情報資源組織論 •第6-10 回 主題分析の意義と考え方 •6回 分類の始まり •7回 図書館分類の基礎 •8回 NDCの構成 •9回 件名目録 2013版 福田博同 分類の始まり •分類の定義 • 類 = 米(植物の代表)+犬(動物代表)+頁(あたま) • 多くの物の頭数をそろえ、区分けすること • 類class/最高の類classic/分類classification 6-1 •字義:性質の違うものを分ける(=下降的分類) (注1)緑川信之 (1996,p.10)「 類 > 種 」 の関係 •逆に言うと同じ性質のものをまとめる(=上昇的分類)。 6-2 •種 < 類 < 最上位の類(=カテゴリー)の関係 •生物学の始まり≒分類学。生物の類縁の遠近に合わせて行う 分類を自然分類という。(世界大百科事典:分類学:岩槻邦男より) •生物分類 • 界>門>綱>目>科>(族)>属>(節)>種 穴埋め解答ページへ 分類の目的 •少ない情報で全体を把握 •概念管理のため •種の保存のため:アイデンティティ=他との差別 分類能力本能論 種の識別:母オットセイは臭いで数百頭のオットセイの 中から我が子を識別(動物の超能力 / 伊藤政顕KKベストセラーズ,1975. p.122) 生物は種の保存のため、本能的に自分の種と他の種を 分ける能力を持つ。 穴埋め解答ページへ 分類・命名・収集 6-3 •命名 • 収集した事物に対する個の識別(=分類)|社会的 に認知 文字の発生 – 文字として粘土板、亀甲獣骨、石、金属、木片、竹片、布、紙 6-3 等に刻印することで命名した事物は 伝達・保存 最古の文字 – 紀元前3100年の原シュメール象形文字 (図はwikisource,BC26 世紀)=物の抽象化。(I.J. Gerb氏の「アルファベットの起源」) – 紀元前13世紀殷代の甲骨文(亀甲獣骨に刻まれた占兆文) 動植物の形を抽象化した表意文字。(1890年代、河南省安陽県発 見) 穴埋め解答ページへ 分類のはじめ •参考業務の始まり(記録上の) • シュメール人の筆写官制度 → アッカド人(前2350年頃) 6-4 シュメール諸語のアッカド語訳 を編纂し、記 憶.(例:Early Dynastic Lu A (前川和也「粘土板記録システムの成 立と伝播『西アジア考古学3号,2002』)) 6-5 タクソノミー(序列化、大系化)思考 – ギリシャ語:Τάξις(序列)のνόμος(科学) – 分類(classification)や類別(thematization)は どの社会にも内在 • 共同体には階級、カースト、ギルド • 聖職には階層制 • 農民には田畑の区分境界 など 穴埋め解答ページへ 分類のはじめ 6-6 6-6 荀子(320頃-230頃BC)の分類(『荀子:正名篇』) – 吉田政幸氏『分類学からの出発』(中公新書,1993)のp21 6-6 の「正名篇」の認識論を展開している。 – 荀子 「基礎名を単名、二次名を兼名とよんだ。 また、事物を包括した名称の類名のことを共名、 共名を細分した名称の種名を別名とよんで区別し た。」 とあります。 – 原文:單足以喻則單,單不足以喻則兼、單與兼無 所相避則共 (中略) 物也者,大共名也 – 読み下し: 穴埋め解答ページへ 学問分類のはじまり •プラトン(470頃-399BC)の統合・分割法(=分類法) • アカデメイア(典拠:Brittanica.2615)での学問分野として • 政治(politike)・審美(aistethike)・哲学(philosophia)・友愛(philia)・ 薫陶(paideia)に興味 • 吉田政幸氏前掲書の引用 • 「ものの定義の (中略) 基礎的手続きが統合・分割法である。 統合・分割法は分類法のことで、分類の結果は必然的に対象の定 義となる.。 