CSR報告書2007 - 大日本住友製薬株式会社

大日本住友製薬
「CSR報告書2007」
Corporate Social Responsibility Report 2007
当社は、社会に対する使命を「企業理念」に、ステークホルダーとの関係を
踏まえた経営の目的を「経営理念」に掲げています。一人ひとりの役員・従
業員が社会の一員としての自覚を持ち、理念の実現に向けて日々実践して
いくことが当社のCSRであると考えています。
2006年1月、理念とバリュー
(当社が重視する価値)の内容を、行動レベル
にまで具体化した「行動宣言」を策定しました。これは役員・従業員が、日
常業務において実践すべき具体的な行動の指針であり、コンプライアンスを
含むCSRに全社一体となって取り組むための基軸ともなります。2006年度
は、この「行動宣言」を全社に浸透・定着させる取り組みに注力しました。
そして、
本年度スタートした2007年度∼2009年度の中期経営計画において、
「CSR中期方針」を策定しました。本方針では、CSR推進にあたっての「中
期目的」、
「3つの柱」
とそれを支える「土台」を設定しています。この考え方
に基づいて、中期経営計画の施策の中にCSRの視点や要素を組み込み、
具体的な目標を掲げて、CSRに組織的に取り組んでいくことにしました。
今回の報告書は名称を「CSR報告書」
としました。当社CSRの歴史を振り
返り、現状のCSR活動をご報告します。そして、これから「行動宣言」
と
「CSR中期方針」に基づいたCSR活動を着実に実践することによって、社会
からの信頼と期待に応えていきたいと考えています。
ブランドマーク
大日本住友製薬のシンボル“グリーン・プリズム”は、明日に向かって前進していく躍動感を表す「太陽」
、未
来の可能性と希望を表す「光」
、健康でいる喜びとその開放感を表す「花」
、がデザインのモチーフになって
います。
全ての人に明日に向かって前進していくチカラを提供していくための、高い研究開発力、的確なサポート体
制、チャレンジング・スピリットなど、大日本住友製薬の企業姿勢を体現したデザインです。
シンボル・カラーのDSPグリーンは、健康で活き活きした気分の状態、未来の可能性の象徴である若葉の
色などを表現しています。
またシンボルには、世界へ拡がっていくネットワークの様子も込めています。
2
CONTENTS
トップ・メッセージ
大日本住友製薬の成り立ち
4
6
企業理念・経営理念
大日本住友製薬のアウトライン
8
会社概要
CSR活動報告
大日本住友製薬の社会的責任
10
CSR中期方針
企業風土の醸成
12
価値観の共有
誠実な事業活動
13
コーポレート・ガバナンス
コンプライアンス
情報管理
社会ニーズへの対応
15
社会から求められる製品・サービスを提供するための取り組み
社会との対話
19
コミュニケーション機会の創造
社会貢献
20
“からだ・くらし・すこやかに”に貢献する取り組み
従業員との関わり
■ 編集方針
当社は、社会からの期待に応え、社会に貢献していくこ
とが、結果として企業価値を高め、
それがさらなる社会
貢献につながるとの認識のもと、全社的な「CSR経営」
を推進しています。本報告書は、当社が従来から取り
組んでいる活動をCSRの視点で見つめ直すことにより、
現時点での当社のCSR活動をご紹介するとともに、今
後の目指すべき姿を知っていただくために作成しました。
“主体性と創造性”を高める仕組みと環境づくり
人材育成
CSR中期方針における取り組み課題
■ 対象範囲
当社単体の全事業活動および当社従業員による社
会貢献活動。但し、P40、41の環境パフォーマンス
データについては、4工場、2研究所、大阪総合セン
ターのみの集計値を掲載しています。
26
CSR活動のレベルを高め、当社らしさを示すために
CSR OPINION
28
医療現場から見た製薬メーカーが果たすべき社会的責任とは
∼財団法人住友病院院長 松澤 佑次先生インタビュー∼
地球環境に対する社会的責任
お読みになった後に折り込みのアンケートにお答えい
ただき、皆様の率直なご意見やご感想をお寄せくださ
いますようお願いいたします。
23
30
大日本住友製薬の環境ビジョン
環境負荷の全体像
中期環境計画
32
重点課題1. 環境マネジメントシステムの整備
34
重点課題2. 環境保全推進システムの整備
35
重点課題3. 化学物質の排出削減
36
重点課題4. 省エネ、温室効果ガスの排出削減
37
重点課題5. 廃棄物の削減
38
重点課題8. 環境教育の充実
39
環境パフォーマンスデータ
40
■ 対象期間
環境会計
42
2006年4月1日∼2007年3月31日
エコ川柳・環境フォトコンテスト優秀作品/編集後記
43
3
Top Message
社会から信頼され
そして、社会からの期待に
応えられる企業として
代表取締役社長
宮武 健次郎
生まれます。これがCSR活動の基本であると考えています。
中期経営計画に込めた思いを
教えてください
こういった考え方や取り組みは決して目新しいことではなく、当た
り前のこととして受け継がれ、従来から実践してきていることです。
中期経営計画では「CSR経営の推進」
を掲げて社内外に示しま
したが、製薬企業の事業活動はCSRそのものであるとも言えま
2007年4月から中期経営計画がスタートしました。当社の15年
す。当社に対する社会からの要請は大きく、社会に対しての責
後のありたい姿を念頭において、研究開発への積極的な投資と
任も非常に重いものです。私たちが事業活動を行ううえでCSR
海外進出を推進し、世界に通用する研究開発型の製薬企業と
を特別なこととして意識するのではなく、無意識のうちに従業員
して最終的には国内と海外の事業収益の2本の柱が立っている
一人ひとりが自然とCSRに沿った判断や行動が取れている会
ような会社を目指していきます。そのためには、この3年間で強
社こそがCSRが浸透した会社と言えます。自分達の言動がCSR
固な事業基盤をつくらなければなりません。今までとは違う意識
の意識から逸脱していないか、正しいことかどうかを機会あるご
を持って、資源の集中による得意領域の強化と、海外事業展開
とに振り返り、意識することを積み重ねて日常業務に誠実に取
に向けた体制の整備といった計画を達成することが必要です。
り組むことで、社会からの信用・信頼が得られると思っています。
チャレンジングな姿勢で、失敗を恐れずに、従業員が「夢と希
望と元気」
を持てる会社を創るためにも全社一体となって取り組
んでいきます。
事業活動のなかにCSRをどのように
位置づけるのでしょうか
CSRをどのように
進めていかれるのですか
「CSR中期方針」
を策定し、ハンドブックの形で全社に配布しまし
た。これは、従業員一人ひとりがCSRを具体的な活動に結びつ
けるための拠りどころとなるものです。当社が3年後に目指すべき
4
患者さんに安心して使っていただける医薬品を製造・販売してい
姿や達成するための基本となる枠組みが示されており、身近な取
くうえで最も大切なことは信用と信頼です。信用を得るためには、
り組み事例を紹介することでCSRへの理解をより深めてもらえる
誠実にきちんと仕事に取り組み、その姿勢を続けることで信頼も
内容になっています。
るく生き生きと仕事ができる、活力あふれる風土づくりが必要だ
CSR中期方針に示された基本となる
枠組みとはどのようなものですか
と考えています。その環境の中で人材を育成し強化するといった
取り組みを行い、従業員一人ひとりが意欲・意識と能力を高め、
主体性と創造性を最大限に発揮できるようにすることが大切で
す。会社に行くことが楽しいと感じる気持ちを持って毎日を過ごし
事業活動を通じて
てほしいと願っています。
まず本来の事業活動にきちんと向き合い取り組むことで顧客へ
の貢献を果たすことです。より良い製品の創出、適切な情報提
供、製造販売後の安全性や有効性の調査、環境への配慮など
社会から求められる責務を果たさなければなりません。例えば、多
CSRを果たすことによってどのような
会社にしていきたいですか
くのステークホルダーに接するMR(医薬情報担当者)
は、新入社
員での入社後6カ月もの間、自社製品や情報の取り扱いなどに関
する研修を受け、その後も年間100時間以上の研修を継続するこ
私たちが目指すものは企業理念、経営理念の実現であり、それ
とにより、顧客への責任を果たしていきます。また、高齢者でも飲
こそがCSRの根幹をなすものだと考えています。社会からの信
み込みやすい食品原料の開発や、今や家族同様に人々の生活
頼を高め、存続を望まれる会社として認められるためには、従業
に深く関わるコンパニオンアニマル(犬猫などの伴侶動物)の健
員一人ひとりがこの理念を自分のものとし、自主的に実践し続
康維持のための医薬品や食品の提供など、医薬品以外でも自社
けることが重要です。私は当社の社章には信用、信頼と責任が
の知識や技術をより広く活かすことで顧客とその家族のQOL(生
刻みこまれていると常々話をしますが、これまでの長きにわたる
活の質)の向上に貢献しています。こうした事業活動を通じた社
事業活動を通じて培った信用と信頼の大きさと、生命関連企業
会貢献は、当社のCSRの最も大きな柱であると考えています。
として果たすべき責任の重さを常に意識し、自信と誇りとやりが
いを持って仕事に打ち込める風土を根付かせていきたいと考え
事業の枠を超えたところでの社会貢献
ています。仕事を通じてCSRを実践することで、夢と希望と元
二つ目は事業の枠を超えたところでの社会貢献です。昨年は創
気に満ち溢れた、真に存在感のある会社を目指して歩み続けて
業1周年を無事に迎えられた感謝の気持ちを込めた寄付活動を
いきたいと思っています。
行いました。その中でも「日本聴導犬協会」への寄付は、会社と
従業員から募った寄付で行いました。聴導犬の普及が第一の
目的ではありましたが、社会に役立つボランティア精神を育んで
いくきっかけになったのではないかと思っています。また、地域で
のボランティア活動や子どもたちへのスポーツ指導といった身
近な活動に取り組んでいる社員もたくさんいます。こうした活動
を通じて一人ひとりの意識の中にボランティア精神を根付かせ
ていくことも大切です。
それぞれの取り組みを担う従業員に対して
もう一つは従業員に対する取り組みです。中期経営計画やCSR
を推進する原動力である従業員が「挑戦する気持ち」
を持ち、明
5
大日本住友製薬の成り立ち
受け継がれるCSRの精神
2005年10月1日、
旧大日本製薬と旧住友製薬は一つになりました。
それぞれが独自の道を歩んできた両社ですが、
社会への責任を果たすための思いや
製薬会社としての取り組みなど、
多くの共通点を持っていました。
大日本住友製薬は、
両社の精神を受け継ぎ、
企業理念・経営理念の実現を目指して
新たな歴史を歩み始めています。
企業理念
人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした
新たな価値の創造により、広く社会に貢献する
経営理念
○顧客視点の経営と革新的な研究を旨とし、
これからの医療と健やかな生活に貢献する
○たゆまぬ事業の発展を通して企業価値を持続的に拡大し、
株主の信頼に応える
○社員が自らの可能性と創造性を伸ばし、
その能力を発揮することができる機会を提供していく
○企業市民として社会からの信用・信頼を堅持し、
よりよい地球環境の実現に貢献する
総合研究所竣工 1970
鈴鹿工場を設置 1968
気管支拡張・鎮咳剤「エフェドリン『ナガヰ』」新発売 1927
大阪薬品試験 ㈱を吸収合併 1908
大阪・海老江に製薬工場(現 大阪総合センター)
を設置 1898
東京にあった半官半民の大日本製薬会社を
吸収合併し、社名を大日本製薬 ㈱ に改称
1897年(明治30年)5月14日設立
大阪・道修町の有力薬業家21名により、
大阪製薬 ㈱ が設立される。
旧大日本製薬に受け継がれてきた精神
今から遡ること110年、大阪道修町の有力薬業家21名が発起人となって設立した純正医薬品の製造所である大阪製薬
あまね
えき
株式会社が起源となります。その創立趣旨書には、
「営利のみを主とせず、普く公衆を益せんと欲し、純良の医薬品を製
造し以て本邦薬品の供給者たる大阪薬業者の本分を全うする」と謳われています。設立当時、医薬品の大部分は輸入
にあおぎ、国産品には不良薬品が多いなかで、品質の良い医薬品の生産と安定した供給こそが社会への貢献であると
の使命感や精神が示されています。このように、
CSRが注目される以前から事業と社会の関係性に着目して取り組んで
きたことや、創業の精神と誇りが今日に至り、大日本住友製薬の理念に生き続けています。
6
2006
糖尿病食後過血糖改善剤「セイブル」コ・プロモーション開始
深在性真菌症治療剤「アムビゾーム」新発売
大日本住友製薬「行動宣言」制定
総合研究所が優良ESCO事業表彰「入賞」を受賞
2005
CSR推進室設置
コンプライアンス委員会設置
2005年10月1日
大日本住友製薬株式会社 誕生
総合研究所でISO14001認証取得
新潟中越地震災害に医薬品無償提供と義援金拠出
2004
癌疼痛治療用内服液剤「オプソ」新発売 2003
鈴鹿工場にクロロホルム回収装置設置
吸入ステロイド喘息治療剤「キュバール」新発売 2002
環境会計の導入
環境報告書発行 2001
営業車に低公害車を導入
鈴鹿工場でISO14001認証取得
2000
1999 持続性がん疼痛治療剤
「カディアン」新発売
グリーン購入ネットワーク加入
2005
茨木工場にコージェネレーションシステム導入
2004
20周年記念事業として福祉関連機器を5自治体に贈呈
大分工場にジクロロメタン回収装置設置
2003 「情報セキュリティ基本ポリシー」制定
大分工場発足
(住友化学㈱大分工場の医薬品製造部門を移管)
2001
2000
環境会計の導入
1999 「私たちの行動基準」制定
遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン「グロウジェクト」新発売
1997
1998 消化管運動機能改善剤「ガスモチン」新発売
1997 創立100周年
100周年事業として移動入浴車2台を
大阪府社会福祉法人に贈呈
新聞に健康情報「健康常備学」掲載
環境保安委員会を環境・安全委員会に改称
抗精神病剤「ルーラン」新発売
茨木工場が全国安全衛生週間の労働大臣賞「努力賞」受賞
住友製薬UKリミテッド
(現 大日本住友製薬ヨーロッパリミテッド)設立
1996 セロトニン作動性抗不安薬「セディール」新発売
1995 カルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」新発売
1994 「くすり相談窓口」設置
1996 持続性抗アレルギー剤「エバステル」新発売
環境基本方針制定、環境委員会設置
1993 中央物流センター(現 神戸物流センター)竣工
1989
1993
高血圧・狭心症治療薬「アムロジン」新発売
1991
大阪商品センター(現 大阪物流センター)竣工
抗てんかん剤「エクセグラン」新発売
1989 ノルエピネフリン作動性神経機能改善剤「ドプス」新発売
1988
米国駐在事務所(現 大日本住友製薬アメリカインク)開設
末梢循環改善剤「プロレナール」新発売
持続性ACE阻害降圧剤「セタプリル」新発売
1987 てんかん治療研究振興財団設立
1987
天然型インターフェロン-α製剤「スミフェロン」新発売
1985
環境保安基本方針制定
愛媛バイオ工場(現 愛媛工場)竣工
高血圧・狭心症・不整脈治療剤「アルマール錠」新発売
1984
環境保安委員会設置
経皮鎮痛消炎剤「インテバンクリーム」新発売
1984年(昭和59年)2月6日設立
住友化学工業 ㈱(現 住友化学 ㈱)の医薬事業の研究、開発、
製造部門と、稲畑産業 ㈱の医薬販売部門を継承して、1984年
2月に住友製薬 ㈱が設立され、同年10月1日に営業を開始する。
旧住友製薬に受け継がれてきた精神
はし
400年の歴史の中で永く受け継がれてきた住友の事業精神「確実を旨とし浮利に趨らず」は、江戸時代に京都で書物と
もんじゅいん し い がき
薬の店を営んだ住友家初代 住友政友が、晩年に家人に送った「文殊院旨意書」の中に見つけ出すことができます。こ
じ り り た こう し いち にょ
の政友の精神は、事業活動を行ううえでの根幹となり、
さらに事業精神のなかの「自利利他公私一如」という信念、すな
