ローマ五賢帝 ・・ 愚の連鎖 今回は、後継者を世襲しない時代が続き

ローマ五賢帝 ・・ 愚の連鎖
今回は、後継者を世襲しない時代が続き、結果的に国家として最高期を迎えた国について書
きたいと思います。
その国は、古代ローマ帝国で、⻄暦 100 年〜180 年頃の 80 年に渡って名前の通り 5 人の
皇帝が存在しましたが、この 5 人は全て前任の皇帝は自分の実親や血縁の人でなくではなく、
養子と言う形で後継者になりました。
つまり、五賢帝と言っても、最後の皇帝は自分の実子を皇帝にしてしまい、ローマ帝国は没落へ
の道を歩むようになりました。
ちなみに、五賢帝の名前は、ネルヴァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニウス・ピウス、マルクス・ア
ウレリウスと言います。
従って、私としては、自分の子を皇帝にして国を没落に追い込んだマルクス・アウレリウスを五賢
帝にカウントするのはちょっと抵抗がありますが、彼自身が国を統治した時代には国は栄えていた
ので、彼を選んだアントニウス・ピウスに敬意を表して五賢帝としてもいいかとも思っています。
過去の歴史上、国が一番栄えるのは、皇帝や王様がいる独裁政治状態で、その皇帝や王様
が賢い人の時です。
逆に、言うまでもなく国が最もダメになる時期は、独裁政治状態で皇帝や王様が無能だったとき
です。
現在では、独裁政治の国はほとんど無く、いちおう⺠主国家になっていますが、歴史上⺠主国
家はどうなったでしょうか︖
これにはいろいろなパターンがあり、短期的に⾒れば発展した時期や衰退した時期がありました
が、ほとんどの国はじり貧というか、徐々に衰退し、賢い王様が出現した独裁国に滅ぼされたパ
ターンが多いように⾒受けられます。
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古くはギリシャの時代、⺠主国家アテネは、独裁国家スパルタに倒されたし、ヨーロッパ戦線で
は、王様の居ないフランスは、独裁国家ドイツに敗北しました。
これにはいろいろと理由がありますが、⺠主主義になると、意思決定機関が複数の人数で構成
され、しかも多段階となり、どこかで愚かな人間がいると、その下への意思決定が愚かなものとな
り、結果的にその集合体はダメになってしまうというのが⼤きな理由のようです。
例えば、会社組織で言うと、ワンマン社⻑が経営しているところは、社員の不満は何かと多いか
と思いますが、結果的に経営が傾いて⼤ピンチ状態になっているところもあれば、⼤発展している
ところも多いですよね。
独裁的に⼤発展している例としては、楽天とかユニクロとかワタミとか。
ワタミは、一時は⼤発展しましたが、最近ではブラックという不評被害によりかなり傾いているよう
ですが。
経営が傾いてしまったのは、ギャンブル息子がいたエリエールとか。
では、なぜ意思決定機関が継承されていく途中で愚かな人間が出現するのか。
これは、単に世襲だけでなく、公平性を欠いた人事(俗に言うメンコ人事)というやつです。
世襲やメンコ人事が⾏われた場合、愚か者が⻑となる可能性が一気に高まります。
これは、言うまでもなく能⼒に裏付けが無いという点で一致しています。
世襲により継承した人は、まだ能⼒が高い人である可能性はありますが、メンコ人事で成り上が
った人は、ほぼ 100%愚か者です。
このタイプの人は、単に自分が愚かなだけでなく、周囲を陥れて自分が相対的にのし上がっただ
けなので、⻑となった場合には周囲に良い効果をもたらすはずがありません。
得てして、愚かな人は何よりも常に自分の保身を図る傾向にあります。
そんな中で、自分より優秀な人間を後継者としたら、寝⾸をかかれるかもしれないという不安に
駆られ、こういう人を外して、自分よりさらに愚かなイエスマンを後継者として、己の安泰を図りが
ちです。
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また、愚かな人は、人間としての器量も⼩さいので、優秀な人に自分の考えを否定されることを
屈辱と感じる人も多く、一旦愚か者が実権を握ると、その下はさらに愚かになります。
こうして、愚か者が⻑となった集合体は、皆愚か者だらけになってしまいます。
賢い者は、こんな集合体から出ていきますから。
皆が愚か者になった状態を 「衆愚状態」 と言います。
これが 「愚の連鎖」 で、これこそが日本の企業だけでなく、社会全体を窮地に追い込んだ真犯
人と言えるでしょう。
また、衆愚状態になった場合、今度は多数の人が賢い者を排除しようとします。
正しく言うと、賢い者を排除でなく、自分たちと違う人を排除しようとします。
自分たちと違う人がいない場合、自分たち違う人を無理やり作り上げて排除しようとします。
「いじめ」 なんてこの例ですよね。
これは、昔の権⼒者が人⺠を統治するのに使⽤した策略です。
誰か自分たちと違う人を排除や迫害をすれば、排除や迫害された人たちを除いた集合体はある
程度結束し、不満のはけ⼝になる。
日本では、江⼾時代には言い方は悪いですが。「エタ、ヒニン」 と言う差別制度があり、戦後も
部落⺠などという特定の差別対象者を作り出して、他の⺠衆をある程度満⾜させる。
外国でも、奴隷制度と言うのがあり、奴隷を差別することにより、一般市⺠をある程度満⾜させ
る。
社会制度として差別対象者を作り出した場合、この差別対象者が無くなることはありませんが、
差別対象者が社会制度化されていない場合、この差別対象者がいなくなる可能性がありま
す。
会社においては、その人が辞めたり、学校では転校したりとか。
一旦、差別対象者の居る状況を味わうと、差別対象者がいないのは皆不安になるため、次の
差別対象者を作ります。
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このような愚の連鎖を断ち切るためには、変な集団意識を捨て、孤⽴を恐れず、自分の価値観
を堂々と主張できる強い個としての意識を高める以外にないと思われます。
このような生き方は、損することが多いかもしれません。
会社では出世できないし。
しかし、棺桶に両⾜を突っ込む瞬間に、自分の人生を振り返ったときに、周囲の顔色を伺い、
理不尽なことを人に強要して栄華を誇った自分を偉いと思うことができるでしょうか︖
愚の連鎖を断ち切ることができるのは、⺠主社会では各個人の意識のみです。
もう一つの方法は、自分が自分に対して全ての決定権を持つことです。
私は、会社勤めをしていては永遠に自分に降りかかる愚の連鎖を断ち切ることは不可能だと⾒
切り、独⽴を決めました。
独⽴後は、果たして⻑続きするのか、途中で敗北するかはわかりませんが、少なくとも公平性を
欠いた決断はしないつもりです。
棺桶に両⾜を突っ込む時に、負い目や引け目を感じたくないので。
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