指導案1

平成27年度 校内研究授業(第6回)
第4学年
国語科学習指導案
日 時 平成27年6月15日(月)第6校時
台東区立蔵前小学校
第4学年1組
35名
指導者 平木 亮弘
研究主題
読み解いたことをもとに自分の考えをもつ子の育成
~国語科「読むこと」の学習を通して~
1
単元名 説明のまとまりを見つけよう(東京書籍4年上)
教材名 「ヤドカリとイソギンチャク」
2
単元の目標
段落同士の結び付きを考えて読み、文章のまとまりをとらえている。
3
目指す児童像
文章を読んで考えたことを伝え、一人一人の感じ方について違いのあることに気付く子
4 単元の評価規準
国語への関心・意欲・態度
書く能力
読む能力
言語についての知識・理解・技能
○ヤドカリとイソギンチ
ャクの関係に興味をも
ち、関係を明らかにす
るために教材文を読も
うとしている。
○関心のあることなどか
ら書くことを決め、相
手や目的に応じて必要
な事柄を調べている。
○書いたものを発表し合
い、書き手の考えの明
確さなどについて意見
を述べ合っている。
○中心となる語や文をと
らえながら、段落相互
の関係を考えて文章を
読んでいる。
○記録の文章や図鑑など
を読んで、
「生き物助け
合いブック」づくりに
利用している。
○「問い」と「答え」を
表す語句や、話題を変
える語句に着目しなが
らまとまりをとらえて
いる。
5
単元観
①学習指導要領との関連
本単元は、小学校学習指導要領3・4年「読むこと」(1)イ、(2)イの内容を基に設定した。
(1)イ 目的に応じて、中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え、文章
を読むこと。
(2)イ 記録や報告の文章、図鑑や事典などを読んで利用すること。
上記の力を身に付けさせるため、本単元ではまず「問い」と「答え」の関係をおさえさせ、内容面での
まとまり(意味段落)をとらえさせる。さらに、
「まず」
「次に」などの言葉に着目させることで、段落同
士のつながりを理解させるようにする。
また、身に付けた力を活用させるために、「生き物助け合いブック」をつくるという言語活動を設定す
る。
「問い」と「答え」の部分を短い文に書き直したり、順序を表す言葉を付け加えたりと、読み取ったこ
とを「生き物助け合いブック」の作成に生かすために、様々な工夫を考えさせたい。
②本単元の学習の関連と発展
児童は3年「自然のかくし絵」で、形式段落ごとに大事な言葉や文に気を付けながら読み、内容を正確
に読み取る学習をしている。しかし、その段落同士がどのようなつながりで文章を構成しているのかにつ
いては十分に学習をしていない。本単元では、文章の内容面でのまとまり(意味段落)を理解させ、段落
相互の関係を読み取る力を身に付けさせたい。
上記の力を身に付けた上で、5年「世界遺産 白神山地からの提言」では、文章の構成を考えながら読
み、多様な情報を読み取りながら自分の考えを深めるという学習へとつなげていく。
4-1
6
児童観
児童に対して「国語の学習」に関するアンケートを行った。国語の学習を「好き」または「どちらかと
いうと好き」と答えた児童は7割程度だったが、
「文章を読むこと(新聞や活字本など)」については「好
き」または「どちらかというと好き」と答えた児童は約8割おり、読みの学習を好む児童は、比較的多い
ことが分かった。
しかし、説明文の読み取り調査から、文章の中から大事な部分を見つけられないために、内容を正確に
理解できない児童が3割程度いることが分かった。
本単元は、4年生で初めての説明文の学習となる。「始め-中-終わり」の構成や「問い」と「答え」の
関係、順序を表す言葉のつかい方などを学びながら、説明文の基本的な構成を知り、要点を的確にとらえ
ることができるようにしたい。
