BesideAthletes_vol55

2016 年 6 月発行
一般社団法人 アスリートケア News Letter Vol.55
*年 2 回発行になりました
事務局:大阪保健医療大学保健医療学部リハビリテーション学科内
発行責任者:小柳 磨毅
〒530-0043 大阪市北区天満 1 丁目 9 番 27 号 TEL:090-2386-5352(研究会専用) FAX:06-6352-5995(大阪保健医療大学)
第 27 回 WBSC U-18 日本代表チーム帯同報告
医療法人彩樹 守口敬任会病院
社会医療法人純幸会 関西メディカルリハ倶楽部
濱田 太朗1)
伊佐地 弘基2)
大会スケジュールとしては、全 12 チームを 2 ブ
【はじめに】
第 27 回 WBSC U-18 ベースボールワールドカッ
ロックに分け、まずは 6 チームにおける総当たりの
プが昨夏、甲子園大会後に開催されました。初の母
1次ラウンドを行い、両ブロックの上位 3 チームの
国開催ということで、日本の高校野球ファンなど多
計 6 チームでスーパーラウンドを戦い、上位 2 チー
くの方が注目する中、U18 侍ジャパンの専属理学療
ムが決勝戦へと進む形式でした。日本チームは、初
法士(以下、PT)として帯同させていただきました。
戦のブラジル戦にコールド勝ちし、2 戦目の宿敵ア
大会期間は 8 月 28 日から 9 月 6 日の 10 日間、
大阪・
メリカ戦でも完封勝ちを収め、勢いそのままに全勝
兵庫の球場(阪神甲子園球場、舞洲ベースボールス
で決勝戦まで駒を進めました。決勝まで来ることが
タジアム、南港中央野球場、豊中ローズ球場)にて
最低限のノルマであり、世界の頂点に立つことが最
試合が行われました(図1a、b)
。また、大会前の 8
大の目標でした。対戦国は、前回大会(台湾)での
月 22 日より 6 日間、合宿も行われました。
決勝戦と同じカードであるアメリカチームでした。
結果、1 対 2 で惜敗を喫し、2 大会連続の準優勝で
幕を閉じました。母国開催ということで是が非でも
初優勝を成し遂げたい、成し遂げねばならないとい
う一心で、前回大会と同じ監督、コーチ、そして現
状でのベストな選手を招集して臨んだ日本代表チー
ムに PT として帯同した経験や、その業務内容など
をご報告させていただきます。
【合宿における活動】
・理学療法士の業務内容
合宿は、専属 PT2 名、アシスタント PT2 名の計
図1a 大会ポスター
4 名で一日を通じてチームに帯同しました。今大会
の日本チームの試合時間はほぼナイターであったた
め、徐々にナイトゲームに慣れるための生活リズム
を作るようスケジューリングされていました。我々
スタッフは、選手の空き時間にコンディショニング、
練習前にテーピング等の処置や個別でのウォーミン
グアップ、練習中のアクシデントへの対応、トレー
図1b U18 侍ジャパン選手団
‐1-
・合宿中に意識したことなど
大会帯同する事が決まり、専属 PT2 名で今までの
経験を基にお互いが取り組んでみたい事を共有しま
した。PT として合宿及び大会中のケアやアクシデ
ントなどへの対応に加え、パフォーマンス改善を目
宿舎でのコンディショニング
練習後のクーリングダウン
的としたトレーニングや動作指導への関わりも積極
的に取り組んでいこうと話しておりました。実際に
は、合宿開始から2日間で全選手の現在のコンディ
ションや日々のケアやトレーニングに関するヒアリ
ングと選手に応じた病態及び機能評価を行いました。
その中でも数名の選手は、肩・肘関節の炎症や下肢
個別トレーニング
集団トレーニング指導
障害・腰痛など様々な問題を抱えていました。その
図2 合宿における理学療法士の役割
ほとんどの選手がケア方法について自チームのトレ
ーナーや医療機関である程度、指導を受けていまし
ニング指導、
練習後のアイシングやケアなど(図2)
、
た。問題はそこから、どうやってプレーへ段階的に
様々な業務を担いました。また、熱中症対策として
復帰していくかが我々に求められていました。選手
は、明治製菓のバックアップのもと、スポーツドリ
によっては復帰段階で患部への負担を考慮し、テー
ンクや疲労回復目的のゼリーなど非常に豊富な種類
ピングによる筋のアシストや関節の制動を行いまし
の商品を提供していただきました。甲子園大会同様
た。また機能評価や動作確認を行い、患部及び隣接
に現場でドリンクを作成し、選手個々にスクイーズ
部位の筋力トレーニングの指導や運動連鎖を考慮し
ボトルを配布し感染予防に努めました(図3)。
た動作トレーニング、インソールの作成等も行いま
した。結果、選手個々で発揮できたパフォーマンス
の差はあったと思いますが、初戦に全選手が戦力と
なれる準備が出来たと思います。
【大会中の活動】
・ルーチン業務内容
大会中は、PT2 名での帯同となりました。宿舎は
大阪でしたが、自宅へ帰ることはなく、選手と同じ
フロアで生活を共にしました。我々PT の部屋は、
コンディショニングルームかつ物品の管理部屋とな
りました。一日のスケジュールは、ナイトゲームに
図3 熱中症対策
向けてほぼ同じリズムで設定され(表 1)
、午前中か
短期間の帯同では合宿期間中より選手とのコミュ
ら試合会場に向かうまで、また試合後帰宿してから
ニケーションをはじめ、監督やコーチなどの首脳陣
就寝までの時間帯にコンディショニングやトレーニ
とも関係性を高めるよう努める必要があります。急
ング指導を受けようと多くの選手が来室しました
造チームであることから、積極的な声かけを行うこ
(図4)。
とで選手個々の性格や特徴など迅速に把握する必要
があり、PT 間での情報共有も非常に重要でした。
‐2-
表1
一日のスケジュール
数名の選手においては、コンディショニング要素
を含んだトレーニングが必要であり、個々の機能を
評価した上でトレーニングプログラムを実施しまし
た(図6)
。
図6 トレーニング指導
選手を担当制にするのでははく、2名の PT 双方
の視点で状態を把握し合い、意見交換することで選
手の心身機能やコンディションの情報共有を行いま
した。そのため、多角的に選手を見ていくことがで
き、質の高い介入ができたのではないかと感じると
共に、多くを学ぶこともできました。また、試合後
にはアイシングやクーリングダウンを実施(図7)
し、投手に関しては甲子園大会同様、個別でのクー
図4 コンディショニングルームでの介入
リングダウンを実施しました。
試合会場に向かう直前にはテーピングやマメ処置
を要望する選手に対し処置を施し(図5)
、試合直前
には個別でのウォーミングアップ希望があれば対応
しました。
図7 クーリングダウン
選手の体調管理も我々の重要な業務であり、毎朝
食前に体重、自覚的疲労度、睡眠時間について測定
および聴取しました。
母国開催であり、環境面や食事面などの不安要素
はなかった反面、体重過多による身体の“キレ”や
体軸の“ブレ”などパフォーマンスの低下が懸念さ
れました。実際、体重が増え過ぎて“身体が重い”
という選手がおり、精彩を欠く場面もありました。
体重コントロールや栄養面の指導など我々PT にと
図5 試合前処置
‐3-
って不慣れな分野ではあるものの、帯同時の業務と
