平成 年度事業報告書・平成 20 年度事業計画書 21 平 成20年 度 事 業 報 告 書 平 成21年 度 事 業 計 画 書 平成 年 21 月 6 社団法人 スポーツ健康産業団体連合会 平 成 21 年 6 月 社団法人 スポーツ健康産業団体連合会 目 次 概 要 ·································································· 1 1.役員名簿 ·························································· 2 2.組織図 ···························································· 4 3.部会活動 ·························································· 5 平成 20 年度事業報告 活動概要 ······························································ 9 1.地域スポーツ振興部会··············································· 10 2.広報宣伝・調査部会················································· 12 3.事業委員会 ························································ 17 4.その他の事業 ······················································ 22 (1)生涯スポーツコンベンション 2009··································· 22 (2)後援事業 ························································ 24 5.日本スポーツ産業学会平成 20 年度活動報告···························· 26 6.理事会・総会報告··················································· 30 平成 21 年度事業計画 活動指針 ······························································ 37 主催行事日程表 ························································ 38 1.平成 21 年度各部会の事業計画········································ 39 (1)事業部会 ························································ 39 (2)イベント推進部会················································· 39 (3)総務・財務部会··················································· 39 (4)地域スポーツ振興部会············································· 39 (5)戦略・開発部会··················································· 39 (6)会員増強対策部会················································· 40 (7)広報宣伝・調査部会··············································· 40 2.その他の事業 ······················································ 40 (1)アドバイザリースタッフ··········································· 40 (2)生涯スポーツコンベンション 2010··································· 40 (3)生活構造改革フォーラム(サマータイム)事業への支援 ··············· 40 (4)日本スポーツ産業学会············································· 40 参考資料 1.平成 20 年度シンポジウム及び情報交換会 講演内容···················· 43 第 1 回シンポジウム··············································· 43 第 1 回情報交換会················································· 72 第 2 回シンポジウム··············································· 93 2.調査研究報告書要覧················································ 119 会員名簿 ······························································· 127 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 概要 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 概 名 称 (英文名) 要 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 JAPAN SPORTS HEALTH INDUSTRIES FEDERATION 〔略称:JSHIF〕 代表者名 会長 所 東京都千代田区神田神保町 3 丁目 6 番地 在 地 電話 設立年月日 趣旨と目的 斎藤 敏一 能楽書林ビル 6 階 03-5276-0141 昭和 63 年 4 月 2 日 我が国経済社会は、余暇時間の増大、人口の高齢化、女性の社会進出、 サービス経済化、情報化の急速な進展等多様な変化をしつつあります。 こうした中にあって、国民の意識は、物的・量的な豊かさから文化的・ 精神的な豊かさを重視する方向へ変化し、ライフスタイルの多様化、健 康志向とも相俟って各種のスポーツ健康産業が「国民に期待される産 業」として叢生、発展しつつあります。 このように将来の発展が期待されるスポーツ健康産業ではあります が、経営上の諸課題、規制の緩和、税制金融上の問題等種々の課題の克 服、スポーツ健康産業の地位の向上と発展を図るため、スポーツ健康産 業に関連する団体及び企業が集結し、社団法人スポーツ健康産業団体連 合会を設立いたしました。 本連合会は、スポーツ健康産業に関する調査・研究、イベント等の推 進、情報の収集・提供等を通じ、スポーツ健康産業の振興を図り、もっ て豊かな国民生活の実現と我が国経済の発展に寄与することを目的と します。 事 業 1.スポーツ健康産業に関する調査・研究及び提言 2.スポーツ健康産業に関する各種イベントの開催及び協力 3.スポーツ健康産業に関する研究会、講演会等の開催 4.スポーツ健康産業に関する情報の収集及び提供 5.ニュースポーツに関する調査・研究及びスポーツイベントの後援 主務官庁 経済産業省 -1- 1.役 員 名 簿 (平成 21 年 6 月 12 日現在) 役員名 氏 名 勤務 団体・会社名 役 職 名誉副会長 水野正人 非常勤 ミズノ株式会社 代表取締役会長 名誉副会長 中野啓二郎 非常勤 株式会社イースタンスポーツ 代表取締役会長 会 長 斎藤敏一 非常勤 株式会社ルネサンス 代表取締役会長 副 会 長 岩井大輔 非常勤 株式会社エバニュー 代表取締役社長 副 会 長 池田朝彦 非常勤 社団法人日本ボウリング場協会 会長 副 会 長 林 有厚 非常勤 株式会社東京ドーム 代表取締役会長 専務理事 板垣勝男 常 勤 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 専務理事 理 事 秋山創一 非常勤 株式会社電通 執行役員 理 事 浅井光昭 非常勤 社団法人日本パブリックゴルフ場事業協会 会長 理 事 石橋栄司 非常勤 ぴあ株式会社 スポーツビジネス渉外担当 理 事 石原 悟 非常勤 社団法人日本フィットネス産業協会 理事 理 事 尾木 徹 非常勤 社団法人日本音楽事業者協会 会長 理 事 小澤壯六 非常勤 財団法人健康・体力づくり事業財団 理事長 理 事 川口 純 非常勤 アジアスポーツマーケティング株式会社 代表取締役社長 理 事 黒川光隆 非常勤 日本スポーツ芸術協会 理事長 理 事 小関和夫 非常勤 日本スポーツ用品協同組合連合会 理事長 理 事 雑賀 昇 非常勤 社団法人日本テニス事業協会 会長 理 事 佐伯年詩雄 非常勤 平成国際大学 教授 理 事 清水愼一 非常勤 株式会社ジェイティービー 常務取締役 理 事 勢能志彦 非常勤 セノー株式会社 代表取締役社長 理 事 高梨佑治 非常勤 社団法人日本ゴルフ場事業協会 専務理事 理 事 田中喜代次 非常勤 筑波大学 教授 理 事 民秋史也 非常勤 社団法人日本スポーツ用品工業協会 会長 理 事 丁野 朗 非常勤 社団法人日本観光協会 常務理事・総合研究所長 理 事 泊 三夫 非常勤 株式会社博報堂 常務執行役員 理 事 野川春夫 非常勤 順天堂大学 教授 理 事 原田宗彦 非常勤 早稲田大学 教授 理 事 日枝 久 非常勤 社団法人日本ゴルフトーナメント振興協会 理事長 理 事 平野哲行 非常勤 株式会社平野デザイン設計 代表取締役社長 理 事 廣内 非常勤 社団法人日本アパレル産業協会 理事長 武 -2- 役員名 氏 名 勤務 団体・会社名 役 職 理 事 三ッ谷洋子 非常勤 株式会社スポーツ 21 エンタープライズ 代表取締役 理 事 山崎芳人 非常勤 社団法人全国コンサートツアー事業者協会 会長 理 事 山本為信 非常勤 山本光学株式会社 代表取締役社長 理 事 米山 稔 非常勤 ヨネックス株式会社 名誉会長 理 事 和田清美 非常勤 株式会社アシックス 代表取締役会長 理 事 渡邊光康 非常勤 財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団 理事 監 事 岡野貫次 非常勤 株式会社朝日広告社 執行役員 監 事 小坂 非常勤 千葉・小坂会計事務所 税理士 勉 (敬称略・50 音順) 参 考(定款) (種類及び定数) 第 11 条 本会に、次の役員を置く。 (1)理事 35 人以上 40 人以内 (2)監事 2 人又は 3 人 2 理事のうち、1 人を会長、3 人を副会長、1 人を専務理事、1 人を常務理事とする。 -3- 図 織 2.組 会 総 理事会 会 長 副会長 部会長会議 専務理事 常務理事 広報宣伝・調査部会 会員増強対策部会 戦略・開発部会 地域スポーツ振興部会 総務・財務部会 イベント推進部会 事業部会 事務局業務 広報活動業務 情報活動業務 調査活動業務 IT化の推進業務 会員募集業務 当連合会の進むべき方向性の検討 新事業展開の検討 スポーツイベント企画業務 会務運営業務 会員管理業務 経理予算業務 補助金管理業務 見本市業務 シンポジウム開催業務 情報交換会開催業務 注)会員増強対策部会以外の部会長は、会員増強対策部会の委員とする。 -4- 3.部 会 活 動 本会は、スポーツ健康産業の振興育成を図るためにテーマごとに部会を設け、それぞれ の部会別に事業活動を展開。 事 業 部 会 魅力ある事業活動を目指し、会員相互の交流促進と連携強 化、会員の自己啓発を推進するためにシンポジウム及び情報 交換会の定期開催並びに地域・スポーツ振興賞の授賞事業を 担当。 イ ベ ン ト 推 進 部 会 スポーツ健康産業団体、主要関連企業及び関係者との交流 及びスポーツ健康産業の新たな見本市事業の企画・実施を担 当。 総 務 ・ 財 務 部 会 連合会運営のため、会務運営、会員管理、経理予算業務、 活動の充実・拡大と関係諸団体・機関との連携及び協調によ る補助金及び委託費の管理業務等を担当。 地域スポーツ振興部会 我が国におけるスポーツ健康産業の健全なる振興・発展に 寄与するため、市民生涯スポーツ大祭の企画・実施を担当。 戦 略 ・ 開 発 部 会 連合会の事業の方向付けをすることを活動の基本とする。 