最新!企業のメンタルヘルスニュース vol.4 2008/1/14

最新!企業のメンタルヘルスニュース
vol.4
2008/1/14
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最新!企業のメンタルヘルスニュース vol.4
巻頭特集:職場のいじめ・嫌がらせ 相談件数が3年前に比べ倍増!
東京労働局が発表した(平成20年7月)個別労働紛争解決制度の利用状況の結果、「いじめ・嫌がらせの」の相談件
数が3年前に比べ倍増していることが分かりました。今回は、職場のいじめ・嫌がらせの原因として大きい「パワハラ」
をとりあげます。
パワハラの定義
「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、
就業者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること」と定義されており、つまりは、経営者や上司な
ど有利な立場にある人が職場で従業員に対し、その立場を利用し行ういじめや嫌がらせのこと言う。
パワハラ行為とは?
・長時間に渡る叱責
・執拗な退職勧奨
・昇進や昇給の妨害
・達成不可能な目標設定
・仕事を与えない ・無視する
・孤立させる など
会社の業務命令や上司からの指導・助言の中で、こうした行為が行われることが多い為、加害者も被害者も
「パワハラ」だという認識が薄い。
パワハラの影響
被害者
心身ともに深刻なダメージを受け、うつ病や最悪の場合や自殺などに繋がる可能性もある。
周囲
職場全体のモチベーションの低下。被害者が休職・退職をした場合、残った従業員の業務量が増え、過労によ
る体調不良・休職・退職など二次被害が広がる可能性がある。
訴訟問題
日本にパワハラを直接規制する法律はないが、これまでの裁判例からパワハラが労災と認定されたり、企業
や上司個人に賠償を命じるケースが増えている。被害者がパワハラ訴訟を起こせば、加害者は刑事民事の2つ
の側面から責任を問われる可能性がある。
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巻頭特集:職場のいじめ・嫌がらせ 相談件数が3年前に比べ倍増!
∼虎の門病院、栗原医師へのインタビュー①∼
増加するパワハラについて、精神科医の栗原雅直医師に医学的な立場からのコメントを頂いた。
■ 栗原雅直医師プロフィール
精神科医。現在、虎の門病院医師。1954年東京大学医学部卒業。1967年より虎の門病院精神科部長。1990年
より大蔵省(現財務省)診療所所長。著書は、「現代精神医学体系」 (中山書店)、 「職場のメンタルヘルス」(診
療新社)、 「カルテの内側」(朝日新聞社)、「心を軽くする習慣教えます」(成美堂出版)など多数。
Q1.職場でのパワハラが増える背景は?
【栗原医師】
年功序列や終身雇用が廃止され成果主義が導入されるといった社会構造の変化が背景にある。社会構造の変化によ
り、人間関係が殺伐になり一人一人に精神的余裕がなくなった結果、パワハラが起き易くなっているといえる。また、最近
では、メールなどの普及により職場のコミュニケーションが希薄になり、パワハラの被害者が一人で悩み、事態が深刻化し
易くもなっている。
Q2.パワハラが心身にもたらす影響として、どのようなものが考えられますか?
【栗原医師】
ストレス性胃潰瘍、高血圧、不安発作などがある。しかし、圧倒的にうつ病が多い。ただうつ病と言っても、一般
的なうつ病とは症状が少し異なる。パワハラの被害者の場合、人から攻撃を受けてそれに対抗できず、攻撃に
対する怒りを自分の中に持ったままうつ病になる。結果、時として被害者は自分の怒りの矛先を、妻や子供など
自分より弱い相手に求めることがある。(家族が居る場合)パワハラは、その影響・被害が、より弱い立場の人間
に向かい広がるという特徴がある。
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巻頭特集:新型うつ病について
∼虎の門病院、栗原医師へのインタビュー②∼
Q3.パワハラを防ぐ為には、どのような対策がありますか?
