石炭基礎講座 「石炭の液化」 1.はじめに 2.石炭液化の基礎 ① 石炭の分類と構造 ② 石炭液化の基礎 ③ 石炭液化触媒 3.石炭液化の実際 ① 石炭液化の歴史 ②米 米・欧・日における主要な石炭液化プロセス 欧 日における主要な石炭液化プロセス 4 石炭液化の現状と今後の展望 4.石炭液化の現状と今後の展望 産総研 斎藤郁夫 1 国際原油価格の推移 アラビアンライト価格 (ドル/バレル) 直近 (2011.3) 110.2 ドル/バレル 140.0 過去最高値 (2008.7) 134.1 ドル/バレル 120.0 100 0 100.0 80.9.9 イラン・イラク戦争勃発 60.0 40.0 1960年代は1.8ドル/バレル時代、その後第一 次、第二次石油ショック、湾岸戦争等を経て原油 価格が乱高下の傾向となり、2008年7月には過 去最高価格の134ドル/バレル 最近も高値傾向 03.3.20 米国主導のイラク攻撃開始 80.0 第二次石油ショック時の 最高値:34 ドル/バレル 第一次石油ショック時の 最高値:11.65 ドル/バレル 湾岸戦争時の最高値: 32 49 ドル/バレル 32.49 20.0 73.10 第4次中東戦争勃発 79.2.11 イラン暫定革命政府樹立 00 0.0 1965 1970 安定期 1~2ドル/バレル時代 1975 1980 1985 第一の構造変化 石油ショックへの対応 90.8.2 イラクのクウェート侵攻 1990 1995 01.9.11 米国同時多発テロ事件 2000 安定期 13~19ドル/バレル時代 2005 (暦年) 2010 第二の構造変化 構造的な需給逼迫 http://www.kakimi.co.jp/4kaku/0spot.htm http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2007energyhtml/html/1-1-1-2.html をもとに作製 各種資源が利用可能となる価格水準 ドル/bbl ドル/bbl OPEC Middle East 6-18 EOR 25-61 Other OPEC 12-25 バイオ燃料(サトウキビ) 35-58 在来型原油 12-31 オイルサンド 59-69 FSU(旧ソ連) 16-35 GTL 74-94 ベネズエラ重質原油 18-29 CTL 82-122 池ヶ谷清貴、石油・天然ガスレビュー,「実は安い上流コスト」(2009年5月20日)中の図12をもとに作成 2 石炭基礎講座 「石炭の液化」 1.はじめに 2.石炭液化の基礎 ① 石炭の分類と構造 ② 石炭液化の基礎 ③ 石炭液化触媒 3 石炭液化の実際 3.石炭液化の実際 ① 石炭液化の歴史 ② 米・欧・日における主要な石炭液化プロセス 米 欧 日における主要な石炭液化プロセス 4 石炭液化の現状と今後の展望 4.石炭液化の現状と今後の展望 3 2.石炭液化の基礎ー石炭の分類と構造 石炭類の構造単位体モデル 無煙炭 脂肪族成分 芳香族成分 O O 褐 炭 瀝青炭 B 亜瀝青炭 無煙炭 瀝青炭 O 脂肪族成分 亜瀝青炭 OH CH3 HO CH2 芳香族成分 HO 冶金用 コークス 瀝青炭 A OH 褐 炭 CH2 CH3O 各種石炭類の13C-NMRスペクトル CHOH O H2C O O C=O CH2 褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭と石炭化度 の進行につれ芳香環縮合構造が発達 CHOH ◆石炭の分類 CH 無煙炭 瀝青炭 亜瀝青炭 褐 炭 : : : : CH2CCH2OH O 炭素の 濃縮の程度に よる分類 = HOOC C:91% C 91% 35 2 MJ/k 35.2 MJ/kg(発熱量) (発熱量) C:83-91% 33.9-35.2 MJ/kg C:78-83% 30.6-33.9 MJ/kg C:70-78% 24.3-30.6 MJ/kg 濃縮の程度 高 低 あ む えん たん れき せい たん あ れき せい たん 無煙炭 瀝青炭 亜瀝青炭 かっ たん 褐 炭 瀝青炭 利用のされ 方による分類 原料炭 製鉄の原料として利用 一般炭 主に発電用ボイラーなどで利用 無煙炭 練炭や豆炭などに利用 たん 亜 炭 でい たん 泥 炭 褐炭 4 石炭の液化 (Coal to Liquids-CTL) 石炭間接液化 石炭をガス化して合成ガス ((H2+CO)液体燃料へ )液体燃料 石 炭 FT合成 ガ H2 + CO 化 ス 合成ガス 液化油 石炭 炭 熱 分 +H2 解 水 石炭直接液化 熱分解水素化反応が基本 水素による安定化で低分子化 アップグレーディング 素 化 改質 液化粗油 液化油 5 間接液化-FT合成反応機構 Initiation 吸着 Chain growth & termination CO CH2 + H2O * * CH2 * C2H4 +H2 C2H4 C3H6 +H2 CH4 カルベン H H C H H C H O 水 [CH2] + H2O H H C H H C H H C H H C H H C H H C H 重合 カルベン H H C 成長中のアルキル基 (大澤伸行(2007.6.20)環境に優しいエネルギーの安定供給に向けて資料より) C2H6 C3H8 * +CH2 *:触媒 Chain growth 水素 CO + 2H2 * +CH2 C3H6 H H 触媒 +CH2 +H2 O FT合成反応における連鎖成長 確率と炭化水素の炭素数分布 100 Selectivity y (C-mass%) CO H C23-C100 C1 80 C12-C22 C5-C11 60 C2-C C4 40 20 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 Chain growth probability (α) 1.0 6 石炭間接液化 SasolーCTL について(1) Sasol社は、これまでCTL事業を推進。 Sasol1:1950年代半ばにサソールバーグにガソリン生産能力6,000バレル/dの工場設備を完成、運転。 Sasol 2/Sasol 3:1980年と1983年にセクンダに設備を完成、運転。現在約160,000バレル/d生産。 Sasol 4計画:Project Mafutha, 8万BPD Project Mthombo(Petro SA, 40万BPD精油所建設計画 at Coega) ジンバブエ 炭田 1. Limpopo, 2. Southpansberg, 3 W 3. Waterberg, t b 4 S 4. Springbok i b k Flats, Fl t 5. Witbank, 6. Vryheld-Utrecht, 7. Klipriver, 8. Vereeniging, 9. Orange Free State, 10 Natal 10. Natal, 11. 