誌上講座 - 日本ダクタイル鉄管協会

7
6
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
ダクタイル鉄管
1
7
. ダクタイル鉄管の耐震設計
重要な配水幹線は、必要に応ビて耐震対策
る。地震時の埋設管路の挙動を知るには、で
きるだけ詳細な地質データがほしい。一般に
を行うのが望ましい O 埋 設 管 路 の 耐 震 対 策 は
はすでにある地質データを十分活用し、不足
関東大地震以来幾度かの被害の経験を生かし
分を現地調査する方法がとられる。
少しずつ確立されてきた。また近年耐震設計
地質調査を予備調査と本調査に分ける。
理論が検討されはじめ、ある桂度理論的な耐
まず予備調査で地形の分類(平地・台地・
震計算が可能になった。
山地など)、地質の分類(洪積層・沖積層など)、
1. 耐 震 設 計 の 手 順
(
1
) 配管ルートの選定
地層縦断図(基盤までの深さなど)などを調べ
最近の都市化の進んだ状況ではかならずし
て、検討・の必要がある場所とない場所に分類
する。
もそうできない場合が多いが、配管ルートの
①検討の必要がない場所
選定はできる限り地盤のよい所を選定するの
(ア)均質な硬い地盤地帯
がよ v~o 過去の震害事例からみても、管路は
(イ)岩盤地帯
軟弱表層の厚い地帯、地層・地質が急激に変
②検討の必要がある場所
化する地帯、砂の液状化地帯・断層地帯・地
(ア)軟弱表層の厚い地帯
滑り・崖崩れ地帯などで、被害が起っている。
(イ)地層・地質が急激に変化する地帯
(
2
) 地震および地盤の調査
(ウ)液状化が予想される地帯
地震わよび地盤の調査にわいては、配管す
る地域の過去の地震例の調査および地震を考
慮した地盤調査を行うのがよい。
判断層滑りが予想される地帯
(オ)地滑りが予想される地帯
(ア)付)については、地盤を弾性体として
x
地震の性質と地質とは非常に密接な関係が
理論解析が可能であるが、(ウ 司(オ)につい
ある。また埋設管と地質とも密接な関係があ
ては理論予測がむつかしいので十分なる
ダクタイル鉄管の布設くその 5
)
④
耐震対策を必要とする口
次に本調査では、耐震計算のための地
質の物性値を正しく求める必要がある。
⑤
ボーリング調査
基 盤 層 ま で の 深 さ (N値 50を目安とす
p)
(V
S波 速 度 の 測 定
(
V
s
)
常時微動測定
常時微動を測定し、波形をパワースペ
ク ト ル 分 析 し 卓 越 周 期 (T)を求める。
る)
基 盤 層 ま で の 標 準 貫 入 試 験 (N値)
(
3
) 地震動の想定
土質分類
地震動とは、地震が発生して地震波が伝播
地下水位
する際、その経路にあたる地盤に生ずる振動
土質試験
をいう。
①歴史地震の調査
各 層 の 単 位 体 積 重 量 (γ)
地震発生年月日・位置、検討場所から
粒度分布
相対密度
(Dr)
の距離・深さ、マグニチュード、検討場
単軸圧縮強さ
(
q
u
)
所での震度など、できるだけ多数の資料
を入手する。これらの値から検討場所で
三軸動的圧縮試験
③
Pi
皮速度の測定
性 率 (G)ポ ア ソ ン 比 (
ν
)を求める。
するのが望ましい。
②
PS検層(速度検層、弾性波探査)
Vp.Vsより地盤各層のヤング率 (E)剛
検討する地盤について次のような調査を
①
7
7
間隙比
(
e
o
)
圧縮係数
(
C
c
)
水平載荷試験
(
K値)
の震度ならびに加速度の期待値を求める。
②震度期待値図
河角博士の震度期待分布図などを参考
図 -75 地 域 区 分
9
7
7
)
(新耐震設計法(案)、建設省、 1
1
4
0
.
