技術経営会議 第 81 回本会議(軽井沢) 実施報告

技術経営会議 第 81 回本会議(軽井沢) 実施報告
∼ 統一テーマは「新成長戦略とイノベーション」 ∼
(一社)科学技術と経済の会
技術経営会議
今年は技術経営会議が創設されて40周年を迎えたこともあり、第 81 回本会議は 9 月 23 日(火)∼24 日(水)
の2日間、長野県の軽井沢プリンスホテル・ウエストを会場にして開催された。
本会議では「新成長戦略とイノベーション」を統一テーマに、2日間の議論を通じて、参加者は、経営幹部やC
TOに加え若手キーパーソンや女性などで、約130名が出席した。
講演では、産・官・学に加えて今回は政からも講師をお招きし更に充実した本会議となった。文部科学省文
部科学審議官の土屋定之氏からは「科学技術とイノベーションをめぐる政策動向」、三菱電機㈱相談役の野間
口 有氏からは「科学技術イノベーションと経営」、神戸大学大学院経営学研究科教授の三品広和氏からは「経
営戦略を問いなおす」、前伊藤忠商事取締役会長で前中華人民共和国特命全権大使の丹羽宇一郎氏からは
「日本という国の将来を考える」、さらに今回特別に衆議院議員で前自民党総務会長の野田聖子氏から「日本の
成長に向けて企業への期待」をテーマに、日本のイノベーションの推進に向けて、政策や経営、科学技術や人
材などグローバルな視点で、貴重な講演を頂いた。
また、恒例の全員参加のラウンドテーブル激論会は今回は 2 つのテーブルに分けて実施した。テーブル1で
は山下議長の司会のもとで「新成長戦略とイノベーション」をテーマで。講師陣を交えて、また来賓として、経済
産業省から大臣官房審議官の安永裕幸氏にも加わっていただき、白熱した議論を行った。テーブル2では齊藤
副議長の司会で「未来産業に求められる人的資本」について、東京大学名誉教授の丹羽 清氏や王子ホール
ディング㈱の宗定 勇氏も参加し、若手キーパーソンや女性を中心に熱心な議論を行った。
懇親パーティーには、来賓の文部科学省文部科学審議官の土屋定之氏と経済産業省大臣官房審議官の安
永裕幸氏から、当会の活動や技術経営会議への期待と激励なども頂いた。また、レディーズプログラムに参加さ
れた女性陣も交えて、会社や業界を超えた参加者同士の活発なコミュニケーションや交流の場として大いに盛り
上がった。
2日間にわたる熱心な議論を通じて、更なるイノベーションの推進、人材育成、規制緩和・ダイバーシティ等
の社会改革の推進、産業のソフトウェア化への対応などの課題の共有もでき、今後は提言としても纏める予定
である。
以上
■本会議プログラムと会議模様
【第1日目 】
技術経営会議議長
山下 徹 氏の開会挨拶で2日間の会議が開始された。
技術経営会議議長 山下 徹 氏(㈱NTTデータ) 挨拶
(1)審議事項 (13:00 開会∼13:30)
・技術経営会議の次期役員選任が行われた。
(2)特別講演1 (13:30∼14:30)
・演題: 『科学技術とイノベーションをめぐる政策の動向』
・講師: 文部科学省 文部科学審議官
土屋 定之 氏
・概要: 第4期科学技術基本計画での基本方針として「科学技術とイノベーション政策」の一体的展開、
「人材とそれを支える組織の役割」の一層の重視、「社会とともに創り進める政策」の実現が現在着々
と進められている。このような政策の流れは国際的にも共通するところがあり、産業界での関心事項
を反映したものでもある。これらの最近の科学技術とイノベーションをめぐる政策動向について、全
体の方向と課題、産業界への期待などについて具体データ等を交えて講演いただいた。
特別講演1
文部科学省文部科学審議官 土屋 定之 氏
(3)特別講演 2 (14:35∼15:35)
・演題: 『科学技術イノベーションと経営』
・講師: 三菱電機㈱相談役 科学技術と経済の会会長
野間口 有 氏
・概要: 世界的な科学技術イノベーション競争の時代にあっては、キャッチアップ時代に我が国が追求
した産業競争力モデルに代わる新しいモデルを構築しなければならない。人材ダイバーシティー
がますます重要。女性活用、海外人材活用の拡大、若者のグローバルチャレンジの督励策、経験
者の活用策が肝要である。我が国をイノベーションに最も適した国にするための環境整備、各界
の知恵を集めて取り組まなければならない等々、経営者の視点で重要な課題と示唆について講
演いただいた。
特別講演2 三菱電機㈱相談役 野間口 有 氏
(4)ラウンドテーブル激論 (16:00∼17:30)
【テーブル 1】
・『新成長戦略とイノベーション』をテーマに技術経営会議議長の山下 徹氏 (㈱NTTデータ 相談
役)の司会進行で90分の議論が行われた。参加者は、講師の土屋定之氏、野間口 有氏、三品和弘
