COP21における自治体の役割 (今後の期待)

COP21における自治体の役割
(今後の期待)
三木 はる香
気候変動とエネルギー領域 研究員
地球環境戦略研究機関(IGES)
COP21速報セミナー
~地球温暖化対策の今後の展望~
2016年1月13日(水)
COP21は非国家主体の役割を具体的に検討
COP20(リマ)にてリマ・パリ行動アジェンダ(LPAA)が合意され、
NAZCAによる気候変動の緩和と適応行動の見える化が進んでいる
LPAA・NAZCAプラットフォームウェブサイト
 非国家主体とは
都市・自治体、企業、市民社会、NGOなど
 LPAAとは
非国家主体(NAZCA)の気候変動の緩和と適
応に向けた行動を拡大することが目的
 NAZCAプラットフォームとは
NAZCAの気候行動が登録できる。データ関
連の協力団体からの情報がフィードする形に
なっている
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市民社会、企業、都市や自治体との連携
 非国家主体(Non Party Stakeholders)の役割がCOP21の決定に含まれた。
 市民社会、民間企業、金融機関、都市及び自治体等がUNFCCCの下で認識された。
 気候変動に対する行動と支援をサポートするプラットフォーム(気候行動非国家主体プ
ラットフォーム:NAZCA)がUNFCCCの下で設立された
 行動と支援を繋げるインセンティブとして炭素価格(カーボン・プライス)が言及された
Lima-Paris Action Agenda (LPAA)の登録状況
出典:UNFCCCのNAZCA「Lima‐Paris Action Agenda」よりIGESが作成
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なぜ、今都市・自治体か
新興国で特に速い都市化の進捗スピード。向こう20年から30年で
の緩和(排出抑制・削減)対策が2℃目標達成で急務
参照:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)(2014年)第5次報告書
都市部の人口は2050年までに倍増
都市部は温暖化効果ガス(GHG)全排出量の約37%~49%を占め
全世界のエネルギー利用の約70%を消費
気候変動による異常気象リスクなど、都市に対する影響が増加
都市部での気候変動への対応力強化は、世界全体の気候変動
への適応力強化につながる
都市・自治体が2℃目標達成に向けて貢献するため、いかに国
際的な連携がつなげるか?
参考:三木、小圷(2015年)「UNFCCCと自治体の連携強化に向けた考察」IGESワーキングペーパー
イクレイ、ケンブリッジ大学(2014年)「Climate Change: Implications for Cities」
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レジリエント(強靭)な都市で競争力強化
必要なインフラが整備され、気候変動にレジリエントな都市・地域は、万が一の場合も経済的
損失が少なくて済む。自治体の競争力は、気候変動対策に配慮したインフラの整備だけで
なく、制度や政策、意思決定プロセスにより特徴づけられる。
ニューヨーク市の電力系統にみる経済的分析
300億ドルの投資で金銭に換算し、400億ドルの便益
(GHG排出削減、大気汚染の緩和等)がある
洪水や強風対策など一定程度の投資を行った場合200億ドル程度のコスト
何のアクションもない場合 気候変動の損失をカバーするコストだけで300億ドル
参考:ARUP, RPA, Siemens. (2012) Toolkit for Resilient Cities - Executive Summary
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パリ協定における自治体に関するポイント
全ての国が2020年以降のGHG削減目標を提出し、5年毎に目標値
を見直すこと。2℃長期目標(努力目標としての1.5℃目標)が明記
第6条1項~3項
都市・自治体など、非国家主体の行動を認知
非国家主体(NAZCA)が気候変動に向けた行動を取る努力を歓迎し、
気候変動に対する行動を、「NAZCAプラットフォーム」に登録を促す
IV. 2020年以前の促進行動 118項
国と自治体の一層の協力を奨励
締約国が、非国家主体(NAZCA)が緩和と適応行動を強化を促進す
るよう、NAZCAと協力・協働することを奨励する
IV. 2020年以前の促進行動 119項
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パリ協定に見る都市・自治体の位置付け
 技術評価プロセス(TEP):緩和向上に向けた経験の共有、具体的行動の特定、
協力活動の促進。
 適応もTEPの対象となる。
 促進対話及びハイレベルイベントを活用して対策向上の機運づくり
2017年
2016年
技術評
価プロセ
ス(TEP)
2018年
2019年
2020年
緩和
技術専門家
会合(TEM)
技術メカニズ
ムの参画
技術ペーパー
政策決定者
サマリー
途上国・非国
家主体の参加
適応
技術専門家
会合(TEM)
適応委員会
の参画
技術ペーパー
政策決定者
サマリー
途上国・非国
家主体の参加
緩和策の向上に向け
た対話の促進
(@COP22)
ハイレベ
ル・イベ
ント
リマ・パリ行動アジェンダの強化
ハイレベルの政
策関与向上
新たなイニシア
ティブの宣言
政策オプション・
行動の強化
