動画編集の基礎知識 - 広島県立教育センター

動画編集の基礎知識
ver.1.0
広島県立教育センター
Ⅰ
動画データにつ いて
1.ディジタルデー タとしての動画
コンピュータで利 用できる動画は,テレビ放 送や,ビデオ等のアナログ情 報とは異なり,
ディジタル化された 動画情報から再生されます 。基本的には,映画のフィル ムのようにすべ
てのコマを1枚ごと に静止画として保存し,連 続して書き換えるために動い ているように見
えるという残像現象 を利用したアニメーション ととらえることができます。
2.圧縮方法
時間あたりの静止 画の数を多くすればするほ ど,細かい動きを表現するこ とができます。
この基準となるのが コマ数です。テレビ放送の コマ数は1秒間に30コマ(30フレーム)とな
っています。
映像の大きさにも よりますが,コマごとのデ ータをそのまま静止画にする と,無駄なデー
タを多く含むことに なります。この例が次に示 す動画データの保存イメージ です。
この映像で1コマ 目と2コマ目の違いは飛行 機の動いた部分だけなので, その他の部分は,
全く同じデータを二 重に持っていることになり ます。1秒間のコマ数が増え れば増えるほど,
全く同じ部分は増え ますから,この二重,三重 に保持されているデータは
無駄なデータ
ということになりま す。前のコマと違う部分( 差分)だけを保存し,再生時 に合成すること
でコマを作り出す圧 縮方法を差分圧縮といいま す。
実際に映像データ を作成するときには,1コ マの中でも,同じ色が連続す る部分をまとめ
て保存する方法や, 差分情報だけを保存するな どして,可能な限り小さなデ ータを作成して
いきます。このこと を圧縮するといい,動画を 圧縮するための手法(アルゴ リズム)をCO
DECといいます。 現在,主なCODECには ,MPEG−1,MPEG− 2などがありま
す。
3.コマ落ち(ドロ ップフレーム)
圧縮伸長処理に要 する時間は再生する情報機 器の性能によって左右されま す。この問題を
解決するために,一 般的な動画編集・再生ソフ トウェアは,読み込み・伸長 ・描画にかかっ
た時間を時間軸に合 わせて計算を行い,すべて のコマを描画することができ ない場合には,
間のコマを飛ばして 次の表示に間に合うコマを 再生するように処理を行うよ うになっていま
す。そこで,処理能 力の遅いパソコンを使用し た場合には,このようなコマ 落ちが多く生じ
るため,画質が悪く なったり,ぎこちない動き になったりします。
4.キーフレーム
実際の映像データ には,キーフレームが挿入 されていて,これが途中から 再生を行う場合
の再生効率と大いに 関係しています。キーフレ ームとは,基本的に前のコマ との差分情報を
持って,映像のサイ ズを小さくする圧縮におい て,そのフレームのすべての データを持つフ
レームのことをいい ます。これは,動画データ を途中から再生する場合に特 に重要です。も
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しも,映像中に完全 な場面展開が全くなく,す べてのデータが差分データし か持っていなか
った場合,その映像 の一部分だけを再生するた めにはその部分までの差分を すべて展開した
上で,再生を行わな ければなりません。たとえ ば,映像の始まりから15秒経 過した位置から
の再生を行う場合に は,その準備として15秒分 の差分を展開する処理が必要 となります。
このような無駄を 省くために,映像中には, 定期的に「キーフレーム」が 挿入されます。
通常1秒に1コマ程 度の間隔で挿入することで ,映像再生時のインタラクテ ィブ性を確保し
ています。キーフレ ームが挿入されることで, 途中から再生処理を行う場合 でも,まるでデ
ータの先頭から再生 するような速度で反応する ことができます。
5.圧縮率と画質
映像を作成する場 合に不可欠な要素として画 質があります。映像データを 作成するために
は,圧縮処理が不可 欠ですが,圧縮率を上げる と画質は低下します。このた め,ただ小さく
圧縮してしまえばよ いというのではなく,画質 と圧縮率を見ながら圧縮率を 決めることが必
要となってきます。
6.コーデック(符 号化・復号化)と画質
