抄録集 - 日本心エコー図学会

抄録集
第19回日本心エコー図学会学術集会
抄 録 集
会期:2008年4月10日㈭∼12日㈯
会場:神戸ポートピアホテル
会長:赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)
事務局:和歌山県立医科大学 循環器内科
〒641-8509 和歌山市紀三井寺811-1
TEL:073-441-0621 FAX:073-446-0631
目次
●ご挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
●総会のご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
●交通のご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
●会場までのアクセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
●会場案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
●タイムテーブル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
●学術集会参加者へのご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
●座長、演者へのご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
●特別企画のご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
●一般演題プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
●仁村レクチャー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
●シンポジウム抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
●パネルディスカッションの紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
●新技術紹介セッションの紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
●ランチョンセミナー抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75
●Young Investigator's Award抄録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
●Sonographer's Award Session抄録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89
●一般演題抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99
ご 挨 拶
第19回日本心エコー図学会学術集会
会長 赤阪 隆史
(和歌山県立医科大学 循環器内科)
日本心エコー図学会第19回学術集会を開催させていただくにあたり、会長として一言ご挨拶を申し上げます。恩師の吉
川純一先生・吉田 清先生がそれぞれ第1回・第15回の本学会学術集会を神戸で開催され、両先生の弟子である小生が再
び神戸で本会学術集会を開催させていただけることを大変光栄に存じております。両先生はじめ諸先輩方が大切に発展さ
せてこられた本会を主催させていただく慶びと機会を与えて頂き、会長に御推薦頂いた諸先生方に心より感謝申し上げま
すとともに、本会学術集会開催を支えてくださった関係の方々に厚く御礼申し上げます。
今回は国際ドプラ会議(ICDS)との併催ということもあり、心エコーの国際的なリーダーを30名以上お招きし、会員の
皆さんに心エコーの国際的なレベル(World standard)を肌で感じていただきたいとともに、あらためて本邦の優れている
点は何か(Japanese advantage)を考えていただき、どうすれば世界のリーダーとして本邦の心エコーを発展させることが
できるかを会員個々人に考えていただきたいとの思いから、テーマを「World standard and Japanese advantage」とさせ
ていただきました。
まず、本会とICDSの合同セッションとして、Mayo ClinicのA. Jamil Tajik 先生に「A. Jamil Tajik Commemorative
Lecture」として特別講演をお願いいたしております。また、2つのシンポジウムに先立って、米国心エコー図学会(ASE)
とヨーロッパ心エコー図学会(EAE)
とのジョイントセッションという形でSherif F Nagueh先生とPetros Nihoyannopoulos
先生にシンポジウムのテーマに関連したKeynote lectureを企画しております。さらに、World standard sessionでは韓国
のKim Kee-sik先生・米国のRandolph P. Martin先生・ポルトガルのFausto J Pinto先生・フランスのColette F Veyrat先
生による心機能評価についての御講演を予定しております。同時開催のICDSのセッションでは海外からの心エコーのリー
ダーたちによる多くの講演を企画しており、World standardを十分に実感していただけると期待しております。
シンポジウムでは日常臨床で最も頻度の高い冠動脈疾患と心不全に焦点をあて、
「心筋虚血評価における心エコーの有用
性」
「心不全の診断・治療における心エコーの役割」というテーマで、心エコーの従来の指標や新しい技術を診断・治療に
如何に応用していくかなどに関して議論していただきます。また、パネルデスカッションでは、症例を中心に日常臨床に
おける心エコーの活用について議論していただくようなcase-oriented panel discussionを企画いたしております。座長とパ
ネリストだけによるディスカッションだけでなく、会場の皆様方の積極的な参加をお願いいたします。
例年のYong investigator's awardに加えて、Sonographer's awardや海外留学生報告、併催のICDSとの共通セッション
としてEnglish sessionを2セッション企画いたしました。Sonographer's award sessionではGregory Gilman先生に「心エ
コー図におけるNurseの役割について」keynote lectureをして頂く予定です。海外留学生報告は初めての試みで、今後留学
を考えている会員諸氏に参考になれば幸いです。また、昨年にならい最新の心エコー技術を紹介していただけるように心
エコー主要メーカーの技術者に新技術セッションの企画をお願いいたしました。ポスターセッションも座長推薦の優秀ポ
スターの中から最優秀ポスターを賞したいと考えております。
さらに、今回はエコーライブ大阪の代表世話人である吉川純一先生・伊藤 浩先生から、日本の心エコーに対する情熱
を海外からのゲストに示したいという熱い思いでエコーライブ大阪の同時開催のご提案をいただき、学術集会と一部重な
る形で会員の方々の利便性を配慮させていただきました。
本会が会員の皆様にとって有意義なものとなり、本学会のさらなる発展に寄与できれば幸いに存じます。最後に例年以
上の演題応募を頂き感謝申し上げますとともに、ICDSとの併催の都合で演題枠に制限があり86%の採択率となり、一部の
会員の方々には御迷惑をお掛けいたしたことを深くお詫び申し上げます。
また、今回の学術集会では、ICDSやエコーライブ大阪との併催で、会員の方々にはご負担をお掛けいたすことになり大
変恐縮に存じますが、事前登録により、できる限り多くの会員の方々にいずれの会議にも参加していただけるように配慮
させていただいたつもりです。何かと不行き届きがあるとは存じますが、今回のテーマの真意を御理解いただき、皆様方
の積極的なご参加と活発な討論をお願い申し上げます。
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総会のご案内
第19回日本心エコー図学会総会を下記の通り開催いたしますので会員の皆様はご出席ください。
理事長 別府 慎太郎
記
日 時:4月11日(金)13:20∼14:20
会 場:第一会場(神戸ポートピアホテル 南館 ポートピアホール)
<報告と承認>
<表彰>
・Young Investigator's Award
・Sonographer's Award
・海外学会発表優秀論文賞
・名誉会員
<認定式>
・日本心エコー図学会認定専門技師
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交通のご案内
神戸ポートピアホテル
〒650-0046
神戸市中央区港島中町6丁目10番地1
TEL:078-302-1111
FAX:078-302-6877
※会場までのアクセスの詳細は神戸ポートピアホテル公式HPを
ご参照ください。
http://www.portopia.co.jp/
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会場までのアクセス
車・シャトルバスで約 25 分
車・シャトルバスで約 15 分
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会場案内
第19回学術集会運営本部
4月10日㈭∼4月12日㈯
ポートピアホテル南館B1F「ルビー」
TEL.078-302-1837
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第19回日本心エコー図学会学術集会日程表
4月10日(木)
神戸ポートピアホテル
第1会場
第2会場
第3会場
ポートピアホール
大輪田 A
大輪田 B
第4会場
大輪田 C
セッション
(小ステージ)
ポスター
8:00
8:30
開会の辞 赤阪隆史
9:00
9:00∼9:50 A. Jamil Tajik Commemorative Lecture
JSE-ICDS Joint Session
座長:吉川純一、鄭忠和
演者:A. Jamil Tajik
共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社
9:30
10:00
9:00-10:00
10:00∼10:40 仁村レクチャー
10:30
10:40∼11:00
海外Young Investigator's Award
優秀者発表
11:00
座長:吉田清
演者:
Beat A. Kaufmann
11:30
ポスター貼付
座長:別府慎太郎
演者:松﨑益德
11:10∼12:10 一般演題1 11:10∼12:10 一般演題3
「虚血性心疾患」
座長:岩倉克臣、高木厚
「心筋症」
座長:太田剛弘、岩瀬正嗣
12:00
12:30
13:00
13:30
14:00
14:30
16:00
16:30
17:00
共催:株式会社フィリップス
エレクトロニクスジャパン
12:20∼13:10 ランチョンセミナー1 12:20∼13:10 ランチョンセミナー2
座長:大木崇
演者:Thomas H. Marwick
共催:日本メドトロニック株式会社
座長:石井克尚
演者:Tian Gang Zhu、
Randolph P. Martin
共催:GE横河メディカルシステム株式会社
13:20∼15:20 シンポジウム1 13:20∼14:20 一般演題4
ASE-JSE Joint Session
座長:鄭忠和、増山理
Keynote Lecture:
Sherif F. Nagueh
共催:株式会社フィリップス
エレクトロニクスジャパン
「心機能1」
座長:高野真澄、山田聡
ポスター展示
13:20∼14:20
新技術紹介セッション2
10:00-16:30
共催:持田シーメンスメディカ
ルシステム株式会社
14:20∼15:20 一般演題5
「心機能2」
座長:泉知里、山田博胤
15:00
15:30
11:10∼12:10
新技術紹介セッション1
15:20∼16:20 一般演題2
「弁膜症1」
座長:平田久美子、那須雅孝
15:30∼16:30 一般演題6
「心不全」
座長:平野豊、渡辺弘之
15:30∼16:30
新技術紹介セッション3
共催:株式会社日立メディコ
16:20∼17:20 World Standard Session
JSE-ICDS Joint Session
座長:山本一博、石井克尚
演者:Randolph P. Martin、
Fausto J. Pinto、
Colette F. Veyrat、Kee-Sik Kim
ポスター
セッション1
16:30-17:30
17:30
評議員会
18:00
17:40-18:40
18:30
19:00
19:30
20:00
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第19回日本心エコー図学会学術集会日程表
4月11日(金)
第1会場
第2会場
第3会場
ポートピアホール
大輪田 A
大輪田 B
8:00
8:30
9:00
9:30
10:00
10:30
11:00
11:30
8:00∼9:00 一般演題7
8:30∼10:00
Sonographer's Award Session
座長:宝田明、八木登志員
Keynote Lecture:
Gregory Gilman
16:00
16:30
17:00
9:00∼10:00
新技術紹介セッション4
共催:東芝メディカルシステムズ
株式会社
9:50-10:00 ICDS Opening Ceremony
10:00-11:00
ICDS Plenary Session 1
座長:Jong Hoa Bae、尾辻豊
演者:Julius Gardin, Jae K Oh,
Thomas Marwick
11:10∼12:10 一般演題9
11:10-12:10
ICDS Session 1
「カラーキネーシス/組織ドプラ」
座長:福田信夫、田辺一明
IHD & Ischemic Heart
Disease & Atherosclerosis
座長: 千田彰一、高木力
総会
13:20-14:20
座長:宝田明、八木登志員
ポスター展示
8:30-17:30
13:20-14:20
ICDS Plenary Session 2
座長:Namsik Chung
演者:S. Kaul, T. Shiota,
H. Oemar
14:20-14:30 ICDS 総会
14:30∼15:00 会長講演
座長:伊藤浩 演者:赤阪隆史
15:10∼17:30
Case-Oriented Panel
Discussion:
診断・治療に心エコー図を活かす
座長:吉田清、中谷敏
パネリスト:
中谷敏、泉知里、穂積健之、
高野真澄、大門雅夫、渡辺弘之、
平田久美子
15:10-16:10
ICDS Session 2 "Topics1"
15:10∼16:10
新技術紹介セッション5
座長:Kee-Sik Kim、松尾裕英
共催:GE横河メディカルシステム
演者:Tsu-Lieh Hsu,
株式会社
Jae Kwan Song, Tian Gang Zhu
16:20-17:20
Daniel Kalmanson's Award Session
座長:北畠顕、別府慎太郎
演者:Colette Veyrat
17:30
18:00
11:10∼12:10 Discussion:Gilman先生を囲んで
ソノグラファー教育の現状を語る
座長:伊藤浩
座長:Shunichi Homma
演者:竹内正明
演者:石井克尚
共催:株式会社フィリップスエレクト 共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
ロニクスジャパン
14:00
15:30
ポスター
12:20∼13:10 ランチョンセミナー3 12:20∼13:10 ランチョンセミナー4
13:00
15:00
9:00∼9:35 一般演題8
「症例1」
座長:深谷隆、西上和宏
10:30∼12:00
Young Investigator's Award Session
12:30
14:30
大輪田 C
セッション
(小ステージ)
「弁膜症2」
座長:石塚尚子、赤石誠
座長:松﨑益德
座長:竹中克、皆越眞一
演者:及川雅啓、浪崎秀洋、
宮崎達志、山田亮太郎、
中井博美、兵頭永一
第4会場
8:00∼9:00 一般演題10
「English Session 新技術」
座長:竹内正明、藤本眞一
10:00∼10:30 海外留学生報告会
12:00
13:30
神戸ポートピアホテル
17:30-18:45
ICDS Session 3
Cardiac Function
座長:中谷敏
18:30
19:00
19:30
20:00
̶9̶
16:20∼17:20
新技術紹介セッション6
共催:アロカ株式会社
ポスター
セッション2
17:30-18:30
第19回日本心エコー図学会学術集会日程表
4月12日(土)
神戸ポートピアホテル
第1会場
第2会場
第3会場
ポートピアホール
大輪田 A
大輪田 B
8:00
8:00∼9:00 一般演題11
「新技術」
座長:川合宏哉、村田和也
8:30
9:00
8:00∼9:00 一般演題15
9:00-9:30
Merrill P. Spencer Memorial Lecture
EAE-JSE Joint Session
座長:小柳左門、伊藤浩
10:20-11:10
Keynote Lecture:
ICDS Session 4 "IHD"
Petros Nihoyannopoulos
共催:GE横河メディカルシステム 座長:Namsik.Chung, 大倉宏之
Keynote: Namsik Chung
株式会社
10:30
11:00
Ravi. Kasliwal, Dae-Won.Sohn
11:30
11:20-12:25
ICDS Session 5 "Topics 2"
12:00
座長:Shunichi Homma, 穂積健之
Keynote: Shunichi Homma,
Geoffrey Stevenson,
Jong Chun Park, Hao Wang
12:30
12:40∼13:30 ランチョンセミナー5 12:40∼13:30 ランチョンセミナー6
13:00
14:00
座長:和泉徹
演者:筒井裕之
共催:第一三共株式会社
第7回
エコーライブ大阪
9:00-18:40
15:30
16:00
16:30
優秀ポスター展示
8:00-17:00
座長:赤阪隆史
演者:Rosa Sicari
共催:アロカ株式会社
13:40∼14:40 一般演題12
「左房機能・その他」
座長:木佐貫彰、大手信之
14:30
15:00
優秀ポスター
9:50∼11:50 シンポジウム2
10:00
13:30
大輪田 C
セッション
(小ステージ)
ホワイエ
「English Session 心機能」
座長:林英宰、西野雅巳
座長:北畠 顕,
Julius Gardin
演者:Alan Pearlman
9:30
第4会場
14:40∼15:15 一般演題13
13:40‐15:20
ICDS Session 6 "IVUS"
座長:F.Pinto、山岸正和
演者:Fausto Pinto,
Geoffrey Vince,廣高史、
川崎雅規、田中篤、吉牟田剛
「症例2」
座長:大倉宏之、室生卓
15:30∼16:30 一般演題14
「心機能3」
座長:新垣義夫、田中信大
閉会式 16:30-16:40
17:00
ポスター撤去
17:30
17:00-18:00
18:00
18:30
19:00
19:30
20:00
̶ 10 ̶
学術集会参加者へのご案内
Ⅰ.当日受付
1.当日参加受付は第2会場(神戸ポートピアホテル1F大輪田A)前にて行います。
プログラムに参加される前に必ず参加受付にて受付をお済ませください。
2.参加費と引き換えにネームカードをお渡しします。ネームカードは会場内では必ずご着用ください。
支払いは現金のみの取扱いとなります。
参加費は下記の通りです。
医師
技師・その他
会 員
15,000円
9,000円
非会員
16,000円
10,000円
※本学術集会は、国際ドプラ会議、エコーライブ大阪と同時開催されます。日本心エコー図学会と国際ドプラ会議の共通券は、
医師45,000円、技師・その他20,000円で販売いたします。詳細は、第19回学術集会ホームページ:http://www.congre.co.jp/
jse2008をご覧ください。
3.受付時間
4月10日(木)8:00∼17:00 4月11日(金)7:30∼17:00 4月12日(土)7:30∼17:00 Ⅱ.学会入会・年会費
・日本心エコー図学会事務局受付では、入会手続き、年会費の払い込み、各種届を受け付けております。
Ⅲ.各種会合
1.理事会
4月 9日(水) 17:30∼19:00
ポートピアホテル 南館B1F「サファイア」
2.評議員会
4月10日(木) 17:40∼18:40
ポートピアホテル 南館1F「大輪田B」
3.YIA審査会
4月11日(金) 12:00∼13:00
ポートピアホテル 南館B1F「ローズ」
4.Sonographer's Award 審査会 4月11日(金) 12:00∼13:00
ポートピアホテル 南館B1F「アイリス」 5.総 会
ポートピアホテル 南館1F「ポートピアホール」
4月11日(金) 13:20∼14:20
Ⅳ.その他
1.手荷物のお預けはポートピアホテル南館1Fのクロークをご利用ください。
2.ドリンクコーナーは大輪田Cにございます。
3.会期中問い合わせ先:第19回日本心エコー図学会学術集会運営本部 4月10日(木)∼12日(土) 神戸ポートピアホテル南館B1F「ルビー」
TEL:078-302-1837
̶ 11 ̶
V.査読委員
一般演題は以下の先生方に査読をお願いしました。
謹んで御礼申しあげます。
赤石 誠 (北里研究所病院 循環器科)
新垣 義夫 (財団法人倉敷中央病院 小児科)
石井 正浩 (北里大学医学部 小児科学)
石藏 文信 (大阪大学大学院医学研究科 保健学専攻機能診断科学講座)
石塚 尚子 (東京女子医科大学医学部 循環器内科学)
泉 知里 (天理よろづ相談所病院 循環器内科)
伊藤 浩 (桜橋渡辺病院 心臓・血管センター)
岩倉 克臣 (桜橋渡辺病院 循環器内科)
岩瀬 正嗣 (藤田保健衛生大学短期大学 医療情報技術科)
大手 信之 (名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科学)
尾辻 豊 (産業医科大学 医学部第二内科学)
川合 宏哉 (神戸大学医学部附属病院 循環器内科)
木佐貫 彰 (鹿児島大学医学部 保健学科)
里見 元義 (長野県立こども病院 循環器科)
大門 雅夫 (順天堂大学医学部 循環器内科)
高木 厚 (東京女子医科大学 循環器内科)
高野 真澄 (福島県立医科大学 臨床検査医学/第一内科)
竹内 正明 (産業医科大学医学部 第二内科学)
中谷 敏 (国立循環器病センター 心臓血管内科)
西野 雅巳 (大阪労災病院 循環器科)
平野 豊 (近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部)
深谷 隆 (西神戸医療センター 小児科)
穂積 健之 (大阪市立大学大学院 循環器病態内科学)
増山 理 (兵庫医科大学 循環器内科)
村田 和也 (山口大学医学部 附属病院検査部)
山岸 正和 (金沢大学大学院 医学系研究科循環器内科)
山田 聡 (北海道大学大学院 医学研究科循環病態内科学)
山田 博胤 (徳島大学病院 循環器内科・超音波センター)
林 英宰 (医療法人三世会河内総合病院 心臓センター内科)
(五十音順)
Ⅵ.実行委員
第19回日本心エコー図学会学術集会 実行委員は下記の先生方です。
謹んで御礼を申しあげます。
泉 知里 (天理よろづ相談所病院 循環器内科)
伊藤 浩 (桜橋渡辺病院 心臓・血管センター)
高野 真澄 (福島県立医科大学 臨床検査医学/第一内科)
中谷 敏 (国立循環器病センター 心臓血管内科)
平田久美子 (和歌山県立医科大学 循環器内科)
穂積 健之 (大阪市立大学大学院 循環器病態内科学)
八木登志員 (神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)
(五十音順)
̶ 12 ̶
座長・演者の方へのご案内
Ⅰ.口演演題 座長へのお知らせ
・セッション開始15分前までに会場内の次座長席にご着席ください。
・開始時間になりましたらセッションを開始してください。時間厳守でお願いいたします。
Ⅱ.口演演題 演者へのお知らせ
・セッション開始45分前までに第4会場(大輪田C)前の「PC受付」にお越しください。
・セッション開始15分前までに会場内の次演者席にご着席ください。
・発表は、PC発表のみとさせていただきます。
【発表時間】
発表
質疑応答
合計
一般口演
8分
4分
12分
一般口演(症例のセッションのみ)
5分
2分
7分
YIA
8分
7分
15分
Sonographer's Award Session
8分
7分
15分
【データを持ち込まれる方へ】
「PC受付」にて発表データの確認を行ってください。
1.当日は発表予定時間の45分前までに、
2.お持込いただけるメディアは以下のとおりです。
USBフラッシュメモリー/ CD-R
(CD-Rの書き込みはハイブリッド(ISO9660)フォーマットをお使いください。パケットライトなど特殊な機能は
読めない原因になりますのでご使用にならないでください。)
3.データの容量は最大512MBまでとさせて頂きます。
4.OSとアプリケーションは以下のものをご用意します。
OS
アプリケーション
Windows XP
Windows版 PowerPoint2000 / PowerPoint2003 / PowerPoint2007
※・MacintoshはPC本体持込のみ受け付けます。
・PowerPoint2007で動画をご使用の場合はPC本体をお持ち込みください。
5.フォントはOS標準のもののみご用意いたします。
6.発表に使用するPCは全てXGA(1024×768)に統一してありますので、ご使用のPCの解像度をXGAに合わせてか
らレイアウトの確認をしてください。
7.動画や音声をご使用になる場合は、受付の際に必ずお知らせください。
8.ファイル名は「演題番号_演者名.ppt」としてください。(例:001_発表太郎.ppt)
注「.ppt」は拡張子(英数半角)です。
9.動画などの参照ファイルがある場合は、全てのデータを同じフォルダに入れてください。
*動画ファイルの注意点
Windowsの場合 XP(OS)及び Windows Media Player 9の初期状態に含まれるコーデックで再生できる動画
ファイルをお持ちください。
(動画ファイルはMPEG1形式を推奨します。)
10.メディアを介したウィルス感染の事例がありますので、最新のウィルス駆除ソフトでチェックしてください。
11.発表データ作成後、作成したパソコン以外のパソコンで正常に動作するかチェックしてください。
12.発表会場ではデータの修正はできませんので、予めご了承ください。
13.試写が終了しましたら、ご発表予定時間の15分前までに会場内右手前方演台付近の次演者席にご着席ください。
14.発表時には、ご発表データの1枚目をスライドショー状態でスクリーンに映写しますので、ご自身でデータの送り・
戻しの操作を行ってください。
15.ご発表データは、「PC受付」のサーバと会場のパソコンにご発表データを一時保存いたしますが、これらのデータ
は本学術集会終了後、運営事務局が責任を持って廃棄します。
̶ 13 ̶
【ご自分のPCをご使用になる方へ】
ノートパソコンを持ち込まれる方へ
1.発表予定時間の45分前までに第4会場(大輪田C)前のPC受付へお越し
下さい。
2.「PC受付」ではD-sub15ピン(ミニ)のケーブルをご用意いたします。
一部のノートパソコンでは本体附属(別売り)のコネクターが必要な
場合がありますので、必ずお持ちください。
3.ノートパソコンのOSは、以下の物を推奨いたします。
D-Sub15pin(ミニ)
Windows − Windows2000以降
Macintosh− MAC OSX 10.1.2 以降
4.ノートパソコンから外部モニターに 正しく出力されるか予め確認してください。
個々のパソコンやOSにより設定方法が異なりますので、事前にご確認ください。
5.デスクトップ上の分かりやすい場所に発表データのショートカット(エイリアス)を
「演題番号_演者名」として作成してください。(例:001_発表太郎)
6.画面の解像度はXGA(1024×768)推奨です。
このサイズより大きいまたは小さい場合、画質の劣化につながります。
(会場プロジェクターのリアル解像度がXGAになっていますので、最適な画質が得られます。)
7.動画や音声をご使用になる場合は、受付の際に必ずお知らせください。
8.予め、スクリーンセーバー、省電力設定を解除してください。
9.起動時にパスワード等を設定している場合は解除しておいてください。
10.会場にて電源をご用意しておりますので、ACアダプターを必ずお持ちください。
ご発表予定時間の30分前位(講演中でもかまいません)に会場内左手前方演台付近のPCデスクまでお越しのうえ、
スタッフに、PCをお渡しください。スタッフが、ケーブルを接続し、外部出力の確認を行います。
11.ご発表時には、演台にセットされているTFTモニター、マウスをご使用ください。
12.念のため、バックアップデータを必ずお持ちください。
13.発表会場ではデータの修正はできませんので、予めご了承ください。
14.口演終了後、できるだけ速やかにPCデスクへお越しいただきPCをお引取り下さい。
Ⅲ.ポスター演題 座長へのお知らせ
ポスター演題の座長は、必ず第4会場(大輪田C)前の「ポスター座長受付」にお立寄りの上、セッション開始15分
前までにセッションの最初のパネル前にお越し下さい。開始時間になりましたら演者とディスカッションを行って
下さい。座長は担当のセッションの中から優秀ポスター演題を1題ずつ選びリボンをつけて下さい。
̶ 14 ̶
Ⅳ.ポスター演題 演者へのお知らせ
・ポスター発表者は指定された時間内に必ず貼付・撤去を行って下さい。
・ポスターセッションのスタート15分前までに各自のポスター前に待機して下さい。
・座長がセッションの時間内に担当領域のポスターを訪問致しますので、ポスター演者は、座長とディスカッション
を行ってください。
・座長に担当領域内で最も優秀なポスター発表演題をひとつ選びリボンをつけていただきます。
1日目と2日目でリボンのついた演題は第3日目にポートピアホテル南館1Fホワイエにおいて優秀ポスター発表とし
て継続掲示いたします。
・ポスターの掲示および撤去時間は、下記になります。
貼付
閲覧
セッション
撤去
4月10日(木)
9:00∼10:00
10:00∼16:30
16:30∼17:30
−
4月11日(金)
−
9:00∼17:30
17:30∼18:30
18:30∼19:30
※ 撤去時間までは必ずポスターを貼っておいてください。
優秀演題
優秀ポスターの撤去時間は、第3日目の下記の時間になります。撤去時間までは、
ポスターを貼っておいてください。
優秀ポスター 3題は4月12日(土)の閉会式において表彰いたします。
20cm 演題 番号 70cm 「演題名」 氏名・所属 20cm
優秀ポスター撤去作業・・・4月12日(土) 17:00∼18:00
・撤去時間を過ぎても撤去されないポスターは後日、運営事務局が廃棄いたします。
・優秀ポスターに選ばれ、3日目夕方の撤去が出来ない場合は必ず学術集会事務局に
ご連絡下さい。
掲示スペース 160cm ・学術集会事務局で、ポスターパネルの左上角20㎝×20㎝のスペースに演題番号を
掲示します。
ご自身で、縦20㎝×横70㎝幅に演題名・所属・演者名を、その下の縦160㎝×横90㎝
に発表内容を掲示してください。
90cm Ⅴ.個人情報保護法に関して
個人情報保護法に関して本学会の方針として、学術集会等で使用されるスライド、PCプレゼンテーションにお
いて、個人情報(患者名はもとより、病院で利用されている「ID」)が含まれているものは使用を禁止しております。
個人が同定できる部分は、削除ないしマスキングをお願い致します。
̶ 15 ̶
特別企画のご案内
開会の辞
第 2 会場 < 大輪田 A>
4月10日
(木)
8:50∼9:00
第19回 日本心エコー図学会学術集会 会長 赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)
A. Jamil Tajik Commemorative Lecture
第 2 会場 < 大輪田 A>
JSE-ICDS Joint Session
4月10日
(木)
9:00∼9:50
A. Jamil Tajik(Mayo Clinic Arizona, USA)
Quantitative ECHO in Valvular Regurgitation : Moving Back Up the Curve!
座長 吉川 純一(大阪掖済会病院)
鄭 忠和(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学)
Tajik Award Ceremony
選考委員:
吉川 純一(大阪掖済会病院)
赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)
伊藤 浩(桜橋渡辺病院 心臓・血管センター)
穂積 健之(大阪市立大学 循環器病態内科学)
渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科)
(共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社)
仁村レクチャー
第 2 会場 < 大輪田 A>
4月10日
(木)
10:00∼10:40
座長 別府慎太郎(大阪大学大学院医学系研究科 機能診断科学講座)
体腔内心血管エコー・ドプラ法の発展の軌跡と展望
松﨑 益德(山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学)
会長講演
第 1 会場 < ポートピアホール >
4月11日
(金)
14:30∼15:00
座長 伊藤 浩(桜橋渡辺病院 心臓・血管センター)
冠動脈血流速計測による冠循環評価
赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)
̶ 16 ̶
シンポジウム 1
第 2 会場 < 大輪田 A>
ASE-JSE Joint Session
4月10日
(木)
13:20∼15:20
座長 鄭 忠和(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学)
増山 理(兵庫医科大学 循環器内科)
Keynote Lecture
Echocardiographic Assessment of Left Ventricular Diastolic Function
Sherif F. Nagueh(Methodist DeBakey Heart Center,The Methodist Hospital, USA)
1. 重症心不全における心室 dyssynchrony のエコー指標を用いた心臓再同期療法有効例の予測
古堅あずさ(東京女子医科大学 循環器内科)
2. 拡張型心筋症患者におけるカルベジロールの効果について:左室 Dyssynchrony からの検討
谷 知子(神戸市立医療センター中央市民病院)
3. 新規発症心不全の基礎心病態検索における心エコー図ルーチン検査の意義∼可逆性拡張型心筋症
は予見できるか?
猪又 孝元(北里大学医学部 循環器内科学)
4. 組織ドプラ法をいかに心疾患の診断と治療にいかすか?BNP との比較
大倉 宏之(川崎医科大学 循環器内科)
5. LV shuffle motion is a clinically useful echo characteristic for predicting response to CRT
有田 武史(社会保険小倉記念病院 循環器科)
(共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン)
シンポジウム 2
第 2 会場 < 大輪田 A>
EAE-JSE Joint Session
4月12日
(土)
9:50∼11:50
座長 小柳 左門(国立病院機構都城病院)
伊藤 浩(桜橋渡辺病院 心臓・血管センター)
Keynote Lecture
Stress Echocardiography Revisited
Petros Nihoyannopoulos(Imperial College London, Hammersmith Hospital, UK)
1. Velocity Vector Imaging による Post-exercise ischemic memory の検出:負荷心筋シンチ
グラムとの検討
黒沢 幸嗣(榊原記念病院 循環器内科)
2. カラー組織ドプラ法を用いた Detection of Diastolic Abnormality by Displacement
Imaging(DADI)による狭心症の診断
大西 俊成(関西労災病院 循環器科)
3. ATP 負荷における心筋ストレイン勾配解析による心筋血流異常の評価
石津 智子(筑波大学 臨床医学系 循環器内科)
4. 64 列 MDCT と CFR の組み合わせによる虚血性心疾患の診断
辻岡 洋人(和歌山県立医科大学 循環器内科)
(共催:GE 横河メディカルシステム株式会社)
̶ 17 ̶
World Standard Session
第 2 会場 < 大輪田 A>
JSE-ICDS Joint Session
4月10日
(木)
16:20∼17:20
座長 山本 一博(大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
1. Innovations in Echocardiography
̶Impacting Management and Changing Lives
Randolph P. Martin(Department of Noninvasive Cardiology, Emory University
Hospital Emory Healthcare, USA)
2. Echo Assessment of Diastolic Function
Fausto J. Pinto(Department of Cardiology, Lisbon University Medical School,
Portugal)
3. Preejectional Isovolumic Phase: from Global to Regional Information
Colette F. Veyrat(Department of Cardiovascular Medicine, L'institut Mutualiste
de Montsouris, France)
4. Stress-Induced Cardiomyopathy in Korean population;
The Clinical and Echocardiographic Difference according to the Variable Types
Kee-Sik Kim(Department of Cardiology, Medical Center, Daegu Catholic
University, Korea)
Case-Oriented Panel Discussion: 診断・治療に心エコー図を活かす
第 1 会場 < ポートピアホール >
4月11日
(金)
15:10∼17:30
座長 吉田 清(川崎医科大学 循環器内科)
中谷 敏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
パネリスト:
中谷 敏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
泉 知里(天理よろづ相談所病院 循環器内科)
穂積 健之(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学)
高野 真澄(福島県立医科大学 臨床検査医学 第一内科)
大門 雅夫(順天堂大学 循環器内科)
渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科)
平田久美子(和歌山県立医科大学 循環器内科)
Discussion:Gilman 先生を囲んでソノグラファー教育の現状を語る
第 4 会場 < 大輪田 C>
4月11日
(金)
11:10∼12:10
座長 宝田 明(県立淡路病院 循環器内科)
八木登志員(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)
ディスカッサー:
1) 戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター 生理検査課)
2) 水上 尚子(鹿児島大学付属病院 検査部)
3) 勝木 桂子(国立病院機構大阪南医療センター 臨床検査部)
4) 紺田 利子(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)
5) Gregory Gilman(Kardia Health Systems, USA)
アドバイザー:
1) 増田 善一(国立循環器病センター 生理機能検査部)
2) 遠藤 栄一(三井記念病院 中央検査部)
̶ 18 ̶
新技術紹介セッション
4月10日
(木)
1. 11:10∼12:10
2. 13:20∼14:20
3. 15:30∼16:30
共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン
共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社
共催:株式会社日立メディコ
4月11日
(金)
4. 9:00∼10:00
5. 15:10∼16:10
6. 16:20∼17:20
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
共催:GE 横河メディカルシステム株式会社
共催:アロカ株式会社
ランチョンセミナー
4月10日
(木) 第2会場 <大輪田A>
1. 12:20∼13:10
座長 大木 崇(国立病院機構東徳島病院)
Future Directions of CRT
Thomas H. Marwick(University of Queensland School of Medicine, Australia)
〔共催:日本メドトロニック株式会社〕
4月10日
(木) 第3会場 <大輪田B>
2. 12:20∼13:10
座長 石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
Early detection of regional myocardial damage in patients with 2 type DM by twodimensional strain
Tian Gang Zhu(Department of Cardiology, People's Hospital of Peking University, China)
Innovations in Echocardiography - 3D/4D and Quantitative Echo - Impacting
Diagnosis and Management
Randolph P. Martin(Department of Noninvasive Cardiology, Emory University
Hospital, USA)
〔共催:GE 横河メディカルシステム株式会社〕
4月11日
(金) 第2会場 <大輪田A>
3. 12:20∼13:10
座長 伊藤 浩(桜橋渡辺病院 心臓・血管センター)
Real Time 3D Transesophageal Echocardiography:
A New Window for the Assessment of Mitral Valve Apparatus
竹内 正明(産業医科大学 第二内科)
〔共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン〕
4月11日
(金) 第3会場 <大輪田B>
4. 12:20∼13:10
座長 Shunichi Homma(Columbia University Medical Center, USA)
2D Speckle Tracking Image を用いた心筋虚血診断
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
〔共催:東芝メディカルシステムズ株式会社〕
4月12日
(土) 第2会場 <大輪田A>
5. 12:40∼13:30
座長 和泉 徹(北里大学 循環器内科学)
心血管リモデリング制御と高血圧・心不全治療
筒井 裕之(北海道大学大学院 循環病態内科学)
〔共催:第一三共株式会社〕
4月12日
(土) 第3会場 <大輪田B>
6. 12:40∼13:30
座長 赤阪 隆史(和歌山立医科大学 循環器内科)
New technologies: hype and hope in stress echocardiography
Rosa Sicari(CNR Institute of Clinical Physuiology, Pisa, Italy)
〔共催:アロカ株式会社〕
̶ 19 ̶
Sonographer's Award Session
第 1 会場 < ポートピアホール >
4月11日
(金)
8:30∼10:00
座長 宝田 明(兵庫県立淡路病院 内科)
八木登志員(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)
審査委員:
浅沼 俊彦(大阪大学医学部 保健学科)
三神 大世(北海道大学医学部 保健学科 検査技術科学専攻)
大門 雅夫(順天堂大学 循環器内科)
高沢 謙二(東京医科大学 八王子医療センター 循環器内科)
水上 尚子(鹿児島大悪病院 検査部 生理検査室)
増田 喜一(国立循環器病センター 生理機能センター)
遠田 栄一(三井記念病院 中央検査部)
Keynote Lecture
The Role of the Nurse in Clinical and Research Echocardiography Past/Present/Future
Gregory Gilman(Kardia Health Systems, USA)
1. 三次元経胸壁心エコー図法による僧帽弁形成術後遠隔期での僧帽弁輪の形態の評価
川井 順一(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)
2. 大動脈弁閉鎖不全症における左室心内膜側・外膜側ストレイン解析:
その重症度および手術後心機能との関係についての検討
飯田 典子(筑波大学 附属病院検査部)
3. 左室心筋移動速度 First Peak の心室内時間差と方向性は心室再同期療法後の心室 Reverse
Remodeling を予測する
高橋 勝行(倉敷中央病院 臨床検査科)
4. 急性心筋梗塞症例において 2D スペックルトラッキング法を用いた急性期ストレイン指標は慢性期心
筋 viability の予測に有用である
檜垣里江子(喜多医師会病院 臨床検査部)
5. 左室肥大における右室機能障害の機序:二次元スペックルトラッキング法による検討
加賀 早苗(北海道大学病院 検査・輸血部)
̶ 20 ̶
Young Investigator's Award Session
第 1 会場 < ポートピアホール >
4月11日
(金)
10:30∼12:00
座長 竹中 克(東京大学医学部附属病院 検査部)
皆越 眞一(国立病院機構・鹿児島医療センター第一循環器内科)
審査委員:
中谷 敏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
穂積 健之(大阪市立大学大学院医学研究科・循環器病態内科学)
石藏 文信(大阪大学医学部 保健学科)
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
田端 智継(藤田保健衛生大学 坂文種報徳會病院・循環器科)
皆越 眞一(国立病院機構・鹿児島医療センター 第一循環器内科)
竹中 克(東京大学医学部附属病院 検査部)
YIA-1 Radial strain rate のカラーマッピングによる運動負荷誘発性心筋虚血の視覚的評価:
心筋シンチグラフィーとの比較
及川 雅啓(福島県立医科大学 第一内科)
YIA-2 収縮性心膜炎診断の新しい指標 ̶自由壁 longitudinal strain 低下および transverse
strain との乖離の意義̶
浪崎 秀洋(済生会熊本病院 中央検査センター 心血管エコー室)
YIA-3 Duchenne 型筋ジストロフィーの左室局所ストレイン ̶2D tissue tracking 法を用いた検討̶
宮崎 達志(独立行政法人 国立病院機構 徳島病院 小児科)
YIA-4 拡張型心筋症患者における機能性僧帽弁逆流発生メカニズム
̶側方方向への左室拡大の重要性̶
山田亮太郎(川崎医科大学 循環器内科)
YIA-5 2D strain 法による前壁中隔梗塞(AMI)患者における post systolic shortening(PSS)
の検討:健常例(NV)との比較検討
中井 博美(産業医科大学 第二内科)
YIA-6 Utility of Postsystolic Shortening for Detecting Myocardial Ischemia During
Dobutamine Stress Echocardiography
兵頭 永一(東住吉森本病院 循環器科)
海外 Young Investigator's Award 優秀者発表
第 2 会場 < 大輪田 A>
4月10日
(木)
10:40∼11:00
座長 吉田 清(川崎医科大学 循環器内科)
Molecular Imaging of Inflammation in Atherosclerosis with Targeted Ultrasound Detection
of Vascular Cell Adhesion Molecule-1
Beat A. Kaufmann(Cardiology, University Hospital Basel, Switzerland)
海外留学生報告会
第 1 会場 < ポートピアホール >
4月11日
(金)
10:00∼10:30
座長 松﨑 益德(山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学)
1. 帰国報告
吉福 士郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学)
2. 帰国報告
和田 希美(川崎医科大学 循環器内科)
3. 帰国報告
岡島 一恵(東住吉森本病院 循環器内科)
̶ 21 ̶
一般演題
プログラム
一般演題プログラム
4月10日(木)
一般演題1(11:10∼12:10)虚血性心疾患
第2会場 <大輪田A>
座長:岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科)
高木 厚(東京女子医科大学 循環器内科)
1
高脂血症患者の短期の脂質低下療法は心筋内微小循環障害を改善する:心筋コントラストエコー法による定量評価
渡部 朋幸(医療生協わたり病院 内科循環器科)
2
Velocity Vector Imaging の速度ベクトル表示を用いた Post systolic shortening の客観的評価
黒沢 幸嗣(榊原記念病院 循環器内科)
3
心外膜脂肪 Epicardial Fat と冠動脈病変およびアディポネクチンとの関連
富澤 英紀(自治医科大学 循環器内科)
4
経胸壁心エコードプラ法による冠血流予備能と 64 列冠動脈 CT の組み合わせによる冠動脈狭窄検出の有効性
吉川 淳一(東住吉森本病院 生理検査室)
5
ドブタミン負荷心エコー法における左室アシンクロニー評価の有用性
斎藤 聡男(東住吉森本病院 循環器科)
一般演題2(15:20∼16:20)弁膜症1
第2会場 <大輪田A>
座長:平田久美子(和歌山県立医科大学 循環器内科)
那須 雅孝(三愛病院循環器科)
6
硬化性大動脈弁狭窄症の初診断時での心事故リスク予測
村上 弘則(手稲渓仁会病院 心臓血管センター循環器内科)
7
機能性大動脈弁逆流における大動脈弁および大動脈基部 geometry の定量的評価
今井孝一郎(川崎医科大学 循環器内科)
8
The Long-term Echocardiographic Follow-up of Patients Underwent Chordal Cutting for Ischemic Mitral
Regurgitation
谷 知子(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科)
9
重症大動脈弁狭窄症例における Energy loss coefficient の臨床的意義に関する検討
久米 輝善(川崎医科大学 循環器内科)
10
大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁修復術の試み
大塚 健紀(東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科)
一般演題3(11:10∼12:10)心筋症
第3会場 <大輪田B>
座長:太田 剛弘(府中病院 循環器科 中央検査部)
岩瀬 正嗣(藤田保健衛生大学 短期大学医療情報技術科)
11
肥大型心筋症における線維化の重症度と Tissue Velocity Imaging による心室中隔内ディスシンクロニーとの関係
田中 旬(国立循環器病センター 心臓血管内科)
12
閉塞性肥大型心筋症の左室内同期不全および局所心機能に対するシベンゾリンの効果の検討
齋藤 実(愛媛大学大学院 病態情報内科学)
13
拡張型心筋症における後負荷不適合と左室局所心筋の収縮予備能との関連性:2D speckle tracking 法による検討
岡田真理子(神戸大学 医学部大学院 循環器内科)
14
肥大型心筋症における心筋の線維化とねじれの関係
合田亜希子(兵庫医科大学 総合内科 循環器内科)
15
心筋ストレインプロフィールを用いた心臓サルコイドーシスの評価
田中 俊行(国立循環器病センター 心臓血管内科)
̶ 25 ̶
一般演題4(13:20∼14:20)心機能1
第3会場 <大輪田B>
座長:高野 真澄(福島県立医科大学 臨床検査医学/第一内科)
山田 聡(北海道大学大学院医学系研究科 循環病態内科学)
16
陳旧性心筋梗塞症における前負荷増大時の心反応性には左房機能が関与する:左房容積曲線を用いた検討
西尾 進(徳島大学病院 診療支援部)
17
Speckle-tracking imaging 法を用いた左房収縮時左室ストレインレートと左室拡張末期圧との関連
山田真喜子(総合守谷第一病院 臨床検査部)
18
2 型糖尿病例における長軸、短軸、円周方向収縮能および収縮同期性の評価:2 次元スペックルトラッキング法による検討
村中 敦子(札幌医科大学 医学部 第二内科)
19
左脚ブロック症例における中隔壁運動と心機能との関連
亀谷 里美(筑波大学附属病院 検査部)
20
Endomyocardial and Epimyocardial Radial Strain in Hypertensive Patients With Electrocardiographic
Strain Pattern
中村 信男(和歌山県立医科大学 循環器内科)
一般演題5(14:20∼15:20)心機能2
第3会場 <大輪田B>
座長:泉 知里(天理よろづ相談所病院 循環器内科)
山田 博胤(徳島大学病院循環器内科・超音波センター)
21
小児期における E/e' の加齢による変化の検討
佐藤 麻美(自治医科大学 小児科)
22
Automated 2-Dimensional Tissue Tracking 法による左房壁運動の評価:健常者における検討
木佐貫 彰(鹿児島大学医学部保健学科)
23
年齢が左房機能に与える影響:2D speckle tracking echocardiography(2DSTE)による評価
岡松 恭子(産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科)
24
25
Right Ventricular Deformation in HLHS Assessed by Two-Dimensional Speckle Tracking Imaging
(2DSTI)
瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器科)
左室流入血流と僧帽弁輪運動の拡張期時相解析による左室充満圧上昇の推定:デュアルドプラシステムを用いた検討
和田 靖明(山口大学大学院 器官病態内科学)
一般演題6(15:30∼16:30)心不全
第3会場 <大輪田B>
座長:平野 豊(近畿大学 循環器内科)
渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科)
26
身体抑制ストレスによる壁運動異常の局所差:ラットでの検討
内田 雅宏(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座)
27
左室補助人工心臓装着患者に生じた循環不全の原因検索 ̶心エコー検査の有用性について̶
橋本 修治(国立循環器病センター 生理機能検査部)
28
拡張型心筋症においても左室拡張期圧の推定に拡張期グローバルストレインレートは有用であるか?
杜 徳尚(岡山大学 医学部 循環器内科)
29
リアルタイム 3D エコーを用いた Left Ventricular Mechanical Dyssynchorony の評価:組織ドプラ法との併用効果
岩田 真一(府中病院 循環器科)
30
心臓再同期療法が僧帽弁テザリングに与える効果について ̶経胸壁心エコー図による検討
北井 豪(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科)
̶ 26 ̶
4月11日(金)
一般演題7(8:00∼9:00)English Session 新技術
第2会場 <大輪田A>
座長:竹内 正明(産業医科大学 第二内科)
藤本 眞一(奈良県立医科大学 総合医療学)
31
拡張早期 Strain Rate を用いた運動負荷誘発性心筋虚血の定量評価:Tc99m 心筋シンチグラフィーとの比較
高野 真澄(福島県立医科大学 医学部 臨床検査医学 / 第一内科)
32
Visualization of Slow Flow in Left Atrium by Optical Flow Method
西條 芳文(東北大学 大学院 医工学研究科)
33
左室内膜 twist と外膜 twist の計測:高血圧心と正常心との比較
天木 誠(国立循環器病センター 心臓血管内科)
34
Insight into Dynamic Three-dimensional Mitral Valve Geometry and Annular Function in Normal: A Novel
Methodology
稲毛 章郎(Department of Pediatrics Division of Pediatric Cardiology Stollery
Children's Hospital University of Alberta)
35
三次元スペックルトラッキング法を用いた心筋ストレイン評価
瀬尾 由広(筑波大学 循環器内科)
一般演題8(9:00∼9:35)症例1
第2会場 <大輪田A>
座長:深谷 隆(西神戸医療センター 小児科)
西上 和宏(済生会熊本病院)
36
血栓性閉塞により急性心筋梗塞をきたした左冠動脈主幹部巨大冠動脈瘤の一例
山田 慎哉(福島県立医科大学 第一内科)
37
左房粘液腫と鑑別が困難であった無症候性傍大動脈異所性褐色細胞腫の一例
大谷 直由(獨協医科大学 心血管肺内科)
38
左冠動脈肺動脈起始症(Bland-White-Garland 症候群)の 2 症例
小宮 陽子(九州大学病院 ハートセンター生理検査部門)
39
経食道心エコーにより発見された大動脈弓部内膜肉腫の一例
谷渕 綾乃(北里研究所病院 内科)
40
左房内異常血流シグナルから Maze 手術後の左冠動脈回旋枝 ̶左房間冠動脈瘻が判明した一例
和田 匡史(国立循環器病センター 心臓血管内科)
一般演題9(11:10∼12:10)カラーキネーシス/組織ドプラ
第2会場 <大輪田A>
座長:福田 信夫(国立病院機構善通寺病院 臨床研究部)
田辺 一明(神戸市立医療センター中央市民 病院循環器内科)
41
左室収縮能を加味した新しい左室ディスシンクロニー表示:組織ドプラ法を用いた方法
川西 泰徳(大阪医科大学 第三内科)
42
心房細動例の予後予測において組織ドプラ法および腎機能評価は有用か?
舟山 真希(札幌医科大学 医学部 第二内科)
43
Time from aortic valve closure to ESR; ATP 負荷 2D トラッキングエコー法による心筋虚血診断の定量的指標
郡司 一恵(東京女子医科大学 循環器内科)
44
組織ドプラを用いた川崎病患児の左室心機能評価 ̶経時的変化に関する検討̶
奥村 謙一(大阪医科大学 小児科)
45
狭心症の診断における運動負荷 DADI の有用性
田中 宣暁(関西労災病院 循環器科)
̶ 27 ̶
一般演題10(8:00∼9:00)弁膜症2
第3会場 <大輪田B>
座長:石塚 尚子(東京女子医科大学 循環器内科)
赤石 誠(北里研究所病院 循環器科)
46
高安大動脈炎による高度大動脈弁逆流の手術適応は左室径に依存しない
青田 泰子(国立循環器病センター 心臓血管内科)
47
C 反応性蛋白と大動脈弁狭窄の重症度、予後との関係
今井孝一郎(川崎医科大学 循環器内科)
48
Valvular Heart Disease(VHD)in Parkinson's disease(PD)Patients
正木 元子(洛西ニュータウン病院 循環器科)
49
安静時左室後壁収縮能はドブタミン負荷による機能性僧帽弁逆流の減少を予測する ̶組織ドプラ法を用いて̶
辰巳 和宏(神戸大学大学院 循環器内科学)
50
リアルタイム 3D 経食道心エコー図法での僧帽弁逸脱症の診断における有用性
田代 敦(岩手医科大学 第二内科・循環器医療センター)
4月12日(土)
一般演題11(8:00∼9:00)新技術
第2会場 <大輪田A>
座長:川合 宏哉(神戸大学医学部附属病院 循環器内科)
村田 和也(山口大学医学部附属病院)
51
Velocity vector imaging による急性冠症候群の Post systolic shortening の評価とその経時的変化
三原 裕嗣(榊原記念病院 循環器内科)
52
2D strain 法による新しい dyssynchrony の指標:recruitment の検討
中井 博美(産業医科大学 第二内科)
53
年齢が左室形態に及ぼす影響:リアルタイム 3D 心エコー図法による検討
岡松 恭子(産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科)
54
リアルタイム三次元心エコーを用いた大動脈弁置換術後の有効弁口面積計測の検討
氏野 経士(富永病院 心臓病センター 循環器科)
55
先天性心疾患に対するリアルタイム経胸壁 3D 心エコ−図法の有用性
木村 純人(北里大学 医学部 小児科)
一般演題12(13:40∼14:40)左房機能・その他
第2会場 <大輪田A>
座長:木佐貫 彰(鹿児島大学医学部 保健学科)
大手 信之(名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科学)
56
C-reactive protein predicts left atrial thrombus in patients with non-rheumatic atrial fibrillation
前濱 智子(川崎医科大学 循環器内科)
57
等容収縮期の渦流形成に対する心房収縮の関与 ̶Echo-dynamography による検討̶
中島 博行(東北厚生年金病院 中央検査部)
58
正常左房径で異常左房容積を呈する例の臨床的特徴の検討
村中 敦子(札幌医科大学 医学部 第二内科)
59
Changes in LV Geometry from Sphere to Ellipse with Antihypertensive medicine: Possible Role of
Aldosterone Concentration
合田亜希子(兵庫医科大学 総合内科 循環器内科)
60
塩酸ピオグリタゾンは心臓周囲の内臓脂肪を減少させる。:エコー法による epicardial fat pad の経時的観察による検討
永井 宏幸(桜橋渡辺病院 心臓・血管センター 内科)
̶ 28 ̶
一般演題13(14:40∼15:15)症例2
第2会場 <大輪田A>
座長:大倉 宏之(川崎医科大学 循環器内科)
室生 卓(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学)
61
右室収縮期血圧が正常の心室中隔欠損症例に認められた右左シャント
団 真紀子(慶應義塾大学病院 中央臨床検査部)
62
ドーパミン作動薬ペルゴリドが原因と考えられた重症三尖弁逆流症の一例
町田 典子(順天堂大学医学部附属順天堂医院 臨床検査部)
63
異常乳頭筋により左室流出路狭窄を来たした 1 例
小野 和重(君津中央病院 生理検査部)
64
リアルタイム 3D 経食道心エコーにより僧帽弁狭窄症患者の左房内竜巻エコーが観察できた一症例
春木 伸彦(産業医科大学 第二内科)
65
右室ペーシングから両室ペーシングへの変更により心機能不全が改善した 1 例
下角あい子(和歌山県立医科大学 循環器内科)
一般演題14(15:30∼16:30)心機能3
第2会場 <大輪田A>
座長:新垣 義夫(倉敷中央病院 小児科)
田中 信大(東京医科大学 循環器内科)
66
小児腎透析患者における左室拡張能の評価
富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)
67
左室内非協調運動評価にリアルタイム 3 次元エコー法を用いた検討
角田 敏明(神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部 心エコー室)
68
2D speckle tracking 法による経皮的心房中隔欠損閉鎖術前後の左室壁運動の変化について
武井 黄太(長野県立こども病院 循環器科)
69
高血圧症における左室肥大形式と左室捻れ運動の関係
吉田 衣江(洛西ニュータウン病院 循環器科)
70
2D strain 法による睡眠時無呼吸症候群患者における post systolic shortening(PSS)の検討
春木 伸彦(産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科)
一般演題15(8:00∼9:00)English Session 心機能
第3会場 <大輪田B>
座長:林 英宰(河内総合病院心臓センター 内科)
西野 雅巳(大阪労災病院 循環器科)
71
肥大型心筋症における左房ディスシンクロニーの検討
川西 泰徳(大阪医科大学 第三内科)
72
Systolic Function in Region of Left Ventricular Pacing Lead Predicts the Response to Cardiac
Resynchronization Therapy
則定加津子(神戸大学大学院 循環器内科学)
73
2D スペックルトラッキングエコー法(2DSTE)による閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における潜在的左室収縮能低下の検討
春木 伸彦(産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科)
74
Relationship between QRS characteristics and echo-derived dyssynchrony parameter
有田 武史(社会保険小倉記念病院 循環器科)
75
Velocity-Vector Imaging による胎児左室 torsion の測定 ̶心内膜側と心外膜側の比較
安河内 聰(長野県立こども病院 循環器科)
̶ 29 ̶
4月10日(木)
ポスター1(16:30∼17:30)虚血性心疾患
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:岩永 史郎(慶應義塾大学 循環器内科)
P1
安静時心エコー図の Longitudinal Strain Rate 法(SR)と MCE, Bull's eye 併用による狭心症の診断と冠動脈狭窄率の推定
柿原理一郎(柿原クリニック)
P2
再灌流療法後の Diastolic Stunning の評価に TSI 法を用いたストレインレートは有効である
岩橋 徳明(横浜市立大学付属市民総合医療センター 心臓血管センター)
P3
組織ドプラ法を用いた運動負荷心エコー法の有用性
平野 豊(近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部)
P4
急性心筋梗塞後の E/Ea とマトリックスメタロプロテアーゼ
矢島 和裕(岐阜県立多治見病院 循環器科)
P5
急性心筋梗塞患者に対する下肢挙上による僧帽弁流入血流波形の変化について
佐藤 正岳(市立堺病院 循環器内科)
P6
Echo-Dynamography の臨床応用:左室内腔局所 Time-Flow-Curve による心尖部前壁梗塞例の駆出特異性の評価
伊藤 記彦(岩手医科大学 循環器医療センタ− 循環動態検査室)
P7
急性心筋梗塞患者における腎機能悪化と左室収縮・拡張能の関係
伊東 範尚(桜橋渡辺病院 心臓・血管センター 内科)
P8
心エコールーチン検査に冠動脈エコー法は活かせるか
原田 修(公立学校共済組合関東中央病院 検査部)
ポスター2(16:30∼17:30)弁膜症
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:大滝 英二(おおたき循環器内科クリニック)
P9
C 反応性蛋白と大動脈弁狭窄の進行との関係
今井孝一郎(川崎医科大学 循環器内科)
P10
機能性僧帽弁逆流における僧帽弁機構の 3 次元的形態変化:心機能低下モデルを用いた実験的検討
山田亮太郎(川崎医科大学 循環器内科)
P11
高齢者僧帽弁逸脱症の予後についての検討
宮本 欣倫(川崎医科大学附属病院 循環器内科)
P12
大動脈弁逆流における逆流ジェット方向による僧帽弁動態および左室流入血流パターンの差異
森下 智文(国立病院機構善通寺病院 循環器科・臨床研究部)
P13
リアルタイム 3D 経食道心エコー(TEE)を用いた僧帽弁形成術前後の比較
岡松 恭子(産業医科大学医学部 循環器・腎臓内科)
P14
冠危険因子を有する健常者における大動脈弁硬化と頸動脈硬化の進行:心エコー図法と頸動脈エコー図法を用いた観察
山浦 泰子(兵庫県予防医学協会 循環器内科)
P15
高齢者(80 歳以上)大動脈弁狭窄症の経胸壁心エコー図による経時的変化の観察
中村 仁美(神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部 心エコー室)
P16
虚血性僧帽弁逆流に与える経皮的冠動脈形成術の効果に関する検討
柴山謙太郎(倉敷中央病院 循環器内科)
P17
非細菌性心内膜炎により高度大動脈弁逆流を呈した症例
黄 世捷(聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
P18
重症僧帽弁逆流における冠血流予備能と心イベントの関連
片山美奈子(神戸先端医療センター)
̶ 30 ̶
ポスター3(16:30∼17:30)心機能1
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:舛形 尚(香川大学 総合診療部)
P19
E/E' の計測部位による差と臨床的特徴の関連についての検討
小林 清子(新潟大学医歯学総合病院 検査部)
P20
高血圧患者における左室拡張能について ̶年代別および左室重量係数による検討̶
煙草 敏(東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部)
P21
左室拡張能障害に関係する因子:肥満の関与についての検討
土手 絹子(関西医科大学附属枚方病院 循環器内科)
P22
僧帽弁逆流が心エコードプラ法による左室拡張指標に及ぼす影響
大塚 健紀(東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科)
P23
EF 正常の高血圧患者における左室形態変化と総合的左心機能との関係
福田 大和(国立病院機構善通寺病院 循環器内科・臨床研究部)
P24
左室心外膜面の動きによる左室心筋スティフネス評価
竹田 泰治(大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
P25
拡張型心筋症における拡張期左室内渦流の役割
亀山 剛義(宮城社会保険病院 循環器科)
P26
左室拡張機能評価における 2D スペックルトラッキングイメージング法の有用性・・・観血的指標との検討
若見 和明(名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学科)
P27
正常左室収縮例における左房機能と左室拡張能との関係
喜多 領一(医療法人橘会東住吉森本病院 生理検査室)
P28
左室壁運動からの左室拡張機能の評価 ̶2 Dimensional Strain Rate 法による検討̶
柿原理一郎(柿原クリニック)
ポスター4(16:30∼17:30)カラーキネーシス/組織ドプラ
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:鈴木 真事(東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科)
P29
心臓再同期療法における VV timing の有用性
佐藤 明(さいたま赤十字病院 循環器科)
P30
E/E' から見た血液透析患者における左室拡張能の推移
林 英宰(河内総合病院 心臓センター 内科)
P31
心不全治療で左室拡張遅延は改善する;Color Kinesis 法による拡張能評価
原田 昌彦(東邦大学医療センター 大森病院 臨床生理機能検査部)
P32
全身性強皮症における特異抗核抗体タイプと左室拡張障害の関連:組織ドプラ法による検討
寺上 貴子(金沢大学附属病院 検査部)
P33
The influence of myocardial ischemia at sampling site of mitral annulus velocities on the E/E` value
山下 英治(群馬県立心臓血管センター 循環器内科)
P34
チルトテーブルを用いた姿勢の変化による前負荷の変化が与える左室拡張諸指標への影響
服部 進(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 循環器科)
P35
組織ドプラ法による拡張動態の指標:健常者における検討
山邊 梓(ベルランド総合病院 臨床検査室)
P36
左冠動脈の慢性完全閉塞病変に対する経皮的冠動脈インターベンションの局所左室機能評価
̶Color kinesis 法を用いた検討̶
藥袋 路子(獨協医科大学越谷病院 循環器内科)
P37
ドブタミン負荷による狭心症患者における post-systolic shortening の変化
大西 俊成(関西労災病院 循環器科)
P38
ATP 負荷心筋 Strain imaging の有用性と再現性に関する検討
大金美由紀(東京大学 医学部付属病院 コンピュータ画像診断学 / 予防医学講座)
̶ 31 ̶
ポスター5(16:30∼17:30)症例1
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:小野 史朗(済生会山口総合病院)
P39
エプスタイン奇形に左室緻密化障害を合併したと考えられた 1 例
西山 博(国家公務員共済組合連合会呉共済病院)
P40
Myocardial Penetration of a Temporary Pacing Wire detected by Transthoracic Echocardiography
谷 知子(神戸市立医療センター中央市民病院)
P41
拡張型心筋症様の心エコー図所見を呈した老人性全身性アミロイドーシスの 2 症例
堀端 洋子(熊本大学大学院 医学薬学研究部 病態情報解析学分野)
P42
好酸球増多症に伴う左室心筋障害のステロイド治療による改善を心エコーストレイン法によって観察できた一例
安部 晴彦(国立病院機構大阪南医療センター 循環器科)
P43
再発性未破裂巨大バルサルバ洞動脈瘤の一例
目時 知美(東京医科大学病院 循環器内科)
P44
弁瘤の穿孔を伴う感染性心内膜炎に感染性冠動脈瘤を合併した一例
小野 洋平(群馬大学 医学部 臓器病態内科学)
P45
心膜剥離術後に僧帽弁および三尖弁逆流の重症化により心不全が再増悪し弁置換術を要した収縮性心膜炎の一例
小板橋俊美(北里大学 医学部 循環器内科学)
P46
巨大冠動脈瘤及び冠動脈 - 右室瘻の一例 : 経胸壁ドプラエコー法の有用性
徳重 明央(国立病院機構 鹿児島医療センター 第一循環器科)
P47
健診で発見した冠動脈狭窄を合併した大動脈炎症候群の一例
腰山 誠(財団法人岩手県予防医学協会 生理機能検査課)
P48
リアルタイム 3D 経食道心エコー法が僧帽弁置換術後の弁周囲逆流評価に有効であった一症例
窪田佳代子(鹿児島大学医学部 循環器・呼吸器・代謝内科学講座)
ポスター6(16:30∼17:30)動脈硬化・その他
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:渡邉 望(川崎医科大学 循環器内科)
P49
超音波法で評価した内臓脂肪厚と冠動脈疾患の関連性;ウエスト周囲径との比較
濱川 公祐(高知大学 医学部 老年病科・循環器科)
P50
くも膜下出血患者における左室壁運動異常と血中カテコールアミンの関係
杉本 恵子(藤田保健衛生大学 医療科学部 臨床検査学科)
P51
閉塞型睡眠時無呼吸症候群症例における冠血流予備能:持続的気道内陽圧治療の及ぼす影響
黒羽根彩子(東京医科大学病院 循環器内科)
P52
睡眠時無呼吸は左房負荷を生じている
相川 奈穂(東京医科大学病院 循環器内科)
P53
頚動脈エコーによる動脈硬化性形態的変化は機能的変化よりも冠動脈疾患重症度の予測に有用である
杉岡 憲一(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学)
P54
動脈硬化危険因子を伴う睡眠時無呼吸症候群と頸動脈の内中膜複合体厚の関係
林 明生(聖マリアンナ医科大学病院)
P55
経胸壁ドプラ法を用いた閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者における冠血流予備能;持続的陽圧呼吸療法前後での変化
尾長谷喜久子(川崎医科大学 循環器内科)
P56
僻地診療所における携行型心エコーによる検診意義について
水越 正人(和歌山県立医科大学 循環器内科)
P57
心臓再同期療法レスポンダー予測における任意方向 M モード法の有用性
酒巻 文子(筑波大学附属病院 検査部)
̶ 32 ̶
4月11日(金)
ポスター7(17:30∼18:30)心不全
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:國近 英樹(山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学)
P58
Left atrial volume and diameter in patients with diastolic heart failure and normal mitral flow velocity pattern
吉田千佳子(兵庫医科大学 循環器内科)
P59
心臓再同期療法による左室収縮の非効率性の改善:2D 心エコー図による新しい評価法
田川 慈子(大阪市立総合医療センター 循環器内科)
P60
非協調運動によって生じる左室収縮の非効率性を評価するための新手法
柳下 大悟(大阪市立総合医療センター 循環器内科)
P61
慢性心不全患者における Exercise-induced MR の運動耐容能に及ぼす影響
出雲 昌樹(聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
P62
高齢者の心房細動を伴った心不全の特徴
島田 恵(北里研究所病院 内科循環器科)
P63
左房容積と血中 BNP 濃度との関連 : 左室収縮性の保持された慢性心不全例における検討
土井 泰治(大阪府済生会千里病院 循環器内科)
P64
心臓再同期療法が僧帽弁閉鎖不全症に与える急性期の効果について ̶心エコー図による検討
北井 豪(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科)
P65
心エコーを用いた左室同期不全の各評価法の比較ー心臓再同期療法の長期効果予測に関する検討
正岡 佳子(土谷総合病院 循環器科)
P66
慢性心不全患者における運動誘発性 dyssynchrony が運動耐容能に及ぼす影響
下郷 卓史(聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
P67
PR interval and E-A relationship: Atrioventricular uncoupling relevant to cardiac resynchronization
therapy(CRT).
有田 武史(社会保険小倉記念病院 循環器科)
P68
Diastolic heart failure における収縮期および拡張期心時相の解析
河野美穂子(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学)
ポスター8(17:30∼18:30)心機能2
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:佐伯 文彦(東芝病院 内科)
P69
右室心尖部ペーシングは、Torsion とともに Untwisting も低下させる
橋本 光人(大阪労災病院 循環器科)
P70
Longitudinal Strain を用いた Automated Function Imaging 法による左室局所壁運動異常の評価
楠瀬 賢也(徳島大学病院 循環器内科)
P71
器質的僧帽弁逆流症における心房機能予備能と左室リモデリングとの関連について
水野 麗子(奈良県立医科大学 総合医療学)
P72
脳出血および脳梗塞患者の心形態と心機能の比較
舛形 尚(香川大学医学部附属病院 総合診療部)
P73
高血圧患者における左室肥大の心電図診断はどのくらい正確か?
