社会学とその意義

社会学とその意義
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辞書的な意味の社会学
社会学は一般に「社会現象の実態や,現象の起こる原因に関するメカニズム(因果関係)を解
明するための学問」とされている[1].その研究対象となる社会現象は犯罪,家族,差別,都市,宗
教などといった抽象的なものから,行為や行動のようなごくごく具体的なものまで非常に多様で
ある.社会学はそういった多岐に渡る分野をそれぞれ追究していくことで社会に対する従来とは
違った観点を発見し,人々を啓発することを究極的な目的としている.
この学問自体は,19cの学者オーギュスト・コントが産業主義と合理主義を背景に,歴史学,心理
学,経済学を統合する実証主義的な科学的研究として社会学という名称をつくったのが始まり
である.[2]
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実践的な社会学
上記では非常にアバウトな意味での社会学を説明したが,具体的にどのような研究をす
るのか.ここでは自分が最も関心を持っている家族社会学を例に挙げてみようと思う.
※家族社会学...集団としての家族とその形態や機能,そこにおけるさまざまな病理など
を研究テーマとする学問.社会学の一分野.[3]
家庭というひとつの「社会」において一般に,男性は主に家庭の外で働き,女性は家事を
大きく負担する.ここには性別による分業という,合理性や意味を無視した伝統が見られ
る.社会学はこの「伝統」を解明しようとする.
この「伝統」,性別役割分業は,性別によって分けられる身体的特徴を最大の要因として
いる.これは単純に体力の問題を根拠としていることが多いのだが,古代以来の農業では
男女の仕事に差異はなかったし,産業革命の時期にはむしろ女性が酷使されていた.つま
りここで問題となっているのは,現代に入って体力をあまり必要としない業種が増えて
いるにも関わらず女性の労働が「伝統」によって縛られていたことである.これはジェ
ンダー論にもリンクする.
近年,家庭内の役割は性別による分業から脱却し夫婦共働きの形態へと移り始めている.
これは今までの伝統から抜け出ようとする姿勢の表れである.しかし共働き型の家庭で
も女性がメインで家事を担当するという形は未だに続いているというのが現状だ.
この脱伝統が社会にとってどういう影響をもたらしていくのか,動向に注目したい.
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私が考える社会学
社会学は,現代というありとあらゆる面で複雑化した時代において比較的優先度の高い
学問だと言える.それは社会学が他の分野の入り口となりうるからである.
わかりやすく言えば,社会学によって研究されたことは基本的に他の学問に活かされる
要素を多く含んでいるということだ.例えばいじめ問題について掘り下げていけばその
うちに教育学や心理学の領域にぶつかり,そしてその研究結果はそれら他学問を学ぶた
めの礎となるだろう.
つまるところ,色々な学問の基礎となること,それこそが社会学の別の面での真髄だと私
は考える.
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私が社会学を学ぶにあたって
平成22年度の卒業論文に「ペットの「家族的価値」」というタイトルを見つけた[4].これは私に
とって非常に新鮮な方向からの観点であり,内容を拝見したわけではないが,今まで社会学に
凝り固まった印象を持っていた自分の目からうろこが落ちたかのように感じられた.
このレポートを書くために社会学とは何かを学び,またそれをアウトプットしてきた中で社会学と
いっても一概には語ることができず,そこから分かれてゆく枝は多種多様で,対象を歴史の側面
から論じてみたり,一個の社会として捉えてみたり,あるいはこれまでにない新しい論点を発掘
してみたり,そういった無限に近い楽しみ方の出来る学問が社会学なのであるという結論に達
した.
私の学ぶ領域(今は家族社会学とそれに関連して犯罪,教育の方面を学ぶことを考えている
が)にまだ結論は出ていないが,筑波大学の充実したゼミや実習をフルに活用して将来社会の
問題点の発見とその解決のための処方箋づくりにひとつ貢献できるように学習していきたいと
思う.
・ 出典
[1] [2]Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6
[3]Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E6%97%8F%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%A
D%A6
[4]筑波大学社会国際学群社会学類 HP
http://shakai.tsukuba.ac.jp/outline/sociology.html