1
3
0。
1
4
5。
7
8
ダクタイル鉄管
にする。
昭
手
口5
7
. 5 第3
2号
ようになった口
建設省「新耐震設計法(案)
J によると、構
③地震波形の選定
強震計で記録された有名な波形として
造物の耐震計算法には①震度法、②修正震度
EL CENTRO,TAFTなど
法 、 ③ 応 答 変 位 法 、 ④ 動 的 解 析 法 の 4つ が 示
アメリカの
の 記 録 、 国 内 で は 十 勝 沖 地 震 の 八 戸j
巷記
されているが、理設管は応答変位法で検討す
録(港湾技研)、東京 101地震(震研)など
るとされている。これは地震時の地盤変位を
が広く利用されている。しかし利用する
埋設管路に作用させて行う耐震設計法である。
時には地震の特徴、地盤の性質などを考
以上は、地震時地盤の変形が弾塑性域を越
慮して最適なものを使うべきであろう。
えないという条件下での検討であるが、埋設
検討地域の強震記録があればそれを使う
管が被害を受けるのは地盤が弾塑性域を越え
のが好ましい O
崩壊する場合が多い。地震時地盤の変形が弾
④ 建 設 省 「 新 耐 震 設 計 法 ( 案)
J に示され
塑性域を越える現象として、断層ずれ・地割
ている地域区分(図 -75)、単位震度当り
れ・斜面の滑り・局部沈下・隆起・液状化な
の応答速度(図 -76)などを参考にする。
標準水平方向震度
地域区分
標準水平方向震度
KHG
A
0.15
B
0.13
C
0.11
どがある。これら崩壊した地盤の中に埋設管
があれば、管も同様にその影響を受ける D ま
KHG
た地震で椅造物が破壊したために、その構造
物に取付けである管が破損する例もある。橋
脚が破損し、固定されていた管が破損すると
いうのはこの例である。
地盤が崩壊するような場合、理論的に耐震
2園 耐 震 計 算
計算するのは困難で、ある。大胆な仮定を設け
管路の耐震設計を配水管に例をとると、新
て以下述べるように計算検討するか、あるい
潟地震を契機として日本水道協会が「水道施
はある管路構想で吸収し得る範囲を求めてお
設 の 耐 震 工 法J で 地 中 構 造 物 の 耐 震 基 準 を 示
くという手段がとられる。
された。主に工事上の留意点を列挙されてい
(
1
) 管軸方向応力
るが、耐震設計は震度法で基準化されている O
地震時の埋設管の管体応力は、実測によれ
しかし地震時の継手伸縮量など、細部につい
ば円周方向より軸方向が大きいことが知られ
ては明らかにされていない。その後研究も進
ている。大地震では、管のひずみより地盤の
み
、 1979年には「水道施設耐震工法指針・解
ひずみの方が大きいと予想されるが、その差
説」が出され、地震時の地盤が弾塑性の範囲
を 滑 っ た と 仮 定 す る と 図 ー 77の よ う な 摩 擦 力
内での変形であるならば、単純な条件下で継
が管に作用したと考えられる。管の端面同士
手の挙動・管体応力など理論的に求められる
c
m
/
s
e
c
)
図 -76 単位震度当りの応答速度 (
(新耐震設計法(案)、建設省、 1
9
7
7
)
図
-77 埋設管が受ける躍擦力
fd
唱崎ーー唱跡目
1
0
0
1
-
︹
02¥g︺制樹林迫
があたらないものとすれば、管軸方向の応力
1
0
0
.
1
は次式で求められる D
0
.
20
.
3 0
.
5
0
.
7 1
2 3
表層地盤の基本国有周期 [
s
e
c
J
πDfd
J
2
p=
昌一一一一一・・ー・・・・・・・・・・・・・・(17
.
1
)
2Ao
ダクタイル鉄管の布設くその 5
)
79
で算出する。
の:地盤との摩擦力による管体応、力
←
D:外径
(
1
7
.
4
)
ただし、地表面付近に台ける地盤のひずみは
f
2 :管長
次式でもよい。
Ao:管 の 鉄 部 断 面 積
TA
ε =一
一
一
…
.
.
.
・
]
d
:地 震 時 の 単 位 面 積 当 り の 動 的 な 摩
2πV
擦力
V:地 震 波 の 伝 播 速 度
れ管体応力ははるかに大きくなることが予想
(
3
) 継手の屈曲角度
される。
地震時に継手に生ビる屈曲角度(ラジアン)
J によると、管軸方向
「新耐震設計法(案 )
は、原則として次式で計算する。
応力は変位法に基づき次式で算出する口
千
・
.