わち、
「住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、社会を利する事業でなければならぬ」として伝え続けら
れてきました。旧住友製薬では、
この信念に基づき、社会とのより良い関係を創り、社会に貢献しながら成長を続けられる
ことを目指して会社づくりを進めてまいりました。
7
大日本住友製薬のアウトライン
医療用医薬品事業
■ 医療用医薬品
医療用医薬品事業は当社を代表する事業であり、前身の大日本製
【主な製品と薬効】
アムロジン
高血圧症・狭心症治療薬
薬と住友製薬の時代から、長年にわたり優れた医薬品を提供して
ガスモチン
消化管運動機能改善剤
きました。
メロペン
カルバペネム系抗生物質製剤
医薬品は最新の医学・薬学・化学・生物学など幅広い分野の学問
プロレナール
末梢循環改善剤
の集大成であり、
「有効性」や「安全性」の情報とともに、適正に使用
エバステル
持続性抗アレルギー剤
されてはじめて人々の健康で豊かな生活に貢献することができ、医
スミフェロン
天然型インターフェロン−α製剤
薬品の使命を果たすことができます。私たちは、この使命に関わって
キュバール
吸入ステロイド喘息治療剤
いることを誇りとし、研究開発・生産・品質管理・情報提供活動に至
グロウジェクト
ヒト成長ホルモン製剤
るまで「信頼される医薬品づくり」
を目指して医療用医薬品事業を推
ドプス
ノルエピネフリン作動性神経機能改善剤
進しています。
グリミクロン
経口血糖降下剤
情報提供活動においては、医療ニーズにきめ細かく対応できるよう
タガメット
H2受容体拮抗剤
に、約1,500名のMR(Medical Representatives)
を全国7事業部
エクセグラン
抗てんかん剤
28支店191グループに配備し、地域密着型の営業体制を敷いてい
アルマール
高血圧症・狭心症・不整脈治療剤
ます。情報提供活動には高度な専門知識が必要であり、MRの教
ルーラン
抗精神病剤
育研修体制を充実し質の向上を図るとともに、医療関係者の方々
セディール
セロトニン作動性抗不安薬
や患者の皆様へ迅速に分かりやすい情報を提供するため、ホーム
アムビゾーム
深在性真菌症治療剤(新製品)
ページやインターネットの活用も推進しています。また、多くの問い
合わせに対応するために「くすり相談室」
を設置するなど、さまざま
セイブル
糖尿病食後過血糖改善剤
(三和化学研究所が販売し、当社がコ・プロ)
な取り組みを通じて、顧客満足度の一層の向上を目指しています。
当社の主力製品は、高血圧症・狭心症治療薬「アムロジン」
、消化
管運動機能改善剤「ガスモチン」
をはじめ、CNS(中枢神経)領域、
糖尿病領域、骨・炎症・アレルギー領域、がん・感染症領域など豊
富な製品ラインナップを持ち、広く医療ニーズにお応えします。
特にCNS領域と糖尿病領域については将来の重点領域と位置づ
け、研究開発と営業のリソースを重点配分し、製品ラインナップの
充実と育成を図っていきます。
その他関連事業
■ レーダーサーク
「レーダーサーク」は、当社が独自に開発した心電図波形解析ソフ
ト「フラクレット」の技術を応用した解析機能付き多機能心電計で
す。
「レーダーサーク」は、突発的な衝撃・振動や体動に非常に強
く、従来の心電計では不可能であった救急車・ドクターヘリ搬送
中、車椅子に乗ったままや心臓マッサージ中でも心電図を高精度
に解析できます。そのため大規模災害時の避難所や往診の際な
どさまざまな状況での使用が可能になりました。当社では、
「レー
ダーサーク」の新技術を活用することにより、医療の可能性を拡大
し同時に多くの患者さんの診断と治療に貢献できると考えます。
8
レーダーサーク
アニマルサイエンス
製品
■ 関連事業本部
当社は医薬品事業で培った技術・経験・ノウハウをもとに関連事
業本部として「人と動物の心温まる豊かな生活」
「食の安全に基
づいた健康で豊かな生活」を目指し、アニマルサイエンス、フー
ド&スペシャリティ・プロダクツの2事業を展開しています。
アニマルサイエンス部では犬や猫などの小動物分野を中心に、畜
産・水産に至る幅広い分野において治療薬・予防薬といった疾
病管理のための製品を開発し販売しています。さらに犬猫用特別
療法食や個体識別用マイクロチップなどを通じて、動物の健康維
持に関わる領域全般で事業展開を進めています。
フード&スペシャリティ・
プロダクツ研究設備
フード&スペシャリティ・プロダクツ部では特に「人々の健康で豊か
な生活づくり」への貢献を目標に、天然の食品素材を中心に多糖
類や調味料などの開発を進め、質の高い食品原料の製造販売を
行っています。また、医薬品メーカーとしての技術を活かした、高品
質なパーソナルケア薬剤(医薬品添加物など)
の開発・製造も行っ
ており、広範なユーザーから高い信頼を得ています。
■ 会社概要(2007年3月31日現在)
商
号 大日本住友製薬株式会社(だいにっぽんすみともせいやく)
Dainippon Sumitomo Pharma Co., Ltd.
設
立 1897年(明治30年)5月14日
関連会社
国 内 株式会社ケー・エー・シー
京都薬品工業株式会社
サンノー食品株式会社
株式会社キャリアサポート
ローズテクノ株式会社
合 併 期 日 2005年(平成17年)10月1日
代 表 者 代表取締役会長 岡本 康男
代表取締役社長 宮武 健次郎
資 本 金 224億円
海 外 昆山大甫食品科技有限公司
ベタグロ ダイニッポン テクノ エックス カンパニー リミテッド
従 業 員 数 4,834人(単体)
事 業 内 容 医療用医薬品、動物用医薬品、食品添加物、
工業薬品、その他製品の製造及び販売等
●
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国 内 ニチエイ産業株式会社
株式会社エヌ・エス・ライフコーポレーション
DSファーマバイオメディカル株式会社
株式会社DSP物流サービス
マルピー・ライフテック株式会社
株式会社エイコーサービス
五協産業株式会社
海 外 大日本住友製薬ヨーロッパリミテッド
大日本住友製薬アメリカインク
住友制葯(蘇州)有限公司
住葯(上海)国際貿易有限公司
台湾大日本製薬股 有限公司
●
■ 事業所
子 会 社
■ 本社
● 工場
■ 支社
■ 研究所
● 事業所
● 物流センター
■ 支店
● 営業所
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9
大日本住友製薬の社会的責任
大日本住友製薬らしい
CSR活動を目指して
2007年度∼2009年度の中期経営計画において、CSR中期方針を策定しました。
本方針では、
CSR推進の目的、
3つの柱とそれを支える土台を設定しています。
社会と当社が相互に深く関係し、
ともに発展できるよう、
CSRを果たし、
継続的にCSR
活動のレベルを高めることによって、
理念の実現に近づきたいと考えています。
そして、CSR活動の積み重ねによって、
当社らしさを示していきたいと考えています。
【最終的に目指す姿】
企業理念・経営理念の実現
企業価値を高め、
持続的成長を図る
【3年後の目指すべき姿】
CSR中期方針
中期目的
社会からの信頼と期待に応えることで、
事業活動に付加価値をつけ、
当社のブランド力と競争力の向上を図る
柱2
柱1
柱3
社 会・環 境 課 題
に関して当社とし
ての貢献を果たす
ステークホルダーの視点
から、当社らしい良い製品・
良いサービスを最良の方
法で提供する
CSRの担い手で
ある従業員一人
ひとりの意欲・意
識を高め、能力を
発揮させる
土台
価値観を共有し、社会の一員として自覚を持って行動する
10
CSR中期方針に込められた思い
土台
企業理念、経営理念、バリュー、行動規範、行動宣言、
コーポレート
スローガンによって示される価値観を、全役員・従業員が共有する
こと、
そして、一人ひとりが社会の一員としての自覚を持って行動す
ることが、CSR活動の土台であり、基本になります。
P12
社会ニーズを踏まえた上での事業に沿ったCSR活動が最も大切
柱1
であり、全ての部門で取り組むことが必要です。このCSR活動は、
直接競争力や信頼度の向上につながり、持続的発展への影響が
大きいと考えます。生命関連企業として、本来の事業活動の中で
CSR活動のレベル向上に努めます。
柱2
P13∼P19
事業活動を通して直接貢献しにくいステークホルダー(事業所地
域の方々、一般生活者の皆様)にも、当社だからこそできる社会・
環境への貢献を果たしていきたいと考えています。
P20∼P22
柱3
CSRの具体的活動の担い手は従業員一人ひとりです。
したがって、
CSR活動のレベルを高めるためには、一人ひとりの意欲・意識・能
力をできる限り高め、
それを最大限発揮できるような仕組み、風土、
職場環境などを築くことが重要と考えています。
P23∼P25
本報告書では、
当社CSRのこれまでの取り組みを、
「CSR中期方針」の考え方に基づき、
CSRのテーマや要素ごとに整理し、
ご報告しています。
11
企業風土の醸成
価値観の共有
全役員・従業員が、当社の重視する価値基準を共有し、社会の一員としての自覚を持って行動することが、社会から
信頼される企業であり続けることにつながります。これからも価値観の浸透・定着に向けた活動を継続していきます。
行動宣言の浸透・定着に向けて
CSR中期方針に基づいたCSR活動を実践するためには、その
企業理念
「土台」
となる価値観の共有が必要です。価値観とは、企業理
企業の使命、
存在意義
念や経営理念、行動宣言などによって示されるものです。これ
らを役員・従業員一人ひとりが日々意識して行動することで、大
●長期にわたって実現すべきこと
●目標、使命
経営理念
経営の目的、信条
日本住友製薬らしい企業風土が醸成されると考えています。
2006年度は、行動宣言の浸透・定着活動を通じて価値観の共
●理念、バリューをより具体的
な形にしたもの
●役員、従業員が、
日常業務の
中で行動するための拠り所
行動宣言
有を図りました。
行動におけるコミットメント
〈冊子、携帯カードの配布〉
行動宣言を実践するための指針となる冊子「行動宣言(実践の
指針)
」およびその携帯版を全役員・従業員へ配付し、内容の
バリュ−
行動規範
重視すべき価値
行動の基本原則
●企業理念、経営理念を
実現するための、土台と
なる価値観、基本原則
理解と浸透に結びつけています。
〈行動宣言 浸透・定着キャンペーン〉
2006年6月∼2007年3月まで、全社で実施しました。月1回の
ペースで行動宣言の実践度や課題について各職場で議論し
合い、メンバー相互の交流を図る機会としても活用しました。
実施後、キャンペーンの中で出された多くの意見・要望に対し
て、課題解決・具体化に向けた取り組みを始めています。
大日本住友製薬
「行動宣言」
1.人々の「からだ・くらし・すこやかに」に貢献します
2.誠実な企業活動を行います
3.積極的な情報開示と適正な情報管理を行います
〈全社CSR意識調査〉
2006年1月と2007年4月に、役員・従業員のCSR意識の現状や
4.従業員の能力を活かします
価値観の浸透度を把握するために、CSR意識調査を実施しま
5.人権を尊重します
した。2回目の調査では、行動宣言 浸透・定着キャンペーンに
よる意識の変化を確認することもできました。今後も継続して
行い、調査結果を分析し、寄せられた意見を活かし、要望に応
6.地球環境問題に積極的に取り組みます
7.社会との調和を図ります
えることで、CSR活動のレベルアップや風土変革の取り組みに
展開していきます。
営業本部 名古屋支店
「行動宣言 浸透・定着キャンぺーン」を
振り返って
行動宣言は新会社での判断の拠り所となるものでしたが、その定着には
社員一人ひとりが内容を理解していくというプロセスが必要でした。キャ
ンペーンは、行動宣言内容の理解及び行動を意識的にできる機会にな
るとともに、お互いの考え方を理解する場ともなりました。各々の思い
を話し、聞くことで皆が同じ目的を共有する仲間だと強く意識するように
名古屋支店
中央病院第3グループ
グループマネージャー
岩澤 伸裕
12
なっていきました。この取り組みを継続することは、新風土醸成に結び
ついていくと感じています。今後も、意識せず行動宣言の実践ができる
ことを目標に日々活動を続けていきたいと思います。
行動宣言冊子・携帯カード
誠実な事業活動
コーポレート・ガバナンス
全てのステークホルダーの信頼に応え、企業価値を持続的に拡大していくうえで、コーポレート・ガバナンスの
強化は最重要課題です。私たちは、透明性の高いスピードのある経営の実現を図っています。
経営体制
監査役制度を採用している当社では、執行役員制度を導入し、
■経営体制
経営の監督と執行の分離、権限の委譲並びに業務執行責任の
株
明確化を進めることにより、透明性の高いスピードある経営の実
現を図っています。
選任/解任
主
総
会
選任/解任
選任/解任
取締役会は、代表取締役会長が議長を務め、全取締役と全監査
役が出席しています。経営会議は、代表取締役社長の意思決定
のための諮問機関として取締役会の決定した基本方針に基づき、
経営上の重要な事項を審議しています。また、業務執行状況及び
業務執行にかかわる重要事項の共有を目的として、全執行役員が
監査役会
監査役
取締役会
監査
会
計
監
査
人
取締役
選定/解職
監査
出席する執行役員会を設置しています。監査役会では、監査に関
監査
する重要な事項について、その協議と決議を行い、また取締役会
代 表 取 締 役
付議事項の事前確認等も行っています。
内部統制システム
執行役員会
内部監査部
2008年4月以降開始する事業年度から、上場企業等は、財務報
告に係る内部統制を評価しその結果を開示することが義務付けら
経営会議
監査
れました。当社は、同制度への対応を重要な経営課題と位置づ
執 行 役 員
け、昨年6月に経理担当役員をリーダーとする
「内部統制プロジェ
クト」
を立ち上げました。同プロジェクトは、昨年度中に内部統制
各 業 務 担 当 部 門
評価に必要とされる
「全社的な内部統制」及び「業務プロセス」の
文書化を完了し、本年6月からは、これらの文書を基に内部統制の
有効性を評価する作業を進めています。本番年度に向けて十分
な準備を行い、有効な社内体制の整備・構築を図っていきます。
リスクマネジメント
第187期報告書
あらゆるリスクへの対応力を強化し、従業員、家族、株主、取引
先、地域の方々などの利益を守ることを目的として、昨年度、内
部統制システム整備の一環として、社内規定「リスクマネジメント
Fact Book
推進規則」
を制定し、社長を委員長とした「リスクマネジメント委
員会」
を組織しました。その後、全社でリスクアセスメントを実施
し、集約結果に基づいて中長期的な視野のもと、本年度のリス
クマネジメントプログラムを策定しています。
このプログラムでは、全社各部門との個別の
インタビュー・議論を通じて、①より精度の高
い全社リスクマップの策定、②最重要リスク
群を優先させた対応策の検討・実施、③アセ
スメント手法の改善や関連社則の整備等を
対処法についても危機管理の専門家を招聘
危機管理セミナー 講師
株式会社エイレックス
代表取締役社長
し、幹部セミナーを実施するなど、当社リスク
江良 敏郎氏
目標に掲げています。また、クライシスへの
管理体制の一層の充実を図っています。
アニュアルレポート
13
誠実な事業活動
コンプライアンス
大日本住友製薬グループでは、持続的発展のための大前提として、法令を遵守し高い倫理感を持って、透明かつ
公正な事業活動を行っていきます。
コンプライアンス委員会
コンプライアンス・ホットライン
全社のコンプライアンスの実践状況の把握に努め、さらなる推進
従業員が当社のコンプライアンスに疑問を感じたり、違反行為に
のためにコンプライアンス委員会を定期的に開催し、全社各部門
関する情報を取得した場合の相談する窓口として、コンプライアン
でのコンプライアンスの取り組みの共有化を行っています。また
ス・ホットラインを設置しています。ホットラインは通報者に対し通
コンプライアンス徹底の取り組みとして、2006年度からグループ
報を理由とした不利益が生じないように措置を講じています。本
会社を含めた役員・従業員を対象にコンプライアンス基本研修を
年度はホットライン専用電話を増設しました。また全従業員に対
実施しています。法令
