを得ない状況と対策」,「技 術職と事務職の連携」,「正職員の減少と臨時職 員の増加と接遇サービス」,「職場内の壁(風通 しの悪さ)」,「経営状態の悪化への対策」を挙 げて先の先生方に助言をいただきながら普段出来 ない(していない)職務の不安などの話をさせて いただきました。 いろいろな所から出る問題点を一つ一つ解決し ていくなかで, ① 自分自身がまず,受診者・保健師・労働衛生 担当者などの相手が求めるものを理解する。 (クレームであれば,どうして防げないかを 考える。) ② その上で,CS(顧客満足)を達成するため に何ができるかを考え提案する。 ③ 上司に報告・相談し,実現をめざす。 ④ それを踏まえて,次の課題に向かって組織全 体で業務改善を実践する。 以上のことが見えてきました。 実際に,新山手病院のヒヤリ・ハット報告は, ひとつのモデルとして披露されました。通常なら 上司に報告→さらに上司に報告・他の課に連絡→ 検討会(相談)→関係課にのみ回答を連絡とかなり時 間と手間が掛かるものですが,新山手病院のシス テムはインターネットで対策部会に直接報告→定 期的に検討会(相談)→広報連絡と3手順で済みます。 このシステムであれば,現場に居合わせなくても, 情報を共有化し,報告を受けたあとの意識改革に つなげることができる画期的な方法だと思いました。 ここでは職種も立場も違っているところでも共通 認識ができるため,技術職・事務職と区分けする ことなく,プロ意識で仕事をする基盤ができると も感じました。 三日目はJALアカデミーの山脇氏より接遇サ ービスと親しまれるスタッフについて講義してい ただきました。接遇マナーの基本5原則を身につけ, 顧客や受診者に安心と歓心を買ってもらい信頼を 得る接客コミュニケーション実習をしました。最 後に島尾顧問より,煙草とHIVと結核の接点と 統計的傾向の講義を受けました。 多くの情報交換と先進的な先生方の話を受講で きてとても有意義な研修会になりました。今後も 多くの人に受講していただきたいと思います。また, 最後になりましたが,講義をしてくださいました 先生方にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。 2/2006 複十字 No.308 15 新抗結核薬の開発状況, 大塚製薬の新薬 OPC-67683について 抗結核薬開発の分野では目下,米国FDA(食品医 OPC-67683は昨年2005年12月16〜19日に米国 薬品局)のバックアップとBill and Melinda Gates Washington DCで開催された45th ICAAC(Interscience Foundation(ビルゲイツ財団)の資金援助を背景に Conference on Antimicrobial Agents & Chemotherapy; Global Alliance for TB Drug Development (TB ASM,抗菌薬および化学療法に関する国際学会)で という国際組織が新抗結核薬開発 全面的に世界に公表され,今学会においてOPC-67683 のための民間企業への資金援助を含む支援活動を展 は世界中の研究者からもっとも注目を浴びるトピッ 開しており,世界各国33の研究機関・大学・企業が クスの一つとなった1)- 7)。 Alliance: GATB) GATBの活動を支えている。日本からは「結核研究所」 新しい抗結核薬・候補化合物の研究開発過程は最 が唯一のStakeholder研究機関として参画し支援活動 近6〜7年余の間に長足の進展を遂げた。結果,世界 を続けている。世界では現在7種類の抗結核薬の候補 的な克服課題として憂慮されてきた多剤耐性結核(MDR- 化合物が臨床試験段階を経過中であり,TB Allianceは TB)の問題は5〜7年以内に確実に治療可能な疾患と 2010〜2015年までに結核の標準治療期間を3(〜 4 ) ヵ月 して射程距離圏内に捉えることができるに至った。 に短縮するための具体的な開発戦略プログラムを提 現在,私たちが照準を絞っているのはHIV/TBであり, 起している。 いかにしてMDR-TBを含む既存の肺結核とHIV/TB 日本の大塚製薬(株)が開発中の新薬(nitroimidazooxazole OPC - 67683)は,米国Chiron 社が開発中の nitroimidazopyran PA-824(2005年12月現在,臨床試 験・第Ⅰ相の段階)と同一クラスの候補化合物で, 2006年現在,臨床試験・第Ⅱ相の段階にある。後発 のNovartis Pharma 社も合成コストを削減し安全性 と抗菌力に優れた次世代nitroimidazole誘導体の開発 プロジェクトを開始しており(2004年),現在OPC67683は大変な激戦区の渦中に置かれている。 OPC-67683の抗 - 抗酸菌活性のprofile(抗菌活性ス ペクトル,作用機序・標的部位,物理化学的性質) は同属化合物PA-824に類似しており,OPC-67683と PA-824は相互に交差耐性を示す。すなわちOPC67683はPA-824と同様,結核菌の細胞壁脂質ミコール 酸の生合成を阻害する作用機序を有し,対数増殖期 にある結核菌に対しても分裂増殖停止期の結核菌に 対しても,ともに殺菌的な活性を示す。また,OPC67683,PA-824ともに結核菌に対してのみ特異的な殺 菌活性を示すが,他の抗酸菌種や一般の細菌に対し てはほとんど活性を示さない。私たちの研究結果では, 抗菌力活性,安全性ともにOPC-67683のほうがPA824を上回っている。体内動態と治療効果の相関 profileでは,OPC-67683はCmax依存的な性質を示す。 さらに,OPC-67683,PA-824ともに宿主・肝臓内の 薬物代謝関連酵素系cytochrome P450 のアイソザイム CYP 3A4に対して影響を及ぼさないため,HIV/結核 の合併症治療において抗HIV薬(プロテアーゼ阻害 剤等)と同時投与が可能と考えられ,次世代の結核 化学療法で主薬の任を果たす新薬のひとつとして期 待されている。 16 2/2006 複十字 No.308 を「新しい短期強化化学療法」で効率的に治療するか, である。 2006年3月24日世界結核デーテーマが決定! 結核のない世界へ 命へのアクション! Action for life: towards a world free of tuberculosis カンボジアの医学生による結核に関する演劇 世界結核デーテーマ:「命へのアクション」は結核患 ある75%患者発見および85%治療成功率において世界目 者の命を救う/健康な生活を推進することを提唱してお 標を達成した(2003年)。ベトナムは世界22カ国の高ま り,「結核のない世界へ」はストップ結核パートナーシ ん延国の中で唯一目標を達成した国である。続いてカン ップの最終的な目標を示している。 ボジア,ミャンマー,フィリピンが目標を達成しつつあ る。これらはいずれも結核予防会が人材育成・技術支援 世界結核デーとは? してきた国々である。 1882年3月24日,ロベルト・コッホは結核菌の発見を エイズによる結核対策への影響は深刻である。 学会で発表した。WHO(世界保健機関)はそれから100 UNAIDS( 国連合同エイズ計画)及びWHOが始めた「3 年たった20世紀にもまだ結核を根絶できていないという by 5 イニシアティブ」という政策により膨大な数の抗 状況を打破するため,1997年の世界保健総会で,この日 HIV治療薬がエイズ蔓延国へ入ってきており,エイズ蔓 を正式に「世界結核デー」と制定した。 延地域の結核対策において,結核治療とエイズ治療の併 用が始まっているため,エイズ対策計画との連携を急速 世界結核デーの目的 に強化する必要がある。 2006年の世界結核デーの目的は結核と闘うために様々 患者の治療へのアクセスを拡大するための公的医療機 な方面から支援を得ることである。そして一般大衆を動 関と私的医療機関との連携,結核・エイズ対策計画の連 員することによって結核に対する認識を高め,政府や援 携,地域社会におけるDOTSによる国の結核対策とNGO 助国が結核対策に資金提供をするように政治的関与を促 との連携が強化されてきているため,国レベルでも他の す。そこで,結核対策が世界の優先的な課題として位置 保健事業,関係機関,援助団体,NGOとの調整がます 付けられ,2050年までに重要な公衆衛生問題でなくなる ます重要となってきている。また,ストップ結核パート ようにすることをめざしている。 ナーシップでのアドボカシー作業部会の活動が開始され たこともあり国レベルでのアドボカシー戦略作成が急務 ストップ結核世界計画II(2006-2015年) ストップ結核パートナーシップは1月27日に「ストッ プ結核世界計画II(2006-2015年)」を公表した。この計画 となっている。 ストップ結核パートナーシップはストップ結核戦略を 3月に発表する予定である。 にはミレニアム開発目標1と,2015年までに結核による 死亡率と有病率を半減するというストップ結核パートナ ーシップの目標に沿って世界の結核の状況にインパクト を与えるような活動が示されている。この計画は,2050 年までに結核が世界の公衆衛生の問題ではなくなるとい う長期的な目標への一歩となる。 出典:国連開発計画 ミレニアム開発目標 ストップ結核パートナーシップ http://www.undp.or.jp Campaign Planning for World TB Day 2006 ストップ結核パートナーシップホームページ http://www.stoptb.org WHO ストップ結核 The Stop TB Strategy WHO Report 2005 世界の結核 1. ミレニアム開発目標(MDGs):2000年9月ニューヨークで開催さ 新規結核発生数は2003年には880万人(10万対140)と推 れた国連ミレニアム・サミットに参加した147の国家元首を含 定されており,そのうち,390万人(10万人対62)が喀痰塗 む189の加盟国は,21世紀の国際社会の目標として国連ミレニ 抹陽性であり,674,000人(10万対11)がHIVに感染して アム宣言を採択した。このミレニアム宣言は,平和と安全,開 いる。さらに2003年には約170万人(10万対28)が結核 発と貧困,環境,人権とよい統治,アフリカの特別なニーズな で死亡している。この中には,HIVとの重複感染による どを課題として掲げ,21世紀の国連の役割に関する明確な方向 死亡(229,000)も含まれている。DOTS戦略は世界に拡大 し続けており,2003年現在で合計183 カ 国がDOTS戦略 を行っている。そして2003年末には,世界の人口の77% にDOTSが普及した。2003年にDOTS実施地域で報告さ れた喀痰塗抹陽性患者のうち,63%はインドと中国で占 めている。WHOの推定によると,22 カ国が世界目標で 性を示した。そして国連ミレニアム宣言と1990年代に開催され た主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し, 一つの共通の枠組みとしてまとめられたのがミレニアム開発目 標である。 目標 6:HIV/エイズ,マラリア,その他の疾病の蔓延防止 ターゲット 8:マラリア及びその他の主要な疾病の発生を2015 年までに阻止し,その後発生率を下げる。 2/2006 複十字 No.308 17 英国リーズスタディツアー報告 結核予防会結核研究所は,厚生労働科学研究補 助による新興・再興感染症研究事業「効果的な結 核対策に関する研究」(主任研究者:石川信克) の一環として平成17年11月19日〜26日に石川信克 副所長をリーダーに英国リーズにスタディツアー を行った。このツアーは,昨年実施したロンドン スタディツアー(本誌299号に報告)の成果を踏ま えて,地方都市における対策の実施状況を視察す ることにより,将来わが国にも到来するものと期 待される低蔓延状況下における結核対策のあり方 を検討することを主目的に行われた。健康保全局 (Health Protection Agency;以下HPA)西ヨー クシャー地区感染症対策部長Martin Schweiger博 士のご厚意によって,HPAを中心とした組織や対 策から臨床まで幅広く内容の濃いツアーとなった。 ●リーズにおける結核対策の概要 リーズの結核罹患率は人口10万対11.3で外国生 まれが半数以上を占めており,英国の平均的な罹 患状況である。ここのHPAでは5人の感染症専門 医(CCDC)と16人のスタッフが管轄地域の人口225 万人の感染症対策を所管している。患者発見は一 般医(以下GP)あるいは他の専門医からの紹介が 多いが,低蔓延のためしばしば結核が疑われない ために,診断の遅れが問題になっている。わが国 においても既に起こっている問題である。英国の 標準治療は2HREZ+4HRであるが,処方はGPに委 任されておらず病院の結核クリニックで行われて いる。すなわち,結核医療は二次医療となっている。 このことは低蔓延下で医療の質を確保する意味で 重要なことと思われる。リーズでは,入院治療は 患者の一般状態が悪いために必要なとき,あるい は多剤耐性菌の場合に限られ,塗抹陽性であって も治療開始当初は家族以外に接触しないことを前 提に家庭での治療となる。