コーデックとは符 号化・復号化を実現する回 路や装置のことを指し,CoderとDecoder
の複合語です。動画 の場合は,CGのようなア ニメーションや,実写映像な ど,映像ソース
には多くの種類があ ります。コーデックは,あ る特定の条件下において最適 になるように設
計されているので, 圧縮を行う映像の質と,コ ーデックの持つ特徴をよく理 解した上で,自
分の目的にあったコ ーデックを選択する必要が あります。
また,コーデック には二つの目的があり,一 つ目はビデオファイルを保存 するときにどの
ようにエンコード( 圧縮)するのかをコンピュ ータに指示すること,二つ目 はそのファイル
を開くときにどのよ うにデコード(再生)する のかをコンピュータに指示す ることです。フ
ァイルの圧縮と再生 には同じコーデックを使用 する必要があるため,どのコ ーデックを選択
するかが非常に重要 になります。ファイルを圧 縮するために使用したコーデ ックが利用者の
コンピュータにもイ ンストールされていなけれ ば,作成したビデオを見るこ とはできません。
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Ⅱ
動画フォーマッ トの形式と特徴
AVI:Windows上で動画を再 生するためにMicrosoftが制定したフォーマ ット
MPEG:動画圧 縮技術の国際標準規格の1つ。高圧縮率・ 高品位画質が特徴
・MPEG−1 :CD‑ROMやビデオCDに使わ れている。最大352×240ドッ トで,毎秒30フ
レーム,フルカラーでの 再生が可能
・MPEG−2 :高品位テレビのために制 定され,最大740×480ドット で,毎秒60フレ
ーム,フルカラーでの再 生でき,現在衛星デジタルTV放送に使用され
ている
・MPEG−4 :圧縮率を向上させ,電話 回線でも送信できるように考 慮されている
WMV:Microsoft社の開発し たWindows Mediaビデオファイル形式の動画 ファイル。高画
質で圧縮 率が非常に高いが,再生す るためにはWindows Media Player 6.4以上が
必要
QuickTime:Apple Computer が1990年に発表 したデジタルビデオのフォー マット。高品位
・高圧縮の再生が 可能
RealVideo:リアルタイムに動 画を配信するソフトで,RTSP(Real Time Streaming Proto
col) を用いて,接続回線速度に 応じて画像や音声を配信する ことができる
VDO(VDOLive): リアルタイムに配信される 画像を別ウィンドウで表示す るのではなく,
GIFやJPEG画 像のようにページ上で再生す ることができる
主なフォーマット形 式のメリットとデメリット
フ ォー マッ ト形式
拡 張子
メリ ット
デメ リッ ト
A VI‑1
a vi
取り 込んだ 動画 を1フ レー ム単 位で編 集
デー タ容 量が大 きい 。2G バイト 以上 の動
でき る。キ ャプ チャ の際 に,圧 縮率 の
画フ ァイ ルを作 成で きな い。( 2Gバ イト
自由 度が高 く, 圧縮 率が 低い状 態で は
を超 える とWin dows上 から 再生 や編集 が
高画 質な動 画を 再生 可能 。CPU への負 荷
でき なく なる) 。
も比 較的小 さい 。
A VI‑2
a vi
( DV形 式)
取り 込んだ 動画 を1フ レー ム単 位で編 集
2Gバ イト 以上の 動画 ファ イルを 作成 でき
でき る。ビ デオ 編集 ソフ トで編 集し た
ない 。し たがっ て, この ファイ ル制 限内
後, DVテ ープ に書 き戻 すこと がで き
で記 録で きる時 間は 約9分 30秒 であ る。
る。
(ビ デオ 編集ソ フト 側で 9分30 秒を 越え
た動 画も 扱える よう にな ってい る場 合も
ある 。)
M PEG‑1
M PEG‑2
M PEG‑4
m pg
m pg
m pg
ビデ オCDな どで 採用 され ている 。AV Iと
複数 フレ ームを まと めて 圧縮す るた め,
比べ ると容 量が 小さ い。 2Gバイ ト以 上
フレ ーム 単位の 編集 は難 しい。 画像 の品
のデ ータも 作成 でき る。
質は VHS程 度で あまり 高く ない 。
圧縮 後の画 質劣 化が MPEG‑ 1と比 較す る