してホットライン利用状況を開示し、周知・活用を図るとともに、
の基本知識を学び職
場単位で意見交換す
■コンプライアンス推進体制
コンプライアンス違反の早期発見と予防に努めています。
取締役会
ることでコンプライア
会 長
ンス意識を相互に高
社 長
■コンプライアンス・ホットラインの流れ
め、誠実な事業活動
に結びつけています。
コンプライアンス担当役員
コンプライアンス委員会
(事務局)
環境CSR推進部
コンプライアンス推進委員(全部門長)
コンプライアンス・ホットライン
情
報
提
供
者
︵
相
談
者
︶
相談
相談者への対応
〈事情確認〉
調査結果 報告
是正内容等 報告
ホ
ッ
ト
ラ
イ
ン
相
談
窓
口
詳細調査(事実確認)
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
調査結果
ン
ス
委
是正内容等 共有 員
会
是正指導 等
是正内容等 報告
相談方法
ホットライン相談窓口
○電子メール
○一般郵便
○社内メール便 ○専用電話
○コンプライアンス委員会 事務局(環境CSR推進部)
○コンプライアンス担当役員
○社外連絡窓口(法律事務所)
情報管理
社会に向けて適時適切、公正な情報開示を行うとともに、企業活動を通じて得た個人情報や顧客情報を適正に
保護、管理する。企業の責任として私たちは、積極的な情報開示と適正な情報管理を実践していきます。
情報セキュリティ
情報は企業活動において大切な資産であり、これを確実に保護
■情報セキュリティ推進体制
し積極的に活用することは重要な課題です。当社では情報資産
社長及び取締役会
のセキュリティを確保し維持するために、情報セキュリティに関す
る規則・細則・要領を制定し、マネジメントサイクルの実践に取り
組んでいます。
報告
監査
情報セキュリティ責任者
(情報システム担当役員)
推進体制は、図のとおりとしています。人的対策として、当社の情
情報セキュリティ担当部門
(情報システム部)
報資産を利用する全員に情報セキュリティ教育を実施し、各人が
身近に実践する対策として、
「しなければいけないこと」
、
「してはい
内部監査部
各部門
連携
教育訓練担当部門
けないこと」
を示しその徹底を図っています。一方、技術的対策と
して、パスワードの有効期限設定、ハードディスク暗号化、未登録
パソコン接続拒否などを実施しています。全員がセキュリティの重
部門長
要性を認識し、セキュリティ意識を持ち、各人がしっかりと対策を
実践することで、情報セキュリティ確保を維持していきます。
14
情報セキュリティ担当者
情報資産利用者
当
該
部
署
等
社会ニーズへの対応
社会から求められる製品・サービスを提供するための取り組み
製薬企業の第一義とは、患者さんが必要とされる薬を社会に提供し貢献することだと私たちは考えます。
当社は、研究開発を基盤とした新たな価値の創造を企業理念に定め、真に有用な新薬創生に努めています。
より患者さんに求められる新薬の創生
当社は糖尿病領域を重点研究領域の一つに位置づけています。
服薬コンプライアンス、
利便性に配慮した製品・製剤設計
糖尿病に関する古い記述は紀元前15世紀のパピルスに見られ
医薬品においては、有効性、安全性こそが本質的な価値であり、
ますが、お薬の使用が始まったのは20世紀半ばになってからの
その新薬でしか治療ができない患者さんを思えば、薬物の有効
ことです。血糖値を厳格に管理することは未だに難しく、血糖管
性、安全性を損なわない製剤を可能な限り早く患者さんに届け
理の不良による合併症の脅威が存在します。合併症の一つであ
ることが最も重要です。しかし、病気そのもので苦しんでおられ
る神経症の症状が進行すると、四肢の感覚が鈍くなります。や
る患者さんに、治療を受ける上で別の苦痛や負担を強いること
けどや怪我などによる傷に対する処置が遅れることから、潰瘍・
は可能な限り避けなくてはなりません。そこで、飲みやすさ・投与
壊疽を起こした後に四肢の切断に至るケースも少なくありませ
しやすさなどの利便性や服薬コンプライアンスに配慮した製品・
ん。このように、神経症を併発すると糖尿病初期にはなかった自
製剤設計が重要になってきます。当社は継続して製品改良に取
覚症状が現れ始め、患者さんの“くらしの質”を著しく低下させま
り組み、服薬・投薬方法を容易にするなど、患者さんの治療にお
す。このため、当社では、患者さんの“すこやかなくらし”のため
ける苦痛・負担を一つずつ減らしていきたいと考えています。
に、糖尿病治療剤のたゆまない創薬研究を続けています。
■糖尿病領域における新薬の創生
境界型
糖尿病型
ADL:Activities of Daily Living〈日常の生活を送るために必要な基本動作〉
QOL:Quality of Life〈生活の質〉
ADLやQOLの低下
■口腔内崩壊錠の速やかな崩壊
合併症
不十分な病識
血糖管理の悪化
【3大合併症】
顔面神経麻痺
外眼筋麻痺
発汗異常
神経症
立ちくらみ
心拍変動の減少
神経症が悪化すると…
網膜症
治療を怠ると…
腎症
便秘・下痢、
食欲不振、吐き気
しびれ、痛み、潰瘍、壊疽、
足が熱い・冷える、
砂利の上を歩く感じなど
尿の出が悪い
インポテンツ
関節の変形
こむらがえり
ひどいケースでは…
○手足のしびれや
痛みのため不眠
○ 壊 疽・潰 瘍から
四肢の切断とな
る患者さんも少な
くありません
研究本部 薬理研究所
本当の期待に応えるために
技術研究センター
当社では、糖尿病合併症の一つである神経
次世代の口腔内崩壊錠を
目指して
症に対する候補薬AS-3201の臨床試験(治
口腔内崩壊錠は、利便性に配慮した製品として注目されていま
験)
を実施中です。神経症が起こる原因の一
す。口腔内崩壊錠は服用後口腔内で速やかに崩壊し、子ども
つに、血糖管理不良による神経細胞内への
やお年寄りなど嚥下力の弱い患者さんでも飲みやすい製剤で
糖代謝物の異常蓄積が挙げられています。
す。また、水なしで場所を選ばず服薬できる
AS-3201は、この糖の異常蓄積を止める“く
などの利点もあります。しかしながら、従来
すり”です。現在でも、神経症に対する治療
の口腔内崩壊錠は服用しやすい反面、欠
薬はありますが、その効果が十分に発揮され
けやすい、湿度に弱いなどの問題点もあり
ない患者さんも多くおられます。そのため、神
ました。そこで、服用するまでは通常の錠
経症を根本治療する薬剤の創生を目標に、時には「本当に患者
剤と同様に取り扱うことが可能で、服用時
さんの期待に応えられるか?」
と自問しながら、AS-3201を創り出
には速やかに崩壊するという口腔内崩壊錠
しました。私たちは、神経症を治療する新薬創生を通じて、患
の特性を併せ持つ新製品の開発を目指し
者さんのすこやかなくらしへの貢献を目指しています。
て、私たちは日々努力しています。
薬理第1研究部
糖尿病第2グループ
松本 考史
製剤研究部 藤原 恵一
15
社会ニーズへの対応
より高い安全性を目指した開発体制
動物保護管理システムの構築
開発本部は「患者さんの役に立つ薬を世の中に送り出すため」
、
人々の暮らしの中でともに生活している犬や猫などのペットは、
薬の承認申請に必要なヒトを対象に行う試験(治験:図)
を行っ
飼い主に深い愛情を注がれ、いつしかコンパニオンアニマル(伴
ています。臨床開発担当者は、
「良識と良心に基づく開発活動
侶動物)
と呼ばれるようになってきました。コンパニオンアニマル
の推進」に取り組んでいます。臨床試験では「どのような副作用
は、心触れ合う家族の一員として、日々の暮らしの中で人々の心
がでるかは予測できない」
リスクをふまえて患者さんが協力してく
を癒やしたり、気持ちを豊かにしてくれます。そして、動物と家族
ださっていることを常に意識し、我々は患者さんの安全を最優先
の絆を一層深めてくれます。アニマルサイエンス部の事業は、動
に考えて試験を実施しています。患者さんに対しても、治験に協
物薬での予防・治療など疾病管理はもちろんのこと、総合栄養
力していただけるかどうかの判断に必要な情報を、全てきちんと
食や特別療法食での食事管理、さらには種々の検査やマイクロ
提供しています。そして、被験者個々の安全性を確実に確保する
チップによる個体識別などコンパニオンアニマルの健康管理を
ために、必要とされる情報を収集し適正に評価・報告しています。
目的としており、人々と動物がともに心豊かな生活をおくることが
このように、治験薬の安全性プロファイルを開発段階で速やか
できる社会づくりに貢献していきます。
に把握し、被験者のより高い安全性確保に結びつけるという社
■コンパニオンアニマルの健康維持へのアプローチ
内体制を整えています。
■新薬の研究開発・承認・市販後調査のプロセス
創薬
2∼3年
3∼5年
3∼7年
1∼2年
研究
化合物作成
標的探索
薬効薬理
非
臨 薬物動態
床
試 安全性 G
験
L
毒性 P
治験届
承認申請
開発
審査
候補選出
承認
最適化
臨 第Ⅰ相
G
床
試 第Ⅱ相 C
P
験
第Ⅲ相
ヒトに対する (注)
安全性予測
物理・化学的研究
新薬候補物の性質や
製造方法を詳細に検討
製剤開発
審査
薬事・食品
衛生審議会
GMP
発売
特別療法食
一般・病理検査
薬価申請
コンパニオンアニマルの
健康維持
治療薬
健康検査
薬価収載
製造販売後
育薬
安全管理
再審査
調査・試験
再評価
出典:日本製薬工業協会「てきすとぶっく製薬産業2006」を一部変更
再
審
査
再
評
価
総合栄養食
ワクチン
安全性定期報告
開発本部
関連事業本部 アニマルサイエンス部
新薬開発時に最優先される
高い安全性の確保
飼主とコンパニオンアニマルの
豊かな暮らしのために
新薬を開発するに当たって最も重要なことは何でしょうか?有効
我が国では2006年の改正動物愛護管理法施行により、特定
性を確認することもさることながら、やはりその新薬が十分な安
(危険)動物に対する個体識別措置(マイクロチップ:以下MC)
全性を有しているかを見極めることだと思います。この点を疎か
が義務づけられました。そして、犬猫などについてもMCによる
にし、有効性のみにとらわれ過ぎると後に大きな苦痛を患者さん
個体識別が推奨されています。犬猫の個体識別の目的として、
に与えることになってしまい、製薬企業の責任のみならずその姿
災害などで迷子になった時に飼主の元に一刻も早く戻れるこ
勢も問われかねません。臨床試験の最前線
とがあげられます。そして、飼主の責任を明
に立つモニターは、いち早く開発中の薬剤
確化することで、
「遺棄などによる犬猫の処
の副作用、有害事象(新たに生じたあらゆる
分が年間40万頭」
ともいわれている現状の
医療上好ましくない出来事)
に接します。そ
改善につながると考えられています。一方
の安全性情報を速やかに医師から収集して
でMCはペットのパスポート(海外渡航には
評価し、治験中の医師や治験協力者、被験
必須です)
でもあります。MCは飼主のペッ
者(患者さん)
に適切に伝達することを日々
心掛け、高い安全性を目指して業務に取り
組んでいます。
16
人と動物の
豊かな暮らし
個体識別
予防薬
承認
生産方法などの設定
治験薬提供
(注)
治 験:新薬の承認申請のためのヒトを対象とした試験
〈インフォームド・コンセントが求められる〉
第 Ⅰ 相:安全性の確認(少数の健常志願者)
:安全
・有効な投薬量や投薬方法の確認(少数の患者さん)
第Ⅱ 相
第 Ⅲ 相:新薬の有効性および安全性の確認(多数の患者さん)
開
発
本
部
臨床開発部第1部
2グループ
林 洋次
トに対する愛の証といえるでしょう。私たち
もMCを通して飼主とコンパニオンアニマル
の豊かな暮らしを応援していきます。
マーケティンググループ
的野 英夫
製品情報の提供・収集
現場における品質保証、品質管理(茨木工場)
患者さんのQOL向上には医薬品を適正使用していただくことが
茨木工場では顧客満足度の高い製品の供給を方針として、薬事
必要です。そのため、MRには医薬品に関する有用性(有効性と
法、GMP規則などの関係法令を遵守し生産を実施しています。
安全性)
をはじめとする多岐にわたる情報を医師、薬剤師の方々
製品の製造管理、品質管理の概要ですが、まず原料(原薬、賦
に正確かつタイムリーに提供し、診療に役立てていただくととも
形剤)
、資材の入荷時に受け入れ試験検査を実施し、定められ
に医薬品が使用された結果を収集することが求められます。
た規格に適合したものを使用して製造を行います。製剤工程、
当社では、営業支援システム「すぱっと」などにより、MRと支援
包装工程では工程が異常なく行われていることを管理、チェック
部門間の情報共有を図っています。MRは、研修や自己学習に
しながら進め、最終製品の検査、規格試験を実施した後、出荷
より診療に役立つ情報を習得し、日々の情報提供活動に活か
ロットに関する製造、試験、変更管理、逸脱管理、安全性など
しています。
の記録を品質管理グループでレビュー
(照査)
し全出荷要件に適
また、ホームページなどからも医療情報を公開・提供しています
合していることが確認できた製品のみを品質統括責任者が市場
し、くすり相談室では患者さんやそのご家族、あるいは医師、
へ出荷します。また、市場にある製品について顧客から品質情
薬剤師をはじめとする医療に携わる方々からのお問い合わせに
報
(苦情)
があった場合には、製造販売業者、営業部門と連携し、
お応えしています。
迅速な現品の入手、調査、回答を実施するよう心掛けています。
当社では、さまざまな情報提供活動をとおして「患者さんにとって
最善の治療」に貢献することを目指しています。
■製造管理・品質管理の概要
■医薬品情報の提供・収集・伝達
医療関係者
生
産
計
画
提
供
患者さん
伝達
(フィードバック)
収
集
製
造
指
図
︵
製
剤
︶
製
造
︵
製
剤
︶
検
体
採
取
・
製
剤
バ
ル
ク
試
験
製
造
指
図
︵
小
分
・
包
装
︶
小
分
・
包
装
検
体
採
取
試
験
検
査
製
造
記
録
・
試
験
記
録
照
査
工
場
出
荷
決
定
市
場
︵
G
Q
P
︶
出
荷
判
定
参考品保管
医療現場から収集した情報
M R
原
料
・
資
材
入
荷
検
体
採
取
・
試
験
検
査
製薬企業
分析・評価した情報
大阪第1支店 中央第1グループ
茨木工場 品質保証部
全ては患者さんの安心に
つながるという責任
お客様にご満足いただける
完璧な品質の追求
医薬品は体内では異物であり、効果がある反面副作用もありま
日本市場は製品品質に関する感受性が高いことで世界的にも知
す。私達MRは、先生方に医薬品の正確な情報を素早く提供し、
られており、最近の品質情報の処理においてより慎重な対応が必
また収集することが責務であり、社会的責任の強い仕事である
要となりつつあります。顧客が最も注意する品質は第一にその「外
と感じています。入社して5年目、現在特に説明会や勉強会を通
観」であり、製造工程の品質に外観を含めた「総合的な品質」のレ
じて、会社で学んだ製品知識や医学周辺知識の啓発活動に取
ベルアップが必要です。例えば、キャップのわずかな傾き、あるいは
り組んでいます。担当の先生方から
「説明会
クリームのチューブのわずかなへこみといった
が役に立ったよ」
「患者さん順調だよ」などと
実用上は全く問題のないものでも品質情報と
言われると、満足感ややりがいが感じられ、
なり、医療機関が患者さんへ製品を渡す際に
社会的貢献を果たすことができたと思えるよ
はより完璧な状態が求められます。茨木品質
うになりました。今後も大日本住友製薬の医
保証部門は、会社の信頼をより高めるために
薬品を通じて、会社・社会の一員として、患
者さんが安心して治療を受けられる環境づく
りに少しでも貢献していきたいと思います。
大阪第1支店
中央第1グループ
目次 純子
より完璧な「総合的な品質」
を目指して日々の
改善に努めるとともに、一つひとつの品質情
報に対し顧客満足度を一層高めるための迅
速かつ真摯な対応を実践しています。
茨木工場
品質保証部
中川 圭子
17
社会ニーズへの対応
現場における環境への取り組み
安定・安全調達への取り組み
当社は、全ての事業活動において、環境リスクを管理し、新環
優れた医薬品を安定的にご提供することは医薬品メーカーの最
境技術の導入を図りながら、省エネルギー・地球温暖化防止、
大の使命です。そのためには品質の優れた医薬品原料・包装
リサイクルの促進・省資源・廃棄物の削減、化学物質の排出抑