連合会がこれまで行ってきた「スポーツジャパン」に代わる 新事業の検討内容を再度洗い直し、中長期的に検討する事業 及び短期的に実施可能な事業を整理する。 会 員 増 強 対 策 部 会 新規の正会員・特別会員・賛助会員を入会させ、会員数を 増やし、連合会の財政基盤を健全にする。 広報宣伝・調査部会 スポーツ健康産業に係わる情報の収集と産業振興のための 情報発信、関係諸機関・マスコミ等への提言、広報宣伝活動、 調査研究活動の推進を担当。(機関誌「JSHIF」の発行) -5- ○部会構成メンバー 事 業 部 (定款第 7 章補則第 40 条(委員会)) 会 イ ベ ン ト 推 進 部 会 総 務 ・ 財 務 部 会 地域スポーツ振興部会 戦 略 ・ 開 発 部 会 (新)部会長 丁野 朗 (新)委 加藤 誠 員 (新) 〃 高口徹生 (新) 〃 高﨑尚樹 (新) 〃 高梨佑治 (新) 〃 中里則彦 (新) 〃 中嶋康博 (新) 〃 野川春夫 (新) 〃 原田宗彦 部会長 岩井大輔 委 小関和夫 員 〃 民秋史也 〃 山本為信 〃 米山 稔 部会長 雑賀 昇 委 員 浅井光昭 部会長 三ッ谷洋子 委 尾木 員 徹 部会長 黒川光隆 委 川口 員 純 〃 佐伯年詩雄 〃 清水愼一 〃 泊 〃 平野哲行 〃 渡邊光康 -6- 三夫 会 員 増 強 対 策 部 会 部会長 石原 委 秋山創一 員 悟 〃 勢能志彦 (新) 〃 日枝 久 (新) 〃 廣内 武 〃 和田清美 部会長 池田朝彦 広報宣伝・調査部会 (新)委 員 石橋栄司 (新) 〃 小澤壯六 (新) 〃 田中喜代次 (新) 〃 山崎芳人 注)会員増強対策部会以外の部会長は、会員増強対策部会の委員とする。 -7- 平成 20 年度事業報告 活 動 概 要 (平成 20 年 4 月 1 日 ~ 平成 21 年 3 月 31 日) 平成 20 年度は、北京オリンピックにおいて、平泳ぎ男子、レスリング女子、柔道男 子、柔道女子、女子ソフトボール等で日本選手が大活躍した年でした。選手は熱い声 援を背景に一所懸命に戦いましたが、残念ながらメダルの獲得数は前回のアテネには 及びませんでした。更に年が明けて開催されたワールド・ベースボール・クラシック (WBC)においては、侍ジャパンは強敵キューバ、USA を退け、宿敵韓国と 5 度戦い、 3 勝 2 敗の戦績で韓国を制して 2006 年の第 1 回大会に続いて連続優勝を果たしました。 日本野球のレベルの高さを世界に示し、日本のスポーツファンを沸かせました。オリ ンピックや WBC に向けた国民のこの熱い視線をスポーツ人口の拡大に繋ぎたいと思い ます。また、ゴルフ、テニスを始めスポーツ界に新しいスターが生まれました。若い 選手の活躍から将来のスーパースターの誕生が予感されます。健康産業ではメタボリ ックシンドローム(内臓脂肪症候群)の改善を促す特定健診・特定保健指導が始まっ て 1 年、フィットネスクラブ等の運動施設では食生活改善や運動を指導するプログラ ムを浸透させているところです。3 月に行われた東京マラソンを始め、各地域でラン ニングやウォーキングの催しものが活況を呈しております。まさしく楽しんで運動を することこそが健康につながる最良の道と考えております。平成 21 年度は、2016 年 の東京オリンピック招致の実現に向けた動きが本格化すると思われます。 平成 20 年度の日本経済は、前半は原油価格の高騰によりガソリン、小麦等の諸物価 が上りましたが、後半は一転、米国のサブプライムローンの焦げ付きに端を発して米 国証券大手のリーマンブラザーズが破綻したことにより、100 年に 1 度と言われる金 融危機が発生しました。原油価格は下落に転じ、円高が伸長、平均株価は一時 7,000 円を割る事態が生じました。日本を始めとして世界の主要国は、金融危機と未曾有の 不況に対して大がかかりな対策を講じつつあります。日本政府は景気回復と雇用確保 のために新年度予算を成立させ、各種施策を導入しております。1 日も早い景気の回 復と雇用の安定を願うところです。 本連合会は、平成 20 年度は“スポーツは地域の未来を拓く”をテーマとする 2 度の シンポジウムと、“楽しくなけりゃ、スポーツじゃない!”をテーマに情報交換会を 開催したところ多数のご参加をいただきました。7 月に開催した第 1 回のシンポジウ ムでは、「スポーツ健康宣言」を発表しました。目標に掲げた事項は、①スポーツ健 康産業の振興を通じたスポーツ人口の拡大、②国民とスポーツ健康産業界の橋渡し、 ③スポーツ健康産業の地位の向上と発展です。3 月の第 2 回のシンポジウムでは第 1 回地域・スポーツ振興賞を授与いたしました。本賞は、スポーツ健康産業振興の一環 として、スポーツを通じて地域振興に貢献したと認められる団体・グループ等を顕彰 するもので、全国から応募のあった 38 件の中から最優秀賞 1 点、優秀賞 2 点、佳作 6 点を選考し表彰しました。また、例年実施している市民生涯スポーツ大祭は、10 月に 静岡市で「とびっきり!あさひテレビ祭り」と同時に開催し、多数の市民に参加して いただき、成功裏に終了しました。更に、スポーツ人口の一層の拡大とスポーツ健康 産業の活性化を図る上での検討資料とするべく、経済産業省からの受託事業として「現 代のスポーツ健康産業の新たな課題とその対応策に関する調査研究」を実施しました。 いずれの事業も年度初期の目標を達成することができました。これもひとえに会員 各位並びに関係各位のご支援、ご協力の賜と厚く御礼申し上げます。 -9- 1.地域スポーツ振興部会 市民生涯スポーツ大祭の開催事業 平成 20 年度財団法人 JKA 補助事業「競輪・公益枠」 名 称:とびっきり!あさひテレビ祭り/2008 スポーツ&レジャーフェスティバル 目 的: スポーツ意識の浸透と高揚を図ることをテーマに、高齢者や障害者を含 めた「生涯スポーツ」をテーマの基本に据えて、スポーツ産業の育成・発 展を図ることを目的として実施した。 今回実施した様々なスポーツレクリエーションは、多くの人がスポーツ に親しむための選択肢を広げ、生涯スポーツの振興と地域スポーツ産業の 育成・発展を図るという事業目的を充分果たせた。 内 容: 「とびっきり!あさひテレビ祭り/2008 スポーツ&レジャーフェスティ バル」は、平成 20 年 10 月 11 日(土) ・12 日(日)の 2 日間にわたり、静 岡市葵スクウェア、青葉シンボルロード、常磐公園で開催されました。 今回は昨年の佐賀から静岡に場所を変えての開催となりましたが、期間 中は概ね天候に恵まれ、大変多くの方々にご来場いただき、成功裏に終わ ることができました。とびっきり!あさひテレビ祭りとスポーツ&レ ジャーフェスティバルの 2 日間の延べ来場者は、10 万人を超えました。皆 さんは朝早くから会場へ足をはこばれ、一日中楽しまれたことと思います。 また、静岡朝日テレビ主催の「とびっきり!あさひテレビ祭り」との共 催ということもあり、10 月 11 日(土)には午前と午後に生中継番組が放 映され、イベントの盛り上げに大変効果を及ぼしました。 青葉シンボルロードでは、キッズじゅうどう、ハイストライカー、9 フー プス、ゴルフターゲット、バンジーランなど様々なイベントが行われまし た。常磐公園では、おもしろ自転車やサッカー教室を実施しました。 キッズじゅうどうでは、日本女子柔道倶楽部さんのご協力により、幼稚 園児から小学 3 年生くらいまでの子供たちにかわいい柔道着を着てもらい、 挨拶や技のかけ方の指導が行われました。講師はバルセロナ五輪銀メダリ ストの溝口紀子さん、平成 7 年世界柔道選手権大会代表の石橋千里さんを はじめ、静岡文化芸術大学の柔道部の方々にお世話になりました。 サッカー教室では、元日本代表の安永聡太郎さんを講師に迎え、幼稚園 児から小学生までの幅広い世代の子供たちに、ボールに慣れ親しむことか ら始め、ボール遊びを通じてサッカーの楽しさを指導していただきました。 全てのイベントにお年寄りから子供までご参加いただき、まさにスポー ツ&レジャーフェスティバルの考えにふさわしいイベントとして充実し た 2 日間でした。 -10- 実施概要 名 称:とびっきり!あさひテレビ祭り 2008 スポーツ&レジャーフェスティバル 主 旨:生涯スポーツ・レジャーを通して静岡県民の心と健康づくりを図ると共 に、「ふるさとしずおか」への郷土愛を育むことを目的として開催する。 子どもからお年寄りまで幅広い県民の参加を得て、スポーツ・レジャー に親しむ機会と継続的なスポーツ・レジャー活動へのきっかけを提供し、 生涯スポーツの振興を図るとともに、地域スポーツ産業の育成、発展を 図るものとする。 日 程:平成 20 年 10 月 11 日(土)・12 日(日) 会 場:静岡市葵スクウェア、青葉シンボルロード、常磐公園 主 催:とびっきり!あさひテレビ祭り ※両日 /スポーツ&レジャーフェスティバル実行委員会 後 援:経済産業省、文部科学省 協 力:㈱静岡朝日テレビ、日本女子柔道倶楽部他 期間中の観客動員 イベント 会 場 開会式 常磐公園 サッカー教室 常磐公園・葵スクエア ヘディングスーパーゴール 常磐公園・葵スクエア キッズじゅうどう 青葉シンボルロード おもしろ自転車体験 常磐公園・青葉シンボルロード ハイストライカー 青葉シンボルロード バンジーラン 青葉シンボルロード ゴルフターゲット 青葉シンボルロード 9 フープス 青葉シンボルロード 11 日(土) 500 1,000 800 1,000 1,600 1,550 1,200 1,500 1,100 10,250 参加延べ人数・・・・ -11- 12 日(日) 1,350 900 1,800 1,700 1,400 1,600 1,300 10,050 20,300 人 2.広報宣伝・調査部会 (1)現代のスポーツ健康産業の新たな課題とその対応策に関する調査研究(平成 20 年 度サービス産業生産性向上支援調査事業) 事業総額 7,844,770 円 自己負担額 委託金額 0円 7,844,770 円 〈調査研究委員会〉 スポ団連の事務局内にスポーツ界の有識者、スポーツ業界関係者、ゲーム業界関係者 から成る「調査研究委員会」を開催し、「ゲーム」と「スポーツ」の商品における共通 点や相違点、両市場の現状やスポーツ健康産業の今後の方向性、課題等について検討し た。 〈調査研究委員会メンバー〉 ≪委員長≫ 北村 薫 (敬称略) 順天堂大学スポーツ健康科学部 教授 ○スポーツ社会学に関する学術研究者として ≪委 員≫ 犬飼博士 日本 e スポーツ協会設立準備委員会 e スポーツプロデューサー ○ゲームに関する実践専門家として 古川雅一 京都大学経済研究所 研究員 ○健康・スポーツに関する研究者として 古屋武範 株式会社クラブビジネスジャパン 代表取締役 ○フィットネスクラブ業界の代表として 柳田尚也 財団法人社会経済生産性本部余暇創研レジャー白書担当 ○余暇・レジャーに関する研究者として 池田朝彦 社団法人日本ボウリング場協会 会長 ○ボウリング場業界の代表として 雑賀 昇 社団法人日本テニス事業協会 会長 ○テニスクラブ業界の代表として 横山雅也 社団法人全日本ゴルフ練習場連盟 ○ゴルフ練習場業界の代表として -12- 専務理事 〈報告書の概要〉 1.「ゲーム産業」が示唆した新たなスポーツ健康市場 近年、自宅で家庭用ゲーム「Wii Sports」、「Wii Fit」等で健康維持・増進の ために日常的に運動に取り組むライフスタイルが注目されている。また、手軽にス ポーツを楽しめる独自のプログラムを提供しているボウリング場「ラウンドワン」 が、家族連れや若者に人気を得ている。 これまでのスポーツ健康産業は、主にスポーツやフィットネスの技術向上を目指 す消費者を対象に商品やサービスを提供してきたが、初心者や子ども、スポーツは 苦手だが楽しみたいという層に対しては、ほとんど対応してこなかった。この層に 向けて、スポーツやフィットネスを手軽に楽しめるように開発した商品が「Wii」 や「ラウンドワン」が提供しているスポーツ系プログラムである。 そこで本調査では、スポーツ健康産業が商品のコンセプトの核としている「ス ポーツ」の本質と今日的意味を改めて問い直し、「Wii」に代表される「スポーツ 体感型ゲーム」(以下「ゲーム」とする。)等が、消費者のライフスタイルに浸透し ている現状や、それらの商品開発の視点やポイントを明らかにし、スポーツ健康産 業がこれから目指すべき方向性を探った。 