言語による心的辞書構造の違い

言語による心的辞書構造の違い
三宅恭子
0.はじめに
人間が脳内に保持している言語知識に関する研究は、それがどのような形態で
保持されているかという構造の研究と、それにどのようにアクセスし、運用する
のかという処理過程に関する研究に分けられる。人間の持つ言語知識の1つであ
る単語に関しても、 脳内の単語の集合体である心的辞書(mental lexicon)において、
音韻・意味・統語などの各単語の情報がどのように保持されており、単語と単語
の関係がどのように表象されているのかに関わる研究と、心的辞書内の単語にど
のようにアクセスするのかという単語認知過程の研究が存在する。本来、単語ア
クセスの過程やその運用システムについて述べるためには、単語に関する情報が
どのように表象されているかを前提として論じられるべきであるが、単語認知過
程に関する研究が先行し、 様々なモデル化の試み1 がなされているのに対して、 心
的辞書の構造に関する実験的研究については未だ十分ではない。
心的辞書構造に関する最近の研究ではプライミング効果が実験パラダイムとし
て採用されている。言語内条件においては単語間の意味的関連性、属性、音韻的類
似性、綴りの関連性等の視点から研究されており、言語間条件においては、主と
してバイリンガルを対象とした研究がなされている。バイリンガル研究において
主に論じられているのは、概念と語彙の関係であり、以前は翻訳同義語が刺激語
として用いられていたが、最近の研究においては、同根語や抽象語等、単語の属
性の問題が研究の焦点となっている。バイリンガルの心的辞書構造について論じ
るためには、母語話者の心的辞書の構造に違いがあるか否かに関する知見は必須
であると考えられるが、二言語それぞれの母語話者を対象とした言語間条件に関
1
単語認知過程に関する代表的なモデルとしては、K. I. Forsterの探索モデル、J. Mortonのロ
ゴジェンモデル、J. L. McClelland & D. E. Rumelhartの相互活性化モデル、C. A. Beckerの照
合モデル、W. D. Marslen-Wilsonのコホートモデルがある(齋藤 (1997) p.107)。
159
三宅恭子
する実証研究は少なく、従って異なる言語における心的辞書構造の違いについて
は未だ十分検討がなされていない。
心的辞書構造の違いを導く要因として考えられるものに文化的要因がある。文
化的要因についてはこれまで認知心理学の立場ではあまり顧みられてこなかった
が、 言語は文化を構成する1つの重要な要素であると考えるならば(Harris & Moran,
1983)、 心的辞書構造のモデリングにいかに文化的要因を取り入れるかは今後の大
きな課題の1つであると言えよう。
そこで本稿においては、異言語間では、文化的相違から単語と単語の関係が異
なるという可能性について意味ネットワークの理論に基づいた実証的検討を試み、
心的辞書において各単語がどのように表象されているかという本質的な問題の解
明の基礎を構築する。本稿で検証されるべき仮説は以下の2つである。
(1)
連想語調査の結果から、各言語に特徴的な連想語対が抽出できるはずで
ある。
(2)
文化的異質性の高い連想語対に関しては、異なる言語の母語話者におい
て異なるプライミング効果が見られ、ある単語を認知したときに活性化
する概念に文化的特徴が見られるはずである。
1.心的辞書と意味ネットワーク
心的辞書(mental lexicon)とは人間が脳内に保持している単語の集合体のことで
あり、認知心理学における仮説概念である。心的辞書の定義は研究者によって異
なり、 長期記憶における単語の心的表象(Schwarz, 1992)という漠然とした定義か
ら、音韻情報・文字列・意味特徴・統語範疇等の下位辞書を持ち、それらの下位
辞書がモジュール的に存在している(Raupach, 1997)というものまで様々である。
記憶研究の立場では、言語に関する知識は意味記憶に貯蔵されていると考えられ
ているが(Tulving, 1972)、 そうであるとするならば、 心的辞書は長期記憶の中の意
味記憶に保持されていると考えることができるはずである。
心的辞書内においては、 単語の形(word-form)と意味(word-meaning)は別々に存
在すると考えられている。子どもはある物の名称を発話できるようになる前から、
160
言語による心的辞書構造の違い
その物がどういう物であるかを知っているように思われる。音韻や形態・統語情
報を獲得して、その単語を発話に用いることができるようになるよりも先に、物
の概念は獲得されているのである。大人の場合も、何という物であるかわからな
くても「こういう形をしていてこんな感じのもの」というように表現することがあ
る。言語的な名称を知らなくても、知っている概念を組み合わせて表現すること
