SD法による感情イメージの検討

【個人研究】
感情イメージの研究(Ⅴ)
−SD法による感情イメージの検討−
上
喬*
杉
Research on the Affective Aspect of Imagery(5th report)
─An Examination of the Affective Word by Using
the SD Method─
Takashi Uesugi
This is the 5th report of succesive studies on the affective aspect of imagery. In the former studies
a special questionaire named QIAI (Questionaire for the inquiry of affective imagery) had been
used. The QIAI is a list of paired words with 5 rating scales, in which the left word of each pair is
the "object word" (32); self, father, mother, family, social and so on, and the right is the "basic
affective word "(8) ;joy, hope, love, astonishment, sorrow, fear, anger and disgust.
In this study, different form the former ones, the Semantic Differential method was used, in which
the object words are 18 affective words and the paired adjectival words are 19 with 5 rating scales.
Subjects were 53 male and 123 female studens in the Bunkyo University. The result of the factor
analysis concerning every affective word suggests that there are four dimensions of the affective
images; the feeling of distress, loss, disturbance and sufficiency. And moreover, the result of the
factor analysis of every paired adjectival ones shows that there are three dimensions on the quality
of feeling; the quality of sure, state, estimation.
はじめに
情イメージの〈近さ−遠さ〉を5段階で主観
的に評定することによって得られたものであ
本研究は、感情イメージに関する一連の研
った。
究の第5報である。
第1報(1981)から第4報(1989)におい
その結果、基本8感情が、諸対象に共通す
ては、上杉(1979)の開発したイメージ調査
る一般的な感情構造として、1)強いプラス
法に従って、対象語(家族、父、母、仕事な
(ポジティブ)感情(喜、望、愛)、2)マイ
ど)の指示する「対象」(各人の体験を通し
ナスよりの中性感情(驚)、3)強いマイナ
てイメージとして存在している対象)をイメ
ス(ネガティブ)感情(悲、恐、怒、嫌)と
ージに浮かべてもらい、その「対象」のイメ
して特徴づけられること、また、9年間の横
ージと、感情語(喜、望、愛、驚、悲、恐、
断研究において、この基本8感情の因子構造
怒、嫌の基本8感情)からイメージされる感
が安定したものであることが明らかにされ、
さらに、8感情の「プラスv.s.マイナス感情」
*うえすぎ たかし
軸上の意味(プラスv.s.マイナスの強さ)は
文教大学人間科学部臨床心理学科
−68−
感情イメージの研究 (V)
表1
−SD法による感情イメージの検討−
感情語(18語)
嫉妬
後悔
憎い
満足
屈辱
空しい
愛
不安
喜び
苦しい
驚き
恐れ
怒り
寂しい
嫌い
ためらい
恥ずかしい
悲しみ
表2
形容詞(形容動詞)(19対)
1.深みのある
・うすっぺらな
10.解放された
・抑圧された
2.親しみやすい
3.生き生きした
・親しみにくい
11.さっぱりした
・ねっとりした
・生気のない
12.安定した
・不安定な
4.のんびりした
・せわしない
13.あたたかい
・冷たい
5.陽気な
・沈んだ
14.なごやかな
・とげとげした
6.変化にとんだ
・単調な
15.浮き浮きした
・しみじみした
7.軽やかな
・重々しい
16.ホットな
・クールな
8.のどかな
・緊迫した
17.美しい
・みにくい
9.明るい
・暗い
18.複雑な
・単純な
19.穏やかな
・はげしい
ンセプトとし、19対の形容詞(または形容動
対象によりかなり変化する(例えば、「驚」
