E3810 臨床薬理試験 《非びらん性胃食道逆流症》 治験

E3810 臨床薬理試験
《非びらん性胃食道逆流症》
治験総括報告書
1. 標題ページ
治験の標題
治験薬名
対象疾患
デザイン
目的
期間
用量
被験者母集団
治験依頼者
治験実施計画書番号
開発のフェーズ
治験開始日
治験の早期中止
治験終了日
医学専門家
治験依頼者の責任者名
担当者
連絡先
非びらん性胃食道逆流症患者を対象として E3810 投与前後の食道内
酸逆流状態を pH モニタリング検査を用いて検討する臨床薬理試験
E3810[一般名:ラベプラゾールナトリウム]
非びらん性胃食道逆流症
多施設共同無作為化二重盲検比較試験
24 時間食道内 pH モニタリング検査を用いて,非びらん性胃食道逆
流症患者における食道内酸逆流の状態を検討するとともに,同患者
を対象として E3810 5 mg/日あるいは 10 mg/日を 4 週間投与した際の
食道内酸逆流に及ぼす影響を検討する。また,E3810 の胸やけに対す
る効果及び安全性についても評価する。
観察期;1 週間(観察期用制酸剤投与)
ただし,被験者の来院都合を勘案し 2 週間まで許容した。
治療期;4 週間(治療期用治験薬投与;二重盲検比較期)
<観察期>
マーレッジ懸濁内服用 1 包(1.2 g)を用時約 12 mL の水に懸濁して,1
日 3 回毎食後に経口投与した(3.6 g/日投与)。ただし,下痢等の副作
用が発現した場合には,1 回の用量を半量(0.6 g)に減量してもよいこ
ととした(1.2 g を約 12 mL の水に懸濁し,半量の約 6 mL だけ飲むこ
とで調整した)。
<治療期>
(1) E3810 5 mg 群 (E3810 5 mg/日投与)
(2) E3810 10 mg 群 (E3810 10 mg/日投与)
非びらん性 GERD 患者
エーザイ株式会社
E3810-J081-462
臨床第 III 相試験
2005 年 5 月 16 日(最初の被験者の同意取得日)
なし
2005 年 10 月 31 日(最後の被験者の検査・観察終了日)
国立大学法人 東北大学病院
総合診療部 教授 本郷道夫
〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町 1-1
TEL:022-717-7000(代表) FAX:022-717-7016(代表)
エーザイ株式会社
責任者:臨床研究センター センター長 田中 尚
担当者:臨床研究センター 開発臨床部 杉崎 信行
連絡先:東京都文京区小石川 4 丁目 6 番 10 号
TEL 03-3817-3908(ダイヤルイン)
FAX 03-3811-7339
1
GCP 遵守の陳述
報告書作成日
本治験は,「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則,「薬事法第 14
条第 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基準」,並びに「医薬品の臨床
試験の実施の基準(GCP)」に関する省令(平成 9 年 3 月 27 日付厚生省
令第 28 号)を遵守して実施された。
すべての治験にかかわる文書,資料は各責任部署において適切に
保管されている。
2006 年 3 月 17 日
2
2. 概要
治験依頼会社名:
エーザイ株式会社
治験の要約表
申請資料中の該当箇所
分冊番号:
(審査当局使用欄)
商品名:
パリエット
ページ:
有効成分名:
ラベプラゾールナトリウム
治験の標題:
非びらん性胃食道逆流症患者を対象として E3810 投与前後の食道内酸逆流状態を pH モニタリ
ング検査を用いて検討する臨床薬理試験
治験責任医師名:
上村直実他 計 14 名(付録 16.1.4.a 参照)
治験実施医療機関:
国立国際医療センター他計 13 施設 14 診療科(付録 16.1.4.a 参照)
公表文献(本治験結果の報告文献)
なし
開発のフェーズ:
治験期間:5.5 ヵ月
臨床第 III 相試験
2005 年 5 月 16 日(最初の被験者の同意取得日)