平岡 葉月(徳島大学病院 診療支援部)
P74
維持透析患者における心機能評価 第一報 ̶ECUM 経験と心機能̶
工藤 明(恵仁会三愛病院 総合検査科)
P75
経皮的心房中隔欠損閉鎖術(ASD closure)における左室容量の変化 3-D echocardiogra-phy(3-D)を用いての検討
田代 英樹(聖マリア病院)
P76
経食道心エコー 3D ソフト four sight による左心耳容積の計測と、左房容積係数、左心耳血流速度との関係について
湯谷 剛(広島逓信病院 第一内科)
P77
Left Atrial Volume in Obese Subjects without Cardiovascular Comorbidities
拝殿 未央(関西医科大学附属病院 第二内科学講座)
P78
運動耐容能の評価における左心房壁ストレインの有用性
若見 和明(名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学科)
̶ 33 ̶
ポスター9(17:30∼18:30)新技術
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:芦原 京美(東京女子医科大学 循環器内科)
P79
Play Station Portable as Echo Movie Client
西條 芳文(東北大学大学院 医工学研究科)
P80
Assessment of radial dyssynchrony by velocity vector imaging in patients who received cardiac
resynchronization therapy
太田 昌克(日本大学)
P81
Velocity vector imaging 法による左室局所壁運動の定量評価:心尖部断面での左室長軸ストレインと短軸ストレイン
解析の比較検討
小川景太郎(大阪市立大学 大学院医学研究科 循環器病態内科学)
P82
リアルタイム 3D 経食道心エコー(TEE)による僧帽弁逸脱症の逸脱弁尖の部位診断
岡松 恭子(産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科)
P83
リアルタイム 3D 経食道心エコー(TEE)による僧帽弁逸脱症の定量評価
岡松 恭子(産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科)
P84
Comparison of Interobserver Variability of Speckle Tracking Strain Analysis between Endocardium and
Epicardium
三宅 誠(天理よろづ相談所病院 循環器内科)
P85
安静時の収縮末期左室内空間速度勾配による運動耐容能の評価
小早川裕子(名古屋市立大学大学院 医学研究科 心臓・腎高血圧内科学)
P86
弁膜症診断におけるリアルタイム経食道心エコー図の有用性
川久保幸紀(榊原記念病院 循環器内科)
P87
Experience with the New High Frequency X7-2 Matrix-Array Real-time Three-dimensional
Echocardiographic Probe in Children
稲毛 章郎(Department of Pediatrics Division of Pediatric Cardiology Stollery
Children's Hospital University of Alberta)
P88
2D speckle tracking 法による僧帽弁輪速度の評価
春木 伸彦(産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科)
ポスター10(17:30∼18:30)症例2
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:吉福 士郎(鹿児島大学医学部 第一内科)
P89
多発性血栓を形成した肝細胞癌患者における右心耳内血栓に対して血栓溶解療法を施行した一例
堀越 裕子(福島県立医科大学附属病院 検査部)
P90
解離性大動脈瘤に合併した重症大動脈弁閉鎖不全症のため意識障害を生じた一例
北井 豪(神戸市立医療センター中央市民病院)
P91
心室中隔瘤様の自然閉鎖を示す筋性部心室中隔欠損症の一例
浅川 雅子(JR 東京総合病院 循環器内科)
P92
リアルタイム 3D 経食道心エコーで得られる円周方向の情報
海老原 文(東京大学附属病院)
P93
心エコーで偶然見つかった、多発性肺塞栓症を伴うペースメーカーリード血栓症の一例
佐々木典子(国立病院機構大阪医療センター 循環器科)
P94
大動脈弁置換後に、心嚢内血腫と収縮性心膜炎を合併した一例
上田 茂之(広島大学大学院 分子病態制御内科学)
P95
心室中隔穿孔パッチ閉鎖部にさまざまな腫瘤エコーの出現を繰り返す一例
小川 晴美(埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科)
P96
冠動脈穿孔後に生じたエコーフリースペースの鑑別にコントラストエコーが有用であった一例
橋本 光人(大阪労災病院 循環器科)
P97
リアルタイム 3D 経食道心エコー法が術前術後の僧帽弁の形態評価に有用であった僧帽弁狭窄症の一例
仲敷 健一(鹿児島大学大学院 循環器呼吸器代謝内科学)
P98
不均一な三尖弁テザリングを示した重症三尖弁閉鎖不全症の一例
成毛 崇(北里大学 医学部 循環器内科学)
̶ 34 ̶
ポスター11(17:30∼18:30)症例3
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:仲宗根 出(国立循環器病センター 生理機能検査部)
P99
外傷性大動脈弁裂開による大動脈弁閉鎖不全症の一例
越前谷美和(手稲渓仁会病院 臨床検査部)
P100
特発性右房拡張症の一例
一宮 千代(徳島県立中央病院 検査技術科)
P101
心筋梗塞後の心尖部血栓溶解の経過観察ができた 1 症例
中野由紀子(藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 超音波センター)
P102
重症僧帽弁逆流の術前評価に経食道リアルタイム 3 次元心エコー図が有用であった一例
紺田 利子(神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部)
P103
感染性心内膜炎から発生した左室仮性瘤の一例
藤井 洋子(神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部)
P104
心エコー図にて鑑別診断が困難であった三尖弁中隔尖に付着する石灰化病変の 1 例
佐々木伸二(獨協医科大学越谷病院 臨床検査部)
P105
長期間無症候性に経過していたバルサルバ洞瘤破裂に感染性心内膜炎を繰り返した一例
山本 将司(大阪府済生会野江病院 検査科)
P106
急性心筋梗塞後自由壁破裂で待機的に手術が行えた一例
森田 伸幸(富永病院 検査科)
P107
リアルタイム 3 次元経食道心エコー図で診断しえた高齢者の右心三心房心と心房中隔欠損を合併した一症例
山口 良子(府中病院 生理機能検査室)
P108
重複僧帽弁口を合併した心室中隔欠損症の 3 例
鶴田 義典(東京女子医科大学病院 中央検査部)
ポスター12(17:30∼18:30)大動脈・心筋症
第4会場 <大輪田C ポスター会場>
座長:高木 力(高木循環器科診療所)
P109
断酒により左室機能が改善した、アルコール性心筋症と思われる 1 例
湯谷 剛(広島逓信病院 第一内科)
P110
心筋ストレインによる肥大型心筋症と高血圧性心肥大の鑑別 ̶2D スペックルトラッキング法による検討̶
西村 和久(愛媛大学大学院 病態情報内科学)
P111
難治性不整脈を伴う心不全を認め心エコー図が有用であった 1 剖検例
安 珍守(神戸医療センター 中央市民病院 循環器内科)
P112
加齢による大動 strain および strain rate の変化 -Two-dimensional speckle tracking imaging による検討 大石 佳史(国立病院機構東徳島病院 循環器内科)
P113
大動脈プラークは心房細動例の予後予測因子である:経食道心エコー図による検討
高田 裕子(ベルランド)
P114
成人の孤立性左室緻密化障害は形態学のみで診断してよいか?
向井 靖(九州大学病院 ハートセンター)
P115
HCM として経過観察中に診断に至ったミトコンドリア心筋症の 1 例
清水 弘治(松江市立病院 心臓血管外科)
̶ 35 ̶
特別企画抄録
仁村レクチャー
4月10日(木) 10:00∼10:40
体腔内心血管エコー・ドプラ法の発展の軌跡と展望
松﨑 益德
山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学
体腔内心血管エコー・ドプラ法(Intraluminal Cardiovascular Doppler-Echocardiography)は
1)経食道心エコー法(Transesophaged Echocardiography: TEE)
2)血管内エコー法(Intravascular Ultrasonography: IVUS)
3)心腔内エコー法(Intracardiac Ultrasonography: ICUS)
に大別される。今回、TEE と IVUS についての発展の軌跡とその有用性について述べたい。
1)経食道心エコー法(TEE)
1976 年、Frazin らによって初めて報告された TEE 法は、当初から超肥満者や高齢者、また COPD など従来の経胸壁
心エコー法では明瞭なエコー図記録が困難な症例への臨床応用が大変有用である事が理解されていた。しかし、超音波
断層法が主流となりかけたその時期、M-mode 法が主であった TEE は、その手技の繁雑さや、心エコー法の最大の利点
である“非侵襲性”を無視した方法であるとの理由で、国内では広く臨床の場に普及するには至らなかった。我々の教
室でも 1976 年 2 月に TEE の探蝕子第 1 号機(日本無線(現在、Aloka))を試作し、すぐに臨床応用を開始した。約 1
年遅れた 1977 年の日循総会で、臨床応用成果の第 1 報を報告した。当時、国内では名古屋三菱病院に勤務されていた久
光光造先生が、独自に経食道断層超音波探触子(mechanical sector-scan)を作成し、世界に先駆け、明瞭な経食道 2-D
像を発表し高い評価を受けていた。
1983 年の AHA で西ドイツから電子セクター型経食道心臓超音波探触子による TEE 像が報告され、その臨床的有用
性が高まってきた。特にヨーロッパ、米国における TEE 法の発展は目覚しく、左房内血栓検出、心内膜炎や大動脈解
離の診断や、麻酔科領域での術中の心臓モニタリングなど幅広い応用の報告がされてきた。
一方、本邦でも 1984 年、我々により電子セクター型心臓超音波探触子が開発され、左心耳内血栓検出、左心耳内血
流速情報、各種病態での肺静脈血流速パターン解析、また尾本良三先生らによる TEE カラードプラ法など、まさに、
1980 年後半から 1990 年中頃にかけては経食道心エコー・ドプラ法の全盛期を迎えた。この 10 年間 TEE に関しては 3-D
TEE の他に特別な進展はないものの、本法は一般の循環器内科診療の中で本法は確かな地位を築いている。
2)血管内超音波検査法(IVUS)
1980 年代初め頃から試作的に用いられていた IVUS 法はカテーテル探触子の細経化やカテーテルインターベンション
法の発展に伴うその補助診断法として急速に発展してきた。
この 10 年間、
PCI 時における stent 植込み術前後における病変部の評価や、各種薬物治療における冠動脈粥状硬化病変
(プ
ラーク病変)容積の変化(退縮)などの評価に広く用いられている。当教室でも 1990 年代の初め頃から IVUS の臨床応
用を開始、臨床知見を報告してきた。現在、“IVUS による冠動脈プラーク組織性状診断装置の開発”が文科省の知的ク
ラスター本事業として採用され、診断装置の実用化に向け研究を続けている。
本講演では主に教室で行われてきた IVUS を用いた臨床研究の成果と今後の展望を紹介したい。
̶ 39 ̶
会長講演
4月11日(金) 14:30∼15:00
冠動脈血流速計測による冠循環評価
赤阪 隆史
和歌山県立医科大学 循環器内科
冠動脈血流速シグナルはドプラカテーテルやドプラガイドワイヤーを用いて侵襲的に記録されていた。近年、高周波の
探触子を用いて経胸壁心エコーで冠動脈血流速シグナルを描出できるようになり、冠血流速計測による冠循環動態の評価
が非侵襲的に簡便に行われるようになってきている。本講演では、冠血流速計測からどのように冠循環病態を評価し、日
常臨床に活かすかについて述べ、解剖学的狭窄度だけでは知りえない冠循環評価の重要性を強調したい。
1.冠血管の解剖と冠循環生理
冠動脈造影で確認される心外膜冠動脈は導管血管で、穿通枝または非穿通枝として心筋内に垂直に分岐する。この血管
までが導管血管とされるが、肥大型心筋症などでは穿通枝・非穿通枝も抵抗血管として働くこともある。その後心筋内の
小動脈(40 ∼ 300 μ m)に分岐し、最終的には 3 本の細動脈となり、毛細血管から細静脈へと移行する。毛細血管は容量
血管で、小動脈と細動脈が抵抗血管として冠循環の自動調節にかかわっている。
2.冠動脈血流速シグナルの検出
ドプラワイヤーの装置の概要や、それによる冠動脈血流シグナルの記録法、ならびに経胸壁心エコー法による冠動脈血
流速シグナル記録は教科書に譲る。
冠動脈血流速波形は収縮期・拡張期の二峰性で、拡張期優位の波形を示す。
3.冠循環動態の診断
冠動脈血流速を用いて冠循環動態を評価する方法としては、①冠血流予備能(CFR)、②連続の式、③冠灌流圧 - 冠血流
速関係、④冠血流速パターン、⑤冠微小循環抵抗指標などがある。
3 −① CFR を利用する方法
CFR とは心筋の酸素消費量増大に対応して冠動脈血流量を増大させうる能力を表す指標で、最大冠血流量が安静時冠血
流量の何倍まで増加するか〈(最大冠血流量 / 安静時冠血流量)の比〉で表される。冠動脈径が変化しない条件下では冠血
流量と冠血流速とが直線相関することから、日常臨床では最大冠血流速 / 安静時冠血流速比を CFR としている。ジピリダ
モールや ATP 等の薬物を用いて冠細小動脈を最大限に拡張し最大冠血流速を得る。安静時冠血流は冠動脈狭窄率が 80%以
上にならないと低下し始めないのに対し、CFR は 40 ∼ 50%の狭窄率から低下し始めるため冠動脈狭窄率(%DS)を推定
する有用な指標となる。微小循環障害のない症例では、CFR のカットオフ値を 2.0 に設定すると、感度・特異度 90%程度
で %DS > 70%以上の有意狭窄病変を診断することができる。しかし、CFR は表在冠動脈に明らかな狭窄病変がなくても
心肥大や糖尿病、syndrome X、心筋梗塞後などの冠微小循環障害でも低下し、心外膜冠動脈と心筋内の冠細小動脈も含め
た冠循環全体の血液を供給しうる能力を示す指標であり、心筋虚血の起こりやすさを示す指標といえる。大動脈弁狭窄や
大動脈弁逆流、僧帽弁逆流、肥大型心筋症などでも CFR は低下している。
3 −② 安静時冠血流速波形による評価
冠動脈血流は拡張期優位であるため狭窄遠位部の冠動脈圧は収縮期に比して拡張期に大きく低下し、結果的に拡張期血
流速が著明に低下し、拡張期 / 収縮期血流速比(DSVR)が小さくなる。DSVR が 1.0 以下になることは健常例の左冠動脈
では認められず、有意狭窄例では約 30%に認める。ただし経胸壁ドプラ心エコー図法では心拍動の影響をうけ収縮期血流
速波形を正確に記録できないことや正常例と狭窄例との間にかなりオーバーラップがあるため、DSVR のみによる有意狭
窄診断には限界がある。経胸壁ドプラ心エコー図を用いて左冠動脈前下行枝の DSVR1.5 をカットオフ値とすると、感度
77%,特異度 78%の精度で左冠動脈前下行枝の狭窄病変(85%以上)を診断できるという報告もある。
また、冠動脈血流速波形は種々の疾患の冠循環動態を反映して特徴的な所見を呈する。冠微小循環障害による TIMI-2
flow 例では収縮期逆行性波と拡張期波減衰時間(DDT)の著明な短縮、有意狭窄や末梢塞栓による TIMI-2 flow では DDT
の延長と拡張期波の低下・DSVR の低下を認める。大動脈弁狭窄や肥大型心筋症では収縮期逆行性波・拡張期波のピーク
までの時間の延長・DDT の短縮、大動脈弁逆流では収縮期波の増大・DSVR の低下を認めるが、僧帽弁逆流では特異的
な波形はない。収縮性心膜炎では収縮期逆行性波・DDT の短縮をみとめ、拘束型心筋症との鑑別が可能である。これらの
̶ 40 ̶
特徴的な波形はすべて、それぞれの冠血行動態で説明されている。
逆行性の冠動脈血流速波形は、側副血行路による血流側波形で、冠動脈近位部完全閉塞例に特異的である。
3 −③ 冠動脈狭窄部の加速血流速を利用する方法
カラードプラ法を用いて冠動脈狭窄部が直接描出できた場合、パルスドプラ法にて狭窄部の加速血流速と狭窄部よりも
近位部の非狭窄部の血流速との比をとることで、連続の式を適用して冠動脈狭窄度を推定することが可能となる。非狭窄
部と狭窄部の拡張期平均血流速度の比が 0.45 以下の例で感度 86%、特異度 93%の精度で 50%以上の冠動脈ステント内再狭
窄を診断できる。
4.灌流圧と冠動脈血流との関係
冠灌流圧がある程度高い場合、原則的には冠灌流圧の上昇にともなって拡張期冠血流(速)は直線的に増加する。この直
線の傾きは冠動脈系のコンダクタンス(その逆数は抵抗)を示す。冠動脈には冠循環の自動調節機構があり、灌流圧が 50
∼ 120mmHg では冠血流(速)一定に保たれる。その結果、冠循環の調節は図中の実線に沿って調節される。CFR は、あ
る灌流圧における安静時と最大冠拡張時の血流(速)の比であり、図中の矢印(○の比)であらわされる。それゆえ CFR は、
①狭窄や微小循環障害などにより冠血管抵抗が増加した場合や②安静時血流(速)が上昇した場合、③冠灌流圧が低下し
た場合のいずれの場合でも低下する。
5.血流速計測の臨床応用
急性前壁心筋梗塞では血流速度パターンが正常であれば再灌流していることが期待されるが、血流速シグナルが記録で
きない場合や DSVR < 1 の時は心筋灌流が十分ではなく、早急な冠動脈形成術を要することが判断できる。また、急性心
筋梗塞に類似した「たこつぼ型心筋障害」では CFR は低下しているが、明確に冠血流速波形を記録できる。また、拡張型
心筋症では、左室機能回復前に CFR が改善し、β - 遮断薬療法の有用性を判断できる。心不全症例では CFR が使い果たさ
れていることから、冠動脈狭窄の無い症例では、CFR から左室機能の予備能力を推定することが可能であると考えられる。
6.冠微小血管抵抗の計測
近年、冠血流速波形と同時に冠内圧を記録できるコンボワイヤーが開発され、CFR と冠内圧から求める心筋血流予備量
比(FFRmyo)を同時に記録することができるようになり、両者を組み合わせから心筋虚血にかかわる冠動脈狭窄の程度
や微小循環障害の程度が判定できるようになった。また、最大充血時の(狭窄近位部圧−狭窄遠位部圧)/ 狭窄遠位部時間
平均流速により狭窄部の抵抗指標を、最大充血時の(狭窄遠位部圧−冠静脈圧)/ 狭窄遠位部冠動脈時間平均流速により微
小血管抵抗指標を求めることができるようになった。
このように、冠循環の調節機構は極めて巧妙にできており、さらに解明すべきことが数多く残されている。冠動脈疾患
を扱う循環器内科医がこれらの冠循環の病態生理を十分に理解して日常臨床にあたって頂きたいものである。
̶ 41 ̶
シンポジウム
シンポジウム 1 ASE-JSE Joint Session
4月10日(木) 13:20∼15:20
Keynote Lecture
Echocardiographic Assessment of Left Ventricular
Diastolic Function
Sherif F. Nagueh
Methodist DeBakey Heart Center,The Methodist Hospital, USA
About half of the patients with congestive heart failure have normal or near normal ejection fraction,
and yet they suffer significant morbidity and mortality. Echocardiography plays a major role in the
non-invasive assessment of left ventricular(LV)diastolic function and filling pressures. Specifically, it
can identify the presence of LV diastolic dysfunction, predict outcome, and perhaps most important,
it can guide therapy. Furthermore, when compared with clinical assessment and BNP, it is more
accurate.
A number of 2-D and Doppler parameters are acquired during a routine echocardiographic
examination, which can be used to gain insight into LV relaxation and stiffness, and estimate filling
pressures. For 2-D measurements, these include LV volumes, mass, EF, and LA volumes. For Doppler,
these include mitral and pulmonary venous flow, the flow propagation velocity by colour M-mode,
mitral annulus tissue Doppler diastolic velocities and time intervals, as well as tricuspid and pulmonary
regurgitation jets which can be used to estimate pulmonary artery systolic and diastolic pressures,
respectively. More recently, speckle tracking has been applied to derive myocardial deformation and
to study LV twist mechanics. Both measurements appear to have promising roles in patients with
heart failure despite a normal EF.
In summary, a comprehensive echocardiographic examination provides a reliable non-invasive
assessment of LV diastolic function in most patients, and has the potential of further advancing our
understanding of cardiac function in patients with heart failure and normal EF.
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シンポジウム 1 ASE-JSE Joint Session
4月10日(木) 13:20∼15:20
1. 重症心不全における心室 dyssynchrony のエコー指標を用いた
心臓再同期療法有効例の予測
古堅あずさ
東京女子医科大学 循環器内科
松田 直樹、志賀 剛、持田亜彩子、芦原 京美、庄田 守男、石塚 尚子、萩原 誠久、笠貫 宏
心不全進展要因の 1 つに心室の mechanical dyssynchrony が挙げられ , その解析は病態評価ならびに
心臓再同期療法(CRT)の患者選択に重要である。従来のエコー法や組織ドプラを用いた mechanical
dyssynchrony の指標が数多く提唱されてきたが ,PROOSPECT 試験ではそれらの有用性は証明されな
かった。今回 , 我々はこれまで報告された指標に加え , より局所心筋運動追従に優れるとされる speckle
tracking imaging(STI)を用い , どのような解析が最も CRT の長期効果を予測でき , 臨床的に有用で
あるか検討した。
【方法】対象は心室内伝導障害を有する重症心不全 67 例。GE 社製 Vivid7 を用い ,STI
にて傍胸骨短軸像左室基部・中部レベルの circumferential strain と radial strain について , 左室 12 領
域の QRS から time-to-peak strain を計測した。心室 dyssynchrony の指標として領域間の時間差およ
び標準偏差を計算した。また M-mode での septal-to-posterior wall motion delay SPWMD), 組織ドプ
ラの time-to-peak velocity を用いた心室中隔 - 側壁差(Ts lat-sep),12 領域の標準偏差(Ts-SD)も測
定した。CRT 施行 6 ヶ月後に症状改善し , かつ左室収縮末期容量 10%以上減少した症例を CRT 反応群
とし , エコー各指標の CRT 反応群に対する予測精度を比較した。【結果】CRT 反応群は 48 例であった。
CRT 反応群の予測 ROC 曲線では circumferential strain の心室中隔̶側壁間の AUC が 0.89 と最も高
く感度 88%,特異度 74%(cut off 118msec)であった。これに対し radial strain を用いた場合の AUC
は 0.75,SPWMD 0.65,Ts lat-sep 0.82,Ts-SD 0.73 であった。【結語】circumferential strain の解析は心不
全における左室 mechanical dyssynchrony の評価と CRT 患者選択に有用である。
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シンポジウム 1 ASE-JSE Joint Session
4月10日(木) 13:20∼15:20
2. 拡張型心筋症患者におけるカルベジロールの効果について:
左室 Dyssynchrony からの検討
谷 知子
神戸市立医療センター中央市民病院
田辺 一明、片山美奈子、山根 崇文、北井 豪、民田 浩一、山室 淳、盛岡 茂文、古川 裕
【目的】心エコー組織ドプラー法(TDI)を用いて DCM 症例における左室 dyssynchrony とβ - 遮断薬の有効性につい
て検討すること。
【方法】対象は DCM30 症例。薬物療法開始前後に左室 dyssynchrony を TDI にて検討。左室収縮期
dyssynchrony は心電図の QRS の開始時間から収縮期のピークストレインまでの時間(Ts)を心尖部四腔像、二腔像、
長軸断面像における各々 6 箇所の心基部および中央部(計 12 箇所)にて iE33 を用いて計測し , その標準偏差(Ts-SD)
を求めた。左室拡張期 dyssynchrony は同様に拡張期のピークストレインまでの時間(Te)を計測し、その標準偏差(TeSD)を求めた。左室駆出率(EF)は modified biplane Simpson's 法を用いて計測した。【結果】結果を表に示す。治療後
心機能の改善した群を A 群(15 例)
、改善を認めなかった群を B 群(15 例)とした。治療前の Ts-SD は A 群において
有意に増加していた(46 ± 13 vs. 26 ± 8 msec, p=0.003: group A vs. B)。【結論】DCM 症例において、カルベジロール
は左室機能および左室内収縮期 dyssynchorny を改善する。
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シンポジウム 1 ASE-JSE Joint Session
4月10日(木) 13:20∼15:20
3. 新規発症心不全の基礎心病態検索における心エコー図ルーチン検査の意義
∼可逆性拡張型心筋症は予見できるか?
猪又 孝元
北里大学医学部 循環器内科学
小板橋俊美、品川 弥人、和泉 徹
【背景】1)心不全とは単なる「状態」名であり、必ずその「原因」が存在する。心不全治療での心エコー
図論議では、「状態」把握のみに偏向させず、「原因」たる基礎心病態検索にも配慮が求められる。2)
拡張型心筋症(DCM)の疾患概念は、心機能正常化までの可逆性を有さない器質的心筋疾患を想定さ
せるが、ときに心不全治療早期に心機能が正常化する DCM 例に遭遇する。【方法】2001-05 年に心不全
増悪にて当科入院し、左室心筋生検を含む除外診断にて DCM と確定された 39 例を対象とした。診断
後 1 年以内に左室形態 / 収縮能が正常化(LVDd < 55mm, LVEF > 60%)した例を reversible DCM(R)
群(n=20)、正常化に至らなかった症例を classical DCM(C)群(n=19)とし、病型移行を予測しうる
臨床指標を検討した。【結果】1)R 群では 9 例のβ遮断薬非導入例が含まれた。2)入院時心エコー図ルー
チン検査では、両群間(R vs. C)に左室の拡張末期径(63 ± 8 vs. 66 ± 8 mm)、駆出率(28 ± 8 vs. 25
± 10%)、平均壁厚(11 ± 2 vs. 10 ± 2 mm)および弁逆流度に有意差を認めなかった。3)心筋生検標
本を光顕下に観察し、心筋線維の肥大・融解や間質の線維化・炎症をスコア化したが、両群間に有意差
を認めなかった。4)R 群は、潜在性高血圧の疑い、軽度の甲状腺機能亢進、上室性不整脈、の 3 臨床
背景に大別された。【結論】心機能回復度が必ずしも心筋病理像でも予測できぬことから、ルーチン項
目のみならず特殊検査法を用いても心エコー図での可逆性拡張型心筋症の同定は困難が予想される。
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シンポジウム 1 ASE-JSE Joint Session
4月10日(木) 13:20∼15:20
4. 組織ドプラ法をいかに心疾患の診断と治療にいかすか?
BNP との比較
大倉 宏之 1
1
2
川崎医科大学 循環器内科、 ベルランド総合病院 心臓病センター循環器内科、
3
大阪市立大学医学部 循環器病態内科学、4 大阪掖済会病院 循環器内科
田口 晴之 2、戸田 為久 2、葭山 稔 3、吉川 純一 4、吉田 清 1
【背景】心不全の評価法としてさまざまな、心エコー・ドプラ指標が用いられている。近年、組織ドプ
ラ法による僧帽弁輪部速度を用いた左室拡張動態の指標が用いられるようになってきた。
【目的】組織
ドプラ法による左室拡張能の指標の有用性を BNP と比較し検討すること。【方法】虚血性心疾患 110 例
を対象とした。通常の心エコー図に加えて、僧帽弁輪部速度の拡張早期成分 E' を計測し、E' と左室流
入血流速波形の拡張早期波 E 波との比、E/E' を算出した。E/E' と血中 BNP 値を比較した。また、対
象を E/E' > 15 であった群と、E/E' ≦ 15 であった群に分類し、その後の心イベント(死亡、心不全)
を比較した。
【成績】E/E' 値は LnBNP 値と有意な正相関を示した(R=0.50, p=0.01)。左室駆出率 50%
以上の症例に限定しても、両者に良好な正相関は認められた。E/E' > 15 の群は心イベント回避生存率
が低かった(Log-rank p < 0.01)
。同じく対象例を血中 BNP 値の中央値で 2 群に分けると、BNP 高値
群(BNP > 137 pg/ml)は低値群(BNP ≦ 137 pg/ml)よりイベント回避生存率は低かった。
【結語】
組織ドプラ法による E/E' は BNP とよく相関した。E/E' は BNP と同様に、心不全の診断や予後予測に
有用な心エコー・ドプラ指標である。
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シンポジウム 1 ASE-JSE Joint Session
4月10日(木) 13:20∼15:20
5.LV shuffle motion is a clinically useful echo characteristic for
predicting response to CRT
有田 武史
社会保険小倉記念病院 循環器科
安藤 献児、梅田ひろみ、曽我 芳光、磯谷 彰浩、合屋 雅彦、安本 均、延吉 正清
Background: Echocardiography can detect mechanical dyssynchrony .Presence of shuffle movement
of the left ventricular apex might be helpful in patient selection for CRT. Methods: 43 patients
(Age 69.5 ± 11.0, Male 25/43, Ischemic etiology 17/43, Af 7/43, QRS width 156 ± 31.3ms,EF 25.5
± 6.4%)who underwent CRT were assessed prior to and 3-6 month post CRT implantation .
Quantitative assessment of dyssynchrony was performed by measuring standard deviation of time
to peak velocity among 12 segments(Ts-SD),SPWMD and dispersion of time to peak radial and
circumferential strain on mid short axis view by speckle tracking method( tErr, tEcc respectively).
Also qualitative assessment of dyssynchrony was performed per presence of swinging motion in the
short axis view, apical four chamber view or shuffle motion of the left ventricular apex in the apical
four chamber view. Response to CRT was defined Δ LVESV > 15%.Results: 23 patients showed
volumetric response. All qualitative assessment of dyssynchrony showed significant correlation
to Δ LVESV as well as quantitative method. Comparing between responders and non-responders,
LV shuffle and tEcc showed significant difference. LV shuffle correlated with tEcc(p=0.006)and
isovolumic time interval(ICT+IRT)(p=0.005).Conclusion: LV shuffle motion might be strong
predictor for response to CRT and is related to longer isovolumic time interval.
̶ 50 ̶
シンポジウム 2 EAE-JSE Joint Session
4月12日(土) 9:50∼11:50
Keynote Lecture
Stress Echocardiography Revisited
Petros Nihoyannopoulos
Imperial College London, Hammersmith Hospital, UK
Stress echocardiography, introduced in the early eighties has matured over the years as a reliable and cost-effective method for both the
diagnosis and risk stratification of patients with suspected or known CAD. As a result, the uptake of stress echocardiography as the noninvasive method of choice for the assessment of CAD has increased exponentially worldwide and is continuing to expand. In the USA
alone approximately 2.5 million stress echoes were performed last year. The hallmark of demand-driven myocardial ischemia during stress
echocardiography is the occurrence of reduced systolic wall thickening when myocardial 02 demand exceeds myocardial blood supply. This
precedes the occurrence of chest pain and ST-T changes. The induction of reduced regional systolic wall thickening is specific for CAD.
The advent of harmonic imaging, tissue Doppler techniques and availability of contrast microbubbles together with advancement of digital
technology, have made stress echocardiography today a reliable and reproducible technique for the assessment of coronary artery disease.
Diagnosis of coronary artery disease
The coronary angiographic cut-off of luminal diameter stenosis at which wall thickening abnormality occur is 54% for exercise, 58% for
dobutamine and 60% for dipyridamole.1 The sensitivities for the detection of CAD(cut-off of >50% luminal diameter stenosis)were 85%,
80% and 78% with specificities of 77%, 86% and 91% for exercise, dobutamine and dipryidamole stress results.1,2 However, it is clear that the
diagnostic accuracy of a test varies according to the pre-test likelihood of CAD in the population tested. For example, if a pre-test likelihood of
CAD is low then a positive test is likely to be false and conversely if the pre-test likelihood is high a negative test is likely to be false negative.
Non-invasive tests will have the greatest clinical value only in the population with intermediate likelihood of CAD. Radionuclide single-photonemission tomography(SPECT), which is an alternative non-invasive technique is also widely used to assess CAD. However, its widespread
use may be limited by cost, radiation and lack of availability. In a meta-analysis based on 44 studies when the two techniques were directly
compared in patients without prior acute myocardial infarction and without past history of known ischemic heart disease, i.e. in patients with
high-intermediate likelihood of CAD, stress echocardiography had a sensitivity of 85%(95% CI, 83-87%)with a specificity of 77%(95% CI,
74%-50%)while SPECT had a sensitivity of 87%(95% CI 86%-88%)with a specificity of 64%(95% CI, 60%-68%).3
Outcomes following stress echocardiography
The outcome of a normal stress echocardiography has been assessed in several large studies. In a study of 2829 patients with normal rest and
exercise echocardiography followed-up for 6 years, mortality was less than 1% per annum.4
Stress echocardiography can quantify the severity and extent of myocardium in jeopardy and thereby predict risk. The total amount of
myocardium in jeopardy can be assessed at peak stress by adding the peak stress score and dividing by the number of segments assessed in a
polar map using the American Society of Echocardiography 16 segment left ventricular model. In a study involving 5375 patients undergoing
exercise echocardiography in which the patients were followed-up for 10.6 years the extent of wall motion abnormality calculated as summed
stress score incrementally predicted cardiac mortality.17
In clinical practice, the important question is whether any additional test provides an incremental and independent information over and above
clinical data in patients with known or suspected CAD.
Risk stratification after acute myocardial infarction
Echocardiography during low doses of dobutamine demonstrates increased contractility in these dysfunctional segments. Extent of nonviable myocardium was the only predictor of cardiac events in some studies, while in the medically treated group both extent of non-viable
myocardium and stress echo indicators of non-viable myocardium and stress echo indicators of multivessel disease were independent predictors
of cardiac events6. Presence of myocardial viability and/or presence of stress echo demonstrated multivessel disease should triage these
patients for coronary arteriography and revasularisation.
̶ 51 ̶
Detection of hibernating myocardium
Coronary artery disease accounts for 60% of patients with heart failure. A recent meta-analysis has shown the beneficial effect of
revascularisation on heart failure only in patients with hibernating myocardium.7 Echocardiography can detect hibernating myocardium during
dobutamine infusion through eliciting an enhanced contractile response by recruiting contractile proteins.
The use of contrast
One of the most important clinical applications of contrast echocardiography is to enhance endocardial border detection and this is cannot be
overemphasised during stress echocardiography. The major disadvantage of stress echocardiography, generally perceived, is the technical
difficulty in obtaining good images, in patients with suspected coronary artery disease. While in expert hands, this technique may have a high
success it is common that a number of myocardial regions are not adequately seen from one or the other view. Technically inadequate studies
may lead to erroneous interpretations, which may lead to a false increase in test sensitivity and decrease specificity. The addition of contrast
agents improve endocardial definition both at rest and peak stress, particularly in those regions of low echogenicity, such as the lateral and
anterobasal walls.
The most exciting prospect with contrast agents however is to assess myocardial perfusion. Contrast agents behave as a true flow tracers(i.e.
is distributed in proportion to the blood flow distribution)so that its presence in the myocardium provides information on myocardial perfusion.
Cost-effectiveness of stress echocardiography
In contrast to radionuclide imaging, stress echocardiography represents a smaller initial cost increment from the stress ECG alone. One
major study supported by the American Society of Echocardiography addressed the cost-effectiveness of stress echo compared to stress
ECG for patients with known or suspected CAD.8 They studied 7656 patients undergoing exercise testing of which half underwent stress
echocardiography. Cox proportional hazards models, risk adjusted for pre-test likelihood of CAD, were used to estimate time to cardiac death
or AMI. Costs(including diagnostic and revascularisation procedures, hospitalisation and events)were calculated. Compared to exercise ECG,
stress echo identified more patients as low risk and fewer as intermediate and high risk. Survival was greater in low and intermediate risk and
less in high risk patients and was better classified by stress echo than exercise ECG.
Conclusions
Stress echocardiography has emerged as a powerful non-invasive tool not only for diagnosis of CAD but also for risk stratifying patients
with known or suspected CAD. Further, development in the field of contrast echocardiography has already resulted in reproducible image
evaluation with the possibility of assessing simultaneous myocardial perfusion. With the rapid development of 3D echo imaging and methods
of accurate quantification like tissue Doppler imaging, stress, echocardiography will become the only bed-side technique to accurately assess
myocardial functional and perfusion at rest and stress.
References
1. Beleslin BD, Osojic M. Djordjevic-Dikie A et al. Integrated evaluation of relation between coronary lesion features and stress
echocardiography results: the importance of coronary lesion morphology. J Am Coll Cardiol 1999; 33: 717-726.
2. Marwick TH. Stress echocardiography. Heart 2003; 89: 113-118.
3. Fleischmann KE, Hunink MGM, Kuntz KM et al. Exercise echocardiography of exercise SPECT imaging? JAMA 1998; 280: 913-920.
4. Geleijnse ML, Elhendy A, Van Domburg RT et al. Cardiac imaging for risk stratification with dobutamine atropine stress testing in
patients with chest pain. Circulation 1997; 96: 137-47.
5. Barilla F, Gheorghiade M, Alam M, et al. Low dose dobutamine in patients with acute myocardial infarction identifies viable but
not contractile myocardium and predicts the magnitude of improvement in wall motion abnormalities in response to coronary
revascularisation. Am Heart J 1991; 122: 1522-1531.
6. Carlos ME, Smart SC, Wynsen JC, Sagar KB. Dobutamine stress echocardiography for risk stratification after myocardial infarction.
Circulation. 1997; 95: 1402-1410.
7. Allman KC, Shaw LJ, Hachamovitch R, Udelson JE. Myocardial viability testing and impact of revascularization on prognosis in patients
with coronary artery disease and left ventricular dysfunction: a meta-analysis.
J Am Coll Cardiol. 2002; 39: 1151-1158.
8. Marwick TH, Shaw L, Case C, et al. Clinical and economic impact of exercise
electrocardiography and exercise echocardiography in clinical practice.
Eur Heart J. 2003; 24: 1153-1163.
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シンポジウム 2 EAE-JSE Joint Session
4月12日(土) 9:50∼11:50
1.Velocity Vector Imaging による Post-exercise ischemic memory の
検出:負荷心筋シンチグラムとの検討
黒沢 幸嗣
榊原記念病院 循環器内科
渡辺 弘之、井口 信雄、相川 大、三原 裕嗣、井上 完起、高見澤 格、関 敦、桃原 哲也、
長山 雅俊、浅野 竜太、高山 守正、梅村 純、住吉 徹哉
【背景】2D Tissue tracking 法に基づく Velocity Vector Imaging(VVI)は心筋局所壁運動動態をベク
トル表示できる新しい方法であり、Post-exercise ischemic memory(PIM)の検出で、虚血を診断で
きる可能性がある。そこで VVI の速度ベクトル表示による PIM を用いて虚血が診断できるか否かを
負荷心筋シンチグラム(SPECT)と比較し検討した。【方法】狭心症診断のために SPECT を施行した
連続 102 例のうち、画像不良、心房細動、陳旧性心筋梗塞を除く 78 例(66 ± 10 歳)について検討し
た。負荷心筋シンチグラム検査の負荷施行前と負荷後 15 分で心エコー(持田シーメンス社製 Acuson
Sequoia 512)を記録した。壁運動評価のため左室乳頭筋レベルの短軸像をハードディスクに保存した
後 Off-line 解析を行った。得られた短軸像を 6 分画に分け、負荷前には存在しなかった PIM、もしく
は負荷後増強した PIM の出現部位を虚血と診断した。PIM の出現部位は MVO 周辺時相でベクトルが
外向きではない部分とした。PIM の部位と心筋シンチグラムによる虚血領域を比較し、PIM 検出によ
る虚血診断の精度を検討した。
【結果】SPECT で虚血が出現したのは 25 例であった。負荷前には存在
しなかった PIM が負荷後出現した例の検討で、PIM が出現した分画と SPECT での虚血領域を分画毎
に検討した場合は同部位が虚血である感度は 48%、また特異度は 93%であった。一方、PIM 出現の有
無と SPECT での虚血の有無を症例毎に検討した場合は SPECT に対する感度と特異度は各々 76%と
94%であった。
【結論】VVI による二次元速度ベクトル表示を用いると PIM を検出することが可能で、
SPECT の結果と良好に一致した。本法は虚血診断において、臨床的有用性が高いと考えられた。
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シンポジウム 2 EAE-JSE Joint Session
4月12日(土) 9:50∼11:50
2. カラー組織ドプラ法を用いた Detection of Diastolic Abnormality by
Displacement Imaging(DADI)による狭心症の診断
大西 俊成
関西労災病院 循環器科
上松 正朗、田中 宣暁、南都 伸介、両角 隆一、渡部 徹也、粟田 政樹、飯田 修、世良 英子、
南口 仁、赤堀 宏州、矢野 正道、池岡 邦泰、岡本 慎、安井 治代、永田 正毅
ストレイン法をはじめとする組織ドプラ法により非侵襲的に心筋速度を計測することで、壁運動評価
を定量的かつ客観的に評価し得ると考えられる。Post-systolic shortening(PSS)の検出 : PSS の存在
は高度な虚血心筋を示すとされている。我々は、カラー組織ドプラ法を用いて狭心症の診断法として
PSS の存在を断層心エコー図上に表示する方法(Detection of Diastolic Abnormality by Displacement
Imaging: DADI)を考案した。負荷なしでの評価 : 対象は胸痛を主訴とし心エコー図上左室壁運動は正
常であった 186 症例。超音波診断装置は東芝製 Aplio を用い、心尖部四腔断面および二腔断面において
カラー組織ドプラ法を施行した。心筋速度から displacement を求め、収縮期のピーク時相のずれによ
り正常(緑色)から遅延(赤色)までを表示した(DADI)。DADI を用いて冠動脈支配領域に一致して
心筋のセグメントが赤色表示されるものを陽性とした。結果、冠動脈疾患を有た。する 43 症例(23%)
に対して DADI は、感度 60%、特異度 75%、正確度 72% で狭心症を予測し得た。陰性予測率は 86%、
陽性予測率は 42% であった。負荷試験への応用 : ドブタミン負荷、運動負荷を加えたときの診断能を
検討したところ、ドブタミン負荷時(Do-DADI)では感度 100%、特異度 62%、正確度 82%、運動負荷
時(E-DADI)では、感度 100%、特異度 80%、正確度 94% と狭心症の診断能は向上した。DADI を用
いて PSS の存在を画像化すること可能であり、DADI は、負荷なしに狭心症を診断するための補助ツー
ルとして有用である。さらにドブタミン負荷や運動負荷を用いると、狭心症の診断能は向上した。
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シンポジウム 2 EAE-JSE Joint Session
4月12日(土) 9:50∼11:50
3.ATP 負荷における心筋ストレイン勾配解析による心筋血流異常の評価
石津 智子 1
1
筑波大学 臨床医学系 循環器内科、2 筑波大学附属病院 機能検査部、3 筑波メディカルセンター病院
瀬尾 由広 1、中島 英樹 2、飯田 典子 2、酒巻 文子 2、町野 智子 1、武安 法之 1、仁科 秀崇 3、
青沼 和隆 1
【目的】ATP 負荷心筋ストレイン勾配解析により心筋血流異常の検出が可能か検討すること【方法】
ATP 負荷心筋血流 SPECT により reversible perfusion が認められた 16 領域、および正常 22 領域を
対象とした。ATP 負荷前に視覚的に壁運動異常を認める領域は除外した。心筋血流 SPECT と並行し
て、ATP 負荷前、負荷中、および負荷後 1 時間に東芝社製 Aplio を用いて左室短軸像を記録した。2D
speckle tracking 法により内膜側、
外膜側、全層 radial strain(RS)を計測し、内外膜 RS 比を算出した。
【結
果】両群とも ATP 負荷により全層 RS は有意に増加した(表)。正常部位では内膜、外膜 RS ともに増
加し、内膜 / 外膜 RS 比は一定であった。一方、reversible perfusion 領域では ATP 負荷により外膜側
RS は増大したが、内膜側 RS は増加せず、内膜 / 外膜 RS 比が有意に低値を示した。【結論】ATP 負荷
による心筋ストレイン勾配の反応性の評価は、心筋血流異常の検出に有用である可能性が示唆された。
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シンポジウム 2 EAE-JSE Joint Session
4月12日(土) 9:50∼11:50
4.64 列 MDCT と CFR の組み合わせによる虚血性心疾患の診断
辻岡 洋人
和歌山県立医科大学 循環器内科
平田久美子、北端 宏規、竹本 和司、松本 啓希、柏木 学、大河内啓史、池島 英之、有田 祐、
黒井 章央、上野 悟史、片岩 秀朗、谷本 貴志、財田 滋穂、中村 信男、田中 篤、水越 正人、
今西 敏雄、赤阪 隆史
【背景】:近年、Multi-detector Computed Tomography(MDCT)の進歩により、非侵襲的な方法で冠
動脈疾患をスクリーニングしようという試みが加速している。しかしながら、非侵襲的な冠動脈評価で
は、石灰化病変症例などの限界も存在し、その診断精度は決して高いものではない。【目的】
:MDCT
に経胸壁心エコー図から求めた Coronary flow Reserve(CFR)を組み合わせることにより虚血性心
疾患の診断精度を改善できるか否かを検討した。【方法】
:虚血性心疾患が疑われる 82 症例(男性 49 人、
女性 33 人、平均年齢 67 ± 11 歳)に、MDCT を施行した。MDCT 上、左前下行枝に狭窄が疑われる
症例(n=41)に対して、
さらに、
経胸壁心エコーを用いて左冠動脈前下行枝の CFR を測定した。
【結果】
:
MDCT(評価不能例は陽性とした。
)の冠動脈造影上の有意狭窄を診断する感度、特異度は 100%、76%
であった。また、CFR の虚血陽性の Cut-off 値を 2.5 未満とすると冠動脈造影上の有意狭窄を診断する
感度、特異度は 90%、86% であった。MDCT 上狭窄が疑われなかった症例(n=16)では、CFR の値に
関わらず冠動脈造影上有意狭窄は認められず、MDCT 上狭窄が疑われた症例(n=19)と石灰化にて評
価不能であった症例(n=6)に CFR を組み合わせると感度、特異度は 90%、100% と診断精度の改善を
認めた。【結語】
:MDCT における有意狭窄、評価不能例に CFR を組み合わせることにより虚血性心疾
患の診断精度は向上する。
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World Standard
Session
World Standard Session
4月10日(木) 16:20∼17:20
JSE-ICDS Joint Session
1.Innovations in Echocardiography ̶Impacting Management and
Changing Lives
Randolph P. Martin
Department of Noninvasive Cardiology, Emory University Hospital Emory Healthcare, USA
There have been striking innovations in the history of Echocardiography. These innovations have been
developed by people who had an imagination and a passion for excellence. These innovations have led to
discoveries, which have then had dramatic impact on the ability of echocardiographic techniques to both
diagnose cardiovascular conditions and directly impact management. Echocardiography is the heart of Clinical
Cardiology, because it provides total cardiac anatomy and function ̶information that has been aided by the
development of 3D and 4D techniques. It also provides hemodynamics through Doppler technologies, as well
as myocardial function and prognostic information through TDI and Strain. Real-time 3D and 4D Echo allows
for segmental and global volumes and ejection fractions, which are critical for diagnosing cardiac function in
Coronary Artery Disease and Valvular Heart Disease, just to name a few. By couple this technology with
Tissue Doppler and Speckle Tracking, Echo has continued to play a role in the burgeoning field of Cardiac
Resynchronization. Advances in Strain and Strain Rate technology may offer dramatic prognostic information
for pre-clinical detection of myocardial disease in not only patients who have hypertension or diabetes, but
in conditions, such as, asymptomatic severe mitral regurgitation or in those adults who have significant
congenital heart disease, such as, transposition of the great vessels.
In summary, Echocardiography is the most widely used noninvasive test to assess cardiac anatomy,
physiology, hemodynamics, and function. It offers not only etiologic information, but prognostic information
and, as such, drives management. But it is individuals, such as our outstanding colleagues in Japan, who have
continued to lead in developments in the field of Echocardiography and by doing so establish educational
excellence and strong friendships throughout the world.
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World Standard Session
4月10日(木) 16:20∼17:20
JSE-ICDS Joint Session
2.Echo Assessment of Diastolic Function
Fausto J. Pinto
Department of Cardiology, Lisbon University Medical School, Portugal
Echocardiography has the ability to study the filling phase of the cardiac cycle, providing substantial information.
Diastolic dysfunction can be simply summarized as the presence of an abnormal LV filling together with increased
filling pressures. The main causes for diastolic dysfunction are ischemic heart disease, hypertensive heart disease,
cardiomyopathies, systemic diseases, such as amiloydosis, hemocromatosis or Fabry's disease, among others, and
valvular heart disease. The introduction of Doppler flow assessment in clinical practice helped to improve our ability
of studying and understanding LV filling, despite some of the pitfalls and limitations that have been described. The
mitral valve(MV)inflow, together with the pulmonary venous flow and the size of the left atrium provide important
information with real clinical applications. The most useful parameters to observe and measure are: deceleration time,
duration of a wave in the mitral and pulmonary venous flow, e/a ratio. A Valsalva maneuver should be routinely
performed to differentiate the pseudo normalization patterns from the normal. If there is an e/a ratio superior to 2,
with a deceleration time inferior to 150 ms it means there is restrictive physiology with high filling pressures. In
addition the left atrial size can also provide some information, since an enlarged left atrium means chronic increased
chamber pressure. The use of tissue Doppler added a new dimension to the understanding of diastolic function. Several
parameters can be assessed such as systolic velocity(s wave), early diastolic velocity(e')and late diastolic or atrial
velocity(a'). By using a simple ratio of e/e' it has been shown to have a good sensitivity and specificity to assess
filling pressures. Therefore a ration greater than 15 is indicative of high filling pressures, while a ratio inferior to 8
indicates normal filling pressures. In the intermediate values other parameters have to be taken into consideration, such
as left atrial size, duration of a wave in the mitral and pulmonary venous flow or a decrease of e/a over 50% with the
Valsalva maneuver. Other methods have been recently developed, including the assessment of myocardial deformation
parameters(strain and strain rate)and 3D echo.
In conclusion, echocardiography has emerged over the years as the most relevant method to accurately assess diastolic
function. The development of new methods has increased our ability to better understand diastolic function.
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World Standard Session
4月10日(木) 16:20∼17:20
JSE-ICDS Joint Session
3.Preejectional Isovolumic Phase:
from Global to Regional Information
Colette F. Veyrat
Department of Cardiovascular Medicine, L'institut Mutualiste de Montsouris, France
The preejection period(PEP), even more the brief isovolumic contraction(IC), are technologically highly
demanding parameters. Since the sixties', PEP and IC appear in literature like a comet in the sky, raising hopes of
new insights, then disappear till new technologies make available further breakthroughs, building up new steps for
PEP pathophysiological approach.
Firstly, invasive studies have decoded its two components, electrical-mechanical delay(EMD)and isovolumic
contraction(IC), a period where the four cardiac valves are closed. So far, time intervals studies provided duration
information on the global ventricular function. IC was obviously the component of major physiological interest for
clinicians and researchers. Duration changes were approached by phono-echocardiography. Changes were correlated
with some hemodynamical parameters launching new pathophysiological insights such as better correlations between
IC versus cardiac index than found for left ventricular(LV)ejection time(Weissler). The flow Doppler era
developing, Matsuo's group showed a sequence of intracavitary flow events during PEP, recently confirmed by echo
contrast particle velocimetry.
The second phasis was launched during the mid nineties' with the advent of tissue Doppler imaging(TDI)providing
quantitative regional myocardial velocity information, specifically on isovolumic velocities. In 1997, our group specified
that myocardial motions differed according to components and to LV walls in the radial approach. IC regional timing
and velocity characteristics were defined and correlated with LV dP/dt. From 2000's, several worldwide groups
further validated myocardial deformation findings. IC deformations were also studied by longitudinal approach and
Strain Doppler Imaging. Two trends of research started:
- Mainly experimental, specifying PEP LV electrical depolarization characteristics, providing new insights on IC
myocardial layers behaviour under loading and drugs, testing protocols of ischemia on animals, showing prominent
isovolumic dyskinetic deformations in ischemic myocardium, quantitating the extent of viable myocardium versus
that of IC positive deflexion. From 2002, Vogel introduced and validated a new concept: Myocardial Acceleration of
IC(IVA), indeed differently timed from IC. So far, value of Peak IVA as an index of regional contractility, and its
sensitivity to load, vary with the reported methods.
- Less frequently clinical, applied to ischemic patients, right ventricle, congenital diseases and cardiomyopathies.
Although PEP duration is a strategic tool in patients with ventricular dyssynchrony, IC regional data alone are
still awaiting use. IC interest might rise again with technological improvements on 2D speckle and 3D imaging.
Integrating IC regional mechanics into a global understanding of myocardial motions, could benefit to future clinical
research.
̶ 61 ̶
World Standard Session
4月10日(木) 16:20∼17:20
JSE-ICDS Joint Session
4.Stress-Induced Cardiomyopathy in Korean population;
The Clinical and Echocardiographic Difference according to the
Variable Types
Kee-Sik Kim
Department of Cardiology, Medical Center, Daegu Catholic University, Korea
Background: Stress-induced cardiomyopathy(SICMP)is a acute cardiac syndrome mimicking acute
myocardial infarction characterized by transient wall motion abnormality(WMA)involved apex of the left
ventricle(LV). Recently, variable patterns of wall motion abnormalities involving basal and mid-ventricle
or right ventricle have been reported. The aim of this study was to evaluate the variable clinical and
echocardiographic features of SICMP. Methods: During a nine-year period(1999-2007), 61 patients were
clinically diagnosed as stress-induced cardiomyopathy in 7 centers. We analyzed 60 patients(mean age 61
± 14 yrs, women 71.7%)who fulfilled the following criteria: 1)regional WMA, 2)absence of obstructive
coronary disease corresponding to region of WMA and 3)absence of recent head trauma, intracranial
hemorrhage, pheochromocytoma, and known myocardiopathies. Results: Most patient(65%)complained
chest pain or dyspnea. Initial ECG showed ST segment elevations in 15 patients(25%), T wave inversion in
19 patients(31.6%).The segment of involved were as followings : 24 patients both apex and mid-ventricle, 20
patients apex, 8 patients only mid-ventricle, and 2 patients base. The LV ejection fraction(LVEF)was mean
38.57 ± 10.31%, 46.3 ± 8.41%, 40.8 ± 7.66% and 51.0 ± 11.3% in each group. And time to improve LVEF was
13.8 ± 11.2 days, 27.1 ± 42.6 days, 17.1 ± 14.7 days, and 7.5 ± 2.1 days .There was no significant difference
in demographic, clinical, laboratory, echocardiographic parameters except LVEF between four groups.
Conclusions: SICMP showed variable pattern of clinical and echocardiographic characteristics. However,
the prognosis was not different in each type . We might keep in mind variable type of SICMP as differential
diagnosis of acute coronary syndrome.
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Case-Oriented
Panel Discussion:
診断・治療に
心エコー図を活かす
Case-Oriented Panel Discussion: 診断・治療に心エコー図を活かす
4月11日(金) 15:10∼17:30
Case-Oriented Panel Discussion: 診断・治療に心エコー図を活かす
座長:吉田 清(川崎医科大学 循環器内科)
中谷 敏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
パネリスト:中谷 敏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
泉 知里(天理よろづ相談所病院 循環器内科)
穂積 健之(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学)
高野 真澄(福島県立医科大学 臨床検査医学 第一内科)
大門 雅夫(順天堂大学 循環器内科)
渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科)
平田久美子(和歌山県立医科大学 循環器内科)
多くの心エコーのテキストや講習会では「冠動脈疾患」「大動脈弁狭窄」「僧帽弁逆流」「肥大型心筋症」
などのように疾患別に解説されるか、「左室収縮能の評価」「拡張能の評価」「弁逆流の重症度評価」な
どのように機能評価別に解説されることが多い。しかし、日常臨床では患者さんは単に症状を訴えて受
診されるだけであり、時には身体所見を認めるが無症状であることも多々あり、種々の疾患が混在する
こともあり、心血管疾患の診断・病態評価に至るまで相当苦戦することも少なからず経験する。このよ
うな場合、短時間で正しい診断に至るには、上述した別々の知識をうまく組み合わせて総合的に判断し
なければならず、臨床情報も加味しなければならないこともある。心エコー図の大きな利点の一つは、
ベットサイドでリアルタイムに心血管疾患の病態診断・評価ができることであり、迅速な正しい判断が
求められることも多く、また、一瞬の判断が治療結果を左右することもある。それゆえ、同じ数値・結
果であっても病態に応じて得られた情報の解釈が異なることもあり、正しく心エコー診断をするには
ちょっとしたノウハウがある。こういった知識は、数多くの症例を経験し、あるいはいくつかの失敗を
乗り越えて得られるものもある。本パネルディスカッションでは症例を中心に心エコーをどの時点でど
のように用いて問題解決するかをエキスパートの先生方に提示していただき、いろいろな心血管疾患に
おいて心エコーの判読をどのように行い、得られた所見をどのように解釈し、日常臨床の現場において
どのように心エコーを活かすかについて、パネリストと会場全体とで熱く議論していただき、明日から
の臨床にすぐに役立つ知識をつけていただければ幸いに存じます。
̶ 65 ̶
新技術紹介セッション
新技術紹介 セッション 1
4月10日(木) 11:10∼12:10
最新の心機能評価アプリケーションのご紹介
「2D からライブ 3D 心エコーまで」
荻原 克史
株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン マーケティング本部 超音波プロダクト
最新の心臓用超音波診断装置には非常に多種多彩なアプリケーションが搭載されております。2D 心
エコー法では、2D スペックルトラッキング技術を搭載した装置が開発され、グローバル又は局所の運
動解析に新たな評価方法として期待されています。2D スペックルトラッキング法においては、従来の
組織ドプラ法の問題点が改善されています。特に超音波ビームと心筋壁との角度依存性による、心筋壁
運動の評価の制限事項が改善されます。2D スペックルトラッキング法では心筋組織からのスペックル
信号を心周期内でパターン認識、自動追跡することにより、左室容積や駆出率の評価や局所心筋壁運動
の解析及び評価が 2 次元的に簡便に行なえます。
また、新しい画像診断方法として期待されているのがライブ 3D 心エコー法又は 4D 心エコー法です。
5 年前の市販化以降、普及と共に、臨床の場で活用されつつあり、操作性や、解析機能の進化により、
今後さらなる普及が期待されております。3D データの単位であるボクセルデータから心内膜データだ
けを自動的に取得し、17 分画心筋壁に対する心腔容積をそれぞれ算出し、各領域での最小収縮末期容
積までの時間(Tmsv)のタイミングから心筋壁の同期性を評価し、心腔内径が心周期でどの程度変化
したか(偏移:Excursion)したかを観察できます。また、3D データから心腔容積、拍出量も同時評価
が可能なため、このようなパラメーターを活用することで心筋梗塞から心不全までの心機能評価が可能
となります。
今回の新技術セッションでは当社の最新 2D スペックルトラッキング法からライブ 3D 心エコー法を
活用したパラメトリックイメージングまでご紹介させて頂きます。
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新技術紹介 セッション 2
4月10日(木) 13:20∼14:20
Velocity Vector Imaging の最新バージョン紹介と臨床応用
Siemens 社は、超音波 2D モードにスペックルトラッキング法を応用した Velocity Vector Imaging(VVI)
を開発した。心臓の動きを客観的に捉える、この新しい手法は、二つの側面を備えている。
ひとつは、2D モードの心筋および境界上に任意に引いたラインを時間的にトレースすることであり、心筋の
ストレインやローテーション、左室分画の面積変化、ボリューム変化を求めることができる。
あとひとつは、瞬時瞬時の心筋運動の方向と速さをベクトル(長さに意味をもたせた矢印)で表現するとい
うユニークな機能である。
本セッションでは、さらに改良された VVI の最新バージョンをご紹介するとともに、お二人の先生にそれぞ
れの分野における臨床応用についてご講演をいただく。
《心臓再同期療法に関する心エコー図評価》
『非協調運動によって生じる左室収縮の非効率性を評価するための新手法』
阿部 幸雄
大阪市立総合医療センター 循環器内科
心臓再同期療法の適応決定において、心エコー図検査による評価が重要であるとされるが、決定的な評価法がまだな
い。現在提唱されている方法の多くは、左室非同期運動をタイミングのずれとして評価しているに過ぎず、非同期運動
が心機能に与える影響については考慮していない。そこで我々は、非協調運動から生じる左室収縮の非効率性を評価す
る方法を新しく考案した。Siemens 社製 Acuson Sequoia 512 とその付属ソフトに搭載されたスペックルトラッキング法
を用いて、
短軸像乳頭筋レベルの左室心内膜面をトラッキングして時間面積曲線を作成した。局所収縮(収縮期面積変化)
の計算上の総和と左室全体の収縮は正常であれば等しいはずだが、非同期運動があれば差が生じる。この差を非効率収
縮として考えることが可能であり、
左室全体の収縮に占める割合を fractional inefficient contraction(FIC:%)と定義した。
従来の方法による非同期運動評価の現状を概説するとともに、新指標である FIC の持つ可能性を提示する。
《虚血の評価》
『壁運動可視化の試み VVI 法による客観的アプローチ』
渡辺 弘之
榊原記念病院 循環器内科
虚血にさらされた左室壁では、収縮の時間的なずれが生じ、収縮後期に初めて収縮が起こる。これは post systolic
shortening と呼ばれる現象である。そこで虚血心に VVI を適応すれば壁運動異常領域を静止画で明瞭に示すことができ
る。
心エコー図診断のなかでも最も難易度の高い技術である。VVI は、そこに客観的指標を導入できる、
局所壁運動評価は、
臨床的価値が極めて高い手法であることを提示したい。
̶ 70 ̶
新技術紹介 セッション 3
4月10日(木) 15:30∼16:30
HI VISION 900、EUB-7500 の新技術
̶Dual Doppler、LA Tracking、Tissue Doppler、
2D Tissue Tracking の特徴と技術̶
馬場 博隆
株式会社日立メディコ US システム本部
日々の検査や研究において、循環器動態を定量解析する道具は重要である。できるだけ容易かつ短時間で正確に測定できる機能が必要となる。
ここでは弊社超音波診断装置にて使用できる循環器動態解析のための新技術について述べる。
より正確で簡便な E/e' 算出や研究用途にも有用な Dual Doppler 技術
同一心拍内の同一時相で任意の 2 箇所のパルス・ドプラ信号を計測し、理論的により正確な E/e' を簡便に算出したい。Dual Doppler はこの
課題を解決するための技術である。
従来技術では一方向のパルス・ドプラ信号しか取得できなかったため、右室流入血流と左室流入血流とを同一心拍内で計測できなかった。この
ため、E/e' 算出に際しては異なる心拍で計測した同時相とみなせる値によっておこなうしかなく、ドプラ信号取得には最短でも 2 心拍の時間が
必要であり、異なる心拍から計測したドプラ信号からほぼ同時相とみなせる時相を探し、定量する面倒があった。
本技術では、任意 2 方向のサンプル・ゲートからのパルス・ドプラ信号をほぼ同時に計測できる。このため、計測に必要な心拍数は 1 心拍の
みである。E/e' 算出では任意の 2 箇所から得たドプラ信号の時相がほぼ一致しているため、より正確な値を簡便に得られる。さらに血流ドプラ
だけでなく、ほぼ同時相の血流と組織ドプラ、2 箇所の組織ドプラのように血流ドプラ、組織ドプラの制限なく 2 箇所から信号を取得すること
もできる。
本技術の特徴を応用すると従来困難であった計測評価が可能になると考える。たとえば、CRT における心収縮タイミングの施術前後の計測や
不整脈時の心機能の定量に応用できると考える。
左房機能研究に有用な LA Tracking 技術
左房機能研究において、どのような変化が生じているのかを詳細に解析したい。LA Tracking 技術はこの課題を簡便な計測でおこなうために
開発した技術である。
刻々と変化する左房容積を従来技術によって計測することは膨大な手間が要求された。取得した B 像や組織ドプラから得た左房部位の運動量
を目視で測定し、測定結果から容積を算出し、統計処理をおこなう、といった方法で解析する手段はある。しかしながら、手間と時間がかかりすぎ、
現実性がとぼしかった。研究を加速する有用なツールが望まれていた。
本技術では心エコー動画像に記録したすべてのフレームで左房容積を算出することができる。また、左房容積が心時相と共に変化する様子は
計測グラフで確認することができる。左房容積グラフを得るのに必要な操作は、1 心拍の心エコー動画を取得し、左房がどこにあるのかをなぞ
るだけである。ほかにも左室容積と左房容積とを対比することも容易にできる。
鮮明かつ繊細で計測しやすい Tissue Doppler Imaging
健常な心臓の組織運動速度はどのようなパタンを描くのか知りたい。病態心の運動と健常心のそれとは違いがあるのか検討したい。虚血状態
の心筋運動量を調べたい。Tissue Doppler Imaging は、これらの課題を解決するために装置搭載した技術である。
本技術では、組織運動速度をドプラ技術によって計測することで心筋運動を定量化し客観的に評価することができる。ここで、検出した組織
ドプラ波形は滑らか、かつ計測しやすく描出できることが計測しやすさ、ひいてはルーチンの効率化に影響するため重要である。計測しやすく
するため、様々な技術をもちいて心筋運動を効果的に描出することを可能とした。
また、本技術の研究用途における応用もさまざまである。一例として、病態を弁別するための指標を決定する研究においては感度、特異度の
高い計測値を選択するが、計測したい値が明瞭に判別できれば使いやすいものとなる。この用途においても、鮮明かつ繊細な計測しやすいドプ
ラ波形を描出できることが必要となる。
心筋運動解析研究に有用な 2D Tissue Tracking
あらゆる方向にうごく心筋組織の運動量を測定したい。組織ドプラの物理限界にとらわれずビームと直交する方向の動きも捉えたい。心臓全
体の動きに惑わされずに局所心筋の動態を捕らえたい。2D Tissue Tracking 技術は、これらの課題を解決するために開発した。
従来からおこなわれている「スコアリング」では心エコー動画像から心筋壁厚の増減を目視で半定量化し、心筋の動きを客観的に評価する。
さらに客観性を増す方法としては、心エコー動画像の各フレームを手計測することが考えられるが、手間がかかりすぎるために現実性にとぼしい。
本技術では、心筋壁厚や心筋各部位間の位置関係の変化を B 像のフレームレートで計測する。計測したい箇所を指定するだけで 1 心拍間のす
べてのフレームで計測ができる。拍動する心臓を B 像のフレームレートで解析できる機能である。
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新技術紹介 セッション 4
4月11日(金) 9:00∼10:00
心筋壁運動評価の新手法 ∼ Wall Motion Tracking ∼
大内 啓之
東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波事業部 超音波開発部 臨床応用開発担当
【はじめに】死亡原因における心臓・循環器の疾患の占める割合は増加傾向にあり、その早期発見は医学的に重要な課題になっている。東芝
製 Aplio ArtidaTM には、虚血性心疾患や電気刺激の伝達障害などに起因する心筋壁運動異常に着目した新たな循環器アプリケーション技術
として Wall Motion Tracing が塔載されており,臨床に有用な診断力が大幅に強化されている。Wall Motion Tracking によって分かるのは
心臓の壁運動で,どの部位がどの程度の運動をしているかをカラーマッピングすることにより、局所の壁運動情報を把握することができる。
【Wall Motion Tracking】Wall Motion Tracking は、装置で取得した画像データ上で心筋を半自動的に抽出して、伸縮運動の様子を評価し
やすいように映像化する機能で,3 次元動画像に対する 3 次元的なパターンマッチングを用いた局所追跡処理によって壁運動情報を解析し
表示する 3D Tracking と,2 次元動画に対して適用する 2D Tracking の 2 つの方法がある。2D Tracking では、3 次元的な空間の複雑な
変形や移動の 2 次元面への投影成分を推定する。一方,3D Tracking では、3 次元的な変形や移動そのものを直接推定する。Wall Motion
Tracking は、組織ドップラ法(TDI)のように,超音波ビームと組織の動きがなす角度や心臓全体の動きの影響を受けないロバストな手法
である。また、局所の壁運動情報を定量的に評価可能であり、TDI との Validation において非常に高い相関を示している。
【心筋内の運動解析の試み】現在我々は、心筋内の運動解析システムについての研究開発も行っている。本システムでは、内膜側、外膜側そ
れぞれの Radial Strain などの算出や、内膜、外膜、および内膜と外膜の中点として定義する中層それぞれの Circumferential Strain などの
算出が可能である。幾つかの症例で本システムを適用し、それを元に精度検証・改善を実施中である。本システムにより、内膜側もしくは
外膜側が支配的に障害される疾患などの検出の可能性があり、今後更なる開発、検証を進めていく。
【まとめ】Wall Motion Tracking は、心臓の壁運動を 2 次元、3 次元的に追跡しその動きを定量的に評価することが可能であり、これまでに
ない臨床価値が生み出されることが期待される。
超音波ファイリングシステムの有用性
越智 益美
東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波事業部 超音波開発部 システム開発担当
【はじめに】近年、超音波診断装置のフルデジタル化や、DICOM 対応機種の増加、ならびにハードディスクや DVD などの保存媒体の
大容量化や、ネットワークや Web などの情報技術の急速な進歩により、超音波検査室内の動画像ファイリングシステムが急速に普及し
始めた。そして、厚生労働省が推進している電子カルテシステムの普及に伴い、病院全体として各種の情報を電子化し一元管理するよう
になり、超音波検査室においてもファイリングシステムを導入し、これまで手書きであった超音波検査レポートを電子化したいという要
求が急増している。また、診断医や検査技師のファイリングシステム導入による業務効率改善も病院経営の点から重要視されている。そ
の状況を鑑み、各種の機能を対応してきている弊社製の超音波動画ネットワークシステム EchoAgentTM の有用性について報告する。
【ファイリングシステム導入の必要性】最近、各社の超音波診断装置において、静止画像や動画像以外に多次元画像を収集・保存でき
るようになってきた。また、コントラスト剤の普及により造影効果を確認するため、長時間の動画像保存が行われるようになった。その
ため、大容量の画像データを取り扱うこととなり、超音波診断装置内のハードディスクがすぐに一杯となるという問題が発生している。
その問題を解決するための手段として、超音波ファイリングシステムの導入が不可欠となっている。
【超音波検査レポート電子化の有用性】電子カルテシステムの導入および、超音波検査レポートの電子化により、院内の端末で超音波
検査レポートをいつでも簡単に閲覧できるようになる。また、所見や診断コメントおよび計測データなどのレポートデータを電子化する
ことにより、特定の疾患を有する患者や計測値異常の患者の検索が容易に行え、その抽出した検査結果を解析することで新たな臨床価値
が見出せる可能性があると考えられる。
【まとめ】今後、電子カルテシステムの導入が進むとレポート機能と融合した超音波ファイリングシステムの需要が益々高くなると予
想されるため、より一層機能改善をし、臨床で役に立つシステムに育てていきたい。また、これまで超音波診断装置で行っていた臨床ア
プリケーションを、ワークステーションに組み込むことにより、超音波診断装置の都合を気にしないで医局などでいつでも簡単に解析す
ることができる環境を提供していきたい。
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新技術紹介 セッション 5
4月11日(金) 15:10∼16:10
「Raw データ」マネージメントを通じた検査ワークフローについて
GE 横河メディカルシステム株式会社
カーディアック超音波販売部
ジーイー横河メディカルシステムは超音波診断装置の画像運用において、超音波信号を「生」データとして装置に取り
込む、
「Raw データ」形式を早期より導入して参りました。ヨーロッパでは既に 1990 年代より導入され、日本では 2000
年の Vivid 5 発売より導入されました。
8 年の歳月を経た今、
「Raw データ」は着実に進化し、弊社製品の標準仕様となっています。
「Raw データについて」
「Raw データ」はスキャンしたデジタルデータを画像処理前の状態で収集し、そのまま保存します。このいわゆる超音
波を受信した「生」の状態のデータを「Raw データ」と呼んでいます。受信された超音波データが「生」の状態で保存
されるため、保存後にドプラ波形のスイ−プ速度の調節、B モードのゲイン調整、M モード計測などを行うことができ、
異なる日付の検査画像を同条件で比較表示できるので、経過観察や治療効果の判定にも役立ちます。また心筋のデリケー
トな組織形状も劣化することなく保存されるため、左室定量評価のファンクションも全て「Raw データ」を活用して実
施しています。
「Raw データを通じた左室の定量評価」
ジーイー横河メディカルシステムの Vivid7 では、組織ドブラ、2D スペックルトラッキングによる心筋ストレインの評
価ファンクションを準備しています。それらのツールも全て「Raw データ」で保存された画像をもとに評価、解析が行
われます。劣化のない画質が求められる定量評価診断においても「Raw データ」であれば、より正確な解析が可能とな
ります。
「Raw データ」のコンパチビリティとワークステーション
検査室で主にご利用いただくコンソールタイプの
「Vivid 7」
、
ポータブルタイプの
「Vivid i」
ワークステーション
「EchoPAC
PC」は全て「Raw データ」での互換性を持ち合わせています。
例えば検査室への移動が困難な重症心不全患者さまの同期不全心評価を行う場合などでは、ポータブルタイプの「Vivid
i」が病棟に移動します。
「Vivid i」も「Raw データ」形式での画像保存が可能なため、病棟では決められた手順でスキャ
ンしておけば、後から専用のワークステーション「EchoPAC PC」により詳細な計測や解析を実施することが可能とな
ります。大幅な時間の短縮と何より患者さまの負担を軽減することができます。
「Raw データネットワークマネージメント」
「EchoPAC PC」はより煩雑化する患者さま情報の管理、レポーティングなどにおいても有効です。全ては「Raw データ」
でスキャンされたものをもとに、経時的観察や治療効果の診断など過去データも劣化のない「Raw データ」で簡便に行
うことができます。
1 台の装置から、数台の装置間での運用、院内ネットワークへの展開。「Raw データ」はネットワークとして運用され、
エコーラボはデジタルエコーラボの時代を迎えようとしています。
当セッションにおいては、それらエコーラボにおけるワークフローの革新に繋がる「Raw データネットワークマネージ
メント」の現状をご紹介させて頂きます。
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新技術紹介 セッション 6
4月11日(金) 16:20∼17:20
Vector Flow Mapping:血流速度ベクトル計測の基礎
岡田 孝
アロカ株式会社 研究所
Vector Flow Mapping は、2 次元断層面内の流れのドプラ情報から心機能を定量評価するための新手法で、血流速度ベ
クトルや流量などを計測して表示することができる。今回紹介する血流速度ベクトルは、断層面内の流れの方向を黄色
の線分の向きで示し,速さをその線分の長さで表示した。その表示例を図 1 に示す。
従来のカラードプラ法では観測面内の速度ベクトルの超音波ビーム方向成分のみを表示しているため、心腔内血流が実
際にどの方向に流れているかを把握することが困難であった。一方、速度ベクトル計測では観測面内のカラードプラ速
度分布を基に、観測面外からの流入出する流れを考慮して超音波ビーム方向と直交する速度成分を推定し、速度ベクト
ルを求める [1][2]。血流の速度ベクトル表示により,流体の流量や渦を推定することが可能になる。
今回、この速度ベクトル推定法の基礎と計測機能について紹介する。
【文献】
(2006),69-82.