の感情は、友人に「驚」をイメージする場合
詞)群に対する5段階の評定尺度とするSD
には「かなりの程度のマイナス感情を友人に
(セマンティック・ディファレンシャル)法
抱いている」ことを示し、これが芸術や自然
に従うものであった。具体的には、コンセプ
の場合には「強くはないにしてもプラス感情
トは表1に示す18語であり、形容詞(形容動
を抱いている」ことを示す、など)ことも明
詞)群は表2に示す19対であった。なお、形
らかになった。そして、このことから、感情
容詞(形容動詞)の配列順は、乱数表を用い
イメージ調査によって、その結果から、人々
て感情語毎にランダムとした。
がさまざまな対象(父、母、自分など)に対
2.調査対象者・実施時期
して「プラスv.s.マイナス感情」軸上でどの
文教大学学生
ようなイメージを抱いているかを数量的に把
握することが可能になった。
176人(男子53
女子123)、
1996年11月1日〜12月8日に実施
しかしながら、われわれが、さまざまな対
3.分析の手続き
象に抱く感情は、単に「プラスv.s.マイナス
感情」軸上で表されるだけではなく、より多
(1)諸感情のイメージ的意味構造を検討す
るために、コンセプトである感情語(18)毎
様な意味を有するものである。
の、形容詞(形容動詞)19対(以下、SD語)
本研究の主な関心は、基本8感情をふくむ
諸感情が、どのような意味を有するものかを
に対する5段階評定を左側から右側に順に+
検討することにある。
2〜−2と数量化し、SD法に従って、各感
方法
情語間で、SD語19×被験者176=3,344につ
1.調査票
いての相関行列を求め、固有値1.0以上を基
準としてバリマックス解を求めた。
本研究における調査票は、18の感情語をコ
−69−
『人間科学研究』文教大学人間科学部 第20号 1998年 上杉
喬
表3感情語の因子分析(VARIMAX解)
感情語
F1
F2
苦しい
0.809
0.160
-0.041
-0.008
屈辱
0.799
0.076
0.019
-0.024
嫉妬
0.784
-0.071
0.048
0.009
憎い
0.772
-0.035
0.061
-0.041
恐れ
0.766
0.116
0.147
-0.075
不安
0.765
0.245
0.022
-0.041
後悔
0.692
0.282
-0.077
0.030
悲しみ
0.652
0.426
0.031
0.121
怒り
0.620
-0.267
0.380
0.050
ためらい
0.555
0.439
0.051
0.068
0.533
-0.019
0.353
-0.221
-0.112
0.750
-0.054
-0.247
-0.040
嫌い
空しい
寂しい
驚き
恥ずかしい
愛
F3
F4
0.317
0.724
-0.046
-0.046
-0.293
0.739
0.083
0.126
0.197
0.694
0.046
0.278
-0.158
-0.017
0.773
満足
-0.542
-0.001
0.098
0.556
喜び
-0.481
-0.159
0.309
0.525
第4因子は愛・満足・喜びの3感情からなる
(2)SD語により示されるイメージ的意味
ものであった。
の感情を軸とした構造を検討するため、SD
語間で、感情語18×被験者176=3,168につい
これらの因子は、第1因子は全体として苦
ての相関行列を求め、固有値1.0以上を基準
痛や悩みを伴うという意味での苦悩感情を、
としてバリマックス解を求めた。
第2因子は心に穴が空いた状態にあるという
(3)感情語毎のSD語に対する評定の平均
意味での喪失感情を、第3因子は心の動揺が
値および標準偏差を求め、それぞれの感情に
伴うという意味での動揺感情を、第4因子は
対するイメージ的意味の特徴を検討する。
心が満たされた状態にあると言うことで充足
感情を代表していると考えることができる。
結果
2.SD語の因子分析(バリマックス解)
1.感情語の因子分析(バリマックス解)
表4にSD語の因子分析(バリマックス解)
表3に感情語の因子分析(バリマックス解)
の結果を示す。固有値1.0以上を基準とする
の結果を示す。固有値1.0以上を基準とする
累積寄与率は61.1%で、18感情は4因子構造
累積寄与率は65.4%で、19のSD語は3因子
を示すものであった。
構造を示すものであった。
第1因子は陽気な(沈んだ)・明るい(暗
第1因子は、因子負荷の高い順に苦しい・
屈辱・嫉妬・憎い・恐れ・不安・後悔・悲し
い)・生き生きした(生気のない)・暖かい
み・怒り・ためらい・嫌いの11感情からな
(冷たい)・浮き浮きした(しみじみし
り、第2因子は空しい・寂しいの2感情、第
た)・開放された(抑圧された)・ホットな
3因子は驚き・恥ずかしいの2感情、そして、
(クールな)・美しい(みにくい)・親しみ
−70−
感情イメージの研究 (V)
−SD法による感情イメージの検討−
表4.SD語の因子分解(VARIMAX解)
SD語
F1
F2
F3
陽気な
・沈んだ
0.860
0.195
0.115
明るい
・暗い
0.846
0.306
-0.106
生き生きした
・生気のない
