博物館教育論 Lec08 教育活動の企画:ワークシートの必要性 博物館教育論 ■普及教育の行事 博物館ではどれくらいの行事がおこなわれて いるのか? 第8講 教育活動の企画 ワークシートの必要性 ■年間行事の作成 年間行事を考える上での注意点は? ■普及行事の企画 個々の行事を企画する上で考えるべき点は? ■ガイドブックとワークシート 小出良幸 連絡 [email protected] 普及教育を企画する上でガイドブックとワー クシートの役割は? 博物館教育論 Lec08:1 博物館教育論 Lec08:2 博物館教育論 Lec08:4 行事はいっぱいある! 博物館では、 曜日、対象・ 階層、内容な ど多岐にわた る講座、観察 会が催されて いる 普及教育の行事 神奈川県立生命の星・地球博物館の講座・観察会 行事はいっぱいある! 行事はいっぱいある! 博物館主催だけの行事だけでなく、 友の会主催、学校・各種団体からの 依頼行事などもあるので、お互いに 調整をしておく必要がある。 博物館では 、季節に対 応した行事 や催し物も 、多数催さ れている 神奈川県立生命の星・地球博物館の催し物 博物館教育論 Lec08:5 神奈川県立生命の星・地球博物館 友の会主催の行事(一部) 博物館教育論 Lec08:6 1 博物館教育論 Lec08 行事はいっぱいある! 博物館では、多数の行事が催されてい るので、重複せず、バランスよく実施 できるようになっているべきである。 年間行事の作成 行事の調整のた めに、年間の行 事スケジュール を作っておく必 要がある 博物館教育論 Lec08:7 普及教育の企画 普及教育の企画 ■年間行事 博物館の普及教育としての活動は、 年間の行事予定がまず立てられて、 つぎに個々の活動の内容が決められ ていく。 普及教育の行事(館内・館外)は、 年間を通じて、バランスを調整しな がら、企画し予定を立てていくこと が望ましい。 ■年間行事 ■個々の普及活動の企画 博物館教育論 ■個々の普及活動の企画 日程と内容(分野、場所など)が調 整された上で、担当者ごとに、個々 の普及活動の企画がなされていく。 Lec08:9 博物館教育論 年間行事の作成 Lec08:10 注意点 1 普及行事は、以下を注意しながら年 間予定を立てていく。 ■行事に重複はないか 日程 内容 場所 【注意点】 1 行事の重複 2 行事内容のバランス 3 繁忙期の行事への対応 4 担当者の負担の均質化 などの重複がないように調整する 博物館教育論 Lec08:11 博物館教育論 Lec08:12 2 博物館教育論 Lec08 注意点 1 注意点 1 ■行事に重複はないか ■行事に重複はないか 内容 日程 似た内容が連続していないか。 時期がかたよっていないか。 場所:同じ場所(部屋)での重複をチェ ック 別の行事(館内の別の行事、ある地域での別 の団体の行事)と重なっていないか 土・日曜日などは、重複することも あるが、望ましいことではない。 平日の行事も必要(平日しか動けない 人もいる:主婦、変則勤務) 博物館教育論 Lec08:13 博物館教育論 注意点 2 注意点 2 ■行事内容のバランスは大 丈夫か ■行事内容のバランスは大丈夫か 分野 Lec08:14 動物、植物、地質、歴史、日本美術、西洋 芸術・・・など、博物館の分野が網羅され ているか 分野、場所、種類、開催時期 場所:館外と館内のバランス 野外で行く場所のバランス(地域住民が参 加しやすいところ、地域全体が利用されて いるか) 博物館教育論 Lec08:15 注意点 2 博物館教育論 Lec08:16 注意点 3 ■行事内容のバランスは大丈 夫か 種類 ■繁忙期の行事への対応は充分か 土・日・祝日、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休み 、春休みなどは、入館者が多くなる時期である。その ような時の行事には、博物館の限りある人材への配慮 が必要になる。 (注意点) ・子どもなどの参加しやすい行事が望まれる。 ・行楽地は渋滞や人出が多く、トラブルが起こりやす いので、事前の下準備をしていく(チャーターバス、 団体専用の食事、休憩場所、トイレの事前確保、緊急 事態への対処法)。 ・博物館内の展示場は人が多いので、大人数の行事を すると参加者の迷子などトラブルが起こりやすい。 行事の種類(出かける、つくる、みる 、聞くなど)のバランスは大丈夫か 開催時期 行事が多い時期、ほとんどない時期な どなく、開催時期のバランスはとれて いるか 博物館教育論 Lec08:17 博物館教育論 Lec08:18 3 博物館教育論 Lec08 注意点 4 注意点 4 ■担当者の負担は均質化され ているか ■担当者の負担は均質化されてい るか:時期 専門(植物、昆虫)や特別展開催期に よっては、行事が集中する時期もある が、他の時期にもその分野の内容をバ ランスを取ろうとすると担当者の負担 が増える 時期と内容に配慮が必要 博物館教育論 Lec08:19 注意点 4 行事の告知 ■担当者の負担は均質化されてい るか:内容 行事予定が決ま ったら、関係機 関や友の会の会 員などへの告知 、広報活動を行 なう。 市民の希望の多い内容のみを増やすと 、担当者の負担が増える 希望者が少なくても需要はあり、行事 を開催する重要性はあることを考える 。 博物館教育論 Lec08:21 博物館教育論 Lec08:20 博物館教育論 Lec08:22 企画の注意点 いろいろなことを配慮 、調整しながら行事予 定は立てられている 実際には、毎年おこな われる作業なので、様 式さえできていれば、 あとは調整や修正で済 むはず。 普及行事の企画 博物館教育論 Lec08:23 4 博物館教育論 Lec08 個々の普及行事の企画 1 内容詳細の決定 学芸員が、担当の普及活動の企画を 組み立てていく。そのとき、以下の 手順で企画、準備、実施、評価がな されていく。 1 2 3 4 5 内容詳細の決定 事前準備 広報 実施当日 評価 行事の企画の概要は、年間行事予定の段階 でほぼ決まっていることが多い。 行事の担当とテーマ、場所などは決まっているは ず。 担当の学芸員が行なう行事の内容の詳細( 以下の点)について決めていく。 ■テーマの設定 ■対象の階層 ■場所の選定 博物館教育論 Lec08:25 博物館教育論 Lec08:26 2 事前準備 1 内容詳細の決定 ■テーマの設定 事前の準備として、パンフレット類は 必要となる。パンフレットには、行事 の進行表だけでなく、教育効果を高め るために学習手順、参考資料などが盛 り込まれていることが望ましい。 以下のものが主に作成される 具体的な実施内容を決めていく。内容によって 対象の階層や場所、定員が制限されていく。 ■対象の階層 どのような参加者を対象にするのか。場合によ っては、募集制限(年齢、学年、一定のスキル など)が必要になる。 ■ガイドブックの作成 ■ワークシートの作成 ■場所の選定 テーマの実現に最適な場所で、対象の参加者に とって安全なところを選定。場所によっては定 員が決まる。 博物館教育論 Lec08:27 ガイドブック 博物館教育論 Lec08:28 神奈川県立生命の星・地球博物館で、私が毎年担当 していた普及行事のガイドブック。印刷製本された ガイドブックであるが、一回の講座(4~6日間の連 続講座)のためだけに作成されていた。 博物館教育論 Lec08:30 ガイドブック 充実したガイドブックの例 ■ガイドブックの作成 ・市販、既存や、自作のガイドブ ックを使って行事を行なう ・小さい、短時間の行事では作ら ないことも多い ・大規模な行事では、充実したガ イドブックを作成することも多い 博物館教育論 Lec08:29 5 博物館教育論 Lec08 ワークシート ワークシート ■ワークシートの作成 ガイドブックと対として利用され ると、ワークシートの効果は、よ り充実したものとなる ・階層に応じたワークシートを用意するこ とで、多様な要求に応えることになる。 ・ワークシートで教育効果を上げることが できる。 ・展示場でのワークシートの利用で、展示 のより深い理解、多層構造のより多様な利 用が可能になる。 