[1]S Ohtsuki, et al: J. of Visualization,Vol.9No.1 [2] 園山輝幸他 :J. of Med. Ultrasonic,Vol32(2005)S279
図 1. 左室収縮期の血流速度ベクトルの表示例
̶ 74 ̶
ランチョンセミナー
ランチョンセミナー 1
4月10日(木) 12:20∼13:10
Future Directions of CRT
Thomas H. Marwick
University of Queensland School of Medicine, Australia
Cardiac resynchronization improves symptoms and survival in selected heart failure patients. The two biggest
unresolved questions relate to how patients are selected and how the devices can be optimized.
There is no doubt that further work is needed to optimize selection - the potential returns on this could be
substantial because the current non-responder rate is 30-40%. There are three major causes of failure to respond lead malposition, non-viability and lack of dyssynchrony. Malposition problems are usually related to venous anatomy
- they may be addressed by comparing maps of mechanical synchrony with CT imaging of venous anatomy, and
considering patients without suitable veins for other lead application strategies. Viability studies should be widely
performed in patients with ischemic heart failure. Patients that have broad QRS without dyssynchrony could be
identified with tests of mechanical synchrony. New directions for CRT will need to address the ability of techniques
to characterize mechanical synchrony. Although many favorable papers have been published about synchrony
markers from individual sites, recent multicenter trials, both with and without a core lab, have been disappointing.
Clearly, with the variability of the current methods for the assessment of synchrony, it is difficult to justify not
performing the procedure on symptomatic patients with LV dysfunction and a wide QRS, as CRT was found to
improve prognosis in this group as a whole.
Much of the focus on dyssynchrony assessment has examined criteria for device insertion., and the optimization of
inserted device has been neglected. However, there are good data to support the contention that synchrony changes
over time, and especially with LV remodeling. A number of observational studies have examined the role of CRT
optimization. It appears that AV optimization is important and as it was performed in the studies showing clinical
effectiveness, it should be used in clinical practice(although frequently it is not). Small single center studies have
shown improvements with stroke volume with VV optimization but multicenter studies suggest this is ineffective
and none have examined the impact on functional endpoints.
A large part of the problem with CRT relates to the parallel development of pacing and imaging developments. A
more collaborative milieu will be necessary to move to the next stage.
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ランチョンセミナー 2
4月10日(木) 12:20∼13:10
座長の言葉
関西電力病院 循環器内科 石井 克尚
近年、心エコー図領域の発展はめざましく臨床における役割は診断だけにとどまらず、鑑別診断さらには予後に対する情報を提供している。こ
れらにより私たちは、臨床の現場において直接的な治療を行い、そして治療判定が可能となっている。
中でもトピックスは、3D/4D エコー図法とストレイン法であろう。3D/4D エコー図法はインターベンションや心臓外科領域においてその役割は
重要なものとなっており、ストレイン法は左室全体および心筋局所の収縮機能と拡張機能の評価を可能とした。さらにこれらの新技術を用い心
筋虚血の診断や dyssynchrony の評価がなされている。
今回、Martin 先生には症例を中心としたこれらの新技術の臨床応用を、また Zhu 先生にはストレイン法を用いた糖尿病における局所心筋障害
の早期診断についてお話しいただく。
先生方にはこのランチョンセミナーを大いに楽しんで貰えるもと確信している。
Early detection of regional myocardial damage in patients with 2 type DM by two-dimensional strain
Tian Gang Zhu
Department of Cardiology, People's Hospital of Peking University, China
Shui-bo He, Xin Quan
Objective: many investigators showed the global normal left ventricular systolic function was found in early stage of patients with DM, but the diastolic function was damaged.
Sparkle tracking echo can not only be used to evaluate the global function of left ventricle, but assessed the regional myocardial function. The aim of the study was to validate
regional myocardial damage in patients with 2 type DM by two-dimensional strain in early stage of diabetes subjects.
Material and methods: Thirty-one normotensive, uncomplicated patients with type 2 diabetes mellitus were enrolled into this study and 52 healthy volunteers as controls.
Two dimension imaging of apical 4ch, 2ch and long axis views were acquired in all individuals using a commercially available system(VIVID 7, General Electric-Vingmed,
Milwaukee, Wisconsin). Images were obtained using a 1.7-4.1MHz transducer at a depth of 16 cm. Standard 2-dimensional was stored with three cardiac cycles in each patient
for offline analysis. The frame rates of 2-dimensional imaging varied between 70 and 90 frames/s.
Parameters including peak systolic strain(Ss), peak systolic strain rate(SRs), Em, Am, SRe(early diastolic strain rate)and SRa(late diastolic strain rate)were
automatically analyzed at offline. At the same time, transmitral diastolic velocities(E, A)and, peak velocity of atrial reverse waves(AR),left ventricular ejection fraction(LVEF)
were measured. Em/Am ratio and E/A ratio were calculated.
RESULTS: there were no difference in left ventricular ejection fraction between the patients with DM and control group, but the global peak strain of left ventricle was lower
in DM than that of control group (-18.17 ± 2.59 % vs. -21.08 ± 3.38 %, p < 0.01). Am of patients with diabetes mellitus was significantly higher than that of controls(7.03 ± 1.33
cm/s vs. 5.27 ± 0.89 cm/s, p < 0.01). Whereas SRe(1.16 ± 0.04 s-1 vs. 1.40 ± 0.06 s-1, p < 0.01)were much lower in diabetes individuals. SRs and SRa showed no significant
difference in 2 groups(p > 0.05). the ratios of Em/Am and SRe/SRa were significantly lower in patients with DM(1.56 ± 0.64 vs 1.11 ± 0.38,1.79 ± 0.05 vs 1.41 ± 0.34)
CONCLUSIONS: Early stage of diabetic myocardial injury can be detected by two dimensional strain. strain and strain rate imaging is more sensitive method in evaluation of
regional myocardial injury.
Innovations in Echocardiography - 3D/4D and Quantitative Echo - Impacting Diagnosis and Management
Randolph P. Martin
Department of Noninvasive Cardiology, Emory University Hospital, USA
In Cardiology today there is increasing emphasis on image technologies for diagnosis, prognosis, and management ̶ especially directing therapy and assessing outcomes.
Echocardiography today has many advantages: it offers total cardiac anatomy and physiology, offers homodynamic through Doppler, offers functional information ̶ global and regional
̶ through Tissue Doppler, Strain, and Strain Rate parameters. Adding to these diagnostic capabilities is the increasing role of 3D and 4D Echo. All of the above make Echocardiography
central to the diagnosis and management of valvular heard disease, regional and global ventricular function, evaluation of patients with heart failure, pericardial abnormalities, aortic
abnormalities, as well as the child and adult with Congenital Heart Disease. Echocardiography is the center of Clinical Cardiology today, because it not only provides diagnostic information,
but differential diagnostic information, as well as prognostic information. By providing this, it can direct therapies and assess outcome with therapies.
Recent advances using longitudinal radial and circumferential Strain, as well as Speckle Tracking, has allowed for enhanced applications in evaluating global and regional LV function in
the setting of acute myocardial ischemia, as well as the ability to allow for enhanced diagnosis of ventricular dyssynchrony. Advances in technology, such as, AFI(Automated Function
Imaging)̶ a technique that is similar in concept to MRI tagging - allows for analysis of myocardial motion and allows for regional and global myocardial functional analysis. Continued
importance of Spectral Doppler and Tissue Doppler for evaluation of LV diastolic and systolic function has been highlighted by the ability to determine restrictive and irreversible
restrictive cardiac physiology in patients with cardiomyopathies. Also, the ability to distinguish constriction from restriction has been enhanced by new applications of Doppler technologies.
In the evaluation of patients with known or presumed heart failure, the ability of State-of-the-Art modern cardiac ultrasound instruments to determine ventricular size, global and regional
function, valvular anatomy, and to assess the ventricle for dyssynchrony, as well as hemodynamics, has played a valuable role in the management and therapeutic interventions in patients
with Congestive Heart Failure. Advances in Speckle Tracking 2D Strain have enhanced the diagnostic capabilities of Tissue Doppler.
The recent introduction of enhanced 3D and 4D capabilities allows for continued application of Cardiovascular Ultrasound, especially in the world of Interventional Cardiology and
Cardiovascular Surgery. The ability to accurately evaluate valvular structure and function, as well as to interrogate the integrity of the interatrial septum and the left ventricular apex,
means that Three-dimensional Echocardiography and Four-dimensional Echocardiography has played an enhanced and increasing role in directing therapies, be they by an Interventional
Cardiologist or a Cardiac Surgeon.
All these advances will be highlighted by clinical presentations of case studies during this symposium.
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ランチョンセミナー 3
4月11日(金) 12:20∼13:10
Real Time 3D Transesophageal Echocardiography:
A New Window for the Assessment of Mitral Valve Apparatus
竹内 正明
産業医科大学 第二内科
Due to progressive increase in the number of patients with mitral valve prolapse(Barlow disease as well
as fibroelastic deficiency)who are candidate for the surgical mitral valve repair, precise understanding of
anatomical and physiological problems about mitral valve apparatus is important before the planning of
surgical operation. 2D echocardiography is a versatile modality for the diagnosis of mitral valve prolapse.
However, it is often difficult to determine the precise location and extent of plorapsed area, because
mental reconstruction of prolapsed portion in 3D space is problematic even if we use transesophageal
echocardiography(TEE). Although 3D transthoracic echocardiography has a potential to overcome these
problems, a relatively lower frame rate and large footprint of the transducer makes acquisition of adequate
quality of 3D mitral valve apparatus often difficult. Recent rapid development of minituarization of matrix
array transducer equipments makes it possible to bring real time 3D transesophageal echocardiography
(3DTEE)in the clinical arena. 3D zoom view from transesophageal approach quite easily provides real-time
surgical view of the mital valve that only cardiac surgeon had seen in the operating room. It is very easy
to determine 3D location and extent of mitral valve prolapse using 3D zoom mode. 3D evaluation of mitral
regurgitation is also possible for the delineation of 3D proximal flow convergence region. We found true
proximal flow convergence region contour is generally not hemispheric but hemielliptic even in patients with
mitral valve prolaspse as well as functional mitral regurgitation. Quantitative data including mitral annulus
area, annulus height, leaflet area, non-planar angle between two leaflets, tenting volume and prolapsing
volume can be calculated using user-friendly quantitative software. Thus, 3DTEE provides a new window for
the assessment of mitral valve apparatus in the daily clinical practice.
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ランチョンセミナー 4
4月11日(金) 12:20∼13:10
2D Speckle Tracking Image を用いた心筋虚血診断
石井 克尚
関西電力病院 循環器内科
2D speckle tracking 法は translation や tethering の影響、そして角度依存性を受けずに局所心筋の収縮・拡張運動が
評価できる。この speckle tracking 法を応用したストレインは局所の左室壁厚変化・変化率を定量的に捉えることが可
能であり、冠動脈支配に従った心筋障害の検出に適している。Pislaru らは動物実験において、虚血部位に postsystolic
shortening(PSS)が高率に観察できる事をストレインを用いて報告している。また近年、虚血発作後に収縮機能が回
復した後においても局所拡張機能障害が持続する事が color kinesis や BMIPP 心筋シンチを用いた検討において報告さ
れている。この reverse ischemic cascade にもとづく ischemic memory の検出はこれからの心筋虚血の診断における心
エコー図検査の役割を飛躍的に拡大する可能性がある。今回、2D speckle tracking 法を用いた心筋虚血診断について検
討する。
文献
1. Pislaru C, Belohlavek M, Bae RY, Abraham TP, et al. Regional Asynchrony During Acute Myocardial Ischemia
Quantified by Ultrasound Strain Imaging. J Am Coll Cardiol 2001;37:1141-1148.
2. Ishii K, Miwa K, Sakurai T, Kataoka K, et al. Detection of Postischemic Regional Left Ventricular Delayed
Outward Wall Motion or Diastolic Stunning After Exercise-induced Ischemia in Patients with Stable Effort
Angina by Using Color Kinesis. J Am Soc Echocardiogr 2008; in press.
3. Dilsizian V, Bateman TM, Bergmann SR, Prez RD, et al. Metabolic Imaging With β -Methyl-p-[123I]-IodophenylPentadecanoic Acid Identifies Ischemic Memory After Demand Ischemia. Circulation 2005;112(14):2169-2174.
̶ 80 ̶
ランチョンセミナー 5
4月12日(土) 12:40∼13:30
心血管リモデリング制御と高血圧・心不全治療
筒井 裕之
北海道大学大学院 循環病態内科学
高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどのリスクファクターは、血管内皮障害から、動脈硬化、心筋梗塞を生じ、
心筋リモデリングを経て最終的には心不全を引き起こす。したがって、心血管病は、血管内皮障害から始まる一連の連
鎖(CV disease continuum)として捉えられる。この心血管病の連鎖の形成・進展には、レニン・アンジオテンシン(RA)
系の活性化に起因する炎症や酸化ストレスが重要な役割をはたしていると考えられている。寒冷昇圧試験(CPT)によ
る交感神経刺激時の心筋血流予備能を、15O- 水 PET を用いて測定することにより冠血管内皮機能を非侵襲的に評価する
ことが可能である。アンジオテンシン II 受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタンは高血圧患者の冠血管内皮機能を改善す
るが、Ca 拮抗薬は同程度の降圧が得られるにもかかわらず内皮機能に影響しない(Naya et al. JACC 2007)
。さらに、
RA 系抑制薬は、心筋細胞肥大や間質線維化など心筋リモデリングに対する改善作用も有している。したがって、RA 系
抑制薬は血管内皮機能・心筋リモデリング改善作用を介して心血管保護に寄与すると考えられる。
慢性心不全は、あらゆる器質的心疾患の終末病態であるが、基礎心疾患として虚血性心疾患や高血圧性心疾患が多い。
収縮不全による慢性心不全に対しては、RA 系抑制薬とβ遮断薬が生命予後を改善するというエビデンスが積み重ねら
れ、first line drug として確立しているが、これらの有効性にも心筋リモデリングの抑制が関与している。
近年、収縮機能が比較的正常に保たれている心不全が注目されているが、その多くは拡張機能障害が原因である。高
血圧では、拡張機能不全により心不全をきたすことが多い。しかしながら拡張機能不全による心不全に対する薬物治療
に関するエビデンスは乏しく、利尿薬によるうっ血の軽減が有効である。ただし、利尿薬による左室充満圧の過度の低
下は、心拍出量を減少させ低血圧を引き起こす危険性があるため、投与量を調節することが重要である。高血圧の頻度
が高いことから血圧の管理、心房細動の頻脈のコントロールが重要である。収縮不全で予後に対する有効性が確立して
いる ACE 阻害薬や ARB の有効性については確立していない。CHARM-Preserved 試験は、主として NYHA 2 度∼ 3 度で、
左室駆出率 40%以上と比較的保持されている慢性心不全患者で ARB カンデサルタンの有効性を検討した試験である。
心血管死または心不全による入院には有意差はなかったが、カンデサルタンは心不全による入院を減少させた。PEPCHF 試験では、ACE 阻害薬ペリンドプリルも同様に有効性が証明された。現在、さらに ARB イルベサルタンを用いた
I-PRESERVE 試験、わが国においては J-DHF 試験が進行中であり、これらの試験結果が待たれる。β遮断薬や Ca 拮抗
薬は、拡張機能を改善すると期待されるが、その臨床的有用性は確実には証明されていない。
心血管病の病態の解明と治療法の進歩には目覚しいものがある。基礎研究の進展によって心血管リモデリングの分子
機序として神経体液性因子が重要な役割を果たしていることがあきらかとなり、数多くの大規模臨床試験によって RA
系抑制薬やβ遮断薬の有効性が確立し、実際の治療に導入されてきた。このような薬物療法の進歩は心血管病の予後の
改善をもたらしてきたと期待されるが、その効果は十分ではなく、現在の標準治療にも数多くの臨床的課題が残されて
いる。本セミナーでは、心血管リモデリングの病態生理学的意義とその制御をふまえた高血圧・心不全治療について概
説したい。
̶ 81 ̶
ランチョンセミナー 6
4月12日(土) 12:40∼13:30
New technologies: hype and hope in stress echocardiography
Rosa Sicari
CNR Institute of Clinical Physuiology, Pisa, Italy
Stress echocardiography is an established and mainstream method for the diagnosis and risk stratification of patients
with known or suspected coronary artery disease. While the overall accuracy of echocardiography-based stress echo
techniques is high, these methods are inherently limited by the subjective, eyeballing nature of image interpretation
and need of learning curve with relatively wide inter-institutional variability. In addition, the current diagnosis is
based on visual assessment of systolic thickening and endocardial motion, estimating radial function ̶ which is
theoretically less sensitive to ischemia than the longitudinal and circumferential function. On a segmental basis, the
transmural contraction is evaluated, without a selective assessment of the subendocardial function ̶ more sensitive
to ischemia than subepicardial layer. Furthermore, the current application of stress echo is“intelligent”
(full of
useful clinical information)but the results cannot be easily reduced to a“beautiful”graphical display, perceivable
at a glance also by a non-specialist of imaging. The development of an objective method for wall motion analysis
during stress testing would overcome these limitations, translating the inducible wall motion abnormality from an
opinion into a number. This would improve accuracy, shorten the learning curve, and improve communication of
stress echo results with cardiologists, ultimately stengthening the current clinical and scientific role of the technique.
In addition, the quantitative assessment of left ventricular function allows a more comprehensive assessment of the
complex physiology of left ventricular function ̶ which is not thoroughly described with a simple assessment of
radial transmural function through endocardial motion and thickness. The ambitious target justifies the strenuous
efforts made in the last 20 years by bioengineers, industry and researchers in this direction. Different waves of new
ultrasound technologies such as M-mode for longitudinal function assessment with mitral annulus posterior wall
excursion, anatomical M-mode, tissue characterization, color kinesis, Tissue Doppler echocardiography, 2D speckle
tracking imaging and real time three-dimensional echocardiography have been proposed to overcome the limitations
of conventional echocardiography. All these exciting technologies have been experimentally validated and showed
some potential to bring stress echo from the domain of subjectivity to the promised land of operator-independence,
where sonographers are only fed with the milk of objectivity and honey of quantification. This promised land is
however still far away.
References
1. Picano E. Stress echocardiography: from pathophysiological toy to diagnostic tool. Point of view. Circulation 1992;
85: 1604-12.
2. Picano E, Lattanzi F, Orlandini A, Marini C, L'Abbate A. Stress echocardiography and the human factor: the
importance of being expert. J Am Coll Cardiol 1991; 17: 666-669
3. Pellikka PA, Nagueh SF, Elhendy AA, Kuehl CA, Sawada SG; American Society of Echocardiography. (2007)
American Society of Echocardiography recommendations for performance, interpretation, and application of stress
echocardiography.J Am Soc Echocardiogr. 20:1021-41
4. Sicari R, Nihyannopoulos P., Evangelista A, et al. Stress echocardiography consensus statement of the European
Association of Echocardiography. Eur J Echocardiogr 2008
5. Picano E. Stress echocardiography.A historical perspective. Special article. Am J Medicine 2003.
̶ 82 ̶
Young
Investigator's Award
YIA-1
Radial strain rate のカラーマッピングによる運動負荷誘発性心筋虚血の視覚的評価:
心筋シンチグラフィーとの比較
福島県立医科大学 第一内科
及川 雅啓、高野 真澄、大竹 秀樹、丸山 幸夫
【目的】運動負荷により誘発された虚血部位における心筋拡張障害は、負荷後も遷延する現象が認められる。我々は運動負荷後局所拡張障害の視
覚評価が可能か否か 2D tracking 法による strain rate を用いて検討した。
【方法】対象は虚血性心疾患を疑い、
運動負荷 Tc- 心筋シンチグラフィー
を施行した 36 例。運動負荷心筋シンチグラフィーと同時に、安静時及び運動負荷 10 分後の胸骨左縁左室短軸像の 2D 画像収集を行った(東芝社
。試作ソフトを用いて、2D tracking 法による左室 radial strain rate(SR)を求め、拡張早期最大 SR(max-SRe)を求めた。さらに
製 Aplio 80TM)
運動負荷前後における max-SRe の変化をカラーマッピング表示し、max-SRe が負荷後に低下した部位を運動負荷誘発性左室拡張障害出現部位
と定義した。左室短軸像を 6 セグメントに分割し、それぞれのセグメントにおける拡張障害出現部位と、Tc- 心筋シンチグラフィーによる虚血心
筋・心筋障害部位が一致するか否か、比較検討した。
【結果】全 216 セグメントのうち 2D tracking 法を用いて評価可能であった部位は 176 セグ
メント(81.5%)であった。運動負荷後 max-SRe が増加した部位は 123 セグメント、低下は 53 セグメントに認められた。心筋シンチにおける心筋
虚血・心筋障害部位を 2D tracking 法を用いて検出する感度は 83.8%、特異度 84.2%、陽性的中率 58.5%、陰性的中率 95.1% であった。また、心
筋シンチグラフィーと 2D tracking の一致率は 84.1%、
κ値 0.73 であり良好な結果が得られた。
【結語】
2D tracking 法による max-SRe のカラーマッ
ピングを用いて運動負荷誘発性心筋虚血・心筋障害部位の視覚評価が可能であり、新しい負荷心エコー法として臨床応用が期待される。
YIA-2
収縮性心膜炎診断の新しい指標 ̶自由壁 longitudinal strain 低下および transverse strain との乖離の意義̶
1
済生会熊本病院 中央検査センター 心血管エコー室、2 済生会熊本病院 心臓血管センター
浪崎 秀洋 1、西上 和宏 2、小郷美紀生 1、由解 公子 1、富田 文子 1、早川 裕里 1、村上未希子 1
【背景】収縮性心膜炎(CP)評価において、様々な診断指標が報告されているが、その診断に苦慮する例も少なくない。CP は通常 transverse 方
向の左室壁運動は保たれているが、心膜癒着により自由壁の longitudinal 方向への壁運動障害が推測される。今回、2D speckle tracking imaging
(2DSTI)を用い、transverse および longitudinal strain を評価し、その比較による CP 診断の有用性を検討した。
【方法】CP 群 5 例、正常群 15
例を対象とし、GE 社製 Vivid7(EchoPAC)を用い検討した。左室心尖部 4 腔断面の transverse および longitudinal strain の peak strain 値を計
測した。中隔の心基部および中部を平均化した Septal strain と側壁のそれを Lateral strain とし、中隔側壁比(SL 比)を求め、両群間で比較検
討した。また、CP に手術治療を施行した 3 例においては手術前後で同項目を検討した。
【結果】transverse strain の SL 比は、CP 群で 1.16 ± 0.27、
正常群で 1.04 ± 0.17 であり、両群間で有意差を認めなかった。longitudinal strain の SL 比は、CP 群で 3.46 ± 1.03、正常群で 0.91 ± 0.06 であり、
CP 群が有意に大であった(p=0.0006)
。1.1 ∼ 2.0 を cut off 値とした場合、longitudinal strain の SL 比を用いた CP 診断の感度、特異度、陽性お
よび陰性予測値はいずれも 100% であった。また、CP 手術例において longitudinal strain の SL 比は、治療前 3.07 ± 1.06、治療後 1.30 ± 0.17 で
あり、手術治療にて有意に低下した(p=0.046)
。
【結語】CP は transverse strain は保たれているものの、longitudinal strain は自由壁での低下が
みられ、両者の乖離が認められる。今回提唱した longitudinal strain の SL 比は CP 診断の新しい指標として有用と考えられた。
̶ 85 ̶
YIA-3
Duchenne 型筋ジストロフィーの左室局所ストレイン ̶2D tissue tracking 法を用いた検討̶
1
独立行政法人 国立病院機構 徳島病院 小児科、2 徳島大学病院 小児科、3 徳島市民病院 小児科
宮崎 達志 1、多田羅勝義 1、井上 美紀 2、早渕 康信 2、香美 祥二 2、森 一博 3
【背景・目的】Strain は「局所心筋の歪み」を示し、最新の心エコー装置で測定可能である。Strain による解析において、組織ドプラ法は角度依
存性を有するのに対し、2D tissue tracking(2DTT)法では任意の方向で測定が可能である。本研究は、Duchenne 型筋ジストロフィー(DMD)
の左室局所壁運動を 2DTT 法により評価した。
【対象】FS > 28%の DMD 12 名(年齢 22.8 ± 4.0 歳)
、年齢をマッチさせた健常者 12 名。
【方法】
日立 EUB6500 を用い 2DTT 法により、左室短軸乳頭筋レベルで 4 部位(中隔、後壁、前壁、下壁)の peak radial strain を測定した。また、後
壁は内側と外側に 2 分割し個別に算出した。
【結果】
(1)4 部位での radial strain は、健常者では、後壁および前壁に比して中隔が小であったが(P
< 0.05)
、
DMD では後壁が他の部位より小さかった(P < 0.001)
。
(2)健常者と DMD の対比では、後壁(50.6 ± 13.4 vs 23.3 ± 7.2% , P < 0.0005)
のみ DMD が低値であった。
(3)後壁のうち、内側(83.0 ± 25.7 vs 32.2 ± 11.7%, P < 0.0005), 外側(40.8 ± 22.3 vs 29.2 ± 6.9% , P < 0.0005)で、
共に DMD の方が小さかった。
(4)DMD で、後壁内側に Postsystolic shortening を 6 例(50%)
、外側に Systolic negative strain を 4 例(33%)
認めた。
【考察】MRI による検討では、DMD では左室後壁の外側から線維化を生じやすいと報告されており、本研究のデータと一致する。
2DTT 法により、任意の部位の左室の局所壁運動解析が容易であった。左室後壁では内側と外側の strain profile が異なっており、外側の異常
を内側が代償している可能性が示唆された。
YIA-4
拡張型心筋症患者における機能性僧帽弁逆流発生メカニズム ̶側方方向への左室拡大の重要性̶
1
川崎医科大学 循環器内科、2 兵庫県予防医学協会
山田亮太郎 1、渡邉 望 1、築地美和子 1、山浦 泰子 2、尾長谷喜久子 1、根石 陽二 1、川元 隆弘 1、豊田 英嗣 1、大倉 宏之 1、
吉田 清 1
背景:機能性僧帽弁逆流(MR)は、拡張型心筋症(DCM)の予後を左右する重要な合併症である。一方、断層心エコー図上同等の DCM であっ
ても MR の程度は様々であり、MR 発生の鍵となるメカニズムは明らかでない。方法:DCM24 名(Group 1:MRV < 30ml, n=12; Group 2:MRV
≧ 30ml, n=12)を対象とした。弁輪面積、弁 tenting,coaptation, 乳頭筋位置および左室容量・EF につき、3D 画像定量解析ソフトを用いて定量
解析を行った。また、左室リモデリングパターン評価のため、3D 画像より左室三方向の径を計測した。結果:断層心エコー図による計測では、
Group 間で 左 室 径・容 量に 差はなかったが、3D で 計 測した EDV, ESV は Group2 で 有 意に 大きかった。 左 室 三 方 向 の 径 のうち LV の
longitudinal diameter,AP diameter に差はなかったが、ML diameter は Group 2 で有意に長かった。Group2 では tenting volume, tethering
length が有意に大きく、3D coaptation index は小さかった。総括:DCM における機能性 MR 発生には左室の側方方向への拡大による弁
coaptation の減少が重要である。
̶ 86 ̶
YIA-5
2D strain 法による前壁中隔梗塞(AMI)患者における post systolic shortening(PSS)の検討:
健常例(NV)との比較検討
産業医科大学 第二内科
中井 博美、竹内 正明、岡松 恭子、春木 伸彦、尾辻 豊
背景 ::AMI 患者において、PSS の二次元的広がりを検討した報告は少ない。目的 ::AMI 群、NV 群において、2D strain 法より longitudinal
strain(LS)を測定し、PSS の局在と程度を比較検討すること。方法 ::NV 群 20 人、AMI 群 12 人において、心尖四(二)腔 , 長軸像を記録し、
、post-systolic strain 値(SPS)を測定した。結果 : SES は AMI 群が
speckle tracking 法により 17 領域の LS を測定し、収縮末期の strain 値(SES)
NV 群に比べ、有意に低値を呈した。PSS の指標である post systolic index{PSI:(SPS-SES)/SPS × 100}は、AMI 群が NV 群に比べ有意に高値
を呈し、NV 群が心基部で最大なのに対し、AMI 群では心尖部で最大であった。また、AMI 例の PSI の局在は左前下行枝領域に一致していた。
結論 ::AMI 患者の PSS は、NV 群とは異なり、梗塞責任
冠動脈の支配領域に一致することより虚血による PSS は正
常例のそれと鑑別できると考えられた。
YIA-6
Utility of Postsystolic Shortening for Detecting Myocardial Ischemia During Dobutamine Stress
Echocardiography
1
東住吉森本病院 循環器科、2 大阪市立大学大学院 循環器病態内科学、3 和歌山県立医科大学 循環器内科、
大阪腋済会病院 心臓血管内科
兵頭 永一 1、平田久美子 3、斎藤 聡男 1、岡島 一恵 1、広瀬 真 1、坂上 祐司 1、西田 幸男 1、瓦林 孝彦 1、吉川 純一 4、
葭山 稔 2
4
Background: Post-systolic shortening(PSS)has been shown to be associated with myocardial ischemia. However, acute changes in PSS
during dobutamine stress echocardiography(DSE)have not been elucidated. The purpose was to clarify the utility of PSS for detecting
ischemia during DSE through newly developed 2D speckle tracking methods(2DM)
. Methods: 35 patients were subjected to DSE followed
by coronary angiography(CAG)
. Maximum strain(S)
, strain at aortic valve closure(SA)and the time from the aortic valve opening to S(T)
at 16 segments of LV were measured at peak DSE. Post-systolic strain(PSS)was defined as S-SA. Results: Strain profiles in 30 patients
out of 35 could be analyzed. Each segments of LV were defined as non-ischemic(n=313)or ischemic(n=109)by the results of CAG. There
were significant differences in S, PSS, T and PSS/S between ischemic and non-ischemic segments(34.8 ±12.6 vs 42.9±19.5, 15.1±12.2 vs 8.2
±9.9, 131.3±26.8 vs 121.2±24.3, 0.52±0.32 vs 0.22± 0.30)
. Compared by area under the curve, PSS/S was the best parameter for detecting
ischemia(AUC=0.806)
. By using PSS/S cut off value 0.3, the accuracy for detecting ischemia were equal to those of the expert visual wall
motion analysis. Conclusions: By using newly developed 2DM, PSS/S was the best parameter for detecting ischemia, and may incease the
accuracy of expert wall motion analysis.
̶ 87 ̶
ASE YIA Winner
Molecular Imaging of Inflammation in Atherosclerosis with Targeted Ultrasound Detection of
Vascular Cell Adhesion Molecule-1
Cardiology, University Hospital Basel, Switzerland
Beat A. Kaufmann, John M. Sanders, Christopher Davis, Aris Xie, Ian J. Sarembock, ChB, Jonathan R. Lindner
OBJECTIVES: The ability to image vascular inflammatory responses may allow very early diagnosis and treatment of atherosclerosis. We
hypothesized that molecular imaging of VCAM-1 expression with contrast-enhanced ultrasound(CEU)could be used for this purpose.
METHODS AND RESULTS: Attachment of VCAM-1-targeted and control microbubbles to cultured endothelial cells was assessed in a flow
chamber at variable shear rates(0.5-12.0 dyne/cm2). Microbubble attachment to plaque in vivo was determined by fluorescent microscopy
of the thoracic aorta 10 min after intravenous injection of fluorescently labeled microbubbles in wild-type or ApoE-deficient mice, on either
chow or hypercholesterolemic diet(HCD). CEU molecular imaging of the thoracic aorta 10 min after intravenous microbubble injection was
performed for the same animal groups. VCAM-1-targeted but not control microbubbles attached to cultured endothelial cells, although firm
attachment at the highest shear rates(8-12 dyne/cm2)occurred only under pulsatile flow conditions produced by brief reductions of shear.
Aortic attachment of microbubbles and targeted CEU signal was very low in control wild-type mice on chow diet. There was a stepwise
increase in aortic attachment and CEU signal for VCAM-1-targeted microbubbles from wild-type mice on HCD, to ApoE-deficient mice on
chow, to Apo-E-deficient mice on HCD. These animals also had a stepwise increase in plaque severity and VCAM-1 staining on histology.
CONCLUSIONS: CEU molecular imaging of VCAM-1 can quantify vascular inflammatory changes that occur in different stages of
atherosclerosis. Targeted CEU is a rapid and high-sensitivity method for evaluation of endothelial phenotype making it ideal for early
detection and risk stratification of atherosclerosis in patients.
̶ 88 ̶
Sonographer's Award
Session
Sonographer's Award Session
4月11日(金) 8:30∼10:00
Keynote Lecture
The Role of the Nurse in Clinical and Research Echocardiography
Past/Present/Future
Gregory Gilman
Kardia Health Systems, USA
The increasing costs of health care due to an aging population, sedentary lifestyles, deleterious
lifestyle habits and advances in technology require health care systems to optimize their resources.
Nurses have proven to be a valuable resource in addressing the cost of health care delivery. This
lecture describes the evolution and contributions of the Nurse in the field of echocardiography past,
present and future.
̶ 91 ̶
Sonographer's Award Session
4月11日(金) 8:30∼10:00
1. 三次元経胸壁心エコー図法による僧帽弁形成術後遠隔期での
僧帽弁輪の形態の評価
川井 順一 1
1
2
神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、
神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科、3 神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科
岡田 行功 2、田辺 一明 3、谷 知子 3、山口 一人 1、八木登志員 1、古川 裕 3、盛岡 茂文 3、
木原 康樹 3
【背景・目的】僧帽弁形成術後の人工弁輪縫着後の僧帽弁輪の形態評価について、術後遠隔期での報告はない。本研究の
目的は、三次元経胸壁心エコー図法を用いて僧帽弁形成術後遠隔期での僧帽弁輪の形態を評価することである。
【方法】
本研究では、超音波診断装置には iE33(Philips Medical Systems 社製)、僧帽弁輪解析には Real View(YD 社製)を用
いた。対象は、
Duran flexible ring を使用した僧帽弁形成術後遠隔期(10 年以上経過)の患者 5 例および正常例 12 例であっ
た。方法は、三次元経胸壁心エコー図法にて三次元画像の取り込みを行った後、解析ソフト Real View を用いて僧帽弁
輪の抽出および解析を行った。拡張末期と収縮末期での弁輪面積、弁輪周囲径、弁輪高を計測し、各々の %change を算
出して術後遠隔期群と正常群と比較した。【結果】弁輪面積、弁輪周囲径の %change は、正常群(N 群)と術後遠隔期群(P
群)の間に有意差は認めなかった(弁輪面積 , N 群 : 23.2 ± 4.0%, P 群 : 28.3 ± 7.8%、弁輪周囲径 , N 群 : 12.8 ± 2.8%, P 群 :
14.7 ± 4.5%)
。しかし、弁輪高の %change は、正常群が有意に大きかった(N 群 : 31.9 ± 7.0, %, P 群 : 15.7 ± 4.0 %)
。
【結
語】僧帽弁形成術後遠隔期群では、左室拡張末期及び収縮末期における弁輪面積、弁輪周囲径は正常人と有意差はなかっ
たことから、僧帽弁形成術後遠隔期でも生理的に十分な弁輪の動きが確保できているものと考えられる。一方、弁輪高、
すなわち saddle shape の形状は少し平坦になっていることが判明した。
2. 大動脈弁閉鎖不全症における左室心内膜側・外膜側ストレイン解析:
その重症度および手術後心機能との関係についての検討
飯田 典子 1
1
筑波大学 附属病院検査部、2 筑波大学 人間総合科学研究科 臨床医学系 循環器内科
瀬尾 由広 2、石津 智子 2、町野 智子 2、川村 龍 2、酒巻 文子 1、中島 英樹 1、稲葉 武 1、
渡邉 重行 2、青沼 和隆 2
【背景】大動脈弁閉鎖不全症(AR)では潜在的な心筋障害が存在する可能性がある。【目的】本研究の目的はスペック
ルトラッキング法によって計測した左室壁心内膜側および外膜側ストレイン分布と AR 重症度との関連、および大動脈
弁置換術後心機能との関連を検討することである。【方法】対象は EF50% 以上の AR 患者 39 名(EF64.1 ± 6.7%)と正
常対照群 19 名である。AR 重症度は中等度 16 名、重症 23 名に分類された。スペックルトラキング法は東芝メディカル
システムズ社製のソフトを用いて解析した。左室中部短軸像の心内膜側、心外膜側をそれぞれマニュアルでトレースし
totral, 心内膜側(inner), 外膜側(outer)の peak radial strain(RS), peak radial strain rate(RSR)を測定した。また、
大動脈弁置換術を行った 12 例において術後 6 ヶ月後に心エコーを再検し、EF の変化率と術前 RS および RSR との関連
を検討した。
【結果】inner-RS および RSR は重症群がコントロール群、中等度群と比較して有意に低値を示した(p <
0.05)
。outer-RS および RSR は正常群に比較して中等度群が有意に高値を示した。術前 inner-outer RS 比および innerouter RSR 比は術後 EF の変化率と負の相関を認めた(inner-outer RS 比 r=-0.71, y=21-38x; inner-outer RSR 比 r=-0.60,
y=14-26X)
。
【結論】スペックルトラッキング法によって計測した心内膜側および外膜側ストレイン分布と AR の重症度
および術後心機能改善との関連が示唆された。
̶ 92 ̶
Sonographer's Award Session
4月11日(金) 8:30∼10:00
3. 左室心筋移動速度 First Peak の心室内時間差と方向性は
心室再同期療法後の心室 Reverse Remodeling を予測する
高橋 勝行 1
1
倉敷中央病院 臨床検査科、2 倉敷中央病院 循環器内科
丸尾 健 2、福 康志 2、中井 樹里 1、三宅ひとみ 1、山内 陽平 1、筑地日出文 1、光藤 和明 2
【背景】組織ドプラ法(TVI)を用いた心筋移動速度 maximum peak までの時間は心室再同期療法(CRT)の効果を予
測するのに用いられる。しかし、first peak および同期不全の伝播方向についての検討はない。そこで、CRT の効果に
関して first peak と maximum peak を比較し、伝播方向についても検討した。【方法】36 名の心不全患者 (左室駆出
率 = 31 ± 8%)に対して、心臓超音波を術前、CRT 後(平均 3.8 ヵ月後)に施行した。CRT 有効例は左室収縮末期容
量(LVESV)が 10% 以上減少した場合とした。TVI を用い心筋移動速度 first peak までの時間(T-1st)と maximum
peak までの時間(T-max)を求め、心尖部断面の 12 部位の最大時間差を収縮同期不全の指標とした。また、これらの
指標の伝播方向を求めた。
【結果】CRT は 78% で有効だった。有効例での T-1st 最大時間差は無効例よりも長く(78
± 32 vs. 40 ± 29 ms, p=0.005)
、一方 T-max には有意差を認めなかった(187 ± 70 vs. 166 ± 38 ms, p=0.421)
。T-1st
が中隔から側壁への方向を示す患者での ESV 減少は他方向の患者より良好だった(33 ± 19 vs. 10 ± 18 %, p=0.001)
。
Stepwise multivariate analysis を用いるとこれら 2 つの因子は CRT の有効性に関する独立した規定因子だった。
【結論】
心筋移動速度 first peak の最大時間差は maximum peak よりも CRT 効果を予測できた。また、first peak の伝播が中
隔から側壁のときにより有効だった。
4. 急性心筋梗塞症例において 2D スペックルトラッキング法を用いた
急性期ストレイン指標は慢性期心筋 viability の予測に有用である
檜垣里江子 1
1
喜多医師会病院 臨床検査部、2 喜多医師会病院循環器内科
井上 勝次 2、日浅 豪 2、永尾 彰子 1、西尾 静子 1、河内 好子 1、和氣 大輔 1、吉井 豊史 2、
山田 忠克 2、住元 巧 2
(背景)2D スペックルトラッキング法(STI 法)は角度依存性なく局所ストレインプロフィールの定量評価が可能であり、
種々の心疾患のおける臨床応用が期待されている。組織ドプラ法を用いた実験的報告によれば冠動脈閉塞時に虚血部位
において収縮後収縮(post-systolic shortening: PSS)や収縮期伸展(systolic bulging: SB)などの特徴的なストレイン
波形を認めると言われている。
(目的)今回我々は STI 法を用いて急性期ストレインプロフィールを解析し、慢性期の
心筋 viability を予測可能かどうか評価を行った。(方法)対象は冠動脈インターベンション治療により再灌流療法に成
功した前壁中隔急性心筋梗塞 18 症例である。超音波装置は GE 社製 Vivid 7 を用い、再灌流から 24 時間後および 14 病
日に心エコー検査を施行し、心尖部三断面像から risk area における以下の長軸方向収縮期ストレイン指標を算出した
(peak strain、PSS index、SB index)
。発症より 6 ヶ月後にタリウム心筋シンチグラフィーを行い、Bull's eye map から
risk area における % uptake を算出し、局所心筋 viability の指標とした。(結果)発症 24 時間後および 14 病日の risk
area における peak strain、PSS index および SB index はそれぞれ慢性期心筋 viability と有意な相関を認めた。多変量
解析によると慢性期心筋 viability の独立した予測因子は 14 病日の peak strain および PSS index であった。
(結論)急
性心筋梗塞症例においてストレインプロフィールを経時的かつ定量的に評価を行うことは慢性期の心筋 viability の予測
に有用であると思われた。
̶ 93 ̶
Sonographer's Award Session
4月11日(金) 8:30∼10:00
5. 左室肥大における右室機能障害の機序:
二次元スペックルトラッキング法による検討
加賀 早苗 1
1
北海道大学病院 検査・輸血部、2 北海道大学医学部保健学科、
3
2
2
1
北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
1
三神 大世 、小野塚久夫 、井上真美子 、横山しのぶ 、清水 力 1、松野 一彦 1、小松 博史 3、
岡田 昌子 3、山田 聡 3、筒井 裕之 3
【目的】肥大型心筋症や高血圧で右室機能異常が生じるとの報告はあるが、その機序には不明の点が多い。そこで、二次元スペッ
クルトラッキング(2DST)法による右室自由壁と心室中隔の局所心筋弛緩とその時相分析を用いて、その機序を明らかにする。
【方法】対象は、明瞭な左室収縮障害や肺高血圧症のない、年齢を合わせた肥大型心筋症(HCM)20 例、高血圧性左室肥大(HT)
20 例および健常(N)22 例である。右室流出路および流入路方向の連続波ドプラ記録より、QRS 開始から肺動脈弁閉鎖と三
尖弁開放までの各時間を計測し、等容弛緩期時間(IRTR)を求めた。2DST 法では、右室自由壁と心室中隔のそれぞれの心尖部、
中央部および心基部側で、拡張早期の長軸方向ピークストレインレート(ESR)と QRS 開始から ESR までの時間(TPESR)を
計測した。【結果】IRTR は、HCM 群と HT 群で N 群より有意に延長した。右室自由壁 3 箇所の ESR 平均値は HCM 群で N
群より有意に低下したが、HT 群では N 群と有意差がなかった。心室中隔の ESR 平均値は HCM と HT の両群で N 群より有
意に低下した。全対象において、ESR の右室自由壁と中隔全 6 箇所平均値は、IRTR と有意に相関した。一方、TPESR の 6 箇
所分散値は、3 群間に有意差はなく、また IRTR との相関を認めなかった。【結論】HCM では右室自由壁と心室中隔の、HT
では心室中隔の心筋拡張障害が右室全体の拡張障害をきたす主因であり、右室を囲う心筋間の asynchrony の関与は少ないと
考えられた。
̶ 94 ̶
海外留学生報告会
海外留学生報告会
4月11日(金) 10:00∼10:30
帰国報告
吉福 士郎
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学
私は 2004 年 9 月から 2006 年 8 月まで、Minnesota 州の Rochester にある Mayo Clinic の Echo Research Center に留
学させていただいた。Mayo Clinic はアメリカの中でも有数の民間病院であり、循環器分野のみならず、医学全般にお
いて優れた業績を残している。Echo Research Center は、一日約 300 件の心エコー検査を約 50 名の超音波技師で行っ
ていた。留学生は世界各国から 20 名近くいたが、私は Dr. Marek Belohlavek がチーフである Translational Ultrasound
Research Unit に所属し、動物実験による心エコーの研究を行った。
私に与えられたテーマは、コントラスト心エコー図法を用いた新しい技法である、Harmonic to Fundamental Ratio
(HFR)の有用性を証明することであった。開胸犬を用いて虚血心を作成し、Fundamental と Harmonic 信号を収集し、
虚血と正常心筋、心腔内の Fundamental と Harmonic 信号値の比(HFR 値)を解析した。また、HFR 値を pixel 単位
で算出し、それからカラー画像を作成し、虚血心筋や、心腔の領域を容易に可視化することに成功した。また、HFR 値
をヒストグラムにて表示し、それから心腔の面積を半自動で計測可能であった。
現在、Belohlavek 先生は Arizona 州の Mayo Clinic で研究をされており、HFR の臨床での研究が始まっているとのこと
であり、今後 HFR が臨床応用される日も近いと思われる。
帰国報告
和田 希美
川崎医科大学 循環器内科
私は 2006 年 3 月から 2007 年 7 月まで米国オハイオ州のクリーブランドクリニック心血管イメージング部門に留学させ
ていただきました。皆様もご存知の通り、クリーブランドクリニックは米国でも最も大規模なハートセンターで、世界
中から多くの患者様が訪れており外来患者数は年間約 22 万人で、心エコー件数は年間約 5 万件、心臓カテーテル検査も
年間約 1 万件に達します。開胸手術においては年間 3500 例に施行されており、なかでも僧帽弁形成術をはじめとした心
臓弁膜症手術では全米でも圧倒的な症例数をほこっています。このようなすばらしい施設で塩田隆弘先生のご指導のも
とリアルタイム三次元心エコー図を使った閉塞性肥大型心筋症における僧帽弁機構の研究や術中経食道心エコー図を用
いた僧帽弁形成術後合併症についての研究に従事させていただきました。今回の留学では日本では経験することのでき
ない膨大なデータの解析で苦労することも多くありましたが、世界各国の留学生達と交わりながら研究することができ
私にとって大変貴重な体験となりました。
̶ 97 ̶
海外留学生報告会
4月11日(金) 10:00∼10:30
帰国報告
岡島 一恵
東住吉森本病院 循環器内科
2004 年 9 月より 2007 年 8 月まで米国ニューヨーク州のコロンビア大学で心エコー図に関する研究をおこなってきました。
我が研究室の特徴は心エコー図に関係した研究が非常に多岐にわたるということです。伝統的に従事している治療用超
音波(High Intensity Focused Ultrasound)の臨床応用にむけての実験、高解像度心エコー図を用いた基礎実験動物の
心機能評価、経皮的治療(弁膜症、心筋症、不整脈)における術前後評価などのカテグループとの臨床共同研究、心移
植における拒絶反応の予測、そして高血圧グループや脳神経グループと共同でおこなっている疫学研究などが代表的な
ものです。テーマそのものが非常に興味深いものばかりでしたが、さらにそれぞれの分野(基礎、臨床、疫学)におけ
る運営やシステムの違いも体験でき有意義でした。その他当研究室の特徴として本間教授のもと日米の交流に非常に熱
心であったことがあげられます。米国学会のおり立ち寄っていただいた日本の先生方との交流をはじめ、日本より定期
的に受け入れていた医学生の方々も皆こちらの臨床研修医・医学生に混じり充実した時をすごされていたようです。学
び体験した日米、さらには NY を通じてみた各国の文化や System の違いを、今後に役立てていければと思っています。
̶ 98 ̶
一般演題抄録
一般演題 1
高脂血症患者の短期の脂質低下療法は心筋内微小循環障害を改善する:心筋コントラストエコー法による定量評価
1
医療生協わたり病院 内科循環器科、2 福島県立医科大学 臨床検査医学 / 第一内科、3 福島県立医科大学 第一内科
渡部 朋幸 1、高野 真澄 2、義久 義臣 3、丸山 幸夫 3
【目的】今回我々は、心筋コントラストエコー法(MCE)により、高脂血症(HL)患者における短期の脂質低下療法による心筋内微小循環障害改
善の有無、および冠血流速予備能(CFVR)との差異を検討した。
【対象と方法】対象は明らかな虚血性心疾患の既往のない未治療の高脂血症患
者 25 名(HL 群)と健常者 12 名(対照群)
。安静時及び ATP による反応性充血時において MCE を施行した。心室中隔中部の関心領域の心筋輝
度を指数関数 : y=A(1-e- β t)から心筋内血流速度βを算出し、安静時と反応性充血時の比(β比)を求めた。また、経胸壁ドプラ法にて CFVR
を計測した。さらに HL 群 20 名において、食事・薬物療法開始 4 週(4w)後及び 8 週(8w)後の脂質レベルと CFVR、β比の改善について検討
した。
【結果】
HL 群において対照群に比べβ比及び CFVR は有意に低値を示した
(β比 : 1.3 ± 0.2 vs 1.7 ± 0.3; CFVR: 2.7 ± 0.7 vs 3.3 ± 0.4, 各々
P < 0.05)
。LDL-C 値はβ比及び CFVR との間に有意な相関を認めた(β比 : r=-0.47; CFVR: r=-0.592, 各々 P < 0.01)
。また HL 群において、脂
質低下療法 4 w 及び 8 w 後の LDL-C 値は治療前に比し有意に低下し(4w: 138 ± 28, 8w: 145 ± 30, P < 0.0001, ANOVA)
、β比は有意に上昇し
た(4w: 1.7 ± 0.4, 8w:1.5 ± 0.3, P < 0.001)
。一方、CFVR は有意な変化は認められなかった(4w:2.9 ± 0.5, 8w: 3.1 ± 0.8,NS)
。8w までの LDL-C
の変化率はβ比の変化率と有意な相関を認めた(r=-0.52, P < 0.05)
。
【結語】高脂血症患者における短期の脂質低下療法により、脂質値の改善に
伴い心筋内血流速予備能が改善した。抵抗血管レベルの血流予備能は心外膜を含む冠血流速予備能に比べ早期に改善する。
一般演題 2
Velocity Vector Imaging の速度ベクトル表示を用いた Post systolic shortening の客観的評価
榊原記念病院 循環器内科
黒沢 幸嗣、渡辺 弘之、相川 大、三原 裕嗣、井上 完起、高見澤 格、関 敦、桃原 哲也、井口 信雄、長山 雅俊、
浅野 竜太、高山 守正、梅村 純、住吉 徹哉
【背景】心虚血領域には駆出後収縮(Postsystolic shortening:PSS)が生じることが知られている。Tissue tracking 法による Velocity Vector
Imaging(VVI)は、心内膜における個々の点の動きを速度ベクトルとして表示する方法である。そこで VVI による PSS の検出で、虚血領域の
診断ができるかどうかを検討した。
【方法】虚血性心疾患の連続 111 例に対し心エコー(持田シーメンス社製 Sequoia、4V1c プローベ使用)を施
行し、左室乳頭筋レベル短軸像の動画をハードディスクに保存した。Off-line で VVI を用いて壁運動解析を行い、左室乳頭筋レベルの短軸像を
6 分画に分け、PSS の出現部位を同定した。PSS の定義は僧帽弁開放時相(MVO)において視覚的にベクトルが外向きではない部分とした。ま
た同じ動画を用いて心エコー経験が充分にある循環器内科医による視覚的壁運動評価を行い、6 分画の壁運動を評価し、VVI の結果と比較した。
【結果】全 666 分画中、視覚的壁運動異常を 151 分画に認めた。一方、VVI の速度ベクトルによる PSS は MVO 時相で 232 分画に認め、MVO 周
辺時相(MVO ± 55msec)では 185 分画に認めた。MVO の時相における VVI の速度ベクトルを用いた PSS の精度は、視覚的壁運動評価を対照
とすると 73%であった。さらに PSS の検出を MVO 周辺時相に拡大すれば、その精度は 90%であった。
【結論】VVI の速度ベクトルを用いれば、
虚血に伴う壁運動異常を客観的に評価できる可能性が示唆された。
一般演題 3
心外膜脂肪 Epicardial Fat と冠動脈病変およびアディポネクチンとの関連
自治医科大学 循環器内科
富澤 英紀、山本 啓二、西村 芳興、市田 勝、水野 修、北條 行弘、勝木 孝明、島田 和幸
【背景・目的】内臓脂肪過剰蓄積を基盤とするメタボリックシンドロームは、強力な動脈硬化の危険因子で、アディポサイトカインとの関連が報
告され注目されている。今回、我々は心外膜脂肪 Epicardial Fat と冠動脈病変、さらにアディポネクチンとの関連を検討した。
【方法】対象は、
心臓カテーテル検査目的に入院した連続 30 例(男性 22 例、平均年齢 60.8 ± 12.8 歳)
。心エコー図検査にて右室前面の Epicardial Fat の厚みを
計測し、その後、一週間以内に冠動脈造影検査を施行した。右室前面の Epicardial Fat の厚さは、胸骨左縁左室長軸及び短軸像で収縮末期にお
いて計測した。冠動脈硬化の重症度は病変枝数、
Gensini 指数(GS)を用いて評価した。
【結果】メタボリックシンドローム群の Epicardial Fat は、
非メタボリックシンドローム群に比べ有意に厚かった(7.9 ± 1.6 vs 5.1 ± 1.9 mm, p < 0.001)
。また、冠動脈に有意狭窄を認める群の Epicardial
Fat は、有意狭窄を認めない群に比べ有意に厚かった(7.7 ± 1.4 vs 4.0 ± 1.4 mm, p < 0.001)
。さらに、GS 0 群の Epicardial Fat の厚さ(3.6 ± 0.9
mm)に比べ、GS 1 ∼ 50 群(7.6 ± 1.7 mm, p < 0.001)及び GS > 50 群(7.8 ± 0.7 mm, p < 0.001)において有意に厚かった。Epicardial Fat の
厚さとアディポネクチンには負の相関関係を認めた(r=-0.53, p < 0.01)
。
【結論】右室前面の Epicardial Fat は、メタボリックシンドローム群で
有意に厚く、冠動脈硬化の重症度およびアディポネクチンと関連がみられた。本研究より、心エコー図検査によって計測した Epicardial Fat の
厚さは冠動脈硬化の重症度を予測し、メタボリックシンドロームと関連する、非侵襲的な有用な指標となる可能性が示唆された。
̶ 101 ̶
一般演題 4
経胸壁心エコードプラ法による冠血流予備能と 64 列冠動脈 CT の組み合わせによる冠動脈狭窄検出の有効性
東住吉森本病院 生理検査室
吉川 淳一、兵頭 永一、岡島 一恵、斉藤 聡男、西田 幸生、広瀬 真、瓦林 孝彦
近年、64 列冠動脈 CT(MDCT)は冠動脈疾患の評価に広く用いられている。しかし、MDCT のイメージは石灰化やアーチファクトの
(背景)
影響を受けやすく、しばしば冠動脈評価困難例が存在する。
(目的)今回の研究の目的は MDCT による冠動脈評価に、経胸壁ドプラ心エコー法
による冠血流予備能評価(CFR)を組み合わせることにより、より正確な冠動脈狭窄評価が可能かどうか検討すること。
(方法)狭心症が疑われ、
心臓カテーテル検査予定の患者 45 人において、心臓カテーテル検査前に全ての主要 3 冠動脈(左前下行枝(LAD)
、左回旋枝(CX)
、右冠動脈
(RCA)
)において MDCT と CFR により冠動脈狭窄評価を行った。MDCT のイメージが不十分で評価困難な場合にのみ、CFR 評価を追加し冠
動脈狭窄評価を行った。
(結果)50 症例、合計 150 枝において解析を行った。冠動脈造影にて 150 枝中、43 枝(LAD 17 枝、LCX 10 枝、RCA
16 枝 ,)に有意狭窄(> 70%)があり、107 枝に狭窄はなかった。MDCT 評価は 150 枝中 118 枝(79%)において解析可能であった。残りの評価
困難であった 32 枝中、CFR 評価は 24 枝で可能であった。MDCT と CFR 測定を組み合わせると、150 枝中 142 枝(95%)におい冠動脈狭窄評
価が可能であった。
(感度 85%、特異度 70%、正確度 74%)
(結論)MDCT による冠動脈評価に、経胸壁ドプラ心エコー法による冠血流予備能
評価(CFR)を組み合わせることにより、MDCT で評価困難例においても冠動脈狭窄診断は高精度に可能であることが示唆された。
一般演題 5
ドブタミン負荷心エコー法における左室アシンクロニー評価の有用性
東住吉森本病院 循環器科
斎藤 聡男、兵藤 永一、平田久美子、岡島 一恵、広瀬 真、坂上 祐司、西田 幸夫、瓦林 孝彦
【目的】バイベントリキュラーペーシングを用いてアシンクロニーを減少させることにより臨床的に有用であることは報告されている。しかしド
ブタミン負荷中の急性のアシンクロニーの変化やその有用性については十分検討されていない。今回の研究の目的は、ドブタミン負荷による虚
血がアシンクロニーに対してどのような影響を与えるかを検討することである。
【方法】対象はドブタミン負荷心エコーを行い、
その後心臓カテー
テル検査を行った 35 例。全例、ルーチンの画像取得およびドブタミン負荷前、最大負荷時に左室短軸、3 断面(base、mid、apex)を記録した。
左室おのおの 16 分画において 2D トラッキング法を用い、
大動脈弁開放から最大ストレインまでの時間を計測した。それを駆出時間で補正し
(Ts)
、
16 分画の Ts の標準偏差(Asynchrony index: AI)を求め、負荷前の AI を負荷後で除した AI ratio を算出し、2 群間で検討した。
【結果】35 例
中 30 例において 2D トラッキング法で適正な評価が行えた。心臓カテーテル検査の結果より 16 例にて有意狭窄(≧ 75%)を認め、残り 14 例に
て認めなかった。AI は狭窄群で増加し、B 群では変化を認めなかった。冠動脈狭窄検出の因子を多変量解析したところ、AI の増加およびエキ
スパートによる通常の壁運動評価が有意に関与していた。AI ratio のカットオフ値を 1.8 とすることで、虚血検出の感度及び特異度はエキスパー
トの通常の壁運動評価と同等となった。
【結語】冠動脈狭窄診断にはアシンクロニーの評価が有用である可能性が示唆された。
一般演題 6
硬化性大動脈弁狭窄症の初診断時での心事故リスク予測
手稲渓仁会病院 心臓血管センター循環器内科
村上 弘則、林 健太郎、渡辺 大基、武藤 晴達、佐々木晴樹、淺野 嘉一、宮本憲次郎、大本 泰裕、山口 康一、廣上 貢、
田中 繁道
【背景】硬化性大動脈弁狭窄症(AS)の初診断平均年齢は男 79 歳、女 80 歳と高齢で、手術適応判定に苦慮する(第 18 回心エコー図学会発表)た
め、将来心事故(心不全、失神)を発生しやすい高リスク患者の抽出は臨床的意義が深い。
【目的】硬化性 AS 初診断時点で将来の心事故発生予
測が可能かを調査する。
【方法】大動脈弁口面積(AVA)が 1.0cm2 未満の重症硬化性 AS のうち、左室心筋重量係数(LVMI)の測定と 50 日以上
の経過観察が可能であった 64 例(男 21 例、女 43 例、平均年齢 78 歳)を対象に、初診断時の心エコー諸指標(大動脈弁圧較差、左室容積係数、
左室駆出率、平均壁厚係数、総体血管抵抗、E/Ea)から経過観察中の心事故発生の予測が可能かを検討するため、それぞれ指標の中央値で 2 群
に分け心事故発生率を検討した。
【結果】経過中 17 例(27%)で心事故が発生した。79 歳以上の 50%(P < 0.001)
、
LVMI160g/m2 以上の 45%(P
< 0.05)で心事故が有意に多く発生したが、他の指標では差を認めなかった。
【考案】79 歳以上で LVMI が 160g/ m2 以上の重症硬化性 AS は将
来心事故を起こしやすく、弁置換が必要とされる可能性が高い。
̶ 102 ̶
一般演題 7
機能性大動脈弁逆流における大動脈弁および大動脈基部 geometry の定量的評価
川崎医科大学 循環器内科
今井孝一郎、渡邉 望、築地美和子、尾長谷喜久子、和田 希美、林田 晃寛、久米 輝善、山田亮太郎、根石 陽二、川元 隆弘、
豊田 英嗣、大倉 宏之、吉田 清
【背景】機能性大動脈弁逆流(Functional AR:FAR)は弁に器質的異常を認めず大動脈弁輪や大動脈基部に異常があるとされている。近年、自己弁を温存し大
動脈基部を再建する術式が増え解剖学的変化と病態の関連を解明する必
要性があるが FAR の成因について検討した報告は少ない。【目的】FAR
の成因について検討すること。【方法】対象は大動脈弁に器質的変化を
認めない重症 AR 患者 26 例(FAR group)と AR を認めなかった 10 例
(non-AR group)。経食道心エコー図長軸断面にて annular diameter,
sinus of Valsalva diameter, sinotubular junction diameter, ascending
aorta diameter, leaflet length, tip-sinotubular junction length, valve
coaptation length を計測し比較検討した(図)。【結果】FAR group では
sinus of Valsalva diameter, sinotubular junction diameter, tipsinotubular junction diameter が拡大し valve coaptation length は減少
していた(図)。【結論】FAR は sinus of Valsalva, sinotubular junction
の拡大に伴う valve coaptation の減少により生じると考えられた。
一般演題 8
The Long-term Echocardiographic Follow-up of Patients Underwent Chordal Cutting for Ischemic
Mitral Regurgitation
神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科
谷 知子、田辺 一明、片山美奈子、山根 崇文、北井 豪、民田 浩一、山室 淳、盛岡 茂文、古川 裕、岡田 行功
The purpose of this study was to investigate long-term efficacy of chordal cutting for ischemic mitral regurgitation(MR). Methods: We
studied 7 patients that underwent chordal cutting and ring annuloplasty for ischemic
MR. Left ventricular(LV)diastolic and systolic dimension(LVDd, LVDs), tenting area
and coaptation height were measured by transthoracic echocardiography. LV enddiastolic and end-systolic volume(EDV, ESV)and ejection fraction(EF)were
measured by the Simpson's method. Right ventricular systolic pressure(RVp)was
estimated by Doppler echocardiography. MR was semiquantitatively measured in color
Doppler echocardiography(0: none, 1: mild, 2: moderate, 3: severe). Results: As shown
in Table. The long-term result was excellent. Conclusions: The chordal cutting and ring
annuloplasty is a useful method.