また、友達に自分の意見を話したり、友達の意見を聞いたりすることは好きな児童が多く、様々な場面
で児童同士の学び合いを取り入れてきた効果が出ている。本単元でも学び合いを意図的に取り入れなが
ら、自分の意見を深めることができるようにしたい。
7 指導観
本単元では、
「問い」と「答え」の関係や、順序を表す言葉をおさえることで、内容面でのまとまりや、
段落同士のつながりをおさえ、
「生き物助け合いブック」づくりに生かすことを目標としている。
そのために、以下の手だてを講じる。
①「生き物助け合いブック」づくりを意識させるための環境の工夫
「生き物助け合いブック」づくりのための資料として、
「ヤドカリとイソギンチャク」と同じ「共生」を
題材にした短編の資料(小冊子)を用意する。読みたい資料が友達と重なった場合にも、順番を待たずに
すぐに手に取って読めるよう、同じ資料を数冊ずつ用意する。その上で、単元のはじめに色々な資料を読
み比べる時間を1時間設定し、
「ヤドカリとイソギンチャク」の読み取りが始まるときには選んだ資料が手
元にあり、並行読書を行える状態をつくる。
また、教師の作成した「生き物助け合いブック」を見本として示したり、
「ヤドカリとイソギンチャク」
で読み取った事柄をクラスで1冊の「特大生き物助け合いブック」にまとめたりしていくことで、
「早く自
分の作品をつくりたい」と意欲が高まるとともに、
「こんな風に工夫をしてみようかな」とつくり方につい
ての具体的なイメージをもつことができるようにする。
②学び合いを効果的に行うための形態の工夫
「生き物助け合いブック」を作成する際には、同じ資料を選んだ児童同士でペアやグループをつくり、
「問い」
「答え」の読み取り方や文のまとめ方などについて学び合い、互いの良さを生かしながら学習がで
きるようにする。
また、見つけた友だちの良さを全体に紹介する時間を設けることで、他のペアやグループに所属してい
る友だちの良さを参考にすることができるようにする。
③文章の構成をつかませるための段階的な指導の工夫
「ヤドカリとイソギンチャク」を部分的に読んでいくためには、文章構成を正しく理解することが必要
である。文章構成は以下のような手順でつかませる。
(1)
「始め-中-終わり」という説明文の書き方を確認する。
(2)
「始め」には話題、
「中」には話題についての説明、「終わり」にはまとめが書かれていることを手が
かりに、文章を3つのまとまりに分けさせる。
(3)本教材は「中」の部分がさらに3つに分かれていることを示し、「なぜ~でしょう」
「では~でしょ
うか。
」など、
「問い」の文がまとまりの分かれ目となっていることに気付かせる。
(4)意味段落が計5つに分かれることを確認し、それぞれの大段落にはどのようなことが書かれている
のか、見出しを考えさせる。
(
「中」の部分は、「問い」の内容をもとに考えさせる。)
また、
「文章の中から大事な部分を見つけられないために、内容を正確に理解できない児童が3割程度い
る」という実態を受けて、児童朝会での校長先生の話や、朝の会でのスピーチなど、本校で行っている日
常的な取り組みの中に「要約」の活動を取り入れることとした。上手にまとめることができている児童の
文章を紹介しながら継続的に取り組みを行うことで、大事な言葉や文を見つける力が身に付き、読みの力
が高まっていくと考える。
4-2
8
学習過程
蔵前小モデル 第1ステージ:つかむ 第2ステージ:生かす
○主な学習活動
学習のねらい
・内容
〈第1時〉
め 学習計画をたてよう。
○
初発の感想を交流し、
「生
き物助け合いブック」をつ
くる見通しをもつ。
・全文を読み、初発の感想を交流する。
・教師がつくった「生き物助け合いブック」を
見たり聞いたりして、学習の見通しをもつ。
E
〈第5時〉
「問い」と「答え」に着
目し、ヤドカリが貝殻に
イソギンチャクを付けて