0.813
-0.020
0.098
あたたかい
・冷たい
0.766
0.339
0.060
浮き浮きした
・しみじみした
0.733
0.005
-0.222
開放された
・抑圧された
0.697
0.312
-0.292
ホットな
・クールな
0.690
0.067
0.089
美しい
・みにくい
0.674
0.433
-0.101
親しみやすい
・親しみにくい
0.655
0.359
-0.031
軽やかな
・重々しい
0.645
0.336
-0.431
さっぱりした
・ねっとりした
0.597
0.337
-0.404
安定した
・不安定な
0.586
0.399
-0.167
穏やかな
・はげしい
0.095
0.824
-0.181
のんびりした
・せわしない
0.121
0.811
-0.122
のどかな
・緊迫した
0.405
0.740
-0.189
なごやかな
・とげとげした
0.513
0.694
-0.118
深みのある
・うすっぺらな
0.003
-0.008
0.799
複雑な
・単純な
-0.317
-0.148
0.683
変化にとんだ
・単調な
0.206
-0.274
0.565
やすい(親しみにくい)・軽やかな(重々し
18感情についてのSD語19尺度の評定平均
い)・さっぱりした(ねっとりとした)・安
値を表5に示す。これをSD語の因子分析の
定した(不安定な)の12のイメージ的意味か
結果から得られた感情に、共通して含まれる
らなり、第2因子は穏やかな(はげしい)・
感情の質(あるいは特性)に着目して整理す
のんびりした(せわしない)・のどかな(緊
ると次の通りであった。
迫した)・なごやかな(とげとげした)の4
3.1.感情の感性的な質(あるいは特性)
イメージ、第3因子は深みのある(うすっぺ
に関するイメージ
らな)・複雑な(単純な)・変化に富んだ
(単純な)の3つのイメージ的意味からなる
(1)苦悩感情(11)の特徴
苦悩感情として分類できる11の感情は、1
ものであった。
これらの因子は、感情に対する評定に元づ
感情(怒り)を除いて、いずれもすべてのS
くものであるので、18感情に共通して含まれ
D評定平均値は−0.00以下であり、全体とし
る質(あるいは特性)を表象していると考え
てはマイナスのイメージを持つものであっ
られる。ここから、第1因子により表象され
た。感情毎の特徴は次の通りである。
るものは感情の感性的質であり、第2因子は
苦しいの感情イメージは「重々しい」が−
感情の状態的質であり、第3は感情の評価的
1.80で最も強く、次いで「暗い、沈んだ」
質であると考えることができる。
が−1.50以下、「不安定な、ねっとりした、
親しみにくい」が−1.06以下を示した。屈辱
3.諸感情のSD評定平均値の結果
のイメージは「暗い、重々しい」が−1.50以
−71−
『人間科学研究』文教大学人間科学部 第20号 1998年 上杉
喬
下、次いで「ねっとりした、沈んだ」が−
が−1.36〜−1.13を示した。また、寂しい
1.40水準で「抑圧された、不安定な」が−
は、−1.50以下を示すものはなく、「沈んだ」
1.14以下であった。嫉妬は、「ねっとりとし
が−1.47、「暗い、不安定な、抑圧された」
た、重々しい、暗い」が−1.50以下で、「沈
が−1.39〜−1.09を示した。
(3)動揺感情(2)の特徴
んだ、抑圧された、不安定な、みにくい」な
動揺感情として分類できる2感情は、いず
どが−1.05以下であった。憎いは、「暗い、
ねっとりした」が−1.50以下で、次いで「み
れも評定平均値で−1.50以下(または1.50以
にくい、重々しい、沈んだ」が−1.40水準で、
上)の強いイメージを示すSD語がないこと
が特徴として示された。
「抑圧された」が−1.27であった。
恐れは、「暗い、不安定な」が−1.50以下
驚きは、「不安定な」の−0.42を除き、他
で、「重々しい、沈んだ、抑圧された、冷た
のSD語には0.26以上の平均値を示し、その
い」が−1.01以下であった。不安は、「不安
中では「生き生きした」が1.24で、それ以外
定な」が−1.59、次いで「沈んだ」が−1.47
の感性的質10尺度は0.85〜0.26に止まってい
を示し、さらに「抑圧された、暗い、重々し
た。また、恥ずかしいは、「不安定な」が−
い、ねっとりした」が−1.31以下であった。
0.68を示したが、それ以外の感性的質11尺度
後悔は、「沈んだ」のイメージが−1.57、ま
は−0.18〜0.43で、いずれも「どちらともい
た「暗い、重々しい、ねっとりした、抑圧さ
えない」とするものであった。
(4)充足感情(3)の特徴
れた」が−1.06以下であった。
悲 し みは、「沈んだ」が−1.53で、また
充足感情として分類した3感情は、1感情
「暗い、不安定な、重々しい、しみじみした」
(愛)におけるSD評定2語を除いて、いず
が−1.10以下であった。怒りでは、−1.50以
れの評定平均値も0.00以上であり、全体とし
下の強いイメージを示すものは見られず、イ
てはプラスのイメージをもつものであった。
メージとしては「沈んだ、重々しい、不安定
愛の感情イメージは、「生き生きした」が