入院の場合は原則的に 陰圧個室管理で治療される。多剤耐性結核患者の 場合,入院期間が長くなるために,精神的な問題 を起こすことが大きな問題とされている。DOTは 日本型DOTSのA型と同じような考え方で,ホーム レスや中断歴があるなど服薬不良となるリスクが 高い者に限って行われている。サーベイランスは 18 2/2006 複十字 No.308 ツアー参加者。執筆者は左から3番目・結核研究所加藤氏, 右から2番目・朝霞保健所當山氏,右から3番目・大阪大学高鳥毛氏 病原体について情報及び菌株は検査室からHPAに 直接送られ,また,地方単位で分子疫学的調査も 始まっている。 リーズスタディツアーから 朝霞保健所保健師 當山 紀子 ●移民者への結核対策について リーズに位置するヨークシャーとハンバー地域 の結核患者の中で,外国生まれの患者の占める割 合は,半数以上であり,更に増加傾向にありました。 結核対策チームのメンバーである結核ナースは,「地 域の結核の罹患率は少ないものの,外国人の結核 患者は言葉や文化の違いをはじめ,社会経済的問 題の複雑さから,対応が困難な場合も多いため, 大きな問題になっている。」と言われていました。 その困難さは容易に想像できます。というのは, 私が担当していた結核患者さんの一人が,結核高 蔓延国から来日した外国人で,喀痰塗抹陽性の結 核と診断された後,入院を恐れて姿を消したうえ, その患者さんの発見と受診援助に大変な労力を費 やしたことがありました。そして,この結核患者 さんの接触者検診を行ったところ,接触のあった 子どもも発病していたのです。 英国では発病率が人口10万人に対し40以上の国 からの新入国者で6ヵ月以上滞在する移民者に対 英国リーズ スタディツアー報告 して,検診と化学予防,BCGを含めた発病予防を 行っています。日本でもより多くの外国人労働者 を受け入れるようになった場合には,積極的な対 策が必要ではないかと考えさせられました。 ●結核対策チームについて リーズの結核対策は,複数の専門家によって構 成される結核対策チームが中心になって行われて います。チームの構成メンバーは,病院で結核ク リニックを担当している呼吸器専門医,プライマ リーケアトラストに雇用されている結核ナース, そして健康保全局の感染症対策専門医や微生物専 門家などです。チームの重要な役割を担う結核ナ ースは,クリニカルナーススペシャリスト(CNS) の一分野で結核専門の看護師です。新規移民者に 対する健診,結核患者の服薬支援,接触者の健診 計画とフォローアップなど,日本の結核担当保健 師に結核病棟の看護師の役割を合わせたような仕 事を行っています。 日本では,結核診査会や結核クリニックの医師 たちが保健所の結核対策の一部分を担っていますが, リーズの結核対策チームのメンバーは,地域の結 核対策に対してより大きな権限と責任を持ってい ます。日本では,今後結核の罹患率が減少し,結 核対策を経験したことのない保健師が増加するこ とが予測されます。今後,リーズのように専門家 によって構成される結核対策チームのような制度 から学べることがあるのではないかと考えられま した。 1980年代から何度か英国に足を運んだが,日本の 保健所にあたる組織,機関をみることができなか った。これが不思議でたまらなかった。実は英国 では公衆衛生活動は長い間,地方自治体に担われ ていたのであるが,1974年の保健医療制度改革に ともない公衆衛生医師が国営の保健医療組織(NHS) に吸収され,公衆衛生行政組織が事実上なくなっ てしまっていたのであった。これで国民に対する 公衆衛生対策が大丈夫であるのかはなはだ疑問に 思われた。英国の公衆衛生制度に関する委員会の レポートをみると英国人も公衆衛生体制が不備で あることを認識していたようである。食中毒や感 染症問題が発生する度に批判がなされた。2003年 になり英国の主席医務監の勧告に基づき,ついに 公衆衛生体制が再興したのである。2004年6月に 石川班の研究視察でロンドンを訪れた時にこの改 革が現実のものであることを実感することができた。 2005年11月に再び英国を訪れ,リーズでもこの組 織が整備されており,英国では公衆衛生制度が再 構築されたのである。中央に健康保全局(HPA) が設けられ,地方レベルに地方健康保全局,地域 のそのチーム(Local health protection team)が 設けられていた。英国では,国と地方とが応分に 役割を果たして,国民の健康危機管理(感染症,核・ 放射線,化学物質などによる健康被害防止)を行 う体制を構築していた。この英国の制度はわが国 の保健所制度に似た制度であるように思われた。 公衆衛生活動は,国と地方自治体の双方がお互い の役割を果たすことが必要である。英国の動向を もとにわが国の保健所制度の意味合いについて再 考してみることが必要であるように思われる。 英国公衆衛生制度改革 大阪大学医学系研究科予防環境医学専攻助教授 高鳥毛 敏雄 19世紀の英国において世界で初めての公衆衛生 法がつくられた。この時期はわが国では明治維新 を迎えたころである。岩倉具視とともに欧米諸国 を視察した長与専齋は欧米諸国に国民の健康保護 を掌る特別の公衆衛生行政組織があることを発見 した。帰国後,政府部内に衛生局が設けた。昭和 初期に高い乳児死亡率と結核死亡率を克服するた めに,厚生省を設置し,医師を所長とする保健所 網を全国に配置された。公衆衛生制度発祥国の英 国の公衆衛生活動はその後どうなったのであろうか。 2/2006 複十字 No.308 19 思い出の人を偲んで にしもと たみえ 文:元群馬県伊勢崎保健所保健婦 宇津野ユキ 昭和30年頃に「結核を根絶やしにする」なんていえば大ボラ吹きといわれたでしょう。それは努力 目標であって,ほんとに根絶できるとは誰も思わなかったのです。しかし,私は本気で「根絶やしで きる」と取組んだのです。そしてやり遂げてみて,行政というのは担当者が火の玉のようになれば, 相当のことができるものだと実感しました。 以上は西本さんが「ほんとに保健婦」(注:昭和58年日本看護協会出版会発行)の中で結核 対策にかけた言葉です。 群馬県佐波郡東村(現在伊勢崎市に合併)は当時,人口9500 れた群馬大学助教授の立石武氏に懇願し,快諾を得,年2回, 人,面積18.0km ,国保直営診療所と開業医1カ所の純農村 大学が休みの日曜日に村まで出張していただくことになり でした。 ました。 2 その村の保健婦として昭和19年から勤務した西本さんは, このうわさは村中に広がり,在宅療養者のほとんどを組 結核について,家族の病を告げたため失恋した青年,父の 織する結果となりました。長野県渋温泉で開催された保健 入院のため高校を中退せざるを得なかった少女,闘病苦で 婦研究会で,この事例をスライド入りで報告したところ, 自殺した工場主,楽しみにしていた初孫にも近づけない国 厚生省や各県の参加者から絶賛され,新聞にも「本人による 鉄退職者,そして学童たちは患者宅前で口をおさえて息を 自発的な健康管理」「保健婦-患者一体の啓発活動」等と取り 止め,小走りに通り過ぎるという悲惨な実態を何とか改善 上げられました。 したいと考えました。 昭和30年,登録患者だけでも76名で,実際には150名くら いの患者がいると思われたからです。国保医療費も結核医 療が10%を占めておりました。 厚生省の実態調査の受け入れ ……………………………………………… 昭和31年,厚生省の「経済状態より見た患者の有病状況, 及び医療費の家計に及ぼす影響の調査」の指定地区を受け入 れ,いよいよ結核ゼロを目指すことが本格化しました。 在宅療養者の会「療友会」の結成 ……………………………………………… 東村では,昭和27年から住民健診を保健所の協力を得て 健診を2年間行うこと,2つはその特典として健診の結果 全村民対象に年2回実施し,患者は増える一方でした。家 を結核研究所(以下結研)の医師がすべて判定し,その後の 族内感染も多く,徹底した患者の療養管理の重要性が大き 診断治療,療養相談も担当するというものでした。西本さん な課題となったのです。 は,すでにその年の初めに結研の保健婦長期講習会を受講し, そこで昭和30年5月,登録患者76名に呼びかけて「療友会」 を組織しました。設立準備会にはなんと20名の患者が公然 20 これには受け入れ条件が2つあり,ひとつは住民の100% 結研の技術水準の高さを知っておりましたので,「どんな困 難があっても,やり遂げてみせる」と決心したのでした。 と名乗って参加してくれたので,すぐ設立総会に切り替え, 村当局を説得し,臨時村議会の開催,追加予算の計上, 顧問には村の開業医と国保直営診療所の医師,伊勢崎保健 挙村実施体制の確立へと事は進みました。村議会での療友 所長や村会議員になっていただき,17の集落全部に幹事を 会会長西野目馬の助さんの「東村を結核のない村にしよう。 置くという官民一体のもので,村からも補助金18万円(会財 つらい思いは俺たちだけでたくさんだ。これからは誰も肺 政の約9割)を見込んで,事業内容としては喀痰検査年4回, 病で泣かないで済む」という血を吐くような訴えが全村民に 耐性検査年2回,X-P検査年2回などでした。 伝わり,今でも語り草になっております。 会員の強い要望は「最高級の技術を持った医師に診てもら また当時の伊勢崎保健所長は東北大公衆衛生助教授から, いたい」ということで,当時県内では結核の第一人者といわ 「現場を知らずして真の教育はできない」と自ら保健所長を 2/2006 複十字 No.308 経験するためにやってこられた福島一郎先生(その後順天堂 駆け回って村人を組織し,関係機関とアノ手コノ手で交渉し, 大公衆衛生教授)であったことも幸いし,東村と伊勢崎保健 かなりの難題を実現させてしまう,非凡な能力を持つ保健 所の総力を注ぐことが出来たのでした。 婦でした。分野は異なりますが,東村では昭和43年から「精 100%の健診をめざして ……………………………………………… 「昭和31年10月1日現在,東村に生活の本拠を有するもの はすべて健診の対象者とする」というものでしたので,村長 が国勢調査員全員を「調査主査」に任命し,各戸毎に「保健計 画世帯表」を作りました。1人の主査の受け持ち世帯は50戸, 人口300人を目安に戸別訪問調査を行い,17集落の健診会場 で受診可能な住民と老衰その他の疾病のため自宅でS-P撮影 神医療(入院,在宅含めて)10割給付」を実施し,今日まで継 続しているのも西本さんの力によるものです。 「お別れの会」で島尾忠男先生から「公衆衛生,保健医療は いま大きな試練に直面しています。この時期に西本さんを 失ったことは大きな痛手ですが,その精神は皆さんの心の 中に生きていて,見守ってくれていると思います。西本さん, どうか安らかに眠ってください」という温かいお言葉をいた だけたのも西本さんの人柄によるものです。 を要する住民,入院患者(入院先まで保健所のS-P装置を持 ち込んで撮影),出稼ぎ者等々と一人も残さず健診を受ける 西本多美江さんの経歴 基礎づくりをしました。 大正14年9月5日 全村民への宣伝活動は集落ごとの夜間の衛生教育です。 昭和18年10月 17部落すべてに村長,保健所長,療友会会長が出席し,集 落の役員が人集めを行い,11月の夜の寒さにもかかわらず 昭和24年10月 営診療所を開設 昭和30年5月 村内結核登録患者76人に呼びかけて「療友会」を 昭和31年1〜3月 結研主催保健婦長期研修会を受講 結果は,昭和31年99.48%,昭和32年99.29%というもので, 国鉄駅前で対応と,あらゆる努力を尽くしての結果でした。 戦時下の医師不足の中,一幼児の死により, 安上がり医療を強く反省,村人とともに国保直 長の健康を気遣うなど,たくさんの感動的な場面がありま 出稼ぎ者には正月の2日,3日に対応,通勤,通学者には 保健婦養成講習会終了と同時に群馬県佐波郡東 村国民健康保険組合に勤務 全会場ともほぼ満員で,保健所長が自らの外套で老齢の村 した。 群馬県伊勢崎市に生まれる 組織 11月 厚生省の「経済状態よりみた患者の有病状況お よび医療費の家計に及ぼす影響の調査」を受け その後の結核対策 ……………………………………………… その後は,村当局の予算で引き続き結研にお願いして, 入れる 昭和36年 民の健康相談を紹介(ラジオ) 格安で結核管理を引き受けていただくことが出来ました。 住民健診は常に90%以上,在宅患者には年2回6ヵ月ご との面接療養指導,とくに指導医には結研所長をされた島 昭和37年4月 日本看護協会保健婦部会群馬県支部長に就任 昭和40年 NHKスタジオ102(テレビ)「結核予防週間 によせて」で島村喜久治先生と対談 尾忠男先生,付属病院長の小池昌四郎先生等が担当くださり, 第26回結核予防全国大会第1分科会にシンポジ それこそ最高水準の医療と療養相談を一人一人懇切丁寧に ストとして出席 ご指導いただきました。 一時は急上昇した患者数(183人)も,みるみる激減し,10 年目には4分の1に,20年目には軽症者6名までになりま した。それにつれて医療費も結核予防法の改正もあって激 減し,徹底した健診と適切な患者管理を行えば結核はゼロ 昭和49年5月 日本看護協会理事に就任 昭和51年7月 東村保健課長に就任,対人保健活動だけでなく 昭和51年9月 NHK教育テレビ現代の農業「この人と30分」に 環境問題にも取組む 出演 にすることが出来るというモデルを示す結果となりました。 