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都市型軽費老人ホーム
1 背
景
平成 21 年 3 月に群馬県渋川市の未届け施設で火災があり、死者 10 名という惨事になりました。犠
牲者の多くは都内で生活保護を受けていた高齢者の方で、これを契機に、大都市における低所得高齢者の
問題が社会問題として取り上げられました。
この問題に迅速に対処するために、都では高齢者のすまいに関するプロジェクトチームを発足させ、検
討を行った結果、
「都型ケアハウス」を提案し、国に対して規制緩和と財政支援を強く要請しました。
都の要請を受けて、国は平成 22 年 4 月に厚生労働省令を改正し、従来の軽費老人ホームの基準を大
きく緩和した「都市型軽費老人ホーム」を創設しました。
2 事業の性格
(1) 事業の位置づけ
都市型軽費老人ホームは、
「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」
(厚生労働省令第 46 号)
に規定されているように、従来の軽費老人ホーム(ケアハウス・A 型・B 型)と同様に、社会福祉法
第2条にさだめられた「第一種社会福祉事業」です。
「第一種社会福祉事業」は、当該事業の実施により提供される福祉サービスの利用者に対する影響が
特に大きいため、当該事業の継続性・安定性を確保する必要性が特に高く、相対的に強い公的規制が必
要な事業とされています。よって、
「第一種社会福祉事業」を行える事業主体は、原則として、国、地
方公共団体又は社会福祉法人に限られています
(社会福祉法第 60 条)
が、
軽費老人ホームについては、
社会福祉法人以外の民間主体も事業をおこなうことができます。
しかしながら、社会福祉法人以外の民間主体が事業を行うためには、都知事の「許可」
(社会福祉法
第 62条第 2 項)が必要であり、
「許可申請」
(同法第 62条第3項)
、
「許可審査」
(同法第 62条第4
項)を受けなければなりません。
また、許可を受けて事業開始後も、調査(同法第 70 条)
、改善命令(同法第 71 条)
、許可の取消し
等(同法第 72 条)など、社会福祉法の目的を達成し、社会福祉の増進を図るために、事業開始時だけ
でなく、継続的に行政からの強い関与を受けることになります。
(2) 根拠法令
・社会福祉法
・老人福祉法
第2条第 3 項(第一種社会福祉事業、軽費老人ホーム)
、第 62条(施設の設置)
第 15 条の 5(施設の設置)
、第 20 条の 6(軽費老人ホーム)
3 事業の概要
(1) 事業の基本方針
①
都市型軽費老人ホームは、無料又は低額な料金で、身体機能の低下等により自立した日常生活
を営むことについて不安があると認められる者であって、家族による援助を受けることが困難な
ものを入所させ、食事の提供、入浴等の準備、相談及び援助、社会生活上の便宜の供与その他の
日常生活上必要な便宜を提供することにより、入所者が安心して、生き生きと明るく生活できる
ようにすることを目指すものでなければならない。
②
都市型軽費老人ホームは、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立ってサービ
スの提供を行うように努めなければならない。
③
都市型軽費老人ホームは、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、社会福祉事業に関
する熱意及び能力を有する職員による適切なサービスの提供に努めるとともに、区市町村、老人
福祉を増進することを目的とする事業を行う者その他の保健医療サービス又は福祉サービスを
提供する者との密接な連携に努めなければならない。
(2) 職員配置基準
・施 設 長
1名 (常勤、管理上の支障がない場合は、兼務可)
・生活相談員
1名以上 (常勤、管理上の支障がない場合は、施設長が兼務可)
・介 護 職 員
1名以上 (常勤換算方法)
・栄 養 士
1名以上 (サービス提供に支障がない場合は、置かないことができる)
・事 務 員
1名以上 (サービス提供に支障がない場合は、置かないことができる)
・調理員その他
実情に応じた適当数 (調理委託の場合は、調理員は置かないことができる)
・ 夜間及び深夜の時間帯を通じて 1 以上の職員に宿直勤務又は夜間及び深夜の勤務(宿直勤務を除
く。
)を行わせなければならない。
(敷地内に職員宿舎が整備されている等により、職員が迅速に対応
できる体制が整備されている場合は、この限りではない。
)
(3) 設置基準
① 整備地域
原則として既成市街地等(23 区・武蔵野市・三鷹市の特定地域)
② 入所定員
