ION071 - Thermo Fisher Scientific

アプリケーションノート
Ion PGM™システム
臨床腫瘍組織をレーザーマイクロダイセクションと
次世代シーケンサで攻略
∼腫瘍の Heterogeneity 解明に向けて∼
A Workflow for Cancer Profiling
イントロダクション
腫瘍ゲノムの研究が盛んである。一部は既
に臨床応用されているケースもあり、今後さ
らに研究が進展することによって、臨床現場
に有用な知見をもたらすことが期待される。
その中でも、特に目覚ましいのが次世代シー
ケンサ技術の躍進である。 低コスト、高精
度かつ解析スピードが早いこともあって、多
くの研究が推進されており、今後の性能向
上も期待される。しかしながら、次世代シー
ケンサの有用性の一方で、その限界も指摘
されている。その一つが、サンプルの品質
の担保、すなわち激しい DNA 分解や微量し
か得ることのできない DNA サンプルが、解
析の妨げとならないように、高品質の DNA
がサンプルとして要求されることである。
腫瘍の発生・進展はゲノム異常の蓄積であり、
ゲノム不安定性によってその集団は均一な
集団からより複雑で多様な細胞集団へ変化
する。つまり、腫瘍組織は Heterogeneity
な状態であるということがいえる。多くの異
質な細胞集団から抽出されたゲノム群の「平
均値」を観察しているだけでは、正確な研究
は困難である。このような Heterogeneity
な状 態である腫 瘍 組 織を攻 略するために
は、非常に少ない細胞集団から抽出された
超微量ゲノム、ホルマリン固定パラフィン包
埋(FFPE)サンプルなどから抽出された分解
度の激しいサンプル、レーザーキャプチャー
マイクロダイセクション法(LCM)を用いて採
取されたサンプルなど、過酷な条件で抽出
されたゲノム DNA を使用しなければならな
い解明が困難なケースも多い。よって、品質
の悪いサンプルを用いても、解析に耐えうる
性能を持ち合わす次世代シーケンサ(NGS)
でなければ、真の腫瘍解明と攻略のツール
になり得ない。
そこで今回、このような過酷な条件で抽出
されたゲノム DNA を用い、次世代シーケン
サで解析に耐えうるかを検討した。地方独立
行政法人山梨県立病院機構 小俣政男理事
Applied Biosystems® ViiA7™
リアルタイムPCRシステム
ArcturusXT ™
LCM システム
1. 切片上の目的部位を回収
Laser Capture
Microdissection(LCM)
Applied Biosystems® ViiA7™
リアルタイムPCRシステム
Ion PGM™
Quant Studio™ 3D
シーケンサ
デジタルPCRシステム
2. 回収したDNA のQC
3. 変異の検出
4. 変異のバリデーション
qPCR QC Assay
Ion AmpliSeq™ Cancer
Hotspot Panel v2
TaqMan® Mutation
Detection Assays
3’
5’
ASP
A
LST
ASB
3’
5’
G
ASP ― Allele-specific primer
ASB ― Allele-specific blocker*(MGB)
LST ― Locus-specific TaqMan® probe
LSP ― Locus-specific primer
5’
3’
LSP
5’
3’
Digital PCR(dPCR)by TaqMan®
SNP Genotyping Assays
図1.ワークフロー
長(東京大学医学部 名誉教授)のご指導の
もと、半導体シーケンサ Ion PGM™ シーケ
ンサ、レーザーキャプチャーマイクロダイセ
クション法(LCM)Applied Biosystems®
Arcturus XT ™ システムを用いて解析を実施
した。
使用した機器、試薬
・レーザーキャプチャーマイクロダイセク
ション法(LCM)
レーザーキャプチャーマイクロダイセクショ
ン シ ス テ ム は、Applied Biosystems®
Arcturus XT ™ システムを用いた。 本システ
ムは赤外(IR)レーザーキャプチャーマイクロ
ダイセクションと、紫外線(UV)レーザーカッ
ティングを一つのプラットホーム組合せた装
置である。このシステムは回収したサンプ
ルの確認が可能なため、マイクロダイセク
ションの過程を推量に頼って行う必要がなく
なり、目的の細胞のみをキャプチャー可能
である。赤外(IR)レーザー機能により、生
体分子を損なわずにマイルドな条件でキャプ
チャーすることが可能になり、シングルセル
