高等専門学校における 英語教育の現状と課題

高等専門学校における
英語教育の現状と課題
−新しい高専英語教育を目指して−
「高等専門学校の特色を生かした英語教育カリキュラム作成に向けての企画調査」
平成 13 年度科学研究費補助金
(基盤研究(C) (1))課題番号(13898006)
調査報告
全国高等専門学校英語教育学会
高専英語教育に関する調査研究委員会
はじめに
全国高等専門学校英語教育学会
会 長
小 澤
志 朗
「高等専門学校の特色を生かした英語教育カリキュラム作成に向けての企画調査」の目的は、
新しい『高専英語教育カリキュラム』の作成に向けた予備調査をすることである。
まず、高専に関係のある企業や大学の教員から高専の英語教育に対する考え方をお聞きし、当
事者である全国の高専の英語教員の考え方を調査した。そして5年一貫という高専の制度を活か
すべく、全国レベルでカリキュラムの改善について研究した。さらに今後は高専生に適した教材の
開発を進めていく予定である。今年度の具体的な作業は以下の通りである。
1.各高専の英語教育カリキュラムの現状把握
2.高専卒業後に必要となる英語能力の分析
3.高専での英語教育に有効な教材の検討
4.包括的な高専英語教育カリキュラムの試案作成
企業や大学は高専生の卒業後の進路先であり、高専卒業生の英語力を直接的に実感する企
業や大学の意見を調査したわけである。高専の教員が英語教育の改善を試みるのに際して、彼ら
の意見を重視することは大変意義深いことと言えよう。
近年、日本では産業の空洞化、IT を通じたグローバル化が急速に進んでおり、そうした変化に
対応するために、英語教育に対する社会からの変革の要望は大きい。それは、ひとことで言えば
「コミュニケーションのための英語」という言葉に代表されるような、すぐに使えて役に立つ英語力を
つけて欲しいとの強い要望である。また、学習者自身も同様の希望を持っている。このような時に
社会からの要望を詳しく知ることは、大いに意義のあることと言える。
グローバル化のもう一つの意味するものは、教育界自身のグローバル化、すなわち世界に通じ
るスタンダード作りである。この調査研究を通じて、高専の英語教育をさまざまな角度から検討し改
善の努力をすることは、英語教育界自身のレベルアップにつながり、グローバル化への第一歩に
なることは疑いがない。
最後に、この研究をインスパイアしてくださった東京外国語大学の根岸雅史先生に感謝申し上
げたい。オリンピック記念青少年総合センターで行われた第 24 回全国高等専門学校英語教育学
会研究大会での根岸先生のご講演と、その後の活発な意見交換会がこの研究の始まりであった。
また、お忙しいところ、アンケート調査にあたって回答を寄せていただいた数多くの企業関係者、
大学関係者、全国の高専教員の皆様にも心より感謝申し上げたい。企業、大学からは、調査回答
という単なる情報ばかりでなく、励ましの心もいただいた。
1
目
次
はじめに
1.
調査研究の目的と計画.............................................................................................. 3
1.1.
1.2.
1.3.
1.4.
2.
調査の経過 .............................................................................................................. 6
2.1.
2.2.
2.3.
3.
大学における英語の重要性 ................................................................................ 37
高専からの編入生の英語力について................................................................... 41
自由記述に関する考察 ....................................................................................... 42
自由記述回答一覧 ............................................................................................. 46
調査結果に基づく提案 .............................................................................................61
6.1.
6.2.
6.3.
7.
調査対象企業 .................................................................................................... 25
企業における英語の重要性について................................................................... 25
高専卒社員の英語力について ............................................................................ 29
自由記述回答 .................................................................................................... 31
まとめと今後への提言 ......................................................................................... 34
大学における英語の重要性および高専からの編入生の英語力に関する調査 ...............36
5.1.
5.2.
5.3.
5.4.
6.
高専の英語教育の現状について........................................................................... 9
高専の英語教育カリキュラムの現状 ................................................................... 13
高専英語教員の意識調査................................................................................... 16
企業における英語の重要性に関する調査..................................................................25
4.1.
4.2.
4.3.
4.4.
4.5.
5.
アンケート調査(高専)........................................................................................... 6
アンケート調査(企業)........................................................................................... 6
アンケート調査(大学)........................................................................................... 7
高専の英語教育の現状 ............................................................................................. 9
3.1.
3.2.
3.3.
4.
背景..................................................................................................................... 3
調査の目的 .......................................................................................................... 3
調査研究の方法 ................................................................................................... 4
研究組織 ............................................................................................................. 4
高専の英語カリキュラムについて ......................................................................... 61
教材について ..................................................................................................... 62
教授法について ................................................................................................. 64
高専教員対象調査集計結果.....................................................................................66
7.1.
7.2.
7.3.
高専教員に対するアンケート(第1部) .................................................................. 66
高専教員に対するアンケート(第2部) .................................................................. 68
高専教員に対するアンケート(第3部) .................................................................. 69
8.
企業対象調査集計結果............................................................................................72
9.
大学対象調査集計結果............................................................................................74
10. 付録(調査用紙)
2
1. 調査研究の目的と計画
1.1. 背景
21 世紀を迎え、我が国における英語教育の重要性はますます高まりつつある。英語は、学問の
分野においてもビジネスの分野においても、その第一線で活躍するための必要不可欠な能力の
一つとして認識されるようになっている。なぜならば、(その是非はともかくとしても)英語が国際間
のコミュニケーション手段としてのグローバルスタンダードになっているということは疑いようのない
事実だからである。実際、日本企業の海外現地法人の数は、1988 年度の 7544 社から 97 年度に
は 1 万 3166 社に急増し、現地駐在員はもちろん、日本で働くビジネスマンも、現地との連絡を英
語で行うなど、英語なしでは仕事ができない状況になっている。
また、英語を共通語とするインターネットでの情報収集、海外との電子メールでの取引、あるいは
海外製品を取り扱う機会の増加なども、英語力重視の動きに拍車をかけている。
企業においては、TOEIC のスコアを昇進・昇給のための条件とするところが続々とあらわれ、英
語力が仕事の能力と同等に見なされる時代になりつつあることを物語る。TOEIC 事務局が 2000
年に行ったアンケートによると、回答企業 758 社のうち 10.2%にあたる 77 社が TOEIC での一定
以上の得点を昇進の条件にしていると答えた。また、将来、昇進の条件にしたいと答えた企業は
32.7%の 248 社に上っている。
学問の分野においても、日本は 2000 年、2001 年と連続してノーベル賞受賞者を輩出したが、
このような最先端の科学研究を行うにも英語力は必要不可欠である。科学技術の分野においては、
国際間における研究競争があったり、逆に国際間での共同研究が行われたりしている。このような
場合にも、国際的に通用する研究論文の読み書きや、国際共同研究の場におけるコミュニケーシ
ョンのためには、やはり「共通語」となるのは英語をおいて他にはない。
このような状況の下、高等専門学校(高専)においても、英語教育の重要性が以前に増して高く
なっていることはいうまでもない。高専を卒業する学生は、その多くが科学技術の分野に身を置くこ
とを希望する。近年は大学に編入学をする高専卒業生が増加する傾向にあるが、編入した先の大
学でもやはり英語が必要とされることは上に述べた通りである。
ところが、高専の卒業者は、その高い専門的知識・能力とは裏腹に、語学力(特に英語力)が弱
いということがかなり以前から指摘されている。その理由をひとことで言うのは難しいが、少なくとも、
「理系」が主である高専において、「文系科目」と認識される英語がどちらかといえば軽視されてき
たという背景があることは否定できない。しかし、上に述べたような時代の変化に伴い、高専におけ
る英語という教科は、もはや単なる「一般教養」ではなく、必須の「技能」として教えられなければな
らない時代になりつつある。すなわち、高専を卒業した学生が、職場で、あるいは大学で、すぐに
「実用になる」だけの英語力をつけることが、高専英語教育に課された義務なのである。
1.2. 調査の目的
では、高専生が卒業した後、どのような場面で、どのような英語が必要になるのだろうか。このこと
を明らかにしなければ、高専における英語教育は成功しない。そこで、平成 12 年度の高等専門学
校英語教育学会全国大会(於:国立オリンピック記念青少年総合センター)において、高専英語教
育改革のためのプロジェクトが提案され、これに賛同した 14 名の高専英語教員有志によってプロ
ジェクトチーム(高専英語教育に関する調査研究委員会)が発足した。このプロジェクトは、高専に
おける英語教育を根本から見直し、教材、カリキュラムをはじめとするあらゆる面から改善していこう
というもので、その注目度は高い。プロジェクトチームでは、その取りかかりとして、最初にいくつか
の調査を行うことを企画し、亀山太一・岐阜高専助教授を代表として日本学術振興会の平成 13 年
度科学研究費補助金を申請したところ、これが認められ、充実した調査が可能となった。本報告書
は、この企画調査に関する報告である。
この企画調査は、全国高等専門学校英語教育学会(COCET)全国大会において提案されたプ
3
ロジェクトに基づき、高専の英語教育の現状、および高専卒業生に求められる英語力とは何かとい
うことを明らかにすることを目的とする。これは、新しい「高専英語教育カリキュラム」の作成に向けた
取り組みをするための予備調査であり、全国の高専における英語教育改善のための基盤となるべ
きものとして位置づけられる。
高専は、中学校を卒業した生徒を受け入れ、5年間の一貫教育によって専門的知識・技能を修
得させることを目的とした高等教育機関である。1962 年の制度発足以来、高い専門技術を持った
卒業生を送り出し、日本の産業界に多大な貢献をしてきている。この理由は、高専の卒業生が「高
校→大学」という7年間のコースをたどった学生に比べても、それと互角あるいはそれを上回るほど
の専門的知識と技能を習得しているからであり、これはまさしく高専の「5年間一貫教育」のたまもの
であると言えよう。
しかし一方で、高専卒業生の弱点として常に挙げられるのが、語学(特に英語)力の弱さである。
これは、ひとつには、高専の英語教育カリキュラムが、低学年から高学年に進むにつれて単位数が
減少する、いわば「先細り型」のカリキュラムになっていることが大きな理由であると考えられる。高
専制度の発足以来、英語などのいわゆる「一般科目」のカリキュラムは、基本的には普通高校のカ
リキュラムをモデルにしてきた。しかし本来ならば、5年一貫教育という高専独自の教育システムを
生かすには、卒業時に向けて実践的な英語力を高めていけるような5年スパンでのカリキュラムが
必要であるにもかかわらず、現状のカリキュラムはこれを実現するようにはなっていない。また、授
業に使用される教材も、高等学校用の検定教科書をはじめ、そのほとんどが(特に低学年におい
ては)普通科の高校生のために作られたものをそのまま使っているというのが現状である。
これらのカリキュラムおよび教材を見直し、高専独自の英語教育とはどうあるべきかを考えていく
には、まずは現状を正確に把握する必要がある。そこで本調査では、全国の高専における英語教
育の現状と、卒業生のおもな進路であるところの企業および大学における英語の位置づけを調査
することにした。その上で、高専における英語授業に最適な教材およびカリキュラムを開発するた
めの試案を提案することも本調査の目的とする。
1.3. 調査研究の方法
調査は、その内容に従い、次の4種類とした。調査はすべて選択式および記述式の質問紙(ア
ンケート)によって行った。
1
2
3
4
調査内容
高専における英語
教育の現状
高専英語教員の
意識について
企業における英語
について
大学における英語
について
対象
調査方法
国内のすべての高専(国立 54 校、公立 質問紙によるアン
5校、私立3校)の英語英語科代表者
ケート調査
国内のすべての高専の英語科教員
同上
高専卒業生を採用したことのある企業
同上
(1200 社)の人事・採用担当者
高専からの編入学生を受け入れたこと
同上
のある大学の専門学科教員
1.4. 研究組織
本調査は、以下のような組織によって行った。メンバーはすべて全国高等専門学校英語教育学
会(COCET)の会員であり、研究代表者(亀山)の呼びかけに賛同し、参加を表明した者である。こ
の組織の特徴は、北海道から九州まで、まんべんなく全国の地区を網羅する形で研究分担者が集
っていることである。ちなみに、研究分担者の小澤と研究代表者の亀山は、それぞれ全国高等専
門学校英語教育学会(COCET)の平成 13,14 年度会長、副会長である。
4
研究代表者:亀山 太一(岐阜工業高等専門学校 助教授)
研究分担者:工藤 雅之(札幌市立高等専門学校 講師)
研究分担者:武田 淳(宮城工業高等専門学校 助教授)
研究分担者:村井三千男(東京工業高等専門学校 教授)
研究分担者:小澤 志朗(長野工業高等専門学校 教授)
研究分担者:青山 晶子(富山工業高等専門学校 助教授)
研究分担者:瀬川 直美(福井工業高等専門学校 講師)
研究分担者:森岡 隆(和歌山工業高等専門学校 助教授)
研究分担者:西野 達雄(大阪府立工業高等専門学校 講師)
研究分担者:平岡 禎一(詫間電波工業高等専門学校 助教授)
研究分担者:中井 大造(米子工業高等専門学校 教授)
研究分担者:南 優次(宇部工業高等専門学校 助教授)
研究分担者:大谷 浩(北九州工業高等専門学校 講師)
研究分担者:穴井 孝義(大分工業高等専門学校 助教授)
5
2. 調査の経過
2.1. アンケート調査(高専)
高専における英語教育の現状と、高専英語教員の意識調査のため、アンケートによる調査を行
った。アンケート調査の内容は、本委員会の第1回全体会議(平成 13 年 6 月 10 日 於:東京・学
術総合センター)において、以下の項目について調査することが決定された。
A) 教育課程・教育方法について
① 教科書について
② クラス編成(team teaching, 習熟度別クラス等)について
③ 授業評価について
B) 教員について
① 教員数について
② 専任教員の持ち時間数について
③ 外国人教員について
C) 施設・設備について
① 英語演習室について
② パソコンによる演習室について
D) カリキュラムについて
① 開講されている全科目名とその内容と担当者、必修・選択の別
E) その他
① 英語以外の外国語科目について
② 英語以外の語学教員について
F) 教育理念・教育目標などについて
① 英語教育の重要性
② 高専独自の英語教育について
③ 高専生に求められる英語について
④ 単位数について
G) 学生について
① 高専生の英語学習の目的について
② 高専生に求められる英語力の基準について
③ 勤務校での英語教育の成果について
H) 教材・教授法について
① 高専での英語教材について
② 授業における学習活動について
③ 授業中における英語の使用について
調査対象は、国内のすべての高専(国立 54 校、公立5校、私立3校)とした。各高専英語科主任
宛にアンケート用紙を郵送し、上記調査項目のうち、A)からE)までは各高専の代表者に、F)以降
については各校の英語教員全員に回答してもらった。
この結果、58 校(国立 51 校、公立5校、私立2校)、248 名の英語教員から有効回答を得ること
ができた。なお全体の校数に対する回収率は 93.5%であった。
2.2. アンケート調査(企業)
6
高専の学生が、卒業した後に就職する企業でどのような英語力を求められるか、また就職した企
業で高専生がどのような評価を受けているかを調査するため、企業に対するアンケート調査を行っ
た。調査の内容は、本委員会企業アンケート担当班(大谷、穴井、中井、南)によって立案され、第
2回全体会議(平成 13 年 7 月 23 日 於:岐阜工業高等専門学校)において、以下の項目につい
て調査することが決定された。
A) 企業自体について
① 業種
② 従業員数
B) 企業での英語の重要性について
① 重要性の度合
② 英語が重要となる場面について
C) 社員採用時の英語力評価について
① 評価の度合
② 評価の方法
D) 高専卒社員について
① 高専卒社員の英語力について
② 社員に求められる英語力について
調査は、本研究代表者および研究分担者の勤務校を平成9年度以降に卒業した学生の就職先
企業リストから無作為に抽出した 1200 社を対象とし、これらの企業の人事・採用担当者宛にアンケ
ート用紙を郵送した。なお回収率を上げるため、返信の際の郵便料金を受取人払いとした。このた
めもあってか、451 社から回答があり、回収率 37.5%と、この種の調査としては高い回収率を上げる
ことができた。
2.3. アンケート調査(大学)
近年、高専を卒業して大学に編入学する学生の割合が急増している。国立大学はほぼすべて
が高専からの編入学生を受け入れており、その他多くの私立大学でも高専からの編入が可能であ
る。そこで、高専生が大学に編入学した後の英語の必要性や、高専からの編入生を指導する大学
教員の英語に対する意識を調査することにした。
調査の内容は、本委員会大学アンケート担当班(西野、森岡、平岡)によって立案され、第3回
全体会議(平成 13 年 8 月 28 日 於:京大会館)において、以下の項目について調査することが決
定された。
A) 大学教員自身について
① 年齢
② 所属
③ 職名
④ 専門分野
⑤ 高専編入学生指導経験
B) 大学(学部)の専門教育で必要とされる英語力について
① 専門科目を修得する上での英語力の重要性
② 大学で重要とされる英語力とは
C) 高専からの編入学生の英語力について
① 優れている点
② 劣っている点
7
調査は、本研究代表者および研究分担者の勤務校から編入実績のある大学・学部(文系学部
を除く)あてにアンケート用紙を送付して行った。なお編入実績は学部までしか判明しなかったた
め、調査は当該学部の全学科(74 大学・525 学科)を対象とした。したがって学科によっては編入
生を受け入れていない場合もあるが、英語に対する大学教員の意識を問うという意味では意義の
あるものと考え、すべてを対象とすることにした。
アンケート用紙は、各学科の主任宛に1通ずつ郵送したが、場合によっては所属学科の教員に
アンケート用紙のコピーが配布され、多数の教員の回答を送っていただいたところもあった。このた
め、回収したアンケート用紙は 625 通となり、回収率は 100%を越えた。このことからも、大学教員の
英語に対する意識の高さが伺われる。
8
3. 高専の英語教育の現状
高専における英語教育の実態を調べるための調査は、第1部から第3部までの3つのアンケート
調査によって行われた。このうち、第1部と第2部は各高専における授業等の現状を調査するもの
で、それぞれ各高専の代表者によって回答された。また第3部は、各高専の英語教員の意識を調
査するため、教員全員による回答を集計した。以下に、それぞれの集計結果を提示し、さらに考察
を加えていく。
3.1. 高専の英語教育の現状について
3.1.1. 同学年で同一科目を複数の教員が担当する場合,教科書は同じものを使用しています
か?(検定教科書を使う科目は除く)
高専では、低学年においては高等学校用の検定教科書を使う傾向にあり、この場合には教員ご
との差はあまり出ない。しかし、高学年になると、半数を超える高専で教員がそれぞれ自分の選ん
だ教科書を使うようである。このことは、アンケートの結果からも裏付けられた。英語科内で協議して
全く同じ教科書を使っているところは 13%にすぎない。
その他
7%
全く同じ
13%
原則として同じ
29%
教員ごとに違う
51%
3.1.2. 少人数クラス(30 人以下)の授業を定常的に行なっていますか?
少人数クラスによる語学教育は、その効果を高める上で非常に効果的であるとされる。しかし、
教員数や教員一人あたりの持ち時間を考えると、安易に少人数クラスを編成することは教員の負
担を過重にさせるおそれもある。現状でもやはり、少人数クラスによる授業を行っている高専は多い
とは言えない。
行っている
26%
行っていない
67%
検討中
7%
1 クラスを複数の教員が担当する(team teaching などの)授業を定常的に行なっていま
すか?
少人数クラスと並んで、team teaching などの複数教員による授業スタイルも最近は注目されて
い る 。 し か し、 こ れ も 教員数 や 授 業 時間 数 の 関 係か ら 、 実 施 して い る 高 専は 少 ない 。 team
teaching は、主として外国人教員と日本人教員との team によるものがほとんどで、実施していると
いう回答は、主に外国人専任教員のいる高専からの回答である。なお、「過去には行っていた」と
いう回答は、外国人の専任が任期切れでいなくなったため、team teaching ができなくなったもの
と思われる。
3.1.3.
9
過去には行っ
ていた
5%
行っている
17%
検討中
10%
行っていない
68%
3.1.4. 習熟度(能力)別クラスによる授業を定常的に行なっていますか?
習熟度(能力)別クラスによる授業に対しては、賛否両論があるが、これもやはり実施しているとこ
ろはわずかのようである。ほとんどの高専は「1 学科 1 クラス」であり、それぞれの学科によって専門
科目のカリキュラム編成が違うため、クラスの枠を越えるということが難しいという事情もあると思われ
る。
行っている
5%
検討中
14%
行っていない
81%
3.1.5. 正規の授業以外で英語の指導をしていますか?
この結果から、全体の3分の2の高専で正規の授業以外にも英語の指導をしていることがわかる。
その指導内容は大きく分けて①検定試験対策、②編入試験対策、③成績不振者などのための補
習、④コンテスト等の指導である。
いいえ
36%
はい
64%
3.1.6. 学校として、授業評価(アンケート)を実施していますか?
授業評価については、7割の高専で実施され、実施を検討中であるというところも含めると、8割
近くなる。しかし、12%(7校)の高専では過去に行われていたがやめてしまったということで、この
理由が若干気になるところではある。
行っていない
9%
検討中
9%
過去には
行っていた
12%
行っている
70%
10
3.1.7. 英語科の教員数(外国人教員を除く)は何人ですか?
英語教員(専任)の数は、5人前後というところがほとんどである。また、非常勤講師の数は0人か
ら8人まで幅がある。非常勤講師一人あたりの持ち時間数は考慮していないので、人数そのものを
問うことにあまり意味はないが、高専全体の事情はある程度つかめるものと思われる。
常勤
7人
6人
非常勤
3人
6人
4人
5人
7人 8人
0人
1人
5人
4人
2人
3人
3.1.8. 専任教員の持ち時間数は?
専任教員の持ち時間数は、14 時間というところが圧倒的に多く、それよりも少ないところが 10 校、
多いところが7校であった。ちなみに、持ち時間数が 15 時間を超える高専は2校であり、いずれも
私立であった。
16時間
17時間
12時間
15時間
13時間
14時間
3.1.9. 外国人教員はいますか?
外国人教員はほぼすべての高専におり、そのうち常勤の外国人教員がいる学校は 10 校であっ
た。
非常勤については、約半数が1人であったが、2人以上の外国人教員がいる高専も約半数ある。
ちなみに、常勤、非常勤を問わず外国人が一人もいない高専もわずかながらあった。
なお、常勤の外国人教員の任期は、1年の場合と3年の場合がある。また、常勤の外国人教員
の持ち時間数は 10 時間から 16 時間と幅があり、その待遇にはばらつきがあるようである。
外国人教員(非常勤)
3人
4人 5人
0人
2人
1人
3.1.10. LL 教室などの英語演習室(パソコンのある教室を除く)はありますか?
設備・施設に関する質問である。音声を主体とした授業では、LL 教室などに代表される英語専
用教室が主流である。最近はパソコン等を利用したマルチメディア教室のような形態が流行の兆し
11
を見せているが、現実にはまだ 86%が従来型の英語演習室のようである。なお、他学科と共用と
いう意味は、おそらく第2外国語のことを指していると思われる。また、「ない」と答えた高専は、すで
にパソコンを利用したマルチメディア(MM)の語学演習室に切り替えたところがほとんどで、LL も
MM もないと答えたのは1校だけであった。
ない
14%
英語科
専用
43%
他学科と
共用
43%
3.1.11. マルチメディア教室・情報処理演習室など、パソコンを利用できる教室を英語の授業に使
っていますか?
パソコンを利用した語学演習室を英語科専用に備えているところはまだ全体の6%(3 校)で、数
としては少ないが、全体の 35%が何らかの形でパソコンを英語の授業に利用しているということは
興味深い。この数字はこれからも増え続けるであろうと思われる。
英語科専用
6%
他学科と共用
29%
ない
65%
3.1.12. 英語以外の外国語科目を開講していますか?
