Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V リファレンス アーキテクチャー V1.0 - 2014 年 1 月 2 Copyright 2014 Nutanix, Inc. 無断複写・転載を禁じます。本文書は、米国および各国の著作権法ならびに知的所有権に関する法律に より保護されています。 Nutanix は、ニュータニックスの米国および他の管轄地域における商標です。本文書に掲載している会 社名、製品名は一般に各社の登録商標または商標です。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 2 |2 目次 1. エグゼクティブサマリー ...................................................................................... 5 2. はじめに .......................................................................................................... 6 3. ソリューション概要 ............................................................................................ 7 3 3.1. Nutanix アーキテクチャーとは ? ....................................................................... 7 3.2. Hyper-V + Nutanix ...................................................................................... 9 3.3. Citrix XenDesktop とは? ............................................................................. 10 3.4. Citrix XenDesktop に対する Nutanix のアプローチ ............................................. 13 4. ソリューションデザイン .................................................................................... 15 4.1. XenDesktop マシンクリエーションサービス (MCS) ............................................ 21 4.2. XenDesktop プロビジョニングサービス(PVS) ................................................ 24 4.3. XenApp プロビジョニングサービス (PVS) ........................................................ 28 4.4. Nutanix - サーバーおよびストレージ ............................................................... 32 4.5. ネットワーク .............................................................................................. 33 5. ソリューションアプリケーション ........................................................................ 35 5.1. シナリオ: 4 ノード ..................................................................................... 35 5.2. シナリオ: 1/4 ポッド - 12 ノード ................................................................ 36 5.3. シナリオ: 1/2 ポッド - 24 ノード ................................................................ 37 5.4. シナリオ: 1 ポッド - 48 ノード ................................................................... 38 5.5. シナリオ: 2 ポッド - 96 ノード ................................................................... 39 5.6. シナリオ: 6 ポッド - 288 ノード ................................................................. 40 6. 性能検証およびベンチマーク .............................................................................. 41 6.1. 環境概要 .................................................................................................... 41 6.2. Login VSI ベンチマークについて ..................................................................... 45 6.3. 結果の解釈方法 ........................................................................................... 46 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 3 |3 7. 実行結果 ........................................................................................................ 49 7.1. MCS - 400 Medium デスクトップ - シャドウクローン無効設定の場合 ................. 49 7.2. MCS - 400 Medium デスクトップ - シャドウクローン有効設定の場合 ................. 52 8. 今後のリサーチについて .................................................................................... 55 9. 結論 .............................................................................................................. 56 4 10. 付録:構成について .......................................................................................... 57 11. 図表一覧 ........................................................................................................ 58 11.1.図一覧 ....................................................................................................... 58 11.2.表一覧 ....................................................................................................... 59 12. 著者について .................................................................................................. 60 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 4 |4 1. エグゼクティブサマリー 本書は Nutanix および Microsoft Hyper-V に Citrix XenDesktop および XenApp を導入する際の、設計、最適化、そして、 スケーリングに関する推奨手順を示すものです。Nutanix 仮想化システム基盤のスケーラビリティを示し、XenDesktop およ び XenApp を導入した場合のクラスターのスケールアウト能力に関する詳細なパフォーマンスおよび構成に関する情報を提 供します。また、本書は一般的な前提と、Citrix のベストプラクティスに基づいて記述されています。 5 より現実に近いワークロードや、Nutanix 上で MCS および PVS を使用した XenDesktop 環境条件をシミュレーションするた めに、Login VSI を使って、広範にわたるテストを実施しました。テストの反復実施、及び性能検証の結果を通じて、サイジ ングおよび推奨事項をまとめています。 Nutanix プラットフォームにおける MCS テストの結果では、テスト全体を通したピークの IOPS は、ブート処理時に発生し た 15,683 でした。テスト実行中の IOPS は 2,000 ~ 3,000 の範囲に留まり、非常に軽微なものでした。また、最大負荷中 の IO 遅延は Read IO で平均 1ms 未満、Write IO は平均 8ms 未満となりました。 NDFS のシャドウクローン機能を有効にすることで、マスター VM の Read IO でボトルネックとなる、ブート処理時の MCS デスクトップの性能に、特に大幅な向上が見られました。 項目 シャドウ クローン 評価基準 無効化 有効化 VSI ベースライン 5,765 5,676 向上率 % -2% VSI 平均 4,985 3,397 -32% 平均 ログオン所要時間 - 200 ユーザー (ms) 25 23 -8% 平均 ログオン所要時間 - 400 ユーザー (ms) 30 25 -17% ブート処理時 IOPS 4,311 15,683 264% テスト実行時 IOPS 2,773 2,960 7% Nutanix ソリューション上で Citrix XenDesktop/XenApp および Microsoft Hyper-V を稼動させることで、デスクトップお よびアプリケーションを、1 つの集約されたプラットフォームとして提供することができます。また、Nutanix のモジュラー ポッドに方式により、これらの機能を容易に、そして拡張性をもって導入することが可能となります。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 5 |5 2. はじめに 想定する読者 本リファレンスアーキテクチャー文書は、Nutanix Solutions Library の一部という位置付けになっており、Nutanix のプラ ットフォームを利用したシステムの設計、管理、そしてサポート等の業務に従事する皆様を対象としています。 6 本書のご利用にあたっては、Microsoft Hyper-V、Citrix XenDesktop / XenApp および Nutanix に関する概念を理解してい ることが前提となります。 本書では、設計を担当される方、導入を担当される方、運用部門へのトランスファーを行う方、といった役割別に、重要とな る項目の説明を行っています。 本書の目的 本書では、以下のテーマをカバーしています: o Nutanix ソリューションの概要 o Citrix XenDesktop / XenApp の概要と適用事例 o Nutanix 上で Citrix XenDesktop / XenApp を使用することのメリット o Nutanix プラットフォームにおける完全な Citrix XenDesktop / XenApp ソリューションの設計 o Nutanix 上で Citrix XenDesktop / XenApp ソリューションを設計・構成する際の留意点 o Nutanix 上での Citrix XenDesktop のパフォーマンスに関するベンチマーク結果 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 6 |6 3. ソリューション概要 3.1. Nutanixアーキテクチャーとは ? Nutanix 仮想化システム基盤は、高性能な複数のノードから構成されるスケールアウト型クラスターで、標準的なハイパーバ イザーを稼動させます。