住民に柔軟に寄り添い - 公益社団法人 母子保健推進会議

平成 25 年 12 月 25 日発行
平成 14 年 7 月 19 日(第三種郵便物認可)
公益社団法人 母子保健推進会議
定款第1章第3条 目的(抜粋)
国及び地方自治体
関係諸団体と連携協力して
母子保健の重要性を啓発し
母性の健康を守り たかめ
心身ともに健全な児童の
出生と育成に寄与してまいります
ぼ
す
い
地域母子保健福祉情報紙
住民に柔軟に寄り添い、行政のパイプ役の地域組織活動
No.221
須 賀 川 市
健康づくり推進員
ていただいた。
須賀川市の人口は77,576人(平成24年)、
須賀川市保健センター所長で健
出生率は県、国と比較し高い傾向にあった
康づくり課の関根雄辰課長、有馬
が、平成23年は出生率が低下し出生601人
喜代子保健指導係長、伊藤幸子保
であった。
健師、福島雅恵保健師、金澤佳代
お話を伺った方々。前列左から2人目推進員会後藤
会長、後列3人目須賀川市健康づくり課有馬係長
子保健師、新藤好慧主事、須賀川
時代の要請に柔軟に応じて
市健康づくり推進員会後藤幸子会
須賀川市健康づくり推進員会
長、山寺美代子さん、箭内啓子さ
須賀川市では、昭和40年度に市長の委嘱
んにご出席いただき、本事業実行
による母子保健推進員が設置され、活動が
委員会(委員長 : 髙村寿子自治医
始まった。平成2年度から活動の幅を広げ、
東日本大震災により大きな被害を受け、
科大学名誉教授)から古山綾子福島県保健
「健康づくり推進員」に名称を変更。推進員
アリーナに仮住まいが続く「須賀川市保健
福祉部児童家庭課専門保健師、本会議原澤
会は、9つの地区委員会で組織され、現在
センター」(福島県)を訪ねた。平成25年
勇理事長、事務局として鑓溝和子常務理事
会員は150名、うち男性が2名。推進員は、
度公益社団法人母子保健推進会議が独立行
がお話を伺った。
各地区長の推薦による。任期は2年、再任
政法人福祉医療機構(WAM)より助成を
須賀川市は福島県のほぼ中央に位置し、
は妨げないが推進員の約半数は入れ替わる。
受け実施している「避難家族に対するリフ
古くから交通の要衝であり、福島空港を有
また推進員経験者によるOB会も設けられ
レッシュママ教室事業」にかかる『東日本
する。東日本大震災による市役所等市街地
ている。
大震災下の市町村における地域組織活動実
の崩壊や交通網が寸断されたなか、空港機
1.推進員の役割(会則抜粋)
態調査』を行うためである。ご協力いただ
能はいち早く確保され、物資や人材の移動
1)市主催研修会年6回参加により、健康
く自治体は、各県担当課に依頼し、推薦し
に重要な役割を果たした。
今月のページ
住民に柔軟に寄り添い、行政のパイプ役の地域組織活動(須賀川市)… 1∼4
紙上セミナー:子育てって楽しい!「育児とケア」………………… 5
おかあさんと、おなかの中からはじめる育児支援(佐賀県母子保健推進員研修会)… 6∼9
紙上セミナー:8020の里づくり「快食快便」
、歯・口の健康 …… 10
第2回健康寿命をのばそう!アワード表彰式行われる/「全国歯科保健大会」開催∼大分県 … 11
母子保健推進員等向け 団体障害保険制度のご案内/編集帖 ……… 12
に関する知識を深め、その知識を地区
に伝える。
2)健康に関する問題点の把握及び情報交
換(行政と住民のパイプ役)
推進員活動報告書の提出(年4回)
3)市が実施する各種保健事業への協力
4)市健康増進計画の推進
健康寿命の延伸、生活の質の向上、壮
1
母 推 さ ん
平成 25 年 12 月 25 日
年期に死亡(早世)の減少、すこやか
推進員が訪問後、必要に応じて地区担
子育ての推進
当保健師が継続的支援を行った件数
(第三種郵便物認可)
2.推進員の活動
43件。
⑴市保健事業への協力
特定健康診査時の活動では、空間分
①各種健康診査会場での活動
煙の推進や喫煙、多量飲酒の賀医の啓
②こんにちは赤ちゃん事業
発を目的としたパンフレットの配布、
③すかがわ産業フェスティバル参加
展示などを年間66回行った。対象延べ
④各地区で開催する保健事業等の活動
住民数は4,291名。ほか、地区ごとに
⑵地区での活動
行っている啓発活動(介護予防、成人・
①分煙の推進、多量飲酒の害についての
老人の相談、子育て支援情報の提供等)は
知識の普及
②介護予防のための筋力アップ体操等の
普及
マタニティクラスではパートナー同士のグループワークも
846件、対象住民は、延べ12,130人に及ぶ。
健康づくり推進員機関紙「すこやか」を
年3回発行、健康に関する情報、経験談、
③生活習慣病予防のための知識の普及
情報提供を行っている。
④安心して子育てができる子育て情報の
健康づくり推進員のほか、須賀川市では
提供など
以下の地区組織が、市民の健康づくりをサ
3.その他
ポートしている。
⑴報償費
「食生活改善推進員」は、昭和45年度活
どちらもちょっと緊張?