2005 年 10 月 31 日(最後の被験者の検査・観察終了日)
目的:
24 時間食道内 pH モニタリング検査を用いて,非びらん性胃食道逆流症患者における食道内
酸逆流の状態を検討するとともに,同患者を対象として E3810 5 mg/日あるいは 10 mg/日を 4
週間投与した際の食道内酸逆流に及ぼす影響を検討する。また,E3810 の胸やけに対する効果
及び安全性についても評価する。
治験方法:多施設共同無作為化二重盲検比較試験
被験者数(計画時及び解析時):
計画時:1 群 10 例 合計 20 例
登録症例数:
観察期:29 例(観察期中止症例 3 例)
治療期:26 例(治療期中止症例 1 例)
解析時:
•臨床薬理学データに関する解析対象集団(観察期):22 例
•臨床薬理学データに関する解析対象集団(治療期):
18 例(E3810 5 mg 群:9 例,10 mg 群:9 例)
•有効性に関する解析対象集団:
FAS 26 例(E3810 5 mg 群:13 例,10 mg 群:13 例)
PPS 23 例(E3810 5 mg 群:12 例,10 mg 群:11 例)
•安全性解析対象集団:
観察期 29 例
治療期 26 例(E3810 5 mg 群:13 例,10 mg 群:13 例)
•食道内酸逆流状態と胸やけに対する効果との関連性に関する解析対象集団:
FAS 18 例(E3810 5 mg 群:9 例,10 mg 群:9 例)
PPS 16 例(E3810 5 mg 群:8 例,10 mg 群:8 例)
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治験依頼会社名:
エーザイ株式会社
治験の要約表
(審査当局使用欄)
申請資料中の該当箇所
分冊番号:
商品名:
パリエット
ページ:
有効成分名:
ラベプラゾールナトリウム
診断及び組み入れ基準:
対象疾患
非びらん性 GERD
選択基準
下記の基準をすべて満たす外来患者を対象とした。なお,性別は不問とした。
<観察期選択基準>
(1)観察期事前検査前の 3 週間において,1 週間あたり 2 日以上の頻度で「胸やけ」を毎週繰り
返す患者注 1)
(2)「胸やけ」症状について,次の 1),2)のいずれの条件も満たしている患者
1)症状の種類は,胃又は胸部下方より上がってくる灼熱感である
2)症状が発現しやすい又は増悪する時期は,食後,前屈姿勢時又は腹部圧迫時等である
(3)内視鏡検査にてロサンゼルス分類(改変 2)注 2)で grade M(色調変化型;Minimal Change)の患
者
(4)同意取得時に 20 歳以上の患者
(5)治験に先立ち本治験の目的及び内容を説明し,本人から文書同意が得られた患者
<治療期選択基準>
(1)治療期開始直前の 7 日間(観察期間中)で,2 日以上の「胸やけ」を認めた患者
(2)治療期開始時に持参した胸やけ日誌が,治療期開始直前の 7 日間(観察期間中)とも完全に記
入できている患者。観察期間が 8 日間以上の場合は,かつ全観察期間中においても記入日
が 80%以上である患者。
(3)観察期間中の制酸剤の服薬状況が 80%以上である患者
(4)観察期終了時(治療期開始時)に実施した 24 時間食道内 pH モニタリング検査により pH が
4.0 未満になる時間の割合(以下,% time pH<4.0)が 0%注 3)でない患者
注 1)観察期事前検査時と観察期投与開始時(観察期登録日)がずれる場合はその期間も胸やけが
継続していること
注 2)ロサンゼルス分類(改変 2)の詳細については,「9.5.1(2)2)の内視鏡検査」の項を参照
注 3)解析プログラムによるパラメータ算出の結果,四捨五入で 0.0%となった場合も治療期に
移行できない
除外基準
下記のいずれかの基準に該当する患者は対象から除外した。
(1)患者自身で胸やけ日誌の記入が適切に行えない患者
(2)胃もたれ,腹部膨満感を強く訴える患者
(3)精神神経科,心療内科領域の合併症若しくは既往症(躁うつ病,強迫神経症等)がある患者又