各ノードにはプロセッサー、メモリ、および、ローカルストレージ(SSD フラッシュメモリおよび大 7 容量 SATA ディスクドライブで構成)が装備されています。各ノードは標準的なハイパーバイザーホストと同様に動作します。 図 1 Nutanix ノードアーキテクチャー さらに、全ノードのローカルストレージは、Nutanix Distributed File System(NDFS)によって、1 つのストレージプール として仮想化されます。NDFS は、先端の NAS と同様に仮想マシンのデータをストアするため、全てのノードのローカルの SSD やディスクを共有します。クラスター上の仮想マシンは、共有ストレージにデータを書き込む場合と同様に、NDFS にデ ータを書き込みます。 図 2 Nutanix アーキテクチャー Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 7 |7 NDFS は、VM aware(仮想マシン向けに特別に設計されたもの)であり、高度なデータ管理機能を提供します。データを実 システムのローカルにストアすることで、仮想マシンの近傍にデータを維持し、低コストで高いパフォーマンスを実現します。 Nutanix バーチャルコンピューティングプラットフォームは、数ノードから大規模なノード構成に至るまで、水平拡張に優れ、 インフラに対する企業の要求に合わせて拡張することが可能です。 Nutanix エラスティック重複排除エンジン(Elastic Deduplication Engine)は、ソフトウェア・ドリブンで大規模構成への 対応が可能な、インテリジェント データ削減テクノロジーです。本エンジンは、重複したデータを排除し、ディスク、RAM 8 およびフラッシュドライブの利用可能領域を拡大します。また、ストレージの効率を大幅に向上させると同時に、RAM およ びフラッシュドライブのキャッシュ利用可能スペースを広げることで、パフォーマンスを格段に向上します。データの重複排 除は、大規模なクラスターで効果的かつ均一に行われるように個別のノード毎に実行されます。本テクノロジーは、フル (Full) クローンや永続的 (Persistent) クローン、P2V マイグレーションなどで大きな効果を発揮します。 図 3 エラスティック重複排除エンジン 同時に複数の Read がある場合、NDFS シャドウクローン機能が vDisk や VM データの分散キャッシングを可能にします。 また、各ノード上の VM が、マスターの「ベース VM」に Read リクエストを転送する代わりに、ベース VM の vDisk をロ ーカルに読み込むことが可能になります。VDI の場合には、ベースディスクがノード毎にキャッシュされ、全ての Read リク エストはローカルで処理されます。また、ベース VM が変更された場合には、シャドウクローンがドロップされてから処理が 開始されます。 図 4 NDFS シャドウ クローン Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 8 |8 Hyper-V + Nutanix 3.2. マイクロソフト社の仮想化サーバーは、従来のデータセンターを柔軟で拡張性の高いものに変換するなど、企業の IT に大き な効果をたらします。Nutanix バーチャルコンピューティングプラットフォームは、Hyper-V による仮想化やプライベート クラウドの構築に最適なプラットフォームであり、高いパフォーマンスでマイクロソフト社の Exchange や SharePoint、 SQL Server のためのテスト環境や本番環境を稼動させることができます。 9 Nutanix は、従来の複雑なストレージアーキテクチャーを不要にし、垂直統合されたインフラストラクチャーソリューション によって、従来のデータセンターをよりシンプルなものに置き換えます。 〇 Windows Server 2012 R2 Datacenter Edition (または Hypver-V Core)をプリインストール。これにより、 IT チームは仮想マシンを迅速に準備することができます 〇 Microsoft System Center Virtual Machine Manager (SCVMM) をサポート。シームレスな管理を可能にします 〇 Live Migration、High Availability (HA)、Performance、 Resource Optimization、Windows Offloaded Data Transfers (ODX)、Failover Clustering および TRIM など、 主要な Hyper-V 仮想化機能をサポートします 〇 ネイティブに SMB 3.0 プロトコルをサポートします 〇 SAN や NAS ベースのストレージに必要なコストや複雑さを 不要にする垂直統合インフラストラクチャーです 〇 シンプロビジョニング、ダイナミックディスク、スナップ ショット、Fast クローン、データの圧縮と重複排除機能など エンタープライズ・クラスのストレージ機能を提供します Nutanix プラットフォームが Hyper-V のスケールアウトな導入を可能にします。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 9 |9 3.3. Citrix XenDesktopとは? Citrix XenDesktop は、デスクトップ仮想化のためのソリューションです。あらゆるユーザーが、デスクトップおよびアプリ ケーションを、どこからでも、どんなデバイスからでも、安全なオンデマンドサービスとして利用できるようにします。 XenDesktop によって、個々の Windows や Web、SaaS アプリケーション、または、完全な仮想デスクトップを、高解像度 なユーザーエクスペリエンスで、PC、Mac、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、シンクライアント等に提供するこ とができます。 1 0 Citrix XenDesktop は、シンプルな操作で仮想デスクトップ基盤を生成し、リアルタイムに管理することができる高度な構成 ツールによって、完全な仮想デスクトップを実現します。 XenDesktop の主要コンポーネントを以下に示します: 〇 Ctirix Receiver : Citrix Receiver は、XenDesktop にパブリッシュされたリソースに対するセルフサービス式のア クセス機能を提供します。Receiver の導入と利用は非常に容易で、ホステッド・アプリケーション、デスクトップお よびデータに対する高速でセキュアなアクセスを可能にします。また、Receiver では、Windows、Web および SaaS (Software as a Service) 上のアプリケーションに対するオンデマンド方式のアクセス機能を提供します。Windows、 MacOS、Android、Linux、HTML5 など、ほとんどのプラット―フォームで、最新版の Receiver を利用することがで きます。 〇 Citrix StoreFront: Citrix StoreFront は、XenDesktop 7.1 サイトへの認証処理と、ユーザーが Citrix Receiver を利用してアクセスするデスクトップおよびアプリケーションストアの管理をおこないます。 〇 Citrix Studio: Citrix Studio では、XenDesktop の構成および管理をおこなうことができます。Citrix Studio が提 供するさまざまなウィザードを使って、環境設定、デスクトップの生成、ユーザーへのデスクトップ割り当てを実現す ることができます。 〇 Citrix Director: IT サポートチームやヘルプデスクチームは、Web ベースのツールである Citrix Director を使って XenDesktop のパフォーマンスを継続的に監視することで、システムが重大な状態に陥る前に必要な対応をおこない、 エンドユーザーに対するサポートを充実することができます。 〇 Delivery Controller: Delivery Controller は、アプリケーションとデスクトップの配信、ユーザーのアクセス管理 およびアプリケーション接続における最適化をおこないます。冗長化のため、サイトには最低 2 つの Controller を配 置します。 〇 Server OS Machines: Windows Server オペレーティングシステム上の VM または 物理マシンが、ユーザーに対 してアプリケーションまたはホステッド・シェアードデスクトップを配信するために使用します。本機能を「RDS Workloads」と表現しているドキュメントもあります。 〇 Desktop OS Machines: Windows Desktop オペレーティングシステム上の VM または物理マシンが、ユーザーに 対してパーソナライズデスクトップを配信する際、またはオペレーティングシステムからアプリケーションを配信する 際に使用します。本機能を「VDI Workloads」と表現しているドキュメントもあります。 〇 Virtual Delivery Agent: Virtual Delivery Agent は、ユーザーが接続する対象となるアプリケーションおよびデス クトップが存在する仮想または物理マシン(サーバーまたはデスクトップ OS)上にインストールされます。Delivery Controller と共にマシンを登録し、同マシンと Citrix Receiver の HDX 接続を管理することができます。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 10 | 10 導入シナリオ - マシンクリエーションサービス(MCS - Machine Creation Services) マシンクリエーションサービス:ハイパーバイザー上で仮想化されたデスクトップに限定して、イメージを提供します。該当 イメージは、ハイパーバイザープールに格納され、必要に応じてシンプロビジョニング(割り当てリソースの仮想化管理)が 行われます。シンプロビジョニングされた仮想デスクトップは、ID 管理機能を利用して、クローニングに必要となる新しいセ キュリティ ID(SID)を取得します。マシンクリエーションサービスは、XenDesktop Controller の管理下で、ハイパーバ イザーの機能を使用します。 1 1 MCS 使用に向け、新たにサーバーを追加する必要はありません。MCS は、Citrix XenServer、Microsoft Hyper-V、および、 VMware vSphere の提供機能を利用します。MCS がハイパーバイザーを利用しているため、ハイパーバイザー上の仮想デス クトップからは、単なる実行可能オプションに見えるだけです。マスターとなるデスクトップイメージは、ハイパーバイザー プールに生成され管理されます。XenDesktop Controller は、ハイパーバイザーにベースイメージのスナップショットを生成 するよう指示し、また、ハイパーバイザーのビルトイン機能を利用して、新しい仮想マシンのシンプロビジョニングを指示し ます。しかし、シンプロビジョニングされたイメージは、プロビジョニングされたデスクトップが、マスターイメージと同じ ID を持つという、クローニング上の問題を抱えることになります。MCS では、XenDesktop Controller および XenDesktop Agent(仮想デスクトップのイメージ内にインストールされている)の特殊な機能を利用して、各仮想マシンにユニークな ID を割り当て、仮想デスクトップのディスク領域に保存します。本機能によって、ベースイメージが同じでも、それぞれの仮想 デスクトップに、ユニークな ID を割り当てることができます。 図 5 マシンクリエーションサービス (MCS) Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 11 | 11 導入シナリオ - プロビジョニングサービス(PVS – Provisioning Services) ストリーム配信技術に基づくプロビジョニングサービスでは、単一の共有ディスクイメージから、リアルタイムでコンピュー タをプロビジョニング、または再プロビジョニングすることができます。