材料を長期安定的に調達する
『安定・安全調達』
が不可欠です。
制に努めています。特に環境負荷の大きい工場、研究所では
当社では安定・安全調達実現に向けて、次の取り組みを継続
ISO14001環境マネジメントシステムの運用を通じて事業場周辺
的に行っています。
地域への配慮はもとより、地球規模の環境保護を意識しながら、
日々改善に取り組んでいます。
① 『購買倫理』
を定め、公平・公正かつ透明性のある取り引きを
継続する。
② 長期安定的に取り引きを行える優れた取引先を選択するため、
「経営基盤、品質、価格、安定供給、技術開発、サービス、
CSRの取り組み」の各領域18項目からなる
『取引先選定基
準』を定めている。
③ 品質、安定供給を確かなものにし、かつ遵法と相互発展を
約した供給契約締結を推進している。
④ 重要原料などを複数の取引先から購入する複数調達、取引
先や購入品の情報収集と蓄積・共有化、取引先との緊密な
コミュニケーションなどを進め、購入品の安定確保に努める。
〈購買倫理〉
廃水処理施設
購買業務にあたっては次のことを基本とする。
1.公平・公正な取り引き
鈴鹿工場 生産技術部
● 公平・公正で自由な競争に基づき、常に新しい取引先とのビジ
ネス機会の創出に努めるとともに、透明性のある取り引きを行う。
● 購 買 取 引は、相 互 利 益 尊 重 の 理 念に基 づき、かつ信 義 誠
より高度な廃水処理を目指して
実の原則に従って行うものとする。
鈴鹿工場には、工程で使用された冷却水と
雨水が流入する川(開渠)が工場を横断す
2.
合理的な発注先の選定
る形で流れています。そこには小魚、エビが
● 発注先選定に際しては、取引先の安定した経営基盤・品質・
生息し、それを狙うカワセミの姿を見ること
価格・安定供給・技術開発および環境への配慮等を総合的
ができます。こんな素晴らしい環境の一隅に
に勘案したうえで、経済合理性に基づき発注先を決定する。
廃水処理設備があり、各棟から排出される
日量約500m 3の工程廃水を活性汚泥法で
鈴鹿工場
生産技術部
設備管理グループ
処理しており、COD除去率は70%程度で、
前岨 信彦
工程廃水を処理しています。廃水処理場は
BOD、SS、総窒素、総リンなどの厳しい排
水基準をクリアしていくために日々努力しています。私たちは、環
境保全の向上を図るべく、もっときれいな水にして流したいとい
う強い思いがあり、現在、膜処理による設備増強を検討してい
ます。実験機を用いたテストではほとんどの規制項目において素
晴らしい結果が得られており、早期の導入を目指しています。工
場排水の流域でホタルが舞い、河川では子どもたちが水遊びす
る姿を思い描きながら私たちは作業しています。
18
3.
相互発展
● 取引先との健全な取り引きを通じ、相互理解を深めるととも
に相互発展に努める。
4.
法令の遵守・機密保持
● 関係法令・社則およびそれらの精神を遵守するとともに、当社
および取引先に関する機密情報の不正取得・漏洩を防止する。
社会との対話
コミュニケーション機会の創造
当社では患者様やご家族・医療関係者・投資者・株主・取引先の皆様、従業員、地域社会などステークホルダー
の方々とのコミュニケーションのさらなる向上を目指しています。
大日本住友製薬の広報活動
企業認知度向上への取り組み
広報の基本は、社会に向けて正確かつ迅速に公正な情報開示
「大日本住友製薬」という社名から、この会社なら信頼できる、
を行うことです。また、ステークホルダーの皆様からのご意見を
信用できると思っていただくためには企業認知度をもっと高める
伺い、双方向のコミュニケーションを目指しています。
必要があると判断し、テレビコマーシャルを実施することにしま
具体的な活動内容は以下に記しましたが、今後コミュニケーショ
した。今回のテレビコマーシャル作成にあたって「大日本住友製
ンのさらなる向上を図り、経営に活かすよう努めてまいります。
薬」
という企業とそこに働く従業員の薬づくりに対する思いを、
●ニュースリリースを基本とする適時情報開示
● 証券アナリスト・機関投資家を対象としたIR活動
●ホームページを利用した情報提供、例えば「社会環境報告書
2006」
も当社へのご理解を深めていただくために掲載しています。
●トップメッセージや活動状況など社内での共有化、コミュニ
医師をはじめとした医療関係者はもちろん、広く一般の方々に
「理解・共感」
していただくことを念頭に置き、ほのぼのとした雰
囲気で、家族がお互いに相手を思いやるドラマ仕立て「家族の
気持ちで薬づくりを考える」をキーメッセージとし、本年2月より
オンエア致しました。
テレビコマーシャル
「祖父とわたし 家篇」
ケーション向上を目指した社内誌発行などの社内広報
●企業認知向上のためのテレビコマーシャル、企業広告・看板 などの掲出
●アニュアルレポートやファクトブック、会社案内など各種案
内物の制作
社内報
「グリーン・プリズム」
IR関連の情報発信
情報開示にあたっては証券取引法などの関係法令を遵守すると
ともに、会社の情報を正確かつ迅速に、また、全てのステーク
ホルダーに公平に開示し、社会から信頼されることを目指してい
ます。IRに関しては、証券アナリスト、機関投資家などを対象と
した決算説明会、R&Dミーティング、個別取材対応などを積極的
に実施し、会社の状況や事業方針などを理解していただくととも
に、適正に評価いただくよう努めています。さらに、会社に対す
る意見を広く聴くよう努めています。今後も透明性の維持・向上
を心掛けていきます。
決算説明会
当社ホームページ
http://www.ds-pharma.co.jp/
19
社会貢献
“からだ・くらし・すこやかに”に貢献する取り組み
当社が目指す「世界の人々の健康で豊かな生活への貢献」とは、医薬品の提供ばかりではありません。私たちは
企業市民として地域の文化や慣習を尊重し、企業活動を通じて地域社会の発展に寄与したいと考えています。
社会貢献
社会・環境課題に関して、当社としての貢献を果たします。その
従業員によるアイデア
ために我々は、一人ひとりが地域社会の一員であることを認識
し、「何ができるか」を考え、取り組む気持ちを育んでいきます。
そして、社会との共生につながる生命関連企業にふさわしい社
○役員・従業員から募った募金
○会社からの寄付金
会・環境への貢献を果たしていきます。この思いから、事業活動
を通して直接貢献しにくいステークホルダー
(事業所地域の住民、
一般生活者など)への貢献を、ボランティア活動などを含めて果
たしていきたいと考えています。
「からだ・くらし・すこやかに」
そこで、社会への感謝の意も込めて、毎年創立記念日に社会貢
献事業(寄付)
を行い、長期にわたり継続的に広く社会に貢献し
につながるもの
たいと考えています。寄付内容は、コーポレートスローガン「から
だ・くらし・すこやかに」につながるもので2つの柱で構成されてい
ます。1つ目の柱は、毎年、従業員によるアイデアから決定し、グ
ループ各社を含めた役員・従業員から募った募金と、会社から
の寄付金によって賄います。2つ目の柱は、当社の事業所が所
自治体および関係機関
在する自治体(市区町村)
および関係機関への寄付とします。毎
(事業所所在地)
年数カ所を選定し、
「からだ・くらし・すこやかに」につながる各自
○各自治体の希望品を寄贈
治体が希望する品を寄贈します。この活動を通して、当社グルー
プ全員が「社会に貢献する」
という当社の理念の実現を目指して
いきたいと考えています。
日本聴導犬協会への寄付活動
当社は合併1周年を記念し、社会に感謝の意を示す活動として、社
内公募から決定しました社会福祉法人「日本聴導犬協会」に対し、
グループ会社を含めた役員・従業員が募金を行いました。1月18日
には「日本聴導犬協会」からスタッフの方々や利用者の方が本社に
来訪され、贈呈セレモニーと聴導犬によるデモンストレーションが行
われました。贈呈セレモニーでは役員・従業員からの募金とともに
当社からの寄付金を贈呈し、協会からは感謝状を頂戴しました。当
日はグループ会社を含めた多くの役員・従業員が参加し、聴導犬を
はじめとする“介助犬”について、また介助犬を必要とする利用者の
生活についてより深く理解することがで
きました。当社は、今回の寄付によって
育てられた聴導犬が活躍していく姿を
見守っていきたいと思います。
寄付贈呈式には多くの従業員も出席しました
聴導犬は訓練後、認定試験を経
て聴覚障害者に提供しています
(背中にあるのは認定書)
20
自治体への寄付活動
当社の事業所がお世話になっている地域社会に対しての社会貢献
として、医療用関連機器・子育て支援用品・災害用救急医療器具
などを、当社の工場がある鈴鹿市、営業の拠点がある札幌市・静
岡市・福岡市の各施設に贈呈しました。贈呈式には各市や施設の
代表者が参加され、皆様に喜んでいただくことができました。
また、その模様は各地方新聞にも掲載されています。
市民の健康づくりの手助けや福祉の支援など、地域社会の一員と
して社会貢献を行うことは大変意義深いことであり、当社は今後
も同様の社会貢献活動を続けていきたいと考えています。
鈴鹿市の子育て支援用に寄付されたワンボックスカー
静岡市ライラック園の皆様からいただいた
手作りの感謝状
「第7回日本障害者卓球選手権大会」への参加
2006年11月11∼12日に開催された「第7回日本障害者卓球選手
権大会」に、大阪市・此花区の企業と合同でボランティアとして
参加させていただきました。車椅子や肢体障害者の選手にピン
ポン球を渡したり、記録を付けたり、会場片付けなどを担当させ
てもらいました。この大会は、障害者卓球大会の日本一を決める
大会であり、北京パラリンピックを目指している選手同士のラリー
の応酬には、思わず目が釘付けになるほどでした。
この大会を手伝わせていただいたことで、「より高い目標を持ち、
チャレンジ する情 熱
と 努 力 の 重 要さ」 を
改 めて 感じることが
できました。
第7回日本障害者卓球選手権大会
ボランティアは青いトレーナーを着て参加
球を拾って選手に渡します
21
社会貢献
事業場地域での社会貢献活動
当社では寄付活動などの全社的な活動に加えて、各事業場地
子どもたちとの触れあいや体験学習の受け入れ、地域の行事
域のニーズにあわせた社会貢献活動を推進しています。2006年
への協力などを行っており、今後とも広く地域に貢献していきた
度は地域清掃活動が中心でしたが、その他にも事業場地域の
いと考えています。
■事業場地域での主な社会貢献活動
事業場
活動例
鈴鹿工場
◎グランドを市民、少年野球、地域ソフトボールに提供(計26回) ◎ 近隣地区一斉清掃作業に参加
茨木工場
◎地域美化運動(工場周辺、通勤路)
◎ 茨木市 環境美化活動に参加
愛媛工場
◎市民一斉清掃への参加
◎ 新居浜市ボランティア活動への参加(アダプトプログラム)
大分工場
◎出前授業(住友化学などと共同)
◎ 各種地域行事への協力
総合研究所
◎環境美化活動「クリーンディ」
◎ 神崎川クリーンアップ活動に参加
大阪研究所
◎クリーン大阪に参加
大阪総合センター
池田事業所
本社
東京地区
支店・営業所
◎近隣の幼稚園、小学校から園児・児童を招き、
ドングリ拾いを経験していただく催しを開催
◎中学生の職場体験を受け入れ
◎クリーン大阪に参加
◎「中央区クリーンデー」イベントに参加(東京支社)
◎ 各種地域行事への協力(東京事業場)
◎腰痛市民公開講座開催を支援(久留米)
◎ 海岸クリーンアップ活動に参加(福岡)
参加者の声
大阪総合センター
大阪総合センターでは、敷地内(西門横)
に植えられたマテバシイに
たくさんのドングリが実ります。そこでセンター近隣の幼稚園、小学
校から児童を招き、ドングリ拾いを経験していただく催しを開催しま
ドングリ拾い
池田事業所
した。ドングリ拾いには、園児120名、小学1年生40名が参加し、セ
ンター内に子どもたちの楽しげな歓声が響きました。
池田事業所で、岐阜県多治見市立小泉中学校3年生の職場体験を受
け入れました。同中学校では、文部科学省が定めた“総合的な学習”
の授業で、
「働く」
ことをテーマに自分の進路を考えながら職業にかかわ
岐阜県中学生4名の
職場体験を受け入れ
る学習を進めておられます。当日は、細菌の培養や薬剤感受性試験な
どについて体験していただきましたが、
「細菌培養になぜ寒天を使うの
ですか?」
「仕事をしていてつらいと思うことはありますか?」などの質問
があり、受け入れ側にとっても、非常に勉強になる時間が持てました。
茨木工場
茨木市産業環境部主催
の「環境美化活動」に
参加
22
茨木市産業環境部主催の「環境美化活動」は“まちを美しくしましょ
う”をスローガンに毎年実施されているもので、20数年の歴史があり
ます。茨木工場からの参加者は、お揃いのウインドブレーカーを着用
し、茨木市役所を中心に空き缶や吸い殻など、散乱ごみの清掃作
業を1時間半ほど行いました。茨木工場では、今後も参加を継続し
ていく予定です。
従業員との関わり
“主体性と創造性”
を高める仕組みと環境づくり
従業員は当社の実体そのものであり、極めて重要なステークホルダーであると考えています。従業員が“夢と
希望と元気”を持って主体性と創造性を最大限に発揮できるよう、仕組みや環境を整えていきます。
安全・安心への取り組み
当社では、事業活動を行っていく中で、従業員や周辺地域の
■労働安全衛生マネジメントシステム概念図
方々の安全を確保することは何よりも優先されることであると認
識し、さまざまな取り組みを行っています。安全に関するリスク
が最も大きいと考えられる生産部門では、3工場で労働安全衛
生マネジメントシステム(OSHMS)
を導入し、PDCAサイクルを
●労働者の意見の反映
●文書管理
●関係事項の通知
●緊急事態への対応
●体制整備等(教育等の実施) ●記録
回しながら全員参加の安全衛生活動に取り組んでいます。研
究部門では化学物質管理システムの整備を進めており、化学
物質の取り扱いに伴うリスク低減に取り組んでいます。営業部
門では営業車両運転に伴う事故防止対策に重点をおき、研修
制度や表彰制度を設けて事故低減に取り組んでいます。これら
の活動により、ここ数年は大きな事故や重大な労働災害は発
生していませんが、ヒヤリとする事例や微小な労働災害は発生
しています。今後も労働安全衛生活動のさらなる推進を図り、
安全で安心な職場環境の実現を目指していきます。
計画(Plan)
評価(Check)
改善(Act)
実施(Do)
①危険有害要因の特定
②実施事項の特定
①安全衛生計画の
実施・運用
安全衛生方針の表明
安全衛生目標の設定
安全衛生計画の作成
リスクアセスメント
茨木工場
①日常的な点検・改善
②システム監査
③システムの見直し
営業業務部
災害ゼロから
危険ゼロへ
営業車両の
事故削減対策について
茨木工場は平成14年から厚生労働省の労
現在、営業本部では全営業車の96.4%にあ
働安全衛生マネジメントシステム
(OSHMS)
たる1,722台の営業車が存在しています
(リ
を導入し、運用しています。OSHMSの特
ース車:1,279台、借上車:443台)
。平成18
徴はリスクアセスメントとシステム監査にあ
年4月∼平成19年3月の営業本部での事故
ります。リスクアセスメントは危険を数値的
総数は384件に上り、これは日本のどこかで
に捉え「危険ゼロ」への有効な手法です。
これまで約2,500件の既存設備、作業につ
いてリスクアセスメントを実施し、設備改善
や作業方法の変更を行いました。そして、
業務管理部
環境・安全グループ
吉田 健
大日本住友製薬の営業車が毎日1件以上の
業務・コンプライアンス
事故を起こしていることになります。しかし、 グループ
新社発足1年次の事故総数から比べると62
件の減少になっています。営業本部での事
吉田 貢
毎年各職場の内部監査を行うことでレベルアップが図られてお
故削減対策につきましては総務部・営業人材開発部の協力の
り、導入以後、それらの
下、1年間無事故のグループ表彰制度や事故多発者に対しての
結果として休業災害ゼロ
安全運転講習会を本年10月より実施する予定にしています。この
を継続しています。今後
無事故表彰と安全運転講習会の結果、無事故報告のできる日が
は新規設備、4M変更時
来ることを望んでいます。
におけるリスクアセスメン
また、事故削減対策と併せて省エネ運転の推進も展開していく
トを確実に行い、
「職場の
予定です。
危険ゼロ」を目指します。
安全第一!