は可能である。このことは、記憶表象研究において、語彙表象と概念表象を区別
する1つの根拠となっている。音韻や形態・統語情報等の単語の形は語彙表象に、
単語の意味は概念表象に別々に保持されているというのが、記憶表象研究におけ
る代表的な考え方である(Potter et al., 1984)。
各単語の意味に相当する概念がネットワーク状につながっているという想定が
意味ネットワーク(semantic network)である(Collins & Loftus, 1975)。 意味ネットワー
クは概念を表わすノード(node)と関係を表わすリンク(link)からなり、意味的関連
性の強い概念同士は短いリンクで、意味的関連性の弱い概念同士は長いリンクで
結合されていると想定されている。意味ネットワークの処理メカニズムとして考
えられたのが次に説明する活性化拡散モデルである。
2.活性化拡散モデルとプライミング効果
単語の記憶表象に関する研究においては近年、プライミング効果を応用した手
法が用いられている。プライミング効果とは先行刺激が後続刺激の処理に影響を
及ぼすことを指し(Meyer & Schvaneveldt, 1971)、 プライミング効果を説明するの
は、意味ネットワークの存在を前提とした活性化拡散モデルである。プライム
(先行刺激)を処理することによって、意味ネットワークにおけるその概念ノード
が活性化される。その活性化は近接するノードに拡散し、プライムと意味的に関
連している概念ノードも活性化された状態となる。プライムと意味的に関連した
語がターゲット(後続刺激)として呈示された場合、その概念ノードはすでに活性
化しているためその処理は促進され反応時間が短くなると考えるのである。
161
三宅恭子
3. 語彙表象と概念表象
語彙表象(lexical representation)には語の形式的情報、 すなわち形態、 音韻などの
情報が含まれ、意味的な情報は概念表象(conceptual representation)に含まれている
と考えられる。例えば、ワンワンと鳴く4本足の愛玩動物を表わすために、日本
語においては「犬」という語が恣意的に定めらており、ドイツ語では「Hund」という
語がそれにあたる。語彙表象「犬」、 「Hund」の深層には実際の〈イヌ〉2 の概念表象
が存在するとされている。概念と単語の対応は必ずしも1対1対応ではない
(Paradis, 2000)。ある概念が活性化されると、それに関する視覚的、聴覚的、嗅覚
的、 触覚的、 味覚的概念も活性化されると Paradis(2000)は考えている。 例えば、〈ネ
コ〉という概念が活性化されると、猫の外見、猫の鳴き方、猫の臭い、猫の手触
りも活性化される。 Paradis によれば、 英単語の「cat」がアフリカの大きな猫という
表現を用いて、ライオンやチーターを表わすことができるのに対して、フランス
語では「cat」の翻訳同義語 「chat」は子犬を表現するために使用することができない
のと同様に、トラを表現するために用いることはできない。3 しかしながら、言語
的にそのような表現を許容しないからと言って、フランス人が猫からライオンや
トラを連想しないと言い切ることはできず、概念表象が語彙表象と独立して存在
している可能性は高いように思われる。
4.心的辞書の構築過程における文化的影響
言語は文化を構成する1つの重要な要素であると考えられている(Harris & Moran, 1983)。言語はコミュニケーションの重要な手段であるばかりでなく、文化の
特性を反映し、人間の思考、価値観、行動様式などとも深い関係を持っている。
宮内は「文化はその地域で生育した人間の頭脳の中で共有され、意識的、無意識的
に種々の現象に対する認識や思考を進めるプロセスに規範的な資料を提供するだ
けでなく、特定の規定力を発揮している」(2001,
p.31)としているが、この規定力
2
ここでは便宜的に概念を〈 〉でくくって表すこととする。
3
英単語を説明するのにライオンとチーターを用い、仏単語を説明する例としてトラを用い
たのはParadis (2000, p.22)の例による。
162
言語による心的辞書構造の違い
こそが心的辞書の構築に大きな影響を与えるものであると考えることができる。
4.1.単語獲得過程と意味ネットワークの構築
単語の意味はその言語の話し手の所属する文化の中で獲得される。単語の意味
は個人的な体験に基づいて規定されていくため、1つの文化内においても1つの
単語の意味が二人の人間の間で全く同じであることはあり得ない。単語の獲得過
程において、全く同じ背景、経験、関心が揃うということは考えられないからで
ある。しかしながら、文化の規定力は同じ文化に所属する人たちの間に似たよう
な背景、経験、関心を呼び起こし、その結果として、同じ文化に所属する人たち
の持つ単語の意味はよく似たものになる。
単語はランダムに記憶され、心的辞書に貯えられていくわけではなく、すでに
