クラウドサービス 第1章 はじめに 第2章 研究の展開

クラウドサービス
所属:数学・情報系ゼミ
2 年 4 組 37 番
松原
雅
第1章 はじめに
第1節
テーマ設定の理由
近年よく耳にするクラウドとは何か。自分はクラウドを知らなかったが、このシステ
ムとサービスはインターネットをさらに便利なものにするに違いないと感じた。
そこで、クラウドについて情報を集め、クラウドがいま社会でどう役立っているのか、
私たちにどんな恩恵をもたらすか考えたいと思い、テーマを設定した。
第2節
研究のねらい
クラウドの具体的利用例(主にサービス)を知る。
また、クラウドの利便性とわたしたちへの危険性を考える。
第3節
第1項
研究内容と方法
研究の内容
以下の3つの内容で構成する。
① クラウドそのものの調査内容
② クラウドサービスなどの利用例
③ クラウドのメリットと今後の可能性、および気をつけるべき点
第2項
研究の方法
本とインターネットのサイトにより情報収集。
第2章
第1節
研究の展開
クラウドとは何か
ときおりCMなどで耳にしたり、雲のイメージを伴って現れたりする「クラウド」 と
いう単語は、「クラウドコンピューティング」という言葉の略称である。 これはネット
ワークをベースとしたコンピュータ資源の一利用形態であるとされる。
クラウドと聞くといかにもインターネット上の新しいシステムのように思われる人
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も多いと思う(自分もそうであった)が、実際クラウドについての定義は多様 で、ただ
既存のサービスに新しい名前を付けただけだという考えさえある。 ただし、アメリカ国
立標準技術研究所では次のように定義してはいる。
「クラウドコンピューティングとは、ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリ
ケーション、サービスなどの構成可能なコンピューティングリソースの共用プールに対
して、便利かつオンデマンドにアクセスでき、最小の管理労力またはサービスプロバイ
ダ間の相互動作によって迅速に提供され利用できるという、モデルのひとつである。こ
のクラウドモデルは可用性を促進し、5 つの基本特性と、3 つのサービスモデルと、4 つ
の配置モデルによって構成される。」
くどい定義だが、自分なりに噛み砕けば、
利用者のソフトウェアや、ストレージ(記憶装置のこと)やサーバーなどのハードウ
ェア、データまでも提供者が一か所にまとめて用意し、利用者はそれらを使いたいとき
にインターネットを通じていつでも即座に利用できるという利用形態
とでも言えよう。
なお「クラウド」の名称は、システム構成図においてインターネットの向こう側を雲
のマークで表す慣習から来ている。
第2節
クラウドサービスの概要
第 1 節で記したように、私たちはクラウドの利用により、自分でソフトやハードディ
スクなどを購入する手間が省かれ、インターネット上から提供されたソフトや仮想のス
トレージを用いることが可能になる。
これらのサービスは、プロバイダー(サービス事業者)にあたる企業などが設置した
「データセンター」という施設の中で、大量のサーバーや通信設備などが 用意され提供
される。
クラウドの利用者は提供者と契約して、利用料金を支払う代わりにサービスを受けら
れる。このサービスは主に次の三種類に分類される。(以下 IT 用語辞典より引用)
① SaaS
(サース:Software as a Service)
ソフトウェアを通信ネットワークなどを通じて提供し、利用者が必要なものを必要
な時に呼び出して使うような利用形態の事。
例:電子メールサービス、各種検索サービス、オンラインゲーム
② PaaS
(パース:Platform as a Service)
アプリケーションソフトが稼動するためのハードウェアや OS などの基盤(プラット
フォーム)一式を、インターネット上のサービスとして遠隔から利用できるようにした
もの。また、そのようなサービスや事業モデル。
例:業務用システムなどの開発ソフト・稼働環境、データベース
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③ IaaS
(イアースまたはアイアース:Infrastructure as a Service)
情報システムの稼動に必要な機材や回線などの基盤(インフラ)を、インターネット