な」が−1.38から−1.19を示した。なお、こ
1.55で最も強く、次いで「あたたかい」が
こでは一般にはプラスの意味を持つイメージ
1.45、また「美しい、ホットな、明るい」が
である「生き生きした、ホットな」がそれぞ
1.36〜1.08であった。満足の感情は、
「明るい、
れ0.63、0.54を示し、苦悩感情として区分さ
陽気な、あたたかい、生き生きした」が1.61
れる11感情の中で、特徴ある感情であること
〜1.52を示し、次いで「安定した」が1.42、
が示された。ためらいの感情では、−1.50以
「開放された、親しみやすい、さっぱりした、
下の強いイメージを示すものは見られず、イ
ホットな、浮き浮きした、美しい、」が1.31
メージとしては「不安定な」が−1.28を示す
〜1.05であった。喜びの感情では、「明るい、
にとどまり、それ以外のSD語11の評定平均
生き生きした」が1.89、1.86で強くイメージ
値は−0.90〜−0.20であった。嫌いの感情
され、次いで「陽気な、軽やかな、あたたか
も−1.50以下の強いイメージを示すものは見
い、開放された」が1.52以上で、「浮き浮き
られず、「暗い、冷たい、みにくい」が−
した、美しい、親しみやすい、安定した、ホ
1.17〜−1.04を示すにとどまった。
ットな」が1.20以上を示した。
(2)喪失感情(2)の特徴
3.2.感情の状態的質(あるいは特性)に
喪失感情として分類できる2感情は、いず
関するイメージ
れもSD評定平均値は−0.00以下で、いずれ
もマイナスのイメージをもつものであった。
感情の状態的質は、評定平均値が−1.00以
空しいの感情は、「生気のない」が−1.61
下ならば動的な状態(風雲急を告げる危機的
で 最 も 強 く 、「 暗 い 、 沈 ん だ 、 不 安 定 な 」
な状態)のものとしてイメージされ、1.00以
−72−
感情イメージの研究 (V)
−SD法による感情イメージの検討−
上ならば静的な状態(平穏無事な安心できる
充足感情が静的な状態(平穏無事な安心でき
状態)であり、−1.00〜1.00ならば、その中
る状態)を特徴とすることが示された。
愛は「なごやかな」が0.80、「はげしい」
間的(どちらにも当てはまらない、または感
が−0.36を示したが、いずれも中間的な状態
情状態によってどちらかに移る)状態である
を示すものであった。満足は「なごやかな」
と考えることができる。
(1)苦悩感情(11)の特徴
が1.49、「のどかな、穏やかな、のんびりし
た」が1.34〜1.17であった。また、喜びは、
苦悩感情11の感情の状態的質を表すSD語
4に対する評定平均値は、1感情(ためらい)
「なごやかな」が1.43で、「のどかな」が1.08
であった。
のSD評定1語を除き、全て−0.00以下であ
り、全体としてはこの感情が動的な状態(風
3.3.感情の評価的な質(あるいは特性)
雲急を告げる危機的状態)を特徴とすること
に関するイメージ
が示された。
苦しいは、「緊迫した」が−1.35を示した。
感情の評価的な質は、評定平均値が−1.00
屈辱では「緊迫した、とげとげした」が−
以下であるならば、その感情状態及び表出が
1.42〜−1.40、嫉妬は「緊迫した、とげとげ
一面的(単純)なものであり、1.00以上であ
した、はげしい」が−1.47〜−1.35、憎いは
るならば、それはニュアンスに富んだ多面的
「とげとげした、緊迫した、はげしい」が−
(複雑)なものであることを示し、−1.00〜
1.00ならば、その中間的(どちらにも当ては
1.51〜−1.42であった。
恐れの感情は、
「緊迫した」のイメージが
まらない、または感情状態によってどちらか
−1.52で強く、不安では、「緊迫した」が−
に移る)なものであると考えることができ
1.31を示し、後悔には−1.00以下のものはみ
る。
(1)苦悩感情(11)の特徴
られなかった。
悲しみの感情も−1.00以下のものは見られ
苦悩感情11の評定平均値は全て0.00以上で
ない。怒りの感情は動的な状態を強く示すも
あった。このことは、これらの感情が全体と
のとしてイメージされ「はげしい」が−1.75、
してニュアンスに富んだ多面的(複雑)なも
「とげとげした、緊迫した、せわしない」
のとしてイメージされていることを示すもの
であった。
が−1.56〜−1.51であった。ためらいはいず
れの状態も中間的(−0.41〜0.18)であり、
苦しいは、「深みのある、複雑な」が1.19
嫌いの感情では「はげしい」が−1.39、「と
〜1.07を示し、屈辱では「複雑な」が0.99、
嫉妬は「深みのある」が1.36で「複雑な」が
げとげした」が−1.26であった。
(2)喪失感情(2)の特徴
1.10、憎いは「深みのある」が1.00、恐れで
喪失感情の空しいと寂しいは、いずれも全
は「複雑な」が0.98、不安では「複雑な」が
て−0.16〜0.49の範囲にあり、静的と動的の
1.48を示し、後悔は「複雑な」に1.06で、悲
中間的状態を示すものであった。
しみは「深みのある」が1.31、「複雑な」が
(3)動揺感情(2)の特徴
1.13、ためらいでは「複雑な」が1.16であっ
た。怒りと嫌いでは1.00以上の評定は見られ