「暮しの手帳」42号に「人物ロングラン」この道ひ とすじに生きた女性として, 西本さんの人柄 ……………………………………………… 結研の保健婦長期研修会のとき,その型破りの行動から 北練平先生等に「よう!国定の親分!」と声をかけられたよ 夕鶴 の山本安 英らとともに掲載 昭和56年7月 東村退職 昭和57年7月 高崎市に「群馬健康会館」を設立。難病,慢性疾 平成16年9月5日 79歳の生涯を閉じる(奇しくも79回目の誕生日) うに,服装には頓着せず,身軽でお気に入りのものは穴が 空いても,襟がヨレヨレになっても着ており,家庭訪問時 文化放送「麦藁チャッポの保健婦さん」として村 患患者の健康相談を実施,多くの難病患者を救う は麦わら帽子かハンチングという姿に村人から「どこの案山 子が来たんかと思ったよ」といわれる有様でした。 村の中のことなら,どの家のねずみの穴まで知っている だろうといわれるくらい現場主義に徹し,相談を受ければ 受話器を置くなり,バイクを走らせるという生活スタイル 「お別れ会」には,エイズ予防財団理事長,(元)結研長島尾忠男先 生,並びに現研究所長森亨先生がお忙しい中を駆けつけてくださり, 彼女の偉業をたたえていただきました。厚く感謝申し上げます。 でした。これが村人のためになると思い込むと,夜中まで 2/2006 複十字 No.308 21 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 22 I am always thinking of you 4 ザンビア だより 結核予防会国際部・JICA専門家 (HIV/AIDS及び結核対策プログラムコーディネーター) 12月1日は,「World AIDS Day」でした。世界 各国でこの日は,HIV/エイズに係るキャンペーン や啓発活動,また,HIV/エイズへの差別や偏見と 戦うための積極的な取り組みが行われました。日 本ではどのような取り組みがされたのでしょうか? ザンビアでは,大統領の参加のもと,カトリッ ク教会において,これまでHIV/エイズで亡くなっ た人々への追悼の意をこめて,また,国家として の強い取り組みの意志を確認すべき場として,キ ャンドルサービスが行われました。厳かな雰囲気 の中で,人々は,これまで失った兄弟,子供たち, 配偶者のことを思い浮かべながら,これからのザ ンビアへ希望や願いをこめ,キャンドルに火をと もしました。 マシーエという14歳の少年がいます。彼は,私 が住んでいる家の隣のメイドさんの子供でした。 私の11歳になる息子と年が近いためか,二人はよ くサッカーボールを蹴って遊んでいました。一度 彼に,「マシーエってどんな意味?」と聞いたこ とがあります。「僕のお父さんは,僕が生まれる 直前に亡くなったんだ。だからお母さんが, ト ラブル って言う意味でつけたんだ」と,言葉が 返ってきました。3年前,彼のお母さんが亡くな りました。そして,彼はおばさんに引き取られて いきました。今,彼は元気に地方の寄宿舎のある 学校に通っています。学校の休暇のたびに成績表 を片手に我が家に顔を見せに来てくれます。「将 来何になりたい?」と聞くと,彼はまっすぐ私を 見て「医者」と答えました。 もう一つのイベントとして,街中からサッカー 場までのマーチが行われました。NGO,クリニッ クの看護師さん,感染者の人々が,それぞれの横 断幕を掲げ,HIV/エイズにかかるメッセージが書 かれたTシャツに身を包み,踊り,歌を歌いなが ら行進します。 到着したサッカー場は,何百人もの人であふれ かえっていました。この時期のザンビアは,雨期 の真っ只中です。しかし,この日は皆の願いが届 2/2006 複十字 No.308 いたのか,青空が広がりました。ドラマや歌,保 健大臣のスピーチが行われる中,少女三人の詩の 朗読が心に残りました。「お兄ちゃん,叔父さん, 1 お父さん。そしてSugar daddy。私たちを虐待し ないでください。私たちの欲しいものは,HIVの 感染ではなく教育です!」。 ザンビアでは,少女 たちへの虐待が横行しています。若年妊娠で教育 を受ける権利を失い,HIV感染は少女たちと性交 2 渉をすることで完治する,という大人たちの身勝 手な誤った考えのもとでの暴行が現実に行われて います。 12月1日は,キャンドルに光をともすことで,人々 がそれぞれの心の痛みをいつも忘れないように, そして世界中の夢のかけらを拾い集めて希望へと つなげる,そして怒りや悲しみを次への行動や勇 気に変える日なのかもしれません。 「Stop AIDS keep the promise」が今年のテーマ です。エイズの拡大を阻止するために,身近な人々, そして異国の人々を思いながら個人,家族,コミ ュニティー,国家として,それぞれがどのような Promiseができるのでしょうか? ザンビアのスタッフとHIV・エイズプロジェクトの打合せをしている筆者 1 少女相手に金銭を伴った性交渉をする年配の男性を指す 2「Sex with me doesn t cure AIDS!」と少女が怯えた姿で背 を向けている,大きな看板がルサカ市内に立てられています。 ● ずいひつ 父が亡くなったのは,清瀬の結核療養所であった。 老人性の結核で長期入院療養中だった。職業軍人 時代にも一時療養したことがあるから,結核体質 だったのかもしれない。細身で一見華奢であった。 父方の系統には結核にかかった人が多く,母方に はほとんどない。 父方のDNAを受けついだらしく,小学校2年の 年に私は肺門淋巴腺炎の診断を受けた。まだ特効 薬などのなかった時代,安静と栄養だけが頼りだ った。微熱があり,学校を休んで家にいる事が多 かったが,太平洋戦争も末期をむかえ,父の転勤 で住んでいた大阪も空襲にさらされた。警報の鳴 るたびに,前庭に掘った防空壕に避難するのだが, 湿気のこもった狭い穴の中では,ますます熱が上 がる気がした。薬と水が必携であった。 空襲は日を追って激しさを増し,ついにつてを たよって奈良県は信貴山の上の三楽荘という旅館 に縁故疎開をした。学校から先生がついて疎開す るのを集団疎開,個人的につてを頼るのを縁故疎 開といった。 山の上には,土地の人々と疎開した人たちしか いなかった。私たち,母と兄と私の三人は,旅館 の離れを借りて過ごした。老舗旅館なので,庭が 広く,芝生が大きな池になだれこんでいる。池の 向うは,信貴山縁起絵巻で名高い寺の塔頭がいく つも建っている。その一つ一つに集団疎開の子供 たち,旅館の母屋にも疎開客が住んでいた。 戦はいつ果てるともわからず,いちおう山の上 の学校に転校手続きをとった。最初の日,真新し い白木に下重暁子と墨で大書した机と共に登校した。 その帰り道だった。土地の男の子たちが,蛇をつ かんで,私を追いかけてきた。都会の子へのアレ ルギーは大きかったのだ。私はそれ以来二度と学 校へ行かなかった。 離れのピンポン台を利用したベッドが私の棲み家。 ● 朝,昼,三時,夜と熱をはかってグラフにつけた。 道路をへだてた向いの老舗旅館,柿本家は,陸 軍病院になっていて,軽症の結核患者たちがいた。 白衣に,階級のわかる軍帽をかぶった兵隊達が, 時に整列し,時に散歩に出かけた。私の父が軍人 だとわかって,彼等はよく家に遊びに来た。私の 友だちは,大人の男たちだった。病院の軍医が一 日おきに診察に来る。ヤトコニンという名の静脈 注射をされた。そのために左の肘の内側の静脈は, いまでも固い。 私の毎日の生活は,熱を計り,疎開してあった 父の本棚から小説本をもってきては読み,絵の好 きな父の持っていた画集をめくることだった。小 説など読めたわけではないが,文字を追うのが楽 しかった。私の物書きとしての原点は,この時に ある。向いの白衣の兵と共に野原へ散歩に行くこ ともあった。怠惰でぜいたくな日々だった。同じ 位の友だちと遊ぶことが出来なかったかわり,本 をながめ,大人とつきあって,背のびをした気分 だった。 いつまでも微熱が下がらず,肋膜炎の疑いがあ るから,針をさして水をぬくといわれて憂うつに なっていた頃,大阪は大空襲に見舞われ,山の上 から空が真赤に染まるのが見えた。 それが数度重なり,やがて,敗戦。向いの病院 からある日,白衣の兵士たちの姿が消えた。父が 軍の機密書類を持って私たちと合流,毎日その書 類を焼いていた。大阪にもどり,もとの学校にも どることになった。二年と三年の二年間,ほとん ど学校に行っていないので,先生も頭を悩ませたが, 他の子たちも集団疎開で勉強していないからと, 一年も遅れることなく進級。敗戦のどさくさ,食 糧難で誰も面倒をみてくれなくなったら,結核の 方は自然に直ってしまった。 2/2006 複十字 No.308 23 本邦におけるエイズ合併結核の現状 1 はじめに 結核は,HIV感染者に合併する感染症の中で最 も多くの患者を有する。本邦においては,結核対 策が進みつつも経済先進国の中で結核罹患率がい まだ23.3という結核対策においては中進国であり, 菌陽性肺結核患者から感染を受けた潜在的結核患 者は少なくない状況であり,これらの患者がHIV 感染を受けた場合,結核を発病する確率は高い。 今回,平成14年度厚生労働省エイズ医療共同研究 において,エイズ患者に合併する抗酸菌感染症の 実態調査(班長 切替照雄)の中で行ったエイズ 患者における結核感染の実態について報告する。 2 研究の概要 1992年から2002年の11年間に,本邦のエイズ拠 点病院および国立療養所(現:国立病院機構)に て経験されたエイズ合併結核症例について,各施 設に郵送にて患者票を送付し回答をいただいた。 エイズ合併結核症例の報告は168例であり,性別は 男性148例,女性18例,不明2例であった。人種は 日本人116例,外国人51例,不明1例で,この1例は 情報が乏しく167例を母集団とした。外国人患者の うち,最も多数であったのはタイ22例で,以下, ミャンマー,ウガンダ,韓国などで,アジア,ア フリカが大半を占めた(図1)。日本人と外国人 患者に分けた年齢分布では,日本人は40歳代が40 例(34.5%)と最も多く,ついで50歳代が多数で あり中高年齢層が中心であったが,外国人患者は 30歳代が25例(49.0%)と最も多く,ついで,20 歳代と,若年者が中心であった(図2)。HIV感 染の診断と結核診断の時期は,HIV・結核の両者 が同時に診断された症例が最も多く,日本人66例, 外国人47例の113例(67.7%)であり,特に外国人 全体の92.2%が同時発見であった。HIV感染の診断 が先行し後に結核が発病する場合が次に多く, HIVを医療機関で管理中に結核が発病した症例に ついては,本邦でも結核発病予防を徹底する必要 がある事を示していた。結核の病型は,肺結核が 最も多数で,日本人69例,外国人27例,計96例(57.5 %)であったが,播種型50例,肺外結核21例と, 播種型,肺外結核の比率は非HIV患者と比較し高 率であり,日本人,外国人とも同様の傾向であった。 結核発症時のCD4値は,記載があった143例中,50 /μL未満の低値の患者は70例(49.0%)で,100 /μL未満の症例とあわせると99例(69.2%)と高 率であり,特に,100/μL未満の症例は,外国人 患者は60.8%,日本人では40.7%と,外国人患者で より高率であった。結核発症時のHIV RNA copy 数は117例で測定され,HIV RNA copy数10万コピ ー以上の症例が59.9%であった。 人 日本 116例 (69%) 歳 *他:ネパール,台湾,カンボジア,コロンビア,パキスタン,ナイジェリア,カナダ,ウクライナ 図1 本邦における結核合併エイズ患者における国籍 (婚姻し国籍が変わった患者は婚姻前の国籍とした) 24 2/2006 複十字 No.308 年 図2 齢 日本人および外国人患者の年齢分布 結核の治療は,PZAを含んだ4剤治療ないしは INH,RFPを含んだ3剤治療という標準治療が137例 (82.0%)で開始されており,特にPZAを含んだ4剤 治療例は103例であった。抗HIV治療は,日本人で 75例(64.7%)に施行され,うち強力な抗レトロ ウイルス療法( h ighly active antiretroviral therapy, HAART)が行われた症例は42.2%であった。しか し外国人患者では,わずか39.2%の症例に抗HIVの 治療のみがなされていた。アンケート回答時予後 では,日本人は生存54%,転院14%,死亡22%,不 明4%で,外国人患者は,生存33%,転院14%,帰 国37%,死亡6%,不明10%であった。 日本人116例についてさらに検討した。発見年代 別発見時CD4値では(図3),99年までではCD4 が100/μL未満で発見される症例が全体の60%と 高率であったが,2002年までではCD4が100/μL 未満で発見された症例は49%と,CD4値がそれま でと比較しやや保たれた状態で発見される傾向と なった。日本人の発病時のCD4数別予後では, CD4が低値であった群は当然予後不良であったが(図 4),患者発見年代ごとの最終予後を検討したと ころ,死亡率は次第に低下し生存率は改善する傾 向にあった(表1)。