語学教育を考える上では、英語以外の言語がどのように扱われているかということも知っておく
必要があろう。そこでこのような質問をしてみた。
英語以外の外国語としては、やはりドイツ語が圧倒的である。ドイツ語の授業を開講していない
のは3校のみで、そのうちの2校は第2外国語そのものがない。
ドイツ語以外の外国語としては、中国語、フランス語、ロシア語の順になっているが、いずれも多
くはないといえる。また、英語以外に複数の外国語科目を開講している高専は 22 校で、英語以外
はドイツ語のみという高専は 34 校であった。ちなみに、第2外国語を履修する学年は、4年生、また
は4年生と5年生というパターンが多いが、3年生に履修する高専も 10 校あった。
58
14
3
ス ペイ ン語
3
ハング ル語
4
ロシ ア 語
8
フ ラ ン ス語
中国語
ド イ ツ語
60
50
40
30
20
10
0
3.1.13. 英語以外の必修外国語は何ですか?
必修の外国語となると、数はさらに少なくなる。ちなみに、複数の第2外国語を開講している場合
には必修選択となるので、英語・ドイツ語以外の外国語を単独で必修にしている高専はないという
12
ことになる。また、必修の場合の単位数は、2∼4単位が圧倒的である。
42
1
1
ハング ル語
フ ラ ン ス語
1
ス ペイ ン語
3
ロシ ア 語
4
中国語
ド イ ツ語
50
40
30
20
10
0
必修単位数
5単位
2単位
4単位
3単位
3.1.14. 英語以外の外国語教員は何人ですか?
英語以外の外国語教員の数は、常勤、非常勤とも1人ないし 2 人のところが多いようである。1校
だけ、5人の常勤と5人の非常勤がいる高専があるが、これは国際流通学科を持つ富山商船高専
で、例外といえるだろう。
常勤
非常勤
3人 5人
2人
3人
0人
4人
5人
0人
2人
1人
1人
3.2. 高専の英語教育カリキュラムの現状
実際に、各高専の英語教育カリキュラムがどうなっているかを知るため、アンケート調査の第2部
としてカリキュラムの実情を調査した。
3.2.1. 学年別英語単位数
はじめに、各高専における学年別の開講単位数を調べた。次の表は、その集計結果である1。な
お、文系学科を持つ福島高専、富山商船高専、宇部高専については、理系学科と文系学科のカリ
キュラムが大きく違うため、それぞれ別のデータとして扱った。
1
1年生と2年生で英語が選択科目となっている高専はないので、これに係る欄は省略
13
単位数
1年 2年
3年
4年
必
5
6
6
6
5
6
5
6
5
6
6
必
5
5
4
5
5
6
5
5
5
6
6
必
4
4
4
4
4
4
3
3
4
4
4
9
10
6
5
5
5
6
5
6
6
6
6
6
6
5
5
5
5
4
5
4
5
5
4
5
6
5
4
4
4
4
4
4
3
3
4
4
4
6
2
流通学科)
8
8
5
4
石川
福井
鈴鹿
鳥羽商船
奈良
和歌山
明石
津山
米子
松江
呉高専
大島商船
徳山
宇部
宇部(経営学科)
阿南
高松
詫間電波
6
5
6
6
5
6
6
5
6
5
6
6
5
6
6
5
6
5
4
4
5
5
5
5
4
5
5
5
5
6
5
5
5
5
5
5
4
4
6
4
3
4
3
3
4
3
3
4
5
3
5
4
4
4
2
2
0
4
3
2
2
2
2
2
2
2
2
5
2
2
3
2
旭川
釧路
苫小牧
函館
八戸
秋田
一関
仙台電波
宮城
鶴岡
福島
福島(コミュニ
ケーション学科)
長岡高専
茨城
小山
群馬
木更津
東京
沼津
岐阜
豊田
長野
富山高専
富山商船
富山商船(国際
選
2
1
必
3
2
2
2
3
2
2
3
選
2
3
2
1
4
2
2
1
14
必
1
2
2
2
1
2
1
0
2
2
2
4
8
4
2
2
2
4
3
2
2
4
2
2
2
2
2
6
2
2
3
3
2
3
0
1
0
0
2
2
4
4
計
5
5
4
3
3
2
2
3
4
2
2
2
4
3
2
4
10
3
2
2
4
4
4
3
2
2
3
2
2
2
2
2
5年
4
8
2
2
1
1
選
2
3
2
計
2
4
4
2
2
5
2
2
4
3
2
必
17
18
18
19
17
20
15
17
14
19
20
選
4
8
4
1
3
3
2
2
8
2
0
計
21
26
22
20
20
23
17
19
22
21
20
1
1
25
2
27
6
2
1
6
2
1
2
5
6
1
2
3
6
1
1
16
14
17
18
14
16
17
18
19
17
18
19
6
6
1
0
9
14
1
0
0
8
3
2
22
20
18
18
23
30
18
18
19
25
21
21
6
29
6
35
2
3
2
1
4
4
3
2
12
3
2
0
4
4
1
2
3
3
18
18
17
20
16
17
17
17
17
17
17
18
19
21
19
18
18
16
0
0
4
0
4
4
1
2
12
1
1
0
2
3
0
0
7
4
18
18
21
20
20
21
18
19
29
18
18
18
21
24
19
18
25
20
2
3
2
2
4
2
2
5
6
1
2
3
0
0
1
2
1
0
2
2
1
2
0
0
合計
6
1
2
2
4
4
1
12
1
1
2
2
3
3
単位数
1年 2年
新居浜
高知
北九州
久留米
佐世保
有明
熊本電波
大分
八代
都城
鹿児島
札幌市立
都立航空
都立
大阪府立
神戸市立
近畿大学
育英
平均
必
6
6
6
6
6
5
5
6
6
6
5
4
6
6
5
5
6
5
5.7
必
5
5
6
5
6
4
5
4
5
6
6
4
4
6
5
5
5
5
5.1
3年
必
3
3
2
4
4
0
4
4
5
4
4
4
4
3
4
5
5
4
3.9
4年
選
5年
必 選 計 必 選 計 必
2
2
2
1
3 18
3
3
1
1
2 18
3
1
4
3
3 20
2
2
0
2
2 17
2
2
0
0 18
5
0
2
2
0
3
3
9
2
2
2
1
3 18
2
1
3
0
6
6 16
2
2
0
0 18
2
2
4
0
2
2 18
2
2
3
3 20
4
4
3
3 19
2
2
0
2
2 16
2
2
0
4
4 17
0
8
8
0
2
2 14
2
2
0
4
4 17
3
3
0
2
2 19
2
2
4
6
2
4
6 18
2.8 2.2 2.7 3.1 1.2 2.8 3.0 17.7
合計
選 計
1
19
1
19
1
21
2
19
0
18
10 19
1
19
7
23
0
18
4
22
0
20
0
19
2
18
4
21
10 24
4
21
2
21
10 28
3.3 21.0
上の表からわかる通り、高専における英語授業の単位数は、高学年になるにしたがって明らか
に減少している。必修とされる単位数だけを見ると、1,2年生では5単位から6単位あるものの、3
年生では4単位を切り、5年生にいたっては必修科目にもなっていないという高専がかなりある。高
学年における英語は選択科目として扱っている高専が多いが、必修と選択を合わせた時間数でも
3単位ほどである2。いずれにしてもこれらの数字は、高等学校(普通科)の3年間で約 18 単位、大
学(一般教養)でおおむね6∼8 単位が必修とされていることを考えると、かなり少ないと言わざるを
得ない。特に、卒業学年である5年生での英語の授業が少ないのは、就職先の企業、あるいは進
学先の大学における高専生の英語力の評価を落とす大きな原因になっていると考えられる。
3.2.2. 授業の内容
次に、それぞれの高専ではどのような内容の授業が行われているかを調べるため、それぞれの
科目が何を目指しているかということを選択式に回答してもらった。その結果が下のグラフである。
数値は単位数である。回答の得られた全高専で開講されている英語の授業が、おもにどのよう
な内容を扱っているかを、いくつかのカテゴリーに分けて回答してもらった。下のグラフでは、どのよ
うな目的の授業が何単位開講されているかを実数で表している。ただし、1つの科目が、たとえば
「講読」と「英作文」のように複数の目的で行われる場合もあるので、その場合には両方に点数を加
算した。したがって数値の合計は全開講単位数の総数とは一致しない。
2
選択科目として開講されているものをすべて履修できるわけではないので、実際にはもっと少
ない数字になるはずである。
15
1000
800
600
400
200
0
単位数
講読 文法
OC
848
285
661
英会 時事
英検 編入 その
作文 発音
話 英語
対策 学
他
286 113 455 355 149
33
143
このグラフからは、やはり講読と文法が重視されていることがわかる。次に作文、発音、英会話、
オーラル・コミュニケーション(OC)と続くが、講読と文法の2つ、および OC、英会話、発音の3つは
1つの授業でまとめて扱われることが多いようである。
3.3. 高専英語教員の意識調査
3.3.1. 高専での英語教育はどれくらい重要だと思いますか。きわめて重要(5)から、全く不要
(1)まで、あてはまる数字に○を付けてください。
まず最初に、英語教育自体の重要性を英語教員がどう考えているかを明らかにしようとした。こ
の結果、9割を超える英語教員が、英語教育を重要と考えていることがわかる。しかも「不要(全く不
要)」と考えている英語教員はほとんどいないということもわかる。
3
7.2%
2
0.4%
5
44.3%
4
48.1%
3.3.2. 高専においては、高校や大学とは違った高専独自の英語教育があるべきだと思います
か?
次に、本研究のテーマである「高専独自の英語教育」について質問してみた。このようなものが
必要かどうかという質問であったが、全体の7割近くが、高専独自の英語教育の必要性を感じてい
るということがわかった。このことは、本研究を進める上で大きな推進力となるであろう。
強く思う
12%
全然思わない
5%
思わない
19%
わからない
9%
思う
55%
16
3.3.3. 以下に挙げた英語の技能や知識などは、高専の学生にとってどれくらい重要だと思いま
すか。きわめて重要(5)から、全く不要(1)まで、それぞれあてはまる数字に○を付けてく
ださい。また、他に特に重要だと思われるものがあれば、「その他」の欄にお書きください。
[技能・知識]
a) 聞き取り(リスニング)技能
b) 発話(スピーキング)技能
c) 読解(リーディング)技能
d) 作文(ライティング)技能
e) 発音の知識
f) 語彙の知識
g) 文法の知識
h) 異文化の知識(国際理解)
[授業内容]
i) 学生の専門科目に関する英語
j) 一般的な科学に関する英語
k) 工業英検のための工業英語
l) 英検等の資格(工業英検を除く)取得のための英語
m) 文学作品などを鑑賞するための英語
n) 日常会話のための口語英語
o) 大学編入などのための受験英語
この質問は、英語教育における様々な要素について、英語教員自身がそれらをどの程度重要と
考えているかを調べるものである。英語教員へのアンケートだけでなく、企業と大学へのアンケート
にも同じような内容の項目を設けることにより、学生を教育する高専英語教員側と、それを受け入れ
る側との意識のずれがないかどうかを調べることも大きな目的とする。なお、グラフの縦軸は、それ
ぞれの項目についての回答をそのまま得点化し、これを平均した値である。
アンケートの結果からは、英語の授業においては、読むこと(reading)をもっとも重視していること
がわかる。続いて聞くこと(listening)、語彙、の順であり、最も重要度の低いのが発音であった。
5.00
4.00
3.00
2.00
1.00
リスニング
平均
4.14
スピーキ リーディン ライティン
ング
グ
グ
3.90
4.46
4.07
発音
語彙
文法
異文化
3.42
4.12
3.83
3.86
次に、どのような種類の英語が重要だと思うかという質問に対しては、専門科目に関する英語や
一般科学に関する英語が重要と見られていることから、高専特有の傾向が現れているといえる。た
だし、日常会話の英語というのもほぼ同じように重要と考えられており、このあたりのバランスをどうと
っていくかが課題となろう。
17
5.00
4.00
3.00
2.00
1.00
専門科目
4.04
平均
一般科学
3.95
工業英語
3.51
資格取得
3.70
文学鑑賞
2.71
日常会話
3.76
受験英語
3.37
3.3.4. 貴校の現在の英語の単位数についてどう思いますか? 学年別にお答えください。
高専の英語教育カリキュラムでは、必修となる英語の単位数そのものが少ないと言われる。この
質問は、高専英語教員がこの単位数についてどう考えているかを調べるものである。この結果から、
1,2年生の低学年における英語の単位数は「適当」と考えている教員が多いことと、3年生以上の
高学年になるほど「少ない」と考える割合が増加することがわかる。
200
150
100
多い
50
やや多い
適当
0
やや少ない
少ない
1年生
2年生
3年生
4年生
5年生
3.3.5. あなたが考える理想の単位数はいくつですか? 学年別にお答えください。
(高専の現状を考慮し、実現可能と思われる範囲でお答えください)
前の質問から、高専での英語の単位数が全体的に「少ない」と教員が感じていることがわかるが、
ではどれくらいの単位数を理想と考えているのかを聞いたのがこの質問である。この結果から、低
学年(1,2年生)においては5∼6単位でちょうどよいと考えており、これは高専の現状と合致してい
るといえる。しかし、3年生以上の学年では、3∼4単位が理想と考えられており、やはり現状と合っ
ていないことがわかる。しかし、低学年と高学年の単位数のバランスという点からは、低学年に比べ
て高学年の方がやはり単位数は少なくてよいということを教員自身が考えていることも事実のようで
ある。
18
250
200
150
100
7∼8単位
50
5∼6単位
0
3∼4単位
1∼2単位
1年生
2年生
3年生
4年生
5年生
3.3.6. 高専の学生の英語学習の目的(動機)は,次のうちのどれに当てはまると感じられますか。
よくあてはまるものに○、当てはまらないものに×、どちらともいえないものには△を記入
して下さい。
この質問は、高専の英語教員が、高専生の英語学習の目的をどうとらえているかを調べるため
のものである。この結果からは、高専の英語教員の多くが、学生の英語学習の動機を「卒業単位の
ため」と考えていることがわかる。ただ、実際に学生がどう考えているかは、学生自身に対する調査
ををして明らかにする必要があるが、いずれにしても教員側がこのように考えて英語教育を行なっ
ているということは、教員・学生双方にとってあまり望ましいことであるとは言えない。
○
高等教育機関の学生としてのプライド
留学や海外旅行をする可能性があるので
将来の仕事に必要だから
将来に備えて資格試験などに合格したいから
卒業に必要な単位数を取得するため
専門科目の文献を読むのに必要と感じて
英語がそもそも好きだから
0%
20%
△
40%
×
60%
80%
100%
3.3.7. 高専の学生には、卒業時にどの程度の英語実用(運用)能力を期待しますか?
実際に学生を教えている教員が、どれくらいの目標を持っているかをたずねた。これによれば、
高専教員が学生に期待する英語力は、英検 2 級、工業英検3級、TOEIC500∼600 点というレベ
ルが最も多いことがわかる。
19
準2級
16%
3級
1%
4級
3%
準1級
4%
3級
85%
2級
79%
∼700
3%
2級 準2級
11% 1%
∼800
1%
∼400
10%
∼600
29%
∼500
57%
3.3.8. 貴校では、上記の目標は現実に達成されていると思いますか?
英語教員として、学生に期待する英語力という目標は、実際に達成されているのかどうかを、教
員の自己判断で回答してもらったところ、下のような極端な結果となった。すなわち、全体の約9割
が、教員自らの考える英語力の目標値に学生が「ほとんど達成されていない」「あまり達成されてい
ない」と感じ、約1割がその「半数が達成」していると考えているにとどまった。それ以外の「全員達
成」「おおむね達成」という回答は皆無であった。
半数が達成
9%
ほとんど達成さ
れていない
23%
あまり達成され
ていない
68%
3.3.9. 貴校の学生は,どの程度の英語実用(運用)能力を身に付けて卒業していると推測され
ますか?
前問で、ほとんどの高専の英語教員は、学生が教員自身の考える英語力を身につけていないと
考えていることがわかった。では、教員は学生の実際の英語力をどう評価しているのだろうか。これ
を尋ねた結果が下のグラフである。これによれば、教員は、高専生が卒業時に身につけている英
語力は、平均すれば英検準 2 級∼3 級、工業英検 4 級、TOEIC300∼400 点ぐらい、最も良い学
生で英検 2 級、工業英検 3 級、TOEIC500∼600 点ぐらいであるということになる。この結果を、
3.3.7 の質問の回答と突き合わせると、結局、卒業生のうち最も高いレベルの学生が、英語教員の
考える英語力の目標値を達成しているということになる。
20
英検−平均
4級
1%
準1級
1%
工業英検−平均
2級
4%
3級
37%
2級
1%
準2級
57%
3級
24%
4級
75%
TOEIC−平均
∼500
11%
∼600
1%
∼700
1%
∼300
36%
∼400
51%
工業英検−最高
英検−最高
準2級
3%
1級
3%
4級
1%
準1級
26%
3級
70%
2級
68%
2級
28%
準2級
1%
TOEIC−最高
∼700
11%
∼800
13%
801∼ ∼400
5%
1%
∼500
37%
∼600
33%
3.3.10. 高専での英語の教材に関する以下の記述のうち、賛成できるものに○,反対するものに
×、どちらともいえないものには△を記入して下さい。
a) 低学年では検定教科書を使うべきだ
b) 教材は市販の教科書で満足している
c) 「高専のための英語教科書」を作るべきだ
d) ビデオなどのマルチメディア教材をもっと活用すべきだ
e) 文字教材よりも音声教材を多用すべきだ
ここからは教材に関する質問である。学会での話題や、本研究グループ内などで出された意見
を、各高専の教員に賛否を問う形で質問した。この結果、検定教科書の支持率が高いこと、マルチ
メディア教材に対する期待が大きいことが伺われる。この反面、市販の教材(検定教科書を除く)に
対する満足度が低い。高専英語教員の間では、特に高学年で使用する教材に困るという声がよく
聞かれるが、下の結果はこれを裏付けている。
また、a)と b)を総合した結果が c)だと見ることもできる。すなわち、検定教科書は推奨するが、市
販教科書には満足がいかないという葛藤が、「高専のための英語教科書」というものに懐疑的にな
り、「どちらともいえない」という回答の多さに現れていると言えよう。
21
○
59.7
低学年では検定教科書を使うべきだ
教材は市販の教科書で満足している 18.6
「高専のための英語教科書」を作るべきだ
×
34.6
58.7
27.5
ビデオなどのマルチメディア教材をもっと活
用すべきだ
文字教材よりも音声教材を多用すべきだ
△
5.8
22.7
51.6
60.1
18
36.2
66.8
0%
20.9
50%
3.7
15.2
100%
3.3.11. 以下に挙げるものの中で、英語授業のための素材(teaching material)としてぜひ使いた
いと思うものに○,使いたくないものに×、どちらともいえないものには△を記入して下さ
い。
a) 「英語I」などの検定教科書
b) 文法問題集
c) 英単語集
d) 大学入試問題集
e) 英字新聞
f) 英語のニュース(録音・録画)
g) 英文雑誌(TIME, Newsweek など)
h) 英文雑誌(一般雑誌)
i) 英文原書(ペーパーバック本など)
j) 映画(洋画など、英語のもの)
k) 音楽(歌など、英語のもの)
l) インターネット(メールを除く)
m) 電子メール
前問に続き、この質問では英語授業に使えそうな素材を具体的に列挙し、どのようなものが好ま
れるかを調べた。この結果、全体の約7割は検定教科書を好むようである。それ以外では、半数前
後の英語教員が「使いたい」と答えたもの(文法問題集、英単語集、英字新聞、英語のニュース、
映画、音楽、インターネット、電子メール)と、あまり好まれないもの(大学入試問題集、雑誌類、原
書)に分かれた。特筆すべきは、電子メールを含むコンピュータネットワークを英語の授業に利用し
たいという英語教員が全体の約半数に上るということである。コンピュータ教育利用の黎明期に問
題とされた、教員のいわゆるコンピュータアレルギーは、すでに過去のものになりつつあるということ
を物語っていると言えよう。
22
○
文法問題集
44
英単語集
42.9
大学入試問題集 8.2
42.4
5.3
43
30
7.4
46.9
30.9
英文雑誌(一般雑誌)
23.8
55.3
52.3
英語のニュース(録音・録画)
5.3
15.2
33.3
49.6
英文雑誌(TIME, Newsweekなど)
23
49.8
17.3
19.3
52.3
30.5
49.4
42.8
7.8
49
42.4
8.6
音楽(歌など、英語のもの)
54.3
インターネット(メールを除く)
39.9
50
電子メール
0%
30
40.7
36.5
英字新聞
映画(洋画など、英語のもの)
×
64.6
「英語I」などの検定教科書
英文原書(ペーパーバック本など)
△
41.2
20%
40%
60%
5.8
8.8
80%
100%
3.3.12. 以下の学習活動のうち、あなたの授業(課題・宿題等を含む)で普段よく行われるものに
○,行われないものに×、ときどき行うものには△を記入して下さい。
a) 教科書などの英文を和訳させる
b) 教科書などの英文を音読させる
c) 教科書などの本文全体を暗唱させる
d) 教科書などの例文(単文)を暗唱させる
e) 日本語の文章を英訳させる
f) エッセイなどの自由英作文をさせる
g) ディクテーション
h) 文法などの問題集を解かせる
i) 学生同士で(英語)会話をさせる
j) 教科書付属のテープなどを聴かせる
この質問は、英語教員が実際に授業でどのような活動を行なっているかを具体的に調べたもの
である。この中で圧倒的に多いのは、音読、和訳、そして教科書付属のテープを聴かせることであ
った。その善し悪しはともかくとして、いわゆる「伝統的な」英語の授業形態を思い起こさせる結果と
なったことは興味深い。
23
○
△
×
教科書などの英文を和訳させる
教科書などの英文を音読させる
教科書などの本文全体を暗唱させる
教科書などの例文(単文)を暗唱させる
日本語の文章を英訳させる
エッセイなどの自由英作文をさせる
ディクテーション
文法などの問題集を解かせる
学生同士で(英語)会話をさせる
教科書付属のテープなどを聴かせる
0%
20%
40%
60%
80%
100%
3.3.13. 授業中の指示、説明などにどのくらい英語を使いますか?(本文の音読などは除く)
「英語の授業を英語で行なう」ということが一時期話題になったことがあったが、高専英語教育に
おいてそれが成立するかどうかはまだ判断できる段階にはない。現実問題として、授業の半分以
上を英語で行なっているのは全教員の 6%にすぎず、実際に英語の授業を英語で行なうことには
何らかの問題があるようである。つまり、英語による授業を「やらない」のか「やれない」のかを明らか
にするとともに、そのような授業をやった場合とやらない場合の成果の違いも今後の研究課題であ
る。
全く使わない
14%
全て英語
1%
半分以上は英語
5%
ある程度使う
34%
あまり使わない
46%
24
4. 企業における英語の重要性に関する調査
4.1. 調査対象企業
4.1.1. 貴社の業種を以下から選び、該当する番号に○をお付けください。
業種は全国の高専に設置された各専門学科の典型的な分類にしたがった。これにより企業全般
の傾向を捉えると同時に、高専の各専門学科の教員にとっても示唆するものが読み取りやすくなる
ようにした。また、アンケートを依頼した企業は無作為抽出によるものではあったが、以下のグラフ
が示すように各業種をバランスよく網羅しているといえる。
その他
12%
機械系
20%
建築・土木系
16%
化学系
9%
電気・電子系
27%
情報系
16%
4.1.2. 貴社の従業員数を以下から選び、該当する番号に○をお付けください。
企業規模でみると、アンケートの回答が得られた会社の内訳は、従業員数 501 名以上のいわゆ
る「大企業」と 500 名以下の「中小企業」がおよそ半数ずつとなっている。したがってこのアンケート
に対する回答は大・中・小それぞれの企業の声をバランスよく反映していると言える。なお(2)の回
答数を合計すると企業総数が 448 社となるが、これは無回答の企業があった結果であり、実際の
回答企業数は設問(1)の「総数」にある 451 社である。
10人未満
2%
10∼50
12%
501以上
46%
51∼100
8%
101∼500
32%
4.2. 企業における英語の重要性について
4.2.1. 貴社の企業活動にとって英語は重要ですか? 該当する番号に○をお付けください。
「全社員にとって重要」と「特定部門社員にとって重要」を合わせると、75%の会社が企業活動
上「英語は重要である」と回答している。
25
全社員にとっ
て重要
19%
あまり重要で
ない
25%
特定部門社員
にとって重要
56%
業種別に見てみると、「機械系」「電気・電子系」「情報系」「化学系」の4つの業種で 80%以上の
企業が、「社員全体」と「特定部門」の違いはあるものの、英語を何らかの形で重要と捉えていること
がわかる。
ただ、全体的に英語が重要視される傾向にあって、唯一「建築・土木系」企業は例外といえる。
自由記述においても「業務に直結しない」等の回答が得られており(4.4 自由記述を参照)、英語
の重要性はそれほど高くないようである。
100%
80%
60%
40%
20%
0%
機械 電気・
系
電子
21
19
62
87
27
41
あまり重要でない
特定部門社員にとって重要
全社員にとって重要
情報
系
11
47
28
化学 建築・
その他
系
土木
7
50
23
31
35
38
14
4
5
また企業規模別で見ると、企業規模が大きくなるにつれて英語を重要であると捉える傾向が強
い。特に 501 名以上のいわゆる「大企業」では英語を重要であると捉える企業が 90%を超えている。
100%
50%
0%
10∼
50
51∼ 101∼ 501以
100
500
上
あまり重要でない
29
19
42
19
特定部門社員にとっ
て重要
20
16
83
127
全社員にとって重要
5
1
17
59
4.2.2. どのような場面で重要ですか?(複数回答可)
英語が重要な場面としては「海外業務・技術交流において」と回答した企業が最も多く、業務遂
行の上で「英文による資料収集や電子メール・FAX の読み書き」を必要とする企業もほぼ同数に上
26
っている。また「対面交渉」や「電話での対応」などオーラル面での英語を必要とする場面もかなり
の数に上るようである。
この設問は、企業活動において「読む」「書く」「聞く」「話す」のいわゆる4技能のうち、特にどの
技能が必要とされるかを浮かび上がらせようとする意図で回答を求めたものであるが、特定技能へ
の偏りは窺えず、結局4技能とも必要であることが判明した。更に「社内の社員同士のコミュニケー
ションが英語」でなされている企業が 451 社中 26 社あり、「社内の公用語が英語」になっている企
業も既に登場している。企業の国際化が加速する現代において、この傾向はさらに強まっていくこ
とが予想される。
社内での公用語が英語
1
142
対面交渉(商談など)
社員同士のコミュニケーション
26
272
海外での業務・技術交流
英文マニュアル作成
116
251
資料・情報収集
電子メール・FAXの読み書き
208
165
電話での応対
0
100
200
300
なお質問項目以外に英語が必要とされる場面の例も自由記述によってわかった。この例を、下
に掲げておく。
朝礼・会議等のスピーチ〈全社レベルアップの為〉
購買部などで海外の原材料仕入
英文の機器(測定器)の使用
海外規格団体による査察対応
海外勤務
英文仕様書の読解
出向先の公用語が英語
設備説明書、図面はすべて英文である
将来の業務上の海外派遣者として、大学、高専の人材を考慮している
マニュアル解説、英語ソフト使用
アテンド時、新規ラインの導入時など
取材など
試験計画書、報告書の作成
海外よりの受け入れ実習
現状ではあまり重要ではないが今後は必要となる
海外勤務、国内にでも外資顧客対応にて不可欠
半導体装置等の説明書はすべて英文
社内に中国国籍の人がいるが、国際電話が入ったときの対応として英語が必要である。
ソフト開発の際に海外のメーカーやアプリケーションを使用することがあります。
業種別に集計した結果からも、企業全体を概観したときと同様に、英語が必要とされる場面には
業種間による際だった差異がないことが読みとれる。このことは、高専の英語教育において、各専
27
門分野(学科)に特化した英語教育というものを考える必要はないということを示唆する。
1.電話での応対
機械系
2.電子メール・FAXの読み書き
電気・電子系
3.資料・情報収集
情報系
4.英文マニュアル作成
化学系
5.海外での業務・技術交流
建築・土木系
6.社員同士のコミュニケーション
その他
0%
7.対面交渉(商談など)
20%
40%
60%
80%
100%
8.社内での公用語が英語
4.2.3. 社員採用を決める際に英語力をどの程度考慮しますか?