.
…
…
… (17.5)
A:地 震 動 の 加 速 度
盤に拘束された部分があると、滑りが制限さ
一
H
T:表 層 地 盤 の 基 本 国 有 周 期
管が長尺となり、途中曲ったりなどして地
ξ
183
ヂよ
乎
。=1.4
(
1
7
.
2
)
(
1
7
.
6
)
ただし、地表面付近における継手に生じる屈
曲角度は次式で求めてもよい。
σL :管軸方向の地震時応力
f
2
A
()=
一一…………………… (17.7)
V2
π
:円 周 率
u
:表 層 地 盤 の 地 震 動 の 変 位 振 幅
(
4
) 応答解析法
E:管 材 の 弾 性 係 数
ここでは多質点応答解析法を述べる。応答
L:表 層 地 盤 の 地 震 動 の 波 長
計 算 モ デ ル を 図 -78のように考える。
α
:地 盤 の 変 形 が 管 路 に 伝 え ら れ る 割
図 中 の パ ネ は 表 -24のような役割りを持つ。
合を表わす管軸方向の変位振幅に
対する補正値
図 -78 応答計算モデル
ξ:継 手 に お け る 境 界 条 件 に よ っ て 定
まる補正係数
(
2
) 継手の伸縮量
地 震 時 に 継 手 に 生 じ る 伸 縮 量 eは次式で算
出する。
e 2
ε …………………… (
1
7
.
3
)
ニ
f
2
:管 長
ε
:地震時の地盤の伸縮ひずみで、次式
表 -24 パネの役割りと関係する主な要因
、
f
/
ノ
'
¥
/'~ネの役割
り
関係する主な要因
K1
地盤の振動を管に伝える
K:地盤反力係数
Kz
地盤質点聞の関係を表わす
E:地盤のヤング率
G:地盤の剛性率
.
1
2
:地盤質点簡の距離
K3
基盤からの振動を地盤質点に伝える
M:地盤の有効質量
T:地盤の固有周期
h:地盤の減衰定数
8
0
昭和 5
7
. 5 第 32号
ダクタイル鉄管
計算は電子計算機で行う。入力項と出力項
①地下水位が高く、地表面に近い位置に
ある地盤。
は次の通り。
②
①入力項
地震に関する項目:地震波形・基盤水
平入力加速度・振
動方向
地盤に関する項目:固有周期・質量・
較的均ーな砂からなる砂層。
③
有効上載圧力の大小とも関連するので
一概にはいえないが、一般的にいって深
パネ定数・地盤の
さが 5m以 下 の 標 準 貫 入 試 験 の N値 が 1
0
減衰定数
以下である地盤。
管路に関する項目:管の物性値(口径
-剛性)
管路の形状(座標
位置など)
②
有効径(通過百分率 10%の粒径)が0
.01
~0.25mm、均等係数が 2 ~10 の範囲の比
3 耐震管路の設計
(
1
) 管の材質と継手構造
管路について考える場合、管路は管体と継
手から構成されており、管体わよび継手の特
性が組合わされて管路の特性が生まれてくる。
出力項
地盤に関する項目:加速度・速度・変位
したがって管路の設計にあたっては、これら
管路に関する項目:加速度・速度・変位
の特性を十分に考慮する必要がある。
-軸力
曲げモーメント
継手の伸縮量・曲
げ角度
多質点応答解析法は、振動特性の違う
中での管路の耐震計算に特に適している。
たとえば大きな構造物との取合部、洪積
層から沖積層へまたがる管路などである。
(
5
) 地盤の液状化