評価結果を踏まえたうえで、どう判断すべきかなど、
しては非常に重要な部分であるため更なる知識の向
試合のこと、チームのこと、何より選手のことを一
上が必要であると感じました。
番に考え、的確に行動できたことは、甲子園大会で
のメディカルサポートの経験があったからこそだと
・アクシデントへの対応
思いました。
大会中、試合中の大きなアクシデントが2例あり
ました。一つ目は、デッドボールによる膝蓋骨の亀
【サポート件数】
裂骨折です。デッドボール直後は痛がりながらもラ
大会期間中を通じてのサポート時期とその内容お
ンナーとして出場し続けましたが、ベンチに戻った
よび件数を、表 2 に示します。
「1 部位 1 件」として
際には選手自身から「走れない」と訴えがありまし
算出した結果、総件数は 445 件でした。疲労回復な
た。すぐに評価した結果、骨折の可能性があると判
どのコンディショニングだけでなく、選手の個々に
断し、監督に報告してベンチに下がることになりま
欠けている運動機能の改善を目的としたトレーニン
した。試合中は、最悪の事態を考慮した上でアイシ
グ指導(コンディショニングやウォーミングアップ
ングと圧迫固定を実施し、帰宿後も持続冷却を行い
に含む)も積極的に実施しました。
ましたが、翌日も疼痛が軽減しなかったため受診す
ることとなりました。結果、骨折があることが分か
【帯同期間を通じて感じたこと】
り、その後の試合には出場できませんでしたが、ラ
代表監督がスタッフも含めた全体ミーティングで、
ンナーコーチとして最後までチームの一員として戦
選手たちに『心技体』3つのコントロールを意識し
ってくれました。一番、悔しい想いをした選手のひ
なさいと言われていたのが印象に残っています。身
とりであったと思いますが、腐らず自分のできる仕
体に関しては、
「自分の事は自分でする、セルフケア
事を黙々とやる姿に心を打たれました。二つ目は、
の重要性」を説いて頂きました。あくまで自己の身
大腿部の裂傷です。守備でダイビングキャッチした
体のコントロールは自ら行い、分からない部分や足
際、自身のスパイクが大腿部に入り、出血を伴う外
りない部分を PT に相談するよう説明して頂きまし
傷に見舞われました。攻守交代後、ベンチ裏にて確
た。そうすることで、PT の役割が明確になり我々
認すると約 3cm と約 0.5cm 程度の裂傷があり、す
の専門性に注力出来ました。その中で我々が工夫し
ぐに嘱託医に来ていただくようお願いしました。医
たことが、選手個々の身体特性やプレースタイルを
師到着までに処置に必要と思われる備品(水の入っ
把握し、個別にウォーミングアップを実施したこと
た霧吹、滅菌ガーゼ、消毒セットなど)を準備し、
でした。幸い、選手の方から数多く要望をもらった
医師の指示に従いながら処置のアシスタントを務め
ことで貴重な経験を積む事が出来ました。
ました。診察の結果、縫合すれば明日以降の試合に
我々は、選手の身体に触れることについては、普
も出場可能との判断で、医務室に向かい、縫合(4
段の臨床業務やスポーツ現場で数多く経験します。
針)を行いました。縫合場面を目の前で見ることは
その中で選手個々へ色々なアドバイスを行うことも
初めてで貴重な経験ではありましたが、その後の感
多くあります。しかし、選手全員の前で試合に向け
染に対するリスク管理が重要であり、入浴時の創部
た熱い言葉や、その時選手に必要な言葉を発する機
周囲のラッピングなど注意深く行い、選手にも管理
会は少なく、我々はそのような経験が有りませんで
方法を指導しました。翌日の試合は控えにまわりま
した。ミーティングの席で意見を求められる事もあ
したが、試合前後で嘱託医に処置をしていただき、
り、経験しないと中々意識しづらい部分ではありま
決勝戦ではスタメン出場し、素晴らしいプレイを見
すが、これから帯同される先生方には、そういった
せてくれました。
モチベーションに関わる部分もチームの一員である
2 例とも甲子園大会でも十分起こりうるケースで
以上、求められているということを意識して行動・
あり、試合展開から処置のタイミングをどうするか、
言動頂ければ、更にチームの力になるのではと思い
‐4-
ました。
【おわりに】
・今後への提言
表 2 サポート時期と内容件数
前回大会同様、決勝まで勝ち進みましたが同じ相
手に敗れ、悔しい想いをしました。しかし、選手と
Taping Icing
の関わり方やチームスタッフとの連携など、前回大
会よりはるかにスムーズにチームの一員として溶け
Condition Warm Cool
ing
up
down
合計
試合前
75
0
122
33
0
230
ムを勝利に導く何かをもっているはずで、今回の経 試合中
7
3
3
2
0
15
試合後
6
121
67
0
6
200
合計
88
124
192
35
6
445
込むことが出来たように思います。我々PT もチー
験の中から次大会に向けて参考になるような情報提
供をしていかねばならないと感じています。キーワ
ードとしては、①急造チームであるため選手・指導
者と積極的にコミュニケーションをとる工夫②選手
*各件数は、「1 部位 1 件」として算出
個々のフィジカルおよびメンタルコンディションの
*試合前中後には、練習前中後を含む
早期把握③選手のパフォーマンスアップも視野に入
れたコンディショニングの指導と考えます。これら
は日々の臨床業務に加え、甲子園大会でのメディカ
ルサポートや学校支援などスポーツ現場の活動で培
った経験が基盤となっており、その経験が侍ジャパ
1)〒570-0021 大阪府守口市八雲東町 2-47-12
ンのチーム力を向上させ、勝利を引き寄せる術のひ
2)〒560-0083 大阪府豊中市新千里西町 1-1-7-2
とつであると信じています。
追悼
西村 敦 先生
永らく本法人の監事を務めていただいた、西村 敦先生(藍野大学医療保健
学部教授, 理学療法学科長)が 6 月 20 日に急逝されました(享年 62 歳)。
西村先生は本法人の前身であるスポーツ傷害理学療法研究会の発起人でもあ
り、設立以来、会の運営につき数多くのご助言、ご指導をいただいてまいりま
した。私事ですが養成校の大先輩であり、職能団体の役員や学会の運営、教科書の制作など、数多
くの仕事をご一緒させていただきました。お辛いことも多々あったと拝察しますが、いつも慈愛に
満ちた笑顔と寛大なお人柄で、多くの難題を受け止めていただきました。突然の訃報に大きな喪失
感を禁じ得ませんが、西村先生のご遺志、理学療法士の発展に少しでも尽力することが、残された
ものの責務と思います。
これまでのご厚情に感謝するとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
アスリートケア代表理事 小柳磨毅
‐5-
第 88 回選抜高等学校野球大会メディカルサポート報告
医療法人整友会 豊橋整形外科 江崎病院
四ノ宮 祐介
トレッチング前後の肩関節 3rd 内旋可動域の計測を
【はじめに】
第 88 回選抜高等学校野球大会が平成 28 年 3 月
実施しました。対象投手は延べ 15 名で、肩後方の
20 日~3 月 31 日(休養日含む)の間、阪神甲子園
