2006 年 3 月 15 日 BMW Motorrad World News 2006 Vol. 7 * 以下のニュースは BMW AG 発行のニュースレターの翻訳であり、日本市場への導入 とは関係の無い場合があります。 u クリスチャン・ ファイファー:捕まえられるものなら捕まえてみな! u ヘルゲ・ペダーソンの世界旅行 u 世界横断リレー、ついにスタート 【クリスチャン・ファイファー: 捕まえられるものなら捕まえてみな!】 優れたライダーは多数いる。それぞれが偉大な功績を残しているが、その多くはロードレー ス、エンデューロ、モトクロスなど一つの分野のエキスパートだ。だがクリス・ファイファーは、 オンロード、オフロード、トライアル、エンデューロ、ストリート、雪道、山道など、どんなバイ クでも最大のパフォーマンスを発揮できるという並外れた才能を持っている。 その持って生まれた才能と、 不屈の精神。バイエルン出身 の 35 歳の彼は、一日の殆ど を練習に費やすほど、かなり 練習熱心だ。その結果、 2003 年にスタント・ライディン グ世界チャンピオンに輝き、 その他にも多くの実績を築い ている。 どんなスポーツでも、トップレ ベルに達するには練習に練 習を重ねなければならない。 そのゴールに到達するために、クリスが練習を始めたのはわずか 5 歳のときだった。当時、 両親が低く調節してくれたSachs100 にまたがり庭を走っていた。そして 10 歳で初めてトラ イアルバイクを手に入れた彼は、そのちょうど 5 年後、ドイツ国内のトライアルでジュニア・ チャンピオンに輝いた。ドイツ国内にとどまらず、世界選手権でも着々と良い成績を残して いった。 ミュンヘン大学在学中はトレー ニングの時間が減り、そこで彼 が考えたのは駐車場でも練習 できる“ 過激な”ライディングだ った。間もなく、彼はミュンヘン 最大の屋内会場であるオリンピ ックホールで、初めて大きなパ フォーマンスを行った。その後 1996 年にプロに転向し、長年 の夢を仕事にしている。 熱狂的な BMW オフロードファンは、フィンランド人ライダーのシモ・カーッシとアメリカ人の ジミー・ルイスと並び、昨年 HP2 Enduro でクリスがデビューを飾ったことを覚えているだろ う。BMW Motorrad の“過激な”マシンを乗りこなすには、最高レベルのスキルを要する。な ぜなら、オフロードで 100 馬力以上を出せるバイクを制御するのは、初心者や臆病者には できないことだからだ。 この真新しいバイクは、オーストリアの過酷なエルツベルグレースにおいて、その卓越した 能力を世に知らしめた。参加者は 1000 人以上にのぼり、“ 空飛ぶフィンランド人” の異名を 持つシモ・カーッシは、でこぼこの砂利道や浮石地帯の 13.3km のコースを記録破りの 9 分 05 秒 65 で走りきり、他を圧倒した。鉄の道と呼ばれるこのコースの初戦は、ジミー・ル イスが 3 位、クリスは第 5 位に終わったが HP2 Enduro のパフォーマンスに感銘を受けた。 「僕は常に挑戦を探し求めているんだ。オフロード で 100 馬力を操るのはすごい経験だったよ。 HP2 Enduro はとても軽量で、重心が低いから、 楽にスピードが出せるんだ。皆の予想を良い意味 で裏切ったってわけさ。エルツベルグでは、これ まで単気筒のバイクで 4 回優勝したけど、初戦は 特にスピードが重要なんだ。単気筒バイクだと、 最高でも時速 140km しか出ないんだけど、GPS のテストで HP2 Enduro に乗ったときには時速 185km まで出たんだ。後輪だと時速 220∼ 230km は出てるように感じたよ!」 次に彼が挑戦したのは、スイスで行われたヨーロ ッパ・ヒルクライム・チャンピオンシップだった。彼 に勝ち目はないと言われていたこの大会で、 2,000 人以上の観客の目の前で第 3 位となった。 「軽量 500cc の単気筒バイクで戦うのが一般的 だから、ヒルクライムの大会に BMW のバイクが 参加するのは初めてのことだと思うよ。観客や参 加者たちは皆、始めは懐疑的だったけど、HP2 Enduro が 141%の急勾配を予選で 203.4M、準決勝で 208.6M 登りきると、大きな関心と尊敬に変わったんだ。これまでの記 録を塗り替えたんだよ」 クリスは 2006 年にこの大会に再び出場し、HP2 Enduro でトップの 235M に挑戦する予 定だ。