社員採用時の英語力を「考慮する」は、「大いに考慮する」と「ある程度考慮する」を合わせて
44%であるのに対し、「考慮しない」は、「全く考慮しない」と「あまり考慮しない」を合わせて 37%と
なっている。この結果からは、「英語力を考慮する」企業の数と「考慮しない」企業の数に大きな開き
はないように見える。しかし、上記(2)において「企業活動上、英語は重要である」と回答した企業
が多かったことを考えると、今後は採用に英語力を考慮する企業が増加し、両者の差は今後拡大
していくと予想される。
全く考慮しない 大いに考慮する
3%
8%
あまり考慮しない
29%
ある程度考慮する
41%
どちらとも言えない
19%
4.2.4. 採用を決める際に以下の資格を考慮していますか?
採用時に英語力を考慮する企業(15+181=196 社)の中で、TOEIC などの資格を「どれも考
慮しない」企業数が 38 社あるが、これは別の角度から見るといずれかの資格を考慮する企業が
80%を超えているということでもある。中でも TOEIC の点数を考慮すると答えた企業が 196 社中
142 社(72.4%)と一番多く、以下英検 49.0%、工業英検 9.7%の順となっている。従来日本社会
で英語力を計る尺度は「英検(実用英語技能検定試験)」であったが、最近は日本だけでなく世界
50 カ国以上で通用する「TOEIC」を英語力測定の尺度として利用する企業が増加していることが
判る。高専ではよく取り上げられる「工業英検」であるが、企業採用時の参考にされる割合は少ない
ようである。なお、ここに挙げた資格以外に採用時に考慮される試験等としては、TOEFL、学校で
の成績、留学経験、実際に話せるかどうか、などの記述回答があった。
28
実用英語技能検定試験(英検)
工業英検
TOEIC
どれも考慮していない
0
50
100
150
4.2.5. 採用試験の中で英語の試験を課していますか?(一般教養試験の一部としての英語を
除く)
この質問に「はい」と回答した企業、すなわち採用試験で企業独自に英語試験を課しているのは
73 社であった。この数値は「資格を考慮する」と回答した 158 社(すなわち、社員採用時に「英語力
を考慮する」と回答した 196 社から「資格は考慮しない」と回答した 38 社を引いた数)に比べ、半数
にも満たない。このことから、多くの企業は社員採用時の英語力判断基準として独自の試験を課す
よりも資格試験を利用する傾向があるのではないかと推察される。英語の試験作成準備、採点・評
価にかかる手間暇や、自社作成テストの客観的信頼性などを考慮すれば、ちょうど大学入試センタ
ー試験を利用する私立大学が増加の一途を辿っているのにも類似して、この傾向は今後も勢いを
増すかもしれない。ちなみに、採用試験での試験形式は、実施している企業のほぼ9割が筆記試
験であった。
4.2.6. 内定後、入社までの間に英語の課題を与えていますか?
全回答中 49 社が入社時までの内定期間中に英語学習を促すと回答している。この数を多いと
見るか少ないと見るかは判断に迷うところだが、このような企業が全体の約1割あるということは学生
にも周知させておくべきだろう。
4.3. 高専卒社員の英語力について
4.3.1. 高専卒社員(入社時)の英語力に満足されていますか?
高専卒社員の入社時における英語力に対し「何とも言えない」が 72%で大半を占めグラフ上で
も一際目立っている。これはアンケート回答者が「高専卒社員の入社当時の英語力を知る機会が
なかった」「誰が高専卒社員なのかを把握しにくかった」など、回答者側にとって答えにくい要素が
あったことに起因するのかもしれない。ただいずれにせよ「やや不満」と「不満」を合わせて4分の1
にあたる 25%の企業が「高専卒社員の英語力には不満」と回答しているという結果は真摯に受け
止めなくてはならない。
やや不満
16%
不満
9%
おおむね満足
3%
何とも言えない
72%
4.3.2. 以下に挙げた技能・知識などについてどの程度満足されていますか?
満足を「5」、不満を「1」とする尺度で、もっとも評価された「読む力」ですら 2.60 に留まり、全項目
を平均しても 2.28 と、全体的に高専卒社員の英語力は低いと見なされていることがわかり、上記
29
(1)の回答を裏付ける結果となっている。「話す力」「聞く力」「発音」などが低いことはある程度予想
されたが、「読む力」「書く力」すらも企業から見て満足のいくレベルに達していないことが判明した。
これは高専における英語教育が従来のあり方のままでは通用せず、今まさに変革の時期を迎えて
いることを如実に物語るデータであると言えよう。
5.00
4.00
3.00
2.00
異 文 化 の知 識
文法力
単語力
発音
書 く力
読 む力
話す力
聞 く力
1.00
4.3.3. 貴社の高専卒社員の英語力(入社時)を評価するとすれば以下のどれに最も近いです
か?
この質問に回答した企業は全体のほぼ4分の1程度であったが、回答のあったデータに限って
判断すると、企業は高専卒社員の入社時の英語力を、英検の3級から2級、または TOEIC の 300
点台と判断しているようである。
1級
準1級
0
700-799
29
400-499
10
40
300-399
58
20
17
500-599
36
3級
0
13
600-699
2
2級
準2級
5
40
13
300未満
0
60
10
20
30
40
4.3.4. 貴社の高専卒社員に入社時求められる英語力は以下のどれに最も近いですか?
前問の回答とは裏腹に、企業が求める英語力は、英検の場合は「2級」、TOEIC ならば 500 点
前後であることが読み取れる。限られた回答数ではあるが、高専卒社員の英語力に対して企業の
満足度が低いことをあらためて数値で示した結果だと解釈できる。
30
1級
準1級
3
700-799
0
600-699
65
2級
15
準2級
0
19
500-599
48
400-499
46
11
300-399
25
3級
1
20
300未満
40
60
0
80
2
20
40
60
4.3.5. 以下に挙げる項目は高専卒社員にとってどの程度重要ですか?
高専卒社員にとっては「業務に直結する英語」や「技術一般に関する英語」が重要とされ、「日常
会話のための口語英語」もこれら二つに劣らず重要であると見なされていることが窺える。このこと
は従来の読み書き中心の指導に加え、オーラルコミュニケーション能力の養成にも力を注ぐ必要が
あることを示唆している。ある意味では当然であるが、この項目に対する回答結果 4.2.2「どんな場
面で英語が重要ですか?」の結果とほぼ一致する。また採用時にかなりの割合で支持された
TOEIC などの資格試験であるが、このグラフではさほど重要視されていないことがわかる。おそら
くその得点自体に重要性があるのではなく、あくまで業務遂行の前提となる尺度として位置づけら
れているのであろう。また「文学作品などを鑑賞するための英語」も否定されているわけではないよ
うである。
5
4
3
2
日 常 会 話 の た め の口 語
英語
文学作品な どを鑑賞す
る た め の英 語
ニ ュー ス ・新 聞 な ど の
時事英語
資 格 取 得 ︵英 検 ・
T O E I Cな ど ︶の た
め の英 語
技 術 一 般 に関 す る 英 語
業 務 に直 結 す る 英 語
1
4.4. 自由記述回答
意
見
業種
従業員数
高専出身の方の技術力は大卒学生にもひけをとらないと思います。英語力についての 電 気 ・ 電 500∼
能力の向上をぜひ期待しております。
子、情報
31
意
見
業種
従業員数
下記に求める明確な基準はありませんが語学力の向上により、本人の仕事の活動分野. 電 気 ・ 電 500∼
可能性は広がります
子、化学
英語教育は語学だから、まずは話せること、聞くことから始めるべきであると考えます。 電気・電子 ∼500
アメリカやイギリスに生まれれば1∼2才の子供でも英語を話し、中国や台湾に生まれ
れば中国語(北京語)を話します。これと同様の方法でまず簡単な単語・会話を聞き、話
せるようにし、次に読み書きできるようにすることが大切であると考えます。極論すれ
ば、簡単な会話が出来さえすればあとは必要に応じて自然に読み書きできるようになる
はずです。一番ダメなのは丸暗記による発音記号やアクセント、文法教育です。会社の
仕事ではスペルチェックもできるし(PCにて)、翻訳システムも使用できます。わからない
ことは先輩に聞いてもOKです。従来のような英語教育を行うなら不要です。当社の研修
の方がましです(実践的です)。その時間を専門分野の教育に充てて下さい。日常レベ
ルの会話(簡単なことが話せるレベル)で充分ですから、実践的な英語教育をぜひ行っ
て下さい。カタカナ発音でもOK。単語だけでもOK。まずは自分の口で少しでも話せるだ
けでもOKです。
①使える英語は留学が良いと思う。海外での留学は将来の糧になる
電気・電子 ∼500
②英語の技術資料、文献の読解力も業種によっては必要
昨今の製造業は海外進出などに伴い、外国語が非常に重要になります。中でも、国際 電気・電子 ∼500
標準の英語力が必要不可欠かと思っています。高専生に望むことは、第一に日常会話
程度でよいので(コミニュケーションがとれる程度)英語に親しんでおくことを最低限望み
ます。第二に辞書を片手にでも専門書などに書かれていることを読むことができること。
これは専門書やインターネットで資料を見ることが多いためです。内容の理解は入社後
でOKです。
高専教育期間にTOEICの試験を受けることの義務付けをしたらよいと思う。たとえば3 電気・電子 ∼50
年4年5年生で。全員参加する。
IT社会の急速な発展に伴い、技術文書を原文で読む(読まざるを得ない)機会が非常に 情報系
∼500
多くなっています。授業の中で、技術英語を取り入れれば、社会人になってからのスキ
ルアップにも抵抗なく取り組めるのではないでしょうか。
英語という表面的なスキルはあまり重要と感じていない。自分でビジネス全体をとらえる 情報系
∼50
力と、クライアントのニーズを満たす想像力を必要と考える。当社はスタッフ一人一人が
経営者的な立場を取り自己のプロジェクトを完結させている。雇われる感覚の人間は一
切必要としない。英語を「使える」と「使えない」では当然使えるに越したことはない。当
社の業界では特に即戦力を求める感が強い。貴校の育成プログラムに反映されること
を願います。
当社では業務上たまたま英語力を必要とはしていませんが、一般論として、日常会話が 建築・土木 500∼
ある程度出来るようにしておく必要はあると思います.ただ、今後技術者としてさらに上
〔たとえば大学院〕などに進みたいときには、論文の読み書きはどうしても必要となりま
す。自己啓発の一環としても TOEIC500 点程度のレベルを目標としたほうがいいと思い
ます。
基本的に国内勤務のを規定しているため、英語力は現在のところ問題としておりません 建築・土木 500∼
現在、弊社の業務と英語力との結びつきはありません。したがって、採用の際にも、英 建築・土木 ∼500
語力に関し考慮しておりません。しかし、今後は必要になってくる可能性もありますし国
際化する社会の中で必要性は急速に高まることでしょうし、間接的な面で他文化、多様
な人種との協調性など英語で学ぶことで身に付けることも多いと思います。
一般常識としての入社試験を実施しているが、国語・数学・英語の内、国語の漢字の書 建築・土木 ∼500
き取りおよび読みとりの点数も一般的に高専生は低い。英語力が身に付いていれば尚
可であるが、母国語を正しく理解使えてこそ語学力もアップできると思われる。
国際社会の観点から英語は非常に重要であるのは確かであるが、5年間英語を学んで 建築・土木 ∼50
きたにもかかわらず、英語力が付かないのは全般的社会と同じく英語教育に問題があ
ると思える。何のための英語なのかという目的をはっきりとさせ、そのためにどうすると
いう行動のカリキュラムが必要でしょう。言うまでもないと思われるでしょうが、若い学生
を指導される先生方に今後の未来が託されると思います。よろしくお願いいたします。
我社の場合、建設業であるので、高専卒の人も何人かいますが、特に仕事に英語能力 建築・土木 ∼100
を問う業種ではありません。
32
意
見
業種
従業員数
高専に限ったことではなく工業系の学生の英語の理解力が落ちているように感じており 機 械 、 電 500∼
ます。教育において必要性の認識を学生にもたせることが第一だと考えております。
気・電子
高専の学生は、自分の英語力を実力より低く考えているのでは、と思われます.面接で問 機 械 、 電 500∼
うと、「自信が無い」「不得意」と答える.大学卒の学生は、実力が無いにもかかわらず.極大 気・電子
に表現します.多少の語学力不足があっても、前向きな、積極さを持たせるようにすること
が大事ではないかと考えます.〔ただし、実力のレベルは、知っておく必要有り)
当社では,業務上英語力が必要とされる機会は,いまのところほとんどありません。しか 機 械 、 電 500∼
しながら,今後拡業等により必要となることも考えられます.ビジネス英語(専門用語含 気・電子
め)の力があるのは,頼もしいことと考えています。
◆弊社は、’01 年 8 月 29 日オハイオ州に会社を設立いたしました。自動車のエンジン部 機械
500∼
品を焼結金属で生産します。今後、設備担当、設計担当、品質保証担当が渡米(短期
出張)する機会もあると考え対象予定者へ教育実施する事となりました。
対象者:高専卒以上かつ係長級以上から会社が指名(5∼7 名)
教育機関:6 ヶ月
到達目標:1 人で、渡米⇒宿泊⇒移動⇒帰宅 できる程度の「日常会話力」
講師:英会話学校より派遣していただく(会場は会社内)
◆現地社長【現在工場次長】は高専卒で、英語力ゼロの為、英会話学校で集中特訓で
す⇒「まさか、製造会社で、英語が必要になるなんて考えてもいなかった!!」
◆愛知県の某カーメーカーさんは TOEIC(650?)を係長昇格の要件としている時代です。
◆学生さんに、英語の必要性を十分理解させることから始めていただければと考えま
す。
外国からの問い合わせ(商談等)が増加しており各人、簡単な英会話ができるよう、指導 機械
∼50
教育が必要と思料いたします。
高専の場合、工場採用が主ですので、それを前提とした時は、採用の際に英語力はあ 化学、その 500∼
まり考慮しません。
他
日々の学校における授業にて普通にまじめに取り組んでいればおのずと一定の英語レ 化学
ベルには到着するとものと思います。大学院、大学、高専、高校、ひいては中・小学校に
おいても学生のレベル低下が言われる中、「学生のやる気を引き出す」カリキュラム、授
業づくりに取り組むべきであると感じております。
今までは、あまり英語ができなくても”何とかなった”時代でしたが、これからは違うようで 化学
す。最低限の英語力と英語と外国人に触れる機会を作ってあげてください。目標
TOEIC 550(Writing350,Listening200)。厳しいご指導をお願いします。彼らの未来のた
めに…。
入社時の英語力については、一般的なレベルであれば、まず問題ないと考えます.入社 化学
後ある程度仕事の役割が大きくなるにつれて、英語が必要になる場合が出てきますの
で、それに合わせて身に付けて頂きたいと思っております。よって、学校教育におかれま
しては、英語を学ぶ必要性、やりがいを養っていただきたいと思っています。入社時にあ
る程度出来ても、それから先学習していこうという姿勢が無ければ若い方を採用する意
味が薄れてしまいます。
弊社では高専卒の社員は原則高校卒の同等の扱いとなり(基幹職)、地域事業所にお 化学
ける中堅社員を期待した人事制度となっています。しかしながら職種転換制度という制
度があり基幹職から大学卒以上を対象とした統括職への転換は可能です。現に本年度
も96年度高専卒の1名は転換試験に合格し、統括職へ転換しました。彼の場合、電気
系で弊社ではもっともほしい人材であります。
現在高専卒社員はおりませんのであまりお役に立てませんが、英会話力を高める授業 その他
を増やしていかれたほうがよろしいと思います。
当社は国内用の製造業であり、英語は関係なく、将来必要と考えれば、英語外の、仏、 その他
中、韓等が必要でしょう。なお、当社は従来からこういったアンケートはすべて回答してお
りません。(年間数限りなくあり、やっておるひまが無い)
当社において高専卒社員の場合は染色整理業なので技術的な化学用語及び繊維関係 その他
用語が主流でほとんど高度な英語力は必須ではない!!でも今後受注先商社のバイ
ヤー等とも直接商談等できればこの上ないとおもう。
33
500∼
500∼
500∼
∼500
500∼
500∼
∼500
意
見
業種
入社時当社で採用している問題は、(参考まで)
その他
1.空港へ外人さん(全く初対面の方)を迎えに行く時の会話(全般)を英訳
2.技術系の方には、問題を英語にしたもの。(20 問)
3.高専の方に望むことは、①技術英語は、身につけて欲しい。新しい設備を入れる時、
外人と仕様について打合せる事が多いため。②簡単な会話が出来ると良いと考えま
す。
アンケートにもお答えしましたが、現在当社では特に英語力を必要といたしておりませ その他
ん。しかし、今後ますます国際化が進展してゆくことが確実であってみれば英語力を身に
つけておくに越したことはありません。特に高専卒業生に求めるということではありませ
んが、一般社会人の教養としてさらに必要性が高まるものと思われますので、会話中心
とする実用英語の教育については、小学校から大学にいたるまで各レベルにおいて教
育課程の見直しは必要であろうと思っています。
当社の業務がビルの空調自動制御システムのメンテナンスを主体としたエンジニヤサー その他
ビスであり、現在のところでは、業務遂行上英語を必要としておりません。従いまして、高
専卒を対象とした入社試験では英語を試験科目に入れていないので、資料が無くお役に
立てず残念です。
当社では、今英語を試験科目に取り上げてこそ降りませんが、将来会社の幹部として
活躍するためにも、また会社の枠を出て通用する技術者に育つためには、技術英語の
勉強ができる力を身につけて卒業することが要求されていると考えております。
高専は大学受験がないので英語力が弱い。社会に出て苦労すると思う。初期の高専に その他
比べて学力が低下している。当オフィスには米国人スタッフもいるので英語力は必須。こ
れからは外国人と同僚になる社会がくる。
英語をまったく必要しないため、答えようがありません。大卒、短大卒と比較してあまり その他
にも常識ができていない。英語教育と同じかそれ以上に人との接し方を学ばせたほうが
いいと思います。
国際化の進展とともに英語力が今後ますます必要な時代になってくるのは明らかであ 不明
り、特に世界を相手にしようという企業であれば当然であると考えます。しかしながら、
日本にはすべてこのような企業ばかりではなく、当社のように設立時から東北地方とい
う地域での販売・サービスを目的としている会社にとって、英語力は採用における重要
なポイントにならないことをご理解願います。尚、高専のみならず日本が、日本人が世界
に通用するためには一般的な学力アップは国語より英語教育にも力を入れていく必要
があると思います。
従業員数
∼500
∼500
∼500
∼50
∼50
不明
4.5. まとめと今後への提言
今回のアンケート調査から、まず言えることは、多くの企業は「高専生の英語力には満足してい
ない」ということである。その不満は、オーラル(oral-aural)面での能力だけではなく、「読む」能力
や「書く」能力に対してもほぼ同様であった。現状では、採用時に「英語力を考慮する企業」と「考
慮しない企業」の割合に際だった開きがないことも手伝ってか、高専卒業生は依然として高い就職
率を享受している。しかし、今後加速する企業のグローバル化に伴って、高専生にも採用時に高
度な英語力を求める動きが強まると予想される。我々高専英語教育に従事する者は、この事態を
真摯に受け止め、手遅れにならないうちに早急に対応策を講じる必要がある。
多くの高専が専攻科を設置したことと相俟って、高専卒業生の英語力の比較対象は従来のよう
な「工業高校卒業生」から「大学卒業生」にシフトしている。このような流れの中では、高専生の英語
能力の到達度も大学卒業生レベルに匹敵するところまで指導する必要がある。そしてその指導結
果をある程度の客観性をもって示すためには、教える側も教わる側も共通して認識できる「尺度」が
必要と考えられる。今回のアンケート調査結果から判断すると、その尺度としては TOEIC が現在
最も有力と考えられる。
もちろん、高専の英語授業を TOEIC 対策講座にすべしと提言しているのではない。各教員は
自らの信じる授業展開を継続すればよい。それを通じて TOEIC の点数も伸びてゆけばよいのであ
る。過度に大学受験対策に徹した授業を展開した高校が、結局生徒達の英語に対する学習動機
34
を弱めてしまった例は一時期よく問題にされた。どの程度 TOEIC 対策を講じるかは一人一人の英
語教員が検討すればよい。ただ、学習者の英語力伸長の評価を一教員の単位認定に閉じこめて
しまうことなく、透明性のある基準に照らし合わせる必要性を感じるのである。その基準として、企業
からも信頼を受け、世界的にも 50 カ国以上で通用する TOEIC という尺度を利用することも検討す
べきだと考えるのである。そしてそれが高専生に英語学習を促す強力な外的動機になるように期
待する。
35
5. 大学における英語の重要性および高専からの編入生の英語力に関する調査
高専卒業生の進路として、近年特に注目されているのが、大学への編入学である。高専から大
学に編入する学生の数は増加傾向にあり、場合によっては卒業生の半数以上が進学する高専も
出てきている。そこで気になるのが、大学に編入した後の高専卒業生の英語力である。そこで、大
学(工学系)教員に対してもアンケート形式による調査を実施した。その目的はつぎの 2 点である。
① 高専と同様に工学系の学生を教育して社会に送り出している大学の専門教育において、学生
の英語力がどの程度重要であるのか、またもし重要であるとすればどのような能力を身に付け
ておくことが求められているのかを探ること
② 高専を卒業した後、工学系の大学の3年生(大学によっては2年生)に編入学していった学生
の英語力が、専門教育をおこなう先生方からどのように評価されているのかを明らかにすること
アンケートの中に、英語教育に関連する自由記述欄を設けたところ、数多くの意見を得ることが
できた。しかもその内容は、現在の英語教育への不満や警鐘にとどまらず、今後の英語教育改革
への叱咤激励でもあると読み取れるものであったので、真摯に受け止める意味を込めて、このセク
ションの最後に一節加えて報告することにした。
以下に、回答された大学教員の年齢、所属、職名、専門分野および高専からの編入生を指導し
た人数を以下に示す。
年齢
60代∼
15%
20代
2%
所属
30代
12%
私立
7%
公立
7%
40代
27%
国立
77%
50代
44%
所属(学部)
その他
17%
助教授
20%
理学部
9%
講師 助手
3% 4%
工学部
74%
機械系
15%
電気・電子系
18%
土木・建築系
21%
化学系
15%
職名
教授
73%
専門分野
その他
21%
国立(技科大)
9%
情報系
10%
36
高専生指導人数
10人以上
18%
わからない
1%
なし
13%
5人未満
53%
10人未満
15%
5.1. 大学における英語の重要性
5.1.1. 専門科目を修得する上で英語力はどの程度重要ですか? 5(重要)から1(不要)の尺
度でお答えください。判断しかねる場合は「0」に印をつけてください。3
英語そのものの重要度という点では、回答を点数化した平均では、「どちらかと言えば重要」とい
う結果が出た。基準値(3.00)から考えると、かなり積極的に英語力が求められているといえるだろう。
今回は理系の学部だけを対象にした調査であるので、他の学部と比較することはできないが、少な
くとも高専生の進学先となる学部では、英語力がかなり重要視されているということが明らかになっ
た。
専門分野別に見ると、化学系で高い数値が出ていることがわかる。分散分析の結果を見ても5%
水準での有意差が出ている。このことは、化学系を除いた群では有意差がないことから、化学系分
野においては特に英語力が重要であると考えられているということが言える。ただしそうは言っても、
化学以外の分野でも特に数値が低いということではなく、すべての分野で4前後の水準であること
から、大学での英語の重要性は依然高いということが言えよう。
5.00
4.00
3.00
2.00
1.00
全体 機械系
英語の重要度
4.04
4.00
電気・
土木・
情報系 化学系
その他
電子系
建築系
3.84
4.07
4.36
3.83
4.15
分散分析表
変動要因
変動
自由度
分散
グループ間
20.1896
5
4.0379
グループ内
498.3155
578
0.8621
3
観測された分散比
4.683613884
P-値
0.00034
F 境界値
2.22961
回答のうち「0」は集計データから除外した。これ以降の質問項目についても同様。
37
分散分析表(化学系を除いた群)
変動要因
変動
自由度
分散
グループ間
8.594469
4 2.14862
グループ内
451.9519
491 0.92047
観測された分散比 P-値
2.334255113 0.0547
F 境界値
2.390095
5.1.2. 以下に挙げるそれぞれの能力は学生にとってどの程度重要ですか.5(重要)から1(不
要)の尺度でお答えください。判断しかねる場合は「0」に印をつけてください。
a) 聞く力
b) 話す力
c) 読む力
d) 書く力
e) 発音
f) 単語力
g) 文法
h) 異文化の知識(国際理解)
全体をながめると、重要度の高さで圧倒的な結果が出たのが「読む力」(4.57)である。それに続
いて、「単語力」(3.92)、「書く力」(3.91)、「文法力」(3.76)が重要であると考えられている。そのあ
と、「聞く力」(3.48)、「異文化の知識」(3.43)、「話す力」(3.35)がほぼ並び、もっとも低い結果とな
ったのが「発音」(3.09)であった。
「読む力」が重要視されていることについては予想に反しない結果だといえよう。これに反して、
「聞く力」や「話す力」のようないわゆるオーラル・コミュニケーション能力を重視する声が低かった。
これは理解技能(receptive skills)のみならず、発表技能(productive skills)についても同
様で、そこでも「聞く力」より「書く力」を重視しているという結果が出た。
現在、英語教育の現場では、「発信型の英語教育」や「オーラル・コミュニケーション」というような
キーワードがもてはやされているが、大学の工学系教育で必要とされるのは、英語の発表技能より
もむしろ理解技能であり、口頭伝達能力よりもむしろ文字伝達能力だということが特徴と言える。こ
のことはつまり、大学で研究を行なうためには、まずは英語の論文などを読み書きする能力が重視
されるのであろうということが想像される。
5.00
4.00
3.00
2.00
異文化
