3 スマートフォンやタブレット端末などモバイルデバイスの進化に伴い、映像を中心としたリッチメディア・アプリケーション市場が急拡大している。NTT-AT は、開発ツールからアプリケーションまで、リッチメディア・アプリケーション関連プロダクツを幅広く提供している。以下では、代表的なアプリケーション開発ツール及び市場で注目を集めているアプリケーションを紹介する。加え、最近ではアプリケーション開発ツール Windows/Mac 対応版や Android で SurfExpress/SurfRider AMC/ SurfMotion HD 品質の双方向ビデオ端末機能を簡単に付加できる NTT-ATは、IPメディアサーバ開発用のビデオ／音バージョンも提供声コーデック及び FAX、モデムをサポートした Surf しています」と述 Communication Solutions社（以下、SURF社）の高集べている。積マルチメディア処理ボードを提供している。本製品は、モジュールデザインのSurfDockerにより、ボードに搭載するDSPの能力及び数を選択できるのが大きな特長だ。 PCI Express フォームファクタの「SurfExpress」と Dialogic PowerMedia HMP グローバルプロダクツ事業本部メディアコミュニケーションプロダクツビジネスユニット担当部長村重彰氏 AMCフォームファクタの「SurfRider AMC」の2種類「Dialogic PowerMedia HMP（Host Media Processing があり、どちらもIPネットワーク上でのビデオ／音声 Software）」は、音声とビデオ処理のためのIPメディアサーバ、会議サーバ、ビデオストリーミングサーバ等サーバ開発用のソフトウェアだ。これにより汎用サーの開発に最適なマルチメディア処理ボードである。バ上で、ビデオポータル、テレビ会議など革新的な音また、SURF社の新製品として「SurfMotion」がある。これは前述のような各種サーバ機能を容易に実現でき声＆ビデオソリューションを構築できる。本製品は VMwareなど仮想化にも対応している。るハイレベルAPIだ。実際、100行程度のPerlスクリプトで簡単なMCU機能が実現できる。さらにSURF社はスマートフォンやノート PC をターゲットに、TV 会議用の低価格MCU「ORION-MCU」を提供している。アプリケーションスマホで現場をリアルタイムに可視・共有化する「RealityVision」 RADVISION BEEHD ソリューション米国 Reality Mobile 社の「RealityVision」は、現 HD品質の映像コミュニケーションサービスの開発ツ場と各地に分散しているチームメンバー間をスマーールとして注目を集めているのが「RADVISION トフォンや PC で繋ぎ、現場からの映像をリアルタイ BEEHD」だ。グローバルプロダクツ事業本部メディアムで共有して状況を把握したり、指令室から資料やコミュニケーションプロダクツビジネスユニットの村保存映像をプッシュすることによる協働作業により、重彰部長は、「TI の DSP に最適化したハイエンド用に迅速な意思決定・対応を支援するモバイルビデオコ 24 ビジネスコミュニケーション 2012 Vol.49 No.6 地図情報サービス (GoogleMaps/Bing Maps) RealityVisionサーバ Microsoft/Googleクラウドサービス VPN接続インターネット社内 LAN 3G/LTE 3G/LTE 事故（指揮者）監視室（専門家）保守センタ鉄道会社（監視室、指令所など）定点監視カメラ（現場作業員）スマートフォン鉄道会社（駅構内、踏切など）屋外（線路設備、沿線）グローバルプロダクツ事業本部メディアコミュニケーションプロダクツビジネスユニット担当部長原浩人氏図 1 「RealityVision」による現場状況可視化・映像コラボレーションシステムの構成例ラボレーションシステムだ。 Rality Mobile社では政府関係機関、自治体、また売 Microsoft Bing Maps上にスマートフォンカメラの現地映像と合わせて、位置情報の追跡表示が可能である。上規模全米上位 500 社に入る大企業で、災害時や保守なお、独自の映像システムの構築や既存の映像監作業などのリアルタイムの映像中継・共有システムな視システムとの統合が簡単に行える開発キットも用どとして多くの導入実績を持っている。