医 事 法 1 1)医療行為の3条件 2)診療契約 3)医師法 cf.医事法教科書 植木哲編 信山社 1997 道徳・倫理・慣習と法の関係と、法の概要について説明できる。 医療行為の刑法的正当性の 3 条件をあげ、美容整形や臓器移植を例に説明できる。 診療契約について、手段債務・結果債務という単語を含んで説明できる。 医療関係法規に定められた医師の義務を列挙し、例示できる。 医師法や医師免許制度について概説できる。 医師の法的義務と裁量権について概説できる。 医療従事者の資格免許、現状と役割、連携とチーム医療を説明できる。 医師法と医療法以外の医療関係法規を概説できる。 【A.総論】 1. 法の概要 憲法第11条(基本的人権の享有) 憲法第13条「すべての国民は、個人として尊重される。生命・自由及び幸福追求に対す る国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政上で、最大の尊重 を必要とする。 (個人の尊厳・幸福追求権・公共の福祉) 」 憲法第25条「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国 はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努め なければならない。 (生存権、国の社会的使命) 」 法とは、公的・外的な強制を伴う社会規範。cf.道徳・倫理 法治主義 vs.人治・カリスマ、現代は、主権在民。 公正・公平・安全(信用)のため 法による支配:法の不知は抗弁とならず。 cf. 裁判員制度 法的3段論法:事実(認定)+法律(解釈)=結論 弁護士でも同じ結論ではない! 裁量権:法律で認められた専門家の一定の範囲内での判断、or 行為の選択の自由 目的の正統性 vs. 手続きの正当性+IC cf.結果債務 vs.手段債務 法={法律(法令・条例)+不文法など} 不文法(慣習(法) 、判例(法) 、条理) 法律:実体法(民法、刑法など) 、手続法(刑事訴訟法、民事訴訟法) 公法(行政法、刑法など) 、私法(民法、商法など) cf. 六法=憲法・刑法・民法・商法・刑事訴訟法・民事訴訟法 法令:法律=国会 政令(施行令)=内閣 省令(施行規則)=大臣、総理府令 規則=国の委員会・庁の長官 告示=法令に基づく処分を公に知らせる。 通知・通達=各省庁の次官・局長・課長 条例:地方公共団体の議会 規則:地方公共団体の長 強行法規と任意法規、原則と例外、権利と義務 - 効力の順位:法律>政令>省令 後法優越の原理、特別法優越の原理 憲法:国民主権、平和主義、基本的人権の保障 刑法:罪形法定主義 犯罪=構成要件に該当する違法で有責な行為 1)構成要件:行為−結果、因果関係{条件関係・相当因果関係、蓋然性の論理} 2)可罰的違法性 vs 違法性阻却事由 :正当業務行為・法令行為、正当防衛・緊急避難、被害者の同意 3)責任能力:故意、過失{予見可能性・結果回避義務;信頼の原則} 民法:1)所有権の絶対性:権利濫用・公共の福祉、権利侵害と利益保護 2)契約自由の原則(私的自治の原則) :その制限、信義誠実の原則 3)過失責任主義:故意・過失、権利侵害・違法性、行為と損害との因果関係 不法行為による損害賠償責任 1 行政法:健康政策・保健医療 1)医療関係者の資格法 2)医療と規制:福祉・自由化、明治以来の国民医療・富国強兵 -> 保健医療 3)医療と強制:人権・民主主義、強制入院 2.医療行為 身体不可侵権 vs 医的(身体)侵襲 2-1.医(療)行為 業務独占(医師法 17 条) :「医師でなければ、医業をなしてはならない。 」 名称独占(医師法 18 条) :「医師でなければ、医師又はこれにまぎらわしい名称 を用いてはならない」×はりきゅう医・接骨医 医師免許 vs 職業選択の自由:高い社会的責務 cf.医師法:総則・免許・試験・臨床研修・業務・審議会及び医師試験委員・罰則 *「医業とは、医行為を業とすること」 業=反復継続の意思をもって、不特定多数に対してなすこと * 「医行為とは医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害 を及ぼすおそれのある行為である。」 <傷害罪> − 違法性阻却 = 正当業務行為 vs 専断的治療行為 許された危険の法理:萎縮医療の懸念 vs 医的侵襲 cf.交通機関と事故 医療行為の3条件(刑法35条の正当行為としての) 0)有資格者による 1)診療目的:医学的適応性:(有資格者による)診療予防目的 <患者の利益>=生命維持・健康回復・苦痛緩和 2)患者の承諾・同意の原則(推定的承諾、黙示の同意でも可):IC、患者の自己決定権 3)医学的に妥当な方法:医学的正当性・医療技術的正当性:医療水準 医師の自由裁量権は医学・医療水準内に制限される。 <3条件を欠く医療行為> 1)第三者の利益 cf.臓器提供(移植)・献血 21)緊急避難 cf.救急・意識喪失 22)無能力者・幼児: 法定代理人・保護義務者の同意 23)行政上の強制措置 予防接種・精神保健法の措置入院 3)実験的医療行為 十分な動物実験, informed consent など cf.性転換手術:S40、優生保護法違反;正当な医療行為と認められない(2審確定) 精神医学的検査観察、同意書など資料作成 (去勢術は優生保護法(現:母体保護法)で禁) 性同一性障害+形成手術 cf.美容整形:医学的適応性、十分な説明と同意、技術的安全性などがきびしく要求 cf.強制輸血・強制栄養:cf.エホバの証人と輸血拒否 a)絶対的医行為:医師のみ行い得る診断・治療行為 b)相対的医行為:医師の指示により行い得る医行為 cf.診療補助 2-2.