文法力
単語力
発音
書 く力
読 む力
話す力
聞 く力
1.00
下に専門分野別のグラフを示す。ここでは、必要とされる技能や知識については分野による大き
な差異は見当たらない。分散分析による検定を行なっても、有意差は見いだせなかった。したがっ
て、どの分野においても、「読む力」「書く力」が重視されているということが言える。
38
5.00
4.00
3.00
2.00
機械系
電気・電子系
情報系
化学系
土木・建築系
その他
聞く力 話す力 読む力 書く力
発音 単語力 文法力 異文化
3.49
3.54
3.51
3.54
3.42
3.43
3.12
3.06
2.98
3.34
2.93
3.11
3.42
3.29
3.49
3.47
3.24
3.30
4.52
4.47
4.56
4.72
4.49
4.65
3.92
3.80
3.97
4.00
3.81
4.00
3.94
3.93
3.67
4.04
3.91
3.96
3.74
3.61
3.61
3.83
3.75
3.95
3.32
3.38
3.32
3.51
3.52
3.46
5.1.3. 以下に挙げるそれぞれの能力は学生にとってどの程度重要ですか。5(重要)から1(不
要)の尺度でお答えください。判断しかねる場合は「0」に印をつけてください。
a) 英語で日常会話をすることができる
b) 英語による講義や講演を聞いて理解することができる
c) 英語でディスカッションをすることができる
d) 英語でプレゼンテーションをすることができる
e) 英文の一般科学雑誌(Nature など)を読むことができる
f) 英文の専門書や論文を読むことができる
g) 英文の手紙や電子メールを書くことができる
h) 英文で論文の抄録(アブストラクト)を書くことができる
i) 英文で論文や実験レポートを書くことができる
全体のデータを見ると、もっとも重要度が高いと考えられているのは「英文の専門書や論文を読
むことができる」(4.49)ことであった。さらに「英文の一般科学雑誌(Nature など)を読むことができ
る」(4.09)がそれに続く。いずれも英語を「読む」場面の能力であり、前項の結果とも符合する結果
である。その数値の開きからは、専門分野の学習や研究に直結した reading ができることがとくに
求められていることがわかる。そして、3番目が「英文で論文の抄録(アブストラクト)を書くことができ
る」(3.89)、4番目が「英文の手紙や電子メールを書くことができる」(3.84)、そして5番目が「英文
で論文や実験レポートを書くことができる」(3.55)というように、「書く」場面の能力が第二集団を形
成しており、前項の結果をまたも追認する形となった。この三者間の上下関係は、論文のような長
部のものはともかくとしても、論文の抄録あるいは電子メール程度の比較的コンパクトな分量のもの
はきちんとこなしてほしいという期待のあらわれと解釈するのが妥当であろう。
39
5.00
4.00
3.00
2.00
論 文 ・レ ポ ー ト
ア ブ スト ラク ト
手 紙 メー ル
専門書
科学雑誌
プ レゼ ン テ ー シ ョ ン
デ ィ ス カ ッシ ョ ン
講義講演
日常会話
1.00
専門分野別に見ても、全体の傾向と同じカーブを描いているが、5.1.2 と同様、一部において化
学系分野の数値が高い。これについても分散分析を行なった結果、上記の b), e), f)の項目につい
て、化学系分野の数値が有意に高いということが検出された。このように化学系だけが他の分野と
違った特徴を持っている理由については、現時点ではまったく不明であり、今後の課題となるであ
ろう。
5.00
4.00
3.00
機械系
電気・電子系
情報系
化学系
土木・建築系
その他
日常
会話
講義
講演
3.38
3.27
3.43
3.42
3.26
3.32
3.47
3.54
3.61
3.74
3.54
3.37
ディス
カッ
ション
3.23
3.21
3.37
3.38
3.25
3.14
プレゼ
ンテー
ション
3.50
3.57
3.72
3.53
3.39
3.36
科学
雑誌
4.02
3.92
4.13
4.46
4.20
3.88
40
アブス
専門 手紙
トラク
書 メール
ト
4.56 3.80 3.96
4.45 3.91 3.96
4.52 4.00 3.98
4.70 3.91 3.87
4.56 3.84 3.82
4.24 3.69 3.82
論文・
レポー
ト
3.53
3.46
3.67
3.67
3.59
3.43
5.2. 高専からの編入生の英語力について
回答のあった工学系の大学教員のうち、536 名(86%)が高専からの編入生を指導した経験を
持っていた。以下では、実際に編入生を指導しての印象について、率直な意見を求めてみた。
5.2.1. 高専からの編入学生の英語力は、他の学生と比べてどうでしょうか。
高専から大学の3年生(大学によっては2年生)に編入した学生(以下、編入生)と高校から大学
に進学して3年生(2年生)になった学生(以下、非編入生)の英語力を比較して、編入生の方が
「(やや)優れている」と回答した大学教員は全体の5%にすぎなかった。それに対し、編入生の英
語力が「(やや)劣っている」とした回答は 56%と半数を超えた。また両者に差はない(「変わらな
い」)とする回答も 34%あるが、これを含めても、その割合は全体の4割程度(39%)である。つまり
約6割の大学教員が、編入生の英語力は非編入生の英語力より劣っていると判断しているといえる。
やや優れてい
る
5%
わからない
5%
劣っている
16%
変わらない
34%
やや劣っている
40%
5.2.2. 「(やや)優れている/(やや)劣っている」を選んだ方は、どの点についてそうお感じにな
りましたか?
編入生と非編入生の差異をどこで感じたのかを、4技能の点から回答してもらった。「(やや)劣っ
ている」という判定の根拠としては、「読む」の 246 ポイントに、「書く」(187)が続き、「話す」(92)、
「聞く」(79)も挙がっている。この順序およびポイントの隔たり具合は、5.1.2 で示した、大学教員か
ら見た4技能の重要度の結果に概ね符合する。すなわち、「読む力」や「書く力」の必要度が高いか
らこそ、指導する側もそれらの力の無さが目につくのだと思われる。またここでは「聞く」「話す」の順
序が4技能の重要度の結果と逆転しているが、これは「聞く力」が「話す力」よりさらに劣っていると
いうより、後者がより顕在的な技能であることを反映したものと考えられる。
他方、「(やや)優れている」という回答は非常に少なかったが、その判定の拠り所となっている技
能の分布は「(やや)劣っている」と同様であった。これらのデータが示唆するところは、①編入生の
英語力はどの技能においても非編入生より劣っている可能性が高いということと、②大学の専門教
育において重要度の高い「読む」ならびに「書く」という技能面において、とりわけその英語力の貧
弱さが顕著にあられている、という2点に集約できる。
250
200
150
100
50
0
聞く
劣
話す
読む
優
書く
41
さらに「その他」として、どのような点が劣っているかを自由記述形式で問うたところ、上述の解釈
を裏付けるような回答が含まれていた。
「すべての面で劣る」
「英語力すべて、中学生並です」
個別的な面での指摘としては、文法力、単語力および英文理解力(読む力)に言及したものが目
立つ。
「特に文法が弱い」
「文法が不確か」
「特に単語力がない」
「読む力に関連して、文法が少し弱い」
「英語論文の理解力がない」
英語力以前の問題として、次のような学習意欲や態度がまずできていないという声も寄せられて
いる。
「英語に向かう気力(がない)」
「英語に対する姿勢(ができていない)」
「英語全体について興味(意欲)がない」
「優秀な学生だったが、英文を理解しようとする意欲がなかった」
その他、次のような回答があった。
「発音、聖書、歴史の知識(がない)」
「言語的表現を行う際の心理的バリア(を強くもっている)」
「変な固定観念がある」
これらの指摘については、以下の節でさらに詳しく検討する。高専からの編入生が、大学の専門
教育の中でどのような困難や障害に直面し、どのようにそれらを解決しているのか、あるいはしてい
ないのか、等、実態がより鮮明になるものと思われる。
5.3. 自由記述に関する考察
回収された 625 通のアンケートの4割にあたる 252 通に「自由記述」の回答があった。それらの
多くが非常に興味深く、かつ辛らつな指摘を含むものも多かった。多くの意見に共通するのは、ア
ンケート項目の中で数量的に示されているように、編入生の英語力不足、それが引き起こしている
現状への危機感、そして高専の英語教育改革への熱望である。これらがすべて高専生のみに向
けられているというわけではないだろうが、これほど多くの「自由記述」が集まることは、大学の教員
の中に、高専での英語教育の現状に対する強い不満があることを示していると言えよう。
今回集まった自由記述回答の内容は多岐に亘り、分量も 20 字程度の簡単なものから 1,000 字
を超えるものまで様々であるが、その中にはいくつかの共通点が認められる。そこで、特に以下の4
点に注目し、大学に編入学する高専生が直面する問題、ひいては現在の高専での英語教育が持
つ問題点を再考してみたい。
(1)基礎学力・文法力・読解力の不足
(2)劣等感と英語学習への否定的な態度
(3)大学院への/での障害
(4)カリキュラム改革にむけて
5.3.1. 基礎学力・文法力・読解力の不足
これはアンケート項目全体を通して数量化されている点でもあるが、自由記述回答の中で頻繁
42
に指摘されており、高専生の英語学力不足、特に単語(語彙)力、読解力、あるいは文法力の不足
が著しいことを示しているといえる。主な記述は以下の通りである。
高専生は総じて技術的なことに優れた能力を発揮する。また、基礎的なことにも好奇心を持っ
ている。しかし、平均的には英語力が劣る。単語数が少ない。文法が身についていないなどの
ケースが多く、論文を読み書きすることに苦労している。[15]
専門教科は良く理解してくれますし、授業への出席も良好ですが、英語力が不足で大変苦労
する学生さんがほとんどです。[27]
学生が文法をよく理解していないため、英文の論文、専門書の講読に四苦八苦しています。講
読の時間では文法の説明に大半の時間が費やされ、内容を理解させるのに大変苦労していま
す。[41]
高専出身学生は「英語力が最大の弱点」だと思います。[43]
英語に関する全般的能力は正規入学生に比べ、明らかに低くなっています。この能力は大学
入学後の教育で大幅に改善されることはありませんので、高専入学生にとっては大きなハンデ
ィキャップにもなっています。[80]
基礎的な文法の知識が欠けているので正しい読み書きができない。[174]
聞く力、話す力は要求していない。辞書で単語を引いても文法を理解していないため著しく誤
訳する場合が多々あった。基礎文法を理解することの重要性を痛感する。[204]
先に見たとおり、学部の専門教育において必要とされる技能は、「聞く・話す」ことより、「読む・書
く」ことである。これらの技能は、第3章で見たように、高専の英語教員が最も重視して授業をおこな
っている領域である。にもかかわらず、大学でこのように評価されるということは、高専での現在の
英語教育が非常に大きな問題を有していることを示している。しかも、以下でも見るように、学部に
おいては「基礎的な」英文を扱うことが多いにも関わらず、編入生の学力不足に「驚いた」という感
想([73])や、「高卒レベル」の学力すらついていないという指摘([24])が見受けられる。専門科目
自体は比較的良好に学習できるが、英語を読む・書く必要が生じると、とたんに学習困難に陥って
しまう高専出身生の姿に、多くの専門科目担当教員が困惑に近い思いを抱いている。
5.3.2. 劣等感と英語学習への否定的な態度
さらに、自分の英語力に対して劣等感を持つ、英語学習を軽視する、あるいは英語学習へ否定
的な態度を示す編入生への言及も目立った。主な記述を下に示す:
英語を好きになるようにご指導ください。[35]
英語を嫌いにさせぬようご指導ください。[42]
・・・高専時代には英語の必要性についてあまり教えられたことが無く、他の専門科目などに比
べて重要度が低く感じられたということを聞きました。今後、是非高専におかれましても英語の
学習の重要さについて教えてください。[86]
学生が英語力不足なのを当然だと考えすぎている。[112]
学生は英語の大切さが全くわかっていない。[116]
低学年から「英語教育は国際的なコミュニケーション技術として必須である」との立場で学生と
接していただきたい。[145]
[学生は] 英語については劣等感を持っている。[160]
英語を学ぶ動機づけ(受験のためなど)をしっかり指導してもらうといいと思います。[168]
何より英語は重要であるという意識をうえつけておいてほしい。[196]
一般論として、編入生は高専生全体の集団の中では成績上位の学生であり、英語についても同
様であると思われる。高専に在籍中は、英検(実用英語技能検定)や TOEIC など、外部の団体が
実施する試験を受験した時を除けば、彼らが自分の英語力について「劣等感」を抱く機会は少な
い。ところが編入学したとたん、大学入試を乗り越えてきた「非編入生」達の英語力を目の当たりに
43
し、自分の英語学力の低さに愕然とする場合も少なからずあると思われる。
英語学習に対する否定的、あるいは逃避的な態度([112]、[116])を示す学生も多いようである。
これらの態度は編入学後に初めて獲得されたのではなく、むしろ高専在籍中に形成された可能性
が高い。その原因の一つは、高専におけるカリキュラムの問題である。ほとんどの高専において、
高学年での英語授業時間は週2時間程度であり、この時間数では、編入学を志す学生が英語学
習の重要性を感じることは困難であろう。
英語に対する否定的な態度が形成されるもうひとつの原因は、高専では、専門教科を学ぶ上で、
英語の必要性がさほど感じられなかった、という実感を編入生が持っているためではないかと思わ
れる。高専在学中、編入生の意識の中で、英語と専門教科が強い結びつきを持っていたとしたら、
たとえ一般学生との学力差に劣等感を感ずることがあるとしても、英語に対する否定的・逃避的態
度を示すとは考えにくい。これまで幾度となく指摘されてきたように、一般的に編入生は、一般の学
生に比べ英語力は劣っているが、専門的な知識や技能では引けを取らない。このことが、編入学
後、「英語はできなくても専門知識・技術は修得できる」という意識・態度を一層強化することにつな
がっているのではないだろうか。
5.3.3. 大学院への/での障害
自由記述回答では、学部では「英語はできなくても・・・」という意識・態度を持ちながら学習して
いる編入生が、大学院入試に臨み、厳しい現実に直面している現状も指摘されている。
学部段階ではさほど英語を必要としません。しかし、高専からの学生は大学院に入る割合いが
高く、大学院での研究で文献をどうしても読む必要があり、英語の嫌いな学生にとってはしんど
くなることもあります。[11]
大学院の入試において、編入生の英語の平均は全体の3割以上低い。[13]
講義などで英語力の差は実感しないが、大学院の入試でどうしても差が出てしまう。[40]
通常の授業では必要性は感じない。大学院でのゼミでは英語力が落ちているとみている。[70]
いずれもまじめな学生であったが、大学院の入試に際し、英語の点が特に悪く(他は平均)、結
果として不合格となった。[200]
編入生は英語力の基礎的なところから極めて良くないので将来大学院に進学してもついてい
けない。[209]
一般的には優秀な学生が編入されて、多くは大学院に進学しますが、大学院では英語力が常
時必要となり、ここで困惑しているようです。[239]
少なくとも読む力、それに英語の必要性は教育しておいていただけると本人達も苦労しないで
しょう。特に大学院入試で大きなハンディになります。[240]
これらの指摘から判断して、学部での専門教育においてよりも、むしろ大学院において、あるい
はその入口において、編入生は英語力不足のためにかなり不利な立場に置かれていると考えられ
る。編入学から大学院入試までの2年弱の間、他の学生との英語力の差と専門教育における英語
の重要性を強く認識し、英語を猛勉強し、他の学生に引けを取らない学力をつける者は少なく、結
局、高専卒業時程度の学力で入試に臨み、平均以上の専門知識と技能を持ちながら、大学院へ
の入学を許可されずに卒業していく、という編入生の実態が浮かび上がる。
高専から大学へ編入学する目的は様々であろうが、卒業後、大部分の編入生は就職するか大
学院へ進学するはずである。編入生の大学院への進学率は明らかではないが、上記の自由記述
から判断する限り、英語の学力が不足しているために進学を断念せざるを得なかった編入生は決
して少なくはないだろう。また、進学したものの、論文講読などの活動を十分におこなえないために、
満足のいく研究活動を送ることができなかった編入生も同様である。これらの点については、改め
調査をおこなう必要があろう。
編入生が、編入後ほとんど英語の授業を受講しないことを考えるならば、「大学院への進学は学
部教育の責任」とは決して言えない。編入学を志す学生にとって高専での英語教育がどれほど重
大な意味を持っているかということを、高専の英語担当教員は再認識する必要があろう。
44
5.3.4. カリキュラム改革にむけて
上記1∼3のような点を踏まえたうえで、具体的にどのような改革をおこなうべきなのかについて、
いくつかの回答があった。まず、授業時間数について:
受験勉強をしていないため、圧倒的に勉強量(蓄積)が少ない。[6]
高専の場合、4年5年に英語の授業が少ないので英語力が低下していることも考えられます。
[46]
授業時間の増加が必要だと思います。[50]
英語の時間数を増やしてほしい。[53]
編入生の話では、英語の授業時間数自体が一般の学生よりかなり少ないとのことである。その
せいか、英語の基礎(文法など)がしっかりしていない学生が多いように感じる。[90]
1年から最終学年まで同程度の時間を英語教育のカリキュラムにあてて頂きたい。[95]
高専における履修時間数が絶対的に足りない。[107]
特に高専4、5年での英語学習が不足していると思われる。[117]
高専生の多くが大学あるいは専攻科進学になってきており、高専の役割とカリキュラムについ
て根本的な見直しが必要不可欠。[165]
このように、全体的に、学習量(時間)や授業時間数の不足を指摘する意見が目立つ。
高専のカリキュラムについて、ある程度の知識を持っていると思われる回答があるのは、編入生
の英語学力の実態を目のあたりにし、その原因は何なのか、学生に尋ねる教員が多いためであろ
う。特に指摘が多いのは、高学年(4、5年)での授業時間数の少なさである。今回の調査でも明ら
かになったように、ほとんどの高専において、高学年の授業時間は週に2時間程度である一方で、
一般的な大学生は最低4時間の授業を受けている。高校3年生と高専3年生の学力にはかなりの
格差があると思われるが、その後の2年間での授業時間数の差は、この格差を拡大することはあっ
ても縮小することはないであろう。
その一方で、授業内容について非常に示唆に富む指摘が寄せられているので、いくつかをとく
に取り上げてみたい。まず、「高専の有利」を唱える記述があった:
高専は早い段階から理科系英語にしぼった教育をすることができるから高校より有利なはずで
す。[49]
確かに高校での英語教育の一般的な目的は、大学受験に合格できるだけの全般的な学力を養
成することにあり、言語材料としての英語も種々雑多である。推測の域を出ないが、[49]の背景に
は、そのため一般学生の語彙には理系(科学・工学)の語が不足しているという認識があるものと思
われる。もっとも実際は、決して現在の高専での英語教育が「理科系英語にしぼった教育」をして
いるとも言えない。それは、高専からの編入生が一般学生より多くの語彙を有しているという指摘が
皆無であることからも窺い知れる。
それでは仮に、高専において「理科系の英語にしぼった教育」をするとした場合、どのような技能
を育成することが可能だろうか。この点についてもいくつかの興味深い提案や助言があった。例え
ば以下の指摘を考えてみたい:
高専ではむしろ実践的なコミュニケーション能力に重点をおいた英語教育をし、この点で高校
卒業者(読解力、文法に優れている)に対し優位性を持たせることが適当である。[138]
実践的な工業英語を身につけてほしい。実験のレポートの一部を英語で書くトレーニング、測
定器やソフトウェアの英文マニュアルを読解させるなど、実習授業とリンクさせるような教育はで
きないでしょうか。[157]
これらの指摘は、いわゆる一般的な目的のための英語教育(EGP)ではなく、むしろ特定目的の
45
ための英語教育(ESP)に近い目標を設定すべきであるという見解である。このような見地からのカリ
キュラムの見直しは当然必要になろう。
ただ、ESP に専念すべきなのか、あるいは専念できるのか、という点についてはアンケートの回
答者の間でも意見が分かれているように思える。本章の第1節で見たように、編入生の最大の弱点
は「文法力、読解力、語彙力」であり、自由記述の中でも、特に「基礎的なことを理解していない(知
らない)」という意見が多く見られる。例えば以下のような意見である:
中学・高校程度の基礎文法を良く学ばせてほしい。[59]
基礎的な英文法の知識が欠けているので読み書きができない。[174]
辞書で単語を引いても文法を理解していないため、著しく誤訳する場合が多々あった。基礎文
法を理解することの重要性を痛感する。[204]
一般に、ESP をおこなうためには、様々な条件(学力、動機づけ、学習環境など)が整っているこ
とが不可欠であるが、高専での教育において、これらの記述の中で指摘されているような学力の学
生に、英語でプレゼンテーションをおこなったり、実験のレポートを書いたりすることを要求すること
が妥当だろうか。現時点では、かなり否定的にならざるを得ない。
このように工学系の大学教員が編入生に下した手厳しい評価は、とりもなおさず高専の英語教
育に下された評価である。それらは改めて以下の3点に要約することができよう:
1)基礎学力の不足(とくに、文法力・単語力・読解力)
2)学習意欲の欠如(「英語はできなくても専門科目は勉強できる」)
3)学習環境の不備(少ない授業時間数、学習量)
大学に編入していくのは、高専生全体の中ではかなり成績上位に属する学生である。そう考える
と、高専の英語教育改革がいかに前途多難であるかを思わずにはいられないが、大学で英語に四
苦八苦する教え子の姿を思い浮かべると、私たち高専の英語教員はただ手をこまねいて見ている
わけにもいくまい。
5.4. 自由記述回答一覧
意見(自由記述)
1 英語から逃げない能力が最も重要です。
学部学生への英語教育で学生に実感として理解して欲しいことは次のとおりです。
1.英語は仕事上必要であり、避けることができない。
2.世間で言われているほど英会話のトレーニングは重要でなく、むしろテクニカルな英語のドキュ
メントを正確に読む(書く)力が大切であること。(英会話のトレーニングはいつからでもスタート
できる。かつ数ヵ月で効果があるが、読む力はなかなか育たない)
3.日本語でまともにプレゼンテーションできない間は英語でもできない。(日本語のテクニカルな
文を書けない間は英文のテクニカルな文も書けない)
4.今は英語が読めなくても(書けなくても、英会話できなくとも)読もうと努力を続ければ必ず読
めるようになる。
但し、昨今、JABEE対応の問題がありますので、今後JABEEコース修得を目指す学生には、
一定程度の英会話トレーニングが必要となると考えます。
2 文学書ではなく、科学技術論文の読解力の基礎を養って欲しい。
3 学部レベルでは上記のことはほとんど出来ないのが実情であり、大学院レベルでもごく一部の院生を
除けばほとんど出来ない。したがってすべて重要であり5と思われるが、実情からするとすべて0と
なる。
4 一般論ですが、今の学部学生で話ができて英文を書ける学生はいません。卒論生でやっと教科書原著
論文の簡単なのが読める程度です。
46
5 人間は物事をどのように理解するのかを理解させることが最初です。工学系で言えば、対象指向
(Object 指向)モデリングは物事を理解し、整理する基本的考え方といえます。また言葉のもつ意味
と定義を厳密に教えることが工学系の学生には向くのではないでしょうか? その意味では法学が
工学系の日本語教育には適していると思っております。すなわち、思考方法が対象指向であり、クラ
スとインタクラスの区別が明確である。論理的指向形態である。用語の定義が明確である。などの理
由からです。
この観点から工学系の英語教育を考えてみますと、用語の定義が厳密になされ、思考形態が論理的な
表現をとるテキストが語学教育に向くような気がいたします。用語の定義が厳密であり、記述が論理
的な工学系専門書は多くあります。これらを題材にして英語教育を考えることが大事であると思って
おります。さらに言語を図式表現できるものが工学系の語学教育には必要ではないかと思っておりま
す。その上で、思考をどのように表現しているのか? 日本語の場合、英語の場合など、具体的に説
明する必要があります。表現においては文字表現と音声表現があるわけで、その段階で発音の重要性
を認識させることではないでしょうか? 頭から、覚え込ませる語学教育は正しくないと思います。
6 そもそも、普通の学生は日本語でもアブストラクト、論文や実験レポートを書くことができていない。
英語に関しては受験勉強を経験していないため、圧倒的に勉強量(蓄積)が少ない。
7 聞く力、読む力を向上されるよう教育をして欲しい
8 高専入学後英語テキストを精読させて欲しい。
9 英文の専門書や論文を読むことは必須となりますのでよろしくご指導お願いします。
10 実践的英語教育(例えば論文、マニュアル、書類の読み方書き方)を期待します。
11 高専からの学生の英語力については、かなり個人差があるようです。非常に英語のできる学生もいれ
ば、レベルの低い学生も経験しています。平均的には中の下あたりに相当します。
学部段階ではさほど英語を必要としません。しかし、高専からの学生は大学院にはいる割合が高く、
大学院での研究で文献をどうしても読む必要があり、英語の嫌いな学生にとってはしんどくなること
もあります。ただし、先に述べたように個人差がかなりあります。
高専では、やはり、文法、単語(語い)など、基礎を十分に教育していただければと考えております。
12 高専からの編入学生は、専門科目においては優秀な成績を修めるケースも多いが、英語の実力は正規
学生と比べて特に劣る。最近は就職後には英語が苦手などとはとても言えない状況であるので、高専
での英語教育を充実させて、少なくとも苦手意識を取り除いてやらないと、学生がかわいそうである。
13 大学院の入試において、編入学生の英語の平均は全体平均の3割以上低い。
14 20年前の私の同期およびその年代の高専生の英語力は一般学生より確かに高かった印象がありま
す。今の学生さんは英語・専門科目をとわず一般学生より優れているという印象がもてないのは何故
でしょうか?