は抗うつ剤若しくは抗不安剤(睡眠導入用としての服用は可)を現在服用している患者
(4)H.pylori 除菌療法を受け,H.pylori 除菌療法終了時から観察期事前検査時までに 6 ヵ月未満
注1)
である患者
(5)開放性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍を有する患者
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治験依頼会社名:
エーザイ株式会社
治験の要約表
(審査当局使用欄)
申請資料中の該当箇所
分冊番号:
商品名:
パリエット
ページ:
有効成分名:
ラベプラゾールナトリウム
(6)急性胃炎を有する患者
(7)胃酸分泌に影響を及ぼす手術(上部消化管切除術又は迷走神経切離術等)の既往がある患者
(8)バレット食道,食道狭窄,幽門狭窄を有する患者
(9)強皮症の患者
(10)狭心症の既往又は合併のある患者
(11)夜間に働いている(シフトワーカーで夜勤をする)患者
(12)観察期事前検査前 3 週間以内に PPI を服用した患者
(13)NSAIDs(外用剤を除く),ステロイド(外用剤を除く),アスピリンを毎日服用する必要があ
る患者
(14)透析療法を受けている患者
(15)以下の重篤な疾患を合併している患者:心疾患(例;心筋梗塞等),血液疾患(例;再生不良
性貧血等),腎疾患(例;急性及び慢性腎不全等),肝疾患(例;肝硬変等),悪性腫瘍
(16)制酸剤又はプロトンポンプ阻害剤(以下,PPI)に対し過敏症の既往のある患者
(17)妊婦又は妊娠している可能性のある患者,本治験中に妊娠を希望している患者及び授乳中
の患者
(18)他の開発中の薬剤を服用している患者あるいは服用後から観察期事前検査時までに 6 ヵ月
未満注 1)である患者
(19)その他,治験責任医師等が本治験の対象として不適当と判断した患者
注 1)6 ヵ月前の同日及び月末の場合 6 ヵ月前の月末日は登録可
被験薬・対照薬,用量及び投与方法,ロット番号
被験薬:
観察期用制酸剤:マーレッジ懸濁内服用
治療期用治験薬:E3810 5 mg 錠,5 mg 錠プラセボ錠,10 mg 錠,10 mg 錠プラセボ錠
対照薬:なし
用量及び投与方法:
<観察期>
マーレッジ懸濁内服用 1 包(1.2 g)を用時約 12 mL の水に懸濁して,1 日 3 回毎食後に経口投与
した(3.6 g/日投与)。ただし,下痢等の副作用が発現した場合には,被験者は治験責任医師等
の指示に従い,1 回の用量を半量(0.6 g)に減量してもよいこととした(1.2 g を約 12 mL の水に
懸濁し,半量の約 6 mL だけ飲むことで調整した)。
なお,投与開始日は,観察期登録日からとした。
<治療期>
(1) E3810 5 mg 群(E3810 5 mg/日投与)
E3810 5 mg 錠,E3810 10 mg 錠プラセボ錠をそれぞれ 1 錠ずつ 1 日 1 回朝食後に経口投与し
た。
(2) E3810 10 mg 群 (E3810 10 mg/日投与)
E3810 5 mg 錠プラセボ錠,E3810 10 mg 錠をそれぞれ 1 錠ずつ 1 日 1 回朝食後に経口投与し
た。
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治験依頼会社名:
エーザイ株式会社
治験の要約表
(審査当局使用欄)
申請資料中の該当箇所
分冊番号:
商品名:
パリエット
ページ:
有効成分名:
ラベプラゾールナトリウム
なお,投与開始日は,治療期登録日の翌日朝からとした。
ロット番号(使用期限):
<観察期用制酸剤>
マーレッジ懸濁内服用:P42008ZZD(2007 年 3 月)
<治療期用治験薬>
E3810 5 mg 錠:P3Z006ZZE(2006 年 8 月)
E3810 5 mg 錠プラセボ錠:P3Z005ZZF(2006 年 8 月)
E3810 10 mg 錠:P39001ZZD(2006 年 8 月)