生存例と死亡例のHIV治療 の有無では,96年までは生存例では全例抗HIV治 療を行われており,死亡例のうち抗HIV薬投与が 年 あった症例は50%に過ぎなかったが,HAART開 始以後抗HIV治療開始例は徐々に拡大し,2002年 まででは,生存例中HAART未施行例を8例(21.6%) 認めたものの,HAART施行例は25例(67.6%)で, この期間の死亡例はわずか3例に過ぎず,3例中 2例にHAARTが施行されていた。 3 まとめ 本邦では,特に日本人男性のHIV感染者が依然 増加しており行政による啓発活動が急がれている。 本邦では,HIV患者における結核発病はまだ大き な問題とはなっていないが,今回の検討でHIV感 染判明後経過中に結核発病した症例が認められた ことが,特筆される。HIV感染が判明した場合,様々 な感染症に対して抗体が測定され発病予防対策が なされるが,必ず結核既感染の有無を検討し, HIV治療あるいは経過観察中の結核患者への接触 の機会があったかを問診し,潜在性感染が判明な いしは強く疑われた場合,積極的な治療(化学予防) を行い,発病を阻止する必要があると考えられた。 また,依然結核発病時にHIV抗体陽性が判明する 症例が多いことから,結核を診療する医療機関で は患者に十分な説明を行い,HIV感染を見逃さな いよう精査を行う必要があると考えられた。 μl μl 図3 発見時期別C D 4 数 年 図4 日本人患者の結核発病時CD4別予後 表1 日本人の年代別予後 2/2006 複十字 No.308 25 新型 インフルエンザ 新型インフルエンザと インフルエンザ・パンデミック 厚生労働省の「新型インフルエンザ対策報告書」 (2005年8月)によると,「過去数十年間にヒトが 経験したことがないHAまたはNA亜型のウイルス がヒトの間で伝播して,インフルエンザの流行を 起こした時,これを新型インフルエンザウイルス とよぶ」とされています。つまり,動物,特に鳥 類のインフルエンザウイルスがヒトの世界に侵入し, 遺伝子に突然変異を起こしたり,ヒトのインフル エンザウイルスとの間で遺伝子の組み換えを起こ したりして,ヒトの体内で増えることができるよ うになり,ヒトからヒトへと効率よく感染伝播で きるようになったもの(ヒトのインフルエンザウ イルスとなったもの)が,新型インフルエンザウ イルスです。このウイルスに感染して起こる病気が, 新型インフルエンザです。 「パンデミック」という言葉は,地理的に広い 範囲の世界的流行,及び,非常に多くの数の感染 者や患者を発生する流行を意味するもので,エイ ズにも使われました。新型インフルエンザウイル スが出現した場合,世界中がこれまで遭遇したこ とがなく誰も免疫を持っていないため,かなりの 数の患者が発生して大流行が起きると考えられます。 それに伴って重症者や死亡者の増加も予想されます。 このような新型インフルエンザの汎世界的流行が インフルエンザ・パンデミックです。 20世紀に起こった最後のインフルエンザ・パン デミックは1968−69年の香港かぜですが,現在, 世界はそれ以来でパンデミックが最も起こりやす い環境にあると,WHO(世界保健機関)は考えて います。WHOは,世界にパンデミックの脅威の深 刻さ,及び対策計画を準備する必要性を知らせる ための制度として,パンデミック警報の6つのフェ ーズを用いています。すなわち,1:ヒト感染の リスクは低い 2:ヒト感染のリスクはより高い 3:ヒト−ヒト感染は無いか,または極めて限 定されている 4:ヒト−ヒト感染が増加してい 26 2/2006 複十字 No.308 る証拠がある 5:かなりの数のヒト−ヒト感染が あることの証拠がある 6:効率よく持続したヒト −ヒト感染が確立 の6段階です。2006年1月11日 現在,世界はフェーズ3にあります。これは,「新 しい亜型ウイルス(現時点ではH5N1亜型)に感染 して症状のあるヒトがいるが,ヒトからヒトへ効 率よく,持続した感染伝播はみられていない」と いう状況です。 症状・予防法・治療法について 20世紀に起こった,スペインかぜ(1918年), アジアかぜ(1957年),香港かぜ(1968年)の3 回の新型インフルエンザ出現の経験から,その基 本的な症状は,突然の発熱に代表される全身症状 と呼吸器症状(すなわち通常のインフルエンザと 同様の症状)であると考えられます。しかし,重 症度,致死率,重症化した年齢層などの状況はそ れぞれ異なり,また,流行の広がり方や速度には 地域や国による差がみられました。そのため,実 際に新型インフルエンザが出現したときには,そ の特徴と流行の変化を早くとらえて(これをサー ベイランスといいます),対応を行うことが必要 です。 インフルエンザの最大の予防策とされるワクチ ンですが,新型インフルエンザ用のワクチンは, そのウイルスが出現しないと製造することができ ないので,存在しない現時点では,ワクチンはあ りません。ワクチンは製造開始から広く使用可能 となるまで6か月程度かかると考えられています。 感染経路は新型インフルエンザにおいても飛沫感染, 接触感染が主体になると考えられ,マスクの着用 や手洗いなどの通常のインフルエンザ予防策も個 人で行える対策となるでしょう。 治療についてですが,どのような特徴を持つウ イルスが出現するのかわからないため,明言する ことはできませんが,そのウイルスがその薬剤に 耐性をすでに持っていない限り,A型インフルエ ンザに効果のある抗インフルエンザウイルス薬(オ セルタミビル,ザナミビルなど)が有効だろうと 考えられています。なお,現在アジアで問題とな っている,H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルス には,実験上では効果があることが判明していま すが,これまでの患者への使用報告では使用開始 時期が遅すぎた可能性があるなどの理由から,実 際に効果があるかどうかの確証は得られていません。 新型インフルエンザ出現の社会的影響 未だ出現していない現時点では,そのウイルス の特性(罹患率,致死率,合併症等)が不明であ るため,正確に予測することはできませんが,新 型インフルエンザが出現した場合,アメリカでは 約20万人から約190万人程度の死者がでると予測さ れており,厚生労働省「新型インフルエンザ対策 行動計画」(2005年11月)によれば,日本でも最 大64万人程度の死者が出る可能性があると試算さ れています。しかし一方では,最後のパンデミッ クが起こった1960年代以降,医学は大きく進歩し, また社会全体の生活水準も向上しているために, 今後起こりうるパンデミックの社会への影響は, これまでのものより小さくなることも考えられます。 逆に,高齢者人口や免疫機能の低下している人口 など,新型インフルエンザにかかった場合に重症 化する可能性のある人口の割合が増加しているこ とも考えておく必要があります。 パンデミックの社会全体への影響としては,新 型インフルエンザの患者数と重症度にもよりますが, 次のようなことが考えられます。まず,医療機関 へ受診または入院する患者数が大幅に増え,医療 機関職員のなかで患者が多数発生すると,十分な 医療サービスが維持できなくなる可能性が出てき ます。また,交通,通信,電気,水道,警察,消 防など,社会の維持に不可欠な産業における従業 員に多くの患者が発生した場合は,これらのサー ビスが低下し,生活や経済に大きな影響をあたえ る可能性も考えられます。特に,スペインかぜが そうであったように,社会の主な働き手の人口で 重症化するヒトが多い場合には,社会および家庭 に大きな損失を与えます。 これらの想定は,新型インフルエンザが出現し た場合,それが直ちに世界または日本における危 機的な状況につながることを意味するわけではあ りません。香港かぜの時のように,社会に与える 影響はかなり限定される可能性もあります。しかし, 近い将来に最悪の事態が起こる可能性を想定して, 社会全体で今から準備を始めることが必要である といえます。 パンデミック対策 いつどのようにフェーズが進むのか,いつ新型 インフルエンザが出現するのかを正確に予知する ことは困難ですが,新型インフルエンザが出現し た場合には,そのパンデミックを食い止めること は非常に難しいと言えます。そのため,可能な限 り早期に出現を察知し,確認して,直ちにワクチ ンを実用化し,それが使用できるまでの間に,あ らゆる手段を講じて感染拡大を最小限にとどめる 必要があります。 事前対策としての,患者及びウイルス両面から のサーベイランス(流行の早期発見及び流行状況 の把握のための継続した監視制度)の強化に始まり, ワクチン生産体制の整備と生産実施計画の準備, 緊急時の医療供給体制の整備,薬剤予防投与の考 え方の整理,そして,実際の行動計画の作成など をあらかじめ行い,訓練し,現実に起こったとき には必要な対策を即座に実行に移せることが重要 です。 日本では,世界に先駆けて1996年に新型インフ ルエンザ報告書をまとめ,その基本的な考え方を 示しました。その後,これを改訂するために再び, 新型インフルエンザ対策検討会が,厚生労働省の もとで開かれ,2004年8月に報告書が取りまとめ られています。これに基づき,2005年10月28日に は厚生労働省に対策推進本部が設置されました。 また,11月14日には具体的な国の行動計画が発表 され,同時に地方自治体に対して,地方における 行動計画をつくることが求められています。今後 はこれを実行に移していくとともに,継続的に検 討を加え,改善し,実行可能な取り組みを積み重 ねてゆくことが重要です。これらの計画とその実 行は,起きるかもしれない(起こらないかもしれ ない)事象に対する危機管理として,行政関係者 のみならず,広く国民に受け入れられるものでな ければならないと考えます。 2/2006 複十字 No.308 27 シール だより ●複十字シール募金を担当して感じたこと● 〜聖人からのメッセージ〜 日々の業務の中で,電話やメール・ハガキなど のお便りを通じて,多くの方々と接する機会があ ります。そのたびに,世の中には本当にいろいろ な方がいらっしゃることをつくづく感じ,その不 思議さ,奥深さに心うたれます。 たとえばその一部をご紹介しますと,昨年後半 から続けて「トクメイ」,「トクメイキボウ」,「ユ ウシイチドウ」などのお名前で,高額の募金をし て下さった方がいらっしゃいました。同一人物か 別の人かお仲間かはわかりませんが,とてもびっ くりしたのと同時に,感動と感謝の気持ちでいっ ぱいになったことを私は憶えています。皆様の中で, 私と似たような経験をされた方は,いらっしゃい ますか? おそらく,そんなにいらっしゃらない かと思います。私自身も初めての経験であり,思わ ぬ数々のプレゼントにうれしい悲鳴の連続でした。 世の中にはなんとすばらしい心の持ち主がいら っしゃるのでしょうか。私は,心洗われることを 見聞きするたびに,大げさかもしれませんが,生 きていてよかったとさえ思えてくるのです。勇気と 元気をたくさんいただくことができるのです。 昨今の厳しき世相を反映してか,結核予防会も 募金額が減少傾向にあり,また世の中のニュース も暗い話題が多いように思います。 そのような中に,「トクメイ」様たちは一筋の 明るい希望の光を与えて下さいました。さらに, 人間の無限の可能性や人としての高い意識,真の 豊かさなどを教えてくださっているようにも感じ ます。きっと高貴な心の持ち主で,陰でたくさん 28 2/2006 複十字 No.308 の徳を積まれた方なのだろうと,誠に勝手ながら 尊敬の意を表しつつ拝察いたします。おそらく他 の団体にも寄附をされて,ご自分は名を明かさず とも,たくさんの人々に喜ばれている存在だろう と思います。 今回の聖人は,静かにそれでいてダイナミック かつパワフルに「人」としての道を,人間本来の あるべき姿を,行動で示して下さったのだと私は 感じました。その貴重な行いを通じて国内外の結 核で苦しんでいらっしゃる人々の救命や,結核予 防のための普及啓発活動,未来の子供たちへの教 育など,国境や世代を超えて心温まるエネルギー が流れていきます。そういうことを考えるとき,担 当者としてのやりがいや使命感を強く感じます。 次世代への掛け橋としての役目を感じるのです。 また,私自身たくさん学ばせていただいたこと も多く,自分自身も成長していきながら,日々新 しく充実した時を過ごしております。そしてそれ 自体が「奇跡」であり,感謝すべきことなのです。 今年は,戌年の「い」にちなみ,ますます「命」 を大切にしていきたいと考えております。皆様か らのあたたかい募金が多くの人々の「命」を救い ますので,これからも「結核予防」のための「複 十字シール募金運動」の普及・啓発活動に励んで 参りたいと思います。 最後に,この厳しい世の中,志を同じくして, 募金活動をされている関係者の皆様,またその運 動に賛同されている募金応募者の皆様に,心から 御礼申し上げます。ありがとうございました。 結核予防会ネットワーク事業通信 「結核予防会ネットワーク事業」については, 複十字誌No.304号の紙面上において,「ネットワ ーク健診契約第1号成る」と題して,某社との契 約締結を報告している。第1号獲得後も,ネット ワーク事業推進の道のりは険しく,山も谷もあり ましたが,現在は各支部のご協力もあり,下記の 表のように少しずつ獲得事業を増やしている。 