15 高専生は総じて技術的なことに優れた能力を発揮する。また、基礎的なことにも好奇心をもっている。
しかし、平均的には英語力が劣る。単語数が少ない。文法が身についていないなどのケースが多く、
論文を読み書きするときに苦労している。会話力は研究室に外国人研究者がいる昨今では、持ってい
るに越したことはないが、これは文法を知らなくても、単語を並べても通じるので、むしろ教育とし
ては、きちんと文法から学習させて欲しい。
16 編入試験に合格した学生はそれなりの英語力を持っている。逆に英語力のない学生は編入学試験で合
格できない。
17 大学院での教育-研究まで見通した英語教育が必要だと思います。学部3、4年生では一般的な英語
教育の機会はほとんどありません。英語という言語に対する感覚は早い時機に習得しておかないとい
けないと思います。(後からではなかなか難しくなります)
18 英語によるディスカッションやプレゼンテーションは日本人には困難?
高専における英語教育の時間が大学に比べて短いことが根本にありました。また、高専と普通(進学)
高への入学時における学力の差異もある?
19 私が指導した学生についてのみ、他の学生の英語力と変わらない。当方の学科に編入された学生の1
/3は全く問題なし。2/3はほとんど英文法を知らない。その差が激しい。英語文献のほとんどす
べて単語の意味を調べても文章の意味を取ることができない。
20 英語に接する時間が少ない(大学も同じだが)
21 上記のアンケートは専門科目を習得するための英語能力ですね。その他に一般社会人としての英語能
力も必要だと思います。物理科学科ですが、高専からの3年編入を歓迎しております!!
22 重要度に関する回答には、やや願望の部分も含まれています。
23 基礎力はあると思うが、自己アピールが下手である。発表をする練習をしてほしい。
24 少なくとも高卒レベルの英語力をつけてほしい。
25 TOEIC600 点以上必要
47
26 技術英語能力と論理的思考能力とはかなり相関があると感じているので、まず、しっかりとした日本
語能力を身に付けさせると、英語能力の向上が早いと思われる。また、英文を前から理解することは
会話能力の向上に有益と思われる。なお、最近の高等学校でも英文を前から訳すようにとの指導がな
されているようである。
27 専門教科は良く理解してくれますし、授業への出席も良好ですが、英語力が不足で大変苦労する学生
さんがほとんどです。
28 授業を理解するために必要であるか否かという観点でお答えします。技術者としてどの程度重要かと
いう意味でしたら a)∼h)のすべて5(重要)です。
29 TOEFL で 500 点前後の英語力を期待したい。
30 文法をお願いします。
31 英語力とは、本人の精神の高さによって必要度に対する認識が異なり、結果に表れてきます。高専か
らの編入生だからといって格別劣っていたり優れていたりすることはないと思っています。
32 中には良くできる学生もいるが、中学生レベルの学生もいる。せめて基本構文程度はマスターしてか
ら編入してきて欲しい。
33 上記は専門教育で必要な英語力を記入したもので、社会が学生に求めている英語力とは異なります。
社会が求めている英語力については、すべての項目で5になるのではないかと思います。私が指導し
た編入生は英文法がよくわかっていないような感じがしました。
34 学部専門科目はもとより大学院では英語はさらに必要となります。「読む」だけでなく、「話す」「聞
く」についても教育くださればと存じます。
35 英語を好きになるようにご指導ください。
36 ① 造形工学科では留学する人たちも多いので、大学の授業というよりも卒業後の進路という点で英
語力は大切。就職後も、又大学院入試でも、今後は TOEIC を義務付けるところが増加すると思われる
ので我々のところも検討に入っている。
②英語力も大切だが、まず日本語をもっと力をつけて欲しい。
37 今後はますます国際語、共通語としての英語が重要になってくると思います。ぜひ英語教育に力をい
れてください。
38 優れている者もいれば、かなり劣るものもいる。一般的に最近はやや優れている。
研究室に外国人学生や外国人研究者が来賓した際、高専生は逃げ腰の傾向がある。このような事態に
積極性のある学生(人材)を育てて欲しいと思います。例えば、国際学会への参加を学生に尋ねると、
高専生は非常に自身がなさそうに断りますが、通常の学生は参加に意欲を見せます。普段の研究能力
は高専生の方が優れているのですが・・・
39 インターネット時代なので、せめて英文がわかり、簡単な英文を創る力をつけておくといいと思いま
す。会話のほうはできるに越したことはありませんが、まあ、読み書きを第一にしたいと思っていま
す。
40 講義などで英語力の差は実感しないが、大学院の入試でどうしても差がでてしまう。大学入試を経て
いないせいであろうか・・・
41 学生が文法を良く理解していないため、英文の論文、専門書の購読に四苦八苦しています。購読の時
間では文法の説明に大半の時間が費やされ、内容を理解させるのに大変苦労しています。
42 英語を嫌いにさせぬようご指導ください。せめて辞書を使えるようご指導ください。
43 高専出身学生は”英語力が最大の弱点”だと思います。その他は及第点。ただし、最近は学力低下傾
向が見られる。
44 英文の論旨が通っていない。これは英語力以前の問題であり、国語、特に日本語を書く能力に劣って
いる。教養教育と人間性の教育を怠って優秀なエンジニアは育たない。
45 高専での英語教育を強化していただきたい。(英語力不足のため、ゼミ配属後ついていけない学生が
多い)
46 高専の場合4年5年生に英語の授業が少ないので英語力が低下していることも考えられます。日々、
英文を読む習慣を身に付ければ上達すると思います。
47 工学的な専門英語も多少必要
48 英語力は個人差が大きく、10人程度の学生を指導してきた経験から一般的なことは言えない気がす
る。
48
49 ○本学の場合、高卒、高専卒を問わず英語力が低く、例えば国際会議の予稿集をゼミでサーベイする
ことができない。マニュアルも読めない、エラーメッセージも理解できない。
○日本の学校教育について「何のために英語を学ぶ必要があるのか?」をきちんと教えていないのが
問題だと思います。その点、高専は早い段階から理科系英語にしぼった教育をすることができるから
高校より有利なはずです。
○受験教育の弊害として、「部分点が取れればよい」という発想があるように思われます。一方、専
門教育で要求されるのは「満点」です。構文を正確に分析し、前後の文脈と矛盾しない解釈ができな
ければ、何の役にも立ちません。この傾向は高卒の方が顕著だが、高専卒も大丈夫とは言えない。真
剣に読む習慣が必要。
○大学院に進学すれば、より高度な英語力が要求されます。ただ残念なことに高専出身者のほとんど
は学部卒で就職してしまうため、大学に在学している2年間ではほとんど英語教育をしてやることが
できません。
50 授業時間の増加が必要だと思います。
51 高専からの編入学生は学習意欲、向上心が高く、卒業後も活躍する例が多いと感じています。英語に
も積極的で国際会議などでも臆することなく発表しています。
52 語学力は急に身につくものではありません。少しずつでも語学の勉強をしておくことが大切です。教
える側の熱意を期待しています。
53 英語の時間数を増やして欲しい。
54 技術者に英語は今や不可欠になっていますので、強化する必要があると思います。
55 学部で講義を受け、単位を取る上で英語はそんなに重要ではないが、4年生になって研究室で研究を
行う段階になって、英語は非常に重要になる。日本語に訳された本から情報を得ていたのでは、時代
の最先端についていけず遅れてしまうからである。更に、現在ではほとんどの国立大学は大学院重点
化されており、学生の9割近く大学院に進学する。学年が上に行くに従い、英語に関し学生に求めら
れるものは大きくなり、学部学生に会話やライティングは求められないが、大学院学生には当然必要
となってくる。また、企業への就職時にも TOEIC などによりこれらの能力も試される。
さて、高専からの編入学生を指導してみて感じるのは、他の科目に比して英語が弱いという点である。
これは、私だけの印象ではなく、教官一般からよく聞く話である。しかし、ひどく劣るというのでは
なく、他の科目は上位の学力なのに比べ英語は中位あるいは中の下くらいである。しかし、他の科目
の成績と比較すると英語だけ弱いのが目立ってしまう。語学は若いときにやらないと、学年が上がっ
てからではなかなか進歩しにくい。是非、高専の教育で英語に力を入れていただきたいと思います。
56 英語(外国語)の能力より専門基礎学力の充実の方が大事です。
57 高専からの編入学生の中には進展性に欠けるものがやや多い。
58 卒業研究で文献(和文・英文)を読む必要があるので、和文は勿論、英文の読解力を十分に身につけ
てきてほしい。
59 中学・高校程度の基礎文法を良く学ばせておいてほしい。
60 英語の文法、単語力、基礎的な発音、文章解読力が重要だと思う。あとは研究実践の中で会話力、発
表力、論文策勢力が育成できると思う。
61 特に読解力の充実を求めます。
62 現在、学部学生の 6∼7割が大学院に進学しますので、上の質問に加えて大学院へ進学する英語力の
調査も必要と思いますそうすると、聞く力、話す力(学部ではこの力を見る場面がありません。大学
院では国際学会への出席等で必要になってきます)も必要になってきます。学部で英語力が必要な場
面は、演習で、英語の教科書や論文、創設を読み、要旨を他人に説明すること。4年制で研究室に入
り、卒論研究を進めるときに、原著論文を読み、理解し、実験すること・大学院への入学試験で和訳・
英訳の問題に解答することです。
編入試験で高専や看護短大の学生をできるだけ入学させようということでこの制度が始まりました
が、現在、現役の大学生が進路変更して、編入試験を受けるケースが多くなってきました。そうする
と、ますます高専や看護短大の学生の英語力が劣っているのが目立ってきて、入る以前に、入学が難
しくなってきています。読む力、書く力をつけて、まず、編入試験で合格できる力をつけてください。
編入できれば、本人の努力で何とかなります。
63 文法力・読解力がない。
64 大学院に進学する場合はさらに英語力が必要になる。
65 本学科では2、3年生で科学英語があり、3年前期で TOEIC500点をとらないと単位認定されませ
ん。文法をまずきっちりと教えてください。他はいつからでも勉強できます。
66 英語力は弱い。文法面のことがわかっていない様子です。
49
67 一概に英語力の必要性を言うことはできない。学生の進路により大きく異なる。一般的に英語ができ
なくても学習はできる。また英語はできるに越したことはない。質問の意図が良くわからない。
68 英検や TOEIC の受験をすすめる。
69 正確な直訳ではなく、英文論文、実験書などを読んで要点をまとめることができる能力、意訳ができ
る能力が必要と思われます。それには各分野の基礎知識、学力が不可欠と思われます。
70 通常の授業では必要性は感じない。大学院でのゼミでは英語力が落ちているとみている。
大学生活では専門の論文が理解できれば良く、日常の英語には必要性は感じない。ただし、研究室の
活動で国際会議などで発表することもあり、その場合は書く力、話す力、聞く力が必要。社会に出れ
ば英語の力は必要。
71 専門科目並に英語力をつけて欲しい
72 英語力は必要であるが、同じように日本語の論文作成能力、プレゼンテーション能力が必要。
73 高専からの編入学生を指導した際、英語の単語力、文法力が極めて劣っていたのでおどろいた。
74 基礎的な文法を、今以上に充実していただければよいと思います。
75 文法、単語力が不十分
76 英語は全般にわたって重要ですが、とりあえず読む力は必要不可欠と思います。
77 新聞の科学記事位は読めるようになっていることが望ましい。科学・物理の授業で日本語の用語に英
語を付け加えるようにする。
78 英語は個人により違いがあるので、高専編入学生を一般的に論ずるのは難しいと思う。
79 他の学力は比較する場がなかったのでわかりません。専門科目の差よりも英語の差が大きいと感じて
います。
80 英語に関する全般的能力は正規入学生に比べ、明らかにレベルが低くなっています。この能力は大学
入学後の教育で大幅に改善されることはありませんので、高専入学生にとっては大きなハンディキャ
ップにもなっています。同じことは、大学院で他大学から入学してくる学生にも言うことが出来ます。
英語の能力は国語(日本語)の能力や論理的思考力とも多いに関係していますので、早い時期からの
能力開発が不可欠です。聞く力、話す力は大学入学生全般は劣っていますが、これは英語の中学、高
校での授業を考えるとやむをえないところです。したがって「英語によるコミュニケーション能力の
開発」のための教育プログラムの整備が大学で独自に図られようという動きにあります。その場合で
も読み書く力は基礎力として要求されますので、いずれにしても英語の基礎学習は重要です。
高専からの編入生は一般的に大変真面目で向学心も高いので専門科目の学習成果は平均以上に高い
ものがあります。ただし、英語をはじめとする全般的学力は高専入試と通常の入試では難易度に大き
な差がありますので、大学編入学後の努力によって大きく向上することが期待できる専門科目の学習
より、英語をはじめとする基礎学力の養成に高専が重点を置いていただく方が、編入後の本人の発展
にも役立つのではないかと考えています。
81 高専からの編入学生の多くは一般入試学生よりも優れた能力をもち、専門に対するインセンティブの
高い学生が多いのですが、こと英語学習に関するインセンティブは一般に低いように感じています。
82 文章構成を理解できない学生が多い。多分、日本語の力も劣っているのではないかと思う。
83 英語の論文が早く読めると良い。
84 一般には高専からの編入生の英語力は、他の学生より劣っている。しかし、自分で特に勉強した学生
の場合にはそうではなく、例外がある。
85 研究室には約 20∼30%の留学生がいます。ゼミは、半分日本語半分英語で行われます。高専卒の学生
は、その中でいっしょうけんめいついてくるのですが、はじめから十分な能力があれば、一層その実
力が発揮されるものと、常に感じております。
86 私の研究室に在籍している高専出身の学生と話をしたところによりますと、高専時代には英語の必要
性についてあまり教えられた事が無く、他の専門科目等に比して重要度が低く感じられたということ
を聞きました。今後、是非高専におかれましても英語の学修の重要さについて教えてください。もち
ろん、我校の編入学試験においても英語が課されておりますので Motivation になると思います。又、
入試を見ての感想ですが、我校の編入学試験では、建築学科に限り、大学生、大卒生、他専攻の高専
生等、幅広い人材を期待して専門科目の試験を課し
87 旧教養部の英語教育についていけない実態がある。どの能力が劣っているか具体的に判断するのは困
難
88 とりあえず、専門の論文や一般的な雑誌を読む力をしっかり身につけてほしいと思います。学生の英
会話の能力はここ数年、どんどんよくなっています。高専からの編入の学生は一般にはよくがんばっ
ています。私の研究室に配属になった学生は全員大学院に進学しており、内1人は博士課程(後期)
までいって、Dr.をとっています。
50
89 高専からの編入生は、専門科目や卒業研究でもよくがんばっている学生が多いと思います。英語に関
して言うと、上記の科目と比較してやや劣っているように感じます。とりあえず科学的な文章(もし
くは専門性の高い論文集)が文法などでとまどうことなく読める力をつけていただきたいと思いま
す。あと、これは一般学生に対しても言えることですが、外国人の研究者等へのアレルギーみたいな
ものを感じます。できるだけ若年時に、外国人の研究者や先生、学生等との交流を深める機会をもっ
ていただくと、英語(万国共通語)に対しての向上心がわくかとも思います。
90 編入学生の話では英語の授業時間数自体が一般の学生よりかなり少ないとのことである。そのせい
か、英語の基礎(文法など)がしっかりしていない学生が多いように感じる。
91 英語によるコミュニケーションは日本語によるコミュニケーションと同等に重要ですから、身につい
た英語力が求められます。
92 積極性がほしいです
93 文法、単語力をしっかり身に付けさせてほしい。
94 個々の学生によってレベルに差が大きい
95 大学における専門教育で最も重要なのは英文の論文や教科書を読む力であり、次に書く力である。最
近、聞く力や話す力が強調されすぎて、聞く力や話す力が軽視されがちであるが、問題だと思う。高
専からの編入学生は編入学試験に英語の科目を設けているためか、英語の能力について本学の学生に
比べて劣っているとは思えない。ただし、将来国際的に活躍したいと考えている学生は相対的に少な
く、就職先も実家の近くの会社を志望するケースが若干見られる。
96 1年から最終学年まで同程度の時間を英語教育のカリキュラムにあてていただきたい。大学入試セン
ター試験の平均点をクリアーしかねる学生も見受けられます。
97 現状の実力もさることながら、英語に対する興味や学ぼうとする挑戦意識が大切だと思います。最近
はそういう意識を持った学生が減ってきています。
98 20 年前と現在では英語の重要性が大きく変化しております。国際研修なども取り入れているので、重
要性が更に増すでしょう。よろしくご指導ください。
99 専門科目に重点をおいた教育をされているため、相対的に英語教育が少なくなるものと思われます。
しかしながら、いろいろな意味で、とくに英語で話をする能力が要求されておりますことを考えると、
もう少し英語教育にも力をいれる必要があります。4年制大学にも言えることですが。
100 学部の講義ではほとんど英語力は必要とされませんが、卒業後、専門性を高めるには必須となるでし
ょう。
全般的な傾向よりも個人的な差のほうがはるかに大きいので結局は本人の意識と努力に依拠してい
るといわざるをえません。
101 不明な箇所があっても長文を最後まで読むことが出来ないように感じます。
できないと思い込んでいる学生が多いように感じます。アンケート項目のうち1つでもよいから自身
を持たせることが重要に思います。その一方で積極的な学生が多いことも事実で、期待もあります。
102 語学に限らず、向学心のある学生の場合には他の在学生よりも伸びると思う。
103 英語に対する拒否反応が起こらない状態にもっていくことが重要だと考えています。授業で行う時間
数は極めて少ないので、これのみに頼るだけでは力がつかないと考えます。授業時間数以上の自習を
自宅で 100 倍-1000 倍の時間をかけさせるよう興味をいだかせ、向かっていく姿勢をつけさせること
が大切ではないでしょうか。授業時間だけでは効果はさほど期待できないと考えます。
104 いわゆる講義の中では英語の占める割合はそれほど高くありませんが、卒業研究や大学院へ進学して
からの研究では英語の重要性は飛躍的にあがります。
105 英語については基本的な文法が身についていることが一番役立つと思います。ただし、英語よりも、
数学、国語、物理が重要かとも思いますが。
106 編入生で大学院進学を希望する学生も多くいます。大学院進学を前提の場合、英語力のアップが必要
と思います。
107 高専における英語の履修時間数が絶対的に足りない
108 大学(学部)での専門科目修得にあたっての英語力の必要性は少ないが、大学院、社会での英語力の
必要性は非常に高い。
51
109 私の受けた英語教育のなかで後々まで最も有効だったのは英文法の知識、とりわけ構文についての
“きまり”を学んだことにあると考えています。例えば、仮に語彙不足を辞書で補ったとしても、主
語と述語の関係が不明のままで英文を正確に読むことはできません。こうした基盤を持つことによ
り、論文の読解、講演の聞き取り、英語によるディスカッション等は人それぞれの必要に応じた努力
によってレベルアップを図ることができるのではないかと思っています。日本語で育ったものとして