上のサービスとして遠隔から利用できるようにしたもの。また、そのようなサービス
や事業モデル。
例:サーバー仮想化、デスクトップ仮想化
※仮想化:ソフトウェアによって、疑似的に一定のハードウェア(装置)が存在するよ
うな状況を提供すること。(知恵蔵 2014 より表記を一部変更して抜粋)
このように、なんとハードウェアやインフラといった、形あるもので構成されている
はずのものまでデータセンターを通じて提供されうるのだ。サービスの内容自体は利用
プランやプロバイダーごとに差があるうえ、PaaS と IaaS は個人単位で利用する機会は
あまりないと思われるが、提供されるサービスはかなり幅広いと分かる。
サービスの具体的内容については第 4 節で触れる。
第3節
クラウドサービスの恩恵
この節ではユーザー視点でのクラウドサービスによる主な恩恵・利点を紹介する。
○ハードウェアやソフトウェア、設備の保有・設計・開発・保守・管理が不要
○最新バージョンのアプリケーション・ソフトウェアが利用可
先に説明したとおり、これらサービスは「インターネットの向こう側」から提供さ
れ、プロバイダー側が保守管理してくれる。ユーザーはディスクなどを買う手間やア
ップデートデータのインストールの手間が省ける。
○利用料金を削減できる
利用できるデータ容量・サービスなどは課金により増やすことができる。よって必
要分だけ利用できるようにユーザー側が料金を調整することで安価に利用可能。
○ネットワークに接続すれば場所を問わず自己のデータにアクセスできる
さらにパソコンやスマートフォンなど、端末が異なってもデータ・ファイル・アプ
リなどを共有できる。
○端末などが壊れてもプロバイダー側がデータを保持する
これはサービスにもよるだろうが、ほとんどのサービスはデータをプロバイダー側
が保持してくれる。
第4節
サービスの具体例
この節では、日本の大手携帯三社のクラウドサービスパックと、理系研究者向けの時
間節約に使えるアプリケーションを紹介する。
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第1項
携帯三社のサービス例
○docomo(NTT)の場合
(個人ユーザー向け「ドコモクラウド」、月額 300 円)
・ドコモ電話帳
・ドコモメール
・フォトコレクション
・スケジュール&メモ
・データ保管BOX
企業向けサービスではないので、SaaS が主なサービス内容である。挙げてはいない
が、セキュリティ面のサービスも別途利用可能(ドコモあんしんスキャンなど)。
なお、
「データ保管BOX」と「フォトコレクション」ではプロバイダー側でデータ
を保管してもらえるが、無料では 5GB、課金により 55GBまでの容量を利用できる。
○ソフトバンクの場合
(企業向け「ホワイトクラウド」、一部抜粋)
SaaS
・Google Apps
・メールサービス
・Prime Drive
(ストレージサービス)
・ビジュアモール
スマートカタログ
・スマートフリート
(ドキュメント)
(位置情報サービス)
・ビデオカンファレンス
IaaS
・仮想サーバー・デスクトップサーバー
・デスクトップサービス
・Web サイト・アプリケーション高速化ソリューション
・Smart VPN
(ネットワーク)
ゲートウェイ
(データのやり取り時のサービス)
・ワンタイムパスワード、フィルタリング
・アクセスコントロール
・HTTP ウィルスチェック for Enterprise
・Web アプリケーションファイアウォール
さすがに企業用のサービスパックであるだけあり、IaaS も含まれている。Smart VPN
というクラウド向け VPN サービスが用意されているのも特徴か。個人向けに提供され
るサービスパックは見当たらなかった。
*VPN:
「仮想プライベートネットワーク」。通信事業者の公衆回線を経由して構築され
た仮想的な組織内ネットワーク。また、そのようなネットワークを構築できる
通信サービス。
(斜体部 IT 用語辞典より引用)
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○au(KDDI)の場合
(個人ユーザー向け)
・au スマートパス(月額 372 円)
ゲーム・スポーツ・健康・写真・ビデオ・地図などのアプリ利用権や、ウイルス
バスター、データストレージ(追加課金無しで 50GB まで)、au WALLET カードの
補償を利用可能。
