第18 回 東海ライブ研究会 2011 年より春の東海ライブ研究会を 豊橋ライブデモンストレーションコースとして 全国規模のコースへ 第 18 回東海ライブ研究会が、愛知県豊橋市の豊橋ハートセンター内ハートホールにおいて、2010 年 8 月 7 日に開催された。 オープニングでは、東海地区のバスキュラーインターベンショニストの育成に主眼を当て、年 2 回開催されている東海ラ イブ研究会のうち春の研究会を 2011 年より教育 (エデュケーション)をコンセプトとした豊橋ライブデモンストレーショ ンコースとし、ライブと教育セッションを両立させることを目的とすると、 東海ライブ研究会の代表世話人である豊橋ハー 。 トセンターの鈴木孝彦氏より発表された (詳細については P.6-7 に鈴木氏の取材記事を掲載) 130 席用意した会場に 280 人が参加 前夜の症例検討会と シンポジウム 「分岐部病変」 ライブコースでは朝 8 時半の開始から多くの参加 者が集まり、会場となったハートホールでは収容 できず、ホール横のカフェに設けた臨時会場に も座りきれず、立ち見となる状況であった。 朝 8 時半から午後 6 時までに高度石灰化病 変 2 例、分岐部病変 2 例、そして CTO 病変 2 例のライブ中継が行われ、高度石灰化 病変を岐阜ハートセンターの上野勝己氏、 愛知医科大学の高島浩明氏、分岐部病変を トヨタ記念病院の梅田久視氏、豊橋ハート センターの木下順久氏、そして、CTO 病変 を豊橋ハートセンターの 鈴木孝彦氏と土金 悦夫氏が治療した。 前日に行われたサテライトシンポジウムでは DES 時代に残され た課題の 1 つである分岐部狭窄に焦点を当て、2 つの講演が行わ れた。 東京大学大学院工学系研究科の榎学氏からは、ステントの疲労試験結 果が報告され、拍動する冠動脈を想定した生体外モデルからステントフ ラクチャーのメカニズムを検証するデータと各種ステントのフラクチャー の程度などが伝えられた。 新行橋病院の村里嘉信氏からは、分岐部の解剖から流体力学まで数々の データと国内外から報告された臨床成績、そして、分岐部モデルを用いて 検証したステントの広がり方や各種 DES の留置後の形状などから、分岐 部病変の再狭窄を徹底的に検証した研究報告が行われた。 終了予定時刻の午後 9 時を 1 時間近く経過したにも関わらず、最後ま で参加者が講演に興味深く聴き入る様子がうかがえた。 – 第18 回東海ライブ研究会 – 東海ライブ通信 1 Live Demonstration 第 18 回 東海ライブ研究会ではアンケート調査に基づき、高度石灰化病変、分岐部病変、 慢性完全閉塞病変の治療に焦点を当てたライブデモンストレーションを中継した。 各病変の治療に経験豊富な術者と東海地区で活躍する2人のゲストオペレーターを招き、参加 者がそれぞれの観点から学べるようなプログラムが組まれた。 ここでは、 ライブデモンストレーションコースの時間内に治療が終了した 5 例を紹介する。 第 1 部 高度石灰化病変に対する治療 OPERATOR 愛知医科大学 高島 浩明 氏 ゲストオペレーターとして招かれた愛知医科大学の 高島浩明氏は、冠動脈の全体に認められた高度石灰 化病変を有する 60 歳代の透析患者を治療した。 Pre Post ベースラインの冠動脈造影では、LM から LAD 近位 部に高度な石灰化が確認された。 Nir Promus 標的病変となった #7 の石灰化に対して、ロータブ レータによるデバルキングを行い、最終的には Promus 3.5×15mm を留置し、Quantum Maverick 3.75×8mm で後拡張を行い手技を終えた。 OPERATOR 岐阜ハートセンターの上野勝己氏は、RCA の高度石 灰化を伴う subtotal 病変に対する治療を行った。 1.5mm の burr を用いて最大 20 万回転でロータブ レータによるデバルキングを行った後に、2.0mm の burr にサイズアップした。14 気圧で ScoreFlex 3.0×15mm を拡張後、Driver 3.5×18mm を留置 し、Quantum Maverick 4.0×12mm で後拡張を行 岐阜ハートセンター 上野 勝己 氏 Pre Post Subtotal Severe calc. Driver い終了した。 本症例では、患者が抗血小板療法を継続できないた め BMS が選択された。 2 東海ライブ通信 – 第18 回東海ライブ研究会 – Collateral from LCA 第 2 部 左主幹部 / 分岐部病変に対する治療 OPERATOR トヨタ記念病院 梅田 久視 氏 ゲストオペレーターのトヨタ記念病院の梅田久視氏 は、80 歳代の労作性狭心症を患う女性の LAD 入口 部にあるびまん性病変に対する治療を行った。 