や少数の細胞をキャプチャーするのに最適で
ある。紫外線(UV)レーザーは、これまでに
ないスピードと精度でのキャプチャーを実現
し、組織を大きく切る場合や多数の細胞を
キャプチャーするのに適している。これらの
組み合わせにより、同一サンプルからの個々
の細胞や広範囲の組織、隣接した細胞、硬
組織サンプルを簡単かつ確実にマイクロダイ
セクションが可能である。
・次世代シーケンサ
今回の検討では Ion PGM™ シーケンサを解
析に用いた。 本次世代シーケンサは、ライ
フテクノロジーズ社傘下のイオントレント社
が独自に開発した次世代シーケンサであり、
従来の次世代シーケンサが塩基配列の検出
に蛍光物質を用いているのに対し、この技
術では半導体チップ上に配置された電界効果
トランジスタによるセンサーが塩基から発生
する水素イオンを電気的に検出する。 既存
の半導体製造技術をそのまま使うため、測
定用チップを低価格で生産できる。 Library
builder™、Ion Onetouch™ シ ス テ ム な
どの自動化機器により、ライブラリ調製か
らシーケンス反応まで、作業工程は多くの
工程で自動化されており、8 時間で完了す
るワークフローを提供している。ターゲット
リシーケンス、ホールトランスクリプトーム、
デノボゲノムシーケンスなど、幅広いアプリ
ケーションに対応した全く新しい次世代シー
ケンサである。 バーコードによる Multiplex
sample 処理は現在 96 サンプルまで同時に
シーケンスが可能であり、将来的には 384
サンプルまで拡張される。 1 ランにおけるサ
ンプル数とバーコード数を増加させることに
より、サンプル毎のコストはさらに下げるこ
とが可能である。
LCM 前全体図
非腫瘍部
非腫瘍部
LCM 後全体図
腫瘍部
500 microns
キャップに回収した腫瘍部
500 microns
キャップに回収した非腫瘍部
図2.LCM により採取されたカルチノイド症例切片の腫瘍部と非腫瘍部
・次世代シーケンサのアプリケーション
今 回 使 用し た ア プリケ ー ション は、Ion
AmpliSeq™ Cancer Hotspot Panel v2
である。 本製品は、わずか 10ng のゲノム
DNA から、50 種のがん関連遺伝子を網羅
的に解析することができる。 本製品には、
207 のプライマーペアが1本のチューブに
収められており、KRAS、BRAF、EGFR、
TP53 など 50 種のがん遺伝子、がん抑制遺
伝子のホットスポット約 2800 の変異をカバー
している。 すでにプライマーデザイン済み
のパネルを用いることによって、面倒なプラ
イマー設計やターゲット選択に労力を費やす
必要がない。また、アンプリコンの平均長が
154bp と短いため、FFPE サンプルなどの
分解度の激しいサンプルを適用することがで
きる。 DNA が用意された状態からアノテー
ション済みの変異を得るまで、一日でワー
クフローを完了することができるアプリケー
ションである。
FFPE サンプルを用いた検討
腫 瘍 サンプ ルは 時として 分 解 度 の 激しい
DNA を使用しなければならない場合がある。
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サン
プルは、その一つの例である。レーザーキャ
プチャーマイクロダイセクション(LCM)を用
いれば、FFPE サンプルより、目視にて非
腫瘍部、腫瘍部を抽出することが可能であ
るが、DNA の品質や抽出量は、要求され
るスペックを満たせない場合が多い。 DNA
の分解度を評価するためには、従来電気泳
動などで確認する方法が一般的であったが、
DNA 量が限られている場合はそれも難し
い。 そこで、LCM でキャプチャーしたサン
プルから抽出した微量 DNA の分解度をリア
ルタイム定量 PCR で精査し、その後 NGS
で測定するワークフローを構築した(図 1)。
今回は HE 染色を行ったカルチノイド症例の
FFPE 切片を使用し、LCM で腫瘍部位と非
腫瘍部位を切り分けて回収した。
[ 切片の調製条件 ]
使用スライドグラス:PEN Membrane
Glass Slides(LCM0522)
切片の種類:FFPE 切片
切片の厚み:10 μm
切片の染色:HE 染色
[ マイクロダイセクション条件 ]
使用装置:Applied Biosystems®
Arcturus XT ™レーザーキャプチャーマイク
ロダイセクションシステム
1. 切片上の目的部位を回収
レーザーキャプチャーマイクロダイセク
ション(LCM)法を用いて、カルチノイド症
例 FFPE サンプルより、腫瘍部と非腫瘍部