・ビデオパス、うたパス、ブックパス、アニメパス、 Disney pass
個人向けなので docomo と同様の、SaaS を主としたサービスである。
「パス」と名の
ついた使いたい放題を打ち出したサービスもある。
第2項
時間の有効利用に役立つサービス例
このクラウドサービスをうまく活用することで、ファイルデータやメールの管理、
自分の思考のメモの整理が短時間で可能になるかもしれないサービスを挙げる。
主に理系研究者向けだが、そうでない人にも大いに役立つはずである。
○Dropbox
クラウド上のいわゆる「ハードディスク」ともいえるソフト。
「Dropbox ファイル」に入れたデータをインターネット上のサーバーで保管し、
Dropbox をインストールしてある何台かのパソコンやスマートフォン間でファイル
を同期できる。データ容量は 2GB まで無料。
これによりノートパソコン・USB メモリを持ち歩かなくとも、スマートフォンや
タブレットからファイルを閲覧でき、素早く論文や資料を参照できる。
クラウドサービスの中でも代表的なものである。
○Evernote
文字・画像・添付ファイルなどをクラウド上に保存できるメモツール。
ブラウザページもクリッピングしてノートとして保存可能。さらに追加のメモを
ノートに貼り付け補注代わりにすることもできる。
これにより、図表とその説明をノートに入れることで、説明に苦労する図表など
の説明過程を思い出す手掛かりにしたり、ふと思いついたアイデアを記して発想の
種をノート上に集めておいたりすることができる。すなわち、頭の中でたくさん記
憶する手間を省ける。
また保存したノートをフォルダに整理し、タグをつけることで簡単に検索するこ
とができる。
その上画像から日本語、英語の文字列抽出が可能である。 うろ覚えのキーワード
から資料を探すときに役立つ。
なお、容量はやや小さい。
○G メール
(Google メール)
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メールの管理が可能。特徴は「ラベル」を付箋代わりとしてメールにつけられ る
ことと、フィルターを設定し、条件に応じて自動でラベルの貼り付け、削除、転送
が行えるところである。
受信メールを重要度ごとに分けるなどして、必ず見る必要のあるメールを素早く
探し出す、またフィルターに重要度の選別や見る必要のないメールの削除を任せ、
自分はメールを手動管理せず、見るだけでよいという状況を作り出す、といったこ
とが可能となる。
事実、メール処理で時間を大きくロスする人もいるという。退屈なメール処理で
時間を奪われないためにこういったサービスが役立つだろう。
○RTM
(Remember the Milk)
タスク管理ソフト。やるべきアクション・計画を一覧表にできる。
さらに、リマインダにより、アクション実行の時間が近づいたときに予定を予告
してくれる機能がある。
もう計画表なども必要なくなるかもしれない。
(※上記 4 ソフトの情報は 2011 年末のものである)
第5節
クラウドの危険性
ここまで紹介してきたクラウドも、インターネットを介する利用形態であるため、い
くつかの欠点、なかには致命的なものも有している。この節ではその欠点を挙げる。
① 自己でソフトのカスタマイズ、運用変更などができない
サービスはプロバイダーから提供されるので、ユーザー側で使いやすいようにカ
スタマイズを行おうとすると、プロバイダーに拒否される。「借り物」に近いイメー
ジといえる。
② プロバイダー側のトラブルやネットワーク障害がおこると、クラウドサービスにソ
フトやデータ管理を依存しているときには機器利用が不可能になる恐れがあ る
③ ストレージサービスなどによりデータが一か所に集中する
自分が思うに最も重大なリスク。各個人・企業のパソコンなどの単位に集められ
ていたデータが、データセンターのコンピュータに集積されるため、特に以下のセ
キュリティリスクに気を付けなければならない。
・プロバイダーがハッカーの格好の攻撃対象になること。
・政治的利用などで容易に政府などに個人情報が渡ること。
個人のデータだけでなく、クラウド上には銀行、ビジネス、医療などのデータま
で集まっている。それゆえプロバイダーが ハッカーに攻撃されるだけで莫大な量・
種類の個人情報・企業機密が流出しかねない。また、もし政府がプロバイダーの企
業と手を組めば、有事の際は政府側に有利に働くよう、秘密裏に大規模なプライバ