診療補助と療養上の世話、業務範囲の制限 *診療補助:「医行為のうち人体に危害を及ぼす恐れのない行為で医師の指示の下 で行う行為」 すべての種類の診療補助行為ができる=(准)看護師 (except 放射線) 業務範囲について制限された診療補助行為= 臨床検査技師(政令にある生理学的検査、検査のための採血) 診療放射腺技師、理学療法士・作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士 義肢装具士 cf.衛生検査技師、歯科衛生士、歯科技工士 *療養上の世話:看護師の知識・技術(看護判断)において行う看護行為 2 =絶対的看護行為 cf.相対的看護行為:診療補助時の安全性・苦痛軽減のための看護 *看護師・准看護師の業務(傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話・診療の補助) 1)病状の観察 2)病状の報告 3)身体の清拭、食事・排泄などの療養上の世話 4)診察の介助及び補助 5)投薬・注射、包帯交換などの治療の介助及び処置 6)検温、血圧測定、検査検体の採取・測定、検査の実施・介助 7)患者、家族に対する療養上の指導および健康教育など -診療の補助として行える生理学的検査={心電図検査(体表誘導)、心音図検査、 脳波検査(頭皮誘導)、筋電図検査、基礎代謝検査、呼吸機能検査、脈派検査、 超音波検査} *助産師の業務(助産(正常分娩の介助)と、妊婦、褥婦あるいは新生児の保健指導) cf.たとえ医師の指示でも、分娩の介助を看護師は行えない。 *保健師の業務(傷病者の療養上の保健指導) *看護補助者:患者の生命・身体に危険を及ぼすおそれのない範囲。 病室内の環境整備、ベッドメーキング、看護用品・消耗品の整理整頓 看護師の監督下に療養上の世話(食事・清潔・排泄・入浴・移動など)等 2-3.医業類似行為:行為の危険度による医行為との区別(伝統的存続を考慮) 医業類似行為の制限(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律 12 条) (柔道整復師法 15 条) a)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師:厚生大臣の免許 b)狭義の医業類似行為(届出医業類似行為業者) 「狭義の医業類似行為とは、いまだ医学上、一般的に、その効果が証明される に至っていない、疾病もしくは負傷の治療または保健を目的とした施術行為」 「有効無害」が用件 「有(危)害とは、抽象的、一般的に危害発生のおそれがあれば足りる」厳格に適用。 1)手技によるもの(整体術、精神療法・運動療法を加味したもの、カイロプラクチック) 2)電気を利用するもの(高周波、イオン療法など) 3)光線を利用するもの(カーボン灯、赤外線灯、水銀灯など) 4)温熱を利用するもの 5)器具を用いた刺激によるもの(バイブレーション、紅療法など) 6)以上を併用するものなど 3.診療契約 - 準委任契約(民 643,644,656) 「善良なる管理者の注意(民 644)」をもって(準)委任事務を処理すること。即ち、 患者の信頼(期待権)に応えるべく、当時の医療水準に従う最善の診療行為をなす債務 (手段債務)。* 結果債務ではない(cf.請負契約)。 付き添い人のいない意識不明者 => 事務管理(民 697) but 応招義務(医師法第 19 条1項)があり、特異な契約範疇=「医療契約」 <義務の主体>医療施設の開設者、勤務医・看護師等は履行補助者 - 口頭 or 診療申込書・診察券を渡したとき成立 ただし、社会保険医療では被保険者証の提出(緊急やむを得ない事由以外) 診療契約の解除と消滅:診療行為の完了、当事者の死亡、医師の資格喪失、診療不能 契約解除の申し入れ=不可 cf. 応招義務 cf.転院 *医療機関側の義務 <適正な医療をする義務> 1)診療義務:患者の信頼(期待権)に答えるべく善管注意義務(善良なる管理者の注意) 3 学問としての医学水準ではなく、実践としての医療水準 「診療の範囲」概括的 or 承諾を得た範囲 2)説明義務・承諾取付義務:患者の自己決定権 1.承諾の有効要件としての説明義務: cf.合理的医師説>合理的患者説>具体的患者説 「危険の引き受け」ではない 2.結果回避義務としての説明義務:不作為型 cf.「受診しろ」癌・未網症 3.報告義務:(民法 645、状況報告、顛末報告) 療養指導義務:(医師法 23) - 緊急避難・推定的同意・黙示の同意、(緊急)事務管理(民 697-702) 治療上の特権としての説明の省略(cf.がん告知)、 第三者の同意(cf.精神病、未成年者) - 承諾書:紛争予防に役立つ。公序良俗に反するものは無効。 3)その他:転医義務、紹介義務、安全配慮義務、 各種証明文書交付義務・秘守義務など *患者側の義務 1)診療報酬支払義務 2)診療協力義務(民法 413 債権者遅滞) *患者の期待権 患者の医師選択権 医師の自由裁量権 cf.医師の応招義務 医療判断の自由裁量 but 医療水準に従うこと *チーム医療・病院組織体の責任 使用者責任 cf. 履行補助者の不法行為責任、 指導監督責任(採血ミス空気注入事件、酸素笑気誤接続事件) 信頼の原則 (電気メス器誤接続事件) :求償権行使 施設等の管理責任、安全配慮義務、共同不法行為責任 診療契約:準委任契約、事務管理 民 643:委任の意義、民 644:受任者の善管義務、民 645:受任者の報告義務、 民 656:準委任、民 537:第3者のためにする契約 cf.民 632:請負の意義 民 623:雇用の意義、民 715:使用者の責任 民 415:債務不履行、民 412:履行期と履行遅滞、民 167:債権の消滅時効(10 年) 民 697:事務管理者の善管義務、民 698:緊急事務管理 4.刑法・民法上の義務 <刑法・刑訴上の義務> 1)守秘義務(刑法 134 条、母体保護法、性病予防法、結核予防法、等) 刑法 134=医師、薬剤師、薬種商、産婆など。看護師は明記されていないが! (刑事訴訟法第 149 条、証言拒否)cf.