年間15,000円を個人口座に振り込み
動を開始し、平成14年度ボランティア団体
組織だが共通する部分は多く、兼任する人や
⑵守秘義務
となった。「大東地区健康づくりの会」は平
共同で事業を行うことも多いという。
成15年4月設立、健康増進部会、腰立て部
乳児家庭訪問から介護予防の啓発まで
会、支えあい部会があり、健康ウォーキング、
推進員活動を通して考えること
こんにちは赤ちゃん事業は、平成20年度
赤ちゃんと中学生の親子ふれあい事業など
推進員さんに活動を通しての悩み、考え
から始まった。生後2か月頃の対象児の名
を行い、子育て部会では、公民館で開かれ
ること等について伺った。
簿を健康づくり推進員に送付し、生後4か
る地域の親子の交流に保育サポーターとし
*健康づくり推進員になった動機
月までに訪問する。訪問後は、「こんにち
て協力。支え合い部会では、高齢者が住み
・区長から声を掛けられ、はじめて健康づ
は赤ちゃん事業訪問活動報告書」に記入し
やすい地域づくりに高齢者世帯や1人暮ら
報告する。H24年度後期に同意が得られた
しの高齢者世帯を訪問、認知症を理解する
世帯に対して推進員が訪問したのは83.0%、
学習会等を開催している。
その他、
「仁井田地区健康づくりの会」
は平成17年設立。「長沼地区健康づく
りの会」と「岩瀬地区健康づくりの会」
マタニティクラスでは実際のオムツ替えも体験
2
くり推進員の存在を知った。
・夫が区の役員だったこともあり区長から
誘われた。
*活動している中で難しいと感じること、
工夫していること
・母子健康手帳配布と同時に、健康づくり
は平成19年度から活動を開始してい
推進員が訪問することへの同意書を記入
る。さらに、健康推進員が個人、また
してもらい、認知され理解されている。
は数人で高齢者サロンや昔ながらの遊
しかし、訪問まで時間が空くことで、忘
びを伝承していく子育て事業など、独
れられてしまうこともある。また訪問が
自の活動も行われている。「健康づくり
得意でない推進員もおり、手づくりのエ
推進員」と「健康づくりの会」は別の
プロンを持っていくなど工夫を凝らして
(第三種郵便物認可)
母 推 さ ん
平成 25 年 12 月 25 日
長を感じ、喜びは大きい。
性を痛感する。放射能の心配から室内
で遊べるキッズルームを作ったが、イ
・最初の頃は地域づくりからスタートとい
ンフルエンザなどの集団感染が子ども
う面があり、長い年月かけて活動は広がっ
の間に広まり、ここにも保護者たちの
ていった。高齢化、少子化といった地域
心配が。そんなとき、もしよかったら
の変化とともに、活動も、自分自身も変
私の家に遊びにおいでと声かけるな
わっていった。後藤会長が自宅を開放し
ど、精神的負担を和らげるように働き
て行っている宅老所サロン事業には長寿
かけている。
福祉課から予算が出るようになった。長
・正直、推進員がこれほど忙しいとは
い活動の成果から行政、他地区のよい見
いる。保健師とは報告書はもとより、電
思っていなかった。しかし、今では訪問し
本となっている。初めはモデルとして2
話等での連絡も密にしている。問題を感
てさまざまな話をすることが楽しみになっ
年間実施したが、今では9地区で最大30
じた場合や気になる点を保健師に伝える。
ている。つい話し込んでしまうことも。
か所以上にまで広がった。その経験が基
保健師からは身近な存在として見守って
・初めのうちは、訪問先の場所を覚えるの
になり、子育てサロン事業『ザックの会』
先輩ママに赤ちゃんを抱かせてもらって
ほしい、というお互いの役割を活かした
も難しかった。訪問する際は事前の連絡、
協力関係を築けている。長年続けている
時間帯、その日の赤ちゃんの都合への配
推進員は、より保健師との連携が重要だ
慮も忘れない。
に生かすことができた。
・地域の公民館で行っている家庭教育学級
(キラキラ学級など)ともっと繋がりを持
・長年推進員をしていると、以前訪問した
てればとも思う。赤ちゃんを抱えての参
・赤ちゃんの出生数が少ない、町で会った
赤ちゃんが20歳になった、結婚したなど
加となるとなかなか集まりづらい、地域
ら声を掛ける、健診時に会うことで相手
の報告をもらうことがあり、子どもへ成
外からの参加も呼びかけている。それぞ
と感じている。
の顔を覚え、こちらの顔を覚えてもらう
れ組織が個別化してしまうことも
よう努めている。
あり、もっと繋がりを持つことが
・活動における個人の悩みなど、役員に相
できれば充実した活動ができるの
談する。時代や世代による変化もある。
では。明るい町づくりができれば、
*活動を通しての悩みと相談先
須賀川市に人も集まってくる。一
放射能に関する情報が不足する中で、子
か所に集中した方が、事業、活動
も進展する。
どもを抱える母親たちにこころの状態に
・推進員になっていなければわから
心配があった。放射能について勉強する
場が欲しい、国や県、行政の支援の必要
ふれあい体験学習で母親に話を聞く中学生
なかったこと、活動できずにいた
3
平成 25 年 12 月 25 日
母 推 さ ん
ことがたくさんある。また、保健師さん
中にも、その重さに耐えられない人も
に伝えていくと、保健師さんだけではカ
いた。しかし、やり通すことで喜ばれ
バーしきれない部分もあり、改めてお互
た事業だったと実感している。健康づ
いの共通認識に繋がっている。
くり推進員として、じっとしていられ
・昔と違って子どもが見えないところで育
(第三種郵便物認可)
ない、何か役に立てることはないか、
てられている感があり、開かれた地域づ