23
従業員との関わり
より働きやすい職場環境の実現を目指す取り組み
当社では、昨年度1年間に、約150人の社員が結婚し、約200
人のお子さんが生まれました。出産する女性社員のほぼ100%
(昨年度1年間で約40人)
が、産前産後休暇・育児休業を取得
しています。また、小学校就学前のお子さんがいる社員は約
1,500人に達しており、子育てを行いながら仕事に取り組む社
員をサポートするための取り組みが重要になってきています。こ
うした観点から、仕事と生活の調和に関するさまざまな考え方
に対応できるように、法定を上回る内容の育児休業制度・労働
時間の短縮措置制度など、各種の両立支援制度を導入してい
ます。また、こうした制度は実際に活用されることで意義あるも
のになりますので、制度が身近なものに感じられるよう社内電
電子掲示板による就業制度改訂の案内
会社・労働組合
合同ビアパーティ
子掲示板などによる案内によって制度内容の浸透に取り組む
とともに、休業中の方への配慮も行っています。
当社にとって、社員が仕事と生活の調和を図ることができるよ
うな環境を整えていくことは、社員の持てる能力を最大限に活
かしていくためには、必須の取り組みです。また、こうした就業
環境を整えていくことで、お互いにフォローし助け合う社員の連
携意識や、常に業務効率・生産性の向上を意識した職場風土
を醸成し、企業としての競争力を高めていきたいと考えています。
人事部
自由に個性を発揮できる
プロフェッショナル集団を目指して
人事部
岩崎 知恵子
24
相互理解・相互信頼をベースにした
話し合いを通じて
最近、
『ワークライフバランス』
という言葉を
当社発足から約1年後、労働組合が統合し、
流行語のようによく耳にしますが、社員の働
大日本住友製薬労働組合が設立されまし
き方に関する考え方がさまざまになってきて
た。旧社以来、良好な労使関係を築いてき
いる今まさに、当社においても、性別・子ど
ていましたが、新会社と新労組の間におい
もの有無に関わりなく、社員全員の仕事と
ても、相互理解・相互信頼をベースにした
生活の調和を実現することが、目指すところ
話し合いを通じて、労使の諸課題解決を目
だと考えています。
指しています。
そのためには、難しいところも多いのですが、
人事関係の諸制度については、まずは当社
全員に対して平等な制度を目指すよりも、む
としての統合した制度をつくりあげ、運用を
人事部
光山 幸秀
しろ画一的ではない、社員個々の考え方に対応できる仕組み
軌道に乗せていくことが取り組みの中心でしたが、今後は、企
づくり、制度の運用を大切にする必要があるのではないでしょう
業としての競争力を高め、2007年度から始まった中期経営計画
か。それが、自由に個性を発揮できるプロフェッショナル集団を
の達成という労使共通の目標に向けて、諸制度の内容面およ
目指すことにもつながるように思います。
び運用面の拡充を目指していきたいと思います。
各種の両立支援制度を利用しやすい環境にすることは言うまで
仕事と生活の調和を図る働き方の実現についても、2007年度
もありませんが、
「働きやすい環境」
という意味では、一人ひとり
下期に、
「ワークライフバランスの実現に向けた労使プロジェク
を大切にすること、自分が必要とされていることを感じたり、安
ト」を設置し、諸施策について検討することを予定しています。
心な気分にさせてくれたり、思いやりを感じさせてくれる環境を
当社として最初の「労使プロジェクト」
といった形での取り組み
作っていくことが大切だと思います。社員の皆さんの感情、気
となりますが、労使双方の立場から率直に考えを述べ合い、互
持ちに配慮して、朝起きた時に、早く会社に行きたい!と思える
いの意見・考え方を尊重しながら、当社にとってよりよい姿を目
職場をつくっていきたいと思います。
指していきたいと思います。
人材育成
企業の持続的成長の礎となるのは人材に他なりません。社会から信頼される企業であり続けるために当社は
研修制度を充実させ、国際社会においても能力を発揮し、社会から信頼される人材の育成に力を注いでいます。
能力向上への取り組み
当社では「社員が自らの可能性と創造性を伸ばし、その能力を
とした自主参加型の「キャリア開発支援」プログラム、そして各
発揮できる機会を提供していく」との経営理念のもと、競争力の
部門のニーズに応じた知識・スキルの習得機会として部門主催
ある人材の育成に取り組むとともに社員の主体的な能力開発
の「プロ人材を育成する研修」で構成されています。
への支援を行っています。
さらに、今日グローバル化の進展に伴い英語は不可欠なコミュ
研修体系はキャリアの節目に実施する「階層別研修」
、ビジネス
ニケーション手段となっており、
「TOE
I
C受験奨励」や英語研修
パーソンに必要不可欠な知識・スキルを身につけることを目的
メニューを拡充し社員のスキル向上支援を推進しています。
■研修プログラム
各
部
門
主
催
プロ人材を育成する研修
各部門にて必要となる能力・スキル研修
Off JT
OJT
営業本部
研究本部
開発本部
生産本部
節目の時に実施する研修
リーダーを育成する研修
成長への気づきを与える研修
新任部門長研修
マネジメント能力強化研修
階層別研修
技術研究センター
キャリア 開 発 支 援
自己啓発を支援する研修
【ビジネスセミナー】
●ビジネススキルの研修
人
事
部
主
催
ビジネスコーチング研修
マネージャー職昇格者研修
キャリア開発セミナー40
グレードⅢ昇格者研修
一般社員
【通信講座】
豊富なラインナップを準備
・マネージメントの基礎
・ロジカルシンキング
・財務計数 初級(アカウンティング)
・財務計数 上級(ファイナンス)
・トレーディングゲーム
管理社員
新任評価者研修
関連事業本部
キャリア開発セミナー30
新入社員研修
●コミュニケーションスキル研修
・コーチング
・ファシリテーション
・コミュニケーション スキルアップ
・ストレス耐性強化
●英語研修
・ライティング研修(初級)
・ライティング研修(上級)
・英語ヒアリング
・英語プレゼンテーション
【研修ビデオ貸出】
【TOEIC受験奨励】
海外初級研修
営業本部では、社員が自らキャリアプランを描き、働き甲斐を
国医師による講義 ⑤米国医薬品市場の講義(IMS)⑥米国医
感じられる能力開発を検討しています。そのような中、
「グローバ
療施設訪問(病院、FDAなど)
を行います。また参加者の選考
ル」に興味があり、自己研鑽を重ねる人材が増加しており、個々
は、単に英語ができる人が選ばれるわけではなく、現状業務に
の挑戦的なキャリアアップを支援するため、
「海外初級研修」を
おいて成果を挙げ、かつチャレンジングな人を上長より推薦し
実施しています。研修内容は、①大日本住友製薬アメリカインク
ていただき、厳選な審査を行い、選抜しています。
(DSPA)訪問 ②国際学会聴講 ③米国MRとのミーティング ④米
東京第1支店 中央病院第1グループ
顧客の国際化に対応するために、MRに求められる新しい力
「将来、当社のグローバル化に大きく貢献したい。今、そのために力を試したい。
」そんな
思いからこの研修を志望しました。米国展開を加速するDSPA、現地医師の講義、他社各
部門との情報交換、FDA(米国食品医薬品局)訪問、国際学会で注目を浴びる自社製品。
言葉の壁は想像以上に高いものでしたが、刺激的で充実した10日間であり、自身のキャリ
アパス・ビジョンがはっきり見えた貴重な体験でした。今や顧客の視点・興味や行動は急
速に国際化しており、MR(医薬情報担当者)
にもそのニーズに対応する能力が求められる
時代になったと言えます。治療方針における世界のトレンドや国内外での違いを常に意識
東京第1支店 中央病院第1グループ
して、さらなる顧客満足度の向上を目指して日々仕事に取り組んでいます。
矢野 雅史(写真の下段左から2人目)
25
CSR中期方針における取り組み課題
CSR活動のレベルを高め、当社らしさを示すために
「CSR中期方針」は、当社のCSRを全社一体となって推進していくために、新たに策定したものです。
今後3年間の取り組み課題は、次のとおりです。
CSR活動の実践によって、当社らしさを示していきたいと考えています。
中 期目的
CSR 土 台・柱
土台
価値観を共有し、社会の一員として
自覚を持って行動する
企業風土の醸成
誠実な事業活動
柱1
ステークホルダーの視点から、当社らし
い良い製品・良いサービスを最良の方
法で提供する
社会ニーズへの対応
社会からの信頼と期待に応えることで、事
業活動に付加価値をつけ、当社のブランド
力と競争力の向上を図る
社会との対話
26
柱2
社会・環境課題に関して、
当社としての
貢献を果たす
社会貢献
柱3
CSRの担い手である従業員一人ひとり
の意欲・意識を高め、能力を発揮させる
従業員との関わり
テーマ
価値観とは企業理念、経営理念、
バリュー、行動規範、
行動宣言、
コーポレートスローガンによって示されるも
のです。全役員・従業員が価値観を共有し、実践して
いくことで当社の企業風土が醸成されます。
近年、社会の企業を評価する目が厳しさを増してきま
した。不祥事を起こした企業は社会からの信頼をなく
し、
その後の事業活動に大きな支障をきたすことにな
ります。当社では持続的発展のための大前提として、
法令を遵守し高い倫理観を持って透明かつ公正な
事業活動を行っていきます。
項目
取り組 み 課 題
価値観浸透・定着活動の展開
価値観の浸透・定着
従業員意識の把握とフィードバック
コーポレート・ガバナンス
マネジメント体制の強化
リスクマネジメント
危機管理体制の整備・強化
コンプライアンス
コンプライアンス教育の強化
積極的な情報開示
情報管理
情報管理の徹底
新薬創出力の強化
企業はさまざまな社会の変化に適応していかなけれ
ば存続できません。
企業が社会に適応するということは、社会からの期
待や要請にしっかりと応え、常に役立つ存在であり続
けることだと言えます。
当社の特色を活かして将来の社会ニーズを見据え
つつ、現代のニーズに応えていく。
当社は生命関連企業として、本来の事業活動を通じ
て、社会から望まれる有用な製品・サービスを提供し
続けることが社会への貢献につながると考えています。
研究開発のスピードアップ
製品価値最大化に向けたPLCM※への積極的な取り組み
※Product Life Cycle Management
社会から求められる製品・
サービスを提供するための
取り組み
自社保有先端技術の有効活用
製品の品質と安全性の確保
環境に配慮した製品づくりと事業活動
製品安定供給体制の構築
顧客満足度の向上を目指した取り組み
ステークホルダーとの対話のための体制整備
ステークホルダーの意見に真剣に耳を傾け、
より良い
製品開発やサービスにつなげることによって、
さらな
る顧客満足の向上と信頼を得ることができます。当
社と社会との相互理解を深めて、社会から親しまれ
信頼される企業を目指します。
一人ひとりが地域社会の一員であることを認識し、
「何
ができるか」を考え、取り組む気持ちを育んでいきます。
社会との共生につながる、生命関連企業としての当
社らしい社会・環境への貢献を果たしていきます。
従業員は当社の実体そのものであり、極めて重要なス
テークホルダーです。当社を持続的に発展させるのは
従業員一人ひとりの意欲・意識と能力です。従業員が
“夢と希望と元気”を持って主体性と創造性を最大
限に発揮できるよう仕組みや環境を整えていきます。
企業認知度向上への取り組み
コミュニケーション機会の
創造
事業所と地域との交流
CSR報告書の充実
事業所地域への貢献活動
“からだ・くらし・すこやかに”
に貢献する取り組み
健康増進に貢献する活動
共感する市民活動への支援
主体性と創造性を高める
仕組みと環境づくり
人材育成
人材の有効活用と適材適所
安心して働ける職場環境の整備
人材の育成と確保
27
CSR OPINION
医療現場から見た
製薬メーカーが果たすべき社会的責任とは
財団法人住友病院 院長
松澤 佑次先生
1966年大阪大学医学部卒業。1991年大阪大学医学部第二内
科教授(大学院医学系研究科分子制御内科に改称)
。2000年大
阪大学医学部附属病院長。2003年大阪大学名誉教授。2003
年4月より現職。
専門領域は、内分泌代謝学、動脈硬化学。
日本動脈硬化学会理事長。日本肥満学会理事長。日本臨床分
子医学会理事長。第13回国際動脈硬化学会会長、第102回日
本内科学会会頭なども務める。日本人として初めて国際肥満学
会最高賞のヴィレンドルフ賞を受賞。ほかに、動脈硬化研究に対
する貢献で「第一回動脈硬化学会賞」
、内臓脂肪症候群の概念
確立で「日本医師学会賞」など受賞多数。
「内臓脂肪症候群」は
今日、
「メタボリックシンドローム」
として広く認知され、予防医療の
中心的なテーマとなっている。自らが委員長を務めるメタボリック
シンドローム撲滅委員会の活動などを通して、極めて短期間でメ
タボリックシンドロームの認知向上に果たした役割は大きい。
基本は、優れた臨床研究に目を向け、
「良い薬を創る」
こと。
情報提供にも一層の努力を。
まず最初に、医療という社会貢献の第一線でご活躍されてい
る現在のお立場から、
「医薬品メーカーが果たすべき、重要な社会
的責任」についての先生のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
松澤先生 言うまでもなく
「良い薬を創る」
ことが基本中の基本です。
私は今、内閣府に設けられた重要政策に関する会議の一つ、総合
科学技術会議のライフサイエンス部門に専門委員として関わりを持
28
は、疾患の本質をきちんと見分けず、教科書や論文に書かれている
ことに重点をおいて、例えば血圧を下げればいい、血糖値を下げれ
ばいいというようなレベルの開発に陥りがちであることです。要は、
医学や創薬研究の基盤にあたる臨床研究の重要さを医薬品メーカ
ーがどの程度認識しているかということ。それは薬を創るだけではな
くて、日本の医学研究の本質にも関わってくる問題です。医薬品メー
カーにそういう認識がなければ、患者さんをベースとする臨床研究は
低調となり、優れた臨床研究者も育ちにくくなります。そういう面でも、
医薬品メーカーが担っている社会的責任は重いと思います。
医薬品の情報提供に関してはいかがでしょうか?