表 ネットワーク事業の獲得状況 平成17年4月1日から正式にスタートしました 顧 客 獲得内容 当該支部 (本会施設も 含む) 協力医療 機関 某大手醤油会社 会社指定の「指定医療機関」に結核予防会を 登録していただく契約。 ※コース「人間ドック」「がん健診」「定期健診」 21施設 6施設 某大手100円ショップ 本社を含めた全国店舗との健診契約。 ※コース「定期健康診断」 17施設 3施設 某ファッション系健保 インフルエンザ予防接種の全国ネット契約。 16施設 − 某大手予備校 全国の講師(1,500名)の「結核健診」。 ※支部は撮影のみ⇒読影・判定は本部にて一本化 11施設 5施設 今回の「ネットワーク事業通信」では,ネット ワーク事業における「結核健診」の獲得と,今後 の同事業の課題について触れてみることとする。 某大手予備校の「講師結核健診」の獲得 昨年6月,都内某学習塾で発生した「結核集団 感染」は,その後も発病者が増え続け,最終的に は国が統計を取り始めた平成4年以来,最大規模 のものとなった。 空気感染である「結核」は,同じ空気を吸うと いった,限られた環境の下では猛威を震う。特に「教 育機関」は「病院」「施設」等と並び「結核ディ ンジャー層」に挙げられ,昨年改正になった結核 予防法の主たる部分の一つである。 「結核健診」の依頼があった某予備校からは, 集団感染発生の話は出ていないが,このような背 景が影響していると思われる。 今回は,数社による見積もり合わせ及び当会の 事業説明の後,獲得した訳であるが,結核専門機 関が「結核健診」の全国ネットを獲得出来たことは, 当会の使命とも言え,かつ今後のネットワーク事 業に大きな追い風になるものと思う。 この「結核健診」の仕様は次のとおりになる。 No.6 ①対象者:「全国の講師全員(約1,500名)」② 検査方法:所内健診での「胸部直接撮影」 当支部数:「表参照」 ③該 ④実施時期:「2月〜3 月の健診閑散期」⑤読影・判定・報告:「本部に て一括」 ⑥精密検査:「保険対応」 このように,結核健診といった単項目の健診で はあるが「読影」以下の流れを本部一括で行うこ とは「読影事業の一本化」も見据えた方向性に繋 がり,かつ全国に対象者が存在し,「健診」と名 のつくものはすべてネットワーク事業の可能性を 秘めていることが明らかになり,今後のネットワ ーク事業推進には大きな一歩となったと思う。 さらに万が一「結核患者」が発生した場合も, 専門医の紹介をはじめ,本部・支部が一体となっ たフォローアップ体制を確立している。実施後の 状況によっては,他の「教育機関」へも影響が大 きいものと見られるため,健診の結果については 追って報告することとする。 今後のネットワーク事業の課題 現在,「走りながら進める」を合言葉に進めて きたネットワーク事業も,獲得事業が増える毎に, 時たまその足元の「石」を見て,その石につまず かないように進むことも大切になってきた。 そこで今後は,①本部・支部の「健診事業実態 調査」の実施 ②帳票の統一化 ③データの一括 管理他について,具体的な実現時期を定める ④ 当会の健診未実施地域を補完する,「協力医療機関」 の拡大を図る ⑤健診後の「事後指導」について 積極的な推進を図る以上を中心に「本部及び47 支部における全国の健診事業一体化」を目指す。 最後に,ネットワーク事業構想が出来上がった 当時は兼務だった人員も,各支部におけるネット ワーク事業のご理解とご協力のお陰をもちまして, 現在2名の専任体制で任に就いております。今後 も激動の健診業界を乗り切り,各支部の期待に沿 えるよう努力いたしますので,何卒よろしくお願 い申し上げます。 2/2006 複十字 No.308 29 思い出の人を偲んで なみかわ やすし 文:京都府医師会肺がん検診委員会委員長 故 並河 靖先生御略歴 大正2年11月27日 京都市にて生 昭和13年3月 大阪高等医学専門学校卒業 昭和13年 陸軍短期現役軍医として入隊 昭和15年 勲六等旭日章 昭和17年 勲五等瑞宝章 昭和21年 大阪大学医学部第3内科勤務 昭和21年 勲四等瑞宝章 昭和22年 京都大学結核研究所助手 昭和27年 財団法人結核予防会京都府支部勤務 昭和49年 厚生大臣表彰 並河靖先生との出会いは,私が昭和28年結核予 防会京都府支部へ勤務したのが始まりで,平成17 年4月まで続いていました。その間,多く教えて いただいた事,楽しかった事が走馬灯の様に浮か んできます。 全結核死亡率は,昭和30年146.4で死因1位,平 成15年全結核死亡率1.9と激減し死因25位に下がっ ています。 昭和30年頃は,肺結核治療として,気胸療法と 化学療法併用,外科療法がありました。結核予防 会では,午前約100名位の気胸療法を行い,気胸の 前後には,レントゲン線透視を行って,肺の収縮 程度をチェックしていました。気胸を長期つづけ ると滲出性肋膜炎の併発があり,そのために気胸 を中止する場合もしばしばありました。先生は, その原因は通常200〜500cc/1回の送気量が多い 30 2/2006 複十字 No.308 上田 千里 昭和56年 現住所にて開業 昭和59年 東山区並河医院にて勤務 昭和61年 労働大臣表彰 平成17年4月17日 死去 享年91歳 その他 京都府公立学校教職員疾病審査委員会委員, 京都府公立学校教職員結核審査委員会委員, 京都市結核診査協議会委員, 京都府医師会理事会理事等多数歴任 と考えられ50cc前後/1回に改良されましたところ, 見事に肋膜炎の副作用はなくなり,安全に治療の 継続が出来ました。 以上は,一例ですが,考え方の基本は,原因追 求を徹底され妥協はされませんでした。この考え 方は,仕事の面でも趣味の面でも一貫していました。 また,結核予防会の事業運営,方針決定に際し ても,所内の諸々の事象のみに囚われる事なく, 厚生労働省の考え方や方針,更には世界の医業動向, 経済動向等の広い視野より多く情報を汲み入れて 決断,実践する様教えられました。 結核予防会は,京都府・市民の結核撲滅を旗印 に活動しています。 昭和35年頃より日本の結核対策が効果を上げて いると認識されて,所内に全国に先がけて循環器 科を新設されました。現在の生活習慣病対策の第1 歩と考えられます。 また,昭和37年8月には,京都がん協会を開設 され,がん撲滅も視野に入れての活動を始められ ました。 私は,今日まで教えを守りそれなりの手応えは 充分にあったと実感し感謝しています。 趣味は多方面に亘り,仕事同様に徹底されてい て専門家も驚く程です。 犬は,紀州犬を数頭飼っておられましたが,本 場の和歌山県で血統の正しい犬を求めて色んな村 を尋ねられたとの事です。私が,犬は好きですと いいましたところ,早速生後6カ月の紀州犬をい ただきました。何時の犬展でも優賞のトロフィー や楯をいただき快い思いをしていました。 鳩は,趣味の中でも自分の性格に合い一番熱中 されたと奥様より賜りました。小学校5年生より 飼われ,当時孵った小鳩を室で飼育されてお母様 が驚かれたそうです。より優秀な鳩を作るため種 鳩は,ベルギー,オランダから輸入されていました。 鳩レースでは,数多くの優勝はありますが,中 でも,日本最高の北海道稚内レースも優勝されて います。日本ハトレース協会会長も経験され,2 年毎の世界大会には毎回出席され,多くの外国の方々 との交流もあったそうです。病床に伏すまでは, 毎月鳩関連の雑誌への投稿,国内外の方々の鳩相 談や交流で忙しく毎日を送っておられました。 陶芸も原料の土,釉薬,その他をよく勉強され ていて,カバンには陶芸関係の数冊の本が入って いました。良質の土を求めて韓国まで足を延ばし 俵詰にして家へ送られたそうです。また,旅先で は窯元を探して研究をしておられました。先生は 作品を,医芸展へも出展され,その作品は見学者 の足を止める出来ばえでした。 食事も同伴させていただく度に,教えられる事 が多くありました。 まず,お床拝見から始まります。お酒もお好き ですし,今日の料理には,どの銘柄を,地酒をと 楽しまれます。洋酒も同様です。飲み方は,大変 おいしそうに余すところなく舐める様に,じっく り飲んでおられました。 料理も,この魚は,この食べ物は,と知らない 事は席の女将に聞かれて食べるだけではなく料理 に深い関心を持っておられした。食べ方は,大変 に上品なうえ,作法通りで上手でした。例えば, 焼魚を食べる時でも何の苦もなく骨についた身ま でおいしそうに、きれいに舐められて見ていても 大変気持ちよく感心していました。私も,先生の 様に上手に食べたいと試みていますが,未だに上 手に出来ません。 過ぎし日に,生のよい鯛を求めて,船で玄海島(過 日地震被害を受けた島)へ渡りました。鯛の大き さは50〜60cm位あったでしょうか,味は上々です が,2人では夕食にも朝食にも,満足しすぎる程 頂きました。鮎料理,西洋料理等々本場の味も教 えていただきました。 奥様は,料理はお上手なのですが,家では,ど んな料理でも喜んで召し上がられ困る事は無かっ たようです。 先生は,家でも料理の内容によって酒の種類を 変えると云われていました。もちろん,健康にも 配慮され一例としてご飯は麦9:米1,あるいは 玄米飯を食べたりもしておられました。 並河靖之七宝記念館理事長もしておられました。 記念館は,祖父の明治・大正時代の有線七宝作品 を多く展示しています。 平成15年10月末,胃潰瘍の出血で入退院を繰り 返され17年1月よりは,自宅療養されていましたが, 次第に食事量が少なくなり苦しみ,痛み等の訴え もなく暖かい家族の見守る中,静かに4月17日黄 泉の旅に出られました。 並河先生には,半世紀の長きに亘り,何時も変 わらず多くの事を教えていただき,感謝の念は筆 舌に尽し難いものがあります。今は先生とのなつ かしい多くの楽しい思い出を胸に秘め,残された ご一家の平安と先生のご冥福を心よりお祈り申し 上げます。 合掌 2/2006 複十字 No.308 31 第1回結核予防会マンモグラフィ読影講習会 昨年の12月10日,11日の2日間,主催の結核予防 会と共催のNPO法人マンモグラフィ精度管理中央 委員会(精中委)による「第1回結核予防会マン モグラフィ読影講習会」が結核予防会結核研究所(清 瀬市)で開催されました。私は結核予防会千葉県 支部に所属し,講師の一員として参加しましたの でその内容と結果をご報告いたします。 『女性が乳がんで命を落とすことのない世の中に しましょう』と結核予防会マンモグラフィ講習会 事務局長山下事業部長の開講の挨拶で始まりました。 これまで結核予防会では,放射線技師を対象とし た撮影技術講習会は6回ほど開催されていますが, 医師を対象とした読影講習会は,今回が初めてです。 受講者は全国(北は北海道,南は沖縄)から熱心 な医師49名が集まりました。また,講師陣は,A 判定の資格を持っているだけでなく,これまで多 数の講習会で指導経験が豊富である医師を選出し, ハイレベルの講習会となりました。 初日は,午前中にマンモグラフィの基礎(撮影や 装置),病理,読影についての講義,午後からは 7班に分かれてのグループ講習です。このグルー プ講習では,多数のマンモグラフィを読影し,所 見の取り方,カテゴリー判定,最終病理診断につ いて詳しい 解説と熱い ディスカッ ションが繰 り返されま した。短時 間に,これ 白熱するディス カッション 読影についての講義風景 32 2/2006 複十字 No.308 だけ多くの症例を読影することは,通常の研究会 や勉強会では不可能です。どの先生も空腹を忘れて, 夜の7時過ぎまで続けられました。2日目は朝か らグループ講習の続きを行い,午後からはいよい よ試験です。100分間で100症例の写真を読影します。 この試験に合格(AまたはB判定を取得)しますと精 中委のホームページ(http://www.mammography.jp/) に氏名と所属が掲載されます。どの先生も真剣勝 負です。一枚の写真の前でじっくり考え込む先生。 ルーペで1mm以下の石灰化の見落としがないか何 回も確認する先生。いつも試験監督をしていて思 うことですが,このような真剣な気持ちで全国の どの先生もマンモグラフィを読影すれば,日本の 乳がん検診は,きっと世界でトップレベルになる と思います。受講者は試験終了まで集中力を切ら さず,最後まで健闘していました。試験の結果は すぐに採点され,受講者49名中,合格者が36名(A 判定:2名,B判定:34名),合格率は73%ととて も良い成績でした。 日本の乳がんの現状を申しますと,罹患率と死亡 率が増加の一途をたどっており,検診による早期 発見・早期治療の意義は非常に大きくなっています。 マンモグラフィ検診には精度管理が必要不可欠で あり,正確な読影と撮影技術,施設認定(機器管理) の三者が全て揃う必要があります。そのために行 う講習会は,地域単位(県や医師会等)で開催さ れることが多く,残念ながら受講できない医師や 技師が全国に多数いるのも事実です。結核予防会 主催の講習会は,地域の限定がなく,全国の支部 や施設を対象とした事業であります。今回の講習 会も2倍を超える受講希望者があったと聞いてお ります。今後もこのような体制の講習会が必要で あり,継続できることを希望しております。 最後になりましたが,今回の講習会におきまして お忙しい中,講師として参加して下さった先生方 および休日にもかかわらず運営を助けて下さった スタッフの方に感謝申し上げます。 