氏に加えて、内閣府総合科学技術・イノベーション会議議員の久間和生氏、経済産業省大臣官房審
議官の安永裕幸氏や会員代表者など75名。論点は(1)イノベーションのさらなる推進とオープンイノ
ベーションの取組み強化(2)、規制改革・ダイバーシティー等の社会改革の推進、(3)産業のソフトウ
ェア化への対応、(4)教育や人財、など多面的な視点で熱心な討議が行われた。
ラウンドテーブル1の議論模様
【テーブル 2】
・『未来産業と求められる人的資本』をテーマに、技術経営会議副議長の斎藤 正憲氏(三菱電機㈱
顧問)の司会進行で行われた。若手キーパーソン、若手部課長を中心に女性も多く参加し、アドバイザ
ーの宗定 勇氏(キーパーソン研究会講師)や丹羽 清氏(東京大学名誉教授)も加わり熱心な議論が行
われた。
ラウンドテーブル2の議論模様
アドバイザの丹羽 東大名誉教授
アドバイザーの宗定 勇氏
(5)懇親パーティー (18:00∼19:30)
ご来賓の文部科学省文部科学審議官の土屋定之氏、経済産業省大臣官房審議官の安永裕幸氏から、
わが国のイノベーション推進にむけ当会議へのさならる期待を込めたご挨拶をいただいた。副議長の三
輪昭尚氏(㈱大林組)の乾杯で懇親パーティーが始まった。最後に第41代副議長に選任された江村克己
氏(日本電気㈱)の挨拶をもってパーティーはお開きとなった。
開会挨拶 山下議長
会長挨拶 野間口会長
【来賓ご挨拶】
文部科学省文部科学審議官
土屋 定之 氏
乾杯
三輪副議長(㈱大林組)
経済産業省大臣官房審議官
安永 裕幸 氏
挨拶 江村 副議長(日本電気㈱)
【科学技術イノベーション専門委員会委員長への感謝盾贈呈式】
科学技術イノベーション専門委員会の熱心な活動に対して、JATES野間口会長から斎藤委員長、久
間前委員長に感謝盾の贈呈が行われた。
野間口 会長から贈呈
斎藤委員長、久間前委員長のスピーチ
【懇親パーティー模様】
懇親パーティーでは、レディースプログラムにご参加のメンバも合流し、いっそう華やかな懇親パーティ
ーとなった。
(6)ナイトセッション (19:30∼21:00)
懇親パーティーの後、引き続き、テーブルを囲んでの業種業界、会社、年代を超えた交流が始まり、夜遅
くまでおおいに盛り上がった
【第 2 日目】
(7)科学技術イノベーション専門委員会 最終報告 (9:00∼9:30)
・科学技術イノベーション専門委員会委員長の齊藤正憲氏(三菱電機㈱顧問)及び前委員長の久間和生
氏(現在 内閣府 総合科学技術イノベーション会議議員)から、2年間の活動成果としてイノベーション実
例の収集やプロセス分析を通じてイノベーション成功要因や政策への提言課題をまとめた最終報告が行
われた。
委員長 斎藤 正憲 氏
前委員長 久間 和生氏
(8)特別講演 3 (9:30∼10:30)
・演題: 『経営戦略を問いなおす』
・講師: 神戸大学 大学院経営学研究科 教授 三品 和弘 氏
・概要: 実戦の観点から経営戦略を問いなおすとして、イノベーションの本質、現在の企業のイノベーシ
ョンへの取組についての評価など、技術革新とイノベーションなどの関係についても具体事例を
交えて、事例分析やデータに基づく迫力のある問題提起をいただいた。
特別講演3 神戸大学大学院教授 三品 和広 氏
(9)記念講演 (10:40∼12:00)
・演題: 『日本の国の将来を考える』
・講師: 丹羽 宇一郎 氏
・概要: グローバリゼーションの波が押し寄せる中、これからの日本をどのようにデザインすればよいか。小
子化に伴う需要の衰退、それに打勝つ技術の革新、そして人材育成。日本にあるのは人と技術。人
と技術を持たない限り将来の日本も企業も長期的な繁栄は難しい。イノベーションは重要であるが技
術だけではイノベーションとは言えない。今後、日本は教育と科学技術に多くの投資をすることが重
要で、イノベーションを起こす場所を国を挙げて作らねばならない。産業界では異業種交流が大事
になってくる。など日本国の抱える課題を示し、異領域交流の重要性を説き、視点や情報の重要性、
イノベーションは技術だけでないこと、リーダーシップや教育問題について具体的な提起を頂いた。
記念講演
丹羽 宇一郎 氏
(10)招待講演 (13:00∼14:20)
・演題: 『日本の成長に向けて企業への期待』
・講師: 衆議院議員 自由民主党前総務会長
野田 聖子 氏
・概要: 内閣府特命担当大臣として科学技術総合政策を推進され最先端研究開発支援プログラム(FIRST)
立上げ推進への取組や、海外でのご経験、ICT との関わり、消費者行政とのつながり等について、
わが国の将来を見据えた迫力のあるお話を頂いた。
招待講演 衆議院議員自由民主党前総務会長
野田 聖子 氏
〔以上〕