27日 - 浜松東ロータリークラブ

第 2826 回例会 3 月 27 日(金)天気 快晴
☆プログラム
第 58 年次(2014〜2015)No.36
焼く調理法が上方より伝わり、
「思ったよりも旨いし、
点鐘 石井照人会長
それに精力がつくようだ」と、江戸でも食べる人が増
合唱 「それでこそロータリー」
えたそうです。この後、約二十年ほどを経て、江戸風
卓話 「懐石料理のお椀解説」一木敏哉様
の鰻料理が開発され、背開きにしたものを蒸しあげて、
☆ゲスト 懐石一木 店主 一木敏哉様
強い脂を抜き、やわらかく焼き上げ、タレにも工夫が
Japan food Culture 代表 大井モト江様
凝らされるようになり、大流行になったそうです。私
☆SAA 兼子周一君
も昔、浜名湖で鰻を釣ったことがあり、上手くさばけ
☆クラブ会報 市川浩透君
ないのでぶつ切りにして蒸し焼きにし、蒲焼のたれを
☆出席報告 稲垣邦夫君
付けて食べたことがありますが、美味しくなかったで
会員数
58 名
欠席者
出 席
会員数
42 名
出席率
77.78%
前々回の更正
す。その教訓から修行を積み、今では鰻をさばける様
出席率
になりました。鰻はやっぱり関東風うな重で食べるの
100.00%
が、私は好きです。
☆幹事報告 渡辺一弘幹事
中村(伸)君 鈴木(洋)君 鈴木(明)君 牧野君
・例会変更は掲示板をご覧下さい。
野嶋君 伊藤(龍)君 源馬君 佐脇君
☆委員会報告
高林君 太田(勝)君 太田(浩)君 上原君
○矢野教室のお知らせ 大塚宏之君
出席補填 (理事会 3.13)鈴木清君 佐脇君
(I.M
3.14)佐脇君
(静 岡 3.16)源馬君
☆会長挨拶 石井照人会長
「この夏は鰻の極端な品薄はなさそうだ」と新聞に
出ておりました。昨年 11 月から始まったニホンウナギ
の稚魚の漁は、これまでに約 10 トンが日本国内の養殖
次回の矢野教室は、4/17(金)例会終了後に行います。
3 月 4 月度はこの 1 回の開催のみとなります。
☆ニコニコ報告 SAA 小栗英紀君
・稲垣邦夫君 人事異動がなく、2015 年度も浜松で勤務
することが出来ます。
・堀部莞爾君 小栗英紀君 ぬたる会の案内状をロッカー
に入れさせて頂きました。
池に入ったそうで、5 年ぶりの高水準だった昨シーズン
・池浦捷行君 四つ池ゴルフ練習場で時計を忘れた処、フ
と比べると 10%ほど少ないという事ですが、高騰した
ロントで預かって貰えました。平野 弘さんの教育に感
2 年前の 2.5 倍の量ということです。
謝します。
鰻というのは、今から二百年前の安永年間前までは、
・平野 弘君 池浦さんよりお褒め頂きました。
丸焼きにして豆油や山椒味噌などを付けて食べていた
・2 番及び 5 番テーブル 全員出席
ようで、主に激しい労働をする人たちの料理だったよ
☆今週のお祝い 親睦活動委員会 山下智樹委員長
うです。それが、腹から開いて食べ易いように切って
○会員誕生日 太田浩康君
○結婚記念日 小出成行君 大塚宏之君
近の研究でわかっています。一時間ほど煮出したもの
☆講師紹介
から昆布を取り出して鰹節を加えます。鰹節を入れて
松島勇史君
懐石一木店主一木敏哉様は京都の「菊乃井」で修行
からは、そんなに沢山は煮出しません。さっと煮出し
をされ、遠州鉄道「第一通り」駅の斜向かいにお店を
てゆっくり濾すと一番だしが出来ます。鰹節を入れる
出されていらっしゃいます。ふぐ処理師、利き酒師で
ことでイノシン酸という旨味成分が入り、昆布のグル
もあり、懐石料理を提供する傍らで、料理講習、清酒
タミン酸と合わせて旨味の相乗効果となります。1+1
やワインの試飲会、食育活動など精力的に和食文化の
が 7 から 8 になると言われています。鰹と昆布の合わ
継承に尽力されていらっしゃいます。ご一緒の大井モ
せだしという概念は、室町時代に将軍家から「もっと
ト江様は、一木様と一緒に和食の旨味を伝える Japan
美味しいものを」という要求が出て生まれたようです。