博物館教育論 Lec08:31 2 事前準備 博物館教育論 Lec08:32 博物館教育論 Lec08:34 3 広報 広報媒体での広報 参加者の募集 雨天時の対処 中止か延期、代替の場所の選定 下準備 成功のため、事故防止のため、下 見、予行、予備実験などは必ずお こなう。 博物館教育論 行事内容が決まったら、 関係機関や友の会の会員 などへの告知、広報を行 ない、参加者を募集する 【告知の範囲】 新聞での告知の依頼 記者クラブへの取材依頼 学校、教育機関への広報 Lec08:33 4 実施当日 5 評価 アンケートの集計と分析 雨天時の対処:実施のための判断方法、問い 合わせへの対処 例:注意報がでていたり、6時の天気予報の 降雨確率○○%以上のときは中止、延期、あ るいは館内での講座への切り替え。不明の時 は、6時以降博物館へ問い合わせる・・・ 実施:受付、保険、遅刻・欠席の確認、安全 の確保、トラブルへの対処、点呼、解散。 事後のアンケート:行事の内容改善、今後の 課題、今後の行事への要望を把握するために 必要がある。 博物館教育論 今後の普及教育活動、行事運営、 博物館活動への反映していく。 Lec08:35 例えば、 ・今後の場所や日程、階層、内容な どの検討材料とする ・今後の年間行事全体への反映 ・今後の博物館活動への反映 など 博物館教育論 Lec08:36 6 博物館教育論 Lec08 5 評価 アンケートの反映 ただし、アンケートの結果を すべて受け入れるのではなく 、博物館の活動をより良くす るために高所から反映する必 要がある。 博物館教育論 ガイドブックと ワークシート Lec08:37 ガイドブックとワークシート ガイドブックとは 展示や観察のために用意されるもの で、テーマや目的をもった教科書、 参考書、レファレンスとなるもの。 ガイドブックとワークシートは どちらか一方でも、うまく使え ば、教育効果を発揮する。 両者は相補的な関係でもあるの で、セットで利用すると、より 教育効果が大きい。 博物館教育論 Lec08:39 ガイドブックの必要性 神奈川県立生命の星・地球博物館で利用したガイドブックの例 博物館教育論 Lec08:40 ガイドブックの必要性 ガイドブックの必要性は ■より深い理解 ■より深い理解 ■自習のために ■セルフガイド用 テキストとして:本来の目的 展示や観察の解説や補助として 多層的構造をもっていれば、より多くの 階層の要求に答えられる。 博物館教育論 Lec08:41 博物館教育論 Lec08:42 7 博物館教育論 Lec08 ガイドブックの必要性 ワークシートとは 他にもいろいろな利用が可能 自分で展示や観察をしながら、ワ ークシートにそって、学習を進め ていくもの。学習、教育における 重要な手段である。 ■自習のために 系統的な内容で構成されていると、その 分野の教科書ともなり、自習、独学のた めに役に立つ。 ■セルフガイド用 展示や野外観察で自分で案内者や指導者 なしに、ガイドブックを案内役として、 見学、観察できる。 博物館教育論 Lec08:43 博物館教育論 ワークシートの重要性 ワークシートの実践 ワークシートにそって、自分 で展示や観察をしながら、完 成さていくことで、学習効果 を上げていくことができる。 これから4回の講義では、実際の展 示を題材にして、ワークシートの企 画から作成、運用、評価まで体験す る。各講義の後半は展示室でおこな うことになる。 9講:展示の見学と解説 10講:ワークシートの企画 11講:ワークシートの作成 12講:ワークシートの運用・評価 博物館教育論 Lec08:45 博物館教育論 Lec08:44 Lec08:46 まとめ:教育活動の企画 今日のまとめ ■普及教育の行事 博物館では多数の行事がなされているので 調整して企画されなければならない。 ■年間行事の作成 年間行事を考える上での注意点がいろいろ ある。 ■普及行事の企画 個々の行事を企画する上で考えておくべき 点がいろいろあった。 ■ガイドブックとワークシート 普及教育を企画する上でガイドブックとワ ークシートは重要な役割がある。 博物館教育論 Lec08:48 8
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