一般演題 9
重症大動脈弁狭窄症例における Energy loss coefficient の臨床的意義に関する検討
川崎医科大学 循環器内科
久米 輝善、大倉 宏之、川元 隆弘、渡邉 望、根石 陽二、宮本 欣倫、今井孝一郎、山田亮太郎、吉田 清
【背景】大動脈弁口面積(AVA)はカテーテルを用いた Gorlin の式(AVAcath)や、心エコー・ドプラ法を用いた連続の式(AVAdop)から求め
られるが、両者の間に解離を認めることが臨床上しばしば経験される。AVA 解離の原因の一つとして、上行大動脈での圧回復現象が指摘され
ている。近年、この圧回復現象を考慮した energy loss coefficient(ELCo)が、AVAcath と一致し、非侵襲的に心エコー図で求められる新しい
指標として注目されている。
【方法】連続の式にて AVAdop が 1.0 cm2 以下の重症 AS 症例(年齢 71 ± 8 歳 , 男性 13 例、女性 20 例)を対象に、
心臓カテーテル検査にて AVAcath を計測。心エコー図にて ELCo[ELCo =(EOAdop × aortic cross − sectional area)/(aortic cross-sectional
area − EOAdop)] を計測し ,AVAcath との相関を検討した。また、ELCo が< 1.0 cm2 の A 群(26 症例)と、> 1.0 cm2 の B 群(7 症例)で自覚
症状の有無、心エコー図・カテーテル所見を比較検討した。 【結果】ELCo と AVAcath との間には良好な相関を認めた(r=0.749, p < 0.001)
。
、自覚症状の頻度も有意に低値であった A(14% vs
B 群で、A 群と比較し有意に AVAcath が高く(1.13 ± 0.29 vs 0.68 ± 0.18 cm2, p < 0.001)
81%, p=0.002)
。
【結語】重症 AS 症例中 21%に ELCo が 1cm2 より大きい症例を認め、そのような症例では有意に自覚症状の頻度が少なかった。
ELCo は上行大動脈内での圧回復現象を考慮した有用な指標と考えられた。
̶ 103 ̶
一般演題 10
大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁修復術の試み
1
東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科、2 東邦大学医療センター大橋病院 臨床生理機能検査部、
東邦大学医療センター大橋病院 心臓血管外科
大塚 健紀 1、鈴木 真事 1、大崎 司 2、土田 貴子 2、山下 祐正 3、林田 恭子 3、大関 泰宏 3、岡田 良晴 3、尾崎 重之 3、
杉 薫 1
3
【目的】硬化性大動脈弁狭窄症の外科的治療として通常大動脈弁置換術が行われる。我々は高度な大動脈弁狭窄症に対して弁修復術を施行した
ので報告する。
【方法】: 9 人の硬化性大動脈弁狭窄症と 5 人の大動脈二尖弁、計 14 人に対して自己心膜
を利用して形成した。年齢は 74 ± 9 歳で , 大動脈弁口面積 0.8 ± 0.2cm2, 左室と大動脈の圧較差は 81.5
± 19.7mm, 左室駆出率 70 ± 10%である。cusp1 枚のみ形成した例は 3 人 ,cusp 2 枚を形成した例は 2
人 ,cusp 3 枚とも全て形成した例は 9 人である。
【成績】術後の大動脈弁閉鎖不全(AR)の程度は、軽度
AR を認める症例が 4 例のみであった。術後の左室と大動脈弁の圧較差は 13.9 ± 6.1 mmHg であった。
この圧較差は大動脈弁置換術と比較すると有意に低値であった .(弁修復術 :13.9 ± 6.1 vs 弁置換術 32.6
± 15.1, N=14 vs N=37, p < 0.0001)
。
【結論】硬化性大動脈弁狭窄に大動脈弁修復術を行った。術後に残
存する圧較差は、弁置換術と比較して有意に低値であった。全例において再手術が必要となる様な AR
や弁の機能障害は認められなかった。
一般演題 11
肥大型心筋症における線維化の重症度と Tissue Velocity Imaging による心室中隔内ディスシンクロニーとの関係
国立循環器病センター 心臓血管内科
田中 旬、中谷 敏、天木 誠、神谷千津子、種池 里佳、田中 俊行、神崎 秀明、植田 初江、橋本 修二、北風 政史
【背景】肥大型心筋症(HCM)は組織学的に錯綜配列、細胞肥大、線維化を特徴とするが、その程度を明らかにするためには侵襲的手法である心
筋生検が必要である。
【目的】HCM 32 人と健常例 26 人において組織学的変化と心室
中隔内ディスシンクロニーとの関係を評価した。
【方法】カラー組織ドプラ法により
心尖部四腔像を描出し、心室中隔中部に設定した関心領域 6 部位において、Q 波か
ら収縮期最大速度までの時間(Ts)を計測した。Ts の標準偏差を Ts-SD とし心室中
隔内ディスシンクロニーの指標とした。組織学的変化度を三段階に分類した。
【結果】
Ts-SD は健常例に比し HCM で有意に大であった(11.6 ± 11.5 vs. 6.3 ± 4.1 ms, p <
0.05)
。さらに Ts-SD は線維化の程度と有意に相関(p < 0.05)したが、錯綜配列や細
胞肥大とは相関しなかった。
【結語】Ts-SD によって評価した心室中隔内ディスシン
クロニーは健常例に比し HCM で有意に大であった。Ts-SD を用いることで線維化の
程度を非侵襲的に評価できる。
一般演題 12
閉塞性肥大型心筋症の左室内同期不全および局所心機能に対するシベンゾリンの効果の検討
1
愛媛大学大学院 病態情報内科学、2 喜多医師会病院 循環器科、3 市立宇和島病院 循環器科
齋藤 実 1、岡山 英樹 1、西村 和久 1、倉田 聖 1、鈴木 純 1、大木元明義 1、大塚 知明 1、吉井 豊史 2、井上 勝次 2、
日浅 豪 2、住元 巧 2、濱田 希臣 3、檜垣 實男 1
(背景)我々は閉塞性肥大型心筋症(HOCM)においてシベンゾリンが左室流出路圧較差および左室拡張障害を軽減する事を報告した。HOCM の
収縮および拡張は共に時間的にも空間的にも不均一である事が報告されている。そこで今回我々は HOCM における左室内同期不全および局所
心機能に対するシベンゾリンの効果について検討した。
(方法)HOCM 患者 16 名(平均年齢 63 歳± 15 歳、男性 7 名)を対象とした。通常の心
エコーに加え、心尖長軸組織ドプラ像から心基部の前壁中隔と後壁の最大組織移動速度到達時間差(S-P delay)を左室内同期不全の指標として
測定した。また Speckle Tracking 法にて乳頭筋レベルの左室短軸像と心尖部 3 断面から心基部の中隔側および自由壁側の Radial strain(RS)と
Longitudinal strain(LS)を測定した。シベンゾリン(1.4mg/kg, 5min)投与後に同様の検討を行った。
(結果)シベンゾリン投与後、左室流出路
圧較差は有意に低下し(82 ± 62 to 29 ± 46 mmHg, P < 0.01)
、カラー M モード左室流入血流伝播速度(Vp)は有意に増加した(22 ± 15 to 38
± 16 cm/s, P < 0.01)
。S-P delay はシベンゾリン投与後、有意に低下した(42 ± 36 to 14 ± 35 ms, P < 0.01)
。LS は投与前後で有意な変化を認
めなかったが、中隔側の RS はシベンゾリン投与後、有意に低下した(32 ± 11 to 26 ± 13 %, P < 0.01)
。また S-P delay と Vp は有意な負の相
関関係を認めた(r=-0.50, P=0.005)
。
(結語)HOCM 患者においてシベンゾリンは左室内同期不全を改善し、それが拡張機能の改善と関連してい
る可能性が示唆された。
̶ 104 ̶
一般演題 13
拡張型心筋症における後負荷不適合と左室局所心筋の収縮予備能との関連性:2D speckle tracking 法による検討
神戸大学 医学部大学院 循環器内科
岡田真理子、川合 宏哉、福田 優子、則定加津子、辰巳 和弘、片岡 俊哉、大西 哲存、平田 健一
【目的】左室駆出率(EF)が改善した拡張型心筋症患者において、等尺性ハンドグリップ(HG)負荷・低用量ドブタミン(DOB)負荷心エコー図
法を用いて、安静時では判明しなかった潜在的な心機能障害を 2D speckle tracking(2DST)法により検討した。
【方法】EF が改善した DCM25
例に HG および DOB 負荷心エコー図検査を施行し標準的心エコー図指標に加え 2DST 左室短軸像より円周方向の収縮期最大ストレインレート
(SRcirc)を求めた。
【結果】全 25 例にて HG 負荷により EF ならびに SRcirc は有意に低下した(SRcirc:1.31 ± 0.28/s to 1.16 ± 0.33/s, p < 0.05)
。
全 25 例を HG 負荷による EF の低下度が 5%以上の A 群(13 例)と 5%未満の B 群(12 例)に分けたところ DOB 負荷前後の EF と DOB 負荷前
の SRcirc には 2 群間で有意な差を認めなかったが、
A 群における DOB 負荷後の SRcirc は B 群に比して有意に低値を示した
(1.20 ± 0.15/s vs 1.75
± 0.39/s, p < 0.005)
。
【結論】EF が改善した拡張型心筋症患者において HG 負荷による後負荷の増加によって左室全体ならびに局所心筋の収縮
能は低下した。DOB 負荷による心筋の反応性は収縮予備能を反映するが、後負荷増大により EF の低下がより大きい患者群において、DOB 負
荷による円周方向の局所心筋収縮予備能の低下を認めたことより、円周方向ストレインレートは心筋収縮予備能を反映する指標であることが示
唆された。
一般演題 14
肥大型心筋症における心筋の線維化とねじれの関係
1
兵庫医科大学 総合内科 循環器内科、2 西宮渡辺心臓血管センター
合田亜希子 1、中尾 伸二 2、辻野 健 1、弓場 雅夫 1、岡 克己 1、大塚 美里 1、松本 実佳 1、吉田千佳子 1、江角 章 1、
川端 正明 1、増山 理 1
背景:心臓の収縮・拡張運動に伴い長軸方向の捻転(ねじれ)が生じていることが古くから知られている。最近、心エコー図検査や心 MRI 検査
により心臓のねじれが評価できるようになり、このねじれが心臓の収縮・拡張能に大きく影響していることが明らかにされてきた。拡張型心筋
症など心機能の低下した症例ではねじれの程度が減少することが報告されている。一方、
肥大型心筋症(HCM)
においては心筋の錯綜配列により、
ねじれが低下すると考えられるが、MRI による報告では高血圧性の肥大心と同様にねじれが増強したと報告されている。本研究では HCM 患者
の心筋線維化とねじれの程度の関連性について検討した。方法: HCM10 例において心 MRI 検査と心エコー図検査を行った。MRI 上、遅延造
影(DE)を呈する心筋の重量を求め、左室全体の重量(LV mass)で除することにより、% DE mass を算出した。心エコー図検査では、心基部・
心尖部レベルの左室短軸像を記録し、2D スペックルトラッキング解析ソフトによりオフライン解析を行った。心筋内膜のねじれ角度を計測し、
心尖部から心基部の角度を引いて全体のねじれ角度を算出した。結果:% DE mass とねじれの程度は負の相関を示し、左室の線維化が強いほ
どねじれが小さかった
(r=-0.59,p < 0.05)
。% DE mass は E/E' と相関を示し、
線維化が強いほど左室拡張能の低下が認められた
(r=0.44,p < 0.05)
。
結論:肥大型心筋症において左室のねじれの程度は心筋の線維化が強いほど低下し、左室のねじれをみることにより肥大型心筋症の線維化の程
度を評価することが可能であると考えられた。
一般演題 15
心筋ストレインプロフィールを用いた心臓サルコイドーシスの評価
国立循環器病センター 心臓血管内科
田中 俊行、中谷 敏、神崎 秀明、天木 誠、田中 旬、北風 政史
心内膜心筋生検による診断率は高くない。これは一部にはサルコイドー
【目的】心臓サルコイドーシスの診断には組織病変の証明が重要であるが、
シス病変が必ずしも心内膜側から進展しないことによると考えられる。組織ドプラ法に基づいて得られる心筋ストレインプロフィール(TMSP)
からみた心臓サルコイドーシスの特徴について検討した。
【方法】対象は心臓サルコイドーシスと診断された 14 人(64 ± 8 歳)と正常例 14 人(59
± 13 歳)
。東芝社製 Aplio を用い、心基部および乳頭筋レベルの左室短軸像においてカラー組織ドプラ法を施行、解析ソフト Echo Agent を用
いて収縮末期における下側壁の TMSP を求めた。さらに収縮末期の壁の中点で内膜層、
外膜層に分け、
各層のストレイン値の平均を算出した。
【成
績】正常例では TMSP は 1 峰性を示し、ストレインの平均値は内膜層、外膜層共に正であった。しかし心臓サルコイドーシス例では 14 例中 8
例は 2 峰性を示し、うち 4 例では外膜層でストレインの平均値が負であった。ピークストレイン値、内膜層、外膜層の平均ストレイン値はそれ
ぞれ正常例と比べ有意に低かった(0.91 ± 0.07 vs.1.18 ± 0.07、0.59 ± 0.06 vs.0.83 ± 0.06、0.28 ± 0.04 vs.0.41 ± 0.04、すべて p < 0.01)
。
【結論】
心臓サルコイドーシス例では TMSP は明らかに正常例と異なっていた。数例で外膜層のストレインが陰性値であったが、これは同部位で心筋が
収縮期にストレッチされていることを意味し心病変が主に外膜側から侵されている事を示していると考えた。
̶ 105 ̶
一般演題 16
陳旧性心筋梗塞症における前負荷増大時の心反応性には左房機能が関与する:左房容積曲線を用いた検討
1
徳島大学病院 診療支援部、2 徳島大学病院 循環器内科
西尾 進 1、山田 博胤 2、楠瀬 賢也 2、添木 武 2、河野 裕美 1、平岡 葉月 1、佐藤 光代 1
【背景】下肢挙上や輸液負荷による前負荷増大の心反応性を僧帽弁口血流速波形(TMF)の変化により層別化することで,予後を予測できるとの
報告がある.陳旧性心筋梗塞(OMI)においてこのような前負荷増大時の心反応性は左室拡張能に規定されると考えられており,左房機能の関
与はあまり論じられていない.我々は左房リザーバー機能もその反応性に少なからず関与していると考え,その仮説を検証した.
【方法】TMF
が relaxation failure pattern(RF)を示す OMI 例 32 例(年齢 69 ± 5 歳)および基礎心疾患の無い年齢を一致させた Control 群 10 例(年齢 66 ±
8 歳)を対象とした.全例に対して経胸壁心エコー検査を施行し,左房心内膜を自動トラッキングさせるために開発したソフトウェアを用いて得
られた左房容量曲線から LA expansion index,収縮期左房容積増加速度(dV/dtS)を求めた.また,下半身陽圧負荷(LBPP)を行い前負荷増大
による TMF の変化を検討した.
【結果】1)LBPP によってコントロール群では全例で TMF の E,A 両波が増高したが,OMI 群では 18 例で E,
A 両波の増高を認め(Stable RF; SRF)
,14 例で E 波の増高と A 波の減高を認めた(Unstable RF; URF)
.2)SRF 群と URF 群の間に年齢,E/A,
左室駆出率,E/e',e',BNP に有意差を認めなかった.URF 群の a',LA expansion index,dV/dtS は SRF 群と比べて有意に低値であった.
【結
語】前負荷増大により LVEDP が著明に上昇する URF 群はそうでない SRF 群と比べ,左室側因子に差を認めないものの,左房リザーバー機能
の低下が示唆された.OMI における前負荷増大に対する心反応性には左房機能も関与していることが考えられた.
一般演題 17
Speckle-tracking imaging 法を用いた左房収縮時左室ストレインレートと左室拡張末期圧との関連
1
総合守谷第一病院 臨床検査部、2 筑波大学 人間総合科学研究科 循環器内科、3 総合守谷第一病院 循環器内科
山田真喜子 1、瀬尾 由広 2、石津 智子 2、小沼 清冶 1、遠藤 優枝 3、青沼 和隆 2
【背景】左室拡張末期圧(LVEDP)は、受動的左室拡張すなわち左室コンプライアンスと関連する。この受動的左室拡張時に心筋壁厚も変化し、
左室コンプライアンスと関連している可能性がある。
【目的】Speckle-tracking imaging(STI)法を用いて左房収縮時左室ストレインを計測し、
LVEDP および左室流入血流速波形との関連について検討すること。
【方法】カテーテル検査にて LVEDP を測定した 30 例(狭心症 20 例、心不
全 5 例、弁膜症 3 例、他 2 例)を対象とした。局所壁運動異常、非洞調律、有意な僧帽弁疾患症例は除外した。心エコー図は東芝社製 Aplio を
用い、左室中部短軸断面像において STI 解析を行った。左房収縮時の左室壁変化は global peak circumferential strain-rate(A-SR)値により評
価した。
【結果】A-SR と LVEDP は有意な負の相関を示した(r=-0.65,p < 0.001)
。左室流入血流速波形により E/A < 1(n=16)と E/A ≧ 1(n=14)
の 2 群に分けると、E/A < 1 群では A-SR と LVEDP は相関しなかったが、E/A ≧ 1 群で有意な負の相関を示した(r=-0.77,p=0.001)
。更に E/A
≧ 1 群において A-SR 0.5 をカットオフ値として LVEDP15mmHg 以上を予測する感度は 89%、特異度は 60% であった。
【結論】A-SR は LVEDP
と有意な相関を示し、特に E/A ≧ 1 を示す症例で LVEDP 上昇の検出に有用であった。従って、STI 法による左房収縮時左室ストレインレート
の評価が新たな左室拡張末期圧推定法となる可能性が示唆された。
一般演題 18
2 型糖尿病例における長軸、短軸、円周方向収縮能および収縮同期性の評価:2 次元スペックルトラッキング
法による検討
1
札幌医科大学 医学部 第二内科、2 札幌医科大学 医学部 臨床検査医学、3 札幌循環器病院
村中 敦子 1、湯田 聡 2、舟山 真希 1、土井 崇裕 1、山本 均美 1、金子 尚史 1、下重 晋也 1、橋本 暁佳 1、土橋 和文 1、
長尾 和彦 3、続 雅博 3、若林 央 3、渡辺 直樹 2、島本 和明 1
【背景】2 次元スペックルトラッキング(2DS)法は、角度依存性なく、長軸のみならず短軸、円周方向の収縮能や収縮同期性の評価が可能である。
2 型糖尿病(DM)例における、長軸方向の収縮能障害、収縮同期不全(dyssynchrony)は報告されているが、短軸、円周方向の収縮能障害、
dyssynchrony の有無は不明である。
【目的】2DS 法により、DM 例における左室長軸、短軸、円周方向の収縮能、収縮同期性を評価し、収縮能
障害、dyssynchrony の有無を検討すること。
【方法】高血圧を合併しない DM15 例(年齢 65 ± 13 歳、男性 8 名、平均 HbA1c 9.1 ± 2.1%)と、
年齢を一致させた健常人 20 例(年齢 65 ± 9 歳、男性 9 名)を対象に、心エコー図検査と 2DS 法を施行した。左室長軸三断面の心基部、中部計
12 領域の長軸方向の収縮期最大ストレイン(Ls)
、および僧帽弁レベルの左室短軸像 6 領域の短軸(Rs)と円周方向(Cs)の収縮期最大ストレイ
ンを計測し平均化した。ECG 上の Q 波から各方向の最大ストレインまでの時間を測定し、その標準偏差を平均値で除した変動係数(CV)を収
縮同期性の指標として求めた(各々 Lcv、Rcv、Ccv)
。
【結果】2 群間において、E/A、左室駆出率、心筋重量係数は差を認めなかった。DM 例
では健常例に比べ Ls(-16.2 ± 3.0 vs. -18.2 ± 2.3%、p < 0.05)と Rs(47.8 ± 21.7 vs. 67.4 ± 17.2%、p < 0.05)の有意な低値を認めたが、Cs は差
を認めなかった。DM 例では Rcv(8.7 ± 6.1 vs. 4.5 ± 5.1%、p < 0.01)の高値を認めたが、Lcv、Ccv は差を認めなかった。
【結論】心肥大を認
めない DM 例において、長軸方向の収縮能障害および短軸方向の収縮能障害と dyssynchrony が存在し、その検出に 2DS 法が有用であった。
̶ 106 ̶
一般演題 19
左脚ブロック症例における中隔壁運動と心機能との関連
1
筑波大学附属病院 検査部、2 筑波大学 循環器内科
亀谷 里美 1、瀬尾 由広 2、石津 智子 2、中島 英樹 1、飯田 典子 1、酒巻 文子 1、稲葉 武 1、町野 智子 1、川村 龍 2、
青沼 和隆 2
【背景】左脚ブロック(LBBB)では様々な中隔壁運動を認めるが、中隔壁運動と左室機能の関連は明らかでない。
【目的】LBBB を伴う心機能低
下症例において、心室中隔壁運動パターンと左室収縮機能との関連を検討すること。
【方法】対象は LBBB を伴う心機能低下例 21 例である。左
室収縮機能はミラーカテーテルで計測した最大 +dP/dt により評価した。左室中部短軸断面において、スペックルトラッキング法を用いて radial
strain 解析を行った。Radial strain- 時間曲線により、中隔壁収縮パターンを 2 種類に分類した。パターン A は radial strain 値が収縮早期に正の
値を示すが、その後に負の値に転じるもの、そしてパターン B は radial strain 値が収縮期を通して正の値を示すものと定義した。また、中隔最
早期収縮部位と自由壁最遅延部位間の収縮期 peak radial strain の時間差(Td)を心室内 dyssynchrony の指標とした。
【結果】パターン A は 9
例(EF30%)
、そしてパターン B は 12 例(EF28%)認められた。最大 +dP/dt はパターン A が 640 ± 171mmHg/s、そしてパターン B が 881 ±
196mmHg/s で、パターン A 群で左室収縮機能低下が顕著であった(p=0.008)
。一方、Td はパターン A が 372 ± 25ms、そしてパターン B が
334 ± 48ms で、パターン A 群で dyssynchrony が強い傾向が認められた(p=0.06)
。
【結論】LBBB を伴う心機能低下症例において心室中隔壁運
動パターンと左室収縮機能との関連が示唆された。
一般演題 20
Endomyocardial and Epimyocardial Radial Strain in Hypertensive Patients With Electrocardiographic
Strain Pattern
和歌山県立医科大学 循環器内科
中村 信男、平田久美子、竹本 和司、松本 啓希、柏木 学、辻岡 洋人、大河内啓史、池島 英之、有田 祐、黒井 章央、
上野 悟史、片岩 秀朗、谷本 貴志、北端 宏規、財田 滋穂、水越 正人、田中 篤、今西 敏雄、赤阪 隆史
Background: Endomyocardium contributes more than epimyocardium to systolic wall thickening. However, it remains unclear whether the
ratio of endomyocardial to epimyocardial radial strain(RS)alters in hypertensive patients with electrocardiographic strain pattern(ECGS).
Methods: Echocardiography was performed in 17 hypertensive patients. Patients were divided into 2 groups: 9 patients with ECGS
(Strain G)
and 8 without(No-Strain G). Endomyocardial and epimyocardial RS were calculated in posterior segments of left ventricular short-axis view
and compared between 2 groups. Results: Thickness of the left ventricular posterior wall and left ventricular mass index in Strain G were
significantly greater than those in No-Strain G(13.1 ± 2.4vs10.1 ± 1.0mm, 136.0 ± 31.5vs99.6 ± 22.1g/m2, p < 0.05, respectively).
Furthermore, within No-Strain G, endomyocardial RS was significantly greater than epimyocardial RS(51.6 ± 18.9vs23.3 ± 18.8%, p < 0.05).
However, there was no significant difference between endomyocardial and epimypcardial RSs within Strain G(33.9 ± 17.2vs26.8 ±
13.9% ,p=0.45). Endomyocardial/epimypcardial RS in Strain G was significantly lower than that in No-Strain G(1.38 ± 0.78vs.3.14 ± 1.73, p
< 0.05). Conclusion: In hypertensive patients with ECGS, the predominance of endomyocardial RS compared with epimyocardial RS is
attenuated with the progression of left ventricular hypertrophy.
一般演題 21
小児期における E/e' の加齢による変化の検討
1
自治医科大学 小児科、2 自治医科大学附属さいたま医療センター小児科
佐藤 麻美 1、市橋 光 2、白石裕比湖 1
【目的】小児領域における E/e' の加齢による変化を検討する。
【方法】対象は当院で心エコー検査をした患者のうち、心機能が正常で心負荷がな
いと考えられた 59 例(年齢 0.5 ∼ 16 歳)である。超音波診断装置は GE 社製 Vivid 7 で、心尖部四腔断面において、血流表示ドプラ法により左
室および右室の流入血流速度波形を記録した。また、サンプルボリュームを心室中隔側および左室側壁側の僧帽弁輪部と右室側の三尖弁輪部に
置き、それぞれの部位の組織ドプラ波形を記録した。得られた波形から、左室流入血流速度波形の E 波と左室中隔側および側壁側の組織ドプラ
波形 e' の比 Sep E/e', Lat E/e'、右室流入波形の E 波と右室の組織ドプラ波形 e' の比 RV E/e' を求めた。
【成績】左室の E 波は右室のそれより
大きかった。左室の E 波は 5 歳まで増加し、その後は一定となった。右室の E 波は一定を保った。e' は左室側壁、右室、左室中隔の順に大きかっ
た。左室側壁側 e' は 5 歳まで増加し、その後は一定となった。左室中隔側と右室の e' は一定を保った。Sep E/e', Lat E/e', RV E/e' の値はそれ
ぞれ 9.30 ± 2.09, 6.04 ± 1.61, 4.35 ± 1.24 であった。Sep E/e' と Lat E/e' は乳児期に高く、その後は一定となった。RV E/e' は、始めから一定を
保った。
【結論】E, e', E/e' は乳幼児期に左室側で加齢変化を認めたが、右室側では一定であった。 ̶ 107 ̶
一般演題 22
Automated 2-Dimensional Tissue Tracking 法による左房壁運動の評価:健常者における検討
1
鹿児島大学医学部保健学科、2 鹿児島大学大学院循環器呼吸器代謝内科学、3 鹿児島大学病院検査部
木佐貫 彰 1、桑原 栄嗣 2、仲敷 健一 2、河野美穂子 2、植村 健 2、窪田佳代子 2、水上 尚子 3、野口 慶久 3、寺岡 幸美 3、
澤田 七瀬 3、内村 友則 3、吉福 士郎 2、鄭 忠和 2
【目的】左房壁運動の解析により健常例における左房機能の変化を評価する。
【方法】16 例の健常者(19-73 歳)を対象にして、心尖部四腔断面を
描出し High Frame Rate の動画像を記録した。Automated 2-Dimensional Tissue Tracking 法を用いて左房壁の Circumferential Strain 解析を
行った。収縮末期の最大 Strain 値、拡張早期 Strain 値、心房収縮による Strain 値を求めた。それぞれの Strain 値を年齢、Biplane Area
Length 法による左房容量、ドプラ法による左室拡張機能の指標と比較した。
【成績】左房 Circumferential Strain 曲線は収縮期に最大となり、拡
張早期と心房収縮期に減少する左房容量に類似した波形を呈した。収縮末期 Strain 値は 37 ± 14%(18-66%)
、拡張早期 Strain 値は 22 ± 9%
(7-40%)
、心房収縮期 Strain 値は 14 ± 8%(4-31%)であった。収縮末期最大 Strain は左房容量との間に有意な負の相関を示した(r = -0.529、p
< 0.04)
。拡張早期 Strain は左室流入血流拡張早期波の減速時間との間に有意な負の相関を示した(r = -0.619、p < 0.01)
。心房収縮 Strain は年
齢(r = 0.588、p < 0.02)と左室流入血流の心房収縮期血流最大速度(r = 0.714、p < 0.002)との間に有意な正相関を示した。
【結論】左房
Tissue Tracking 法による Circumferential Strain 曲線は左房機能の新しい指標となりうることが示唆された。
一般演題 23
年齢が左房機能に与える影響:2D speckle tracking echocardiography(2DSTE)による評価
1
産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科、2 多根総合病院 生理機能検査部、3 フィリップスメディカルシステムズ、
シカゴ大学医学部付属病院 エコーラボ
岡松 恭子 1、竹内 正明 1、中井 博美 1、西蔭 朋子 2、サルゴ アイバン 3、フッソン ステファン 3、ラング ロベルト 4、尾辻 豊 1
4
背景:年齢は左房機能に影響を及ぼす。目的:左房機能に及ぼす年齢の影響を、2DSTE を用いて検討すること。方法:対象は健常者 81 例(14-69
歳)
。心尖四腔像における左房壁を 2DSTE によりフレーム毎にトラッキングし、左房容
量 曲 線 を 得 た。 最 大、 最 小、 左 房 収 縮 直 前 の 左 房 容 量(LAVmax、LAVmin、
LAVpre-A) を 計 測 し た。Passive emptying % of total emptying(PE) 及 び Active
emptying % of total emptying(AE)を算出した。結果:全例で左房容量曲線が得られた。
2DSTE と用手的トレース法による左房容量間に有意な相関を認めた(LAVmax: r=0.94, p
< 0.001, LAVmin: r=0.86, p < 0.001)
。PE 及び AE は年齢と有意に相関した(r=0.74, p
< 0.001)
。結論:年齢は左房の conduit、booster 機能に影響を及ぼす。2DSTE による左
房壁のトラッキングは、左房機能の評価に有用であると考えられた。
一般演題 24
Right Ventricular Deformation in HLHS Assessed by Two-Dimensional Speckle Tracking Imaging
(2DSTI)
長野県立こども病院 循環器科
瀧聞 浄宏、里見 元義、安河内 聰、梶村いちげ、武井 黄太、松崎 聡
Background: The aim of this study is to clarify characteristics of right ventricular(RV)contractile deformation in hypoplastic left heart
syndrome(HLHS). Methods: Seven patients in HLHS(age; 3 months-4 years, mean 1.5 years)and 11 healthy children(N; age; 1 moth-5
years, mean 2.4 years)were enrolled in this study. We analyzed the ventricular twist and myocardial strains of three directions
(circumferential, longitudinal and radial strain)between RV in HLHS and LV in N, using 2DSTI. Peak systolic ventricular twist was defined
as the net-difference of ventricular rotation at basal and apical short axis planes. The averaged radial and circumferential strain(SR, SC)
were obtained from 6 segments in the mid short axis plane, as the averaged longitudinal strain(SL)from 6 segments in the four chamber
plane. Results: In N, LV twist was observed counterclockwise greatly than RV twist in HLHS(0.7 ± 3.4 vs 10.7 ± 4.0deg, p < 0.001). SR
and SC in HLHS were decreased to 41% and 62% of those in N, respectively(SR; 26.6 ± 19.8 vs 63.1 ± 18%, p < 0.001, SC; -11.4 ± 8.3 vs -18.6
± 9.1%, p < 0.001), while, SL in HLHS was maintained the level at 82.4% of SL in N(-16.9 ± 5.5 vs -20.5 ± 5.3%, p < 0.01). Conclusions: In
patients with HLHS, longitudinal shortening plays an important role for right ventricular contractile mechanics, but not short axial
deformation and ventricular twist.
̶ 108 ̶
一般演題 25
左室流入血流と僧帽弁輪運動の拡張期時相解析による左室充満圧上昇の推定:デュアルドプラシステムを用いた検討
1
山口大学大学院 器官病態内科学、2 山口大学医学部附属病院 検査部
和田 靖明 1、村田 和也 2、田中 健雄 1、野瀬 善夫 1、木原 千景 1、深川 靖浩 1、吉野 敬子 1、須佐 建央 1、國近 英樹 1、
松﨑 益德 1
【目的】左室流入血流(TMF)と僧帽弁輪運動(MAM)の拡張早期最大速度の比(E/E')による左室充満圧評価が困難な症例における TMF と
MAM の 拡 張 期時 相 解 析 の 有 用 性について 検 討 する。
【 方 法 】dual Doppler system
(HITACHI-EUB7500)を用いた同一心周期内における TMF と MAM の同時記録と心房
収縮前左室拡張期圧(LVP-preA)を同日に記録し、8 ≦ E/E' ≦ 15 であった 20 例を対象
とし、E/E' および E 波開始点と E' 波開始点の時間差を RR 間隔にて補正した値(Δ T)
を測定した。
【結果】E/E' と LVP-preA の間に有意な相関はみられなかった(r=0.10,
p=0.72)が、Δ T と LVP-preA の間には有意な正 相関(r=0.65, p < 0.01)を認めた。
Receiver operating characteristic 解析より、E/E' > 8.6、Δ T > 32ms0.5 を至適 cutoff 値
を し た LVP-preA 上 昇( > 12mmHg) を 診 断 す る 感 度、 特 異 度 は そ れ ぞ れ
63% ,50% ,88% ,92%であった(下図)
。
【結論】E/E' による左室充満圧評価困難症例にお
いて、dual Doppler system を用いた TMF と MAM の拡張期時相解析が左室充満圧評
価に有用であることが示唆された。
一般演題 26
身体抑制ストレスによる壁運動異常の局所差:ラットでの検討
大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座
内田 雅宏、西川 理沙、白髭 健太、浅沼 俊彦、石藏 文信、別府慎太郎
【背景・目的】ラットにおいて情動ストレスによる心機能低下を報告してきた。今回は、壁運動異常の局所差を評価した。【方法】SD ラット 6 匹を対象にストレ
スとして四肢の固定による 30 分間の身体抑制を行い、その直後麻
酔を投与、60 分間 10 分毎に心機能評価を行った。左室全体の機
能を見るために面積変化率(FAC)を、局所の壁運動評価のため
に左室短軸を 6 セグメントに分割し壁厚増加率(% WT)を測定し
た。【結果】麻酔 20 分後 FAC はストレス極期に比べて有意に低下
し(59 ± 3 vs. 88 ± 8% , p < 0.0001)、60 分後には 20 分後に比べ
て有意に回復した。6 セグメントの% WT は前壁中隔と前壁の測
定結果の再現性が高かったので、この 2 セグメントを対象とした。
ストレス極期では前壁中隔、前壁ともに高く、両部位に有意な差
は認められなかったが、麻酔 20 分後前壁中隔は前壁に比べて有
意に低下した(44 ± 11 vs. 68 ± 14% , p < 0.05)。そして、60 分
後には前壁中隔と前壁との有意差は認められなくなった。【結語】
身体抑制による情動ストレスにより壁運動異常の局所差が生じる。
一般演題 27
左室補助人工心臓装着患者に生じた循環不全の原因検索 ̶心エコー検査の有用性について̶
1
国立循環器病センター 生理機能検査部、2 国立循環器病センター 心臓血管内科、3 国立循環器病センター 臓器移植部
橋本 修治 1、中谷 敏 2、加藤 倫子 3、住田 善之 1、小川 章夫 1、幸山佳津美 1、仲宗根 出 1、増田 喜一 1、中谷 武嗣 3
背景・目的:左室補助人工心臓(LVAS)は、心臓移植を待つ末期心不全患者に対して広く用いられており、その補助期間も長期化する例が多い。
その中で、LVAS 補助中に循環不全に基づいた低心拍出症候群(LOS)を発症する患者も存在している。そこで、LOS の原因検索が心エコー検
査で可能か否かについて検討した。結果:1998 年 5 月から 2007 年 4 月までに LVAS を装着した 78 人の患者(補助期間 8 ∼ 1444 日、平均 397 日)
を対象に、心エコー検査で記録した 174 回分のデータを retrospective に検討した。16 例で LOS を発症し、その全例で経胸壁心エコーにより
LOS の診断に有意義な情報が得られた。その中、15 例は術後半年以上経過後に LOS を発症した。その内訳として、6 例は大動脈弁閉鎖不全が
新たに発症または増強が認められ、3 例は脱血管への仮性腱索の吸込みによる脱血不良が認められ、2 例に送血管の屈曲による送血不良が観察
された。7 例は高度右心不全が認められた。考察: LVAS 例において術後経過中に LOS が認められ、
その原因検索を行う場合には通常の心エコー
スクリーニング項目だけではなく、解剖学的構造異常がないかどうか心臓全体を詳細に観察する必要がある。事実、LVAS の脱血管および送血
管の走行、状態を綿密にチェックすることにより異常所見が認められ、LOS に対する対処が可能であった。したがって、心エコー検査により定
期的に経過観察を行うことが LOS の出現およびその原因を速やかに解明できるのではないかと考えられた。結語:LVAS 装着患者の LOS は心
エコー検査で診断可能であり、治療方針に結びついた。経胸壁心エコー検査は、LVAS 患者における LOS の原因検索に有用である。
̶ 109 ̶
一般演題 28
拡張型心筋症においても左室拡張期圧の推定に拡張期グローバルストレインレートは有用であるか?
岡山大学 医学部 循環器内科
杜 徳尚、谷口 学、渡辺 修久、田邊 康治、中村 一文、永瀬 聡、岡 岳文、草野 研吾、大江 透
背景:左室拡張期圧の推定には左室早期流入波と僧帽弁輪早期移動速度の比(E/Ea)や左房容積が用いられている。近年、左室早期流入波と
2D スッペクルトラッキングより求められる等容拡張期グローバルストレインレートの比(E/SRIVR)も左室拡張期圧の推定に有用であると報告さ
れ、特に左室収縮の保たれている症例や局所壁運動異常のある症例では既存の指標より有用である。そこで今回、左室収縮力が低下し局所壁運
動異常のない拡張型心筋症においても E/SRIVR が E/Ea や左房容積と比較し、左室拡張期圧の推定により有用であるかを検討した。方法:計 28
例の拡張型心筋症患者を対象とした。全例に心エコー図と血清 BNP 測定、肺動脈楔入圧(PCWP)測定を行った。2D スッペクルトラッキング
を用いて心尖部 4 腔像、3 腔像、2 腔像の 3 断面で等容拡張期の最大グローバルストレインレートを求め、その平均値を SRIVR として用いた。パ
ルス組織ドプラ法より E/Ea を求め、左房容積は modified Simpson 法を用いて算出し体表面積で補正した(LAVi)
。結果:E/SRIVR、E/Ea、
LAVi はいずれも BNP(すべて p < 0.05)
、mean PCWP(すべて p < 0.01)と有意な相関を認めた。Receiver Operating Characteristic 解析から
E/SRIVR では mean PCWP が 15mmHg 以上の患者を特異度 82%、感度 75%(Area Under the Curve 0.83)で識別できたのに対し、E/Ea では
86% と 70%(0.83)
、LAVi では 79% と 70%(0.77)で識別できた。結語:E/SRIVR は左室収縮力が低下し局所壁運動異常のない拡張型心筋症でも
左室拡張期圧の推定に有用であると考えられた。しかし、左室拡張期圧が上昇した患者の診断に関しては LAVi より良好であるものの E/Ea と
は同等であった。
一般演題 29
リアルタイム 3D エコーを用いた Left Ventricular Mechanical Dyssynchorony の評価:
組織ドプラ法との併用効果
府中病院 循環器科
岩田 真一、太田 剛弘、西山 祐善、紙盛 公男、柳 志郎
内科治療抵抗性の重症心不全(NYHA3、4)で QRS 幅> 120ms に対し心臓再同期療法(CRT)の有用性が報告される。しかし CRT 施行例の
1/3 で有効でないとされ非同期の判定法が課題である。心エコーは非同期を直接評価可能で TDI の心筋移動速度での評価が普及してるが、リア
ルタイム 3D エコー法(RT3D)を用いた非同期評価が新たな方法として期待される。
【方法】び漫性左心機能低下(EF < 35%)を認める 22 例と
正常 12 例を RT3D で左室容積を求め、分画ごとの容積変化(Tmsv)を容量曲線で表示し左室 16、12 分画の容積変化タイミングの標準偏差を
RR で補正した Tmsv%、その最小時間(Dif)を求め TDI の Bax ndex、Yu index、Displacement と比較した。3D 装置は iE33、Sonos7500 を
用いた。同時に Aplio で心尖部 4 腔、2 腔、3 腔像の TDI 計測し Yu、Bax index など算出した。EF < 35%の症例で視覚的に非同期例(A 群)
と認めない例(B 群)と正常例(N 群)を比較した。
【結果】RT3D による左室容積曲線は 94%で解析可能だった。RT3D で心機能低下した非同期
Dys(+)例と Dys(-)の EF に有意差ないが正常例と比べ低く(平均 27、28、64%)
、LVDd、EDV 拡大した。Tmsv 12-SD(% R-R)は Dys(+)
例で 6.0 ± 4.9、Dys(-)例で 1.3 ± 0.42、正常例で 0.83 ± 2.1。Tmsv 12-SD(Dif)は各々 134 ± 76、31.7 ± 10、27.0 ± 9.5 だった。TDI 陽性の基
準を Yu、Bax index、Displacemnt のいずれか 2 項目異常の場合とすると Dys 認める A 群で RT3D と TDI 共に陽性例は 89%、B 群で共に陰
性例は 71%だった。
【結語】重症心不全に有用な CRT 適応で RT3D による容積変化タイミングに注目した新たな指標は TDI 指標と比べ陽性一
致率は良好だった。CRT の responder 判定に TDI と RT3D 判定の総合評価は有用と思われた。
一般演題 30
心臓再同期療法が僧帽弁テザリングに与える効果について ̶経胸壁心エコー図による検討
神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科
北井 豪、谷 知子、安 珍守、金 基泰、山根 崇史、江原 夏彦、尾田 知之、片山美奈子、民田 浩一、加地修一郎、
山室 淳、田辺 一明、盛岡 茂文、古川 裕
【目的】CRT 植込み前後での経胸壁心エコー図(TTE)に
【背景】難治性心不全の治療として心臓再同期療法(CRT)の有用性が報告されている。
おける各パラメーターを評価し、左室容量・形態と僧帽弁の形態について検討すること。
【方法】対象は、当院で CRT を施行した低心機能患者
11 例。CRT 施行前と 3-6 ヶ月後に TTE を施行し、左室拡張末期容積(EDV), 収縮末期容積(ESV), 左室駆出率(EF),Tenting height, Tenting
area, Sphericity index を計測した。Tenting area は心尖部四腔像で僧帽弁輪を結ぶ線と僧帽弁前尖と後尖で囲まれる領域とした。
【結果】CRT
前後では、EF(27 ± 11 vs 35 ± 12 %, p=0.57; CRT 前 vs. 後), EDV(53 ± 142 vs 47 ± 12 ml, P < 0.05), Tenting height(0.8 ± 0.4 vs 0.6 ±
± 0.3 cm, P < 0.05), Tenting area(1.9 ± 1.3 vs 1.0 ± 0.5 cm2, P=0.07), Sphericity index(0.6 ± 0.1 vs 0.6 ± 0.1, P=0.60)であった。ESV の
、Tenting area の変化量とも有意に相関が見られた(R2=0.413, P < 0.05)
。
変化量と Tenting height の変化量は有意に相関し(R2=0.412, P < 0.05)
【結論】CRT による左室容量の減少は僧帽弁テザリングの改善に寄与していると考えられた。
̶ 110 ̶
一般演題 31
拡張早期 Strain Rate を用いた運動負荷誘発性心筋虚血の定量評価:Tc99m 心筋シンチグラフィーとの比較
1
福島県立医科大学 医学部 臨床検査医学 / 第一内科、2 福島県立医科大学 医学部 第一内科
高野 真澄 1、及川 雅啓 2、大竹 秀樹 2、丸山 幸夫 2
【背景】これまで我々は組織ドプラー法による拡張早期 strain rate(SR)の運動負荷前後の変化が、運動負荷後誘発性心筋虚血診断に有用である
ことを報告してきた。しかし、2D tracking 法による SR の定量評価が、心筋虚血診断に有用か否かについては明らかでない。
【目的】2D speckle
tracking 法により求めた拡張早期 SR の運動負荷後の変化が、運動負荷後に遷延する心筋虚血を定量評価可能か検討すること。
【対象】対象は虚
血性心疾患を疑い、運動負荷 Tc- 心筋シンチグラフィーを施行した 36 例。
【方法】運動負荷心筋シンチグラフィーと同時に、安静時及び運動負
荷 10 分後の胸骨左縁左室短軸像の 2D 画像収集を行った(東芝社製 Aplio 80TM)
。試作ソフトを用いて、2D tracking 法による左室 radial
strain rate(SR)を求め、拡張早期最大 SR(max-SRe)を求めた。さらに運動負荷前後における max-SRe の変化(change of max-SRe)をカラー
マッピング表示した。左室短軸像を 6 分画に分割し、各分画における change of max-SRe の平均値を求め、Tc- 心筋シンチグラフィー所見と比
較検討した。
【結果】全 216 分画のうち 176 分画(81.5%)が解析され、40 分画は画質不良のため除外された。ROC 曲線により、心筋シンチによ
る心筋虚血部位を同定するための change of max-SRe のカットオフ値は -0.028 であり、この時曲線下面積 0.863(95% CI 0.78-0.946)
、感度
77.3%、特異度 76.3% であった。
【結語】Change of max-SRe を用いることにより、運動負荷誘発性局所拡張能障害の遷延を検出可能であり、本
法は心筋虚血の定量評価法として有用である。
一般演題 32
Visualization of Slow Flow in Left Atrium by Optical Flow Method
1
東北大学 大学院 医工学研究科、2 福島大学共生システム理工学類
西條 芳文 1、田中 明 2
Very slow flow in left atrium(LA), often observed with spontaneous echo contrast(SEC), is one of high risk signs of thrombosis leading
to stroke. However, the blood flow velocity is slower than lower limit of Doppler method in such cases. We developed a novel imaging
method showing slow blood flow vector in LA based on
optical flow method.A movie of LA with SEC in a patient
with atrial fibrillation was recorded by conventional
transesophageal echocardiography. The 2D blood flow
velocity was calculated by computing a least squares
estimate of the intensity gradients. The figure shows the
direction (left) and the maximum value (right)
distribution of the 2D blood flow.The method was
independent on the angle between flow and ultrasonic
beam and it successfully showed the 2D blood flow slower
than 1 cm/s. The method should provide information on
LA wall shear stress related to thrombosis.
一般演題 33
左室内膜 twist と外膜 twist の計測:高血圧心と正常心との比較
国立循環器病センター 心臓血管内科
天木 誠、中谷 敏、神崎 秀明、神谷千鶴子、田中 旬、田中 俊行、種池 里佳、北風 政史
背景:左室 twist は慢性圧負荷で亢進するが詳しいメカニズムは明らかではない。その機序として、1)圧負荷では twist を負に導く内膜の障害
のために、正に導く外膜が優位に働き twist が亢進する、2)内腔の狭い肥大心で内
膜と外膜で同じサルコメア長を保ちつつ内膜側の心筋内圧を逃がす手立てとして内
膜 twist を亢進させる、の二説がある。スペックルトラッキングエコー法(2DST)を
用い検証した。方法:高血圧患者(HT)20 人と同数の年齢をマッチさせた健常者(NL)
で心尖部と心基部で内膜と外膜の回転角度、circumferential strain(CS)を 2DST に
より計測した。心尖部と心基部の回転角度の差を twist とした。結果:心尖部心内膜
回転角は HT 群で NL 群に比べ有意に大きく、
外膜側や心基部では有意差がなかった。
内膜 twist は HT 群で NL 群よりも有意に大であったが、
外膜 twist は有意差がなかっ
た。CS は心尖部・心基部、内・外膜側ともに有意差なかった。結論:HT 群では心
尖部内膜回転増加が twist を増加させている。CS が保たれている HT 群では twist
の増加はサルコメア長を保つ生理的反応かも知れない。
̶ 111 ̶
一般演題 34
Insight into Dynamic Three-dimensional Mitral Valve Geometry and Annular Function in Normal:
A Novel Methodology
Department of Pediatrics Division of Pediatric Cardiology Stollery Children's Hospital University of Alberta
稲毛 章郎、高橋 健、Smallhorn Jeffrey F.
Objectives: To demonstrate the relationship between the leaflets and papillary muscles.Methods: Forty healthy volunteers, mean age 15.7 + 8.9
(3.4 - 38.4)years, underwent apical left ventricular full volume imaging with real-time three-dimensional echocardiography. Data analysis
was performed using prototype software(TomTec)and our customized software. Measurements consisted of annular area, annular
bending angle, annular height, tethering and prolapse volume, and anterolateral and posteromedial papillary muscle(APM and PPM)angle.
These measurements were all measured at end-diastole(ED), mid- and late-systole(MS and LS).Results: There was no effect of age on
any of the measurements. There was a strong correlation between annular bending angle and height during all phases of the cardiac cycle(r:
0.35 to 0.59, P: 0.007 to 0.0001). There was a correlation between annular area and height only during MS and LS(r = 0.49, P = 0.001 and r
= 0.45, P = 0.004). At MS and ED there was no correlation between the papillary muscle angle and the bending angle, with a weak
correlation at ES(r = 0.32, P = 0.04)
. There was a correlation between tethering and prolapse volume and the APM angle(r = 0.38, P= 0.01)
,
but not the PPM. Conclusion: Using this new software, it is possible to understand the dynamic relationship between the mitral annulus,
leaflets and papillary muscles.
一般演題 35
三次元スペックルトラッキング法を用いた心筋ストレイン評価
1
筑波大学 循環器内科、2 筑波大学 循環器外科、3 筑波大学附属病院 検査部
瀬尾 由広 1、石津 智子 1、川村 龍 1、榎本 佳治 2、中島 英樹 3、青沼 和隆 1
【目的】三次元スペックルトラッキング法により心筋ストレイン評価を行うこと。
【方法】対象は 8 名の健常ボランティア(平均年齢 37 歳)
。三次
元心エコーは東芝社製 ARTIDA を用いて施行した。心尖部から取り込んだ画像を cropping し、
心尖部四腔断面および二腔像断面を描出。トラッ
キング範囲は各々の画像の心内膜、心外膜を手動でトレースして指定した。心基部 6 セグメント、中部 6 セグメント、および心尖部 4 セグメン
ト計 16 セグメントで radial strain, circumferential strain 値を自動計測した。また、MRItagging を行い、circumferential strain 値について比
較した。
【結果】全 128 セグメント中、負の radial strain 値を呈した 9 セグメント(7%)
、および正の circumferential strain 値を呈した 2 セグメ
ント(2%)をトラッキングが不適切なセグメントとして除外した。検者内測定誤差は radial strain13%, circumferential strain6%、検者間誤差は
radial strain11%, circumferential strain6%であった。心基部 / 中部 / 心尖部における radial strain 値は 37/30/22%, circumferential strain 値は
-25%/-26%/-31% であった。Circumferential strain 値は MRI による測定値との間に強い相関が認められた(r=0.85, y=0.7x-1.7)
。
【結論】三次元
スペックルトラッキング法による心筋ストレイン評価は、許容される測定率、再現性および測定値の信頼性を示したと考えられた。
一般演題 36
血栓性閉塞により急性心筋梗塞をきたした左冠動脈主幹部巨大冠動脈瘤の一例
1
福島県立医科大学 第一内科、2 福島県立医科大学 臨床検査学 / 第一内科、3 福島県立医科大学 附属病院 検査部
山田 慎哉 1、高野 真澄 2、中里 和彦 1、佐久間信子 3、佐藤 崇匡 1、金城 貴士 1、小林 淳 1、八巻 尚洋 1、泉田 次郎 1、
鈴木 均 1、堀越 裕子 3、佐藤ゆかり 3、二瓶 陽子 3、石橋 敏幸 1
【症例】50 歳台女性【既往歴】昭和 47 年先天性左冠動脈瘻にて冠動脈瘻閉鎖・冠動脈形成術施行【現病歴】平成 19 年 6 月下旬早朝、胸痛にて当
院救急外来受診。心電図上 V1 ∼ 4 に陰性 T 波を認め、心エコーにて前壁中隔の壁運動低下、また血中トロポニン I の軽度上昇を認めた。急性
心筋梗塞を疑われ、緊急心臓カテーテル検査を施行された。右冠動脈には有意狭窄を認めず、また左バルサルバ洞から突出する瘤を認めバルサ
ルバ動脈瘤が疑われたが、左冠動脈は同定できなかった。確定診断のため MDCT を行い、左冠動脈主幹部から回旋枝にかけて石灰化を伴う巨
大冠動脈瘤を認め、瘤内血栓により左前下行枝は不完全閉塞、左回旋枝は完全閉塞していた。巨大冠動脈瘤および左前下行枝領域の急性心筋梗
塞と診断、血行動態が維持されており、血栓溶解療法が施行された(Max-CPK 227 U/L)
。第 3 病日に心エコーにて壁運動は改善した。亜急性
期に冠動脈瘤結紮術および左前下行枝に対する冠動脈バイパス術が考慮されたが、本人の同意が得られず、内服加療(抗凝固療法)となった。
心エコーおよび MDCT にて左冠動脈主幹部内血栓は減少傾向を認めた。経食道エコーでは瘤内にもやもやエコーと壁在血栓を認め、瘤内の血
流速度は低下・冠動脈血流パターンを示さず、血流うっ滞による血栓形成の危険性が高いと考えた。以上より、巨大冠動脈瘤に対して外科的療
法の適応と考えられ、冠動脈瘤切除および冠動脈バイパス術が施行された。
【考案】巨大冠動脈瘤に対する治療法は未だ定まっていないが、血流
うっ滞による血栓形成・再梗塞発症のリスクは高く、外科的療法の適応と考えられた。
̶ 112 ̶
一般演題 37
左房粘液腫と鑑別が困難であった無症候性傍大動脈異所性褐色細胞腫の一例
1
獨協医科大学 心血管肺内科、2 獨協医科大学 胸部外科
大谷 直由 1、豊田 茂 1、伊波 秀 1、荒木 秀彦 1、有川 拓男 1、鈴木 英彦 1、田口 功 1、阿部 七郎 1、松田 隆子 1、
金子 昇 1、望月 吉彦 2
症例は 58 歳女性。高血圧、高脂血症の既往あり。平成 19 年 4 月他院で頚動脈上皮腫瘍摘出術施行。術後 MRI で心臓腫瘍指摘され、精査目的
に当院入院。心電図は洞調律、整。胸部 X 線上心拡大なし、肺野異常なし。入院時身
長 161cm、体重 45kg、血圧 100/60mmHg、脈拍 90/ 分。心雑音なし。腫瘍は経胸壁
心エコー図で左房中隔側上部に存在し、経食道心エコー図で左房上部を占拠し側壁に
茎を認めた。大きさは 53mm × 45mm、表面平滑、内部エコーはほぼ均一であった。
造影 MRI で、腫瘍内部に壊死組織の含有を示唆する像を示した。冠動脈造影で左冠動
脈回旋枝、右冠動脈より腫瘍への豊富な流入血管を認めた。術前検査で血中および尿
中アドレナリン、ノルアドレナリンは異常高値であった。腫瘍摘出術施行、腫瘍は左
房から上大静脈、右房左側に進展していた。腫瘍摘出後に血圧低下を認め、カテコラ
ミン製 剤の 投 与を要したが、離 脱 でき軽 快 退 院となった。組 織 学 的 所 検 査 では
synaptophysin 陽性、chromogranin 陽性で、異所性褐色細胞腫と診断された。
一般演題 38
左冠動脈肺動脈起始症(Bland-White-Garland 症候群)の 2 症例
1
九州大学病院 ハートセンター生理検査部門、2 九州大学病院ハートセンター 循環器内科、3 九州大学病院ハートセンター 血液腫瘍内科
小宮 陽子 1、向井 靖 2、中村 洋文 3、香月 俊輔 2、松浦 広英 2、河原 吾郎 1、船越 祐子 1、井上修二朗 2、的場 哲哉 2、
江島 健一 2、小田代敬太 3、戸高 浩司 2、砂川 賢二 2
【緒言】左冠動脈肺動脈起始症(Bland-White-Garland 症候群、BWG 症候群)は先天性冠動脈起始異常では最多であるが、先天性心疾患の 0.5%
以下で成人例は特に稀である。今回成人の BWG 症候群を 2 症例経験したので報告する。
【症例 1】27 歳女性。健診で連続性雑音を指摘され当セ
ンター入院。心エコーでは壁運動低下を伴う左室拡大、右冠動脈の拡大、左冠動脈の起始異常(血流は肺動脈へ流入)
、中隔穿通枝の逆行性血
流を認めた。左冠動脈領域が右冠動脈からの側副血行路により灌流されている所見であり、BWG 症候群が強く疑われた。心臓 CT・心臓カテー
テル検査で BWG 症候群と確定診断された。
【症例 2】38 歳女性。1 歳時に心不全があり、心内膜線維弾性症(以下 EFE)と診断された。以後経
過良好であったが 38 歳時に動悸、倦怠感のため当センター入院。心エコー図で左室拡大、僧帽弁逆流、心内膜肥厚と輝度上昇を認めた。心臓
カテーテル検査で左冠動脈起始異常が判明、心臓 CT と併せ BWG 症候群と診断された。本例は発達した円錐枝が左冠動脈近位部に交通し、前
下行枝の血流は順行性で、右冠動脈の拡張もごく軽度であり、心エコー上は症例 1 のような典型像を呈さなかったと考えた。いずれの症例もド
ブタミン負荷心エコーなどで心筋虚血が証明され、根治手術を行って軽快退院となった。
【結語】BWG 症候群の典型的所見を呈した症例と、心
エコーでは診断し得なかった症例を経験した。これは、側副血行路の分布と発達に個体差が大きいためと考えられた。症例 2 は、EFE 様所見を
呈し、僧帽弁逆流も認めたことから、これ自体 BWG 症候群も鑑別診断におくべき教訓的な症例であった。
一般演題 39
経食道心エコーにより発見された大動脈弓部内膜肉腫の一例
1
北里研究所病院 内科、2 同循環器科、3 慶應義塾大学病院 病理診断部、4 慶應義塾大学 外科(心臓血管)
谷渕 綾乃 1、平岡 理佳 1、志賀 洋史 1、高橋 路子 2、島田 恵 2、赤石 誠 2、三上 修治 3、向井万起男 3、志水 秀行 4、
四津 良平 4
【症例】47 歳、男性【主訴】右手のしびれ、握力低下【既往歴・家族歴】特記事項なし【喫煙歴】20 本 / 日 20 歳∼【現病歴】2007/9/26 突然の右
手のしびれ・握力低下が生じ、会社の診療所からの紹介で当院受診。受診時書字困難で右手首に麻痺みられ、頭部 CT、MRI にて左前頭葉に小
梗塞巣を 3 ヶ所認め入院となった。
【経過】入院後よりグリセオール投与、バイアスピリン内服を開始したところ右手の麻痺は徐々に軽快したが、
WBC,CRP,ESR 上昇を伴う炎症所見が持続した。若年性多発性脳梗塞の塞栓源を探すために、経食道心エコーを実施した。心腔内には異常所見
を認めなかったが、大動脈弓部から下行大動脈にかけて可動性の不整な壁に付着するエコーを認めた。造影 CT でも血栓が疑われた。そこで、
大動脈瘤の合併もなかったが、壁在血栓と診断し、ヘパリンによる抗凝固療法を開始した。しかし、血栓改善は見られなかった。手術のリスク
も高いことを説明し、同意をとった上で、同部位の人工血管置換術を行った。摘出した検体は、血栓ではなく病理組織所見にて大動脈内膜肉腫
と診断された。
【考察】大動脈内膜肉腫は血管内腔に発育し、多くは病状が進行してから塞栓症として発症するか、あるいは剖検時に発見される
きわめて予後不良な疾患である。大動脈原発腫瘍は非常に稀であり、また経食道心エコーが診断に有効であった貴重な症例を経験したため、文
献的考察を含め報告する。
̶ 113 ̶
一般演題 40
左房内異常血流シグナルから Maze 手術後の左冠動脈回旋枝 ̶左房間冠動脈瘻が判明した一例
1
国立循環器病センター 心臓血管内科、2 国立循環器病センター 生理機能検査部、3 国立循環器病センター 心臓血管外科
和田 匡史 1、大原 貴裕 1、中谷 敏 1、大西 悦子 2、住田 善之 2、神崎 秀明 1、金 智隆 1、橋村 一彦 1、小林順二郎 3、
北風 政史 1
【症例】73 歳男性。
【既往歴】10 年前に僧帽弁形成術及び Maze 手術(小坂井変法)を施行。
【現病歴】2007 年 10 月、徐脈に伴う心不全の加療目
的に当センターへ入院。入院時の胸部レントゲンでは心拡大(心胸郭比 73%)と右胸水貯留を認めていた。身体所見で連続性雑音は聴取されな
いものの、心エコーで左室拡大(拡張末期径 69mm、収縮末期径 35mm)と巨大左房内に連続性の異常血流を認めた。経食道心エコーでは左心
耳付近から僧帽弁方向に連続性に吹き込む異常血流と拡大した血管が確認された。冠動脈瘻の可能性を考え冠動脈造影を施行したところ、術前
造影では認めなかった左冠動脈回旋枝から左房に流入する冠動脈瘻を確認、異常血流の原因と診断できた。ペースメーカー植え込みにて心不全
は改善。左室拡大も改善傾向にあった。また、負荷心筋シンチグラフィにて盗血に基づく虚血も否定的であったため、冠動脈瘻については保存
的に経過観察とした。
【考察】今回の冠動脈瘻の成因として、術後に初めて異常血流が出現していることから Maze 手技による冠動脈損傷が考え
られた。Maze 手術後の冠動脈瘻形成は、広範囲に心房壁を切開・縫合していた時代のみならず焼灼・凍結凝固が中心的手技となった今日でも
外科的切開・縫合を併用されることがあり、まれに起こりうる合併症と考えられる。Maze 手術後に心房内異常血流を認めたときには冠動脈瘻
の可能性も考え経胸壁・経食道心エコーを用いて検索を行わなければならない。
【結語】Maze 手術後の冠動脈瘻の検出・診断に心エコーが有用
であった。
一般演題 41
左室収縮能を加味した新しい左室ディスシンクロニー表示:組織ドプラ法を用いた方法
大阪医科大学 第三内科
川西 泰徳、伊藤 隆英、二井 理恵、神崎裕美子、北浦 泰
【目的】組織ドプラ法を用いた新しい左室ディスシンクロニーの表示法を呈示する.本研究では,左脚ブロック患者と健常者を比較することにより,
新表示法から得られる指標および表示パターンについて検討した.
【方法】対象は左脚ブロック患者 40 名と健常者 50 名.左室長軸 3 断面の心基
部から計 6 点の組織ドプラ波形を抽出し,収縮の開始から
ピークまでの時間を計測する.この時間を「ベクトル」と仮
定し,6 つのベクトルを共通の起点を中心として各左室壁に
対応するように放射状に表す(図 1)
.このとき,ベクトルの
終点を連結してできる 6 角形の面積(率)はグローバルな左
室収縮機能を反映し(面積が大きいほど悪い)
,統合ベクト
ルの方向と長さはそれぞれ収縮遅延部位と遅延時間を示す.
【結果】
(図 2 に表示例)左脚ブロック患者群では有意な左室
収縮機能の低下と遅延時間の延長が認められた.また,患
者群の 70%において前壁から下壁に分布していた.
【結論】
本表示法は,
グローバルな左室収縮機能,
ディスシンクロニー
の程度と部位を同時に把握することができ有用と考える.
一般演題 42
心房細動例の予後予測において組織ドプラ法および腎機能評価は有用か?