っていますが、そこで医学面の最も重要な戦略ポイントとされている
松澤先生 もちろん、情報提供も医薬品メーカーの大切な責務
のが創薬です。国の経済の立て直しという面からも、新薬の創出に
です。使う側から見たら、同種の薬が多数ある中でどの薬をどう使
大きな期待がかけられ、さまざまな支援策も模索されているわけです。
い分けるかということになります。その中で、有効性、メカニズム、
そのような中で、私が最も問題視しているのは、医薬品メーカーの創
エビデンスなど、自社製品の優れている点を客観的に伝えることは
薬における目的意識のあり方です。難病でもコモンディジーズ(一般
かなりしっかりとやっておられていると思います。
的な病気)
でも、患者さんにとって、すなわち臨床の現場で何が必要
一方、副作用については、因果関係や発生率の問題など関係なく
とされているのか、目的を明確にしたうえで研究することが大切です。
一律に羅列したような形で公開されてしまっているのが現状です。
例えば、今抗がん剤の中で、分子レベルで働き、確かな効果を示し
医療関係者以外の一般の方の中には、オール・オア・ナッシングで
ていることで評価の高い分子標的治療薬は、日本から報告された研
捉えてしまうことも見受けられます。このため、一つの情報だけが一
究成果に基づいて、その候補物質を持っていた欧米の医薬品メーカ
人歩きして誤解や混乱を招くことがないよう、医薬品メーカーとして、
ーが臨床研究を進めて短期間に開発したものです。このように、最
エビデンスやデータに基づいた見解を持って、よりよいアウトプット
終的な創薬の決め手となるのは優れた臨床研究がもたらす成果な
のあり方を追求していくべきでしょう。医薬品の情報提供は、その方
のです。今の日本の医薬品メーカーの研究開発の一番大きな問題点
法も含めて今後益々重要になっていくと思います。
● 聞き手
岡村 一美取締役
環境CSR推進担当役員
大切にしてほしい研究者との連携。
例えば、脂肪細胞の分野で築いた
支援の実績は、大きな財産です。
合併がもたらすプラスの成果と団結力で、
世界が認める、
品格ある医薬品メーカーに。
当社の研究開発に対する評価や期待もお聞かせください。
松澤先生 研究の指向領域として、糖尿病・循環器、精神神経、
炎症・アレルギーの3領域を定めておられるとうかがっています。し
最後に、当社は合併後2年となり、今後はグローバル展開も志向
していこうとしていますが、そのことに関して、何かヒントとなるような
ご意見をいただけますでしょうか。
かし、このような疾患をターゲットとした創薬というのは、多くのメー
松澤先生 合併というのは、しっかりお互いの長所を集めて新たな
カーで取り組まれていると思います。このことは、創薬ストラテジー
融合を生み出せれば力の強化につながります。ただ、研究所などの
が業界で類似している近年では、どうしても規模で勝る世界のメガ
融合は、人材統合などの面で大変難しいのではありませんか?
ファーマの二番手、三番手に甘んじてしまうことになります。これ
からの日本の医薬品メーカーは、あくまでも理想論ですが、非常に
ユニークな、あっと驚くようなオリジナルの薬を開発して世界に創
当社の場合、研究グループ間や拠点間での人事交流も済ませ、
うまく融合できた状態と考えています。
出していくべきだと思います。そのためには会社として何が得意で、
松澤先生 それならば、今後のグローバル展開を容易にするよう
どういう実績が蓄積されてきているかということが重要です。そして、
なプラスの成果が出てくる可能性は高いですね。われわれ日本の
先ほども申し上げましたように、
“必要は発明の母”で臨床の現場
医学研究者が国際学会で発表を行うにしても、日本の医薬品メー
で何が必要とされているのかを把握し、患者さんの研究にきちんと
カーが先頭を切って学会をバックアップしてくれるというのが一番
目を向け、必要がどこにあるか綿密な検討ができるような人材を揃
ありがたいです。世界的に認められてはじめてグローバル化という
えたり、あるいは外部の研究者と連携したりすることが大切だとい
ことになると思いますが、それには、世界に通じる優れた新薬を打
うことを再認識していただきたいと思います。御社について言えば、
ち出して、大日本住友の名前で世界に出ていく必要があるでしょう。
※
例えば私が代表世話人を務めているアディポサイエンス 研究会の
そういう目標を追いかけるためには、従業員全員が“共通の目的”
活動を発足当初からサポートしていただいています。早くから脂肪
を持って「団結」することが必要ですね。日本の企業の場合、やは
細胞というようなものに目を付けられていたのは御社の強みだと思
りアメリカンスタンダードではなく、ジャパニーズスタンダードが大切
います。脂肪細胞の研究は、日本が世界を大きくリードしていて、
です。愛社精神とかファミリーの団結ですね。われわれの病院にし
恐らくあの中に宝物みたいなものがいっぱいあるわけです。そうし
ても、
“ボーダレス”と“アイデンティティ”が浸透していて、みんな大
たところからきちんと得るものを得て、研究者との連携の中で、本
変仲がいいのです。それはやはり住友ブランドという
「品格」を大
当にユニークな価値ある創薬を目指していかれればいいのではな
切にしているからだと考えています。病院の品格というのは、総合
いでしょうか。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
的なバランスのとれた病院であるためにも、とても大事なことだと
思います。住友病院としての品格を大切にするという
“共通の目的”
があるから、事務も看護師もコメディカルも、医師とのチームワーク
が非常にうまくとれています。これは、医薬品メーカーにとっても同
じですね。御社も、今後も品格を大切に、グローバルに活躍して
いかれることを期待しています。
ありがとうございました。
※「アディポサイエンス
(Adiposcience)」は、
「脂肪(Adip)、脂肪細胞
(Adipocyte)
、脂肪組織(Adipose tissue)
」
を
「科学する
(Science)
」
こと
を意味する日本で創られた科学用語です。
29
地球環境に対する社会的責任
豊かで住み良い世界の実現に
貢献する企業として
大日本住友製薬の環境ビジョン
大日本住友製薬は、地球環境が重大な局面を迎えていることを認識し、人類の生命を
守り健康の保持に貢献する企業として、その全ての事業活動を通じ環境保全と循環型
社会形成に積極的に取り組み、豊かで住み良い世界の実現のために全力を尽くします。
企業理念
経営理念
企業市民として社会からの信用・信頼を堅持し、
よりよい地球環境の実現に貢献する
環境負荷の
少ない
事業活動
の推進
教育と啓発
環境負荷の
少ない製品と
技術の開発
環境
基本方針
地域社会での
環境保全活動
法令順守と
自主的な
取り組み
コミュニケーション
当社が取り組むべき環境活
動の柱として環 境 基 本 方
針を策定
全社を
挙げての
環境保全
活動
中期環境計画
年度実施計画
行動宣言
地球環境問題に積極的に取り組みます
30
企業理念・経営理念の実現
が最終的に目指すべき姿
環境基本方針を達成する
ための具体的施策として中
期環境計画を策定
中期環境計画達成のため
の実 行 計 画として年 度 実
施計画を策定
環境活動を実行する上で
の従業員一人ひとりの拠り
所として行動宣言がある
環境負荷の全体像
当社では医療用医薬品、動物用医薬品、食品添加物、工業薬品、その他製品を製造・販売しています。研究開発、生産、
物流、営業、販売さらにはお客様による使用、廃棄にいたるあらゆる段階において、私たちの事業活動は環境にさまざまな
影響を与えています。これらの環境影響を全ての従業員が認識し、環境負荷の低減に努めます。
エネルギー使用量(kl/原油換算)
原材料使用量
総エネルギー使用量:46,071k
l
24,880k
l
● 化石燃料 19,013k
l
● 電力
● ガソリン
2,178k
l
用水使用量
● 製品用原料(金属除く)9,017t
● 上水道
1,584t
31t
● 製品用原料(金属)
1,248t
● 製品用包装資材
● 工業用水
405 千t
768 千t
● 地下水
283 千t
★ PRTR対象物質
INPUT
水系への排出
大気への排出
研究開発
1,335千t
● BOD
24.5 t
● COD
14.3 t
●燐
0.4 t
● 窒素
5.9 t
★ PRTR 対象物質
0.003 t
● CO2 排出量(エネルギー起源)
● 総排水量
OUTPUT
81,224 t
● CO2 排出量(エネルギー起源以外)
1,126 t
本社
● 塩素系有機化学物質
生産
廃棄物
● リサイクル量
● 最終処分量
★ PRTR対象物質
26.2 t
● SOx
0.1 t
● NOx
10.8 t
● ばいじん
7,982 t
6,689 t
138 t
1,448 t
OUTPUT
● 廃棄物排出量
OUTPUT
注)BOD、COD、燐、窒素、
PRTRは公共用水域、
下水道への排出量
★ PRTR 対象物質
販売
OUTPUT
1,248 t
26.9 t
物流
使用済容器包装の排出
● 使用済容器包装排出量
0.7 t
処方
※本データは4工場、2研究所、大阪総合センター、
池田事業所、物流センター、本社、東京地区、支店・
営業所および営業車輌(ガソリン)の合計です。
31
中期環境計画
当社では、環境活動における重点課題を明確にし、その達成および継続的な改善のための活動計画として中
期環境計画を策定しております。
2006年度はほぼ順調に推移しましたが、新たに浮かび上がった課題を加え、さらなる改善に向けて活動していきます。
重点課題(目的 )
目 標
①ISO14001認証取得:大阪研究所 1.
環境マネジメントシステムの整備
②各事業場特性に合った環境マネジメントシステムの整備・運用:ISO認証を取得しない事業場
③外部委託先への環境活動への協力要請
①グリーン調達の制度化と運用
2.
②グリーン物流の制度化と運用
環境保全推進システムの整備
③環境に配慮した製品開発の制度化と運用
④設備投資の際の環境配慮の制度化と運用
①ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、
クロロホルムの大気排出量削減:2007年度までに
2003年度比20%以上削減
3.
化学物質の排出削減
②VOCの削減計画策定
対策実行
①2010年度のCO2排出量を1990年度レベル以下に抑制する
②事業所ごとのエネルギー原単位を年1%以上向上させる
(主要8事業所)
4.
省エネ、温室効果ガス(GHG)の
排出削減
③全社のCO2排出量原単位を年1%以上向上させる
④温室効果ガス
(GHG)削減計画の策定
対策実行
①全社の最終処分量を2008年度に1990年度比20%に削減する
5.
②ゼロエミッションの推進:各事業所の産業廃棄物の最終処分量を発生量の1%未満に削減する
廃棄物の削減
4工場:2008年度まで
その他:2010年度まで
6.
環境リスク評価とその対策
事業活動の全ステージにおける環境
(リスクアセスメ
ント実施体制の構築 )
①製品開発段階における環境リスクアセスメント
②設備の環境アセスメント
③既存製品・既存設備のリスク評価
①地域に与える環境リスクの把握
7.
地域社会とのコミュニケーション
②地域に対する適切な情報開示
③地域の環境活動への積極的な参加
32
8.
環境教育の充実
①教育体系の整備
9.
人材育成
①環境管理のキーパーソンの育成
達成状況について:● 目標を達成
● 目標達成に向けて順調に推移
進捗状況
▲ 進捗状況がやや遅れている × 進捗状況が大幅に遅れている
達成
状況
①2007年7月認証取得
●
②全事業場で環境管理マニュアルを策定
●
③2007年度より新たに目標を設定
新規
①「グリーン調達基本方針」の制定
●
②制度化の検討中
▲
③一部運用開始
●
④生産本部(茨木工場)
で運用開始
●
①対前年度比10%以上削減
●
②VOC排出量を把握。茨木工場で除害設備稼働中
●
①2006年度実績で対1990年度比228%
×
②2006年度を基準年度とする
−
③2006年度を基準年度とする
−
④2006年度実績を把握。エネルギー起源以外のGHGは1,126t
(CO2換算)
●
①2006年度実績で対1990年度比26%
●
②2006年度実績で2工場、1研究所が達成
●
①「2-③環境に配慮した製品開発の制度化と運用」の中で推進
●
②「2-④設備投資の際の環境配慮の制度化と運用」の中で推進
●
③EMSの中で洗い出しを実施中
●
①ほぼ把握済み。対応を実施中
●
②適切に実施中
●
③各事業場で積極的に実施中
●
①階層別教育、全従業員対象教育、事業所教育支援などの体制を構築、実施
●
①2007年度より新たに目標を設定
達成・開始へ のスケジュ−ル
2006
2007
2008
2009
P.34
P.35
P.36
P.37
P.38
P.39
新規
33
中期環境計画
重点課題
環境マネジメントシステムの整備
1.