との思いだった。地区委員(9地区
くりを目指している。アパート等最近の
35名)が主導して行い、とにかく悩
住宅事情もあるが、赤ちゃんの泣き声が
みに耳を傾けた。そのほか、仮設住宅
聞こえて「赤ちゃんがいると楽しいね」
に居住の住民との交流(昼食・おやつ
という雰囲気をつくっていかなければな
等/活動回数7回)、食生活改善推進員によ
なったこと、父親の積極的な子育て参加が
いと思う。核家族化により、母親だけに
る汁物サービス(2回)、伝達料理講習会「災
顕著になった。沐浴がテーマの時など、お
子育ての負担が偏る等課題が多い。
害時の食を考えよう」・「いざという時のた
父さんの方が一生懸命で、お母さんは見守
めの食の備え」などを53回行った。
るだけ、という情景が見られる。
何か役にたてることはないか…
市外へ転居した住民への母子保健事業
2)保健センターを会場に「リフレッシュ
大災害時の地域組織活動
震災直後は850世帯の団地に、乳児がゼ
ママクラス」(自治医大公衆衛生部門高村寿
震災で避難してくる家族が増加し、地区
ロ名になった。最近になってようやく避難
子名誉教授指導でジョイセフ、本会議が東
によって偏りが見られるようになった。出
した家族、妊婦が戻りつつあると感じるよ
北3県で実施中)を須賀川市で25年3月に
入りの頻繁な地域ではまとまった活動がし
うになったが、食べ物や水の汚染被害、家
2回開催した。母親が子どもと離れ(保育
づらく、それぞれの特徴を顧みながら、地
族関係など戻りにくい状況がある。安心で
士による託児を実施)、自分自身を再発見し、
域に合わせた活動を模索する。放射能につ
きる地域づくりが必要。
参加した母親同士の間に仲間意識が芽生え、
いても、危険性の高い地区、低い地区があ
3歳児乳児健診
日頃の想いを打ち明け合い、自身の夢を再
り、子どもが多くいてほしいう気持ちはあっ
母子保健事業で発災前と
確認し、人生をどう前向きに進めていこう
ても、その反面放射能を心配する複雑さを
変わったこと、変えたこと
としているか、再確認のクラスとなった。
抱えている。
1)保健センター、総合福祉センターを会
3)上記クラスに参加した母親たちから、
震災の10日後に、アリーナ施設やスポー
場に実施していた「HAPPYマタニテイ
また是非集まりたいという要望があり、4、
ツ会館に、避難されて来た方、自宅をなく
クラス」に医療機関、健康づくり推進員、
5月に1回ずつ実施された。
した方々を対象に、傾聴ボランティアを10
食生活改善推進員が加わり、子育てに重点
4)保健センターを会場に「親子ふれあい
回行った。延べ活動推進員数158名。抱え
を置く活動に徐々に変化していった。1コー
教室」を25年4月、被災した乳幼児を持つ
ているものが大きく、健康づくり推進員の
ス全4回、年4回行う。平成23年度は震災
母親に対しての心のケアを目的に実施、屋
本会議等主催リフレッシュママクラスで
4
で中止になり24年度に再開。その地
内の遊び場を提供、保育士による親子遊び、
域で子育てをしていただこうという狙
臨床心理士が入った親のピアミーテイング
いがあり、妊婦同士やパートナー同士
などを行った。
が話をする機会や、食生活改善推進員
東日本大震災では、須賀川市は甚大な被
の作ったヘルシー料理を食べるランチ
害を受け、尊い命も失った。
会などを行っている。毎回10数人参
今、須賀川市は、放射線による汚染とい
加し、4∼5名の健康づくり推進員と
う目に見えない災害と闘いながら、震災か
6名の食生活推進員が加わる。終了時
らの復旧、復興、さらなる発展に向け、全
にはメールアドレスを交換するように
力で取り組んでいる。
母 推 さ ん
(第三種郵便物認可)
平成 25 年 12 月 25 日
その頃は先の
るのを見ることがあります。
ことを考えない
そのようなとき子どもを見ている
で、毎日目の前
と、ややもするとおとなは手を出し
のことに直面し
て教えようとするけれど(育児)、
ながら、そのと
そのときこそ、行動を見守ると同時
きどきの行動を
に、先輩おとなとして、危険から守っ
とっていたから
てあげて(ケア)
、子どもの行動の
赤ちゃんはあるとき大きな産声と
こそ、おとなへの準備をしていたと
一歩前進を応援してあげたいもので
共に呼吸が始まって、人生出発です。
解釈されます。
す。その結果0・1・2歳児は、こ
しかしこの段階で、人の赤ちゃんは
それは人間以外の多くの動物は、
の3年間で大変な発達です。
自分で何をすることもできません。
生まれた段階で、すでに完成してい
空腹になっても、寒くても泣くだけ
たのです。例えば馬や牛の赤ちゃん
赤ちゃんの成長とケア
なので、親はいつでも全てに手をか
は、生まれてすぐにお母さんの乳の
*2本足で歩きます。
けてあげなければなりません。
ところに、よろよろと近寄って、探
1、2歩でお尻をついたときでも、
このような親子の生活が続くうち
して、親の乳首を吸います。きょう
1歩歩いたと前向きに褒める。
に、赤ちゃんのからだは、順序を経
だいと争ってでも、生きるための力
*乳を飲むだけだったのに、おとな
て成長・発達していきます。
をもっているのです。テレビで、自
と同じ食事に仲間入りし、おむつ
お座りしたり、つかまって歩いた
然界の動物のたくましさに感動する
もとれます。
り、そしてやがてはおとなと同じよ
場面です。
育児とケア
うに歩くようになります。この難し
消化に合わせて、食物は順序を経
て与えます。(ケア)
い日本語も喋るようになります。し
育つことに赤ちゃんは
かしこのようなことを、おとなに
とても真剣!