Pre Post Cypher S+ IVUS では、deep な石灰化と attenuation を認め、 3.5mm の Filtrap で 遠 位 部 を 保 護 し、LAD #6 に Cypher Select Plus 3.5×23mm を留置後、Filtrap 部に no flow を認め保護デバイスを抜去した。その 後、遠位部に Promus ステント 2.5×23mm を留置、 続けて 2 本のステントにオーバーラップさせるよう に Cypher Select Plus 3.0×23mm を留置した。 OPERATOR Cypher S+ Promus 豊橋ハートセンター 木下 順久 氏 豊橋ハートセンターの木下順久氏は、80 歳代の狭心 症と末梢動脈疾患を患う女性の ULMT 病変に対す る治療を行った。 Pre Post LMT の分岐部から LAD、LCX に病変が認められ、 分岐部の形態から LMT から #6 のステント留置に より、#11へのカリーナシフトが想定されたため、 #11 just proximal を 1.75mm の burr で ロ ー タ ブ レータを施行し、#6 に Cypher 3.0×33mm を12 気 圧で留置した。 Cypher Cypher S+ その後、LMT から #6 にかけて Cypher 3.5×18mm を留置して、#6 と #11 にキッシングバルーンを行っ た。 第 3 部 CTO 病変に対する治療 OPERATOR 豊橋ハートセンターの土金悦夫氏は、70 歳代男性の 狭心症患者の RCA #2 の CTO 病変の治療を行った。 豊橋ハートセンター 土金 悦夫 氏 Pre Post 2010 年 2 月に他院にて治療が試みられたものの、 ワイヤが通過せず失敗に終わっている。 最初にアンテグレードからアプローチを行ったもの のワイヤが通過せず、レトログレードからのアプ ローチに切り替え治療した。#1- #3 のびまん性に 続いた病変に対して遠位部より Xience V 2.5×28 mm、Xience V 3.0×28mm、Promus 3.5×22mm を 16 気圧で拡張して手技を終えた。 Subtotal: calc+ Promus Xience V – 第18 回東海ライブ研究会 – 東海ライブ通信 3 Lecture DES 時代の高度石灰化病変に対する 名古屋ハートセンター 治療戦略 松原 徹夫 氏 豊橋ハートセンターにおいて Cypher ステントを留置した 2,917 病変の 66.2% の追跡では、9.1% の再狭窄率が記録さ れ (完全閉塞は 1.1%)、8.1% で TLR が行われた。 完全閉塞をきたした 22 病変のうち、ベースラインで 9 例は CTO、4 例は ACS、9 例は安定狭心症であった。ACS 病変で の閉塞は血栓性閉塞であったが、安定狭心症では、4 例は血 栓、1 例は過敏症、そして、5 例はフラクチャー、又はクラッ シュが原因となっていた。 フラクチャー、又はクラッシュの 5 例のうち 3 例は高度石灰 化でロータブレータを使用していたが、石灰化が残り、拡張 が不十分であったことが考えられた。故に、名古屋ハートセ ンターでは、高度石灰化病変に対しては可能な限り積極的に ロータブレータを使用し治療を行っている。 名古屋ハートセンターでは、2008 年 10 月から 2010 年 5 月に 1,004 例(1,321 病変)に対して 1,477 本のステントを留置 し た。 そ の 内 訳 は Cypher が 15%、Taxus が 11%、Taxus 【図 1】Rotablator Result Liberte が 26%、Endeavor が 21%、Promus/Xience V が 20%、BMS が 7% であり、Endeavor は特に右冠動脈への 使用が多く、Cypher は LAD の直線的な血管に数多く用いた ことを除いては、均等に使用していた。6 ヶ月以降の追跡で の TLR は全体では 8.5% で、Cypher は 6.8%、Taxus は 6.9 %、Taxus Liberte は 9.2%、Endeavor は 11.3% であった。 2009 年 1 月から 2010 年 6 月に 135 例(157 病変)でロータブ レータを使用し、最終 burr サイズは 1.75 ± 0.19mm、burr の使用本数は 1.43 ± 0.54 本であり、69% で DES の留置が 行われた(【図 1】)。 