存在する単語とどのように関連するのか、関連づけて保持されていくと考えられ
る。子どもが単語を獲得する過程とは物事を知覚し、獲得中の言語における恣意
的な名称を覚えるということであり、新しく獲得した単語を自らが構築しつつあ
る意味ネットワーク中の他の概念と関連づけて適切な場所に配置するということ
である。既有の単語との関連づけに用いられるのは、その言語が話されている社
会の文化に基づく思考形式や認知スタイルであり、この関連づけにおいても文化
は特定の規定力を発揮すると考えられる。
意味ネットワークは静的なものではなく、動的なものである。子どもが単語を
1つ覚えるたびに、その子どもの意味ネットワークに概念が1つ加わり、意味ネッ
トワークの形状が変わる。語彙が爆発的に増大する幼児期においては意味ネット
ワークの形状は日々刻々と変化していると考えられるが、大人の意味ネットワー
クもまた、新しい経験、新しい概念が加わるたびに少しずつその形状を変えてい
く動的な存在であると考えることができる。
4.2. 概念の活性化と文化的要因
心的辞書および意味ネットワークは認知心理学における仮説概念である。研究
者の考える心的辞書を1つの標準形とすると、個人の所有する心的辞書は標準的
心的辞書に近似するように発展していく動的存在であると考えることができる
163
三宅恭子
(齋藤, 1997)。 1つの文化には、 その文化に規定された標準的な心的辞書が存在
し、
その文化に所属する人の心的辞書は、この文化に固有な心的辞書の形状に限
りなく近似していくと考えることができる。あるいは、標準的な心的辞書は1つ
であり、文化によって活性化される概念が異なるという考え方をすることもでき
る(Paradis, 2000)。概念と単語が1対1対応ではないと考えるならば、1つの単語
から活性化される概念の数及び種類が文化によって異なると考えることもできる
のである。例えば「猫」と聞いて活性化する猫の外見の概念は日本人の多くでは三
毛猫であり、ドイツ人ではペルシャ猫であるかもしれない。〈イヌ〉という概念は、
アラブ文化に所属する人とヨーロッパ文化に所属する人の間では異なると言われ
ている。ヨーロッパにおいて犬は人間のペットであり、友達である。一方アラブ
において犬は汚れた動物というマイナスのイメージを与える(Appel,2000)。犬と
いう概念が活性化された時、犬の外見や吠え方、臭い等の概念が活性化されるの
は同じであっても、ヨーロッパの人の間では友達とかペットという概念が活性化
されるのに対し、アラブの人の間では汚れているという概念が活性化されると想
定することができる。4
5.連想研究
認知心理学の実験パラダイムに文化的要因を取り込むための手法として考えら
れるのが連想語調査である。
言語によって連想する内容が違う可能性を実験的に検証したのはErvin-Tripp
(1967)である。 Ervin-Tripp は面接法を用いて、 アメリカに移住した日本人女性の連
想を調査した。日本語と英語で各1回面接した結果、単語によっては日本語と英語
の連想内容が異なっていることがわかった(表1)。
4
もちろん、ヨーロッパの人の中にも犬を汚らしい存在と考える人もいる。これはあくまで
も標準的な心的辞書の形状、あるいは、標準的な概念の活性化に関する議論である。
164
言語による心的辞書構造の違い
表1 日本人一世の日本語と英語の連想内容〔芳賀(1971)より引用〕 月(moon)
英語
日本語
元旦(New Year's Day)
日本語
英語
お茶(Tea)
日本語
英語
お月見
sky
門松
new clotes
お茶碗
teapot
きりん草
rocket
おもち
party
saucer
kettle
満月
cloud
ごちそう
holiday
緑
tea leaf
茶菓子
party
雲
着物
七草がゆ
green tea
羽根つき
lemon
みかん
sugar
こたつ
cookies
friends
言語によって連想する内容が異なるという Ervin-Tripp の結果は、 Taylor(1971)
によって追証されている。5 連想関係にあるということは、すなわち意味的に関連
性があるということである。意味的関連性がプライミング効果を導くのであれば、
連想語調査により言語に特徴的な連想語対を抽出してプライミング実験を行うこ
とにより、言語によって活性化する概念に違いが存在するかどうかを検証するこ
とが可能となる。言語によって活性化する概念に違いが存在するということはす
なわち、心的辞書の形状が言語によって異なる可能性が存在するということであ
る。
6. 予備調査:連想テスト
連想語調査は日本においては梅本(1969)が実施し、 ドイツにおいては Postman &
Keppel(1970)が実施しているが、両調査において刺激語の一致度が低いこと、実
施年代が古いことを考慮し、本研究において独自の調査を行うこととする。調査
