1.求める人材と働く意味 アピックヤマダで求める人材は、まず「経験から学ぶことができる人」です。 これは経験を活かして応用できるということです。それから「自らの考えを持 ち行動できる人」、 「変化に柔軟に対応できる人」、そして、人の話をきちんと聞 くことができる「他人と協調できる人」、このような人を求めています。 仕事をする目的は、お金を稼いで自分で生活するため、親から独立して 1 人 で生きていくため、安定した生活のためです。働くということ、仕事をすると いうことを、きちんとイメージすることが大切です。 皆さんは、親や先生、周りの人から、 「学校を出たら、自分で生活の糧を稼い でいかないと大変なことになるぞ。」「卒業したら何かで食っていかなきゃいけ ないんだぞ。」 「自分で食っていく道を考えろ。」ということをあまり言われてい ないと思いますが、そういうことが一番大事なのです。 普通は親の方が早く死にます。親はいつまでも後押ししてくれません。逆に みなさんが親の面倒をみなければならなくなることがあるかもしれません。そ ういうことをまずイメージしていただきたいと思います。そして今、みなさん が中学で勉強しているのも、働いて仕事をして生きていくために必要なことな のです。 今、ニートが問題になっています。ニートの中には自分探しと称して仕事を しない人がいますが、まず仕事をする、働くことが先で、仕事をしながら自分 を探していけば良いのです。仕事が合う、合わないよりも大切なのは、一度引 き受けた仕事は中途半端にしないことです。仕事は最初から最後まできっちり やらないといけません。しっかり仕事をしていくうちに自分の考えが変わって いくし、自分自身が育っていきます。 2.仕事選び・職業選択 仕事は単に収入を得るためだけにするのではありません。どうせ仕事をする なら自分に合った仕事に就いた方が良いです。自分に合った仕事に就いた人の 方が生き生きと充実感を持って働くことができます。働きがいを感じることが 出来るからです。働きがいのある自分に合った仕事を選んでください。 社会には、たくさんの仕事があります。労働省の「労働省編職業分類」によ ると世の中には職業名で 2 万以上、細分類でも 2 千以上の職業があります。昔、 向き不向きで仕事を選べなかった時代は、農民の子は農民、武士の子は武士と 生まれた時に決まっていましたが、今は自分で職業を選べる時代です。だから 仕事を選ぶのに悩むし、不安になるのだと思います。 『13 歳のハローワーク』という本があります。著者は村上龍という人です。 この本は、仕事が 500 種類紹介されています。本の前書きに、 「この世の中には 2 種類の人間・大人しかいないと思います。それは金持ちと貧乏人でも、悪い 人と良い人でも、利口とバカでもなくて、活き活きと充実感を得ながら仕事を やっている人と、そうでない人の 2 種類だ」とあります。著者は、中高生に活 き活きとした充実感を持った仕事をする人になってほしいという願いからこの 本を書いています。例えば花や植物が好きな人は、プラントハンター、フラワ ーデザイナー、庭師、樹林医など 14 の職業を紹介しています。星や宇宙が好き な人に対しては、宇宙飛行士、天文台で働くなど 6 種類の職種を紹介していま す。 中学 2 年生で、将来の仕事をはっきりイメージできている人は少ないと思い ます。自分の考えや価値観も変わるので、今、一番自分に合った職業を探すの は難しいことです。大体の方向、傾向をつかむことが大切です。 自分は何に興味があるのか分かるためには、 「自分にはわくわくできる対象が きっとあるはずだ」とか、「自分は何が好きか」、を頭の片隅に置いて、好奇心 を失わないで日々生きることが大切です。普通に学校に行ったり、スポーツし たり、友達と遊んだり、そういういろいろな人間や情報に触れていく中で、い つか自分の好きなことに出会うのです。 ただし注意しなければいけないことは、他人の目を気にするために、本当に 自分が好きなことが分からなくなってしまうことです。親、先生、友達、先輩、 世間の価値観に影響され、他人から見られる時のかっこよさや、他人に評価さ れる自分を本当の自分だと錯覚してしまう人も多いので注意が必要です。他人 がどう思うかではなくて自分で考えることです。 自分がどんなタイプかわからない人は、13 歳のハローワークの公式サイトを 利用してください。この中に、 「思い出からみるタイプ診断」があります。誰も が持っている原体験である小学生時代の思い出から、あなたのタイプを診断す る、大人も子どもも参加できるタイプ診断です。30 の質問に Yes・No で答える だけで、あなたの考え方の傾向や歴史上の偉人に例えたタイプ解説を読むこと ができます。自分のことが少しは分かるかもしれないので、参考にしてみてく ださい。 3.働きがいについて 次に、仕事の働きがいについてです。田坂広志さんの本の中にある『石切り 職人のはなし』を紹介します。 「働きがいある仕事」というのは表面的には非常 に地味な仕事だったり、こつこつとした仕事だったりします。地味な仕事に素 晴らしい働きがいを感じることができるのは、その仕事の彼方に見つめている ものがあるからです。そのことを教えてくれる寓話に、 「二人の石切り職人」と いう話があります。 旅人が、ある町で、教会の建設現場を通りかかりました。そこでは、2 人の 石切り職人が、石を切っていました。そこで、旅人は、1 人の石切り職人に、 「あ なたは何をやっているのですか」と聞きました。すると、その石切り職人は、 不愉快そうな表情を浮かべて、 「この暑いさなかに、いまいましい石と悪戦苦闘 しているのさ」と答えました。 そこで、旅人は、もう 1 人の石切り職人に、同じ質問をしました。その石切 り職人は、表情を輝かせ、 「私は、多くの人々の心の安らぎの場となる、素晴ら しい教会を創っているのです」と答えたのです。 仕事というものは、ある意味ではとても地味で、忍耐力が要求される大変な ものですが、働きがいとは、この石切り職人のように、その人の意識の持ち方 によって全く違ってしまいます。どのような仕事をしているのかが仕事の価値 を決めるのではなく、その仕事の彼方に何を見つめているのか、それが仕事の 価値、働きがいを決めるのです。 4.職場体験学習をするにあたって気にかけてほしいこと 職場体験先では、今の話の石切り職人のように淡々と仕事する人、そういう 人の背中を見ることから何かを感じ取ってほしいと思います。また、職場体験 での作業が社会とつながって、人の役に立つということを想像して感じ取って もらいたいと思います。自分が働いているイメージを少しでもつかんでもらい たいと思います。 そして将来、自分の仕事が社会とつながっている、社会に貢献出来ていると 感じながら働ける人になってほしいと思います。本当の仕事の価値を感じ取る ことができる人になってください。 最後に、社会学者であり経営学者のピーター・ドラッカーの言葉を贈ります。 「人間は仕事に誇りをもつとき成長する」 みなさんどうぞ自分の仕事に誇りを持てる人になってください。
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