「希望•確信•賛美」 ルカの福音書2章25∼32節 はじめに. もう35年も前に

September 09, 2012, 08:43 希望•確信•賛美
2012.9.9 泉キリスト教会敬老礼拝
「希望•確信•賛美」 ルカの福音書2章25∼32節
はじめに.
もう35年も前になりますが、明治、大正、昭和の時代を96才まで生きて、天
の御国に帰られたひとりのご婦人のことを私は忘れることが出来ません。この人は
「美しく老いる」ことの見本のようなお方でした。少女時代に田舎で宣教師の先生
によってキリストの福音に触れ、キリストを信じて、今よりずっと貧しく困難な時
代の中で、9人のお子たちをお育てになりました。どんなときにも、希望を抱い
て、愚痴をこぼさずに生き、まわりの人たちにも希望を与えて来られました。天の
御国に帰る一か月ほど前まで、ほとんど欠かさず礼拝に出席しておられました。臨
終が近くなっても、信仰と希望と愛は変ることがなく、集まってきたお子たちひと
りひとりに感謝し、また教えさとしておられました。
私自身も多くのことを彼女から教えていただき、学ばせていただきましたが、今
朝は、新約聖書ルカの福音書の第2章のところから、美しく老いることを学びたく
存じています。
さて、キリストの母マリヤとその夫ヨセフが、生まれて8日目の幼な子イエスを
連れてエルサレムの神殿に行かれたとき、そこにいて幼な子イエス・キリストをお
迎えしたのは、二人の老人シメオンとアンナでありましたが、ここでは特に、シメ
オンに焦点をしぼって、聖書のみことばから学びたく存じます。
この世の中には、絶望的な暗い人生を送っている老人が少なくありませんが、
(一)シメオンの生活には、老いても希望がありました。
(→ルカの福音書2章25節)
昔のよかったお話も若いときの自慢話も、今の生活にも、これからの生活にも希
望を与えてはくれません。
→ルカの福音書2章25節をご覧下さい。
そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい、敬虔な人
で、イスラエルの慰められることを待ち望んでいた。聖霊が彼の上にとどまってお
られた。
Luke 2:25
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Kai« i˙dou\ a‡nqrwpoß h™n e˙n ∆Ierousalh\m wˆ— o¡noma Sumew»n
kai« oJ a‡nqrwpoß ou∞toß di÷kaioß kai« eujlabh\ß prosdeco/menoß
para¿klhsin touv ∆Israh/l, kai« pneuvma h™n a‚gion e˙p∆ aujto/n:
eujlabh\ß eulabhß ADJECTIVE m. s. nom. noDegree reverent、敬虔な
prosdeco/menoß prosdecomai VERB pre. mid. pt. m. s. nom. to wait for
para¿klhsin paraklhsiß NOUN f. s. acc. encouragement、慰め、勧告
シメオンは、この歴史の中で、神の救いのご計画が実現することを信じ、祈り、
待ち望んでいたのです。自分ひとりの極楽往生や幸せではなく、この歴史の上で、
神のお約束がやがて成就されるよう祈り求め、希望を持って生きていたのです。
歳を重ねるにつれ滲みや皺も増えて来ますが、「老醜」とは外面的なことだけで
はありません。心に希望がないと、頑固になり、片意地を張るようになり、意地悪
くなったり、意地汚くなくなって参ります。
先日、礼拝前の初心者クラスでも学び始めたのですが、神さまのお約束が必ず実
現され、救いが完成されることを信じて待ち望みましょう。この希望を持って、主
の祈りの前半分を、心を込めて祈りましょう。こういう祈りをなさっているお年寄
はきっと輝いて来るに違いありません。本人は意識していなくても、きっと、美し
く老いて行かれることでしょう。
ところで、老人の生活には常に不安が付きまとうものです。若いときよりも、
もっともっと、死の不安が現実味を帯びてきます。しかし、
(二)シメオンの生活には、老いても確信がありました。
(→ルカの福音書2章26節)
→ルカの福音書2章26節
また、主のキリストを見るまでは、決して死なないと、聖霊のお告げを受けて
いた。
Luke 2:26
kai« h™n aujtwˆ◊ kecrhmatisme÷non uJpo\ touv pneu/matoß touv aJgi÷ou mh\
i˙dei√n qa¿naton pri«n [h·] a·n i¶dhØ to\n cristo\n kuri÷ou.