当社では環境基本方針に「全社を挙げての環境保全活動」を掲げており、全社を網羅する環境マネジメントシステム
を構築・運用し、目標を定めて、全従業員が積極的に環境活動に取り組むことができる体制整備を推進しています。
環境マネジメントシステムの整備
大日本住友製薬として初年度である2005年度は全社的な体制
作りを行い、社則(環境管理規程、環境委員会規程)の制定、
大阪研究所 研究業務第2部
環境基本方針の制定、環境管理運用細則の制定、全社を12事
業場に分けた環境管理組織の整備などを実施しました。
2006年度は事業場ごとのマネジメントシステム向上を目指し、ま
ず大阪研究所でISO14001の認証取得に取り組みました。これ
ISO14001導入の成果が現れ始めた
研究員の意識変化
「今でも環境保全活動をしているのに、ISO
により、比較的環境負荷の大きい4工場、2研究所の全てで
14001は必要なのか?」導入前に研究員か
ISO14001が運用されることになります。既にISO14001が運用
ら寄せられた疑問です。確かに、当研究所
されている事業場では、2004年度の改訂※のポイントである法令
では、環境担当者からの『依頼』事項として
順守評価、外部の委託先への環境配慮の的確な運用を行い、
環境保全活動を行っていました。
年次審査に合格しました。
やがて、2カ月におよぶ全従業員に対する環
環境負荷が比較的小さい他の6事業場では、それぞれが独自の
境教育が終了し、運用を開始しました。しば
環境管理マニュアルを制定し、ISO14001に準じたPDCAを回す
らくして、
『ISO14001は有言実行の自主的活
システムが動き出しました。今後、これらの事業場では、関連す
動だから自分で考えて下さい』
という放任主
る手順書類の整備を進め、システムのさらなるブラッシュアップを
義の環境担当者の元には、研究員から“こんな省エネ対策はど
図っていきます。
う?”
“頑張ったらこれ位の目標は達成できると思う”等々意見
※ ISO14001の規格の要求事項の一部変更。2004年に実施された。
小北 季世子
が少しずつ集まってきました。これは、
『依頼』事項だった環境保
全活動が自主的な環境保全活動に変わり始めた証であり、導
■国際標準規格ISO14001認証取得状況
事業場
大阪研究所
研究業務第2部
入前の研究員から寄せられた疑問に対する答えだと思います。
ISO14001 認証取得年
大分工場(住友化学と一体で取得)
1998年
鈴鹿工場
2000年
茨木工場
2000年
愛媛工場
2000年
総合研究所
2004年
大阪研究所
2007年
■環境管理体制
ISO14001登録証
会 長
社 長
経営会議
ISO14001審査風景
環境CSR推進担当役員
環境監査チーム
環境CSR推進部
環境委員会
(環境委員会・事務局)
環境管理責任者会議
鈴
鹿
工
場
環
境
委
員
会
34
茨
木
工
場
環
境
委
員
会
愛
媛
工
場
環
境
委
員
会
大
分
工
場
環
境
委
員
会
総
合
研
究
所
環
境
委
員
会
大
阪
研
究
所
環
境
委
員
会
池
田
事
業
所
環
境
委
員
会
大
阪
総
合
セ
ン
タ
ー
環
境
委
員
会
物
流
環
境
委
員
会
本
社
地
区
環
境
委
員
会
東
京
地
区
環
境
委
員
会
営
業
本
部
環
境
委
員
会
重点課題
2.
環境保全推進システムの整備
当社では、グリーン調達、グリーン物流、グリーン製品開発、グリーン設備設計などの環境保全推進システムを
構築し運用することを「環境管理規程」に明記し、積極的に取り組んでいます。
グリーン調達への取り組み
環境対策を効果的効率的に進める環境保全推進システムの柱
として「グリーン調達」
を推進しています。グリーン調達の基本的
総務部
な考え方を「グリーン調達基本方針」
として制定し、これに基づ
いて調達を進めています。基本方針を要約すると、
①物品を購入する際に必要性を十分考え、できる限り数量を削
減する
②購入物品は環境負荷軽減に配慮したものを、環境負荷低減
に努める事業者から優先的に購入する
電子購買システムで全社に浸透が進む
グリーン購入の意識
インターネットの専用画面上で事務用消耗
品の注文ができる電子購買システム「べん
りねっと」の全社展開が2007年1月に完了
ということです。
しました。
例えば事務用品などを調達する電子購買システム
(べんりねっと)
電子カタログには環境配慮された商品を掲
には特殊な品目を除いて環境配慮対策品のみをカタログ掲載
載するよう心掛けており、当システムでのグ
し、このシステムで発注すればグリーン購入率が飛躍的に高ま
リーン購入率は導入以来95%以上を維持し
るように対策しています。
ています。現場によって求められるサービス
総務部
梅谷 由佳里
や必需品が異なりますが、購入時の多様な
グリーン調達基本方針 〈グリーン調達の基本原則〉
物品・サービスの調達にあたっては、次の基本原則に従って適
正な物品・サービスを適切な事業者から優先的に購入する。
ニーズに応えるカタログの充実に努めています。一方、使用済
みのプリンターのトナーをリサイクルに活用できるようそれぞれの
メーカーに返却することで、購入から廃棄処理に至るまで環境に
優しい運用が徹底できるように関係部門と連携しています。
1.
物品・サービスを購入する前にその必要性を十分に考える。
購入する場合にはできる限り数量を削減する。
2.購入する物品・サービス、購入先に関する環境情報を積極的
電子購買システム
「べんりねっと」
に収集し、これを活用して購入する。
3.
物品・サービスの購入にあたっては、資源採取から破棄までの
製品ライフサイクルにおける多様な環境負荷軽減の観点で次
の各項を考慮して選択する。
① 環境や人の健康に影響を与える物質の使用や発生・排出、
あるいは現象の発生が削減されている
② 省資源、省エネルギーの配慮がされている
③ 再生可能な天然資源を持続可能に利用している
④ 再生材料か再使用部品を用いている
⑤ 長期間の使用ができる
⑥ 再使用、リサイクルが可能である
使用済みトナー、
インクカートリッジの
リサイクル
⑦ 廃棄されるときに適正な処理・処分が容易である
4.物品・サービスの購入先は、次の各項に該当するような環境
負荷低減に努める事業者を優先的に選択する。
① 組織的に環境保全や環境改善に取り組む仕組みがあり、
かつ環境負荷の低減
(省資源、省エネルギー、化学物質等の
管理・削減、廃棄物の削減)
、環境情報の公開等に取り組ん
でいる
② 製品やサービスに関して積極的に環境配慮をしている
35
中期環境計画
重点課題
3.
化学物質の排出削減
当社では、環境に悪影響を与える揮発性有機化合物(VOC)
の環境への排出をできる限り少なくするために、
さまざまな取り組みを行っています。
化学物質の排出削減への取り組み
塩素系有機化合物などの揮発性有機化合物(VOC)
は、化学反
応や製剤工程などに利用され、研究開発や生産では必須の化
学物質です。しかし、これらの有機化合物が環境中に排出される
研究所での
取り組み例
と環境に悪影響を与えますので、環境への排出はできる限り少
有機溶媒回収装置
なくするよう取り組む必要があります。
当社では、中期環境計画において、塩素系有機化合物であるジ
クロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンの3物質
について、2007年度までに2003年度比20%削減という数値目
標を掲げ、自主的な削減活動を実施しています。これら3物質の
うち、1,2−ジクロロエタンについては、削減活動が順調に進み、
2003年度比20%削減を達成できております。一方、ジクロロメ
タンについては、2005年度は生産量増加に伴う取扱量の増加
に加え、回収装置が不調であったことから、大気排出量が増加
しましたが、2006年度は回収装置の正常化に伴い、大気排出量
を前年度に比べ約10%減少させることができました。本年度は、
回収装置の改良(大分工場)
および新規回収装置の導入(鈴鹿
工場)
により、2003年度比20%削減という目標の達成に向けた
化学物質回収用スクラバー
さらなる削減活動を進めていきます。
また、クロロホルムについても、2005年度は生産量増加に伴う
取扱量の増加に加え、回収装置の不調により、大気排出量が
増加しましたが、2006年度は回収装置の正常化に伴い、大気排
出量を前年度に比べ約10%減少させることができました。本年
工場での
取り組み例
度は、回収装置の適正管理に努めるとともに、さらなる削減活動
を進めることにより、2003年度比20%削減という目標の達成を
目指します。
また、上記3物質以外の揮発性有機化合物(VOC)
に関しても、
各事業所において年間1トン以上取り扱う化合物の環境への排
出状況については把握をしており、これらの化合物の環境への
排出をできる限り少なくするためにさまざまな取り組みを行ってい
ます。茨木工場においては、VOC除害設備に関する適正運転
条件の検討を行うことにより、製剤工程時に発生するVOCを
80%以上の効率で削減しています。研究部門においては、実験
に使用するVOCをエバポレーターという装置を用いて回収して
いますが、回収率を向上させるための機能を付加することにより、
大気への排出を可能な限り低減させています。
さらに、人体に悪影響を与えるホルムアルデヒドに関しても、使
用する各事業場において、代替化の検討、除害設備の導入など
の対応を進めています。
36
繊維状活性炭
脱臭装置
湿式集塵機
重点課題
4.
省エネ、温室効果ガスの排出削減
当社では、CO2排出量の少ない新しいエネルギー技術の導入をはじめとして、あらゆる事業活動において、
省エネ、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。
省エネ、温室効果ガスの排出削減への取り組み
総合研究所 研究管理部
2006年度のエネルギー使用量に関しては、4工場、2研究所お
よび大阪総合センターの7事業所合計では、前年度に比べて
費量/床面積や生産評価高などの活動を表す数値)
について
エネルギー削減に有用な手段
ESCO事業をお奨めします
は2%改善しました。
私は、第一種エネルギー管理指定事業場で
また、2006年度のCO 2排出量に関しては、4工場、2研究所お
ある総合研究所のエネルギー管理士で、省
よび大阪総合センターの7事業所合計では、前年度に比べて
エネ法のエネルギー削減目標を達成するた
7%の増加となりましたが、CO 2 排出原単位(=CO 2 排出量/
めにはESCO事業の導入が必須と判断し、
床面積や生産評価高などの活動を表す数値)については3%
ISO事務局、関係諸氏の協力を得て、2004
改善しました。
年2月に導入しました。
8%の増加となりましたが、エネルギー原単位(=エネルギー消
当社では、
「2010年度のCO2排出量を1990年度レベル以下に
ポンプのインバータ化、
トイレ照明の人感セ
総合研究所
研究管理部
工務グループ
抑制する」
という目標を掲げています。この目標を達成するため
ンサー取り付け、ガス吸収式冷温水機の高
川東 幸雄
に、エネルギーの効率的な利用を図るとともに、CO 2排出量の
効率タイプへの更新などで、ESCO導入後、
導入した省エネルギー手法は、冷水・温水
少ない新しいエネルギー技術の導入に積極的に取り組んでお
3年間のエネルギー削減量は原油換算で1,415kL、CO2削減量
※
は1,628トンで、当社の省エネメリット
(試算額)
は、年平均約600
事業を利用した高効率の設備の導入などを積極的に行ってい
万円になっています。2006年には
(財)省エネルギーセンターか
ます。コージェネレーションシステムに関しては、すでに導入して
ら省エネルギー性や事業パフォーマンスに優れたESCO事業場
いる茨木工場に加えて、鈴鹿工場にも導入を予定しています。
として表彰されました。
ESCO事業に関しては、総合研究所が導入しており、2006年
ESCO事業はエネルギー削減に有用な手段であり、他の事業場
度は6.6%のエネルギー削減を達成しました。
においてもお奨めします。
り、工場、研究所では、コージェネレーションシステムやESCO
また、営業部門では、営業車両の低公害車(低排出ガス車)
か
つ低燃費車(平成22年度燃費基準達成車)化を推進しており、
物流部門では、物流の効率化を図るため、輸送業者に委託し
ている貨物輸送量と輸送距離をかけた合計輸送距離(トンキ
ロ)
を把握し、業者を巻き込んでの改善活動を進めています。
事務部門では、冷暖房温度管理の徹底(クールビズ、ウォーム
ビズでの勤務奨励)
、昼休みの消灯の徹底などの実施によっ
て消費電力削減に努めています。また、両面コピーの促進、コ
ピー用紙の再使用によるOA用紙使用量の削減やエコ商品の
積極的な購入による省資源化の推進を実践しています。
ここ数年の事業活動の拡大に伴い、エネルギー使用量および
CO2排出量は増加しておりますが、全ての事業所、従業員の取
り組みにより、エネルギー原単位およびCO2排出原単位はとも
ESCO事業全体図
に改善しており、今後もさらなる改善を目指して活動を進めてい
きます。
※ESCO(Energy Service COmpanyの略)
:省エネルギー改善に必要な技術・
設備・資産などの提供を行う包括的なサービス
37
中期環境計画
重点課題
5.