いる理由を読み取り、短
い文でまとめる。
〈第6時〉
A
E
A
分に着目して読ませる。
読中心となる語や文をとらえなが
ら、段落相互の関係を考えて文章
を読んでいる。
め 段落をいくつかにまとめよう。
○
◎似た意味をもつ段落同士をまと
めさせる。
読「問い」と「答え」を表す語句
に着目しながら、まとまりをと
らえている。
◎「キーセンテンス」
「かじょう書
き」という用語をおさえ、短い
言葉でまとめさせる。
読中心となる語や文をとらえなが
ら文章を読んでいる。
A
E
A
・文章を「始め-中-終わり」の3つに分ける。
・「問い」の文に着目し、
「中」をさらに3つに分
ける。
・5つの意味段落に見出しをつける。
め ソメンヤドカリのとくちょうを読み取ろう。
○
A
E
A
・大段落一から必要な事柄をキーセンテンスで
とらえ、箇条書きでまとめる。
・特徴が書かれている部分をさがしながら、自
分が選んだ本を読む。
並行読書
め ヤドカリが貝がらにイソギンチャクをつけて
○
A
E
A
いる理由を読み取ろう。
・大段落二から「問い」と「答え」の文を見つ
け、短い文でまとめる。
・「問い」と「答え」を考えながら、自分が選
んだ本を読む。
並行読書
め ヤドカリがイソギンチャクを貝がらにつける
○
A
E
A
方法を読み取ろう。
・大段落三から「問い」と「答え」の文を見つ
け、短い文でまとめる。
・
「問い」と「答え」を考えながら、自分が選
んだ本を読む。
並行読書
め
イソギンチャクがヤドカリの貝がらにつくと
○
「問い」と「答え」に着
目し、ヤドカリが貝殻に
イソギンチャクを付ける
方法を読み取り、短い文
でまとめる。
〈第7時〉
「問い」と「答え」に着
目し、イソギンチャクが
ヤドカリの貝殻に付く理
由を読み取り、短い文で
まとめる。
〈第9・10時〉
書き方を工夫して、自分
が選んだ生き物について
の「生き物助け合いブッ
ク」を書く。
◎「ふしぎに思ったこと」
「おどろいた
こと」などの視点で感想を書かせる。
関 ヤドカリとイソギンチャクの関係に興
味をもち、関係を明らかにするために
教材文を読もうとしている。
本を選ぼう。
・興味のある生き物についての本を読み、自分
の本を決める。
本時
〈第8時〉
段落構成を整理しなが
ら、筆者の意見を読み取
る。
□評価
め 「生き物助け合いブック」にまとめるための ◎「共生」について書かれている部
○
〈第2時〉
「生き物助け合いブッ
ク」にまとめるための資
料を選ぶ。
〈第3時〉
「始め-中-終わり」に
着目し、文章が5つの大
段落に分かれることをと
らえる。
〈第4時〉
ソメンヤドカリの特徴を
読み取り、短い文でまと
める。
A
◎指導
A
E
A
どんな利えきがあるのか読み取ろう。
・大段落四から「問い」と「答え」の文を見つ
け、短い文でまとめる。
・
「問い」と「答え」を考えながら、自分が選
んだ本を読む。
並行読書
め 筆者の意見を読み取り、文章の組み立て方の
○
A
E
A
工夫を考えよう。
・大段落五から筆者の意見を読み取り、短い文
章でまとめる。
・筆者の文章構成の意図を考える。
・まとめの部分を考えながら、自分が選んだ本
を読む。
並行読書
め 「生き物助け合いブック」をつくろう。
○
A
E
A
・
「問い」と「答え」を考えながら選んだ本を
読み、書き方を工夫しながら「助け合いブッ
ク」をつくる。
・同じ生き物を選択した友達と学び合い、互い
の書き方の工夫を見つけ合う。
・単元の学習を振り返る。
4-3
◎文頭や文末の表現に着目させ、
「問い」「答え」と思う文にサイ
ドラインを引かせる。
言「問い」と「答え」を表す語句
に着目しながら、まとまりをと
らえている。
◎「方法」について書かれた大段
落であることをおさえながら
「答え」を見つけさせる。
読「問い」と「答え」に着目し、
中心となる語や文をとらえなが