kecrhmatisme÷non crhmatizw
VERB pf. pass. pt. n. s. nom. to warn, reveal、受身形:啓示される、お告げを受ける
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qa¿naton qanatoß
pri«n prin
NOUN m. s. acc. death 、死
CONJUNCTION subordinating temporal before
シメオンは神さまがご自身のご計画をこの歴史の上で実現して下さるということ
を信じて希望を持つだけでなく、彼自身の人生についても神さまが計画を持ってお
られ、そのご計画を実現して下さることを確信していました。
神さまは私たち一人々々を愛して下さっており、私ども一人々々についてご計画
をお持ちです。御子イエス・キリストの尊い犠牲を支払ってまでして、私たちを救
い出して下さった神さまは、私どもののためにすべてを成し遂げて下さるお方であ
ります。
→詩篇57篇2節
私はいと高き方、神に呼ばわります。
私のために、すべてを成し遂げてくださる神に。
Pss. 57:3
yDlDo rEmO…g lEaDl NwøyVlRo MyIhølaEl a∂rVqRa
神さまのお約束のみことばを理解することとそれを確信することは、ただ神の御
霊によってのみ出来ることです。この確信は、頑固さや片意地から来るものではな
く、神のみことばと御霊さまから来るものです。頑固さや依怙地(片意地)は老人
を醜くさせますが、みことばと御霊さまから来る確信には柔軟性があり、理解して
いることを自慢せず、確信していることを突っ張らない優しさとゆとりがあります
から、このような確信は老いに美しさを添えることでしょう。
(三)シメオンの生活には、老いても歌があった。
(→ルカの福音書2章28∼32節)
学校の教員をしていた頃には、忘年会や新年会で余興に歌を唄わされたことがあ
りました。私のお箱は、海軍兵学校校歌「江田島健児の歌」でした。最近は、俳句
の会の新年会でカラオケの時間があり、何を唄ったらよいか、いつも困っています
す。「リンゴの歌」を唄ったこともありましたが、カラオケの音階と合わず、声が
よく出ませんでした。
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ところで私が俳句を始めたのは70才を過ぎてからですが、どなたからでした
か、「俳句は生きることの証しとして詠むもの」だと教えられました。現在、月に
1回出席している句会に90才のご婦人がおられますが、まさに生きることの証し
として俳句を詠んでおられるようです。一生懸命、俳句を作り、詠み、推敲してお
りますますと、余計なことを考えて心配したり、まわりに愚痴をこぼしたりするこ
とも減ってくるでしょう。俳句を通じて、積極的に生きること、前向きに、明るく
生きることをも学ばせていただいております。
しかし、俳句は「生きることそれ自体の意味」や「生きることそれ自体の目標」
など人生の根本問題に対しては、答えを持っていません。
ところで、ここでシメオンは何を喜んで歌を唄ったのでしょうか。
→ルカの福音書2章28∼32節
すると、シメオンは幼子を腕に抱き、神をほめたたえて言った。
「主よ。今こそあなたは、あなたのしもべを、みことばどおり、安らかに去ら
せてくださいます。
:30 私の目があなたの御救いを見たからです。
:31 御救いはあなたが万民の前に備えられたもので、
:32 異邦人を照らす啓示の光、御民イスラエルの光栄です。」
:29
Luke 2:28
kai« aujto\ß e˙de÷xato aujto\ ei˙ß ta»ß aÓgka¿laß kai« eujlo/ghsen to\n qeo\n
kai« ei•pen:
e˙de÷xato decomai VERB 3rd s. aor. mid. ind. to receive、
aÓgka¿laß agkalh NOUN f. pl. acc. arm、腕
eujlo/ghsen eulogew VERB 3rd s. aor. act. ind. to bless、誉め称える、祝福する
Luke 2:29
nuvn aÓpolu/eiß to\n douvlo/n sou, de÷spota, kata» to\ rJhvma¿ sou e˙n
ei˙rh/nhØ:
aÓpolu/eiß apoluw VERB 2nd s. pre. act. ind. to release、去らせる
de÷spota despothß NOUN m. s. voc. Master, Lord、主人、主、旦那
Luke 2:30
o¢ti ei•don oi˚ ojfqalmoi÷ mou to\ swth/rio/n sou,
ei•don eidon VERB 3rd pl. aor. act. ind. to see
ojfqalmoi÷ ofqalmoß NOUN m. pl. nom. eye、目
Luke 2:31
o§ hJtoi÷masaß kata» pro/swpon pa¿ntwn tw◊n law◊n,
hJtoi÷masaß etoimazw VERB 2nd s. aor. act. ind. to prepare、備える、用意する
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pro/swpon proswpon
NOUN n. s. acc. face、
Luke 2:32
fw◊ß ei˙ß aÓpoka¿luyin e˙qnw◊n kai« do/xan laouv sou ∆Israh/l.