を切り分けた。図 2 に腫瘍部をキャプチャー
したサンプル画像、非腫瘍部をキャプチャー
したサンプルの画像を示した。 切片の調製
条件、マイクロダイセクションの条件を下記
に示す。今回のマイクロダイセクションで得
られた腫瘍部の面積は 2.4mm2 であり、非
腫瘍部は 2.2mm2 であった。また、乾燥状
態で切片の観察が難しい場合は、70% エタ
ノールで切片を濡らして観察を行い、マイク
ロダイセクションを行った。
使用キャップ:CapSure® Macro LCM
Caps(LCM0211)
マ イクロダ イセクションで 回 収した サ ン
プ ル か ら、 Arcturus® PicoPure® DNA
Extraction Kit(KIT0103)を用いて DNA
を抽出した。本キットはカラムで DNA を精
製せず、粗精製の DNA を抽出するキットで
ある。カラムで精製を行わないことにより、
サンプルロスを最小限に抑えることができ
る。
2. 回収した DNA の QC
リアルタイム定量 PCR(qPCR)法を用い
て、 抽 出した核 酸 の 品 質 評 価を実 施した。
Human Genomic DNA に 1 コピー存在し
ている RNase P 遺伝子に Long Amplicon
(256 bp)の増幅を行うことができる Primer
と TaqMan® Probe を 設 計 し た。 ま た、
RNase P に対して短い Amplicon(87 bp)
を増幅する Assay として TaqMan® RNase
P Detection Reagents(4316831)を使用
した。 断片化が進んでいる DNA は、Long
Amplicon の 増 幅 が 悪くなるた め、Short
Amplicon(87 bp)と Long Amplicon(256
bp)の増幅を比較することにより、DNA の断
片化を評価することが可能である。そのリア
ルタイム定量 PCR 条件を以下に示した。
(A)
Control DNA
カルチノイド症例腫瘍部
測定装置 : ViiA™ 7 リアルタイム PCR システム
測 定 試 薬 : TaqMan® Gene Expression
Master Mix
反応モード : standard mode
Primer & Probe 終 濃 度 : Primer 900
nM、Probe 250nM
反 応 液 量 : 20uL/well(DNA サ ンプ ル は
1uL/well となるように加えた)
Replicates: n=3
標 準 曲 線:Human Control DNA(10ng/
uL)を 4 倍希釈し、5 点の検量線を作成した。
カルチノイド症例非腫瘍部
実験の詳細は「アプリケーションノート:次世代シーケンサで測定
を行う DNA の断片化を評価する TaqMan® Assay(ION070-
A1302IH)」をご覧ください.
図 3(A) に 増 幅 曲 線 を 示した。 Human
Control DNA は 断 片 化 さ れ て い な い の
で Short Amplicon ( 87bp ) も Long
Amplicon(256bp)も同様の増幅を示した
が、FFPE サンプルであるカルチノイド症例
切 片 の 腫 瘍 部、 非 腫 瘍 部はともに、Long
Amplicon の 増 幅 効 率が Short Amplicon
と比較して悪く、DNA が分解されているこ
とが示 唆された。 図 3(B)には、 増 幅 曲
線から算 出された定 量 値を示した。 Short
Amplicon にお いて、 腫 瘍 部が 1.309ng /
uL、 非 腫 瘍 部 が 0.553ng/uL で あ っ た。
Human Control DNA を基準とした場合の
Long Amplicon 256bp の増幅比(RQ)を
算出したところ、腫瘍部が 0.064、非腫瘍部
。 RQ 値
が 0.034 という数値となった(図 4)
は、ゲノム DNA の分解度の指標となると考
えられることから、NGS 解析である次ステッ
プに進むべきか否かの一つの判断材料になり
うる。
(B)
Short Amplicon 87 bp
Sample
Quantity
(ng/uL)
Long Amplicon 256 bp
SD
Quantity
(ng/uL)
SD
カルチノイド症例
腫瘍部
1.309
0.023
0.151
0.012
カルチノイド症例
非腫瘍部
0.553
0.018
0.033
0.003
リアルタイム定量 PCR(qPCR)法を用いて、抽出した核酸の品質評価
図3.