「正当な理由」本人の同意、届出義務、 犯罪の通報、証言、医療上の正当業務行為 2)医師などの堕胎罪(刑 214) 3)医師の虚偽記載罪(刑 160,161,158) 4)鑑定及び証言の義務:鑑定人(刑訴 165 条)証人(刑訴 160)証言拒否(刑訴 160) <民法・民訴上の義務> 1)善管注意義務(善良なる管理者の注意を持って)(民 644) 4 医療水準、研鑽義務 結果予見義務、結果回避義務、患者の信頼(期待権) 、安全配慮義務 2)患者の同意:自己決定権、患者の権利宣言、説明義務、黙示の同意 3)説明義務{同意を得る前提として、報告義務(民 645) 、療養指導義務(医師法 23) 4)監督指導責任・使用者責任(民 715):コメディカル。チーム医療 5)後医選任(民 104) 、転送義務、患者移送義務、専門医受診勧告義務、紹介義務 6)鑑定及び証言の義務:鑑定人(民訴 302)証人(民訴 271),証言拒絶(民訴 281) 5.医療関係法規 :どのような法律があるか?(略) 1) 医事法規(医療法、死体解剖保存法、臓器の移植に関する法律、死産の届出に関する規程、 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律、健康保険法、国民健康保険法、 [資格法]医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法、etc) 2) 薬事法規(薬事法、薬剤師法、毒物及び劇物取締法、麻薬及び向精神薬取締法、 あへん法、大麻取締法、覚せい剤取締法、医薬品副作用被害救済・研究振興基金法) 3) 保健衛生法規(地域保健法、母体保護法、母子保健法、老人保健法、学校保健法、 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、栄養士法、etc) 4) 予防衛生法規(感染症予防法、検疫法、予防接種法、結核予防法、etc) 5) 福祉関係法(介護保険法、児童福祉法、老人福祉法、母子・寡婦福祉法、生活保護法、 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、社会福祉士及び介護福祉士法、 労働者災害補償保険法、労働安全衛生法、etc、労働基準法) 6) 環境衛生法規(食品衛生法、水道法、下水道法、公衆浴場法、 興行場法、旅館業法、墓地・埋葬等に関する法律、 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、 廃棄物の処理及び清掃に関する法律、etc) cf.医療制度と法:- 医療施設の種類と特性、医療法、医業広告規制 - 医療保険、社会保険診療報酬支払基金法、制限診療 cf.公衆衛生 - 公費医療・医療扶助・介護保険 【B.医療関係者の資格法】 医行為・診療補助・国家試験 1) 絶対的医行為(医師のみ) 2) 本来の業務行為(cf.療養上の世話(看護) ) 業務制限 (cf.リハビリ関係、医師の指示下) 3) 相対的医行為(診療補助、医師等の指示) a) 名称独占 b) 業務独占と業務制限 c) 守秘義務:離職しても継続(Except 保助看、診放技師, But) cf. あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律: 医業類似行為、業務の制限等[外科手術および薬品投与・指示等の禁止、脱臼または骨折の患 部に対する施術の制限(医師の同意) 、はり師はハリ・手指・局部の消毒義務、知事の指示] 【例題】 1 資格が法律で定められているのはどれか (1)理学療法士 (2)作業療法士 (3)救命救急士 (4)言語療法士 (5)ソーシャルワーカー a (1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) 2 資格が法律で定められているのはどれか 5 (1)臨床心理士 (2)言語療法士 (3)理学療法士 (4)作業療法士 (5)介護福祉士 a (1)(2)(3) b(1)(2)(5) 医師 歯科医師 薬剤師 保健師 助産師 名称 独占 ○ ○ ○ ○ × 業務 独占 ○ ○ ○ × ○ ○ ○ 看護師 准看護師 × × ○ ○ ○ △ 診療放射線技師 ○ 臨床検査技師 ○ ○ △ × △ 衛生検査技師 理学療法士 作業療法士 視能訓練士 臨床工学技士 義肢装具士 言語聴覚士 歯科衛生士 歯科技工士 あん摩マッサー ジ指圧師 はり師きゅう師 柔道整復師 救急救命士 栄養士 管理栄養士 社会福祉士 介護福祉士 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × × △ △ △ △ △ △ ○ ○ ○ × △ △ △ △ △ △ ○ × △ × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × × × × × △ △ × × × × c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) 診療 補助 医行為 歯科医行為 調剤(例外:(歯)医師が自己の処方箋で自ら調剤) 保健指導、看護師業務 助産・妊婦などの保健指導、正常分娩介助 出生証明書・死産証書・死胎検案書交付 看護師業務 療養上の世話、診療の補助 療養上の世話、診療の補助 (医師・看護師の指示) 医師の指示、照射録 医師の指導監督下の検体検査 診療の補助(政令の生理検査、検査のための採血) 医師の指導監督下の検体検査のみ 医師の指示下、理学療法、マッサージ 医師の指示下 医師の指示下、矯正訓練と検査 医師の指示下、生命維持管理装置の操作保守点検 医師の指示下 歯牙口腔疾患の予防措置、歯科診療の補助 cf.歯科技工所(知事届出) 医師の同意、脱臼叉は骨折の患部への施術 (外科手術・投薬などの禁止、はり師消毒) 医師の同意で脱臼骨折患部へ施術。