鈴木自動車株式会社 導入事例

MS solutions 2009 : case 3
鈴木自動車株式会社
販売情報と顧客データを統合し、
情報漏えいや各種文書改ざんを防止
会社としての信頼関係をより強固に
導入の狙い
顧客情報の漏えい防止、
見積書など各種文書の改ざん防止
導入システム
『Windows Rights Management
Services』
『Active Directory』
導入効果
見積書の漏えい・改ざんリスクが
大幅に低減、システム化によって
情報漏えいを防止し、会社としての
信頼性が向上
メルセデス・ベンツをはじめ、AMG、スマートなどの高級ドイツ車を扱っている
USER
PROFILE
鈴木自動車株式会社
●
業種:自動車販売
●
事業内容:メルセデス・ベンツ日本株式会
社との直接取引を通じてメルセデス・ベ
ンツ、AMG、スマートなどのドイツ車を
販売。修理、メンテナンス、車検などの
各種サービスも提供
●
従業員数:98名
(2008年12月末現在)
『RMS』
を導入したことでセキュリティが強化され、会
社としての信頼性が向上した鈴木自動車株式会社
2008年12月取材
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東京きっての高級住宅街として知られる港区、大田区などを拠点に、ドイツ
の名車メルセデス・ベンツの正規販売店として確かな歩みを続ける鈴木自動
車株式会社。
「すべての責任を担うには、すべてを自ら手掛けるしかない」
とい
う創業以来のポリシーのもと、修理からメンテナンスにいたるまでのトータル
カーライフサポートを提供し、顧客から絶大な信頼を集めている。信頼をより
強固なものとするため、顧客情報を絶対に外部に漏らさない仕組みづくりに
長年取り組んできた。その一環として大塚商会から導入したのが、マイクロソ
フトの
『Windows Rights Management Services』
だ。
く大田区にメルセデス・ベンツ大田の
名車オーナーに安心と満足の
トータルカーライフを提供
2店舗を展開。さらに、最新整備機器
を完備したサービスセンターを港区
東京都港区に本社を置く鈴木自動
と大田区に各1カ所、新車メンテナン
車株式会社(以下、鈴木自動車)は、ド
スなどを行う浜松町オートスクエア
イツが生んだ名車メルセデス・ベンツ
を港区浜松町の世界貿易センタービ
をはじめ、AMG、スマートなどの高
ル地下1階に構えている。
級ドイツ車を扱う正規販売店である。
車両販売から一般整備、車検、板金
東京でもハイクラスの人々が集う
塗装、フレーム修正などのアフターサ
港区にメルセデス・ベンツ麻布、同じ
ービス、クラシックカーのレストアに
●鈴木自動車株式会社
いたるまで、一貫したサービス体制で
手で徹底サポートすることが、鈴木
「トータルカーライフ」をサポートす
自動車のアフターサービスに対する
設立は戦後間もない1951(昭和
26)年。当初は自動車修理工場とし
こだわりだ。
「顧客との信頼関係こそ
が何より大切」との思いがあるからこ
そといえる。
最新モデルからクラシックカーに
二氏は特に輸入車の修理・整備に情熱
いたるまで、あらゆる年代の車種に
を注ぎ、
「外車の修理を頼むなら鈴木
サービスを提供できるのは、創業者
自動車で」という評判が広がった。
の熱き思いと伝統に育まれた確かな
技術があるからだろう。
氏との親交が深まり、鈴木自動車は
情報漏えい防止強化のため
新システムの導入を決断
を累計1万台以上も販売。2003年
「トータルカーライフ」のサポート
には、メルセデス・ベンツ日本株式会
をモットーとする鈴木自動車にとっ
社との直接取引を開始した。
て、顧客情報、車両情報は何より貴重
な財産だ。どの顧客にどの車を販売
年間、輸入車の歴史とともに歩み、そ
したのか、いつ、どのような修理やメ
のすべてを知りつくした万全のサー
ンテナンスを施したのか、といった
ビス体制にある。
履歴をしっかりと保存し、次回のサ
創業者の輸入車への熱き思いと、
その整備に向けられた情熱は、同社
ービスでもきちんと対応できるよう
にしなければならない。
しかし同社では、これまで販売部門
うには、すべてを自ら手掛けるしかな
の顧客データと修理・メンテナンスな
い」という思想へと進化した。
どのサービス部門の顧客データが、
別々に管理されており、時間の経過
る名車を販売するのはもちろんのこ
とともに両者のデータにズレが生じ
と、車検やメンテナンス、修理などの
ることがあった。その点が販売からア
アフターサービスを徹底。オーナー
フターサービスにいたるトータルサポ
に安心と満足のカーライフを提供し
ートのネックとなっていたという。
そこで同社は、大塚商会を通じて