の結果に基づいて本実験の刺激語を選定するとともに、今後の実験研究の刺激材
料として資料提供を行うことを目的とする。
5
Taylor(1971)では、各言語で異なる連想が生じる場合の方が多いが、両言語に共通の反応も
みられた。
165
三宅恭子
6.1.方法
被験者
日本人164名・ドイツ人107名
実施期間 2002年2月∼4月
刺激材料 色・愛と家族・自然・行事・食べ物・宗教という7つのテーマを設定
し、各テーマに関する単語を選定した。その他に川島(1998)の選定した基礎形容
詞の中から多義語を除外していくつかを抽出し、 Collins & Loftus (1975)の意味ネッ
トワークの図に使用されている単語も加えて合計120からなる刺激語を選定した。
これらの刺激語をランダムに配列し、4ページからなる連想テスト課題を作成し
た。被験者間でカウンターバランスをとるため、4種類の異なった順序のものを
用意した。
手続き
このテストは被験者ごとに個別に行われた。被験者は連想テストを渡
され、教示にもとづき、刺激材料ごとに連想する単語を最低1つ、最高3つまで
記述するよう求められた。連想時間は1刺激につき、10 秒以内とした。
6.2. 結果
この連想テストの結果から日本人にとってもドイツ人にとっても関連がある語
群(以下、日独関連と呼ぶ)、日本人にとっては関連があるが、ドイツ人にとって
関連はない語群(以下日本語関連と呼ぶ)、ドイツ人にとって関連があるが、日本
人にとって関連がない語群(以下、ドイツ語関連と呼ぶ)の3グループを抽出し、
日本人にとってもドイツ人にとっても無関連な語群(以下、無関連と呼ぶ)を加え
て本実験に使用するプライム・ターゲット対とする(表2、表 3、表4、表5)。
連想人数とは、プライムからターゲットを連想した人の数であり、比率は全被験
者に占める連想人数の割合を指す。
166
言語による心的辞書構造の違い
表2 日独関連条件
prime
Obst
Geburtstag
Bier
weiß
Ersparnisse
Glaube
Rose
Winter
blau
Blume
Fluss
Kollege
-
ドイツ語
target
Apfel
Geschenk
Schaum
sauber
Bank
Religion
rot
kalt
Himmel
Duft
Wasser
Arbeit
日本語
target
リンゴ
プレゼント
泡
清潔な
銀行
宗教
赤い
寒い
空
香り
水
仕事
連想人数
比率
60
56.1%
43
40.2%
21
19.6%
15
14.0%
28
26.2%
35
32.7%
53
49.5%
71
66.4%
71
66.4%
27
25.2%
70
65.4%
47
43.9%
N=107(ドイツ人)
prime
くだもの
誕生日
ビール
白
貯金
信仰
バラ
冬
青
花
川
同僚
連想人数
比率
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
1
0.9%
0
0.0%
1
0.9%
0
0.0%
1
0.9%
N=107(ドイツ人)
prime
三角
日の出
祭
月
夏
ジャガイモ
葬式
黒
大切な
ストレス
自然
紫
-
日本語
target
定規
新年
太鼓
うさぎ
花火
カレー
菊
髪
宝物
胃
大きい
高貴
連想人数
比率
20
18.7%
30
28.0%
14
13.1%
53
49.5%
28
26.2%
7
6.5%
26
24.3%
24
22.4%
22
20.6%
36
33.6%
18
16.8%
16
15.0%
N=107(ドイツ人)
prime
茶色
仏
秋
黄色
ピンク
緑
クリスマス
くつろぐ
カーニバル
大みそか
復活祭
教会
-
日本語
target
ナチス
太った
嵐
太陽
子豚
希望
家族
暖炉
仮面
シャンパン
春
塔
-
連想人数
比率
48
29.3%
67
40.9%
64
39.0%
25
15.2%
44
26.8%
68
41.5%
96
58.5%
75
45.7%
114
69.5%
21
12.8%
27
16.5%
28
17.1%
N=164(日本人)
表3 日本語関連条件
prime
Dreieck
Sonnenaufgang
Fest
Mond
Sommer
Kartoffel
Beerdigung
schwarz
wichtig
Stress
Natur
violett
-
ドイツ語
target
Lineal
Neujahr
Trommel
Hase
Feuerwerk
Curry
Chrysantheme
Haare
Schatz
Magen
groß
edel
連想人数
比率
56
34.1%
56
34.1%
20
12.2%
52
31.7%
15
9.1%
29
17.7%
8
4.9%
25
15.2%
26
15.9%
20
12.2%
17
10.4%
20
12.2%
N=164(日本人)
