平成23年10月4日~6日

平成 23 年度 経済環境常任委員会行政視察報告書
■ 実施期日
平成23年10月4日(火)~6日(木)
■ 視察先及びテーマ
1.福井県敦賀市
・地産・地消の推進、農産物の販売促進について(敦賀市農産物直売所)
2.滋賀県高島市
・地域熱供給事業について
3.滋賀県彦根市
・新観光振興事業(ひこにゃん関連事業)について
■ 参加者
委 員 長
湯浅 雅明
副委員長
村嶋 照等
委
鵜澤
員
治
水上 幸彦
石渡 孝春
青野 勝行
海保 茂喜
■ 視察概要
1. 福井県敦賀市 10月4日(火)
(1) 視察内容
・地産・地消の推進、農産物の販売促進について
(敦賀市農産物直売所)
敦賀市の農業概要
1. 敦賀市の農業の現状
(1) 水稲単作地帯
(2) 園芸栽培・出荷の中心は、キュウリ・ほうれん草 平成 20 年度から白ネギの栽培
も本格化
(3) 小規模・兼業農家が多い
(4) 規格の決まった共同出荷から、ファーマーズ(直売所)出荷への移行が見受けられ
る
(5) 鳥獣害、後継者不足等による耕作放棄地の増加がみられる
2.耕作面積の推移
(1) 水田面積は、平成 18 年から平成 22 年にかけて約 13ha減少
(2) 耕作面積が減少、自己保全管理等の不作付面積が増加している
(3) 生産調整により、水稲作付面積が減少しているが、園芸において野菜の作付が、や
や増加傾向にある。
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3.農業者数の推移
(1) 農業者数は、年々減少
(2) 認定農業者は、30 名台半ばで推移
(3) 集落営農組織数は平成 22 年度減少
収支を一元化して行う協業組織のうち、1 組織は現在法人化に向け取り組み中
農業支援について
1. 農業経営に対する支援(平成 23 年度現在)
農業経営安定対策
園芸作物の取組・出荷に対する助成
無人ヘリ防除の取組に対する助成
備蓄用米の取組・出荷に対する助成
2. 担い手の促進について
国の政策及び集落の意思を踏まえ、地域ごとに認定農業者中心か、集落営農組織への取
組を推進していく。(所得補償、農地集積支援、資金対策等)
3. 鳥獣害対策
・課内に「有害鳥獣対策室」を設置(平成 23 年 6 月 1 日)
・電気柵、恒久柵による防除
・有害鳥獣の捕獲
・山際の草刈、パトロール
今後は、関係機関連携のもと、鳥獣害のない里づくりを目指す。
4. 直売所の活用
◇ 直売所の利点
・通常の出荷では規格外の品でも出荷を行える。
・少量、多品目の生産販売が可能。
・消費者の声を直接聞くことができる。
5. 市民農園・体験農園等の推進
◇市民農園(運営:農地管理者)
・市内に 6 カ所開設
・利用料 年間 3,000 円/一区画(30 ㎡)
◇体験農園
・木崎地区で市企画の体験農園を開催(現在 30 組が参加)
敦賀市農産物直売所「ふるさと夢市場」概要
所 在 地
敦賀市砂流 24 号 45 番地
開館時間
9 時から 18 時
休 館 日
毎週水曜日、8 月 15 日・16 日
12 月 31 日~1 月 5 日
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開 設 日
平成 22 年 11 月 1 日
オープン
平成 22 年 11 月 13 日
設置目的
敦賀市の農業振興と地産地消を推進するとともに、生産者の販売及び営農活動
の拠点とするため。
運
営
指定管理者「敦賀市農産物直売の会」
(会員 107 名…平成 23 年 9 月 20 日現在)
直売所を利用した農業の振興と地産地消の推進を目的とし、直売所の整備を機
に市内農家有志により設立された生産者組織
特
色
本施設は、生産者の活動拠点と位置づけており、農業者を中心とした団体が指
定管理者として管理運営を行い、農家の収益向上と農業の活性化に向けた一翼
を担っている。
また、指定管理者は、販売計画に基づく作付計画や特産品開発など店長を中心
とした創意工夫により取り組んでいる。
敷地面積
2,415 ㎡
建物構造
木造平屋建て
建物面積
193.77 ㎡
主要施設
販売場、加工場、事務所、駐車場(40 台)
施設の整備に係る経費(市の一般会計)
平成22年度実績(平成 22 年 11 月 13 日~平成 23 年 3 月 31 日)
売上
15,793,764 円
1日平均売上
13 万円
1日平均客単価
710 円
1日平均客数
184 人
営業日数
115 日
敦賀市の地産地消推進の取り組み
1.コシヒカリ・イクヒカリ給食推進事業
学校給食にコシヒカリやイクヒカリを取り入れ、地元産のおいしいお米を子どもたちに知って
もらうことで、米飯給食の推進と米の消費拡大を図る取り組み。
通常、学校の米飯給食は「ハナエチゼン」が使用されるが、「コシヒカリ・イクヒカリ」
との間に生じる差額を、県・市・JA中央会が負担する。
2.学校給食地産地消推進事業
学校給食において、地場産野菜を給食食材に積極的に取り入れることができるよう、食材を提
供する事業主体に対し支援する取り組み。
地場産野菜・地場産野菜を 70%以上使用した加工品について、市場仕入額と農家仕入額と
の差額(取扱総額の 30%)を補助