しましょう。
(ケア)失敗しても
なって覚えているでしょうか。
赤ちゃんの発達は、生まれたとき
叱らないできれいにしてあげま
からの出発と考えると、そこから1
しょう。
排泄のサインがあったら、手を貸
記憶と発達の関係
段ずつ発達するので、おとなはそば
*日本語も自由です。
そこで私はお母さんや学生、社
から手をかけて、よりよく導きます。
言葉は教えるのではなく、ゆっく
会人、60歳代の人たちに尋ねまし
普通にそれを「育てる」と表現する
り話しかけたり、わかってあげま
た。「何歳くらいまでのことを覚え
と0・1・2歳児は自由な行動をと
しょう。
ていますか」 と。その答えは、年齢
りながらの時点で試行錯誤を繰り返
に関係なく4歳が最多で、次いで3
しています。見守っていると、真面
歳が続き、2歳は極少数です。私た
目な表情でからだを総動員させてい
ちは生まれてから0歳1歳2歳のこ
*昨日・今日・明日の時間と空間を、
理解できるようになります。
*子どもとの約束を守り、危険に注
意。(ケア)
とは、何も記憶にないということで
3歳からみんなの仲間入りです。
す。しかし、それだからこそ、私た
外国では育児をケアととらえてい
ちは、2本足で歩い
る発想が、素晴らしいと感じます。
たり、日本語を覚え
てしまったのではな
いかと思います。
公益社団法人 母子保健推進会議 会長
小児科医 野悟郎
5
平成 25 年 12 月 25 日
母 推 さ ん
(第三種郵便物認可)
平成25年度佐賀県母子保健推進協議会総
会・研修会が約500人の母子保健推進員、保
健師等を集め開催された(主催:佐賀県、公
おかあさんと、おなかの中から
益社団法人母子保健推進会議、後援:厚生労
人気の品は抽選になることも。別室で
働省、協賛 : 花王株式会社)。佐賀県母子保
は、母推さんがこどもの遊び場を提供。
健推進協議会総会は、徳久榮子会長の挨拶、
収益金は、日頃は活動費に充てている
池田英雄佐賀県健康福祉本部長の来賓挨拶、
が23年度は東日本大震災の義援金とし
本会議鑓溝和子常務理事、各保健福祉事務所
て寄付した。そのほかクリスマス会、
長・福祉監の紹介、協議会の総会が行われた
親子わくわく会等みやき町は自主的活
後、母子保健推進員の活動報告、続いて研修
動が活発である。発表では、おゆずり
会に入った。
会やクリスマス会の様子が、寸劇で披
露された。
県内全市町で活動する佐賀県の
母推さんは自主的な活動も活発
【みやき町母子保健推進員会】
みやき町の「にこにこ体操」は会場を巻き込んで
【武雄市母子保健推進員会】
人口約51,000人、武雄市は宮本武蔵やシー
ボルトなどが愛でた温泉地であり、有田町に
鳥栖市、久留米市に隣接、人口25,796人、
隣接し窯元も多く点在する。旧武雄市の7町、
出生は昨年179人、母子保健推進員30人。
「子
旧山内町、旧北方町の9町の町ごとに母推さ
育てするならみやき町」をキャッチフレーズ
んがおり総勢44名。定例連絡会では市からの
に町づくりを推進している。母子保健推進員
お知らせ、研修会の案内、乳幼児訪問情報を
の主な活動は、乳幼児健診の計測記録や誘導、
共有する。4か月児・1歳6か月児・3歳6
佐賀市の母推さんは家庭訪問を再現
乳児家庭全戸訪問、妊婦訪問など。妊娠時に
か月児の各県健診への協力、研修会への参加、
イナス一歳からのむし歯予防」出行った、む
母親と会うことでその後の乳児訪問がスムー
市図書館「ブックスタートおひざでよんで」
し歯予防啓発のための紙芝居と、3名の母推
ズになる。連絡がつかない妊婦には健診時に
への協力として健診時絵本の紹介、読み聞か
さんが乳児家庭全戸訪問の様子を地元の言葉
会いに行く。研修会も定期的に行い、視察で
せ、親子の触れ合いに携わる。子育てサロン
で上演したものを、再度発表された。
は、昨年度は熊本慈恵病院の「このとりのゆ
も町毎に活発に行われており年間11回、158
りかご」を訪問、多くの示唆を得た。
組が参加。乳児家庭全戸訪問では、事前に電
おかあさんと、おなかの中からはじめる
交流活動としては料理教室、また、母親た
話をして確実に会えるよう努め、留守の場合
育児支援∼妊娠中から考える虐待予防∼
ちからの提案で始まったおゆずり会は、サイ
はメモを残し再度訪問する。
大阪府立母子保健総合医療センター
ズの合わなくなった子ども服、おもちゃ、絵
各町のクリスマス会ではフラダンスやバン
企画調査部長 佐藤拓代
本などを、声かけや町の広報で呼びかけた。
ドベルの演奏会、市職員がサンタに扮し母推
目の前のお母さんがどういった生活をして
さん手づくりのプレゼントを手渡し好評
きたのか,夫との関係などトータルに見てい
だ。当日は、母推さん方によるフラダン
かないと、その人に合った支援ができない。
スが披露された。
それらを踏まえ、妊娠中から支援していくこ
続く研修会では、まず研修伝達および
とが重要。
活動紹介として、昨年度佐賀市子育て応
出生の状況をみると、第一子の4人に一人
援隊が、本会議主催、佐賀市後援、ロッ
が妊娠後に結婚。10代は8割、20代では6
テの協力によりで実施した「市民健康講
割がおめでた婚。妊娠が判明した時点で男性
座 親子のお口の健康を守るために∼マ
が逃げることもあり、女性がひとりで産むか
フラダンスを披露する武雄市の母推さん
6
母 推 さ ん
(第三種郵便物認可)
はじめる育児支援
中 絶 す る か、
平成 25 年 12 月 25 日
が30.8%となっている。精神疾患を患ったこ
佐賀県母子保健
推進員研修会
とがあるか場合、現在は治っていても子育て
で再発することもある。出産後に発症の「産
(「アンチおむつ」のお母さんなど)」、“しつ
後うつ」の場合もあるが、既往歴のある母親
厳しい選択に
けが ”厳し過ぎる傾向もある。
には留意する必要がある。
迫られる。中
現代の母親のいらいらと不安な育児の背景
妊婦健診未受診者や飛び込みによる出産等
絶費用(実質
には、①よい子に育てるというストレス−母
実態調査報告書(大阪産婦人科医会)2013
約40万円)の
親は立派に育児ができて当たり前、子どもへ
年調査結果では、年齢では13歳から46歳、
問 題 も あ る。
の過干渉、②子どもはつくるもの、また両極
未成年と30代後半に多く(うち未成年19%)
2009年度「お
にある「おめでた(できちゃった)婚、③効
があり、リピーターも少なくない。未受診の
めでた婚率」