具体的には、「ゲーム」と「スポーツ」の両方の側面から、アンケートによる消 費者ニーズ調査、ヒアリングによる関連企業調査、文献調査等を行うとともに、ス ポーツ界の有識者、スポーツ健康業界関係者、ゲーム業界関係者からなる「調査研 究委員会」を設置し、「ゲーム」をヒントにした今後のスポーツ健康市場の可能性 や課題等について検討した。 特に消費者ニーズ調査では、「ゲーム愛好者」のライフスタイル、「ゲーム」や 「スポーツ」の体験の有無や考え方等を詳細に調査し、民間スポーツ施設を利用し ている「スポーツ愛好者」と比較した結果、次のようなことが明らかになった。 図1 「ゲーム」実施頻度別の「スポーツ」実施状況(%) 90 80 73.5 70 78.1 74.4 71.4 66.2 63.7 57.3 60 50 行なっ た 42.7 36.3 40 33.8 28.6 26.5 30 25.6 21.9 20 10 -13- 上 以 4回 週 週 2 、3 回 1回 週 3回 以 下 者 月 実 施 非 止 者 停 継 続 者 0 行なわなかっ た 「ゲーム好き」は「スポーツ好き」 「ゲーム」の実施頻度とスポーツ実施の相関性を見ると、継続的に楽しんでいる人 の4人に3人が、過去 1 年の間にスポーツを実施しており、 「ゲーム」の実施頻度が低 くなるにつれて、「スポーツ」実施率も低くなっている。 「ゲーム」と「スポーツ」に期待する“効果ベスト3” 「ゲーム継続者」が「ゲーム」と「スポーツ」に期待する“効果ベスト3”は「ス トレス解消・気分転換」「健康や美容への効果」「身体の快適さ・爽快感」の3つで、 全く同じである。 図2 「ゲーム継続者」と「スポーツ愛好者」が「スポーツ」に期待する効果(%) 好きだから 12.2 5.4 2.4 興奮・刺激の獲得 6.8 18.2 14.9 技能・記録の向上 7.7 挑戦・目的達成 18.7 スポーツに期待 ゲームに期待 19.7 19.5 癒し・疲れをとる 11.3 楽しいから 20.2 快適さ・爽快感 46.7 健康・美容効果 54.4 52.9 62.8 62.3 66.1 ストレス解消 0 10 20 30 40 50 60 70 この他、次のような特徴があげられる。 ・過去に「ゲーム」を経験した人が楽しみたいのは、「ゲーム」より「スポーツ」。 ・お金がかかる「スポーツ」の代わりに、安く済む「ゲーム」で楽しんでいる。 ・主に仲間と楽しむ「スポーツ」に対して、「ゲーム」は仲間や家族と一緒にや るだけでなく、1 人でも楽しめる。 ・「ゲーム」も「スポーツ」も、記録や成績を競い合うことでより楽しめる。 ・「ゲーム」は、「スポーツ」で求められる場所や時間といった物理的条件や、 技術習得の裏付けとなる身体的条件などの“スポーツの敷居”を低くした。 ・「ゲーム」は、「スポーツを楽しむきっかけ」「スポーツのイメージトレーニ ング」「スポーツを始めるきっかけ」等の役割を果たす“スポーツの水先案内 人”である。 ・「家庭用フィットネス機器」はスポーツ活動を補完する機能を持っている。 ・IT 時代のライフスタイルは「ゲームかスポーツか」のどちらかを選択するの ではなく、「ゲームもスポーツ」も自由に楽しむ。 ・スポーツ健康産業の関係者は、「ゲーム」を活用してスポーツに誘導する商品 開発が必要であると考えている。 -14- 図3 「ゲーム愛好者」は「スポーツ愛好者」でもある スポーツ愛好者 ゲーム愛好者 2.「カジュアルスポーツ」の確立に向けて スポーツ健康産業はこれまで、「より速く・より高く・より強く」という姿勢で スポーツに取り組む「競技指向」の消費者を主な対象として、商品やサービスを開 発・提供してきた。しかし、消費者は「競技指向」だけでなく、「遊び指向」「健 康指向」というスポーツの基本的なニーズを持っている。 言い換えれば、「もっと楽しく」「もっと気軽に」「もっと簡単に」「もっと健 康的に」というニーズであり、それに応えたのが、「Wii Sports」や「Wii Fit」 等の“スポーツ化したゲーム”である。 ゲーム業界に“スポーツ化したゲーム”が登場する一方、スポーツ健康産業でも 新たな商品として“ゲーム化したスポーツ”が人気を集めている。少人数で遊べる フットサルや 3 オン 3、オートテニス等、気軽にスポーツが楽しめる「ラウンドワ ン」(大阪府堺市)は、全国に施設を展開し業績を伸ばしている。 このように、ゲーム産業から“スポーツ化したゲーム”、スポーツ健康産業から “ゲーム化したスポーツ”が送り出されている新たなスポーツの領域を、「カジュ アルスポーツ」と定義したい。 図4 スポーツ健康産業とゲーム産業が融合した領域に生まれた「カジュアルスポーツ」 広範な同じフィールド 自由時間活動フィールド 自己実現フィールド ビ ジ ュ ア ル イ & ラ イ ブ スポーツ健康産業の新領域 例えば、 ジョーバなど ゲーム産業の新領域 新しい融合領域 カジュアルスポーツ もっと楽しく もっと気軽に もっとみんなで もっと簡単に もっと健康的に 例えば、 Wii などの体感型ゲーム 静的身体活動 動的身体活動 -15- これまでスポーツ健康産業が異業種として遠ざけてきた「ゲーム」と「スポーツ」 の関係を調査研究として行なったことは、画期的といっても過言ではない。この成 果を今後のスポーツ健康産業の発展に活かすため、「カジュアルスポーツ」の市場 確立に向けてスポーツ健康産業界の進むべき方向性を定め、計画的・継続的なプロ モーション活動をすることが重要である。これにより、本調査研究によって顕在化 した「カジュアルスポーツ」を新たな市場概念として定着させることが可能となる。 また、新たな気付きをもたらすとともにスポーツに関わる学識経験者やスポーツ 団体関係者、指導者らの意識変容を促し、スポーツ健康産業及びゲーム産業双方の 発展にも大きく寄与することになるはずである。 今後、「カジュアルスポーツ」市場を確立するためには、スポーツ健康産業界が 従来の枠組にとらわれず、広い視野に立って次のような課題について、十分に研究 する必要がある。 (1)「カジュアルスポーツ」領域に関する研究の深化 (2)「カジュアルスポーツ」に関するプロモーション活動の実施 (3)産官学における「カジュアルスポーツ」商品の開発 (4)ゲーム業界との連携に関する具体的アクションの検討 (5)「カジュアルスポーツ」に関するスポーツ健康産業界の人材育成 (2)機関誌 JSHIF 平成 20 年 8 月 夏号 発行 ・情報交換会開催 ・スポーツ産業による子どものスポーツ人口拡大に関する調査研究 ・第 59 回理事会、第 20 回通常総会 ・第 1 回シンポジウム開催 ・『スポーツ健康宣言』、 『地域・スポーツ振興賞』創設 平成 21 年 1 月 冬号 発行 ・斎藤会長 年頭所感 ・情報交換会 ・とびっきり!あさひテレビ祭り/2008 スポーツ&レジャーフェスティバル ・現代のスポーツ健康産業の新たな課題とその対応策に関する調査研究 -16- 3.事業委員会 (1)事業委員会 (敬称略) 委員長 丁野 朗 (社)日本観光協会 常務理事・総合研究所長 委 加 藤 誠 (株)ジェイティービー 地域交流ビジネス部長 員 〃 國分勝彌 (社)日本ゴルフ場事業協会 理事・顧問 〃 笹 井 (株)アシックス マーケティング統括部 統括部長付担当部長 〃 高﨑尚樹 (株)ルネッサンス 取締役 執行役員 〃 中里則彦 (社)日本ボウリング場協会 副会長 〃 中嶋康博 (社)日本テニス事業協会 副会長 豊 【第 6 回事業委員会】 平成 20 年 4 月 8 日(火) 16:00~18:00 ・平成 20 年度は、シンポジウムを 2 回、情報交換会を 3~4 回開催することを企画。 ・第 1 回シンポジウムを 7 月に開催することを企画。 【第 7 回事業委員会】 平成 20 年 10 月 1 日(水) 16:00~17:30 ・第 2 回シンポジウムを 3 月 12 日に開催することを企画。 ・シンポジウムの中において、地域・スポーツ振興賞を授賞することを企画。 (2)シンポジウム 第 1 回シンポジウム 日 時:平成 20 年 7 月 8 日(火) 場 所:如水会館 〈第一部〉基調講演:牛 島 13:00~ 洋 氏(元㈱鹿島アントラーズ FC 代表取締役社長) FOOT BALL DREAM ~スポーツと地域活性化にむけた鹿島アントラーズの事例~ スポーツ健康宣言および地域・スポーツ振興賞の創設について パネルディスカッション 〈コーディネーター〉荻 原 健 司 氏(参議院議員 経済産業大臣政務官) 〈パ ネ リ ス ト〉佐 藤 健 一 氏 (カーリング チーム青森代表、青森市副市長) 野川春夫 氏 (順天堂大学スポーツ健康科学部 教授) 藤井純一 氏 (㈱北海道日本ハムファイターズ 代表取締役社長) 参加者:102 名 -17- 〈第二部〉情報交換会 参加者:41 名 第 1 回シンポジウム 収支 収入 シンポジウム参加費 有料参加者 第1部 @3,000×71名=213,000 第2部 @4,000×41名=164,000 合計 収支差額 (単位:円) 支出 377,000 講師謝金 @50,000×3名 150,000 講師交通費 186,420 会場費 120,000 スクリーン 5,000 飲物(会場内ペットボトル) 32,400 広告掲載(スポーツ産業新報) 52,500 チラシ印刷 500枚 50,001 テープ起こし3時間15分 81,900 小計 678,221 懇親会会場費 27,750 料理 150,000 飲物 69,750 サービス料 39,990 小計 287,490 377,000 合計 965,711 △ 588,711 第 2 回シンポジウム 日 時:平成 21 年 3 月 12 日(木) 場 所:如水会館 講 師:(敬称略) 13:30~ 基調講演「人と街を元気にするスポーツ~池田弘・新潟からの報告」 池田 弘 氏(㈱アルビレックス新潟 取締役会長、NSG グループ代表) パネルディスカッション 〈コーディネーター〉 野 川 春 夫 氏(順天堂大学スポーツ健康科学部 教授) 〈パネリスト〉 池田 弘 氏(㈱アルビレックス新潟 取締役会長、NSG グループ代表) 篠原 靖 氏(内閣府地域活性化伝道師) 藤 本 康 二 氏(経済産業省商務情報政策局サービス産業課長) 松 澤 淳 子 氏(早稲田大学スポーツビジネス研究所 客員研究員) -18- 第 2 回シンポジウム 収支 収入 シンポジウム参加費 有料参加者 @3,000×39名=117,000 合計 収支差額 (単位:円) 支出 117,000 講師謝金 @50,000×2名 160,000 @30,000×2名 講師交通費 27,840 会場費 90,000 スクリーン 5,000 飲物(会場内ペットボトル) 30,000 サービス料 12,200 広告掲載(スポーツ産業新報) 52,500 チラシ印刷 500枚 44,625 テープ起こし 88,200 117,000 合計 510,365 △ 393,365 (3)情報交換会 第 1 回情報交換会 日 時:平成 20 年 12 月 5 日(金) 17:00~19:00 場 所:弘済会館(都内千代田区麹町 5-1) テーマ:楽しくなけりゃ、スポーツじゃない! ~ライフスタイルの変化と健康・スポーツ産業;スポ団連へ期待されること~ 講 師:牛 窪 恵 氏(マーケティングライター、インフィニティ代表取締役) ~女性トレンドと最新レジャー&スポーツ事情~ 参加者:55 名 第 1 回情報交換会 収支 (単位:円) 収入 情報交換会参加費 有料参加者 @2,000×31名=62,000 支出 62,000 講師謝金 1名 会場費 スクリーン 飲物(会場内ペットボトル70本) 合計 収支差額 マイク 4本 プロジェクター持ち込み サービス料 テープ起こし 2時間15分 62,000 合計 △ 126,040 -19- 52,500 37,800 2,100 14,700 6,300 10,500 7,140 57,000 188,040 (4)地域・スポーツ振興賞 第 1 回 地域・スポーツ振興賞 日 時:平成 21 年 3 月 12 日(木)…第 2 回シンポジウムにおいて行う 場 所:如水会館 応募作品:38 件 地域・スポーツ振興賞 選考委員(50 音順・敬称略) 委員長 原 田 宗 彦(早稲田大学スポーツ科学学術院 教授) 委 員 荻 田 則 夫(社団法人共同通信社 編集局次長) 〃 斎 藤 敏 一(社団法人スポーツ健康産業団体連合会 会長) 〃 丁野 〃 藤 本 康 二(経済産業省商務情報政策局サービス産業課長) 朗(社団法人日本観光協会 常務理事・総合研究所長) 選考委員会 2 月 19 日(木)に選考委員会を開催し、入賞者を決定 入賞者リスト ☆最優秀賞(経済産業省商務情報政策局長賞)1 点 作品名 BC リーグによる MIKITO AED PROJECT<新潟市> 応募者 株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング ☆優秀賞(社団法人スポーツ健康産業団体連合会 会長賞)2 点 作品名 十日町新雪マラソン大会<新潟県十日町市> 応募者 新雪マラソン大会実行委員会 作品名 サッカーを通じた出会いの場を<千葉県袖ヶ浦市> 応募者 千葉県知的障害者サッカー連盟 ☆佳作 6 点 作品名 東深沢スポーツ・文化クラブ(HFSCC)における地域活性化 <東京都世田谷区> 応募者 東深沢スポーツ・文化クラブ 作品名 プロスポーツクラブと大学の共同事業~スポーツ観戦者サービス~ <大分市> 応募者 日本文理大学経営経済学部スポーツビジネス研究室 作品名 隠岐の島ウルトラマラソン大会の実現から発展へ<島根県隠岐の島町> 応募者 株式会社JTB西日本スポーツデスク 作品名 新生プロバスケットボールチーム・リンク栃木ブレックスの取り組み <栃木県宇都宮市> 応募者 株式会社ドリームチームエンターテインメント栃木 作品名 はつかいち縦断みやじま国際パワートライアイスロン大会 <広島県廿日市市> 応募者 はつかいち縦断みやじま国際パワートライアイスロン大会実行委員会 作品名 Kiss ポートボウリング事業<東京都港区> 応募者 港区ボウリング連盟 -20- 第 1 回地域・スポーツ振興賞 収支 収入 合計 収支差額 (単位:円) 支出 地域・スポーツ振興賞 賞金 500,000 佳作表彰楯 6ケ 94,500 地域・スポーツ振興賞 交通費 116,140 0 合計 710,640 △ 710,640 -21- 4.