3.小口農家出荷支援事業
農産物をファーマーズマーケットに出荷することができない小規模農家に、出荷を支援する
取り組み。
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出荷受託回数1回につき 300 円を助成
4.伝統野菜復活支援事業
敦賀市で昔から栽培されてきた伝統野菜(杉箸アカカンバ、黒河マナ、古田刈かぶら)の復
活に向けて取り組んでいる、意欲ある農家に対し支援する。
予算の範囲内において、必要な経費を助成
5.園芸作物生産力向上支援事業
園芸作物の生産量及び生産意欲の向上を目指すとともに、特に秋冬期における市内小中学校
給食及び直売所等での地産地消の推進を図るため、小型パイプハウス(耐雪型)購入経費の
一部を助成する取り組み。
100 万円以下の小規模耐雪型パイプハウスの導入に対し、1/2 以内を助成する(補助上限額
50 万円)
(2)質疑応答
問 鳥獣害対策 イノシシ等の年間被害総額は。
答 県全体では 1 億を超えるのではないか。国の交付金等を使いながら防護策を設置したり、猟
友会の協力を得て檻を設置したり、
地道であるが実施している。
地区によりばらつきはある。
問 農業支援策 担い手・現役農業者の年代構成は。
答 かなりの高齢化である。認定農業者は、30 名台半ばで推移。22 年度は高齢化により農業をや
めてしまった方もいる。
問 直売所の 4 か月売上実績で 1 千数百万円、年間にすると、3 倍の 4 千 5 百~5 千万円位見られ
るか。行政が直売所を造って事業を応援する。それに伴う条例まで設置されているので、中
長期の直売所の推進計画は、概ねどんなものであるか。
答 平成 23 年度以降の直売所にかける経費というのは、指定管理料だけである。予算的には 430
万円持っているが、いずれは、だんだん少なく、可能であれば「0」にして、指定管理者のほ
うで回せるように持っていけたらという期待はある。
長期的ビジョンの明確なものはないが、直売所を造ったことにより、園芸作物生産力向上支
援事業、小さいパイプハウスに対する支援、これも直売所が契機となって稲作が中心の敦賀
市に於いても畑ものを作って皆さん所得向上してもらおうという支援策としての直売所であ
るので それプラス畑のほうにも支援していこうという広がりを見ていきたい思いで予算化
されている。同規模の直売所だと先進地事例で、年間 8 千万円~1 億円は売りあげている。
それを中期的な目標として進めていけたらというところである。
(3)委員所感
(委 員)
今回お邪魔した敦賀市は、周囲を 1.00m程度の山々に囲まれた、素晴らしい自然に恵まれた地
域でした。
そんな中に立地する直売所ですから、始めに施設の説明を受けた時から、いかにも美味しそう
な作物や、加工品が並んでいる気がしました。実際、現場に着いてお店の中を見ますと、スペー
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スの割に品数が大変豊富でした。さらに開所当時からご尽力されている、会長さんのお話を聞き
ますと、有機農法にも取り組んでいるとの事で、試行錯誤の末の無農薬の米作りの実現に、安心
安全の食物供給の観点から、非常に羨ましい思いを抱きました。又、この直売所の特色として、
生産者による消費者との対面販売を実施し、地元の農産物の美味しさについてアピールし、併せ
て栽培方法や調理方法についてもお話する様で、その点についても是非成田で、取り入れて欲し
いと感じた次第です。
2.滋賀県高島市 10 月 5 日(水)
(1) 視察内容
・地域熱供給事業について
熱供給事業
【経緯】
平成 12 年度 新旭町エネルギービジョン策定
平成 14 年度 バイオエネルギーによる公共施設への熱供給事業化可能性調査
平成 15 年度 熱供給事業予算化、特別会計条例を設置
平成 16 年度 6 月着工
2 月竣工、試験運転
平成 17 年度 4 月本格供用開始
【概要】
1.暖房および給湯の熱需要量
介護予防拠点施設(暖房、給湯、歩行
用温水プール)
特別養護老人ホーム(暖房、給湯、24 時間稼働施設)
2.燃料消費量
チップ 400~500t
灯油 10,000~20,000 リットル
3.熱供給設備の規模
チップボイラー 523kw(450,000kcal/h)
灯油ボイラー
補助用 581kw、バックアップ用 465kw
4.配管距離
約 300m
5.総事業費(建設工事費、配管費、設計費等)
約 2 億 1,800 万円
滋賀県(林野庁)補助金 1 億 840 万円
一般会計借入金
2,830 万円
地方債
8,130 万円
熱供給施設(木質バイオマスエネルギー熱利用システム)
太陽光発電や風力発電と並んで、地球にやさしいエネルギーとして注目されているのが「バ
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イオマスエネルギー」。現在、石油や石炭などの化石燃料に代わるものとして研究が進められ
ている。施設では、バイオマスエネルギーの中でも、木質資源を有効に利用することで、市民
が利用する施設にクリーンな熱エネルギーを供給している。
バイオマスとは?