動揺感情の驚きと恥ずかしいはいずれも−
なかった。
1.00以下または1.00以上を示すものはなかっ
(2)喪失感情(2)の特徴
たが、驚きについては「はげしい」が−0.90
喪失感情では、いずれも−1.00以下や1.00
であることも示された。
(4)充足感情(3)の特徴
以上の評定は見られず、そのイメージは中間
充足感情では、愛の「穏やかな・はげしい」
のイメージを除き、他は全て0.13以上であり、
−73−
的なものであるが、空しいでは「変化に富ん
だ」が−0.94を示した。
『人間科学研究』文教大学人間科学部 第20号 1998年 上杉
(3)動揺感情(2)の特徴
喬
い、親しみにくい、クールな、複雑な、変化
に富んだ」の4つ、憎いは「クールな、生気
動揺感情では、驚きも恥ずかしいも評価的
のない、複雑な」の3つ、悲しみは「親しみ
な質に関しては中間的なものであった。
(4)充足感情(3)の特徴
にくい、はげしい、変化に富んだ」の3つで
あった。なお、怒りでは「ホットな、抑圧さ
充足感情では、愛が「深みのある」に1.53、
れた、冷たい、親しみにくい、生き生きした、
「複雑な」が1.04、「変化に富んだ」が1.01を
複雑な、変化に富んだ」の7つ、嫌いでは
示したが、満足及び喜びは、中間的なもので
「ねっとりした、クールな、親しみにくい、
あった。
抑圧された、生気のない、深みのある、複雑
4.諸感情のSD評定の標準偏差の結果
な、変化に富んだ」の8つの変動が大であっ
た。ためらいでは1.04以上の変動を示すもの
18感情についてのSD語19尺度の標準偏差
はなかった。
を表6に示す。ここで、標準偏差の最小は
(2)喪失感情(2)の特徴
0.36、最大は1.46で、小から大の順に並べる
と0.70が下位16%で、大から小に並べた上位
変動が小なものは、空しいでは「生気のな
16%は1.04であった。このことから、標準偏
い、冷たい」の2つ、寂しいでは「沈んだ、
差0.70以下は被験者間の変動が小であり、標
暗い」の2つであり、変動が大なものは、空
準偏差1.04以上は被験者間の変動が大とする
しいでは「うすっぺらな、単純な」の2つ、
ことができる。
寂しいは「親しみにくい、深みのある、複雑
(1)苦悩感情(11)の特徴
な、単調な」の3つであった。
(3)動揺感情(2)の特徴
被験者間の変動が小として上げられるの
変動が小なものは、驚きでは「陽気な、あ
は、苦しいでは「重々しい、暗い、抑圧され
た」の3イメージであり、屈辱では「暗い、
たたかい、美しい」の3つ、恥ずかしいでは
重々しい、沈んだ、ねっとりした、とげとげ
「みにくい」の1つであり、反対に変動が大
した」の5つ、嫉妬は「ねっとりした、重々
なものは、驚きでは「単純な、変化に富んだ」
しい、しみじみした」の3つ、憎いは「暗い、
の2つ、恥ずかしい」では「複雑な」の1つ
であった。
沈んだ、重々しい、ねっとりした、はげしい、
緊迫した、とげとげしい」の7つであった。
(4)充足感情(3)の特徴
また、恐れでは「暗い、不安定な、緊迫した」
変動が小なものは、愛では「生き生きした」
の3つ、不安では「重々しい、沈んだ、暗い、
の1つで、満足では「陽気な、明るい、なご
抑圧された、不安的な、とげとげした」の6
やかな」の3つ、喜びでは「陽気な、明るい、
つが、そして、後悔では「暗い、沈んだ、
生き生きした、あたたかい、なごやかな」の
重々しい、とげとげした」の4イメージであ
5つであった。また、変動が大なものは、愛
った。さらに、悲しみでは「沈んだ」が、た
では「浮き浮きした、開放された、重々しい、
めらいでは「クールな」の変動が小であった。
ねっとりとした、安定した、はげしい、のん
なお、怒りは感情の動的な状態を表わす「は
びりした、のどかな、複雑な、変化に富んだ」
げしい、せわしない、緊迫した、とげとげし
の10イメージに上がり、満足では浮き浮きし
た」の変動は小で、嫌いでは、標準偏差0.70
た、単調な」の2つ、喜びでは「穏やかな、
以下のものはなかった。
変化に富んだ」の2つであった。
反対に、変動が大として上げられるのは、
屈辱、恐れ、不安、後悔では「生気のない」
の1イメージ、苦しいは「生気のない、変化
に富んだ」の2イメージ、嫉妬は「生気のな
−74−
感情イメージの研究 (V)
−SD法による感情イメージの検討−
表5感情毎のSD語評定平均値
F1
SD語
陽気な感じ
・沈んだ感じ
明るい感じ
・暗い感じ
苦しい
屈辱
嫉妬
憎い
恐れ
不安
後悔
悲しみ
怒り
ためらい
-1.53
-1.42
-1.31
-1.46
-1.22
-1.47
-1.57
-1.53
-1.38
-0.85
-0.80
嫌い
-1.54
-1.60
-1.52
-1.64
-1.55
-1.32
-1.38
-1.26
-0.73
-0.86
-1.17
生き生きした感じ・生気のない感じ
-0.82
-0.58
-0.15
-0.20
-0.28
-0.66
-0.46
-0.39
0.63
-0.20
-0.07
あたたかい感じ ・冷たい感じ
-0.77
-0.88
-0.85
-0.98
-1.01
-0.83
-0.49
-0.77
-0.44
-0.22
-1.17