応急手当は OK 医師の指示下、救急救命処置、救急車内・搬入前 cf.栄養士法 cf.社会福祉士及び介護福祉士法 【C.医師と法】 医行為、業務・名称独占、応招義務等、診療録の保存5年、異状死体 http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi http://www.ron.gr.jp/law/law/ishihou.htm 1.医師法第1条 「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、 もって国民の健康な生活を確保するものとする。 」 憲法第 25 条:健康で文化的な最低限度の生活を営む権利 − 医療リーダーとその責任、チーム医療、profession としての職業倫理 医師:医籍登録、医師免許証(by 厚生大臣)・医師国家試験(医師法第2条;第5、6条) 医師国家試験(医師法第9∼16 条、第 27、30 条) 6 絶対的欠格事由(医師法第3条) 未成年者、成年被後見人又は被保佐人 相対的欠格事由(医師法第4条) 一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの 二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者 三 罰金以上の刑に処せられた者 (cf. 悪質な飲酒運転・ひき逃げ交通事故の場合) 四 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者 免許の取消・業務停止・再免許(医師法第7条) [行政処分]医道審議会(医師法第 25 条) 臨床研修(2年以上)を行うよう努める。 cf.[刑事責任] cf.業務上過失致死罪など [民事責任] cf.不法行為責任・債務不履行責任など、損害賠償責任 [社会的・道義的責任] 2.医師の権利 1)医師の業務独占(医師法第 17 条 31 条)医業 cf.外国医師 2)医師の名称独占(医師法第 18 条 33 条) 3)診療報酬の請求権(時効3年、民 170) 3.医師の義務 <応招義務・無診察治療等の禁止・異状死体届出義務など> 1)応招義務(医師法第 19 条1項)「正当な事由なければ拒めず」cf.X:報酬不払、診療 時間外、天候不良、遠方、標榜診療科外、特定者のための病院など 2)診断書等交付義務(医師法第 19 条2項) 3)無診察治療等の禁止(医師法第 20 条) cf.診察後24時間以内 4)異状死体等の届出義務(医師法第 21 条) (死体解剖保存法 11 条)犯罪に関係ある異状、24時間以内 5)処方せん交付義務(医師法第 22 条) 6)療養方法等の指導義務(医師法第 23 条)保健指導 結核予防法第 26,27 条:保護者等に消毒法など 7)診療録の記載及び保存義務(医師法 24 条)遅滞なく記載、5年間 8)就業に関する届出義務:(医師法6条3項)罰則(第 33 条) - 医師の氏名・住所等の届出:2年おき(12 月 31 日現在)、by1月 15 日、知事へ 9)守秘義務(刑法 134 条、母体保護法等) (刑事訴訟法第 149 条、証言拒否) 10)病院の医師宿直義務(医療法第 16 条) 11)保険医療上の義務:保険医・保険医療機関(健康保険法、国民健康保険法) 任務、診療録の提示等、診療方針、etc 12)届出義務: 食中毒患者:食品衛生法第 27 条、保健所長へ、直ちに 1∼3類感染症等:感染症予防法、直ちに保健所長 不妊手術・人工妊娠中絶:母体保護法第 25 条、知事へ、翌月 10 日まで 麻薬中毒者:麻薬取締法第 58 条 2、知事に、直ちに 異状死体・異状死産児:医師法 21、警察署、24 時間以内 13)その他の届出 診療所の開設:医療法第8条、知事へ、10 日以内 病院・診療所の休廃止および再開:医療法第9条、知事、10 日以内 麻薬取扱い:麻薬及び向精神薬取締法 48 条、麻薬管理者 など 4.個人情報保護法 5000 件を超える個人情報を保有している個人情報取扱事業者(ほとんどの医療機関) 1)利用目的の本人への通知・公表(18) 偽りその他不正の手段を用いてはならない(17)。内容は正確・最新に保つ(19)。 2)安全管理措置(20) 個人情報取扱責任者 監督 罰則 7 3)第三者提供の制限(23):原則あらかじめ本人の同意が必要 4)本人の請求に応じた情報開示、訂正・利用停止・苦情処理体制の整備 :カルテなど診療情報の開示は原則義務化 (23 条)第三者への提供が可能な場合 1)法令に基づく場合 2)人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であ るとき 3)公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意 を得ることが困難である場合 (25 条) 本人からの開示要望を拒否できる場合必要に応じて一定の適用除外を規定 1)本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合 2)当該個人情報取扱事業者(医療機関)の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合 3)他の法令に違反することとなる場合 【例題】正しいのはどれか。(誤りの理由は?) 1.医師法には、病院、診療所および助産所についての定義がある。 2.診療に関する記録は3年間は保存しなければならない。 3.医師は医籍に登録後、医師免許証が手元に届いて初めて医師としての活動ができる。 4.医師は患者が診療報酬不払い等の正当な事由があれば往診を拒否できる。 5.異状死体とは、犯罪と関係あるか、その疑いのある死体をいう。 6.医師は、主治医であれば死後診察(検案)しなくても死亡診断書を発行できる。 7.交通事故で骨折し、入院中、脂肪塞栓で急死した場合は病死である。 