11 Indwi I d i Molteno Molte o 1 ボツアナ Sasol 4計画 (Project Mafutha) Steenbokpan 2 3 ヨハネスブルグ 4 モザンビーク Sasol 2, 3 Secunda 5 8 6 スワジランド ナミビア 9 7 10 レソト 南アフリカ Sasol 1 Sasolburg ダーバン 11 Mthombo精油所 建設計画 Coega ケープタウン ポートエリザベス 7 SasolーCTL について(2) Pipeline gas Sasol process(HTFT) in South Africa Ethylene NETL:Gasifipedia, http://www.netl.doe.gov/technologies/coalpower /gasification/gasifipedia/TOC.htmlをもとに作成 Polyethylene Ethane cracker Polyethylene plant Methane Coal Sasol history Propylene Polypropylene Polypropylene plant Gas reforming Separator Steam Crude gas Gasification Gas purification Co-product processing Reactor 1-Pentene, 1-Hexene, 1-Octene Refinery Ammonia Ammonia recovery Xylenols, phenols, cresols Phenolics α-olefins plant Tars & pitch Petrol/Diesel LPG, propane, butane Jet fuel, Fuel oil Illuminating paraffin Tars & pitch purification Sulfur Sulfur recovery Parliament investigation 1947 SA Liquid Fuel & Oil Act 1950 Government established Sasol 1951 Construction of Sasol 1 started 1956 Sasol's Sasol s first oil 1980 Completion of Sasol 2 1983 Completion of Sasol 3 2006 Completion of Qatar GTL 2009 Commissioning g of Nigeria g GTL 2013 Commissioning of China CTL Chemical work-up Alcohol, acetic acid, ketones, acetone Oxygen 1927 Green & Calcined coke Carbon production Improving GTL/CTL technology high temperature processes(HTFT) gas phase reactions & products gasoline & light olefins the Sasol Synthol reactor 1950年-1987年 2,000-6,500 bbl/d the Advanced Synthol reactor 1989年 to present 11,000-20,000 bbl/d low temperature processes(LTFT) liquid phase reactor products mostly diesel the Arge tubular reactor 1950年-1985年 500-700 bbl/d the Sasol slurry phase reactor 1993年 to present 2,500-17,000 bbl/d Co-LTFT 不飽和炭化水素(olefins) Fe-LTFT Fe-HTFT 9.0 23.8 57.1 90 1 90.1 70 5 70.5 26 5 26.5 含酸素化合物(oxygenates) 1.0 5.7 10.7 芳香族化合物(aromatics) 0.0 0.0 5.7 飽和炭化水素(alkanes) P.Gibson, Coal to Liquids at Sasol, Kentuckey Energy Security Summit, CAER’s 30th Anniversary, 2007.10.11 8 石炭直接液化 H/C の増加 SRC EDS H-Coal 石炭 SRC水添物 SRC-Ⅱ EDSガソリン 重油 アスファルト 石油製品 ガソリン 1.0 0.5 原子比 H/C 1.5 2.0 石炭 石炭液化油 石油の水素/炭素原子比 (H/C) 石炭、石炭液化油、石油の水素/炭素原子比 石炭液化のメカニズム, NEDO News, No.9, 32 (1988)より作成 芳香族系炭化水素 パラフィン系炭化水素 HO 熱分解・水素化 (+H) CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3 ナフテン系炭化水素 C2H5 H/C : 0.5-1.1 H/C : 1.4-2.0 9 石炭構造概念と熱的に切断されやすい結合部位 各種結合エネルギーの値 結合エネルギー (kJ/m l) (kJ/mol) 分子式 結合エネルギー (kJ/m l) (kJ/mol) 分子式 C6H5CH2- CH2C6H5 198.0 C6H5-OC2H5 357.0 C6H5CH2- SCH3 213.0 C6H5-OCH3 360.0 C6H5CH2- C2H5 260.0 C6H5CO-OCH3 360.0 C6H5CH2- CH3 264.0 C6H5-CH3 364.0 C6H5CH2- COCH3 264.0 C6H5-OC6H5 376.0 C2H5-SC2H5 289.0 C6H5-C2H5 381.0 C6H5CH2-OH 306.0 C6H5-H 427.0 C6H5CH2-C6H5 320.0 C6H5COO-H 427.0 C2H5-OC2H5 322.0 C6H5-C6H5 431.0 C6H5CH2-H H 327 0 327.0 C6H5-OH OH 448 0 448.0 ベンジル位(C6H5-CH2-)が結合エネルギー が小さく、熱的に切断されやすい。 芳香環に直接結合している部位は結合エネ ルギ が大きく 熱的に切断されにくい ルギーが大きく、熱的に切断されにくい。 O 小竹無二雄監修、大有機化学別巻2(朝倉書店)537(1963)から抜粋し、単位をkJ/molに変換 HO HO O CH2 CH2 O CH2 CH2 HO H3C O H CH2 CH2 O CH2 CH2 OH CH2 CH2 O S CH2 O 77.1% 水素(H) 5.6% 酸素(O) 14.0% CH2 O 窒素(N) 0 6% 0.6% C=O 硫黄(S) 2.7% OH :熱的に切断されやすい部位 CH2 CH2 CH2 炭素(C) S CH2 O O CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 N 元素分析値(計算値) CH2 CH2 O H CH2 O CH2 O O O H H 10 石炭直接液化の原理 ・ ・ ・ ・ 解 重 縮 縮 H ・ 水素供与性溶剤 水素による安定化 H H H H 液化油 H アップグレーディング 合 液化粗油 熱分解フラグメント 重 縮 合 重 H 熱 的 分 解 重 縮 合 分 的 熱 H ・ ・ ・ 構造単位体 合 架橋構造 石炭 石炭液化のメカニズム, NEDO News, No.9, 32 (1988)より作成 チャーまたはコークス 熱分解による軽質化反応(水素による安定化)と重縮合反応の競争 11 熱分解により生じるラジカルの水素による安定化機構 水素供与性溶剤 供与性水素 CH2 H H ○テトラリンのような水素供与性溶剤 ○溶剤から水素供与、生成ラジカル安定化 ○テトラリンはナフタレンへ変化 ○水素源は水素供与性溶剤 H a) 水素供与 H H H CH2・ O H H H ・O H H H H H CH2 CH2 CH2 b) 水素シャトリング H H H H O CH2 CH2 シャトラー H H H H CH2 CH2 HO CH3 CH2・ ・O CH2 CH2 ○石炭自身が水素の供給源(ヒドロ芳香族部分) ○その部分の脱水素による水素、生成ラジカル安定化 ○多環芳香族化合物が水素移行を媒体(シャトラー) ○元に戻る(シャトリング) ○水素源は石炭 CH3 HO H H 石炭中のヒドロ芳香族部分 CH2 CH2 c) 水素移行 H H H H CH2 H H CH2・ O H H H CH2 2H2 水素源は水素ガス CH2 ○気相水素が溶剤分子と反応し水素供与性溶剤へ ○その後は水素供与型モデルと同様 ○溶剤は再び気相水素により供与性溶剤へ再生 ○水素源は気相水素 ・O CH3 H H H H H CH2 CH2 HO H H CH2 CH2 