原子力関連機器の検査体制 - ASN

産業認証事業本部
原子力関連機器の検査体制_ASN
地球温暖化の原因と言われる炭酸ガス排出抑制の観点から、原子力発電が見直されています。
今後原子力発電プラントが増えることに対応し、ビューローベリタスとしてこれらの検査に対応すべく、昨年末
(2009 年 11 月 30 日-12 月 10 日)にビューローベリタスフランス本社で検査員研修が行われました。研修内容と
しては、原子力関連機器の検査体制/ASN と製造に関る全般的な項目が含まれていました。スペイン・イタリア・
インド・日本・フィンランド・UK・フランスの検査員が研修に参加し、各国の検査員間の交流も出来ました。
下記に原子力関連機器の検査体制/ASN について報告します。
現在、フランスでは Nuclear Pressure Equipment (NPE) Regulations で ASN が原子力関係を監督することに
なっています。これら原子力関連の法規・規格等は非常に複雑に関係し合っていますが、ここでは日本国内でビ
ューローベリタスが行う業務について考えます。 現在、フランスの原子力関連の製造する場合に適用する規格
は、RCC-M 2007 Edition (Design and Construction Rules for Mechanical Components of PWR Nuclear
Islands) および EN Standard 等です。
NPE Order (ESPN)では、取り扱う放射線量によって 3 レベルが規定されています。
レベル N1: 事故等の不測の事態が発生した場合、甚大な被害が発生する様な機器
(Failure would be a high-severity event.)
レベル N2: 370 MBq を超える放射線を取り扱う機器
(Significant nuclear risk)
レベル N3: 370 MBq を超える放射線を取り扱う機器
(Predominant pressure risk)
また、使用圧力・取扱う容器内容物・容器体積(パイプにつ
いては:断面積x圧力)に対応してカテゴリーが設定されてい
ます。(カテゴリー: PED 97/23/EC 参照)
これらのレベルとカテゴリーの組み合わせに基づいて、機器
の適合性検証方法が決定されます。
特に、レベル N1 に関しては Module H+Module G の適合
性検証作業が義務付けられています。これら Module は、
PED で規定されている品質適合検証方法を表します。
Module H に関しては Approved Notified Body が担当し、ASN が Module G の適合性検証を行うことになりま
すが、ASN の監督下で Approved Notified Body がこれらの検証業務を担当出来ることになっています(ビュー
ローベリタスフランス本社は、ASN により承認された第三者検査機関)。これらの原子力関連機器の検査・検証
業務に従事するには、ASN ガイドラインの要求事項に沿ってトレーニングし、資格認定した検査員を従事させる
必要があります。
今後日本国内でのレベル N1 機器の検査・検証業務として
は、原子炉反応容器製造・蒸気発生器製造・これらの大型
鍛造品(Shell Ring, Head, Tube Sheet, etc.)等が該当する
と思われます。
産業事業本部 原子力部
シニア・インスペクター 渡邊義昭