膵臓癌の治療法

7.膵臓癌
1.がんの説明
膵臓の主な働きは,膵液という消化液をつくることとインスリンという血糖を調節するホ
ルモンをつくることです.膵臓から発生したがんのことを一般に膵がんと呼びます.膵
がんは早い段階では特徴的な症状はありません.なんとなくお腹の調子がよくないと
か,食欲がないなどという漠然とした症状で来院され,その原因が膵がんであるとわか
った時には残念ながらすでに手遅れということも多い病気です.膵がんの診断と治療
はいまだに難しく,早期発見がどのような治療よりも治癒率の向上に貢献する考えられ,
どうしたら早く発見できるかという研究が意欲的に続けられています.
2.治療法の選択
膵がんの治療には主として外科治療・放射線療法・化学療法(抗がん剤)の3つが
あります.腫瘍の進行程度と全身状態などを考慮して,これらの1つ,あるいは組み合
わせた治療(集学的治療)が行われます.
がんが膵臓近辺に限局している場合は,切除手術を行いますが,高度に進行して
手術不能の場合や肝臓など他臓器に転移を認める場合には化学療法や放射線療法
の適応となります.全身状態があまりよくないため,がんに対する治療の負担が大きす
ぎると考えられる場合には,痛みのコントロールや栄養の管理などに重点をおいた緩
和治療を行うことがあります.
3.治療法の説明
外科治療(手術)はがんを含めて膵臓と周囲リンパ節などを切除する方法です.膵
がんの治療の中では最も確実な治療法となります.膵がんの位置によって以下のよう
な方法が選択されます.
膵頭部にがんがある場合には膵頭十二指腸切除,膵尾側にがんがある場合には
膵体尾部切除,がんが膵全体に広がっている場合には膵全摘術が行われます.
がんが進行していて切除することはできない場合には,バイパス手術を行うことがあ
ります.
4.先進的な治療法
標準的な治療以外に,新しい治療などの試験(臨床試験と呼びます)が行われてい
る場合には,これらの臨床試験を受けるという選択肢があります.臨床試験は施設によ
って定められた方法で行われますので,その説明を受けたうえでご自分の意志で参加
するかどうかを決定することになります.
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