廃棄物の削減
当社では、ゼロエミッションの達成に向けて、3Rの推進(各事業所でのムダやロスの低減・繰り返し使用・遊休
品の有効活用・廃棄物の可能な限りの分別による再資源としての利用)
に積極的に取り組んでいます。
ゼロエミッションへの取り組み
愛媛工場 業務管理グループ
2006年度は、全社(集計できない一部支店・営業所を除く)
で
7,982トンの廃棄物が発生し、2005年度に比べて1,491トン削
廃棄物の発生量を削減することができたことによります。このう
愛媛工場で
ゼロエミッション達成
ち、1990年度のデータがある事業所(4工場、2研究所、大阪総
2005年度の廃棄物発生量は48.6トンで、そ
合センターの7事業所)
での発生量は7,759トンであり、2005年
の再資源化率は98.5%でした。わずかにゼ
度に比べて1,400トン削減することができました。また、全社の
ロエミッション
(当社のゼロエミッション基準
廃棄物発生量7,982トンのうち、6,689トンがリサイクルされ、138
は全廃棄物量に対する最終処分量の比率
トンが最終処分(埋立処分)
されました。このうち、上記7事業所
が1%未満)
は達成できませんでしたが、逆に
での最終処分量は118トンであり、2005年度に比べて7トン削減
ゼロエミッション達成がもうそこまで来てい
することができました。
るという自信があふれてきました。
減することができました。これは、全12事業所のうち、8事業所で
そこでゼロエミッションの障害になっていたビ
愛媛工場
業務管理グループ
飯尾 博史
当社では、各事業所がそれぞれの特性を考慮した形で廃棄物の
ン、ガラス類の100%リサイクルに向けての取
削減に取り組んでいます。本社、工場、研究所をはじめとする各
り組みを開始しました。試薬ガロンビンのリサイクルがメーカーの
事業所においては、紙類に関する分別回収箱を設置しリサイク
協力により一部可能になっていましたが、ガラス・ビンの廃棄物の
ル率の向上に努めています。愛媛工場では、あらゆる廃棄物に
全量からみるとわずかな量でした。
ついて徹底した分別廃棄を実践しています。鈴鹿工場では、分
そのため、年間約1∼3トン排出されるガラス・ビンのリサイクルにつ
別回収したPTPシート
(包装材)
の端材をP-タイルという床材にリ
いて廃棄物協会から紹介していただいた四国内のガラス・ビンの
サイクルしています。このような取り組みを行うことによって、着実
処理委託会社4社と交渉しましたが、飲料ビン以外は無理と断られ
に廃棄物量の削減を進めています。
てばかりでした。再度地元の新居浜の飲料ビンのリサイクル処理
会社に相談した結果、2006年の7月より洗浄をきちんとすることを
さらに、当社では、最終処分量を産業廃棄物発生量の1%未満
条件に全てのガラス・ビンのリサイクル処理を引き受けてくれること
にすることをゼロエミッションと設定し、廃棄物発生量の多い事
になりました。当初は飲料ビンと試薬ビンとそれ以外のガラス類の
業所を中心にゼロエミッションに向けた活動に取り組んでいま
3つに分別する必要がありましたが、今年度よりその分別について
す。2006年度は、愛媛工場でゼロエミッションの達成に成功し
も先方で行ってくれることになり、保管スペースや労力面でかなり
ました。これにより、当社としては3つの事業所でゼロエミッショ
楽になりました。
ンが達成できたことになります。さらに、本年度は、茨木工場が
こうした廃棄物処理会社の方々の協力を得て2006度ゼロエミッ
ゼロエミッションに挑戦します。
ションを達成することができたわけです。
なお、1990年度のデータがある事業所(4工場、2研究所、大阪
また、ガラス・ビンのリサイクルによってできる製品を当工場で購入
総合センターの7事業所)
における最終処分量は1990年度比で
して緑地にちりばめていますが、
26%となっており、2008年度までに20%まで削減するという目標
雑草の発芽防止効果は抜群で
に対してもう一歩という状況です。今後も、この目標の達成に向
す。個人でも購入できますので
かって、3Rの推進(各事業所でのムダやロスの低減;繰り返し
興味がある方はご連絡ください。
使用、遊休品の有効活用;廃棄物の可能な限りの分別による再
ガラスビンのリサイクル商品
人が踏むとジャリジャリと音が
するため防犯効果もあります。
資源としての活用)
に努めていきます。
〈今後の取り組み〉
今後はゼロエミッションの継続を目標に廃棄物の分別を強化し、サーマル
リサイクルからマテリアルリサイクルのシフトを推進するとともに、廃棄物全
体の排出量の低減に数値目標を決めて取り組んでいきたいと思います。
特に紙くず類の分別に注視し、できるかぎり古紙類で回収し再生紙へ
のリサイクル化率のアップを目指しています。
何気なくゴミ箱に捨てている伝言メモや封筒類もセロファンを剥がせば
きちんと再生紙に利用できます。
38
重点課題
8.
環境教育の充実
当社では、従業員が環境に対する意識をしっかりと持ち、広く社内外において環境保全活動を自主的に実践して
いけるように、さまざまな形で環境教育を行っています。
環境教育の充実
当社では、従業員が広く社内外において環境保全活動を自主的
に実践していけるよう、さまざまな形で環境教育を行っています。
まず、社内LAN「環境瓦版」
を通して、環境管理運用細則、環境
委員会や環境管理責任者会議の資料・議事録の開示、各事業
場の環境保全活動の取り組み、環境問題の最新情報などに関
する掲示を行うことにより、全従業員の環境に関する情報の共
有化、環境に対する意識のレベルアップ、実践的活動の際に役
立つ水平展開を図っています。
全社的な環境教育の一環としては、環境問題に関する基礎と当
社の環境保全活動の概要の2編からなる環境意識教育を、本年
4月から6月にかけて、e-ラーニングを用いて全従業員に対して実
施しました。
社内LANに掲示されている
「環境瓦版」
また、階層別教育としては、
「地球環境問題とその対応について」
をテーマにした環境教育を新入MR社員に対して実施しました。
本年度は、4月に全新入社員に対して、深刻化する地球環境問題
と当社の環境保全活動をテーマにした環境教育を実施しました。
その他、環境意識啓発教育として、中堅社員を対象とした環境
教育(茨木工場)
、営業社員への環境教育(4支店)
、各営業支
店業務担当者を対象にした環境教育を実施しました。
各事業所においては、こうした教育に加えて、環境ISO教育、環
境マネジメントシステム教育、環境側面・環境影響教育、環境ビ
デオの上映会、環境パトロール、夏場の冷房温度管理、クール
ビズの推進、工場内放送による啓発活動、緊急事態対応訓練
など、事業所それぞれの特性に応じた環境教育やイベントを計
画・実施し、従業員の環境意識向上を図っています。
環境e-ラーニング 学習用画面
また、6月の環境月間中には、省エネに関するポスターの啓示や
エコ川柳の募集、環境フォトコンテストなどのイベントを開催する
ことにより、従業員の環境意識啓発を図っています。
環境意識啓発研修
39
環境パフォーマンスデータ
エネルギー使用実績
CO 2 排出量実績
エネルギー使用量(kl/年:原油換算)
CO2排出量(t/年)
事業場
2005年度
2006年度
事業場
2005年度
2006年度
鈴鹿工場
8,005
8,158
鈴鹿工場
13,211
13,444
茨木工場
7,411
7,853
茨木工場
13,441
14,155
愛媛工場
3,298
3,960
愛媛工場
5,772
7,006
大分工場
6,654
7,120
大分工場
12,881
13,458
総合研究所
5,665
5,310
総合研究所
9,660
8,985
大阪研究所
6,522
8,132
大阪研究所
10,956
13,732
大阪総合センター
1,074
1,107
大阪総合センター
1,618
1,658
合 計
38,629
41,638
合 計
67,538
72,437
■ エネルギー使用量の推移
■ CO2排出量の推移
(千kl/年)
(千t/年)
50
80
40
エ
ネ
ル
ギ
ー
使
用
量
(238)
(221)
(209)
70
50
CO2
排
出
量
30
20
(196)
60
(100)
(228)
(213)
40
(100)
30
20
10
10
0
1990
2004
2005
2006
0
年度
1990
2004
2005
( )
は対1990年度比
2006
廃棄物処理実績
2005年度(t/年)
事業場
発生量
最終処分量
発生量
リサイクル量
最終処分量
鈴鹿工場
820
389
28
683
419
34
茨木工場
700
411
37
636
382
13
愛媛工場
49
48
1
40
40
0
大分工場
6,754
6,682
4
5,442
5,331
30
総合研究所
382
198
15
317
167
12
大阪研究所
286
61
10
484
185
15
大阪総合センター
181
26
22
158
46
15
9,171
7,815
117
7,759
6,569
118
合 計
■ 最終処分量とリサイクルの推移
7,815
100
457
120 最
6,881
6,569
29
134
1990
終
処
100 分
量
1
9
60 9
0
40 年
度
20 比
率
80
443
100
0
その他
0.4%
(%)
9,000
最 8,000
終
処 7,000
分 6,000
量
と
500
リ
400
サ
イ
300
ク
ル
200
量
■ 廃棄物発生の内訳
最終処分量
リサイクル量
最終処分量1990年度比率
(t/年)
40
2006年度(t/年)
リサイクル量
2004
26
117
2005
26
118
2006
年度
0
年度
( )
は対1990年度比
ガラス・陶磁器屑
0.5%
事務系一般廃棄物
9.6%
汚泥
7.1%
金属屑
3.4%
廃プラスチック
3.8%
廃酸・アルカリ
36.0%
廃油
39.2%
化学物質の取り扱い
〈PRTR 2006年度実績〉事業所で1t以上取り扱っているものを集計
(t/年:但しダイオキシン類のみmg-TEQ/年)
排 出 量
第1種指定
化学物質番号
名 称
取扱量
土壌
公共用水域
廃棄物含有 公共下水道
12
アセトニトリル
187.2
0.1
187.0
15
アニリン
74.9
0.0
74.9
22
アリルアルコール
29.5
0.0
6.4
43
エチレングリコール
1.6
93
クロロベンゼン
95
クロロホルム
116
1,2-ジクロロエタン
145
ジクロロメタン
172
N,N-ジメチルホルムアミド
203.0
0.0
28.3
7.9
8.5
0.9
443.4
17.6
15.9
0.0
15.8
611.7
0.3
574.9
7.6
350.1
0.0
ヒドラジン
3.5
3.0
266
フェノール
1.4
1.4
309
ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル
1.0
1.0
179
ダイオキシン類
0.001
〈1,2-ジクロロエタンの大気排出〉
■ クロロホルム大気排出量の推移
19.6
17.6
17.1
15
12.0
10
5
2003
2004
2005
2006 年度
大
気
排
出
量
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
0.2
0
■ 1,2-ジクロロエタン大気排出量の推移
(t/年)
20
0
0.092
〈クロロホルムの大気排出〉
25
0.6
20.4
253
(t/年)
23.1
202.4
0.0
トルエン
■ ジクロロメタン大気排出量の推移
他事業者
排水処理
1.6
227
〈ジクロロメタンの大気排出〉
大
気
排
出
量
大気
移 動 量
敷地内
埋立処分
(t/年)
8
8.8
大
気
排
出
量
6.4
5.2
7.2
7
7.9
6
5
4
3.1
3
2.9
2
0.9
1
2003
〈SOx、NOx、
ばいじん〉
2004
2005
0
2006 年度
2003
2004
2005
2006 年度
〈COD、窒素、燐(公共用水域、下水道への排水を集計)〉
(t/年)
(t/年)
2005年度
2006年度
2005年度
2006年度
SOx
0.11
0.12
COD
12.46
14.27
NOx
7.80
10.76
窒素
4.55
5.94
ばいじん
0.66
0.70
燐
0.34
0.43
使用機器台数
冷媒封入量(t)
〈PCB保管状況〉
保管中のPCB含有機器台数
使用中のPCB含有機器台数
PCB数量(純分換算)
保管中のPCB低濃度汚染機器台数
〈特定フロン使用状況〉
2,567 台
308 台
CFC11
1
0.19
0.047 kl
CFC12
33
0.03
CFC13
3
0.0008
CFC115
6
0.09
40 台
41
環境会計
当社では、環境保全のための投資や費用を定量的に把握し、その投資効果や費用対効果を知るために、環境会
計の集計を実施しています。本年度の報告書では、2006年度実績について集計した結果を掲載しました。
対象期間・集計範囲
集計期間 :2006年4月1日∼2007年3月31日
集計範囲 :全社
集計方法 :環境省「環境会計ガイドライン2005年版」を参考に集計
〈経済効果〉
〈環境保全コスト〉
(百万円)
環境保全コストの分類
投資額
費用額
72.0
747.8
②地球環境保全コスト
0
41.7
③資源循環コスト
0
385.0
①公害防止コスト
1)事業エリア内コスト
2)上・下流コスト
8.3
31.5
3)管理活動コスト
2.9
335.3
4)研究開発コスト
0
38.5
5)社会活動コスト
0
1.0
6)環境損傷対応コスト
0
0
7)
その他コスト
0
合 計
83.2
環境保全対策に伴う経済効果は、確実な根拠に基づいて算出される
経済効果のみを算定対象とし、仮定的な計算に基づく経済効果につ
いては算定対象外としています。
(百万円)
実施項目
経済効果
リサイクル活動による効果
0
省資源による効果
5.3
102.2
省エネルギーによる効果
107.5
合 計
4.6
1,585.4
主な投資案件
鈴 鹿 工 場 :溶剤吸着回収装置活性炭エレメント交換
茨 木 工 場 :湿式集塵機の粉取り強化対策
大 分 工 場 :ジクロロメタン回収装置Ⅱ期工事
総合研究所 :西棟防音工事
12.5百万円
11.2百万円
15.7百万円
20.0百万円
〈環境保全効果〉
環境パフォーマンス指標に基づく環境負荷量を集計し、前年度との単純比較で環境保全効果を表しました。
効果の内容
事業活動に投入する資源に関する効果
分 類
エネルギー投入量
環境負荷増減量
975
9,795
※2
化石燃料[kl]
697
21,191
-126
1,456
4,982
81,224
水の投入量[千t]
※3
CO2排出量[t-CO2]
事業活動から排出する環境負荷および
廃棄物に関する効果
塩素系有機化学物質大気排出量[t]
-4.8
26.2
PRTR対象物質の排出量[t]
-6.1
26.9
SOx排出量[t]
0
NOx排出量[t]
3.0
ばいじん排出量[t]
0
総排水量[千t]
-132
COD負荷量[t]
(公共用水域、下水道)
1.8
廃棄物最終処分量[t]※4
1
※1 2006年度から新たに把握した支店・営業所の使用電力量481万kWh含む
※2 原油換算値(ガソリン含む) 2005年度の化石燃料投入量訂正(誤 18,218kl → 正 20,494kl )
※3 2006年度から新たに把握した支店・営業所からの排出量1,739t含む
※4 2005年度の廃棄物最終処分量訂正(誤 129t→ 正 137t)
42
2006年度環境負荷量
※1
電力[万kWh]
0.1
10.8
0.7
1,335
14.3
138
コンテスト
ト
ォ
フ
境
環
エコ川柳・
優秀作品
環境月間行事の一環として、当社・関係会社の従業員(家族含む)を
対象に“環境 ”をテーマとした「川柳」と「写真作品」の募集を行いま
した。本報告書では応募作品の中の優秀作品をご紹介いたします。
北極の
氷を返せと
熊が言い
エコ川柳
バイオ燃料
焼酎値上げは
おれこまる
湊 久夫
外断熱
うちは断絶
2度下がる
大西 徹
頭皮まで
したくないのに
クールビズ
河合 勉
大野 浩二
夕ご飯
省エネ考え
サラダだけ?
!
大橋 淳子
環境フォトコンテスト
「キリマンジャロ氷河」 栗山 輝明
編
集
後
記
「Sanctuary」 米田 寿恵
アフリカの山で小さくなっていく氷河を直接目にして、地球規模で起
海の中の美しい景観も、私達の普段の行動次第で守っていくこと
こっている温暖化を改めて感じさせられました。
も壊すこともできます。このことを意識して行動しようと感じました。
「日本最後の楽園」 岡部 守隆
「ほらほらそんなところで遊んでいないで!」 植西 祐子
日本にもまだこんなにきれいな海が存在します。このきれいな海を50
象の群れが前を過ぎる。
しばらく経って、子供の象がじゃれながら、
その
年後のこどもたちに残していくことができるのでしょうか?
後を追う。そんなところで遊んでいないで、置いてきぼりをくらっちゃうゾウ!
当社「CSR報告書2007」をお読みいただきありがとうございました。
本年度スタートした中期経営計画においてCSR中期方針を策定しました。
今回の報告書は名称を「CSR報告書」とし、本方針の考え方に基づいて、
これまでの取り組みをCSRのテーマや要素ごとに整理してご報告しました。
そして、
これからの3年間はこの方針に基づいてCSR活動を実践し、
その
実施状況をご報告したいと考えています。引き続きご理解とご支援をよろ
しくお願いいたします。
大日本住友製薬「CSR報告書2007」
発行部署 :大日本住友製薬株式会社 環境CSR推進部
〒541-0045
大阪市中央区道修町2丁目6番8号
TEL.
06-6203-5380
FAX.
06-6203-5174
発 行 日 :2007年9月
43