表4 ドイツ語関連条件
prime
Braun
Buddha
Herbst
gelb
rosa
grün
Weihnachten
gemütlich
Fastnacht
Silvester
Ostern
Kirche
-
ドイツ語
target
Nazi
dick
Sturm
Sonne
Schweinchen
Hoffnung
Familie
Kamin
Maske
Sekt
Frühling
Turm
167
連想人数
比率
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
5
3.0%
1
0.6%
0
0.0%
1
0.6%
1
0.6%
3
1.8%
0
0.0%
5
3.0%
0
0.0%
N=164(日本人)
三宅恭子
表5 無関連条件
prime
Butter
Brot
Klavier
Bleistift
Medikament
Maschine
Honig
Maus
Bibel
Fenster
Post
Trauben
-
ドイツ語
target
Angestellter
Lehrer
Auto
Milch
Wörterbuch
Pferd
Zeitschrift
Seife
Mode
freundlich
Ente
Polizei
連想人数
比率
日本語
target
prime
バター
パン
ピアノ
鉛筆
薬
機械
はちみつ
ネズミ
聖書
窓
郵便
ブドウ
-
会社員
教師
車
牛乳
辞書
馬
雑誌
石鹸
ファッション
親切な
アヒル
警察
連想人数
比率
7. 実験1
本実験においては、連想語調査の結果から選定したプライム・ターゲット対を
用い、言語に特徴的な意味的関連性がプライミング効果を導くかどうかについて
検討を行う。実験には提示された文字列が実在する単語であるか否かを判断する
語彙判断課題(lexical decision task)を採用する。
7.1.方法
被験者:
ドイツ語の学習経験がない日本人 22名。平均年齢は29.5歳(標準偏差
6.3)。
実験計画: 2要因計画が用いられた。第一の要因は、日本語における関連性の
有無であり、関連性あり、関連性なしの2つの水準が設定された。第二の要因は
ドイツ語における関連性の有無であり、関連性あり、関連性なしの2つの水準が
設定された。これらの組み合わせによって設定される4つの条件をそれぞれ、日
独関連条件(日本語における関連性あり、ドイツ語における関連性なし)、日本語
関連条件(日本語における関連性あり、ドイツ語における関連性なし)、ドイツ語
関連条件(日本語における関連性なし、ドイツ語における関連性あり)、無関連条
件(日本語における関連性なし、ドイツ語における関連性なし)と呼び、論を進め
る。要因は全て被験者内要因であった。
刺激材料: 連想テストの結果から、①日独関連条件、②日本語関連条件、③ド
168
言語による心的辞書構造の違い
イツ語関連条件のプライム・ターゲット対をそれぞれ、12対選定した(表2、表
3、表4参照)。川上(1994)を参考にして、無関連条件のプライム・ターゲット
対を12対選定した(表5参照)。4条件とも刺激語はすべて日本語で作成した。
No反応用刺激対ではターゲットのみを非単語とした。実在する単語に使用され
ている漢字をその漢字と同音の他の漢字と置き換える(例えば「機会」から「器
会」)、実在しない送り仮名をつける(例えば「終より」)等により48個の非単語を作
成し、上記の4条件に使用した単語以外の単語から選定したプライムと組み合わ
せてNo反応用の刺激対を48対作成した。
以上、Yes反応用刺激対48対とNo反応用刺激対48対をランダムに呈示するよう
に配列した。よってプライミング実験の本試行は総計96試行である。
プライミング実験に慣れるためにプライミング実験で用いられる単語以外のもの
を用いて Yes 反応用6刺激、 No 反応用6刺激、 計12刺激をランダムに配置した練
習試行を行った。
手続きと装置:刺激呈示と反応測定には、 パーソナルコンピュータ(NEC LL750/2)
を用いた。 ソフトウェアとしては Cedrus 社製 SuperLab を用い、 刺激呈示の制御及
び反応の採取、 反応時間の測定を行った。 各刺激は被験者の前方約40cmのディス
プレイ上に、縦1.2cm×横1.2 - 5.7cmの大きさで呈示した。
実験はコンピュータ制御により個別に行われた。上述のように12回の練習試行を
行った後、本実験を行った。 プライミング実験においては、 画面中央にまず凝視点
としてアステリスク(*)4個を 1000ms 呈示した後、 同じ位置にプライムを 250ms
呈示し、 500ms の刺激間間隔6 をおいて7 ターゲットを同じ位置に呈示した。 被験者
の反応の直後に刺激文字列を消去し、1000ms のブランクの後、次試行の凝視点を
呈示した。被験者にはプライムに対しては黙読を行い、ターゲットについてのみ、