E3810 10 mg 錠プラセボ錠:P2Y007ZZM(2006 年 8 月)
治療期間:
観察期;1 週間 (観察期用制酸剤投与)
ただし,被験者の来院都合を勘案し 2 週間まで許容した。
治療期;4 週間 (治療期用治験薬投与;二重盲検比較期)
評価基準:
有効性:
食道内酸逆流状態は 24 時間食道内 pH モニタリング検査を観察期終了時(治療期開始時)及び治
療期終了時の 2 回施行し評価した。また,胸やけに対する効果は,被験者が記入した「胸や
け日誌」から集計し,胸やけの重症度を,軽度,中等度,高度の 3 段階で評価した。
<主要評価項目>
•観察期終了時(治療期開始時)及び治療期終了時に実施した 24 時間食道内 pH モニタリング検
査による% time pH<4.0
<副次的評価項目>
•観察期終了時(治療期開始時)及び治療期終了時に実施した 24 時間食道内 pH モニタリング検
査による% time pH<4.0 から求めた変化量(投与前後の差;治療期終了時-観察期終了時)
•胸やけに対する効果(最終評価時期における胸やけの完全消失率注 1),最終評価時期における
胸やけの緩解率注 2),胸やけのない日数の割合,胸やけの重症度スコア)
•胸やけに対する効果と% time pH<4.0 から求めた変化量(投与前後の差)との関係
•胸やけに対する効果と観察期終了時(治療期開始時)に実施した% time pH<4.0 との関係
•胸やけに対する効果と観察期終了時(治療期開始時)に実施した 24 時間食道内 pH モニタリン
グ検査により算出される症状係数(Symptom index:以下 SI 注 3))との関係
•24 時間食道内 pH モニタリング検査中(観察期終了時[治療期開始時],治療期終了時)に認めら
れた逆流(食道内 pH<4.0)の回数,5 分以上続く逆流(食道内 pH<4.0)の回数並びにその変化量
•胸やけ以外の自覚症状(おくび,口腔内酸逆流,咽喉頭違和感,早期満腹感,腹部膨満感,悪
心,嘔吐)に対する効果(消失率[%])
なお,必要に応じて,観察期終了時の% time pH<4.0 が 4%以上/4%未満で区切った層別解析
及び CYP2C19 遺伝子型別の層別解析を行うこととした。
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治験依頼会社名:
エーザイ株式会社
治験の要約表
(審査当局使用欄)
申請資料中の該当箇所
分冊番号:
商品名:
パリエット
ページ:
有効成分名:
ラベプラゾールナトリウム
注 1)直前の 7 日間とも胸やけが消失していた症例の割合
注 2)直前の 7 日間(14 区間)のうち,胸やけの発現が 1 区間を超えなかった症例の割合。な
お,1 区間は昼間又は夜間と定義し,同じ区間内で胸やけが複数回発現しても 1 区間の発
現とした。
注 3)逆流による(食道内 pH<4)胸やけの発現回数/総胸やけ発現回数×100%
安全性:
有害事象,臨床検査(血液学的検査,血液生化学的検査,尿検査),血清ガストリン値,
CYP2C19 遺伝子型,抗 H.pylori IgG 抗体等
統計手法:
解析は統計解析ソフト SAS for Windows (release 6.12 以上)を用いて実施した。原則として有意水
準を両側 5%とした。24 時間食道内 pH モニタリング検査(% time pH<4.0,逆流の回数,5 分以
上続く逆流の回数)について,投与群間の差を確認するため,各々の変化量について投与群間で
Willcoxon 順位和検定で比較した。また,各有効性評価項目の解析についても投与群間で比較し
た。
(1)被験者特性
人口統計学的及び他の基準値の特性(被験者特性)につき,解析対象集団ごと・治療群ごとに集
計した(分類尺度:被験者数,構成割合,計量値:被験者数,平均,標準偏差,中央値,最小
値,最大値)。
(2)臨床薬理学データ及び有効性に関する評価項目
24 時間食道内 pH モニタリング検査結果及び有効性について,以下の解析を行った。
<主要評価項目>
1) % time pH<4.0