ストレッチング実施後はすべての投手において関節
球場にて開催されました。今大会は天候に恵まれ予
可動域の拡大が確認されました。
定通りの日程で進み、休養日が準決勝前に組まれま
した。試合内容は 1 点差の緊迫した好試合が 11 試
【大会中メディカルサポート】
合と多く、平成 21 年に甲子園球場がリニューアル
大会中のメディカルサポートスタッフ参加数は延
されて以降、最も多い 52 万人を超える観客動員数
べ 159 名で、大会期間中は 1 日 12 名~15 名体制に
となり、高校野球への注目度の高さが伺える大会と
て業務にあたりました。メディカルサポート実施人
なりました。決勝戦は今大会を物語るような延長 11
数は延べ 88 名、件数は 108 件で処置内容は上肢へ
回までもつれる熱戦の末、智弁学園が高松商にサヨ
のテーピングが多く、試合前処置の件数が最も多い
ナラ勝ちし、春夏を通じ初めての決勝戦で栄冠を勝
結果となりました。傾向として同一選手が同様のテ
ち取りました。
ーピングをしてほしいと依頼する事が多数あり、大
今大会も主催者の要請を受け、当法人にてメディ
会期間中の縦断的なサポートを行うことができまし
カルサポート(大会前検診及び大会中メディカルサ
た(表 1)。また受傷時期は大会前が多くなっている
ポート)を実施しましたのでここに報告させて頂き
ことも特徴的であり、選手にとってはシーズン明け
ます。
から今大会にむけた調整の難しさや怪我への対応や
予防の必要性を感じます。以下にサポート内容につ
【投手検診】
□大会前検診
いて報告いたします。
表1 受傷部位と処置内容
表 1 受傷部位と処置内容
大会前投手検診は平成 28 年 3 月 15 日~17 日の 3
日間で行われました。対象者は出場校 32 校の本大
会に投手登録された選手 104 名でした。検診は理学
療法士による関節可動域測定(肩、肘、前腕の全 7
項目)と医師による診察を行い、診察情報を基にス
受傷部位 上肢
51
下肢
31
体幹
10
頭頸部
4
トレッチング(肩後面、前腕の必須項目)
、個々に応
じたコンディショニングの指導を行い、試合に向け
て障害予防の重要性を伝えるようにしました。また
処置内容
テーピング
52
アイシング
35
その他
10
ストレッチング
8
徒手的療法
2
水分補給
1
単位(件)
□試合前処置:36 件(昨年春:36 件)
学校と投手を対象に熱中症、怪我についてのアンケ
手・手指、肘、肩関節のテーピング処置を希望す
ート調査を実施しました。そこで 70%の投手が過去
る選手が多く占めました(20 名/27 名)
。受傷時期は
に肩・肘・腰などになんらかの怪我をしていること
大会前から痛みのある選手が7割を占めていました
が分かりました。大会期間中はアンケート結果を踏
(表 2)。特に、上肢の痛みはプレーへの影響が大き
まえ、ケアの実施と熱中症既往者を確認し、発生予
いため、1回戦での試合前処置の件数の増加につな
防に努めました。
がったと考えます。
□大会中検診
準々決勝、準決勝の試合後に医師による診察とス
‐6-
ました。件数増加の要因は最高気温の高い日が多く、
15℃を目安に症状を訴える選手が多くなる傾向が
表2 受傷時期と受傷場面(大会前)
表 2 受傷時期と受傷場面(大会前)
受傷時期
大会試合中
大会前
大会練習中
36
34
18
みられ、また寒暖差による飲水量の減少も影響して
受傷場面(大会前)
投球中
10
打撃中
7
守備中
6
走塁中
1
その他
10
単位(件)
いると考えられました。また 1、2 回戦での訴えが
多いことも熱中症予防の観点より配慮する必要があ
ります。
【おわりに】
今大会も会員の皆様のご協力によりメディカルサ
□試合中処置:17 件(昨年春:16 件)
ポート業務を滞りなく終えることができました。昨
昨年度と同じく、打撃では死球、守備中では交錯
年と比べ、熱中症様症状の件数は増加しましたが、
プレーや走塁中の捻挫などのアクシデントに対する
上記要因以外に、スタッフの方々が意識を高く持ち、
処置がほとんどを占めました。
軽症でも多くの選手に目を配ることができた結果で
もあると考えています。今後も早期発見に努めて、
□試合後処置:33 件(昨年春:50 件)
重症化を防ぐことを目的に啓発していきたいと考え
一昨年度、昨年度より件数は減少しており、処置
ます。また今大会でもテーピング処置・対応など各
内容はデッドボールや打撲に対するアイシングが多
スタッフ間で信頼し、情報共有できたことで大会期
く医師への確認は1件で走塁中に受傷した際の確認
間中に縦断的に選手をサポートすることができまし
でした。試合後処置については大会前、大会練習中
た。
に受傷した選手が約半数を占めていました。試合後
今後とも選手に応じた適切な対応ができるように
の処置では、試合中の受傷以外にも試合前処置では
スタッフ個々が知識・技術の研鑽と、リーダーシッ
対応できなかった選手がいることを想定し、クーリ
プを取りチームとしての働きかけが更にできるよう
ングダウン中は選手のしぐさを注意深く観察したり
に、今後の大会でも取り組んでいく所存です。
積極的に声を掛けるなど、より注意を払う必要があ
(〒440-0883 愛知県豊橋市新川町 66 番地)
ると考えます。
□コンディショニング:3 件(昨年春:5 件)
大会中のコンディショニングは延べ 3 件で 1 校の
利用となりました。依頼としては投球時の痛みの対
応と試合後の状態確認を毎回してほしいという内容
でした。今大会は初戦敗退となったため、実際は試
合前日のみとなりました。昨年春も試合後に実施依
頼があったため、今後も想定し対応していければと
考えます。
□熱中症様症状:32 件(昨年春:9 件)
総件数 32 件と近年と比べて件数は増えましたが、
医師による診察は 1 件のみでした。ポジション別で
は投手 8 件、捕手 5 件、野手 18 件という内訳でし
た。発症時期は試合中に 8 件、試合後に 24 件で、
症状は単部位の筋痙攣の発症がほとんどを占めてい
‐7‐
平成 27 年度
第 87 回選抜高等学校野球大会
メディカルサポート参加報告
第 3 回ワークショップ参加報告
「コンディショニング」
南芦屋浜病院
宮原 隆登
行岡病院
久穂 正樹
第 88 回選抜高等学校野球選手権大会のメディカルサポ
平成 27 年 11 月 15 日に大阪保健医療大学にて行われた、
ートに参加しましたので報告させて頂きます。今大会私が
第 3 回ワークショップ「コンディショニング」に参加しまし
参加したのは大会前投手検診 2 日目と大会 9 日目の準々決
たので、報告致します。
勝の 2 日間です。今回は検診班協力員として参加させて頂
今回のワークショップは、武岡健次先生、今高康詞先生、
きました。
多田周平先生に講師としてご講演頂きました。内容は前半に
大会前投手検診では今大会に投手登録されている選手
ストレッチングの概論について、後半は上肢、下肢、体幹の
の上肢可動域測定、医師の診察への同伴、ストレッチング
筋別でのストレッチングについて実技を交えて指導して頂
指導、医師の指示によるトレーニング指導を行いました。