これらの患者のうち、糖尿病が 43%、高血圧が 71%、脂質 異常症が 57%、透析が 20%、再 PCI が 51% であった。 41 例で追跡が完了し、8 例(9%)で TLR が行われている。そ の詳細は【表 1】の通りで、透析患者や POBA で終わらざるを 得なかった症例が多かったことが確認された。 【表 1】Rotablator TLR Result Pt AHA Lesion Lesion Location Type Final Procedure Device DM HT HL + + + + + M B2 LAD POBA (2.25) M B2 LCX DES (3.0) C LCX POBA (2.5) M B2 RCA POBA (3.0) M B2 LAD POBA (2.5) + M B2 RCA POBA (3.0) + M B1 LAD NSE (3.0) + M B2 LAD NSE (2.5) + 分岐部病変とステント術の 病理学的検討 分岐部病変は DES 時代においても課題とされる領域である。 プラークは低ずり応力や振動性のずり応力のかかる領域で蓄 積されやすいことが指摘されており、分岐部ではこのような 血流の変化により再狭窄が起こり易いと考えられる。 【図 2】Plaque Formation 4 東海ライブ通信 – 第18 回東海ライブ研究会 – + M HD Re PCI + + + + + + + + + + + + + + + + + + + 東海大学医学部付属病院 中澤 学 氏 中澤氏らは、CVPath の突然死剖検レジストリーデータから 26 例の分岐部の病変形態を確認したところ、【図 2】のよう に、高ずり応力のかかるカリーナ側でのプラーク形成は稀で あり、ずり応力の低い側壁側にプラークが増殖し、特に壊死 。 核は側壁側に集中していたことを確認した(【図 3】) 【図 3】Plaque Formation in Bifurcation 分岐部病変で DES 留置後の 19 例と BMS 留置後の 21 例の 剖検例を比較したところ、本幹の再狭窄は DES では 1 例に対 して、BMS では 7 例であった(p=0.03)。 30 日を超えてからの遅発性ステント血栓症の発症は、それぞ れ 9 例と 5 例(p=0.04)であり、血栓症発症の時期は DES で 。 遅いことが確認された(270 日 vs 60 日 : p=0.003) そして、BMS と比較し DES ではヒーリングの遅れが確認さ れ、BMS では新生内膜厚、ストラットのフィブリン沈着、被 覆されていないストラットはカリーナ側と外側壁で差はなか ったが、DES ではカリーナ側で新生内膜厚が有意に薄く、ス トラットのフィブリン沈着とカバーされていないストラット の割合は有意に高く、DES 留置後のステント血栓症のほとん どはカリーナ側で確認された。 また、シリコンチューブを用いた分岐部モデルでステント留 置による血流の変化を調べたところ、ステントが留置されて いない場合は血流は比較的一定であり、カリーナ側には高い ずり応力がかかっているが、ステントが留置されるとストラ ットの周囲や、ステント留置部位の上流や下流に乱流が生じ、 薬剤の分布を変化させる可能性が示唆された。 DES 留置後の抗血小板療法を 久留米大学循環器病センター 血管内視鏡から考える j-Cypher レジストリーでは、DES 留置後に外科手術を受ける 頻度は 60 日で 0.7%、1 年で 5.1%、3 年で 14.7% であった。 また、1 年半までに 2 剤の抗血小板薬を中止するとステント 血栓症の発症率が増加するが、6 ヶ月以降チエノピリジンを 継続した患者と中止した患者では、死亡 /MI の割合に差がな いことが示されている。 しかし、Cypher 留置 6 ヶ月後の内視鏡所見では、被覆され ていないストラットが高頻度に認められ、赤色血栓や潰瘍が 観察された。これらが有害事象につながる確証はないが、抗 血小板療法を安易に中止することについては考えさせられ る。 j-Cypher では ACS、非 ACS 症例ともに半年以降はチエノピ リジンの有無により死亡 /MI の割合に差はなかった。しかし、 ACS の責任病変に BMS を留置した 3 ヶ月後の内視鏡所見で は、ヒーリングが遅延する症例が見られる。DES 留置後では、 それが更に顕著に観察されており、1 年を過ぎてもステント のマルアポジションの下に赤色血栓が存在する症例も見られ た。これらを踏まえると 2 重抗血小板療法の継続時期は個々 の症例により異なると考えられる。 