結核予防会支部紹介のページ 東 京 都 支 部 はじめに ● 当支部は,昭和18年11月24日に設置され,さら に昭和35年7月31日に,事業活動の一層の進展を 図るため,財団法人東京都結核予防会を設立いた しました。 当支部は,東京都の施策に呼応し,予防会本部 の支援のもとに,胸部X線健診を中心に,成人病, 生活習慣病など,保健医療のニーズの変化に対応 した,一般,総合健診事業も拡大的に実施してお ります。 特に,公益的事業として,東京都福祉保健局から, 結核対策特別促進事業,エイズに係わる繁華街プ ロジェクト事業,山谷地域における健康相談室の 管理運営事業等を受託実施しております。また, 総合的な地域・職域保健,学校保健等の重要性を 鑑みまして,これらに対する事業内容の拡充に努め, もって広く都民の疾病予防と健康づくりに寄与し 現在に至っております。 都民の健康と福祉の増進への取り組み ● 当支部は,健診業務の推進にあたって,精度の 向上,より迅速な健診結果,受診者へのきめ細か なサービスに努めてまいりました。平成9年9月 1日,CR画像診断車を購入し精神病院及び老人保 健施設入所者,路上生活者等に対する胸部集団健 診では,撮影業務の効率化やリアルタイムな画像 診断が可能となりました。また,平成17年4月, 山谷地域に附属総合健診センター分室を開設し, 地域に居住する日雇労働者等に対し,週2日結核 専門医療を実施するとともに,必要に応じ管内の 保健所及び福祉事務所と連携し,東京都の事業で ある山谷DOTS事業の対象としております。 東京都結核予防会 ● おわりに 厚生労働省の「最新の科学的知見に基づいた保 健事業に係る調査研究」班(主任研究者・福井次 矢聖路加国際病院長)の報告によれば,現行の住 民健診や企業健診の健診項目の多くで,「疾患の 発見につながらない」など,効果を疑問視する評 価をしております。 また,引き続く景気の低迷,指名競争入札に伴 う健診単価の引下げ,結核予防法の大幅な見直し, 結核対策特別促進事業の縮小等,健診事業を巡る 周辺の状況は,年々厳しさを増しております。 当支部では,このような状況の中で,職員が一 丸となって柔軟な発想と大胆な実行を目標とし, より質の高いサービスの実現と安定的な経営基盤 の確立に努めております。 CR画像診断車 2/2006 複十字 No.308 33 平成18年度厚生労働省予算(案) 平成18年度結核感染症課予算(案)の概要 事 項 平成17年度予算額 感染症対策 結核対策 平成18年度予算額(案) 差引△減額 (単位:千円) 主 な 内 [ 7,949,652] ( 3,145,348 ) 3,122,147 [ 11,204,409 ] ( 3,988,132 ) 3,928,637 [ 3,254,757 ] ( 842,784 ) 806,490 <対前年度伸率 <対前年度伸率 <対前年度伸率 +40.9% > +26.8% > +25.8% > [ 8,048,251 ] ( 8,047,658 ) 7,824,112 [ 7,358,083 ] ( 7,357,489) 7,161,283 [△ 690,168 ] ( △ 690,169) △ 662,829 <対前年度伸率 <対前年度伸率 <対前年度伸率 △8.6% > △8.6% > △8.5% > 1 結核予防対策推進事業 [ 228,107 ] [ 201,293 ] ( 227,514 ) ( 200,699 ) 3,968 → 4,493 2 結核研究所補助 [ 515,653 ] [ 500,911] 515,653 → 500,911 3 結核対策特別促進事業 [ 440,000 ] [ 300,000] 440,000 → 300,000 [ 6,864,491] [ 6,355,879] 6,864,491 → 6,355,879 435,716 → 330,326 6,428,775 → 6,025,553 4 結核医療 ・結核医療費補助金 ・結核医療費負担金 予防接種対策 計 *1[ . 容 [ 1,245,909 ] ( 1,245,909 ) 1,245,909 [ 1,238,394 ] ( 1,238,394 ) 1,238,394 [ △ 7,515 ] ( △ 7,515 ) △ 7,515 <対前年度伸率 <対前年度伸率 <対前年度伸率 △0.6% > △0.6% > △0.6% > [ 17,243,812 ] ( 12,438,915 ) 12,192,168 [ 19,800,886 ] ( 12,584,015 ) 12,328,314 [ 2,557,074 ] ( 145,100 ) 136,146 <対前年度伸率 <対前年度伸率 <対前年度伸率 +14.8% > +1.2% > +1.1% > ]内の数字は厚生労働省計上分(他局他課計上分を含む) *2( . )内の数字は健康局計上分(他課計分を含む) 平成18年度健康局総務課生活習慣病対策室予算(案)の概要 事 項 (項)厚生労働本省 平成18年度 予算額(案) 差 引 増△減額 418,818 414,673 △ 4,145 6,533 6,533 2,702 0 12,831 3,657 0 0 0 0 6,454 3,191 △ △ △ 6,533 6,533 2,702 0 6,377 466 5,060 4,114 0 0 3,263 2,452 103,192 8,089 5,818 119,402 5,279 5,279 生活習慣病対策推進費 生活習慣病予防対策推進費 栄養対策総合推進費 たばこ・アルコール対策推進費 がん対策総合推進費 生活習慣病対策推進費 たばこ・アルコール対策推進費 たばこ対策推進費 アルコール関連対策推進費 栄養対策総合推進費 国民健康・栄養調査経費 健康日本21推進費 健康づくりウォーキングロード等普及啓発費 86,701 0 0 0 0 2,915 25,751 20,822 4,929 9,339 13,455 24,850 10,391 がん診療施設情報ネットワーク事業費 うちがん診療施設情報ネットワーク開発普及事業費 (大)厚生労働本省一般行政に必要な経費 経常事務費 生活習慣病等予防対策費 生活習慣病予防対策費 うちがん総合相談事業費 循環器病疾患等予防技術職員研修費 健康局一般行政費 健康栄養対策費 生活習慣病等特別対策費 乳がん自己健康管理支援事業費 第3次対がん10か年総合戦略経費 うちがん総合相談事業費 (大)厚生労働行政情報化の推進に必要な経費 保健医療関係情報化経費 循環器病診療施設情報ネットワーク事業費 うち循環器病診療施設情報ネットワーク開発普及事業費 (大)医師等国家試験実施に必要な経費 医師等国家試験費 健康局国家試験費 管理栄養士国家試験費 (大)健康増進総合支援システム事業に必要な経費 (項)保健衛生諸費 (大)保健所の地域保健活動の推進等に必要な経費 34 平成17年度 予算額 2/2006 複十字 No.308 △ △ △ △ 5,060 851 2,452 △ △ 16,210 2,810 539 108,844 23,493 21,646 13,856 49,849 0 0 0 0 0 0 0 0 △ △ △ △ △ △ △ △ 22,143 23,493 21,646 13,856 49,849 2,915 25,751 20,822 4,929 9,339 13,455 24,850 10,391 8,402 5,818 5,279 5,279 △ △ 3,123 539 47,182 46,902 △ 280 249,080 241,915 △ 7,165 461,762 1,712,893 1,251,131 (単位:千円) 備 考 積算組替 委託先: (財)日本対がん協会 積算組替 積算組替 積算組替 委託先: (財)日本対がん協会 委託先: (財)医療情報システム開発センター 積算組替 委託先: (財)医療情報システム開発センター 委託先: (財)健康・体力づくり事業財団、 (独法)国立健康・栄養研究所 (単位:千円) 事 平成17年度 予算額 項 保健衛生施設等設備整備費補助 (目)保健衛生施設等設備整備費補助金 (大)疾病予防及び健康づくり推進に必要な経費 疾病対策事業費 (目)疾病予防対策事業費等補助金 がん診療施設情報ネットワーク事業費 平成18年度 予算額(案) 差 引 増△減額 備 考 − − − 156,991 49,166 1,404,840 211,732 1,247,849 162,566 90,000 962,000 872,000 補助先:都道府県 ※三位一体改革により、循環器病診療施設 分は廃止・税源移譲 補助先:都道府県 149,768 63,515 0 補助先:都道府県 補助先:都道府県 補助先:都道府県 都道府県・地域がん診療拠点病院(仮称)機能強化 事業費 メタボリックシンドローム対策総合戦略事業費 若年期からの肥満予防対策事業費 たばこ対策緊急特別促進事業費 地域健康づくり推進対策費 (目)予防接種対策費等補助金 健康日本21推進事業費 婦人の健康づくり等推進事業費 食生活改善地区組織活動強化費 0 0 17,825 149,768 63,515 17,825 193,809 35,627 158,182 158,182 197,136 33,353 163,783 163,783 国民健康・栄養調査委託費 (目)国民健康・栄養調査委託費 110,962 110,917 − − − 880,580 2,127,566 1,246,986 4,606,952 3,015,481 0 1,591,471 5,528,342 3,605,778 500,000 1,922,564 921,390 590,297 500,000 331,093 2,253,953 1,442,796 811,157 2,384,861 1,499,889 884,972 130,908 57,093 73,815 6,860,905 7,913,203 1,052,298 △ 3,327 2,274 5,601 5,601 △ 45 (メニュー化) がん診療施設情報ネットワーク設備整備 ※三位一体改革により、農村検診センター、 健康科学センター、循環器病診療施設情報 ネットワーク設備整備は廃止・税源移譲 補助先: (財)健康・体力づくり事業財団 補助先: (財)日本食生活協会 委託先:地方公共団体 (項)保健衛生施設整備費 保健衛生施設等施設整備に必要な経費 (目)保健衛生施設等施設整備費補助金 計 <厚生科学課計上分> (項)科学研究費 (目)厚生労働科学研究費補助金 第3次対がん総合戦略研究経費 第3次対がん総合戦略研究経費 うち戦略型研究 がん臨床研究経費 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究経費(仮称) 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究経費(仮称) 糖尿病戦略等研究経費(仮称) 計 (メニュー化) 農村検診センターの整備 ※三位一体改革により、健康科学センター 施設整備は廃止・税源移譲 積算組替 積算組替 一般公募型研究を追加 平成18年度老人保健事業予算(案)の概要 平成18年度の老人保健事業予算(案)は,総額で240億円(対前年度△50億 円)であり,また,マンモグラフィ緊急整備事業予算(案)として23億円(対 前年度△9億円)を計上したところである。事業の概要については次のとお りである。 1.保健事業の推進(208億円) 生活習慣病などの疾病の予防,早期発見,早期治療を図るとともに,介 護を要する状態となることを予防するため,健康教育,健康相談,健康診 査等の保健事業を推進する。 2.C型肝炎等緊急総合対策の推進(32億円) C型肝炎等緊急総合対策の一環として,平成14年度から5年間で老人保健 法に基づく健康診査の対象者全員に対して,C型肝炎ウイルス検査を実施。 C型肝炎ウイルス検診の対象者としては, ア.節目検診(5歳刻み) 40歳,45歳,50歳,55歳,60歳,65歳及び70歳の者 イ.節目外検診 「ア」以外の節目検診対象とならない者のうち,早期に検査を受ける必 要がある者として, ・過去に肝機能異常を指摘されたことのある者 ・広範な外科的処置を受けたことのある者または妊娠・分娩時に多量 に出血したことのある者であって,定期的に肝機能検査を受けてい ない者 ・基本健康診査の結果,ALT(GPT)値により要指導とされた者 としている。 また,平成15年度より,現行の検査結果判定の手順を一部変更し,C型肝 炎ウイルス検査のより一層の精度向上を図るために,新たに開発されたH CV抗原検査(第2世代)を導入し,実施している。 3.マンモグラフィの緊急整備(23億円) 女性のがん罹患率の第一位である乳がんについて,受診率の向上及び死亡 率減少効果のあるがん検診を推進するため,マンモグラフィの緊急整備を 図るとともに,撮影技師及び読影医師の養成研修を実施する。 