各投与群及び 2 群合計した集団につき,観察期終了時及び治療期終了時の% time pH<4.0 につ
いてそれぞれ集計した。
<副次的評価項目>
各投与群及び 2 群合計した集団につき,% time pH<4.0 から求めた変化量について集計した。
また,以下の項目に関して集計した。
•胸やけに対する効果(最終評価時期における胸やけの完全消失率,最終評価時期における胸や
けの緩解率,胸やけのない日数の割合,胸やけの重症度スコア)
•胸やけに対する効果と% time pH<4.0 から求めた変化量(投与前後の差)との関係
•胸やけに対する効果と観察期終了時(治療期開始時)に実施した% time pH<4.0 との関係
•胸やけに対する効果と観察期終了時(治療期開始時)に実施した 24 時間食道内 pH モニタリン
グ検査により算出される SI との関係
•胸やけが消失するまでの日数
•24 時間食道内 pH モニタリング検査中(観察期終了時[治療期開始時],治療期終了時)に認めら
れた逆流(食道内 pH<4.0)の回数,5 分以上続く逆流(食道内 pH<4.0)の回数並びにその変化量
•24 時間食道内 pH モニタリング検査日の胸やけの発現回数
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治験依頼会社名:
エーザイ株式会社
治験の要約表
(審査当局使用欄)
申請資料中の該当箇所
分冊番号:
商品名:
パリエット
ページ:
有効成分名:
ラベプラゾールナトリウム
•胸やけ以外の自覚症状(おくび,口腔内酸逆流,咽喉頭違和感,早期満腹感,腹部膨満感,悪
心,嘔吐)に対する効果(消失率[%])
また,% time pH<4.0 の変化量の層別解析及び胸やけの完全消失率の層別解析を行った。
(3)安全性に関する評価項目
1)有害事象
項目単位の解析
•各投与群で,有害事象及び副作用の発現率を算出した。
•各投与群で,有害事象及び副作用の重症度別に発現率を算出した。
2)臨床検査
臨床検査値(計量値)の解析
各測定項目について,投与群ごとに基本統計量(被験者数,平均値,標準偏差,中央値,最小
値,最大値)を算出した。また,投与前値からの変化量について,Wilcoxon rank-sum test を用
いて,群間比較した。
臨床検査値(計数値)の解析
各測定項目について投与群ごとに測定値(-,±,+,…)の頻度を集計した。投与前後の変化
をクロス表にした。また,投与前値からの検査値の推移を「検査値が(-)方向にシフト」,「検
査値が不変」
,「検査値が(+)方向にシフト」に分類し,Wilcoxon rank-sum test を用いて,群間
比較した。
要約-結論
本治験の主要評価項目である 24 時間食道内 pH モニタリング検査による% time pH<4.0 は,
観察期終了時(治療期開始時)において臨床薬理学データに関する解析対象集団(観察期)22 例
中,病的酸逆流と定義されている 4%以上は 12 例(54.5%)であった。また,臨床薬理学データ
に関する解析対象集団(治療期)において,観察期終了時(治療期開始時)の% time pH<4.0 が 4%
以上は E3810 5 mg 群で 9 例中 5 例(55.6%),10 mg 群で 9 例中 6 例(66.7%)であり,治療期終了
時には E3810 5 mg 群で 9 例中 0 例(0%),10 mg 群で 9 例中 1 例(11.1%)と減少し,E3810 の投
与により病的酸逆流は改善された。
治療期開始時の E3810 5 mg 群及び 10 mg 群の% time pH<4.0 の平均値は 6.72%及び 7.03%,
治療期終了時はそれぞれ 1.38%及び 0.87%と両群とも E3810 投与により減少した。また,個別
の推移をみた場合,全ての症例で% time pH<4.0 は E3810 投与により減少した。
24 時間食道内 pH モニタリング検査中に認められた逆流の回数は,治療期開始時には E3810