語彙判断を行うよう求めた。その際、プライムを無視することのないように、後
で簡単なチェックテストを行うため最初に呈示される単語を必ず黙読するよう教
示した。
練習試行、プライミング実験とも、各被験者に与えられた課題は、指定された刺
激について実在する単語であれば赤色シールのついた反応ボタンを、実在しない
6
inter stimulus interval:ISI
7
すなわちstimulus onset asynchrony:SOA(プライムの呈示開始とターゲットの呈示開始の時
間差)750ms。
169
三宅恭子
単語(非単語)であれば青色シールのついた反応ボタンをできるだけ速くかつ正確
に押すことであった。
7.2. 結果
誤反応に対する反応時間(reaction time:以下 RT と呼ぶ)、 および各被験者につい
て平均反応時間から±2標準偏差以上逸脱しているRTは分析の対象から除外した。
語彙判断課題を用いたこれまでの研究と同じく、分析にはターゲットが単語の場
合のRTのみを指標とする。被験者群別の誤反応率は4.7%であった。また逸脱によ
り除外したRTの全体に占める割合は4.4%であった。また、正答率が65%に満たな
い連想語対(茶色−ナチス、ネズミ−石鹸)も分析の対象から除外した。
被験者の
各条件での平均反応時間と正答率を表6に、4条件の平均反応時間を図1に示す。
表6 日本語母語話者における RT(ms)と正答率
条件
例
反応時間(ms)
正答率
くだもの−リンゴ
654
132
97.3%
日本語関連
月−うさぎ
679
138
97.0%
ドイツ語関連
黄色−太陽
709
142
90.9%
無関連
パン−会社員
717
139
91.3%
非単語
手紙−見歯らし
783
167
89.5%
RT(ms)
標準偏差
日独関連
図1 日本語母語話者の平均反応時間
170
言語による心的辞書構造の違い
各条件別に算出した平均RTについて、言語(日本語関連,ドイツ語関連)×意味
的関連性(関連有,関連無)の2要因分散分析を行った結果は以下のとおりである。
日本語関連、 ドイツ語関連ともに主効果が見られた(F(1, 21)=23.334, p<.01, F
(1, 21)=4.406, p<.05)。交互作用は認められなかった(F(1, 21 )=0.865, ns)。 ドイ
ツ語の主効果について解釈ができないため、 さらに下位検定を行ったところ、 ドイ
ツ語の意味的関連性の有無に関わらず、 日本語の意味的関連性の効果が見られ((F
(1, 42)=16.977, p<.01、(F(1, 42)=7.997, p<.01)、 ドイツ語の意味的関連性の効
果は日本語に意味的関連性がある場合にのみ見られた(F(1, 42)=4.270, p<.05)。
8.実験2
8.1.方法
被験者:
ドイツ人 23名。平均年齢は31.6歳(標準偏差5.4)。
実験計画:
実験1と同様である。
刺激材料:
実験1で用いたYes反応用のプライム・ターゲット対を日本語か
らドイツ語に翻訳し、実験2で使用する日独関連条件、日本語関連条件、ドイツ
語関連条件、無関連条件のプライム・ターゲット対条件ごとに12対、計48対用意
した。No 反応用刺激対では実験1と同様、ターゲットのみを非単語とし、文字数
3∼12文字で実在しない語のアルファベット文字列を作成した。また上記の4条
件に使用した単語以外の単語から選定したプライムと組み合わせてNo反応用の刺
激対を48対作成した。
総計96試行はランダムに呈示するよう配列された。
練習用の刺激も実験1に使用した日本語刺激をドイツ語に翻訳し、 Yes 反応用6
刺激、No 反応用6刺激、計12刺激をランダムに配置した。
手続きと装置: 実験1と同様の装置を用い、各刺激はディスプレイ上に、縦
1.2cm×横1.2 – 7.4cmの大きさで呈示した。 以下の実験手続きは実験1と同様であっ
た。
171
三宅恭子
8.2.結果
実験1と同様、誤反応にRTおよび各被験者について平均反応時間から±2標準
偏差以上逸脱しているRTは分析の対象から除外した。被験者群別の誤反応率は
2.9%であった。また逸脱により除外したRTの全体に占める割合は4.5%であった。
また、 正答率が 65% に満たない連想語対(braun – Nazi、 Beerdigung – Chrysantheme)
も分析の対象から除外した。
被験者の各条件での平均反応時間と正答率を表7に、4条件の平均反応時間を
図2に示す。
表7:ドイツ語母語話者における RT(ms)と正答率
条件
例
反応時間(ms)
標準偏差
正答率
日独関連
Obst-Apfel
684
150
96.0%
日本語関連
Mond-Hase
734
185
94.5%
ドイツ語関連
gelb-Sonne
695
170
95.7%
無関連
Brot-Angestellte
718
189
98.2%
非単語
Brief-Pillst