ら文章を読んでいる。
◎前段落とは異なり、イソギンチ
ャクの視点から書かれた部分で
あることに気付かせる。
読「問い」と「答え」に着目し、
中心となる語や文をとらえなが
ら文章を読んでいる。
◎第3時に学習した構成を振り返
りながら、筆者がどのような意
図をもって文章を組み立てたの
かを考えさせる。
読中心となる語や文をとらえなが
ら、段落相互の関係を考えて文
章を読んでいる。
◎前時までの学びを想起させ、学
習の視点を与える。
読記録の文書を読み、
「生き物助け合
いブック」づくりに利用している。
書 関心のあることなどから書くこと
を決め、相手や目的に応じて必要
な事柄を調べている。
9
本時の学習活動( 6/10時 )
(1)目標 「問い」と「答え」に着目し、ヤドカリが貝殻にイソギンチャクを付ける方法を読み取り、短い
文でまとめる。
(2)展開
○主な学習活動
◎指導
・予想される児童の反応
□評価
☆主題に迫るための手立て
◎前時に読み取ったことをまとめた「特大生き物
助け合いブック」のページを見せ、学習の目的や
読み取りの視点を確認させる。
◎テレビ画面に学習計画表を映す。
○前時の学習を振り返る。
○本時のめあてを確かめる。
め ヤドカリがイソギンチャクを貝がらにつける方法を読み取ろう。
○
○大段落三(形式段落⑦~⑨)を読み、
「問い」の部分
を見つける。また、なぜそこを「問い」だと思ったの
か、理由を考える。
・
「では、ヤドカリは、石についたイソギンチャクを、
どうやって自分の貝がらにうつすのでしょうか。
」
(P36 L6-7)
↓(理由)
・
「では」から、話の内ようが変わるから。
・文のさい後に「~でしょうか」と書かれているから。
◎学習用語「キーセンテンス」
「サイドライン」
を確かめる。
◎文頭や文末の言葉に着目させて考えさせる。
◎「問い」の文に続く「ヤドカリが、イソギンチ
ャクのはりでさされることはないでしょうか」の
文は、ここでの「問い」ではなく、付随する文で
あることに気付かせる。
○「問い」に対する「答え」の部分を見つけ、サイドラ
インを引く。また、なぜそこを「答え」だと思ったの
か、理由を考える。
・
「すぐ近づいてきて、あしを使ってイソギンチャクの
体をつついたり、両方のはさみで引っぱったりして、
イソギンチャクをはがしてしまいます。
」(P37 L1-2)
・
「そして、かかえるようにして自分の貝がらの上にお
しつけるのです。」(P37 L3-4)
↓(理由)
・方法について書かれているから。
・さし絵でしょうかいされているから。
◎「問い」が方法についての投げかけであること
に着目させることで、「答え」を見つけやすくす
る。
☆なぜそこが「答え」だと思ったのかを考えさ
せ、ノートに書かせる。
(学び合いの材料)
○全体で学び合い、
「答え」の部分を確認する。
読「問い」と「答え」に着目し、中心となる語
や文をとらえながら文章を読んでいる。
◎様々な意見を比べ、全体での学び合いが活発に
なるよう、理由(なぜその部分を「答え」と考え
たのか)も板書していく。
○「答え」の部分を短い文にまとめる。
○学び合いによって見つけた友だちの工夫を全体に紹介
する。
☆学び合う際には、自分と友だちのまとめ方の違
いを見つけることを視点とする。
◎時間に余裕があれば、上手にまとめている児童
のノートをテレビ画面に映して全体に紹介する。
○「答え」となる部分をさがしたり、
「答え」につなが
る「問い」の文を考えたりしながら、自分が選んだ本
を読む。
◎「答え」になりそうな部分にサイドラインを引
かせる。
◎読み取った部分を「生き物助け合いブック」に
どのような文でまとめるのかを考えさせ、ノート
に書かせる。
○学習計画表に本時の振り返りを書く。
◎次時への見通しをもたせる。
○ペアになり、文のまとめ方の工夫を学び合う。
4-4