科目名 担当者 配当期 年次 単位 授業形態 国際経済法 本田 直志 春 3

科目名
国際経済法
担当者
本田
直志
配当期
年次
単位
授業形態
春
3
2
講義
◆科目のテーマ及び概要
現代における世界貿易は、自由・多角・無差別の原則の枠組みの中で行われているが、その法的枠組みを提供して
いるのが、WTO(世界貿易機関)設立協定である。講義では、ガットやWTOの設立に関する歴史的経緯や95年
に成立したWTO設立協定における法的原則を理解したうえで、WTO紛争解決手続に基づいて行われる貿易紛争
の解決について、WTOのパネル報告や上級委員会報告を題材にしながら考察していく。
◆科目の到達目標
現代における世界貿易は、「自由・多角・無差別」という法的枠組みのなかで行われている。この法的枠組みを提
供しているのが、WTO(世界貿易機関、World Trade Organization)設立協定である。講義では、WTOの前身で
あるガット(「関税及び貿易に関する一般協定」
、General Agreement on Tariffs and Trade, GATT)の歴史的経緯を
ふまえて、WTO協定の基本原則・ルールを理解し、実際の貿易紛争解決がどのように行われているかを、WTOパ
ネル報告や上級委員会報告をもとに事例研究を行う。基本原則の理解のもと、紛争事例の法的問題点を指摘できるよ
うにしたい。
◆授業計画
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
第9回
【テーマまたは概要】国際経済法の概要と世界貿易の法的枠組み
【到達目標】全14回にわたる「国際経済法」の講義について概観した後、現代の世界貿易に関する法的
ルールの概要を学ぶ。シラバスに基づく講義の内容は、第一回で説明する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】世界恐慌と保護貿易主義の台頭
【到達目標】世界恐慌をきっかけとした経済のブロック化が、やがて悲惨な第2次世界大戦を惹き起こす
ことになったといわれる。世界恐慌から経済のブロック化、そして世界大戦に至るまでの状況を解説
し、今日の自由貿易体制ができあがった歴史的背景について説明していく。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】ガットの誕生とその後の発展
【到達目標】1947 年に締結されたガットのもとで8回、WTOのもとで1回のラウンドが開催されてい
る。ラウンドにおける関税率の引き下げや貿易障壁の軽減・撤廃などの多国間交渉の成果は、無差別に
加盟国に適用され、これが自由貿易の実現に多く貢献している。これまでのラウンドの歴史や背景を踏
まえて、その成果や意義を理解する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】ウルグアイ・ラウンド合意とWTO協定の内容
【到達目標】ウルグアイ・ラウンドの結果、医薬品や建築機械などの7分野での関税の相互撤廃や化学品
の関税率の上限統一などで合意がなされ、また、農産品についても、市場アクセスや農業保護削減につ
いて画期的な成果がもたらされた。これらの合意内容と意義を説明していく。また、ウルグアイ・ラウ
ンドで成立したWTO設立協定の構造を知り、その特徴を理解する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】WTO設立協定の概要と諸協定
【到達目標】ウルグアイ・ラウンド合意に基づいて締結されたWTO設立協定(正式名称は「世界貿易機
関を設立するマラケシュ協定」
)には、本体協定のほか、付属書として 10 を超える協定が含まれ、広範
な貿易分野をカバーしている。WTO設立協定の概要と付属諸協定を概観し、WTOの全体像を見てい
く。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】ガットの基本原則とその例外(1)
【到達目標】ガットの基本原則として、最恵国待遇の原則、内国民待遇の原則、数量制限の一般的廃止、
関税の引き下げ、相互互恵主義が挙げられる。まず、最恵国待遇の原則について、ガット第1条に規定
する内容と原則に対する例外について学ぶ。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】ガットの基本原則とその例外(2)
【到達目標】最恵国待遇の原則に関する紛争事例について考察する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】ガットの基本原則とその例外(3)
【到達目標】内国民待遇の原則について、ガット第3条に規定する内容と原則に対する例外について学
ぶ。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】ガットの基本原則とその例外(4)
【到達目標】内国民待遇の原則に関する紛争事例について考察する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
第 10 回
第 11 回
第 12 回
第 13 回
第 14 回
第 15 回
【テーマまたは概要】ガットの基本原則とその例外(5)
【到達目標】数量制限の一般的廃止の原則、関税第一主義および関税譲許の原則について、その概要を説
明し、役割を考察する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】アンチ・ダンピング制度および補助金・相殺関税制度
【到達目標】アンチ・ダンピング制度は、不当に安い価額で輸出された製品に対して、輸入国が、アンチ・
ダンピング税を賦課してその価格の有利性を相殺しようとするものである。また、補助金付輸出につい
ては、輸入国が、補助金に相当する額を相殺関税として賦課することが認められている。パネル報告や
上級委員会報告をもとに、実際の事例を挙げながらアンチ・ダンピング制度および補助金・相殺関税制
度を説明する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】セーフガード制度および農業・繊維分野
【到達目標】セーフガード制度は、輸入急増により国内産業に被害が生じた場合には、輸入国が輸入を制
限しうるとするものである。セーフガードの調査手続、損害の認定、セーフガード措置の適用について
実際の事例をもとに理解していく。また、繊維及び繊維製品に関する協定および農業に関する協定にお
いては、特別セーフガード措置を設けているので、それらについても説明する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】新分野における貿易ルール
【到達目標】ウルグアイ・ラウンド合意では、サービス、知的財産権、投資などの分野についても新しい
協定が締結された。サービス貿易に関するGATS、知的財産権に関するTRIPS協定、投資に関す
るTRIMs協定などについて解説する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】新分野における貿易ルール(2)
【到達目標】第13回に引き続き、サービス貿易に関する GATS、知的財産権に関する TRIPS 協定、投資
に関する TRIMs 協定などについて解説する。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
【テーマまたは概要】紛争解決手続
【到達目標】WTOにおける紛争処理手続は、ガット時代の運用を成文化した「紛争解決に係る規則及び
手続に関する了解」に具体化されている。WTOの紛争解決手続の特徴や流れを理解し、国際的な貿易
紛争の解決手続のあり方を考えていく。
【学習課題(予習・復習)】講義の内容をよくまとめておくこと。
◆教科書
毎回、講義レジュメを配布するので、とくに教科書は使用しない。
◆参考書
参考書は、講義の中で随時紹介するが、代表的な参考書としては、中川淳司・清水章雄・平覚・間宮勇「国際経済
法 第 2 版」(有斐閣)、小室程夫「国際経済法(新版)
」
(東信堂)
、田村次朗「WTOガイドブック(第2版)
」
(弘
文堂)
、条約集としては、小原善雄・小室程夫・山手治之編「国際経済条約集(第2版)
」
(東信堂)がある。
◆成績評価方法・基準
70%を定期試験(教場筆記試験またはレポート試験)の結果、30%を平常点(講義時間内の態度や応答)により総
合して成績を評価する。なお、講義を欠席した場合には、欠席1回について、一定の点数を減じる。
◆地域連携に関する事項
◆関連科目
◆履修上の注意(学生への指示)
少なくとも、学部等において「国際法」の授業を履修し、単位を修得しているか、それに相当する知識を有してい
ることが望ましい。
◆オフィスアワー
授業終了後に対応。