平成18年度老人保健事業予算等(案)の概要(老健局老人保健課) 事 項 (目)保健事業費等負担金 (C型肝炎等緊急対策費:再掲) (目)成果重視事業マンモグラフィ緊急整備事業費補助金 (単位:千円) 平成17年度 予算額 平成18年度 予算額(案) 差 引 増△減額 29,013,548 (3,237,788) 23,952,687 (3,173,742) △5,060,861 (△ 64,046) 3,937,500 2,312,500 △1,625,000 備 考 1健康手帳作成費 160,154 2健康教育費 1,435,260 3健康相談費 705,405 4健康診査費 21,460,958 5機能訓練費 130,799 6訪問指導費 60,111 2/2006 複十字 No.308 35 結核予防会本部事業所から 第4回新山手病院・保生の森・ グリューネスハイム新山手合同業績発表会の報告 新山手病院は,結核予防会の中核施設として従来, 呼吸器疾患の専門的な診断治療を行っているが, 加えて消化器科では内視鏡手術を含め,多数の悪 性疾患の外科治療が盛んである。また循環器病セ ンターと結石センターが2年目を迎え,急性心筋 梗塞や頻脈性不整脈などの循環器急性期疾患の診 断治療,泌尿器科の砕石治療に取り組んでいる。 一方,介護保険施設の保生の森では,通常の介護 に加え,酸素投与中の呼吸不全の入所にも対応し ている。また昨年にはADLの高い高齢者の居住施 設であるグリューネスハイム新山手が加わり,当 施設は高齢者の生活支援から地域の急性期治療ま で幅広く対応する総合医療施設に発展している。 職員数も増え活気あふれる状況であるが,反面, 職種が生活支援,介護,医療スタッフと多岐にわ たるようになった。この状況をふまえ,私たちス タッフが忘れてならないのは利用者の視点である。 患者・家族の不安の対象は抱える疾病に限定され ない。今後の生活,介護の不安さまざまである。 これを理解し共感するためには,施設内でどのよ うなことを目指して何が行われているのか職員が 知る必要がある。このような横の連携を強化する 目的で4年前から施設の合同業績発表会を行って おり,本年度は去る11月26日に行った。結核予防 会本部,地元医師会,看護学校様から多数の先生 方のご参加を賜り,盛大に行うことが出来た。こ の場を借りてご参加いただいた先生方に感謝申し 上げたい。 今回は筆者作成の循環器病センターのホームペ ージ( http : //www002 .upp.so-net.ne . jp/yamanote/ yamanotebase/index.html)にてすべての事務連絡 36 2/2006 複十字 No.308 と演題募集を行った。9月に実行委員会を発足し 10月15日までに演題と抄録を,11月12日までにス ライドを全部署に呼びかけて提出してもらった。 こういった演題募集の体系化の効果もあって, 演題数は毎年着実に増加している。今回は合計67 演題を採用し,全体を看護部(13題),病院各課・ 科(18題),保生の森(11題),グリューネスハイム 新山手(1題),安全講習会(2題),特別講演(2 題),臨床各科(12題),ポスターセッション(8 題)の8部構成とした。特別講演では,『悪性腫 瘍の術後長期生存例の解析』(院長講演)と『肝 移植について』(東京医大八王子医療センター外 科学第5講座,中村有紀先生講演)をお願いした。 またこの会は職員一同が集う良い機会であり,職 員の安全意識高揚のため安全講習会のセッション を設けた。会の詳細は,上記の循環器病センター ホームページの『一般の方入口』に抄録集を掲載 したのでご参照いただければ幸いである。このホ ームページでは当施設の活気をご紹介できればと 考えたが,まだ循環器病センターのすべてを紹介 できるには至っていない点と職員の氏名は匿名に させていただいた点をご容赦願いたい。臨床各科 に限らず,看護部,検査科を始め各部署で地道な 研究活動を実施しており,この一端を紹介できれ ば幸いである。また,実行委員会を運営する立場 から見ると,院内業績発表会にとどめては惜しい と思われる演題が多数見られる。検討の成果を社 会全体で共有するために看護協会など施設外の学会・ 研究会でぜひ発表していただきたいと考えている。 2006年度も今回以上に盛大な業績発表ができるよ う職員一同努力を重ねる所存である。 結核予防会複十字病院 第1回院内発表会をふりかえって 去る12月17日(土曜日),複十字病院第1回院内発表 たことも会を開くに利したと思っている。発表演題は計 会が,結核研究所講堂(口演会々場及び懇親会々場)と 68題(各職場活動報告<口演>41題,各種院内委員会報 第2会議室(講堂の隣室,ポスター会場)にて開催され 告<ポスター>27題)に及び,口演はワークショップ形 た。予防会本部をはじめ関連施設の諸先生,登録医会の 式(発表3分と討論) で,ポスターは座長ラウンド形式(発 諸先生,複十字病院同窓会(松友会)の皆様など多くの 表と討論,計4分)で行われた。まさに複十字病院の機 方々の御臨席を賜り,さらに発表会後の懇親会のみの出 能の全ての発表といった観 があった。優秀発表者(5人) 席者を入れると300名を超える方々の参加をいただき, には尾形院長より表彰状が懇親会々場で手渡された。今 盛会裡に会を終えることができた。これも偏に皆様の御 回はプログラム兼抄録集を開会7日前に配布したが,次 力添えと衷心より感謝する。 回には,質問時間,発表形式,特別講演などを考慮して, 昨今の医療側にとって厳しい医療改革は医療費削減と これに連なる診療報酬低減の大波の環境下で,仕事の効 別な切り口から趣を変え,予防会に貢献する会となるよ う今から力を注ぎたいと思っている。 率化と採算性を重視した病院経営を要求するに至ってい 一方,発表会と同様に重視されていた懇親会は,ここ る。加えて昨年受審した日本病院機能評価機構より当院 10年ほど,職員の出席が少なくて開催されていなかった での院内情報共有化の不足が指摘された。それ故,本発 病院忘年会を兼ねることとし,職員のコミュニケーショ 表会は今日の社会・経済・政治情勢を鑑み,時代遅れと ンの場として活用されることに努めた。武蔵野音楽大学 ならぬよう職員間の職場を越えたコミュニケーション作 講師によるハープとフルート演奏で始まった懇親会(忘 りと,職場間の相互理解と今後の効率よい職場作りを目 年会)は,当日病院勤務の職員を除き,ほとんどの発表 的として を目ざして開催し 会出席者が参加し盛大に催された。特に診療部奥村医局 たものである。当院職員意識の特殊性として,「他職種 長と石黒歯科長がバーテンダーをかって出てくれ,手さ に関心を持たないこと」,「与えられた従来からの仕事 ばきもあざやかにカクテルサービスにつとめ,また複十 以外には手を出さぬこと」,「複雑なあるいは時間の要 字病院登録医会幹事藤井守先生率いるジャズバンド(フ する仕事を可及的に避けること」といった唯我独尊的思 ージーズ)は好評であり,他方本院調理師普入氏らによ 考(風潮)があたかも本病院の過去の輝かしい歴史を守 る素晴らしい懐石料理が花を添えてくれ,まさに手作り るという美辞麗句ですり替えられ,長々と今日に至って の複十字病院ならではの忘年会として盛り上がりを見せ いるということである。事実,本発表会開催準備に当た た。今回の催しは種々の成果を上げた一方,反省すべき っては多くの職員が「過去の栄光」と「今日の現実」の 点も多い。ともあれ,8月上旬より病院有志より立ち上 ギャップに対する認識を避ける傾向にあった。その場限 げた準備委員会諸士と,御尽力された関係の皆様に深甚 りの「点と線」では行動するが病院全体としての「面や なる感謝の意を表したいと思う。 全職種発表,全職員参加 立体構造」では行動を起こしたがらないという風潮をど のように整理し理解していただくかに多大の労力が費や された。上司の指示に従うという縦の線はあっても,仕 事の効率化が要求される組織横断的な情報や行動は稀薄 で,無視しつづけているようにも思われた。しかし会の 準備が進むにつれ,どんな織物も縦糸と横糸が交互に織 りなし,はじめて反物ができるという事象が職員に浸透 していった。最終的には予想以上の協力を得ることがで き職場間に新しい連携の輪もみられるようになり,複十 字病院の実力(底力)を目のあたりに知るにつれ,心強 い思いで発表会に臨むことができた。幸い新山手病院の 業績発表会のごとき良いお手本を参考にさせていただい 懇談会(忘年会)の様子 2/2006 複十字 No.308 37 タクシー車内における受動喫煙の調査 タバコ粉じん濃度と運転手への身体的な影響について タクシーは不特定多数の人々が利用するポピュラーな 37.5%であった。また咳,目や喉の痛みなど身体への影 交通機関であり,乗務員にとっては長時間働く職場であ 響を感じる運転手は,非喫煙者のうち63.2%,喫煙者の る。「健康増進法」は公共の場における「受動喫煙の防 うち28.1%であった。また,タクシーの全面的な禁煙化 止」を義務化しておりタクシーも例外ではないが,禁煙 を望む運転手は,全体の54.4%であった。 化されているタクシーはわずかである。受動喫煙に常時 【考察】 さらされるサービス業従業員の健康被害については多く タクシー車内は狭い空間であり分煙は不可能である。 の研究で明らかであり,タバコ煙は不快感,目や喉の痛 雨,風の強い日やエアコンを使用する日には窓を開けら みなどの症状を生じさせるため,安全運転に障害となる れない場合が多く,タバコ煙が長く車内に残留すること ことが予想される。 から,運転手やあとに利用する乗客も影響を受ける。ま 平成17年の5月から7月にかけて,1)タクシー車内 た,タバコ煙は運転手(特に非喫煙者)の不快感や目や における粉じん濃度の経時変化と平均曝露濃度の測定を 喉の痛みなどの症状を生じさせるため安全運行の観点か することにより,タクシー乗務員及び顧客の受動喫煙曝 らも改善が必要であり,車内を全面禁煙とする以外に手 露を定量的に評価し,2)運転手の乗務中の受動喫煙曝 段はあり得ない。 北米,豪州,欧州,アジアの一部では国民の健康を守 露について,不快感や症状をアンケートにより調査した。 【調査の方法】 る観点からタクシーを含む交通機関を全面禁煙としてい <タバコ煙粉じん濃度の測定> る。日本においても労働安全衛生法第3条に「事業者は タクシー車内で乗客役が1人,2人,3人と喫煙する 快適な職場環境の実現のため,労働者の安全と健康を確 状況を設定し,それぞれの場合の運転席,後部座席にお 保するべき」と明文化されている。また,タクシー車内 けるタバコ粉じん濃度を測定。記録計付きのレーザー粉 の受動喫煙による損害賠償を求める訴訟(2005年7月東 じん計(柴田科学,LD-3K型)を運転席と後部座席に設 京地裁)の判決(同年12月)において,乗務員や利用者 置し,粉じん濃度の経時変化を測定した。 のためにタクシーは全面禁煙化が望ましいことを認め, <アンケート調査> 事業者及び国に対してタクシー禁煙化に向けた早急な改 対象は関東都市のタクシー乗り場で客待ちをしている 善措置を求めた。禁煙タクシーの普及は,競争が激しい 運転手372名。質問は,一乗務あたりの乗客の喫煙本数, タクシー業者の自主性に任せていたのでは早急な改善は 受動喫煙曝露による不快感や症状,禁煙化への要望など。 困難であるため,法律による適切な対応が期待される。 【結果】 後部座席の窓を5cm開けて乗客役が喫煙した場合, タクシー車内のタバコ煙(粉じん濃度) 粉じん濃度は法定基準(0.15mg/m3)の9.1倍(1.36mg/m3) に上昇し,30分以上もとの値に戻らなかった。雨,風の 後部座席 運転手 日や,クーラーを利用する時を想定し,窓を閉めた状態 で後部席の乗客が喫煙した場合,濃度は法定基準の12倍 った。喫煙者が2人の場合の濃度は法定基準の24倍,3 人では31.6倍(エアコン使用の場合は49.6倍)となった。 この数値は,これまでの調査(一般の職場,飲食店,パ チンコ,カラオケ,列車)の中で最高値を示していた。 アンケート調査によれば,一乗務あたりの乗客の喫煙 本数は,平均10.6本。乗務中の受動喫煙により不快感を 感じる運転手は,非喫煙者のうち70.8%,喫煙者のうち 38 2/2006 複十字 No.308 粉じん濃度(mg/m3) (1.80mg/m3)となり,1時間以上もとの値に戻らなか 6.00 5.85 5.70 5.55 5.40 5.25 5.10 4.95 4.80 4.65 4.50 4.35 4.20 4.05 3.90 3.75 3.60 3.45 3.30 3.15 3.00 2.85 2.70 2.55 2.40 2.25 2.10 1.95 1.80 1.65 1.50 1.35 1.20 1.05 0.90 0.75 0.60 0.45 0.30 0.15 0.00 3人喫煙 2人喫煙 後部座席窓を5センチ 開けた状態 3人喫煙 法定評価基準値 0.15mg/m 14:35 3 (途中で中止) 1人喫煙 窓は全開 14:40 14:45 14:50 14:55 15:00 15:05 時刻 15:10 15:15 15:20 15:25 15:30 予防会だより ●第27回(平成17年度)結核予防会事務職員セミナー開催 1月10日(火)〜 12日(木)の3日間にわたり,37名の参加 新潟県支部副支部長 16:50〜17:40 を得て,標記セミナーが開催された。内容は下記の通り。 