率性優先の社会、④子育てが自己実現−母親
理由(複数回答)では、経済的29%、知識
は、全国平均25.3%。
自身の人生の確保も重要というアドバイスが
の欠如21%、妊娠に対する認識の甘さ16%、
昭和25年では若年層の結婚は2.4%、地元
必要、などがある。
妊娠の事実の受容困難11%などがある。10
で結婚し、そのまま暮らす生活のため孤立し
加害の動機については、
「しつけのつもり」、
代の理由では、家族に言えず、どうしたらよ
ない。現在は、若年割合は1.3%だが、出会
「保護を怠った」、「泣き止まないいらだち」
いかわからなかった26%、妊娠に対する認
い系サイトなどで知り合った相手との間に子
などが多いが、「子の存在の拒否・否定」も
識の問題24%、妊娠に気づかなかった24%、
どもができ、知らない町で出産・育児をする
多く、妊娠期の虐待予防と大きく関わること、
経済的問題18%、パートナーの問題8%。
など孤立しているケースがある。一方で、妊
妊娠期からの支援の必要性が裏付けられる。
奈良県における乳幼児健診未受診者調査に
娠が遅くなる傾向があるが、妊娠率は年齢と
第8次子ども虐待による死亡事例等の検証結
よると、各種健診を受けていない人は、母子
共に下がり、30代後半で約21%、40代前半
果の報告によると 妊娠期・周産期の問題
健康手帳交付時から公的サービスの流れに上
では10%未満。この世代は頑張り屋、自分
では、望まない妊娠/計画していない妊娠
手くのれていないことも分かっている。
からSOSを出さない人が多いため、支援者
55.6%、喫煙の常習46.7%についで、妊婦健
側から積極的な支援が必要。また最近では
診未受診40.7%で、子どものことに全く配慮
揺さぶられ症候群と“泣き”
37人に1人が高度不妊治療によるに妊娠。
がないことが窺える。
揺さぶられ症候群は、子ども虐待の一つ。
第1次∼第8次報告では、0日での死亡児
激しく揺さぶられることによる硬膜下出血、
最近の虐待の実態と背景
の実母の状況(複数回答)では、望まない妊
脳浮腫、眼底出血がおこり、場合により死亡
平均体重の推移をみると、最近は終戦直後
娠 :76.3%、 若 年
と同じくらいの体重。日本と韓国での傾向で
出産経験 :38.2%、
世界的にはあまり例がない。原因としてダイ
経 済 的 問 題:
はい
エット、喫煙などが考えられている。
23.7%、 過 去 の 遺
いいえ
平成22年度乳幼児健康度調査(10年に1
棄 :17.1%、 精 神
度改訂)で、1600人のお母さんに「子ども
的問題 :5.3%であ
を虐待しているのではないかと思うことがあ
る が、 0 か 月 以 内
たたくなど
りますか」聞いたところ、10人に1人が「は
の死亡児の実母の
食事制限や放置
い」と回答(表1)。「それはどのようなこと
状況となると、トッ
しつけのし過ぎ 14.9%
18.0% 17.6% 18.2% 19.8%
20.4% 18.3%
ですか」という問いには、2∼3歳児に対し
プが若年出産経験:
感情的な言葉
76.4% 78.0% 89.9% 89.5%
89.8% 84.3%
ては、「言葉がわかっってきたのに言うこと
61.5%、 望 ま な い
を聞かない」、「上手にオシッコができない
妊娠と精神的問題
佐藤拓代先生
子どもを虐待しているのではないかと思うことがありますか
1歳
何ともいえない
1歳6か月
2歳
3歳
4歳
5−6歳
全体
7.2%
8.3% 11.5% 15.9% 13.3%
11.6% 10.7%
82.5%
79.4% 74.1% 86.9% 72.0%
68.4% 74.7%
9.9%
11.6% 14.4% 16.5% 14.8%
19.4% 14.1%
それはどのようなことですか
1歳
その他
48.6%
1.4%
79.9%
2.7%
1歳6か月
2歳
3歳
4歳
47.2% 54.9% 45.5% 47.7%
0.0%
6.7%
0.0%
1.1%
2.0%
1.0%
1.2%
1.2%
5−6歳
全体
38.9% 46.8%
0.0%
2.8%
0.7%
2.6%
表1 虐待をしていると思うことはありますか
H22年度幼児健康度調査から 7
平成 25 年 12 月 25 日
母 推 さ ん
(第三種郵便物認可)
することもある。米国ノースカロライナ州の
むつかえ、熱、体の異常がないか.ゲップを
妊娠のハイリスクには、
調査では、2歳以下の乳幼児10万人に17.0
させて授乳、おしゃぶり、室温の確認、肌を
・医学的ハイリスク:高齢、若年、多胎、不
件発生、大半が1歳未満で、男児の方が多い
触れ合わせて抱っこ、歌を歌う、穏やかな音
妊治療後、心身の疾病・障害、妊婦健診未
傾向がある。死亡率は20%、生存しても約
楽を流す、ゆっくり揺らす、ベビーカーで散
受診等⇒妊娠・分娩の医療的ケアが必要
半数に重大な後遺症が残る。ただし、膝の上
歩、ドライブなど。それでも泣き止まないと
・社会的ハイリスク:支援者がいない、未婚、
でぴょんぴょん、ソファや家具からの落下、
きは,深呼吸、気分転換、安全を確認して部
DV、経済問題、望まない妊娠等⇒健全な
赤ちゃんをおんぶしてジョギング、高い高い、
屋を離れることを母親に伝えてほしい。子ど
出産、子育てに対する保健・福祉・医療が
車に乗車中の急停車などでは起こらない。発
もが泣きやまないと、
連携した支援が必要。
生要因として、養育者の要因(孤立、うつ状
・自尊心の低い母親は自分を避難されている
態、イライラ、経験不足)、赤ちゃんの要因
(月齢、泣き声、ニーズの多さ)、環境要因(赤
ちゃんを揺さぶってはいけないという知識の
欠如)がある。
乳児の泣きにイライラし、揺さぶる他虐待
ように捉えますます自信をなくす。
・父親はどうしてよいかわからず“揺さぶら
れ症候群”を引き起こすことも。
・泣くことについての正しい知識と、決して
揺さぶらないことの啓発が必要。
・特定妊婦 : 児童福祉法第25条の2、及び
同法第6条により支援が必要とされる妊
婦、が挙げられる。またこれらが重複して
いる場合も多い。これらをしっかり把握し
て、妊娠中から支援していくことが虐待予
防には大切。妊婦への虐待予防の支援は、
・胎児の受容 : 不安を否定するのではなく、
に至ることもあるが、月齢と激しく泣く時間
は、40年間に3回、世界各地で調査したと
妊娠期からの支援はなぜ必要?