CH2 CH2 12 真田雄三、石炭液化溶剤の設計、燃料協会誌, 62(671), 160(1983)をもとに作成 一般的な石炭液化プロセスフロー ガス 循環溶剤 (触媒) 石炭 乾燥 粉砕 ① 予熱 ② 液化 反応 ③ 水素 気液分離 蒸 留 ④ 液化油製品 (残渣) ⑤ ガス化 石炭液化のメカニズム, NEDO News, No.9, 32 (1988)より作成 灰 石炭の熱分解・水素化を効率的・合理的・連続的に行わせるには プロセス化が必須 ① ② ③ ④ ⑤ 粉砕された石炭が溶剤と混合されスラリー化 ポンプにて加圧、水素とともに予熱器を経て反応器へ ポンプにて加圧、水素とともに予熱器を経て反応器 水素圧力:10~30MPa、反応温度:400~480℃ 反応後気液分離を経て蒸留工程で製品へ 未反応炭を含む残渣はガス化あるいは燃焼へ 13 実用的な反応器と触媒-石油精製技術の転用- Trickle bed 固定床型 触媒層固定 反応液滴下 応液滴下 Ebullated bed 沸騰床型 触媒沸騰状流動 Slurry phase スラリー床型 (懸濁床型) ガス/触媒 石炭/溶剤 ガス/触媒・石炭/溶剤 (気/固/液)3相フィード 反応器内触媒容積 (vol%) ~ 60 ~40 ~1 触媒サイズ (mm) 1 5×3 1.5×3 0 8×3 0.8×3 触媒粒子数/cm3 ~ 120 ~250 2.4×109 粒子間距離 (mm) ---- ~1.6 ~0.008 H Oil H-Oil LC-Fining M M-Coke Coke CANMET Aurabon Chevron Exxon Gulf etc. 石炭液化触媒 アルミナ等を担体にNi, Co Mo, Co, Mo Wを担持した 触媒 アルミナ等を担体にNi, Co Mo, Co, Mo Wを担持した 触媒 0 002 0.002 使い捨て鉄系触媒、 油溶性/水溶性Mo系 触媒、酸触媒等 14 石炭液化触媒 Disposal Catalyst Reactor Type yp Catalyst y Type yp Slurry Bed Fine Powder スラリー床型 Example p Red Mud, Pyrite, Limonite Fe2O3, FeS2, FeOOH, FeSO4 使い捨て型触媒 Limonite (褐鉄鉱) Fe2O3/SO422-, Fe3C, C Fe3N MoO3, MoS3, (NH4)6Mo7O24, (NH4)2MoS4 (ATTM) SnO2, Sn(OH)2, Sn(C2O4) Impregnated on Coal Oil Soluble Metal FeOOH/Coal, FeS2/Coal, Mo/Coal Carbonyls, Naphthenates, etc. Fe(CO) ( )5, Fe(acac) ( )3, [[FeCp(CO) p( )2] 2, Mo(CO) ( )6, Mo(DTC) ( ) Multicomponent Acid Catalyst 酸触媒 Slurry Bed Metal Chloride ZnCl2, NiCl2, SnCl2, SnCl2-KCl, NH4Cl スラリ 床型 スラリー床型 Super Acid Supported Catalyst 担持型触媒 Mo, Ni, Sn/Fe2O3/SO42- HF-BF3, CF3SO3H Support Ebullated Bed Al2O3 Ni-Mo, Co-Mo Slurry Bed Carbon Fe-Mo, Fe-Ni Fixed Bed Al2O3, TiO2 Ni-Mo, Co-Mo, Ni-W Hydrous Titanium Oxide Ni-Mo, Co-Mo, Ni-W Carbon coated Al2O3 Ni-Mo, Co-Mo, Ni-W 沸騰床型 スラリー床型 固定床型 Ni-Mo/Al2O3 15 2.石炭液化の基礎(まとめ) ① 石炭の分類と構造 無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭 石炭化度の進行につれ芳香族縮合構造が発達 ② 石炭液化の原理 a) 石炭直接液化 熱分解水素化反応が基本 水素による安定化で低分子化(水素供与、水素シャトリング、水素移行) (水素供与 水素シャトリング 水素移行) b) 石炭間接液化 石炭をガス化して合成ガス(H2+CO)、液体燃料へ ③ 石炭液化触媒 反応器がスラリー床型、沸騰床型、固定床型により触媒を選択 ・スラリー型(使い捨て鉄系触媒、油溶性/水溶性Mo系触媒、酸性触媒等) スラリ 型(使い捨 鉄系触媒 油溶性/水溶性M 系触媒 酸性触媒等) ・沸騰床型(アルミナ等を担体にNi, Co, Mo, Wを担持した触媒) ・固定床型(アルミナ等を担体にNi, Co, Mo, Wを担持した触媒) 16 石炭基礎講座 「石炭の液化」 1.はじめに 2.石炭液化の基礎 ① 石炭の分類と構造 ② 石炭液化の基礎 ③ 石炭液化触媒 3 石炭液化の実際 3.石炭液化の実際 ① 石炭液化の歴史 ② 米・欧・日における主要な石炭液化プロセス 米 欧 日における主要な石炭液化プロセス 4 石炭液化の現状と今後の展望 4.石炭液化の現状と今後の展望 17 3.石炭液化の実際ー石炭液化技術開発は実は昔から行われていた ドイツ 旧IG法 : 一次(液相水添)/二次(気相水添)の2段階でガソリン製造 1927~ Leuna 工場 褐炭液化 (22 MPa/430-485℃) 1936~ Scholven 工場 瀝青炭液化 (30 MPa/470℃) 1939~ Gelsenberg 工場 瀝青炭液化 (70 MPa/480℃) 1941~ Wesseling 工場 褐炭液化 (70 MPa/480℃) 米国 1935~1961 C.C.C. (Carbide and Carbon Chemicals Co.) 基礎研究とパイロットプラント (300t/d) 化学工業用原料(低度水素化分解による芳香族化合物の製造) 1935~1952 Bureau of Mines 基礎研究とパイロットプラント (50t/d) による研究 英国 1927~1937 ICI (Imperial Chemical Industry) ビリンガム工場 (100t/d) 旧IGとほぼ同じ 日本 1935~1943 南満州鉄道会社 ベンチプラント、PDUを経て中国撫順炭鉱に液化油生産2万トン プラント建設・運転 1938~1943 朝鮮人造石油阿吾地工場 100t/d (内熱式)の直接液化プラント建設・運転 18 近年開発された米・欧・日における 主要な石炭液化プロセス 背景及び動向 ・ 1960年代、米国では中東の石油事情の緊迫を予測 ・ 石炭鉱区の開発を積極的に推進するとともに、石炭液化研究を 開始 ・ ドイツや英国でも同様な背景で石炭液化研究を推進 ・ 石油精製技術に基づいたプロセスの最適化・大型化を指向 19 石油精製プロセス(水素化処理)と石炭液化プロセスの比較 石油精製プロセス (水素化処理プロセス例) ガス処理装置へ 水素 H2S 反応器 ナフサ ガススクラバー 軽油 ストリッパー 低温高圧 分離器 水 排水 生成油 原料油 高温高圧分離器 低圧分離器 石炭液化プロセス 石炭:固体で、無機成分を含む 石炭乾燥・粉砕化 スラリー化 循環溶剤の確保 ガス 液化触媒の劣化 循環溶剤 固形分が混在する相の高温・高圧からの降圧 (レットダウンバルブの使用) (触媒) 石炭中の無機成分 石炭 乾燥 粉砕 予熱 液化 反応 (残渣) 予熱工程における粘度上昇 高温・高圧 気液分離 蒸 留 液化油製品 固液分離 ガス化 水素 芳香族成分が多い 残渣の処理 水素消費量が多い 気・固・液三相流動 コーキング 灰 灰の処理 20 主要な石炭液化プロセス • 米国における石炭液化プロセス – – – – SRC (Solvent Refined Coal)-Ⅱ Coal) Ⅱ EDS (Exxon Donor Solvent) H-Coal CC-ITSL (Cross Coupled Integrated