これによって、システムの個別管理や、更新が不要 になります。また、各システムのローカルハードディスクについては、実行時のデータキャッシュとして使用するか、または、 システムから完全に取り除くことが可能です。この結果、使用電力、システム障害、セキュリティリスクの低減がもたらされ ます。プロビジョニングサービスでは、仮想デバイスと物理デバイスの双方に対して、イメージをストリーム配信することが できます。 1 2 プロビジョニングサービスのインフラは、ソフトウェアのストリーム配信技術に基づいて構成されています。プロビジョニン グコンポーネントをインストールし、設定が完了した後、OS およびアプリケーションイメージのスナップショットを取得し、 さらに取得したイメージをネットワーク上に vDisk ファイルとして保存することで、デバイスのハードドライブから vDisk が 生成されます。この処理に使用されるデバイスは、「マスターターゲットデバイス(Master Target Device)」と呼ばれます。 一方、vDisk を使用するデバイスは、「ターゲットデバイス(Target Device)」と呼ばれます。 vDisk は、プロビジョニングサーバー、ファイル共有システム、そして、プロビジョニングサーバーと通信可能な、大規模な ストレージシステム(iSCSI、 SAN、NAS および CIFS)上に格納することが可能です。また、プライベートイメージモード (Private Image Mode)で単一のデバイスに割り当てることも、スタンダードイメージモード(Standard Image Mode) で複数のデバイスに割り当てることも可能です。 ターゲットとなるデバイスの電源が入ると、ネットワーク経由でブートが行われ、プロビジョニングサーバーと通信できるよ う設定されます。シンクライアントのテクノロジーとは異なり、実際の処理はターゲットデバイス上で実施されます(下記の 図を参照)。 図 6 プロビジョニングサービス Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 12 | 12 3.4. Citrix XenDesktopに対するNutanixのアプローチ Nutanix プラットフォームでは、Citrix XenDesktop MCS/PVS、そして XenApp の実行や拡張を行うことができます。下記 に、Nutanix ソリューション上の XenDesktop を示します: 1 3 図 7 XenDesktop/XenApp 概念アーキテクチャー上の XenDesktop Nutanix では、モジュラー拡張アプローチにより、初期導入がどのような規模であっても、データの細分化やデスクトップ数 の増加にあわせて拡張を図ることができます。これによって、十分に性能を活かしきるまで何ヶ月、あるいは何年もかかるイ ンフラストラクチャーへの先行投資を避け、XenDesktop/XenApp 導入を迅速かつ適切なタイミングで行うことが可能となり ます。 Nutanix ソリューションは、マイクロソフトのストレージ API(ODX/SMI-s)と完全に統合され、ハイパフォーマンスなフラ ッシュドライブにより、モジュラー方式のプラットフォームが持つ柔軟性に富んだ機能と、最高のユーザーエクスペリエンス を提供します。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 13 | 13 なぜ Citrix XenDesktop を Nutanix 上で稼動させるのか? Nutanix では、同一のスケーラブルな垂直統合基盤上で、複数のワークロードを稼動させることができます。 〇 モジュール単位での拡張:Nutanix ソリューションは、スモールスタートして、その後拡張していくことができます。 単体の Nutanix ブロックは、2U サイズのコンパクトな筐体で、最大 20TB のストレージと 400 のデスクトップを格 納することができます。モジュール化構成のソリューションによって、ノード単位(最大 5TB/100 デスクトップ)、 ブロック単位(最大 20TB/400 デスクトップ)または、複数のブロック単位で順次スケールアップすることが可能で す。また、要求に対して正確なリソース提供を行うことで、先行投資を最小限に抑えることができます。 〇 統合ソリューション:Nutanix プラットフォームは、ODX および SMI-S をフルサポートします。また、マイクロソフ ト の全ての最新技術を活用し、VDI ソリューションをより高いレベルに引き上げることができます。 〇 Remote FX および GPU による 3D グラフィク:Nutanix GPU ノード (7000 シリーズ) は、Nvidia GRID カード と Hyper-V RemoteFX を組み合わせた構成、あるいは Intel IvyBridge のネイティブな GPU 機能を利用することで、 高度な 3D グラフィック機能を提供します。 〇 優れたパフォーマンス:コンパクトな 2U サイズの 4 ノードクラスターで、最大 100,000 ランダム IOPS、かつ 3 GB/s のシーケンシャルスループットを実現します。 〇 エラスティック重複排除エンジン:Nutanix エラスティック重複排除エンジンが、きめ細かいレベルでデータの重複 排除を行い、キャッシュの利用効率を向上させます。本エンジンが重複データを排除することで、Nutanix コンテン ツキャッシュにはユニークなコピーのみが置かれます。これによってキャッシュ利用の最大化を図り、VM が共通のデ ータをアクセスする際のパフォーマンスを大幅に向上させます。また、本機能によって、ユーザーの設定状態を維持 するデスクトップや、P2V マイグレーション時に多く見られる各種の問題を解決することができます。 〇 効率的なデータ処理:Nutanix ソリューションでは、仮想マシンに最も適した方法でデータの圧縮を行います。従来 のソリューションでは、主として LUN レベルでデータ圧縮を実施していました。一方、Nutanix ソリューションでは、 全て VM およびファイルレベルで圧縮を実施し、効率および簡易性を大幅に向上しています。また、TRIM のサポー トにより、削除済みデータの再生機能を提供します。 〇 ビジネス継続性とデータ保護:ユーザーデータとデスクトップはミッションクリティカルであり、バックアップやディ ザスタリカバリー (DR) といった、企業向けのデータ管理機能が必要となります。Nutanix は、こうした機能を直ち に利用可能な形で提供し、仮想環境であっても同様に管理することができます。 〇 エンタープライズ向けクラスター管理機能:大規模なクラスターをアップルライクな集約型の GUI で管理し、1 つの画 面を介して、サーバーやストレージの監視、警告メッセージやクラスターへの新規ノード追加通知の受信などを実行 することが可能です。単なる環境維持だけではなく、環境の強化により多くの時間を割くことができます。 〇 ハイデンシティーアーキテクチャー:Nutanix では、2U サイズの筐体に 4 枚のマザーボードを格納し、Intel 用に 8 ソケット(最大 80 コア)、最大 2 TB のメモリを搭載可能なハイパースケール・サーバーアーキテクチャーを採用し ています。データのアーカイブおよび圧縮機能も合わせ、Nutanix では、ハードウェアの設置面積を、最大で約 4 倍 削減することができます。 1 4 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 14 | 14 4. ソリューションデザイン Citrix XenDesktop を Nutanix 上で稼動させることで、僅か 1 台のブロックからスタートし、ノードやブロックを 1 台ずつ、 あるいは一度に複数台追加するという、柔軟な拡張が可能になります。スモールスタートが可能であり、同時にパフォーマン スに何ら影響を与えず、大規模なスケールにまで拡張することが可能です。 以下のセクションでは、Nutanix バーチャルコンピューティングプラットフォーム上に XenDesktop を導入する上で必要とな る設計上のポイントと、その根拠について説明します。 1 5 表 1: プラットフォームデザインのためのディシジョンポイント ディシジョンポイント 詳細 備考 最少サイズ Nutanix ノード x 3(Hyper-V ホスト x 3) ・ 必要最低限のサイズ 拡張方法 モジュール追加方式による拡張 ・ POC 程度(デスクトップ数 100 台)か 一般事項 ら大規模(デスクトップ数千台)環境ま で拡張できなければならない 拡張単位 ・ キャパシティの要求に応じて、きめ細か ノード、ブロックまたはポッド単位 に拡張できなければならない (複数可) ・ n x ノード 単位での拡張が求められる インフラストラクチャー ・ 小規模導入: シェアドクラスター サービス ・ 大規模導入: 専用クラスター ・ 大規模導入には専用のインフラストラ クチャークラスターが必要 (ベストプラクティス) (ノード A は 3 から 1,350 ブロック) Microsoft Hyper-V クラスターサイズ Hyper-V ホスト 最大 12 ~ 24 ・ 独立した障害ドメイン (最小 4 ホスト) ・ Citrix ベストプラクティス SCVMM あたりのクラスター数 最大 24 x 2 または 12 x 4 の ホストクラスター データストア 1ポッドあたり Nutanix DFS データストアx1 (XenDesktop Server VM、プロビジョニング サービスストア、VM クローン、VAAI クローン、 タスクの並列化 ・ Nutanix が I/O の分散、ローカライゼ ーションをハンドリング ・ n‐コントローラー モデル その他) Nutanix クラスターサイズ 最大 24 ~ 48 ノード ・ 独立した障害ドメイン ストレージプール 1 クラスター あたり ストレージプール x 1 ・ 標準構成 ・ ILM が階層化を処理 コンテナ VM(複数可) に対して コンテナ x 1 ・ 標準構成 機能 / 拡張 ・ シャドウクローンの有効化 - MSC ・ ベストプラクティス ・ CVM メモリが 24GB 以上になるよう追加 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 15 | 15 表 2: Citrix デザインのためのディシジョンポイント ディシジョンポイント 詳細 備考 ・ 最低:2 (n+1) ・ XenDesktop Controller 向け HA Citrix XenDesktop Delivery Controller (s) ・ 拡張: 1ポッド追加毎に1 Controller あたりのユーザー数 最大 5,000 ユーザー ・ XenDesktop のベストプラクティス ロードバランシング NetScaler または Load Balancer ・ Controller の可用性を確保 1 6 ・ Controller およびポッド間のロードバ ランス Citrix XenApp サーバーサイズ vCPU: 4 ・ 標準的な構成サイズ メモリ : 16GB ディスク : 80GB vDisk 1 ノードあたりの XenApp サーバー数 最大 8 サイジング検討結果 XenApp サーバーのデリバリー PVS 経由で配信 ベストプラクティス ロードバランシング NetScaler または Load Balancer ・ Controller の可用性を確保 ・ Controller およびポッド間のロードバ ランス Citrix Provisioning Services (プロビジョニングサービス) PVS サーバー 最低: 2 (n+1) ・ PVS サーバー向け HA 拡張: 1 サーバーあたり 500 デバイスとし、 ・ 1 サーバーあたり 500 配信 1 ポッドあたり最大 8 サーバーまで PVS サーバーあたりのユーザー数 最大 500 ・ PVS のベストプラクティス ロードバランシング プロビジョニングサービス内蔵 ・ PVS サーバーの可用性を確保 ・ PVS サーバーおよびポッド間のロード バランス vDisk ストア Nutanix 向け専用ディスク ・ 標準構成 Write キャッシュ ローカルのハードドライブに設定 ・ ベストプラクティス Storefront サーバー 最低: 2 (n+1) ・Storefront サーバー向け HA ロードバランシング NetScaler または Load Balancer ・ Storefront サーバーの可用性を確保 Citrix Storefront (ストアフロント) ・ Storefront サーバーとポッド間のロ ードバランス Citrix License Server License Server 最低: 1 サイトあたり 1 License Server 用 VM