浮き浮きした感じ・しみじみした感じ
-0.92
-0.76
-0.35
-0.54
-0.57
-0.84
-0.88
-1.10
-0.25
-0.57
-0.43
開放された感じ ・抑圧された感じ
-1.52
-1.23
-1.30
-1.27
-1.20
-1.35
-1.06
-0.89
-0.64
-0.89
-0.57
ホットな感じ
・クールな感じ
-0.45
-0.40
-0.14
-0.43
-0.71
-0.50
-0.21
-0.44
0.54
-0.17
-0.67
美しい
・みにくい
-0.70
-0.96
-1.05
-1.49
-0.63
-0.64
-0.74
-0.10
-0.72
-0.24
-1.04
親しみやすい感じ・親しみにくい感じ
-1.06
-0.93
-0.78
-0.93
-0.88
-0.71
-0.34
-0.42
-0.71
-0.50
-0.69
軽やかな感じ
-1.80
-1.57
-1.61
-1.47
-1.39
-1.24
-1.31
-1.17
-1.21
-0.90
-0.89
さっぱりした感じ・ねっとりとした感じ -1.29
-1.45
-1.63
-1.56
-0.91
-1.01
-1.31
-0.72
-0.83
-0.76
-0.61
安定した感じ
-1.37
-1.14
-1.18
-0.98
-1.50
-1.59
-0.98
-1.26
-1.19
-1.28
-0.85
-1.15
-1.08
-0.99
-1.08
-0.99
-1.01
-0.89
-0.84
-0.58
-0.62
-0.75
・重々しい感じ
・不安定な感じ
平均
穏やかな感じ
-0.91
-1.13
-1.35
-1.42
-1.01
-0.61
-0.36
-0.47
-1.75
0.18
-1.39
のんびりした感じ・せわしない感じ
・はげしい感じ
-0.62
-0.62
-1.01
-0.73
-0.78
-0.82
-0.31
-0.18
-1.51
-0.18
-0.64
のどかな感じ
-1.35
-1.42
-1.47
-1.43
-1.52
-1.31
-0.61
-0.60
-1.51
-0.41
-1.06
なごやかな感じ ・とげとげした感じ
-0.94
-1.40
-1.38
-1.51
-1.02
-0.53
-0.54
-0.36
-1.56
-0.17
-1.26
平均
・緊迫した感じ
-0.96
-1.14
-1.30
-1.27
-1.08
-0.82
-0.46
-0.40
-1.58
-0.15
-1.09
深みのある感じ ・うすっぺらな感じ
1.19
0.82
1.36
1.00
0.80
0.84
0.86
1.31
0.76
0.56
0.18
複雑な感じ
・単純な感じ
1.07
0.99
1.10
0.88
0.98
1.48
1.06
1.13
0.43
1.16
0.31
変化に富んだ感じ・単調な感じ
0.39
0.38
0.40
0.14
0.53
0.86
0.14
0.30
0.61
0.67
0.10
平均
0.88
0.73
0.95
0.67
0.77
1.06
0.69
0.91
0.60
0.80
0.20
F2
SD語
陽気な感じ
・沈んだ感じ
明るい感じ
・暗い感じ
生き生きした感じ・生気のない感じ
F3
F4
空しい
寂しい 驚き
恥ずかしい 愛
-1.29
-1.47
-0.07
0.71
0.98
満足
喜び
1.58
1.66
-1.36
-1.39
0.74
0.03
1.08
1.61
1.89
-1.61
-0.93
1.24
0.42
1.55
1.52
1.86
あたたかい感じ ・冷たい感じ
-0.76
-0.90
0.39
0.26
1.45
1.54
1.63
浮き浮きした感じ・しみじみした感じ
-0.80
-1.09
0.79
-0.06
0.42
1.05
1.43
開放された感じ ・抑圧された感じ
-0.28
-0.65
0.76
-0.18
0.31
1.31
1.52
ホットな感じ
・クールな感じ
-0.68
-0.64
0.47
0.43
1.15
1.09
1.20
美しい
・みにくい
-0.55
-0.30
0.26
-0.13
1.36
1.02
1.40
親しみやすい感じ・親しみにくい感じ
-0.50
-0.52
0.49
0.04
0.95
1.28
1.35
軽やかな感じ
1.64
-0.37
-0.79
0.72
0.02
-0.60
0.90
さっぱりした感じ・ねっとりとした感じ -0.19
・重々しい感じ
-0.44
0.85
-0.14
-0.27
1.19
0.97
安定した感じ
-1.13
-1.34
-0.42
-0.68
0.13
1.42
1.22
-0.79
-0.87
0.71
1.29
1.48
0.49
0.36
-0.92
0.01
-0.36
1.26
0.62
0.71
・不安定な感じ
平均
穏やかな感じ
・はげしい感じ
0.58
-0.01
のんびりした感じ・せわしない感じ
0.31
0.23
-0.71
-0.34
0.13
1.17
のどかな感じ
0.30
-0.16
-0.56
-0.24
0.44
1.35
1.08
0.10
-0.09
