二十七 馬糞 南ヶ丘牧場の馬糞の話。勿論、馬糞をするのは。馬だ。 牧場には馬が数頭飼われている。農耕馬で逞しい足や尻をしている。青毛 や栗毛、白馬などだ。 小さい頃から農馬に親しんでいる。馬小屋の匂いも厭ではない。逞しい尻 から、馬糞がこぼれ出すのは、爽快に感じるほどだ。 馬糞は決して牛糞と違い、汚いイメージは無い。丸く饅頭に似ている。 友人の作家陽羅義光がメールをくれた。 「美文を使わずに美しい文章を作るのが作家です」 私が好きな、フランスの作家セリーヌも「できるだけ汚く書かなければ」 と言っている。一種の異化の手法なのだろう。 排泄物を描いても、美しさを引き出さなくてはならない。 牧場の馬を見ながら考える。幼かった頃の事を思い出している。 花水木の真っ白な花の満開の下で馬が盛大に糞をしている。
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