5 mg 群及び 10 mg 群で 79.9 回及び 92.0 回であり,治療期終了時にはそれぞれ 38.6 回及び
22.0 回となり,その変化量に両群で差はなかった(p=0.077,Wilcoxon 順位和検定)が,E3810 5
mg 群に比べて E3810 10 mg 群で変化量が大きかった(E3810 5 mg 群:-41.3 回 10 mg 群:-70.0
回)。また,5 分以上続く逆流の回数も両群で E3810 の投与により減少した。
24 時間食道内 pH モニタリング検査中に認められた胸やけの回数は,治療期開始時には
E3810 5 mg 群及び 10 mg 群いずれも 4.0 回であり,治療期終了時には E3810 5 mg 群及び 10
mg 群で 0.6 回及び 0.4 回となり,両群で減少した。
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治験依頼会社名:
エーザイ株式会社
治験の要約表
(審査当局使用欄)
申請資料中の該当箇所
分冊番号:
商品名:
パリエット
ページ:
有効成分名:
ラベプラゾールナトリウム
胸やけに関する効果(胸やけの完全消失,胸やけの緩解,胸やけの回数の減少)の有無ごと
の% time pH<4.0 及び逆流の回数の治療期開始時から治療期終了時の変化量に関して,胸やけ
の回数の減少が認められた症例の逆流の回数の変化量は,E3810 5 mg 群と比べて 10 mg 群で
有意に減少した(E3810 5 mg 群:-16.0 回(n=7),10 mg 群:-71.5 回(n=8),p=0.024,Wilcoxon 順
位和検定)。
胸やけに関する効果に関して,最終評価時における胸やけの完全消失率は,E3810 5 mg 群
及び 10 mg 群でいずれも 38.5%であり,両群に差は認められなかった(p=1.000,Fisher の直接
確率検定)。また,その他の評価項目においても,両群で差は認められなかった。
安全性解析対象集団(観察期用制酸剤)29 例における有害事象発現率は 31.0%であり,副作用
発現率は 17.2%であった。主な有害事象は下痢(13.8%),おくび(6.9%),悪心(6.9%)であった。
また,主な副作用は下痢(13.8%)であった。臨床検査値の異常変動として白血球数増加,好中
球百分率増加が認められた。
安全性解析対象集団(治療期用治験薬)26 例における有害事象発現率は 61.5%(E3810 5 mg
群:46.2%,10 mg 群:76.9%)であり,副作用発現率は 30.8%(E3810 5 mg 群:23.1%,10 mg
群:38.5%)であった。主な有害事象は E3810 5 mg 群で下痢(23.1%),悪心(15.4%)であり,
E3810 10 mg 群で胃食道逆流性疾患(15.4%),頭痛(15.4%)であった。主な副作用は,E3810 5
mg 群で下痢(15.4%)であり,E3810 10 mg 群で頭痛(15.4%)であった。臨床検査値の異常変動と
して血中乳酸脱水素酵素増加,血小板数減少が認められた。
重要な有害事象は観察期で 1 例,E3810 10 mg 群で 1 例に認められた。E3810 10 mg 群で認
められた頭痛,排尿困難,便秘は治験薬との因果関係が否定されなかった。なお,重症度が
高度と判定された有害事象は認められなかった。
死亡例及び重篤な有害事象は認められなかった。
本治験の対象とした非びらん性 GERD 患者の 54.5%で病的酸逆流が認められ,食道内酸逆流
は E3810 の 28 日間投与により改善された。また,24 時間 pH モニタリング検査中に認められ
た胸やけの回数は,E3810 投与により著明に減少した。以上より,非びらん性 GERD 患者の
胸やけの改善に E3810 による食道内酸逆流の抑制が有効である可能性が示唆された。E3810
を 28 日間経口投与した際の忍容性は良好であった。
報告書作成日:2006 年 3 月 17 日
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