これがひとつの限界ではないでしょうか。勿論、語学達者な人々は英語で思考しているとよく言われ
ますが、すべての日本人にそれを期待することは必ずしも最善とは考えていません。
基礎および専門知識の内容が言語には依存しない普遍性のあるものと思いますので、その内容を十分
に理解・把握させる点においては学生個々人のその時点での英語能力は必ずしも反映しないものと思
っています。しかし、高専においては、読解力をつけるための基本的な英語教育が少し弱いのではな
いかと感じています。英文法を基礎として読解力を付けることは、高専における基礎・専門知識の習
得とは別に“来るべき時期”に必要となる“何か“であると考えます。以上のような考え方でアンケ
ートに回答させていただきました。
110 今後ますます国際化が求められるわが国を荷っていく若者にはコミュニケーションの手段としての
英語力を身に付けることが望まれます。大学での教育の改革も必要です。高専では、現状で専門科目
修得に英語力がそれほど必要ないとしても大学の現状にとらわれずに、多いに改革していただければ
よいと思います。
111 編入学生に期待していますが、最近は学力の低下と意欲の低下が目立ってきました。英語力もかなり
低いものでした。
112 学生が英語力不足なのを当然だと考えすぎている
113 基礎をしっかりと(文法、一般的な単語)
114 文脈を解析してていねいに読む練習が必要。会話などは機会が与えられなければ難しいが、読むこと
は英語の基本として大切。概して文法力が無い(ただし、学生によるバラツキが大きい)
115 英語だけでなく、海外の地理と歴史、政治経済にうとい。
116 学生は英語の大切さがまったくわかっていない。高専の英語の先生の努力だけでは無理。専門の先生
が立ち上がらないと高専生の英語嫌いは直らない。別に英語のコマ数を増やす必要は無い。学生が必
死になって英語を勉強しないと卒業できない状況が必要。
私自身高専で講師をしていたが、以下のような笑い話がある。期末で英語リーダーの和訳を出した。
教師がわざと中間部分の英語を省略しておいた。学生は、和文のみをまる暗記して、英語の文章に目
もくれない。予想通り、省略された英文の和訳も書いてあった。期末のテスト範囲の丸暗記、試験が
終わればすべて忘れる。そんな調子で大学へ来るので、考え方を改めさせるのに大変な苦労をしてい
る。全部が全部そうではないが、7割はそう。但し、高専生が先天的に英語が弱いとは思っていない。
どうか専門の先生の重い腰を立ち上げさせないと英語の先生だけでは駄目ではないかと危惧します。
どうか挫折せずに、プロジェクトの成功を祈念します。
117 特に高専4,5年での英語学習が不足していると思われる。
118 英語に費やす時間があるのなら、もっと基礎学力を高めてほしい。英語は論文を読みこなす文法力、
単語力だけでよい。
119 普通高校から来た学生に比して著しく劣る。ちゃんとした英語教師に入れ替えて、普通高校以上の英
語教育をする必要がある。そのまま世の中に出る可能性が高いので、普通高校以上の英語力が必要。
120 修士論文などのうち、優れたものは英語雑誌や国際会議に出すことが多い。これに対して、学生の能
力は著しく欠ける。日本語を通じての技術力、研究力が高いのに比較し、あまりにも英語力による差
がある。
121 大学生も同じですが、少しでも英文の教科書に接する機会があれば、卒論の際に役に立つと思います。
122 基本的な能力、「簡単な文章を正しく表現できること、聞き取る能力をつける」ためやさしい英文を
繰り返し学習させて欲しい。これは、高専編入生に限りませんが、基礎がしっかりしていないと、難
しくなってもついてゆけないようです。
123 編入生に限らず、コミュニケーションの基本は、伝えたいことをたくさん持つ、知りたい興味を持つ
ことです。発音が悪くても、文法が少々間違っても、他人が興味をもつことを考えていれば、相手は
一生懸命聞いてくれます。このあたりもどうぞ学生に伝えてください。お願いします。
124 就職試験で英語が課されるので重要
3年編入なので大学で十分な時間がなく、十分に学習することができないようです。
125 相対的に見ての話(相手が悪すぎる?)でも本学の学生だって相当ひどい。でも基礎語彙力がぜんぜ
ん違うので伸び方が違う。毎年UCLAと合同スタジオを行っている経験からです。でも基本は小ざ
かしい技術うんぬんよりも本人の人間力と努力ではないかとどうしても思ってしまいます。
126 学部生はあまり英語力は必要ではないが、大学院では重要である。
52
127 理系の場合、学部においては内容の理解が第一であり、英語力はあることにこしたことはないにせよ、
その次と考えています。特に3回生をうけもっているので英語力は必要であることを強調はしても強
制はしていません。
内容理解するための語学力はほんのわずかの努力で得られるはず。プレゼン、会話に関しては他学生
とかわりないと感じます。話すことの基本は英語であれ日本語であれ日常の考えがそのまま反映され
ると考えます。考える力と語学力はパラレルであることを意識して欲しい
128 現在、編入可能ということと、その道のエキスパートになることのレベルの落差が大きい。後者の道
を常に意識して勉学することが必要であり、英語に関しても答えが出るはず。日産自動車でも社内語
を英語にしようとする時代である。
129 科学研究には、英語が大切であるという理解が深まればあとは努力次第です。
130 全体的に良い人は良いが悪い人は悪い
131 工学部では英語の力が大変重要です。一般的に(私の経験)高専からの編入学生の英語力(特に読む力〉
がないように感じます。論文が読めないことが多い。
132 情報関係では英語は必須
英語を学ぶ機会は授業以外にもラジオ講座、テレビ講座など各種あり、英語力の無さを講義時間の少
なさのせいにする論理はおかしい。工業高校向けの検定試験でなく、英検の2級くらいは修得するよ
うにしてほしい。「工業高校」を逃げる口実にするのは良くない。
133 絶対的なレベルとしては聞く力から書く力まですべて劣っているが、これは編入生にかぎらずいえて
いることである。比較ということであれば、読む力が劣る。
高専の先生は一生懸命やっていることと存じます。問題は学生がいかにやる気をおこすか、ハングリ
ー精神の欠如がはなはだしく、いかにしてハングリー精神をもたせるかが重要だと思われます。
134 英語の教育内容の検討を期待しておりますが、次の点も考慮していただければと考えます。
本学では、3年編入時に、高専での単位の認定作業を行い、大学で履修したものとみなすことにし
ています。このとき、高専3年次までの単位は一般に高校レベルの内容であるとみなし、認定されま
せん。これは、一般に、大学レベルと思われる第2外国語の認定で、同程度の内容と思われる単位が、
3年までに開講している高専出身者は認定されず、4年以降のカリキュラムとなっている高専のもの
は認定されるという矛盾のような問題があります。
大学側の問題ではありますが、そして、本学だけの問題かもしれませんが、そのようなことも考えて、
英語のカリキュラムの検討をされた方がよいように思われます。
135 英語教育の総時間数が少ないのではないでしょうか?(高専の性格上、仕方がないかもしれません
が)。
工業英語に固執することなく、高専生には総合的英語力(特に英会話)を身に付けてほしい。
136 サンプル数が少ないので一般化は難しいが、英語学習、英語を使ったコミュニケーション能力の向上
について、モチベーションがやや低い印象を受ける。産業や技術の国際化の流れを考えると、将来の
社会に適応していけるのかやや心もとない。英語でのコミュニケーション能力は何ら特別なことでは
なくなるだろうから、せめて英語学習に対する興味を持てるような対応を高専でもしていただければ
と考えています。
137 大学、大学院、企業に進むにつれて英語力は不可欠。編入生でも、せめて大学センター試験や大学入
学試験を突破できる英語基礎学力を身につける必要性大である。
138 高専ではむしろ実践的なコミュニケーション能力に重点をおいた英語教育をし、この点で高校卒業者
(読解力、文法に優れている)に対し優位性を持たせることが適当である。
139 自己学習が出来るレベル必要
外国語による教育を行っていないので、当面読書ができれば対応可能。卒業、就職ではプレゼンテー
ション、ディスカッション、手紙が必要となる。
140 正確に訳すこと(て、に、を、は、・・・・、へ、の・・・)が特に重要と考えます。
文型・文構成を正確にとらえること、訳文が日本語として通じること(学生全体にいえることですが)
が必要と思われます。
141 実際には専門科目の修得の上に留まらず、日常的に外国人との会話、国際学会での交際に必要。
英語に限らず、研究あるいは各種イベント(スポーツ大会等)において、自発性、積極性にかけると
ころがある。ただし、一般的な勉強における成績は悪くなく、むしろ良いほうである。この成績が良
いというレベルに満足せず、更に積極的に取り組む姿勢を示さなければ、研究面では通用しない。
142 一般に語学力が低い。これは思ったより大きな欠点である。
143 授業を履修するのに英語は必要ではないが、卒研や修士課程では英語の文献を読んだり、国際会議で
の発表などに英語は必須。
53
144 今後大学の共通教育では英会話の時間が充実されることになっていますので、英会話の能力に差が生
じる可能性が高いと思われます。現段階では高専の中でも非常に優秀な学生のみにしか対応していな
いため、高専の教育改革について参考になる情報は提供しにくい立場です。
145 低学年から「英語教育は国際的なコミュニケーション技術として必須である」との立場で学生と接し
ていただきたい。
146 編入後、必要に迫られて努力しているので、卒業時(特に修士終了時)にはかなり向上する。
147 2-3 の回答の聞く力、話す力については判定しかねます。また、読む力、書く力についても個人差が
あり、内部学生よりずっと優れた編入生もいました。ただし平均すれば大学受験のための勉強をして
いなかった分(?)やや劣るような気がします。
148 大学院へ進学するにつれ、英語力は通常の学生と変わらなくなった。現在当研究室の助手は編入生出
身だが、後進の英語指導をするに至っている。
149 英語力というより本人の国語力(論理力)が一番重要。正確に文章を読解し、論述する力も必要。
150 高専は一般の大学受験を目指した高校のカリキュラムとは異なるという利点を生かして英語教育を
してほしい。現在の大学入試の傾向は、読解、文法などにかたよりすぎていると思う。英語で本当に
重要なのは、まず、きちんと発音して読めるようになることだと感じている。このあたりを重点的に
やっていただきたい。
151 高専とは限りませんが、自分で必要性を感じ楽しみながら長続きするような語学カリキュラムなどが
必要に思います。
152 論文を読むための基本的な文法を身につけることが重要と思います。
153 読解力の不足が目に付きましたが、これは高専卒だからというわけではないようにも感じます。
154 一般的に積極性に欠ける感がある。語学に限らずチャレンジ精神がほしい。
155 上記は、4年生で卒業し、大学院へ進学しない場合を想定したもので、大学院へ進学する場合には英
語力はより高いものが要求される。ただし、英語力が編入学後に伸びる可能性はあまり高くないよう
に思う。
156 全体として今後は世界共通語は英語(米語)であり、しかも技術者としてJABEE対応、特に
Washington Accord 対応がありますので、現状より一層の教育効果の高度化を期待しております。最近
本学では、大学院の入学試験の英語とし TOEFL や TOEIC など外部の試験を利用するようになってき
ましたので、その点もご考慮いただけるとよろしいかと思います。
157 英語は外国語ではなく世界共通語です。日本語共通語(東京方言)と同じように使いこなせないと仕
事のチャンスは著しく狭まるでしょう。
158 実践的な工業英語を身につけてほしい。実験レポートの一部を英語で書くトレーニング、測定器やソ
フトウェアの英文マニュアルを読解させるなど、実習授業とリンクさせる様な教育はできないでしょ
うか。
159 研究室に入って、外国人などと接する、あるいは国際会議で発表をさせるなどをすると、M2くらい
には英語についてはだいぶなれてくるようです。察しますに、英文法はある程度知っていても、使う
機会にめぐまれずにすごしてきたという印象がある。(上位の成績の学生の専門はよくできると思い
ます。)
160 教育されていない、英語については劣等感を持っている。
161 専門科目修得に英語力はほとんど必要ないと思いますが、就職後に国際的な場で働けるよう、指導は
しています。
162 普通進学校(国公立大をターゲットにしている)程度の力を養うことが重要。もっと英語教育に時間
を費やしてほしい。専門にとらわれすぎです。日本語を含め、語学力がないと、論理的な思考ができ
ません。
163 修士論文を行うにあたり、英語の文献を理解する能力が強く求められる。留学生がそれほど多くない
ので、英会話の能力を試す機会が無い。就職してからの職場により、会話の必要性が増すのではない
か。
164 少なくとも国立大学受験生程度の学力を身につけさせて貰いたい。
165 高専生の多くが大学あるいは専攻科進学になってきており、高専の役割とカリキュラムについて根本
的な見直しが必要不可欠
166 中学では英語ができた高専生が、高専を経て大学で英語できないのは、高専5年間でまともに英語を
勉強していないためと思う。以下学生に聞いた意見。①専門教員が「英語なんかいらない」という。
②英語担当教員がきちんと教えていない。場当たり的授業をしている。③きちんとやればできる。そ
の必要性が感じられない。(中学の時によくできたとのこと)。
167 自宅学習、毎日のトレーニングが重要、受験勉強の経験のない高専生は自発的な学習が苦手かもしれ
ない。
54
168 ご承知のとおり高専とその他の普通高校では英語の勉強についての動機づけが全く異なっている。英
語を学ぶ動機づけ(受験のためなど)をしっかり指導してもらうといいと思います。
169 成績の良い学生でも語学はできない学生が多い。しかし興味を覚えると上達するので、刺激を与える
方法があればよいように思う。
170 高専でのカリキュラムで英語はあまり重視されていないのかも知れませんが、大学、大学院での研究
を進める上で、英語の力(読む≧書く≧話す≧聞く)は必須です。
171 文法にこだわることなく、自分の考えを英語で表現できることが望ましい。聞く、話す、読むの基本
が重要
172 高専では朗読をさせてほしい。日本語的カタカナ発音でもよいから、何という英単語を読んでいるか
が他の日本人にわかる程度にしてほしい。
173 基礎文法力をしっかりと身につけてほしい。英語能力とは言葉に対するセンスであるはず。正しい日
本語能力がなければ、英語のセンスもないのでは?
174 基本的な英文法の知識が欠けているので正しい読み書きができない。
英文法(英文を読むための最低限のルール)は、理科系的な事項(数学と同じ)であるので、高専学
生ができないはずがない。
175 この調査には、御自身が高専からの編入である教員の方の意見も踏まえて回答いたしました。受験が
ない分、英語が劣ると感じたとのことでした。しかし、私が助手時代に接した(研究室にいた)学生
は英語の論文をきちんと読んでいました。
176 大学の1∼3年(又は4年も)では、英語を必要とする環境ではない。しかし、大学院に進んで急に
必要になる。又は会社に入って必要となる。英語と専門科目を結びつけて考えたことはなかった。大
学の1∼3年では英語力を必要とするプログラムになっていないことを改めて認識しました。
残念ながら、専門科目修得の上では英語は必要と思いません。しかし、卒業研究の段階である程度英
語論文に接
177 専門用語(英語)の単語力があるとよい。
178 努力型が多い。がんばれば十分対応可
179 平均的には劣っているのだろうが、編入生は勉強しているようである。
180 大学でも同じことで悩んでおります。
181 正確に意味を読み取る能力をつけてほしい。
182 変わらないというのは、普通ということではない。他の学生の英語力も極めて不十分である。しかし、
この不十分な英語力は学生に限ったことではない。研究者でも、国際学会などで十分な英語力を持っ
ている人を私はほとんど知らない。政治家、外交官の中にも英語で communicate が出来る人は極めて
限られており、この状況は国家的規模で大きな損失となっている。
183 高専からの入学生の多くは「英語は苦手」と思い込んでいるものが多い。
「読む」
「書く」ことは勿論
重要であるが、
「聞く」
「話す」にも重点をおいた会話教育が重要であり、全体的能力の向上に資する
ものと思う。
184 難しいことは習わなくてよいから、基本的な文法が身に付き、良い文章(簡潔で読んで美しい文章、
リズム感のあるもの)をくりかえし音読させてほしい。
185 高専出身の学生に限らないことなのですが、次のような点が気になります。ボキャブラリーの不足は
昔からのことで専門分野ごとで英語の言い回しが異なることも多いと思われますが、基本的な文法事
項があやふやになってきているように感じます。例えば品詞が何かを気にもとめないことも目にしま
す。それだからでしょうか、冠詞や前置詞の相違にも目を留めなかったりします。以上のことは学生
全般にいえることで、高専出身の学生に限ることではありませんが、外書講読などで気をつけている
点です。
186 高専に限らず、今後英語教育はますます重要になると考えられますので、力を入れていくべきだと思
います。
187 当学科では(他の学生も低い)と感じている。
188 修士以上に進学すると「話す」
「書く」という表現が不可欠となるが、まずは「聞く」
「読む」が基本。
英語力を伸ばしていく上で「聞く」力は非常に大切だと思う。
189 高専からの編入生は大学受験でもまれていない分学力に欠ける部分はあるが、その分まだ元気が残っ
ている利点もある。重要なのは、入学後どれほどのびるかであり、積極的な勉学の意欲を育てるよう
にしてほしい。
190 通常の入学生に比べて非常に劣っている。大学入学後の英語教育は殆んど学力向上に寄与していない
ので高校レベルの教育の成果にはっきりと差があると感じている。受験勉強をしないせいであろう
が、そうであればなおのこと高専での英語教育を徹底して実をあげてほしいと思う。
55
191 専門の勉強をしっかりとしておくこと(日本語で)は、同種の英語文献を読む際にきわめて有効です。
英語のみの勉強だけでなく、専門に関する基本的な教育を充実されることを望みます。
192 全体(一般学生も含めて)的に英語教育方法に疑問をもっている。同年代の留学生と比べて話す、聞
く、書く英語能力が劣っている。今の日本の英語教育には多いに不満を感じる。
193 最近は数学力が劣っている。英語よりも数学力がより大切。
194 一般教養の充実をお願いします。例えば、国家公務員試験Ⅰ種の1次合格できる程度。
195 1-1 に関しては、学部教育レベルでは専門科目の教科書はほとんど日本語で用意されており、教育を
受けて理解することだけが目標なら、英語は殆んど必要ない。
1-2 に関しては、新しい専門用語の一部は日本語に訳されず、英文頭文字による略号やカタカナ表記
日本語で表されているものもあり、英単語、文法を知っていると理解しやすいものもある。
1-3 には「異文化の知識」が含まれていないが、これも重要。一言で言えば、専門教育を理解するた
めだけなら英語は不要。しかし、卒業後のことも考えれば、英語の全ての能力が必要なだけではなく、
異文化の知識も必要。卒業研究レベルでも、留学生や外国人研究員と一緒に実験を行ったりすること
があり、留学生の場合は留学生が日本語を話したり、日本文化の理解があってトラブル発生も少ない
が、外国人研究者の場合は原則英語で、日本文化に対する理解も少ない場合が多いのでトラブル発生
がある。日本人学生側も異文化への理解が必要。
日本人学生があまり知らない英語
1.事故などの緊急時に適切な言葉がすぐに出ない。例:あ、危ない!逃げろ!