どうしてそう感じるのか聴くプロセスで生
ころ同じ傾向を示している。生後2週目頃か
周産期の子ども虐待のリスクとして、
育歴等の問題を把握することができる。胎
ら泣き方が激しくなり、5 ∼ 6週目にピーク
・妊娠の自覚・知識がない:若年、こころの
動の自覚が愛着形成を促すことも。
となり、12週目頃には1日に1時間くらい
問題、知的問題、
・巣作りの支援:具体的な生活のイメージと
に落ち着いてくる。これは時代、世界どの地
・経済的問題、支援者がいない。
用意を支援。⇒一緒に用意することで、生
域でも同じ傾向であり、このことを知ってい
・育てられない(との思い込み): 世間的に
活能力の把握、子育て問題の予測、親との
るだけで心にゆとりが出てくると考えられ、
啓発活動が検討されている。
事故と虐待について、やや不自然な事故(虐
待が疑われる)などグレーゾーンがある。虐
待でも事故でも、家庭訪問による支援が望ま
れる。「黒か白かを決める」のではなく、「寄
り添う」支援が重要。
夜泣き、泣き止まないときの対処法は、お
会場ロビーでは日頃の活動を紹介
8
受け入れられない出産。
・子どもに愛着がない:パートナーとの問題、
生育歴の問題。
・(育てる意思はあるが)育児の負担が大き
い:多胎、こころの問題。
・期待外れの子ども:未熟児、障害児、疾病
を持つ児、期待外れの性など。
支援者が夫だけの場合、虐待のリスクが高
問題の整理等ができる。
これらにより、「親との関係の気づきと整
理の支援」⇒「主体的なお産への支援(夫・
親を巻き込んで)」⇒「自尊心、自効力感を
育てる」。
エビデンスのある虐待プログラムとして
は、ハワイヘルシースタートプログラム
(Daro 1996年報告)と胎児期・乳児期プ
まる。支援者は複数いることも大事。
ロ ジ ェ ク ト 報 告(Olds 1986年・1999・
母親との関わりの開始時期と重症度
2002年報告)がある。いずれも頻回に家庭
変化では、妊娠中から関わったケース
を訪問するもので、対象に条件を付けコント
では重症化することがほとんどなく、
ロール群をとり検証しており、訪問に因り
軽度化していることが多い。4歳以上
有意な結果を得ている。Olds教授によると、
になって虐待を発見し関わった事例で
虐待ハイリスクの家庭には、妊娠中または出
は、重度化も軽度かも、ほとんど変化
産後早期からの頻回の家庭訪問が虐待を予防
がない。子どもを虐待関係の状況に長
する。ただし、虐待リスクの高くない家庭で
くおかないことも支援の一つ。
は効果が得られない。その場合の訪問者は、
母 推 さ ん
(第三種郵便物認可)
・社会的に認知されない妊娠は、相談
静かに起きている時、働かけによく反応する。
する相手がいないとうつ的状況を引
20 ∼ 25cmがよく見え、顔の表情を模倣す
き起こす。これまで受け入れられた
る。母親の声を聞き分け、体臭を嗅ぎ分ける。
思いがない妊婦ほど、相談できる力
赤ちゃんはお乳だけで大きくなるわけではな
を持っていない。⇒子ども虐待の背
い。霊長類が正常に育つのには、接触・動き・
景要因である「親から愛された思い
遊びが必要、さらに人間には児へのまなざし
がない」と同様注意が必要。
と言葉かけが重要。赤ちゃんと触れ合うこと
・妊婦自身が納得した中絶の選択でも、
会場には他職種の多くの関係者が参集
平成 25 年 12 月 25 日
が大切。動物の親の舌の代わりに、温かい手
医療系専門職の方が効果がある。リスクの高
自分を責め深い喪失感があることが多いた
とまなざしで、出産直後から赤ちゃんをなで
い家庭への訪問は、ポピュレーションアプ
め、心理的サポートが必要。
たり抱っこしたり、皮膚への接触が母と子の
ローチである乳児家庭全戸訪問とは切り分け
絆をつくる。赤ちゃんとの出会いが思ったよ
て考え、しっかりと支援してほしい。
お母さんとおなかの中からはじめる育児支援
うに行かなくても大丈夫!人間は数年かけて
∼おかあさんへのメッセージ∼
親子の絆を作っていく。
情報を提供し主体的な選択を促す
おなかの中の赤ちゃんは、運動し表情もあ
母親になるプロセスとして、自分の受けた
妊娠中から公的なサービスに乗りにくい親
る。音(女性の声のようなトーンが聞きやす
子育てを振り返ろう。妊娠の終わり頃から出
は、情報が届かないのか、利用する力がない
く、雑音への慣れもあり)が聞こえ、光も感
産後数週間は、子どもに対して完全に心を奪
のか(⇒新たな情報提供・相談窓口が必要)。
じている。
われた状態になる。父親は母親を理解し、支
あるいは全く子どもに愛着がない親(⇒適切
人間の赤ちゃんは、他の動物にはない未熟
援し、安心させる重要な役割を担う。口に出
な時期の妊娠中絶または特別養子縁組制度等
な状態で生まれてくる。これは頭が大きいた
してお互いに思いやり褒め合い、二人でおな
の情報提供・相談窓口が必要)。既存のサー
めで、手をかけてもらってようやく育つ。在
かに触って赤ちゃんに語りかけよう。母親と
ビスに乗りにくい方に対して,大阪府立母子
胎7週で触覚が生じ、12週で口唇への刺激で
なる妻が不安がっても、「大丈夫」の一言だ
保健総合医療センターでは『にんしんSOS』
口を閉じる。皮膚の知覚が全身に及ぶには32
けでなく、「心配なんだね」と寄り添い、二
を開設。情報をホームページで提供し、メー
週。子宮の収縮はマッサージのようなものと
人でとことん心配しよう。
ルと電話で相談を受け付けている。対応を指
言われている。おなかの中の赤ちゃんは、初
最後に、佐藤先生は次のようなメッセージ
示するのではなく、客観的な情報を提供し、
期はぴょんぴょんした全身の運動だが、次第
で結んだ。「私たち人類は、人類たる営々と
これからの人生を見据えた主体的な選択をす
に部分的に手足の運動が始まる。胎動を感じ
続けてきたプロセスを真摯に受け止め、性行
るようサポートする。『にんしんSOS』から
るのは、子宮が狭くなり手足がぶつかるため。
為、妊娠、出産、子育てにやさしい社会であ
見えてきた必要な支援は、
生まれて間もない赤ちゃんは、目を開いて
りたいと思うのです。」
9
母 推 さ ん
平成 25 年 12 月 25 日
るべきだと思います。
本、臼歯は2種類ありますが少し小さい小臼
バランスのとれた食
歯が8本、大きな大臼歯も8本です。以上で
事とともに、家族が一
28本です。「親知らず」は第3大臼歯と呼びま