バイオマスとは、再生可能な生物由来の資源のこと。
具体的には間伐材や製材時に出るおが屑、家庭の台所のゴミ、動物の糞尿など。この施設では、
木質チップを燃料としている。
これまで火力発電に使われてきたのは、石油や石炭などの化石燃料。これらと異なるのは、
大気を汚染する硫黄酸化物の発生が少ないことや、温暖化の原因である二酸化炭素を増加させ
る心配がないということ。木は大気中の二酸化炭素を吸収して内部で固定し、燃やされると元
の量の二酸化炭素を排出する。それがまた他の木に吸収されるというように、自然界での循環
がなりたっているからである。
【工事概要】
名
称
高島市熱供給施設
事業主体
高島市
所
滋賀県高島市新旭町藳園
在
2617 番地
建築面積
169.15 ㎡
構
造
鉄筋コンクリート造
施
工
平成 16 年 6 月 23 日
完
成
平成 17 年 1 月 31 日
総事業費
217,000 千円
(平成 15 年度 木質バイオマスエネルギー利用促進事業)
プラント機器仕様
チップボイラー出力……………523kw
温水ボイラー1出力……………581kw
温水ボイラー2出力……………465kw
温水供給温度…………………送り 80℃ ・ 返り 70℃
課題、将来の方向性
○高島市の森林資源をいかに活用していくか。
○安定した経営につながるようランニングコストの削減に努める。
(2)質疑応答
問 このボイラーで燃焼可能な水分含有量は。
答 業者側の説明では、50%まで大丈夫と聞いているが、実際には 60%位まで可能と思われる。
問 ゴミの焼却の場合もそうであるが、カロリーの均一性、コントロールが難しいと思われる。
チップで水分含有量 50%、60% カロリーのコントロールをしなければならないと思うが性
能アップのためにはチップが破砕されたあとに特殊なことをしているのか。
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答 業者の方で破砕した後に露天で乾燥させているのである程度の水分はとばしているので、今
入ってくるチップについては平均で 30%位の含水率を保っている。
問 配管往復 300mでボイラーの温度勾配 どのくらい温度差があるか。
答 80 度で送り、70 度で戻ってくる。施設の方で 10 度熱を吸い取る。パイプで送っている間の
ロスはほとんどない。
問 現在、2 施設に使用しているが、今の機械で 100%稼働した場合あとどの位の施設に供給でき
るのか。
答 今の 2 施設に供給する 2 倍位の熱発生ができるボイラーである。今の利用は半分位である。
問 温水か、発電かの検討はあったのか。
答 首長が環境に力を入れていたので、太陽光や個人の発電、菜種油をバスに使用など、新しい
プロジェクトへの取り組みが早かった。
問 灯油の助燃材のコストは。
答 割高となっている。
問 森林 319 ㎡は、成田市の 1.5 倍でチップは足りていると思うが、チップ材だけで賄うのは難
しいのでは。
答 なかなか活かしきれないのが現実である。
問 環境対策・CO2 削減・ごみ減量など、CO2 削減計画は。
答 ごみ減量大作戦を展開している。32.5t/日×2 炉の焼却施設を長持ちさせるため、1 日平
均 40tで 2 炉稼働しているが、点検できないということで交互運転をすることを市民への理
解を求めている。ごみの 6 割が可燃ごみで、そのうちの 7 割が紙ごみということで、この部
分を削減する。5~6 年で耐用年数が過ぎるが、次の計画で炉を小さくすることが経費節減に
つながること説明している。しかし、現実はなかなか理解してもらえない。
(3)委員所感
(委 員)
高島市熱供給施設は平成 17 年 1 月 31 日に完成し現在稼働中ですが、
平成 19 年 3 月 8 日に同施
設条例「高島市熱供給施設条例」のもと、地球温暖化防止、地域木材資源の活用を目的に事業が
行われているとの説明をいただいた。
市町村合併をして高島市となったが、旧新旭町時代の平成 16 年に菜の花プロジェクト(資源循
環サイクル)で廃油から BDF 製造機を設置し燃料として利用や市民共同発電所ひかりちゃん(平
成 13 年度設置)
自然エネルギー体験&展示事業や自然エネルギー教室の開催等熱心に自然エネル
ギーの活用に取り組んでいた事もあり、「木質バイオエネルギー熱利用システム」として事業化
し発生した熱を利用して隣接する健康づくりセンター「いきいき元気館」に供給し温水として利
用し、事業費については一般会計からの繰入で全額返済し現在はランニングコスト 600 万円が発
生しているが買熱の費用で賄っているとの説明がありました。
説明の中で、現在の同事業の課題は熱システムの稼働状況が能力の半分ぐらいしか利用できて
いない事と木質チップの利用が計画ほど順調に利用できていないこととあります。
今回視察した事で、先進地として元町長が熱心に自然エネルギーの利活用を政策として取上げ
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たことでの展開は重要な決断だったと思いますが、施設の規模や熱転換の方法及び地域資源(木
質チップ)の利用についての地域協議がより必要だったように考えます。
合わせて、本市でも清掃工場の余熱利用施設を計画する上で同市の温水利用施設「いきいき元
気館」は歩行用温水プールやトレーニング施設を視察した事でより良い施設整備に活かしたいと
思います。
(委 員)
大気中の二酸化炭素やメタンなどのガスは太陽からの熱を地球に封じ込め、地表を暖める働き