8.病院内の患者への処方であれば、処方箋を交付する義務はない。 9.療養方法の指導は医師ではなく、看護師の業務である。 10.医療法により、無診察治療等の禁止(20)、異状死体等の届出義務(21)、処方箋の交付(22)、 診療録の記載保存義務(24)に違反したものは罰金が処せられる。 11.針医・きゅう医・助産医・リハビリ医・理学療法医等は、医師でなければ医療法違反。 12.医師法に、2年ごとの医師届出、診療への応召、患者の秘密保持、処方箋の交付、5年間 の診療録の保存等が規定されている。 【例題】 1 正しいのはどれか (1)診療所は 19 人以下の患者の収容施設をもつことができる。 (2)特別養護老人ホームは高齢者のための福祉施設である。 (3)療養型病床群は長期療養患者を収容するためのものである。 (4)臨床研修(指定)病院は医師の生涯教育を目的とする。 (5)特定機能病院は特定疾患患者の診療を目的とする。 2 診療録について正しいのはどれか。 (1) 取り扱いについては医療法に規定されている。 (2) 病院では病院管理者が保存する。 (3) 5年間保存しなければならない。 (4) 記載事項には処方が含まれる。 (5) 守秘義務については医師法に規定されている。 a (1)(2)(3) b (1)(2)(5) c (1)(4)(5) d( 2)(3)(4) e (3)(4)(5) 3 医師の届出義務として正しいのはどれか。 (1) 墜落外傷による死体を検案したときは警察に届け出る。 (2) 麻薬中毒者と診断したときは都道府県知事に届け出る。 (3) 淋病と診断したときは都道府県知事に届け出る。 (4) 覚醒剤を所持している患者を診察したときは警察に届け出る。 8 (5) 不法滞在外国人の患者が入院したときは警察に届け出る。 a (1)(2)(3) b (1)(2)(5) c (1)(4)(5) d( 2)(3)(4) e (3)(4)(5) 4 医師免許のほかに法的資格が必要なのはどれか。 (1) 正常妊娠の人工妊娠中絶 (2) 異状死と思われる死体の検案 (3) 新生物の放射線治療 (4) 遺伝子操作治療 (5) 本人が同意しない精神障害者の入院の判定 a (1)(2) b (1)(5) c (2)(3) d (3)(4) e (4)(5) 5 医師の対応として適切なのはどれか。 (1) 患者の会社の上司から強い要請があったので、本人に断ることなく病状を説明した。 (2) 死亡した患者の家族から強い要請があったので、診療録の記載内容を書き換えた。 (3) 電話で患者の容態を知り得たので、処方箋を交付した。 (4) 休日に休養していたところ患者が来院したが、休日診療所に行くように直接指示した。 (5) 診療中の患者が受診後病状が急変し 20 時間後に死亡した。家族の要請で死亡診断書を 交付した。 a (1)(2) b (1)(5) c (2)(3) d (3)(4) e (4)(5) 6 救急医療機関に一人で宿直をしている医師の行為で適切でないのはどれか。 (1) 緊急手術中に来院した発熱患者を近くの救急医療機関へ転送するよう指示した。 (2) 呼吸困難の6歳の男児を診療せずに小児科宿直医のいる施設へ転送した。 (3) 救急来院した初診患者が脳出血で死亡し、翌朝、院長に死亡診断書交付を依頼した。 (4) 一酸化炭素中毒の昏睡患者を、高圧酸素治療室のある救命救急センターに転送した。 (5) 救急救命士から電話で指示要請があり、心室細動患者に対する除細動施行を指示した。 a (1)(2) b (1)(5) c (2)(3) d (3)(4) e (4)(5) ――――――――――――――――――――――――――――― ◆医師法◆(昭和二十三年七月三十日法律第二百一号)最終改正年月日:平成一四年二月八日 法律第一号 第一章 総則 第一条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて 国民の健康な生活を確保するものとする。 第二章 免許 第二条 医師になろうとする者は、医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければな らない。 第三条 未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許を与えない。 第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。 一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定め るもの 二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者 三 罰金以上の刑に処せられた者 四 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者 第五条 厚生労働省に医籍を備え、医師免許に関する事項を登録する。 第六条 免許は、医師国家試験に合格した者の申請により、医籍に登録することによつて行う。 2 厚生労働大臣は、免許を与えたときは、医師免許証を交付する。 9 3 医師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所 (医業に従事する者については、更にその場所)その他厚生労働省令で定める事項を、当該 年の翌年一月十五日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出な ければならない。 第六条の二 厚生労働大臣は、医師免許を申請した者について、第四条第一号に掲げる者に該当すると 認め、同条の規定により免許を与えないこととするときは、あらかじめ、当該申請者にその 旨を通知し、その求めがあつたときは、厚生労働大臣の指定する職員にその意見を聴取させ なければならない。 