しかしこの挑戦は無謀なことではない。と言うのも彼は、数年前イタリアのアルコにあ る難易度 3 の登山ルート、ヴ ィア・ティナを世界で初めて制 覇し、“高所向き” であることを 証明したからだ。実際にトライ アルバイクで全ルートを登り きったのは、クリス唯一人だ った。 「ロッククライミング、マウンテ ンバイク、トライアルライディ ングをやっている友達と一緒 に登ったんだ。僕はトライアル バイクでも、少なくとも理論上は同じように出来ると確信していたんだ。でも誰もやってない から、じゃあ僕がやってやろうと思ったんだ。でも実は、そんなに難しくなかった。20M くらい 登ったらもう後へは引けなくなって、そこから止まらずに登りきらなきゃならなかったから ね!」 優れたオフロード・ライダーであることは、クリスの多彩な才能の 1 つにすぎず、彼はまた “フリーライディング” の世界でも数々の技や記録で知られている。115°フリーハンドで走る 115°のウィリーや、高速のウィリー・サークル、そしてジャンプ台なしで 33 人を飛び越える 技がそうだ。そのため、クリスが新しい BMW F 800 S の持つポテンシャルを見抜き、2006 年の公式スタント・ バイクとしてこのモデルを使うことを決めたのも、むしろ当然と言えるだろ う。 ファン待望の 2 気筒 800cc ミドルウェイト・スポーツの発 売は数ヶ月先だが、BMW Motorrad の新しいファクトリ ー・ライダーは、フロリダで行われた名高いフリースタイ ル・ スタント大会でこのバイクが満点のスコアで勝利でき ることを見せつけた。唯一の 2 気筒マシンとして、F 800 S のパフォーマンスに対し大きな関心が寄せられた。 「会場にいた人の多くは、僕が K 1200 R に乗ると思って いたんじゃないかな。だから、それに反して F 800 で登場 すると、僕がどんな技を披露するのかすごく興味を持って くれた。もちろん、競技の後はパワーや気筒数なんかの 質問が殺到したよ。一人が 3 気筒に乗っていた他はみん な 4 気筒マシンだったから、そんな奴らを打ち負かそうと チャレンジを楽しんだんだ」 クリスは“過激な”チャレンジというものをよく知っている。 35 歳のクリスは、今月初めにドイツで開催された雪山を 駆け上るレースに HP2 Enduro で出場し、昨年 HP2 Enduro がデビューを優勝で飾った、世界的に有名な オーストリアのエルツベルグ・ ロデオにも出場する。そ の他にも、ドイツ、イタリア、オーストリアで開催される クロスカントリー選手権や、カリフォルニアで開催され る Baja500、1000 マイルレースにも出場予定だ。 クリスは新しい HP2 Enduro のストリート・ ホイール版 に乗った幸運なライダーの 1 人でもあり、これが究極 のストリートバイクだと確信している。「 オプションのス トリート ・ホイールは、HP2 Enduro を素晴らしいロード バイクに変えてくれるよ。僕の住んでいるアルプス地 方では、速くて楽しいバイクがないんだ。でもこれは本 当に軽くて、抑えられたトルクも絶妙だよ」 例えレースから離れても、クリスには若くて有望なライ ダーの育成という楽しみが待っている。「 僕には 3 歳と 5 歳の子供がいるんだけど、50cc の 4 輪バイクに飽 きずにずっと乗っているんだ。フロリダのスタント・ウォーズに出場した時には、妻から絵付 きのメッセージが届いたんだけど、そこには 3 歳の子が 4 輪バイクに乗って、5 歳の子がそ の後ろでスキーをしてたんだ。僕の血を受け継いでるって確信したよ!」 【ヘルゲ・ペダーソンの世界旅行】 輸送や通信手段がこの 20 年で飛躍的に向上し、世界がぐっと身近になったので、世界中 で未知の国などほとんどなくなった。 それでも、中国やロシアの多くには手付かずの自然が残っている場所が存在する。大都市 の北京や香港から、わずか数時間で広大な自然が広がっているのだ。 ノルウェーの冒険家ヘルゲ・ ペダ ーソンは、996 年に BMW R80G/S で中国を横断した。ヘル ゲは現在、シアトル の自宅で“グ ローブライダーズ”という旅行会 社を経営している。だが、ご想像 の通り、彼が自宅にいることはほ とんどない。この会社は、世界中 の冒険旅行のアレンジを専門に 扱っている。初めて中国を訪れて から10 年、ヘルゲは BMW の新 しい R 1200 GS Adventure に乗 り、21 人のライダーを率いて中国を再び訪れる予定だ。 