846
265
91.2%
800
RT(ms)
750
700
650
600
日独関連
日本語関連 ドイツ語関連
条
件
図2 ドイツ語母語話者の平均反応時間
172
無関連
言語による心的辞書構造の違い
各条件別に算出した平均RTについて、言語(日本語関連,ドイツ語関連)×意味
的関連性(関連有,関連無)の2要因分散分析を行った結果は以下のとおりである。
日本語の主効果は見られず(F(1, 21)=0.187,ns)、 ドイツ語の主効果は有意(F(1,
22)=15.565), p<.01)、 交互作用は有意とはならなかったもののその傾向が認められ
た(F(1, 22)=3.793, p<.10)。交互作用が有意傾向であったので、単純主効果の検定
を行ったところ、ドイツ語の意味的関連性の有無に関わらず日本語の意味的関連
性の効果は認められず((F(1, 44)=0.493, ns, (F(1, 44)=2.037, ns)、日本語の意味的
関連性のある場合はドイツ語の意味的関連性は有意(F(1, 44)=18.432, p<.01)、日
本語の意味的関連性がない場合には有意傾向(F(1, 44)=3.412, p<.10)であった。
9.考察
本研究において検証されるべき仮説は次の2つであった。
(1)
連想語調査の結果から、各言語に特徴的な連想語対が抽出できるはず
である。
(2)
文化的異質性の高い連想語対に関しては、異なる言語の母語話者にお
いて異なるプライミング効果が見られ、ある単語を認知したときに活
性化する概念に文化的な特徴が見られるはずである。
日本人とドイツ人に対して連想語調査を行ったところ、日本人にとっては連想
関係にあるが、ドイツ人にとっては連想関係にない単語、ドイツ人にとっては連
想関係にあり、日本人にとっては連想関係にない単語、日本人にとってもドイツ
人にとっても連想関係にある単語が存在するということがわかった。以下では条
件ごとに考察を行うことにする。
<日独関連条件>くだもの−リンゴ、誕生日−プレゼント、ビール−泡、白−
清潔な、貯金−銀行、信仰−宗教、バラ−赤い、冬−寒い、青−空、花−香り、
川−水、同僚−仕事は、文化を超えて共通の連想関係にあるということが示され
た。
<日本語関連条件>日本人では三角から定規を連想する人が全体の34%もいた
が、これは「三角定規」という合成語が存在するためと考えられる。日の出から新年
173
三宅恭子
を連想する人が多かったのは御来光を仰ぐという習慣からであると考えられる。
月とうさぎの連想も日本では周知のことである。日本では、花火は夏の風物であ
るが、ドイツでは花火は秋のワイン祭や大みそかに上げることが多い。日本では
カレーには必ずといっていいほどジャガイモが入っているが、ドイツでは、カレー
シチューには普通ジャガイモは入っていない。日本の葬式には必ず菊の花が飾ら
れている。ドイツでも菊は葬式に用いられるということであるが、若い世代には
それほど象徴的ではないようである。日本人の髪は基本的には黒いが、ドイツ人
では黒髪はめずらしい。「大切なもの=宝物 」という発想も、ドイツ人には皆無で
あった。ストレスから胃が痛くなるのは、日本人の特徴なのであろうか。ドイツ
人ではストレスから病気や頭痛を連想する人は多かったが、胃を連想したのは1人
だけだった。自然に関する考え方も、自然との調和を重んじる日本人では自然を
大きく雄大な存在と崇める傾向があるのに対して、自然を克服するというヨーロッ
パ的な考えのもとでは自然は大きな存在とは考えられないのかもしれない。
<ドイツ語関連条件>茶色からナチスやヒットラーを連想する人がドイツ語を
母語とする被験者全体の約25%を占めたが、これはSA(突撃隊)の制服が茶色であっ
たことによると考えられる。 „Er hat eine braune Vergangenheit“ という表現は「彼は
茶色の過去を持つ」と訳しても意味は通らない。「かつて彼はナチスであった」の意
である。8 ドイツ人において仏から太っている、ずんぐりとしたという連想が引き
出されたのは、絵画や大仏のイメージの影響によるものかもしれない。ドイツの
秋は、秋晴れという表現のある日本の秋に対して、嵐や雨が多く、湿ったイメー
ジである。太陽に関しては日本人が通常、赤で太陽を描くのに対し、欧米人は黄
色で描くという通説を裏付ける結果となった。ドイツの子どもの絵本を見ると、
豚はきれいなピンク色で描かれていることが多い。日本では肌色が多いように思
われる。„Grün ist die Hoffnung“ と言われるように、緑はドイツでは希望の色であ
る。クリスマスはドイツでは家族で過ごすものであり、日本では小さい子どもが
いる家庭は別として、友人と一緒にパーティーをすることが多い。日本人のカー
ニバルに対するイメージの多くが、ブラジルのリオのカーニバルであったのに対
8
braun−Nazi、茶色−ナチスについてはともに誤答率が61.5%、63.6%であったため、分析の