があります。これらのガスを温室効果ガスといいます。温室効果ガスは大気中に極微量存在して
おり、地球の平均気温は約 15℃に保たれていますが、仮にこのガスがないと-18℃になってしま
います。
二酸化炭素の分解法として有名なのは植物の光合成です。植物は大気中の二酸化炭素を取り込
み、酸素を大気中に出します。厳密には、植物が持つ葉緑体では、二酸化炭素と水からブドウ糖
と酸素を作る化学反応が起こっていることになります。化学反応式にすると6CO2 + 6H2O
→ C6H12O6 + 6O2 となります。もちろん無条件で起こるわけではありません。この反応を
起こすためには光エネルギーが必要です。この式を良く見てください。「分解」しているはずな
のにより大きな分子であるブドウ糖ができています。「分解」というのは少し不自然な気もしま
すが、二酸化炭素から酸素を取り出すという意味では「分解」、二酸化炭素からブドウ糖を作り
出すという意味では「炭素固定」となります。大気中を漂っている二酸化炭素に含まれる炭素を
ブドウ糖という形で植物体内に固定するという意味です。二酸化炭素についてはこの言葉が良く
使われているようです。
分解ではありませんが、二酸化炭素から違う物質を作り出す方法もあります。
二酸化炭素 + アンモニア → 尿素
二酸化炭素 + フェノール → サリチル酸
二酸化炭素 + エチレンオキシド → エチレンカーボネート
二酸化炭素 + 水素 → メチルアルコール
これだけ利用方法があるなら、二酸化炭素問題も解決するというように思わないでください。光
合成の説明でも述べましように、無条件で上記の反応が起こるわけではありません。例えば、一
番下のメチルアルコールを作る反応では、温度を約 200~300℃、圧力を 3~7MPaにする必要が
あります。そのためにはエネルギーが必要となりますが、そのエネルギーを得るために二酸化炭
素を排出したのでは意味がありません。
また、大気中にわずかしか存在しない二酸化炭素を集めるのは非常に困難で、二酸化炭素を利
用する場合、二酸化炭素を製造することが多いと思われます。つまり、結果的に二酸化炭素を増
加させるだけなのです。上記はあくまで参考ということです。
いまのところ二酸化炭素の減少が望める二酸化炭素分解法は、植物が行う光合成だけです。エネ
ルギー消費の象徴ともいえる二酸化炭素の増加は、エネルギー消費を抑えることでしか解決でき
ないでしょう。ここでも省エネの重要性が浮き彫りになってくるわけです。ちなみに光合成は、
主に太陽から届く光エネルギーを利用するため、地球上における二酸化炭素は増加しません。
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地球温暖化の防止には、温室効果ガス、中でも温暖化への影響が最も大きいとされる二酸化炭素
の濃度を増加させないことが重要です。地球上の二酸化炭素循環の中では、森林が吸収源として
大きな役割を果たしています。森林を構成している一本一本の樹木は、大気中の二酸化炭素を吸
収して光合成を行い、
炭素を有機物として幹や枝などに蓄え成長します。
地球温暖化を防ぐには、
二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を減少させていかなければなりません。二酸化炭素は、
いろいろなことの燃料として利用している石油・ガソリンの燃焼、多くの電気を供給するための
発電所などといった場所での排出が多いのです。
二酸化炭素を減少させることにおいて、これから先、同じような生活では意味がないのです。二
酸化炭素を排出することが、生活を豊かにしているだけに、二酸化炭素を排出しないようにする
とういうことは、生活レベルや考え方も根本的な改革が必要になってくるのです。未来のために
も、私たちが今、二酸化炭素の削減を行っていかなければならないと思います。
自然環境や生活環境が景観を左右するという視点で、地域の実情や課題に即して、農地や山林
など将来に向けて良好な状態に保全する里山自然公園事業を私は提案いたします。
人々が土地を耕し、森を手入れし、多様な生態系が成り立っている里山には水田があり、雑木林
や草花があり、カエルや昆虫、野鳥などがいます。成田空港周辺にはそんな里山がたくさんあり
ますが、残念なのはこのすばらしい里山の自然を生かし切れていないことです。空港利用者が目
にできるのは航空機の窓からの一瞬だけで、空港におりた後は列車やバスで東京に直行します。
海外から初めて来る人たちが見るのはこの里山で、これが日本の第一印象です。国内外に向けて
その魅力をアピールするためには、航空機から見える地域の利点を生かし、空から見た森林を整
備したり、旅客や乗務員などが気軽に空港周辺の自然にアクセスできる交通手段を確保したり、
成田周辺の世界に誇れる里山の環境づくりが必要です。
移転跡地の有効利用や将来に向けた良好な農地の保存などが、地域の景観確保につながり、地
域住民の生きがいと収入源の創出で地域振興につながるものと私は思います。将来に向けた良好
な緑地の保全や地域の景観確保など、空から見た騒音地域全域を緑豊かな自然を生かした環境・
景観づくりへと展開する必要があると考えます。
持続部門を支える経済を育成するためには、再生可能エネルギー(太陽光・風力・小水力・地
熱・バイオマスなど)の確保や里地・里山の手入れなど、自然資本の管理のための営みに適切な
支払いが行なわれることが不可欠です。地域主体で、地元が資本参加して、地元の雇用促進にも
つながる新しい第一次産業としての再生可能エネルギー産業の育成が必要です。