2.簡単な物の名前を知らない。例:ペンチ、六角レンチ、綿棒
高専からの変遊学性は、一般的に言って意欲が高く優秀。但し、英語能力に関しては個人差が大きく、
特別な傾向は見られない。
196 何より英語は重要であるという意識をうえつけておいてほしい。
197 このアンケートは大学学部教育(専門科目修得)を目的とした英語を考えているように思いますが、
今後、英語は学生の就職後より一層必要だと思われるので、会社における英語を考えるのも必要かと
思われます。
198 会話力も重要ですが、まずは正確に読める力が技術の世界では重要だと思います。
199 大学受験にわずらわされない教育、とくに専門性を尊ぶ指導を強力に進めていただきたい。(語学力
は、必要となれば身につくものである。)
200 いずれもまじめな学生であったが、大学院の入試に際し、英語の点が特に悪く(他は平均)、結果と
して不合格となった。英語の特に読む力をつけてやってほしい。
201 高専、普通高校を問わずレベル低下です。
202 卒論時における文献調査、留学生との共同研究で必要。英語は年齢が若いほど、吸収が効率的にでき
ます。工学として必要な英語を身につける機会がもっとあるとよいと思います。
203 大学院に外国人留学生が増えており、学部の講義のためより幅広い研究活動やコミュニケーションの
ため、普通以上の英語力が必要とされる。
204 聞く力、話す力は要求していない。辞書で単語を引いても文法を理解していないため著しく誤訳する
場合が多々あった。基礎文法を理解することの重要性を痛感する。
205 学生により目標意識が違うので難しい問題です。例えば、国内のみに関心があるのであれば、ほとん
ど必要なしです。ただし、それでは Jobless になるでしょう。また、英語力より、英語であっても日
本語であっても物事を理解できることが大切。
206 大学の英語教育はそれほど整備されていないので、自学自習をすることが大切だと思う。
207 一般に、「大学入試勉強は実用的な英語力の向上にはあまり役に立たない」と信じられているようで
あるが、必ずしもそうではない。特に科学技術的文献を正確に読み取り、また正確な文章を書く上で
は、高校レベルの(入試に必要な)文法、単語などをきっちりマスターしておくことが必須である。
その観点から高専においても読み書きの英語をかなり厳しく教育していただきたい。
208 海外での国際会議で英語で研究発表を行っており、十分能力がある(修士2年)。特に高専であるこ
とを意識してはいません。能力がある学生も無い学生も混じっています。
209 編入生は英語力の基礎的なところからきわめてよくないので将来大学院に進学してもついていけな
い
210 大学受験を経験した大学生に比べて編入学生の英語力は低いとうわさでは聞きますが、実態はよくわ
かりません。私の考えとしては、大学受験のための英語教育ではなく、高専独自の英語教育を期待し
ています。高専出身者はこんな英語力を身につけていますよ!といえるように。やはり実践的な技術
者として必要な英語でしょうか。具体的には設問1−3のf)g)h)でしょうか。非常に難しいこ
とかもしれませんが、勝手ながら、私の期待です。
56
211 修士も含め6年間で考えているので英語力は重要。研究室に常に1、2名留学生がいるので英語は常
用している。指導した学生は当学科(学科)もTOPで卒業した優秀な学生だったので、特に問題は
感じなかった。卒論(4年生)では英語は必要であり、学会の原稿(計測自動制御学会)も英語で書
く時代なので力を入れる必要あり。
212 第1に読解する力、第2に書く能力を指導されたい。
213 英語能力はこれからの時代に非常に重要です。高専からの編入生はかえって英語ができるというくら
いに教育してほしいと思います。
214 M1から国際会議(海外)への出席、発表ができるように、日常的に教育しています。①実験報告書
の要旨を必ず英文(正しい)で書かせることを全面的に実施すると英語力は全体として格段に上がり
ます。②ホームページの英語版を学生に作らせる。無論専門家によるチェックは必須です。
215 科学技術関連の英文のやさしいエッセイを出来るだけ読ませてください。
216 英語力の不足は本学の学生すべてにあてはまるので、専門英語教育が重要である。
217 TOEIC 等に自己チャレンジさせてほしい(編入試験にも有利と思う)
218 単語力不足、文法(構文)理解不十分、英作文不可
219 高専でどのような英語教育を行っているのか知らないのでなんともいえない。
220 大学受験を経験していないせいか、基本的に単語力、文法が極端に弱い学生が見受けられる。特に構
文をとらえる力がない。
221 ドイツ語をもちいているため、英語力は必要ですが判断できないことが多い。大学の専門教育では読
む力が第一に必要です。文系編入を希望する学生であれば一般的な理解力もそうですが読む力をつけ
ないとどうにもなりません。
222 単語力の向上、TOEIC などの資格テストを受けて自分の力を伸ばそうとする意欲などが望まれます。
223 本学の事情により学生の英語の能力を向上させるため「工学英語」を実施しています。その担当を4
年くらいしています。英語の専門家ではありません。専門を生かした仕事をしていく上で英語力はま
すます必要になっています。そのための学習も行っています。「英語の勉強」よりも「英語で表現さ
れた情報から必要な情報をどう理解するか」に重点をおくほうがいいと考えますが、いかがでしょう
か。
224 最低限専門用語を修得させていただきたい。文法は簡単(中学生程度)でよい。
225 初年度のみならず高学年迄連続した教育が必要と思われます。
226 個人差があり判断しかねる場合が多い。
227 編入学生に限らないが、講義・講演を理解できるところまで英語を使えるようにならないと英語力が
あるとはいえません。また技術英語にも弱い学生が多い。残念である。ボーダーレスの時代に若人は
もっともっと本格的に”英語力”を身につけるべきである。
228 大学と大学院での教育・研究
①4年生での卒業研究や大学院での研究の際に、英語の文献を読める能力が必要。また、大学院では
研究結果を英語の論文にまとめる能力が必要。②普通高校→大学と進んだ通常の学生でも、工学部の
学生は(文系の学生と比較して)読み書きの能力は不十分。編入学生は通常の学生よりも劣る。英語
能力を受けた時間が少ないためであろう。③編入学生(もちろん、通常の学生も)は、最低でも、英
語の論文や英語の教科書を理解できる(読む〉能力を持ってほしい。その上で、論文を英語で書けれ
ば十分ではないだろうか。修士論文の序論は英語で書かせている(教員の添削があるが)。④大学院
の博士課程や修士課程の学生が、国際学会に参加し発表することもある。英語で発表できる学生は、
英語を得意とする学生であり、全員ではない。⑤大学には外国からの留学生が多いので、実地に英会
話を練習する機会も多い。外国人との会話に(恥ずかしがらずに)参加する積極性が必要であろう。
企業の技術者
①技術者として、外国からの技術者を迎えたり、外国へ出かけての技術指導がある。英会話の能力が
必要となる。小生は、就職が内定した学生に対して、英会話の勉強を薦めている。②小生は3度ほど
国際学会で発表した経験がある。英語論文はほとんど修正されなくなったが、旅行および論文発表(討
論)に必要な hearing 能力はゼロに等しい。この経験から、学生に対して、英会話とくに hearing の訓
練を薦めている。当方の言うことは、学校で習った英語だけでも、そこそこ通用したようであるが、
相手の言うことが聞き取れなくては、会話が成立しない。
結論
①編入学生は、通常の学生に比較して、英語の勉強時間が足りないように思われる。②電気・電子工
学科へ編入する学生の場合について、勉強時間不足を補う方法について提案したい。「専門の基礎科
目である電気回路や電気磁気学の入門程度の、英語教科書を勉強する(副読本または自習)」のはい
かがであろうか。そこに記述されている内容は理解可能であり、英語の表現に慣れることができ、専
門述語(単語)の勉強にもなるであろう。
57
229 学部学生の段階ではあまり必要ありませんが、大学院では要求されます。これからの国際社会で生き
ていく上で持っていて欲しいということでチェックしました。
230 授業というよりは将来社会に出て役立つように、会話力を身につけたほうが良いと思う。高専の学生
は多少英語が苦手という意識はあるようだが、頑張りやが多いのでそれほど差異を感じたことはな
い。
231 英語に限らずすべての科目に対して積極的で意欲のある学習態度が望まれます。語学学習では根気が
他の科目に比べ特に重要であるように思います。学習者を助けるためには言語学(特に単語)の科学
的分析を開陳する事が工科系学生には興味を持たせる基になると思います。発音においても構文にお
いても多摩大学長グレゴリ−・クラーク氏の経験による会話から学習に入っていくことの重要性も否
としませんが理系学生の思考過程も無視できないように思います。
232 全般的基礎学力が不足、専門の知識はあるが、応用力、解析力不足
233 ぜひ実践的、役に立つ英語を身につけてもらいたい。
234 学部レベルで英語がどうしても必要というわけではないが英語がこなせるということは他のことも
ある程度できるという目安にはなる。大学院に進学すると読むのは絶対に必要なので、学部のときか
らやっておく必要がある(急には絶対にできない)ということであろう。
235 編入学生に限らず国語教育に問題があるように感じています。筋道をつけて論理的に話すこと、書く
ことができない学生が増えてきているように思っています。
236 まず自分の意見を持ち、日本語で伝えられること、実は、これができない。
高専生の英語力は、数学の計算力(スピードと正解率)もそうですが、いわゆる進学校から受験を経て
大学に入学する学生と比べると、平均値では劣っているという印象を受けます。しかし、これはあく
まで平均値であり、非常に出来る学生(特別な指導をしなくても、自力で国際会議用の原稿を作成し、
口頭発表できる学生)も居ます。また、学部3年次に英語試験の出来がよくなくても(具体的には
TOEIC300 点そこそこであっても)、その後、市内の英会話学校や学内の海外語学研修に自発的に参加
することで、留学生と会話できたり、TOEIC700 点をとれるようになる学生もいます。但し、本当に
英語のできない学生もいます。
このようなことから、高専生は英語の試験にはあまり興味がないが、必要に迫られて勉強すれば、良
い点をとれる潜在能力がある、と言えると思われます。これは、数学の授業でも同じなのですが、数
学の問題を「何分以内に、何問解いて、何点以上が合格」というという動機付けでは興味を持たない
が、「何に使えて、概ねどういうことか」がわかれば、実際に点数がとれなくてもわかった気になる
ようです。
一方、ふつう高校生は計算問題を解くこと自体に興味を示すが、それをどのように応用するか、工学
的問題の解決にいかに適用するか、という点は弱い。少なくとも高専生以上に指導(手順の明示)が
必要な場合が多いようです。
これは個人的な経験に基づく意見ですが、英語に関しては、興味と必然性あるという前提で、日頃、
こつこつと努力さえすれば、英語力は自然とつくものですし、数学や物理に比べれば、誰でも英語を
使えるようになると考えております。したがって、高専生や技科大生に対しては、英語なしではすま
されない環境で、技術的課題を達成するような課題を与えることが、効果的と思われます。私の経験
している範囲では、英語論文を読まなければ卒業研究が始まらないとか、海外で実務訓練を実施する
とか、留学生のチューターをやるとか、英語ゼミ(社会人留学生がいると英語が唯一の共通語)に参
加するといった活動が、学生の英語学習への動機付けとなり、実際に一定の成果が得られているよう
です。
58
237 大学院進学率が 80%の現在、
「英語力」は最も重要な課題の一つです。私たちの解析では、大学入学時
の高校「英語力」をピークにして、4年次春の研究室配属までに学力は低下の一途をたどっていると
判断されます。現在、TOEFL の受験の義務化、得点設定による大学院受験資格の判定の制度化さえ議
論しております。国際化の進む企業よりの「英語力」増強の強い要望に加え、大学の独法化による競
争原理導入による論文活動の活性化は学生の英語力アップを必須の条件としています。
238 英語科学文献を読む上では基本的な文法が必要ですので重点的に指導を
239 高専生は概して英語力が劣ることは以前から認められましたが、改善された様子はありません。一般
的には優秀な学生が編入されて、多くは大学院に進学しますが、大学院では英語力が常時必要となり、
ここで困惑しているようです。
240 少なくとも読む力、それに英語の必要性は教育しておいていただけると本人たちも苦労しないでしょ
う。とくに大学院入試で大きなハンディになります。
241 せめて読解力(日本語も含む)をつけてほしい。
242 私が直接指導している学生は英語力は他の学生と変わりませんが、全般的に単語をあまり覚えてない
ような気がします。
243 TOEIC,TOEFL への受験をすすめ、学内でそのための授業と設備を準備する。
244 どのようにして motivation を高める工夫をしておられるのか興味のあるところです
245 高専からの編入学生は一般に熱心で学習意欲があります。
246 高専からの編入学生は専門科目は強いが、英語、数学、物理などの基礎学力が弱い学生が多い
247 一般に編入学生は専門特化しすぎている感が強い。英語教育も文法などより実践力が必要であるが、
そのための勉強時間を高専時代にもてないようである。
248 大学受験がないので、単語力不足が特に大きいようです。
249 学部ではほとんど英語を使わないが、大学院、会社ではきわめて重要であるので、しっかりやるべき
である。4年のゼミで英語の文献を読める程度には力をつけてもらいたい。
250 将来(就職や編入後など)、英語の必要性が高まることを学生が認識してもらえることが大切だと思
います。
251 大学院では英語論文の理解と英語での論文作成が必須となってきていますが、学部卒業生にはこれま
でアブストラクトや論文を英語で書くということを要求していませんでした。最近大学院への進学率
が 50%を超えるようになったことから学部学生の英語能力の向上が必須と考えています。学生には
TOEIC 受験を進めています。目標は学部生 500 点、大学院生 600 点です。学部生については、教養の
外国語科目の単位認定制度を設けて、TOEIC 受験を特に推奨しています。
252 学部教育において英語力が必要とされることは少なく、むしろ卒業論文や大学院への進学において必
要不可欠なものとなっていますので、学部教育でなければ上記回答は全く異なったものになることを
ご了解ください。
聞く力、はなす力を身につけた学生は非常に少なく、また現時点でそのようなことを期待もしていま
せん。各種学会に参加させることを義務づけて、本人に努力させるようにしております。
59
253 アンケートに記しましたように、技術系の分野にとって、英語力の重要度はますます高くなっており
ます。私の研究室の大学院生も、さほど大きくない企業に就職試験を受けに行ったとき、面接に外国
の方がおられ、英語(易しい英語だそうですが)で質問されたそうです。また、英検やトイックであ
る程度のグレイドの給が認定されていますと、就職に大変有利になります。しかし、本学の学生の英
語力はかなり低い(個人差はだいぶんありますが)のが現状で、頭を悩ませております。
60
6. 調査結果に基づく提案
6.1. 高専の英語カリキュラムについて
6.1.1. カリキュラムの現状
今回の調査からは、今後の高専の英語教育が目指す方向について、いくつかの重要な示唆が
得られた。その中でも特に際だっているのは、高専英語教員の実に7割が「高専に特有な英語教
育」があるべきだと考えている事である(3.2.2)。高専は、5年間一貫教育、早期専門教育、一定の
学習達成度を持つ学生集団であること、など高専特有の条件があり、独自の英語教育に対する期
待と可能性がある事を示している。
もう一つの重要な示唆は、高専卒業生の英語力に関するものである。高専の学生の英語力に対
する一般的な評価は、残念ながらあまり高いとは言えない。就職先の企業および編入先の大学に
対して行なったアンケート調査からは、「文法が弱い」、「単語力がない」、「高専出身の方の技術力
は大卒学生にもひけをとらないが、英語力についての能力向上をぜひ期待する」など、高専卒業
生の英語力の低さを指摘する意見が多く見られた。高専英語教員は、これらの声を真摯に受け止
め、高専の英語教育の改善方法を模索し、卒業生の英語力を高めるよう努力しなければならな
い。
高専では、技術者育成を主眼としたカリキュラム構成のため、入学直後から専門教育が導入され
る。5年間をかけて専門的な技術者を養成するという高専の「5年間一貫教育」のカリキュラムは、学
年進行につれて段階的に専門教育を取り入れ、専門教育と一般教育の構成比率が徐々に逆転し
ていく、いわゆる「くさび型」になっている。このため、全体のカリキュラムにおける英語授業の構成
比率は、1年時には5∼6単位時間程度であるが、5年時には平均2単位時間程度に落ち込むとい
う先細りの傾向を示す。極端な場合、5年生の英語は必修科目にもなっていないという高専もある。
このようなカリキュラムの下では、企業や大学からの指摘にあるように、低学年で培った基礎学力を
定着させる場も少なくなる。英語教員の間からも、3年次以降の授業時間に対する不満は多く寄せ
られている(3.3.4)。平均的な高等学校(普通科)の3年間の英語履修単位(約 18 単位時間)と比
べてみても、高専の英語の実施時間配分は不十分である。また、一般の大学生(1,2年生)での
必修単位数(6∼8単位)と比較しても、高専の高学年における英語の履修単位数は少ないと言っ
てよいだろう。
しかしながら、ここで再考すべきことは、上に述べた問題は普通科の高等学校や大学の一般教
養と比較しての話であって、必ずしも高専の英語教育が高校や大学と同等の量と内容を保証する
必要はないということである。すなわち、大学入試を前提とした高校の英語教育、およびその延長
のような大学一般教養の英語をモデルとするのではなく、高専という教育機関の特色や独自性に
立脚した、高専らしい独自の英語教育を具体化することによって、与えられた時間数の範囲内でも
最大の効果を発揮できるような英語教育があるはずである。
6.1.2. どのようなカリキュラムが考えられるか
高専における5年間の一貫指導を英語教育の観点から見た場合、その長所は、大学受験に左
右されない実践的な英語運用能力を時間をかけて育成できるということである。言い換えれば、とも
すれば教科として「問題を解く」ことに集中しがちな英語教育を、より実践的な「使える・通じる」言語
の教育としての英語へ移行させるカリキュラムを組むことの可能性である。5年間という長い就学期
間を利点として、たとえば英語の四技能(listening, speaking, reading, writing)を各学年で重
点的に学習するようなカリキュラムを組むことも可能であろう。
一方、短所としては前述の通り、一般の高等学校に比べて英語の授業実施可能な時間が少な
いということである。編入先の大学アンケートで得た回答では「受験勉強をしていないため、圧倒的
に勉強量(蓄積)が少ない」という指摘もある。しかし、高専の全体的なカリキュラムを勘案すると、こ
の状況を変えることは難しい。一つの案としては、授業で十分な時間が割けない内容や、学生によ
る自習が可能な内容は、あえて授業時間内では扱わずに学生の自己学習に任せる事も可能であ
ろう。また、目標とする文法事項や構文習得に焦点を絞り、短時間に集中して訓練する帰納的な授
61
業展開を考えることも効果的である。たとえば、1単位時間内でいくつかの文法事項に焦点を絞り、
その文法事項を含んだ短文を暗唱させたり、反復練習を行なったりすることは、言語学習において
は効果的である。また、ドリル形式の基礎練習をトップダウンで反復して行うなど、限られた時間を
有効に使うために、授業の構成には工夫を凝らすべきである。
高専英語教員に対する調査では、64%が正規授業以外にも何らかの指導をしていることもわか
った(3.1.5)。このような少ない実施時間を克服するような試みは、これからも奨励されるべきであ
る。
6.1.3. 独自カリキュラムの留意点
高専独自のカリキュラムを編成する上で最も重要な事は、基礎学力の向上である。大学からの
指摘には、「中学・高校程度の基礎文法を良く学ばせてほしい」、「基礎的な英文法の知識が欠け
ているので読み書きができない」というものがあった。このことは高専卒業生が基礎的な文法事項も
理解していなかったり、簡単な英語での受け答えのような能力さえも身に付けずに卒業してしまっ
ている現状を端的にあらわしている。この指摘は、新しいカリキュラムを編成する段階で特に重要
視する必要があろう。つまり、前段で述べたような高専の特色を活かして「実践的な英語」や「通じる
英語」を標榜するあまり、伝統的に行われてきた基礎的な文法や英語の基本を疎かにしてしまう事
に対する警鐘である。したがって、新たな高専独自の英語カリキュラムを考えるときには、基礎的な
学習内容を疎んじずに、バランスの取れたカリキュラムを編成すべきである。
また、英語カリキュラムに関する調査からは、少人数クラスや習熟度別クラス編成を実施していな
い高専がまだまだ多いことがわかった(3.1.2、3.1.4)。一般的に少人数クラスは効果的だと言われ
ており、習熟度別クラスも多くのケースで有効とされている。英語の授業実施時間の少なさが、高専
の英語教育を阻害しているのならば、少人数制の授業展開や習熟度別のクラス構成などは、今後
真剣に論議されるべきである。反対に 40 人学級を維持するのであれば、一授業あたりの教員の数
を増やしたり、外国人教員などを補助に入れる team teaching の可能性も考えるべきだろう。
team teaching は、英会話の授業などにも応用可能で、カリキュラムを編成する上でも非常に重要
な視点である。今後は、高専全体として、少人数クラスや習熟度別クラス編成、そして team
teaching などの導入の可能性について検討を加えていかなければならない。
6.2. 教材について
6.2.1. 高専での教材の現状
今回の調査から、現在高専で採用されている英語教材について明らかになった事は、多くの高
専で高等学校用の文部科学省検定済み教科書(以下検定教科書)が採用されており、高専英語
教員の支持を受けていることである(3.3.9) (3.3.10)。これは、高専の1∼3年生すなわち高校生レ
ベルの学生が学習すべき内容を検定教科書が過不足なく網羅していることや、いわゆる Work
Book や Teacher’ s Manual 等の補助教材、教授資料などが充実していることが理由と思われる。
しかし、検定教科書が高い支持を受ける反面、その他の市販教科書に対しては、多くの教員が
不満を持っていることも明らかになった。大学生の年齢にあたる高専の高学年では、おのずから市
販の教科書を使用せざるを得ないが、これら市販教科書は、価格、内容など、どの点をとっても検
定教科書ほどの充実度は望むべくもない。このことが、検定教科書の支持率(約 60%)と市販教科
書の満足度(20%弱)という大きな差となって現れていると考えられる。だが本来「5年一貫教育」で
ある高専の英語教育で、低学年と高学年の教材の間にかくも大きなギャップがあることは、教員に
とっても学生にとっても望ましいことではない。
高専卒業生たちの就職先企業を対象とした調査結果からは、基礎的なレベルの英語を聴き取る、
読む、話す、などの英語運用能力が期待されていることが明らかになった。また大学からは「読む
力」を中心に養成して欲しいとの意見が多かった。これらを総合して考えると、検定教科書は教員
たちから高い支持を得ているものの、その「仕上げ」となるべき高学年の教材に不満を持ちながら
授業を行なっている現状では、教員、学生、さらには卒業後の進路である企業や大学にとっても不
62
利益を生んでいると言えよう。理想的には、検定教科書に匹敵する完成度を持ち、低学年から高
学年まで文字通り「一貫」して使えるような高専のための英語教材が望まれる。実際、過去には英
語 教 員 有 志 に よ る 高 専 独 自 の 教 科 書 ( College English For Culture and Technical
Communication, 1987 中教出版:片山嘉雄ほか 12 名編著)が出版されたこともあったが、以下
のような理由で全国に「高専の教科書」として定着するにいたらなかった。
① トピックが学習者の興味と合致しなかった
② 完成度が低かった(excercise, grammar & key expressions などがなかった)
③ ワークブックなどの補助教材がなかった
④ 独自の教科書を使った独自の英語教育案を具体化できなかった
⑤ 学生に独自教科書の利点を提示できなかった
アンケートで、「高専のための英語教科書」を作るべきという項目に賛成した回答が全体の 4 分の 1
強程度しかなかったのは、過去に作られた同類の教科書のイメージがあるためかもしれない。
6.2.2. 高専生にふさわしい教科書とは∼独自教科書の可能性
高専生にふさわしい英語の教科書の要件を考えるには、高専独自の教育体系を念頭に置く必
要がある。高専では、早期専門教育の導入によるくさび型カリキュラムが採用されているため、低学
年のうちから専門教科の学習をサポートするような英語教育が期待されてきた。たとえば、専門教
科の内容に則したトピックや語彙を英語の教科書に盛り込むだけでも、高専独自の英語教科書と
して特色を出すことができる。高専制度は「技術者教育」という統一的な目的を持って設立されてい
るため、ほとんどの高専で類似した学科配置がなされている。すなわち、機械、電気・電子、土木・
建築等の学科である。したがって、英語の教科書にもこれらの分野に共通するトピックを選定し、章
配置をすることが可能で、それはそのまま技術者教育のための英語教科書ということにもなりうる。
専門教科の内容を英語で学ぶことは、英語が使われる状況や場面に応じて「意味のある」表現
を学ぶことでもあり、効果的な英語学習方法といえる。「何のために英語の学習をするか」という具
体的な目標提示は、英語学習者の動機づけを充分に高める効果がある。ただ、いきなり低学年か
ら専門学科の内容を英語で扱うのはハードルが高すぎるとも考えられるので、専門科目への橋渡
しとして基本的な理科や数学にかかわる内容をトピックとすることで、英語学習に対する内的動機
を高めることもできるであろう。さらに、各トピックから出てきた英文表現をまとめて表示し、文型や文
法指導などに利用することも可能である。このように幅広い観点で、専門教科に直接・間接的に関
わる内容を英語教育に取り入れ、学習者がより自覚を持って学ぶことのできる教科書が理想であ
る。
このような考え方は、いわゆる content-based instruction をベースとした教材づくりに結びつく
ものである。これを突き詰めていけば、高学年での専門科目の授業そのものを英語で行なう、いわ
ゆる immersion にたどり着くが、これを英語の教員が行なうことは事実上不可能である。その場合
には専門学科の教員にも理解と協力を求めることも必要になるであろう。
6.2.3. 補助教材のあり方
前述の content-based instruction の考え方は、教科書のみならず、我々が使用している多種
多様な英語補助教材についても同様のことが言える。補助教材とは、特定の語彙を補強するため
の用語集、学習内容を定着させるためのワークブックや問題集、さらには教員のための Teacher’s
Manual なども含む。
高専での補助教材の可能性としては、たとえば専門用語集や職場での想定会話集などもあげら
れる。補助教材には、教科書だけではカバーしきれない学習内容を補完したり、理解度を深める
効果(スキーマ効果)がある。さらに、自学自習用の補助教材を使うことで、不足しがちな授業時数
の穴埋めをすることも期待できる。
ただし、その場合に十分注意しなければならないことは、ここでもやはり高専の独自性を見失っ
てはならないということである。たとえば英文法ならば、英語の文法・語法にかかわる事項をまとめ
てトップダウン式に表示して教える方が、教員にとっても学習者にとってもより効果的ではあるが、
それがいわゆる受験勉強的な「問題を解く」作業に終始しないように気をつけなければならない。あ
63
くまでも、高専生が卒業までに身につけるべき文法能力とは何なのかということを熟慮した上で、こ
のような補助教材の開発、使用を考えていくべきである。高専教員に対するアンケート調査では、
半数前後の英語教員が、文法問題集、英単語集、などを「使いたい」と答えているが、市販の受験
用問題集や単語集を安易に使うのは避け、その内容を吟味した上で取捨選択することが必要であ
る。もし可能ならば、前述の「高専独自の英語教科書」の反省からも、高専独自の教科書開発に併
せて、高専に特化した補助教材の開発も考えるべきであろう。
6.2.4. 教材とメディアの関連
教科書や補助教材を開発する上で考えなければならないのが、これらの配布方法とメディアで
ある。IT革命の途上にある我が国では、多くの研究者たちが、現存するメディアと新しいメディアを
どのように教育の現場に応用するかを考えている。伝統的な「紙」を主体とした記録メディアには、
可搬性、価格、取り扱いの容易さなどの点で圧倒的な利点がある。一方、デジタルメディアの利点
は、改訂の容易さ、表現能力の多様性などである。高専教員に対するアンケート調査の結果を見
ても、60%以上の教員がマルチメディア教材を支持しているし(3.3.9)、電子メール、インターネット
も半数以上の教員が「使いたい」と答えている(3.3.10)。すなわち、このような電子メディアを利用し
た教材の受け入れ態勢は高専英語教育においても整いつつあるということが言える。
現在のIT変革の波が英語教育に及ぼす影響は、今後ますます大きくなる。これからの教科書や
補助教材の開発を目指す場合、新旧それぞれのメディアの利点を最大限に生かすことを考えてい
かなければならない。
ひとつの具体例として、教科書をインターネット上で公開、配付することを考えてみる。すなわち、
デジタル形式の「電子テキスト」とでも呼べるようなものと考えてもよい。
従来の英語教育で活用されてきた「紙」の特性は、多くの人に安定して配付できるが、たび重な
る改訂は難しい。しかしインターネットならば、教員が必要と思われるテキストを自由にデータベー
スに追加、改訂することができ、いつでも呼び出すことができる。高専の英語教員は、必要な部分
だけをプリントして授業に使ってもよいし、一学期分をまとめて印刷、配布してもよい。そして利用者
からのフィードバックを元に改訂を重ね、ある程度の完成度に達したと判断できれば、出版という形
を取ってもよい。このような汎用性のあるデータ構成と配付様式を考慮したものが、高専教材として
理想的である。
6.3. 教授法について
6.3.1. 今後期待される教授法の展望
教授法を考える上で、到達目標を具体的に提示することは非常に大切である。英語教員を対象
に行われたアンケートから、79%の教員が、学生には卒業するまでに実用英語能力検定(英検)2
級程度の能力を得てほしいと考えていることがわかった(3.3.7)。しかし多くの場合、それらの目標
は達成されていないと考えている(3.3.8)。また、企業と編入先の大学では、多少のばらつきはある
が、高専卒業生は英語学力が不足しており、特に単語(語彙)力、読解力、あるいは文法力がない
という意見で一致している。つまり高専卒業生に求められているのは、常識的なレベルで英語を使
いこなす能力であるといえる。したがって高専では、英語の知識を貯え、学習する「教科」として英
語を学ぶのではなく、使い、利用することのできる「言語」としての英語を学ぶことができるような教
授法が望まれている。その時に忘れてはいけないのが、基礎能力の養成である。
では今後、高専の英語教育はどのようにして到達目標と現実の整合性を得てゆくべきなのだろう
か。前段で述べてきたようなカリキュラムや教材が重要であることは言うまでもないが、過去に様々
な実践がなされてきたように、英語学習に対する学生の動機づけを重視した教授法は、以前にも
増して積極的に取り入れられるべきである。前述した content-based instruction などが、その具
体的な手法としての一例であるが、実際に高専では、どのような教授法が望まれるのであろうか。
6.3.2. 高専では何を教えるか?
