HIV感染者・ハンセン病患者等(PDF)

❽ HIV 感染者・ハンセン病患者等
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平成15年11月,熊本県内のホテルにおいて,ハンセン病療養所入所
者に対する宿泊拒否事件が発生しました。患者・回復者やその家族が
偏見や差別で苦しむことがないよう,感染症に対する正しい知識と理
解が必要です。
エイズウィルス(HIV)やハンセン病等の感染症に対する正しい知識と理解
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は,いまだ十分とはいえない状況にあります。これらの感染症にかかった患者・
回復者やその家族が,周囲の人々の誤った知識や偏見等によって,日常生活,職
場,医療現場等で差別やプライバシー侵害等を受ける問題が起きています。
エイズウィルス(HIV)は,性的接触に留意すれば,日常生活で感染する可能
性はほとんどありません。
ハンセン病は,らい菌という細菌による感染症ですが,感染したとしても発病
することは極めてまれで,しかも,万一発病しても,現在では治療法も確立し,
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早期発見と適切な治療により後遺症も残りません。
平成15年11月に起きた熊本県内のホテルのハンセン病療養所入所者に対する
宿泊拒否事件によって,今なお誤った認識や偏見が存在していることが明らかに
なりました。このような偏見や差別の解消を更に推し進めるため,平成21年4
月に「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が施行されています。また,
平成21年度から,
「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する
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啓発ビデオ「未来への虹
ーぼくのおじさんは、ハンセン病ー」
冊子「HIV/ エイズの基礎知識」
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The Protection of Human Rights
法律」の施行日である6月22日が「らい予防法による被害者の名誉回復及び追
悼の日」と定められました。さらに,平成22年(2010年)12月,国連総会
において,「ハンセン病差別撤廃決議」が採択されました。
法務省の人権擁護機関では,中学生等をパネリストとしたハンセン病問題に関
するシンポジウムを開催したり,ハンセン病への正しい理解と偏見や差別をなく
すことを呼び掛ける新聞広告やインターネットバナー広告を掲載するなど,様々
な啓発活動を行っています。また,HIV感染者やハンセン病患者等に対する差別
事案について,人権相談や調査救済活動に取り組んでいます。
●内閣府「人権擁護に関する世論調査」
(平成24年8月調査)
から
エイズ患者・HIV感染者やその家族に関し, 現在, どのような人権問題
複数回答(%)
が起きていると思いますか?
0
10
20
30
40
50
結婚問題で周囲の反対を受けること
【41.6%】
差別的な言動をされること
【30.7%】
就職・職場で不利な扱いを受けること
【29.9%】
治療や入院を断られること
【19.7%】
宿泊施設 , 店舗等への入店や施設利用を拒否されること
【15.8%】
無断でエイズ検査等をされること
【12.7%】
アパート等への入居を拒否されること
【10.6%】
特にない・わからない【35.5%】
0
ハンセン病患者・回復者やその家族に関し, 現在, どのような人権問題
複数回答(%)
が起きていると思いますか?
10
20
30
ハンセン病療養所の外で自立した生活を営むのが困難なこと
【32.1%】
結婚問題で周囲の反対を受けること
【25.1%】
じろじろ見られたり , 避けられたりすること
【24.1%】
差別的な言動をされること
【22.3%】
就職・職場で不利な扱いを受けること
【21.1%】
職場 , 学校等で嫌がらせやいじめを受けること
【16.3%】
治療や入院を断られること
【13.6%】
宿泊施設 , 店舗等への入店や施設利用を拒否されること
【12.1%】
アパート等への入居を拒否されること
【10.2%】
特にない・わからない【39.5%】
ハンセン病に関する
「親と子のシンポジウム」
(東京会場)
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