国土の6割以上を森林で覆われている国として、まず間伐材をはじめとする木質形のバイオマス
の有効利用を図っていく必要があります。また、稲藁・籾殻・家畜糞尿などの農業廃棄物の有効
利用も必要です。
再生可能エネルギーは、地域の風土に応じて選択すべきエネルギー種が異なります。地域の風
土に適合した再生可能エネルギーが適切に選択されるよう、地方自治体が主体的にその導入に関
する施策を実現することが必要です。木質バイオマスエネルギー熱利用システムは、騒音地域全
域の緑豊かな自然を生かした施策として、残された山林の手入れをすることによりバイオマスの
有効利用を図るとともに、山林が二酸化炭素を吸収する健全な状態にすることも可能となる一挙
両得の方策と考えます。
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3.滋賀県彦根市 10 月 6 日(金)
(1)視察内容
・新観光振興事業(ひこにゃん関連事業)
「ひこにゃん」誕生から現在までの経緯
・商標登録までの経緯
平成 17 年 11 月、国宝・彦根城築城 400 年祭実行委員会が、デザインコンペ方式により、12
社に対し、400 年祭のシンボルマーク・ロゴ・イメージキャラクターの 3 点セットでの募集を
行った。審査の結果、大阪市の企業に決定し、同企業が提案した 3 図柄をイメージキャラクタ
ーとして採用した。(契約により、所有(著作権)等の一切の権利は委員会に帰属)
平成18年2月から、
キャラクターの呼称を広報ひこねや市ホームページを通じて広く募集し、
同年 4 月に「ひこにゃん」と命名した。
平成 18 年 2 月 24 日から「国宝・彦根城築城 400 年祭シンボルマーク等の使用に関する要綱」
を施行し、シンボルマーク等の無料での使用承認を行っていたが、キャラクターとしての適性
管理の観点から、商標登録を行うこととし、平成 20 年 1 月 11 日に商標が登録された。
・有償化への取り組みの経緯、市の財産としての商標権の考え方
商標権(「ひこにゃん」商標)については、当初から公有財産の中の普通財産として位置づ
けている。普通財産である「ひこにゃん」商標を幅広く使用していただくことは、「国宝・彦
根城築城 400 年祭」や「井伊直弼と開国 150 年祭」を始めとする彦根市の広告・宣伝に大きく
寄与し、彦根市の知名度と好感度を高め、さらなるまちの活性化につながると判断し、広告・
宣伝主体としての公益上の観点から、商標の使用を無償としていた。
上記のイベントも終了し、公告・宣伝という所期の目的を達成することができたので、今後は、
市のキャラクターとして、「ひこにゃん」のイメージや品格を損ねないようにするため、本来
の普通財産としてのあるべき姿に戻し、平成 22 年 7 月から有償化に踏み切ることに決定した。
これに先立ち、平成 22 年 3 月市議会において、「財産の交換、譲与、無償貸付け等に関する条
例」の一部改正を行い、規定の整備を行った。
現在、『「ひこにゃん」の商標使用に関する要綱』に基づく有償使用を大原則とし、無償使
用・減額使用を適用する場合には、同条例および同要綱の規定に基づき、案件に応じて適切に
判断している。
ひこにゃんのプロフィール
・2 代藩主井伊直孝公を手招きして雷雨から救ったとされる「招き猫」と、井伊軍団のシンボ
ルとも言える赤備えの兜を合体させて生まれたキャラクター
・愛称の「ひこにゃん」は、全国よりお寄せいただいた 1167 点から決定。巷ではひそかに「モ
チ」という愛称もあるよう…
・彦根城の周辺を散歩するのが好き
今後の「ひこにゃん」の展望
・現在、「ひこにゃん」は、400 年祭および 150 年祭の広告・宣伝という所期の目的を達成し
10
彦根市のキャラクター(普通財産)として、市のイメージアップや誘客等に邁進している。
今後も同様に、市の発展のために「ひこにゃん」が活躍するよう図っていく所存である。
・また、市としては、現在のところ「ひこにゃん」に続くキャラクターは考えていないが、市
内でも民間等において様々なキャラクターが生み出されており、こうした動きの中で全体と
して盛り上がっていけばよいと考える。
国宝・彦根城築城 400 年祭
1.事業名
国宝・彦根城築城 400 年祭
2.主 催
国宝・彦根城築城 400 年祭実行委員会
3.開催期間 平成 19 年(2007 年)3 月 21 日(水・祝)~11 月 25 日(日) 250 日
4.会 場
彦根城域一帯および市内全域
5.基本理念 「再発見と新創造」
6.シンボルマーク・ロゴ・キャラクター
ひこにゃんの誕生
彦根城の天守の完成から 400 年を記念し、平成 19 年 3 月 21 日(水・祝)~11 月 25 日(日)
まで開催した国宝・彦根城築城 400 年祭のキャラクターとして誕生
1.デザイン
デザインコンペを行い、10 社のデザイン案の中から一次審査、二次審査を行い選定
2.愛称「ひこにゃん」
一般公募を行い、応募のあった 1,167 点(愛称数は 788 点)に中から、一次審査、二次審
査により決定。愛称の決まった日:平成 18 年 4 月 13 日=「ひこにゃん」の生年月日
3.商標登録
「ひこにゃん」の名称および図形は、商標登録済み。(各 5 区分)
商標登録日:平成 20 年 1 月 11 日
着ぐるみ「ひこにゃん」の登場
国宝・彦根城築城 400 年祭のPRのため、各種キャンペーン等で活用するため、ひこにゃんの
着ぐるみを作製。
400 年祭の 300 日前(平成 18 年 5 月 25 日)にお披露目
ひこにゃん効果