レベル HA HA: Hyper-V HA Citrix NetScaler (利用する場合のみ) NetScaler サーバー 最低:2 (n+1) ・ NetScaler サーバー用 HA NetScaler サーバーあたりの ユーザー数 (プロダクトデータシート参照) ・ モデルにより異なる ロードバランシング NetScaler クラスター ・ NetScaler サーバーの可用性を確保 ・ NetScaler サーバーとポッド間のロー ドバランス Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 16 | 16 表 3: インフラストラクチャーデザインのためのディシジョンポイント ディシジョンポイント 詳細 備考 Active Directory Global Catalog/DNS Server(s) 最低:1 サイトあたり 2 (n+1) ・ GC/DNS 用 HA ・ マイクロソフトのベストプラクティス 1 7 DHCP DHCP Server(s) 最低:1 サイトあたり 2 (n+1) ロードバランシング ・ DHCP サーバー用 HA DHCP サーバー フェールオーバー依存関係 ・ DHCP の可用性を確保 ・ 稼動中 DHCP サーバーのロードバランス スコープオプション オプション 66: PVS VIP PVS PXE に必要 オプション 67: ARDBP32.BIN ファイルサービス DFS Server(s) 最低:1 サイトあたり 2 (n+1) ロードバランシング ・ DFS サーバー用 HA コスト低減 ・ DFS の可用性を確保 ・ DFS サーバーのロードランス SQL Server SQL Server(s) 最低:1 サイトあたり 2 (n+1) ・ SQL Server 向け HA 拡張: 1 ポッド追加につき 2 データ保護 SQL AlwaysOn Availability Group ・ SQL Server の可用性を確保 表 4: ネットワークデザインのためのディシジョンポイント ディシジョンポイント 詳細 備考 仮想スイッチ 内部スイッチ 用途: Hyper-V から CVM へのローカル通信 Nutanix デフォルト アップリンク: N/A 外部スイッチ 用途: 全ての外部 VM 通信 Nutanix デフォルト アップリンク: NetAdapterTeam NIC 構成 NetAdapterTeam NIC:10Gb x 2 両方の 10Gb アダプターを アクティブ・アクティブで使用 チーミングモード: Switch Independent ロードバランシングモード: Hyper-V Port (「Switch Independent」 モードのみ) VMQ 有効化(Enable - デフォルト) Hyper-V ネットワークパフォーマンス ・ VMQ リミットに達した場合は、Nutanix 上以外の VM ベストプラクティス に無効設定 (Disable) 可 VLAN 管理 VLAN ID: 個別設定 ・ 専用のインフラストラクチャー VLAN マスク: /24 ・ ベストプラクティス コンポーネント: 〇 Hyper-V ホスト 〇 Nutanix CVM 〇 SCVMM 〇 SQL Server Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 17 | 17 〇 AD/ DHCP/DFS サーバー 〇 XD Delivery Controllers 〇 PVS サーバー Hyper-V ID: 個別設定 フェールオーバーVLAN マスク: /24 マイクロソフトのベストプラクティス 1 8 コンポーネント: 〇 フロントエンド VLAN Hyper-V ホスト ・ フロントエンドまたは外部サービスに対 するネットワークセグメンテーション ID: DMZ (外部向け) マスク: 個別設定 コンポーネント: 〇 XenDesktop Storefront デスクトップ デリバリー ID: 個別設定 VLAN マスク: /20 まで ・ 1 ポッドあたり最大 3,840 をサポート コンポーネント: 〇 配信 VLAN * ホステッド(仮想、配信、シェアード)デスクトップ ・ 1 ポッドあたり最大 3,840 をサポート (PVS を使用した場合) ID: 個別設定 マスク: /20 まで コンポーネント: 〇 ホステッド配信デスクトップ 〇 ストリーム配信 XA (レガシー NIC – 第 1 世代 VM) 〇 PVS サーバー (レガシー NIC– 第 1 世代 VM) *注意: 配信デスクトップに対しては、特定のケースに限りデスクトップと配信 VLAN の組み合わせが可能です。 Hyper-V 第 1 世代 VM(XenDesktop 7.1 が必要)で PXE ブートを実行する際には、レガシーネットワークアダプターが必 要となります。第 2 世代 VM の場合は、XenDesktop がサポートするデフォルトネットワークアダプターを利用することが できます。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 18 | 18 Nutanix ノードでは、XenDesktop および XenApp サービスのいずれもホストできますが、サイジングにあたっては、 XenDesktop または XenApp いずれかのノードを想定しています。注意: 以下の数値は、XenDesktop または XenApp の サイジングに関するベストプラクティスや内部検証に基づくものです。数値は、個々のイメージやワークロードによって変わ る場合があります。 表 5: ノード サイジング 推定 ノードタイプ 1 9 ワークロード / ユーザー 密度 低負荷 中負荷 高負荷 XenDesktop 100 80 50 XenApp 270 180 90 以下に、ホステッド仮想デスクトップを提供する XenDesktop ノードの例を示します: 図 8 XenDesktop ノード 以下に、ホステッド・シェアードデスクトップを提供する XenApp ノードの例を示します: 図 9 XenApp ノード 以下のセクションでは、ホステッド仮想デスクトップおよび配信デスクトップのサイジングと考慮点について説明します。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 19 | 19 デスクトップのサイジング デスクトップの導入と利用方法から分類した典型的なユーザータイプを以下に示します。 表 6: デスクトップのシナリオ定義 シナリオ 定義 低負荷 / タスクワーカー タスクワーカーおよびアドミニストレーションワーカーは、多くの場合ステーションコン ピューターを利用し、特定のアプリケーションだけを使って同じ作業を繰り返します。シ フト体制を敷いている場合、同時に仮想化デスクトップにログインする場合も想定されま す。タスクワーカーの例としては、コールセンターのオペレーター、小売店店員、倉庫従 業員などがあります。 中負荷 / ナレッジワーカー ナレッジワーカーの日常業務には、インターネットへのアクセス、電子メールの利用、複 雑なドキュメント作成、プレゼンテーション、スプレッドシートの作成などが含まれま す。ナレッジワーカーの例としては、会計士、営業管理職、マーケティングリサーチャー などがあります。 高負荷 / パワーユーザー パワーユーザーには、アプリケーション開発者やグラフィックアプリケーションを利用す るユーザーなどが含まれます。 2 0 以下に、Windows8.1 向けのデスクトップサイジングに関する、基本的な推薦値を示します。注意: 上記はあくまでも推奨 値であり、今後の分析結果によって変更される場合があります。 表 7: デスクトップ シナリオ サイジング シナリオ vCPU メモリ OS ディスク デスクトップタイプ 望ましい導入形態 低負荷 / タスクワーカー 1 1GB 30GB シェアード/ホステッド - プール PVS または XA 中負荷 / ナレッジワーカー 1~2 2~4GB 30GB ホステッド - 専用 シャドウクローン による MCS 高負荷 / パワーユーザー 2 以上 4GB 以上 30GB 以上 ホステッド - フル シャドウクローン による MCS デスクトップの最適化 以下は、本ソリューションで使用しているデスクトップの最適化タスクの一覧です: ▫典型的な利用方法に適合するようデスクトップをサイジング ▫ユーザータイプ別に最適なアプリケーションを組み合わせ仮想化 ▫不要な OS サービスおよびアプリケーションを停止 ▫ホームディレクトリをリダイレクトし、ユーザープロファイルおよびユーザードキュメントに対してプロファイル管理 ツールを利用 デスクトップ最適化の詳細については、http://www.support.citrix.com/ に掲載のドキュメント「Citrix XenDesktop Windows 7 Optimization Guide」をご覧ください。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 20 | 20 4.1. XenDesktopマシンクリエーションサービス (MCS) Citrix マシンクリエーションサービス(MCS - Machine Creation Service)は、ホステッド仮想デスクトップの標準的なモ デルを使用しています。MCS は、ベースとなる、または「マスターVM」と呼ばれるイメージを使用し、クローン VM を生成 します。クローン VM に、それぞれの特性が反映されると同時に、ベースとなる VM のディスク内にも、個別のディスク領域 が割り当てられます。 以下の図で、Nutanix に MCS を導入した場合の、主要な構成コンポーネントおよび各サービス間のコミュニケーションパス 2 1 について示します。 図 10 MCS コミュニケーション Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 21 | 21 MCS ポッドのデザイン Nutanix ホステッド仮想デスクトップポッドにおける、Citrix XenDesktop の主要構成を以下に示します。 表 8: MCS ポッド 詳細 構成要素 数量 コントロール用ポッド SCVMM サーバー 2 Delivery Controller 2 Storefront サーバー 2 SQL Server 2 Active Directory サーバー 2 DFS/DHCP サーバー 2 2 2 サービス用ポッド Nutanix ブロック 最大 12 Hyper-V ホスト 最大 48 Nutanix クラスター 最大 2 データストア 最大 2 デスクトップ 最大 3,840 図 11 MCS ポッド詳細 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 22 | 22 ホステッド仮想デスクトップと MCS の IO パス Nutanix 上の MCS デスクトップにおける、IO パス概要を以下に示します。最大の IO パフォーマンスを発揮するように、全 ての IO はローカルノード上で NDFS によって処理されます。また、NDFS シャドウクローン機能が有効になっている場合、 マスター VM の分散キャッシングも有効化されるため、マスター VM に対する Read 要求は、すべてローカルノード上で処 理されます。デスクトップに対する Read 処理は、マスター VM が Hyper-V と同じノードでホストされている場合にはロー カルノード上で処理され、異なるノードでホストされている場合には 10 BbE 経由で処理されます。 2 3 図 12 MCS IO 概要 Nutanix 上の MCS デスクトップにおける、IO パスの詳細を以下に示します。最大の IO パフォーマンスを発揮するよう、全 ての Write IO は、ローカルノードの SSD 層で処理されます。また、NDFS シャドウクローン機能が有効になっている場合、 マスター VM の分散キャッシングも有効化されるため、マスター VM に対するすべての Read 要求は、全てローカルノード 上で処理されます。この Read は、(キャッシュされている場合)高性能 Read キャッシュ、または SSD 層から実行されます。 また、アクセス頻度の高い全てのローカルデータ(差分ディスク、(使用されている場合は)パーソナル vDisk)に対して、 ノード毎に Read キャッシュにキャッシングを行います。Nutanix ILM は、定常的にデータおよび IO パターンを監視し、デ ータを格納する階層の適切な選定を行います。 図 13 MCS IO 詳細 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 23 | 23 4.2. XenDesktopプロビジョニングサービス(PVS) Citrix プロビジョニングサービスでは、マスターvDisk(OS イメージ)から、ネットワーク経由でデスクトップを配信します。 