①管体の材質
管体の材質に関しては、強度と可とう
性にわいて次の通り分類される。
I類 は 、 強 度 小 な る 不 と う 性 管 て ¥ 一
般にコンクリート系の管が該当する。
E類 は 、 強 度 小 な る と う 性 管 で 、 一 般
に高分子系管が該当する。
田類は、強度大なる不とう性管て¥一
般に高級鋳鉄管がこれに該当する。
下記の条件を満たす砂地盤は、マグニチュ
町類は、強度大なるとう性管で、一般
ード 7.2~8.4 、震度 V~ 羽(気象庁震度階)程
に鋼管や夕、、クタイル鋳鉄管がこれに該当
度の地震を受けると液状化し、パイプライン
する口
に大きな被害が生ずる恐れがあるので、重要
な幹線はこのような地盤を通すことはできる
限り避けることが望まい」
一- - N値
1
0
・
盲
2
0
目
3
0
管が好ましい口
②継手構造と特性
図 -79 液状化判定規準と被害規模
0
0
耐震性の面からは強度の大きいとう性
4
0
継手の強さや柔軟さは継手構造により
大別すると次のようになる。
I類 の 剛 継 手 は 継 子 部 が 剛 で あ り 、 伸
縮性・可とう性が小さなもので、鉛いん
ろう継手・溶接継手・溶着継手・モルタ
ルコンポ継手・各種フランジ継手などが
深
これに該当する。
さ
(
m
) 1
0
H類の柔継手は継手部が柔軟で、、伸縮
被害
@
2
0
性・可とう性が大きいもので、メカニカ
ル継手・プッシュオン継手・ゴム輪形式
のカラー継手などがこれに該当する。
ダクタイル鉄管の布設くその 5
)
回類の離脱防止付き柔継手は、ある限
8
1
③継手の区分
度 ま で は E類 の 柔 継 手 で あ り 、 そ れ 以 上
耐震継手はその継手性能から伸縮形と
I類 と 同 じ よ う
屈曲形に大別し、それぞれの継手性能か
では離脱防止機構が働き
な剛継手となる。 1類と H類 の 特 長 を 兼
ら次のように分類・区分する。
ね て い る 。 ダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管 の S形 継 手
(
ア
) 伸縮形耐震継子
あるいは
S
I
I形 継 手 な ど が こ れ に 該 当 す
区分は以下の通りとし、伸縮性能区
る
。
分と離脱防止性能区分との組合せとす
また「地下埋設管路耐震継手の技術基
る。ただし、離脱防止性能がなくても
準(案 )
J によると、継手の区分としては
ここに示す離脱防止性能に相当する余
H類 と 凹 類 の 継 手 に 対 し 次 の よ う に な っ
裕長を持つものは、それぞれの類・級
ている。
に該当させることができる。
項
目
イ申拘昔性能
分
区
S-l類
8 - 2類
8 - 3類
伸縮量土 O.OLemm以上
:
:
1
:
:
:0
.
0
0
5!
imm以上士 O.01i
!mm
未満
。 土O
.
0
0
5!
imm未 満
ン
イ
離脱防止
A級
離脱防止性能
継手の性能
抵 抗 力 O.3dton以上
B級
シ
イ
O.15dton以上 O.3dton未 満
C級
ク
O.075dton以上 O.15d ton未 満
D級
ク
O.075dton未 満
i:管 1本の有効長 (
m
m
)
(注) !