400 年祭目標入山者数:550,000 人・ 入山者数実績:764,484 人彦根城観覧料収入:約 614,264
千円
経済効果測定調査結果(推計)
・400 年祭全体の観光消費額(直接効果) 174 億円
うち ひこにゃんグッズ購入額
・経済波及効果総額
17 億円
338 億円
ひこにゃんの影響
町の人達が、「ひこにゃん」のライバルや仲間のキャラ
クター(着ぐるみ)を製作。
「ひこにゃん」とともに彦根の町を盛り上げている。
11
「しまさこにゃん」・「いしだみつにゃん」・「やちにゃん」・「ひこちゅう」
夢京橋キャッスルロード
(彦根市本町地区まちなみ景観再生事業)
第 14 回優秀観光地づくり賞金賞・国土交通大臣賞受賞
彦根城の築城とともに城下町の建設が始まった際、町人の居住区の町割をこの通りから始めた
といわれている。幅員 6mの往時の通りは近年まで残されていたが、昭和 60 年代前半より幅員を
18mにする等の街路整備が実施された。この事業は、歴史、伝統を今に生かし、建物の形態と色
彩を新しい時代にマッチした城下町づくりを目指し、住民主導でまちなみ再生に取り組まれ、平
成 11 年 5 月に完成した。
建物の修景は、白壁に黒格子を基調に歴史的なまちなみ景観に調和するよう条例で建築物の制
限がされている。なお、現在の店舗数は、約 35 軒となっている。
四番町スクエア
第 14 回優秀観光地づくり賞金賞・国土交通大臣賞受賞
大正 10 年 11 月彦根町の公設市場として開設された市場商店街で、
昭和 40 年代まで県下で最
も賑わった商店街の一つであったが、時代とともに空洞化が進んだ。
こうした状況の中、平成 10 年に始まったまちなか再生型のく買う整理事業を活用し、「大正ロ
マン溢れるまち」をコンセプトに、彦根の新たな名所として、明治から昭和 40 年代まで使われ
ていた旧町名を活かした「四番町スクエア」が平成 17 年 5 月に誕生した。
四番町スクエアには、「食文化」をテーマとした「彦根食賓館 四番町ダイニング」や大正
ロマン溢れる「ガス灯」が設置されている。
(2)質疑応答
問 ひこにゃんの仲間のキャラクターは、お祭りのときだけ出ているのか。
答 ステージはないが、市内の学校行事や福祉の大会などのミニイベントに出ている。民間が運
営していて、毎週どこかで出ている。
問 着ぐるみは、現在何体? 誰が入っているのか。
答 現在 5~6 体で運用している。お城で1体。お城以外に毎週市のイベント等、年間 70~80 回
出演に 2~3 体。汚れたり、傷むので予備や、年間 1 体づつ位消耗していくので、新しく購入
している。
スタッフは、お城の登場は時間帯、日時が確定しているので、派遣会社に委託し、不定期
な土曜日・日曜日、夜などは、市の職員、臨時職員で対応している。
問 中に入っているのは男性?
答 基本は女性。
問 うなり君も最初は男性、現在は女性である。
答 最初は体力が必要ということで男性であったが、動き、しぐさの関係で現在は女性である。
問 彦根市観光に関する経済効果測定調査結果の資料で、直接効果、波及効果、雇用効果は、何
を基に試算されたのか。
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答 市の商工課が滋賀大学経済学部に調査依頼をした。
ある一定の時期、観光客にアンケートを取った(観光客の数・どういうものにお金を使った
か)
。中心市街地の活性化「キャッスルロード」
・
「4番町スクエア」の効果は大きい。
問 雇用効果の中身は。
答 商店街でグッズが売れる、商店街でお昼を食べる等の効果で新しく雇用が発生する。
商業関係の雇用効果が一番だと思う。
問 市の税収増は。
答 彦根市全体からすると第二次産業の町である。9割以上工場や企業、あとは農業。
第三次産業は少ない。税収としては、どのくらいかわからないが、お城に来られる方が前か
ら比べて30万人は上がっている。彦根城・博物館の入館者等でひこにゃんだけで全体に 2
億は入っている。市税ではないが、観光事業をやっていくうえで大きな財産である。市の財
政に寄与していると思われる。
問 グッズ・デザイン料無料。 制限・検査等はどのようにしているか。
答 お祭りをしている時期、広める時期はそれほど制限はしなかったが、その後、彦根市のキャ
ラクターになった時は、市・市民の財産なので単なる登録・承認ではなく、有償化し、しっ
かり検査する。 総務課の法規行政の中で取り組んでいる。本来のひこにゃんのイメージ・
品格等を損ねないのが重要なので、有償化、本来の普通財産として管理をすることでいろい
ろあったが、良いものだけが残っている状況である。
問 ライバル仲間を民間が作って相乗効果ということだが、そのキャラクターも市で検査してか
らデビューするのか。
答 民間に関しては市では関与していない。一緒になることはあるが、基本的には指導はしてい
ない。
(3)委員所感
(委 員)
三日目は、新観光振興事業をテーマに、滋賀県彦根市を訪れた。
前日とは、うってかわり、たいへん良いお天気で汗ばむ陽気の中、歴史を感じさせる古い造りの
彦根市役所に入り、五階会議室で、話を伺った。
議会事務局次長の歓迎の挨拶のあと、観光振興課から、全国的なゆるキャラブームのさきがけ
であり、その愛らしさから人気ナンバーワンになった「ひこにゃん」関連の事業について、その
経緯、効果、現状など説明を受けた。
彦根市は、江戸時代、井伊家彦根藩 35 万石の城下町として栄え、昭和 12 年に市制施行し、琵
琶湖東北部の中核都市として発展してきた。また、国宝 彦根城を中心に、石田三成の居城であ