ほか のフ ォーマ ット と比 較する と, CPU
と少 ない。 DVD ビデオ やデ ジタ ル放送 な
パワ ーを 必要と する 。1フ レー ム単 位の
どの 圧縮方 式に も採 用さ れてい る。
編集 は困 難であ る。
高圧 縮率を 誇る 。数 十kb ps程度 のデ ー
画像 の品 質はあ まり 高く ない。 MPE G‑4を
タ転 送量し か必 要と しな い。イ ンタ ー
採用 した 各動画 形式 間で 互換性 がな い。
ネッ トでの デー タ配 信に も利用 され て
いる 。
‑ 3 ‑
Ⅲ
ビデオカメラ, ビデオデッキからの動画フ ァイルの取り組み
ビデオカメラやビ デオデッキからコンピュー タにビデオ信号等を取り込む ためには,ビデ
オキャプチャボード を使用する必要があります 。
1.ディジタルビデ オカメラからの取り込み
ディジタル映像を ディジタル信号のままAV Iフォーマット形式で取り込 むので,画質の
劣化はほとんどあり ません。キャプチャボード としては主に次の二つがあり ます。
○
DV(AVI )キャプチャ(i‑Link,IEEE1394)ボード
汎用IEEE1394ボードとDV専用ボードが あります。
○
DV(AVI )キャプチャ+MPEG2エンコーダボード
i‑LinkとIEEE1394について
データ転送方 式と入出力端子の規格で, AppleComputerの場合にはFireWireと呼
ば れていますが,基本的には すべて同一規格です。この規 格は,最大で毎秒400メガ
ビ ットのデータ転送が可能で ,1秒あたりのデータ量の多 いAVIファイルを扱う
の に適しています。
IEEE1394はFireWireを基にして世界標準 化された規格で,ボードの端 子は,接点
が 4ピンのものと電源供給を 加えた6ピンのものがありま す。DV端子とは4ピン
の ほうをいいますが,6ピン のものもDV端子として利用 できます。
i‑Linkは,SonyがIEEE1394規格に準拠し て作ったDV端子(4ピン) の呼称で
す。
Sony製のコンピュータにはこ の端子が付属しています。
ディジタルビ デオカメラとコンピュータ とを接続する場合には,双方 の端子に合
っ たDVケーブル(4pin−4pin,4pin− 6pin)を使用 します。
2.アナログのビデ オデッキからの取り込み
アナログ映像をデ ィジタル信号に変換して取 り込むので,画質の劣化が若 干あります。キ
ャプチャボードとし ては主に次の二つがありま す。
(1) ビデオ(AV I)キャプチャボード
○
ハードウェ アコーディックを実装して いないタイプ
ソフトウェ アでリアルタイムエンコー ドを行うため,CPU等に非 常に負担がかか
ります。画面 サイズも小さく,320×240ドットで取り込みます。
○
ハードウェ アコーディックを実装して いるタイプ
ハードウェ アにMotionJPEGコーディッ クを実装したものは,画面サ イズが640×480
ドットで取り 込むことができます。
(2) ビデオ(MP EG)キャプチャボード
ソフトウェア だけで処理することも可能 ですが,かなりのマシンパワ ーを必要とする
ので,MPEGハー ドウェアコーディックを実 装したものをお薦めします。
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注意
Microsoft R ,Windows 2000 R,Windows NTR ,Office,Internet Explorerは 米国Microsoft Co
※
rporation の米国およびその他の 国における登録商標または商 標です。
※
その他,本書に 掲載したプログラム名,シ ステム名,CPUなどは一般に各社の登録商標 で
す。
※
本文中では, R マークは省略しました。 また,一般に使われている名 称を用いている場
合が あります。
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平成15年3月3 1日
初版発行
発行
広島県立教育センター
〒739‑0144
東広島市八本松南 1丁目2‑1
℡(0824)28‑2631
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