0.22
0.16
0.80
1.49
1.43
・緊迫した感じ
なごやかな感じ ・とげとげした感じ
平均
0.30
深みのある感じ ・うすっぺらな感じ
複雑な感じ
-0.78
0.09
-0.49
-0.10
0.25
1.32
0.96
0.25
0.06
0.04
1.53
0.49
0.58
・単純な感じ
-0.22
0.44
-0.27
0.22
1.04
-0.82
-0.62
変化に富んだ感じ・単調な感じ
-0.94
-0.15
0.64
0.27
1.01
-0.25
0.12
平均
-0.65
0.14
0.18
1.19
-0.19
0.03
0.18
−75−
『人間科学研究』文教大学人間科学部 第20号 1998年 上杉
喬
表6感情語毎のSD語評定標準偏差
F1
SD語
憎い
恐れ
不安
後悔
悲しみ 怒り
ためらい 嫌い
陽気な
・沈んだ
0.67
0.66
0.82
0.65
0.72
0.67
0.63
0.65
0.84
0.73
0.87
明るい
・暗い
0.60
0.58
0.86
0.57
0.63
0.68
0.60
0.76
0.95
0.73
0.79
生き生きした
・生気のない
1.15
1.15
1.29
1.11
1.05
1.04
1.06
1.03
1.05
0.84
1.05
あたたかい
・冷たい
0.85
0.86
1.01
0.97
0.75
0.77
0.72
0.90
1.10
0.76
0.77
浮き浮きした
・しみじみした
0.81
0.88
0.70
0.81
0.79
0.92
0.78
0.82
0.73
0.80
0.77
開放された
・抑圧された
0.70
0.83
0.75
0.85
0.82
0.68
0.79
0.88
1.29
0.81
1.07
ホットな
・クールな
0.89
0.98
1.13
1.13
0.97
0.79
0.81
0.92
1.35
0.66
1.11
美しい
・みにくい
0.85
0.97
0.98
0.75
0.72
0.78
0.80
0.78
0.79
0.78
0.82
親しみやすい
・親しみにくい
0.94
0.83
1.14
0.90
0.85
0.99
0.92
1.10
1.09
0.93
1.09
軽やかな
・重々しい
0.41
0.58
0.68
0.68
0.71
0.65
0.65
0.76
0.75
0.84
0.85
さっぱりした
・ねっとりとした
0.78
0.66
0.66
0.70
0.90
0.73
0.77
0.82
0.91
0.86
1.16
安定した
・不安定な
平均
苦しい 屈辱
嫉妬
0.76
0.84
0.89
1.02
0.67
0.68
0.88
0.79
0.83
0.71
0.90
0.78
0.82
0.91
0.85
0.80
0.78
0.78
0.85
0.97
0.79
0.94
穏やかな
・はげしい
0.83
0.79
0.83
0.70
0.74
0.86
0.79
1.05
0.61
0.86
0.71
のんびりした
・せわしない
0.82
0.84
0.86
0.80
0.76
0.86
0.74
0.74
0.64
0.90
0.76
のどかな
・緊迫した
0.75
0.72
0.72
0.69
0.65
0.72
0.74
0.90
0.64
0.82
0.77
なごやかな
・とげとげした
0.71
0.70
0.74
0.61
0.73
0.69
0.69
0.81
0.63
0.71
0.77
0.75
平均
0.78
0.76
0.79
0.70
0.72
0.78
0.74
0.88
0.63
0.82
深みのある
・うすっぺらな
0.83
1.03
0.84
0.94
0.81
0.88
0.85
0.81
0.91
0.95
1.13
複雑な
・単純な
0.94
0.91
1.05
1.09
1.03
0.73
0.84
0.94
1.32
0.85
1.25
変化に富んだ
・単調な
平均
1.11
0.98
1.16
1.01
1.02
1.03
0.86
1.05
1.31
1.02
1.18
0.96
0.97
1.02
1.01
0.95
0.88
0.85
0.93
1.18
0.94
1.19
F2
SD語
F3
F4
満足
喜び
陽気な
・沈んだ
0.75
0.67
0.69
0.86
0.94
0.66
0.58
明るい
・暗い
0.74
0.68
0.73
0.86
0.90
0.55
0.36
生き生きした
・生気のない
0.70
0.92
0.73
0.86
0.65
0.72
0.38
あたたかい
・冷たい
0.70
0.79
0.68
0.75
0.79
0.71
0.56
浮き浮きした
・しみじみした
0.84
0.76
0.78
0.74
1.25
1.06
0.85
開放された
・抑圧された
0.97
0.91
0.78
0.91
1.10
0.81
0.73
ホットな
・クールな
0.73
0.77
0.71
0.78
0.88
0.86
0.84
美しい
・みにくい
0.76
0.75
0.57
0.68
0.81
0.79
0.74
親しみやすい
・親しみにくい
0.93
1.06
0.78
0.93