った佐和山城、井伊家の庭園 玄宮園など、歴史遺産も数多く存在する、歴史と伝統の観光の町
でもある。
「ひこにゃん」誕生のきっかけは、平成 19 年に行われた 国宝 彦根城築城 400 年祭だとの事で
ある。400 年祭をむかえるにあたり、シンボルマーク、ロゴ、キャラクターを策定することなり、
その一つであり、勿論今日のような人気は想定していなかったとの事でした。デザインは、10 社
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のコンペ方式により、「ひこにゃん」の愛称は、一般公募の中から、平成 18 年 4 月に決定した。
その後、400 年祭 PR のため、着ぐるみを作成し、300 日前から始まったキャンペーンより登場し、
各所に赴き、大人気を博し、その事前宣伝に大きく貢献した。
彦根城の入山者数は、平成 9 年の年間 60 万人を境に、毎年のように減り続け、平成 17 年には、
40 万人そこそこにまで落ち込んでおり、当然のように、市内を訪れる観光客もそれに準じて減少
の一途をたどっていた。築城 400 年祭は、それを契機に町の活性化、観光の再浮揚が期待され、
官民こぞっての、いわば全市的な規模での実行委員会が組織され、市内全域を会場として、平成
19 年 3 月から同年 11 月まで開催された。その年は、彦根城入山者数見込み 55 万人に対し、76
万人の実績を得、城の観覧料収入は、6 億円にも及んだ。400 年祭の観光の全体では、直接効果
174 億円、ひこにゃんグッズ購入額 17 億円、経済波及効果総額 338 億円という予想をはるかに超
えた実績を生んだ。そして、従来の観光事業の他に、新観光振興事業として、大きくは、三つの
新しい事業が出現した。ひとつは「ひこにゃん」、ひとつは ゆるキャラまつりであり、一番の
収穫は 市民の中から、新たに、地域振興事業が興った事だそうで、屋形船、人力車、自転車タ
クシーの運行など、30 事業ほどが、現在でも残っているそうで、それら事業の推進に、市は年間
3500 万円の予算をつけているとの説明を受けた。また、町の人の中から、「ひこにゃん」の仲間
やライバルとして、しまさこにゃん、いしだみつにゃん、ひこちゅうなどの新しいキャラクター
が生まれ、彦根の町を大いに盛り上げているそうである。
数々の歴史的遺産に加え、愛くるしいキャラクターの「ひこにゃん」の活躍と、町の人の町お
こしにかける熱意とがあいまって、大きな力となって、観光彦根の発展の推進力となった事を実
感させられた。
その後、第 14 回 優秀観光地づくり賞金賞にかがやいた、夢京橋キャッスルロードとやはり、
同じ賞を受賞した 四番町スクエアを、駆け足で視察した。
キャッスルロードは、白壁に黒格子を基調に、歴史的景観に統一された町なみで、現在の店舗数
は、35 軒であり、住民主導で、町なみ再生に取り組み、平成 11 年 5 月に完成した。
四番町スクエアは、まちなか再生型の区画整理事業を活用し、大正ロマン溢れるまちを、コンセ
プトに、平成 17 年 5 月に完成し、食文化をテーマとした、彦根食賓館や、ガス灯も設置され、彦
根の新たな名所となって、にぎわっている。
官民が力をあわせ、恵まれた観光資源を活かし、さらに、新たな創意工夫を加えた観光のまち
彦根の発展を、
目の当たりに見れたことで、
観光が主な産業のひとつであるわが成田市にとって、
大きなヒントを得た視察であった。
【 委員長所感 】
経済環境常任委員会は平成 23 年 10 月 4 日から 6 日の 3 日間、福井県敦賀市、滋賀県高島市、
滋賀県彦根市において行政視察を行なった。
初日は福井県敦賀市の農産物直売所を視察した。
この直売所は平成 20 年度の基本設計から平成
22 年度の建築工事等を含め、県支出金 8 千 2 百万円、市債 1 千 338 百万円により整備され、平成
22 年 11 月にオープンした施設である。
この直売所がある砂流地区は人口 2,200 人〜3,000 人の農
村地域である。
平成 20 年に敦賀市が農業振興と地産地消の推進を図るとともに営農活動の拠点と
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するために建設した。直売所の整備を機に市内農家有志により敦賀市農産物直売の会が設立され
指定管理事業により運営されている。直売所の中に入ると野菜類や味噌などの加工品が陳列され
ていた。視察時間が午後ということもあり、品数も少なく、お客さんの姿も少ない。
今、地産地消の施設として農産物直売所は身近なところにも多く存在するが、消費者のニーズ
にあわせて維持していくには相当な努力が必要であると感じる。
消費者は何を期待しているのか、
何時、直売所に行っても「安心」で「新鮮」な野菜が「安く」購入出来ること。また、栽培方法
や調理方法などを生産者と直接会話できること。品物の評価がすぐに分かることなどがあげられ
る。また、生産者の利点は何か、直売所では生産者の名前で出すことが出来るので、自分の判断
で価格が設定できること。市場に出荷された場合は朝競りにかけられたものが、昼から各店舗に
回り夕方から販売されるのに対し、直売所では持っていくとすぐに販売できること。しかし、直
売所では、売れ残ったものは自分で引き取って始末することになり、これが欠点となる。直売所
で品質の良い、新鮮な野菜を一年間通して取り揃えることは、作付け計画や品種の選択、栽培技
術の向上を図るなどの経営努力が必要となる。直売所を維持することは非常に大変なことと感じ
た視察であった。