NTT-ATでは、意されている。昨年 5 月より販売を開始し、1 年後の本年５月 10 日から最新版「RealityVision 3.2」を販売している。ビデオ会議システムのモバイル展開を加速「最新版では、別々の場所にいる作業者同士のモバイル端末間で直接、映像の配信・共有が行える機能を追 Cisco、Polycom、Sony の製品を中心にわが国のビ加した他、クライアント用アプリは、Android4.0、デオ会議システム市場を牽引する NTT-AT グローバ iPhone 4/iPhone 4S/iPad/iPad2 に完全対応しました」ルプロダクツ事業本部。メディアコミュニケーショ（村重部長）。ンプロダクツビジネスユニットの原浩人部長は、「写「RealityVision」は、真 1 に教育現場における Polycom 社の HDX シリーズ ① RealityVision server software の活用例を示しますが、最近、国内でも医療・教育 ② RealityVision management console 分野でのビデオ会議システムの導入が加速していま ③ RealityVision Mobile クライアントす。このような状況を踏まえ私どもは今年度、業界 ④ RealityVision PC クライアント特化型提案と、付加価値型提案の２本柱で、ビデオ ⑤ RealityVision Screencast 会議システムのビジネスを拡大していきたいと考えの５つのアプリケーションで構成される。各アプリケーシています」と語る。ョン間の通信はユーザー認証とSSL暗号化で保護される。付加価値型提案では、これまでの豊富な経験と技システムの構成例を図１に示すが、構築には市販の定術により、NTT-AT ならではの付加価値を付けて営業点カメラ、サーバ、パソコン、スマートフォンが使用で展開するというものだ。き、通信ネットワークにはインターネット／携帯電話付加価値型提案の１つが、ビデオ会議システムの網／Wi-Fi網／衛星通信網を利用できるため、特別な準モバイル展開だ。「スマートフォンやタブレット端末備は不要だ。また GPS 情報を基に、Google Maps/ などモバイルデバイスの急速な拡大に伴い、モバイルビジネスコミュニケーション 2012 Vol.49 No.6 25 をコンセプトに開発された「RTalk 800EX」は、音声は高品質かつクリア、しかも回線を問わずいつでもどこでも使えて、面倒な設定も必要ない。 c Polycom, Inc 写真 1 教育現場での「Polycom HDX」シリーズ活用例アプリケーシアプリケーションソリューション事業本部情報機器テクノロジセンタョンソリューシ担当課長工学博士小林和則氏を利用したビデオコミュニケーションは、今後急成長ョン事業本部情すると思われます。米国の製薬会社では2500台のタブ報機器テクノロジセンタの小林和則課長は、「従来のレット端末をビデオ会議用として導入していますし、据置型の音声会議用マイク・スピーカーと違って、米国の多くの企業で BYOD（私物端末の業務利用）の携帯性に優れ、スマートフォンや携帯電話との接続導入を検討しています。こういったトレンドに合わせ性をかなり意識して製品開発しました。実際、スマて、私どももビデオ会議システムのモバイル展開を加ートフォンや携帯電話とつないで音声会議をされる速していきたいと思います」（原部長）。お客様が多いです。新しい利用形態を示したことで、 Polycom社では、PCインストール型ビデオ会議ソフ音声会議の市場が拡大するのではないと期待していト「CMA Desktop」に加え、「RealPresence Mobile ます。実際、昨年 12 月の発売以降、従来製品にはな（iOS用／Android用）」を提供している。これは、タブレットデバイスに、PolycomのHD 品質のビデオコラボかった販売の手応えを感じています」と語る。スリム＆コンパクトで携帯性に優れた「R-Talk レーションソリューションを提供するもので、社内だ 800EX」は、以下の特長を持つ。けでなく外出先からも多地点会議への参加、HD 品質 ①電話回線の種別を問わず、Web 会議にも対応の映像および音声でのコミュニケーションが可能だ。ビジネスホン（アもう１つが、ビデオ会議とセンサ付きホワイドボナログ／デジタル／ードを組み合わせた教育現場向けシステムだ。