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UNFCCC公式イベントで都市・自治体が脚光
リマパリ行動アジェンダ(LPAA)には、閣僚級、首長級が集った
自治体が気候変動対策の実施でより重要になる
(アル・ゴア 元米国副大統領)
 自治体は、国家より気候変動で迅速な行動
 COP21では都市や自治体の首長級が多く参加
国が都市・自治体と協働することが重要
(セゴレーヌ・ロワイヤル
エコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣)
 気候変動対策では国によるトップダウンでは不十分
 都市・自治体は市民にも近く、都市・自治体に気候
変動行動計画でより決定権を期待
自治体が変革の中心になれる分野を見極める
(ジェリー・ブラウン カリフォルニア州知事)
 気候変動対策で、自治体がリーダーシップを取れる
分野で変革の中心になるべき(カリフォルニア州:建
築基準分野、低炭素自動車の導入)
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都市・自治体が自らの気候アクションをアピール
都市・地域パビリオンでの発表
自治体自身が野心的な気候変動プロジェクトを実
施していることを、COP21を通じ発信
 日替わりで地域毎の自治体の気候変動に対応する
取り組みを紹介
 未来に向けた野心的な気候アクションを提案する
「変革のための行動プログラム」で採択された自治体
 日本はEast Asia Day (東アジアの日)で発表
日本パビリオンでの発表
日本の自治体の都市間連携
 「City Day」が設定されるなど、日本の自治体が世界
に先駆けて進める都市間連携を紹介するセッション
が多くあった
 都市間連携は、UNFCCCの公式イベントでも、自治体
の貢献の良例として紹介
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COP21会場外:自治体リーダーがパリに集結しコミットを示した
首長による気候サミット
400人超の自治体リーダーがパリ市庁舎に集結
「パリ市庁舎宣言」の採択
 適応: 2020年までに行動計画を策定し、実施す
ること
 緩和: 2030年までにGHG排出量を3.7Gt/年削減
し、2050年までにGHG排出を80%削減、または10
0%の最エネ導入することを誓約
参考:大塚(2015年)IGES COP21速報セミナーフレーミングプレゼンテーション
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自治体を含む非国家主体が認知されるまでの軌跡と今後
UNFCCCにおける
非国家主体に
関しての言及
I. プラット
フォームづくり
II. プロジェクト
の
登録および定
量化
過去
自治体がス
テークホル
ダーとして認
識
緩和促進で
必要に応じて
自治体の参
画を促すこと
が記載
ICLEI, C40, UCLGの設立
気候変動枠組条約締約国会議
で働きかけ
自治体レベルの
MRVの必要性を
認識
非国家主体
(NAZCA)の
明記
パリ協定で
NAZCAが明記
LPAAに
登録される
活動と資金の
マッチングに
向けた定量化
Lima Paris
Action
Agenda(LPAA)
の設立
LPAAで
非国家主体の
活動登録
2007年
COP13
バリ
活動と資金の
マッチング
例: ICLEIのTAP
プロジェクト
III. ドナー機関・
中央政府によ
る
財政的な支援
2007年 2010年
COP13 COP16
カンクン
バリ
2013年
COP19
ワルシャワ
2014年
COP20
リマ
2015年
COP21
パリ
LPAAの定量化
(MRV)の条件化
LPAAと資金
マッチングに
向けた評価
UNFCCCと
連携した
活動と資金の
マッチング
2020年
出典:IGES
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TEPとNAZCAを新たな政策やプロジェクトに活用
 技術評価プロセス(TEP)と非
国家主体気候行動プラット
フォーム(NAZCA)、UNFCCCに
おけるメカニズム(技術、資金)
をリンクさせて、具体的な成果
に繋げることが重要。
非国家主体気候行動
プラットフォーム
(NAZCA)
技術メカニズム
(気候技術センター
ネットワーク)
資金メカニズム
(緑の気候基金)
資金支援
技術支援
参加
技術評価プロセス(TEP)
レビュー・
評価
登録
企業
市民社会
都市・自治体
締約国
政策の実施
プロジェクトの特定と実施
金融機関
参考:三⽊、⼩圷(2015年)「UNFCCCと⾃治体の連携強化に向けた考察」IGESワーキングペーパー
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自治体の気候行動(今後の国際枠組みを見据えて)
都市・自治体におけるGHGの測定・報告・検証
MRV方法の統一化、目標の設定とデータの管理
都市・自治体内の気候アクションをスケールアップ
UNFCCCのNAZCAプラットフォームや国際自治体ネットワークを通じて
自治体の具体的な行動を、(国内外で)周知
県内の政策 (例)神奈川県の再エネ
例:都市間連携を通じて自治体間の能力開発に貢献
例2: 国際自治体ネットワークを通じた政策対話
都市・自治体の行動のファイナンス化 (特に新興国)
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Thank You
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