(A)Human Control DNA は断片化されていないので87bp も256 bp も同様の増幅を示したが、FFPE サン
プルであるカルロチノイド症例の腫瘍部、非腫瘍部はともに、Long の増幅効率が悪く、分解されていることが示唆
された。
(B)リアルタイム定量 PCR によるゲノム DNA 定量結果
3. 変異の検出
次世代シーケンサ(NGS)を用いて、変異解析を実施した。 Ion
AmpliSeq™ Cancer Hotspot Panel v2 で は、Input の 液
量として、9 μ L 必要なことから、Short Amplicon で算出さ
れた定量値から換算すると、腫瘍部で約 11ng、非腫瘍部で約
5ng の Template を Input の DNA 量として使用した計算と
なった。最低の Input DNA 量が 10ng であることから、非腫
瘍部の場合はプロトコルの基準量を下回る量となった。図 5 に
解析データを示した。 腫瘍部、非腫瘍部ともに 100 ×以上の
Coverage を得た領域が 99%以上となり、Reads のクオリティ
も高く、良好な結果となった。今後、Variant の解析が期待さ
れる。
1.000
1.0
相対値(RQ)
試薬:
1.2
Ion AmpliSeq™ Cancer Hotspot Panel v2
Ion AmpliSeq™ Library kit 2.0
Ion PGM™ Template OT2 200 kit
Ion PGM™ Sequencing 200 kit v2
0.8
0.6
0.4
Chip:
0.2
Ion 316™ Chip バーコードアダプターを使用した 2 サンプル
0.064
0.0
ソフトウェア:
0.034
Human Control DNA カルチノイド症例
腫瘍部
Torrent Suite3.2
Variant caller 3.2.4
カルチノイド症例
非腫瘍部
図4.Human Control DNA を基準とした場合の Long Amplicon 256 bp の増幅比
(A)
20X Coverage
100X Coverage
カルチノイド症例
腫瘍部
100%
99.17%
カルチノイド症例
非腫瘍部
100%
99.61%
Reads on target
Depth
Reads#
94.41%
1551
386K
88.69%
3939
1048K
(B)
カルチノイド症例腫瘍部
図5. 次世代シーケンサの結果
(A)次世代シーケンサの解析結果 (B)各リードの Phred Score
カルチノイド症例非腫瘍部
4. 変異のバリデーション
リアルタイム定量 PCR(qPCR)法を用い
て、次世代シーケンサの結果をバリデーショ
ンする。今回の検討では実施していないが、
NGS で検討された Variant をリアルタイム
定量 PCR(qPCR)法を用いてさらなる評価
を実施することで、実験の信頼性が一段と堅
固なものとなりうる。 TaqMan® Mutation
Detection Assay は 1copy からでも検出可
能な Assay であり、107copy の wild type
から 1copy の mutation を検出、0.1% の
変異でも検出可能である高い感度と特異性
(778
を持ち合わせている。現在、45 遺伝子
変異)に対応しており、今後も拡張が予定さ
れている。TaqMan® Mutation Detection
Assay の概要を図 6 に示した。
加えて、現在販売準備中の QuantStudio™
3D デジタル PCR システムを活用すれば、
更に頻度の低い変異が検出できる。現在開
発中のデータでは 0.01% の変異検出が実現
できている。
頻度の低い変異を確認するには、検出感度
の高い変異バリデーション方法が必要とな
る。
Allele 2 specific PCR
Allele 1 specific PCR
ASP*1
T
A
ASP*2
LST
LSP
LSP
ASB2
ASB1
MGB
G
G の配列領域を ASB2 でブロックして、
A の配列領域を ASB1 でブロックして、
目的の A の配列を増幅・検出
目的の G の配列を増幅・検出
ABL1
CSF1R
FGFR3
KDR
NRAS
SMARCB1
AKT1
CTNNB1
FLT3
KIT
PDGFRA
SMO
ALK
EGFR
GNAS
KRAS
PIK3CA
SRC
APC
ERBB2
HNF1A
MET
PTEN
STK11
ATM
ERBB4
HRAS
MLH1
PTPN11
TP53
BRAF
FBXW7