きました。概論ではストレッチングの歴史から目的、種類や
大会前投手検診ではエースの投手だけでなく、控え投手も
神経生理学での反応を学びました。ストレッチングの種類で
検診対象であるため大勢の投手と接することができまし
は運動様式による分類でスタティックストレッチグ、バリス
た。その中で感じた事は、故障を隠しながらプレーをして
ティックストレッチング、ダイナミックストレッチングの方
いる選手が大勢いるということです。私自身も小学校 1 年
法が紹介され、目的や方法などから使い分けについて学ぶこ
生から高校 3 年生まで野球をしていました。その 12 年の
とが出来ました。
中で同じように故障を隠しながらプレーした経験もあり、
ストレッチングをスポーツの現場で行う際にいつ、どのス
気持ちが痛いように分かります。しかし現在立場が変わり
トレッチングが良いか悩むことがありました。ストレッチン
その現実を目の当たりにし、やはり日本の学生野球におけ
グ後の身体の反応を提示し、説明していただくことで、適切
る障害予防の啓発がもっと必要であるように感じました。
な方法でストレッチングを行う重要性を感じました。パフォ
大会 9 日目の準々決勝では通常のサポート業務の他、大
ーマンスを上げた状態で試合に臨めるように、正しいストレ
会期間中投手検診が並行して実施されました。4 試合目、
ッチング方法を選手に伝えていくことが重要であると実感
私は敗戦校投手のクーリングダウンを担当しました。4 試
しました。
合目は勝利校投手 2 名、敗戦校 2 名の計 4 名いる中、同時
後半は上肢、下肢、体幹に分け、各々の筋に対してのスト
進行で大会期間中投手検診を行わなければならず、周囲に
レッチングの実技を行いました。ストレッチングを行う際、
目を配りながら限られた時間とスペースの中で臨機応変
起始・停止を頭の中で正しく考えながら行うことで即時効果
な対応が要求されました。取材終了と同時に対象投手を呼
にも差が出ると実感しました。またストレッチングもパート
び、医師診察、肩関節 3rd 内旋角度の計測、対象投手のク
ナーストレッチングとセルフストレッチングを指導してい
ーリングダウンを並行して行いました。投手のクーリング
ただき、臨床でも実践することができる方法を学びました。
ダウンを実施するのは初めての経験で、評価し立案したア
ストレッチングでもなぜこのようにする方がよいのか?と
プローチが十分に行えなかった事に自分の力量不足を痛
考えることの重要性をご指摘頂き、考えながらストレッチン
感しました。
グを行うことの重要性を再認識することができました。
今回メディカルサポートを通じ我々理学療法士は更に
ストレッチング方法や評価方法のみならず、ハンドリング
選手及び指導者に対し障害予防の啓発が必要であると感
の方法、対象者への配慮もご指導頂き、多くのことを学ぶ機
じました。これからも甲子園サポートに参加し障害予防の
会となりました。今後は、現場で実践できるよう、研鑽を重
啓発に努めて参りたいと思います。
ねていきたいと思います。
(〒659-0034 兵庫県芦屋市陽光町 3-21)
(〒530‐0012 大阪府大阪市北区浮田 2-2-3)
‐8‐
平成 27 年度研修会参加報告
平成 27 年度研修会参加報告
スポーツ整形外科の進歩と今後の展望
スポーツ理学療法の現状と未来
社会医療法人純幸会
社会医療法人純幸会
関西メディカル病院
今東 明日香
関西メディカル病院
平成 27 年 10 月 25 日に大阪保健医療大学で開催された、
松本 光平
平成 27 年 10 月 25 日に大阪保健医療大学にて行われたア
アスリートケア研修会に参加し、関西労災病院スポーツ整
スリートケア研修会に参加し、小柳磨毅先生の「スポーツ理
形外科第 2 部長の鳥塚之嘉先生による「スポーツ整形外科
学療法の現状と未来」を聴講しましたので、報告いたします。
の進歩と今後の展望」を聴講したので報告いたします。
内容はスポーツ損傷膝の治療と予防、投球障害肩・肘の治
講演ではスポーツ整形外科の過去から現在までの進歩
療と予防、競技大会支援と学校保健活動についてでした。そ
と展望、障害予防への取り組みの重要性を述べられていま
れぞれにおいてスポーツ傷害に対する評価・治療方法の提示
した。元来、スポーツ整形外科では障害が発生すればスポ
をしていただき、幅広い知識を得ることができたと同時に、
ーツを止めれば良いと考えられ、治療対象は脊柱や股関節
予防に対する取り組みの重要性を強く感じた内容でした。
障害が多く、靭帯に対する治療はあまり行われていなかっ
スポーツ損傷膝および投球障害肩・肘の治療と予防では、
たと聞きました。また以前の ACL 損傷の治療では、30 歳代
受傷から競技復帰、再発予防に対する具体的な評価・治療方
は手術対象外とされ、術後はギプス固定をしていたと知り
法を紹介していただきました。治療効果を視覚化または定量
ました。私自身、ACL 断裂で手術・リハビリテーションを
化した客観的データに基づいて検証し、新たな治療方法の開
経験しましたが、怪我をしたらスポーツはやめるという以
発を行っていたことが特に勉強になりました。このような取
前の考え方に驚きました。また、MCL 断裂後、固定や縫合
り組みは、スポーツ理学療法だけでなく質の高い治療を提供
を行わなくても靭帯強度が回復すると報告した Woo らの論
するためには、理学療法の全ての分野において必要であると
文が固定に対する考え方や早期リハの先駆けとなったこ
感じました。私も日頃の臨床で効果のある治療を提供できる
とを紹介され、臨床における概念が大きく変化したことを
ように、研鑽を怠らず取り組みたいと思いました。
知りました。画像診断の進歩についても触れられ、従来の
競技大会支援と学校保健活動では、甲子園大会におけるメ
画像に加え現在は 3-D MRI や超音波などを使用すると紹介
ディカルサポートやクラブ活動サポート事業などの取り組
がありました。手術に関しては ACL 再建術と半月板縫合に
みについて紹介していただきました。予防に直結する検診、
ついて、ACL を再建するポジションや再建組織の変化、半
予防効果のあるコンディショニングを各活動で展開されて
月板縫合術の発展や術後の合併症発生率などについて述
おり、選手だけでなく指導者への介入も行っていました。こ
べられていました。今後の展望として、多血小板血漿治療
れらの活動は継続することによって予防効果が立証され、社
や体外衝撃波、軟骨再生のメリットや適応について提示し
会貢献となると感じられるため、私も一人の理学療法士とし
て頂きました。最後に高校野球における障害予防として、
て競技大会支援や学校保健活動に積極的かつ継続して参加
障害予防の取り組みや肩・肘の炎症の重症度、練習日数、
したいと思いました。
初回故障歴などの変化のグラフを提示して頂きました。以
スポーツ理学療法の現状は科学的根拠の探索および発信
前に比べ肩・肘の機能不全や強い炎症を起こしている症例
を積み重ねてきたことで作り上げられてきたと思います。今
は減少していることが分かりました。今回の講演を通し、
後もそれらを継続していくことが未来のスポーツ理学療法
スポーツ整形外科の進歩とともにリハビリテーションに