対象から外した。誤答率が高かった理由としては、実験用ソフトSuperLabで試行順序を自
動的にランダムにするように設定したにもかかわらず、プログラム作成時に最初に作成し
たbraun−Nazi 、茶色−ナチスが実験において最初の試行になる確率が高かったことが考え
られる。
174
言語による心的辞書構造の違い
し、ドイツ人のカーニバルは仮面や扮装のイメージであった。日本の大みそかは
静寂につつまれているが、ドイツでは友人たちとシャンパンを飲み交わし、花火
を上げる賑やかな一夜である。イースターに関してはうさぎや卵といった知識を
持つ日本人は多かったが、イースターが春を告げる祝祭であるという印象は乏し
いようである。ドイツの町々には教会の高い塔がそびえているが、日本の教会の
中では強烈な塔のイメージを持つものは少ないように思われる。
実験の結果、日本語母語話者において日本語、ドイツ語の両方で主効果が見ら
れたということは、一見仮説を棄却する結果であるように思われるが、下位検定
の結果、日本語の意味的関連性のある場合にのみ、ドイツ語関連の効果が見られ
たため、日独関連条件ではプライミング効果があり、ドイツ語関連条件ではプラ
イミング効果は見られなかったと解釈することができる。両言語の話されている
社会の文化に共通する連想語対に関してプライミング効果が見られたのみならず、
日本語関連条件においてプライミング効果が見られ、ドイツ語関連条件において
プライミング効果が見られなかったことは、日本語母語話者では、ある単語を認
知したときに、日本の文化に特徴的ないくつかの概念が活性化していることを示
唆すると考えられる。ドイツ語母語話者においては日本語の意味的関連性の主効
果は見られず、ドイツ語の意味的関連性の主効果が有意であり、交互作用は有意
傾向であった。交互作用についてドイツ語の意味的関連性のみの場合、すなわち
ドイツ語関連条件におけるプライミング効果に顕著な有意差が得られなかった理
由として考えられるのは連想強度の問題である。川口(1988)は、関連性の強弱が
プライミング効果に与える影響を検討すべきであることを指摘しており、井上
(1986)の実験においても意味的関連の強さがプライミング効果の差につながるこ
とが示されている。今回の実験においては、文化的要因をプライミング実験に反
映する試みとして連想語調査を用いたが、連想語調査の結果、選定した連想語対
は必ずしも第一連想語であるとは限らず、全員がその単語を連想したわけでもな
かったため、連想強度を統制することができなかった。
しかしながら Warren(1977)の実験では連想強度の影響は見られない。 また、 井
上の実験も意味的関連の強さが活性化の拡散の程度を左右することは示している
が、意味的関連性の弱い場合にプライミング効果が全く起こらないことを示すに
は至っていない。本実験においてもドイツ語関連条件で有意傾向が得られたこと
は、 ドイツ語母語話者においてドイツ語圏9 の文化に特徴的な概念が活性化してい
175
三宅恭子
る可能性を示唆するものと考えることができる。
以上のように、本研究において立てた2つの仮説は支持される結果となった。
従って日本文化に特有の連想語対とドイツ語圏文化に特有の連想語対が存在する
と言えるであろう。文化に特有の連想語対はその文化に所属する母語話者の間に
プライミング効果を呼び起こす。プライミング効果を導くものは、概念同士の結
びつきであり、文化に特有の概念同士の結びつきが存在することを示唆している。
すなわち、心的辞書の構造は言語によって異なる可能性が高く(その相違は部分
的なものであるかもしれないが)、その違いを導く要因として、文化的要因を想
定することができる。
母語話者の心的辞書に文化的な相違が存在するとするならば、外国語学習者は
複数の心的辞書を心(脳内)に保持することになるのだろうか。母語の単語の認知
に関しては母語の心的辞書を用い、学習している外国語の単語の認知に際して、
当該の外国語の母語話者と同じ心的辞書を用いるのであろうか。あるいは概念表
象の部分のみに相違が存在し、使用する言語によって、活性化する概念に相違が
あると考えることもできる。外国語に習熟していくにつれて、活性化する概念に
変化が現れる可能性も考えられる。10 従って、 この点についてバイリンガル話者を
対象に実証研究を進めることによって、心的辞書構造のモデリングを試みること
が次の課題である。
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9
ここでは、ドイツ語が主に話されているドイツ、オーストリア、スイスを指す。
10
これは、Chen & Ho(1986)の提唱する発達仮説の1つの解釈である。
176
言語による心的辞書構造の違い
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