1
札幌医科大学 医学部 第二内科、2 札幌医科大学 医学部 臨床検査医学
舟山 真希 1、湯田 聡 2、村中 敦子 1、土井 崇裕 1、山本 均美 1、金子 尚史 1、下重 晋也 1、橋本 暁佳 1、土橋 和文 1、
渡辺 直樹 2、島本 和明 1
【背景】左室収縮能低下例において、組織ドプラ法による拡張能障害および腎機能障害の存在は予後予測に有用とされるが、心房細動(AF)例は
検討から除外されていることが多く、その有用性に関する検討は十分ではない。
【目的】AF 例の予後予測における、組織ドプラ法および腎機能
評価の有用性を検討すること。
【方法】非弁膜症性 AF104 例(年齢 63 ± 12 才、男性 78 例、左室駆出率(LVEF)56 ± 14%)を対象に、心エコー
図法により、
左房および左室の内腔径、
収縮能、
拡張能指標を求め、
組織ドプラ法により中隔の収縮期(Sm)および拡張早期僧帽弁輪運動速度(Em)
を計測した。
【結果】平均観察期間 10 ± 10 ケ月において、14 例に心事故(A 群;心不全入院 13 例、心臓死 1 例)を認めた。非心事故例(B 群)
に比べ、A 群の左室拡張末期径、左房容積係数、E/Em(16.2 ± 10.6 vs. 10.5 ± 4.9、p < 0.01)
、NYHA class ≧ III の頻度は高値を示し、収縮
期血圧(BP)
、LVEF、推定糸球体濾過率(GFR)
(49 ± 28 vs. 66 ± 22 ml/min/1.73m2、p < 0.01)は低値を示した。年齢、心拍数、Sm、左室
流入拡張早期(E)波最大速度、E 波減衰時間は 2 群間で差を認めなかった。Kaplan-Meier 生存曲線では、BP < 102 mmHg,(p < 0.01)
、E/Em
> 15(p < 0.05)
、および GFR < 62 ml/min/1.73m2(p < 0.05)を示した群で、示さなかった群に比べ、有意に多く心事故を認めた。Cox 回帰
分析では、BP(p < 0.05)が心事故の独立した規定因子であった。
【結論】非弁膜症性 AF 例において、BP 低値、腎機能障害の存在、および E/
Em > 15 は予後予測に有用である可能性が示唆され、なかでも BP 低値が予後予測に最も有用であった。
̶ 114 ̶
一般演題 43
Time from aortic valve closure to ESR; ATP 負荷 2D トラッキングエコー法による心筋虚血診断の定量的指標
東京女子医科大学 循環器内科
郡司 一恵、高木 厚、保坂 元子、小松 由希、芦原 京美、石塚 尚子
【背景】虚血心筋における Post Systolic Shortning や、Strain Rate の波形の変化が心筋虚血を示唆するということが報告されているが、定量的
に判定する指標は確立されていない。今回我々は、拡張早期の時相の指標と
して、大動脈弁閉鎖から Strain Rate における E 波(ESR)までの時間(TAVCESR)に注目し、2D トラッキングエコー法(2DT)で求めた ATP 負荷前後の
【方法】冠動脈
TAVC-ESR の変化が局所心筋の虚血の診断に有用かを検討した。
に有意狭窄を有し、経皮的冠動脈形成術(PCI)予定となった 32 例。PCI 術前
日に 2DT(Vivid 7、GE 社 )を行い、ATP 負荷(140 μ g/kg/min)前 後の
【結果】非虚血部位では ATP 負荷前後での
TAVC-ESR(msec)を測定した。
TAVC-ESR に有意な変化は認めなかった。一方、虚血部位では 170 ± 52msec か
ら 209.9 ± 50.6msec と有意に延長した(p < .0001)
。虚血診断における TAVCESR(ATP 負荷後)− TAVC-ESR(ATP 負荷前)の cut off 値は≧ 19msec(感度
92.0%、特異度 85.7%)であった。
【結論】ATP 負荷による TAVC-ESR を測定す
ることは局所心筋の虚血診断に有用であった。
一般演題 44
組織ドプラを用いた川崎病患児の左室心機能評価 ̶経時的変化に関する検討̶
1
大阪医科大学 小児科、2 大阪労災病院 小児科
奥村 謙一 1、岡本 直之 2、梶浦 貢 2、吉川 聡介 2、川村 尚久 2、尾崎 智康 1、森 保彦 1、玉井 浩 1
【背景】川崎病急性期において、subclinical な心筋障害が存在することは知られているが、その評価方法に一定の見解はない。近年、心筋壁運動
の評価に組織ドプラ(TDI)が注目され、心筋障害の評価に用いられている。
【目的】川崎病罹患中の左室心機能の経時的変化を、TDI を用いて
評価する。
【対象】再発例を含む川崎病患児 45 名(男 31 名、女 14 名)
、age-matched control 群 15 名(男 7 名、女 8 名)
。
【方法】川崎病罹患中、
急性期(第 3-11 病日)
、
亜急性期(第 12-25 病日)
、
回復期(第 24-57 病日)
、
遠隔期(第 111-405 病日)に、
TDI を用いて左室の収縮期壁運動速度(Sm)
、
拡張早期壁運動速度(Em)
、拡張末期壁運動速度(Am)
、等容収縮および拡張時間(ICT、IRT)
、駆出時間(ET)
、Tei index を計測した。また、
左室流入血流速度(E)を計測し、E/Em を算出した。統計処理は急性期、亜急性期、回復期、遠隔期、正常群で多重比較検討を行った。
【結果】
(1)拡張機能の検討では、E/Em が急性期に他の 4 つの群と比較し有意に上昇していた。
(2)収縮機能の検討では、亜急性期および回復期の Sm
が正常群と比較し有意に低下していた。
(3)Tei index に関しては、急性期および亜急性期の Tei index が、正常群および遠隔期より有意に上昇
していた。
【結語】川崎病急性期に起こると考えられている心筋障害は、TDI を用いた今回の検討で、急性期から亜急性期にかけての収縮機能お
よび拡張機能の低下、Tei index の上昇として示された。この心筋障害は回復期および遠隔期には改善し、正常群と同程度まで改善していた。
TDI は川崎病急性期の心筋障害の評価に有用であると考えられた。
一般演題 45
狭心症の診断における運動負荷 DADI の有用性
関西労災病院 循環器科
田中 宣暁、上松 正朗、大西 俊成、南都 伸介、両角 隆一、渡部 徹也、粟田 政樹、飯田 修、世良 英子、南口 仁、
赤堀 宏州、矢野 正道、池岡 邦泰、岡本 慎、安井 治代、永田 正毅
【背景】我々は、カラー組織ドプラ法を用いて狭心症の診断法として安静時に post-systolic shortening(PSS)を断層心エコー図上に表示する方
法(Detection of Diastolic Abnormality by Displacement Imaging: DADI)を考案した。DADI は特異度は比較的高いが感度はやや劣る。本研
究では運動負荷試験に DADI を応用し、その有用性を検討した。
【方法】対象は狭心症を疑われ安静時心エコー図上左室壁運動正常であった 17
症例。超音波診断装置は東芝社製 Aplio を用い、組織ドプラ法による Displacement のピーク時相のずれにより正常(緑色)から遅延(赤色)ま
でを表示した(DADI)
。DADI を用いて冠動脈支配領域に一致して心筋のセグメントが赤色表示されるものを陽性とし、安静時(R-DADI)およ
び運動負荷時(E-DADI)において赤色表示される左室領域を評価した。狭心症は、冠動脈造影上 AHA 分類にて 90% 以上の高度狭窄を認めた
ものとした。
【結果】12 症例に冠動脈造影上高度狭窄を認めた。局所左室心筋が赤色表示されたのは R-DADI で 7 症例(感度 60%、特異度 62%、
正確度 61%)
、E-DADI で 12 症例(感度 100%、特異度 80%、正確度 89%)であった。
【結論】DADI を用いて PSS の存在を画像化することによ
り狭心症の診断が可能であり、運動負荷を用いると、狭心症の診断能はより向上した。
̶ 115 ̶
一般演題 46
高安大動脈炎による高度大動脈弁逆流の手術適応は左室径に依存しない
1
国立循環器病センター 心臓血管内科、2 関西医科大学附属枚方病院 循環器内科
青田 泰子 1、中谷 敏 1、橋本 修治 1、神崎 秀明 1、宮坂 陽子 2、岩坂 壽二 2、北風 政史 1
【背景】高度大動脈弁逆流例では、左室拡大が進行した場合や収縮能低下あるいは心不全症状が出現した場合に、大動脈弁置換術の適応を考慮
する。しかしながら、高安動脈炎による高度大動脈弁逆流では、左室拡大が進行する以前より心不全症状が出現する例を経験する。
【方法】国立
循環器病センターにおける 1997 年から 2007 年の過去 10 年間の 117 例の高安動脈炎患者の心エコー所見とカルテ所見に基づき解析を行った。
そのうち、大動脈弁置換術を施行されたのは 18 例(高安群、平均年齢 48 ± 13 歳、83%女性)であり、同時期に他の原因によって大動脈弁置換
術を施行された連続 28 例(非高安群、平均年齢 56 ± 13 歳、44%女性)と比較検討した。
【結果】大動脈弁置換術直前の左室拡張末期径及び左
室収縮末期径は、高安群において非高安群に比して、有意に小さかった(左室拡張末期径 59.8 ± 3.2 mm vs. 68.2 ± 5.5 mm、p < 0.0001、左室
収縮末期径 39.7 ± 4.7 mm vs. 48.0 ± 6.7 mm、p < 0.0001)
。大動脈弁逆流程度、左室内径短縮率、左室中隔厚、後壁厚、左房径に関しては、
二群間において有意差は認められなかった。また術前の NYHA も両群で有意差はなかった(2.0 ± 0.5 vs. 2.2 ± 0.7、p=ns)
。以上より、高安動
脈炎における高度大動脈弁逆流の場合、左室拡大が進行しない時点においても、心不全症状が出現する事が示唆された。
【結論】高度大動脈弁
逆流を合併する高安動脈炎では左室拡大が顕著でないにもかかわらず心不全症状が出現する例がある。したがって、高安動脈炎では左室径に捉
われずに心不全症状を考慮して大動脈弁置換術の至適時期を決定すべきである。
一般演題 47
C 反応性蛋白と大動脈弁狭窄の重症度、予後との関係
川崎医科大学 循環器内科
今井孝一郎、大倉 宏之、久米 輝善、山田亮太郎、宮本 欣倫、尾長谷喜久子、築地美和子、根石 陽二、和田 希美、林田 晃寛、
川元 隆弘、豊田 英嗣、渡邉 望、吉田 清
【背景】C 反応性蛋白(CRP)は様々な心血管疾患の予測因子であると報告されているが、CRP と大動脈弁狭窄(AS)の重症度や予後との関係に
ついて検討した報告は少ない。
【目的】CRP と AS の重症度、予後との関係
について検討すること。
【方法】
対象は心エコー図で AS と診断された 135 例。
、
大 動 脈 弁 弁 口 面 積(AVA) を 測 定 し、mild(n=18, AVA ≧ 1.5 cm2)
、
severe AS(n=60, AVA < 1.0cm2)
moderate(n=57, 1.0 ≦ AVA < 1.5 cm2)
の 3 群に分け、CRP 値を比較検討した。更に対象患者を低 CRP 群(n= 68,
CRP < 0.15 mg/dl)と高 CRP 群(n=67, CRP ≧ 0.15 mg/dl)に分け長期予
後 を 比 較 検 討 し た。
【 結 果 】AS が 重 症 な 程 CRP 値 は 高 い 傾 向 に あり
(p=0.001、図)
、多変量解析の結果、CRP が severe AS の予測因子であっ
た(odds ratio, 3.51; p=0.015)
。また、高 CRP 群が低 CRP 群に比べ有意に
予後不良であった。
(図)
【結論】CRP は AS の重症度や予後に影響を及ぼ
す重要な因子である事が示唆された。
一般演題 48
Valvular Heart Disease(VHD)in Parkinson's disease(PD)Patients
洛西ニュータウン病院 循環器科
正木 元子
Valvular Heart Disease(VHD)in Parkinson's disease(PD)Patients: Comparative study of echocardiographic findings in PD and non-PD
patientsBackgroundVHD has been considered to be associated with the use of the ergot dopamine agonists in PD patients. However, the
frequency of occurrence of this side effect is uncertain. To clarify the risk of VHD in PD patients on the clinical base, echocardiographic
findings in PD patients were screened and compared with those in non-PD patients. MethodsFrom December 2003 to September 2006, 94PD
patients(69.5 ± 9.5y.o.)and age-matched 84 non-PD patients(70.7 ± 6.1y.o)who were undergo echocardiography. The frequency of cardiac
valve regurgitation in PD patients was compared with that in non-PD patients. ResultsThe frequency of moderate to severe aortic,
regurgitations in the PD group was significantly higher than that in the non-PD group.(20.0% : 5.0%(P < 0.05)
). In the PD group, 61
patients use the ergot dopamine agonist on the examination and 19of them(31.1%)were found to have aortic regurgitation. In 33 patients
who did not use the ergot, no patients were found to be abnormal(P < 0.05). Conclusion:The ergot dopamine agonists increase the risk of
cardiac valvulopathy in PD patients.
̶ 116 ̶
一般演題 49
安静時左室後壁収縮能はドブタミン負荷による機能性僧帽弁逆流の減少を予測する ̶組織ドプラ法を用いて̶
神戸大学大学院 循環器内科学
辰巳 和宏、川合 宏哉、福田 優子、岡田真理子、則定加津子、古木 マキ、片岡 俊哉、大西 哲存、平田 健一
【背景】ドブタミンは機能性僧帽弁逆流(FMR)を減少させ、ドブタミン負荷心エコー図法は、FMR の外科治療法として再灌流療法単独と僧帽
弁形成術併用の選択に有用であるが、
ドブタミンによる FMR 減少の規定因子は未だ明らかではない。
【目的】局所心筋機能を含む安静時心エコー
図指標とドブタミンによる FMR 減少の関係を検討する。
【方法】FMR を有する虚血性・非虚血性心筋症による左室収縮低下 33 例(EF33 ±
10%)に対し、低用量ドブタミン負荷(10 μ g/kg/min)心エコー図法を施行し、左室容積、駆出率、僧帽弁 tenting area、弁輪径、僧帽弁逆流率、
そして、局所心筋機能の指標として心尖部二腔・四腔・長軸像の左室中部 6 領域における収縮期最大ストレインレート絶対値(Ssr)を計測した。
全 33 例をドブタミンによる FMR 減少率が 30% 以上の A 群(15 例)と 30% 未満の B 群(18 例)に分けた。
【結果】ドブタミン負荷により左室駆
出率、全領域の Ssr は増加し、左室容積、tenting area、弁輪径、逆流率は減少(FMR 減少率 =28 ± 19%)した。安静時指標の中で、A 群の後
壁 Ssr は B 群に比し有意に高値(1.38 ± 0.40 vs 0.96 ± 0.40 /s, p < 0.01)であったが、その他の安静時指標は 2 群間で有意な差がなかった。
ROC 分析にて、安静時後壁 Ssr ≧ 1.00(/s)は、FMR 減少率≧ 30% を感度 87% 特異度 71% で予測できた。
【結語】安静時の左室後壁心筋収縮
能はドブタミンによる FMR 減少と関連した。FMR 患者における外科治療法の選択に局所心筋機能評価の重要性が示唆された。
一般演題 50
リアルタイム 3D 経食道心エコー図法での僧帽弁逸脱症の診断における有用性
1
岩手医科大学 第二内科・循環器医療センター、2 三愛病院 循環器科、3 岩手医科大学 循環器医療センター 循環動態検査室、
岩手医科大学 循環器医療センター 小児科
田代 敦 1、那須 雅孝 2、斉藤 秀典 1、高橋 智弘 1、伊藤 紀彦 3、嘉村 幸恵 3、佐々木幸子 3、小山耕太郎 4、中村 元行 1
4
【目的】最近リアルタイム 3D 経食道心エコー法で僧帽弁を左房側から観察することが可能になった。この方法で、僧帽弁逸脱症(MVP)の診断
に関して、2D エコー像(2D-TEE)と 3D エコー像(3D-TEE)で比較検討した。
【方法】僧帽弁疾患が疑われてリアルタイム 3D-TEE を施行し、
左房側から僧帽弁の観察が可能だった連続 15 例を対象とした。装置は Philips 社製 iE33 で、探触子は X7-2t を使用した。最初に 2D-TEE で僧
帽弁を観察し、次に 3D-TEE の 3D zoom モードで左房側から観察し、再度 2D-TEE で確認する方法をとった。MVP の有無、部位、腱索断裂、
その他の情報について比較検討した。
【成績】明らかな MVP は 7 例にみられ、このうち 1 例は 3D-TEE によって初めて MVP と診断できた。7
例の逸脱状況の内訳は各々、A1 の腱索断裂での逸脱、A3 の腱索断裂での逸脱 +A2・3 と P2・3 と PC 逸脱、P3 の腱索断裂での逸脱 +PC と
A3 逸脱、P2 から P3 の腱索断裂による逸脱 + 左房疣贅、P2 逸脱 + 小疣贅付着、P3 逸脱、AC の腱索断裂での逸脱 + 穿孔、であった。最初の
2D-TEE のみでこれらを完全に診断できたのは 7 例中 2 例のみであった。逸脱範囲が広い 3 例ではすべて 2D-TEE のみでの把握は難しく、明ら
かに 3D-TEE が優っていた。腱索断裂の描出は 2D-TEE が鮮明であったが、交連側寄りの断裂や断裂腱索の方向の同定は 3D-TEE が容易であっ
た。感染性心内膜炎の関連所見が 3 例にみられ、3D-TEE はその部位と範囲の同定に明らかに有用であった。しかし弁尖の肥厚や弁輪石灰化の
評価は 3D-TEE では困難であった。
【結論】リアルタイム 3D-TEE による僧帽弁の観察は容易でかつ広範囲の把握が可能であり、MVP の正確な
診断には 2D-TEE 単独よりも併用での観察が必要と考えられた。 一般演題 51
Velocity vector imaging による急性冠症候群の Post systolic shortening の評価とその経時的変化
榊原記念病院 循環器内科
三原 裕嗣、渡辺 弘之、相川 大、黒沢 幸嗣、井上 完起、高見澤 格、関 敦、桃原 哲也、井口 信雄、長山 雅俊、
浅野 竜太、高山 守正、梅村 純、住吉 徹哉
【背景】Postsystolic shortening(PSS)は虚血心筋における特徴的な壁運動である。新しい 2D tissue tracking 法である Velocity vector imaging
(VVI)を用いれば局所壁運動を定量的に評価できる可能性がある。一方 Acute coronary syndrome(ACS)における PSS の回復過程は明らかで
ない。
【目的】ACS 症例患者の経皮的冠動脈形成術(PCI)前後で PSS の回復過程を VVI を用いて定量的に評価すること。
【方法】急性心筋梗塞
17 例(max CK 3054 ± 2512 IU/l)
、不安定狭心症 15 例の計 32 例(男性 21 人、平均年齢 64 ± 13 歳)を対象とした。PCI 前後(6.6 ± 9.9 日、中
央値 3.5 日)で傍胸骨左室短軸像を Sequoia で記録し、オフラインで解析した。PSS 領域の広がりを、その角度(PSS-angle)およびカラー M モー
ド法において全体に占める PSS の領域の割合(PSS area ratio)として測定した。
【結果】PCI 前は 30 例(94%)において PSS を認めたが、PCI
後は 21 例(66%)に減少した。PSS-angle は PCI 前後で 103 ± 54 度から 48 ± 45 度へ有意に減少した(P < 0.0001)
。PSS area ratio も PCI 前後
で 2.7 ± 2.1%から 1.1 ± 1.3%へ有意に減少した(P=0.0003)
。
【結語】VVI により PSS の定量化が可能であり、PSS の領域は PCI 後有意に減少し
た。新しい 2D tissue tracking 法である VVI により心筋虚血の回復過程を定量的に評価することが可能である。
̶ 117 ̶
一般演題 52
2D strain 法による新しい dyssynchrony の指標:recruitment の検討
1
産業医科大学 第二内科、2 フィリップスメディカルシステムズ、3 シカゴ大学医学部付属病院エコーラボ
中井 博美 1、竹内 正明 1、サルゴ アイバン 2、チャング ピーター 2、ラング ロベルト 3、尾辻 豊 1
背景 ::strain 値が、あるカットオフ値に到達したセグメントの割合、及び到達するまでの時間のばらつきを表す recruitment height(RH)
、
duration(RD)は dyssynchrony を 評 価 する 新し い 指 標となりうる。目的 ::2D
speckle tracking 法により得られた radial strain(RS)
、circumferential strain(CS)
、
longitudinal strain(LS)カーブから RH、RD を測定し dyssynchrony の評価に対す
る有用性を検討すること。方法 ::健常成人(NV)40 人、左脚ブロック患者(LBBB)
12 人、拡張型心筋症患者(DCMP)15 人において、乳頭筋レベル左室短軸像、心尖
四腔像を記録し speckle tracking 法により RS、CS の 6 領域、LS の 7 領域における
RH、RD を測定した。結果 ::図参照。LS における RH、RD が最も 3 群を分離でき
dyssynchrony の評価に有用と考えられた。結論 ::RH、RD は dyssynchrony の新
たな評価法になり得る。
一般演題 53
年齢が左室形態に及ぼす影響:リアルタイム 3D 心エコー図法による検討
1
産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科、2 フィリップスメディカルシステムズ リサーチ、3 シカゴ大学医学部付属病院 エコーラボ
岡松 恭子 1、竹内 正明 1、中井 博美 1、ジェラード オリビエ 2、スガング リサ 3、ラング ロベルト 3、尾辻 豊 1
背景:加齢により左室の形態が変化するかどうかは明らかではない。目的:経胸壁リアルタイム 3D 心エコー図法(3D-TTE)を用いて、左室形
態を計測し、加齢の及ぼす影響を検討すること。方法:健常者 97 例(< 19 歳 ::9 例、
20-29 歳:20 例、30-39 歳:26 例、40-49 歳:22 例、50-59 歳:14 例、> 60 歳:6 例)
に、3D-TTE によるフルボリュームデータを記録し、収縮末期及び拡張末期における
Sphericity index(SI)及び左室駆出率を算出した。SI は 3D エコーにより求めた左室
容量を、長軸径を直径とした球体体積で除して求めた。結果:19 歳以下の若年では、
SI は 30 歳台、40 歳台、50 歳台と比較し、有意に大きかった。左室駆出率は年齢に
より有意差を認めず、SI の拡張末期から収縮末期における変化率(Δ SI)も年齢との
相関はなかった(r=0.039, P=0.70)
。結論:3D-TEE により左室形態の評価が可能で
あり、成人前から成人後にかけて、左室はより球型からより楕円型となり、その後は
形態が維持されることが示唆された。
一般演題 54
リアルタイム三次元心エコーを用いた大動脈弁置換術後の有効弁口面積計測の検討
1
富永病院 心臓病センター 循環器科、2 富永病院 検査科、3 富永病院 心臓病センター 心臓血管外科
氏野 経士 1、森田 伸幸 2、宮本由紀子 2、湊 麻衣 2、三宅 淳平 2、一井 重男 2、坂井 陽祐 1、柚木 知之 3、片岡 一明 1、
南方 謙二 3
【背景】大動脈弁置換術(AVR)後の患者において、
Patient-Prosthetic Mismatch の問題は重要視されており、
その評価にはドプラ心エコー図(2DE)
による有効弁口面積(EOA)が用いられている。また近年リアルタイム三次元心エコー図(RT3DE)の進歩により、より正確な定量的評価が行わ
れている。
【目的】RT3DE による EOA 計測が可能であるかの検討、および 2DE での EOA との比較検討を行った。
【方法】当院にて生体弁によ
る AVR を施行された患者 33 名(男性 26 名、平均年齢 69.8 歳)に対して、2DE と RT3DE を同日に施行した。使用装置は Philips 社製 iE-33 で、
RT3DE の画像により、良好(G)
、適(S)
、不適(I)の 3 群に分類した。EOA の計測は 2DE では連続の式から、RT3DE では人工弁の最大開放
時の弁口面積を QLAB(Philips 社製)により描出し、直接計測した。
【結果】RT3DE による EOA は G 群 18 例、S 群 10 例、合計 28 例で計測可
。また G 群で
能であり、計測不能の I 群は 5 例であった。2DE と RT3DE による EOA 計測値は有意な相関関係を認めた(r2=0.52、p < 0.0001)
、S 群においても有意な相関関係を認めた(r2=0.41、p < 0.05)
。
【結語】生体弁による AVR 後の
は良好な相関関係を認め(r2=0.84、p < 0.0001)
患者において、RT3DE で計測した EOA は、2DE で求めた EOA と有意な相関を示し、AVR 後の新しい弁機能評価の方法としての可能性が示
唆された。
̶ 118 ̶
一般演題 55
先天性心疾患に対するリアルタイム経胸壁 3D 心エコ−図法の有用性
北里大学 医学部 小児科
木村 純人、石井 正浩、中畑 弥生、大和田夏子、安藤 寿
目的:新生児期複雑心奇形において心カテーテル治療なしに心臓手術に踏み切る症例が増加している。そのため、より正確な術前診断が重要と
なる。方法:新生児複雑心奇形に対して経胸壁 3D 心エコ−図法の有用性を検討した。対象:新生児 15 症例において経胸壁 3D 心エコ−図法を
施行した。対象患者は大血管転位症、大動脈縮窄複合、大動脈離断症、無脾症候群、多脾症候群、単心室症、ファロ−四徴症兼肺動脈閉鎖、僧
帽弁狭窄症などとした。結果:心内構造については 3D 化によって手術前に有用な情報が得られた。特に房室弁の形態、クレフトの有無の評価
において有用であった。肺動脈閉鎖症例ではカラードプラーの 3D 化により心外短絡が正確に描出でき、また、抹消肺動脈の狭小化の評価、肺
動脈形成術の適応においてはマルチスライス CT と同等の評価が可能であった。大動脈縮窄部の 3D 構築も可能であり、橈骨動脈造影やマルチ
スライス CT と同等の評価が可能であった。結語:新生児複雑心奇形症例において経胸壁 3D 心エコ−図法はより簡便で低侵襲であり、手術前
の評価として有用であった。経胸壁 3D 心エコ−図法により、術前の心カテーテル検査や、胸部 CT 検査を省略することができる可能性が示唆
された。
一般演題 56
C-reactive protein predicts left atrial thrombus in patients with non-rheumatic atrial fibrillation
川崎医科大学 循環器内科
前濱 智子、林田 晃寛、和田 希美、根石 陽二、川元 隆弘、豊田 英嗣、大倉 宏之、吉田 清
Background: It has been reported that patients who have elevated serum C-reactive protein(CRP)level are at high risk for cardiovascular
events. However, it is unknown whether CRP level related to left atrial thrombus formation in patients with atrial fibrillation. Methods:
Between October 2004 and May 2007, 170 consecutive patients with atrial fibrillation who underwent transesophageal echocardiography
(TEE)were recruited. Exclusion criteria were infective endocarditis, aortic dissection, prosthetic valve and rheumatic valvular heart
diseases. Finally, a total of 117 patients with non-rheumatic atrial fibrillation(74 male, 43 female, age 69.1±16.3)were analyzed in this study.
All the patients were examined for presence or absence of the left atrial thrombus by TEE. Serum CRP level was measured within one
week before the TEE examination. Results: Left atrial thrombus was observed in 15 patients. There were no significant differences in age
and sex between patients with and without left atrial thrombus. CRP level in patients with left atrial thrombus was significantly higher than
those without thrombus(2.29±3.54 vs. 0.96±2.05 mg/dl, p=0.037). Conclusion: A high CRP level was related to the left atrial thrombus
formation in patients with non-rheumatic atrial fibrillation. Impact of CRP on subsequent embolic events needs further investigation.
一般演題 57
等容収縮期の渦流形成に対する心房収縮の関与 ̶Echo-dynamography による検討̶
1
東北厚生年金病院 中央検査部、2 東北厚生年金病院 循環器センター、3 宮城社会保険病院 循環器科、4 医用超音波技術研究所
中島 博行 1、田中 元直 2、菅原 重生 2、片平 美明 2、亀山 剛義 3、大槻 茂雄 4
【目的】前回、健常心において等容収縮期(IC)に発生する左室内渦流の発生とその役割について発表した。今回、IC の渦流形成と心房収縮との
関連について検討した。
【対象及び方法】健常例(N)と合併症のない心機能が正常な心房細動例(Af)を対象とし、左室内ドプラ血流速度情報に
Echo-dynamography を適用し、IC 期の血流構造と血流動態を解析した。Af の IC については、左室拡張が十分に得られる R̶R 間隔の長い時
相とした。
【結果及び考察】1)血流速度ベクトル分布の特徴は、a)N では心基部域に大きな円形配列のベクトルが示され、大きいベクトルは僧
帽弁前尖背面域では後方へ向かうベクトルとして、中央域で前方へ向かうベクトルとして示された。b)Af は僧帽弁前尖背面に小さな円形配列
のベクトルが示され、ベクトル分布は大動脈弁方向に向かう方向に流出路域で最大ベクトル、僧帽弁直下流入路域で最小ベクトルを示した。2)
N の渦直径(D)は 21.2mm、円周回転最大速度(V)41.8cm/s、で、Af は D12.3mm、V16.5cm/s であり、N に比べ Af ではいずれも低値を示した。
3)IC の渦流は、心尖部の早期収縮による圧力の上昇と伝播、心房収縮による流入血流の慣性の残存とにより生じ、慣性の残存が大きい時に大
きな渦流が発生する。Af では慣性流が欠如することにより小さくなると考えられ、心房収縮によって発生した流入血流がその大きさを左右する
と考えられた。
【結論】IC に発生する心基部域の渦流の形成には、心房収縮が密接に関連しているものと判断された。
̶ 119 ̶
一般演題 58
正常左房径で異常左房容積を呈する例の臨床的特徴の検討
1
札幌医科大学 医学部 第二内科、2 札幌医科大学 医学部 臨床検査医学
村中 敦子 1、湯田 聡 2、舟山 真希 1、土井 崇裕 1、山本 均美 1、金子 尚史 1、藤井 徳幸 1、下重 晋也 1、橋本 暁佳 1、
土橋 和文 1、渡辺 直樹 2、島本 和明 1
【背景】心房細動(AF)や脳梗塞の発症予測に有用な左房の大きさの評価には、従来左房径(LAD)が用いられていたが、近年より正確に左房の
大きさを反映する左房容積(LAV)も用いられるようになった。LAD が正常でも、LAV は異常(左房拡大)を示す例をしばしば経験するが、そ
の臨床的特徴は不明である。
【目的】
正常 LAD で異常 LAV を呈する例の臨床的特徴を検討すること。
【方法】
2006 年 7 月から 2007 年 6 月までに、
GE 社製 Vivid 7 により心エコー図検査を施行した連続 600 例中心房細動、有意な弁膜症、心臓手術例を除く正常 LAD(< 39mm(女)
、<
41mm(男)
)140 例(年齢 57 ± 18 才、男性 81 例)を対象に、M-mode 法により左室拡張末期径、左室壁厚、左室駆出率、心筋重量係数(LVMI)
を求め、左室流入血流速波形より拡張早期(E)波、心房収縮期(A)波の最大速度とその比(E/A)を求めた。パルス組織ドプラ法で中隔の拡張
早期僧帽弁輪速度(Em)を計測した。LAV は心尖部四腔、二腔像より Simpson 法を用いて計測し体表面積で補正し、既報に準じ LAV >
【結果】87 例(62%)で異常 LAV、15 例(11%)で E/Em 上昇(> 15)を認めた。異常 LAV 例は高齢で、有意
29ml/m2 を異常 LAV と定義した。
に E/Em と LVMI が高値を示し、高血圧や心不全の既往を多く認めた。多変量解析では、LVMI が異常 LAV の規定因子であった。E/Em 高値
例は、非高値例に比べ有意に高血圧(p < 0.01)や心不全の既往(p < 0.01)を多く認め、多変量解析では高血圧、心不全の既往が、正常 LAD で
E/Em 上昇を示した例の規定因子であった。
【結論】高血圧、心不全の既往のある例では、LAD が正常範囲にあっても、LAV による左房の大き
さの評価が必要である。
一般演題 59
Changes in LV Geometry from Sphere to Ellipse with Antihypertensive medicine: Possible Role of
Aldosterone Concentration
1
兵庫医科大学 総合内科 循環器内科、2 西宮渡辺心臓血管センター
合田亜希子 1、中尾 伸二 2、辻野 健 1、弓場 雅夫 1、大塚 美里 1、松本 実佳 1、吉田千佳子 1、江角 章 1、川端 正明 1、
増山 理 1
Background: Given a similar chamber pressure, ellipsoid chamber has an advantage over spherical chamber in reducing circumferential wall
stress from the viewpoint of physics. However, LV geometry has not been analyzed from such a viewpoint. In this study, LV geometrical
change associated with anti-hypertensive treatment was analyzed in light of plasma aldosterone concentration(PAC). Methods: LV
geometry was assessed with a ratio of LV radial dimension /longitudinal dimension(DW/DL)in the apical four chamber in 54 untreated
hypertensive patients, and only there with spherical LV chamber(DW/DL > 0.6)were studied. Echo studies and measurements of PAC
were repeated before and 6 months after treatment with Angiotensin II receptor blocker(ARB)
(n=11)or with calcium cannel blocker
(CCB)
(n=12).Results:(1)DW/DL decreased after treatment(0.59 ± 0.07 vs 0.68 ± 0.07, p < 0.01)with little change in LVMI. (2)There
was no difference in the degree of the change in DW/DL between those treated with ARB and those treated with CCB.(3)There was no
significant correlation between changes in blood pressure and those in DW/DL, but the DW/DL decreased more in those with larger drop
in PAC. Conclusions: Antihypertensive treatment was associated with LV geometrical change from sphere to ellipse, at least partially
reflecting the suppression of aldosterone secretion.
一般演題 60
塩酸ピオグリタゾンは心臓周囲の内臓脂肪を減少させる。:エコー法による epicardial fat pad の経時的観察に
よる検討
桜橋渡辺病院 心臓・血管センター 内科
永井 宏幸、伊藤 浩、岩倉 克臣、岡村 篤徳、黒飛 俊哉、小山 靖史、伊達 基郎、樋口 義治、井上 耕一、今井 道生、
有田 陽、豊島 優子、小澤 牧人、伊東 範尚、岡崎 由典、澁谷 真彦、藤井 謙司
【背景】心臓周囲の epicardial fat pad(EFP)は内臓脂肪であり、冠動脈外膜に直接接することから、positive remodeling や動脈硬化プラークの
形成への関与が指摘されている。一方、チアゾリジン誘導体である塩酸ピオグリタゾンは、冠動脈イベント抑制効果が高いが、その理由として
腹部内臓脂肪を減少させることが明らかにされている。今回、我々は 2 型糖尿病(DM)症例に対してピオグリタゾン投与前後で心エコー検査を
行い、EFP への影響を検討した。
【方法】器質的心疾患を有する 56 人の 2 型 DM 症例を対象とした。ピオグリタゾン投与前と後(平均 16 ヶ月)
で心エコー検査を施行した。EFP は右室自由壁上のエコーフリースペースの最大厚として長軸・短軸像での計測し、平均値を算出した。また、
10 人の健常例を対照とした。
【結果】健常群の EFP は、
3.75mm(1.50-5.78)であったのに対し、
DM 群では 6.43mm(3.20-11.45)と有意に(p < 0.01)
高値であった。ピオグリタゾン投与後、EFP は 5.17mm(2.10-9.55)となり、19.6% の有意な減少(p < 0.0001)を認めた。また、EFP の中間値で
ある 6.15mm を境に 2 群に分けて検討すると、
EFP が厚い群の方が、
よりピオグリタゾンによる EFP 減少率は大であった
(24.8% vs. 9.3%, p < 0.05)
。
【結論】2 型 DM 症例に塩酸ピオグリタゾンを投与することにより心臓周囲の内臓脂肪である EFP は有意に減少した。これが、塩酸ピオグリ
タゾンによる冠動脈イベントの抑制機序に関与するものと考えられた。
̶ 120 ̶
一般演題 61
右室収縮期血圧が正常の心室中隔欠損症例に認められた右左シャント
1
慶應義塾大学病院 中央臨床検査部、2 慶應義塾大学 循環器内科、3 慶應義塾大学 小児科
団 真紀子 1、村田 光繁 1、岩永 史郎 2、松下 健一 2、冨山久美子 1、羽鳥 泰子 1、松本 幸子 1、篠原 純子 1、中嶋 和子 1、
福島 裕之 3、小川 聡 2、村田 満 1
【症例】21 歳男性。静脈洞型心房中隔欠損症と部分肺静脈還流異常症のため、6 歳時に右房フラップによる心房中隔欠損孔閉鎖術と右房パッチ形
成術を施行し、肺静脈血は左房へ還流するように修正された。術後に心室中隔欠損症(VSD)の残存が発見された。平成 19 年 10 月より、頭痛と
発熱を生じた。発熱(38 度台)が持続し、嘔吐を伴ったため、11 月中旬に入院した。
【既往歴】12 歳時、洞不全症候群のため永久ペースメーカー
挿入。
【入院後経過】髄液検査で亜急性細菌性髄膜炎と診断され、脳膿瘍の存在が疑われた。右左シャントを確認するためにマイクロバブルテス
トが施行され陽性であった。右左シャント部位を診断するためにコントラスト心エコー法がおこなわれた。レボビスト 300 mg/ml を肘静脈より
2 ml 投与した所、コントラスト剤が VSD を介して右室から左室に流入した。右左シャントは右室ペーシング時の収縮早期に限られていた。三尖
弁逆流から推定した右室収縮期圧は 24 mmHg であった。
【考察】脳膿瘍を発症した心内右左シャントは外科的治療を考慮しなければならないが、
右室収縮期圧上昇を伴わない VSD で右左シャントを生じた報告はほとんどない。本症例は心室ペーシング時に右室の収縮開始が左室よりも早く、
右室圧が左室圧よりも早期に上昇するためにごく少量の右左シャントを生じた。
【まとめ】脳膿瘍が疑われた VSD で、右室収縮期圧が正常にもか
かわらず心室間右左シャントが確認された。これは右室ペーシングによるものであり、このような過去の症例の報告は発見できなかった。
一般演題 62
ドーパミン作動薬ペルゴリドが原因と考えられた重症三尖弁逆流症の一例
1
順天堂大学医学部附属順天堂医院 臨床検査部、2 順天堂大学 循環器内科、3 順天堂大学 脳神経内科
町田 典子 1、大門 雅夫 2、鶴見 弘幸 1、堀口 園子 1、日暮 一美 1、中田実千代 1、杉山麻紀子 1、宮崎彩記子 2、望月 秀樹 3、
服部 信孝 3、杢野 浩司 2、代田 浩之 2
パーキンソン治療薬ペルゴリドは、3 ∼ 5mg/ 日の高用量服用で心臓弁膜症を発症するリスクが高い事が報告されている。我々は、0.75mg/ 日
の低用量ペルゴリドによるパーキンソン病治療中に、
重症三尖弁逆流を発症した一例を経験したので報告する。症例は 74 歳男性、
平成 12 年にパー
キンソン病と診断され現在まで 5 年 10 ヶ月にわたり 0.75mg/ 日のペルゴリドを服用。平成 18 年 2 月の心エコー図検査では有意な弁の器質的変化、
逆流症は認めなかった。平成 19 年 8 月より下肢浮腫が出現し、次第に増悪したため同年 12 月に精査加療目的にて入院となった。ペルゴリド副
作用による心臓弁膜症が疑われたため、入院時よりペルゴリドの投与を中止した。入院後の心エコーでは三尖弁下腱索は短縮し、弁尖接合部の
心尖方向への偏位から三尖弁の接合不全を生じておりそれに伴う重度の三尖弁逆流および右心系の拡大を認めた。下肢浮腫は重度の三尖弁逆流
による右心不全症状と考えられたため、利尿剤による治療を開始し下肢浮腫は改善した。11 日後の心エコーでは、右心不全症状は改善していた
が三尖弁の器質的変化および重度の三尖弁逆流の残存を認めた。日本国内で使用される 0.75 ∼ 1.25mg/ 日の投与で弁膜症の発症は極めて低い
とされている。しかし、本症例は三尖弁の形態が報告されているペルゴリドによる変化と一致しており、低用量のペルゴリドと三尖弁逆流発症
の関連が考えられた。
一般演題 63
異常乳頭筋により左室流出路狭窄を来たした 1 例
1
君津中央病院 生理検査部、2 君津中央病院 循環器科
小野 和重 1、関根 泰 2、村田 尚行 1、國金 正宏 1、亀田 義人 2、田中 秀造 2、芳生 旭志 2、松戸 祐治 2、藤本 善英 2、
山本 雅史 2、氷見 寿治 2
症例は 71 歳男性。胸部不快感を主訴に近医受診。心不全と診断され、ジギタリス、ベラパミルを投与され帰宅。症状が改善しないため翌日に
別の近医を受診。BP50 台と著明な低血圧を来たしていたため入院、ドブタミンを投与さ
れたが血圧上昇なく、当院へ救急車にて搬送された。当院到着時 BP60 台。心電図 : 頻脈
性心房細動(HR120-150bpm)救急外来での経胸壁心エコー図上、左室過収縮、左室流出
路に加速血流を認め、流出路圧較差は 70mmHg であった。左室肥大は認めなかったため、
脱水、カテコラミンによる Dynamic LVOT obstruction と診断し、直ちにカテコラミン
を中止、輸液負荷を開始したところ、BP80 台まで上昇したが、肺水腫となり気管内挿管
となった。心不全コントロール後、経食道心エコー図、3D 心エコー図を含めた形態評価
の結果、異常乳頭筋による左室流出路狭窄と診断した。β遮断薬を導入し、流出路圧較
差は 10mmHg へと低下した。臨床経過も教訓的であり、稀な異常乳頭筋と考えられたた
ため症例報告する。
̶ 121 ̶
一般演題 64
リアルタイム 3D 経食道心エコーにより僧帽弁狭窄症患者の左房内竜巻エコーが観察できた一症例
産業医科大学 第二内科
春木 伸彦、竹内 正明、中井 博美、岡松 恭子、尾辻 豊
症例:69 歳、女性。2007 年 1 月頃より呼吸苦と体重増加が出現し、9 月に当院受診。心房細動及び聴診にて、心尖部を最強点とする Levine 3/6
の拡張期雑音を聴取し、経胸壁心エコーを施行したところ、
中等度の僧帽弁狭窄症(弁口面積 1.1cm2)及び著明な左房
拡大(左房容積係数 145ml/m2)を認めた。精査、加療目的
にて入院となり、3D 経食道心エコー(TEE)を施行した。
僧帽弁はリウマチ性変化を認め、左房は著明に拡大し、左
房内にもやもやエコーが充満していた。3D 画像において、
左心耳内にもやもやエコーが発生し、竜巻のように渦を巻
いて、狭窄している僧帽弁に吸い込まれていく様子を記録
することが可能であった。左房内に明らかな血栓エコーは
認めなかった。リアルタイム 3D-TEE により、2D-TEE で
は観察できないもやもやエコーの動態をも評価することが
可能であった症例と考えられた。
一般演題 65
右室ペーシングから両室ペーシングへの変更により心機能不全が改善した 1 例
和歌山県立医科大学 循環器内科
下角あい子、平田久美子、財田 滋穂、竹本 和司、松本 啓希、柏木 学、辻岡 洋人、大河内啓史、池島 英之、有田 祐、
上野 悟史、黒井 章央、片岩 秀朗、谷本 貴志、北端 宏規、中村 信男、水越 正人、田中 篤、今西 敏雄、赤阪 隆史
83 歳女性。完全房室ブロックに対し 10 年前に右室ペーシングを導入されたが、その後も心不全による入退院を繰り返していた。2007 年 11 月、
呼吸困難及び下腿浮腫が増悪したため当科を受診、両心不全の診断にて入院となった。心電図上 wide QRS であり、心エコー図検査にて心室間
および心室内の収縮同期不全が認められた。心不全に対する内科治療に抵抗性であったため、同期不全に対して両室ペーシングによる心室再同
期療法(CRT)を試みた。CRT 前は NYHAIII 度、QRS 幅 200msec、左室駆出率 36%および中等度の僧帽弁閉鎖不全症を認めていたが、CRT
施行後には、自覚症状は著明に改善し(会話による呼吸困難が消失)
、NYHAII 度、QRS 幅も 120msec まで短縮、左室駆出率は 42%と増加し、
僧帽弁閉鎖不全は改善し、軽度の逆流を認めるのみとなった。その他、心エコー図による同期不全の指標も以下のごとく改善を認めた。左心室
乳頭筋レベルの左室中隔と後壁の収縮のずれは 144 から 118msec に、両心室間の収縮のずれは、16.6 から 11.0 msec へと短縮を認めた。右室ペー
シングを行っている重症心不全患者に対し、両室ペーシングを行うことにより、心不全症状が著明に改善した症例を経験した。また、CRT 前後
に施行した心エコー図検査にて、心室同期不全および左室収縮能の改善が明らかにされた。
一般演題 66
小児腎透析患者における左室拡張能の評価
東京女子医科大学 循環器小児科
富松 宏文、坪井 龍生、中西 敏雄、石井 徹子、山村 英司、森 善樹
背景:小児腎不全患者における心機能評価はで重要であるが、前および後負荷など検査時の状態が一定でないことが多いため、心機能を適切に
評価できていないことが推測される。とりわけ拡張能についての評価はこれまで十分になされているとはいえない。目的:小児透析患者の左室
拡張能を評価することを目的とした。対象:20 歳未満の慢性腎不全で透析導入されている患者 25 人、検査時年齢:1 ∼ 18 歳(中央値、11 歳)
、
透析歴 : 平均 2.4 年(腹膜透析:22 人、血液透析:3 人)
。方法:心エコー法において、左室拡張および収縮末期径、左室拡張末期後壁厚、左室
流入血流波形(E 波、A 波)
、心室中隔側での僧帽弁輪後退速度 em を測定した。また、これらから左室心筋重量、E/A、E/em などを求めた。
対象患者を左室心筋重量により左室肥大群(LVH)と非左室肥大群(非 LVH)の 2 群にわけ、拡張期諸指標との関係を検討した。結果:当施設
において求めた小児の左室心筋重量係数を用いて 80g/m2(m+1.5SD)以上を LVH 群とした。LVH 群と非 LVH 群の比較では E 波(cm/s)
:92
± 16.7vs98 ± 26.8(NS)
、A 波(cm/s)
:72 ± 23.3vs74 ± 21.7(NS)
、E/A:1.37 ± 0.42vs1.33 ± 0.22(NS)
、em(cm/s)
:8.5 ± 2.9vs11 ± 2.6(P
< 0.05)
、E/em:12.4 ± 5.5vs8.9 ± 1.6(P < 0.05)であった。考察: em および E/e' は、LHV 群と非 LVH 群の間に有意差を認めた。したがっ
て小児透析患者において左室流入波形だけでは左室拡張能の評価が困難な場合でも、
em および E/em は拡張能の評価に有用であると考えられた。
̶ 122 ̶
一般演題 67
左室内非協調運動評価にリアルタイム 3 次元エコー法を用いた検討
1
神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部 心エコー室、2 同 循環器内科、3 同 胸部外科
角田 敏明 1、田辺 一明 2、谷 知子 2、江原 夏彦 2、八木登志員 1、盛岡 茂文 2、藤原 洋 3、岡田 行功 3、古川 裕 2
【背景】左室内非協調運動を有する重症心不全患者に対して心臓再同期治療(CRT)は有用な治療法である。左室内非協調運動を評価する方法に
は種々の報告例があるが、左室全体を同時に評価する方法はない。近年、フィリップスメディカルシステムズ社より開発されたリアルタイム 3
次元心エコー(RT3DE)を使用することにより、左室 17 分割セグメントごとの容量変化曲線がかけるようになった。
【目的】左室内非協調運動
評価において RT3DE 法の有用性について検討することである。
【対象】心室内伝導障害をともない CRT を施行した 17 例(男女比 10:7)を含
む 56 例(男女比 24:12、左室駆出率(EF)37.23 ± 29.4%)
【方法】RT3DE 法を用いて左室 17 セグメントごとの容量変化曲線を記録し、各 17
セグメントにおいて 1 心拍を 100% とした時の最小容量になるまでの時間(%)を計測、平均±標準偏差(SD)を求め、SD を左室内非協調運動指
標(SDI)とした。CRT を施行した症例では治療前後の SDI を比較した。また、心尖部二腔像・四腔像において各基部での組織ドプラを記録し、
心電図 Q 波から組織ドプラ S 波出現までの時間(Ts(%)
)を記録し RT3DE 法の指標と比較した。
【結果】EF と SDI では弱い逆相関を認め、
QRS 幅と SDI では相関は認めなかった。組織ドプラ法による Ts と各基部に対応した RT3DE 法による最小容量になるまでの時間には相関は認
めなかった。CRT を施行した症例においては、EF および SDI の改善を認めた。
【結語】RT3DE 法は左室内非協調運動評価において組織ドプラ
法と異なった指標になり得る。
一般演題 68
2D speckle tracking 法による経皮的心房中隔欠損閉鎖術前後の左室壁運動の変化について
長野県立こども病院 循環器科
武井 黄太、安河内 聰、瀧聞 浄宏、梶村いちげ、松崎 聡、里見 元義
【背景】経皮的心房中隔欠損閉鎖術(ASO)では心膜切開や体外循環の影響を受けることなく欠損孔閉鎖による血行動態の変化の影響を評価でき
る。
【目的】ASO 前後での左室壁運動の変化を 2D speckle tracking 法を用いて評価すること。
【方法】症例は当院にて ASO を施行し、ASO 前
後で経胸壁心エコー図にて 2D speckle tracking 法による左室 strain を測定し得た 8 例。ASO 施行時の年齢 10.9 ± 5.7 歳、30.3 ± 13.7kg で、術
前の肺体血流比 2.1 ± 0.67 であった。計測は GE 社 Vivid 7、S3 プローブを使用して左室短軸像を記録し、解析ソフト GE 社 Echopack を使用し
て speckle tracking 法による左室壁中隔側(S)
、外側(L)の strain、displacement を解析した。正常コントロール(N 群)として健常幼稚園児よ
り記録したデータを用いた。
【結果】左室短軸乳頭筋レベルでの radial strain は N 群 S 55.3 ± 12.0、L 67.7 ± 9.1 に対し、ASO 術前 S 45.0 ±
16.5、L 72.0 ± 13.6 と S で L と比較して有意に低下していた。ASO 直後、1 ヶ月後では S 54.5 ± 23.4、L 77.1 ± 23.4 および S54.9 ± 22.3、L
78.6 ± 25.8 で、S は L と比較して低い傾向は認めるものの有意差は認めなかった。また、time to peak strain は ASO の前後において有意差を
認めなかった。一方 radial displacement は N 群 S 4.8 ± 1.2、L 4.7 ± 0.82 に対し、ASO 前 S 3.3 ± 1.6、L 6.8 ± 1.8 と S で L と比較して有意に
低下しており、ASO 後 1 ヶ月までに S 5.8 ± 1.0、L 7.0 ± 2.0 と有意な増大を示した。
【考察】左室 radial strain、radial displacement ともに
ASO 術前に S で有意な低下を認めたが、displacement は術後 1 ヶ月までに有意な増大を示した。これには右室容量負荷の軽減などの影響が考
えられた。
一般演題 69
高血圧症における左室肥大形式と左室捻れ運動の関係
1
洛西ニュータウン病院 循環器科、2 関西医科大学 心臓血管病センター
吉田 衣江 1、高山 康夫 1、松原 恵子 1、藤川 美絵 1、湯山 令輔 1、正木 元子 1、岩坂 壽二 2
【目的】左室肥大により左室捻れ運動(Torsion)が増加することが大動脈弁狭窄症例で報告されている。左室肥大は、形態的に左室心筋重量増加
と左室壁厚増加で示される。左室心筋重量が増加している高血圧症例を対象に、壁厚増加と捻れ運動および左室形状変化の関係を検討した。
【方
法】対象は左室心筋重量が増加している高血圧症 33 例(心筋重量 ; 男性> 116g/m2, 女性> 104g/m2)
。Relative wall thickness を用いて、壁厚
増加を有する Concentric-LVH(C-LVH)群、
壁厚増加を有さない Eccentric-LVH(E-LVH)群の 2 群に分類した。拡張末期の Sphericity index(左
室長径÷左室短径)を求めて、左室肥大にともなう形状変化についても検討した。Torsion は 2D Speckle-tracking 法を用いて、短軸像における
心尖部の回転角度から心基部の回転角度を差し引いて求めた。収縮機能の指標として、心尖部アプローチからの 3 断面で各壁の収縮期 Strain
rate の平均値を求めた。
【成績】C-LVH 群は 18 例、E-LVH 群は 15 例であり、年齢・血圧・LVEF・収縮期 Strain rate・心筋重量に有意差は認
めなかった。Torsion は、C-LVH 群:10.0 ± 2.7°、E-LVH 群:7.1 ± 3.7°(p < 0.05)と C-LVH 群が有意に増加していた。また、拡張末期
Sphericity index は C-LVH 群で 1.58 ± 0.2 、E-LVH 群で 1.36 ± 0.2(p < 0.01)と C-LVH 群が有意に増加しており、C-LVH 群の方が楕円形に
近いことが示された。
【結論】C-LVH と同程度に心筋重量が増加し左室収縮機能にも差を認めないにもかかわらず、左室形状が球状に変化し壁
厚増加を認めない E-LVH では収縮期捻れ運動の亢進が認められない。
̶ 123 ̶
一般演題 70
2D strain 法による睡眠時無呼吸症候群患者における post systolic shortening(PSS)の検討
産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科
春木 伸彦、竹内 正明、中井 博美、岡松 恭子、尾辻 豊
【目的】左室駆出率が正常の OSA 患者
【背景】睡眠時無呼吸症候群(OSA)では、無呼吸による低酸素血症が心筋虚血を誘発する可能性がある。
において 2D strain 法により longitudinal strain(LS)を測定し、睡眠前後での PSS の出現とその程度を健
常例と比較検討すること。
【方法】対象は OSA 患者 23 例、健常例 9 例。睡眠直前及び起床直後で心エコー
を 施 行。speckle tracking 法 に より 左 室 17 領 域 の LS を 測 定 し、 収 縮 末 期 の strain 値(SES)
、postsystolic strain 値(SPS)を計測。PSS の指標である post-systolic index{PSI:(SPS-SES)/SPS × 100}を
算出した。また最大 strain 値までの時間(Time to peak LS : TtPLS)及びそのばらつき(TtPLS-SD)を計
測した。
【結果】睡眠前 PSI の値に両群間で差はなかったが、起床後の PSI は OSA 群で基部及び全領域の
平均が健常群に比し有意に高かった。TtPLS-SD は両群間で差はなかった。
【結語】OSA では、睡眠によ
り PSS が増悪するも、dyssynchrony は出現しない。
一般演題 71
肥大型心筋症における左房ディスシンクロニーの検討
大阪医科大学 第三内科
川西 泰徳、伊藤 隆英、二井 理恵、北浦 泰
【方法】対象は
【目的】本研究では,肥大型心筋症(HCM)における左房のディスシンクロニーについて,心筋ストレイン法を用いて検討した.
HCM 患者 25 名および健常者 25 名.左室長軸 3 断面より左房 5 点(前壁,下壁,側壁,中隔,後壁)
のストレイン曲線を抽出し,大動脈弁開放時から最高ストレインまでの時間および僧帽弁開放時から最
低ストレインまでの時間を計測した(図)
.5 点の標準偏差をそれぞれ,reservoir dyssynchrony(RD)
,
emptying dyssynchrony(ED)として両群間で比較した.
【結果】HCM 患者では RD が有意に増大して
いたが(39 ± 23 vs. 27 ± 14, p=0.02)
,ED には差異がなかった(37 ± 17 vs. 30 ± 15,p=NS). RD は
心室中隔壁厚(r=0.51, p < 0.001)および 左房収縮能(r=-0.40, p=0.004)と有意な相関を示した.
【結論】
HCM では左房のディスシンクロニーが著明で,左室のスティフネスを反映しているものと考える.
一般演題 72
Systolic Function in Region of Left Ventricular Pacing Lead Predicts the Response to Cardiac
Resynchronization Therapy
神戸大学大学院 循環器内科学
則定加津子、川合 宏哉、福田 優子、岡田真理子、古木 マキ、辰巳 和宏、片岡 俊哉、大西 哲存、福沢 公二、吉田 明弘、
平田 健一
Background: The aim of this study was to investigate the influence of the myocardial systolic function in the region of LV pacing lead on the
response to CRT. Methods: Twenty-two patients who had advanced heart failure, depressed LV ejection fraction(EF), prolonged QRS
duration and substantial LV dyssynchrony assessed by tissue Doppler imaging received successful CRT. The LV lead was positioned in the
lateral or posterolateral vein. Standard echocardiography was performed at baseline and after 1 week of CRT. In speckle tracking images,
LV was separated into 17 segments and longitudinal peak systolic strain(S)of each segment was measured. S(all)and S(pl)were
calculated as an average of S in all of 17 segments, and in 5 posterior and lateral segments where LV pacing lead was positioned,
respectively. Responders were defined at 1 week after CRT initiation by ≧ 20% EF increase and/or ≧ 15% end-systolic volume decrease
with respect to baseline. Results: Sixteen patients were responders to CRT. No significant differences were observed between responders
and non-responders in QRS duration, LV dyssynchrony, LVEF, and S(all)at baseline. The absolute value of S(pl)in responders was
significantly higher than that in non-responders at baseline. Conclusion: The results suggest that preserved systolic function in the region of
LV pacing lead predicts the response to CRT.
̶ 124 ̶
一般演題 73
2D スペックルトラッキングエコー法(2DSTE)による閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における潜在的左室収
縮能低下の検討
産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科
春木 伸彦、竹内 正明、中井 博美、岡松 恭子
背景:閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)では、無呼吸による潜在的な左室収縮能低下を日々繰り返している可能性がある。目的:左室駆出率
が正常な OSA 患者において睡眠前後の左室収縮能の変化を、2DSTE で検討すること。方法:対象は OSA 患者
32 例、健常群 28 例。睡眠直前及び起床直後で心エコーを施行し、短軸三段面(基部、中部、心尖部)および心尖
部 三 断 面( 四 腔、 二 腔、 長 軸 ) を 記 録、2DSTE に よ り longitudinal strain(LS)
、radial strain(RS)
、
circumferential strain(CS)を測定した。結果:睡眠前の 2 群間比較では、心拍数、収縮期血圧および CS が健常
群に比べて OSA 群で有意に高かった(p < 0.005)
。睡眠前後の比較では、健常群の LS、RS、CS は変化しなかっ
たが、OSA 群では RS、CS は変化しなかったものの、起床直後の LS は有意に低下した(p < 0.0001)
。また LS
の変化率と AHI および最低 O2 飽和度の間に有意な相関を認めた
(r=0.39, -0.37, p < 0.005)
。結論:OSA 患者では、
睡眠後に長軸方向のストレイン値が低下することから、無呼吸後の潜在的左室収縮能低下が繰り返し出現してい
ることが示唆される。
一般演題 74
Relationship between QRS characteristics and echo-derived dyssynchrony parameter
社会保険小倉記念病院 循環器科
有田 武史、安藤 献児、梅田ひろみ、曽我よしみつ、磯谷 彰浩、合屋 雅彦、安本 均、延吉 正清
Background: QRS width has been reported to be less associated with response to cardiac resynchronization therapy. However, detailed
analysis still remains to be done.Methods: 43 patients( Age 69.5 ± 11.0, Male 25/43, Ischemic etiology 17/43, Af 7/43, QRS width 156 ±
31.3ms, EF 25.5 ± 6.4%) who underwent CRT were assessed prior to and 3 month post CRT implantation. ECG was analyzed regarding
QRS width, QRS axis, and QRS morphology. Various mechanical dyssynchrony parameters were studied including Yu's index, SPWMD, and
speckle tracking-derived strain parameters. And also eyeball assessment of dyssynchrony was qualitatively assessed.Results: 23 patients
showed volumetric response defined as Δ LVESV > 15%. Large Δ LVESV were associated with LBBB, left axis deviation(LAD), but not
with QRS width. QRS morphology were related to SPWMD, SD of time to peak circumferential strain(tEcc), filling time fraction, and
eyeball dyssynchrony parameters. QRS axis was associated with SPWMD, and swing motion in the apex view. QRS width were only
associated with swing motion in the SAX view. Sensitivity and Specificity of presence of left axis deviation, LBBB for predicting CRT
responder were 59.1/66.6 and 55.1/71.4 respectively.Conclusion: QRS morphology and axis, not width, is associated with intraventricular
mechanical dyssynchrony parameter and could serve as a predictor for CRT response.
一般演題 75
Velocity-Vector Imaging による胎児左室 torsion の測定 ̶心内膜側と心外膜側の比較
長野県立こども病院 循環器科
安河内 聰、里見 元義、瀧聞 浄宏、梶村いちげ、武井 黄太、松崎 聡
【目的】今回は Velocity-Vector-Imaging(VVI)を用いて正常胎児の LV-Tor 測定が可能か検討し、さらに心内膜側(End)と心外膜側(Epi)の
LV-Tor について比較検討すること。
【対象】
左室短軸像が得られ VVI で解析が可能であった正常胎児 10 例
(在胎週数 24 ∼ 38 週)
。 【診断装置】
Seqouia 512(持田シーメンスメデイカル社)と 6C2/8V3 probe。
【方法】胎児左室の房室弁と心尖部レベルの短軸断面を、母体心電図を dummy
pulse として 70 frame/sec 以上の frame rate で HD に記録後 off-line の Syngo 解析プログラムで解析した。 胎児左室の拡張末期は短軸断面の
中隔と自由壁を通過するように設定した M-mode から同定し、1 心周期分の Data を収集。 VVI で心尖部と心基部の心内膜および心外膜側に
sample point を設定して各々の rotation を求め、
その差分から左室 torsion を計算した。
【結果】
M-mode による胎児心拍周期の一致率は 1.02 ± 0.04
であった。胎児左室の radial strain は心基部で 10.5 ± 5.5% , 心尖部で 26.4 ± 13.3%であった。左室 torsion は End :6.8 ± 3.4 度、Epi: 6.3 ± 2.9
度と Epi 側でやや低値を示した。
【結語】VVI により胎児左室 torsion の計測は可能で、以前報告した EUB8500 を用いた計測値(6.07+/-2.7 度)
ともほぼ一致していた。LV-Tor は胎児左室心筋局所壁運動の評価法の一つとして使用できると思われる。
̶ 125 ̶
P1
安静時心エコー図の Longitudinal Strain Rate 法(SR)と MCE, Bull's eye 併用による狭心症の診断と冠動
脈狭窄率の推定
柿原クリニック
柿原理一郎
安静時心尖部画像の SR 値(1/s)の 4 変数(100msecSR 値 ,200msecSR 値 ,100 ∼ 200msec 間の SR の最小値 ,100 ∼ 200msec 間の SR 値の平均値)
を用いる判別関数と判別 score での狭心症の診断法を示す。
【方法】心内膜側に ROI
を設定し心尖部画像のうち AP2ch view の前壁中央を LAD 領域 , 下壁中央を RCA
領域 ,APLAX 後壁中央を LCX 領域として strain rate 曲線を描き 4 変数を求める。
75% ≦狭窄判別関数 :Z75 = 4.91+1.02 ×
(100ms.SR)
+1.23 ×
(200ms.SR)
-0.46 ×
(min.
SR)
+
(mean SR)
で Z > 0 で 75% ≦狭窄と診断 , 90% ≦狭窄判別関数 :Z90 = 8.20+2.13
×(100ms.SR)+3.11 ×(200ms.SR)+2.36 ×(min.SR)+3.11 ×(mean SR)で Z > 0
で 90% ≦狭窄と診断。Z75 と Z90 の大きい方を狭窄率とした。6 症例 18 枝につい
て 検 討 し た。
【 結 果 】 表 に 示 す。75% ≦ 狭 窄 の 診 断 感 度 は 100%,75% 狭 窄 は
75.0%,90% ≦狭窄は 100% であった。
【結論】二つの判別関数を併用すれば狭窄率の
推定は可能であり , 加えて虚血を MCE で証明しその範囲を Bull's eye で確認すれば
CAG の適応決定の有用な方法となる。安静時画像 ,strain rate 曲線と共に MCE 画
像 ,Bull's eye 画像を供覧する。
P2
再灌流療法後の Diastolic Stunning の評価に TSI 法を用いたストレインレートは有効である
横浜市立大学付属市民総合医療センター 心臓血管センター
岩橋 徳明
再灌流療法に成功した ST 上昇型急性冠症候群の局所 diastolic stunning の評価に TSI 法を用いたストレインレート法の有用性に関して検討した。
【方法】連続 102 例の ST 上昇型下壁急性冠症候群に対して早期再灌流療法を施行し、症例を peakCPK の値により Aborted MI(GroupA,n=25:
peakCK310)と EstablishedMI(GroupE,n=77:peakCK2317)の 2 群に分けた。AbortedMI は CPK が正常上限の 2 倍を超えない場合と定義した。
Tissue strain imaging(TDIQ, Toshiba)は 2 週間後と 10 ヶ月後の二回施行した。Subendocardial と subepicardial peak radial ストレインレー
ト(SR)は 収縮期(Endo,EpiSSR), 拡張早期(Endo,EpiESR), 心房収縮期(Endo,EpiASR)に計測した。また time to peak strain-rate も計測した。
虚血部位の Post-systolic thickning(PST)を subendocardium と subepicardium で計測した。
【結果】GroupA の症例は肉眼的に判別可能な
asynergy を認めなかった。SR 指標は GroupA において高く time to SR は GroupA において短かった。GroupA では PST の出現頻度は 2 週間
では subendocardium(100%)
、
subepicardium(67%)で , 10 ヶ月後には各々(50% and 25%)であった。GroupE では全例 PST(100%)を認めた。
Endo,Epi ESR と ASR は GroupA&E の両群で 10 ヶ月後には改善した。Time to SR では EpiTESR のみ GroupA&E の両群で改善した
(409vs376,
482vs392,p < 0.05)
。
【結論】
再灌流療法で心機能は温存されて見えても、PST は SRimaging で観察すると AbortedMI の局所心筋でも観察された。
SRimaging は再灌流療法に成功した ST 上昇型急性冠症候群の局所 diastolic stunning の時間経過の評価に有用である可能性が示唆された。
P3
組織ドプラ法を用いた運動負荷心エコー法の有用性
1
近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部、2 近畿大学 医学部 循環器内科
平野 豊 1、生田新一郎 2、中村 元 2、宮崎 俊一 2
【背景】運動負荷心エコー法は虚血性心疾患の診断に有用であるが、壁運動の評価は経験を要する。一方、post systolic shortening(PSS)が冠動
脈 狭 窄 の 診 断 に 有 用 で あ る 事 は 以 前 か ら 報 告 さ れ て い る が、 断 層 上 に PSS を カ ラ ー 表 示 す る Detection of Diastolic Abnormality by
Displacement Imaging(DADI)法を併用した運動負荷心エコー法の有用性については明らかではない。
【目的】PSS を displacement モードで断
層エコー上にカラー表示する DADI 法を併用することによって、運動負荷心エコーの診断精度の向上がみられるか検討した。
【方法】虚血性心疾
患が疑われ冠動脈造影を施行された 32 例。運動負荷心エコーはトレッドミルを用い、負荷前と負荷終了平均 3 分後の画像を記録した。超音波
診断装置は東芝社製 Aplio を用いた。心尖 4 腔像と 2 腔像でカラー組織ドプラ法を施行した。心筋の速度から displacement を求め、
収縮期のピー
ク時相の遅れから、正常を緑色、遅延を赤色で表示した。この DADI 法から冠動脈支配領域に一致して心筋セグメントが赤色で表示されたもの
を PSS 陽性とした。
【結果】
32 例中 22 例に有意冠動脈狭窄を認めた。DADI 法では全例で評価でき、
その診断精度は感度 81%、
特異度 70%であっ
た。一方。壁運動からの評価では 1 例が評価不能であり、その診断精度は、感度 76%、特異度 80%であった。DADI 法の左前下行枝病変の診
断精度は感度 81%、特異度 76%であるが、壁運動評価では感度 64%、特異度 80%であり、感度は DADI 法の方が高い傾向があった。
【結論】
運動負荷心エコーに DADI 法による PSS 診断を併用することは、虚血性心疾患の診断に有用であった。
̶ 126 ̶
P4
急性心筋梗塞後の E/Ea とマトリックスメタロプロテアーゼ
1
岐阜県立多治見病院 循環器科、2 名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科
矢島 和裕 1、大手 信之 2、吉田 哲郎 1、小栗 光俊 1、藤巻 哲夫 1、加藤 公彦 1、日比野 剛 1、横井 清 1
急性心筋梗塞(AMI)後の左室拡張不全の病態については十分に解明されていない。拡張早期僧帽弁口速度(E)と拡張早期僧帽弁輪移動速度(Ea)
との比(E/Ea)は AMI 後の左室充満圧および予後を予測する指標として有用である(Hillis GS et al, JACC, 2004;43:360-7)
。一方、AMI 後のリ
モデリングに matrix metalloproteinases(MMP)が関与していると報告されている。われわれは、E/Ea と看血的に測定した心機能諸指標およ
び一連の MMP 関連蛋白との関係を検討した。方法 : 急性期に PCI を行い再灌流に成功した連続 88 名の AMI 患者(前壁 36 名、下壁 32 名、後
壁 14 名、側壁 6 名)を対象とした。入院直後と 6 ヶ月後に MMP-2, MMP-9 および tissue inhibitor of matrix metalloproteinase(TIMP)-2 の値
を求めた。発症 2 週間後と 6 ヶ月後に心エコーと心臓カテーテルの両検査を行った。左室造影から左室駆出率(LVEF)を求め、カテ先マノメー
ターを使用した左室圧曲線から弛緩時定数(tau)と拡張末期圧(LVEDP)を求めた。結果 : 2 週間後および 6 ヶ月後に測定した E/Ea は、それぞ
れ 2 週間後および 6 ヶ月後の tau や LVEDP と有意な正の相関を示した(r=0.31, p < 0.005, r=0.22, p < 0.05 および r=0.30, p < 0.005, r=0.35, p
< 0.001)
。2 週間後および 6 ヶ月後に測定した E/Ea は、6 ヶ月後の LVEF の変化率(Δ EF)とは相関を示さなかった。6 ヶ月後の E/Ea の変化
率(Δ E/Ea)は TIMP2 の変化率(Δ TIMP2)と正相関した(r=0.26, p < 0.05)
。MMP-2, -9 についてはこのような関係を認めなかった。結語 :
AMI 後の E/Ea 値は、1)左室拡張能を反映する。2)左室駆出率の低下、すなわち左室拡大とは関連しない。AMI 後の左室拡張性不全の悪化に
TIMP2 が関与している可能性がある。
P5
急性心筋梗塞患者に対する下肢挙上による僧帽弁流入血流波形の変化について
市立堺病院 循環器内科
佐藤 正岳、谷和 孝昭、古川明日香
【目的】ドプラー心エコー図検査を用いた僧帽弁流入血流波形はさまざまな心疾患の予後因子と関連を有している . しかし , 僧帽弁流入血流波形は
心負荷に対して容易に影響を受ける . 我々は急性心筋梗塞既往患者に対して心負荷を加えたときの僧帽弁流入血流波形の変化が新たな予後予測
因子となりうるか後向きに検討をした .【方法と結果】急性心筋梗塞の既往を有する 46 名の患者に対して安静仰臥位 , 受動的下肢 45 度挙上時 , バ
ルサルバ法 , それぞれにおけるドプラー血流波形を記録した . 下肢挙上時とバルサルバ法施行時の僧帽弁流入血流波形における E/A の比を算出
し , δ E/A とした . 負荷による僧帽弁流入血流波形の変化により患者を 6 群に分類した .2 名は非可逆性拘束型 ,4 名は可逆性拘束型 ,13 名は可逆
性偽正常型 ,4 名が安定弛緩異常型 ,10 名が不安定弛緩異常型 ,13 名が正常型であった . このうち 2 名が梗塞発症後に心不全を来たしており , いず
れも可逆性拘束型を呈していた . 心不全患者はその他の心筋梗塞患者と比較して著明なδ E/A の上昇(5.4 対 1.5; p < 0.001), 中隔の E/E'(E/
E'septal)の上昇(24 対 11; p < 0.001)を認めた . しかし , 拡張能の指標の一つと考えられる BNP は優位な差を示さなかった(315pg/ml 対 147pg/
ml; p=0.16)【
. 結論】今回の結果からδ E/A と E/E'septal が急性心筋梗塞後に心不全をきたし易いか否かの指標となる可能性が示唆された .E/E'septal
は壁運動異常による影響を受けるが , δ E/A は壁運動異常にも影響を受けないため , 急性心筋梗塞患者の適切な予後予測因子となると考える .