その他の事業 (1)生涯スポーツコンベンション 2009 開催趣旨 我が国においては、自由時間の増大、体力・健康づくりへの国民の関心の高まり などを背景にスポーツ需要が増大しており、誰もがいつでもどこでも気軽に参加出 来る生涯スポーツ振興のための諸条件の整備が求められています。 生涯スポーツの推進には、国や地方公共団体ばかりでなく、各種スポーツ・レク リエーション団体や、スポーツクラブ、学校関係者さらにはスポーツ関連産業団体 等が、それぞれ重要な役割を果たしており、これら関係者相互の連携・協力が急務 となっています。 このため、関係の各界各層の人々が一堂に会し、生涯スポーツ振興上の諸課題に ついて、意見交換を行い、相互理解を深め、関係者間の協調・協力体制の強化と生 涯スポーツ振興の気運を盛り上げることを目的として、本コンベンションを開催す るものです。 主 催 文部科学省 生涯スポーツコンベンション実行委員会 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 財団法人日本体育協会 財団法人日本レクリエーション協会 財団法人日本体育施設協会 財団法人スポーツ安全協会 社団法人全国体育指導委員連合 財団法人日本障害者スポーツ協会 東京都 後 援 経済産業省 全体テーマ 【スポーツの感動を地域へ!未来へ!】 今年度は、北京オリンピック・パラリンピックが開催され、トップアスリート が極限に挑み、活躍する姿は、多くの国民に夢と感動を与え、改めてスポーツの 魅力を認識する機会ともなりましたが、より一層のスポーツ振興を図るためには、 この感動を一過性のものとせず、我が国のスポーツ環境の充実につなげていくこ -22- とが重要です。 我が国の地域スポーツ環境(活動の場としてのスポーツクラブ、施設、指導者、 スポーツに関する情報など)は、スポーツを日常生活文化として享受するにはさ らに改善・充実を図る必要があります。また、国民一人一人が、自らスポーツに 親しむことの意義やスポーツを振興することの有用性について理解を深め、それ ぞれの立場で具体的な実践に取り組むことが求められています。 そこで、本コンベンションにおいては、 「スポーツは、人々に夢や感動を与え、 豊かで活力ある地域づくりにも大いに貢献するものであるが、すべての国民が身 近な地域で生涯にわたってスポーツに親しめる環境をつくるために、また、それ を未来につなげていくために、今何をなさなければならないか」という認識の下、 生涯スポーツ社会の実現について検討し、その方向性を探っていきます。 期 日 平成 21 年 2 月 4 日(水) 会 場 京王プラザホテル 〒160-8330 内 東京都新宿区西新宿 2-2-1 容 〈全体会〉 記念対談 【スポーツの感動を地域へ!未来へ!】 提 講師 栗山 英樹(スポーツキャスター・白鴎大学教授) 講師 二宮 清純(スポーツジャーナリスト) 言 【生涯スポーツ社会の実現に向けて】 講師 二宮 清純(スポーツジャーナリスト) 〈分科会〉 第 1 分科会 【中高年のための運動プログラム】 第 2 分科会 【子どもの体力向上を図るための地域の関係者の連携と協力】 第 3 分科会 【より親しまれるスポーツ施設を目指して】 -23- 第 4 分科会 【子どもの体力向上を促進する効果的な保護者の意識啓発事業のあり方】 第 3 分科会 1 テーマ 【より親しまれるスポーツ施設を目指して】 2 趣 旨 指定管理者制度が導入されてから 5 年が経過し、この間、指定管理者は次期 の契約更新を目指して、様々な工夫、改善に取り組んできた。こうした状況の 中で、全国のスポーツ施設は総体的にレベルアップが図られてきている。 そこで、本分科会においては、こうした気運をさらに盛り上げる意味から、 より親しまれるスポーツ施設にしていくためには、どのような利用者サービス が求められているのかについて考える。 3 座 長 野川 4 春夫(順天堂大学教授) 発表者 1) 「利用者に親しまれるスポーツプログラム・サービスについて」 白木 俊郎(株式会社シンコースポーツ常務取締役 ・財団法人日本体育施設協会専門委員) 2) 「高齢者のスポーツ参加と運動習慣について(施設のあり方含む)」 武井 正子(順天堂大学名誉教授) 3) 「利用者に好印象を与える接遇のあり方について」 寺山 まり(JAL アカデミー インストラクター) (2)後援事業 「第 14 回国際車いすテニス大会『仙台オープン 2008』 」 開催日:平成 20 年 8 月 1 日(金)~4 日(月) 主催者:東北車いすテニス協会 -24- 「日本スポーツ産業学会第 17 回学会大会」 開催日:平成 20 年 7 月 12 日(土)~13 日(日) 主催者:日本スポーツ産業学会 「ウインターリゾート 2009」 開催日:平成 20 年 11 月 1 日(土)~3 日(月) 主催者:ウインターリゾート実行委員会 「2009 レジェンドカップ」 開催日:平成 21 年 2 月 7 日(土)~8 日(日) 平成 21 年 3 月 7 日(土)~8 日(日) 主催者:NPO 法人レジェンド松山 「第 20 回日本テニス産業セミナー」 開催日:平成 21 年 2 月 17 日(火) 主催者:社団法人日本テニス事業協会/神奈川県テニス事業協会 「第 1 回スポーツサイエンス・テクノロジー」 開催日:平成 21 年 10 月 2 日(金)~4 日(日) 主催者:スポーツサイエンス・テクノロジー実行委員会 「東京アウトドアズフェスティバル 2009」 開催日:平成 21 年 7 月 3 日(金)~5 日(日) 主催者:東京アウトドアズフェスティバル実行委員会 -25- 5.日本スポーツ産業学会平成 20 年度活動報告 1.学会組織の整備・充実・運営に関する事業 (1)会議の開催 ・第 38 回・第 39 回理事会を開催した(平成 20 年 7 月 12 日・平成 21 年 3 月 26 日) 。 ・運営委員会を開催した(平成 20 年 6 月 23 日、平成 21 年 2 月 23 日の 2 回)。 ・第 18 回総会を開催した(平成 20 年 7 月 12 日)。 (2)事務局体制の整備・充実 ・ホームページの活用 http://www.spo-sun.gr.jp (3)会員の拡充 ・会員 535 名(正会員:424 名、学生会員:111 名) ・賛助会員 12 社 ㈱アシックス、オリックス㈱、※㈱サニーサイドアップ、㈱デサント、㈱電通、 ㈱東京ドーム、※㈱ナイキジャパン、㈱平野デザイン設計、ホクエツ印刷㈱、 ミズノ㈱、※読売新聞東京本社、※楽天㈱(※印 4 社は 20 年度新規入会)。 *平成 21 年 3 月 31 日現在 2.出版事業 ・学会誌「スポーツ産業学研究」第 18 巻第 2 号及び第 19 巻第 1 号を発行した。 [第 18 巻第 2 号](平成 20 年 9 月 30 日発行) <座談会> 「スポーツ産業学の展望」 <原著論文> 「J リーグの観客数に影響を与える要因に関する研究」 河合慎祐(早稲田大学)他 1 名 「ベースボール拡大の諸相 -イスラエルプロ野球にみるスポーツ産業のグローバル化-」 石原豊一(立命館大学) 「歩行による推奨身体活動量の充足に関連する要因」 柴田 愛(早稲田大学)他1名 <研究資料> 「「エクササイズガイド」の普及度と歩行習慣促進との関連性」 肥後梨恵子(早稲田大学エルダリー・ヘルス研究所)他 1 名 <文献紹介> 「アルビレックス新潟における無料招待券配布と成功の軌跡」 平田竹男(早稲田大学)他 2 名 <日本スポーツ産業学会第 17 回大会報告> 山本理人(北海道教育大学) -26- [第 19 巻第 1 号](平成 21 年 3 月 31 日発行) <原著論文> 「骨格に基づくスキーブーツ設計に関する基礎的検討」 鈴木聡一郎(北見工業大学)他 1 名 「スポーツ用ホイッスルの音質解析」 坂本賢志(アシックス スポーツ工学研究所)他 2 名 「大相撲の巡業におけるビジネスモデルの変容」 武藤泰明(早稲田大学) 「知覚されたサービス品質が利用満足と行動意図に及ぼす影響: 中国のフィットネスクラブにおける実証研究」 周 強(中京大学)他1名 「日韓 W 杯が J リーグの観客数に与えた影響に関する研究」 平田竹男(早稲田大学)他 1 名 「ボウリング場産業のブルー・オーシャン戦略に関する研究」 笹生心太(一橋大学) <研究資料> 「プロバスケットボールクラブ設立が地方都市にもたらす経済効果の推計 -bj クラブ設立を目指す秋田県を事例として-」 加藤清孝(国際教養大学)他 1 名 「関東大学女子サッカーリーグに関する研究 -MARCHG ゾーンにおける女子サッカー部創設の必要性と今後-」 石山隆之(早稲田大学)他 2 名 <資料> 「スポーツ関連大学の入試情報一覧」 ・「学会ニュース」No.66(7 月 10 日)、No.67(9 月 30 日)、No.68(1 月 10 日) 、 No.69(3 月 31 日)をホームページに掲載した後、No.66 と No.67 は学会誌第 18 巻第 2 号と、No.68 と No.69 は学会誌第 19 巻第 1 号と合本して発行した。 3.学会大会の開催 ・第 17 回大会を開催した(平成 20 年 7 月 12 日~13 日、札幌大学)。 Ⅰ.基調講演 1 「わが国のスポーツ・ツーリズムとスポーツ・ツーリズム研究」 原田宗彦(早稲田大学) Ⅱ.基調講演2 「地域とスポーツ産業」 滝鼻卓雄(読売新聞東京本社) -27- Ⅲ.シンポジウム 1 「北海道におけるスポーツ・ビジネスの可能性」 Coordinator:山本理人(北海道教育大学) P a n e l i s t s:ロス・フィンドレー(㈲ニセコアドベンチャーセンター) 今井忠則(士別市体育協会) 千田重光(日本雪合戦連盟) Ⅳ.スポーツ・キャリア・フォーラム:シンポジウム Coordinator:澤井和彦(江戸川大学) P a n e l i s t s:黒田逸実(㈱ルネサンス) 瀬戸 武(㈱札幌ドーム) 矢柄亮直(㈱サニーサイドアップ) 水野利昭(ミズノ㈱) Ⅴ.スポーツ・キャリア・フォーラム:企業説明会 【参加企業】 ㈱アシックス、ミズノ㈱、山本光学㈱、㈱リバティヒル Ⅵ.シンポジウム 2 「北海道プロスポーツの行方」 Coordinator:河西邦人(札幌学院大学) P a n e l i s t s:児玉芳明(元㈱北海道フットボールクラブ) 村山哲二(㈱ジャパンベースボールマーケティング) 中村彰久(㈱仙台スポーツリンク) Ⅶ.シンポジウム 3 「企業スポーツの再評価」 Coordinator:新井 貢(札幌国際大学) P a n e l i s t s:高橋義雄(筑波大学) 菅野範弘(東京美装スキー部監督) 高岡茂夫(JR 北海道野球部監督) Ⅷ.一般研究発表 Ⅸ.