第一世代の DES 留置後 1.5 年から 3 年の内視鏡所見では、半 数程度でステント内が黄色調に変わっているところがあり、 また、全くストラットが見えないグレード 3 の被覆が確認さ (【図 4】)。 れたのは 1/4 であった AHA/ACC のガイドラインでは最低 12 ヶ月から 15 ヶ月は 2 重抗血小板療法を継続すべきであるとしており、明確な科学 的根拠は不足しているものの、内視鏡所見からは、これらの 【図 4】Surface Characteristics of 1st Generation DES 1.5-3 Yrs 上野 高史 氏 期間投与する重要性は理解できる。 j-Cypher では 6 ヶ月でのチエノピリジン服用は 7,247 例、非 服用は 2,628 例であり、高血圧、低腎機能、心不全、及び PCI 歴のある患者、LM、CTO、ステント内再狭窄の治療を受け た患者、側枝へのステント術、長いステント留置を受けた患 者ではチエノピリジンを継続している割合が有意に高かっ た。従って、高リスクの患者に対しては医師が服用を継続さ せており、その上で前述の予後に差がないという結果が示さ れている。 その一方で、抗血小板療法による出血は懸念される。脳梗塞 患者 2,195 人と心疾患患者 2,701 人(両方が 887 人)を登録 した BAT 試験では、抗血小板薬単剤に比べ、2 剤を併用する と生命を脅かすような出血は 1 年当たり 2 倍に増加すること が報告されている。さらに、抗血小板薬にワルファリンを追 加すると重篤な出血が 3-4 倍に増加した。ただし、心疾患患 者のみで見ると 2 重抗血小板療法による頭蓋内出血は 0 であ り、全ての患者が同様の傾向を示すわけではない。 しかし、日常臨床ではワルファリンを含めた 3 剤を併用しな ければならない患者が存在する。その場合、INR > 2.5 で出 血のリスクは顕著に増加するため(【図 5】)、INR を 2.5 以下 に抑えなければならない。 抗血小板薬の使い方はガイドラインを遵守し、脳梗塞の既往 がある患者では出血のリスクが高くなるため、脳梗塞の既往 と心房細動を有し、複雑な冠動脈病変を PCI で治療する場合 は慎重に対応することが必要である。 【図 5】3 者併用療法の出血リスク – 第18 回東海ライブ研究会 – 東海ライブ通信 5 Special Interview 代表世話人 鈴木孝彦氏に聞く 豊橋ライブデモンストレーション開催の 意義とは? 東海ライブ研究会について ーーー 豊橋ライブデモンストレーションコースが 2011 年 4 月 8 日、9 日の 2 日間にわたり開催されることになりました が、まず、東海ライブ研究会について教えてください。 我々は東海地区の循環器専門医に対する教育と技術の向上を 目標に掲げ、2002 年 2 月から春と夏の年 2 回東海ライブ研究 会を開催してまいりました。本会では次世代 の術者育成に重きをおいて、東海地区 からゲストオペレーターをお招きし、 経験豊富な専門医が助言をしなが ら、最高の結果を患者様に提供でき るよう PCI を行ってまいりました。 これまでにこのコースを通じて東海 地区から多くのバスキュラーインター ベンショニストが育ってくれたと自負してお ります。 普及や発展に多大な役割を果たしてきました。我が国でもラ イブデモンストレーションが各地域で活発に行われるように なりましたが、数が増え、会を重ねるごとにライブデモンス トレーションは教育という本来の趣旨から少しかけ離れてき ている面も出てきたのでしょう。参加して下さった皆様の意 向が反映されず、ショー的な要素が強まってきたものもある かと思います。 「教育と最適な治療法を 作り出すことが ライブの究極の道」 東海ライブ研究会は豊橋ハートセンター内のハートホールで 行っておりますので、規模は小さいですが、会を重ねるうち に、東海地区のみならず、日本全国からこのコースに参加し てくださる医師やコメディカルの方々も見られるようになっ てきました。 ーーー 毎週のように各地でライブコースが開催されているに も関わらず、全国から参加者が集まるのはなぜでしょうか? 創成期のライブコースは PTCA を普 及させるための一方通行のコースで した。当時の PTCA であれば、その ようなコースでも術者は学ぶことが できました。しかし、適応が変化し、 拡大し続けた今日では困難な症例は参 加者とともに良い治療法を議論し、患者様に とって最適な治療が提供できる双方向のライブが求められる ようになりました。教育と最適な治療法を参加者とともに作 りだすことがライブの究極の道であると私は考えています。 おそらく、東海ライブ研究会では次世代の日本を担う術者の 教育と育成を目的に長きにわたり行ってきたことで、他の地 域の先生方の目に留まったのではないかと考えています。