Two Stage Liquefaction) • 英国における石炭液化プロセス – LSE (Liquid Solvent Extraction) • ドイツにおける石炭液化プロセス – 新IG • 日本における石炭液化プロセス – BCL (Brown Coal Liquefaction) – NEDOL (NEDO Liquefaction) 21 SRC-Ⅱプロセスのフローと特徴 循環ガス 補給水素 深冷分離 水素コンプレッサー ガス ガス精製 石炭 気液分離器 ・・・・・・ スラリー 調製槽 軽質油 反応器 スラリーポンプ 常圧蒸留器 予熱器 燃料油 スラリー循環 減圧蒸留器 残 渣 プロセス名 SRC-Ⅱ プラント規模 (t/d) 30 ○米国東部炭(高硫黄含有炭)に適用 ○スラリー床型反応器 ○SRC-Ⅰの改良技術 ○ の改良技術 ○液化触媒使用せず ○石炭中のパイライト(FeS2) の触媒活性利用 ○スラリー循環(ボトムリサイクル) ○軽質液化油製造 液化反応条件 反応温度(℃) 反応圧力(MPa) 液化触媒 460 14 無 主要適用炭種 液化油収率 プロセスの特徴 瀝青炭 亜瀝青炭 41 米国東部炭の精製技術のSRC-Ⅰの改良 石炭中の灰分に含まれるパイライトの触媒活性利用 22 EDSプロセスのフローと特徴 スチーム リフォーマー 深冷分離 ガス精製 水素コンプレッサー 石炭 ・・・・・・ H2 気液分離器 H2 O スラリー 調製槽 溶剤水添反応器 燃料ガス ナフサ 反応器 常圧蒸留器 中質油 予熱器 スラリーポンプ 重質油 減圧蒸留器 ○スラリー床型反応器 ○水素供与性溶剤使用 ○Ni/Mo触媒は溶剤水添化工程で使用 ○石炭と触媒が非接触 ○スラリー循環(ボトムリサイクル) 残 渣 ボトムリサイクル プロセス名 EDS プラント規模 (t/d) 250 液化反応条件 反応温度(℃) 反応圧力(MPa) 液化触媒 450 14 無 主要適用炭種 液化油収率 瀝青炭~ 褐炭 46 プロセスの特徴 NI/Mo系触媒で水添した水素供与性溶剤使用 ボトムリサイクルで収率向上 23 H-Coal プロセスのフローと特徴 ガス精製 補給水素 水素コンプレッサー LPG 気液分離器 ナフサ 石炭 ・・・・・・ スラリー 調製槽 軽質油 常圧蒸留器 重質油 出口 触媒レベル 検出用放射 線源保護管 熱電対 保護管 沸騰床反応器 サクション カップ 触媒レベル 検出器 スラリーポンプ 減圧蒸留器 予熱器 差圧計 ノズル 内張り耐火物 触媒層 ハイドロクロン 分散板および 支持リング 残 渣 ○沸騰床型反応器 ○重質油処理技術(H-Oil法)の応用 ○高活性触媒(Co/Mo系)の利用 ○触媒の連続的な添加、抜き出し ○固液分離はハイドロクロン スラリー 入口 循環ポンプ サクション H-Coal H Coal 沸騰床型反応器 プロセス名 H-Coal プラント規模 (t/d) 200~600 液化反応条件 反応温度(℃) 反応圧力(MPa) 液化触媒 455 20~21 Co/Mo系 主要適用炭種 液化油収率 瀝青炭 亜瀝青炭 46 プロセスの特徴 石油系重質油処理のH-Oil法利用 高活性触媒を利用した沸騰床反応器 24 CC-ITSLプロセスのフローと特徴 補給水素 循環水素 水素コンプレッサー 石炭 ・・・・・・ ガ ス ガス精製 気液分離器 スラリー 調製槽 常圧蒸留器 ナフサ 灯 油 軽 油 沸騰床 反応器 予熱器 スラリ ポンプ スラリーポンプ 減圧蒸留器 循環溶剤 溶剤脱灰 残 渣 ○沸騰床型(多段)反応器 H C l法 改良技術 ○H-Coal法の改良技術 ○高活性触媒(Ni/Mo系)の利用 ○固液分離は減圧蒸留の後、溶剤脱灰 ○高液収率/高水素効率 Wilsonville 6t/dプラント (1985) プロセス名 CC-ITSL プラント規模 (t/d) 3 液化反応条件 反応温度(℃) 1段目 420-450 2段目 400-440 反応圧力(MPa) 液化触媒 15~19 1段目 NI/Mo系 2段目 Ni/Mo系 主要適用炭種 液化油収率 瀝青炭 亜瀝青炭 55~ 55~60 60 プロセスの特徴 高活性触媒を用いた2段階液化 固液分離に溶剤脱灰法使用 H-Coal法の改良 25 LSEプロセスのフローと特徴 SNG/LPG 石炭 スラリー 調製槽 ・・・・・・ 1段目 気液分離器 水素 溶剤抽出 反応器 固液分離器 水素化 蒸留 スラリーポンプ ガソリン 2段目 予熱器 蒸留 水素 ろ過残渣 軽油 溶剤水素化 ピッチ 水素化溶剤循環 コークス コ カ コーカー ○スラリー床型反応器(2段液化) ○スラリ 床型反応器(2段液化) ○1段目は水素化溶剤による溶剤抽出 ○2段目はCo/Mo系触媒による水素化 (水素化溶剤及び軽質油の製造) ○固液分離は濾過法(フィルター使用) ○ピッチはコークス利用 プロセス名 LSE プラント規模 (t/d) 2.5 液化反応条件 反応温度(℃) 反応圧力(MPa) 液化触媒 400-425 1段目 1.5 2段目 20 1段目 なし 2段目 Co/Ni系 主要適用炭種 液化油収率 瀝青炭 ~45 ~45 プロセスの特徴 1段目は無触媒 2段目は高活性触媒による水素化反応 固液分離はフィルター使用 26 新IGプロセスのフローと特徴 循環水素 水素 ガス 水素コンプレッサー 石炭 ガス精製 分離器 触媒 ・・・・・・ ナフサ スラリータンク 中質油 反応器 常圧蒸留塔 スラリーポンプ 予熱器 減圧蒸留塔 循環油 ○スラリー床型反応器 ○安価な使い捨て鉄系触媒利用 ○高温(475℃)/高圧(30 MPa) (1段液化による軽質油製造指向) ○固液分離は真空蒸留へ改良 ○気相水添の採用 循環油 残 渣 プロセス名 新 IG プラント規模 (t/d) 200 液化反応条件 反応温度(℃) 反応圧力(MPa) 475 30 主要適用炭種 液化油収率 瀝青炭 ~45 ~45 プロセスの特徴 液化触媒 鉄系 旧 IG法の改良(固液分離を遠心分離から真空蒸留法へ) 気相水添の採用 27 各石炭液化プロセスの特徴(まとめ) プロセス名 反応器形式 プラント規模 特徴 液化触媒 その他 液化油収率 (daf wt%) (daf, SRC-Ⅱ スラリー床型 30t/日 石炭中の パイライト利用 無 SRC-Ⅰの改良 41 EDS スラリー床型 スラリ 床型 250t/日 水素供与性溶剤 固定床溶剤水添 無 ボトムリサイクル 46 H-Coal 沸騰床型 200~600t/日 200 600 /日 触媒添加/ 抜き出し Co-Mo系 H-Oil 法の転用 46 CC-ITSL 沸騰床型 3t/日 二段液化 溶剤脱灰 一段目Ni-Mo系 二段目Ni-Mo系 H-Coal法を改良 55~60 LSE スラリー床型 2.5t/日 二段液化 一段目 無 二段目Co-Ni系 一段目溶剤抽出 二段目水素化分解 ~45 新IG スラリー床型. 200t/日 高温高圧 軽質油指向 鉄系 遠心分離を 蒸留法へ ~45 A-BCL スラリー床型 50t/日 褐炭液化 溶剤脱灰 一次系 鉄系 二次系 Ni-Mo系 高活性な使い捨て 触媒(リモナイト) 59 NEDOL スラリー床型 150t/日 幅広い炭種対応 水素供与性溶剤 鉄系 使い捨て触媒使用 固定床溶剤水添 58 28 日本における石炭液化プロセス 褐炭液化法(BCLプロセス)/瀝青炭液化プロセス(NEDOLプロセス) 炭種による液化反応性の違い-褐炭と瀝青炭 液化原料となる石炭は褐炭から瀝青炭まで幅広くあり 石炭の種類により性状が著しく異な ている 液化原料となる石炭は褐炭から瀝青炭まで幅広くあり、石炭の種類により性状が著しく異なっている。 褐炭は、構造単位が1~2環の芳香族で酸素を多量に含有するため比較的液化反応速度が高いこと から、例えば2段液化プロセスにより反応を制御しつつ液収率の向上を図ることが必要である。 一方瀝青炭は褐炭に比べてより大きい多環芳香族から構成されていることもあり、低分子化・液化が 困難な多環部分は液化せずに除去し、ガス化等の反応により水素源に用いるプロセスとする方が効果 的である。 