0.99
0.93
0.79
軽やかな
・重々しい
1.01
0.85
0.97
0.77
1.11
0.90
0.76
さっぱりした
・ねっとりとした
1.01
1.02
0.87
0.79
1.04
0.77
0.91
安定した
・不安定な
平均
空しい 寂しい 驚き
恥ずかしい 愛
0.95
0.85
0.94
0.89
1.46
0.88
0.96
0.84
0.84
0.77
0.82
0.99
0.80
0.71
穏やかな
・はげしい
0.79
0.88
0.83
0.76
1.35
1.00
1.19
のんびりした
・せわしない
0.74
0.78
0.86
0.84
1.04
0.83
0.92
のどかな
・緊迫した
0.79
0.91
0.98
0.94
1.07
0.76
0.87
なごやかな
・とげとげした
0.82
0.77
0.82
0.72
0.97
0.68
0.65
0.91
平均
0.79
0.84
0.87
0.82
1.11
0.82
深みのある
・うすっぺらな
1.19
1.16
0.90
0.80
0.75
1.01
1.03
複雑な
・単純な
1.31
1.16
1.21
1.13
1.10
0.93
0.92
変化に富んだ
・単調な
平均
1.02
1.06
1.24
0.96
1.14
1.33
1.12
1.17
1.13
1.12
0.96
1.00
1.09
1.02
−76−
感情イメージの研究 (V)
−SD法による感情イメージの検討−
考察
性的な質においても、状態的な質においても、
1.感情のイメージ的な意味構造としては、
また、評価的な質においても、平均値に示さ
マイナス感情およびプラス感情を背景とし
れるイメージの強さと、標準偏差に示される
て、より具体的に、①苦痛や悩みを伴うとい
人々の間でのイメージの一致度において、さ
う意味での苦悩感情、②心に穴が空いた状態
まざまな違いがあり、それぞれ独自の意味を
にあるという意味での喪失感情、③心の動揺
持つことも示された。
が伴うという意味での動揺感情、④心が満た
4.本研究は、感情語18とSD語19により実
された状態にあるという意味での充足感情に
施されたものであるが、例えばためらいや驚
区別できることが示された。この区分は、第
き、恥ずかしいに見るように、評定平均値の
1報から第4報で確認された感情をプラス
ほとんど又は全部が−1.00〜1.00の間にあり
v.s.マイナス感情の軸として捉えるアプロー
明確な特徴を示さない結果となったものがあ
チを一歩深め、感情イメージの心的機能との
った。また、感情語の多くがマイナス感情の
関連を明らかにしたものである。
ものでありプラス感情はわずかであった。今
後の検討課題である。
2.感情のイメージ的な意味を尺度上に具体
的に表すSD語(形容詞または形容動詞)の
(注)本研究は、上杉の指導により実施した
因子分析の結果は、諸感情に共通して含まれ
時田忠行氏の1996年度の卒業論文データを使
る感情の質として、①比較的直接に感性的に
用させていただいて、その一部を削除し、実
イメージされるという意味での感性的な質、
施したものである。記して感謝する次第で
②感情の動的な状態(風雲急を告げる危機的
す。
な状態)や静的な状態(平穏無事な安心でき
文献
る状態)をイメージさせるという意味での状
Carroll E.Izard(荘厳舜哉監訳)感情心理学
態的な質、③感情状態や感情表出が一面的
ナカニシヤ出版
大脇義一
(単純)なのか、または多面的(複雑)なも
上杉 喬・佐々木
のなのかの評価を伴うという意味での評価的
な質の区別があることが示された。これらは、
1996
感情の心理学
正宏
培風館
カード式投影法に
よる感情因子の基礎研究(体験と意識に関
する総合研究第1集14〜20
リップスLipps,T の対象感情、一般的状態感
上杉
情、布置感情にそれぞれ対応する面を持つと
喬
究第3号
考えられる。
上杉
3.苦悩感情に分類される諸感情のイメージ
1971
喬
1979
感情イメージの研究
22−38
人間科学研
1981
感情イメージの研究(Ⅱ)−労働
は、感性的イメージとしてはいずれもマイナ
場面における感情イメージ−人間
ス感情を特徴とし、感情状態としては動的な
科学研究第4号別冊29−401983
上杉
状態を特徴とし、また、多面的で複雑なもの
喬
感情イメージの研究(Ⅲ)−労働
とイメージされている。これに対し、充足感
場面における感情イメージの諸連−人間学
情に分類される感情はプラス感情を特徴と
研究第5号 11−20 1984
上杉
し、全体として感情状態は静的なものであっ
喬
感情イメージの研究(Ⅳ)−対象
による違いと性による違い−人間科学研究
た。また、喪失感情に属する感情は、感性的
イメージとしてはマイナス感情であるが、感
第11号
情状態としては、どちらかといえば静的状態
吉田正昭
1−11
を示すものであった。これらの結果は、感情
Ⅲ(第2章)
の分類区分毎に一定の傾向を持つことを示す
1973
ものであるが、同時に、より具体的なイメー
ジとしては、各分類区分に属する感情が、感
−77−
1989
情意実験法
心理学研究法4実験
43−104 東京大学出版会