vDisk は PVS サーバーに保存され、Citrix 配信(Stream)サービスにより提供されます。配信デスクトップは、ブート時に PXE/TFTP を経由して構成情報を取得し、vDisk を立ち上げるために PVS サーバーとの通信を開始します。 以下の図で、Nutanix に PVS を導入した場合の、主要な構成コンポーネントおよび各サービス間のコミュニケーションパスを 示します。 2 4 図 14 PVS XenDesktop コミュニケーション Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 24 | 24 PVS XD ポッドデザイン Nutanix 配信デスクトップポッドにおける Citrix XenDesktop の主要構成を示します。 表 9: PVS ポッド詳細 構成要素 2 5 数量 コントロール用ポッド SCVMM サーバー 2 Delivery Controller 2 Storefront サーバー 2 PVS サーバー 最大 8 (最小 2 から 500 デバイス毎に 1 追加 ) SQL Server 2 Active Directory サーバー 2 DFS/DHCP サーバー 2 サービス用ポッド Nutanix ブロック 最大 12 Hyper-V ホスト 最大 48 Nutanix クラスター 最大 2 データストア 最大 2 デスクトップ 最大 3,840 図 15 PVS XD ポッド 詳細 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 25 | 25 PVS ストア および ネットワークマッピング 以下に、PVS サーバーのストレージおよびネットワークのマッピングを示します。この例では、PVS のサーバー管理および配 信(Stream)サービスについて専用のインタフェースを使用しています。 2 6 図 16 プロビジョニングサービス コンポーネント マッピング - XD Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 26 | 26 PVS による配信デスクトップ IO のパス Nutanix 上の配信デスクトップにおける、IO パスの概要を下図に示します。最大の IO パフォーマンスを発揮するよう、全て の IO はローカルノード上で NDFS によって処理されます。また、PVS ホストと同じホスト上の配信において、デスクトップ は、ローカルの vSwitch で処理され、外部のネットワークを経由することはありません。 2 7 図 17 PVS XD IO 概要 Nutanix 上の配信デスクトップにおける、IO パスの詳細を以下に示します。最大の IO パフォーマンスを発揮するよう、全て の Write IO(Write キャッシュまたは(使用されている場合は)パーソナル vDisk)は、ローカルノードの SSD で処理され ます。また、最高のパフォーマンスを発揮するよう、PVS サーバーの vDisk ストアは、ローカルノードの SSD 層に置かれま す。配信デスクトップからの全ての Read 要求に対しては、NDFS にホストされた、PVS サーバーのメモリまたは vDisk スト アから結果を配信します。また、アクセス頻度の高い全てのローカルデータ(Write キャッシュ、パーソナル vDisk)に対し て、ノード毎に Read キャッシュにキャッシングを行います。Nutanix ILM は定常的にデータおよび IO パターンを監視し、 データを格納する階層を適切に選定します。 図 18 PVS XD IO 詳細 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 27 | 27 4.3. XenApp プロビジョニングサービス (PVS) Citrix プロビジョニングサービスでは、マスターvDisk(OS イメージ)から、ネットワーク経由でデスクトップを配信します。 vDisk は PVS サーバーに保存され、Citrix 配信(Stream)サービスにより提供されます。配信 XenApp サーバーは、ブート 時に PXE/TFTP を経由して構成情報を取得し、vDisk を立ち上げるために PVS サーバーとの通信を開始します。 以下の図で、Nutanix に PVS XenApp を導入した場合の、主要な構成コンポーネントおよび各サービス間のコミュニケーシ ョンパスを示します。 2 8 図 19 PVS XenApp コミュニケーション Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 28 | 28 PVS XA ポッドデザイン Nutanix 配信デスクトップポッドにおける Citrix XenDesktop の主要構成を示します。 表 10: PVS XA ポッド詳細 構成要素 2 9 数量 コントロール用ポッド SCVMM サーバー 2 Delivery Controller 2 Storefront サーバー 2 PVS サーバー 最大 8 (最小 2 から 500 デバイス毎に 1 追加) SQL Server 2 Active Directory サーバー 2 DFS/DHCP サーバー 2 サービス用ポッド Nutanix ブロック 最大 12 Hyper-V ホスト 最大 48 Nutanix クラスター 最大 2 データストア 最大 2 XenApp サーバー 最大 384 図 20 PVS XA ポッド 詳細 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 29 | 29 PVS ストア および ネットワークマッピング 以下に、PVS サーバーのストレージおよびネットワークのマッピングを示します。この例では、PVS のサーバー管理および配 信(Stream)サービスについて、専用のインタフェースを使用しています。 3 0 図 21 PVS コンポーネント マッピング - XA Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 30 | 30 PVS による配信 XenApp IO のパス Nutanix 上の配信 XenApp サーバーにおける、IO パスの概要を下図に示します。最大の IO パフォーマンスを発揮するよう、 全ての IO はローカルノード上で NDFS によって処理されます。また、PVS ホストと同じホスト上の配信において、XenApp サーバーは、ローカルの vSwitch で処理され、外部のネットワークを経由することはありません。 3 1 図 22 PVS XA IO 概要 Nutanix 上の配信 XenApp サーバーにおける、IO パスの詳細を以下に示します。最大の IO パフォーマンスを発揮するよう、 全ての Write IO(Write キャッシュまたは(使用されている場合は)パーソナル vDisk)は、ローカルノードの SSD で処理 されます。また、最高のパフォーマンスを発揮するよう、PVS サーバーの vDisk ストアは、ローカルノードの SSD 層に置か れます。配信 XenApp サーバーからの全ての Read 要求に対しては、NDFS にホストされた、PVS サーバーのメモリまたは vDisk ストアから結果を配信します。また、アクセス頻度の高い全てのローカルデータ(Write キャッシュ、パーソナル vDisk)に対して、ノード毎に Read キャッシュにキャッシングを行います。Nutanix ILM は定常的にデータおよび IO パター ンを監視し、データを格納する階層を適切に選定します。 図 23 PVS XA IO 詳細 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 31 | 31 4.4. Nutanix - サーバーおよびストレージ Nutanix 仮想化システム基盤は、高性能サーバーとローカルストレージの理想的な組み合わせにより、さまざまな要求に応え ることができます。本リファレンスアーキテクチャーで取り上げたユースケースは、Nutanix の既存の構成変更や、カスタマ イズなどは行っていません。 図 24 に、Nutanix ブロック、ノード、ストレージプールおよびコンテナの関係を示します。 3 2 図 24 Nutanix コンポーネント アーキテクチャー 以下に、Nutanix ストレージプールおよびコンテナの構成を示します。 表 11: Nutanix ストレージ構成 対象 役割 詳細 SP01 全データに対するメインのストレージプール 全ディスク CTR-RF2-VM-01 全 VM に対するコンテナ Hyper-V – データストア CTR-RF2-DATA-01 全データに対するコンテナ(今回未使用) Hyper-V – データストア Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 32 | 32 4.5. ネットワーク Nutanix では、リニアな性能向上を実現するため、Leaf Spine ネットワークアーキテクチャーを採用しています。Leaf Spine アーキテクチャーは、2 つのネットワーク層、L2 Leaf および L3 Spine から構成されており、40GbE およびノンブロ ッキングスイッチを利用しています。本アーキテクチャーでは、ネットワーク上のノード間通信が定常的に最大2ホップで済 むことから、スケールアップによる性能劣化がなく、安定的なパフォーマンスを維持することができます。 下図は、各ノード ~ L2 Leaf 間のスループット 20Gb、および Leaf ~ Spine 間のスループット 80Gb の、Leaf Spine ネッ 3 3 トワークアーキテクチャーのデザインであり、Leaf Spine アーキテクチャーが、利用可能なバンド幅に影響を与えることなく、 Nutanix Complete Cluster を1から 1,000 以上まで拡張できることを示しています: 図 25 Leaf Spine ネットワークアーキテクチャー Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 33 | 33 論理ネットワークデザイン 各 Hyper-V ホストは、内部と外部通信用の 2 つのスイッチを持っています。「外部スイッチ」は、外部通信および VM 用で あり、LBFO チームに 10GbE でアップリンクしています。「内部スイッチ」は、Hyper-V ホストと Nutanix CVM 間の SMB I/O に使用されます。 以下に、ソリューションで使われているネットワークセグメントと、対応するコンポーネントの論理ネットワークを示します。 3 4 図 26 論理ネットワーク接続 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 34 | 34 5. ソリューションアプリケーション 本セクションでは、現実のシナリオにポッドベースのリファレンスアーキテクチャーを適用し、サイジングのための評価基準 と必要になるコンポーネントの概要を説明します。以下のアプリケーションは、標準的な中負荷ユーザーのデスクトップ/ワ ークロードを前提としていますが、実際の使用方法やワークロードにより異なる場合があることをご理解ください。 3 5 注意:ハードウェア構成および製品モデルの詳細については、付録をご覧ください。 