の発展を支えると感じました。
おける質の向上、障害発生後のリハビリテーションだけで
なく予防に努めていかなければならないことを改めて学
ぶことが出来ました。
(〒560-0083 大阪府豊中市新千里西町 1-1-7-2)
‐9‐
(〒560-0083 大阪府豊中市新千里西町 1-1-7-2)
ワークショップ講師報告①
『コンディショニング -ストレッチング-』
武庫川女子大学 健康・スポーツ科学科
武岡 健次
図 1 は肘屈曲時、上腕三頭筋は屈曲に伴い、伸
『コンディショニング ストレッチング』という
張する必要があると同時に、筋の深部と骨との間
タイトルで、ストレッチングを実施する目的、臨
では伸張とともに組織間で滑走が生じているこ
床においても応用できる拘縮の考え方、最近の知
とを示します。上腕三頭筋腱自体は伸張しないが、
見として筋腱移行部の移動量の測定方法、筋活動
腱とその下層の間では腱が移動することに伴う
促通の皮膚テーピングについて概要を説明しま
組織間の滑走が生じます。
す。
図 2 は短縮した筋は伸張すると可動域の途中で
ストレッチングを実施する目的として、関節可
筋が突っ張り静的緊張が高まり、この時腱の長さ
動域の拡大、身体活動の向上、傷害予防のための
は変わらないため必要な長さを供給する組織は
ウォーミングアップ、クーリングダウン、心身の
ほぼ筋腹と考えられます。
リラクゼーションが挙げられます。ウォーミング
アップは競技中の怪我の予防、パフォーマンスの
向上を目的とします。神経筋の反応時間を短縮さ
せ、素早い動きなどのパフォーマンス向上が重要
であり、ダイナミックストレッチングのような伸
張反射を高めることも必要です。クーリングダウ
ンは緊張した筋の柔軟性を回復させ、運動によっ
て生じた乳酸など代謝産物の除去が重要であり、
スタッティクストレッチングと軽負荷運動の組
み合わせが適しています。
図2
筋における伸張障害の概念
(文献 1 より引用)
図1 肘関節屈曲運動の伸張と滑走
(文献 1 より引用)
拘縮とは「他動的に関節可動域が制限された状
態」です。拘縮は伸びるべき組織が伸びない伸張
障害と、運動に伴う組織間の滑りが癒着してしま
う滑走障害で成り立っています。
‐10-
図3
筋腱移行部(MTJ)の移動量
(文献 2 より引用)
他 動 的 に 足 関 節 背 屈 時 の 筋 腱 移 行 部 ( Muscle
Tendon
Junction:MTJ)は深部腱膜と表層腱膜
が一つの腱に収束していく部分です。
【引用文献】
1) 林
ストレッチングや筋収縮に伴う MTJ の移動距離
典雄:運動療法のための運動器超音波機
能解剖.文光堂,2015.
を測定することで筋、腱の柔軟性を評価すること
2) 中村雅俊他:超音波画像診断装置を用いたス
ができます。MTJ の移動量の測定方法は皮膚の上
トレッチング研究のトピックス.理学療法学,
に反射マーカーを張り反射マーカーを基準に測
2015.
定することが可能です2)。
3) 福井
勉:皮膚テーピング.運動と医学の出
版社,2014.
(〒663-8132 兵庫県西宮市池開町 6-46)
図4 筋活動促通テーピング(内側広筋)
(文献 3 より引用)
最後に筋活動促通テーピング(内側広筋)を紹
介します。
①停止部の脛骨粗面から起始部とは逆方向テー
プを貼ります。
②停止部から起始部方向にテープを貼ります。
③起始部の皮膚が伸張されるように短いテープ
を逆方向に貼ります。
筋が収縮する際、その筋の停止部から起始部方
向に皮膚を誘導すると筋の収縮を促通します。ま
た、その筋の起始部から停止部方向に皮膚を誘導
すると筋の収縮を抑制します。筋の停止部が起始
部に近づく運動では、筋収縮が生じる部位の皮膚
をあらかじめ収縮する方向へ誘導しておくと浅
筋膜層で滑走が生じ収縮時に筋力が発揮しやす
い状態になります。
第 3 回ワークショップのコンディショニング
「ストレッチング」についての講義内容の一部を
報告させていただきました。今回、自分の知って
いる知識だけでなく、最新の知見や超音波を使用
した評価方法など新しい知識を増やすことの大
切さを再確認しました。
‐11-
ワークショップ講師報告②
『ストレッチング 基礎編(上肢)』
行岡病院 リハビリテーション部
今高
康詞
樂〽
アスリートケアのワークショップにて、
「ストレッ
となる項目を整理することを各実技の前に行いまし
チングの基礎編」の主に上肢のストレッチングにつ
た。実技の中では、対象筋をパートナーストレッチ
いて講演と実技を担当させて頂きましたので、その
ングにて伸張するだけでなく、隣接する筋・筋膜を
内容を紹介します。
意識したセルフストレッチング方法も紹介しました。
コンディショニングの一手法である「ストレッチ
ング」を評価や症例を通して、
受講者に理解を深め、
今回は、広背筋に対するストレッチングを紹介し
ます。
臨床の中での治療方法の選択や実施を根拠に基づき
広背筋は、第 6〜8 胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、
施行できるように評価内容の提示と実技を行うこと
腸骨稜、第 10~12 肋骨および肩甲骨下角より上腕骨
を目的としました。
小結節稜に走行しており、ストレッチングを実施す
ストレッチングの実技を実施する前に、臨床での
る際には、まず骨盤を後傾位にすることがポイント
可 動域評 価とそ の解釈の 整理と して、 肩関節の
であり、同側の股関節を深い屈曲位とし、骨盤を後
ROM 制限とその原因となる因子をまとめて提示し
方から誘導することが大事になります。次に固定部
ました。また、投球障害に対する評価として用いら
位ですが、上腕骨を固定するのか、肩甲骨下角を固
れることが多い原テスト1)の Combined abduction
定するのかにより、伸張される部位に変化が生じま
test(以下、CAT)
、 Horizontal flection test(以下、
す。上腕骨を固定すれば、筋全体に伸張感を確認で
HFT)
、Hyper external rotation test(以下、HERT)
き、肩甲骨を固定すると、より起始側に伸張感が得
や 2nd/3rd の内旋可動域を具体例として提示し、筋
られます。
• 伸張側と反対の股関節を屈曲
や関節包および肩関節周囲の靭帯組織などの制限因
子との関連性の理解を深めてから実際の実技を進め
• 骨盤の後傾を増大すると同時に
胸腰筋膜を介して広背筋の伸張
ました(図 1)
。
固定
(上方牽引)
誘導
広背筋ー胸腰筋膜ー大臀筋
(Anatomy trains:医学書院)
図2 腰背筋膜を介したセルフストレッチング
セルフストレッチングでは、反対側の股関節を深
く屈曲させ体幹を回旋することで腰背筋膜を介して、
伸張感が増大することを確認してもらいました。
【参考文献】
図1 機能評価と制限因子との関連
1)原 正文:投球肩障害の診察法(メディカルチェ
ストレッチングの実技前には、対象となる筋の起
始と停止から走行を確認し、誘導方向や固定部位に
よる伸張感の違いを体験し、臨床での指導ポイント
-12-
ックを中心として)
.骨・関節・靭帯 20(4):301-308,
2007.
