スマートフォンの GPS ログを利用した移動時間予測システム 奥村 昌生 中西 通雄 Masao Okumura Michio Nakanishi 大阪工業大学 情報科学部 コンピュータ科学科 Department of Computer Science, Faculty of Information Science and Technology, Osaka Institute of Technology Email: [email protected] あらまし:スマートフォンの多くには GPS センサーが搭載されている。GPS 情報を記録し、Linux サー バ上のデータベースに蓄積して共有できるようにした。さらにその蓄積された GPS 情報をスマートフォ ン端末上で活用する為に、移動時間予測システムを構築した。 キーワード:スマートフォン、GPS ログ 1. はじめに 急速に普及してきたスマートフォンの多くには GPS センサーが搭載されているので、GPS 情報を容 易に取得できる環境になってきた。本研究では、 Android 端末で GPS 情報を記録し、Linux サーバの データベースに蓄積できるシステムを構築した。あ る地点からある地点へ移動するルートがありそのル ートの一部分がデータベースに蓄積されているとき、 それと同じルートを通りたい人はこのデータベース から同じルートの部分を動的に比較して表示できれ ば、目標時間に合わせて歩いたり自転車走行するこ となどが可能である。 2. 2.1 GPS ロガー スマートフォンのアプリとして実装し、ログ取得 開始ボタンが押されてからログ取得終了ボタンが押 されるまでの時刻、緯度、経度、高度、速度を位置 情報に変化があったタイミングで取得しファイルに 保存する。 2.2 GPS ログ蓄積・共有機能 Linux サーバ上で動き、アップロードされた GPS ログをデータベース上に記録する。またアップロー ドされた GPS ログ1つに対して 1 つの Web ページ が生成されるのでクライアントはブラウザ経由で GPS ログの詳細情報を見たり GPS ログをダウンロ ードすることができる。 システム概要 本研究では(1) 移動中の GPS 情報(以下移動ログ とする)を記録する Android 上で動作するアプリ 「GPS ロガー」 、(2)その移動ログを蓄積・共有する 為の Linux サーバ上で動作する Web アプリ、(3)その 蓄積された移動ログを利用する Android アプリのゴ ースト機能、(4)Web アプリの移動ログ比較検証・切 り出し・情報統合機能を実装した。 既に GPS ロガーの「My Tracks」や GPS ログを共 有する「ルートラボ」 「Garmin Connect」などのサー ビスが存在するが、本研究はそれらに「移動ログ比 較検証・切り出し・情報統合機能」や「ゴースト機 能」など、新たな機能を追加したものとなっている [1][2][3]。 図 1 システム構成図 枚方キャンパス前ショートコース 図 2 GPS ログ蓄積・共有機能画面 2.3 ゴースト機能 間の平均を取りそのルートを移動する予想時間の算 出や移動ログごとのタイムランキングが表示できそ のルートを通る人が参考にできる。 ゴーストと 自分の距離差 ログの一部分 を切り出す 速度 自分現在位置 距離 タイム 図 4 移動ログ切り出し機能 3. 開発環境など 開発環境などを以下に示す。 ゴースト 表 1 Android アプリケーションの開発環境など 開発 OS Windows7 IDE Eclipse 実行 Android バージョン 2.2 使用言語 Java プログラムステップ数 約 1500 ルートは赤い線 で表される 図 3 ゴースト機能画面 ゴースト機能(図 3)とは移動ログに記されている 地点を移動ログファイルの先頭から順にマップ上に アイコンを Android 端末画面上に表示させ、あたか もアイコンが移動ログのルート(道筋)を移動してい くように見せる機能である。以下このアイコンをゴ ーストと呼ぶ。この機能によりランナーやロードレ ーサーは自分や他の人の移動ログのゴーストと擬似 的に一緒に走ることができる。その結果ゴーストに ペースメーカーになってもらう事や、ゴーストと擬 似的に勝負することができるのでゴースト機能は練 習のモチベーションアップの為に使われることを想 定している。また画面にはゴーストと自分の距離差、 自分・ゴーストの速度自分・ゴーストの現在距離、 ルートの累計距離、ゴーストの累計タイム、経過タ イムが表示される。 2.4 移動ログ比較検証・切り出し・情報統合機能 Web アプリの移動ログ比較検証・切り出し・情報 統合機能を用いると、移動ログをアップロードする 際にアップロード済みの移動ログを指定することで ログ同士を比較できる。アップロードする移動ログ をログ A、既にアップロードされていて指定された 移動ログをログ B とすると、ログ B のルートの一部 をログ A が通っていたらログ B のログ A と被って いる部分を切り出す。そしてログ A の個別ページに ログ B の切り出した部分の情報(タイムなど)を統合 する機能である(図 4)。それにより 1 つのルートに対 して複数の移動ログが存在することとなり、累計時 表 2 Web アプリケーションの開発環境など 4. 開発 OS Windows7 IDE NetBeans IDE 使用言語 PHP 動作 OS CentOS プログラムステップ数 約 1000 評価 スポーツとして日常的に自転車に乗っている人 5 人を対象に、Android アプリのゴースト機能を実際 に利用してもらいアンケートに回答、という方法で 評価を行った。評価結果として、 「ゴーストはトレー ニング等で有用であるか」という問いに対して回答 者全員から「大変有用」 「有用」という回答を得られ た。また「改善して欲しい点」に関して「地図が小 さい」 「一時停止ができたほうがいい」などの意見を 得られたので今後の課題としたい。 5. 参考文献 [1]My Tracks https://play.google.com/store/apps/details?id=com.googl e.android.maps.mytracks&hl=ja [2]Garmin Connect http://connect.garmin.com/ [3]ルートラボ http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/
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