5.1. シナリオ: 4 ノード 表 12: コンポーネント一覧 - 4 ノード 項目 数量 コンポーネント 数量 項目 インフラストラクチャー Nutanix デスクトップポッド 1/12 (部分使用) SCVMM サーバー 1 Nutanix ノード 4 Hyper-V ホスト 4 RU (Nutanix) 2 Hyper-V クラスター 1 10GbE ポート 8 データストア 1 100/1000 ポート(IPMI) 4 XD デスクトップ 最大 320 L2 Leaf スイッチ 2 XA ユーザー 最大 720 L3 Spine スイッチ 1 図 27 ラックレイアウト - 4 ノード Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 35 | 35 5.2. シナリオ: 1/4 ポッド - 12 ノード 表 13: コンポーネント一覧 - 1/4 ポッド - 12 ノード 項目 数量 コンポーネント 項目 数量 インフラストラクチャー Nutanix デスクトップポッド 1/4(部分使用) SCVMM サーバー 1 Nutanix ノード 12 Hyper-V ホスト 12 RU (Nutanix) 6 Hyper-V クラスター 1 10GbE ポート 24 データストア 1 100/1000 ポート(IPMI) 12 XD デスクトップ 最大 960 L2 Leaf スイッチ 2 XA ユーザー 最大 2,160 L3 Spine スイッチ 1 3 6 図 28 ラックレイアウト - 1/4 ポッド - 12 ノード Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 36 | 36 5.3. シナリオ: 1/2 ポッド - 24 ノード 表 14: コンポーネント一覧 - 1/2 ポッド - 24 ノード 項目 数量 コンポーネント 数量 項目 インフラストラクチャー Nutanix デスクトップポッド 1/2 (部分使用) SCVMM サーバー 1 Nutanix ノード 24 Hyper-V ホスト 24 RU (Nutanix) 12 Hyper-V クラスター 1~2 10GbE ポート 48 データストア 1 100/1000 ポート(IPMI) 24 XD デスクトップ 最大 1.920 L2 Leaf スイッチ 2 XA ユーザー 最大 4,320 L3 Spine スイッチ 1 3 7 図 29 ラックレイアウト - 1/2 ポッド - 24 ノード Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 37 | 37 5.4. シナリオ: 1 ポッド - 48 ノード 表 15: コンポーネント一覧 - 1 ポッド - 48 ノード 項目 数量 コンポーネント 数量 項目 インフラストラクチャー Nutanix デスクトップポッド 1 SCVMM サーバー 2 Nutanix ノード 48 Hyper-V ホスト 48 RU (Nutanix) 24 Hyper-V クラスター 2~4 10GbE ポート 96 データストア 1~2 100/1000 ポート(IPMI) 48 XD デスクトップ 最大 3,840 L2 Leaf スイッチ 2 XA ユーザー 最大 8,640 L3 Spine スイッチ 1 3 8 図 30 ラックレイアウト - 1 ポッド - 48 ノード Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 38 | 38 5.5. シナリオ: 2 ポッド - 96 ノード 表 16: コンポーネント一覧 - 2 ポッド - 96 ノード 項目 数量 コンポーネント 項目 数量 インフラストラクチャー Nutanix デスクトップポッド 2 SCVMM サーバー 4 Nutanix ノード 96 Hyper-V ホスト 96 RU (Nutanix) 48 Hyper-V クラスター 4~8 10GbE ポート 192 データストア 2~4 100/1000 ポート(IPMI) 96 XD デスクトップ 最大 7,680 L2 Leaf スイッチ 4 XA ユーザー 最大 17,280 L3 Spine スイッチ 2 3 9 図 31 ラックレイアウト - 2 ポッド - 96 ノード Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 39 | 39 5.6. シナリオ: 6 ポッド - 288 ノード 表 17: コンポーネント一覧 - 6 ポッド - 288 ノード 項目 数量 コンポーネント 数量 項目 インフラストラクチャー Nutanix デスクトップポッド 6 SCVMM サーバー 12 Nutanix ノード 288 Hyper-V ホスト 288 RU (Nutanix) 144 Hyper-V クラスター 12~24 10GbE ポート 576 データストア 6~12 100/1000 ポート(IPMI) 288 XD デスクトップ 最大 23,040 L2 Leaf スイッチ 12 XA ユーザー 最大 51,840 L3 Spine スイッチ 2 4 0 図 32 ラックレイアウト - 6 ポッド - 288 ノード Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 40 | 40 6. 性能検証およびベンチマーク 本書では、Nutanix Complete Cluster で稼動する Microsoft Hyper-V 2012 R2 上で Citrix XenDesktop 7.1 を使用して得 られたソリューションの内容とテスト結果を提示します。 Nutanix アプライアンス上でのナレッジユーザーのデスクトップパフォーマンスを明らかにできるよう、ベンチマークには Login VSI Light workload および Medium workload を使用しました。 6.1. 4 1 環境概要 インフラストラクチャー、XenDesktop サービス、および Login VSI テスト用に、Nutanix NX-3450 をそのまま使用しまし た。また、ターゲットとなるデスクトップ環境を提供するために NX-3450 を使用しました。さらに、2 つの Nutanix ブロッ クについては、ラックトップに設置した Arista 7050S を使用し 10GbE で接続しました。 図 33 テスト環境概要 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 41 | 41 テスト環境構成 前提条件: 〇 ナレッジワーカーを想定 〇 1 デスクトップあたりの IOPS(タスクワーカー):継続的に5、ブート時に最大 70 を想定 〇 1 デスクトップあたりの IOPS(ナレッジワーカー):継続的に 10、ブート時に最大 70 を想定 〇 MCS および PVS の両方を使用 4 2 ハードウェア: 〇 ストレージ/サーバー: Nutanix NX-2400 x 1、Nutanix NX-3400 x 1 〇 ネットワーク: Arista 7050Q(L3 Spine)/7050S(L2 Leaf) Series Switches デスクトップの構成: 〇 OS: Windows 8.1 x64 〇 vCPU x 1 および 2GB メモリ(占有) 〇 30GB OS 用ディスク x 1 〇 アプリケーション ○ Microsoft Office 2007 ○ Adobe Acrobat Reader 9.1 ○ Internet Explorer ○ Flash/video Login VSI: 〇 Login VSI 4.0.8 Professional XenDesktop の構成: 表 18: XenDesktop の構成 VM 数量 vCPU メモリ ディスク Delivery Controller 2 4 8 40GB (OS) x 1 PVS Server 2 4 32 40GB (OS) x 1 250GB (ストア) x 1 Storefront Server 2 8 8 40GB (OS) x 1 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 42 | 42 テストイメージの準備 - MCS 1. ベース VM の生成 2. Windows 7/8 のインストール 3. 標準ソフトウェアのインストール 4. Windows 7/8 の最適化 4 3 5. マシンをドメインに登録 6. Citrix VDA のインストール 7. Login VSI コンポーネントのインストール 8. スナップショット作成 9. XenDesktop セットアップウィザードを使用してクローンを生成 テストイメージの準備 - PVS 1. ベース VM の生成 2. Windows 7/8 のインストール 3. 標準ソフトウェアのインストール 4. Windows 7/8 の最適化 5. PVS Target Device のインストール 6. vDisk の生成 7. PXE からブートするようバイオスを設定 8. VMDK を削除 9. VM を vDisk からブート(プライベートモード) 10. マシンをドメインに登録 11. Citrix VDA のインストール 12. Login VSI コンポーネントのインストール 13. Write キャッシュ用ディスクを作成 14. NTFS のディスク Write キャッシュをフォーマット 15. C: ドライブからページファイルを削除し、Write キャッシュ用に別ディスクを設定 16. 別ディスクにスタティックなページファイルとスタティックサイズを設定 17. VM をシャットダウン 18. テンプレートにコンバート 19. vDisk のコンバート(標準モード) 20. XenDesktop セットアップウィザードを使用してクローンを生成 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 43 | 43 テスト実行 デスクトップの電源投入/リブート/ Login VSIランチャーのリブート 4 4 VSIマネージメントコンソールにログイン テストパラメーターおよびセッション数の設定 テスト開始 実行終了待ち 結果分析(Login VSI/SCOM) Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 44 | 44 6.2. Login VSIベンチマークについて Login Virtual Session Indexer(Login VSI)は、サーバーベースコンピューティング(SBC - Server Based Computing) や仮想化デスクトップインフラストラクチャー(VDI – Virtual Desktop Infrastructure)のような、集中管理された Windows デスクトップ環境の、パフォーマンスやスケーラビリティをテストするための業界標準のベンチマークツールです。 Login VSI は、100% ベンダー非依存であり、仮想化デスクトップ環境、例えば、Citrix XenDesktop および XenApp、 Microsoft VDI および Remote Desktop Services、また VMware View など、Windows ベースの SBC または VDI ソリュー 4 5 ションをテストするために使用されます。 多くの主要ハードウェアおよびソフトウェベンダーが、Login VSI をテストおよびベンチマークのために使用しており、また 先端の IT アナリストやテクニカルコミュニティも、これを推薦しています。Login VSI は、ベンダー非依存であり、標準的 なワークロードを想定し動作します。従って、Login VSI から得られたテスト結果は、客観的であり、検証可能かつ再現可能 なものと言えます。 Login VSI の詳細については、http://www.loginvsi.com/ をご覧ください。 また、Login VSI のテストワークフローについては、以下をご覧ください。 http://www.loginvsi.com/pdf/documentation/Login-VSI-40-Workloads.pdf Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 45 | 45 6.3. 結果の解釈方法 Login VSI Login VSI は、デスクトップを利用するユーザーのワークロードをシミュレーションするベンチマークです。結果値は、1つ のアプリケーションまたはタスク(例えば、Outlook を起動する)が完了するまでの全時間を示しており、もともとのデスク トップの応答時間は加算されていません。また、ネットワーク IO に対するラウンドトリップタイム(RTT)については言及 せず、デスクトップ上での全体処理時間に着目しています。 4 6 テスト中、全ての VM は立ち上がった状態で、全てのセッションおよびワークロードがアクティブになるまで、新しいデスク トップ上で 30 秒毎にワークロードが開始されます。 結果に対する評価基準は以下のとおりです: ○ 最小レスポンス (Minimum Response): アプリケーションの最小応答時間 ○ 平均レスポンス (Average Response): アプリケーションの平均応答時間 ○ 最大レスポンス (Minimum Response): アプリケーションの最大応答時間 ○ VSI ベースライン (VSI Baseline): 最初の 15 セッションのアプリケーション平均応答時間 ○ VSI インテックス平均 (VSI Index Average): 応答時間の最大および最小値をそれぞれ前後 2%カットした場合 の平均応答時間 ○ VSImax : この値に達した場合、VSI インデックス平均値が、VSI ベースライン値 x 125% + 3000ms を超える 以前に、最大セッション数が起動されたことが分かります ユーザーの経験と業界標準に基づき、それぞれの指標を、以下に提示する値未満に維持することを推奨します (LoginVSI 4.x): 表 19:Login VSI 評価基準値 基準 値 (ms) 根拠 最小レスポンス <1,000 許容できる理想的な応答時間 平均レスポンス <4,000 許容できる平均応答時間 最大レスポンス <8,000 許容できる最大応答時間 VSI ベースライン <5,000 許容できる理想的な応答時間 VSI インデックス平均 <4,000 許容できる平均応答時間 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 46 | 46 Login VSI のグラフ表示 Login VSI では、各デスクトップセッションを立ち上げた際の、基準値(前述)をグラフ表示することができます。