特に重要なのは、「使える英語」の養成である。IT化が進む現代社会では、情報の流通は急速
64
にグローバル化している。この状況下では、個人が外国語と接する機会はより多くなり、個人レベル
での「使える言語」への要求は自ずと高まる。現在でも、すでにいくつかの企業では英語が公用語
になっているところもあるほどで、旧態依然とした「特殊教養としての英語」、あるいは「知識としての
英語」を学習するのではなく、生活に必要な道具として「使える英語」を学ばなければならない。高
専での英語教育も実践を想定した学習を心がけ、さまざまな場面や状況に対応できるような応用
力や実践能力を養成する必要がある。
「使える英語」を念頭においた英語力を養成する場合、いわゆる「練習試合」のような授業展開
が必須となる。教師主導型(teacher-centered)の教授法ではなく、学習者が覚えたことを実際に
使ってみたり、自らが欲して学習した言語を試すような学習者中心(student-centered)の教授法
へ移行することが望ましい。たとえば、現状の授業形態に5分程度、学生が学習したことをチェック
する時間を取り入れ、教員が英語でフィードバックを与えることができれば、学習者に対して重要な
実践練習(practicality)の機会を与える事ができる。当然、学生の動機づけは向上し、この学生
の動機づけの高まりを受け、授業を担当する教員の教育に対する動機づけも副次的に向上する可
能性もある。教科書の項目(6.2)でも述べたように、学生の知的好奇心を喚起、増大することのでき
る教科書を利用し、学生自身が表現したいと思う内容を目標言語(この場合英語)で伝えることが
できるという感動を伝えられたら、高専英語教育の目標の多くは達成されるだろう。
もうひとつ、TOEIC に関して考察する。これまで、英語の教授法に関する議論では評価の力点
をどこに置くかということが常に問題になってきた。つまり、どう評価をするかが教授法を変遷させ、
到達目標が何であるか、どれくらい到達目標に学習者は近づいたのかを、教員たちは評価してき
た。そこで「学習者の英語力伸長の評価を一教員の単位認定に閉じこめてしまうことなく、透明性
のある基準に照らし合わせる必要性」は、冒頭で触れた明確な到達目標を設定することにむすび
つく。具体的に表すことがむずかしい英語の運用能力を、既成の試験の点数に換算することには
異論があるかもしれないが、その可能性は考慮されるべき時期に来ている。TOEIC は、世界の 50
以上の国で認められ、企業からも信頼を受けている。特に今後高専は、好むと好まざるとにかかわ
らず JABEE(日本技術者教育認定機構)に代表されるような、外部団体の評価にさらされることに
なる。JABEE が打ち出している英語コミュニケーション能力の基準が、他ならぬ TOEIC である4こ
とからも、このような客観的基準での英語力評価をも考えていくべきであろう。
6.3.3. まとめ
高専においては、英語の授業時間数が少なかったり、専門科目の影響が強いために、独自の
英語教育カリキュラムが組みづらいと考えられているが、このような環境下でこそ、独自の英語教育
カリキュラムを編成する事が必要である。5年間のくさび型カリキュラムの教育体制に合わせて、少
人数のクラスを実現したり、到達目標を明確にした独自教科書を試行してゆけば、言語運用能力
が高く、優秀なエンジニアを育てることができるはずである。
今回の調査結果から、反省点としてあがってきたのは、今までの高専の英語教育は、学生の動
機づけの不足や、基礎的な英文法や語彙の定着をはかる指導を怠ってきたのはないか、ということ
である。「理系」を主とした高専の教育では、いわゆる「文系科目」と見なされる英語は相対的に軽
んじられ、学生も、教員自身もその流れに甘んじてきたきらいがある。その上に、専門教科との接点
が全く見られないような内容の教科書、大学受験用問題集の安易な使用など、とても高専生の英
語学習に対する motivation を高めるような配慮があったとは言えない。
今回提示した content-based instruction は、この点を改善するものとして注目できる。専門教
科につながるような内容を英語の授業に取り入れることは、学生の英語に対する興味・関心を高め、
普通高校の生徒との良い意味での差別化意識を生み出すことが期待される。専門教科の内容を
英語教育に取り入れること、恵まれたネットワーク環境の利用により教材を共同で開発・利用するこ
と、そして教育効果が最大になるようなカリキュラムを模索することにより、学習者を中心の高専独
自の英語教育の展望が開かれるであろう。
4
椿原治氏(日本工学教育協会専務理事)の談話によれば、英語コミュニケーション能力の認
定基準はおおむね TOEIC400 点とのことである。
65
7. 高専教員対象調査集計結果
1.
7.1. 高専教員に対するアンケート(第1部)
1 教育課程・教育方法について
1.1 同学年で同一科目を複数の教員が担当する 全く同じ
場合,教科書 は同じもの を使用していま す 原則として同じ
か?
教員ごとに違う
7
16
29
その他
1.2 少人数クラス(30 人以下)の授業を定常的に 行なっている
行なっていますか
検討中
4
15
4
行なっていない
39
1.3 1 ク ラ ス を 複 数 の 教 員 が 担 当 す る ( team 行なっている
teaching などの)授業を定常的に行なってい 検討中
ますか
行なっていない
10
6
39
過去には行なっていた
3
1.4 習熟度(能力)別クラスによる授業を定常的に 行なっている
行なっていますか?
検討中
3
8
行なっていない
47
過去には行なっていた
0
1.5 正規の授業以外で英語の指導をしていますか はい
36
いいえ
学校として、授業評価(アンケート)を実施して
1.6
実施している
いますか?
検討中
20
40
5
実施していない
5
過去には行なっていた
7
2 教員について
2.1 英語科の教員数(外国人教員を除く)は何人で 常勤
すか?
3人
3
4人
18
5人
31
6人
5
7人
1
非常勤
1人
9
2人
13
3人
11
4人
12
5人
6
6人
2
7人
1
8人
1
2.2 専任教員の持ち時間数は?(特活等を除いた 12 時間
平均時間)
13 時間
8
14 時間
41
66
2
2.3 外国人教員はいますか?
15 時間
5
16 時間
1
17 時間
1
常勤(任期 1/3 年)
1
常勤(任期1年)
3
常勤(任期3年)
4
常勤(任期4年)
1
非常勤
2.4 外国人教員(常勤)の持ち時間数は?
0人
9
1人
27
2人
12
3人
5
4人
2
5人
1
4時間
1
5時間
1
7時間
1
8時間
2
10 時間
1
11 時間
2
12 時間
2
14 時間
6
15 時間
1
16 時間
1
17 時間
1
24 時間
1
3 施設・設備について
3.1 LL 教室などの英語演習室(パソコンのある教 はい(英語専用)
室を除く)はありますか?
はい(他教科と共用)
はい(不明)
いいえ
利用頻度 (週あたり時間数) 1∼10 時間
11∼20 時間
21 時間以上
3.2 マルチメディア教室・情報処理演習室など、パ はい(英語専用)
ソコンを利用できる教室を英語の授業に使っ はい(他教科と共用)
ていますか?
はい(不明)
いいえ
利用頻度 (週あたり時間数) 1∼10 時間
22
16
8
11
16
21
5
2
16
11
28
15
11∼20 時間
3
21 時間以上
2
4 その他
4.1 英語以外の外国語科目を開講していますか? ドイツ語
中国語
67
58
14
4.2 英語以外の必修外国語は何ですか?
フランス語
8
ロシア語
4
スペイン語
3
ハングル語
3
ドイツ語
42
中国語
4
フランス語
3
ロシア語
1
スペイン語
1
ハングル語
開講学年 1∼5年
1
1
2∼5年
1
3年
3
3∼4年
4
4年
17
4∼5年
12
単位数 0単位
2
2単位
14
4.3 英語以外の外国語教員は何人ですか?
3単位
8
4単位
13
5単位
2
常勤
0人
23
1人
25
2人
6
3人
1
5人
1
0人
28
1人
11
2人
12
3人
3
非常勤
7.2. 高専教員に対するアンケート(第2部)
省略(13 ページを参照)
68
4人
1
5人
1
7.3. 高専教員に対するアンケート(第3部)
1 教育理念・教育目標などについて
1.1 高専での英語教育はどれくらい重
5
4
3
2
1
要だと思いますか。きわめて重要
(5)から、全く不要(1)まで、あては
105
114
17
1
0
まる数字に○を付けてください。
1.2 高専においては、高校や大学とは 強く思う
28
違った高専独自の英語教育がある 思う
134
べきだと思いますか?
わからない
21
思わない
45
全然思わない
12
1.3 以下に挙げた英語の技能や知識
5
4
3
2
1
などは、高専の学生にとってどれく 聞き取り(リスニング)技
らい重要だと思いますか。きわめ 能
80
124
42
2
0
て重要(5)から、全く不要(1)ま 発話(スピーキング)技
で、それぞれあてはまる数字に○ 能
51
127
64
6
0
を付けてください。
読解(リーディング)技能
128
106
14
0
0
作文(ライティング)技能
63
143
37
4
0
発音の知識
19
92
119
14
4
語彙の知識
75
132
38
2
1
文法の知識
49
112
84
3
0
異文化の知識(国際理
解)
49
116
76
2
1
学生の専門科目に関す
る英語
74
117
53
3
1
一般的な科学に関する
英語
47
146
53
1
1
工業英検のための工業
英語
18
117
99
8
6
英検等の資格(工業英
検を除く)取得のための
英語
32
121
87
5
2
文学作品などを鑑賞する
ための英語
4
31
136
57
18
日常会話のための口語
英語
35
126
81
3
2
大学編入などのための
受験英語
14
96
106
18
6
貴校の現在の英語の単位数につ
多い やや多 適当 やや少 少ない
1.4 いてどう思いますか?
い
ない
1年生
5
14
178
41
9
2年生
2
8
153
64
18
3年生
0
7
113
98
27
4年生
1
5
56
118
64
5年生
1
4
51
95
90
1.5 あ な た が 考 え
1 単位 2 単位 3 単位 4 単位 5 単位 6 単位 7 単位 8 単位 9 単位10 単位
る 理 想 の 単 位 1年生
0
0
4
17
59
148
6
4
0
1
数 は い く つ で 2年生
0
0
5
29
88
110
3
3
0
1
すか?
3年生
0
2
17
99
62
57
2
1
0
1
4年生
0
35
50
122
22
10
0
0
0
1
5年生
5
76
39
92
15
8
0
0
0
1
69
2.1 高専の学生の英語学習の目的 英語がそもそも好きだから
(動機)は,次のうちのどれに当 専門科目の文献を読むのに必要と感じて
てはまると感じられますか.
卒業に必要な単位数を取得するため
将来に備えて資格試験などに合格したいから
将来の仕事に必要だから
留学や海外旅行をする可能性があるので
高等教育機関の学生としてのプライド
2.2 高専の学生には,卒業時にど
の程度の英語実用(運用)能力
を期待しますか?
○
29
71
216
119
93
30
8
△
111
116
27
113
115
143
74
英検
準1級
2級
準2級
3級
工業英検
7
2級
14
152
準2級
1
31
3級
106
1
4級
4
TOEIC
350
400
450
460
470
480
500
510
550
600
650
700
750
1
11
22
1
2
3
40
1
8
25
2
1
1
2.3 貴校では、上記の目標は現実に達成されている 全員が達成
0
と思いますか?
おおむね達成
0
半数は達成
20
あまり達成されていない
154
ほとんど達成されていない
52
2.4 貴校の学生は,どの程度の英語実用(運用)能
英検 平均 最高
力を身に付けて卒業していると推測されます
1級
0
5
か?
準1級
1
46
2級
7 122
準2級 102
6
3級
64
0
4級
4
0
工業英検
2級
1
27
準2級
0
1
3級
25
69
4級
77
1
TOEIC
250
3
0
280
1
0
290
1
0
300
25
0
330
2
0
350
23
0
70
×
99
55
1
11
34
70
160
380
400
430
450
470
480
500
550
600
650
700
720
730
750
800
830
3.1 高 専 で の英 語の 教 材
に 関 す る 以 下 の 記 述 低学年では検定教科書を使うべきだ
のうち、賛成できるもの 教材は市販の教科書で満足している
に○,反対するものに 「高専のための英語教科書」を作るべきだ
×、どちらともいえない ビデオなどのマルチメディア教材をもっと活用すべきだ
ものには△を記入して
下さい。
文字教材よりも音声教材を多用すべきだ
3.2 以下に挙げるものの中
で、英語授業のための 「英語I」などの検定教科書
素材(teaching material) 文法問題集
としてぜひ使いたいと 英単語集
思うものに○,使いたく 大学入試問題集
ないものに×、どちらと 英字新聞
もいえないものには△
英語のニュース(録音・録画)
を記入して下さい。
英文雑誌(TIME, Newsweek など)
英文雑誌(一般雑誌)
英文原書(ペーパーバック本など)
映画(洋画など、英語のもの)
音楽(歌など、英語のもの)
インターネット(メールを除く)
電子メール
3.3 以 下 の 学 習 活 動 の う
ち 、 あ な た の授 業 ( 課 教科書などの英文を和訳させる
題 ・ 宿 題 等 を 含 む ) で 教科書などの英文を音読させる
普段よく行われるもの 教科書などの本文全体を暗唱させる
に○,行われないもの 教科書などの例文(単文)を暗唱させる
に×、ときどき行うもの 日本語の文章を英訳させる
には△を記入して下さ
エッセイなどの自由英作文をさせる
い。
ディクテーション
文法などの問題集を解かせる
学生同士で(英語)会話をさせる
教科書付属のテープなどを聴かせる
3.4 授業中の指示、説明な 全て英語
どにどのくらい英語を 半分以上は英語
使いますか?
ある程度使う
あまり使わない
全く使わない
71
1
15
0
6
0
0
3
1
0
0
1
0
0
0
0
0
○
145
45
67
146
0
4
1
11
2
1
16
11
17
1
8
2
2
2
5
1
△
84
142
126
88
×
14
55
51
9
44
○
157
107
103
20
127
120
73
75
42
120
119
132
119
○
190
203
31
80
78
42
94
94
37
190
163
△
73
99
80
89
103
104
114
121
127
104
103
97
98
△
35
35
55
92
131
95
94
92
86
41
37
×
13
37
57
135
13
18
56
47
74
19
21
14
21
×
17
5
155
71
33
104
55
56
120
12
3
12
81
106
34
8. 企業対象調査集計結果
【1】- 貴社の業種を以下から選び、
(1) 該当する番号に○をお付け下 機械系
さい。
電気・電子系
情報系
化学系
建築・土木系
その他
【1】- 貴社の従業員数を以下から選
(2) び、該当する番号に○をお付け 10人未満
下さい。
10∼50
51∼100
101∼500
501以上
【2】- 貴社の企業活動にとって英語
(1) は重要ですか?該当する番号 全社員にとって重要
に○をお付け下さい。
特定部門社員にとって重要
あまり重要でない
【2】- (1)で1,2と回答された方はど
(2) のような場面で重要ですか? 電話での応対
(複数回答可)
電子メール・FAX の読み書き
資料・情報収集
英文マニュアル作成
海外での業務・技術交流
社員同士のコミュニケーション
対面交渉(商談など)
社内での公用語が英語
【2】- 社員採用を決める際に英語力
大いに考慮する
(3) をどの程度考慮しますか?
ある程度考慮する
どちらとも言えない
あまり考慮しない
全く考慮しない
【2】- (3)で1,2と回答した方は、採
(4) 用を決める際に以下の資格を 実用英語技能検定試験(英検)
考慮していますか?(複数回答 工業英検
可)
TOEIC
どれも考慮していない
【2】- 採用試験の中で英語の試験を
(5) 課していますか?(一般教養試
験の一部としての英語を除く) はい
【2】- (5)で1の場合、試験形式は以
(6) 下のどれですか?(複数回答 筆記試験
可)
英語での面接
聞き取り・書き取り
【2】- 内定後、入社までの間に英語
はい
(7) の課題を与えていますか?
【2】- (7)で1の場合、どんな課題で 資格試験(英検・TOEIC 等)に合
(8) すか?
格させる、必要点数をとらせる
教材を配布して勉強させ、提出さ
せる
特定の指示はないが勉学を促す
72
110
149
88
52
90
67
8
55
36
142
207
84
250
111
165
208
251
116
272
26
142
1
15
181
85
129
34
96
19
142
38
73
63
7
4
49
13
9
19
【3】- 高専卒社員の英語力(入社時)
満足
(1) に満足されていますか?
おおむね満足
何とも言えない
やや不満
不満
【3】- 以下に挙げた技能・知識などに
(2) ついてどの程度満足されてい
ますか?
聞く力
5(満足)から1(不満)の尺度で 話す力
お答え下さい。(判断できない 読む力
場合は「0」に○をつけてくださ 書く力
い)
発音
単語力
文法力
異文化の知識
【3】- 貴 社 の高 専卒社 員 の英 語 力
(3) (入社時)を評価するとすれば 英検
以下のどれに最も近いです
か?
2
12
310
67
39
1
2
35
49
16
26
34
17
21
26
3
4
5
88
95
74
98
80
85
76
74
57
36
97
68
47
70
63
54
11
9
22
11
3
11
9
7
22
15
24
24
3
110
135
4
112
116
45
37
64
71
137
145
44
39
14
4
89
23
92
26
82
106
6
103
2
54
準1級
2級
準2級
3級
2
36
10
58
700-799
600-699
500-599
400-499
300-399
300 未満
5
13
17
29
40
13
1級
準1級
2級
準2級
3級
3
0
65
15
25
700-799
600-699
500-599
400-499
300-399
300 未満
1
19
48
46
11
2
1
2
2
1
1
1
1
1
TOEIC
【3】- 貴社の高専卒社員に入社時求
(4) められる英語力は以下のどれ 英検
に最も近いですか?
TOEIC
【3】- 以下に挙げる項目は高専卒社
(5) 員にとってどの程度重要でしょ
うか?5(重要)から1(不要)の 業務に直結する英語
尺度でお答え下さい。
技術一般に関する英語
資格取得(英検・TOEIC など)の
ための英語
ニュース・新聞などの時事英語
文学作品などを鑑賞するための
英語
日常会話のための口語英語
73
1
2
5
81
63
9. 大学対象調査集計結果
0-1 ご記入下さっている先生ご自身について 年齢
0-2
0-3
0-4
0-5
20 代
30 代
40 代
50 代
60 代∼
10
74
169
277
96
技科大
国立
公立
私立
59
480
45
42
工学部
理学部
その他
464
56
106
教授
助教授
講師
助手
455
123
20
27
機械系
電気・電子系
情報系
化学系
土木・建築系
その他
93
110
64
97
132
130
83
330
95
111
7
1
所属(1)
所属(2)
職名
専門分野
0-6 高等専門学校(高専)からの編入学生を なし
直接指導されたことがありますか.
5 人未満
10 人未満
10 人以上
わからない
1-1 専門科目を修得する上で英語力はどの
程度重要ですか.5(重要)から1(不要)
の尺度でお答えください。
1-2 以下に挙げるそれぞれの能力は学生に
とってどの程度重要ですか.5(重要)か 聞く力
ら1(不要)の尺度でお答えください.
話す力
読む力
書く力
発音
単語力
文法力
異文化
以下に挙げるそれぞれの能力は学生に
1-3
とってどの程度重要ですか.5(重要)か 英語で日常会話をするこ
ら1(不要)の尺度でお答えください.
とができる
英語による講義や講演
を聞いて理解することが
できる
74
2
3
4
5
59
69
8
23
104
29
31
66
125
3
232
254
37
149
296
142
203
248
203
4
205
192
165
265
152
293
250
197
220
5
98
74
414
173
32
156
133
78
2
3
4
5
6
1
30
2
22
26
2
11
28
1
5
13
1
28
71
253
179
76
21
59
195
247
91
英語でディスカッションを
することができる
英語でプレゼンテーショ
ンをすることができる
英文の一般科学雑誌
(Nature など)を読むこと
ができる
英文の専門書や論文を
読むことができる
英文の手紙や電子メー
ルを書くことができる
英文で論文の抄録(アブ
ストラクト)を書くことがで
きる
英文で論文や実験レポ
ートを書くことができる
2-1 高専からの編入学生の英語力は,他の 優れている
学生と比べてどうでしょうか.
やや優れている
変わらない
やや劣っている
劣っている
わからない
2-2 「(やや)優れている」を選んだ方は,以 聞く力
下のどの点についてそうお感じになりま 話す力
したか.
読む力
書く力
2-3 「(やや)劣っている」を選んだ方は,以 聞く力
下のどの点についてそうお感じになりま 話す力
したか.
読む力
書く力
75
28
96
242
184
60
22
67
211
211
98
7
24
111
244
236
3
5
44
203
369
9
27
166
269
149
12
34
141
255
178
21
2
28
186
219
89
27
2
5
23
8
79
92
246
187
59
200
232
103
平成 14 年 3 月 31 日発行
全国高等専門学校英語教育学会
会長
小澤 志朗
〒381-8550 長野県長野市大字徳間716
長野工業高等専門学校
Tel: 026-295-7033
Fax: 026-295-4950
高専英語教育に関する調査研究委員会
研究代表者 亀山 太一
〒501-0495 岐阜県本巣郡真正町上真桑 2236-2
岐阜工業高等専門学校
Tel: 058-320-1211
Fax: 058-320-1263
※この報告書は、全国高等専門学校英語教育学会(COCET)のホームページでも見ることが
できます。
http://www.gifu-nct.ac.jp/jinbun/cocet/