二日目は滋賀県高島市の地域熱供給事業について視察した。
高島市は合併前の新旭町で平成12年度に「地域エネルギービジョン」を策定後、6 つの重点
プロジェクトを中心に新エネルギーの導入に取り組んでいる。滋賀県木材協会高島支部から、製
材所から出る木くずや間伐材等から製造した燃料チップ(木質バイオマス)を年間 400t購入し、
チップボイラーで燃焼させ近接にある「いきいき元気館」の床暖房、高齢者施設の暖房・温水プ
ール等に使用されている。太陽光発電や風力発電と並んで、地域にやさしいエネルギーとして注
目されているのがバイオマスエネルギーで、現在、石油や石炭などの化石燃料に代わるものとし
て注目されている。
これまで火力発電に使われてきたのは、
石油や石炭などの化石燃料であるが、
これらと異なるのは、大気を汚染する硫黄酸化物の発生が少ないことや、温暖化の原因である二
酸化炭素を増加させる心配がないということ。木は大気の二酸化炭素を吸収して内部で固定し、
燃やされると元の量の二酸化炭素を排出し、それが他の木に吸収され自然界での循環が成り立っ
ている。この熱供給施設(木質バイオマスエネルギー)の総事業費は 2 億 17 百万円で「平成 15
年度木質バイオマスエネルギー利用促進事業」により 1/2 国庫補助金で残りは起債とのことであ
る。また、木材すべてが高島市から搬出されたものばかりではなく、地元業者により市外から購
入されたものもあるが、CO2 を吸収している自然木を使用しているとのことであった。チップ
の購入料は含水率の関係により、業者から質が保たれたチップを4円/kg で購入しており、年間
の維持費は600万円ということ。
課題としては、市内の森林の豊かさはあるとしても、森林からの木材の切り出し等の人的資源
に不足があり、森林組合との連携が十分ではない。焼却後の灰については無償で地元の豆の生産
業者に引き取ってもらっているとのこと。
所感として、CO2 節減という形では、地球にやさしいエネルギーとして一定の効果を示して
いると思うが、発熱したエネルギーを利用している施設は、市が指定管理事業として委託をして
いる2施設であり、木材チップの調達や維持費などのコストを考えたとき、効率的な運用がなさ
れていないように感じた。自治体の取り組みとして、発電したエネルギーの売却や一般向けへの
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エネルギー利用を広げるなどの方策を考えて行かなければならないと感じた視察であった。
三日目は滋賀県彦根市の新観光振興事業について視察を行なった。
彦根市観光振興課の職員から「ひこにゃん関連事業」について、経緯・経済効果等の説明を受
けた。ひこにゃんの誕生は、平成 19 年に行われた、国宝、彦根城築城 400 年祭の実行委員会がデ
ザインコンペ方式により募集し、10 社からの応募のなかから決定された。また、愛称については
一般公募し、平成 18 年 4 月に決定された。着ぐるみの登場は、平成 19 年 3 月から行われた彦根
城築城 400 年祭の PR を行うため、300 日前から始まったキャンペーンより登場し大ブレイクとな
り事前 PR に大きく貢献した。ひこにゃんは、2 代藩主井伊直孝公を手招きして雷雨から救ったと
される「招き猫」と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備えの兜を合体させて生まれたキャラク
ターであり、今は彦根城のシンボルとしての顔である。彦根城の入山者数も平成 18 年度までは
50 万人前後であったものが、400 年祭が行われた 19 年度は 849,056 人、経済波及効果は 338 億円
という実績であったとのことであった。また、現在でもひこにゃんに会いにくる観光客も多く、
入山者数も 70 万人を超えているとのことである。
彦根城の着ぐるみは城の契約会社にアクターを外注し、登場時間を決めているとのことで、城
以外でのイベントは市の職員が着ぐるみを着て PR しているとのことでした。
職員の説明のなかで、
キャラクターのホームグランド(舞台)をしっかり持つことが大事なことではないかとの話もあ
り、ひこにゃんが全国のゆるきゃらでもNo1 なのは、きちんとしたコンセプトで管理されてい
るからだと感じ、参考となった。
その後、四番町スクエアを視察した。この商店街は昭和 40 年代生鮮食料品や惣菜の街として県
下で最も活気のある商店街のひとつであったが、近年は人口の郊外への移動や経営者の高齢化に
よる商店街の魅力が失うなどにより空洞化が進み、店舗数が減少してしまった。平成 4 年に再生
への取り組みとして、市街地再開発事業の実施に向けた取り組みがなされたが、道路などの基盤
整備の遅れとバブル経済下での地価高騰により事業の目途が立たなくなり、再開発事業計画は取
りやめとなった経緯がある。その後若手商店主たちの中から、街の将来像を話し合い、自分たち
の力で何とかしようとの機運が高まり、土地区画整理事業を手法としたまちづくりが行われた。
またコンセプトを「大正ロマン」とすることで個々の建築デザインに一定の方向付けを行い、高
齢者にも気軽に訪れられるようにとユニバーサルデザインをまちづくりに取り入れ、また、まち
の名称も、大正時代の旧町名を使った「四番町スクエア」とし、まちのイメージを図った事業で
あり、成田市にとっても大いに参考となった視察であった。
経済環境常任委員長 湯 浅 雅 明
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