以下はテ ストデータに基づくグラフのサンプルです。Y 軸は応答時間 (ms) であり、X 軸はアクティブなセッション数を示しています。 4 7 パフォーマンスグラフ パフォーマンスグラフは、データをプロットし、傾向線を加えたものです。以下はグラフ表示の一例です。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 47 | 47 4 8 パフォーマンスグラフは、大きく 2 つのテストフェーズに分けられます。1 つは VM のブート処理であり、もう 1 つはログイ ンしワークフローを実施する Login VSI のテスト実行フェーズになります。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 48 | 48 7. 実行結果 7.1. MCS - 400 Medium デスクトップ - シャドウクローン無効設定の場合 Login VSI Medium の実行結果 400 デスクトップでテストを行っている間、VSImax 値がベースライン値である 5,765ms、および、平均 VSIindex である 4 9 4,985ms に達することはありませんでした。 最大の応答遅延を生じると推定される Zip High Compression タスクの場合でも、加重応答時間は定常的に 2,000ms を下回 る結果となりました。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 49 | 49 ログオン所要時間は、最初の 200 セッションでは 20~30ms 、次の 200 セッションでは、24~40ms でした。 5 0 クラスターの測定結果 テスト実行時の Hyper-V ホストの CPU 使用率は最大 83.9%、平均 53% でした。またメモリの最大使用率は 97% でした。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 50 | 50 Nutanix データストアの測定結果 IOPS のピークは、デスクトップを初期化するためのブートアップ処理で発生し、値は 4,311 でした。テスト開始からは、 IOPS は概ね 2,773 で推移しました。また、Read 処理に対する遅延は 0.48ms、Write 処理に対する遅延は 8.08ms でした。 5 1 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 51 | 51 7.2. MCS - 400 Medium デスクトップ - シャドウクローン有効設定の場合 Login VSI Medium の実行結果 400 デスクトップでテストを行っている間、VSImax 値がベースライン値である 5,676ms、および、平均 VSIindex である 5 2 3,397ms に達することはありませんでした。 最大の応答遅延を生じると推定される Zip High Compression タスクの場合でも、加重応答時間は定常的に 1,500ms を下回 る結果となりました。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 52 | 52 ログオン所要時間は、全 400 セッションに対して 20~30ms の範囲でした。 5 3 クラスターの測定結果 テスト実行時の Hyper-V ホストの CPU 使用率は最大 72.25%、平均 51% でした。またメモリの最大使用率は 97% でし た。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 53 | 53 Nutanix データストアの測定結果 IOPS のピークは、デスクトップを初期化するためのブートアップ処理で発生し、値は 15,683 でした。テスト開始からは、 IOPS は概ね 2,960 で推移しました。また、Read 処理に対する遅延は 0.21ms、Write 処理に対する遅延は 6.77ms でした。 5 4 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 54 | 54 8. 今後のリサーチについて 引き続き最高のソリューションを提供するため、ニュータニックスは、次のような分野でのリサーチを継続します。 o パフォーマンスの最適化 o スケールテスト o ユースケースアプリケーションの詳細化 o XenApp の構成とテスト o パーソナル vDisk の構成とテスト o GPU オフロード/ペリフェラル テスト o パートナーとの共同ソリューション提供 5 5 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 55 | 55 9. 結論 デスクトップのユーザー数は、主に利用可能なホスト CPU リソースに依存し、IO や Nutanix における MCS および PVS のリ ソースがボトルネックになることはありませんでした。Login VSI Medium のテスト結果は、2U サイズの Nutanix 1 台あた り、400 以上のナレッジワーカーをサポートできることを示しています。 ポッドのサイジングにあたっては、パフォーマンスに加え、フェールオーバーを考慮した N+1 の冗長構成を取るなど慎重な 対応を行ないました。また、ユーザー密度は、XenApp の 1 ノードあたり 180 ユーザー、かつ XenDesktop の 1 ノードあ 5 6 たり 65 デスクトップ を前提にしています。 MCS のテストでは、Nutanix プラットフォームの IO 負荷は軽く、テスト実行中の合計 IOPS のピークは、ブート処理時の最 大 15,683 であることが分かりました。以降のテスト実行中の IOPS は 2,000~3,000 と僅かな値で推移しました。また、IO 待ち時間は、ピーク時でも Read が 1ms 未満、Write は 8ms 未満でした。 NDFS シャドウクローン機能を有効にすることで、特に VM の Read ネックになるブート処理において、MCS デスクトップ に大幅な改善が見られました。 項目 基準 シャドウクローン 無効化 有効化 改善率 % VSI ベースライン 5,765 5,676 -2% VSI 平均 4,985 3,397 -32% ログオン平均所要時間 - 200 ユーザー (ms) 25 23 -8% ログオン平均所要時間 - 400 ユーザー (ms) 30 25 -17% ブート処理時 IOPS 4,311 15,683 264% テスト実行時 IOPS 2,773 2,960 7% Citrix XenDesktop/XenApp および Microsoft Hyper-V は、Nutanix ソリューションによって、デスクトップおよびアプリ ケーションのデリバリーに最適な、全てが一体化されたプラットフォームを提供します。Nutanix のモジュラー方式のポッド によるアプローチが、容易で拡張性の高いシステムの導入を可能にします。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 56 | 56 10. 付録:構成について ハードウェア o ストレージ/サーバー ▫ Nutanix NX-3450 o 1 ノードあたりのスペック(2U サイズの 1 ブロックにつき 4 ノード) 5 7 ■ CPU: Intel Xeon E5-2670 x 2 ■ メモリ: 256GB o ネットワーク ▫ Arista 7050Q - L3 Spine ▫ Arista 7050S - L2 Leaf ソフトウェア o Nutanix ▫ NOS 3.5.2 o XenDesktop ▫ 7.1 o プロビジョニングサービス (Provisioning Services) ▫ 7.1 o デスクトップ ▫ Windows 8.1 x64 o インフラストラクチャー ▫ Server 2012 R2 Datacenter Edition – Hyper-V Role ▫ SCVMM 2012 R2 VM o デスクトップ ▫ CPU: vCPU x 1 ▫ メモリ:2GB(予約) o ストレージ: ▫ SMB データストア CTR-RF2-VM-01 NDFS 上の 30GB OS ディスク x 1 ▫ 6GB Write キャッシュ x 1 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 57 | 57 11. 図表一覧 11.1. 図一覧 図 1 Nutanix ノードアーキテクチャー ........................................................................................... 7 図 2 Nutanix アーキテクチャー .................................................................................................... 7 図 3 エラスティック重複排除エンジン ............................................................................................ 8 5 8 図 4 NDFS シャドウ クローン ...................................................................................................... 8 図 5 マシンクリエーションサービス (MCS) ....................................................................................11 図 6 プロビジョニングサービス ...................................................................................................12 図 7 XenDesktop/XenApp 概念アーキテクチャー上の XenDesktop ....................................................13 図 8 XenDesktop ノード ...........................................................................................................19 図 9 XenApp ノード .................................................................................................................19 図 10 MCS コミュニケーション ...................................................................................................21 図 11 MCS ポッド詳細 ..............................................................................................................22 図 12 MCS IO 概要 ...................................................................................................................23 図 13 MCS IO 詳細 ...................................................................................................................23 