(〒530-0021 大阪市北区浮田 2-2-3 )
ワークショップ講師報告③
『ストレッチング 基礎編(体幹・下肢)』
大阪大学医学部附属病院 リハビリテーション部
多田 周平
「ストレッチング基礎編(体幹・下肢)
」という
タイトルで、講義と実技を担当させていただきま
したのでその概要を説明します。
ここでは、体幹側面筋(外腹斜筋、内腹斜筋、
腰方形筋、広背筋、前鋸筋)と大腿筋膜張筋のス
トレッチングについて紹介します。
a
b
c
図1
体幹側面筋
投球のようなオーバーハンドの動作では体幹の
側屈を伴い、拳上側の体幹側面筋には遠心性収縮、
対側には求心性収縮が要求される。このため、野
球やラケットスポーツのように片側でオーバー
ハンドの動作を反復する場合は、両側の体幹側面
筋に柔軟性低下が生じやすい。
図2
【評価】
大腿筋膜張筋
図3
(文献 1 より引用)
両腕を身体の前で交差させて手を組み、最大挙
大腿筋膜張筋は、片脚支持の状態において過度
上位にする。そのまま体幹を側屈し、動きが乏し
の股関節内転(骨盤の下制)、膝関節の内反およ
い部分を観察する(図 1)
。
び外旋の制動などに働く。このため、いわゆる過
考えられる制限因子
度の knee in や knee out、足部の過外転・回内な
・腰椎可動性不十分(図 1a)
:腰方形筋、腹斜筋
どによる下腿過外旋位など、様々な不良姿勢に起
・胸椎可動性不十分(図 1b)
:前鋸筋、肋間筋、
因して過負荷による障害を来しやすく、臨床的に
胸棘筋、胸多裂筋、胸回旋筋
治療の対象になることが多い。
・肩関節屈曲不十分(図 1c)
:広背筋
【評価】
【ストレッチ方法】
Modified Ober test と Modified Thomas test
1) 肩甲骨外側縁に手を当て、肩甲骨を固定した
を実施する。Modified Thomas test は、背臥位で
状態で骨盤を前方回旋・下制する。肩甲骨を
伸長側の大腿部以遠をベッド端から下ろし、対側
内転位へ誘導することで前鋸筋がより伸張さ
下肢は深く屈曲する。大腿筋膜張筋の短縮や過緊
れ、これに筋連結を持つ外腹斜筋の伸張も得
張があれば伸長側の股関節は外転、内旋位となる。
られやすくなる(図 2)
。
また、腹臥位にて股関節中間位および外転位で股
2) 肩甲骨は上方回旋・外転位へ誘導し、固定し
関節伸展角度の差を計測する。股関節中間位に比
た状態で骨盤を後方回旋・下制する。伸張側
べて、外転位の方が明らかに大きくなる場合、大
の肩関節屈曲に加え、外旋位にすることで、
腿筋膜張筋の短縮を疑う。
より広背筋の伸張が得られやすくなる(図 3)
。
-13-
【ストレッチ方法】
1) 側臥位にて非伸張側の下肢は屈曲位に保持す
る。骨盤を固定し、伸張側の下肢を股関節伸
展・内転・外旋方向へ誘導する(図 4)。
この方法のポイントは、①伸張側下肢の重み
を利用すること②非伸張側下肢を深く屈曲し、
骨盤後傾位に保持することである。
2)大腿部以遠をベッド端から下ろした状態での
背臥位にて、非伸張側の下肢は屈曲位に保持す
る。伸張側の下肢を股関節伸展・内転・外旋方
向へ誘導する。さらに、各筋が Spiral Line2)
図 4 (文献 1 より引用)
に準じて伸張されるように考慮し、各体節の伸
張位を選択することで、大腿筋膜張筋の伸張効
率を高めることが可能である(図 5)。
Spiral Line
筋の伸張位
右板状筋
頸部左回旋
左菱形筋
左肩甲骨上方回旋
左前鋸筋
左肩甲骨上方回旋
左外腹斜筋
体幹左回旋
右内腹斜筋
体幹左回旋
右大腿筋膜張筋
股関節伸展・内転
図 5 (文献 2 より引用)
【引用文献】
1) 井上悟 監修,小柳磨毅,中江徳彦,上野隆司
編集:アスリートケアマニュアル
ストレッ
チング.文光堂, 2007.
2) 板場英行,石井慎一郎 訳:アナトミー・トレ
イン 第 2 版.医学書院, 2012.
(〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 2-15)
-14-
『2015 年アスリートケア学生交流会』
NHO 近畿中央胸部疾患センター 上江田勇介
平成 27 年 10 月 25 日に大阪保健医療大学にて、
アスリートケア学生会員を経験した私から「ア
2015 年アスリートケア学生会員交流会が開催さ
スリートケア学生会員~経験を振り返ってみて
れました。1 年生から 4 年生の学生会員、計 14 名
~」というテーマでお話しさせていただきました。
が参加されました。まず、武庫川女子大学の武岡
入会のきっかけや、現場で学んだこと、今につな
健次先生より、学生会員の参加可能な行事の紹介
がることを述べるなかで、資料や発表について真
があり、どのような活動ができるかを真剣にメモ
剣な眼差しで聞いてくれている学生会員の姿が
をしている参加者の姿勢が印象的でした。
とても印象的でした。
次に四條畷学園大学の川崎純先生から「テーピ
また、自己紹介グループワークでは、みなさん
ングの基礎の基礎」と題して講義・実技がありま
堂々と自己紹介をしている姿に積極的で素晴ら
した。講義はテーピングの種類、保存方法、テー
しいと感じました。今後どのようなことがしたい
ピングを切る方法の説明がありました。特に印象
かも話し合うことができ、学生会員と講師の交流
的だったのが、非伸縮テープを上手く切れない学
もでき有意義な時間となりました。
生会員に講師の先生方が指導して上手く切れた
最後に、今後とも学生会員との繋がりを大事に
時の笑顔でした。私自身、何気なく実施している
し、臨床に出てからも継続してくれることを願い
ことを理論的に説明しながら学生会員に伝える
ながら、学生サポート部として活動していこうと
難しさと、先生方の指導力を学ぶことができまし
感じました。
た。実技では下腿三頭筋のアシストテープが実施
されました。初めてテーピングを実施する学生会
員も多く、苦戦しながらも一生懸命学んでいまし
た。また参加者がお互いに自然とフィードバック
しあっている姿もみられました。
講義風景
グループワーク
(〒591-8025 大阪府堺市北区長曽根町 1180)
‐15‐
第4回 北大阪スポーツ傷害研究会 講演内容報告
「ラグビー選手における肩反復性脱臼後のリハビリテーション」
行岡病院 リハビリテーション科 小川 卓也1)、 井上 泰博1)
大阪電気通信大学 小柳 磨毅2)
肩関節脱臼はラグビー選手に頻繁にみられるスポ
ーツ外傷の1つであり、その多くはタックル時に発
正しいタックル姿勢を獲得させてから復帰させるべ
きと考えられる。
生する。また、他競技と比べラグビー選手では術後
(特に鏡視下手術後)にも高い再発率が報告されてお
り、タックル技術の問題が一因子として挙げられる。
われわれは、日本ラグビーフットボール協会(安
全推進委員会)が提唱しているタックル姿勢を正し
い姿勢として、反復性肩関節前方脱臼のラグビー選
手のタックル姿勢の 2 次元動作解析を行った。その
結果、健側と比較し脱臼側では、①脊柱後彎の増大
②高重心③身体中心より遠位部でのコンタクト④タ
術前患側
ックル側への体幹側屈が特徴としてあげられ、脱臼
症例では不良な姿勢を呈していたことがわかった。
当院では、これらの問題点に対する治療として、
バンカート修復術後3ヶ月以降をアスレチックリハ
ビリテーション期とし、段階的なトレーニングプロ
トコルの実施、下肢を含めた柔軟性と支持性の獲得、
タックルフォーム指導の3つを柱として実施してい
る。
術後患側
段階的プロトコルは、4段階の課題達成型の体幹
図 1 術前後におけるタックル姿勢の変化
トレーニングとなっている。体幹の前方安定性はフ
ロントブリッジ姿勢で行い、側方安定性はサイドブ
リッジ姿勢にて行う。下肢を含めた柔軟性と支持性
1)
井上泰博、小川卓也ほか:反復性脱臼のラグビ
の評価は、Deep squat test を用いている。評価結果
ー選手のタックル姿勢:動作解析による検証.第 11
に基づいて、下肢および体幹のストレッチングを実
回肩の運動機能研究会:59,2014.