d:管外径 (
m
m
)、一般には呼び径とする。
ここに示す離脱防止性能に相当する余
(
イ
) 屈曲形耐震継手
裕長を持つものは、それぞれの類・級
区分は以下の通りとし、屈曲性能区
に該当させることができる口
分と離脱防止性能区分との組合せとす
る。ただし、離脱防止性能がなくても
項
目
屈曲性能
分
継手の性能
M - 1類
M - 2類
屈曲角度土 15 以上
。 :
:
1
:
:
:7
.5。以上土 15 未 満
M - 3類
士7.5 未 満
区
A級
離脱防止性能
B級
C級
D車
及
0
0
0
//
離脱防止
抵抗力
"
"
O.3dton以上
O.15dton以上 O.3dton未 満
//
O.075d ton以上 O.15dton未 満
//
O.075d ton未 満
(注) d:管外径 (
m
m
)、一般には呼び径とする。
(
2
) 剛構造管路と柔構造管路
一例として鋳鉄管路について考え、これを
鉄、継手が鉛いんろう形またはフランジ形に
よる組合せになっており、わが国では明治の
耐震性の面からみると初期のものと現在のも
は じ め か ら 戦 後 ま で 広 く 布 設 さ れ た D この管
のの 2つに分けられる。
路は管材に伸び・靭性が少なく、継手も融通
初期の管路は管体が普通鋳鉄または高級鋳
性が少なく、どちらかといえば剛構造管路の
8
2
ダクタイル鉄管
昭和 5
7
. 5 第3
2号
一例とみなすことができる。大地震が発生し
こ の 管 路 で あ る 。 図 -80に 剛 構 造 管 路 の 一 例
た時、鋳鉄管路のうち被害を受けやすいのは
を示す。
図 -80 初期の管路の一例(剛構造管路)
面ラ低ラ
cc
C: いんろう形継手
FQ: フランジ形継手
次いても、昭和 30年 代 か ら の も の で は 管 体 は
きく、柔構造管路の一例とみなすことができ
ダクタイル鋳鉄、継手はメカニカル継手によ
る。十勝沖地震においても一部を除いて健全
る組合せのものである。ダクタイル鋳鉄は靭
であったことは記憶に残っているところであ
性 に 富 み 、 強 度 も 一 般 の 鋳 鉄 の 約 2倍 を 有 し
り、地震のような地盤変動には力で耐えよう
ている。メカニカル継手はゴムパッキンで緊
とするよりも継手の伸縮・屈曲で逃げるよう
密性を得るので、地盤変動に比較的自由に無
な 管 路 の 方 が よ い と い え る 。 図 -81に 柔 構 造
理なく順応する構造になっている。この管路
管路の一例を示す。
は管材に伸び-靭性があり継手も融通性が大
図 -81 現在の鋳鉄管管路の一例(柔構造管路)
KF
U
(
分岐部
u uUU F
1
!
(
!
;
:
:
:
f
;
推進工法部
F
K,U:K形、 U形継手
F:離脱防止継手 KF形
、
UF汗
長
伏越部
ダクタイル鉄管の布設くその 5
)
(
3
) 鎖構造管路
8
3
うな鎖構造形管路が考えられている。これは
現在のダクタイル鋳鉄管、伸縮するメカニ
地震時、管路がちょうど地下に埋められてい
カル継手で構成する管路は今述べたようにあ
る鎖のように自由に伸縮・屈曲し最終的には
る程度耐震的であるといえる。しかし地盤が
引っかかり、大きい抜出し力にも耐えるよう
悪く断層・きれつ・液状化など地盤の動きが
な 機 能 を 持 つ 構 造 で あ る 。 継 子 と し て は S形
予想し難いような場合、さらに安全性の高い
.SII形 .US形・ DBJ形などが使用されてい
も の を 得 た い と い う よ う な 場 合 、 図 -82のよ
る
口
図 -82 耐震管路構想の一例(鎖構造管路)
(
1南 関 東 大 震 災 対 策 調 査 報 告 書 昭和 48年 3月厚生省」から)
E: ス ラ イ ド 形 継 手 ( 軸 方 向 伸 縮 余 裕 量
± β %、 抜 出 し 防 止 力 量 管 長 × 管 単
位長さ当り摩擦力×本数)
けるのが望ましい。
④ 曲 管 ・ T字管などは、内圧による抜出
し力に交すしてコンクリートフゃロック、ま
B:偏 心 伸 縮 自 在 ユ ニ ッ ト ( 曲 げ 角 度 土
たは離脱防止継手を用いて防護し、その
。。、偏心量土 o m、伸縮量士 amm、
前後は十分余裕のある耐震継手を入れる
抜出し防止力 .
.
.
.
.
.
Eに同じ)
のが望ましい。
C1 :特殊耐震継ぎ輪(軸方向伸縮余裕量
土 bmm、抜出し防止力 .
.
.
.
.
.