P6
Echo-Dynamography の臨床応用:左室内腔局所 Time-Flow-Curve による心尖部前壁梗塞例の駆出特異性の評価
1
岩手医科大学 循環器医療センタ− 循環動態検査室、2 岩手医科大学 第二内科、3 岩手医科大学 小児科、4 東北厚生年金病院、
ALOKA 株式会社、6 岩手医科大学 臨床検査医学
伊藤 記彦 1、佐々木幸子 1、嘉村 幸恵 1、田代 敦 2、小山耕太郎 3、田中 元直 4、岡田 孝 5、久保 卓弥 5、諏訪部 章 6
5
【目的】Echo-Dynamography の左室内腔血流速度分布から Time-Flow-Curve(TFC)を用いて、任意の心周期における左室内腔局所の血流情報
を解析できる。TFC を用いて心筋梗塞例と正常例の左室内腔局所の駆出血流情報について比較検討した。
【方法】心尖部前壁に severe
hypokinesis から akinesis の asynergy を認めた洞調律の心筋梗塞 10 例(Ant 群)
、正常洞調律 11 例を対象に、左室心尖部長軸断面のカラード
プラ情報を Echo-Dynamography で解析させ、左室基部、左室中間部、心尖部に関心ラインを置き、そこを通過する TFC から駆出期の血流情
報を求めた。
【結果】正常例の左室基部、左室中間部、心尖部の駆出 TFC は、下に凸の波形を示し全ての症例でピーク値の時相が一致した。また、
左室基部、左室中間部、心尖部の順で徐々にピーク値が減衰する TFC を示した(図 1)
。Ant 群では左室基部と左室中間部および心尖部の駆出
TFC は、全て左室基部のピ−ク値が高かった。しかし、左
室中間部の TFC では 6 例でピーク値の時相が遅れていた。
さらに心尖部の TFC は 7 例で水平な TFC を示した(図 2)
。
̶ 127 ̶
P7
急性心筋梗塞患者における腎機能悪化と左室収縮・拡張能の関係
桜橋渡辺病院 心臓・血管センター 内科
伊東 範尚、伊藤 浩、岩倉 克臣、岡村 篤徳、黒飛 俊哉、小山 靖史、伊達 基郎、樋口 義治、井上 耕一、永井 宏幸、
今井 道生、有田 陽、豊島 優子、小澤 牧人、岡崎 由典、澁谷 真彦、藤井 謙司
【目的】急性心筋梗塞(AMI)後の腎機能が悪い患者群においては心血管イベントの再発率が高いことが報告されている。また、AMI 急性期に腎
機能が悪化する症例は多く存在するが、その規定因子については明らかではな
い。今回、緊急経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行した AMI 症例における腎機
能の悪化と左室収縮・拡張能の関係を検討した。
【方法】当院において緊急 PCI
を施行した AMI183 症例を対象とし、入院中の血清クレアチニン値が入院時と
比し 0.3mg/dl 以上上昇した群(腎機能悪化群)と上昇しなかった群(腎機能非
悪化群)に分け検討した。
【結果】腎機能悪化群において PCI 後 14 日目の
LVEF は有意に低値であり、拡張能の指標である e' も低値、E/e' 比は高値であっ
た。年齢・性別・糖尿病・高血圧等の冠危険因子の有無や入院時の腎機能、造
影剤の使用量は両群間で有意差を認めなかった。
【結語】AMI 症例において、
造影剤の使用量よりも、PCI 後の左室収縮・拡張能の低下が腎機能悪化と関連
することが示された。
P8
心エコールーチン検査に冠動脈エコー法は活かせるか
1
公立学校共済組合関東中央病院 検査部、2 公立学校共済組合関東中央病院 循環器内科
原田 修 1、伊藤 敦彦 2、池ノ内 浩 2
【背景】超音波技術の進歩により多くの超音波機器で冠動脈血流の検出が可能となったが日常の検査に普及していないのが現状と思われる。冠血
流予備能測定は患者への薬物負荷が必要であるが、ステント留置後の再狭
窄の評価に有用とされる冠動脈狭窄部 / 非狭窄部血流速度比による評価は
負荷の不要な方法でありルーチン検査に応用可能と考えた。
【目的】ルーチ
ン心エコー検査時の虚血性心疾患検出率向上を目的に冠動脈血流評価を
行った。
【使用機種】Philips 社製 Envisor【対象】ルーチン検査時に全例で冠
動脈血流検出を試み、血流速比から虚血性心疾患が疑われ、冠動脈造影が
施行された 35 例を対象とした。
【方法】流速レンジを 5 ∼ 50cm/sec 程度に
設定し、冠動脈血流の検出を行い狭窄部と遠位部との最大血流速比を計測、
冠動脈造影との結果を比較した。
【結果】最大血流速比と冠動脈狭窄度に有
意な相関を認め、血流速比 5 倍以上で 75 ∼ 90%、10 倍以上では 90%以上
の狭窄の可能性が高かった。
【結語】冠動脈最大血流速度比測定はルーチン
心エコー検査時の左前下行枝狭窄病変検出に有用と思われた。
P9
C 反応性蛋白と大動脈弁狭窄の進行との関係
川崎医科大学 循環器内科
今井孝一郎、大倉 宏之、久米 輝善、山田亮太郎、宮本 欣倫、尾長谷喜久子、築地美和子、和田 希美、林田 晃寛、渡邉 望、
根石 陽二、川元 隆弘、豊田 英嗣、吉田 清
【背景】C 反応性蛋白(CRP)は動脈硬化進展の重要な因子であると報告されている。大動脈弁狭窄(AS)は動脈硬化の一表現型であるが、CRP
と AS の進行との関係について検討した報告は少ない。
【目的】CRP と AS の進行との関
係について検討すること。
【方法】対象は心エコー図で AS と診断された 135 例中、1 年後
に心エコー図による follow-up が可能であった 47 例。1 年後の心エコー図所見から対象を
、slow progression 群(n=22,
rapid progression 群(n=25, δ AVA ≧ -0.15 cm2/ 年 )
【結果】両群で
δ AVA < -0.15 cm2/ 年)の 2 群に分け baseline CRP を比較検討した。
AS の 重 症 度、 ス タ チ ン 内 服 率、 冠 危 険 因 子 に 有 意 差 は 認 め な か っ た が、rapid
progression 群では slow progression 群に比べ CRP が高値であった
(p=0.004、
図)
。
【結論】
CRP は AS の進行に影響を及ぼす因子である事が示唆された。
̶ 128 ̶
P10
機能性僧帽弁逆流における僧帽弁機構の 3 次元的形態変化:心機能低下モデルを用いた実験的検討
川崎医科大学 循環器内科
山田亮太郎、渡邉 望、久米 輝善、築地美和子、林田 晃寛、根石 陽二、川元 隆弘、豊田 英嗣、和田 希美、宮本 欣倫、
今井孝一郎、大倉 宏之、吉田 清
背景機能性僧帽弁逆流(MR)は左室機能低下 , 左室拡大に伴う僧帽弁機構の形態変化により発生するとされる。本研究では弱心作用を持つ麻酔薬塩酸メデトミジン
(ドミトール)を用いたモデルにて僧帽弁機構の形態変化の三次元的定量解析を試みた。方法麻酔下犬 4 頭にドミトール 60 μ g/kg を筋肉内注射により投与した。
投与前及び投与後 15 分に経胸壁より 2D,3D 心エコー図を記録した。
2D 心エコー図で MR を定量し壁運動評価のため wall motion score
index(WMSI)を算出した。僧帽弁形状解析ソフト REALVIEW を
用いて投与前後の 3D 画像から弁輪面積 ,tenting volume,tenting
length,coaptation index, 弁輪 - 前後乳頭筋の距離(tethering length)
を計測した。また Q-LAB を用いて三次元的に LVEF を計測した。
結果ドミトール投与により EF,WMSI,coaptation index は有意に減
少し ,MR は増加した。弁輪面積 ,tenting volume は有意に増大した
(table)。結論ドミトール投与モデルで僧帽弁機構の三次元形態変化
を観察し得た。同モデルでは左室機能低下 , 左室拡大に伴う僧帽弁
輪の拡大と coaptation の低下を認め機能性 MR が出現した。
P11
高齢者僧帽弁逸脱症の予後についての検討
1
川崎医科大学附属病院 循環器内科、2 ベルランド総合病院、3 大阪市立大学附属病院、4 大阪掖済会病院
宮本 欣倫 1、大倉 宏之 1、久米 輝善 1、今井孝一郎 1、山田亮太郎 1、尾長谷喜久子 1、築地美和子 1、和田 希美 1、林田 晃寛 1、
渡邉 望 1、戸田 爲久 2、田口 晴之 2、根石 陽二 1、豊田 英嗣 1、川元 隆弘 1、葭山 稔 3、吉川 純一 4、吉田 清 1
[ 背景 ] 僧帽弁逸脱症(mitral valve prolapse, MVP)は一般的に合併症が多い弁膜疾患であると知られているが高齢者症例での臨床的予後はあ
まり検討されていない。そこで今回我々は高齢者の MVP で内科的治療の臨床的予後
を検討した。[ 方法と結果 ] 対象は 2002 年 4 月から 2007 年 3 月までに経胸壁心エコー
図で MVP と診断された 75 歳以上の 83 症例(男性 33 例、女性 50 例、年齢 83 ± 3 歳)
。
MVP 診断後の心血管イベント発生(心臓死、心不全、手術)について後ろ向き調査を
行い、EF50%以上と EF50%未満の 2 群の心疾患イベント発生について Kaplan-Meier
法を用いて検討した。平均観察期間は 639 ± 573 日。イベントを起こした症例は 28
例(35%)でその内訳は、
心臓死 4 例(5%)
、
心不全 17 例(21%)
、
手術 7 例(9%)であっ
た。心血管イベントの発生率は EF50%未満の群で有意に高かった。p < 0.01 )
。[ 結論 ]
高齢者 MVP において左心収縮能低下は心血管イベントを予測する重要な因子である
ことが示唆された。
P12
大動脈弁逆流における逆流ジェット方向による僧帽弁動態および左室流入血流パターンの差異
国立病院機構善通寺病院 循環器科・臨床研究部
森下 智文、福田 信夫、福田 大和、酒部 宏一、篠原 尚典、田村 禎通
【背景・目的】僧帽弁前突方向へ向かう大動脈弁逆流(AR)においては、拡張早期の僧帽弁開放および左室流入血流が制限されることはよく知ら
れている。しかし、心室中隔方向ヘジェントが向かう AR の僧帽弁および左室流入血流動態については検討されていない。今回、AR において
逆流ジェット方向と僧帽弁および左室流入血流動態との関連を検討した。
【方法】2/4 度以上の純型 AR53 例(平均年齢 65 歳)を逆流ジェット方
向により、僧帽弁前尖方向へ吹く群(M 群、30 例)
、左室中央方向へ吹く群(C 群、12 例)
、心室中隔方向へ吹く群(S 群、11 例)に分類し、AR
の程度、僧帽弁前尖の運動パターン、DDR、C-E 振幅、左室流入血流の E、A、E/A を 3 群間で比較した。
【結果】
(1)僧帽弁前尖運動:M 群
では開放が著明に制限されたのに対し、S 群では拡張早期に大きく開放し、拡張期を通じて開放位にとどまる特徴的パターンを示した。C 群は
拡張期半閉鎖運動を示す通常のパターンを示した。C-E 振幅は M 群が他の 2 群に比し有意に低値で、DDR は M 群、S 群が C 群に比し有意に低
値であった。
(2)AR の程度、左室流入血流の E、A、E/A は 3 群間に有意差を認めなかった。
【考察】S 群および M 群の特徴的な僧帽弁前尖運
動パターンは、前者においては心室中隔方向へ吹く逆流ジェットによる吸引作用の関与が、後者においては僧帽弁方向へ吹く逆流ジェットによ
る機械的圧排の関与が考えられた。
【結論】大動脈弁逆流の僧帽弁前尖運動は左室流入血流パターンとは関係なく、逆流ジェット方向と強く関連
する特徴的な所見を示した。
̶ 129 ̶
P13
リアルタイム 3D 経食道心エコー(TEE)を用いた僧帽弁形成術前後の比較
1
産業医科大学医学部 循環器・腎臓内科、2 フィリップスメディカルシステムズ、3 シカゴ大学医学部付属病院 エコーラボ
岡松 恭子 1、竹内 正明 1、中井 博美 1、春木 伸彦 1、サルゴ アイバン 2、スコット セトルメイア 2、スガング リサ 3、ラング ロベルト 3、
尾辻 豊 1
背景:僧帽弁逸脱症(MVP)による僧帽弁閉鎖不全症に対し、僧帽弁形成術が広く普及してきている。目的:僧帽弁形成術前後での僧帽弁の形態
変化をリアルタイム 3D 経食道心エコー
(3D-TEE, Philips)
を用いて定量的に評価すること。
方法:MVP4 例(前尖 1 例、後尖 3 例)において、術中 3D-TEE を施行。麻酔導入直後、
および形成術を施行しポンプ離脱後に僧帽弁の 3D 画像をズームモードで記録した。定量
的解析ソフトウェア(QLab-MVQ, Philips)を用いて、収縮末期フレームを選択し、僧帽弁
輪の同定及び弁尖の用手的トレースを行った。弁輪面積、高さ、弁尖面積、前交連 - 後交
連間径、前後径、逸脱の高さ及び逸脱容量、前後尖のなす角度を計測した。結果:リング
径は 26mm が 3 例、
28mm が 1 例であった。各指標の変化は表に示す通りであった。結論:
3D-TEE により僧帽弁形成術前後の僧帽弁の定量評価が可能となることが示唆された。
P14
冠危険因子を有する健常者における大動脈弁硬化と頸動脈硬化の進行:
心エコー図法と頸動脈エコー図法を用いた観察
1
兵庫県予防医学協会 循環器内科、2 川崎医科大学 循環器内科
山浦 泰子 1、渡邉 望 2、築地美和子 2、和田 希美 2、林田 晃寛 2、大倉 宏之 2、吉田 清 2
[ 目的 ] 大動脈弁硬化(AVS)と動脈硬化との病理学的・疫学的共通性が示唆されている。本研究の目的は、冠危険因子を重複保持する健常者に
おいて、比較的短期間で、AVS の進行および頸動脈 intima-media thickness(IMT)
の増加が認められるかを、心エコー図・頸動脈エコー図を用いて検討することであ
る。[ 方法 ] 冠危険因子を重複保持する健常勤労者で、心エコー図・頸動脈エコー
図を同時に、1 年以上の間隔をあけて 2 回以上行った連続 69 例(男性 64 例、50 ±
9 歳)について、初回と経過観察最終回(最終回)の AVS の有無と重症度、頸動脈
IMT について比較検討した。[ 結果 ] 観察期間は、1.7 ± 1.0 年であった。AVS は、
初回 22 例、最終回 27 例に認められた。7 例で、AVS の進行が見られた。IMT は、
初回 1.16 ± 0.36 mm、
最終回 1.24 ± 0.42 mm で、
有意な増加が認められた
(p < 0.05)
。
[ 結論 ] 冠危険因子を有する健常者においては、平均 1.7 年の経過において、大動
脈弁硬化の進行と頸動脈 IMT 増加が認められた。
P15
高齢者(80 歳以上)大動脈弁狭窄症の経胸壁心エコー図による経時的変化の観察
1
神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部 心エコー室、2 神戸市立医療センター 中央市民病院 循環器内科
中村 仁美 1、田辺 一明 2、谷 知子 2、八木登志員 1、藤井 洋子 1、紺田 利子 1、川井 順一 1、角田 敏明 1、山口 一人 1、
古川 裕 2、盛岡 茂文 2
【目的】
80 歳以上で重症大動脈弁狭窄症(AS)と診断された例において進行の経過をたどること。
【対象・方法】80 歳以上の重症 AS(弁口面積
1.0cm2 以下あるいは最大血流速度 4.0m/s 以上)において、経胸壁心エコー図に
て過去に遡って 1 年以上経過観察した 16 例(平均年齢 84.3 歳)を対象とした。方
法は、経胸壁心エコー図にて得られた大動脈弁の弁口面積、最大血流速度、最大
圧較差、平均圧較差、左室拡張末期および収縮末期径、容積、左房径、左室壁厚
の経時的変化を観察した。
【結果】平均経過観察期間は、4.4 ± 2.1 年であった。
対象患者の最新データにおける平均弁口面積は、0.55 ± 0.16cm2、平均最大血流
速度 4.60 ± 0.56m/s。平均年次変化は、大動脈弁口面積 0.05 ± 0.09cm2 減少、
最高血流速度 0.18 ± 0.19m/s 増加、最高圧較差 8.4 ± 8.2 mmHG 増加、平均
圧較差 2.6 ± 3.5 mmHG 増加であった。
【まとめ】80 歳以上で重症 AS と診断さ
れた患者は、緩徐であるが重症度の進行を認めていた。 ̶ 130 ̶
P16
虚血性僧帽弁逆流に与える経皮的冠動脈形成術の効果に関する検討
倉敷中央病院 循環器内科
柴山謙太郎、福 康志、丸尾 健、光藤 和明
【目的】PCI が OMI 患者の IMR に与
【背景】経皮的冠動脈形成術(PCI)が IMR を軽減させることができるかについては明らかにされていない。
える影響について検討する。
【方法】OMI があり、心不全のない状態で
中等度以上の IMR を認めた患者のうち、PCI が施行された 14 名を対象
とした。これらの患者において、PCI 前後での左室拡張末期径(LVDd)
、
収縮末期径(LVDs)
、左室駆出率(EF)および IMR の変化を後向きに検
討し、さらに MR が軽症以下に改善した群(Group A)と改善しなかっ
た群(Group B)の 2 群に分けて比較した。なお PCI 後の評価として慢
性期(PCI 後、平均 5.9 ヵ月後)に行われた UCG を採用した。MR につ
い て は カ ラ ー ド プ ラ ー 法 に て 定 性 的 に 評 価 し た。 ま た、Modified
Simpson's method にて EF を計測した。
【結果】
Table に結果を示す。
【結
論】軽症以下に MR が改善したのは 57.1%(8/14)であった。MR が軽症
以下に改善した群では、改善しなかった群に比べて、PCI 後の EF では
有意差がでなかったものの改善し、PCI 後の LVDd と LVDs が有意に小
さくなっていた。
P17
非細菌性心内膜炎により高度大動脈弁逆流を呈した症例
聖マリアンナ医科大学 循環器内科
黄 世捷、鈴木 健吾、出雲 昌樹、下郷 卓史、林 明生、長田 尚彦、三宅 良彦
症例は 71 歳女性。平成 19 年 1 月より労作時呼吸困難が出現。近医にて心雑音を指摘され当科紹介となった。身体所見では Levine 4/6 程度の
拡張期雑音を聴取、胸部レントゲンでは肺うっ血像を認めた。経胸壁心エコーでは大動脈右冠尖に付着する約 7mm 大の可動性に富む高エコー
構造物を認めた。この構造物は、収縮期に右冠動脈内へ嵌入、拡張期に大動脈弁接合を阻害し、このため高度の大動脈弁逆流を生じていた。平
成 19 年 3 月 2 日準緊急で大動脈弁置換術(SJM:19mm)を施行。右冠尖に約 10mm × 7mm の白色腫瘤を認め、肉眼的には疣贅と考えられた。
しかし、明らかな感染の既往、検査所見は認めず、血液培養を多数行ったが、いずれも陰性であった。後に明らかになった病理所見では、軽度
の線維化と好中球を主体とする炎症細胞浸潤を認めたが、明らかな細菌塊などの感染を示唆する所見を認めず、非細菌性心内膜炎と診断した。
術後の経過は良好で第 26 病日に退院となった。非細菌性心内膜炎による大動脈弁疣贅および高度大動脈弁逆流による心不全を呈した症例を経
験したため考察を加えて報告する。
P18
重症僧帽弁逆流における冠血流予備能と心イベントの関連
1
神戸先端医療センター、2 神戸市立医療センター中央市民病院
片山美奈子 1、山室 淳 2、八木登志員 2、田辺 一明 2、谷 知子 2、岡田 行功 2、民田 浩一 2、盛岡 茂文 2
【背景】重症僧帽弁逆流の至適手術時期については未だその客観的判断指標について議論が重ねられている。負荷検査は労作時の心負荷を反映す
る指標として注目されているが、冠血流予備能(CFR)は冠微小循環障害、圧負荷、容量負荷を反映する総合的な心予備能の指標と考えること
ができ、非侵襲的に経胸壁カラードプラ法により測定することが可能である。研究の目的は、重症僧帽弁逆流例における CFR と心イベントの関
連について検討することである。
【方法】対象は僧帽弁逸脱による重症僧帽弁逆流患者(逆流率> 50%)50 例(冠動脈疾患、慢性心房細動、他弁
膜疾患、透析、重症糖尿病患者は除外)であった。経胸壁心エコードプラ法を用いて左前下行枝の CFR を測定した。心不全の合併または既往、
左室径の拡大、上室性不整脈の出現、心内圧上昇などにより手術治療が必要と判断された場合を心イベントありとした。
【結果】50 例中 39 例で
心イベントあり(Group A)
、11 例で心イベントなし(Group B)であった。CFR は Group A で有意に低値を示した(2.5 ± 0.7 versus 3.5 ± 0.6,p
< 0.0005)
。ROC 曲線で解析した結果、CFR は他の心エコードプラ検査の指標(左室収縮末期径、左室駆出率、僧帽弁逆流率、左房径、右室圧)
と比較して心イベントの有無を予測する最も有意な指標であり、最適 cut off 値は 3.0(感度 72%、特異度 82%)であった。
【結語】CFR は重症僧
帽弁逆流の手術時期を検討する上で有用である。
̶ 131 ̶
P19
E/E' の計測部位による差と臨床的特徴の関連についての検討
1
新潟大学医歯学総合病院 検査部、2 新潟大学大学院医歯学総合研究科 循環器分野、3 新潟大学大学院医歯学総合研究科 予防医療学分野
小林 清子 1、三間 渉 2、水野 幸子 1、大原 照子 1、小澤 拓也 2、中村 明 1、岡田 正彦 3
【背景】E/E' は左室拡張機能の有用な評価として普及し始めているが、計測部位によって差が生じることが報告されている。
【目的】E/E' の計測
部位による差と、被検者の臨床的特徴との関連を検討する。
【方法】対象は収縮機能が保たれている被検者(EF > 50%)連続 159 名(男性 84 名 ,
女性 75 名、52 ± 39 歳)
。Vivid7(GE 製)を用い、心尖部四腔像にて左室流入血流速度(E)を、また組織ドプラ法を用いて僧帽弁輪運動速度(E')
を計測した。E' の計測部位は左室側壁側(lat)と中隔基部側(sep)とし、それぞれにおける E/E',計測部位間の差の絶対値(E/E'sep − E/E'lat)
を求め、心エコー図所見,臨床診断・特徴との関連を検討した。
【結果】E/E' は、中隔基部側で計測したほうが有意に高値を示した(p < 0.05)
。
E/E' ≧ 15 を満たす例は、左室側壁側で計測した場合は 4 例(3%)だったのに対し、中隔基部側では 28 例(18%)となった。
(E/E'sep − E/E'lat)
> 3 となった群 68 例では高血圧症が 62%と多く、左房拡大 50% , 心房細動 21% , 左室肥大 18% , 高度僧帽弁逆流 12% , 陳旧性心筋梗塞が 9%存
在し、平均年齢は 63 歳だった。一方、
(E/E'sep − E/E'lat)≦ 3 となった群 93 例の 80%には心エコー図上異常所見を認めず、高血圧症は 17%、
平均年齢は 43 歳だった。
【考察】E/E' は中隔基部側で有意に高値を示し、高齢で器質的心疾患や高血圧が存在するほど計測部位による差が認め
られた。E/E' に影響を与える因子を持つ場合には計測部位で差が生じやすいことを念頭において判断する必要がある。
P20
高血圧患者における左室拡張能について ̶年代別および左室重量係数による検討̶
東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
煙草 敏、原田 昌彦、緑川 奈美、宮坂 匠、吉川 浩一、寳田 雄一、林 京子
【背景】高血圧性心疾患では拡張不全の頻度が高く、左室拡張能の評価は臨床的に重要である。本研究の目的は、高血圧患者の左室拡張能を年代
別および左室重量係数より検討すること。
【方法】
対象は、
20 ∼ 80 歳代の高血圧患者 303 例
(61.2 ± 12 歳)
。パルスドプラ法で左室急速流入波
(E)
、
心房収縮波(A)
、組織ドプラ法で僧帽弁輪部運動速度(e')を求めた。M モード法で求めた左室重量を体表面積で除し左室重量係数(LVMI)を
、LVMI ≧ 125g/m2 を HT算出、相対的壁厚(RWT)は M モード法あるいは断層法より求めた。LVMI < 125g/m2 を HT-LVH(−)群(198 例)
LVH(+)群(105 例)とした。血圧正常、心疾患の既往なく、心エコー検査で異常ない 195 例(52.6 ± 15 歳)を正常群とした。
【結果】年代別に
e'、E/e' を比較すると各群とも加齢により拡張能の低下を示したが、正常群に比べて、HT-LVH(−)群さらに HT-LVH(+)群でより拡張能の
低下を認めた。また、LVMI と E/e'(r=0.62、p < 0.0001)
、RWT と e'(r= − 0.48、p < 0.0001)で有意な相関を認め、特に 30 ∼ 50 歳代の高血
圧患者における LVMI と E/e' で良好な相関(r=0.74、p < 0.0001)を示した。さらに、左室形態別では e'、E/e' ともに求心性肥大(RWT > 0.45、
【総括】30 ∼ 50 歳代の高血圧患者においては、左室重量係数を加味した正確な左室拡張能評
LVMI > 125g/m2)で最も拡張能の低下を認めた。
価を行い、治療の効果判定などに役立てる必要がある。
P21
左室拡張能障害に関係する因子:肥満の関与についての検討
関西医科大学附属枚方病院 循環器内科
土手 絹子、宮坂 陽子、青田 泰子、拝殿 未央、大石 千尋、岩坂 壽二
【背景】左室拡張能障害は左室収縮能から独立した心血管系イベントの危険因子である。また肥満も心血管系イベントの危険因子として現在注目
されている。しかし、肥満が独立して左室拡張能障害に関与するか否かは十分に検討されていない。
【方法】対象は心臓超音波検査を予定された
成人患者のうち、既往に心房性不整脈、ペースメーカー植え込み術、脳血管障害、弁膜症、先天性心疾患のない患者を連続して評価した。肥満
は BMI 値 30kg/m2 以上と定義した。左室拡張能は、左室流入血流速波形、肺静脈血流速波形、組織ドプラ血流速波形の拡張早期波最大流速に
よる分類を用い評価した。左室拡張能障害に関与する因子を多変量解析を用いて検討した。
【結果】心臓超音波検査を行った 1209 人のうち、全
ての基準を満たす 705 人を対象とした(平均年齢 58 ± 16 歳、男性 15%、肥満 8%、冠動脈疾患 16%、高血圧症 43%、糖尿病 18%)
。うち 560
人(79%)に左室拡張能障害を認めた。左室拡張能障害は年齢の上昇(オッズ比 2.5, 95%信頼区間 1.1-5.6, P=0.030)
、女性(オッズ比 1.5, 95%信
頼区間 1.0-2.2, P=0.038)と有意に関係があった。多変量解析を用いて年齢、性別、冠動脈疾患、糖尿病、高血圧の関与を除外すると、肥満は左
室拡張能障害と有意な関係が認められた(オッズ比 2.3, 95%信頼区間 1.1-6.2, P=0.037)
。
【結論】成人患者において左室拡張能障害は広く認めら
れる。肥満は左室拡張能障害に独立して関与していることが示唆された。
̶ 132 ̶
P22
僧帽弁逆流が心エコードプラ法による左室拡張指標に及ぼす影響
1
東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科、2 東邦大学医療センター大橋病院 臨床生理機能検査部
大塚 健紀 1、鈴木 真事 2、大崎 司 2、土田 貴子 2、杉 薫 1
【目的】
:正常例と僧帽弁閉鎖不全(MR)例の左室拡張指標の相違点を明らかにし、また MR 例の僧帽弁形成術前後における左室拡張指標の変化
を検討すること。
【方法】正常例 120 人(C 群 : 年齢 70 ± 2)
、MR 1 度の患者 72 人(1 群 : 年齢 69 ± 12)
、MR 2 度の患者 78 人(2 群 : 年齢 71 ±
14)
、MR 3 度以上の患者 41 人(3 群 : 年齢 66 ± 13)に心エコードプラ法による僧帽弁流入波形と僧帽弁輪運動速度(Ea)の記録を行った。研究
1 では 4 群間の左室拡張能の違いを検討し、研究 2 では僧
帽弁形成術が施行された 27 例の手術前後において同様の検
討をした。
【成績】僧帽弁急速流入波(E 波)は MR が重症
に成るなるほど高値を示した(C 群 : 59.6 ± 14.3, 1 群 : 70.5
± 7.1, 2 群 : 98.6 ± 32.4, 3 群 : 112.4 ± 0.2)
。Ea も MR が重
症になると高値を示した
(C 群 : 8.7 ± 1.9, 1 群 : 9.7 ± 2.7, 2 群 :
10.9 ± 3.6, 3 群 : 12.1 ± 4.3)
(研究 1)
。Ea は僧帽弁形成術
後有意に低下した(before: 13.4 ± 4 vs after: 8.3 ± 2, p <
0.0001)
(研究 2)
。
【結論】Ea は MR により大きくなるため、
E/Ea による左室充満圧推定の際、注意が必要である。
P23
EF 正常の高血圧患者における左室形態変化と総合的左心機能との関係
国立病院機構善通寺病院 循環器内科・臨床研究部
福田 大和、福田 信夫、酒部 宏一、森下 智文、篠原 尚典、田村 禎通
【背景・目的】TEI index は収縮能と拡張能を統合した総合的な心機能の指標である.左室駆出率(EF)が正常の高血圧(HT)患者において,左
室形態と総合的左心機能との関係は明らかでない.今回我々は,EF が正常の HT 患者を肥大様式により 4 群に分け,左室形態変化が心時相を
含む総合的左心機能に及ぼす影響について検討した.
【方法】EF が 60%以上の HT 患者連続 84 例(平均 70 歳)を,正常左室群(NL,51 例)
,
求心性リモデリング群(CR,11 例)
,求心性肥大群(CH,10 例)
,遠心性肥大群(EH,12 例)の 4 群に分類し,等容拡張時間(IRT)
,等容収縮
時間(ICT)
,TEI index,左室心筋重量係数(LVMI)
,左室流入血流の E,A,E/A,僧帽弁輪運動速度の E`,および E と E` の比(E/E`)につ
いて 4 群間で比較した.
【結果】TEI index は NL(0.41 ± 0.10)に比し,
CR(0.50 ± 0.09)は高値傾向(p=0.07)
,
CH(0.54 ± 0.08)と EH(0.55 ± 0.12)
は有意に高値であった(p < 0.01)
.ICT は群間差がなかったが,IRT は NL 群に比べ CH 群,EH 群が有意に高値を示した(81 ± 15 vs. 99 ±
18,100 ± 16 msec,p < 0.01)
.E` は NL 群に比べ他の 3 群が有意に低値であった(p < 0.01)
.TEI index は LVMI および E` と有意な相関関
係を示した(各々 r=0.46,r=0.39,p < 0.01)
.
【考察】EF が正常の HT 患者では左室形態変化の進展に伴って拡張機能が障害され,その結果総
合的左室機能に異常をきたすと考えられた.
P24
左室心外膜面の動きによる左室心筋スティフネス評価
1
大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学、2 大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター、
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻、4 兵庫医科大学 循環器内科
竹田 泰治 1、坂田 泰史 1、東森 充 3、真野 敏昭 1、西尾 まゆ 1、大谷 朋仁 1、堀 正二 1、増山 理 4、金子 真 3、
山本 一博 2
3
背景と目的:左室スティッフネスの亢進は心不全発症の主たる要因であるが、その非侵襲的評価法は確立されていない。我々は線形弾性理論に
基づき、スティフネスの亢進している左室壁では拡張期における心外膜面の動きが大となると
の仮説を立て、左室心内膜面の動きが障害されていないモデルで検証した。方法:高食塩を
与えたダール食塩感受性ラット(拡張不全モデル)
(n=12)と普通食で飼育した正常血圧ラッ
ト(n=13)を対象とした。心外膜面の動きを考慮した理論的スティフネスの指標として
epicardial movement index(EMI)=(拡張期の左室後壁心内膜の移動距離−心外膜の移動距
離)÷(収縮末期左室後壁厚×心外膜の移動距離)を用いた。結果:EMI は心筋スティフネス
定数と有意な逆相関を認めた(R= − 0.40、p < 0.05)
。EMI と左室収縮機能指標、収縮末期
左室後壁厚、左室径、左室流入血流速波形から得られる指標との間には有意な相関関係を認
めなかった。結論:拡張期の壁厚と心外膜の動きの評価は、左室収縮能の保たれた症例にお
ける非侵襲的な左室スティッフネス評価に有用であった。
̶ 133 ̶
P25
拡張型心筋症における拡張期左室内渦流の役割
1
宮城社会保険病院 循環器科、2 東北厚生年金病院 循環器センター、3 東北厚生年金病院 中央検査部、4 医用超音波技術研究所、
東北大学加齢医学研究所 病態計測制御分野
亀山 剛義 1、菅原 重生 2、片平 美明 2、田中 元直 2、中島 博行 3、大槻 茂雄 4、西條 芳文 5
5
【目的】
拡張型心筋症(DCM)の左室内には周期的に渦流が発生しているが、その意義は不明であった。本研究では拡張期の左室内の渦流の発生
部位、および渦流量を計測、検討した。
【対象および方法】
DCM 患者 10 例 EF 正常・健常者 10 例を対象とし、Echo-dynamography にて心尖
部長軸断面で渦流を観測、急速流入期、緩徐流入期、心房収縮期、等容収縮期の 4 時相、流入血の僧帽弁前尖側、後尖側に分類し評価した。
【結果・
考察】DCM 症例では急速流入時の流速値(E 波)と緩徐流入期の渦流量とに R=0.96 の相関が示された。
(下図)
一方正常心では DCM に比し渦
流量は小さい傾向があった。心房収縮時の流速値(A 波)と
等容収縮期の渦流量とにも R=0.81 の相関が示された。これ
らのことは DCM では流入血の全てが心室内旋回流になるこ
とを示していると考えられる。左室が球状に拡大している
DCM においては、渦の発生が血液の流入を支援する方向に
働き、拡張能低下を代償していると考えられる。
P26
左室拡張機能評価における 2D スペックルトラッキングイメージング法の有用性・・・観血的指標との検討
名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学科
若見 和明、大手 信之、小早川裕子、木村玄次郎
【背景】2D スペックルトラッキングイメージング法(2D-STI)を用いて radial、circumferential、longitudinal の各方向における strain を求める
ことが可能となったが、どの方向の計測値が心臓全体機能の評価により有用であるかについていまだ結論が得られていない。
【方法】診断カテー
テル検査および心エコー図検査を同日に施行し得た 25 症例(陳旧性心筋梗塞 10 例、局所壁運動異常の無い 15 例)を対象に、2D-STI 法(Aplio、
Toshiba)を用いて左室短軸像心基部および乳頭筋レベルにおいて全周性に平均 radial strain(RS)
、平均 circumferential strain(CS)を求め、
心尖部 4 腔像および 2 腔像において各セグメントから平均 longitudinal strain(LS)を求めた。また左室短軸像の心基部および心尖部における収
縮期のねじれ(twist)を求めた。これらの指標と従来の観血的心機能指標との関係を検討した。
【結果】RS、CS、LS および twist は左室等容弛
緩期時定数τとの間に有意な相関関係を認めた(それぞれ r=-0.78、p < 0.0001;r=0.70,p=0.0001;r=0.80、p < 0.0001;r=-0.62、p < 0.001)
。
【結
論】2D-STI により求めた各方向のストレイン値を用いて、左室拡張能の評価が可能であるが、その中でも RS, LS が優れていた。
P27
正常左室収縮例における左房機能と左室拡張能との関係
1
医療法人橘会東住吉森本病院 生理検査室、2 医療法人橘会 東住吉森本病院 循環器内科
喜多 領一 1、兵頭 永一 2、岡島 一恵 2、広瀬 真 2、坂上 祐二 2、西田 幸生 2、瓦林 孝彦 2
背景:左心房の機能と左室拡張能の関係は明らかではない。目的:正常左室収縮能例において左室拡張能の指標である E/E´ と左房容量、左房
の駆出率の関係を明らかにすること。方法:正常左室収縮例連続 500 例(平均年齢 67 歳、男性 232 例)に対し心エコー図検査を実施し、E/E´
を含む心機能各指標および、左房容量と左房駆出率を計測した。E/E´ ≦ 8 を A 群、8 < E/E´ ≦ 15 を B 群、E/E´ > 15 を C 群と分類し、
各群における左房機能を比較検討した。結果:A 群では最大左房容量 41 ± 16ml, 最小左房容量 25 ± 14ml 左房駆出率 53 ± 12%、B 群では最
大左房容量 48 ± 21ml、最小左房容量 25 ± 16ml、左房駆出率 50 ± 11%、C 群では最大左房容量 62 ± 26ml、最小左房容量 35 ± 19ml、左房駆
出率 45 ± 13%となり、最大左房容量と左房駆出率は、3 群間においてそれぞれ有意差を認めた。結論:正常左室収縮例において、左房容量と
左房駆出率は左室拡張能の指標である E/E´ と関連があることが示唆された。左室拡張能が低下している群では、左心房の収縮率も低下し、そ
の容量は増大する傾向が認められた。
̶ 134 ̶
P28
左室壁運動からの左室拡張機能の評価 ̶2 Dimensional Strain Rate 法による検討̶
柿原クリニック
柿原理一郎
【目的】現在左室拡張機能の評価には僧帽弁機能が利用されているが af や僧帽弁疾患では評価出来ず , 左室の局所拡張機能障害も把握出来ない。
そこで左室壁運動から直接評価出来ないか 2D strain rate 法を用いて検討
した。
【方法】左室短軸像(SAX)の平均 radial 2D strain rate 曲線と , 左室
Apex views3 断面(APX)の平均 longitudinal 2D strain rate 曲線からの指
標 の SAX と APX の 平 均 値 を 求 め Normal 群(N-gr)36 例 と HCM 群
(HCM-gr)例 24 例で比較した。
【結果】
(表参照)両群間に E/A,E' に有意
差を認め HCM の拡張機能障害を示していた。Strain rate 曲線での指標で
はいずれの view でも Peak E,Peak E/E time(peakE までの時間),Peak
E/A に有意差を認めた。このことより左室壁運動から直接左室拡張機能を
評価可能と考える。狭心症では虚血領域での拡張機能は今回得られた正常
値以下であった。
【結論】2D strain rate 法により左室壁運動から拡張機能
を評価可能であり , 局所左室壁の拡張機能も評価出来ると考える。
P29
心臓再同期療法における VV timing の有用性
さいたま赤十字病院 循環器科
佐藤 明、大和 恒博、小西 裕二、村松 賢一、松村 穣、新田 順一、武居 一康、淺川 喜裕
[ 背景及び目的 ] 左脚ブロックを伴う慢性心不全患者に心臓再同期療法(CRT)の有用性が確立されてきている。しかし今尚 non-responder が約
30%認められ、さらなる改善が望まれる。近年 CRT において左室右室間の時間差(VV timing)が調節できるようになり、期待されている。今
回我々は VV timing が調節できるようになる前後で、
dyssynchrony の最も有用な指標となる tissue Doppler echo 上の QRS onset から収縮期ピー
クまでの時間の標準偏差(Tsd)と BNP の関連性を比較検討した。[ 方法及び結果 ]2004 年 6 月から 2007 年 10 月までに CRT を行った 13 例(男
性 9、年齢 72.6 ± 6.2 歳)中 8 例(61.5%)に VV timing を調整した。VV timing は平均 45 ± 23.3msec で全例左心室側が先行であった。CRT 前
後の Tsd の変化(dTsd)は VV timing 前で -0.084 ± 36.6、VV timing 後で 34.56 ± 48.3、BNP の変化(dBNP)は VV timing 前 197.95 ± 292.3、
VV timing 後 285.4 ± 311.3 といずれも VV timing 後の方が改善傾向を示した。[ 結語 ] 対象が少なく有意差は認められなかったが、VV timing
後は dTsd 及び dBNP の改善傾向を認め、CRT の optimization において VV timing は重要な因子と考えられた。
P30
E/E' から見た血液透析患者における左室拡張能の推移
1
河内総合病院 心臓センター 内科、2 河内総合病院 臨床検査部
林 英宰 1、岩井 寿世 2、市川 稔 1、岩田 昭夫 1、林 隆治 1、名方 剛 1、大平 芳行 2、三嶋 正芳 1
【目的】拡張不全の機序に関してはまだよくわかっていない。E/E' 比が人口透析患者の左室拡張能の評価に有用か、明らかにする事。
【方法】対
象は維持透析施行中の慢性腎不全患者 32 例である。透析暦により、透析期間が一年未満の A 群(14 例)と 1 年以上の B 群(18 例)の 2 群に分
けて検討した。パルスドプラ法による拡張早期左室流入血流のピーク流速(E)
、組織ドプラ法による僧帽弁輪拡張早期ピーク速度(E')とその比
(E/E')を測定した。同時に他のエコー指標(左室径、左室壁厚、E/A 比、DT 、TEI など)を非透析日に測定した。E/E' 比が 15 以上を左室拡
張能低下とした。
【成績】E/E' 比は、
A 群では 5(36%)例のみが 15 以上であった(12.9 ± 7.2)
。それに比し、
B 群では 11(61%)例で 15 以上であっ
た(17.3 ± 5.9, p < .05 vs. group A)
。これらの結果より拡張不全は A 群よりも B 群で高度であると考えられた。しかしながら、E/E' 比と透析
暦の間には直線的相関はなかった。拡張不全が高度な例では死亡に至り、本検討から脱落したのではないかと示唆された。他のエコー指標には
両群間で有意な差はなかった。
【結論】人工透析は拡張不全の進展過程に影響を与えると考えられた。E/E' 比は透析患者の拡張能の評価に有用
と考えられた。
̶ 135 ̶
P31
心不全治療で左室拡張遅延は改善する;Color Kinesis 法による拡張能評価
1
東邦大学医療センター 大森病院 臨床生理機能検査部、2 東邦大学医療センター 大森病院 循環器内科
原田 昌彦 1、林 京子 1、煙草 敏 1、吉川 浩一 1、宮坂 匠 1、寶田 雄一 1、原 文彦 2
【背景】心不全治療により、E/e' は改善するが、これは左房圧の減少を反映し、拡張能の改善を判定するには限界がある。【目的】Color Kinesis 法(CK 法)が心不全
治療の拡張能評価に応用可能か検討した。【方法】対象は入院治療
を受けた心不全患者 30 例(63 ± 14 歳)。装置は Philips 社製 Sonos
7500、左室短軸像で拡張期 CK 画像を記録、解析は YD 社製 ICK
ソフトを用いた。左室を 6 分割し各領域における拡張早期(30%時間)
の左室拡張率の平均を CK-diastolic index(CK-DI)、その標準偏差
を diastolic asynchrony index(DAI)とし、それぞれ拡張能の指標
とした。ドプラ法で E、e'、E/e' と左室駆出率(EF)は Modified
Simpson 法で求めた。各指標を心不全治療前(入院時)、治療直後(退
院時)、治療後 3 ∼ 6 ヶ月(外来時)で比較した。【結果】心不全治療
により各拡張能の指標は改善した。特に、CK-DI と DAI は、退院
時に比べ外来時でさらに有意な改善を認めた。【総括】心不全治療に
より拡張早期の拡張遅延および dyssynchrony は改善した。拡張期
CK 法の解析は心不全治療の拡張能評価に応用可能である。
P32
全身性強皮症における特異抗核抗体タイプと左室拡張障害の関連:組織ドプラ法による検討
1
金沢大学附属病院 検査部、2 金沢大学 循環器内科、3 金沢大学 皮膚科
寺上 貴子 1、大場 教子 1、宮嶋 良康 1、舛田 英一 2、井野 秀一 2、林 研至 2、森 三佳 2、山岸 正和 2、越後 岳士 3、
藤本 学 3、竹原 和彦 3
【背景】全身性強皮症(Systemic Sclerosis: SSc)は、結合組織の線維化と血管病変を特徴とする膠原病の 1 型であり、心筋の線維化により左室拡
張障害をしばしば発症する。しかし、特異抗核抗体のタイプによって臨床像が異なるなど、心筋障害の進展については不明な点も多い。そこで
今回は、組織ドプラ法を用いて、SSc 症例を特異抗核抗体別に分類し左室拡張能を評価した。
【方法】対象は心エコー図検査を施行した SSc 患者
59 名(年齢 59 ± 11 歳、mean ± SD)である。特異抗核抗体により、抗セントロメア抗体陽性群 32 名(A 群)
、抗トポイソメラーゼ I 抗体陽性
群 15 名(B 群)
、抗 U1-RNP 抗体陽性群 5 名(C 群)
、抗 RNA ポリメラーゼ抗体陽性群 7 名(D 群)の 4 群に分類した。パルスドプラ法より僧帽
弁口血流速波形の拡張早期波(E)を、組織ドプラ法より心尖四腔像を描出し僧帽弁輪部中隔側における僧帽弁輪運動速度波形の拡張早期波(E')
を計測し、E/E' を算出した(東芝メディカル社製 aplio XV または PHILIPS 社製 iE 33)
。
【結果】各指標は、E/E'9.7 ± 2.7、EF 69 ± 6.5%、推定
右室収縮期圧 29.9 ± 14.1mmHg であった。4 群間において年齢、EF、推定右室収縮期圧には有意差は認めなかったが、E/E' は C 群 13.7 ± 2.9
が A 群 9.8 ± 2.3、B 群 8.8 ± 2.8、D 群 9.1 ± 2.4 に比べて有意に高値を示した。
【結論】抗 U1-RNP 抗体陽性群においては左室拡張能障害を強く
認め、特異抗核抗体のタイプと左室拡張障害進展の関連性が示唆された。
P33
The influence of myocardial ischemia at sampling site of mitral annulus velocities on the E/E` value
1
群馬県立心臓血管センター 循環器内科、2 群馬県立心臓血管センター 生理機能検査課
山下 英治 1、戸出 浩之 2、岡庭 裕貴 2、樋口 ルミ 2、丸山 裕子 2、鶴谷 英樹 1、河口 廉 1、村上 淳 1、外山 卓二 1、
夛田 浩 1、安達 仁 1、星崎 洋 1、大島 茂 1
Background: Although E/E` correlates pulmonary capillary wedge pressure(PCWP), it is unclear whether E/E` shows higher value
relative to PCWP in patients with ischemic heart disease(IHD)if E` is recorded at the ischemic site. Method: We studied consecutive 126
patients who underwent coronary angiography with normal EF in left ventriculography(LVG), and echocardiography(UCG)
(66 ± 11
years). They were devided into two groups; IHD group(n=52: 69 ± 8years)and non-IHD group(n=74: 64 ± 12years). In IHD group, there
are 21 patients with single(SVD)or double vessel disease(DVD)with inferolateral(IL)ischemia(IL group: 70 ± 9 years)and 22 patients
with SVD or DVD without IL ischemia(non-IL group: 69 ± 7years). Left ventricular end-diastolic pressure(LVEDP)was measured before
LVG. The mitral E and E`wave of IL segment were obtained from UCG. LVEDP and E/E` were compared between two groups.Result: IHD
group showed higher LVEDP(13.9 ± 6.3mmHg vs.11.8 ± 4.4mmHg, p < 0.05), and higher E/E`(8.6 ± 2.6vs.7.3 ± 2.6, p < 0.01)than nonIHD group. In subgroup analysis, there are no significant differences between IL group and non-IL group in LVEDP(12.0 ± 4.8mmHg
vs.10.7 ± 3.5mmHg, p=0.30). E/E` in IL group was not significantly higher than non-IL group(8.0 ± 2.3 vs.7.8 ± 3.0, p=0.81).Conclusion: E/
E` shows valid value in IHD patients even if E` is recorded at the ischemic site.
̶ 136 ̶
P34
チルトテーブルを用いた姿勢の変化による前負荷の変化が与える左室拡張諸指標への影響
1
独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 循環器科、2 独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター 生理機能検査室
服部 進 1、安部 晴彦 1、田中 教雄 2、森澤 大祐 1、足達 英悟 1、野田 善樹 1、入野 宏昭 1、安岡 良典 1、佐々木達哉 1、
宮武 邦夫 1
背景:パルス組織ドプラ法による僧帽弁輪速度波形の拡張早期波(E' 波)や、パルスドプラ法による左室流入血流波形の拡張早期の急速流入波(E
波)と E' 波の開始の時間差(以降 T(E-E')と表記)は、左室等容期圧低下の時係数 tau(τ)と相関関係にあるといわれている。しかしながら、
健常 / 心不全状態での両指標の前負荷依存性については未だ一定した見解は得られていない。我々は、チルトテーブルを用いて姿勢を変化させ
つつ健常人と慢性心不全患者で両指標の変化を測定し、前負荷依存性を調べた。方法:14 名の健常人(N 群)と 17 名の安定期慢性心不全患者(H
群)を登録し、チルトテーブルを用いて水平位と 70°の傾斜角度に姿勢を変化させつつ、E'、T(E-E')他を計測した。結果:左室内径短縮率は
N 群では 36.0 ± 4.8%、H 群では 25.0 ± 9.5% であった。E' は 70°傾斜時に両群共に著明に減少し(N 群では 12.0 ± 2.7 cm/s が 8.0 ± 2.0 cm/s、
H 群では 3.9 ± 1.0 が 2.5 ± 0.6 cm/s。共に P < 0.001)
、健常心、不全心共に前負荷依存性を示した。他方、T(E-E')は有意な変化を示さなかっ
た。N 群では 18.2 ± 14.8 msec が 31.8 ± 30.6 msec に変化し、H 群では 20.5 ± 34.5 msec が 8.6 ± 67.0 msec に変化した(共に P=NS)
。結語:
E' は、健常心、不全心共に著明な前負荷依存性を示した。
P35
組織ドプラ法による拡張動態の指標:健常者における検討
1
ベルランド総合病院 臨床検査室、2 川崎医科大学 循環器内科、3 べルランド総合病院 心臓病センター循環器内科、
大阪市立大学 循環器病態内科学、5 大阪掖済会病院 循環器内科
山邊 梓 1、大倉 宏之 2、高田 裕子 1、田口 晴之 3、戸田 為久 3、葭山 稔 4、吉川 純一 5、吉田 清 2
4
【背景】健常例においても、年齢とともに左室拡張能は低下することが知られている。
【目的】健常例における組織ドプラ法による拡張能の指標と
年齢の関係を多数例で検討すること。
【方法】心エコー図検査を行った健常例 1333 例を対象とした。通常の断層心エコー図、ドプラ心エコー図
検査に加えて、組織ドプラ法により僧帽弁輪部速度を記録
した。拡張早期成分 E', 拡張後期成分 A' を計測し、左室流
入血流速波形の E 波と E' との比、E/E' を算出した。
【成績】
(図)E(r=-0.47, p < 0.0001), E'(r=-0.75, p < 0.0001)は年
齢と負の相関を示した。一方、A'(r=0.66, p < 0.0001), E/
E'(r=0.48, p < 0.0001)は年齢と正相関を示した。
【結論】健
常例において、組織ドプラ法によりもとめた左室拡張能の
指標は年齢により変化する。組織ドプラ法による拡張能評
価を行う際には、年齢を考慮する必要がある。
P36
左冠動脈の慢性完全閉塞病変に対する経皮的冠動脈インターベンションの局所左室機能評価
̶Color kinesis 法を用いた検討̶
1
獨協医科大学越谷病院 循環器内科、2 獨協医科大学越谷病院 臨床検査部
藥袋 路子 1、清水 稔 1、小林さゆき 1、市原美知子 1、善利 博子 1、佐藤 衣代 1、酒井 良彦 1、高柳 寛 1、佐々木伸二 2、
小沼 善明 2、池邊 麻衣 2、飯島 忍 2、白沢 吏加 2、春木 宏介 2
【背景】慢性完全閉塞病変(CTO)に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、デバイスの発達や技術の進歩により初期成功率も向上し、
積極的に施行されるようになってきた。再開通に成功した症例での左心機能の評価に関する報告も散見される。
【目的】
CTO に対し PCI を施行し、
再開通が成功した症例において、心エコー図検査における Color Kinesis(CK)法を用い、局所左室拡張能を評価する。
【方法】対象は左冠動脈
に CTO を有する 10 例。PCI 前日・PCI 翌日 PCI 約 6 ヶ月後において心エコー図検査を施行。使用装置は Philips 社製 Sonos7500、左室短軸像
乳頭筋レベルで拡張期の CK 像を記録し、解析は YD 社製 ICK ソフトを用いた。左室を 6 分割した領域において、全拡張期時間に拡張した面積
に対する拡張早期 30%時間に拡張した面積を%表示、6 領域の平均値を CK-diastolic index(CK-DI)として拡張能の指標とした。
【結果】前壁中
隔の CK-DI を PCI 前・PCI 翌日・PCI 約 6 ヶ月後で比較したところ、PCI6 ヶ月後は PCI 前(p < 0.01)および PCI 翌日(p < 0.05)に比べ、有
意に拡張能が改善した。
【結論】左冠動脈の CTO に対する PCI 再開通例において、慢性期では心室中隔の拡張能は改善することが示唆された。
̶ 137 ̶
P37
ドブタミン負荷による狭心症患者における post-systolic shortening の変化
関西労災病院 循環器科
大西 俊成、上松 正朗、田中 宣暁、南都 伸介、両角 隆一、渡部 徹也、粟田 政樹、飯田 修、世良 英子、南口 仁、
赤堀 宏州、矢野 正道、池岡 邦泰、岡本 慎、安井 治代、永田 正毅
カラー組織ドプラ法を用いて狭心症の診断法として post-systolic shortening(PSS)を断層心エコー図上に表示する方法(Detection
【背景】我々は、
of Diastolic Abnormality by Displacement Imaging: DADI)を考案した。本研究では DADI を用いてドブタミン負荷による狭心症患者における
PSS の変化を評価した。
【方法】対象は安静時心エコー図上左室壁運動正常であった狭心症患者 15 症例および健常例 13 例。超音波診断装置は
東芝社製 Aplio を用い、組織ドプラ法による Displacement のピーク時相のずれにより正常(緑色)から遅延(赤色)までを表示した(DADI)
。
DADI を用いて冠動脈支配領域に一致して心筋のセグメントが赤色表示されるものを陽性とし、安静時(R)
、低用量ドブタミン負荷時(LD, 10
micrograms/kg/min)および高用量ドブタミン負荷時(HD, 40-50 micrograms/kg/min)において赤色表示される左室領域を評価した。狭心症
患者は、冠動脈造影上 AHA 分類にて 90% 以上の高度狭窄を認めたものとした。
【結果】狭心症患者では安静時 9 症例(60%)で局所左室心筋が
赤色表示されたのに対し、LD では 4 症例(27%)
、HD では 15 症例(100%)で赤色表示された。健常例では安静時 4 症例(31%)で赤色表示され
たのに対し、LD および HD ではいずれも、局所左室心筋が赤色表示されなかった。
【結論】DADI を用いて狭心症患者のうち安静時には 60% で
100ms 以上の PSS を認めた。低用量ドブタミンでは、PSS は減少し、高用量ドブタミンではより強調された。
P38
ATP 負荷心筋 Strain imaging の有用性と再現性に関する検討
1
東京大学 医学部付属病院 コンピュータ画像診断学 / 予防医学講座、2 東京大学 医学部付属病院 検査部
大金美由紀 1、宇野 漢成 1、高安 悦子 1、林 直人 1、吉川 健啓 1、長崎 実佳 1、前田恵理子 1、齊藤 薫 1、海老原 文 2、
竹中 克 2
【目的】
我々は ATP 負荷心筋 Strain imaging による subendocardial strain
(SS)
の変化率の測定が冠動脈狭窄の診断に有用であることを報告した。
本研究はこの方法の検診における有用性と TDI による SS 測定の再現性を検討する。
【対象】の当院の検診受診者で、ATP 負荷心エコーを受け
た 612 例の合計 2448 segment(seg)
を対象に検討した。
【方法】
ATP 負荷前後の左室短軸断面動画を腱索レベルにて TDI モードで 1 心拍記録し、
オフライン解析で心内膜下心筋のストレインを計測し、
ATP 負荷によるその増加率(SATP-Srest)
[
/Srest] を求めた。ストレイン測定は前壁中隔、
側壁、後壁、下壁の 4 つの seg で行った。さらに画質良好な 30 例に対し、本法の再現性を検討した。ATP 負荷によるストレイン増加率が 20%
未満を虚血陽性とした。
【結果】全 seg の解析可能率は 52.2%;全 612 例中、4seg とも解析可能なのは 56 例、3seg 可能は 148 例、2seg 可能は
214 例、1seg 可能は 182 例、完全解析不能は 12 例であった。4seg における解析可能率に有意差はなかった。陽性と判定されたのはすでに安定
狭心症で治療中の 1 例のみで、別の 1 例(解析不能例)が follow-up 中に急性心筋梗塞で死亡した。同一検者と検者間差は SS 計測においてそれ
ぞれ 5.4% ± 5.9% と 7.4% ± 6.8% であり、
ATP 負荷による SS の増加率測定の場合はそれぞれ 18.1% ± 18.2% と 21.1% ± 17.5% であった。
【結論】
ATP 負荷心筋 strain imaging 法は検診という画質不均一な集団のスクリーニングには適用困難と考えられた。一方画像良好例においては、SS
測定の再現性が比較的良好であり、画像良好な例に限って適用すれば、虚血や他の収縮異常を来す疾患の診断に有用である可能性が示された。
P39
エプスタイン奇形に左室緻密化障害を合併したと考えられた 1 例
国家公務員共済組合連合会呉共済病院
西山 博、杉原 清美、稲葉 千里、有北 仁美、森實 晋平、末田 駿介、井手元千代
(現病歴)1999 年 11 月に検診にて心電図異常を指摘され、当院循環器内科に紹介された。経胸壁心エコーにて右心系の拡
【症例】31 歳、男性。
大は目立たなかったが、三尖弁の中隔尖付着部が僧帽弁付着部より 2cm 以上心尖部寄りに付着し、余剰な前尖や三尖弁逆流も認めたため、エプ
スタイン奇形と診断され年一回のフォローとなった。その他の経胸壁心エコー所見は左室軽度拡大と収縮能軽度低下が認められた。
(経胸壁心
エコー所見)2004 年 3 月に施行した経胸壁心エコーで心尖部の肉柱と、心尖部を中心とした収縮能の低下が目立ち始めた。2007 年 9 月の経胸壁
心エコーで全周性にも左室収縮能の低下を認めた。この時点で左室緻密化障害を疑い、心尖部を拡大し流速を下げたカラードプラにて肉柱間隙
内に、左室内血流が認められたことを確認した上で心尖部の肉柱を計測した。結果は収縮末期の緻密層と非緻密層の比 が 2 倍以上認められ、左
室緻密化障害の診断基準を満たしていた。
【考察】本症例は現時点では MRI や心臓カテーテル検査は施行されておらず、経胸壁心エコーのみの
観察である。エプスタイン奇形の特徴の一つに、容量負荷による右心系の拡大がある。エプスタイン奇形は比較的稀な先天性心疾患だが、左室
緻密化障害を合併する報告も散見され、特に左心系が拡大しているエプスタイン奇形は左室緻密化障害を考慮しながら検査を進めていく必要性
を感じた。
̶ 138 ̶
P40
Myocardial Penetration of a Temporary Pacing Wire detected by Transthoracic Echocardiography
神戸市立医療センター中央市民病院
谷 知子、田辺 一明、古川 裕、庄村 遊、岡田 行功
A 67-year-old woman was performed with mitral commissurotomy in 1985. She was admitted in a nearby hospital because of congestive
heart failure. Transthoracic echocardiography(TTE)revealed moderate mitral
regurgitation and severe tricuspid regurgitation. She was inserted a temporary
pacemaker for a bradycardia with atrial fibrillation. She was transferred to our
hospital for operation. On admission in our hospital, we detected that the
temporary pacing wire was clearly penetrated to right ventricular myocardium
and the tip of the pacing wire was postulated outside myocardium using TTE at
bedside. She was performed urgent operation. At intraoperative findings, a tip of
the pacing wire was penetrated myocardium, but not epicardium. This case offers
the efficacy of TTE for diagnosis of cardiac penetration as complication by
temporary cardiac pacing at bedside.