その逆に、対象の定義は分類となり、分類と定義は表裏の 関係にある。」(p.48) • 統合とは「多様にちらばっているものを総合的に観察、ただ一つの 6-7 本質的な相(イデア)へまとめること」(p.52) = 帰納的分類 。 • 分割とは、その相を「自然本来の分節にしたがい切り分け、さまざま 6-8 な種類に分割する」(p.52) = 演繹的分類 穴埋め解答ページへ 学問分類のはじまり 6-9 •アリストテレス(Aristotles, 384-322 B.C.) •観察を重んじ、現象を不完全な姿のまま理解し、受容する リアリズム(現実主義)を展開 •論理学、倫理学、政治学、詩学、修辞学、生物学、形而 上学の各分野を事実上定義 •ローマの大プリニウス(Gaius Plinius Secundus. AD236-10 76.)の自然誌(Historia naturalis)の主題別構成、西洋中 世の「enkyklios paideia = 万遍ない一般教養」の学問分 野「自由教養七科」に引き継がれる。 6-11 穴埋め解答ページへ 大プリニウス『自然誌』37巻の構成(辞書の世界史p62から) 1 緒言、詳細な目次、出典・情報源一覧と謝辞 2 世界、神格、恒星、惑星、流星、太陽、風土、潮、火山と火 3-6 自然地理と歴史地理 (地中海沿岸、北欧、アフリカ、西アジア、 インド、中国の土地柄と人々) 7 人類、誕生と死、珍獣と奇談、女性、身体機能 8 陸生動物 | 9 海中動物 10 鳥類 | 11 昆虫類 12-19 樹木、蔦植物とワイン、作物と農業 20-32 花、草本、木本、動物から採れる薬と薬物 33-34 金属 | 35 絵画 36-37 鉱物、山、宝石、装身具 自由教養(liberal arts) 七科 enkyklios paideia(知識の環=後に転写され Encyclopadiaとなる) trivium(初等三科): 参考Wikipedia – 文法 grammar – 修辞 rhetoric – 論理/弁証 logic / dialectic quadrivium(高等四科) – – – – 算術 幾何 天文 音楽/和声 アリストテレスの生物分類 吉田氏前掲書p.71を参考 6-12 有血動物(脊椎動物) – 胎生四足類(被毛類)[現在の哺乳類(ひとを含む)] – 卵生四足類 • 完全な卵を産むもの – 卵生四足類(被甲類)[現在の爬虫類,両生類] – 鳥類(被羽類) • 不完全な卵を産むもの – 魚類(被鱗類) 6-13 無血動物(無脊椎動物) – 卵生 • 完全な卵を産むもの – – 軟体類 [現在の頭足類] 軟殻類(硬皮類) [現在の甲殻類] • 特殊な卵を産むもの – 有節類[現在の節足動物、環形動物、変形動物、円形動物] 参考:Wikipedia 原文:HISTORIA ANIMALIUM / Aristotle (book1) 穴埋め解答ページへ 図書分類の初め 古代メソポタミアのアッシュールバニパル王(Ashurbanipal 625BC)宮殿の文字板(約25000枚)(図書館) – 文書の標題、所在の標識、分類標識を記した目録あり (1849年レヤード Austen Henry Layard 発見) 七略(漢書卷三十藝文志第十内) – 漢の成帝(33-7BC在位)が、劉向(りゅうきょう 77-6BC)らに 帝室図書館の整備を命じ、その子劉韵(りゅうきん 50?BC23AD)の著したもの:内容が判明 – 内容: 劉歆於是総群書而奏其 七略,故有輯略,[一六]師古曰:「輯 与集同,謂諸書之総要。」 有六芸略,[一七]師古曰:「六芸, 六経也。」 有諸子略,有詩賦略,有兵書略,有術数略,有 方技略。今刪其要,以備篇籍。 