施する。タックルフォーム指導は、身体の中枢部で
2)
相手と接触すること、低い重心でタックル側の肩と
復性前方脱臼術前後のタックル姿勢の変化.第 12
同側の下肢を踏み込むパワーフット、脇を閉めた両
回肩の運動機能研究会:104,2015.
井上泰博、小川卓也ほか:ラグビー選手の肩反
上肢で相手を掴むバインディングの3点を中心に行
い、タックルスキル向上を目的としている。
1)〒530-0021 大阪府大阪市北区浮田 2-2-3
以上の、アスレチックリハビリテーションを実施
した結果、術前に認めた不良なタックル姿勢は、術
後に健患の差が無くなり改善していることが明らか
となった(図 1)
。先行研究において、不良なタック
ル姿勢では上肢外傷のリスクが高くなると報告され
ており、少しでも再発率を低下させるには、術後に
‐16‐
2)〒575-0063 大阪府四條畷市清滝 1130-70
<助成研究報告>
~保健医療学学会
第5回学術集会発表~
前足部の足底挿板が片脚着地動作の接地に及ぼす影響
社会医療法人純幸会
関西メディカル病院
里田 由美子
他4名
【背景】非接触型の前十字靭帯損傷(以下、ACL)は、
ーチパッドの素材(SORBO®)により衝撃が吸収された
着地や切り返し動作の接地初期に生じるとされる。
ためと考えられた。これは下肢関節の屈曲(足関節は
着地動作の姿勢と ACL にかかる負荷について、
背屈)と着地の衝撃は反比例するとの君島
Walter1)らは接地初期の股関節と膝関節の屈曲角が
告を支持する結果であった。本研究の結果から、 横
大きい緩やかな着地では、ACL への張力が小さかっ
アーチの挿入によって着地動作の接地期に着地時の
たと報告している。片脚着地動作と足底挿板の関係
衝撃を緩衝できる可能性が示唆された。
では、ヒールウェッジなど後足部に対する足底挿板
【結語】片脚着地動作では、裸足に比べ横
が片脚着地動作に及ぼす影響を調査した報告は散見
アーチ条件で Fz ピーク値と荷重変化率が
されるが、着地初期に床と接地する前足部に対する
減少するものが多かった。横アーチでは、
足底挿板の介入効果を検証した報告は、渉猟し得た
IC から Fzmax 間の膝関節屈曲角が裸足に
範囲ではみられない。
比べ増大したものが多く、片脚着地動作時
【目的】本研究の目的は、前足部の足底挿板が片脚
の衝撃を吸収できた人が多かった。
(deg)
着地動作の接地期において、姿勢と床反力に及ぼす
角度増加
2)
らの報
図 1 横アーチ
(deg)
角度増加
角度減少
角度減少
影響を検証することである。
【方法】対象は下肢に傷害のない若年女性 12 名
(20.8±1.4 歳、157.3±3.7cm、53.8±3.0kg)であ
る。30cm 台からの片脚着地動作を裸足(1 回目)、足
底挿板(前足部横アーチパッド:以下、横アーチ(図
膝屈曲角度変化量
1)
)、
裸足(2 回目)の 3 条件で行わせた。
運動計測は、
足背屈角度変化量
図 2 IC から Fzmax 間の角度変化量
床反力計、三次元動作解析装置を用いて、下肢の関
(%BW)
節角度、床反力を、接地初期(IC)、床反力鉛直成分
Fz ピーク値減少
(%BW/ms)
荷重変化率現象
Fz ピーク値増加
荷重変化率増加
(Fzmax)に分けて算出した。また、衝撃緩衝性を示す
荷重変化率(Fz ピーク値/ IC から Fzmax までの到達
時間)を算出した。統計処理には反復測定による分散
分析を用いた(p<0.05)。尚、被験者には本研究の主
旨を説明し同意を得た。
Fz ピーク値
【結果】IC と Fzmax における膝関節・足関節の関節
荷重変化率
図 3 Fz ピーク値と荷重変化率
角度、Fz ピーク値、Fzmax までの到達時間および荷
【引用文献】
重変化率のいずれも 3 条件間に有意差を認めなかっ
1) Walter A. et al,: The effects of single-leg
た。しかし、IC から Fzmax までの膝関節屈曲角(12
landing technique on ACL loading. J Biomech. Jul
名中 8 名)は、裸足(1 回目)に対し横アーチ条件で増
7:44(10):1845-51.2011.
加する傾向にあった(図 2)
。Fz ピーク値(12 名中 8
2) 君島康一ら,
下肢の衝撃緩衝に関する生体力学的
名)および荷重変化率(12 名中 9 名)は裸足に比べて
研 究 , 日 本 臨床 バ イ オメ カ ニ ク ス 学会 誌 (20),
横アーチ条件で減少傾向であった(図 3)
。
101-104.1999.