こういった観点から日本では、褐炭液化技術及び瀝青炭液化技術の開発がそれぞれ推進された。 OH CH2 CH3O H2C CHOH O C=O O O CH2 O CHOH CH CH2CCH2OH O = HOOC 褐炭 瀝青炭 29 褐炭液化技術 • 豪州褐炭(水分を60%程度含み、乾燥すると自然発火等生じ、輸送および 貯蔵に不適、現地で発電等に利用)を利用した液化 • BCL(Brown Coal Liquefaction)プロセス • 日本褐炭液化株式会社(神戸製鋼所、三菱化成、日商岩井、出光興産、ア ジア石油で構成) • 豪州ビクトリア州モーウェル 豪州ビクトリア州モ ウ ル 50t/d パイロットプラント パイロ トプラント ビクトリア州、モーウェル 50 t/d パイロットプラント 30 褐炭液化技術 系内水素化工程 液化工程 水素 硫黄回収 ガス精製 スラリー調製 スラリ 調製 褐炭 脱水工程 固定床 反応器 分離器 硫黄 燃料ガス 気相水添 反応器 軽質油 分離器 スラリー脱水器 反応器 予熱炉 蒸留塔 450℃ 15MPa 熱交換器 分離器 中質油 溶剤 (+300℃) 分離器 溶剤脱灰工程 スラリーフィードポンプ 触媒 液化油(軽・中質油: C5~420℃) CLB 分離器 セトラー CLB(Coal Liquids Bottom) リサイクル 溶剤 リサイクル 残渣 DAO(De-ashed Oil) リサイクル JCOAL, 「日本のクリーンコールテクノロジー」をもとに作成 • • • • • • 褐炭に適したプロセスの開発 1987年-1990年運転研究 (1,760時間連続運転) (開発目標:1000時間程度) 430-450℃/15-20MPa/鉄系触媒 液化油収率 50-54% (開発目標:50%以上) 改良BCLプロセス(インドネシア炭等低品位炭へ) 液化油収率 65%へ 31 瀝青炭液化技術 • • • 瀝青炭液化プロセス(亜瀝青炭から瀝青炭) NEDOL(NEDO Coal Liquefaction)プロセス 日本コールオイル株式会社(新日本製鐵 日本コ ルオイル株式会社(新日本製鐵、三井石炭液化、住友金属工業、日本鋼管、 三井石炭液化 住友金属工業 日本鋼管 三井造船、ジャパンエナジー、千代田化工、出光興産等17社で構成) • 茨城県鹿嶋市 150t/d パイロットプラント 茨城県鹿嶋市 150 t/d パイロットプラント 32 瀝青炭液化技術 液化 スラリー調製 沸点:~220℃ ナフサ *2 *1 水素 石炭スラリー 調製装置 蒸留 減圧蒸留塔 470℃ 17MPa 石炭 フィード ポンプ *1 触媒 粉砕器 常圧蒸留塔 灯軽油 沸点:220℃~ 350℃ レットダウン 液化反応器 バルブ 予熱器 スラリー予熱器 スラリー*2 熱交換器 残渣 +538℃ 220℃~538℃ 分離器 予熱器 蒸留塔 水素 350℃~538℃ 水素化循環溶剤 溶剤水添反応器 290℃~330℃ 10MPa 溶剤水添 JCOAL, 「日本のクリーンコールテクノロジー」をもとに作成 • • • • 1997年-1998年運転研究 1997年 1998年運転研究 (1,920時間連続運転) (1 920時間連続運転) (開発目標:1000時間以上) (開発目標 1000時間以上) 450℃/17MPa/鉄系触媒 液化油収率 58%以上 (開発目標:54%以上) 亜瀝青炭から瀝青炭(幅広い炭種に適用可能) アダロ炭 タ トハルム炭 池島炭で実証 亜瀝青炭から瀝青炭(幅広い炭種に適用可能)、アダロ炭、タニトハルム炭、池島炭で実証 (開発目標:3炭種以上) 33 各石炭液化プロセスの特徴(まとめ) プロセス名 反応器形式 プラント規模 特徴 液化触媒 その他 液化油収率 (daf, wt%) SRC-Ⅱ スラリー床型 30t/日 石炭中の パイライト利用 無 SRC-Ⅰの改良 41 EDS スラリー床型 250t/日 水素供与性溶剤 固定床溶剤水添 無 ボトムリサイクル 46 H-Coal 沸騰床型 200~600t/日 触媒添加/ 抜き出し Co-Mo系 H-Oil 法の転用 46 CC-ITSL 沸騰床型 3t/日 二段液化 溶剤脱灰 一段目Ni-Mo系 二段目Ni-Mo系 二段目Ni Mo系 H-Coal法を改良 55~60 LSE スラリー床型 2.5t/日 二段液化 一段目 無 二段目Co-Ni系 一段目溶剤抽出 二段目水素化分解 ~45 新IG スラリー床型. 200t/日 高温高圧 軽質油指向 鉄系 遠心分離を 蒸留法へ ~45 A-BCL スラリー床型 50t/日 褐炭液化 溶剤脱灰 一次系 鉄系 二次系 Ni-Mo系 Ni Mo系 高活性な使い捨て 触媒(リモナイト) 59 NEDOL スラリー床型 150t/日 幅広い炭種対応 水素供与性溶剤 鉄系 使い捨て触媒使用 固定床溶剤水添 58 58 いわゆる第3世代の石炭液化技術(CC-ITSL, A-BCL, NEDOL) 34 液化油コストの比較(例) 60 Solvent Refined Coal Ⅱ Exxon Donor Solvent 50 液化プロセス 液化油コスト (US$/bbl) SRC-Ⅱ 42-581) EDS 39-521) H-Coal 33-451) BCL 22-44 22 442) NEDOL 22-443) 神華 22-254) H-Coal ド 40 ル / 30 バ レ ル 20 CurrentTechnology Two Stage Liquefaction Catalyst Activity Catalyst Doubled Selectivity Catalyst Improved Life Clean Doubled Coal No Deasher 10 Slurry C Concentration t ti Doubled 0 1980 1985 1990 1995 2010 年 2000 Declining Costs of Synthetic Liquids from Coal 1) 1)DOE資料/Japan-USA Joint Technical Meeting on Coal Liquefaction資料より抜粋 2) 褐炭液化プロジェクト研究開発最終評価報告書、産業技術審議会 エネルギー・環境技術開発部会 評価委員会 石炭転換技術小委員会(平成6年7月) 3) ニューサンシャイン計画瀝青炭液化技術(NEDOL法)開発」最終評価報告書、産業技術審議会 評価部会 瀝青炭液化技術(NEDOL法)開発評価委員会 (平成11年12月) 4) Qingyun Sun and J. J. Fletcher, Coal to Liquid Development in China, Proceedings of 24th Annual International Pittsburgh Coal Conference, 11 11-1 1, Johannesburg Johannesburg, South Africa (2007 (2007.9) 9) 35 代表的な石炭液化プロセスの反応温度と反応圧力の相関(まとめ) 旧IG 30 新IG 反応 応圧力 (MPa) 70 反応温度450℃前後、反応圧力 反応温度450℃前後 反応圧力 18MPa前後の最適条件へ収れん 直接 水添法 旧IG H-Coal 20 CC-ITSL EDS, NEDOL(瀝青炭液化) BCL(褐炭液化) 溶剤 抽出法 液化反応条件がほぼ最適化 (反応温度~450℃、反応圧力~18MPa) 液化プロセスとして確立 SRC-Ⅱ SRC Ⅱ 中国等で6,000t/d 規模の商業化プラント が建設・運転される状況 SRC-TSL 10 LSE ソルボリシス法 36 350 400 450 500 反応温度 (℃) 石炭液化油アップグレーディング • • • • 石油産業活性化センター 油産業活性化 (PEC)が実施 C 実施 秋田県男鹿市船川 40 bbl/d 実験プラント 褐炭液化油及び瀝青炭液化油のアップグレーディング 褐炭液化油及び瀝青炭液化油のアップグレ ディング 2000年-2001年運転研究 (4,140時間連続運転) • • • 改質ガソリン基材(オクタン価105.8/目標値95以上)) 改質ガソリン基材(オクタン価105 8/目標値95以上)) 軽油留分基材(セタン価42.8/目標値35以上) 石炭液化油系基材の混合比率30%でJIS2000年に適合する 自動車ガソリン2号、 軽油2号を製造(混合比率目標20%) アップグレーディング 改質 質 液化粗油 液化油 秋田県男鹿市船川 40 バレル/d PDUプラント 37 3.