Eに同ビ)
N=
を挿入する場合には、その前後は十分余
裕のある耐震継手を入れるのが望ましい。
・・・・・・要すれば用いる。
使用個数
⑤管路の途中に振動特性の異なる構造物
αL-n
βQ-M
α
b
F:離 脱 防 止 継 手
(
4
) 管路設計上の留意点
「地下埋設管路耐震継手の技術基準(案 )
Jに
よると、耐震管路の設計施工上の主な留意点
4
.設計例題
(
1
) 地盤のひずみ
管路の被害は地震の規模(マグニチュード
M) よ り も 震 度 階 で 決 ま る 。 震 度 階 と 加 速 度
の 関 係 は 表 -25に 示 す 通 り で あ る 。 埋 設 管 に
表 -25 震度階と加速度
加速度 A (
g
a
l
)
震度階
名称
①管の布設にあたっては、継手の伸縮・
。
無感
0.8以下
可とう性を十分発揮できるよう配慮しな
I
微震
0.8~2.5
2.5~8
は次の通りである口
ければ、ならない。
②
配管ルートは、地盤の良好な位置に選
ぶことを原則とするが、やむを得ず地盤
の軟弱な場所に配管する場合は、これに
対する配慮を十分にするのか望ましい。
③路線は水平・鉛直とも急激な屈曲を避
H
軽震
E
弱震
8~25
町
中震
25~80
V
V
I
強震
80~250
烈震
250~400
激震
V
l
I
主) g
a
l一
cm/sec2
u
400以上
ダクタイル鉄管
8
4
被 害 を 与 え る の は 震 度 V以上である。
昭和 5
7
. 5 第3
2
号
こ れ ら の 値 を 用 い て 、 式 一 (17.5)よ り 地 盤
また埋設管の被害は地盤特性で異なる。地
の ひ ず み を 算 出 す る と 表 -27と な る 。 地 盤 の
盤 を 4種 類 に 区 分 し 、 地 盤 特 性 の 目 安 を 示 す
悪 い 所 で 震 度 目 の 最 大 級 で 約 0.5%の 地 盤 の
と表 -26のようになる。
ひずみが計算で求められる。
表 -26 地盤区分と周期・伝播速度
周期 T(sec)
伝播速度 V(m/sec)
地盤の種類
参考N値
第 1種 非 常 に 硬 い 地 盤
5
0以上
0.1~0.2
第 2種
20~50
O.2~0 .4
240~400
第 3種 中 位 の 地 盤
4~20
0 .4 ~0.6
100~240
第 4種 軟 弱 な 地 盤
4以下
0.6~ 1. 0
50~100
かなり硬い地盤
400以上
表 -27 地震時の地盤のひずみ
士
也
盤
第
1種
T(
s
e
c
)
Vm/sec
(x10-6)
加速度(震度階)
250gal(V)
400g
a
l(
V
I
)
0.15
400
150
240
第 2種
0.3
300
400
640
第 3種
0.5
200
1.000
1,590
第 4種
0.8
100
3,180
5.090
表 -28 地震時のダクタイル鋳鉄管の応力
(
2
) 管体の応力
式 -(17.1)よりダクタイル管の応、力を求め
ると表 -28の よ う に な り 、 か な り 小 さ い こ と
(
3
) 継手の伸縮量
100x4
6
8
1
3
n
v
500x 6
1000x 6
1500x 6
18
2000x 4
23.5
表 -29 地震時のダクタイル鋳鉄管の
1カ 所 に 集
管長 (
m
)
第 1種
4
5
6
0.6
0.8
0.9
1
.0
1
.2
1
.4
第 2種
4
5
6
1
.6
2.0
2.
4
2.5
3.2
3.8
第 3種
4
5
6
4.0
5.0
6.0
6.8
8.0
9.6
第 4種
4
5
6
12.7
15.9
19.1
20.