ている。そのためには、アフターサー
導入した販売管理システムの構築を
ビスを他人任せにせず、最新の整備
きっかけとして、販売とサービスの顧
機器を整え、技術を磨いて自ら対応
客データを統合する作業を開始した。
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続けることが何よりも大切だと考え
case 6
同社では、顧客のニーズにこたえ
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のポリシーである「すべての責任を担
する必要がある。
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鈴木自動車の強みは、創業以来58
「幸い、過去に情報漏えいなどのトラブ
ルは一度もありませんが、確実性を担保
するためにシステムの導入を決めました。
鉄壁の防御体制が構築できたことに満
足しています」
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る。そして30年余りでヤナセ取扱車
営業部長
鈴木 康平氏
オニア、株式会社ヤナセの会長と鈴木
1961年にヤナセの特約販売店とな
case 2
てスタートしたが、創業者の鈴木 栄
その後、日本の輸入車販売のパイ
case 1
るのが同社の基本姿勢だ。
自動車販売業者にとっては、顧客
オーナーの車への愛着や思い出が
という
「人ベース」の情報管理だけで
こもった名車たちを、メルセデス・ベ
なく、
「車両ベース」の情報管理も重
ンツ国際認定資格を持つ経験豊かな
要だ。車は所有者が変われば、旧オ
アドバイザーとメカニックが自らの
ーナーの顧客情報と車両情報を切り
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MS solutions 2009 : case 3
離し、新たなオーナーの顧客情報に
するサーバ、クライアント、プリンタ
紐付けし直す必要がある。そうした
などのハードウェア資源や、それらを
諸事情から同社のデータ統合は困難
使用するユーザの属性、アクセス権
を極めているが、
「CS(顧客満足)を
などを一元管理できる仕組みだ。グ
最大化するために、何としてでもやり
ループポリシーを利用しユーザの階
遂げたい」と同社営業部長の鈴木 康
層化を行うことで、
『RMS』と連携し
平氏は語る。
たアクセス権設定をグループ単位で
顧客情報管理の合理化とともに、
鈴木自動車が進めているのが情報漏
超高級車を所有するハイクラスのオーナーの
個人情報を守るサーバ
率的に運用することが可能となる。
えいの防止などセキュリティ体制の強
鈴木自動車では、管理者、役員、マ
化だ。オーナーの個人情報を守るこ
ネジャー、共用の4階層に分けて情報
とは企業として当然だが、鈴木自動
管理を行っている。
車の場合、メルセデス・ベンツなどの
基本的に『AD』によって認証されな
超高級車を所有するハイクラスのオ
いユーザは、同社のどのようなファイ
ーナーが多いため、ひときわセキュリ
ルにもアクセスすることができない。
ティ意識が高い。
『AD』と『RMS』による情報セキュリ
情報漏えい防止の武器として活躍
ティが優れているのは、ユーザがセキ
しているのが2007年初めに大塚商
ュリティを意識しなくても、システム
会を通じて導入したマイクロソフトの
が情報漏えいを防止してくれる点だ。
『Windows Rights Management
例えば社員が誤ってメールに個人情
Services』
(以下、
『RMS』)だ。
報の入ったExcelファイルを添付して
『RMS』は、ExcelやWordなどの
外部に送信したとしても、そのExcel
マイクロソフトOffice文書を暗号化
ファイルがあらかじめ『RMS』できち
し、ファイルの閲覧、編集、印刷、スク
んとアクセス権が設定されていれば、
リーンショットといった操作が制限で
権限のないユーザはファイルを開いて
きるシステムで、これを利用すれば権
見ることができないのだ。人間が管
限のない社内の人間や社外の第三者
理をすると「うっかりミス」が生じや
がデータを閲覧したり改ざんしたりす
すい。その点、システムに管理を任せ
ることはできなくなる。営業だけでな
れば、重要データが添付されたメー
くITにも精通する鈴木氏が、その有効
ルをうっかり外部送信してしまっても
性を実感して導入を決めたという。
自動的にガードしてくれる。
『AD』と『RMS』の機能により
「うっかりミス」を防止
また、情報漏えい防止のためのもう
一つの手段として、
『Active Directory』
(以下、
『AD』
)