20 人以下(5人以上)
③ 必要な設備
*他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、
当該都市型軽費老人ホームの効果的な運営を
期待できる場合であって入所者に提供するサービスに支障がないときは設備の一部を設けない
ことができる。
○居 室
原則として個室。居室面積は収納部分を除き7.43㎡(4.5畳)以上。
緊急の連絡のためのブザー又はこれに代わる設備を設けること。
○食 堂
○浴 室
老人が入浴するのに適したものとするほか、必要に応じて、介護を必要とする者が入
浴できるようにするための設備を設けること。
○洗面所
○便 所
○調理室
調理業務の全部を委託する場合等にあっては設けないことができる。
○面談室
○洗濯室又は洗濯場
○宿直室
○事務室その他運営上必要な設備
*施設内に一斉に放送できる設備を設置すること。
*原則として食堂等の共用部分に入所者が自炊を行うための調理設備を設けることとし、火気を使
用する部分は不燃材料を用いること。
(4) 運営基準
① 利 用 者 ・60 歳以上の方で、低所得で都市型軽費老人ホームが整備される区市町村に住民票
を有する方。
・身元保証人が得られる方。ただし、特別な事情がある場合は、この限りではない。
・身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことについて不安がある方。
・感染症がなく、かつ、医療について自己管理できる方。
・問題行動を伴わない方で共同生活が可能な方。
・家族による援助を受けることが困難である方。
・その他、当該区市町村長が特に入所が必要と認める方。
② 利 用 料(生活保護受給者が利用できる範囲に設定することが望ましい。
)
○サービスの提供に要する費用
(入所者の所得の状況その他の事情を勘案して徴収すべき費用とし
て都知事が定める額に限る。
)
○生活費(食材料費及び共用部分に係る光熱水費に限る。都知事が定める額を上限とする。
)
○居住に要する費用(共用部分に係る光熱水費及び居室に係る光熱水費を除く。
)
○居室に係る光熱水費
○入所者が選定する特別なサービスの提供を行ったことに伴い必要となる費用
○都市型軽費老人ホームにおいて提供される便宜のうち日常生活においても通常必要となるもの
に係る費用であって、入所者に負担させることが適当と認められるもの
4 補助制度の概要
○整備費補助(1人当たり単価)
事業者整備型
工
事
区
分
オーナー(土地建物所有者)型
創設・買取
国交付金 150万円
都上乗せ 150万円
計 300万円
都単独 300万円
改修
国交付金 150万円
都上乗せ
60万円
計 210万円
都単独 210万円
* 国交付金(市町村交付金):国⇒区市⇒事業者
都単独:都⇒区市⇒事業者
* 最終的な補助事業者は区市町村になりますので、整備予定がある場合には、まず地元の区市に協議
してください。
○運営費補助
設置主体に対し、
サービスの提供に要する費用基準額のうち収入に基づく利用者本人からのサービスの
提供に要する費用徴収額を差し引いた額について、補助を行う。
(都⇒事業者)
*平成 23年度サービスの提供に要する費用基準額等については、現行どおりを見込む
(平成 22年度サービスの提供に要する費用基準額 143,100円(単独設置、特別区、20人)
*都から直接、事業者に補助を行いますので、補助申請は都で受け付けます。
都市型軽費老人ホームの計画
事業の具体化
・地域及び物件の選定
・資金計画
・設計
○
都市型軽費老人ホームは第一種社会福祉事業です。
基本理念や社会福祉法をしっかり理解してください。
○ 都市型軽費老人ホームの設置許可を得るには法人格が
必要です。
※1 補助金を活用しない場合は、資料17ページをご確
認願います。
※2 補助金を活用する場合は、資料26ページをご確認
願います。
区市・都への事前協議
○
近隣住民への説明
建設・改修工事着手
開設準備
・各種規程整備
・契約関係書類整備
・職員募集 等
開 設 許 可 申 請
建物が建築基準法に適合していることが必要です。
区市町村の建築所管部署に確認してください。
○ 所轄消防署に消防法の適合について確認してください。
○ 都市型軽費老人ホーム建設には、地域住民の理解が不
可欠です。
○
補助制度を活用する場合は、必ず補助内示を受けてか
ら契約及び工事に着手してください。
○
定款等に(都市型)軽費老人ホーム事業の運営等を明
記し、登記してください。
○ 都に設置許可申請(社会福祉法)を行います。
(社会福祉法人については、認可申請を行ないます。)
入居者募集等
○ 地域との関わりを大事にしてください。
都市型軽費老人ホーム開設・運営