第七条 医師が、第三条に該当するときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消す。 2 医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあ つたときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずる ことができる。 3 前項の規定による取消処分を受けた者であつても、その者がその取消しの理由となつた 事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当である と認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第六条 第一項及び第二項の規定を準用する。 4 厚生労働大臣は、前三項に規定する処分をなすに当つては、あらかじめ、医道審議会の 意見を聴かなければならない。 5 厚生労働大臣は、第一項又は第二項の規定による免許の取消処分をしようとするときは、 都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め、当該意見の 聴取をもつて、厚生労働大臣による聴聞に代えることができる。 6 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章第二節(第二十五条、第二十六条及び第 二十八条を除く。)の規定は、都道府県知事が前項の規定により意見の聴取を行う場合につい て準用する。この場合において、同節中「聴聞」とあるのは「意見の聴取」と、同法第十五 条第一項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と、同条第三項(同法第二十二条第三項 において準用する場合を含む。)中「行政庁は」とあるのは「都道府県知事は」と、「当該行 政庁が」とあるのは「当該都道府県知事が」と、 「当該行政庁の」とあるのは「当該都道府県 の」と、同法第十六条第四項並びに第十八条第一項及び第三項中「行政庁」とあるのは「都 道府県知事」と、同法第十九条第一項中「行政庁が指名する職員その他政令で定める者」と あるのは「都道府県知事が指名する職員」と、同法第二十条第一項、第二項及び第四項中「行 政庁」とあるのは「都道府県」と、同条第六項、同法第二十四条第三項及び第二十七条第一 項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。 7 厚生労働大臣は、都道府県知事から当該処分の原因となる事実を証する書類その他意見 の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には、速やかにそれらを当該都道府県知 事あて送付しなければならない。 8 都道府県知事は、第五項の規定により意見の聴取を行う場合において、第六項において 読み替えて準用する行政手続法第二十四条第三項の規定により同条第一項の調書及び同条第 三項の報告書の提出を受けたときは、これらを保存するとともに、当該処分の決定について の意見を記載した意見書を作成し、当該調書及び報告書の写しを添えて厚生労働大臣に提出 しなければならない。 9 厚生労働大臣は、意見の聴取の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるとき は、都道府県知事に対し、前項の規定により提出された意見書を返戻して主宰者に意見の聴 取の再開を命ずるよう求めることができる。行政手続法第二十二条第二項本文及び第三項の 規定は、この場合について準用する。 10 厚生労働大臣は、当該処分の決定をするときは、第八項の規定により提出された意見 書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌してこれをしなければならない。 11 厚生労働大臣は、第二項の規定による医業の停止の命令をしようとするときは、都道 10 府県知事に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め、当該弁明の聴取 をもつて、厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができる。 12 前項の規定により弁明の聴取を行う場合において、都道府県知事は、弁明の聴取を行 うべき日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面に より通知しなければならない。 一 第二項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容 二 当該処分の原因となる事実 三 弁明の聴取の日時及び場所 13 厚生労働大臣は、第十一項に規定する場合のほか、厚生労働大臣による弁明の機会の 付与に代えて、医道審議会の委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせること ができる。この場合においては、前項中「前項」とあるのは「次項」と、 「都道府県知事」と あるのは「厚生労働大臣」と読み替えて、同項の規定を適用する。 14 第十二項(前項後段の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の通知を受けた者 は、代理人を出頭させ、かつ、証拠書類又は証拠物を提出することができる。 15 都道府県知事又は医道審議会の委員は、第十一項又は第十三項前段の規定により弁明 の聴取を行つたときは、聴取書を作り、これを保存するとともに、当該処分の決定について の意見を記載した報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。 