少 しずつ他の地域からも参加したいという連絡をいただくよう になりました。 PCI のライブデモンストレーションコースは、PTCA を最初 に行った Andreas Gruentzig が考案したシステムで、PCI の 豊橋ライブデモンストレーションコースとは? ーーー 東海ライブ研究会と豊橋ライブデモンストレーション コースの違いを教えてください。 豊橋ライブデモンストレーションコースは、春に開催する東 海ライブ研究会の名称を改め、会場もこれまでの豊橋ハート センター内のハートホールから 1,000 人以上の収容能力を 持つホテル日航豊橋に移します。会場が大きくなることによ り、より多くの方々にご参加いただくことができるようにな ります。 一方で、夏に開催する東海ライブ研究会については、これま 6 東海ライブ通信 – 第18 回東海ライブ研究会 – で通り東海地区の先生方の教育を目的としてハートセンター 内のハートホールで続けていきます。東海ライブ研究会では 今後も東海地区の若手術者をゲストに招き、我々が培った技 術と経験を伝えていきます。 春に開催する豊橋ライブデモンストレーションコースではラ イブと教育セッションを両立させ、医師向けのコースに限ら ずコメディカルコースも設けます。 鈴木 孝彦 氏 豊橋ハートセンター 院長 豊橋ライブデモンストレーションコースが追求するテーマとは? ーーー 第1 回の豊橋ライブデモンストレーションコースのテー マを教えてください。 第 1 回は「技術の伝承~そして、さらなる 進歩へ」をテーマに掲げました。この コースのコンセプトは教育 (エデュ ケーション)です。どのような血管拡張 術が理想かを議論する予定で、また、単 に up-to-date な治療を追求するのでは なく原点に帰ることを基本としています。 ご承知の通り、日本の PCI の技術レベルは世界一と言われて います。これは我々の世代が限られたデバイスと知識の中で 日々、切磋琢磨して患者様を助けるために技術を磨いてきた からです。その中でワイヤリングのテク ニックや斬新なガイドワイヤを開発し 続けました。それ故、本邦では欧米と は違い、複雑病変を有する患者様も PCI により治療できるようになりまし た。このような技術を次の世代に伝承し、 世界に発信し続けていただきたいと考えております。 「技術を次世代に伝承し 世界に発信する」 循環器医療に携わるすべての医療従事者へのメッセージ ーーー 豊橋ライブデモンストレーションコースでは、コメデ ィカル、プライマリケア医の先生方へのセッションも提供す ると伺っておりますが、それらのセッションについて教えて ください。 我々は東海ライブに参加いただいた方々を対象にアンケート 調査を実施し、医師、及びコメディカルスタッフから、術者の 教育もさることながら、コメディカルスタッフを対象とした 教育コースも提供して欲しいという意見を数多く頂きました。 カテーテル室では、患者の命を救うという使命のもと、医師 を含めた医療従事者は皆平等の立場であり、それ故にコメ ディカルの担う責任も大きく、コメディカルに対する真の教 育コースに対するニーズが高まっています。そこで本コース では看護師、臨床工学士、臨床放射線技師のそれぞれの立場 からチームの一員としての役割までを専門施設から迎えた講 師のもとで徹底的に学んでもらう場を提供します。 そして、冠動脈を拡げるだけが我々の仕事ではありません。 術後のイベントを抑制し、長期予後を改善するには、プライ マリケア医の先生方との病診連携が不可欠です。そこで、豊 橋ライブデモンストレーションコースでは PCI 後の長期予後 改善を目的とした専門医とプライマリケア医がともに学べる 教育コースを設けました。さらに、若手術者、コメディカル スタッフ、並びに循環器医療に携わる企業の方々を対象とし た PCI コースでは、冠動脈造影、PCI の歴史から画像の読み 方、さらには使用デバイス、術中術後の薬物療法などについ て学べる教育セッションも用意しました。 ーーー まさしく、循環器医療に携わるすべての方を対象とし た教育コースですね。 ありがとうございます。現在、2011 年 4 月に向けて豊橋ライ ブデモンストレーションコースの世話人、並びにスタッフ一 同鋭意準備中でございます。来年の春に皆様と豊橋でお会い できることを楽しみにしております。 – 第18 回東海ライブ研究会 – 東海ライブ通信 7 企画 東海ライブ研究会 制作 株式会社テクロス
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