富山県支部健康増進センター所長 13:00〜13:10 開講挨拶 結核予防会理事長 13:10〜14:30 「結核の知識,結核予防法改正後の現状」 結核予防会会長 【 2月4日(土)】 正和 9:00〜10 :30 「胸部レントゲン検診(間接撮影)で発見された 肺癌50例」 「結核予防会ネットワーク事業の実際」 岡山県支部厚生町クリニック所長 10:30〜12:00 「結核予防会本部事業について」 16:40〜17:30 「結核予防会の国際協力活動と今後の役割」 茨城県支部検診部次長 山下 剛士 勝義 羽田恭一郎 武子 ●第10回結核予防関係婦人団体中央講習会開催 克知 参加者自己紹介 平成18年2月8日(水)〜10日(金)の3日間,メルパルク東 京において標記講習会が開催された。内容は下記の通り。 【 1月11日(水)】 主 8:40〜10:20 シンポジウム「組織が求める事務職員像とは」 連絡協議会 座長:結核予防会事業部長 後 山下 武子 シンポジスト: 催 援 財団法人結核予防会・社団法人全国結核予防婦人団体 厚生労働省・東京都 参加者 104名 目 本講習会は,結核予防会総裁秋篠宮妃殿下のご臨席の 秋田県支部 企画事業推進部長 縄田屋宗夫 栃木県支部 事務局次長 山根 則幸 もと開会し,全国の各婦人団体会員を対象として,結核予防 兵庫県支部 但馬支所長 足立 博文 に関する知識の向上と,結核予防に関する地域活動の浸透を 飯田 亮 結核予防会新山手病院 事務部長 班別討議「まずは意識改革。 的 図り,併せて各団体相互の親善交流と相互啓発により,結核 予防事業の推進に寄与することを目的とする。 そして、職場全体につなげよう!」 助言者: 【 2月8日(水)】 14:00〜14:30 開講式 秋田県支部 企画事業推進部長 縄田屋宗夫 主催者挨拶 栃木県支部 事務局次長 山根 則幸 全国結核予防婦人団体連絡協議会会長 兵庫県支部 但馬支所長 足立 博文 飯田 亮 結核予防会新山手病院 事務部長 結核予防会会長 施設見学①(結核研究所) 来賓挨拶 班別討議まとめ 「健康の歌」斉唱 14:40〜14:55 司会:結核予防会 事業部長 山下 武子 青木 厚生労働省健康局長 中島 一 同 15:10〜16:10 講演① 「結核予防婦人会の役割〜複十字シール 運動・結核の現状も含む〜」 17:30〜17:50 施設見学②(複十字病院核医学科) 18:00〜 懇親会 全国結核予防婦人団体連絡協議会事務局長 16:20〜17:20 講演② 結核予防会国際部長 ―親しまれるスタ ッフになろう―」JALアカデミー 山脇あき子 11:00〜12:00 「日本の喫煙対策」・「エイズの現状と対策」 結核予防会顧問・エイズ予防財団理事長・ たばこと健康問題NGO協議会会長 島尾 忠男 武子 石川 信克 【 2月9日(木)】 7:00〜8:00 増上寺拝観 9:30〜12:00 報告会 「結核予防婦人会活動報告」 13:10〜13:55 歌唱 「健康の歌」 14:10〜15:25 実演① セミナー総括・閉会挨拶 結核予防会専務理事 山下 「結核予防会の国際協力」 【 1月12日(木)】 終講式 正治 記念撮影 助言者:班別討議と同じ 8:30〜10:50 「心のふれあう接遇サービス 正和 秋篠宮妃殿下 13:00〜13:15 15:50〜17:30 全体討議 中畔都舍子 総裁お言葉 14:40〜15:40 12:00〜12:20 加藤 岡山県支部附属診療所副所長 結核予防会国際部副部長 大菅 10:30〜14:40 小谷 「生活習慣病健診のコンピューター診断支援」 幸一 15:50〜16:30 結核予防会事業部長 前田 昭治 懇親会 喜多村悦史 結核予防会事業部参事 篠原 17:30〜18:15 18:00〜 「結核予防会の使命と課題について」 結核予防会専務理事 15:10〜15:40 仲村 英一 青木 雄三 −市町村がん対策推進員の取り組み−」 【 1月10日(火)】 14:40〜15:10 栗田 「がん検診受診率の向上にむけて 声楽家 松田 敏江 シールグッズの工作演習 全国結核予防婦人団体連絡協議会事務局 喜多村悦史 15:40〜16:45 実演② シールグッズの工作 健康を守る婦人会(東京) ●平成17年度(第46回)結核予防会医師研修会開催 2月3日(金)・4日(土)の2日間,結核予防会本支部より48 18:00〜 名の参加の下,ホテルグランヴィア岡山において標記研修会が 8:20〜 9:10 開催された。内容は下記の通り。 9:20〜11:00 【 2月3日(金)】 開会挨拶 13:10〜14:00 「生後6カ月までのBCG直接接種」 結核予防会理事長 全体討議 14:00〜14:50 「結核菌感染診断 山下 仲村 英一 増田 國次 全国結核予防婦人団体連絡協議会会長 クォンティフェロンTB−2G 結核予防会理事長 大阪府支部相談診療所長 武子 11:00〜11:40 終講式 主催者挨拶 の実際」 中畔都舍子 仲村 英一 木下 幸子 修了証・記念バッジ授与 千葉県支部常務理事 鈴木 公典 受講者代表挨拶 正和 「蛍の光」斉唱 「肺癌集団検診の発展と今後の展望」 結核予防会会長 16:00〜16:50 支部シール担当者発表 司会・助言 13:00〜13:10 14:50〜15:40 懇親会 【 2月10日(金)】 青木 福岡県結核予防婦人会 一 同 「CTを導入した住民肺癌検診」 2/2006 複十字 No.308 39 予防会だより 多額のご寄付を下さった方々 マテックインターナショナル,グラシアス,品川合 三友建設,三和電子,品川合成製作所,社会保険統計 〈指定寄付等〉(敬称略) 同葬祭,戸田葬祭場,関口商事,エル・エッチ陽光出 調査会,主乃国企画,昭和商事,シンタックス,新都, 寺田文男(本部),紫竹貞子,伊藤照(複十字病院),田 版,西都興業,山本プラスター,セゾン・アート,日 ジェイティービーモチベーションズ,ジェプロ・ 中元直(宮城県支部),奥原喜三郎(新山手病院),大 本エス・エス・エム,若杉工業,崇巖寺,ヴァリアン フォーラム,鈴居製作所,スバック,精研機工,セン 塚製薬(結核研究所) ト,日蓮宗新聞社,岩崎硝子,ダイニ,伴野商事,ビー トラル設計,太陽環境,太陽油化,高商,大都商会,ダ 〈複十字シール募金〉(敬称略) ビーラボラトリーズ,英光薬品,ジュパンスコスム, イワハイテックス,ツナシマ商事,テムジン,テン・ 東京都−健康を守る婦人会(東京),宝仙学園小 旭洋社,ジョウサービス,法輪出版,齋藤みどり,高 フードシステム,デユプロ東和,電脳,東京サイエン 学校,サンメディックス,昭和女子大学附属昭和中 野陽,増田富士男,伴良雄,瀬間由美子,正法院,金蔵院, ス,東邦金属工業,東洋スポーツ施設,栃榮製作所, 学校・高等学校,帝京中学・高等学校,エイム 金地院,西応寺,西光寺,簑島秀道,大教寺,円明寺,松 中野運輸,日清化工,新日石不動産駐車事業部,日本 愛知県−酒井文雄 林院華厳院,身延別院,蓮乗寺,水天宮,烏森神社,富 建築設計,バン産商,パンテオン地所,ヒロココシノ 大阪府−井上紀代子,大塚光範,久保しおり,赤井マ 岡八幡宮,多摩キリスト教会,御岳大教大滝教会,西 デザインオフィス,ビーエム商事,ビジネスポート, タニティクリニック,石川昌司,生心科学会,菅沼孝 光寺,浄延院,長安寺,立正寺,竜慶寺,大森歯科医院, ピーアンドシー,フーズコンテナー,フープ,フェニ 之,中村諭,向井均,上田慶一,下岡良藏,田中泰,松原 あかし歯科医院,橋本歯科医院,小野歯科医院,小澤 ックスインターナショナル,深田キディ,富国紙業, 秀男,八百正浩,寺澤恒子,月岡榮子,森垣友二郎,小 歯科,原歯科クリニック,晴見歯科診療所,松村歯科 富士キメラ総研,中島達晃,ヘイワ堂,ベネテックス, 寺太平,西川原覚市,新井道煥,小林正夫,磯田勝信, 医院,稲城台病院,調布修道院,真如苑,桐田真能,橋 ベルセード,マオス,槇コンサルタントオフィス,丸 吉野孝幸,天光教總本部,山本英樹,山川英治郎,村 本光司,東禅寺,福全院,鎌倉順子,梅村典裕,相馬太郎, 板,宮原製作所,ムサシノアロー,明文図書,文殊社, 田清三,降籏森 医学翻訳サービス,金子健美,国立印刷局岡山工場, 倭土木工業,ユニバーサルウィング,レミックス,ロ 本部−アロエベラエンタープライズ,小菅和子,ヨ 門脇輝子,岩谷アリス,加瀬徳太郎,桜井美国,高木勇, ータス,池上精機製作所,大比良工業,木村実業,ケ シムラシゲハナ,カズプロダクション,コウダマサ 勝田尚夫,オニキヒコタネ,フクダキヨコ,シマザキ ーシー工業,コスメテックスローランド,三国一,三 タカ,ヤスダエイイチ,コウダエツコ,シバケンゴ, イサオ,ナカヤマカツタロウ,五十嵐公昭,栗林秀造, 友エステート,しんきん情報サービス,新谷電機,ジ マルヤマテツオ,カトウテツジ,クルマノリオ,ティ ネモトヒロシ,高橋誠一郎,古屋文男,浦野祐一,臼 エイ・エス・ビー,杉山商事,長壽庵,つくし工房, ー設計工房,金子敏子,本田昭夫,永島年子,遠藤元繁, 井医院,大久保医院,クリニカル南台,柴田小児科医 電子機械サービス,トヨフク,富士コピーセンター, イシカワテルヨ,キヨミヤイワオ,キタオテツロウ, 院,中野小児科医院,はんだこどもクリニック,金田 藤田桂子,ワカール,西岡みよの,綿貫静江,工藤翔二, 春風光男,クガヒロシ,オダギリレイコ,イマイヒト 昌子,徳永裕之,木タカ子,三原桃栄,毛利ゆき子, 三田守久,板垣寶淵,豊川市保健センター,林あき子, シ,シラクラテツヤ,新美容出版,トーオン,昭和理化, 長谷川さつ子,松崎健自,平澤晴美,上原正樹,久村 辻本歩,海保孝幸,岡田ゆみ,深澤道子,前田美佐子, 山田興業,武蔵野葬儀社,研究出版,成美堂出版,ベ 真紀江,国際共立学園,シーアール,ジョイフル社, 宮城県佐沼高校,勝本敏和,時田美和子,今倉章好, ルモント化粧品,都政新報社,三共社,和田商事,ド アートライフクリエイト,アール・エフ,アジャス 佐藤孝治 クターイシイコスメティック,渡辺ブロック工業, ト,アドバンテック,アンゼン,石山,イナゲ,今村組, 銀座,全互連冠婚葬祭中央協同組合,国際急行観光, 岩崎倉庫,牛方商会,エーエムアール,永明,エス・ 浅井商事,上今コーポレーション,テー・エス・ビ ケイインターナショナル,エルタ,お世話や,オリジ 結核予防会役員人事(敬称略) ー,朋和商事,ギャルドユウ・エス・ビイ,国際医学 ン,金子工務店,カネモク工業,川重東京サービス, 支部 出版,防衛通信社,ビーライン,城山建設,千歳ゴル 學風会,久永,グランド東京,ケムテックラボ,高齢 発令日 支部名 フセンター,シティトラベルサービス,ベルセレー 者住環境研究所,小山弓具,サイエンスインフォメ 18.1.1 ジュ,北斗通商,シグマ,磯脇工務店,桜電社,越路建設, ーション,三栄建設,産業リーシング,サンケイフー 佐藤型枠工業,誠宏産業,長南工務店,双文社,シグ ズ,三信,サントレィド,サンメディカルサービス, 氏名 発令内容 高知県 村山博良 支部長を委嘱する 17.12.31 高知県 町田隆夫 支部長の委嘱を解く 中国が結核対策世界目標を達成 中国政府衛生部の広報誌「健康ニュースネット」(健康報網)は2005年12月16日付で中国が初めて結核 対策の世界目標を達成したと報じた。 15日中国衛生部王隴徳副部長は調査団専門家から,2005年結核対策目標である70%以上の患者発見と85 %以上の患者治癒率を期限通り達成したという報告を聞いた後,2005年目標の達成はさい先のいい端緒に過 ぎず,今後も全力を尽くして全国の結核対策においていま一層の強化に努めると言明した。 これで世界目標を達成した高蔓延国はベトナムを含めて2カ国目,西太平洋地域(フィリピン,カンボジ アなどを含む)全体としても,他の5地域に先んじて世界目標を達成することが確実となった。 お詫びと訂正 前々号(№ 306)において誤りがありましたので,お詫び申し上げますと共に訂正いたします。P. 5左段14行目(誤)減少率はともに0.8%と小さい。→(正)減少率はともに3%程度と小さい。 平成18年2月20日 発行 複十字 2006年308号 編集兼発行人 山下 武子 発行所 財団法人結核予防会 〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-3-12 電話 03(3292) 9211(代) 印刷所 日本印刷株式会社 東京都千代田区外神田6-3-3 電話 03(3833) 6971 結核予防会ホームページ URL http://www.jatahq.org 本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。 複十字シール運動 みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会 平成17年度複十字シール 複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病気 をなくすため100年近く続いている世界共通の募金活 動です。複十字シールを通じて集められた益金は, 研究,健診,普及活動,国際協力事業などの推進に 大きく役立っています。皆様のあたたかいご協力を, 心よりお願いいたします。 運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。 問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直) 40 2/2006 複十字 No.308
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