【考察】横アーチパッドによって着地時の膝関節屈
(〒560-0083 大阪府豊中市新千里西町 1-1-7-2)
曲角が増加し、Fz ピーク値と荷重変化率が減少傾向
を示したのは、パッドによる前足部の剛性保持とア
‐17-
<助成研究報告>
~第 55 回近畿理学療法学術大会 発表~
膝関節疾患患者における坐位での側方重心移動時の姿勢制御機能
医療法人田北会
田北病院
大木 啓輔
他8名
(p=0.02)で、患側の骨盤傾斜角と立ち直り角度が有意
【はじめに】
中枢神経疾患患者における坐位バランスについての研
に低値であった(図 2)
。健常群(利き足/非利き足)では
究は数多く報告されているのに対し、骨関節疾患患者に
それぞれ-6.5±3.8° /-5.4±4.3°(p=0.46)、33.2±
おける坐位での姿勢制御能力の特性は示されていない。
5.0°/30.3±4.6°(p=0.18)
、26.7±5.6°、24.9±4.7°
本研究では膝前十字靭帯再建術後患者を対象に、坐位で
(p=0.47)で有意差を認めなかった。患者群の股関節外
の側方重心移動時の姿勢制御機能を明らかにすることを
旋角度は有意に低値(健患差:8.6±6.9°、p=0.02)で
目的とした。
あった。その他、股関節・体幹の関節可動域は、有意差
【方法】
が認められなかった。また、脊柱の側弯は全例認められ
対象は当院で自家腱(半腱様筋)による前十字靭帯再建
なかった。
術を施行した患者 11 名(男性 2 名、女性 9 名、43.7±10.2
歳)と、健常者 11 名(男性 2 名、女性 9 名、37.8±5.8
角度抽出における級内相関係数は検者間では 0.89~
0.96、検者内では 0.93~0.95 であった。
歳)とした。患者群の計測は術後1週半で実施した。運
動課題は足底非接地の端座位にて両肩を水平に保持した
まま左右へ最大限に重心移動することとし、3 回ずつ実施
した。両肩峰と両上後腸骨棘にマーカーを貼付して後方
からデジタルビデオカメラで撮影し、動画解析ソフト(東
総システム社製 ToMoCo-Lite)を用いて水平面と両上後腸
骨棘を結ぶ線および両肩峰を結ぶ線とのなす角(それぞ
れ骨盤傾斜角、肩傾斜角)
(図 1)
、骨盤に対する肩の傾斜
図 2 患者の肩・骨盤・立ち直り角度
【考察】
角度(立ち直り角度)を計測した。肩傾斜角度は右への
患者群における患側の骨盤傾斜角度と立ち直り角度は、
移動時は反時計回りを正、時計回りを負とし、左はその
有意に低値を示した。先行研究では坐位の側方重心移動
逆として平均値を算出した。また、股関節屈曲、内外旋、
は移動側のハムストリングス、大殿筋、中殿筋や対側の
体幹側屈の関節可動域、脊柱側弯の有無を調査した。統
腹斜筋、脊柱起立筋の働きが必要であることや、運動量
計処理は患者群、
健常群ともに対応のある t 検定(p<0.05)
減少の経過がある症例は腹筋群や殿筋群の低緊張が生じ
を用いて左右差を比較した。また、角度抽出方法の信頼
るとされている。これらの筋機能の低下により坐位にお
性を級内相関係数により求めて検討した。
ける患側への重心移動が低下したと考えられる。さらに
ACL 損傷患者は体幹の安定性が低下するとも報告されて
いる。本研究は ACL 損傷者を対象としているため、体幹
の安定性が低下していたことも考えられる。さらに受傷
後や、術後の疼痛と荷重量の低下により、立ち直りに必
要な腹筋群や殿筋群の筋機能が低下したと考えられる。
また、患者群では股関節外旋可動域が有意に低値であっ
図 1 肩傾斜角度、骨盤傾斜角度の測定法
たが、同疾患の若干例を検証した結果、課題遂行時の股
【結果】
関節外旋角度は、本研究の股関節外旋可動域よりも低値
肩傾斜角、骨盤傾斜角、立ち直り角度は患者群(健側/
であった。このことから股関節外旋可動域の有意差を認
患側)が-3.7±2.9°/-5.2±2.7°(p=0.08)
、31.4±3.7°
めるが、側方重心移動に及ぼす影響は少ないと考えられ
/29.2± 4.1° ( p=0.04)、 27.7± 5.4° /24.0± 4.6°
た。 (〒639-1016
‐18-
奈良県大和郡山市城南町 2-13)
<助成研究報告>
~第 70 回日本体力医学会 発表~
少年野球選手における体幹回旋可動域特性と投球障害の関連
医療法人健彰会
【背景】
緑かねこ整形外科
稲葉 考洋
他4名
【結果】
投球障害を予防する上で体幹の可動域は重要であ
体幹回旋可動域は、障害群の投球側への回旋は
るが、投球障害を有する野球選手の体幹回旋可動域
51.7±8.9°であり非障害群(65.6±9.9°)と比較
についての報告は一定の見解が得られていない。
し有意に低値を示した(p<0.01)
。股関節内外旋可
我々は、先行研究にて投球障害を有する少年野球選
動域は、非投球側の外旋可動域においてのみ、障害
手の体幹回旋可動域を調査し、投球側への回旋可動
群は 60.5±7.1°であり非障害群(54.7±7.6°)と
域が非投球側と比較し減少することを報告した(第
比較して有意に高値を示した(p<0.01)(表 1)
。
24 回関西臨床スポーツ医・科学研究会)
。しかし、
【考察】
投球障害を有する少年野球選手の障害特性を明らか
体幹回旋可動域の結果は、投球障害肩の野球選手
にするためには、障害を有さない選手との比較が必
は非投球側と比べ投球側への可動域が低下していた
要である。
と報告している先行研究と同様の結果となり投球障
【目的】
害を有する少年野球選手は投球側の体幹回旋可動域
本研究の目的は、投球障害を有する少年野球選手
減少を認めた。これは自動運動で顕著となり、投球
と投球障害を有さない少年野球選手の体幹回旋可動
障害との関連が示唆された。また、投球障害を予防
域について比較検討し、投球障害との関係を明らか
する上で体幹回旋可動域の評価は重要で、特に自動
にすることである。さらに股関節の回旋可動域の影
運動での評価が有用であると示唆された。股関節外
響を考え、股関節内外旋可動域についても合わせて
旋可動域の結果は骨盤の動きとの関係から投球側の
比較検討することとした。
体幹回旋可動域減少に影響を与える可能性が考えら
【対象・方法】
れ、今後投球フォームと合わせて検討していきたい。
当院を受診した肩・肘に障害のある少年野球選手
【結語】
25 名(障害群、平均年齢 12.3±1.4 歳)と、検診に
投球障害を有する少年野球選手は投球障害を有さ
て来院した肩・肘に疼痛がない少年野球選手 25 名
ない少年野球選手と比較し、投球側への体幹回旋可
(非障害群、平均年齢 13.2±2.1 歳)を対象に、体
動域の減少と非投球側の股関節外旋可動域の増大を
幹回旋可動域、及び股関節内外旋可動域を計測した。
認め、投球障害に関連している可能性が示唆された。
体幹回旋可動域は端坐位で両足接地し、両肩 90°外
(〒538-0054 大阪市鶴見区緑 1-11-3)
転位、両肘屈曲位で肩峰に手指を接触させた状態を
基本肢位とし、自動運動と他動運動を行い、代償動
作が生じないよう十分注意して測定した(1°単位)。
得られた測定値は student’s t-test を使用し、障害
群と非障害群の比較を行った。
編集後記
今年は 4 年に一度のオリンピックイヤーです。普段は関わることの無いような競技にも、この機会に見
ることができるので非常に楽しみです。リオデジャネイロとは時差が大きいので、夜更かしをして競技を
見てしまいそうで今から心配です。でも、やっぱり生で見たいので、東京の時は現地で選手の活躍を見た
いと思っています。
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