大会協賛 47 題 4 団体及び 1 個人 ㈱アシックス、ミズノ㈱、笹川スポーツ財団、北翔大学、林 恒弘 Ⅹ.報告書「SYMPOSIUM2008」の発行 4.専門分科会活動の推進 ・スポーツ法学専門分科会、スポーツ産業史専門分科会、スポーツ工学専門分科会、 スポーツマネジメント専門分科会、スポーツ指導サービス専門分科会の 5 分科会 に、計 20 万円を補助した。 -28- 5.学会賞について ・平成 20 年 7 月に開催された第 18 回総会で学会賞1編の授与式を行った。 [学会賞受賞論文] 「スポーツ組織マネジメントにおける地域コミュニティ戦略 -J クラブの事例研究-」 松橋崇史(慶応義塾大学)他 1 名(「スポーツ産業学研究」第 17 巻第 2 号掲載) ・平成 21 年 7 月開催の第 19 回総会で授与が予定されている学会賞の候補論文を選 考した。 6.その他 ・平田竹男理事長名で推薦した上記学会賞受賞者・松橋崇史氏に、2009 年度財団法 人ミズノスポーツ振興会研究助成金が交付されることとなった。 ・学会のあり方を検討した。 -29- 6.理事会・総会報告 (1)第 59 回理事会・第 20 回通常総会(平成 20 年 6 月 13 日(金)如水会館) 主な承認事項 ①財団法人 JKA 等の補助金交付決定について a)財団法人 JKA 公益枠補助事業 (単位:千円) 補助事業名 補助金 市民生涯スポーツ大祭 合 計(補助率 50%) 自己資金 事業総額 9,202 9,202 18,404 9,202 9,202 18,404 なお、自己資金の調達については資金の不足を生じた場合は、役員の責任に おいて調達する。 b)その他の補助事業(申請予定) (単位:千円) 補助事業名 金 額 調査事業 合 5,000 計 5,000 ②新任理事 ○ 新任理事(敬称略) 板垣勝男 財団法人日本自転車競技会 参与兼事務局長 なお、板垣 勝男氏は、平成 20 年 7 月 1 日より当連合会常勤となり、現 専務 理事吽野 良昭氏は平成 20 年 6 月 30 日をもって専務理事の職を辞し、非常勤理 事となる予定。 ③賛助会員の年会費額変更 変更理由書 1)変更の背景 2002 年にスポーツジャパンを休止して以来、賛助会員は減少が続いている。情報 交換会、シンポジウム開催により当連合会へ加入するメリットが向上していること と併せて、賛助会員の会費を他協会の水準を参考に引き下げ、会員増強を図る。 2)変更の内容 主な変更事項は、以下のとおりです。 -30- (1)第 2 条の入会金に係る規定は、次のとおりとする。 (入会金) 第2条 定款第 7 条に規定する入会金の額は、次のとおりとする。 正 会 員 200,000 円 特別会員 200,000 円 賛助会員 50,000 円 (2)第 3 条の会費に係る規定は、次のとおりとする。 (会費) 第3条 定款第 7 条に規定する正会員、特別会員及び賛助会員が毎年納入す べき会費の額は、次のとおりとする。 正 会 員 1口 240,000 円 特別会員 1口 240,000 円 賛助会員 1口 120,000 円 (2)第 60 回理事会(平成 21 年 3 月 12 日(木)如水会館) 主な承認事項 ①新任理事及び退任理事 ○ 新任理事(敬称略) 6 月 12 日開催予定の第 21 回通常総会において選出予定 中瀬雅通 社団法人日本アパレル産業協会 理事長 正 会 員 原田宗彦 早稲田大学 教 授 会 員 外 野川春夫 順天堂大学 教 授 会 員 外 田中喜代次 筑波大学 教 授 会 員 外 小澤壯六 財団法人健康・体力づくり事業財団 理事長 会 員 外 ○ 退任理事(敬称略) 三宅正彦 社団法人日本アパレル産業協会 理事長 正 会 員 石本恵一 株式会社デサント 最高顧問 特別会員 杉山 スポーツプロデューサー 茂 会 員 外 吽野良昭 社団法人日本プロゴルフ協会 理 西田東作 株式会社ゴールドウイン 代表取締役会長 特別会員 小池憲治 日本スポーツ用品輸入協会 理事長 -31- 事 会 員 外 正 会 員 ②任期満了に伴う理事及び監事候補者 役員候補者名簿 新役員 名誉副会長 名誉副会長 会 長 副 会 長 副 会 長 副 会 長 専務理事 理 事 理 事 理 事 理 事 新 候 補 者 名 水野正人 中野啓二郎 斎藤敏一 岩井大輔 池田朝彦 林 有厚 板垣勝男 青木純一郎 秋山創一 浅井光昭 石原 悟 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 理 理 理 理 事 事 事 事 尾 小 川 黒 木 徹 澤壯六 口 純 川光隆 12 13 14 15 理 理 理 理 理 事 事 事 事 事 國分勝彌 小関和夫 雑賀 昇 佐伯年詩雄 清水愼一 16 17 18 19 20 理 理 理 理 理 理 理 理 理 事 事 事 事 事 事 事 事 事 勢能志彦 田中喜代次 民秋史也 丁野 朗 泊 三夫 鳥井道夫 中瀬雅通 永田友純 野川春夫 21 22 23 24 25 26 27 28 29 理 理 理 理 理 理 理 監 監 事 事 事 事 事 事 事 事 事 原田宗彦 平野哲行 三ッ谷洋子 山本為信 米山 稔 和田清美 渡邊光康 小坂 勉 八木恵一 (敬称略) 旧 30 31 32 33 34 35 36 37 38 -32- 役職名 名誉副会長 名誉副会長 会 長 副 会 長 副 会 長 副 会 長 専務理事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 理 事 氏 名 水野正人 中野啓二郎 斎藤敏一 岩井大輔 池田朝彦 林 有厚 板垣勝男 青木純一郎 秋山創一 浅井光昭 石原 悟 石本恵一 吽野良昭 尾木 徹 理 理 理 理 理 理 理 理 理 理 事 事 事 事 事 事 事 事 事 事 川口 純 黒川光隆 小池憲治 國分勝彌 小関和夫 雑賀 昇 佐伯年詩雄 清水愼一 杉山 茂 勢能志彦 理 理 理 理 理 理 事 事 事 事 事 事 民 丁 泊 鳥 三 永 理 事 西田東作 理 理 理 理 理 理 監 監 事 事 事 事 事 事 事 事 平野哲行 三ッ谷洋子 山本為信 米山 稔 和田清美 渡邊光康 小坂 勉 八木恵一 秋史也 野 朗 三夫 井道夫 宅正彦 田友純 ③当連合会の平成 21 年度職員等給与 総額 12,100 千円を限度として支給する。 ④平成 21 年度事業計画 1)財団法人 JKA の補助金について 平成 21 年度 申請額 9,284,000 円 平成 21 年度 内示額 9,202,000 円 なお、自己資金に不足が生じた場合は、役員が責任を持って調達する。 2)平成 21 年度各部会活動について イ)イベント推進部会 スポーツ健康関係団体、主要関連企業、関係者との交流及びスポーツ健康 産業の新たな見本市事業の企画を検討する。 ロ)総務・財務部会 会務運営、会員管理、経理予算業務、活動の充実・拡大と関係諸団体・機 関との連携協調による補助金及び委託費の管理業務等を行う。 ハ)地域スポーツ振興部会 スポーツ健康産業の健全な振興・発展に寄与するために市民生涯スポーツ 大祭を企画し、実施する。市民生涯スポーツ大祭は、生涯スポーツの普及と 定着を目的に、国民の健康で豊かな生活を目指して、全国各地で開催してい る。平成 21 年度は昨年度に引き続き、静岡市での開催を検討している。 市民生涯スポーツ大祭の開催 平成 21 年度 財団法人 JKA 補助事業「競輪・公益枠」 事 業 総 額:18,568,000 円 自己負担額: 9,284,000 円 補 助 金: 9,284,000 円 ニ)戦略・開発部会 連合会の事業の方向付けをすることを活動の基本とする。スポ団連がこれ まで行ってきた「スポーツジャパン」に代わる新事業の検討内容を再度洗い 直し、中長期的に検討する事業及び短期的に実施可能な事業を整理する。具 体策が整理された時点で、関係の部会に提案する。 -33- ホ)会員増強対策部会 新規の正会員・特別会員・賛助会員を入会させ、会員数を増やし、連合会 の財政基盤を健全にする。 ヘ)広報宣伝・調査部会 スポーツ健康産業に係わる情報の収集、産業振興のための情報発信、マス コミ等への提言、広報宣伝活動、調査活動の推進を担当。 ①機関誌 JSHIF の発行 夏号:6 月の総会・理事会の後に発行 冬号:市民生涯スポーツ大祭の終了後、又は新事業の企画が確定した段階 で発行 ②(研究調査 未定)・・・・・申請予定 経済産業省委託研究 事 業 総 額:5,000,000 円 自己負担額: 補 助 0円 金:5,000,000 円 平成 20 年度に実施中の「現代のスポーツ健康産業の新たな課題とその対応 策に関する調査研究」の次の段階の研究調査を企画する。 ト)事業部会(仮称) 魅力ある事業活動を目指し、会員相互の交流促進と連携強化、会員の自己 啓発を推進するために平成 19 年度から開始した情報交換会、平成 20 年度か ら開始したシンポジウムの定期開催及び地域・スポーツ振興賞の授賞事業を 軌道に乗せる。 事業支出 3,000,000 円 事業収入 1,000,000 円 収 支 差 額 △2,000,000 円 3)その他の事業 ①アドバイザリースタッフ 当連合会が抱える今日的優先課題と問題の具体的解決策の提言を行う諮問 機関 事 業 費:100,000 円 -34- ②生涯スポーツコンベンション 2010 開催地は未定(文部科学省との共催) ③日本スポーツ産業学会 日本スポーツ産業学会へ賛助会員として入会する。 会費(2 口):200,000 円 平成 21 年 2 月 18 日に実施された経済産業省の検査において、業務委託契約 の内容が不明確であるとの指摘があったため、平成 21 年度から業務委託契約 を解除する。 (平成 20 年度から委託費を従前の 1,000,000 円から 200,000 円へ削減した。) ④生活構造改革フォーラム(サマータイム)事業への支援 ⑤平成 20 年収支決算見込み及び平成 21 年度収支予算 (1)平成 20 年度収支決算見込み 一般会計・特別会計合計額 収入合計 41,583,000 円 支出合計 61,312,996 円 収支差額 △19,729,996 円 正味財産 72,649,241 円 (2)平成 21 年度収支予算案 一般会計・特別会計合計額 収入合計 40,216,000 円 支出合計 54,671,000 円 収支差額 △14,455,000 円 -35- ⑥事業部会設置 組織図変更 事業委員会を中心に企画してきた情報交換会・シンポジウムが段階的に拡充 してきたので、事業委員会を発展的に解消し、新しく事業部会を設置する。 (平 成 21 年 2 月 10 日開催の第 48 回部会長会議で了承済み。 ) 総 会 理事会 事業部会業務内容 会 長 副会長 部会長会議 魅力ある事業活動を目指し、会員 相互の交流促進と連携強化、会員の 自己啓発を推進するために平成 19 年 度から開始した情報交換会、平成 20 年度から開始したシンポジウムの定 期開催及び地域・スポーツ振興賞の 授賞事業を軌道に乗せる。 シンポジウム開催業務 情報交換会開催業務 スポーツイベント企画業務 事業部会 地域スポーツ振興部会 当連合会の進むべき方向性の検討 新事業展開の検討 見本市業務 戦略・開発部会 会員募集業務 イベント推進部会 会員増強対策部会 広報活動業務 情報活動業務 調査活動業務 IT化の推進業務 総務・財務部会 広報宣伝・調査部会 事務局業務 会務運営業務 会員管理業務 経理予算業務 補助金管理業務 中小企業振興業務 専務理事 常務理事 注)会員増強対策部会以外の部会長・副部会長は、会員増強対策部会の委員とする。 -36- 平成 21 年度事業計画 活 動 指 針 (平成 21 年 4 月 1 日~平成 22 年 3 月 31 日) 現代の社会は、サービスの経済化、情報化の急速な進展による産業の高度化、高齢化、 少子化、余暇時間の増大、女性の社会進出等、大きく構造が変化してきております。こ の構造の変化は、国民の勤労形態やライフスタイルに大きな影響を及ぼし、端的な例で は国民の運動不足や生活習慣病の蔓延をもたらしております。 一方、スポーツは国民生活にとけこみ、国民にとってなくてはならない要素となって おります。その実態は「する」「観る」「語る」「支える」等多様です。しかしながらス ポーツへの「する」の参加率はバブル崩壊後の平成 5 年頃をピークに、少子化等も反映 し全般的に減少傾向が目立っております。