図 14 PVS XenDesktop コミュニケーション ..................................................................................24 図 15 PVS XD ポッド 詳細 .........................................................................................................25 図 16 プロビジョニングサービス コンポーネント マッピング - XD ....................................................26 図 17 PVS XD IO 概要 ..............................................................................................................27 図 18 PVS XD IO 詳細 ..............................................................................................................27 図 19 PVS XenApp コミュニケーション ........................................................................................28 図 20 PVS XA ポッド 詳細 .........................................................................................................29 図 21 PVS コンポーネント マッピング - XA .................................................................................30 図 22 PVS XA IO 概要...............................................................................................................31 図 23 PVS XA IO 詳細...............................................................................................................31 図 24 Nutanix コンポーネント アーキテクチャー ............................................................................32 図 25 Leaf Spine ネットワークアーキテクチャー ............................................................................33 図 26 論理ネットワーク接続 .......................................................................................................34 図 27 ラックレイアウト - 4 ノード .............................................................................................35 図 28 ラックレイアウト - 1/4 ポッド - 12 ノード........................................................................36 図 29 ラックレイアウト - 1/2 ポッド - 24 ノード........................................................................37 図 30 ラックレイアウト - 1 ポッド - 48 ノード ...........................................................................38 図 31 ラックレイアウト - 2 ポッド - 96 ノード ...........................................................................39 図 32 ラックレイアウト - 6 ポッド - 288 ノード .........................................................................40 図 33 テスト環境概要 ................................................................................................................41 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 58 | 58 11.2. 表一覧 表 1: プラットフォームデザインのためのディシジョンポイント ........................................................15 表 2: Citrix デザインのためのディシジョンポイント .......................................................................16 表 3: インフラストラクチャーデザインのためのディシジョンポイント ...............................................17 表 4: ネットワークデザインのためのディシジョンポイント ..............................................................17 5 9 表 5: ノード サイジング 推定 ....................................................................................................19 表 6: デスクトップのシナリオ定義 .............................................................................................20 表 7: デスクトップ シナリオ サイジング ......................................................................................20 表 8: MCS ポッド 詳細 .............................................................................................................22 表 9: PVS ポッド詳細 ..............................................................................................................25 表 10: PVS XA ポッド詳細 .......................................................................................................29 表 11: Nutanix ストレージ構成 .................................................................................................32 表 12: コンポーネント一覧 - 4 ノード .......................................................................................35 表 13: コンポーネント一覧 - 1/4 ポッド - 12 ノード ...................................................................36 表 14: コンポーネント一覧 - 1/2 ポッド - 24 ノード ..................................................................37 表 15: コンポーネント一覧 - 1 ポッド - 48 ノード .....................................................................38 表 16: コンポーネント一覧 - 2 ポッド - 96 ノード .....................................................................39 表 17: コンポーネント一覧 - 6 ポッド - 288 ノード ....................................................................40 表 18: XenDesktop の構成 .......................................................................................................42 表 19:Login VSI 評価基準値 .....................................................................................................46 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 59 | 59 12. 著者について 著者のスティーブン・ポイトラス(Steven Poitras)は、ニュータニックスのテクニカルマーケティングチームに所属。ステ ィーブンは、Nutanix プラットフォームとアプリケーションを連携するためのアーキテクチャーデザインを支援し、重要なビ ジネスニーズの解決を支援するソリューションを開発することで、プラットフォームシステムの領域に変革を起こしています。 ニュータニックス入社以前は、Accenture Technology Labs で、次世代インフラストラクチャー(NGI – Next Generation Infrastructure)および 次世代データセンター(NGDC ‐ Next Generation Datacenter)に関する領域を専門としていまし 6 0 た。彼は、これらの領域で、サービスオリエンテッドあるいはクラウドといった、アジャイルでコスト効果が高いインフラス トラクチャーの設計および移行方法についてのメソドロジー、参考アーキテクチャーおよびフレームワークを開発してきまし た。 著者をツイッター@StevenPoitras でフォローいただけます。 ニュータニックスについて ニュータニックスは、複雑で高価な SAN や NAS といった外部ネットワークストレージを必要としない、極めてシンプルなサ ーバーおよびストレージからなるプラットフォームであり、エンタープライズ・クラスの仮想化を提供できる最初の企業です。 ニュータニックスは、Google File System といったスケーラブルなシステムや Oracle Database/Exadata のようなエンタ ープライズ向けシステムの開発に携わってきたメンバーにより 2009 年に設立されました。本社を米国カルフォルニア州サン ノゼに構え、Lightspeed Venture Partners、Khosla Ventures および Blumberg Capital から出資を受けています。 Nutanix のブログは http://www.nutanix.com/blog/ からどうぞ。 Nutanix はツイッター @Nutanix でフォローいただけます。 Citrix XenDesktop on Microsoft Hyper-V | 60 | 60
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