P41
拡張型心筋症様の心エコー図所見を呈した老人性全身性アミロイドーシスの 2 症例
1
熊本大学大学院 医学薬学研究部 病態情報解析学分野、2 熊本大学大学院 医学薬学研究部 循環器病態学、
熊本大学医学部附属病院 中央検査部
堀端 洋子 1、小島志乃ぶ 2、福光 梓 3、穴井 聡子 3、本巣 智子 3、寺本 弘二 3、植田 光晴 1、小川 久雄 2、安東由喜雄 1
3
心アミロイドーシス(CA)の一般的な心エコー図所見としては、両心室の壁肥厚、granular sparkling sign、心嚢水貯留などが見られるが、CA
は心肥大を呈した患者の鑑別診断として重要である。今回我々は壁肥厚を認めず拡張型心筋症(DCM)様の所見を呈した CA の 2 症例を経験し
たので報告する。
【症例 1】75 歳、男性。平成 14 年より心拡大、びまん性壁運動異常を指摘され、近医で内服加療中であった。H17 年ホルター
心電図で非持続性心室頻拍を指摘され当院紹介受診となった。既往歴に 65 歳時に手根幹症候群がある。心電図は正常洞調律、心拍数 61/ 分、
I,aVL,V5-6 で陰性 T 波を認める。心エコー図検査では、心室中隔(IVS)/ 左室後壁(PLVW)
:10.6/11.4 mm、左室拡張末期径(LVDd)
:58.6
mm、左室駆出率(EF)
:39%、左室流入血波形では E/A:0.54、E 波の減衰時間(DT)
:217 ms、拡張早期僧帽弁輪速度(e')
:4.2 cm/s であった。
【症例 2】73 歳、男性。平成 19 年 6 月より労作時息切れを自覚、7 月に近医を受診してうっ血性心不全と診断され、原因精査のため当院紹介入
院となった。心電図は正常洞調律、心拍数 78/ 分、完全右脚ブロックを認める。心エコー図検査では、IVS/PLVW:11.2/10.5 mm、LVDd:
55.8 mm、EF:35%、E/A:0.45、DT:258 ms、e':3.7 cm/s、中等度の僧帽弁逆流を認めた。2 症例ともに DCM の鑑別診断のために冠動脈
造影検査及び心筋生検が行われ、冠動脈には有意な狭窄は認めなかった。心筋生検では Congo Red 染色陽性、免疫染色では抗トランスサイレ
チン抗体のみに陽性で、老人性心アミロイドーシスと診断した。このように DCM 様の所見を示する中にも CA を認める症例があり、注意が必
要であると思われる。
P42
好酸球増多症に伴う左室心筋障害のステロイド治療による改善を心エコーストレイン法によって観察できた一例
1
国立病院機構大阪南医療センター 循環器科、2 国立病院機構 大阪南医療センター生理機能検査科
安部 晴彦 1、田中 教雄 2、勝木 桂子 2、梅川 成子 2、服部 進 1、入野 宏明 1、安岡 良典 1、佐々木達哉 1、宮武 邦夫 1
症例は 44 歳女性。2006 年 12 月下旬より労作時胸部圧迫感を自覚。血液検査で肝機能障害および好酸球増多 2468/ μ L を認め、精査目的にて
2007 年 1 月 12 日入院。トレッドミル、心筋シンチで心筋虚血を示唆する所
見を認めず。心エコー上は心嚢液貯留を認める他は特に異常を認めず、左
室収縮も良好で LVEF73% であったが後壁心内膜下のピークストレイン 0.91
と低下を認めた。特発性好酸球増多症の診断で 1 月 19 日ステロイド治療
(プ
レドニゾロン 40mg)を開始。自覚症状は消失し、1 ヶ月後の心エコーで
LVEF76% と著変認めないものの後壁心内膜下のピークストレイン 1.57 と
改善を認めた。通常の心エコー法では観察出来なかった好酸球増多症によ
ると考えられる微細な心筋障害とその改善を心エコーストレイン法によっ
て観察できた一例を経験したので報告する。
̶ 139 ̶
P43
再発性未破裂巨大バルサルバ洞動脈瘤の一例
1
東京医科大学病院 循環器内科、2 東京医科大学病院 心臓外科
目時 知美 1、田中 信大 1、相川 奈穂 1、木島 勇人 1、高橋 のり 1、正田 朋子 1、黒羽根彩子 1、武井 康悦 1、高沢 謙二 1、
山科 章 1、高田 宗尚 2、菊池祐二郎 2、西田 聡 2、牛島 輝明 2、今西 薫 2、渡邊 剛 2
症例は 62 歳男性。1972 年バルサルバ洞動脈瘤破裂、右房穿孔に対し、他院にて手術施行。2007 年 8 月の胸部 CT、心エコー図検査にて、バル
サルバ洞動脈瘤は径約 5cm と拡大を認めたため、手術目的に当院紹介受診となった。胸部 CT では、右室方向に突出する、造影効果のないバル
サルバ洞動脈瘤を認めた。また、経胸壁心エコー図、経食道心エコー図検査では、右室を圧排するように径 56 × 43mm の右冠尖のバルサルバ
洞動脈瘤を認めた。瘤内部は輝度不均一で、明らかな血流はなく、通常のエコーアプローチでは右室・右房内を占拠する腫瘤と鑑別が必要な所
見であった。大動脈弁逆流は軽度であった。術中所見では 5.5cm のバルサルバ洞動脈瘤内部には石灰化した血栓が存在しており、右室・右房に
かけて突出し、三尖弁の中隔尖は瘤により圧排され癒着していた。切除した瘤には前回使用したものと思われるパッチが付着していた。 バル
サルバ洞動脈瘤術後、30 年以上の経過を経て再発し、内部に血栓形成を認めた未破裂巨大バルサルバ洞動脈瘤の一例を経験したので、その心
エコー図所見を報告する。
P44
弁瘤の穿孔を伴う感染性心内膜炎に感染性冠動脈瘤を合併した一例
1
群馬大学 医学部 臓器病態内科学、2 榊原記念病院
小野 洋平 1、根岸 一明 1、高松 寛人 1、八木 宏明 1、高橋利絵子 1、富田 智之 1、中野 明彦 1、長谷川 昭 1、倉林 正彦 1、
渡辺 弘之 2、高梨秀一郎 2
症例は、72 歳女性。既往歴に特記すべきことなし。2007 年 5 月頃より食欲不振を自覚していた。7 月には視力低下が出現し近医眼科にて左眼黄
斑部出血・Roth 斑を認め、Hb 7.0mg/dl、WBC 10200/ μ l、CRP 6.8mg/dl、赤沈 79mm と炎症反応を認めた。さらに発熱も認めた為近医入院し、
心エコー /CT/ 骨髄穿刺 / 各種培養検査を施行したが、原因は特定できなかった。1 ヶ月半に渡り各種抗生剤を投与されたが解熱しなかった。
さらなる精査目的に当院へ転院し心エコーを再検したところ、僧帽弁に弁瘤を伴う疣腫を認め、弁瘤の穿孔により重症僧帽弁逆流を認めた。ま
た大動脈弁にも疣腫を認めた。繰り返し行った血液培養は陰性であったが、心エコー所見および小基準の 3 つを満たした為、感染性心内膜炎と
診断し抗生物質の投与を行った。経食道心エコー図にて左心耳の直下に 13mm 程度の管腔構造を認めた為、MDCT 施行したところ LCX 基部に
冠動脈瘤を認めた。抗生物質の投与により、外径は不変であったが壁の菲薄化傾向を認め、感染性冠動脈瘤と診断した。抗生物質による治療で
炎症反応がほぼ落ち着いた時点で、二弁置換術および冠動脈瘤切除・CABG 目的に転院した。術中所見では、大動脈弁に炎症性変化後付着物、
僧帽弁前尖に穿孔を伴う疣腫を認め、冠動脈瘤内部には膿性物質を認めた。術後経過も良好で合併症なく退院となった。感染性心内膜炎に感染
性冠動脈瘤を合併することは稀であり、さらに穿孔した弁瘤を合併している症例は稀であるため、文献的考察を踏まえて報告する。
P45
心膜剥離術後に僧帽弁および三尖弁逆流の重症化により心不全が再増悪し弁置換術を要した収縮性心膜炎の一例
北里大学 医学部 循環器内科学
小板橋俊美、猪又 孝元、前川 恵美、成毛 崇、大坂 勤、品川 弥人、西井 基継、竹端 均、竹内 一郎、和泉 徹
症例は 64 歳男性。心膜石灰化像と両心室圧曲線の dip & plateau パターンおよび拡張期圧の同一化に基づき収縮性心膜炎と診断され、心不全増
悪を繰り返した。今回右心不全徴候を伴うショック状態で入院。心不全安定化後に
心膜剥離術を施行し、
術前 20 mmHg であった中心静脈圧が 12 mmHg まで低下した。
しかし、術前に中等度であった僧帽弁および三尖弁逆流が徐々に増悪し(図)
、心不
全コントロールが不良となりカテコラミン依存状態に陥った。弁膜症による心不全増
悪と考え、術後 4 ヶ月後に僧帽弁および三尖弁の人工弁置換術を施行した。中心静
脈圧は術前の 30mmHg から 8mmHg まで低下し、心不全コントロールは良好となっ
た。 房室弁逆流は収縮性心膜炎の 70 % 以上に認めるが、心膜剥離術後の改善例、
逆に増悪例がともに報告されている。更に増悪例でも後に改善する場合もあり、弁修
復術まで至る例は少ないとされる。本症例の経験に基づくと、収縮性心膜炎の心膜
剥離術後は、上記病態の出現の可能性を常に念頭におき、心エコー図を用いた経時
的観察が必要である。
̶ 140 ̶
P46
巨大冠動脈瘤及び冠動脈 - 右室瘻の一例 : 経胸壁ドプラエコー法の有用性
1
国立病院機構 鹿児島医療センター 第一循環器科、2 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター 心臓血管外科、
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学
徳重 明央 1、皆越 眞一 1、中筋 あや 1、楠本 敦旨 1、松村 太郎 1、小瀬戸一平 1、余 波 1、中野 文雄 1、瀬戸口 学 1、
中島 均 1、四元 剛一 2、豊平 均 2、山下 正文 2、鄭 忠和 3
3
症例は 52 才男性。平成 19 年の健診で心電図異常を指摘され、近医受診。心エコー図検査にて巨大冠動脈瘤、冠動脈 - 肺動脈瘻を認め、精査の
ため 11 月 2 日当科紹介入院。胸部レントゲンで左 3 弓の突出あり、経胸壁心エコー図では、左主幹部の入口部径は約 2cm に拡大し、その血管
からの分岐より巨大冠動脈瘤(約 8cm)が認められ、瘤内に旋回流が観察された。さらにカラードプラーエコー図にて正常な左前下行枝および
左回旋枝血流シグナルも描出された。また、左主幹部入口部より 3cm 先より異常血管が右室に開口し、左冠動脈 - 右室瘻を形成しているのが観
察された。冠動脈 CT では、左主幹部の拡大および異常血管、冠動脈瘤、左前下行枝、左回旋枝の位置関係が明瞭に描出された。また、心臓カテー
テル検査では、右冠動脈は有意狭窄なく、Qp/Qs は 1.23 で L → R シャント率は 16.4% であった。冠動脈瘤および冠動脈 - 右室瘻あり、12 月 26
日心臓血管外科にて冠動脈および冠動脈瘻閉鎖、冠動脈バイパス術施行した。肺動脈弁直下の右室に 3 ヶ所の瘻孔を認めた。同部位を縫縮閉鎖、
左主幹部は入口部をパッチ閉鎖及び冠動脈瘤入口部、左前下行枝、左回旋枝入口部閉鎖し、静脈グラフトを対角枝 #9 と左回旋枝 #14 の 2 枝に
左内胸動脈を左前下行枝 #8 にバイパスを行った。術後の経胸壁心エコー図にて左内胸動脈と左前下行枝冠動脈吻合部の血流が良好に流れてい
ることが観察できた。今回、我々は健診にて検出された巨大冠動脈瘤、冠動脈 - 右室瘻の一例を経験したので報告する。
P47
健診で発見した冠動脈狭窄を合併した大動脈炎症候群の一例
1
財団法人岩手県予防医学協会 生理機能検査課、2 岩手医科大学附属 循環器医療センター 循環動態検査室、3 三愛病院 循環器内科、
岩手医科大学 第二内科
腰山 誠 1、工藤 真紀 1、遠藤あゆみ 1、米澤 慎悦 1、伊藤 記彦 2、那須 雅孝 3、安孫子明彦 4
4
【はじめに】当施設では、心臓血管超音波検査(経胸壁心エコー、頚動脈エコー)に、ドプラ法による冠動脈血流評価を加え、循環器疾患のスクリー
ニング法としての可能性を検討している。今回、心臓血管超音波検査が発見の契機となった冠動脈狭窄を合併した大動脈炎症候群の一例を報告
する。
【症例】50 歳男性、20 歳時潰瘍性大腸炎を指摘され加療開始、軽度の胸背部痛と息切れを自覚していた。そのため健康診断を受けた。
【検
査所見】経胸壁心エコー図検査では、大動脈弁の輝度上昇と軽度肥厚、無冠尖の軽度逸脱を認め、軽度の大動脈弁逆流を認めた。頚動脈エコー
図検査では、右総頚動脈の閉塞と左総頚動脈の全周性の壁肥厚を認めた。冠動脈エコー図検査では、左冠動脈近位部に局所高速血流を認めた。
以上の所見より冠動脈狭窄を有する大動脈炎症候群が疑われた。
【精密検査】頚部 MRI では、右総頚動脈の 6cm に渡る閉塞、左総頚動脈の壁肥
厚および内頚動脈起始部に NASCET63% の狭窄を認めた。胸部造影 CT では、上行大動脈の全周性の壁肥厚を認め、冠動脈 CTA では、左冠
動脈主幹部に 75% 狭窄を認めた。狭心症を合併した大動脈炎症候群と診断し、冠動脈バイパス術を施行した。
【まとめ】大動脈炎症候群は原因
不明の非特異的血管炎であり、病変の生じた血管により多彩な臨床症状を呈する。冠動脈病変は、左右冠動脈開口部から近位部に狭窄病変が出
現することが多く、無症候性大動脈炎症候群での冠動脈狭窄を診断する意義は大きい。健康診断での心臓血管超音波検査が冠動脈左主幹部狭窄
を合併した大動脈炎症候群を診断する契機となり、重篤な症状を引き起こす前に早期に治療を行えた症例を経験したので報告する。
P48
リアルタイム 3D 経食道心エコー法が僧帽弁置換術後の弁周囲逆流評価に有効であった一症例
1
鹿児島大学医学部 循環器・呼吸器・代謝内科学講座、2 鹿児島大学医学部 循環器呼吸器消化器疾患制御学講座、3 鹿児島大学病院 検査部、
鹿児島大学医学部 保健学科
窪田佳代子 1、木佐貫 彰 4、吉福 士郎 1、仲敷 健一 1、桑原 栄嗣 1、植村 健 1、河野美穂子 1、水上 尚子 3、坂田 隆造 2、
鄭 忠和 1
4
弁置換術後に人工弁からの逆流を有する症例では、経弁逆流と弁周囲逆流の鑑別や逆流の程度の評価が重要になるが、経胸壁心エコー法では、
人工弁のアーチファクトによりしばしば判断に苦慮する場合がある。経食道心エコー法は、経胸壁心エコー法と比べてアーチファクトの影響が
少ないが、逆流の詳細な部位評価については限界がある。今回私達はリアルタイム 3D 経食道心エコーを用いることで、人工弁の弁周囲逆流の
部位評価に非常に有用であった症例を経験したので報告する。症例は 65 歳の男性、僧帽弁狭窄症に対して昭和 54 年に僧帽弁置換術(生体弁)
、
平成 5 年に再置換術(人工弁)を施行された。平成 15 年、弁周囲逆流が出現、心不全症状が増悪したため再度弁置換術施行。その後は逆流はほ
とんど認められなかった。平成 19 年 11 月頃より労作時呼吸困難出現、12 月外来受診時の経胸壁心エコー検査にて僧帽弁位人工弁から中等度の
逆流を認め、弁周囲逆流が疑われたが、詳細な評価目的に 3D 経食道心エコーを施行。前交連側の弁座の外側に小孔があり、そこからのリーク
が認められた。平成 20 年 1 月の手術時、術前エコーで指摘された部位に同様の小孔を確認、同部位の閉鎖術が施行された。リアルタイム 3D 経
食道心エコー法は、従来アーチファクトにより描出が難しかった人工弁の詳細な観察が可能でなり、人工弁逆流の部位の評価に有用であると考
えられる。
̶ 141 ̶
P49
超音波法で評価した内臓脂肪厚と冠動脈疾患の関連性;ウエスト周囲径との比較
高知大学 医学部 老年病科・循環器科
濱川 公祐、松村 敬久、羽屋戸佳世、大川 真理、矢部 敏和、高田 淳、土居 義典
【背景】腹部内臓脂肪は、皮下脂肪よりも密接に動脈硬化危険因子と関連する。超音波法は、ウエスト周囲径(WC)と異なり内臓脂肪と皮下脂
肪を区別して計測できる。
【目的】内臓脂肪厚によって冠動脈疾患の存在を予測できるかを、男女別に検討した。
【方法】冠動脈造影を施行した連
続 119 例
(平均年齢 72 ± 8 歳、
男性 80 例)
を対象に、
心エコーに引き続き 8-MHz リニアプローブで腹部正中線上を走査し、
最大内臓脂肪厚(Pmax)
、
最小皮下脂肪厚(Smin)を計測した。冠動脈 75% 以上狭窄を有意病変(CAD)とした。
【結果】
(1)CAD は 97 例に認めた。
(2)男性(n=80)に
おいて、CAD(+)群は(-)群に比し、WC(90 ± 8 vs. 82 ± 7 mm, p < 0.01 ), Pmax(9.7 ± 3.8 vs. 6.4 ± 2.4 mm; p < 0.01), Smin(10.4 ± 3.1
vs. 7.3 ± 3.5 mm; p < 0.01)いずれも高値であった。
(3)女性(n=39)において、CAD(+)群は(-)群に比し、Pmax は高値であったが(7.4 ± 3.3
vs. 5.0 ± 2.7 mm; p < 0.05)
、WC と Smin に差異はなかった。ROC 曲線(AUC 男性:0.77, 女性:0.70)から得られた Pmax の至適カットオフ値
を男性:7.1 mm、女性:4.1 mm とすると、
(感度 / 特異度:男性 ; 77%/70%, 女性:74%/ 60% で CAD を予測することができた。
【結論】ウエス
ト周囲径は、女性では CAD の予測因子ではなかった。超音波法によって、内臓脂肪評価が可能であるだけでなく、男女いずれにおいても CAD
を予測できる可能性が示唆された。
P50
くも膜下出血患者における左室壁運動異常と血中カテコールアミンの関係
1
藤田保健衛生大学 医療科学部 臨床検査学科、2 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科、3 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部、
藤田保健衛生大学 医療科学部 医療経営情報学科
杉本 恵子 1、山田 晶 2、杉本 邦彦 3、高橋 礼子 3、松浦 秀哲 3、大平 佳美 3、坂口 英林 2、岩瀬 正嗣 4、菱田 仁 2
4
【目的】くも膜下出血(SAH)に認められる左室壁運動異常と血中カテコールアミンの経時的変化の関連性を検討すること。
【対象】2007 年 4 月∼
9 月に当大学救命救急センターに入院した発症 24 時間以内(平均 12.5 ± 10.3 時間)の SAH 患者 21 名(女性 18 名、
平均年齢 66.7 ± 10.0 歳)
。
【方
法】入院時と入院 10 日後に心エコー検査と採血を施行した。心エコーでは、modified Simpson 法による左室駆出率(EF)の計測、左室 16 分割
法の Wall Motion Score Index(WMSI)の算出をし、採血では血中アドレナリン,トロポニン I(TnI)
,血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
を測定した。入院時の左室壁運動異常の有無で 2 群(正常群・異常群)に分類した。
【結果】1. 入院時アドレナリン(205.0 ± 97.6 VS 73.5 ±
57.7pg/ml p < 0.01)は異常群で有意に高値であった。2. 入院時 BNP、TnI は、異常群で高値を示す傾向にあったが、有意差は認められなかった。
3. 異常群におけるアドレナリン値は 10 日後に低下する傾向にあったが、入院時と 10 日後での有意差は認められなかった。4.10 日後のアドレナ
リンは正常群 VS 異常群で有意差は認められず両群とも正常範囲内であった。5. 異常群の WMSI は 10 日後に有意に低下し、
全例正常化した。
【考
察・結語】異常群において入院時血中アドレナリンレベルの有意な上昇にもかかわらず壁運動の低下が認められるのは、SAH 急性期にβ受容体
の一過性の down regulation が関与している可能性が示唆される。
P51
閉塞型睡眠時無呼吸症候群症例における冠血流予備能:持続的気道内陽圧治療の及ぼす影響
東京医科大学病院 循環器内科
黒羽根彩子、田中 信大、正田 朋子、目時 知美、相川 奈穂、木島 勇人、高橋 のり、山科 章
【背景】閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、冠危険因子である肥満・糖尿病・脂質代謝異常・高血圧併発の関与以外にも、夜間の無呼吸の
度に起こる覚醒反応、交感神経の活性化、低酸素状態、血管に対する酸化ストレスにより虚血性心疾患の発症に直接影響を及ぼしていると考え
られている。
【目的】OSAS 症例における冠血流予備能(CFR)を検討すること。また持続的気道内陽圧(CPAP)療法の CFR に及ぼす急性効果
も検討した。
【方法】対象は明らかな心疾患を有さず、睡眠ポリソムノグラフィーにて apnea hypopnea index(AHI)30 以上であり CPAP 療法
の適応と診断された OSAS17 症例(平均年齢 53 ± 13 歳)
。CPAP 療法導入前および CPAP 療法導入後翌朝に左冠動脈前下行枝の CFR を計測
した。
【結果】CPAP 療法施行後、AHI(53 ± 18 → 4 ± 4)
、睡眠時最低酸素飽和度(78 ± 8 → 90 ± 4)は著明に改善、血圧・心拍数には有意な
変化は認めなかった。CFR は CPAP 療法前 2.9 ± 0.9、CPAP 後 3.2 ± 0.8 と有意に増加した。特に CPAP 前 CFR が 2.5 未満と正常低値を示し
た症例が 5 例存在したが、CPAP 後には 4 例(80%)で CFR2.5 以上に改善を示した(前 CFR:2.1 ± 0.2 vs 後 CFR:2.7 ± 0.2、p=0.01)
。
【結論】
OSAS 症例の中に軽度冠微小循環障害を有する症例が存在した。CPAP 療法により、呼吸障害に基づく睡眠障害の改善に伴い、冠微小循環機能
の改善効果も期待される。
̶ 142 ̶
P52
睡眠時無呼吸は左房負荷を生じている
東京医科大学病院 循環器内科
相川 奈穂、田中 信大、黒羽根彩子、正田 朋子、目時 知美、木島 勇人、高橋 のり、山科 章
【背景】睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)は心不全発症との関与が指摘されているが、その直接的な機序・経過は
まだ不明な点が多い。一方左房容積は、心負荷時の経時的な積算状態、左室拡張能の包括的な指標として注目されている。
【目的】OSAS 症例に
おける左房容積の変化を検討すること。
【対象と方法】対象は睡眠ポリソムノグラフィーを施行し OSAS と診断された症例で、高血圧、虚血性心
疾患、弁膜症の併存を認めない 51 症例。
(平均年齢 37 ± 7 歳、男性 48 例、女性 3 例)
。年齢、性別をマッチさせた非 SAS 群 30 例と比較した。
左房容積、左室容積は Modified Simpson 法で計測し、体表面積で除したものを容積係数とした。
【結果】身長(170 ± 7cm vs. 168 ± 8 cm,
P=0.0006)
、体重(73 ± 13kg vs. 64 ± 12kg, p < 0.0001)
、BMI(25 ± 4vs. 22 ± 3, p=0.0009)は SAS 群で有意に大きかった。左室容積、左室容
積係数、左室壁厚、左室駆出率は有意差を認めなかった。左房容積(48 ± 10ml vs. 37 ± 9ml, p < 0.0001)
、左房容積係数(26 ± 5ml/m2 vs. 22
± 5ml/m2, p=0.0002)は有意に SAS 群で大きかった。左房容積係数と apnea hypopnea index(AHI)との間には、有意な相関関係は認めなかっ
た。
【総括】睡眠時無呼吸症候群では、心疾患を有さない正常心機能例においても左房拡大を生じうる。しかし横断的な重症度の指標である AHI
では、左房拡大を予測することは不可能であると思われる。
P53
頚動脈エコーによる動脈硬化性形態的変化は機能的変化よりも冠動脈疾患重症度の予測に有用である
1
大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学、2 大阪掖済会病院 心臓血管内科
杉岡 憲一 1、穂積 健之 1、岩田 真一 1、小川景太郎 1、麻植 浩樹 1、福田 祥大 1、大塚 亮 1、芳谷 英俊 1、吉川 純一 2、
葭山 稔 1
【背景】頚動脈エコーによる動脈硬化性形態的変化と機能的変化の評価は、ともに全身の動脈硬化の指標であるとされている。しかしながら、頚
動脈硬化のパラメーターは心機能の影響をうけることが報告されており、冠動脈疾患例において、頚動脈硬化と冠動脈硬化との詳細な関係につ
いては明らかでない。
【目的】頚動脈硬化のパラメーターと冠動脈疾患の重症度との関係を、左室収縮能が保持された冠動脈疾患例において検討
すること。
【方法】対象は、洞調律で冠動脈造影にて診断された安定冠動脈疾患 104 例(平均年齢 66 ± 9 歳、男性 73 例 , 左室駆出率 45%未満
は除外)
。全症例において頚動脈エコーを施行し、
形態的変化としてプラークスコア(PS: プラーク厚の合計)と短軸像による%内腔面積狭窄率(%
AS)
、機能的変化として頚動脈壁硬化度βを総頚動脈径変化と血圧から算出した。
【結果】PS、% AS ともに、病変冠動脈枝数により定義した冠
動脈疾患重症度と有意な相関を認めた(それぞれ、P < 0.001 と P=0.002)
。頚動脈壁硬化度βは、年齢、喫煙と有意な相関を認めたが、冠動脈
疾患重症度とは相関を認めなかった(P=0.39)
。冠動脈危険因子(年齢、BMI、高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病)と頚動脈壁硬化度βにより補
正したロジスティック回帰分析によると、PS(P=0.001)と% AS(P=0.004)はいずれも多枝病変の独立した予測因子であった。
【結論】頚動脈プ
ラークスコアと狭窄率は冠動脈疾患重症度と有意な相関関係にあったが、頚動脈壁硬化度は相関を認めず、機能的変化よりも形態的変化の方が
より冠動脈疾患、多枝病変の予測に有用であると考えられた。
P54
動脈硬化危険因子を伴う睡眠時無呼吸症候群と頸動脈の内中膜複合体厚の関係
聖マリアンナ医科大学病院
林 明生、鈴木 健吾、出雲 昌樹
【背景】睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)が動脈硬化に影響すると言われている。内中膜複合体厚(intima-media thickness:
IMT)は動脈硬化の指標として用いられているが、SAS 患者における IMT と、SAS 重症度、動脈硬化危険因子の関係は明らかでない。
【目的】
動脈硬化危険因子を有する SAS 患者において IMT と SAS 重症度や動脈硬化危険因子の関係を明らかにする。
【方法】終夜睡眠ポリグラフ検査
を行い SAS と診断した患者 340 名《無呼吸低呼吸指数(Apnea hypopnea index: AHI)
:平均 36.1 回 / 時間》を対象とし肥満、高血圧、高脂血症、
糖尿病の合併数で低(動脈硬化危険因子数 0 ∼ 1 個)
、中(2 ∼ 3 個)
、高リスク群(4 個)に分け、各群での SAS 重症度(5 ≦ AHI < 15:軽症、
15 ≦ AHI < 30:中等症、30 < AHI:重症)別での IMT を比較した。
【成績】動脈硬化低リスク群において IMT は軽症群に比べ重症群で有意
に高値を示した(軽症 0.63 ± 0.24、中等症 0.80 ± 0.19、重症 0.88 ± 0.22mm、p < 0.01)
。動脈硬化高リスク群においては IMT の比較で有意差
を認めなかった(軽症 0.98 ± 0.41、中等症 0.88 ± 0.53、重症 0.88 ± 0.26mm)
。また、すべての SAS 重症度群において低リスク群の IMT は高リ
スク群の IMT より高い傾向を認めた。
【結論】動脈硬化危険因子を複数有する SAS 症例における IMT は、SAS の重症度よりも動脈硬化危険因
子数に依存すると考えられた。
̶ 143 ̶
P55
経胸壁ドプラ法を用いた閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者における冠血流予備能;持続的陽圧呼吸療法前後での変化
川崎医科大学 循環器内科
尾長谷喜久子、大倉 宏之、渡邉 望、築地美和子、和田 希美、林田 晃寛、根石 陽二、川元 隆弘、豊田 英嗣、吉田 清
【背景】高血圧、高脂血症、糖尿病などの疾患で冠血管の微小循環不全が見られることが知られている。閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に
おいても内皮機能障害が存在し、OSAS に対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP)により内皮機能の改善が見られることが報告されている。
【目的】
本研究の目的は OSAS における冠血管の微小循環障害を経胸壁ドプラ法より得られた冠血流予備能(CFR)を用いて評価し、さらに CPAP によ
る効果について検討することである。
【方法】睡眠ポリグラフ検査にて OSAS と診断された 10 症例において CPAP 導入前後で CFR を測定した。
遠位左冠動脈前下行枝(LAD)血流速波形を安静時と ATP
負荷時において記録したのち、LAD 拡張期血流の平均流速
を計測し,CFR を最大冠拡張時と安静時の比として求めた。
【結果】
10 例中 6 例
(60%)
で CPAP 導入前の CFR が低下
(CFR
< 2.5)していた。これらの 6 例では CPAP 導入後に CFR
が有意に上昇した(Table)
。
【結論】OSAS 症例の 60% で
CFR が低下しており、これは CPAP により改善することが
示された。
P56
僻地診療所における携行型心エコーによる検診意義について
和歌山県立医科大学 循環器内科
水越 正人、平田久美子、竹本 和司、財田 滋穂、北端 宏規、谷本 貴志、片岩 秀朗、上野 悟史、黒井 章央、有田 祐、
池島 英之、大河内啓史、辻岡 洋人、柏木 学、松本 啓希、中村 信男、田中 篤、今西 敏雄、赤阪 隆史
携行型心エコー機器が開発され日常診療に積極的に使用され、病院外来や病棟業務においてその有用性が認められている。その一方で、健康診
断等のスクリーニングにおいてはまだ十分に活用されてはいない状況と考えられる。今回、
我々は山間部の診療所に携行型心エコー機器を持参し、
一般基本検診を受診したことがある診療所受診者に対して心エコーによるスクリーニング検査を施行し、その意義を検討した。
【対象と方法】診
療所を受診し、一般基本検診を同年に受けている住民とした。山間部における診療所にて携行型心エコー(GE 社製 vivid i)を用い、診療所外
来にて検診を施行し、心エコーによる検診と一般基本検診での結果を比較検討した。
【結果】総数 30 名で女性が 28 名で優位を占めた。年齢は
80 ± 12 歳と高齢者が多数であった。基本検診では 2 名が不整脈と心電図異常をを指摘されていたが、理学的所見として心雑音などを指摘され
、左室
たものは認めなかった。一方、携行型心エコーを用いた検診では大動脈弁狭窄 4 名(弁口面積 0.7 ∼ 1.4mm2 平均圧較差 40 ∼ 60mmHg)
肥大 4 名(肥大型心筋症 1 名、高血圧 3 名)
、胸部大動脈拡大 1 名と所見が得られた。携行型心エコーにより所見が得られた対象者も明らかな自
覚症状は全く認めず、日常生活に支障はなかった。
【結論】都市部から離れ、医療機器の少ない山間部の診療所に携行型心エコー機器を持参し、
検診を行なった。一般基本検診で十分に指摘されえなかった潜在的心疾患がこの検診で認められた。また、日常生活が十分に行なわれているに
もかかわらず、潜在的心疾患が認められたことからより積極的に携行型心エコーによる検診が行なわれることが望ましいと考えられた。
P57
心臓再同期療法レスポンダー予測における任意方向 M モード法の有用性
1
筑波大学附属病院 検査部、2 筑波大学 人間総合科学研究科 循環器内科、3 筑波メディカルセンター病院 循環器内科
酒巻 文子 1、瀬尾 由広 2、石津 智子 2、亀谷 里美 1、飯田 典子 1、中島 英樹 1、稲葉 武 1、町野 智子 2、金本 都 3、
野口 祐一 3、青沼 和隆 2
【目的】任意方向 M モード(anatomical M-mode;AMM)法を用いた septal-to-posterior wall motion delay(SPWMD)計測の心臓再同期療法(CRT)レスポンダー予測に
おける有用性を検証すること。【方法】対象は CRT を施行した 27 例(64 ± 16 歳 ,QRS162 ± 40ms,EF28 ± 9%)。CRT 前と 6 ヵ月後に心エコー図検査を施行した。AMM
法では左室乳頭筋レベル短軸像において、M モード走査線を 40 度以
内で回転させ下壁中隔−側壁間に設定し SPWMD を計測した。組織
ドプラ法では心尖部 3 断面の 12 セグメントにおける QRS 開始から駆
出期最大速度までの時間の標準偏差(Ts-SD)を計測した。また左室前
駆出時間(PEP), 心室間機械的遅延(IVMD), および QRS 時間を測定
した。CRT レスポンダーは 6 ヵ月後の左室収縮期末期容量変化率
(Δ ESV)が 15% 以上減少したものと定義した。【結果】18 症例(67%)
が CRT レスポンダーと診断された。受信者特性(ROC)解析(下図)
において、AMM 法による SPWMD が CRT レスポンダーを最も正確
に予測した。【結論】CRT レスポンダー予測において任意方向 M モー
ド法を用いた SPWMD が有用な指標であることが示唆された。
̶ 144 ̶
P58
Left atrial volume and diameter in patients with diastolic heart failure and normal mitral flow velocity
pattern
兵庫医科大学 循環器内科
吉田千佳子、中尾 伸二、合田亜希子、内藤 由朗、松本 実佳、大塚 美里、下敷領美保、江口 明世、川端 正明、辻野 健、
増山 理
Objectives: It is difficult to assess whether mitral flow velocity pattern(MFVP)is pseudonormal or truly normal in patients with possible
diastolic heart failure(DHF)because any conventional echo Doppler parameter is normal. We assessed the comparative value of
measurements of tissue Doppler early diastolic mitral annular velocity(E'), left atrial diameter(LAD)and left atrial volume(LAV)in
assessing such patients.Methods: We determined LAV and LAD indexes in addition to the ratio of peak early diastolic mitral flow velocity(E)
to E'(E/E' ratio)in 91 patients with all three of the followings: heart failure, LVEF of greater than 55 percent, and normal MFVP between 0.8
and 1.5. Controls were 20 healthy subjects.Results: E/E' ratio was abnormal(> 1.5)in 38 of the 91 patients(sensitivity = 44 %). LAV
index was 35ml/m2 or greater in 65 of the 91 patients(sensitivity = 71 %), while LAD index was 27mm/m2 or greater in 81 of 91 patients
(sensitivity = 89 %). When accuracy of these parameters for detecting abnormality was assessed by receiver-operator curve(ROC)
analyses, the area under the curve was 0.995 for LA volume index, 0.998 for LAD index, and 0.885 for E/E' ratio, respectively.Conclusions:
Additional measurements of LAV and LAD indexes are useful in assessing whether MFVP is pseudonormal or truly normal in patients with
possible DHF.
P59
心臓再同期療法による左室収縮の非効率性の改善:2D 心エコー図による新しい評価法
1
大阪市立総合医療センター 循環器内科、2 大阪市立大学 循環器病態内科学、3 大阪掖済会病院
田川 慈子 1、阿部 幸雄 1、柳下 大悟 1、古川 敦子 1、柚木 佳 1、白井 直哉 1、中川英一郎 1、小松 龍士 1、成子 隆彦 1、
伊藤 彰 1、葭山 稔 2、吉川 純一 3、土師 一夫 1
【背景】非協調運動の結果として生じる左室収縮効率の低下を評価する方法はない.我々は,左室収縮の非効率性を局所収縮の計算上の合計と左
室全体の収縮との差として,
心エコー図検査を用いて評価する方法を新しく考案した.
【目的】
左室収縮の非効率性が心臓再同期療法
(CRT)
によっ
て改善することを,我々の考案した方法で評価できるかどうかを調べること.
【方法】CRT を施行した後の 9 人の連続症例を対象とした(左室駆
出率 30 ± 9%)
.左室短軸像においてスペックルトラッキング法を用いて左室内腔の時間面積曲線を作成し,さらに左室を 6 分割して局所の時
間面積曲線を作成した.非効率収縮(fractional inefficient contraction,FIC,%)は以下のように算出した:FIC=(1 −左室全体の収縮期面積
変化 /6 分画の収縮期面積変化の和)× 100.左室非協調運動は,6 分画においてスペックルトラッキング法を用いて得られた円周方向ストレイ
ンの,QRS から最小値までの時間の標準偏差として定量評価した.これらの指標を両心室ペーシングと自己脈とで比較した.
【結果】FIC と左室
非協調運動のいずれもが,自己脈と比較して両心室ペーシング下で改善した(12.7 ± 10.0% vs 6.8 ± 11.7%,114 ± 77ms vs 78 ± 55ms,いずれ
も p < 0.05)
.FIC と左室非協調運動の間には,正相関が認められた(r=0.54, p=0.02)
.
【結論】我々が考案した左室収縮の非効率性の評価法は,
CRT の効果を予測する上で有用である可能性がある.
P60
非協調運動によって生じる左室収縮の非効率性を評価するための新手法
1
大阪市立総合医療センター 循環器内科、2 大阪市立大学 循環器病態内科学、3 大阪掖済会病院
柳下 大悟 1、阿部 幸雄 1、古川 敦子 1、田川 慈子 1、柚木 佳 1、白井 直哉 1、中川英一郎 1、小松 龍士 1、成子 隆彦 1、
伊藤 彰 1、葭山 稔 2、吉川 純一 3、土師 一夫 1
【背景】我々は,非協調運動から生じる左室収縮の非効率性を,局所収縮の計算上の総和と左室全体の収縮との差として心エコー図検査を用いて
評価する方法を考案した.
【目的】我々の考案した方法を用いて評価した左室収縮の非効率性と,心臓再同期療法(CRT)の従来の基準にもとづ
いた適応との関係を調べること.
【方法】正常 15 名と左室駆出率 35%以下の患者連続 35 名を対象とした.NYHA3 以上で QRS 幅 120ms 以上の
患者 8 名を CRT 適応群,その他の患者 27 名を CRT 非適応群とした.左室短軸像においてスペックルトラッキング法を用いて左室内腔の時間
面積曲線を作成し,さらに左室を 6 分割して局所の時間面積曲線を作成した.非効率収縮(fractional inefficient contraction,FIC,%)は以下
のように算出した:FIC=(1 −左室全体の収縮期面積変化 /6 分画の収縮期面積変化の和)× 100.左室非協調運動は,6 分画における円周方向
ストレインの,QRS から最小値までの時間の標準偏差として定量評価した.
【結果】患者 35 名において,FIC と非協調運動の間には正相関があっ
た(r=0.56,p < 0.01)
.FIC と非協調運動のいずれもが正常群より CRT 非適応群で大きかった(1.4 ± 1.4% vs 6.1 ± 4.3%,27 ± 13ms vs 56 ±
29ms,いずれも p < 0.01)
.さらに,FIC は CRT 非適応群より適応群で大きかったが(CRT 適応群,13.2 ± 16.6%,p < 0.05)
,非協調運動に
ついては両群間に有意差が認められなかった(CRT 適応群,58 ± 36ms)
.
【結論】我々の考案した左室収縮の非効率性の評価法は,心臓再同期
療法の適応決定において有用である可能性がある.
̶ 145 ̶
P61
慢性心不全患者における Exercise-induced MR の運動耐容能に及ぼす影響
聖マリアンナ医科大学 循環器内科
出雲 昌樹、鈴木 健吾、長田 尚彦、黄 世捷、下郷 卓史、林 明生、田村 政近、三宅 良彦
【背景】僧帽弁の tethering に伴う機能性僧帽弁逆流< FMR >は慢性心不全< CHF >患者においてしばしば認める合併症である。この FMR は
運動により増大することが知られており< Exercise-induced MR:EMR >、CHF 患者の労作時息切れの一因として考えられている。
【目的】今回
我々は CHF 患者の EMR と運動耐容能の関係を調査した。
【方法】CHF 患者 50 名に Phillips 社製 iE33 を使用し運動負荷心エコー検査を施行。
3D 心エコー法を用いて左室容量、左室駆出率< EF >を計測した。2D エコー法にて PISA 法による MR の定量評価、Coaptation depth、
tenting area、sphericity index の計測を行った。さらに 20 名の患者において心肺運動負荷検査を施行した。
【結果】運動負荷により MR が増加
した群< EMR:δ ERO ≧ 0.1cm2 >は 18 名、増加しなかった群< NEMR:δ ERO < 0.1cm2 >は 32 名であった。EMR 群は NEMR 群と比較
して有意に運動時間、運動負荷量、peak VO2 のいずれにおいても低値を示した。運動ピーク時においても血圧、EF に有意な差は認めなかった
が< p=0.2、0.1 > EMR 群は運動ピーク時において coaptation depth < p < 0.01 >、tenting area < p < 0.01 >、sphericity index < p < 0.01
>は有意に高く、運動中の MR 量は各々と有意な相関関係を認めた。< r=0.50、0.72、0.48、p < 0.05 >【結論】運動による左室の球状化、僧帽
弁の tethering が EMR の原因と考えられた。CHF 患者における EMR は運動耐容能低下の原因の一つであることが示唆された。
P62
高齢者の心房細動を伴った心不全の特徴
北里研究所病院 内科循環器科
島田 恵、志賀 洋史、高橋 路子、赤石 誠
【方法】症例は心房細動を伴った急性心不全で緊
【目的】本研究では高齢者の心房細動を伴った心不全症例の心エコーを含めた特徴を検討した。
急入院した 68 例。80 歳以上の高齢者群 31 例(H 群、平均年齢 88.2 ± 5.9(Mean ± SD)歳、男 9 女 22)と 80 歳未満の群 37 例(N 群、62.5 ± 9.2、
男 25 女 12)の 2 群に分け、入院時心エコー図検査での各計測値(左室拡張末期径、%FS、左房径、推定肺動脈圧、下大静脈径)
、中等度以上の
弁膜症の有無、入院時 BNP 値、腎機能(推定 GFR(eGFR)
)
、電気的除細動(DC)施行の有無、予後(心不全再入院、死亡)について検討した。
【結
果】心エコーでは左室拡張末期径(H 群 44.5 ± 8.5mm、N 群 51.5 ± 7.7、p < 0.01)
、%FS(34.8 ± 10.3%、25.5 ± 11.1、p < 0.01)で、N 群で有
意に左室が大きく収縮機能が低下していた。左房径、推定肺動脈圧、下大静脈径に差はなかった。弁膜症の合併は H 群 35%、N 群 41% であった。
BNP 値は H 群 553 ± 422 pg/dl、N 群 589 ± 494 で差はなかった。一方 eGFR は H 群 55.5 ± 25.2ml/min、N 群 73.2 ± 32.5 で、H 群で有意に
低下していた(p < 0.05)
。DC 施行は H 群 6%(2 例)
、N 群 32%(12 例)で、N 群で多かった。予後は、心不全再入院(17 例(55%)
、12 例(27%)
)
、
死亡(10 例(32%)
、2 例(5%)
)でいずれも H 群で予後不良であった。死亡原因は、H 群は心不全 4 例、突然死 1、肺炎 3、脳梗塞 1、消化管穿
孔 1、非心疾患を半数認めたが、N 群は心不全のみであった。
【結論】高齢者の心房細動を伴った心不全は左室収縮機能が保たれているにも関わ
らず心不全を繰り返し、また他の全身疾患を伴うことが多くて死亡率が高く、予後不良であると結論した。
P63
左房容積と血中 BNP 濃度との関連 : 左室収縮性の保持された慢性心不全例における検討
1
大阪府済生会千里病院 循環器内科、2 大阪府済生会千里病院 臨床検査科
土井 泰治 1、岡田健一郎 1、海邉 正治 1、林 亨 1、高松 祐介 2、有馬 健 2
【目的】左房の拡大および血中脳性利尿ペプチド(BNP)濃度の上昇は、いずれも、拡張期における左室の負荷を反映し、予後とも関連することが
報告されている。本研究では左室収縮性が保持された慢性心不全において左房容積と血中 BNP 濃度との関連について検討した。
【方法および成績】
左室内腔拡大を認めず左室駆出率 50%以上の慢性心不全 56 例を対象とした。24 例は心房細動、32 例は洞調律であった。心房細動例では洞調率
例に比し、血中 BNP 濃度は有意に高値であり(338 ± 248 pg/ml vs 148 ± 192 pg/ml, p < 0.05)
、左房容積も有意に大きく(55 ± 22 ml/m2 vs
2
、拡張早期左室流入ピーク血流速も有意に増高していた(95 ± 22 cm/s vs 63 ± 20 cm/s, p < 0.05)
。左房容積および
27 ± 13 ml/ml , p < 0.05)
拡張早期左室流入ピーク血流速はそれぞれ血中 BNP 濃度と有意な相関を示した(それぞれ、p < 0.05)
。洞調律例では左房容積と血中 BNP 濃度
との間には有意な相関を認めた(p < 0.05)が、心房細動例では左房容積と血中 BNP 濃度との関連は消失しており、心房細動例では左房のサイ
ズと血中 BNP 濃度の上昇に反映される左室負荷との間に乖離があるものと考えられた。
【結論】収縮性の保持された慢性心不全例において、血
中 BNP 濃度の上昇は左房の拡大や左室流入動態の異常を一部反映するが、その関係は洞調律例と心房細動例では異なることが示唆された。
̶ 146 ̶
P64
心臓再同期療法が僧帽弁閉鎖不全症に与える急性期の効果について ̶心エコー図による検討
神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科
北井 豪、谷 知子、安 珍守、金 基泰、山根 崇史、江原 夏彦、尾田 知之、片山美奈子、民田 浩一、加地修一郎、
山室 淳、田辺 一明、盛岡 茂文、古川 裕
【背景】難治性心不全に対する非薬物療法として心臓再同期療法(CRT)の有用性が報告されている。しかし、CRT の僧帽弁閉鎖不全(MR)に
対する効果については明らかでない。
【目的】CRT 症例において、CRT 植込み前後にお
ける MR の重症度と経胸壁心エコー図(TTE)における各パラメーターを評価検討するこ
と。
【方法】対象は、難治性心不全のため CRT を施行した低心機能患者 10 例。CRT 施行
前と 1 週間後に TTE を施行し、左室拡張末期容積(EDV), 収縮末期容積(ESV), 左室
駆出率(EF), Tenting area, Sphericity index を計測した。MR については定性評価とし
た(grade1: trivial ∼ mild,2:moderate,3:severe)
。MR が grade 1 以上改善した群を group
1(5 例)
、改善を認めなかった群を group 2(5 例)とした。
【結果】結果を表に示す。植込
み後早期に MR の改善を認めた群においては、CRT 前より Tenting area が大きい傾向
にあった。両群において、治療前後の EDV,ESV, EF には有意差を認めなかった。
【結論】
CRT の MR に対する急性効果において、治療前の僧帽弁のテザリングの評価が有用であ
ると考えられた。
P65
心エコーを用いた左室同期不全の各評価法の比較ー心臓再同期療法の長期効果予測に関する検討
1
土谷総合病院 循環器科、2 土谷総合病院 循環器科心機能検査室
正岡 佳子 1、岡 俊治 1、上田 浩徳 1、土井 裕枝 2、木谷 弘之 2、佐々木洋子 2、山島 明子 2
【目的】心エコー図を用いた左室同期不全の各指標を比較し心臓再同期療法(CRT)の長期効果を予測可能であるかを検討する。
【方法】当院にて
CRT を施行した連続 29 例を対象とし CRT 施行前に以下の同期不全の指標を測定。組織ドプラ法による中隔基部と側壁基部の最大速度到達時
間 差(Ts sep-lat)
、12 分 画 の 最 大 速 度 到 達 時 間 の 標 準 偏 差(12Ts-SD)
、2Dspeckle tracking imaging(2DSTI) に よ る radial 方 向 及 び
circumferential 方向の中隔と側壁の最大ストレイン到達時間差の心拍数補正値(T-RS / √ R-R=Tc-RS sep-lat)
、
(T-CS/ √ R-R=Tc-CS sep-lat)
。
6 ヶ月後左室収縮末期容積が 15%以上減少した有効群(R 群 23 人)と 15%未満の無効群(NR 群 6 人)の両群間で同期不全の各指標を比較検討
した。
【結果】Tc-RS sep-lat は R 群が NR 群に比べ有意に長かった(246 ± 26ms vs. 101 ± 23ms,P < 0.01)
、Tc-CS sep-lat, Ts sep-lat, 12Ts-SD
は R 群が NR 群に比べ長かったが有意差は認めなかった。
(217 ± 7ms vs. 139 ± 13ms、
ns)
。
(75.4 ± 9.3 ms vs. 38.5 ± 17.4ms、
ns)
、
(48.3 ± 4.0ms
vs. 35.3 ± 4.5ms、ns)
。Tc-RS sep-lat は CRT 後の左室収縮末期容積の減少度と有意な相関を認めた(R=0.58,P < 0.01)
。
【結論】2DSTI の
radial 方向ストレインを用いた左室同期不全の評価は CRT の症例選択に有用である。
P66
慢性心不全患者における運動誘発性 dyssynchrony が運動耐容能に及ぼす影響
聖マリアンナ医科大学 循環器内科
下郷 卓史、鈴木 健吾、長田 尚彦、黄 世捷、出雲 昌樹、林 明生、田村 政近、三宅 良彦
【背景】慢性心不全(CHF)患者において左室 dyssynchrony はしばしば認められ、心機能や予後の重要な因子である。現在、左室 dyssynchrony
は安静時のみの評価で、運動時の dyssynchrony については十分に検討されていない。
【目的】今回我々は運動誘発性 dyssynchrony が CHF 患
者の運動耐容能に及ぼす影響について検討することを目的とした。
【方法】CHF 患者 20 名、健常者 20 名に Phillips 社製 iE33 を用いて運動負荷
エコー検査を施行し、
CHF 患者には全例心肺運動負荷テストも行った。リアルタイム 3D エコーを用いて左室容量、
左室駆出率(EF)を計測した。
ま た 左 室 dyssynchrony は 左 室 16 セ グ メントの 収 縮 期 最 小 容 積 時 間(Tmsv)を 計 測 し、16 セ グ メントの Tmsv の 標 準 偏 差(Systolic
Dyssyncrony Index:SDI)を算出し dyssynchrony の指標とした。
【結果】健常者において運動により dyssynchrony が増加する例は認めなかっ
たが、CHF 患者において運動により SDI は増加する傾向を認めた(p < 0.05)
。さらに運動により dyssynchrony が増加する群(δ SDI ≧ 2%、
Exercise-induced dyssynchrony group:ED)と増加しない群(δ SDI < 2%、NED)に分けた。ED 群では運動負荷エコー検査での運動時間(9.4
± 5.4 vs.12.8 ± 3.9min, p=0.03 ), 最大運動負荷量(35.3 ± 7.5 vs. 51.1 ± 18.2W, p=0.04)、及び peakVO2(16.9 ± 8.7 vs.22.3 ± 9.1, p < 0.01)い
ずれにおいても NED 群と比較して有意に低かった。また運動時と安静時のδ SDI は peakVO2 と負の相関関係(r=-0.51、
p < 0.05)にあった。
【結
論】
CHF 患者において運動により dyssynchrony が増悪する症例があり、運動誘発性 dyssynchrony は運動耐容能低下の一因となることが示
唆された。
̶ 147 ̶
P67
PR interval and E-A relationship: Atrioventricular uncoupling relevant to cardiac resynchronization
therapy(CRT).
社会保険小倉記念病院 循環器科
有田 武史、安藤 献児、梅田ひろみ、曽我 芳光、磯谷 彰浩、合屋 雅彦、安本 均、延吉 正清
Background: CRT mainly improves interventricular dyssynchrony and also may improve atrio-ventricular coupling. Methods:36 patients in sinus rhythm(PR 191.5 ±
48.7ms, QRS 156 ± 31.3ms,EF 25.5 ± 6.4%)who underwent CRT were
assessed prior to and 3 month post CRT. To analyze atrioventricular
coupling,transmitral flow were analyzed yielding FT%(filling time /
cycle length)and E-A %((E duration+A duration)/FT).Results: 22
patients showed Δ LVESV > 15% and 12 patients showed Δ EF >
5%. No parameter including PR interval associated with Δ LVESV,
however FT% and E-A % significantly related to Δ EF > 5%(p <
0.05). PR interval is not related to FT% nor E-A %. Sensitivity and
specificity of FT% and E-A % for Δ EF > 5% were 90.9%, 50%(cutoff
point0.47)and 63.4%, 80.8%(cutoff point1.16)respectively.Conclusions:
Analysis of E-A relationship could help identify atrioventricular
dyssynchrony and can predict response to CRT.
P68
Diastolic heart failure における収縮期および拡張期心時相の解析
1
鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学、2 鹿児島大学大学院 保健学科、3 鹿児島大学病院 検査部
河野美穂子 1、木佐貫 彰 2、窪田佳代子 1、植村 健 1、桑原 栄嗣 1、高崎 州亜 1、仲敷 健一 1、北村 尚子 3、吉福 士郎 1、
鄭 忠和 1
【背景】Diastolic heart failure(DHF)では駆出率などの収縮能は良好であるが、心時相については十分に解析されていない。
【目的】DHF におけ
る左室収縮能を等容収縮時間(ICT)
、等容拡張時間(IRT)による時相解析を用いて検討する。
【方法】高血圧性心臓病、肥大型心筋症、虚血性
心疾患の中から左室駆出率 50%以上の症例を連続 141 例抽出した。その中から心不全症状のないもの、Biplane Simpson 法を用いた左室収縮期
末期容量係数(LVEDVI)が 97ml/m2 以上の左室拡大症例を除外し、European Society of Cardiology の 2007 年の基準にあう DHF 症例 34 例を
対象とした。対象の年令は 67.8 ± 12.6 歳、範囲は 34 ∼ 94 歳であった。これらを同時期の心疾患のない正常 48 例と比較検討した。パルスドプ
ラ法を用いて ICT、IRT を計測し、BNP、E/E' などの指標も解析した。なお全例洞調律であった。
【結果】DHF 症例の EF は 65 ± 9%と正常範
囲内であり、BNP は 368 ± 421pg/ml、E/E' は 15.2 ± 6.0 と高値を示した。DHF 症例では ICT 75.9 ± 29.5, IRT 117.8 ± 31.0 であり正常例の
ICT 36.6 ± 26.2, IRT 89.1 ± 27.4 よりそれぞれ有意(いずれも p < 0.0001)に延長していた。DHF 症例における ICT、IRT と EF との間には相
関はみられなかったが、LVEDVI が大きくなるほど ICT が延長する傾向がみられた。
【結論】DHF 症例の時相解析により、DHF 症例では左室
拡張能だけでなく収縮能も障害されていることが示唆された。
P69
右室心尖部ペーシングは、Torsion とともに Untwisting も低下させる
1
大阪労災病院 循環器科、2 大阪労災病院 検査科 心臓超音波室
橋本 光人 1、西野 雅巳 1、中谷 晋平 1、原 正彦 1、山上 喜由 1、松岡 研 1、加藤 弘康 1、江神 康之 1、習田 龍 1、
山口 仁史 1、田中健二郎 1、田内 潤 1、山田 義夫 1、藤田 晋一 2、古川美奈子 2、正木 友二 2
【目的】2D スペックルトラッキング法(2DST)で、左室の捻転運動(LV torsion)とほどけ運動(LV untwisting)の客観的評価が可能となった。
LV untwisting は時定数τや心室内圧較差と相関を認めるという報告があり、弛緩能の指
標とされている。右室心尖部ペーシング(RVAP)が心同期を悪化させ、死亡率を増加さ
せるという報告があるが、RVAP が LV untwisting に与える影響は不明である。RVAP
による LV torsion, untwisting、及び左室拡張能の変化を検討した。
【方法】洞不全症候群
に対し DDD ペースメーカーを植込んだ 30 人を対象とした。自己房室伝導(AOO mode)
と RVAP(DDD mode)にて、以下の指標を比較した。LV torsion: 2DST で測定した左
室基部と心尖部の回転運動の差、LV untwisting velocity: 弛緩時の左室基部と心尖部の
回転運動速度の差、心拡張能指標 : E/A, E/E'。
【結果】RVAP によって、LV torsion と
untwisting velocity は有意に低下したが、E/A, E/E' は差を認めなかった。
(表)
【結論】
RVAP は LV torsion と同様に LV untwisting velocity も低下させ、左室弛緩能にも影響
を与えていると考えられた。
̶ 148 ̶
P70
Longitudinal Strain を用いた Automated Function Imaging 法による左室局所壁運動異常の評価
1
徳島大学病院 循環器内科、2 徳島市民病院、3 徳島大学病院 診療支援部、4 健康保険鳴門病院
楠瀬 賢也 1、西尾 進 1、武知かおる 2、河野 裕美 3、平岡 葉月 3、佐藤 光代 3、添木 武 1、長樂 雅仁 4、前田 泰弘 4、
山田 博胤 1
【背景】Automated Function Imaging(AFI)は,2D tracking 法を用いて得られた左室局所の収縮期 Longitudinal Strain を自動的に Bull's Eye
表示させる方法であり,左室局所壁運動異常を半自動的に評価するツールとして期待されている.我々は左室局所壁運動異常を有する陳旧性心
筋梗塞例において左室を 17 分画し,各分画の Wall Motion Score(WMS)を肉眼的および AFI にて算出し,それらを比較検討した.
【方法】陳
,コントロール群 13 例(68 ± 8 歳)を対象とした.心尖部 2-,3-,4-chamber view の Cine-loop を Echo PAC(GE
旧性心筋梗塞 45 例(70 ± 9 歳)
medical)を用いて AFI の解析を行い各分画の peak systolic strain(PS)から WNS を判定した.
【結果】1)陳旧性心筋梗塞例における平均 PS は
コントロール群と比べて有意に低値であった.肉眼的評価による平均 WMS と平均 PS は良好な相関を認めた(r=0.77,p < 0.001)
.2)両群の平
均 PS を ROC 解析した結果,カットオフ値を -15.1 にすると感度 84.0%,特異度 92.3% で陳旧性心筋梗塞症例か否かを判別できた.3)全 986 分
画における AFI と肉眼的評価による WMS を比較したところ,92.3%(910/986)で判定が一致した.4)AFI および肉眼的評価による WMS の判
定は,全ての分画でほぼ良好な一致率を示したが,前壁中隔基部領域および側壁領域ではやや一致率が低かった.
【結語】AFI による WMS と肉
眼的評価による WMS は良好な相関を認め,全ての分画で高い一致率となった.AFI は璧運動異常を検出するのに有用なツールであり,その簡
便さからも局所壁運動異常の自動判定に応用できる可能性が示された.
P71
器質的僧帽弁逆流症における心房機能予備能と左室リモデリングとの関連について
1
奈良県立医科大学 総合医療学、2 奈良県立医科大学 第一内科
水野 麗子 1、藤本 眞一 1、斎藤 能彦 2、中村 忍 1
目的:器質的僧帽弁逆流症患者において心房リザーバー機能の予備能と左室リモデリングとの関連について検討した.方法:器質的僧帽弁逆流
症患者 35 例を対象とし,約 9 年間の前向き調査を施行した.対象患者の選定基準は,器質的僧帽弁逆流症以外に明らかな心疾患を有さず,左
室駆出率≧ 55% および左室拡張末期容量≦ 150 ml を満たす症例とした.左房のリザーバー機能の指標として Vr / LAV max(Vr;収縮末期か
ら心房収縮開始までの左房容積の変化分,LAV max;収縮末期左房容積)を用いた.調査開始時に,Vr / LAV max を安静時とトレッドミルテ
ストによる運動負荷ピーク時に計測し,
両時点での Vr / LAV max の値の比(Ratio-peak / rest)を左房のリザーバー機能の予備能の指標とした.
左室リモデリングについては,調査開始時に比して観察期間中に左室拡張末期容量が 20% 以上増加した場合に左室リモデリングありと定義した.
結果:観察期間中 6 例が追跡不能となり,最終的に 29 例について検討した.観察期間中に 29 例のうち 10 例が左室リモデリングを呈した.調査
開始時の心エコー図検査において,左室駆出率,左室収縮・拡張末期容積,僧帽弁口左室流入血流の拡張早期波と心房収縮期波の流速比,拡張
早期波の減速時間,僧帽弁逆流の重症度,および安静時の Vr / LAV max はいずれも左室リモデリングを呈した群と呈さなかった群で有意な差
がなかった.一方,運動負荷ピーク時の Vr / LAV max と Ratio-peak / rest は,左室リモデリングを呈した群で有意に低値を示した.結論:器
質的僧帽弁逆流症において左房のリザーバー機能の予備能は左室リモデリングの長期予測因子となり得る可能性がある.
P72
脳出血および脳梗塞患者の心形態と心機能の比較
香川大学医学部附属病院 総合診療部
舛形 尚、千田 彰一
高血圧は脳出血および脳梗塞のリスクファクターであるが、脳出血および脳梗塞発症後の高血圧患者において心形態と心機能が、どのように異
なるかは十分に検討されていない。本研究では脳卒中発症後の高血圧患者において心エコーのいずれの指標に差があるかを検討した。対象は脳
卒中発症後、2 年以上経過して安定した外来通院患者 63 名で洞調律の脳梗塞 23 例(60 ± 8 歳)と脳出血 40 例(62 ± 9 歳)を対象とした。脳塞
栓患者や心疾患および心不全の既往がある患者は除外した。心エコーでは M モード法を用いて左室壁厚、左室心筋重量係数、左室駆出率、左
房径を計測し、ドプラ法で左室流入血流速度波形(E, A, E/A)と Tei index を計測し、組織ドプラ法で僧帽弁輪移動速度(E', A', E/E')を計測し
た。左室壁厚、左室駆出率に差はなかったが、左室内径は拡張末期径(LVDd)および収縮末期径(LVDs)ともに脳出血群(LVDd=45.9 ± 4.6
mm, LVDs=28.2 ± 4.1 mm)が脳梗塞群(LVDd=43.2 ± 4.9 mm, LVDs=25.2 ± 4.8 mm)に比して有意に大であり(p < 0.05)
、左室心筋重量係数
。心機能指標では左室流入血流速度お
は脳出血群(119 ± 37 g/m2)が脳梗塞群(LVDd=100 ± 27 g/m2)に比して有意に大であった(p < 0.05)
よび僧帽弁輪移動速度に差は認められなかったが、Tei index は脳出血群(0.54 ± 0.14)が脳梗塞群(0.46 ± 0.12)に比して有意に大であった(p
< 0.05)
。脳出血群では脳梗塞群に比較して、高血圧による左室肥大と心機能低下が強いことが示唆された。
̶ 149 ̶
P73
高血圧患者における左室肥大の心電図診断はどのくらい正確か?
1
徳島大学病院 診療支援部、2 徳島大学病院 循環器内科
平岡 葉月 1、山田 博胤 2、岡田 早未 2、楠瀬 賢也 2、佐藤 光代 1、河野 裕美 1、西尾 進 1、添木 武 2
背景:左室肥大の心電図基準としては QRS 波の電圧基準が広く用いられている.しかしながら,診断基準値の設定には,統計的な正常例にお
ける計測値の 95% ないし 98% 上界値が用いられており,偽陽性がさけられない.また,この基準値の剖検例における陽性率は約 40% に満たな
いことが報告されている.そこで,高血圧患者において経胸壁心エコー図法を用いて左室心筋重量係数を求め,心電図による左室肥大の診断基
準の正確性を検討した.方法:対象は心エコー検査を施行した本態性高血圧症の患者,連続 128 例(平均年齢 67 ± 13 歳,男性 66 例)である.
M モード心エコー図を用いた計測値から左室心筋重量係数(LVMI)を算出し,LVMI が男性で 111g/m2,女性で 106g/m2 以上を心エコー上の
左室肥大ありと判定した.標準 12 誘導心電図から,RV5(6)+SV1 ≧ 35mm または RI+SIII ≧ 20mm を満たす場合を心電図上の左室肥大ありと診
断した.結果:心電図による左室肥大の診断は,感度 33%,特異度 95%,偽陽性率 5%,偽陰性率 67%,陽性的中率 97% であった.心エコー図
法にて求心性リモデリングと診断された 10 症例中に,心電図にて肥大ありと診断された症例はなかった.心エコー図法にて求心性肥大と診断さ
れた 85 例中,心電図で肥大ありとされたのは 18 例(29%)であった.結語:心電図診断により左室肥大と診断された症例は,ほぼ心エコー図法
における左室肥大があるといってよい.しかしながら,心電図で肥大所見がないからといって左室肥大がないということはいえず,特に左室肥
大の初期である求心性リモデリングは心電図で診断することが困難である.
P74
維持透析患者における心機能評価 第一報 ̶ECUM 経験と心機能̶
1
恵仁会三愛病院 総合検査科、2 恵仁会 三愛病院 循環器科、3 岩手医科大学附属病院 第 2 内科
工藤 明 1、泉山 美央 1、村田 徹 1、田村 朋子 2、那須 雅孝 2、田代 敦 3
【背景および目的】慢性維持透析患者の心不全は主要な死因であり、急性肺水腫、うっ血性心不全にたいして限外濾過療法(extracorporeal
ultrafiltration method:ECUM)が緊急に行われることも少なくない。そこで ECUM 実施例の心エコ−図所見を未実施例と比較した。
【対象】平
成 19 年 5 月∼ 12 月までに心エコ−図検査を受けた維持透析患者 180 例を対象とした。経過中に ECUM を必要としたのは 22 例(平均年齢 64.5 ±
11.4 歳、ECUM 群)で、ECUM 未実施は 158 例(平均年齢 65.6 ± 11.2 歳、非 ECUM 群)であった。
【方法】ECUM 群、非 ECUM 群別に左室駆出
率(EF)
、左室拡張末期・収縮末期容積係数(EDVI・ESVI)
、左室心筋重量係数(LVMI)
、左房容積係数(LAVI)
、左室流入血流速波形 E 波・A
波・E 波減速時間(TMF-E・TMF-A・TMF-DT)
、E'、E/E'、推定右室圧(RVP)について比較・分析した。
【結果】EF は ECUM 群が平均 50.12
± 12.32%で、非 ECUM 群平均 59.59 ± 10.82%に比し有意に低値を示した(P < 0.01)
。EDVI、ESVI、TMF-E、E/E' も ECUM 群が非 ECUM 群
に比し有意に高値を示したが、LVMI、LAVI、TMF-A 、TMF-DT、E'、RVP には有意な差が認められなかった。
【結語】ECUM 群は非 ECUM
群に比し収縮能は低下し、左室拡張末期圧上昇の傾向があり、維持透析患者の心機能評価を経過観察することは重要であると考えられた。
P75
経皮的心房中隔欠損閉鎖術(ASD closure)における左室容量の変化 3-D echocardiogra-phy(3-D)を用
いての検討
1
聖マリア病院、2 久留米大学小児科、3 聖マリア病院 小児循環器科
田代 英樹 1、須田 憲治 2、棚成 嘉文 3、伊藤 晋一 3
【目的】ASD closure の合併症の一つに左心不全が認められるが原因ははっきりしない。いままでの ASD closure 前後の左心の形態学的変化の評
価は M-mode によるものが主体であった。この結果からは、術後より左室拡張末期径(LVDd)の拡大は認められるものの収縮末期径(LVDs)は
拡大しないため躯出率(EF)が増加すると考えられている。しかし、M-mode では正確な評価ができない可能性があるため、今回、3-D を用いて
計測を行った。
【方法】対象は ASD closure を受けた 15 例(平均年齢 19.2 ± 17.6 歳 男性 10 例)
。経皮的心房中隔欠損閉鎖術の前日および翌日
に心エコーを撮像した。Phillips 社製 Sonos 7500 を用い、M-mode は parasternal long axis より撮像した。3-D は心尖部より心臓全体が入るよ
うに撮像し、Phillips 社製 3-D Q を用いて解析を行った。
【成績】ASD closure の前後で心拍数の変動 68 ± 10bpm から 67 ± 8bpm と有意な変動
は認められなかった。M-mode 上の LVDd は 39.7 ± 6.5mm から 42.5 ± 6.2mm に有意に拡大し
(p=0.02)
、
LVDs は 24.2 ± 5.1mm から 24.9 ± 4.6mm
と有意な変化は認められなかった。また、
M-mode 上から求められた EF は 63.9 ± 20.0% から 68.0 ± 20.5% に有意に増加した(p < 0.001)
。一方、
3-D で求められた左室拡張末期容積(LVVd)は 51.8 ± 15.5ml から 58.3 ± 18.1ml に増加し(p=0.012)
、左室収縮末期容積(LVVs)は 16.1 ± 7.4ml
から 22.3 ± 10.3ml に増加した。EF は 69.5 ± 7.0% から 62.6 ± 9.0% に減少
(P=0.009)
したが左室容積の変化から測定した 1 回拍出量は 35.7 ± 9.8ml
から 35.9 ± 10.2ml と有意な変化は認められなかった。
【結論】3-D の検討では、ASD closure の直後は EF の低下が認められるが一回拍出量は変
わらない。
̶ 150 ̶
P76
経食道心エコー 3D ソフト four sight による左心耳容積の計測と、左房容積係数、左心耳血流速度との関係について
広島逓信病院 第一内科
湯谷 剛
背景:心房細動患者では、左心耳血流速度低下や左房容積係数の増大は脳塞栓の危険因子である事が報告されてきたが、左心耳容積の計測につ
いては検討されていない . 目的、方法:昨年当院で TTE,TEE を施行した連続 26 例、慢性心房細動 21 例、発作性心房細動 5 例で、男性 18 例、
女性 8 例、年齢 52 歳から 87 歳(平均年齢 71.3 歳)について、TTE にて左房容積の計測、TEE にて左心耳血流速度(近位部、遠位部)の計測と、
3D ソフトにより左心耳容積の計測を行った . 左房容積及び左心耳容積はそれぞれ体表面積で除した左房容積係数(LA/BSA)
、左心耳容積係数
(LAA/BSA)にて評価を行ない、それらの関係について検討を行った . 結果:1. 左心耳及び左房における血栓を認めたのは、26 例中 1 例であっ
た .2.LA/BSA と LAA/BSA の間には、正の相関を認めた .3.LA/BSA と左心耳血流速度については、測定部位が近位部及び遠位部両方とも相関
を認めなかった .4. 左心耳血流速度は、近位部 5.8 ∼ 71.5cm/sec(平均 26.1cm/sec)
、遠位部 6.5 ∼ 95.6cm/sec(平均 23.8cm/sec)で、計測部位
による有意差は認められなかった .5.LAA/BSA と左心耳血流速度については、近位部及び遠位部それぞれと負の相関を認めた . 結語:心房細動
の患者において、左房容積が増大している例では、左心耳容積も増大し、左心耳血流速度は低下している傾向が認められ、僧帽弁疾患や、心房
細動患者では、長期にわたる左房負荷によるリモデリング等により、左房の拡大のみならず左心耳機能の低下に伴って、左心耳容積が増大して
いると思われ、左心耳容積の増大も、脳塞栓の発症の危険因子となる可能性が伺われた .
P77
Left Atrial Volume in Obese Subjects without Cardiovascular Comorbidities
関西医科大学附属病院 第二内科学講座
拝殿 未央、宮坂 陽子、妹尾 健、青田 泰子、土手 絹子、大石 千尋、木村 穣、岩坂 壽二
Background:Obesity and left atrial(LA)enlargement are known as an increased risk of cardiovascular morbidity and mortality. There is a
paucity of data as to whether obesity is associated with LA enlargement.Methods: Obese subjects(BMI ≧ 30kg/m2)without a history of
hypertension, diabetes, or any cardiovascular disease, were prospectively included. Echocardiographic results were compared to age-gendermatched non-obese healthy controls(BMI < 25kg/m2).Results:Of 83 obese subjects performed echocardiography, 20 met all study criteria
(mean age 41 ± 14yrs; 30% men; mean BMI 34 ± 4kg/m2). Forty non-obese subjects(mean age 41 ± 15 yrs; 30% men)served as controls
(mean BMI 21 ± 2kg/m2; p < 0.0001 vs. obese). Indexed LA volume was significantly larger in obese subjects(33 ± 10mL/m2 vs. 25 ±
6mL/m2; p < 0.001). Mitral E/e' ratio was also higher in obese subjects relative to controls(11.3 ± 6.3 vs. 8.2 ± 2.4; p=0.009). There were
no significant differences in left ventricular mass index(74 ± 25g/m2 vs. 76 ± 26g/m2; p=0.79)and relative wall thickness(0.35 ± 0.05 vs. 0.35
± 0.07; p=0.78). Conclusion:Obesity was associated with LA enlargement and higher mitral E/e' ratio, even in the absence of cardiovascular
comorbidities including hypertension and diabetes. Further studies are needed to determine whether effective treatment of obesity improves
cardiovascular outcome in these patients.
P78
運動耐容能の評価における左心房壁ストレインの有用性
名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学科
若見 和明、大手 信之、小早川裕子、木村玄次郎
【目的】2D
【背景】心疾患患者の運動耐容能は左室機能と密接に関係することが知られているが、左房機能との関連は十分に検討されていない。
スペックルトラッキング法(2D-STI)で求めた左室収縮末期の左房壁ストレイン(左房リザーバー機能に対応)と心肺運動負荷検査(CPX)で求
めた運動耐容能との関係を検討した。
【方法】冠動脈疾患を疑う 22 症例(平均年齢 67 歳)に対し心エコードプラ検査(Sequoia512、Siemens)後
に CPX を行い、負荷終了理由が呼吸困難の 13 例と下肢疲労の 9 例に分類した。これらを対象に心尖部 4 腔像および 2 腔像から求めた左室収縮
期における左房壁最大ストレイン値と最大酸素摂取量(VO2max)との関係を検討した。
【結果】対象全例において VO2max は左室収縮期におけ
る左房壁最大ストレイン値と(r=0.55、p < 0.01)の有意な相関を認めた。呼吸困難群の 13 例においては(r=0.79、p < 0.01)とさらに良好な相
関を認めた。
【結論】2D-STI 法によって評価した左房リザーバー機能から運動耐容能を予測しえた。2D-STI 法は左房機能評価の有用な手段とな
りうる。
̶ 151 ̶
P79
Play Station Portable as Echo Movie Client
1
東北大学大学院 医工学研究科、2 東北大学 情報シナジーセンター
西條 芳文 1、岩本 貴宏 2、吉澤 誠 2
Play Station PortableTM(PSP)is a portable game player with a wireless network connection and an audiovisual(AV)output. PSP can
handle a DVD quality movie that is enough for movies of conventional
echocardiography machines. In the present study, we applied PSP as a portable
client of the echo movie. Movies output from various echo machines were
converted to 720x480 pixels, 30 fps, MPEG4(H.264)codec movies by a personal
computer(PC)and were stored on a specially developed movie server in the
hospital. Echo movies were downloadable to PSP via wireless network connection
secured by 1)ID and password, 2)SSL certification and 3)IP address limitation
within the hospital. PSP could display echo movies on its LCD monitor(figure)
and it could present movies on a screen by connecting its AV output to a PC
projector.