また、平成 20 年 4 月から特定健診制度が始 まり、40 歳から 70 歳までの健康保険加入者に特定健診が義務化され、メタボリックシ ンドローム該当者やその予備軍に特定保健指導が行われることになりました。スポーツ が健康に貢献することは、学術的に明らかです。メタボリックシンドローム対策として も、日常の健康維持・向上やストレスに対応する手段としてもスポーツに大きな期待が 寄せられております。更に、子どものスポーツ離れに伴い、子どもの体力・運動能力の 低下が深刻な社会問題になっております。スポーツをしない、できない子どもたちを少 なくし、より多くの国民にスポーツに参加してもらうことがスポーツ健康産業界にとっ て重要な課題です。 国民が自己のライフステージや好みにあった最適なスポーツを日常的に楽しみ、生涯 にわたってスポーツを生活に取り込むことが当然として認知される生涯スポーツ社会 を創出するために、スポーツ人口を拡大し、国民とスポーツ健康産業界の橋渡しを行う ことが、本連合会の重要な役割であります。 平成 21 年度としては、昨年実施して好評でありました、スポーツ人口を拡大するた めの「シンポジウム」、 「情報交換会」及びスポーツを通じて地域振興に貢献したと認め られる団体・グループ等を顕彰する「地域・スポーツ振興賞」を更に発展させ、軌道に 乗せることとしております。また、市民生涯スポーツ大祭は昨年以上に活況になるよう に開催するとともに、スポーツ健康産業界の更なる発展に資するための調査研究を昨年 度に引き続き実施することにしております。 上記事業を着実に実行し、本連合会の社会的存在感を高め、更に会員増強を行い、経 営基盤の充実を図ります。 各理事のご協力をいただき、所管省庁である経済産業省のご指導の下に新事業の構築 及び継続事業の一層の改善を図ってまいります。 -37- 平成 21 年度 主催行事日程表(予定) (平成 21 年 4 月 1 日~平成 22 年 3 月 31 日) 月 日 曜日 6 12 金 9~11 月(予定) 3 月(予定) 主 催 行 事 名 会 場 第 61 回理事会 第 21 回通常総会 如水会館 市民生涯スポーツ大祭の開催事業 静 岡 市 第 62 回理事会 如水会館 -38- 1.平成 21 度各部会の事業計画 (1)事業部会 魅力ある事業活動を目指し、会員相互の交流促進と連携強化、会員の自己啓発を 推進するために平成 19 年度から開始した情報交換会、平成 20 年度から開始したシ ンポジウムの定期開催及び地域・スポーツ振興賞の授賞事業を軌道に乗せる。 事業支出 3,000,000 円 事業収入 1,000,000 円 収支差額 △2,000,000 円 (2)イベント推進部会 スポーツ健康関係団体、主要関連企業、関係者との交流及びスポーツ健康産業の 新たな見本市事業の企画を検討する。 (3)総務・財務部会 会務運営、会員管理、経理予算業務、活動の充実・拡大と関係諸団体・機関との 連携協調による補助金及び委託費の管理業務等を行う。 (4)地域スポーツ振興部会 スポーツ健康産業の健全な振興・発展に寄与するために市民生涯スポーツ大祭を 企画し、実施する。市民生涯スポーツ大祭は、生涯スポーツの普及と定着を目的に、 国民の健康で豊かな生活を目指して、全国各地で開催している。平成 21 年度は昨 年度に引き続き、静岡市での開催を検討している。 市民生涯スポーツ大祭の開催 平成 21 年度 財団法人 JKA 補助事業「競輪・公益枠」 事 業 総 額:18,568,000 円 自己負担額: 9,284,000 円 補 助 金: 9,284,000 円 (5)戦略・開発部会 連合会の事業の方向付けをすることを活動の基本とする。スポ団連がこれまで 行ってきた「スポーツジャパン」に代わる新事業の検討内容を再度洗い直し、中長 期的に検討する事業及び短期的に実施可能な事業を整理する。具体策が整理された 時点で、関係の部会に提案する。 -39- (6)会員増強対策部会 新規の正会員・特別会員・賛助会員を入会させ、会員数を増やし、連合会の財政 基盤を健全にする。 (7)広報宣伝・調査部会 スポーツ健康産業に係わる情報の収集、産業振興のための情報発信、マスコミ等 への提言、広報宣伝活動、調査活動の推進を担当。 ①機関誌 JSHIF の発行 夏号:6 月の総会・理事会の後に発行 冬号:市民生涯スポーツ大祭の終了後、又は新事業の企画が確定した段階で発行 ②(研究調査 未定) ・・・・・申請予定 経済産業省委託研究 事 業 総 額:5,000,000 円 自己負担額: 補 助 0円 金:5,000,000 円 平成 20 年度に実施中の「現代のスポーツ健康産業の新たな課題とその対応策に 関する調査研究」の次の段階の研究調査を企画する。 2.その他の事業 (1)アドバイザリースタッフ 当連合会が抱える今日的優先課題と問題の具体的解決策の提言を行う諮問機関 事業費:100,000 円 (2)生涯スポーツコンベンション 2010 開催地は未定(文部科学省との共催) (3)生活構造改革フォーラム(サマータイム)事業への支援 (4)日本スポーツ産業学会 日本スポーツ産業学会へ賛助会員として入会する。 会費(2 口):200,000 円 平成 21 年 2 月 18 日に実施された経済産業省の検査において、業務委託契約の内 容が不明確であるとの指摘があったため、平成 21 年度から業務委託契約を解除する。 (平成 20 年度から委託費を従前の 1,000,000 円から 200,000 円へ削減した。 ) -40- 〈参考〉日本スポーツ産業学会平成 21 年度活動計画 1.学会組織の整備・充実・運営に関する事業 (1)会議の開催 ・理事会の開催(第 40 回・第 41 回) ・運営委員会の開催(3~4 回の予定) ・総会の開催(第 19 回) (2)事務局体制の整備・充実 ・事務局体制の整備・強化 ・ホームページの活用・充実 http://www.spo-sun.gr.jp ・広報活動の充実 (3)会員の拡充 ・新規会員の確保(会員 550 名、現 535 名:正会員 424 名、学生会員:111 名) ・賛助会員の確保(賛助会員 15 社、現 12 社) 2.出版事業 ・学会誌「スポーツ産業学研究」の発行(第 19 巻第 2 号、第 20 巻第 1 号) ・「学会ニュース」の発行(No.70~73 ホームページ掲載及び学会誌との合本) ・第 18 回大会報告書「SYMPOSIUM2009」の発行 3.学会大会の開催 ・第 18 回学会大会の開催(平成 21 年 7 月 11 日~12 日 浜松アクトシティ、静岡産業 大学) 4.専門分科会活動の推進 ・専門分科会への助成 5.表彰事業 ・学会賞の表彰 6.その他 ・学会のあり方の検討 -41- 参 考 資 料 1.平成 20 年度シンポジウム・情報交換会 講演内容 第 1 回 シンポジウム(平成 20 年 7 月 8 日) 第 1 回 情報交換会 (平成 20 年 12 月 5 日) 第 2 回 シンポジウム(平成 21 年 3 月 12 日) 2.調査研究報告書要覧 1.平成 20 年度シンポジウム・情報交換会・講演内容 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 第1回シンポジウム(抄) 開催日:平成 20 年7月8日(火)13:00~ 場 所:如水会館 「オリオンルーム」 スポーツは地域の未来を拓く ~スポーツビジネスによる地域活性化について~ Ⅰ.基調講演 牛島 洋(元 ㈱鹿島アントラーズ FC 代表取締役社長) FOOT BALL DREAM~スポーツビジネスによる 地域活性化にむけた鹿島アントラーズの事例~ Ⅱ. 『スポーツ健康宣言』および『地域・スポーツ振興賞』創設について Ⅲ.パネルディスカッション コーディネーター 荻原 健司(参議院議員 経済産業大臣政務官) パネリスト 佐藤 健一(カーリング チーム青森代表,青森市副市長) 野川 春夫(順天堂大学 教授) 藤井 純一(㈱北海道日本ハムファイターズ 代表取締役社長) 敬称略 (開会) 司会 開催に先立ちまして、連合会の会長であ ります斎藤敏一からごあいさつを申し上げます。 斎藤 本連合会の会長をしております斎藤で ございます。 私が昨年会長になったことをきっかけにどの ような連合会にするかというようなことを模索 する為に、1年かけてまず準備的に情報交換会 を3回催させていただきました。連合会でござ いますので、いわゆる業界団体というものとは 若干趣を異にしている。実は十数年前に「スポ ーツビジョン 21」というのを、現在の経済産業 省が情熱をこめて民間人の方々と一緒につくっ た本を今日持って参りました。その時 10 年後 20 年後にスポーツ産業というものはこういう ふうになるんだという青写真が作られていまし て、改めて見ますと、道半ばぐらいまでは到達 したかなと思います。 スポーツ産業には、いわゆるドゥ・スポーツ、 フィットネスクラブとか、テニススクールとか、 ゴルフクラブとか、いろいろ御自分が楽しむ場 の提供ビジネス、それからJリーグに代表され ますようにスポーツのイベントを事業として運 営して、それを観客として楽しむビジネスもで きてきた。それからスポーツ用品をつくり、そ れを販売する、流通するというビジネスはあっ -43- た。その回りにスポーツサービス業というもの ができてきた。とりあえずすべて出そろったが、 それが有機的につながっているという状況には まだ至ってないのかなということで、昨年準備 的に情報交換会をいたしましたが、参加される 方が徐々にふえてきて、今年度は 100 人を超え る方々が集まっていただいて、第1回のシンポ ジウムを開くことができました。 またスポーツ振興賞も創設し、第2回のシン ポジウムの時にはその振興賞を授与いたしたい と思っております。それから我々、事務所はあ るのですが、今までは余り皆さんが集まってく るような場所ではなかった。ここにぜひ皆さん に集まっていただいて、スポーツと健康に関連 する団体ですから、ただ会議をするだけじゃな くて、集まったら何か運動もしようよという事 になった。 ボーリングだ、テニスだ、ゴルフだと一遍に できませんから、基本は何かというと歩くこと。 我々はおしゃれに歩こうということで、東京ノ ルディックウォーキング協会を設立しました。 早稲田大学の原田先生に会長になっていただい て、私は代表理事ということで、運営いたしま す。きょうのコーディネーターの荻原政務官は ノルディックスキーの金メダリストですが、そ のスキーをとって運動靴でポールを持って歩く というスポーツでございます。 その事務局をこの連合会に同居してもらい、 老若男女みんな集まれるようにしたいと思って います。我々のこの1年間の歩みをぜひ見守っ ていただきたいと思います。きょうは御参加い ただきありがとうございます。 司会 本日の基調講演を行っていただきます 牛島洋様を御紹介いたします。牛島様はサッカ ーJリーグの開始時より鹿島アントラーズの創 設にかかわられ、鹿島アントラーズ代表取締役 に就任後、日本プロサッカーリーグ理事、ワー ルドカップサッカー大会日本組織委員会事務局 長等を歴任されておられます。それでは牛島様、 よろしくお願いいたします。 Ⅰ.基調講演 FOOT BALL DREAM ~スポーツビジネスによる地域活性化にむけた鹿島アントラーズの事例~ 牛島 洋(元 ㈱鹿島アントラーズ FC 代表取締役社長) 御紹介いただきました牛島でございます。ど うぞよろしくお願いいたします。 茨城県の鹿島は、東京から見ますと東北東の 方角で直線距離で約 80 キロです。ちょうど海に 面したところが鹿島地方です。鹿島というとこ ろは東側が太平洋、西側が霞ヶ浦、北浦という 大きな湖がございます。そして南側を利根川が 太平洋に流れ込んでいます。ちょうどその間の 中洲のような場所で、大体東西方向に4キロ、 南北に 25 キロ、面積でいうと 100 平方キロぐら いのちょうど海と川に囲まれた細長い中洲のよ うな場所。 この鹿島は、歴史的には非常に古い土地柄で、 1300 年ぐらい前の常陸風土記にも出てまいり ますし、かつては人々が水運を利用した時代に は随分栄えたようでありまして、特に九州の僻 地で防人の職につく東北の人たちは、みんな鹿 島神宮にお参りをして、武運長久の神様ですか ら、そこでよく鹿島立ちというふうに言われる 故事もございますように、あすこから船で九州 の地にはせ参じたというような歴史がございま す。 しかしながら船で人やものが動く時代が終わ りを告げて、モータリゼーション、あるいは鉄 道におきかわってきますと、だんだん陸の孤島 になってきたわけです。