ツアーの所要日数は 65 日間で、北京から始まる。一行はまず中国北東部のハルビンに向 かい、国境を越えて内モンゴルに入り、シベリア、そこから世界最大の淡水湖で、世界の淡 水の 20%を供給しているバイカル湖を目指す。 旅はそこから、黒海の海岸に沿ってロシアとウクライナを横断し、ポーランドに入る。そして 最終的にドイツに入り、7 月 7∼9 日にガルミッシュ・パルテンキルヒェンで開催される BMW Bikermeeting に参加する予定だ。 このような壮大なスケールの旅 が本当に可能なのかと疑う人が いたら、彼が世界中を旅して過ご した 10 年の軌道を見て欲しい。 彼は世界を一周し、サハラ砂漠 を横断し、過酷なダリエン・ギャッ プを通って南北アメリカの縦断に 成功した初のライダーなのだ。 この旅では 65 日で 1 万マイルと いう、他では考えられないような 速さで走破する。 「グローブライダーズの旅は、世界の色々な表情を見ることができる」と、ヘルゲは語る。 「宿泊先のほとんどは素晴らしいホテルで、時にはバイクを停めて 3 日間観光をする、なん てこともあります。私にとっての旅は、異なる文化を知り、普通では行かないような場所を訪 れることなのです」 グローブライダーズではバイクの レンタルを行っていないので、ラ イダーは自分のバイクを北京に 輸送する必要があるが、それも 冒険心をかきたててくれる。ヘル ゲの愛車は常に BMW だが、ほ とんどすべてのライダーも同様に BMW に乗っている。 「私の初めての旅行は、“ オルガ” と呼んでいた R 80G/S に乗って 行きました。そのマシンは、現在 ではミュンヘンの BMW ミュージアムに展示されています。それからも R1100GS、 R1150GS に乗り、今回が新しい R 1200 GS Adventure での初めの旅になります。とても 素晴らしいマシンなので、旅が待ち切れません」 しかし、彼が 2006 年に計画している長距離旅行は中国旅行だけではない。「ベトナム、カ ンボジア、チベットを訪れ、エベレストでのベースキャンプも計画しています」と彼は語る。 「これからも全ての冒険家に訴えかけるような 、新しいツアーを計画していくつもりです」 グローブライダーズは 5 月 9 日のスタートに備え最終調整に入っている。「中国とロシアは 魅力的な国なので、素晴らしい旅になりそうです。しかも、旅の締めくくりが Bikermeeting なんて最高です」 残念ながらこの旅に参加できない人も、ウェブサイト(www.globeriders.com)から最新の 情報を確認できる。旅行に関する情報だけでなく、参加者たちの旅行記も毎日更新される ので、旅の気分が味わえる。 【世界横断リレー、ついにスタート】 ライダー達は壮大な世界一周冒険の旅に向かい、3 月 3 日にスペインのマドリッドを出発し た。この旅では 120 人のライダーが、BMW R1200 GS Adventure 4 台で 30 区間をリレー 方式で走破する。 この壮大なプロジェクトは、スペイ ン人ライダー、ヘラルド・シーリン ガーとグスタボ・クエルボに端を 発する。2 人は BMW Motorrad Spain 後援のもと、最高の道、息 をのむほどの眺め、そして、いつ もの休暇では決して触れられな い、様々な国と文化を深く理解で きるような旅を企画したのである。 第 1 区間を走ったのは、企画立 案者のヘラルド・シーリンガー、 息子のジョージ、イギリスの有名 なバイク旅行家であり“ジュピターズ・ トラベルズ”の著者、テッド・サイモン、そしてフランス 人のピエール・セルヴァン=シュレベールの 4 人だった。4 人は、初日で間マドリッドからセ ビリアまで 600Kmを走破した。ユニークかつ刺激的な旅の始まりを共に分かち合おうと、 熱狂的なライダーも多く同行した。セビリアに到着すると、BMW Motorrad Todo Moto によ りR1200 GS Adventures の 600Km点検と給油が施され、ライダー達はセビリア市長の もてなしを受けた。 グスタボ・ クエルボは、この壮大 な旅の企画に携われたことの 喜 びを次のように述べている。「こ の旅には、本当にたくさんの人 が参加してくれた。これまで世界 一周するには時間もお金もない 人にはうってつけの旅だよ。この 旅に参加した人は、世界一周旅 行をつないだ、って言えるから ね」 ピエール・ セルヴァン=シュレベ ールは、パリからこの旅に参加し た。