16 厚生労働大臣は、第五項又は第十一項の規定により都道府県知事が意見の聴取又は弁 明の聴取を行う場合においては、都道府県知事に対し、あらかじめ、次に掲げる事項を通知 しなければならない。 一 当該処分に係る者の氏名及び住所 二 当該処分の内容及び根拠となる条項 三 当該処分の原因となる事実 17 第五項の規定により意見の聴取を行う場合における第六項において読み替えて準用す る行政手続法第十五条第一項の通知又は第十一項の規定により弁明の聴取を行う場合におけ る第十二項の通知は、それぞれ、前項の規定により通知された内容に基づいたものでなけれ ばならない。 18 第五項若しくは第十一項の規定により都道府県知事が意見の聴取若しくは弁明の聴取 を行う場合又は第十三項前段の規定により医道審議会の委員が弁明の聴取を行う場合におけ る当該処分については、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。 )の規定は、適用 しない。 第八条 この章に規定するものの外、免許の申請、医籍の登録、訂正及び抹消、免許証の交付、書 換交付、再交付、返納及び提出並びに住所の届出に関しては、政令でこれを定める。 第三章 試験 第九条 医師国家試験は、臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、医師として具有すべき知識及 び技能について、これを行う。 第十条 医師国家試験及び医師国家試験予備試験は、毎年少くとも一回、厚生労働大臣が、これを 行う。 2 厚生労働大臣は、医師国家試験又は医師国家試験予備試験の科目又は実施若しくは合格 者の決定の方法を定めようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければな らない。 第十一条 医師国家試験は、左の各号の一に該当する者でなければ、これを受けることができない。 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(以下単に「大学」という。 ) において、医学の正規の課程を修めて卒業した者 二 医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後一年以上の診療及び公衆衛生に関す 11 る実地修練を経たもの 三 外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者で、厚生労働大臣が前二号に掲げ る者と同等以上の学力及び技能を有し、且つ、適当と認定したもの 第十二条 医師国家試験予備試験は、外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者のうち、 前条第三号に該当しない者であつて、厚生労働大臣が適当と認定したものでなければ、これ を受けることができない。 第十三条 削除 第十四条 削除 第十五条 医師国家試験又は医師国家試験予備試験に関して不正の行為があつた場合には、当該不正 行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができ る。この場合においては、なお、その者について、期間を定めて試験を受けることを許さな いことができる。 第十六条 この章に規定するものの外、試験の科目、受験手続その他試験に関して必要な事項及び実 地修練に関して必要な事項は、厚生労働省令でこれを定める。 第三章の二 臨床研修 第十六条の二 診療に従事しようとする医師は、二年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病 院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない。 2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定した病院が臨床研修を行うについて不適当であ ると認めるに至つたときは、その指定を取り消すことができる。 3 厚生労働大臣は、第一項の指定又は前項の指定の取消しをしようとするときは、あらか じめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。 4 第一項の規定の適用については、外国の病院で、厚生労働大臣が適当と認めたものは、 同項の厚生労働大臣の指定する病院とみなす。 第十六条の三 臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなけ ればならない。 第十六条の四 厚生労働大臣は、第十六条の二第一項の規定による臨床研修を修了した者について、その 申請により、臨床研修を修了した旨を医籍に登録する。 2 厚生労働大臣は、前項の登録をしたときは、臨床研修修了登録証を交付する。 第十六条の五 前条第一項の登録を受けようとする者及び臨床研修修了登録証の書換交付又は再交付を受 けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。 第十六条の六 この章に規定するもののほか、第十六条の二第一項の指定、第十六条の四第一項の医籍の 登録並びに同条第二項の臨床研修修了登録証の交付、書換交付及び再交付に関して必要な事 項は、厚生労働省令で定める。 第四章 業務 第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。 第十八条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。 第十九条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを 拒んではならない。 12 2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生 証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒ん ではならない。 