平成 28 年 6 月株主総会における想定質問

平成 28 年 6 月株主総会における想定質問
株主総会における株主からの質問は多岐に亘りますが、その目的は自身の投資判断に役立
てることにあると思います。
昨年の株主総会における質問事項は、経営政策・営業政策、配当政策・株主還元、財務状
況、リストラ・人事・労務、株価動向の順に多かったようです。この傾向は、近年変わっていま
せん。平成 28 年 6 月の株主総会のトピックスとしては、コーポレートガバナンス・コード関連、
会社法制関連、時事問題関連等が予想されます。
そこで、株主総会における想定質問を考えました。
ただし、以下の内容は公認会計士あるいは監査法人による監査が法定される 3 月決算の大
会社を想定しています。
【独立社外取締役の独立性判断基準】
質問例 ①
招集通知によれば、当社は、社外取締役の A 氏を取引所の独立役員に指定している。
独立性をどのように考えているのか、その判断基準を説明してもらいたい。
回答のポイント
コーポレートガバナンス・コード 【原則 4-9】では、次のように定めています。
「取締役会は、金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえ、独立社外取締役となる者
の独立性をその実質面において担保することに主眼を置いた独立性判断基準を策定・開
示すべきである。」
独立性判断基準を定めている会社においては、独立性判断基準を説明した上で、該当す
る社外取締役(A 氏)がその基準を満たすことを説明します。
他方、独立性基準を定めていていない会社においては、独立性基準を定めていない旨を
説明することになります。加えて、東証の「上場管理等に関するガイドライン」Ⅲ5(3)の 2 に
おいて規定されている、類型的に一般株主と利益相反の生じるおそれがある場合の基準
(「主要な取引先」、「多額の金銭」、「最近において」)に関連して、具体的にどのように判
断したかを説明することが考えられます。
2016 年 6 月 松井公認会計事務所
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【監査等委員会の意見】
質問例 ②
監査等委員以外の取締役の選任に関する議案や監査等委員以外に対するストックオプシ
ョンの付与に関する議案について、監査等委員会の意見を聞かせてほしい。
回答のポイント
新会社法において、監査等委員会設置会社が新設されています。
監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役
以外の取締役の選任・解任・辞任及び報酬について意見を述べることができます。この意
見陳述権は、監査役設置会社の監査役や指名委員会等設置会社の監査委員会にはな
い、監査等委員会独自の権限です。
意見陳述権を有するのは監査等委員会が選定する監査等委員ですが、質問に対する回
答者は、監査等委員であれば、監査等委員会が選定する監査等委員でなくても構わない
と思われます。とはいえ、回答する監査等委員を事前に
決めておくべきでしょう。
回答は、指摘すべき点はない旨を述べれば足ります。
【女性活躍推進法の制定】
質問例 ③
女性活躍推進法が制定され、企業には女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが
新たに義務付けられることになった。当社の行動計画の概要について教えてほしい。
回答のポイント
女性活躍推進法が成立し、平成 28 年 4 月 1 日から従業員 301 名以上の大企業では、同
法が適用されます。その中で、自社の助成の活躍状況を把握し、課題分析を行った上で
行動計画を策定し、届出、社内周知及び公表を行うこととされています。
採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況及び管理職に占める女
性比率等を把握・分析して、これらの数値及び概要をまとめておくことは重要です。
2016 年 6 月 松井公認会計事務所
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