IDH1
MPL
RB1
VHL
CDH1
FGFR1
JAK2
NOTCH1
RET
CDKN2A
FGFR2
JAK3
NPM1
SMAD4
合計 46 遺伝子に対応
®
図6. TaqMan Mutation Detection Assay の原理と対応遺伝子
次世代シーケンサを用いて、FFPE のカル
チノイド症例サンプルを解析した。 LCM を
用いた目視による腫瘍部、非腫瘍部の選別
は LCM によりクリアにキャプチャーすること
が可能であり、標的の組織を選別することが
できた。
以上のことから、本編で示したワークフロー
は、腫瘍組織のゲノム研究に有用であること
が示唆され、腫瘍の Heterogeneity 解明に
大きく貢献することが期待される。
MGB
A
考察
ま た、FFPE の サ ン プ ル は、DNA の 分
解度が激しいことが予想されたが、予想通
り、リア ル タ イ ム 定 量 PCR による Long
amplicon と Short amplicon の増幅に差
が 確 認 できた。 Long amplicon と Short
amplicon の差の値である RQ 値は、DNA
の分解を示す指標として扱うことが可能であ
ることが示唆された。 RQ 値が 0.2 程度ま
でであれば、NGS での解析が可能であるこ
とが、社内実験により示されている。 FFPE
サンプルは微量の核酸しか回収できないた
め、精製等が難しい場合があるが、今回の
実験ではリアルタイム定量 PCR により未精
製のサンプルの定量を実施し、かつ分解度
の指標まで得ることができた。このような情
報は、NGS での解析に耐えうるサンプルで
あるかを決定するのに、極めて重要な指標
となることが考えられる。 NGS で検出され
た Variant は、NGS だけでなく他 の 手 法
を用いたバリデーションが要求される場合が
ある。このような場合も、リアルタイム定量
PCR 法を用いることで、高感度にバリデー
ション試験を実施することができる。
LST
C
G
図7. Ion PGM™ シーケンサの解析により検出された Variant の一例
がん組織を次世代シーケンサで解析する
∼がんの Heterogeneity 解明に向けて∼
「 3200 から 30 億塩基へ」
山梨県立病院(中央・北)機 構理 事長・東 京大 学名 誉教 授
小俣 政男 先生
昭和 45 年( 1970 年)大学を卒業し、消化器病・肝臓病の診療に携わり 43 年が過ぎた。昭和 56 年( 1981 年)からは、 B 型
肝炎ウイルス( HBV )の分子生物学的な研究を開始し、 30 年が過ぎた。
その間、 C 型・B 型肝炎ウイルスによる肝がんの発生、あるいはピロリ菌による胃がん発生の臨床と基礎研究を行ってきた。
今、これらのがんは、原因であるウイルス、あるいは細菌の駆除によってほぼ消滅する可能性が出てきた。
しかし、それらのがん細胞内部(胃がん・肝がん)を精査すると、 30 年ないし 40 年の時を経て、細胞内に存在する遺伝子損
傷は極めて多岐にわたり、唯一の分子、あるいは、唯一の Pathway だけでは病態理解が不可能の様に思える。したがって、
原因病原体の駆除による胃がん及び肝がん撲滅は可能であるが、発生したがんに対する病態理解と治療法の開発は難渋して
いる。
一方、肺がん、あるいは大腸がんの、従来は原因不明といわれた難治がんに対しては、むしろ細胞内の遺伝子異常を精密且つ、
大規模に探索することによって、 Driver/Promoter となり得るような遺伝子変化が次々と見いだされている。そして、それ
らに対する Target 治療がまさに展開しつつある。
ライフテクノロジーズ社が生み出す多くの機器は、我々が臨床で使用している内視鏡、 CT 、 MRI と同様に、あるいはそれ
以上に将来臨床の現場で活用される可能性を秘めている。すなわち研究機関のみならず、臨床最前線の病院での遺伝子探
索を可能とする技術の提供を目指している。 今後の臨床は、ゲノム医学に関心を持ち、来るべきゲノムの時代に準備をして
おく必要がある。
現在私が所属している山梨県立中央病院機構においては、ゲノム解析センター( Genome Analysis Center-GAC )を開
設し、がんを中心とした遺伝子解析を開始する事とした。
まさに、 3200 ( B 型肝炎ウイルス)ないしは、 9000 塩基( C 型肝炎ウイルス)の時代から、 30 億の塩基配列に挑む時代が
到来したという感のする昨今である。
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