4
25.5
30.6
中には埋設状態ても 100m以上の管路を引張れる
だけの強さのものもあり、使い分けが必要で、
ある。
(
4
) 継手の屈曲角度
式 -(17.7)、 表 -26、 27よ り 継 手 の 屈 曲 角
度 を 求 め る と 表 -30の よ う に な り 、 地 盤 の 悪
い所ほど値は大きくなるが、夕、、クタイル鋳鉄
管についていえば絶対値は小さく、特に問題
はないといえる口
加速度(震度階)
地盤
中する場合が考えられる。このような時には
継手に離脱防止力が必要で、ある。耐震継手の
(単位 m
m
)
継手イ申縮霊
一方、このような地盤のひずみが各継手に
均等に影響を及ぼすのではなく、
つd
式 一 (17.3)、 表 一 26、 27よ り 継 子 の 伸 縮 量
は過去の被害例を裏付けているといえる。
(
k
gf
/c
r
r
f
)
2
1
を 求 め る と 表 -29の よ う に な り 、 地 盤 の 悪 い
所で伸縮量が大きくなることがわかる。これ
l 管体応力
ワω A 官
nL141i
カfわかる。
厚
呼び径×長さ│ 管
(
m
)I
(
m
m
)
(
m
m
)
250g
a
l(
V
) 400gal(刊)
ダクタイル鉄管の布設くその 5
)
表 -30 地震時のダクタイル鋳鉄管の
継手屈曲角度
(単位 min)
地盤
管長 (m)
加速度(震度階)
250gal(V) 4
0
0
g
a
l(刊)
第 1種
4
5
6
0.2
0.3
0.3
0.3
0.4
0.5
第 2種
4
5
6
0.
4
0.5
0.6
0.6
0.8
0.9
第 3種
4
5
6
0.9
1
.1
1
.3
1
.4
1
.7
2
.
1
第 4種
4
5
6
4
3.
4.3
5.2
5.5
6.9
8.3
8
5
5. 部 分 的 設 計 例
部 分 的 設 計 例 を 図 -83に 上 げ る 。 こ こ で は
わかりやすくするために、特に地震時の地盤
変形に対するものを第一に上げているが、そ
れ以外に継手の余裕としては、
①
軟弱地盤における沈下に対するもの。
②
曲げ配管に対するものO
③ 温 度 応 力 に 対 す る も のO
④
水圧による不平均力に対するもの。
などを包含したものでなければならない。す
なわち、地震時の地盤のひずみに+
α された
ものを基準に考える必要があることはいうま
でもない。
図 -83 部分的設計例
S形継手伸縮余裕霊(日乎び径5
0
0
"
'2600mm)
~r:t."j-<:;:;';-"i:::;;'~両長副長孟~
S形継ぎ輪伸縮余裕量(呼び、径 5
0
0
"
'2600mm)
S
I
I形継手伸縮余裕量(呼び径 1
0
0
"
'450mm)
S
I
I形継ぎ輪伸縮余裕量(呼び径 1
0
0
"
'450mm)
f世主主J 2 3空
は~-一一一一一一一一
8
6
ダクタイル鉄管
(
2
) 曲
(1)直線部
昭和 5
7
. 5 第3
2号
管
部
Y>ε ・2十 αの 場 合
I
ベt了
一
〈
r
r
:大 き な 地 盤 変 劫
の場合
Y>ε ・8十 αの 場 合
ベベゴベ
の場合
日ユベベ
婦 -
ム
ム
ノ,
y
Y>a+α の場合
E
1:小さな地盤変動
伝 ベ
イイ戸
X
Y>ε ・L+α の 場 合
yH
田:非常に大きな地
盤変劫の場合
(その他記号説明は
未尾に)
Y三
五 a+α <
Y1の 場 合
Y三
玉 ε・2
斗 αの 場 合
E
〉 ー)--X
一
一
〈
一
一
〈
(長)
ーベーベ
〉 ー)-x
Y
1
;
;
玉a十 αの場合
(
3
) T
一〈ー〈ー〈→議畿蕗誹くー〈ー〈
ベ
1
:eL
i
ニ
T
V
L ベ
ベ
l
E
1I
Y>a+α の 場 合
ト
学
べ
nI
Y~a+α <Y1 の場合
血
二:竺
r
-i
(
4
) 立 上
字管部
Y>ε ・L+α の場合
ト
ι
;
ヰ
ベ
I
R
山 山 <Y1の場合
一
一 一一
寸-
「
d
Lf
Y>ε.L+α の 場 合
Y>a十 αの 場 合
HrUL
l山
ニト
Y
り部
村 <Y1の 場 合
l
凶
i
日 < 吋 合
日足
4ベ
払~XY
1三
玉 ε・L+α の 場 合
ダクタイル鉄管の布設(その 5
)
8
7
(
5
) 伏せ越し部
ーくー〈ー〈冒
一〈ー〈
I
Y>ε
Y>a+α の場合
ト
H
品工益予ベ
X
)-X一円、~〆十+文ベ
Y話 ε・L十 αく れ の 場 合
Y;
,
玉 a+α <Ylの場合
阻│
・L+α の 場 合
L
L
H
抱
邑
ぷ岨
岳?