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シー侵害がおこるとも限らない。
クラウドの利用は以上のリスクを踏まえたうえで行われなければならないだろう。
第3章 感想
第1節
まとめ
研究のまとめ
クラウドコンピューティングの利用はユーザーがソフトウェアやハードディスク、サ
ービスによってはサーバーを用意する手間を省く(もっともサーバーは企業単位の話だ
が)。さらにクラウド上にデータを保存することで容易にデータの共有が可能となり、
データの運用が非常に手軽にできる。
クラウドの利用は間違いなくインターネットの利便性を大いに高めるだろう。
活用が進めば、データの共有により書類をほとんど介さずとも行政、医療、ビジネス
などの分野で個人や地域の情報が素早く共有され、行政・医療サービスの質の向上、コ
ストや時間の削減につながるはずだ。個人利用においても、アプリを使う分に応じて機
能等を絞ってサービスを受けることで、より安い価格で満足のいく機器利用が可能とな
り、さらに旅行や出張などの出先でスマートフォンやタブレットさえあればメモリがな
くとも写真や資料の出し入れが可能となり、プレゼンテーションの準備も、旅行の思い
出作りも簡単になる。
ネットワークの利便性を高めているクラウドだが、その欠点も致命的なものがあり、
特に、進むデータの一点集中は長くネットワークの問題点とされてきたプライバシーの
問題を大変重大な問題に悪化させてしまった感じもする。ハッカーの攻撃に遭えば、 一
つのサービス提供企業から莫大な量の個人情報が流れ出ても不思議ではない。
クラウドによりさらに便利になったインターネットに、我々は「諸刃の剣」として慎
重に接し、重い自己責任を負いつつも活用していくことが求められているように感じた。
第2節
感想
便利便利と思っていたクラウドが、実はその語の登場以来定義自体があいまいである
ことにまず軽く驚いた。あまり活用されてもいないようで、実際私の身の回りでも「ク
ラウド使っています」という人は見かけない。中身はわからないが聞いたことのある語
を詳しく調べることができたのはうれしい。
私は携帯端末を持っていないため、クラウドの利便性に 関しては正直実感のわかない
面も多くある。しかしそのリスクは知ることができた。これで大人になってからインタ
ーネットに対する姿勢に良い影響を与えられるだろう。
私個人でためになった研究だった。
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参考文献・資料
○書籍
「史上最強カラー図解
監修
三木哲也
プロが教える通信のすべてがわかる本」
発行
田村正隆
「理系のためのクラウド知的生産術
著者
堀正岳
発行
鈴木哲
ナツメ社
2011/8/9 発行
メール処理から論文執筆まで」
講談社
2012/1/20 発行
○Web ページ
クラウドコンピューティング-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%82%B3%
E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
IT 用語辞典
e-Words
クラウドコンピューティング
http://e-words.jp/w/E382AFE383A9E382A6E38389E382B3E383B3E38394E383A5E383BC
E 38386E382A3E383B3E382B0.html
SaaS
http://e-words.jp/w/SaaS.html
PaaS
http://e-words.jp/w/PaaS.html
IaaS
http://e-words.jp/w/IaaS.html
ドコモクラウド
サービス・機能
NTT ドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/service/docomo_cloud/index.html
クラウドコンピューティング
ソフトバンク
法人のお客様向けサービス
http://tm.softbank.jp/cloud/
au スマートパス
コンテンツ
au
http://www.au.kddi.com/content/smartpass/?bid=we-we-dd-0014
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