千葉県の佐原まで鉄道 は行っておりましたが、それから鹿島までは全 くありません。それがつながったのが昭和 45 年。鹿島から茨城県の県庁所在地であります水 戸に単線の電車がつながったのが昭和 60 年。そ -44- れまでは文字どおり陸の孤島です。だんだんさ びれていった。 このままじゃあいけないということで、昭和 30 年代の後半ぐらいに大臨海工業地帯の構想 が持ち上がり、世に「鹿島開発」と言われるも のですが、一部上場企業の出先の工場が 150 社 ぐらいあるような大臨海工業地帯ができあがっ た。これで過疎化していた地域も仕事が生まれ、 生活も豊かになりということで、その鹿島開発、 臨海工業地帯そのものは大成功をした。 鹿島開発は大成功したが、当時まちづくりみ たいな発想は全然なくて、工場をたくさんつく るのに、以前からあった農業と工業を両立させ ていくという考え方のもとに、 「農工両全」のま ちづくりが行われたわけです。したがって働く 場所には恵まれましたが、楽しみの何にもない、 賑わいの何にもない、本当に海岸の砂っ原の近 いところは大きな工場はいっぱいできて、工場 からもくもくと白煙が終日上がっている、殺伐 とした、そんな状況が出てまいりました。 バブル期の終わりの方で、この地に進出して いる企業 150 社余りは、本当に雇用対策に頭を 痛めた。バブル期ですから、若い人たちが、と にかく就職するのに職業の内容よりも生活環境、 生活面がどうかということが職業選択の一つの 大きなファクターになってきた時代です。 各企業こぞって立派な独身寮を建てたり、い ろんなことをやった。重厚長大の企業が多かっ たのですが、やはり雇用確保に大変な苦労をし た。あるいは他の地域からの転勤なども要請す ると、どうしても行かなきゃあいけないのなら もう会社を辞めます、他の会社に就職しますと、 そういうことが言われるような時期だった。企 業としては何か雇用対策につながるようなこと が本当に求められていた時期だった。 茨城県とか、鹿島町が、やはり生活環境面を 整備しなきゃあいけない、とにかく若い人があ ちこちから来てくれる、若い人が住み着く、そ ういうまちづくりをしなきゃあいけないという ので、県と関東通産局と町、住民、企業、みん なの代表者が集まって「楽しいまちづくり懇談 会」をつくって、とにかく若い人が居つけるよ うな楽しいまちづくりをやりましょうというこ とで、盛んに検討していた時期だったわけです。 私はちょうど 91 年に鹿島の地に転勤で赴任 していったわけですが、1975 年には鹿島町に 20 代の人口が 9,300 人いたそうです。私が行った 91 年、約 15 年後ですが、それが 5,200 人にな っている。もうとにかく若い人が、映画館も喫 茶店もしゃれたブティックも何もないようなと ころではなかなか居つかない、みんな東京とか 千葉へ出て行っちゃう、そんな状況だった。し たがって若者の定着するまちにとにかく変えな きゃあいけない、こういうニーズが非常に強か った。 それと時を同じくして日本サッカー協会が、 サッカー人口は減る、国際大会では勝てない、 もう日本のサッカーはこのままでは消滅してし まう、こういう危機感のもとに、とにかく諸外 国にならってプロ化しなきゃあいけない、プロ 化して何とかサッカーをもう一度盛り上げなき ゃあいけない、こういう動きが起こってきたの がちょうど同じ時期だった。 地域活性化というキーワードに各種団体がみ んなそこを向いていた時期だった。茨城県知事 も鹿島町長も、それから母体になりました住友 金属の社長も、新しい事業というよりは、地域 を活性化するためにとにかくプロリーグに入れ てくれという要望書を書いています。多角化の ための事業ではなくて、企業としては、工場が ある地域を楽しい若者の定着するようなまちに して、雇用確保につなげていきたいという思い が強かった。 そういうことで、各界各層のみんながこの地 域を何とか活性化しなきゃあいけない、そのた めにプロに入りたい、プロサッカーを始めると 聞いたので、絶対にそのプロサッカーに入って、 サッカーならば若い人に人気があるというふう に聞いているので、若い人も居つくんじゃない か、その下心があったということでJリーグに 参加する意思を表明した。 Jリーグに入るためにどういう活動をしたか というと、要するに当時は8チームでJリーグ をスタートする予定だったというふうに聞いて いました。やりたいと手を挙げたのが 20 チーム ぐらいあった。しかし非常に高いバーを設けら れました。そのバーとの関係でいうと、鹿島の 場合はいわばないないづくしで、プロでやりた いとは言いながら、スタジアムがない、住友金 属のチームが鹿島にあったのですが、チームの 戦力も当時のアマチュアの2部リーグのレベル の真ん中ぐらい、日本で言えば上から 20 番目ぐ らいの強さのチームでした。とてもお金をとっ てプレーを見せるようなレベルのチームではな -45- かった。 それから人口集積、鹿島町は当時人口 45,000 人です。大体そのコンペティターになる他のチ ームは大体政令指定都市クラスが多い。100 万、 80 万、場合によっては 300 万、そんなチームば かり。45,000 人の町で、それで鹿島からコンパ スで 30 キロ圏をグルッと回すと、その中に人口 10 万人以上の町とか村は一つもない。30 キロ圏 はとにかく田んぼと海に魚がいるぐらいの、感 じのまち。やっぱりプロリーグをやるのに人口 集積がそういうことではできやしないじゃない か。 それから交通アクセス、交通も先ほど申し上 げましたように、東京と鹿島を結ぶ単線の鉄道 が 45 年に開通して、それから県庁まで行くのも これまた単線で1時間、そんな地域で、地下鉄 はもちろんありません、バスもありません、要 するにみんな移動するのは車。子供たちは自転 車。自転車で 20 キロも雨が降ろうがやりが降ろ うが学校へ通う、そんな情景が浮かんできます。 手を挙げたものの、こんなに条件が一つもそろ ってないところは到底他のチームとの関係でい ったらプロには入れないだろうというふうに言 われていたのですが、最終的には8チームの予 定を 10 チームにして、10 番目で初年度に鹿島 アントラーズはプロに参加することができたん です。 その時の逸話といいますか、 「シックス・ナイ ンの奇跡」。これがおもしろい話といいますか、 県、町、企業あげて大陳情活動をいろいろやっ ていたんです。今、通産省の事務次官をされて いる北畑さんが当時茨城県の商工労働部長で出 向されていて、彼が中心になってこの参入活動 をやった。シックス・ナインというのは何かと いうと、要するにないないづくしの住金がJリ ーグに加入する確率というのは 99.9999%あり ませんと、最後の最後で断言されたんです。当 時、プロリーグ準備室長は今の協会の会長をし ている川淵さんでした。北畑さんと川淵さんの やりとりの中で、そんなことを言われた。それ がシックス・ナインの奇跡です。 その時の状況を住友金属の社内紙で川淵さん と、後に初代の監督になった宮本さんとの対談 で書いている。川淵さんが、とにかく住金がJ に加入できる確率は限りなくゼロに近かった、 スタジアムは本当にできるのか、周辺人口が少 なすぎる、観客動員は大丈夫か、交通アクセス はどうするのか、JFL2部、真ん中辺のチー ムの実力で本当にプロでやれるのか。そうは言 っても粘り強く粘り強く何度も頼みに来る、そ れで最後の最後にもう諦めさせるために、 99.9999%、すなわちシックス・ナインも住金は 無理よというふうに言った。 そうしたら北畑さんが、その残りの 0.0001 って何ですかと逆襲された。川淵さんは断念す ると思って日本で初めての屋根付きのサッカー 専用競技場でも2年間の間につくってくれれば 補欠ぐらいにはできるかもしれないと、こうい うふうに苦し紛れに逃げたわけです。それで諦 めるだろうと思った。そうすると北畑さんは、 補欠では金を出すのに議会も通らない、もしス タジアムができたら補欠でなく、初年度からJ に入れてほしいと、こういうことで言質をとっ て、それで8チームを 10 チームにしてスタート することになったわけです。 到底無理だろうと言われていたのは、もう一 つは清水エスパルスというチームです。清水が 9番目、鹿島が 10 番目という、こんなことでぎ りぎりスタートできたわけです。ただ、清水も 鹿島も当時プロリーグ準備委員会が考えていた、 要するに企業スポーツ、学校スポーツの延長で はなくて、日本ではなかった地域スポーツ、日 本のスポーツに風穴をあけるんだ、地域のみん なで盛り上げてもらえるようなスポーツ界をつ くるんだと、こういうものの考え方にはある意 味で清水と鹿島が一番ピッタリだったわけです。 強いチームがあるわけじゃないし、大きな企業 がお金を出してやるわけでもないし、要するに 地域挙げてやるんだということで当たった。 川淵さんが回顧談で、これは仕事にも人生に も当てはまることですが、物事は最後の最後ま で諦めてはいけないという典型的な例だと思い ます。関係者の努力には頭が下がる思いです。 一方、北畑さんは、その後何かの雑誌の中で、 背水の陣で仕事をしていた人たちとの巡り合い、 そして今思えば恥ずかしい幸運な錯覚が鹿島の 奇跡をもたらした、まさか優勝してスタジアム が満杯になるとは夢にも思わなかった、これは 奇跡でも幸運でもなく、地元の努力の賜物だ、 私も背水の陣で取り組む方がよい仕事ができる という貴重な経験をしたと、こんな感想をもら されています。 それからその次に準備です、さあやっと入れ た、入れたけれども、Jリーグが開幕するまで -46- に2年しか期間がありません。この2年間にと にかく全く何もない、砂地みたいなところにプ ロとして興業していく上でのものをつくり上げ なきゃあいけないんですね。当時の鹿島を中心 にした5町村と41 社、縁もゆかりもない会社 から出資を募って、合計 46 団体で資本金を出し 合って鹿島アントラーズFCという株式会社を つくりました。運営会社です。 スタジアム、これも全くなかったんですが、 2年間で土地の収用から始まって、当時日本に は一つもなかった全席屋根つきのセルフシステ ムのすばらしいピッチをもったスタジアムを建 設しました。その他、チーム施設、これもグラ ンドを5面つくって、クラブハウスをつくって、 選手の独身寮をつくって、その次のチーム強化、 これも先ほど申し上げましたように、日本で 20 番目ぐらいのチームですから、根本からやり変 えなきゃあいけない。 皆さん御承知だと思いますが、ジーコとかア ルシンドとかサントスとか、そういう有力な外 人を3人とりました。それで日本人も本田技研 という会社から監督マネージャー以下ごっそり 7人の選手を引き抜きました。結局、それから 2年たってJリーグの開幕の時にスタメンで出 ていた旧住金の選手というのは1人しかいませ ん。あとは全部外人とよそからスカウトしてき た人たちでした。 それからボランティア団体が組織化というこ とで、やっぱり2万人4万人収容の試合をやろ うと思えば、大体チケットを切る人から席案内 する人、駐車場の管理をする人から、随分人が いる。 これは何とかしなきゃあいけないということ で、結果、町の外郭団体で鹿島町文化振興事業 団といいましたか、遺跡が出た時に竹べらで掘 って発掘する作業のお手伝いをする、そういう ボランティア団体があったんです。町のおじち ゃん、おばちゃんが中心ですけどね。その団体 に文化振興じゃなくて、文化スポーツというこ とでスポーツを一つ入れまして、そのおじちゃ ん、おばちゃんたちにスタジアムでの試合の時 のいろんなボランティアをやってもらったとい うことがあります。 苦し紛れの手だったんですが、結果的にはそ ういうことが何か皆さん今まで見たこともない ようなサッカーの試合というのはどういうもの なのか、どういう賑わいなのかということは、 そのスタジアムへ行ってボランティア活動をす る中で皆さん、肌身でもってつかまれたという ことで、結果的にはよかったかなというふうに 思っています。そんな参入活動がありました。 さてそれから2年たって 93 年5月に開幕を いたします。 「さらなる夢を目指して」と書いて いますが、Jリーグ開幕は目指した地域活性化 への起爆剤としてのゴールではなくて、Jリー グを機運にして、ワールドカップを日本に呼ん できて、このへんぴな鹿島の地でワールドカッ プが開催できれば、おそらくインフラも整うだ ろうし、知名度も上がるだろうし、まあ 10 年後 のワールドカップを実現できれば、我々が目指 してやってきた地域活性化はある程度できるん じゃないか、Jリーグが開幕する 93 年5月とい うのは、まだ途中段階ですということをイヤー ブックでインタビューを受けてしゃべっている。 