「隣人」とは誰か? 5 月下旬、夏日が続きました。生き物、特に昆虫の動きが活発になってきました。道端で、 園庭の隅で、畑で、いろいろな虫を見ます。今、事務室にも飼育ケースが 2 つ並びアゲハ 蝶の幼虫とコクワガタがご滞在です。 これから本格的な夏に向けて、昆虫と子どもたちの出会いに期待しています。 さて、五日市保育園には「花の日」という行事があります。この行事では、多くの花が 咲く 6 月、神様の恵みに感謝する、と共に花を持って日常お世話になっている人や高齢者 施設を訪問し、多くの人から愛され守られていることへの感謝の気持ちを伝えます。そし て、神様から与えられている愛を多くの人と分かち合うことを目的としています。 普段、なかなか踏み入ることの出来ない世界に、子どもは戸惑い、驚きつつも差し伸べ られる手に花束を手渡します。 会ったことも話したこともない人間同士が花を中心につながります。恥ずかしくて目を 合わせることもできない子ども、しわだらけのお顔をじっと見つめる子ども・・・普段で は、交わることのない出会いと交流が「花の日」に生まれます。 毎月の礼拝で聖書のお話をしています。特にイエス様の働きについて伝えています。 たと イエス様は、民衆やお弟子さんたちにお話しをする時に、“喩え”を使って話されました。 その一つに「良きサマリヤ人」というお話しがあります・・・ ・・・ある旅人が、隣の町までの移動中に強盗に襲われ金品、衣服を取られ大けがを負 ってしまいました。旅人は、息も絶え絶え倒れています。そこへ、一人の祭司が通りかか りますが、旅人の状態を見て、強盗の仕業と察して急いでその場を立ち去ります。次に通 りかかった人は、旅人と同郷の人でしたが、見ないふりをして横を通り過ぎてしまいまし た。そして、3 番目に通った人は、サマリヤ人でした。その人は、傷付いた旅人を介抱し、 自分のロバに乗せ、町の宿屋まで運び、宿代と医者に診せるお金まで渡し去っていきまし た・・・こんな粗筋です。 そして、イエス様はお尋ねになります。 「この 3 人の中で旅人の隣人となったのは誰か?」 と。勿論、3 番目のサマリヤ人ですが、実は、旅人の民族は、サマリヤ人を自分達より下級 の民と位置付け、軽蔑したり差別したりしていました。 しかし、サマリヤ人は旅人を助けました。 自分を愛してくれる人、自分を理解してくれる人、自分と同じ考えの人、私たちの“隣 人観”は、自らの条件や都合により、狭く限られた範囲に対象が絞られます。しかし、そ のような人だけを“隣人“とし愛の対象としないで!とイエス様はおっしゃいました。 とても高いハードルです。 花の日の訪問を通し、この社会には、いろいろな人が生きている(神様により生かされている)、 そして、いろいろな人が社会をつくっている、そのことを知ってほしいと思います。 次代を担う子どもたちには、出会いと交流を通し、これからの自らの“隣人”の幅を拡 げていってほしいと願います。 園長 内堀 浩幸
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