石炭液化の実際(まとめ) ① 石炭液化の歴史 a) 欧米の石炭液化 b) 我が国の石炭液化 ② 米・欧・日における主要な石炭液化プロセス a) 米国における石炭液化プロセス b) 英国における石炭液化プロセス c) ドイツにおける石炭液化プロセス d) 日本における石炭液化プロセス 液化反応条件がほぼ最適化 (反応温度450℃、反応圧力18MPa) 液化プロセスとして確立 液化粗油のアップグレーディングで石油製品相当品製造技術を確立 中国等で6,000t/d規模の商業化プラントが建設・運転される状況 中国等で6,000t/d規模の商業化プラントが建設 運転される状況 38 石炭基礎講座 「石炭の液化」 1.はじめに 2.石炭液化の基礎 ① 石炭の分類と構造 ② 石炭液化の基礎 ③ 石炭液化触媒 3 石炭液化の実際 3.石炭液化の実際 ① 石炭液化の歴史 ② 米・欧・日における主要な石炭液化プロセス 米 欧 日における主要な石炭液化プロセス 4 石炭液化の現状と今後の展望 4.石炭液化の現状と今後の展望 39 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化プロジェクト(成功した要因) 産学官(大学、国立研究所、企業)が一体となったプロジェクト推進体制が確立 され 各機関が各々の立場を理解し スケジ され、各機関が各々の立場を理解し、スケジュールに沿って組織的に役割を果た ルに沿 て組織的に役割を果た すとともに、民間企業を中核としてプロジェクト運営が実施され、大学、国立研究 機関が適宜応援するという体制でプロジェクトが推進されたこと。 官民一体となって石炭液化技術の根幹をなす高温・高圧下における気・固・液 三相流動のエンジニアリングデ タ(工学的デ タ)を取得し、反応器設計に反映 三相流動のエンジニアリングデータ(工学的データ)を取得し、反応器設計に反映 させることができたこと。 石炭液化技術の確立へ向けて基盤研究段階、0.1t/日規模のベンチスケールプ 石炭液化技術の確立へ向けて基盤研究段階 0 1t/日規模のベンチスケ ルプ ラント(BSU)段階、1t/日規模のプロセス開発プラント(PDU)段階、50-150t/ 日規模 日規模のパイロットプラント(PP)段階と各段階を経て、着実にプロセスデータ、 イ ッ プラン ( )段階と各段階を経 、着実にプ セスデ タ、 エンジニアリングデータを取得したこと。 ニュ サンシャイン計画 瀝青炭液化技術(NEDOL 法)開発」最終評価報告書 平成11 年12月 ニューサンシャイン計画「瀝青炭液化技術(NEDOL 年12月、 産業技術審議会評価部会瀝青炭液化技術(NEDOL 法)開発評価委員会ほか 40 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化プロジェクト(実用化へ至らなかった要因) 当初のプロジェクトの立脚点は、エネルギーを安定的に供給可能と する石油代替エネルギー開発という社会的要請に対応する政策的 観点(エネルギー安全保障)であり、その観点からの石炭液化実用化 に対し 技術面での見通しはおおむね立 たといえる に対し、技術面での見通しはおおむね立ったといえる。 石油供給の緩和に伴う原油価格の下落等により石炭液化油の価 格競争力が低下したことにより、パイロットプラント後のデモプラント を経て商業化へという石炭液化技術の実用化が困難となったこと。 を経て商業化へという石炭液化技術の実用化が困難となったこと ニュ サンシャイン計画 瀝青炭液化技術(NEDOL 法)開発」最終評価報告書 平成11 年12月 ニューサンシャイン計画「瀝青炭液化技術(NEDOL 年12月、 産業技術審議会評価部会瀝青炭液化技術(NEDOL 法)開発評価委員会ほか 41 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化プロジェクト(実用化へ至らなかった側面) 石炭液化プロジェクト(実用化 至らなかった側面) 経済性に関連して、 例えば、瀝青炭液化技術開発(NEDOL法)に関して、国内立地の場合、液化油価格(原油 例えば、瀝青炭液化技術開発( EDOL法)に関して、国内立地の場合、液化油価格(原油 換算価格)は、44~56USドル/バレルと試算。 試算時点での原油価格は15~22 USドル/バレル程度であり、価格競争力の観点(経済 性)から、液化プラントを国内に立地するオプションは不可能である。 一方建設費、石炭価格、土地代、労務費が安いと想定される発展途上国の産炭地立地 (海外立地)の場合では18~22 USドル/バレルとなり、価格競争力を持つ可能性が示され ている。 ている 地球環境問題に関連して、 地球環境問題の解決を図るための 酸化炭素の削減が喫緊の課題となり その対策技 地球環境問題の解決を図るための二酸化炭素の削減が喫緊の課題となり、その対策技 術開発が社会的・政策的要請が強まったこと。 平成3年には環境問題への対応等、事業の見直しが図られ石炭液化プロセスの熱効率向 上、液化油収率向上によるCO 化油 減 検 炭 化技 2削減の方向性が検討され実証されたものの、石炭液化技 術の開発成果がCO2削減、地球環境問題に直接的、多大に貢献するといったような対応結 果が必ずしも十分に提示されたとはいえないこと。 ニューサンシャイン計画「瀝青炭液化技術(NEDOL 法)開発」最終評価報告書 平成11 年12 42 月、産業技術審議会評価部会瀝青炭液化技術(NEDOL 法)開発評価委員会ほか 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化の総括(まとめ1) 現状 ・石炭液化技術の根幹をなす高温・高圧下における気・固・液三相流動を 制御する世界最新鋭の技術を確立。 ・石炭液化技術の成果、ノウハウを技術パッケージとしてまとめ、原油高 石炭液化技術の成果、ノウハウを技術パッケ ジとしてまとめ、原油高 基調という石炭液化の経済性が満たされる局面が現出する際にはいつで も実用化へ向けて再発進が可能であるという状況。 石炭液化技術の展開 ・インドネシア、中国等へ石炭液化技術の利用展開を図るための人材育成、 インドネシア、中国等 石炭液化技術の利用展開を図るための人材育成、 実用化支援等を通じて当該国の石炭液化技術ポテンシャルの向上へ貢献 ・石炭液化要素技術の技術成果は石油精製、廃棄物処理等の他産業へ 石炭液化要素技術の技術成果は石油精製 廃棄物処理等の他産業へ 波及・活用されているところ。 43 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化の総括(まとめ2) 石炭液化技術の展開(具体的事例1) ・世界最新鋭の技術の確立 世界最新鋭の技術の確立 ⇒ 石炭液化技術の国際展開 対インドネシア 2006年11月 安倍総理大臣とユドヨノ大統領間における共同声明にて、インドネシア の早期商業化に向けた石炭液化技術の協力を推進することで合意。 2007年1月 第2回東アジアサミット(EAS)におけるエネルギー協力イニシアティブに て1t/日プロセスサポートユニットの建設、商業化に向けた専門家育成の実施を表明。 2007年8月 日 日-インドネシアEPA締結時の共同声明にて石炭液化技術の開発に協 インドネシアEPA締結時の共同声明にて石炭液化技術の開発に協 力することで合意。 我が国の石炭輸入相手国の第2位であるインドネシアにおいて、石炭(褐炭)を高温高 圧下で溶剤等を利用して分解しガソリン及び軽油に転換する“石炭液化技術”の商業化 を支援。 