第二十条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出 産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書 を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付 する死亡診断書については、この限りでない。 第二十一条 医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時 間以内に所轄警察署に届け出なければならない。 第二十二条 医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又 は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者 又は現にその看護に当つている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合及び次 の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。 一 暗示的効果を期待する場合において、処方せんを交付することがその目的の達成を妨げ るおそれがある場合 二 処方せんを交付することが診療又は疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の 治療を困難にするおそれがある場合 三 病状の短時間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合 四 診断又は治療方法の決定していない場合 五 治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合 六 安静を要する患者以外に薬剤の交付を受けることができる者がいない場合 七 覚せい剤を投与する場合 八 薬剤師が乗り組んでいない船舶内において薬剤を投与する場合 第二十三条 医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に 必要な事項の指導をしなければならない。 第二十四条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならな い。 2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、そ の病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五 年間これを保存しなければならない。 第二十四条の二 厚生労働大臣は、公衆衛生上重大な危害を生ずる虞がある場合において、その危害を防止 するため特に必要があると認めるときは、医師に対して、医療又は保健指導に関し必要な指 示をすることができる。 2 厚生労働大臣は、前項の規定による指示をするに当つては、あらかじめ、医道審議会の 意見を聴かなければならない。 第五章 医師試験委員 第二十五条 削除 第二十六条 削除 第二十七条 医師国家試験及び医師国家試験予備試験に関する事務をつかさどらせるため、厚生労働省 に医師試験委員を置く。 2 医師試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。 第二十八条及び二十九条 削除 13 第三十条 医師試験委員その他医師国家試験又は医師国家試験予備試験に関する事務をつかさどる者 は、その事務の施行に当たつて厳正を保持し、不正の行為のないようにしなければならない。 第五章の二 雑則 第三十条の二 第六条第三項、第七条第五項、第九項前段、第十一項及び第十二項、同条第六項において 準用する行政手続法第十五条第一項及び第三項(同法第二十二条第三項において準用する場 合を含む。)、第十六条第四項、第十八条第一項及び第三項、第十九条第一項、第二十条第六 項並びに第二十四条第三項並びに第七条第九項後段において準用する同法第二十二条第三項 において準用する同法第十五条第三項の規定により都道府県が処理することとされている事 務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法 定受託事務とする。 第六章 罰則 第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、 又はこれを併科する。 一 第十七条の規定に違反した者 二 虚偽又は不正の事実に基づいて医師免許を受けた者 2 前項第一号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、 三年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 第三十二条 第七条第二項の規定により医業の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、 医業を行つたものは、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科 する。 第三十三条 第三十条の規定に違反して故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は 故意に不正の採点をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 第三十三条の二 第六条第三項、第十八条、第二十条から第二十二条まで又は第二十四条の規定に違反した 者は、五十万円以下の罰金に処する。 14
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