「 私の人生は、常にバイクと 一緒です」と彼は語る。「私は車を持っていませんが、厳選した 3 台のバイクを持っていま す。その中には R 1200 GS もあります。私は弁護士で、現在 220 億ドルの買収に携わっ ているので 2 週間以上は休めないのです。そこで、私はマラケシュに向かうグループに加 わり、その後の仕事の状況によって、南アメリカ、オーストラリア、または東南アジアの区間 を走りに戻って来たいと思っています」 バルセロナ出身のサンドラ・ヴォスクイルは、数少ない女性ライダーだ。サンドラはまずセビ リア∼マラケシュ区間を走り、再度 30 区間目のパリ∼マドリードも走る。「去年 BMW の Bikermeeting でこの旅のことを知って、女性専用の区間が 2 つあったので、この旅にぜひ 参加したいと履歴書とライディング歴を送ったの。結果は無事合格よ」 サンドラは必要な場面で通訳をし、既にチームには無くてはならない存在となっている。サ ンドラとパートナーのニコラスは海洋エレクトロニクス会社を経営していて、2 人ともBMW R 1200 RT に乗っている。 ジョージ・ゼーリガー・ウンベルト は、この壮大な旅の企画にフルタ イムで取り組んできた。彼はライ ダー選抜委員会の 1 人で、この 旅に参加できた幸運なライダー の選出を行った。 「参加希望者からの申込書は何 百通もあったよ。様々な分野の知 識や能力、それからマシンや応 急処置などの専門知識があるか を考察したけど、一番重要だった のはバイクの経験だった。そこか ら、ライダーをチームごとに割り当てたんだ。チームはマスコミと、出版予定の旅行記向け に写真付きのレポートを提出することになっているんだ」 BMW の世界一周旅行(Vuelta Al Mundo BMW Riders)は、ライダー4 人ずつで全 30 区 間を、18 ヵ月かけて 10 万 Km以上を走るものだ。120 人のライダーが BMW R1200 GS Adventure に乗り、5 大陸を走破する。 各区間は以下の通り。 区間 -----1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 VIP 場所 ----------------マドリッド ダカール ニューヨーク マイアミ シカゴ ロサンゼルス シアトル アンカレッジ ソルトレークシティ メキシコシティ サンノゼ ボゴタ キト リマ ラパス サンティアゴ ブエノスアイレス ウスアイア シドニー シドニー オークランド オークランド シドニー イスラマバード 敦煌 北京 Jekaterinemburg ヘルシンキ ベルリン パリ マドリッド 目的地 ----------------ダカール セビリヤ マイアミ シカゴ ロサンゼルス シアトル アンカレッジ ソルトレークシティ メキシコシティ サンノゼ(コスタリカ) ボゴタ キト(エクアドル) リマ ラパス サンティアゴ ブエノスアイレス ウスアイア(アルゼンチン) サンティアゴ シドニー オークランド オークランド シドニー シドニー 敦煌 北京 Jekaterinemburg ヘルシンキ ベルリン パリ マドリッド バケイラ 日程 ----------------3 月 3∼17 日 3 月 18∼26 日 4 月 26 日∼5 月 10 日 5 月 12∼24 日 5 月 26 日∼6 月 7 日 6 月 15∼27 日 6 月 29 日∼7 月 11 日 7 月 14∼26 日 7 月 28 日∼8 月 10 日 8 月 21 日∼9 月 2 日 9 月 4∼16 日 9 月 25 日∼10 月 7 日 10 月 9∼21 日 10 月 25 日∼11 月 8 日 11 月 10∼24 日 12 月 4∼16 日 12 月 18∼30 日 12 月 5 日∼2007 年 1 月 17 日 2 月 23 日∼3 月 7 日 3 月 9∼24 日 3 月 26 日∼4 月 7 日 4 月 10∼25 日 4 月 27 日∼5 月 9 日 5 月 31 日∼6 月 13 日 6 月 14∼27 日 7 月 4∼17 日 7 月 18∼31 日 8 月 4∼16 日 8 月 21∼27 日 8 月 29 日∼9 月 4 日 9 月 10∼15 日
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