【栗原医師】
やはり、コミュニケーションをとることが大切。仕事を進める上で意思疎通が乏しいと、互いの仕事ぶりや人柄が分からず、
ちょっとした事でイライラしてしまいストレスをため易い。そのストレス発散としてパワハラに繋がることが多い。日頃からコミュ
ニケーションをとっていれば、不要なイライラやストレスを感じることもなくなる。また、同僚で上司の悪口や愚痴を言い合え
るような関係を作れる環境を用意しておくと、問題が深刻化しない。
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11月のメンタルニュース
■ 【脳と心の病気】メタボリックシンドロームとうつ病の関係明らかに
メタボリックシンドローム患者は、うつ病を併発している割合が多い事が、フランス・ボルドー第二大学精神神経
免疫学研究室のキャプロン博士らの研究で判明した。323人の男性(平均年齢54歳)を対象に、メタボリックシン
ドロームの診断を受けてもらった結果、147人がメタボリックシンドロームと診断された。次に、この323人に、う
つ診断のテストを実施。その結果、メタボリックシンドロームでない人でうつ病と診断された人は約7%だったの
に対し、メタボリックシンドロームである人は約15%がうつ病と診断された。この8%という差は、統計学的に意味
のある差だという。
■ 【統計・データ】自殺の原因63%は「健康問題」−政府対策白書
政府は31日「2008年版自殺対策白書」で、2007年の自殺原因のトップは、健康問題の63.3%だったと発表。そ
の対策として、心の病に関する精神科医療の充実・職場のメンタルヘルス強化などを挙げ、「心の健康づくり」に
重点を置くこととした。自殺対策白書は、年間自殺者が10年連続で3万人を超えたことに危機感を示し、昨年か
ら開始し今年で2回目となる。平成17年 厚生労働省の人口動態調査によると、20∼44歳の死因1位は自殺と
なっており、早急な自殺対策が求められる。
■ 【脳と心の病気】メラトニン:「うつ」治療に期待−名大グループ
名古屋大大学院生命農学研究科の吉村崇教授の研究グループが、哺乳類が季節を感知する仕組みを解明。
日照時間が長くなると、メラトニンという催眠作用を持つホルモンの分泌が抑制され、春の到来を感知する甲状
腺刺激ホルモンの分泌が増える。動物は季節に応じて冬眠や繁殖などの特定行動をとるが、人間も特定の季
節にうつ病が増加する、特に自殺は冬に増加するどの季節行動が指摘されている。この季節感知の仕組みを
人間のうつ治療に応用できるのではないかと期待されている。
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12月のメンタルニュース
■ 【脳と心の病気】「男の生きがい」ストレスに勝つ? 脳卒中の死亡率減
秋田大学は文部科学省が関わる研究調査から、「生きがいを感じて暮らしている男性は精神的ストレスがあっ
ても脳卒中で亡くなるリスクが大幅に低い」という事が分かった。県内の住民(40∼74歳)の健康状態と「生きが
いを持って生活をしているか」「ストレスが多いと思いか」などと質問し、調査を行った。生きがいがあると答えた
男性(年齢、血圧、喫煙歴などの影響を除く)の死亡率はそれ以外の男性より38%低く、脳卒中の死亡率は
72%も低かった。生きがいが死亡リスクを減らす効果があった。
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11月の労務関連ニュース
【判決】上司のパワハラ、脳梗塞の原因に 東京高裁が労災認定
某大手運輸子会社の元社員(故人)が脳梗塞を発症したのは、過重な業務と上司のパワーハラスメントのストレ
スが原因であると認める判決を東京高裁がだした。裁判長は判決理由の中で「元社員を起立させたまま2時間
にもわたり叱責した」などとして上司のパワハラを指摘。発症1カ月前の残業が約80時間に加え、叱責が月に2
回以上あったことを鑑み、「肉体的疲労だけでなく心理的負担も重なり脳梗塞を発症した。会社の業務が原因と