緒に食事を楽しむ会食
すが、大臼歯の後ろに生える歯です。
も大事な視点です。快
これらの歯の本数と歯の機能は、無関係で
食は、楽しく、美味し
はありません。歯全体の7分の2の歯で前歯
く、体のために良い食事に支えられています。
は食べものを切って口の中で噛みやすくしま
紙上セミナー
SEMINAR
8020の里づくり
「快食快便」、歯・口の健康
バランスよく食事を味わうために
(第三種郵便物認可)
四季のある日本の自然は素晴らしいと思い
す。犬歯は歯全体の7分の1、肉などの硬い
ます。春、緑には柔らかい緑があることを知
大事な食習慣の循環
食物を噛み千切る役割があります。臼歯は小
る季節。桜が咲き、桜前線が進む様子のニュー
ある若い夫婦の話です。うんちをした赤ちゃ
臼歯大臼歯合わせると歯全体の7分の4を占
スには日本が南北に長いことも改めて知りま
んのおしめを代えようとしたお母さんが、「お
めます。つまり、ヒトの歯は良く噛み潰す機
す。夏、打ち水や風鈴に涼を求める先人の知
父さん大変、うんちが黒い!」、お父さんが早
能が多く備わっていることになります。
恵があります。秋、紅葉に彩られる季節。空
速見てみると確かに黒い。でも、赤ちゃんは
良く噛める機能があるにも関わらず、現代
は天高く、地には稲穂が垂れます。冬、各地
元気そう。二人は少し考えて、「そう言えば昨
人は良く噛んでいないと言われています。食
のお正月行事にはそれぞれの地域を感じます。
日、ぶどうジュースを飲ませたね。」そうです。
物繊維の少ない食べものは、よく噛む必要が
これらの日本の四季をさらに彩るのが季節の
何のことは無かったのです。うんちは食べも
無いでしょうし、柔らかい、とろけるような
食材、食べもの、料理です。まさに食の醍醐
のが排泄されるのですから。このご夫婦はそ
食べものだけなら噛む必要も無いかもしれま
味であり食の幸せを感じます。
れ以来、うんちから食べるものについて考え
せん。
しかし、日本の食の課題や問題が指摘されて
るようになったそうです。
ヒトはもともと良く噛む力、良く噛める能
います。伝統的な食文化が薄れてきた、一次産
食べものが口から入り、消化吸収され、排
力が備わっています。良く噛むことで味わい
業の担い手である農山漁村の人口減少してい
便される。食の固体における循環が健康に大
も深くなります。
る、食糧自給率が低下しているなどの国全体と
事なことは言うまでもありません。悪しき食
快食快便のためにも、今日からでも良く噛
しての課題に加え、食に関する体験が少ないな
習慣の蓄積は、成人期になって生活習慣病の
むことを始めてみませんか。良く噛んでいる
ど家庭での課題も指摘されています。食品の安
発症を高めますし、近年、生活習慣病はだん
方は、良く噛むことの大切さや味わいの深さ
全性の確保は言うまでもありませんが、食の根
だん若年化していると言われています。子ど
を伝えてみませんか。
本が国民の健康の課題に繋がっていますし、生
もの頃からの食習慣がますます大事になって
「食べもの」は、「食べ方」によって、「味わ
活習慣病と言われる病気は、食生活を含めた生
います。
い」あるものになると思います。
生活習慣病の1つである糖尿病は、わが国
良く噛むことが健康への第一歩
公益社団法人日本歯科医師会
では1995年には治療を受けている糖尿病患
ヒトの歯の本数は、28本あります。「親知
者、治療を受けていない糖尿病患者(治療中
らず」が全
断者含む)の他、糖尿病が疑われる方を全部
部揃ってい
併せて1,500万人でしたが、2010年には2,000
る と 32 本
写真 :ひまわりの種と一緒に、ある動
万人を越えています。糖尿病予備軍と治療を
になりま
のうんちでしょう。
受けない(治療中断を含む)方が1,970万人と
す。前歯は
言われます。なかなか生活習慣を改善するこ
上下左右で
とは難しいと思いますが、これだけの国民が
8本、犬歯
活習慣に関わっています。
8020
ひとくちメモ
前・常務理事 佐藤 保
食べるもので変わる消化・吸収・排泄
物のウンチが写っています。これは何
正解:ゴールデンハムスター
ハムスターはひまわりの種が大好きで
す。繊維がたっぷりの種を食べるとう
んちも硬くて、ころころしていますし、
ひまわりの種の色も反映しています。
(資料提供:岩手大学家畜内科学講座)
健康の危機に晒されていることを改めて考え
10
は同じく4
(第三種郵便物認可)
母 推 さ ん
平成 25 年 12 月 25 日
第2回健康寿命をのばそう!アワード表彰式行われる
平成25年11月11日(月)、「第2回 健康
企業・団体・自治体が行う従業員等
寿命をのばそう! アワード」(主催:厚生
に対して生活習慣病予防の啓発、健康
労働省Smart Life Project後援 : 健康日本
増進のための、とくに優れた取組事例
21推進全国連絡協議会等)の表彰式が、都
に対して、厚生労働大臣最優秀賞(1
市センターホテル(東京都千代田区)にて
組)、厚生労働大臣優秀賞(各部門1
行われた。
組ずつ計3組)、厚生労働省健康局長
この表彰制度は、「健康日本21」の重点
優良賞(15組)が贈られ、厚生労働
プロジェクトとして、運動・食生活・禁煙
大臣賞を受賞した計4組には、各種メディ
今後も精力的な取組を応援していきたい」と
の3分野を中心に生活習慣病予防の理解と
アを活用した広範な紹介、受賞ロゴマーク
語った。また評価委員長の永井良三自治医科
向上、国民への呼びかけを目的に「Smart
使用権などが与えられ、それぞれプレゼン
大学学長は、講評の中で、「現在の医療は昔
Life Project」の一環として創設された。今
テーションを行う機会が設けられた。
と比べて格段に進歩し、病気を未然に防ぐこ
回が2回目となり、企業60、団体49、自治
式典に出席した土屋品子厚生労働副大臣
とが出来る。後の世代に課題を残さないため
体28の計137件から応募があった。
は、
「今年こそ“予防元年”という意気込みで、
にも、健康を推進していきたい」と述べた。
厚労省佐藤健康局長から表彰状を授与
「全国歯科保健大会」開催∼大分県
マに開催された。開会挨拶に続き、多
消化器外科部長が「がんにならないた
年にわたり地域における歯科保健の向
めに、なったときのために」をテーマ
上に功績のあった個人、団体に対して
に基調講演、教育講演では「わかる!