インドネシア炭への適用性に関する検証やインドネシアが計画している石炭液化の商 業化をサポートするために必要な人材の育成、1t/日の石炭液化プロセスサポート装置 の設置を行う方向で検討を実施。 インドネシア側が商業化に向けた事業主体、資金計画の明確化等が示された後には 側 商業化 事業主 資金計 明 化 後 準商業プラント(3,000t/日)フェーズへ移行する予定まで検討された。 44 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化の総括(まとめ3) 石炭液化技術の展開(具体的事例2) ・世界最新鋭の技術の確立 ⇒ 石炭液化技術の国際展開 対中国 1981年 NEDOと中国煤炭工業部(当時)「石炭液化技術共同開発に関する 協議書」締結 1983年 北京煤化学研究所に 0.1t/d 0 1t/d ベンチプラント(BSU)設置 1983年~2000年3月 日本の指導の下に中国炭27炭種で57回液化実験、 2000年3月に「石炭液化技術共同開発」終了 ここで培った技術等を契機として、中国における石炭液化技術の商業化へ 向け 2004年から内蒙古自治区オルドス市にて6 000t/日の石炭液化プラ 向け、2004年から内蒙古自治区オルドス市にて6,000t/日の石炭液化プラ ントの建設が開始、商業運転が実施される段階に至っている状況である。 45 石炭液化 (中国の状況) 黒竜江省依蘭炭 日本 (CCUJ-JICA) 黒竜江省 陝西省神華炭 ①米国 (HTI-DOE) ②日本 (NEDO) ハルピン市 液化プロセス検証 液化フ ロセス検証 吉林省 遼寧省 北京 オルドス市 ● 内モンゴル自治区 河北省 青海省 寧夏回族自治区 甘粛省 陝西省 山西省 山東省 6t/d 液化プラント(上海) 江蘇省 河南省 上海 チベット 自治区 スケールアップ (デモプラント) 安徽省 湖北省 浙江省 四川省 江西省 湖南省 福建省 貴州省 雲南省 昆明市 台湾 広西壮族自治区 広東省 海南省 先峰炭 ドイツ (ルーアコーレー ノルトライン・ウェストファーレン州) 中国炭液化 FS 6000t/d 液化プラント完成予想図 46 (内蒙古自治区オルドス市) 6 t/d DCL Pilot plant • set up from Oct. 2003 to Sept. 2004,and run successfully by using Shenhua coal in Dec. 2004. Nov. 2005 2005, the second test was carried out and run • In Nov continuously for 18 days based on the optimum and modification of the PDU apparatus. • In 2006, continuous operation time of coal feed trial operation reached 3000 hours. M i results: Main lt Distillate yield: 56%~58% Conversion: 90%~92% 90% 92% Gas yield: 12%~14% Water yield: 11% 11%~13% 13% Hydrogen consumption: 5%~7% Prof. HU Haoquan, Dalian University of Technology 47 Presented at the 45th Japanese Conference on Coal Science (October 10, 2008, Kyoto, Japan) R & D of High Efficient Catalyst for DCL Works were done by Beijing Institute of Coal Chemistry and funded by the State High-Tech R & D (863) program. • Low price: production cost from catalyst is about 20 Yuan (US$ 3)/toil. • Easy operation and good reproducibility of catalyst synthesis: synthesis at atmosphere pressure and temperature with good safety. • High catalytic activity: Catalyst added: 0.5%~1.0% of dry coal Coal conversion: more than 90 wt%daf Oil yield: more than 60 wt%daf (Prof. HU Haoquan, Dalian University of Technology Presented at the 45th Japanese Conference on Coal Science (October 10, 2008, Kyoto, Japan) 48 神華石炭直接液化事業 ニュースウオッチ(2) 神華の石炭液化プラントが7月に再試運転(1000時間の試運転)(エイジアム研究所 ニュース 2009.6.25) 中国神華の内蒙古石炭液化プラントが正式操業を開始((エイジアム研究所ニュース 2010.1.12) 神華集団は内蒙古石炭液化事業による石油製品の小売ライセンスを取得(エイジアム 研究所ニュース 2010.8.26) 6000t/d 液化プラント完成予想図(内蒙古自治区オルドス市) Prof. HU Haoquan, Dalian University of Tech. Presented at the 45th Japanese Conference on Coal Science (October 10, 2008, Kyoto, Japan) 石炭液化実証プラントの稼動好調。2011年5月14日に合肥市で開催の炭鉱ガスの安 石炭液化実証プラントの稼動好調 2011年5月14日に合肥市で開催の炭鉱ガスの安 全に関するフォーラムで、神華集団有限責任公司総経理の張玉卓氏が2011年第一・ 4半期に液化製品油が21.6万tに達したと発表(NPO法人新潟件日中友好協会ー神華 インターネット内蒙古チャンネル 2011.5.15) 10月24日、石炭液化装置が2011年度の全国化学工業高品質プロセス賞を受賞(神 華集団有限責任公司 2011.10) 神華集団の今年上期の石炭液化油生産量は47万tに (エイジアム研究所ニュース 2011.9.9) 神華石炭直接液化事業関連ニュース(抜粋) 神華石炭直接液化事業関連ニュ ス(抜粋) ニュースウオッチ(1) 「神華石炭直接液化プロジェクト」2004年8月25日、内蒙古自治区オルド ス市で正式に着工。プロジェクトは二期に分けて実施。第Ⅰ期工事245億 元。970万t/年の石炭から320万t/年の製品油生産。