3-10 七略(漢書第三十藝文志第十所収) – 劉歆於是総群書而奏其 七略,故有輯略,[一六]師古曰: 「輯与集同,謂諸書之総要。」 有六芸略,[一七]師古曰: 「六芸,六経也。」 有諸子略,有詩賦略,有兵書略,有術数 略,有方技略。今刪其要,以備篇籍。 – 清水茂氏の『中国目録学』より解釈 – 輯略:序文に相当するらしいが『漢書』藝文志には収めていない – 六藝略:儒家の経典の九類:易/書/詩/礼/楽/春秋/論語 /孝経/小学 – 諸子略:諸子百家の十種:儒/道/陰陽/法/名/墨/縦横( しょうおう=政治弁論術)/雑/農/小説(雑説) – 詩賦略:文学書で、3賦(叙情、説辞(議論)、効物(物の形容)と雑 賦、歌詩 – 兵書略:軍事関係:兵権謀/兵形勢(戦術)/陰陽/兵技巧(戦 闘) – 術数略:占い:天文/暦譜/五行/奢亀(しき)/雑占/形法 – 方技略:医学:医経/経方/房中/神仙 書店分類 中野三敏氏の『江戸の版本』p.99より 穴埋め解答ページへ 分類の原理 – 緑川信之氏の『本を分類する』(注23)p18-20を要約 1. 2. 3. 4. 区分=「分けること、まとめること」であり、注目する性質がひ とつの場合をいう。 体系化=注目する性質が複数の場合、区分と体系化の意 味を含む。 位置づけ=区分された事物の分類上の位置づけを調べるこ とも分類という。 6-14 検索=検索は種々の性質をもつものから特定の性質を探す ことであり、分類の目的でもあるが、分類すなわち検索ともい える •区分の3要素 • • • 区分原理 被区分体(類概念) 区分肢(種概念) 穴埋め解答ページへ 分類 6-15 – 自然分類 • 対象の具体的属性に注目して分類 – 人為分類 • 人間の意図によって分類 – 下降的分類 • 対象の違いに注目して細分する – 上昇的分類 • 同じ性質をもつものをグループ化する – 類と種 • 性質の違いに注目した対象の上位(類)下位(種)概念の関係 – カテゴリー • 上昇的分類を行い、最上位の類を言う 穴埋め解答ページへ 区分の原則 – 区分原理の一貫性 6-16 • 相互排他性 • 交差分類 例:「区分:材料」と「区分:様式」を同一階層に入れると? 「日本画」、「油絵」、「パステル画」、「水墨画」、「墨絵」 – 区分の網羅性 6-17 • 被区分体=区分肢の総和 • 区分肢に「その他」を加えて解決 – 区分の漸進性 6-18 • 必要な区分原理は飛ばさない • 例:植物 細菌類|ミズニラ類|ゼニゴケ目 これらをひとくくりすると、混乱する 穴埋め解答ページへ 分類体系構築の手順図 緑川氏『本を分類する』(勁草書房,1996)の要約 P.20 6-19 • 階層構造(区分原理 の順序を定めて順次 適用した場合の構造) 6-20 • 多次元構造( 区分原 理をそれぞれ独立 のものとみなして いる構造) 対象 区分原理 区分肢 区分原理 区分肢 血液 性 人間 A型 B型 AB型 O型 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 穴埋め解答ページへ • 今回の穴埋め語 元に戻る 元に戻る 6-1 下降的分類 6-2 カテゴリー 6-3 命名 6-4 アッカド語訳 6-5 タクソノミー 元に戻る 6-6 荀子 元に戻る 6-7 帰納的分類 6-8 演繹的分類 6-9 アリストテレス 元に戻る 元に戻る 6-10 自然誌 6-11 自由教養七科 元に戻る 6-12 有血動物 6-13 無血動物 元に戻る 6-14 検索 元に戻る 6-15 自然分類 元に戻る 6-16 相互排他性 6-17 被区分体 6-18 飛ばさない 元に戻る 6-19 階層構造 6-20 多次元構造
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