厚生労働大臣と日本歯科医師会会長か
医科歯科連携」について大分県歯脇田
第34回全国歯科保健大会が、11月
ら表彰、続いて平成25年度親と子の良
晴彦副会長が教育講演、最後に「生活
16日(土)、iichikoグランシアターを
い歯のコンクール優秀賞6組の親子が
歯援!∼がん治療における医科歯科連
会場に、「豊の国から豊かな口を∼医
表彰された。
携は私たち何をもたらすのか∼」を
科歯科連携で築く健康長寿∼」をテー
続いて、佐野武がん研究会有明病院
テーマにフォーラムが行われた。
11
平成 25 年 12 月 25 日
母 推 さ ん
(第三種郵便物認可)
母子保健推進員等向け 団体障害保険制度のご案内
母子保健推進員、保健推進員、保健
補導員、健康推進員の方々が安心して
活動に専念していただけるよう、本会
保険金額・保険料表
1人あたりの年間保険料
1,200円
(100円/月)
2,400円
(200円/月)
4,800円
12,000円
(400円/月) (1,000円/月)
死亡・後遺障害保険金額
30.0万円
62.2万円
124.0万円
464.2万円
議が昨年度から設けている団体傷害保
入院保険金日額
400円
800円
1,600円
3,500円
険制度です。
通院保険金日額
250円
500円
1,000円
2,000円
家庭訪問の際に訪問先へ向かう途中
(注)中途加入の場合、補償開始月によって保険額に変更がございます
転んで足を痛めてしまった、諸事業へ
活動中、移動中に万一発生した事故、
となることで、母子保健、健康づくり
の参加中にドアや机にうっかり指を挟
アクシデントによりケガをされ入院、
の推進に寄与することを目的としてい
んでしまったなど、日々の活動の中で、
通院された場合などに備えて、傷害保
ます。
うっかりケガをしてしまうこともあり
険制度をご活用いただき、それが生き
本会議が窓口(運用:東京海上日動
ます。
生きと積極的な活動を続けていく一助
火災保険株式会社)となり、原則とし
て自治体、または協議会等組織でご加
保 険 期 間:2014年5月1日午後0時∼ 2015年5月1日午後4時(1年間)
申込・送金締切:2014年4月15日(火)(5月1日補償開始の場合)
※中途加入の場合は毎月20日締切、翌月1日から補償開始となります。
対象となる方:各自治体または協議会で設置されている「母子保健推進員等」の皆様
(被保険者) (例)母子保健推進員、保健推進員、保健補導員、健康推進員、愛育班員など
制 度 の 特 徴 :入院・通院1日目から保険金をお支払いします。
ケガが補償の対象となり、訪問・往復途上を含みます。
加 入 方 法:①同封の「加入依頼書」に必要事項をご記入・押印
入いただくことを基本にしております
が、全員でなく一部の方の加入や途中
からの加入も可能です。
次年度分は、平成26年5月からの
運用開始となり、現在お申し込みを受
け付けております。ご不明な点がござ
②保険料の振込
いましたら、お問い合わせください。
③事務局へ①の「加入依頼書」を送付提出
皆様のご活用をお待ち申し上げてお
※加入のお手続きは、母子保健推進員等設置自治体または協議会ごとに
必要です。
ります。
【送付先】公益社団法人 母子保健推進会議
今年も私どもは市町村の母子保健活動
めるチャンスでもある。訪問市町村の選
を支援し、先駆的取組を行う市町村の訪
定は、本紙を見てわが町にもとの保健師
問を精力的に行っている。その報告は出
からの要望、本会議の各種表彰市町村、
来るだけ本紙「地域母子保健福祉情報紙
県と相談し推薦を依頼する等がある。最
∼母推さん∼」に掲載している。それは
近は手を上げてくれる保健師、母推会長
訪問市町村の母子保健担当者、特に保健
が増えてきた。訪問市町村はリフレッシュ
師にとって、あらためて業務の重要性と、
ママクラス実施訪問も含め、南大東村、
住民サイドに立った母子保健サービスの
南相馬市、南陽市、石巻市、塩釜市、七ヶ
ニーズに寄り添う事業を確認する良い機
浜町、米沢市、普代村、足利市、女川町、
会ともなっており、また市町村の首長に
南会津町、南三陸町、柏崎市、須賀川市、
面談し、事業の重要性について理解を深
新発田市、天城町等々である。 (H)
12
発 行:公益社団法人 母子保健推進会議
発行人:原澤 勇 編集人:鑓溝和子
協 力:全国母子保健推進員等連絡協議会
東京都新宿区市谷田町 1-10
保健会館新館(〒 162-0843)
TEL.03-3267-0690 FAX.03-3267-0630
E メール [email protected]
URL http://www.bosui.or.jp
年間購読料 2,100 円1部 210 円(税込〒別)
(母子保健推進員特別価格有)
郵便振替口座 00120-9-612578