先生 IP）に加え、携帯電がホワイトボードに書いたものを、遠隔の生徒がビ話／スマートフォンデオ会議モニターで見て、質問等のやりとりができ、（オーディオケーブ距離を感じさせない遠隔授業を実現するものだ。ル／Bluetooth）、PC （USB 接続で Web 会音声会議のニュースタンダード「R-Talk」議）で、簡単に接続できるため、すぐに「R-Talk」シリーズは、「日本を代表するクオリテ音声会議が行える。ィを持った、スマートなビジネスツール」をテーマ ②持ち運びに便利、に、NTT-AT がグローバルブランドとして展開する音電池駆動も可能声会議用マイク・スピーカーシリーズだ。 A 5 判サイズのス「Real」「all-Round」「Right now」の３つの「R」 26 リムボディ。電池駆写真 2 抜群の携帯性を誇る小型・軽量、 A5 サイズの「R-Talk 800EX」ビジネスコミュニケーション 2012 Vol.49 No.6 動（単３電池４本、充電池も利用可能）や USB バスある。NTT-AT のパワー給電で、電源がない場所でも使用できるため、ネットワークシコンセントの確保や電源コードの取り回しも不要。ステム事業本部携帯電話／スマートフォンと組み合わせれば、場所システム開発ビを選ばず音声会議が行える。ジネスユニット ③クリアな音声、多人数にも対応の松岡伸治主幹話し手の声のボリュームを自動調整して送信する自部長は、「全世界動音声調整機能や、周囲の雑音を適切にカットするノの映画館は急速イズリダクションなど、NTT研究所の優れた音響処理にデジタル化が技術を基盤に、「RealTalk」シリーズで実績を積んだ安進みつつあり、心の音声品質で、快適な音声会議が実現できる。製作から上映ままた、専用の拡張マイクを最大４台まで接続するこでデジタル化とで10人程度の会議にも対応でき、会議テーブルの形されてきてい状や人数構成に合わせ、柔軟な配置が可能である。ます。アナロなお、「Bluetooth」と「ハンドセット」接続機能グの 35mm フィを省略した「R-Talk 800PC」は、Web 会議や TV 会ルムと同レベ議での利用を主なターゲットとした廉価版だ。ルの品質には今後の展開について、小林課長は「現行製品の販売 4K が必要にな拡大に加え、R-Talkシリーズのラインナップも増やしります。去るていきたいと考えています」と抱負を述べている。４月 16 日〜 19 ネットワークシステム事業本部システム開発ビジネスユニット主幹部長松岡伸治氏日まで米国・世界が認めた 4K/2K 対応「JPEG2000 リアルタイムコーデック」 LVCC で開催さ NTT 研究所の先進技術をベースに NTT-AT が商品 Show 2012 れた NAB で写真 3 「NAB Show 2012」では、プレゼンルームで説明化した「JPEG 2000 リアルタイムコーデック」は、は、カメラやフルハイビジョン（HD）の４倍以上の超高解像度の編集機材を含め 4K 対応製品が数多く出てきました。映像をリアルタイムで、JPEG 2000 符号化方式によ本製品を NAB Show 2012 り世界中に IP ネットワークで配信できるコーデックルームで説明し、非常に好評でした」と語る。のプレゼンテーションだ。JPEG 2000 符号化方式は時間圧縮ではなくフレシネマ業界では、既存のフィルムコンテンツのデーム単位で符号化するので MPEG 方式に比べ圧縮率ジタル化は喫緊の課題であり、その変換にも「JPEG は劣るものの、帯域を絞ってもブロックノイズが出 2000 リアルタイムコーデック」は適している。ず、フレーム単位の編集が可能で、デジタルシネマ最後に松岡主幹部長は、「ここへ来て急速に 4K のニ等高品質が要求される 4K 映像の符号圧縮に最適だ。ーズが高まり、それに対応して 4K 対応のカメラを初本製品は、4K コンテンツのライブ配信や録画・再生め、その周辺機器が市場に出揃ってきています。出機能を活用した VOD 再生が可能で、コンサートやス揃いつつある機器を活用し、ニーズのある市場のワポーツ等のイベント中継、4K モニタリングによる遠ークフローに入り込んだトータルソリューションを隔医療、高臨場テレプレゼンス、遠隔での映像制作展開していきます」と述べている。コラボレーションをはじめ多様な用途へ広がりつつビジネスコミュニケーション 2012 Vol.49 No.6 27