P80
Assessment of radial dyssynchrony by velocity vector imaging in patients who received cardiac
resynchronization therapy
日本大学
太田 昌克、笠巻 祐二、東海康太郎、中井 俊子、渡辺 一郎、田野 絢子、杉山 啓子、藤井 信如、平山 篤志
Background: Recent studies have demonstrated that longitudinal and circumferential dyssynchrony assessed by 2D speckle tracking imaging
(STI)can predict chronic effects of cardiac resynchronization therapy(CRT). A new STI, velocity vector imaging(VVI)has enabled
assessment of radial regional strain of LV. The aim of this study was to investigate whether the assessment of radial dyssynchrony by VVI
is useful for evaluating effects of CRT as compared to the assessment of circumferential dyssynchrony. Methods: Study subjects consisted of
14 patients with severe heart failure undergoing evaluation for cardiac CRT. Time to peak circumferential strain(T-PCS)and time to peak
radial strain(T-PRS)were measured in 6 basal and 6 mid LV segments in short axis views by VVI. Results: 13 patients(93%)responded to
CRT in acute phase. In 13 patients, standard deviation(SD)of T-PCS before and after CRT was 116.3 ± 47.1 ms vs. 83.5 ± 30.6 ms(p < 0.01)
.
SD of T-PRS before and after CRT was 191.5 ± 99.1 ms vs. 148.2 ± 78.2 ms(p < 0.05). Only 1 patient(7%)did not respond to CRT. In this
patient, both SD of T-PCS and T-PRS between the 12 measured segments have increased after CRT. Conclusion: The assessment of radial
dyssynchrony by VVI is useful for evaluating effects of CRT as well as the assessment of circumferential dyssynchrony.
P81
Velocity vector imaging 法による左室局所壁運動の定量評価:心尖部断面での左室長軸ストレインと短軸ス
トレイン解析の比較検討
大阪市立大学 大学院医学研究科 循環器病態内科学
小川景太郎、穂積 健之、福田 祥大、麻植 浩樹、河野 靖、杉岡 憲一、大塚 亮、葭山 稔
【目的】velocity vector imaging(VVI)法を用いれば、組織トラッキング法にて心尖部断層図上で心内膜と心外膜を指定することで左室壁の長軸
ストレイン(LS)値と短軸ストレイン(RS)値の両方が測定可能である。研究の目的は、心尖部断面にて VVI 法からのストレイン解析(左室 LS
値および RS 値)により左室局所壁運動の定量評価が可能か検討することにある。
【方法】陳旧性心筋梗塞例 30 例および健常者 10 例(計 40 例)
において、心エコー法(シーメンス製 Sequoia512)にて心尖部三断面を記録した。VVI 法にて解析された左室 16 分画の LS 値と RS 値を、各分
画の目視法による壁運動評価(正常、低下、無収縮)と比較検討した。
【結果】対象 40 例計 640 分画中、LS 解析は 573 分画(89%)
、RS 解析は
455 分画(71%)で可能であった。LS 値と RS 値共に、健常者の基部、中部、心尖部間において有意差はみられなかった(LS:-17 ± 5%, -17 ± 4%,
-15 ± 3%, RS:26 ± 14%, 22 ± 9%, 20 ± 6%)
。それに対して、LS 値と RS 値共に、壁運動低下および無収縮分画は、壁運動正常分画に比べて有
意に低値を示した(LS 値:-9 ± 4% および -3 ± 4%, vs -16 ± 5%、RS 値:10 ± 8% および 3 ± 8%, vs 25 ± 11%, p < 0.001)
。また、壁運動正常
と低下、低下と無収縮を区別する ROC 曲線の AUC は、LS 値では各々 0.91、0.88、RS 値では各々 0.85、0.77 であった。
【結論】心尖部断面像にて、
VVI 法からのストレイン解析により左室局所壁運動の定量評価が可能であったが、解析成功率と AUC 値の点で、短軸ストレイン解析に比べ長
軸ストレイン解析が、より適していると考えられた。
̶ 152 ̶
P82
リアルタイム 3D 経食道心エコー(TEE)による僧帽弁逸脱症の逸脱弁尖の部位診断
1
産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科、2 フィリップスメディカルシステムズ、3 シカゴ大学医学部付属病院 エコーラボ
岡松 恭子 1、竹内 正明 1、中井 博美 1、春木 伸彦 1、サルゴ アイバン 2、スコット セトルメイア 2、スガング リサ 3、ラング ロベルト 3、
尾辻 豊 1
背景:僧帽弁逸脱症(MVP)において、経胸壁心エコー(TTE)あるいは 2D-TEE にて逸脱範囲を正確に同定することは困難である。目的:2DTTE と 3D-TEE による逸脱の部位、範囲を比較検討すること。方
法:MVP8 例( 前 尖 1 例、 後 尖 6 例、 両 尖 1 例 ) に お い て、
2D-TTE および 3D-TEE を施行。
その後僧帽弁手術を行った 5 例
(前
尖 1 例、後尖 4 例)については、手術所見と比較検討した。結果:
逸脱部位は 2D-TTE と 3D-TEE でほぼ一致したが、2D-TEE は逸
脱範囲を正確に評価することは困難であった。3D-TEE による
surgical view では逸脱部位、範囲を同定することができた。手術
所見と比較すると、5 例中 4 例で逸脱部位、範囲を正確に評価で
きていた。しかし 1 例は後尖 medial ∼ middle scallop の腱索断裂、
逸脱は評価できたが、後尖 lateral scallop の逸脱は評価できなかっ
た。結論:3D-TEE による逸脱部位、範囲の同定が可能であり、
手術前の外科医との情報の共有にも有用であると考えられた。
P83
リアルタイム 3D 経食道心エコー(TEE)による僧帽弁逸脱症の定量評価
1
産業医科大学 医学部 循環器・腎臓内科、2 フィリップスメディカルシステムズ、3 シカゴ大学医学部付属病院 エコーラボ
岡松 恭子 1、竹内 正明 1、中井 博美 1、春木 伸彦 1、サルゴ アイバン 2、スコット セトルメイア 2、スガング リサ 3、ラング ロベルト 3、
尾辻 豊 1
背景:血行動態的に有意な僧帽弁逆流を伴う僧帽弁逸脱症(MVP)において、僧帽弁輪、弁尖の形態を定量的に評価することは、手術戦略上重要である。
目的:リアルタイム 3D 経食道心エコー(3D-TEE)を用いて、
僧帽弁の形態を定量的に評価すること。方法:対象は MVP 8
例(前尖逸脱 1 例、後尖逸脱 5 例、両尖逸脱 2 例)
、他の適応に
て 3D-TEE を施行し、僧帽弁が形態学的に正常と考えられた 7
例。3D-TEE を用いて僧帽弁の 3D 画像をズームモードで記録
した。得られた 3D データセットより収縮末期フレームを選択し、
定量的解析ソフトウェア(QLab-MVQ, Philips)を用いて、僧帽
弁輪の同定及び弁尖を用手的にトレースした。弁輪面積、高さ、
弁尖面積、前交連 - 後交連間径、前後径、逸脱の高さ及び逸脱
容量、前後尖のなす角度を算出した。結果:各指標の変化は表
に示す通りである。結論:3D-TEE により、正常例及び MVP
症例の僧帽弁形態を定量的に鑑別し得ると考えられた。
P84
Comparison of Interobserver Variability of Speckle Tracking Strain Analysis between Endocardium
and Epicardium
1
天理よろづ相談所病院 循環器内科、2 天理よろづ相談所病院 臨床病理部
三宅 誠 1、泉 知里 1、高橋 秀一 2、橋和田須美代 2、坂本 二郎 1、樋口 貴文 1、吉谷 和泰 1、本岡 眞琴 1、貝谷 和昭 1、
和泉 俊明 1、玄 博允 1、中川 義久 1
Background: Speckle tracking strain analysis has become a powerful tool to assess left ventricular function. However, interobserver
variability of the analysis between endocardium and epicardium has been little
known.Methods: In 25 consecutive subjects with normal left ventricular function,
two echocardiologists independently measured radial velocity, circumferential
strain(CS), radial strain(RS)and time to peak of each parameter using
Velocity Vector Imaging(Sequoia, Siemens). Interobserver variability was
expressed as |A - B / 0.5(A + B|.Results: Interobserver variability of each
parameter was shown in the table below.Conclusions: Interobserver variability
of radial velocity and CS at endocardium was lower than at epicardium. High
interobserver variability at epicardium might result in high interobserver
variability of RS. Interobserver variability was low in evaluating time to peak of
each parameter.
̶ 153 ̶
P85
安静時の収縮末期左室内空間速度勾配による運動耐容能の評価
名古屋市立大学大学院 医学研究科 心臓・腎高血圧内科学
小早川裕子、大手 信之、浅田 馨、若見 和明、木村玄次郎
安静時に得られた左室機能指標を用いての運動耐容能予測は臨床における重要な課題である。我々は収縮期の左室内血流動態に着目してこの問
題を検討した。方法:胸痛精査目的にて安静時心エコー検査と心肺運動負荷試験
(CPX)
を同日に施行した 40 人を対象に、左室内血流の color flow mapping データを採取し、
その後直ちに CPX を施行して各患者における運動耐容能の指標として peak VO2 及
び嫌気性代謝閾値(AT)を計測した。結果:エコーダイナモグラフィ(アロカ)にて
オフライン解析した収縮末期における左室心尖部‐流出路間の空間速度勾配と peak
VO2(r=0.56, p=0.002)及び AT(r=0.73, p < 0.0001)の間には有意かつ良好な正相関
が見られた。一方、拡張早期における左室流入路‐心尖部間の空間速度勾配あるいは
左室駆出率と運動耐容能には有意な関係は認められなかった。結論:安静時収縮末期
における左室心尖部‐流出路間の空間速度勾配は運動耐容能を予測する指標となりう
る。エコーダイナモグラフィは心腔内血流動態の解析に有用な手段である。
P86
弁膜症診断におけるリアルタイム経食道心エコー図の有用性
榊原記念病院 循環器内科
川久保幸紀、渡辺 弘之、相川 大、黒澤 幸嗣、三原 裕嗣、井上 完起、高見澤 格、関 敦、桃原 哲也、井口 信雄、
長山 雅俊、浅野 竜太、高山 守正、梅村 純、住吉 徹哉
【背景】心エコー図は弁膜症の解剖学的異常と血行動態を非侵襲的に評価できるため、広く臨床的に用いられている。特に経食道心エコー図は、
良好な画質で解剖学的な異常を的確に描出できるため、手術を前提とした症例で診断的価値が高い。近年、リアルタイム 3 次元心エコー図の臨
床応用が可能になった。本法は大動脈弁や僧帽弁などをリアルタイムで立体的に把握することが期待されている。
【方法】我々は、本法の臨床的
有用性について検討するため、この新しい経食道心エコー図を用いて心臓弁膜症を持つ連続 43 症例(大動脈弁 29 症例、僧帽弁 30 症例)の三次
元画像を記録し、feasibility 及び image quality 等について検討した。Image quality は good, fair, poor に分けて検討を行った。
【結果】大動脈弁
の feasibility は 86%(25/29)
、画質は Good 32%(8/25)
、Fair 44%(11/25)
、Poor 24%(6/25)であり、僧帽弁は feasibility 90%(27/30)
、画質
は Good 59%(16/27)
、Fair 30%(8/27)
、Poor 11%(3/27)であった。また、疾患別にみると、大動脈弁は AS で特に画質が Poor となりやすかっ
た。
【結論】大動脈弁は僧帽弁と比較し経食道心エコ−図の特性からも良好な画質を得るのがやや難しい。しかし、ノイズや Shadow を可能な限
り避けた画像の描出を心がけ、Gain や Compression の調節を駆使し画質の向上に努めることが重要であり、さらに精度の良い検査法となる可
能性がある。
P87
Experience with the New High Frequency X7-2 Matrix-Array Real-time Three-dimensional
Echocardiographic Probe in Children
Department of Pediatrics Division of Pediatric Cardiology Stollery Children's Hospital University of Alberta
稲毛 章郎、高橋 健、Jeffrey F. Smallhorn
Objectives: To assess the application of a new Philips X7-2 Matrix-Array real-time three-dimensional echocardiographic probe for the
evaluation of data sets in children.Methods: From February 2007 we performed transthoracic real-time three-dimensional echocardiography
(RT3DE)full volume examinations 298 times for 216 patients with a medium age of 2.6 years(0 day - 13 years). As well, 2D biplane
(X-plane)assessment using the Matrix probe and standard 2D studies were performed. The main reasons for the examination were
assessment of atrioventricular(AV)valve pathology and other complex intracardiac abnormalities. Results: X-plane imaging was a valuable
adjunct to the RT3DE and provided rapid acquisition of multiple 2D images from a single transducer location. From the same site the
RT3DE data sets provided new and unique images of the intracardiac anatomy. The data sets were rapidly reconstructed online providing
multiple imaging slices and enface views. Atrial and systemic venous anatomy and complex intracardiac morphology were readily evaluated
by RT3DE. This technique provided new and important views in cases with abnormalities of ventriculoarterial connection. For AV valve
abnormalities RT3DE provided superior data to 2D study. Conclusion: We demonstrated that full volume RT3DE is feasible in neonates
andchildren, and provides new and important detail in patients.
̶ 154 ̶
P88
2D speckle tracking 法による僧帽弁輪速度の評価
産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科
春木 伸彦、竹内 正明、中井 博美、岡松 恭子、尾辻 豊
【目的】従来の組織ドプラ法(TDI)と比較し
【背景】2D speckle tracking 法(2DSTE)では、心筋のみならず僧帽弁輪の tracking も可能である。
2DSTE より測定した僧帽弁輪速度の正確性を評価すること。
【方法】対象患者 169 人の心尖四腔像から、
2DSTE software(QLab, Speckle SQ, Phillips)を用いて心周期にわたり僧帽弁輪を texture tracking した
後、中隔(IVS)及び側壁(LAT)に関心領域を置き、弁輪速度(SPW-S', E', A')を測定した。
【結果】TDI
と比し、SPW の値は S'、E'、A' すべて有意に低かった。しかし IVS、LAT ともに両者間に有意な相関を
認め、特に E' と E'-SPW の間に強い相関を認めた(r=0.89, 0.85, p < 0.0001)
。また IVS の E/E'-SPW > 26
および LAT の E/E'-SPW > 13 を cut off 値とすると、それぞれ感度 83、94%、特異度 97、92%、正診率
94、93%で E/E'-IVS > 15 および E/E'-LAT > 10 を予測できた。
【結語】2DSTE による僧帽弁輪速度は、
従来の TDI と有意に相関し、左室充満圧予測に使用できると考えられた。
P89
多発性血栓を形成した肝細胞癌患者における右心耳内血栓に対して血栓溶解療法を施行した一例
1
福島県立医科大学附属病院 検査部、2 福島県立医科大学 臨床検査医学 / 第一内科、3 福島県立医科大学 第一内科
堀越 裕子 1、高野 真澄 2、佐久間信子 1、佐藤ゆかり 1、二瓶 陽子 1、水上 浩行 3、及川 雅啓 3、神山 美之 3、小林 淳 3、
杉本 浩一 3、大杉 拓 3、国井 浩行 3、斉藤 修一 3、石橋 敏幸 3
【症例】72 歳男性【既往歴】肝細胞癌(動注化学療法)
【現病歴】71 歳より慢性心房細動を指摘され、抗凝固療法中であった。平成 19 年 6 月上旬、
左下肢の冷感及び疼痛を自覚し、当院救急外来受診。左大腿動脈血栓塞栓症の診断にて当院心臓血管外科にて緊急血栓除去術を施行された。術
後経過は良好であったが、D- ダイマーは持続高値を示し、心内血栓の精査目的に心エコー検査を施行した。経食道および体表面心エコーにて、
左房・右房の拡大ともやもやエコーを認めたが、左心耳内血栓および卵円孔開存は認めなかった。しかし、右心耳から右房内へ突出する長径
2cm の可動性に富む腫瘤を認め、右心耳内血栓と診断、加療目的に入院となる。
【入院後経過】肺血流シンチグラフィーにて明らかな欠損像は認
めず。下肢血管エコーにて右膝下静脈に血栓の存在が疑われた。全身状態および右心耳内血栓の大きさから、
開心術による血栓除去術は選択せず、
血栓溶解療法の適応と考えた。血栓溶解療法にて肺血栓塞栓症などの合併症の出現無く、右心耳内血栓は消失した。
【考案】多発性血栓を形成
した肝細胞癌患者における右心耳内血栓に対して血栓溶解療法を施行した一例を経験した。悪性腫瘍を基礎疾患に有する患者は、血栓塞栓症の
高リスク群であるとされる。本例は心房細動・心房拡大による血流うっ滞に加え、基礎疾患による凝固能亢進が多発性血栓形成を来したと考え
られた。厳密な抗凝固療法に加え、左心系のみならず、右心系を含めた全身の血栓塞栓源の検索が必要と考えられた。
P90
解離性大動脈瘤に合併した重症大動脈弁閉鎖不全症のため意識障害を生じた一例
神戸市立医療センター中央市民病院
北井 豪、田辺 一明、安 珍守、金 基泰、山根 崇史、江原 夏彦、尾田 知之、片山美奈子、民田 浩一、加地修一郎、
山室 淳、谷 知子、古川 裕、盛岡 茂文、木原 康樹
【症例】74 歳女性。
【既往歴】高血圧、2004 年僧帽弁閉鎖不全症に対し僧帽弁形成術施行。
【現病歴】2007 年 6 月末に突然の胸背部痛を自覚したが、
暫く放置していた。しかし次第に呼吸困難が進行するため 7 月 4 日近医を受診した。重症大動脈弁逆流(AR)によるうっ血性心不全と診断され、
冠動脈造影後当院に転送され緊急入院となる。来院時、経胸壁心エコー図にて上行大動脈に偽腔の開存した 7.5cm の解離性大動脈瘤を認め、重
症 AR を合併していた。偽腔は 3 分枝直前でリエントリーしており、頭蓋内血管への解離の波及は認めなかったが、意識レベルの変動が認めら
れた。頭部 CT や脳波では意識障害の原因となる病変はなく、頚動脈エコー図では両側椎骨動脈に拡張期逆流波を認めた。また、脳血流シンチ
は汎血流低下を示した。解離性大動脈瘤および重症 AR に対し、Bentall 手術を施行したところ、意識状態は正常化し頚動脈エコー図での血流波
形および脳血流シンチの所見も改善した。
【結語】重症 AR が頭蓋内血流低下と意識障害の原因と考えられたので、文献的考察を加えて報告する。
̶ 155 ̶
P91
心室中隔瘤様の自然閉鎖を示す筋性部心室中隔欠損症の一例
1
JR 東京総合病院 循環器内科、2JR 東京総合病院 臨床検査科、3 東京大学医学部付属病院 検査部
浅川 雅子 1、桐谷 博巳 2、佐藤 倫彦 1、碓井 伸一 1、杉下 和郎 1、高橋 利之 1、竹中 克 3
症例は 22 歳男性。出生時日齢 9 に頻呼吸となり、心尖部の大きな筋性部心室中隔欠損(VSD)を指摘、high flow PH となり、NICU 入室、強心薬、
人工呼吸器管理ののち、月齢 6 内科治療のみで退院となり、経過観察されていた。1990 年短絡は右室肉柱により閉鎖し、憩室状になったとされ
ていた。2007 年就職に伴い当院へ転院となった。当科初診時、胸骨左縁第 5 肋間に Levine III の収縮期雑音を聴取、VSD 精査目的に心エコー
を施行した。心エコーでは、左室収縮能、左室径は正常で、推定右室圧は 24mmHg と上昇なし。心室中隔心尖部寄りに 12mm の多孔性筋性部
VSD を認めた。欠損口の右室側は、右室の肉柱組織が密集することにより、欠損口から連続する瘤状の腔を形成しているようにみえた。カラー
ドプラーでは左室と瘤状構造は交通を認めたが、瘤状構造と右室内腔の間には血流シグナルは認めなかった。また両室ともに心尖部における肉
柱が発達していた。右室肉柱により VSD 短絡は閉鎖されている状態と判断した。考察:VSD の自然閉鎖は筋性部に多いが、瘤形成は膜性部
VSD の自然閉鎖に多い。発生学上、心筋の緻密化障害と欠損口の関連が示唆されており、本症例は現時点での心機能は正常だが、緻密化障害
であれば今後経過観察が重要と考えられる。12mm の大きな筋性部 VSD であったが、経過中に右室の肉柱により、血行動態上は自然閉鎖して
いる極めて稀な症例と考え、報告した。
P92
リアルタイム 3D 経食道心エコーで得られる円周方向の情報
1
東京大学附属病院、2 フィリップスメディカルシステムズ
海老原 文 1、竹中 克 1、宇野 漢成 1、佐々木賀津乃 1、千明 真弓 1、岡野 智子 1、許 俊鋭 1、小野 稔 1、池嶋 弘晃 2、
園田 誠 1、矢冨 裕 1
【目的】経食道心エコー(TEE)は僧帽弁疾患の診断に重要な役割を果たしている。今回リアルタイム(RT)3D TEE が特に診断に役立った症例
を経験したので報告する。
【症例 1】47 歳男性。僧帽弁逆流と診断され、経胸壁心エコーと 2D TEE では、僧帽弁前尖の A2 に腱索断裂を伴う逸
脱と後尖の P2 と P3 の逸脱が認められた。RT 3D TEE では、僧帽弁の en face live view にて、上記の所見に加え後尖の交連部の逸脱も確認で
きた。更に遠近表示により逸脱の程度が判明し、逆流口の全貌も描出された。これらの情報を基に複数の腱索再建を含めた手術の計画を立て、
弁形成術が成功裏に施行された。
【症例 2】1996 年に僧帽弁置換術(生体弁 CE29)施行の 92 歳男性。労作時の息切れ増強と亜急性置換弁心内膜
炎を疑わせる CRP の軽度上昇を認めた。2D TEE では僧帽弁位置換弁の中等度逆流を伴う逸脱と弁座に可動性の糸状構造物を認め、疣贅が疑
われた。RT3D TEE による左房側からの en face view で弁輪に 10 個ほどの同様の糸状構造物がほぼ等間隔で認められ、2D TEE で疣贅を疑わ
れた構造物は縫合糸であると同定できた。
【結論】従来の 2D TEE は、僧帽弁輪の円周方向の情報はクリスタルを回転して二次元画像を複数取
得することにより、推察していたが、その推察は正確なものではない。RT3D TEE は、僧帽弁輪の円周方向の情報、すなわち僧帽弁逸脱病変の
広がりや縫合糸の間隔などを、2D TEE に比べて、はるかに正確に描出することが可能で、その臨床的意義は大きい。この利点は、経食道アプロー
チと遠近表示方法の良さとに負うところが大きい。
P93
心エコーで偶然見つかった、多発性肺塞栓症を伴うペースメーカーリード血栓症の一例
1
国立病院機構大阪医療センター 循環器科、2 国立病院機構 大阪医療センター 心臓血管外科
佐々木典子 1、廣岡 慶治 1、安村 良男 1、石坂 透 2、高橋 俊樹 2
症例は 63 才、
男性。58 才時に失神を繰り返し、
高度房室ブロックに対しペースメーカー(DDD モード)を植え込まれていた。61 才に心エコー上、
大動脈弁狭窄症(AVA0.91cm2)を指摘されていた。2007 年 7 月労作時胸痛を認めるようになり、心エコーで大動脈弁狭窄の進行(AVA0.48cm2、
経大動脈弁最大圧較差 106mmHg)と同時に右房内リードに付着する、可動性のある mass(約 10mm 大)を認めた。コントロール不良の糖尿病
(HbA1c 9.2%)を合併していたが、感染徴候は無く、血液培養陰性だった。血液凝固能異常も認めず、上大静脈症候群も認めなかったが、肺
血流シンチ上多発性塞栓を認めたため、mass の原因として血栓を疑った。後日施行した大動脈弁置換術施行時に、mass を摘出し血栓であると
診断できた。血栓は右房内リード屈曲部のみならず右心耳内リードにも付着していた。大動脈弁狭窄症のために肺塞栓の症状が前面に出にくく、
血栓の術前診断が困難で、かつ右房内に孤立して血栓様エコー像を検出できた珍しい症例を経験したので報告する。静脈造影などで検出される
無症状のリード血栓症の報告も多いが、本症例のように右房内に孤立性の血栓像を検出できることもあり、ペースメーカー、ICD などの植え込
み後は定期的な心エコーによる慎重なモニタリングが望ましい。
̶ 156 ̶
P94
大動脈弁置換後に、心嚢内血腫と収縮性心膜炎を合併した一例
1
広島大学大学院 分子病態制御内科学、2 広島大学大学院 心臓血管生理学、3 広島大学大学院 循環器内科、
広島大学大学院 医歯薬学総合研究科展開医科学専攻病態制御医科学講座外科学
上田 茂之 1、日高 貴之 1、西岡 健司 1、中野由紀子 1、寺川 宏樹 1、石田 隆史 1、東 幸仁 2、大島 哲也 3、木原 康樹 3、
高橋 信也 4、今井 克彦 4、渡橋 和政 4、末田泰二郎 4
4
症例は 83 歳女性。平成 18 年 5 月、当院心臓血管外科にて大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術施行された。術後経過は良好であったが、同
年 11 月中旬より動悸、胸部苦悶感を自覚するようになり、当科を受診した。来院時施行された胸部 CT、心エコーにて、左室背側心嚢内に 47
× 55mm 大の血腫と、血腫による左室の圧排を認めた。左房径 = 54 mm、E/A= 1.5、E'=7.59 cm/s、E/E'=10.8 であった。スワンガンツカテー
テルの値は、肺静脈楔入圧 =42 mmHg、PA 圧 = 45/30 mmHg、右室圧 = 47/20 mmHg、右房圧 =25 mmHg であった。RV 圧波形での dip
and plateau は明らかでなかった。胸部 CT では心膜の厚みは 3 mm であった。血栓の増大に伴い症状の増悪を認めたため血腫除去術を施行した。
術中、心膜の癒着を認めた。術後 2 週間目施行した心エコーでは左房径は減少し、E/A= 1.1、E'=5.2 cm/s、E/E'=18.6 であった。さらに左室、
右室への拡張期流入波の呼吸性変動のパターンは収縮性心外膜炎に一致するものであった。今回我々は、血腫が原因と考えられる心不全で入院
し、血腫を除去したがエコー所見に改善を認めず、収縮性心外膜炎の合併が示唆された症例を経験したので、報告する。
P95
心室中隔穿孔パッチ閉鎖部にさまざまな腫瘤エコーの出現を繰り返す一例
1
埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科、2 埼玉医科大学国際医療センター 心臓病センター
小川 晴美 1、松村 誠 1、茆原 るり 1、数野 直美 2
症例は 71 歳男性である。2005 年 5 月に右冠動脈の心筋梗塞で心室中隔穿孔を発症し、当院でパッチ閉鎖を施行した。その後は、心不全等なく
外来通院していた。2007 年 7 月 11 月に心室頻拍で当院入院し、陳旧性心筋梗塞による低左心機能もあり、両心室ペーシング付き植込み型除細
動器の植え込みを予定していた。術前に胸部 MRI を施行したところ、右室内に心室中隔に付着する腫瘤を認めた。経食道心エコーを施行し、
右室内に 13x9mm 大の内部低エコーの腫瘤を認めた。血栓を疑い、ヘパリン、ワーファリンの投与を行ったが、腫瘤の大きさは変わらず、腫瘍
も疑われ、塞栓症の可能性もあり、8 月 16 日当院で腫瘍摘出術を施行した。病理ではほとんどが赤血球とフィブリン塊であり、悪性所見は見ら
れなかった。術後は右室内の腫瘤は消失したが、8 月 29 日の経胸壁心エコーで再び 12x6mm 大の腫瘤を認めた。9 月 19 日、PCPS 準備、心臓
外科医待機下で両心室ペーシング付き植込み型除細動器の植え込みを施行した。術中術後に腫瘤による塞栓症はなかったものの、感染、後腹膜
出血、心不全を合併し、10 月 14 日より集中治療管理となった。また、11 月 25 日頃より再度発熱がみられ、11 月 26 日の心エコーでは右室内の
腫瘤は 25x12mm 大と増大していた。血液培養では MRSA を認め、MRSA による感染性心内膜炎に準じ、ビクシリン、バンコマイシンの点滴
開始ししたが、炎症反応改善傾向みられず、パズクロスの投与を併用した。抗生剤 3 剤投与にて感染コントロールを行い、心不全安定後に再度
手術を予定している。
P96
冠動脈穿孔後に生じたエコーフリースペースの鑑別にコントラストエコーが有用であった一例
1
大阪労災病院 循環器科、2 大阪労災病院 生理機能検査部 心臓超音波室
橋本 光人 1、西野 雅巳 1、原 正彦 1、中谷 晋平 1、山上 喜由 1、加藤 弘康 1、江神 康之 1、習田 龍 1、山口 仁史 1、
田中健二郎 1、田内 潤 1、山田 義夫 1、藤田 晋一 2、正木 友二 2、古川美奈子 2
症例は 78 歳女性。他院にて、右冠動脈遠位部・左前下行枝近位部に 5 ヵ月前に留置したステントの評価のため、2007 年 7 月 11 日に冠動脈造影
を行ったところ、ステント内再狭窄を認めた。同日右冠動脈病変に経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行、続いて 7 月 19 日、左冠動脈病変につき
PCI を施行された。最終造影上、左前下行枝末梢に造影剤の血管外漏出(冠動脈穿孔)を認めたが、pooling は認めず、心エコー図上も心嚢液貯
留を認めなかったことから、経過観察の方針とされた。血行動態は安定していたが、術翌日の朝、心エコー上心嚢液貯留を認めた。ワイヤーに
よる冠動脈穿孔が疑われ、心臓血管外科の対応可能な当院へ同日搬送された。同日経胸壁心エコー検査を施行。右室前壁側優位に心嚢液貯留を
認め、一部高輝度を呈し、凝固過程にあるものと考えられた。他、心尖部にエコーフリースペースを認めた。この時点で、同部位に血流があれば、
さらなる処置が必要となる可能性があったため、ドプラにて評価を行ったが、血流シグナルは認められなかった。これに加えて、woozing 等を
否定するために、レボビストによるコントラストエコーを施行したところ、エコーフリースペース内は染影されず、同部位への血流は完全に否
定された。7 月 23 日経胸壁心エコーにて再度評価したところ、心嚢液は減少しており、心尖部のエコーフリースペースは不変であった。7 月 24
日冠動脈 CT にて評価したところ、心尖部のエコーフリースペースは CT 値より、凝固過程にある血腫と推測された。血行動態は安定しており、
7 月 26 日前医に転院された。エコーフリースペースの鑑別および治療方針の決定にコントラストエコーが有用であったため、報告する。
̶ 157 ̶
P97
リアルタイム 3D 経食道心エコー法が術前術後の僧帽弁の形態評価に有用であった僧帽弁狭窄症の一例
1
鹿児島大学大学院 循環器呼吸器代謝内科学、2 鹿児島大学病院 心臓血管外科、3 鹿児島大学大学院 保健学科、4 鹿児島大学病院 検査部
仲敷 健一 1、吉福 士郎 1、桑原 栄嗣 1、植村健一 仲敷 1、高崎 州亜 1、窪田佳代子 1、河野美穂子 1、水上 尚子 4、木佐貫 彰 3、
上野 隆幸 2、坂田 隆造 2、鄭 忠和 1
【症例】65 才、男性。
【主訴】労作時息切れ。
【現病歴】平成 18 年 7 月初めて心房細動・僧帽弁狭窄症(MS)を指摘。労作時の息切れが強くなり、
平成 19 年 5 月 MS の精査目的で入院。
【経過】経胸壁心エコー(TTE)及び Phillips 社製
のリアルタイム 3D 経食道心エコー(RT3D-TEE)を施行。TTE 所見は僧帽弁口面積
1.0cm2、僧帽弁通過血流は 2.2m/s(平均圧較差 5.3mmHg)と中等度の MS。RT3D-TEE
の所見では前交連側の僧帽弁前尖および後尖の肥厚癒着が強く、全く開放していない像
が詳細に評価できた(図左)
。僧帽弁の術中所見は術前の RT3D-TEE とほぼ一致した所
見で、僧帽弁置換術ではなく、弁尖の癒合石灰化していた部位を除石灰しながら前交連
まで切開したのち Carpentier Physio ring 32mm を追加する僧帽弁形成術を施行。術後
約 1 週間目の RT3D-TEE 所見は前交連側の僧帽弁前尖および後尖は可動が良好で、弁口
は 1.6cm2 まで拡大していた(図右)
。
【結語】RT3D-TEE を用いることで MS における弁
の肥厚癒着、弁口部の状態を詳細に評価でき、僧帽弁の術前術後評価として有用である
ことが示唆された。
P98
不均一な三尖弁テザリングを示した重症三尖弁閉鎖不全症の一例
北里大学 医学部 循環器内科学
成毛 崇、猪又 孝元、小板橋俊美、大坂 勤、品川 弥人、西井 基継、竹内 一郎、竹端 均、和泉 徹
症例は 56 歳女性。3 年前に弧発性三尖弁閉鎖不全症と診断され、徐々に右心不全徴候が増悪。右室の拡大と収縮能低下、弁輪拡大とともに三
尖弁のテザリングを認め、特に中隔尖の一部が際だって右室内に牽引され、同部の弁尖
が乖離し高度逆流を生じしめていた。1 年後にはさらに左室の収縮能低下が露見し、薬
物療法とともに三尖弁形成術を施行したが、心不全コントロール不良にて死亡した。術
時検討では、三尖弁自体の変形や破壊は見られず、両室の心筋生検では高度な心筋障害
像を認めた。三尖弁閉鎖不全症の多くは肺高血圧に伴う機能性病態に基づく。一方、弁
および弁下組織の構造異常でも三尖弁逆流は起こりえるが、右室容量負荷が結果として
さらに機能性三尖弁逆流を助長させることにより、先駆病態の把握が困難となる。本例
では両室にわたる心筋病変が急速な進行を呈し、先駆病態を心筋疾患に求めるべきだが、
このような機能性病態が不均一な三尖弁テザリングを来すかは不明である。
P99
外傷性大動脈弁裂開による大動脈弁閉鎖不全症の一例
1
手稲渓仁会病院 臨床検査部、2 手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科
越前谷美和 1、中島 朋宏 1、山口 翔子 1、高橋 亜樹 1、矢戸 里美 1、工藤 朋子 1、石川 嗣峰 1、林 健太郎 2、渡辺 大基 2、
村上 弘則 2
【症例】66 歳男性。2007 年 2 月、歩行中、自動車に追突され当院救急部に搬送される。来院時意識レベル JCS1-2、血圧 133/57mmHg、脈拍
104/ 分、左側頭部前後方向に 10cm の裂創と出血、外傷性くも膜下出血、右肺挫傷を認めた。腹部、骨盤レントゲン写真に明らかな異常所見は
なかった。くも膜下出血に対し緊急手術施行、右肺挫傷は保存的に経過観察となった。外科入院加療中の同年 4 月、呼吸苦、喘鳴出現し経胸壁
心エコーを施行したところ、多量の大動脈弁逆流(AR)とそれに伴う心不全の所見を認めたため、循環器内科に転科となった。同日施行した経
食道心エコーにて大動脈弁無冠尖(NCC)の逸脱または裂開による外傷性 AR と考えられた。心不全のコントロール後、大動脈弁置換術を施行
した。術中所見で大動脈弁自体に外見上器質的異常は明らかではなく、NCC と右冠尖の交連部が大動脈壁から裂開し、NCC が左室側に落ち込
んでいた。事故時の鈍的圧迫による弁損傷と考えられた。病理所見では zona fibrosa の硝子化、zona spongiosa の粘液変性を認めた。
【結語】大
動脈弁粘液変性を基礎に有する患者が交通外傷による鈍的圧迫により、大動脈弁の裂開をおこして重症 AR が出現し、心不全を発症した。外傷
性大動脈弁裂開は非常に稀な病態と考えられたので報告した。
̶ 158 ̶
P100
特発性右房拡張症の一例
1
徳島県立中央病院 検査技術科、2 徳島県立中央病院 循環器科
一宮 千代 1、小坂 悦子 1、宇佐美 実 1、原田 顕治 2
右心不全を契機に診断された特発性右房拡張症の稀な一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は 58 歳女性.主訴は全
身浮腫,呼吸困難 .2007 年 6 月頃より労昨時呼吸困難感が出現.また全身浮腫も出現し徐々に増悪傾向にあった.7 月 24 日頃より呼吸困難が強
くなり,救急車にて当院救命救急センターに搬送された.来院時の心電図は 2:1 の心房粗動で,多源性の心室性期外収縮も認めた.心臓超音波
検査では,左室および右室の収縮力は保たれていたが,右心系の拡大を認め,特に右房は他の心腔と比べ不均衡に著明に拡大していた.また接
合不全による高度の三尖弁逆流を認めたが,肺高血圧を示唆する所見や Ebstein 奇形は認められなかった.さらに経食道心エコ−検査でも心房
レベルにおける明らかなシャントは認められなかった.入院第 14 病日に心臓カテーテル検査を施行した.冠動脈に有意狭窄はなく,心内圧測定
でも左室および右室拡張末期圧の上昇や右房圧の上昇は認められなかった.右心不全をきたす疾患を鑑別したが,肺高血圧さらに右房圧の上昇
が無いこと,右室機能が保たれていること,右房が不均衡に大きいことなどから,特発性右房拡張症と診断した.利尿剤を中心とした薬物治療
にて右心不全症状は改善し,第 39 病日に退院された.特発性右房拡張症は稀な先天性心疾患とされるが,著明な右房拡大を伴う右心不全例では,
本疾患を念頭に置く必要があると考えられた.
P101
心筋梗塞後の心尖部血栓溶解の経過観察ができた 1 症例
1
藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 超音波センター、2 藤田保健衛生大学短期大学 医療情報技術科、3 藤田保健衛生大学 循環器内科
中野由紀子 1、岩瀬 正嗣 2、梶原 克祐 1、杉本 邦彦 1、加藤 美穂 1、犬塚 斉 1、山田 晶 3、庄司 啓介 3、松山 裕宇 3、
石井 潤一 3、菱田 仁志 3、尾崎 行男 3
【はじめに】心筋梗塞後の心尖部血栓溶解の経過観察ができた症例を報告する。
【症例】51 歳、男性【既往歴・家族歴】特記事項なし【現病歴】平
成 19 年 7 月 30 日、中国天津旅行中、急性前壁中隔心筋梗塞を発症したが、PCI は施行されていなかった。状態安定したため平成 19 年 8 月 23
日退院し帰国した。平成 19 年 8 月 29 日に経過観察目的で当院外来を受診し、心エコー図検査にて前壁中隔の心筋梗塞を認め、心尖部では壁の
菲薄化およびエコー輝度の上昇を認め、心室瘤を形成していた。また、瘤内に可動性のある血栓が発見されて緊急入院となった。ワーファリン
とヘパリンで治療を開始した。冠動脈造影 CT で LAD、#7 に有意狭窄を認め、心筋血流および脂肪酸代謝シンチグラフィでは前壁中隔心尖部
に心筋梗塞所見を認めた。
【心エコー図検査での経過観察】平成 19 年 8 月 29 日;血栓の大きさは 2.29 × 1.65cm、LV-EF34%、8 月 31 日:2.20
× 1.60cm、LV-EF40%、9 月 6 日:1.80 × 1.13cm、LV-EF43%と心尖部血栓の縮小を認めたが、LV-EF の明らかな改善は認められなかった。9
月 13 日の時点で LV-EF の改善は認めなかったが、心尖部血栓はほぼ消失し退院となった。なお、心エコー図検査および心筋シンチグラフィの
所見より今回の責任病変には心筋 viability は無いものと判断し、
PCI は施行されていない。11 月 12 日の外来受診時でも血栓は認めなかった。
【ま
とめ】心尖部血栓溶解の経過観察に心エコー図検査が有用であった症例を経験したので報告した。
P102
重症僧帽弁逆流の術前評価に経食道リアルタイム 3 次元心エコー図が有用であった一例
1
神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部、2 神戸市立医療センター 中央市民病院 循環器内科、
神戸市立医療センター 中央市民病院 心臓血管外科
紺田 利子 1、田辺 一明 2、八木登志員 1、藤井 洋子 1、谷 知子 2、盛岡 茂文 2、古川 裕 2、小津 泰久 3、那須 通寛 3、
岡田 行功 3
3
〔症例〕29 歳、女性。
〔主訴〕動悸。
〔既往歴〕20 歳頃僧帽弁逆流を指摘された。
〔現病歴〕最近動悸を感じ、近医で重症僧帽弁逆流を指摘されて
2007 年 12 月手術目的で当院入院となった。
〔経過〕術前の経胸壁心エコー図検査では、僧帽弁前尖にクレ
フトを認め、クレフト部から重症逆流を認めた。経食道心エコー図検査(Philips 社 iE33)によるリアルタ
イム 3 次元心エコー図でクレフトの位置を正確に同定し、逆流はクレフト部と前尖、後尖接合部中央から
と診断できた。他に合併する病変は否定できた。2007 年 12 月 11 日僧帽弁形成術が行われ、リアルタイ
ム 3 次元心エコー画像の情報をもとに手術は右側左房切開後、自己心膜をクレフト部に縫着する方法が選
択された。心膜には後尖の rough zone chorda が一本移植された。逆流テスト確認後、Duran Partial
Ring25mm を縫着した。術後の経過は良好であった。
〔結語〕重症僧帽弁逆流の術前評価に経食道リアル
タイム 3 次元心エコー図検査が有用であった。
̶ 159 ̶
P103
感染性心内膜炎から発生した左室仮性瘤の一例
1
神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部、2 神戸市立医療センター 中央市民病院 循環器内科、
神戸市立医療センター 中央市民病院 心臓血管外科
藤井 洋子 1、田辺 一明 2、八木登志員 1、紺田 利子 1、谷 知子 2、盛岡 茂文 2、古川 裕 2、岡田 行功 3
3
症例:71 歳 女性.主訴:発熱 倦怠感.既往歴:2005 年 8 月、閉塞性肥大型心筋症による心不全にて当院入院.感染性心内膜炎の合併もあ
り僧帽弁に疣腫を認め、血液培養にて Streptococcus sangus が検出された.抗生物質にて疣腫は消失し、
退院後は近医にてフォローアップされていた.現病歴:2007 年 10 月、発熱、CRP 上昇、感染性心内膜炎
が疑われ当院紹介.心エコー所見:僧帽弁輪部下壁側に突出する径 3 ∼ 4cm の瘤構造を認めた.左室壁
運動は正常、心尖部二腔断面にて後交連側弁輪が左室側で解離し交通口を形成、仮性心室瘤と判断した.
僧帽弁後尖(P3)逸脱、重症の僧帽弁逆流を認めた.術中所見:僧帽弁後交連側弁輪が破壊され 3 ∼ 4cm
の広さで解離し、弁葉とともに左房側に膨隆、膿瘍を形成、内部は血栓化していた.弁輪部を自己心膜で
再建し、人工弁置換を行った.結語:感染性心内膜炎による仮性心室瘤を経験した.診断に心エコーが有
用であった.
P104
心エコー図にて鑑別診断が困難であった三尖弁中隔尖に付着する石灰化病変の 1 例
1
獨協医科大学越谷病院 臨床検査部、2 獨協医科大学越谷病院 循環器内科
佐々木伸二 1、小林さゆき 2、市原美知子 2、薬袋 路子 2、善利 博子 2、佐藤 衣代 2、酒井 良彦 2、高柳 寛 2、池邊 麻衣 1、
白沢 吏加 1、飯島 忍 1、小沼 善明 1、瀧沢 義教 1、中島あつ子 1、柴崎 光衛 1、春木 宏介 1
【症例】68 歳男性【既往歴】平成 4 年、S 状結腸癌で外科的切除。
【現病歴】平成 19 年 10 月、高脂血症にて近医を受診。心臓スクリーニング目的
に心エコー図を施行したところ、三尖弁中隔尖に付着する約 1cm 大の腫瘍が認められ、加療目的で同年 12 月に当院心臓血管外科に入院となった。
【現症】身長 165cm、体重 59kg、体温 36.5℃、血圧 136/78mmHg、脈拍 58/ 分 整、胸部聴診上心雑音なし、肺野にも異常所見認めず、下腿浮
腫なし。
【検査所見】胸部 X 線:心胸郭比 40%。心電図:洞調律、心拍数 60/ 分。心エコー図検査にて、三尖弁中隔尖の右房側に心周期に伴い
右房右室間を移動する 13 × 12mm 大の腫瘤様エコーを認めた。腫瘤様エコーの輝度は低く、内部が不均一で、心周期に伴い辺縁が不整であった。
【手術所見】右房側の三尖弁中隔尖に付着する 14 × 8mm 大の腫瘍を認めたが無茎性であった。
【病理所見】組織学的には石灰化、多数の硝子化
した組織内に泡沫細胞様像を一部に認めるだけで腫瘍性細胞の増殖は認められなかった。Congo − red 染色によるアミロイド鑑別は陰性であっ
た。
【考察】本症例は臨床経過や血液データ上より、感染および易血栓性は否定的であった。また心エコー図検査上、石灰化病変を示唆する高輝
度エコーは心内腔には認めず、形態および性状より腫瘍性病変を強く疑った。我々が調べた限りでは過去の報告で同様の症例はなく、心エコー
図での鑑別診断上興味深い症例と考えられた。
P105
長期間無症候性に経過していたバルサルバ洞瘤破裂に感染性心内膜炎を繰り返した一例
1
大阪府済生会野江病院 検査科、2 大阪府済生会野江病院 循環器科、3 大阪市立大学院 心臓血管外科、
大阪市立大学院 循環器病態内科学
山本 将司 1、山崎 正之 1、北川 直美 1、越知 博之 1、岡 洋子 1、大橋 康広 1、水野 博之 2、武 俊介 2、細野 光治 3、
穂積 健之 4
4
症例は 40 歳代女性。10 歳の時に心臓カテーテル検査で短絡疾患を指摘され、35 歳出産時にも短絡疾患を指摘されている。今まで胸痛や呼吸困
難等の自覚症状はなく経過してきた。2005 年 4 月から発熱を自覚し近医受診したが解熱せず、翌月に当院を紹介受診された。血液培養でα - 溶
連菌が検出され、感染性心内膜炎(IE)の疑いで精査加療目的にて入院となった。聴診上、Levin3/6 の連続性雑音を聴取した。血液検査では好
中球優位の白血球増加と CRP が 6.6 と炎症所見を認めた。経胸壁心エコー図では、右冠尖バルサルバ洞の一部が右室側に嚢状突出し、大動脈̶
右室短絡血流が疑われ、Qp/Qs は 2.4 であった。嚢状部位の先端には 1cm 未満の異常エコーが疑われた。経食道エコー図を施行した結果、右
冠尖バルサルバ洞瘤の破裂による大動脈̶右室短絡血流、および同部上に疣贅を伴っていると診断された。入院後、IE の診断にて抗生剤治療に
て軽快した。手術も考慮されたが、希望されず退院となった。翌年 8 月に再び発熱し、当院を再受診された。血液培養にてα - 溶連菌が検出され、
IE 再発の診断で再入院となった。今回も抗生剤治療で軽快したが、IE の再発例であり、バルサルバ洞瘤破裂部修復術が施行された。本例は、
長期間無症候性に経過していたが IE を繰り返し手術施行となったな症例で、その診断に心エコー図が有用であった。
̶ 160 ̶
P106
急性心筋梗塞後自由壁破裂で待機的に手術が行えた一例
1
富永病院 検査科、2 富永病院 心臓病センター 循環器科、3 富永病院 心臓病センター 心臓血管外科
森田 伸幸 1、氏野 経士 2、湊 麻以 1、三宅 淳平 1、宮本由紀子 1、一井 重男 1、坂井 陽祐 2、柚木 知之 3、片岡 一明 2、
南方 謙二 3
【症例】85 歳女性。
【既往歴】79 歳時大動脈弁置換術施行。
【現病歴と経過】平成 19 年 9 月 17 日急性心筋梗塞にて他院にて経皮的冠動脈形成術
を施行。9 月 19 日 CPK の再上昇を認め、心エコー図検査および CT にて左室自由壁破裂(心尖部下壁側)と診断。手術目的にて当院へ転院とな
る。入院時の心エコー図で LVDd/Ds40/25mm、EF43%、左室心尖部下壁の穿孔を認め、心嚢腔に仮性瘤を形成。カラードプラ法により左室−
仮性瘤間の交通を認めた。心タンポナーデは認めず、低拍出状態および多臓器不全のため、IABP および内科的治療を優先した。仮性瘤の経時
的変化は心尖部下壁から中部後側壁の方向へ徐々に拡大・多房化し、瘤内部に血栓を認めた。10 月 22 日左室瘤切除術(パッチ形成)を施行。術
後の心エコー図検査では LVDd/Ds41/20mm、EF57%、穿孔部にパッチを認め、瘤および心嚢液は認めず。その後順調に経過し、11 月 30 日他
院転院となる。
【考察】急性心筋梗塞後心破裂は極めて致死性の高い疾患であり、救命困難であることが多い。本症例では心エコー図検査により
破裂(穿孔)部位と仮性瘤の範囲の同定、心タンポナーデの所見がないと診断できた。待機的に手術を行えた理由として、破裂部位付近の心筋
と心外膜の癒着のため心嚢内で限局した仮性瘤を形成し、瘤の拡大が緩徐であったことが考えられる。以上、急性心筋梗塞後自由壁破裂で待機
的に手術が行えた貴重な症例を報告する。
P107
リアルタイム 3 次元経食道心エコー図で診断しえた高齢者の右心三心房心と心房中隔欠損を合併した一症例
1
府中病院 生理機能検査室、2 府中病院 循環器科
山口 良子 1、太田 剛弘 2、谷川 崇 1、宇多里恵子 1、金子みどり 1、酒井 正容 1、西山 祐善 2、岩田 真一 2、紙盛 公雄 2、
柳 志郎 2
右心系三心房心(Cor Triatriatum Dexter)は、右房が異常隔壁により下大静脈が還流する腔と本来の右房に 2 分され、時に右心の複合異常を
伴う稀な疾患である。胎生期右静脈洞弁の遺残物である Eustachian valve、Thebesian valve、Chiari net などの隔壁と考えられ下大静脈から心
房中隔に至る隔壁に孔を認める事が多い。短絡疾患の合併で症状が発現する。今回、心不全で入院した高齢者で右心三心房心と心房中隔欠損症
(ASD)を伴う症例を経験し報告する。
【症例】82 歳女性。主訴は呼吸困難。現病歴は心房細動、高血圧で近医通院していた。平成 19 年 11 月安
静時に胸苦しさ出現したため救急搬送となった。
【現症】意識:清明、血圧 124/84mmHg、脈拍 75/min 整、体温 37.1℃ SpO2 97% 心音:整、
4LSB に汎収縮期雑音聴取。呼吸音:ラ音(-)下腿浮腫(+)ECG:心房細動、ST 変化。胸部 X 線:左肺門に結節陰影【経過】心エコーで右心房
内に明瞭な隔壁が認められ、リアルタイム 3 次元経食道エコー(RT3DTEE)を施行したところ下大静脈から心房中隔に至る隔壁があり径 35mm
経の円型の孔を有する右心三心房心と考えられた。ASD(二次口)あり右室収縮期圧 46mmHg、Qp/Qs 2.0 と短絡量多く右心容量負荷による心
不全と診断した。酸素投与、利尿薬などで心不全は改善傾向を認め手術適応として外来通院となった。
【まとめ】稀な先天性異常である右房三心
房心の 3 次元診断が RT3DTEE により良好な画像で可能だった。RT3DTEE は現行 TEE とほぼ同じ手技により容易に施行可能で、リアルタイ
ムに 3 次元動画像が表示され、複雑な解剖学的異常を有する先天性疾患の診断治療に有用で、さらに弁膜症、異常構造物の検出などに適応があ
ると思われた。
P108
重複僧帽弁口を合併した心室中隔欠損症の 3 例
1
東京女子医科大学病院 中央検査部、2 同 循環器小児科、3 同 循環器内科
鶴田 義典 1、富松 宏文 2、横田 裕花 1、高橋奈菜子 1、高野 一成 1、網倉 由子 1、神田かおり 1、黒川 文夫 1、志和 清隆 1、
寺山 敏子 1、菊池 典子 1、椎名 哲彦 1、林 哲朗 1、石井 徹子 2、芦原 京美 3、石塚 尚子 3、中西 敏雄 2
【背景】重複僧帽弁口(DOMV)は稀な異常であるが、房室中隔欠損(AVSD)に合併する頻度が高いことはよく知られている。しかし、それ以外
の心疾患に合併したり、孤立性の DOMV についての報告は少ない。我々は VSD に合併した DOMV を 3 例経験したので報告する。
【症例 1】7
歳男児。VSD の疑いで紹介となり、9 か月時の心エコーにおいて、VSD,DOMV,軽度僧帽弁逆流(Mr)を認めた。僧帽弁狭窄(MS)の所見は
なかった。以後経過観察を行なっており、7 歳時の検査でも Mr は軽度であり進行はなく MS の出現もなかった。
【症例 2】6 歳男児。日令 3 より
心雑音を聴取し、10 か月時の心エコーにおいて、VSD,DOMV,軽度 Mr を認めた。MS は認めなかった。以後経過観察を行なっており、6 歳
時の検査でも Mr はごく軽度であり MS の出現はなかった。
【症例 3】6 か月女児。2 か月時 VSD の手術目的で入院。術前心エコーにおいて、
VSD,二次孔心房中隔欠損(ASD)
,DOMV,軽度 Mr を認めた。3 か月時に心内修復術を行ったが Mr は軽度であったため僧帽弁には処置を加
えなかった。術後も Mr の程度に変化はなく、MS も認めなかった。
【考察】今回報告した VSD に合併した DOMV では、僧帽弁の機能異常はい
ずれも軽度であり、僧帽弁に対しての治療は行なっていない。AVSD 以外の心奇形に伴う DOMV が機能的には長期的にどのような経過をたど
るのかについての報告は少ない。しかし、成人において他の心内奇形を伴わない DOMV が高度な弁逆流を呈したとの報告もあり、今後の僧帽
弁機能異常増悪などについて厳重な経過観察が必要であると考えられた。
̶ 161 ̶
P109
断酒により左室機能が改善した、アルコール性心筋症と思われる 1 例
広島逓信病院 第一内科
湯谷 剛
症例:59 歳男性。現病歴:糖尿病、アルコール性肝炎にて当院に非定期的に通院していた。2007 年 2 月頃より労作時呼吸困難、全身倦怠感、
両下肢浮腫にて 2 月 14 日当院外来受診し、胸部レントゲンにて両側胸水を認め、心不全の疑いにて入院となる。現症:意識は清明、血圧
118/84mmhg、脈拍 102 回 / 分、体温 36.2℃、SpO2 93%、身長 168cm、体重 71.5kg 生活歴:飲酒 日本酒 8 合 / 日、喫煙 20 本 / 日検査
所見:胸部レントゲン 両側胸水、CTR 63%、心電図 洞性頻脈、経胸壁心エコー図 左室の壁運動はび慢性に低下し、心室中隔∼前壁の
mid ∼ apex が壁厚は保たれているが、akinetic であり、左室駆出率は 22%であった。左室拡張末期径、左房径は拡大し、拡張型心筋症様であっ
た。臨床経過:心不全の治療を行い、冠動脈疾患が疑われるため、広島市民病院に心カテ目的で紹介するも、冠動脈は正常であった。当院退院
後自宅で転倒し、骨折をきたし 2007 年 4 月当院整形外科に再入院した際に施行した心エコーでは、左室拡張末期径の減少と左室壁運動の改善
を認めた。大酒家であり、2 月の入院以来の断酒の影響で、心機能が改善したアルコール性心筋症と思われた。
P110
心筋ストレインによる肥大型心筋症と高血圧性心肥大の鑑別 ̶2D スペックルトラッキング法による検討̶
1
愛媛大学大学院 病態情報内科学、2 喜多医師会病院
西村 和久 1、岡山 英樹 1、齋藤 実 1、永井 啓行 1、鈴木 純 1、大木元明義 1、大塚 知明 1、吉井 豊史 2、井上 勝次 2、
日浅 豪 2、住元 巧 2、檜垣 實男 1
背景:肥大型心筋症(HCM)と高血圧性心臓病(HHD)は共に心肥大を特徴とする疾患であるが、治療戦略を考える上で HCM による心肥大を
鑑別することは重要である。本研究の目的は心筋ストレイン値を用いて、HCM と HHD による心肥大を鑑別することである。方法:29 名の
HCM 患者(平均年齢 61 ± 14 歳)と年齢、性別をマッチさせた 22 名の HHD 患者(平均年齢 61 ± 13 歳)を対象とし、Vivid 7 Dimension(GE)
と circumferential strain
(ε circ)
を用いて心エコー検査を施行した。解析ソフトウエア EchoPacPC を用いて傍胸骨短軸像から radial strain
(ε rad)
を算出した。結果:左室拡張末期径(46 ± 6 mm vs. 47 ± 5mm)
、左室収縮末期径(28 ± 4mm vs. 30 ± 5mm)
、左室駆出率(68 ± 8% vs. 64
± 8%)ならびに左室重量係数(139 ± 35g/m2 vs. 137 ± 34g/m2)は 2 群間で有意差は認めなかった。HCM 群における心室中隔のε rad とε circ
は HHD 群に比し、それぞれ有意に低値であった(36 ± 15 % vs. 53 ± 19 %, P < 0.01; -20 ± 5 % vs. -24 ± 5 %, P < 0.01)
。しかし、自由壁にお
HHD 群に比し有意に低値であっ
けるε rad とε circ は 2 群間で有意差は認めなかった。HCM 群における中隔と自由壁のε rad の比(S/F ratio)は、
た
(0.79 ± 0.17 vs. 1.01 ± 0.15, P < 0.0001)
。S/F ratio の至適 cutoff 値を 0.92 とすると感度 82%、
特異度 76% で HCM と HHD の鑑別が可能であっ
た。結論:心筋ストレインの違いは心肥大の程度ではなく心肥大の性質によって決定される可能性があり、2D スペックルトラッキング法は肥大
型心筋症と高血圧性心臓病による心肥大を鑑別できる可能性が示唆された。
P111
難治性不整脈を伴う心不全を認め心エコー図が有用であった 1 剖検例
1
神戸医療センター 中央市民病院 循環器内科、2 神戸医療センター 中央市民病院 病理科
安 珍守 1、谷 知子 1、田辺 一明 1、山室 淳 1、加地修一郎 1、木下 慎 1、民田 浩一 1、小堀 敦志 1、江原 夏彦 1、
尾田 知之 1、片山美奈子 1、北井 豪 1、山根 崇史 1、金 基泰 1、古川 裕 1、今井 幸弘 2
【症例】82 歳男性【現病歴】2007 年 12 月 10 日頃から両下肢浮腫、咳嗽あり 12 月 15 日に近医受診し、肺炎と心不全の診断にて入院となった。蛋
白尿を認め BUN:28.0mg/dl、Cr:1.44mg/dl であった。入院後徐々に呼吸状態が悪化。腎機能悪化も認め 18 日透析開始となった。21 日透析中に
wide QRS tachycardia 出現し血圧が 60 台に低下。4 ∼ 5 秒に及ぶ洞停止も認めたため、心室頻拍の疑い、不整脈コントロール目的にて当院転
送となった。
【経過】来院時意識は清明で血圧安定。心房細動であった。不整脈コントロール目的に一時ペースメーカー挿入となった。集中治療
室入室後心エコー図施行。左室拡張末期径 / 収縮末期径 :3.4/2.1cm, 心室中隔 :1.7cm, 後壁 :1.7cm と心筋の肥厚を著明に認め、EF:44%(EDV/
ESV:46/26ml)と収縮能の低下も認めた。後壁中心に 5mm 程度の pericardial effusion を認め、心筋輝度は上昇。心電図は四肢誘導で低電位で
あり、アミロイドーシスを疑い血液検査にて免疫電気泳動を施行した。22 日午前 9 時 45 分頃に wide QRS tachycardia 出現し心室頻拍から
cardiac arrest となった。数分で心拍再開するも、不整脈が頻発し循環呼吸不安定となり永眠された。病理解剖の結果、心、腎、肝、脾にアミ
ロイドーシスの所見を認め、骨髄に形質細胞の腫瘍性増殖あり骨髄腫によるアミロイドーシスと考えられた。また 21 日血液検査で免疫固定法に
てλ型 L 鎖にバンドが後日判明した。アミロイドーシスは診断に苦慮する例が多く本症例でも当初原因不明の腎不全、心不全とされていたが心
エコー図が診断に有用であった。当症例について剖検所見と若干の文献的考察を交えて報告する。
̶ 162 ̶
P112
加齢による大動 strain および strain rate の変化 -Two-dimensional speckle tracking imaging による検討 国立病院機構東徳島病院 循環器内科
大石 佳史、水口 幸生、井内 新、大木 崇
【対象】心エコー検査にて正常左室ポン
【目的】2D speckle tracking imaging にて大動脈硬化を定量的に評価し加齢による影響を検討すること。
プ機能を有した 18 例を若年(Y)群、中年(M)群、高齢(O)群の 3 群に分け比較した。
【方法】腹部大動脈(Ao)の strain(S)および strain
rate(SR)を EchoPac にて測定、同部位の stiffness parameter βを M モード法により求めた。
【結果】βは Y 群に比し O 群においてのみ増大
がみられた。S(Y 群 vs M 群 P < 0.05, Y 群 vs O 群 P < 0.005)および SR(Y 群 vs M 群 P < 0.01, Y 群 vs O 群 P < 0.001)は、Y 群に
比し M 群および O 群において有意な低下を認めた。
【結論】S と SR は、加齢による大動脈硬化をより早期かつ正確に評価しうると考えられた。
P113
大動脈プラークは心房細動例の予後予測因子である:経食道心エコー図による検討
1
ベルランド、2 川崎医科大学 循環器内科、3 ベルランド、4 大阪市立大学 循環器病態内科学、5 大阪掖済会病院 循環器内科
高田 裕子 1、大倉 宏之 2、山邊 梓 1、田口 晴之 3、戸田 為久 3、葭山 稔 4、吉川 純一 5、吉田 清 2
【目的】大動脈プラークや左房内血流うっ滞が心房細動(Af)例の予後を予測しうるかにつき検討すること。
【方法】経食道心エコー図検査(TEE)
を受けた、Af 例、連続 108 例を対象とした。TEE により、以下の所見を検
討した。
(1). 大動脈弓近位部の 4.0 mm 以上のプラーク(AoP ≧ 4.0mm)
(
、2).
左房内もやもやエコー(SEC)
、
(3). 左房内血栓、
(4). 左心耳血流速度。その
後の、心血管イベント(死亡、脳梗塞、心筋梗塞、末梢塞栓、心不全)の有無
をフォローアップした。
【成績】
(図)
カプランマイヤー法により、
AoP ≧ 4.0mm
を有した群では、有さなかった群と比較してイベント回避生存率が有意に低
かった。SEC を有した群では有さなかった群に比して、イベント回避生存率
は低い傾向にあった。単変量解析による心血管イベントの予測因子は AoP ≧
4.0mm、SEC、左房内血栓、左心耳血流速度であった。多変量解析で、AoP
≧ 4.0mm が心血管イベントの唯一の独立した予測因子であった
(p=0.02)
。
【結
論】TEE を行った Af 例において、大動脈弓近位部のプラークは、長期の心
血管イベントを予測しうる。
P114
成人の孤立性左室緻密化障害は形態学のみで診断してよいか?
九州大学病院 ハートセンター
向井 靖、小宮 陽子、船越 祐子、戸高 浩司、砂川 賢二
【目的】孤立性左室緻密化障害は成人発症例も報告されているが、診断は深い間隙を伴う肉柱(非緻密化層)の同定、すなわち現時点では形態学
のみに基づいたものである。それのみでは診断の正確さに限界がある可能性があり、
左室機能障害と肉柱発達の関係を検証した。
【方法】
心エコー
連続 8265 例から左室機能低下(LVEF ≦ 40%)172 例(平均年齢 62 歳、平均 LVDd/EF=66 mm/26%)を抽出し、左室の肉柱形成について検討
した。拡張末期の X/Y 比(X= 緻密化層 , Y= 緻密化層+非緻密化層)を計測し、左室径および機能との関連および原因疾患別での傾向を検討し
た。
【成績】原因疾患は特発性心筋症 58 例、虚血性心筋症 66 例、弁膜症 21 例、その他であった。全例における平均 X/Y 比は 0.51 で、正常例(≧
0.8)に比べて低値であった。X/Y 比は LVDd/s および LVEF と有意に相関(P < 0.05)し、左室機能低下が高度であるほど X/Y 値は低値、す
なわち高い肉柱が目立った。疾患別では特発性、虚血性、弁膜症の群別で平均 X/Y 比に有意差は認めなかった。左室拡大と X/Y 比の相関は特
発性および弁膜症の 2 群でともに有意であり、虚血性ではこの傾向は認められなかった。肉柱形成が著明で X/Y 比≦ 0.2 を示したのは 5 例あり、
4 例は特発性心筋症であったが、一例は弁膜症であり、左室機能障害の結果である可能性も考えられた。
【結論】左室の肉柱発達は左室機能障害
例では原因疾患の種別に関わらず、すなわち 2 次性の心筋障害でも高率に認められた。また左室径および収縮能が相関することから、左室機能
障害の結果である可能性も考えられ、成人においては単に形態学的に本症を診断することには限界があることが示唆された。
̶ 163 ̶
P115
HCM として経過観察中に診断に至ったミトコンドリア心筋症の 1 例
1
松江市立病院 心臓血管外科、2 松江市立病院 循環器内科、3 松江市立病院 中央検査科、4 松江市立病院 神経内科
清水 弘治 1、太田 哲郎 2、角 瑞穂 3、広江貴美子 3、角 隆 3、早田 美和 4、岡田 清治 2、村上 林兒 2
症例は 36 歳の女性。看護師。31 歳ごろから聴力障害あり。糖尿病、高血圧なし。2007 年 1 月の健診の心電図にて II,III,aVf の ST 低下と V6 の
陰性 T 波を指摘され当院循環器内科受診。安静時心エコーにて左室拡張末期径 40mm、左室収縮末期径 26mm、駆出率 65%、左房径 32mm、
中隔壁厚 14mm、後壁厚 13mm と左室肥大を認め、肥大型心筋症と診断し経過観察を行った。労作時の胸部症状あり、ドブタミン負荷エコーで
は僧帽弁収縮期前方運動の増強に伴い左室流出路圧較差は 3 から 40mmHg と上昇した。6 ヵ月後の心エコーで肥大と拡張障害の進行を認めた
ため心臓カテーテル検査を行った。冠動脈病変は認めず、心筋生検を行い、光顕では空胞変性を認め、電顕では異常なミトコンドリアを認めた。
血中乳酸、ピルビン酸比は運動負荷後に 17 から 36 に上昇し、上腕二頭筋および遺伝子検査でミトコンドリア心筋症と診断した。
̶ 164 ̶