food Culture の代表でいらっしゃいます。
☆プログラム 「懐石料理のお椀解説」一木敏哉様
今日は懐石料理の煮物椀の話をさせて頂きます。懐
煮物椀のいただき方について話します。このスライ
ドではお椀にあじさいの蒔絵が描かれており、季節感
を表現しています。また蒔絵の上に水滴が付いていま
石料理というと皆さんの中でも遠い存在ではないかと
す。これはお椀を見た時の清涼感をイメージすること、
思います。しかし、日常の食事も懐石料理も和食です。
お椀に封をして、お客様が一番最初に触れるというこ
懐石の中の煮物椀について私の知識をお話しすること
と、封を開けた瞬間の香りを大事にしたいということ
で、少しでも懐石料理を知って頂きたいと思います。
などの意味があります。そして、だしをひとくち飲ん
スライドをご覧ください。これは夏場の煮物椀です
で、中の具を交互に食べていきます。だしが美味しい
が、鱧の葛たたき、折戸なす、甘とう美人が入ってい
というのは赤ちゃんも感じます。つまり日本人は本能
ます。鱧は煮物椀の主役である「椀だね」です。折戸
的にだしの味が好きなのです。
なすは「椀だね」の添え物で「椀づま」といいます。
「青
日本料理の花形「わんさし」という言葉があります
味」は青い色の添え物、
「吸口(すいくち)
」は香りの
が、それくらいお椀は日本料理の中で重要なのです。
添え物です。
「吸地(すいじ)
」はだしです。これらが
茶懐石でも煮物椀が美味しくなかったら「今日の茶事
煮物椀の構成内容です。次に「吸地」を細かく見てい
は失敗だね」と言われてしま
きましょう。吸地を作るには水が必要です。私共は袋
う程です。刺身とお椀は両方
井の國香酒造という酒蔵の水を汲んできております。
とも繊細な味です。日本料理
昆布も吸地には必要です。昆布は出来るまでに 2 年間
のコースの中では比較的前半
掛かります。うちの店で使っている利尻昆布は、取っ
に出ることが多いと思います。
た後に海岸に干し、その後 2 年間寝かして青臭さを取
根本的な話ですが、そもそもなぜ煮物椀というよう
り旨みを熟成させます。これを蔵囲(くらがこい)と
に器の名前を使っているのかというと、お椀でないと
いいます。
この献立が成立しないからです。お椀には蓋が付いて
次に鰹節の話です。鰹節は出来るまでに約 6 ヶ月掛
おり中に香りを閉じ込め、温かい状態に保つことが出
かります。最初に鰹を茹で、骨などを取り、焙乾と呼
来ます。西洋料理のスープは平たいお皿に盛ってスプ
ぶ燻す工程に入ります。その後少し保冷して鰹節の中
ーンで飲みます。スプーンは金属製で熱伝導率の高い
にあった水分を外に出すことを繰り返して荒節という
上に、西洋のマナーで音を立てて飲むのはご法度なの
状態になります。それにカビ付けをして水分を抜きな
で、熱いスープは出しにくいです。また中華料理の陶
がら熟成させるという工程を約 6 ヶ月繰り返します。
器製の蓮華はスプーンより熱伝導率が低く、音を立て
もう一つ決め手となる調味料である醤油の話をしま
ることも西洋よりナーバスではないので、西洋料理よ
す。醤油の発祥は日本ではありません。中国から醤(じ
りは熱いスープを出しやすいですが、蓋が付いていな
ゃん)という味噌のような形態で渡ってきました。そ
いので冷めやすいです。それを改善したのがお椀です。
れを液状にしたのは 1600 年より少し前の頃です。液状
温かさを保つことができ、軽く、スプーンや蓮華を使
の醤油が出来たことで劇的に調味料は変わりました。
わずに直に飲むことができます。一番いい状態をキー
塩や味噌主体から醤油主体に変わったのです。
プできるお椀という器がないと仕上がらない料理とい
続いてだしの話です。だしのひき方は比較的簡単で
す。まず昆布だしですが、水と昆布を入れて火に掛け
ます。そうすると旨味の成分であるグルタミン酸が出
てきます。約 60 度で一番グルタミン酸が出ることが最
うことで、煮物椀という器の名前が献立に付いている
のです。
☆次回例会 4 月 10 日(金)
「未来の夢計画」 鈴木 清 君