fw◊ß fwß NOUN n. s. acc. light
aÓpoka¿luyin apokaluyiß NOUN f. s. acc. revelation、啓示
e˙qnw◊n eqnoß NOUN neuter plural genitive nation, people, Gentile、異邦人
シメオンは神が約束されていた救い主である幼子イエス・キリストにお目にかか
れたので、こんなに喜び、歌を唄い、神さまを賛美したのです。
1966年の秋、ベルリンでの世界伝道会議に出席する前に、同じ敗戦国でありな
がら戦後の日本に再び宣教師を送って下さったリーベンゼラ・ミッションを支えて
いる南ドイツの諸教会(ゲマインシャフト)をお訪ねしたことがあります。そこで
見たのは、喜々として奉仕している老人たちの姿でした。退職した老人たちが教会
堂の修理のために働き、集会の中では聖歌隊の主力メンバーとして喜んで唄ってお
られました。
むすび.
私たちは、ルカの福音書の2章のシメオンよりも、救い主キリストについてもっ
と多くのことを、しかももっとはっきりと知らされています。新約聖書の4つの福
音書によって、イエスさまご自身がお語り下さったみことばとイエスさまの十字架
と復活の出来事を、読むことが出来るのです。
1950年(昭和25年)の夏のことですが、当時21才の私自身もこのイエス・キリ
ストさまによって、こんな自分がすべての罪を赦され、神さまの子とされている恵
みを知ったとき、そのときまでに経験したことのない大きな喜びに満たされ、神さ
まに感謝し、神さまを誉め称える賛美の歌をささげました。
→ヨハネの福音書3章16節
神は、実に、そのひとり子(イエス・キリスト)をお与えになったほどに、
世を( をも)愛された。
それは御子(イエス・キリスト)を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、
永遠のいのちを持つためである。
John 3:16
ou¢twß ga»r hjga¿phsen oJ qeo\ß to\n ko/smon, w‚ste to\n ui˚o\n to\n
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monogenhv e¶dwken, iºna pa◊ß oJ pisteu/wn ei˙ß aujto\n mh\ aÓpo/lhtai
aÓll∆ e¶chØ zwh\n ai˙w¿nion.
hjga¿phsen agapaw
VERB 3rd s. aor. act. ind. to love
monogenhv monogenhß ADJECTIVE m. s. acc. noDegree only, unique
e¶dwken didwmi VERB 3rd s. aor. act. ind. to give
aÓpo/lhtai apollumi VERB 3rd s. aor. mid. subj. to destroy
e¶chØ ecw VERB 3rd s. pre. act. subj. to have
「世を」の次の( )の中に、あなたのお名前を入れてみるとよくおわか
りいただけると存じます。
このイエス・キリストさまを救い主として信じて、私たちはひとりとして滅びる
ことなく、永遠のいのちを頂戴することが出来るのです。
ですから、私たちはイエス・キリストさまを信じて、決して消えることのない希
望を持つことが出来、どんなことがあっても揺らぐことのない確信を持つことがで
きるのです。そして、老いてなお、御霊さまによって、心に喜びと感謝の歌を唄う
ことが出来るのです。この希望と確信と歌があなたの老いにも美しさを添えてくれ
ることでしょう。
そればかりか、まわりの人たちにも、希望と確信と歌をおわかちすることが出来
るよう、用いていただけることでしょう。
<参考>→ルカの福音書2章38節
アンナもそこにいて神さまに感謝をささげ、幼子イエス・キリストのことを語ったので
す。おばあさんになっていたアンナの証しも、それを聞く人々に、神の力を示し、希望と喜
びを与えるものでありました。
→詩篇71篇17∼18節
神よ。あなたは、私の若いころから、私を教えてくださいました。私は今もなお、あな
たの奇しいわざを告げ知らせています。
:18 年老いて、しらがになっていても、神よ、私を捨てないでください。私はなおも、あ
なたの力を次の世代に、あなたの大能のわざを、後に来るすべての者に告げ知らせます。
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