JL
-
:
x
:
e
e
、φ +サ〆-e--EI--X:
x
:
ー
)X
.
X
:
:
-x--o-o--&母、~トX
Yl三
玉 ε・
L+α の 場 合
Yl孟 a十 αの場合
(
6
)
主
弁
(
7
)基 盤 が 変 化 し た 場 所
炉ムー,
※備考参照
Y>a+α の場合
I
ベ長画コ
ベベ世
ト
)--x聖~xベ
ト
:
X
:
也
君
一
X
-
L
明
Y>(
a
l-a2)十 αの 場 合
〆
'
/
<
'
よ
〉ー〉ー〉ーヨE
ー〈ー〈ー〈
a
2
初ふノ開アアアア
Y三
五(
a
l
-a2)+α く れ の 場 合
/
ノt
:
:
-
/
/
.
1
L
"
X
面
画
←x-x-
-X(長)
弓
x
:
一 極 すx-
f
F
f
rf
f
:
I
f
f
y
/
/
,i
F
Y孟 ε・L十 a<Ylの 場 合
Y
l三
玉 a+α の場合
匝
a
2
問 弁
Y>ε ・L+α の場合
Y三
五 a+α <Ylの場合
E
/
/
,
i
正
と
、
//~
一〈ーくー〈ー〈ー〈ー〈ー〈
~剖b
(長)
。
0
ヌF
Y
l
;
'
玉ε・L十 αの場合
x
x
ー〈ー〈ー
一〉ー〉→
(長)
)
x
--o-o-ベー〈ー
一〉ー
a
2
山
?
;
/
/
/
〆
内
ア
7T
Y
l
;
;
玉(
al-a2)+α の 場 合
8
8
昭和 5
7
. 5 第3
2号
ダクタイル鉄管
(
8
)構造物との取合部
(
9
)
オ
え
管
橋
ι
ロ
ト
ト
ト
ト
I
ベー
Y>a+α の場合
Y1>a+α の場合
Y>ε L1+α)の 場 合
Y>ε.L2+α
y
j
よよ千ベ
日
ー
ベ
E
(
1
0
)複 合 ベ ン ド 部
Y亘 a+α く れ の 場 合
Y
1三
玉 a+α の場合
Y豆 ε・
L1+α =Y1}の場合
ト α<Y1
Y豆 ε・
L2ー
人
l
τ
v
t
e
t
(
長
x
ー
)
ベ
Y1三
玉 a+α の場合
Y
1三
玉 a+α の場合
記号説明
ε:地 盤 の ひ ず み
1 T.A
ε =一一一一・一一一一
2πV
T .A
2
a.地 表 面 の 変 位
a=4・π2
Y:直 管 の 継 手 伸 縮 余 裕 霊
山:継ぎ輪の伸縮余裕量
α:地 盤 沈 下 ・ 曲 げ 配 管 ・ 温 度 変 化 ・ 水
圧による不平均力などによる伸縮量
〉一一
S、S
I
I直 管
ト- K F
、UF、SI
I(離脱防止形)直管
x
S、SII継 ぎ 輪
受 s、SII継ぎ輪(長尺)
-0-0ー
DBJ
ー
ト α}の場合
Y
1
;
;
玉ε・L1
Y
1三
玉 ε・L2+α
A
ー 斗 〉 ー 特 殊 S形 継 手
※弁きょうタイプの弁前後のフランジは溝付
03を使用
き と し 、 ボ ル ト ・ ナ ッ ト は SUS4
すること。
6園 関 係 資 料 ( 日 本 ダ ク タ イ ル 鉄 管 協 会 刊 行 )
JDPA T 0
5 地震と管路について
JDPA T 1
6 夕、、クタイル管路耐震設計に
ついて
JDPA T 2
2 S、S
I
I形 管 路 の 施 工 管 理 に
ついて
JDPA W 0
1 施 工 要 領 書 S形
JDPA W 0
2 施 工 要 領 書 SII形