いえる」と労災と認めた。
【判決】争点を判断しない判決に批判相次ぐ−薬剤師の過労死裁判
青森労災病院に勤めていた男性薬剤師の「過労自殺」をめぐり、労災不支給の取り消しを求めた家族の訴えを
棄却した東京地裁の判決に、うつ病をいつ発症したかという最大の争点を明確していないと批判が相次いでい
る。家族側は1999年12月20日頃に発症したとするのに対し、国側は2000年5月中旬ごろとしており、両者には
大きな隔たりがあった。しかし、判決では『99年12月20日前の6か月間の業務をみると、うつ病を発症するような
原因はない』として、家族の訴えを棄却した。一方弁護士は、薬剤師の日常業務に加え、99年の6月ごろから管
理システムの責任者になり、同年12月の期限までに構築しなければならないという、過度のストレスがうつ病発
症の原因で、それ以外に理由はない」と指摘している。
【起訴・提訴】<福知山線事故>重症患者処置の看護師がPTSDで提訴
大阪市の看護師が、「JR福知山線脱線事故で看護師として処置に当たったが、その際事故の惨事に直面し心
的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した」として、国に労災認定を求める訴訟を起こした。看護師は「大惨事
の中、同様の症状になった看護師は沢山いるはず」と訴えている。当時、この看護師は重症患者らの処置に
あったが、数日後に涙が止まらない、過呼吸や抑うつなどの症状も出た結果、同年9月に休職し、退職をした。
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12月の労務関連ニュース
【判決】「死ね」「辞めろ」適応障害の生保外交員に労災
大手生命保険会社に勤める保険外交員の女性が適応障害になったのは、上司や同僚のパワーハラスメントが
原因であるとして、大阪中央労働基準監督署が労働災害と認定した。女性は02年10月から大阪市内の営業所
で保険の外交員として勤務していたが、06年に就任した新しい所長から、営業成績が低いことなどを理由に「お
前が嫌いだ」など暴言を浴びせられた。また、女性が営業所の現状を本社のコンプライアンス部に通報したとこ
ろ、同僚から「死ね」「営業所の癌」「早く辞めろ」などのつるし上げにあい、退職を迫られた。その後女性は体調
を崩し適応障害と診断され現在も出勤できず休職しており、今年4月に労基署に労災を請求し、1月下旬に認め
られ休業補償を勝ち取った。
【判決】過労自殺で勤務先に8000万円賠償の判決
長時間労働が原因で2001年に自殺したとして、男性社員(当時43歳)の遺族が約1億3,000万円の賠償を求め
た訴訟の判決で、東京地裁は勤務先の会社に約8,000万円の支払いを命じた。男性は1999年頃からシステム
開発を担当していたが体調を崩し01年1月にうつ病で入院、その後職場復帰したが同年8月自宅で自殺した。
東京地裁は勤務先の会社に「男性はシステム開発の不具合発症のため、1ヶ月100時間を超える残業などの長
時間労働や過大な精神的負担を強いられた」と認定し、更に「会社は必要な人員配置や職務分担の見直しなど
適切な措置をとる安全配慮義務を怠った」と指摘。
【判決】キオスク元社員に300万賠償命令
キオスクで働いてた元女性社員が自殺したのは、仕事のストレスが原因でうつ病になったにも関わらず会社が
適切な対処を怠ったからであるとして、当時の勤務先に約5,000万円の損害賠償の求めた訴訟の判決が出た。
裁判所は最終的に約300万円の支払いを会社側に命じた。裁判長は「会社はうつ病が悪化しないよう負担の軽
い職場へ配置換えをするなどの安全配慮義務を怠たり、更に(女性は)突き放された言動を受けて退職を余儀
なくされるなど耐え難い精神的苦痛を受けた」と判決理由を述べた。女性は1987年に入社し2002年6月に「うつ
病」と診断され、「仕事が出来ないなら休んだらどうだ」などと会社から言われ、05年11月に退職している。
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