うち第1号生産ラ インの事業費123億元、石炭使用量345万t/年、製品油108万t/年(ガ ソリン25万t、軽油72万t、液化ガス10万t、ベンゼンや混合キシレンなど が0.8万t)の計画(EICネット海外環境ニュース 2007.2.06) 神華集団の石炭直接液化技術が先日日本で特許*を取得し、現時点で7ヵ国(ロシア、 ウクライナ、オーストラリア、アメリカ、カナダ、インドネシア、日本)で特許取得(エイジ アム研究所ニュース アム研究所ニュ ス 2011.11.17) 2011 11 17) オルドスの石炭液化プラント、1月17日0時において、3089時間の連続安定運転を 達成(神華集団有限責任公司 2012.1.17) *特許(直接石炭液化のためのプロセス)発明者:張玉卓他11名 2005年7月27日 出願(特許出願2007-522903) 2008年3月21日 公表(特許公表2008-508369) 神華の石炭液化プロジェクトは順調に推移し、2008年9月に生産開始予 定(エイジアム研究所ニュース 2008.3.6) 神華集団有限責任公司が進めている100万t級の石炭液化プロジェクト は2008年12月31日生産を開始し、基準に達したナフサや軽油などが生 産できるようになった(人民網日本語版 2009.1.8) 49 神華石炭直接液化プロセスフロー 空气 空分 N2 神華炭直接液化プロセスフロー図 O2 煤制氢 H2 煤粉 原煤 备煤 煤粉 煤浆 硫磺 煤粉 鉄基 催化剤 液化 分溜 液化油 Prof. HU Haoquan, Dalian University of Technology Presented at the 45th Japanese Conference on Coal Science (October 10, 2008, Kyoto, Japan) 加氢 裂化 T-Star 硫磺 成 形 催化剤 制 备 H2 H2 液化 粗油 供 氢 溶 剤 液 化 气 石 柴 脑 油 油 油渣 神華石炭直接液化法の特徴等 液化工程(液化および油の分解) 溶剤水素化およびアップグレーディング工程 反応器2基(シリーズ); 1段目/2段目反応器 455℃/19MPa, 沸騰床型反応器(T-Star) スラリー中石炭濃度; 45/55(乾燥炭/溶媒, 質量比) 水素化処理(330~390℃、10~15MPa) 触媒: γ-FeOOH (直径20~30 nm、長さ100~180 nm) リサイクル溶剤水素化および液化粗油改質 触媒添加量; 1.0wt% (Fe/乾燥炭), 硫黄添加量; S/Fe=2(モル比) 触媒は、Co/Mo系あるいはNi/Mo系 懸濁床型反応器 特許公表2008-508369などをもとに作成 50 4.石炭液化の現状と今後の展望 中国の石炭液化技術について(まとめ) 中国の石炭液化技術について ・ 上海市に6t/dプラントを建設・運転し、そこでの経験をもとに 6 000t/dプラントへ展開 6,000t/dプラントへ展開 ・ 第1段階 1 train 6,000t/d プラント、100万t/年の液化油生産 (内蒙古自治区オルドス市) 内蒙古自治区オ ドス市) 試運転開始、2008年9月から本格稼動へ 試運転開始 2008年9月から本格稼動 ・ 2009年1月には300時間の試験運転成功 ・ 第2段階 4 train 追加 5 train(500万t/年)へ ・ 第3段階 計10 trainへ、 1,000万t/年の液化油生産へ ・ 総投資額100億元の見積り 51 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化の総括(まとめ4) 石炭液化技術の展開(具体的事例3) ・世界最新鋭の技術の確立 世界最新鋭の技術の確立 ⇒ 他産業 他産業への波及 の波及 気体(水素ガス)・液体(溶剤)・固体(石炭)の三相流動のコントロールと三相存在下にお ける高温(450℃)、高圧(15MPa)反応条件の克服 ⇒ 高温・高圧反応器の開発(NEDO、日本製鋼所) 液化反応器の装置材料として耐水素脆性新材料を開発。 従来の材料に比べ肉厚が20%程度薄くすることが可能。 石油精製における重質油脱硫装置へ利用。 (カナダ:ハスキーオイル社、メキシコ:PEMEX、タイ:タイオイル、中国:シノペック社、 日本:日石根岸、昭和シェル四日市、東燃川崎等合計34基に使用されている。) ⇒ レッドダウンバルブ(降圧弁)の新規開発(NEDO、山武ハネウェル) 焼結ダイヤモンドとタングステンカーバイドを組み合わせた新しい概念による気 体 液体 固体の三相混相用の耐久性 耐磨耗性のある降圧弁を新規に開発 体・液体・固体の三相混相用の耐久性・耐磨耗性のある降圧弁を新規に開発。 従来の20倍以上の耐久性 東京都下水道局汚泥焼却システム等に採用 52 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化の総括(まとめ5) 石炭液化技術の展開(具体的事例4) ・石炭液化(瀝青炭液化)要素技術の他技術への波及 要素技術(水素供与性溶剤を利用した温和な石炭液化技術) ⇒ 超粘結炭(AFC-Artificial 超粘結炭(AFC A tifi i l super coal)製造技術 l)製造技術 (非粘結性一般炭から超粘結炭(AFC)への転換技術) 水素供与性溶剤存在下比較的温和な条件で非粘結性一般炭の熱分解水素 化反応を行うことにより、熱分解で生成する高分子ラジカルが安定化される とともに、部分水素化、重縮合 多環化なども促進されることにより、非粘結 とともに、部分水素化、重縮合・多環化なども促進されることにより、非粘結 性一般炭から超粘結炭の製造が可能であることが示されている。 (持田、荒牧、九大石炭等化石資源高度利用中核人材育成事業ープレゼン資料) 53 4.石炭液化の現状と今後の展望 石炭液化の総括(まとめ6) 石炭液化技術の展開(具体的事例5) ・石炭液化(褐炭液化)要素技術の他技術への波及 要素技術(スラリー(液体・固体混合物)脱水プロセス) ⇒ 改質褐炭製造技術(Upgraded Brown Coal (UBC) 製造技術) 褐炭液化で開発されたスラリー脱水プロセスを水分含有量の多い低品位なインドネシア 褐炭 適用 褐炭へ適用し、高発熱量、低灰分含有の高品位石炭を製造する技術。 高発熱量 低灰分含有 高品位石炭 製造 技術 ジャワ島パリナマンにて3t/日パイロットプラントの建設・運転を経て、商業化へ向けて カリマンタン島サツイに600t/日の実証プラントを建設・運転(平成18年度~22年度)。 要素技術(スラリー床水素化分解技術) ⇒ 超重質油の軽質化技術による輸送用クリーン燃料の製造 褐炭液化で開発されたスラリー床水素化分解技術をブラジルペトロブラス社の海底油田 から産出する超重質油に適用し クリ ンな輸送用燃料を製造する国際研究協力 展開 から産出する超重質油に適用し、クリーンな輸送用燃料を製造する国際研究協力へ展開。 要素技術(溶剤脱灰プロセス) ⇒ 石炭の無灰化技術(ハイパ 石炭の無灰化技術(ハイパーコール(無灰炭)製造技術) コ ル(無灰炭)製造技術) 褐炭液化で開発された溶剤脱灰プロセスを利用して、世界で初めて無灰あるいは低灰分 の新しい石炭(ハイパーコール)を製造することに成功。この技術はコークスとして利用でき ない一般炭をコークス原料炭へ改質することが可能であり、次世代型高強度コークス製造 技術の支援技術として現在NEDOが推進する「環境調和型製鉄プロセス技術開発 技術の支援技術として現在NEDOが推進する「環境調和型製鉄プロセス技術開発」 (Course 50)の中で利用されているところである。 54 石炭液化技術まとめ 現状 ・石炭液化技術の根幹をなす高温・高圧下における気・固・液三相流動を 制御する世界最新鋭の技術を確立。 制御する世界最新鋭の技術を確立 ・石炭液化技術の成果、ノウハウを技術パッケージとしてまとめ、原油高 基調という石炭液化の経済性が満たされる局面が現出する際にはいつで も実用化へ向けて再発進が可能であるという状況。 ・中国では、日本、米国のバックアップをもとにして、6,000t/日の石炭液化 商業プラントの建設 運転フェ ズに至っていること。 商業プラントの建設・運転フェーズに至っていること。 石炭液化技術の展開 ・インドネシア インドネシア、中国等へ石炭液化技術の利用展開を図るための人材育成、 中国等へ石炭液化技術の利用展開を図るための人材育成 実用化支援等を通じて当該国の石炭液化技術ポテンシャルの向上へ貢献。 ・石炭液化要素技術の技術成果は石油精製、廃棄物処理等の他産業へ 波及・活用されているところ。 波及・活用されているところ ・石炭液化要素技術をもとに、超粘結炭(AFC)の製造技術、改質褐炭 (UBC)製造技術、超重質油の水素化分解技術、溶剤脱灰プロセス利用に よる無灰炭(ハイパ コ ル)製造技術等へ展開が図られているところ よる無灰炭(ハイパーコール)製造技術等へ展開が図られているところ。 55
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