による社内PCユーザの
階層分けも行っている。
『AD』とは、ネットワーク上に存在
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行うことができ、今回のシステムを効
改ざんリスクの高いExcelファイル
を『RMS』で管理
個人情報の漏えい防止とともに、
鈴木自動車が情報セキュリティ強化の
大きな課題として掲げていたのが見
積書の改ざん防止であった。
鈴木氏は、
「見積書は、お客様との
●鈴木自動車株式会社
スタマー・リレーション
システム構成図
厳重に管理する必要があります。ま
シップ・マネジメント)の
クライアント環境
た、悪意のある第三者によって金額な
実現です。整備された
どを勝手に書き換えられたりすれば、
顧客データをもとに、
当社の信頼を著しく損ねるだけでな
タイムリーで 行 き 届 い
く、お客様や自動車メーカーに多大な
たサービスを提供する
ご迷惑をおかけしてしまいます」と、
ことで、お 客 様との 長
改ざん防止の重要性を語る。
期的な取引関係を築い
売管理システムは、見積書がExcelフ
ていきたいと考えてい
ます。その一環として、
ァイルで作成されるため、そのまま見
CTI(コンピューター・テ
積書が流出すれば、いともたやすく改
レフォニー・インテグレ
ざんされてしまう可能性があるのだ。
ーション)の導入を検討
ユーザ認証
Windows Server 2003
Windows
Active Directory
権限確認・鍵管理
Windows Server 2003
Rights Management Services
Windows Rights
Management Client
しています」
と鈴木氏。CTIにより、顧
した事情もあった。改ざんリスクの高
客データベースと連携しながら電話や
いExcelファイルの管理を徹底するた
FAXによる顧客対応が可能となる。
また、整備や修理を請け負う車両
リーンショットなどを厳しく制限する
の入庫から納車までが管理できる
ことにしたのである。仮に外部に見積
『Microsoft Office SharePoint
書が流出しても、第三者が開くことは
Server』
( 以下、
『MOSS』)の導入も
できない仕組みになっている。
検討している。顧客からの問い合わ
同社財務部 執行役員 部長の田中
せに対し、作業がどこまで進捗してい
康博氏は、
「見積書をお客様に提出す
るのかをタイムリーに報告できるよう
るときには、改ざんできないPDF形式
にするのが狙いだ。
させています」
と外部への持ち出し時
両に関する各種申請書類のペーパー
に金額が変更されず、お客様の信頼を
レス化や管理効率化も考えている。
失わないよう最善の運用を行っている。
書類を電子化することで紙のムダを
田中氏は財務担当者として、利用中
なくすことはもちろん、申請内容の履
の販売管理システムを管理しており、今
歴を残し、今回導入した『RMS』と連
回導入した
『RMS』の最適なアクセス
携してデータの暗号化とアクセス権設
権設定も鈴木氏とともに行っている。
定を自動的に行えるようシステムを構
現在、鈴木氏と財務に通じた田中氏
築していくことによって、さらなる顧客
によって、販売とサービスの顧客データ
満足につなげることを目指している。
い
「トータルカーライフサポート」
が実現
すでに17年になる。今後も大塚商会
をよきパートナーとし、鈴木自動車
かつ確実に対応できる体制づくりが今
のIT化は進んでいくことだろう。ま
後の目標である。
たITの活用により、同社の信頼はま
すます高まりそうだ。
case 7
同社と大塚商会との付き合いは、
する見通しだ。顧客からの要望に迅速
「目指しているのは、有効なCRM
(カ
case 6
さらに『MOSS』の導入により、車
case 5
にしてからプリントアウトすることを徹底
SQL Server 2005
case 4
め、
『RMS』で閲覧、編集、印刷、スク
構成情報・ログの管理
Microsoft
case 3
『RMS』を導入した背景には、そう
の統合作業は着々と進んでおり、よりよ
Windows
Office 2007
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特に同社の場合、現在利用中の販
サーバ構成
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契約書と同じような要素もあるため、
鈴木自動車株式会社のホームページ
http://www.mbsuz.com/
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