結局それから 15 年たちました。Ⅳ番目に成績 というのがありますが、大きなタイトルはJリ ーグの場合はリーグ戦とカップ戦と天皇杯と、 この三つが大きなタイトルです。15 年間で1年 だけJのカップ戦をやらなかった年があるから、 44 大会ありました。そのうちアントラーズは優 勝が 11 回、これはもちろんダントツのトップで す。やっぱりファイナリストというのは非常に 価値があるんです。ファイナリストという意味 で準優勝まで入れると合計で 18 回、これはすべ ての大会の 40%ぐらいは2位以上に入ってい るという立派な成績を収めております。 一方、経営的にどうかということで見ますと、 Jリーグは各チームともみんな経営内容を開示 するようにしています。自治体とか、資本関係 も取引もない企業にも出資を頼んだりしている わけで、常に経営情報は開示して透明度をあげ るべきだ、そういう考え方でJリーグは数年前 から全クラブの収支を出しています。 07 年度の決算で、営業収入が僅か 39 億。こ れはまさしく中小零細企業のレベルです。ただ、 見た目は派手ですから、風当たりは強い。大き な会社かなというふうに思いますが、実をいう とこの程度のレベルなんです。それから営業損 益、経常損益が 1.8 億、当期純損益は 1.6 億、 こういうことですね。 こういうプロスポーツの経営というのは本当 に難しい。特にサッカーの場合は、収入につな がるのはホームゲームだけです。相手先のチー ムへ行ってやる時には経費はかかっても収入は -47- ない。ホームゲームというのは年間に 20 試合し かない。極端なことを言えば1年のうち 20 日開 店している店と同じようなこと。営業日数が非 常に少ない。 収支構造そのものが、収入は非常に不確定、 不透明な性格。例えば天気が悪ければお客さん は入らない、チームが負けておれば入らない、 そんなことでとにかくまちの水商売と一緒で、 店を開けてみなきゃあどれだけお客さんが入っ てくるかわけがわからない、不確定な収入です。 ところが支出はほとんど 90%固定費です。選手 と契約した人件費、施設の費用、ほとんどが固 定費ということです。そういうことで非常に難 しい。 なおかつ経営と別に勝つことに対して物すご い要求が強い。よく親会社の人とも話したんで すが、まあ大企業と違って株主総会を毎週末土 曜日にやっているようなもんやなと、こんな印 象ですね。埼玉でサポーター同士がぶつかって 怪我したとか、表に出ないけれどもそんなこと がしょっちゅうある。本当になかなか難しい。 スポーツして勝つことは、ある意味では夢であ りロマンである、経営の方はそろばんです。ロ マンとそろばんを両立させるというのは非常に 難しい。 実はアントラーズも今から7~8年前は累積 赤字が 30 億ぐらいたまって、債務超過が9億ぐ らいの時期がありました。人件費が高くて、お 客さんは当時は 15,000 人のスタジアムでしたか ら、それ以上は入れない、試合数もふやせない、 そういう状況で、債務超過の状況になっていま した。しかしながらその後いろいろ増資をした り、収益を上げたり、それから資本準備金を取 り崩したり、いろんなことをやって現在は特に 問題になるような財務状況にはなっていません。 今日のテーマは地域活性化みたいなことなの で、15 年間やってきて活性化効果は何だと、例 えば知名度が抜群に上がった、地域の人々が自 分たちが生まれ育った、住んでいる地域に対し て非常に愛着ができた、地域の人同士がスタジ アムで一緒になって、いろんな団体に入って活 動することで一体感が生まれた。あるいは地域 に対する誇り、子供たちが親の転勤で違う地方 へ行った時に、アントラーズの鹿島から来まし たと誇らしげに自己紹介をするという話も聞か されたりもするんですが、要するに地域に対す る誇りです。 それから各種のネットワークです。人間関係 が希薄な昨今ではありますけれども、家庭、職 場、そういうところでの話題の一つがサッカー の話です。昨日の試合はどうだったこうだった、 誰がどうだこうだという、そういう共通の話題 ができた。サポーターの集団に入ったり、ボラ ンティアの集団に入ったりということで、地域 のいろんな有形無形のネットワークができて、 その中で皆さん方本当に楽しんでおられる。 もう一つは地元の小中高のサッカーのレベル が飛躍的に上がりました。これはなぜかという と、単にプロのチームがそばにあるからという ことだけじゃなくて、サッカーの場合は小学校 や幼稚園ぐらいからチームの下部組織をつくっ て、そこでサッカーを教えているんです。そう いう子たちが、例えば中学校のジュニアユース から高校のユースに上がらない子供たちが地元 の高校のサッカー部に行くわけです。自然とそ ういう意味ではレベルが上がる。いろんな意味 で国内外の交流というのもふえてきました。 少し違う視点でどんな活性化があり得たかな というふうに調べて数字をもってきています。 一つはインフラ整備です。02 年のワールドカ ップの開催地になったことによって、15,000 人 から 40,000 人収容の立派なスタジアムができ あがった。あるいは潮来の方から鹿島の方へ入 って行く懸案であった第二神宮橋がワールドカ ップに合わせてできました。その第二神宮橋と スタジアムまで結ぶアクセス道路が 10 キロぐ らい新しく道ができました。 都市型ホテルの鹿島セントラルホテルという のがワールドカップ用に新築されました。それ からサッカーブームということもあって、あの 地域で天然芝と人工芝のサッカー場が 62 面あ ります。子供たちは東京や神奈川や関東近郊か ら合宿と称して鹿島地域に来て、旅館に泊まっ て、サッカーの練習をしたりということをやっ ています。こういったインフラが進んだという ことです。 私は何をもってその地域が活性化したかとい うと、私はやっぱり人口だと思う。いろいろ調 べてみました。一つは「定住人口」、鹿島アント ラーズができる前とできた 15 年後でどう変わ っているかというのを調べてもらいました。ち ょうど鹿島町は途中で大野村と合併して今の鹿 嶋市になったものですから、その起点となる 92 年の人口、鹿島町と大野村は 59,894 人。08 年 -48- には 65,000 人で、やっぱり 10%ぐらい人口が ふえている。過疎化、人口移動が進む日本全国 の様子を見た時に、これだけへんぴなところで たとえ 10%といえども人口がふえつつあると いうのは、私はかなり値打ちものだなというふ うに思っています。 それからもう一つは、 「交流人口」ですが、東 京の人が鹿島に来たり、鹿島の人が神奈川へ行 ったり、そういう人の交流です。92 年、Jリー グができる前は、あそこは鉄道があるが、1時 間 40 分かかる特急は朝夕一本ずつしかない。ほ とんどものの役には立たない。実際はみんな高 速バスで移動する。その高速バスが 92 年度は東 京向けだけ、1方向で年間 40,000 便、利用者は 111 万人。ところが去年はそれが4方向にふえ て、便数も 70,000 便にふえて 164 万人というこ とで、53 万人、47%交流人口がふえているとい う数字が出てきています。 その他にサッカーの時には車で来る人も多い。 今鹿島スタジアムの周辺の駐車場能力は 13,000 台もっています。そこが大体満杯になり ますから、サッカーのある日はこのバスに加え て、乗用車で 13,000 台ぐらいが来てる。へんぴ な過疎地としては、本当に着実に定住人口、交 流人口ともにふえてきていて、活性化している と思っています。 その他では、 「スポーツ振興施策」というのが あります。アントラーズの例でいいますと、テ ニスやミニバスケットやら剣道やら大会をつく って、いろいろと子供たちと触れ合う機会をつ くっています。 その他に本業のサッカーの方ですが、サッカ ースクールを茨城県内全域でやっていまして、 先生をそこへ派遣するわけです。サッカースク ールの子供たちが強化目的でつくっているチー ムは 271 人、普及振興目的でやっているのが 1,900 人、だから 2,200 人ぐらいの子供たちが アントラーズのプロの指導者の指導を受けなが らサッカーにいそしんでいる。強化目的のチー ムは大体ほぼ毎日練習しています。普及振興目 的の人たちは1週間に一回か二回先生が出向い ていって子供達にサッカーを教える、こんなス ポーツ振興施策もやっております。 それから最後になりますが、カシマスタジア ム指定管理者、アントラーズは一番先に手を挙 げて、若干2~3社競合したようですが、最終 的には県の指定管理者になりました。したがっ て今はアントラーズはカシマスタジアムの大口 利用者であると同時に管理者でもあると、こう いう位置づけになっている。 利用実績、05、06 年度というのはちょうどそ の指定管理者切りかえの時期で、指定管理者に なる前となった後のフルの年度で比較していま すが、利用人員が 30%ほどふえています。特に サッカー以外の利用日数が従来は 11 日だった のが 316 日になっています。ほぼ毎日のように 施設を使っている。 大きなスタジアムのコンコースの下にいろん な諸室があります。経済産業省の健康サービス 産業創出支援事業にお願いして、18 年度に委託 事業として受けることができました。カシマウ ェルネスプラザということで、そこにあの地域 の人たちの利用者の登録が今 2,900 人ある。そ のうち有料で通ってくる人が 600 人ぐらい、こ れは専門家のいろんな健康診断も含めて健康サ ービスのプラットフォームとして大いに活用し てもらっています。 特に3階部分のコンコースを一周すると 630 メートルあるんですが、そこにゴムピッチのト ラックを一周作りました。そこでジョギングを したり、ウォーキングをしたりというようなこ とでもよく使っていただいています。結果的に は利用もふえ、収支も改善したということで、 目的どおりカシマスタジアムの利活用、効率化 にも大きく寄与しえているという状況です。 少しまとめて申し上げますが、私の個人的な 感想になりますが、健康とかスポーツビジネス にかかわる事業、スポーツ文化とそれから地域 社会の発展、そういったものに貢献するんだと いう姿勢を理念として強くもつ必要があった、 強くもったからこそうまくいったと、思います。 とりわけ文化性とか公益性を強調することによ って、地元自治体の協力支援も得られるし、住 民の方々の参加活動も大きく変わってくるとい うことで、業界の人間としては、そういう理念 を強くもって事業にあたるというのが大事とい うことが一つ。 もう一つは、人々というのは、今や豊かな時代 ですから、どうしても超一流のものにしか関心を 示さない。やるのなら徹底して一流のものをやら ないと、中途半端なものでは人々の関心は引けな いというのがこの 15 年間見てきて痛切に感じた りしている次第です。これで終わらせていただき ます。どうもご静聴ありがとうございました。 -49- Ⅱ.スポーツ健康宣言および地域スポーツ振興賞の創設について 司会 私どもの会長であります斎藤敏一より スポーツ健康宣言ならびに地域スポーツ振興賞 の創設についてお話をさせていただきます。 斎藤 本日の日付で、わたくしたちスポーツ健 康産業団体連合会会員は、事業を通じてスポー ツ健康産業の振興を図り、豊かな国民生活の実 現とわが国経済の発展に寄与するため、次の目 標を掲げ、ここに宣言します。 〈スポーツ健康宣言〉 1.スポーツ健康産業の振興を通じて、スポーツ人口の拡大をはかります。 2.国民とスポーツ健康産業界のリレーションシップを築けるよう橋渡しを行います。 3.スポーツ健康産業の共通課題に取り組み、スポーツ健康産業の地位の向上と発展をはかります。 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 斎藤 このスポーツ健康宣言につきましては、 昨年我々理事の間でいろいろ検討した結果、ス ポーツ産業団体連合会をスポーツ健康産業団体 連合会と変更し、さらに幅広く活動しようとい うことで、この宣言をこのシンポジウムに合わ せてつくり、今日の発表になった。我々はこの シンポジウムを重ねながら政策提言もしていき たい、今後さまざまな研究も重ねていきたいと 思っております。 私はテニスが趣味ですが、テニスをしている と我を忘れて楽しく2時間ぐらいアッという間 にたつんです。ただ歩くのはつらいけど、見ら れることを意識しながらポールをもって歩いた ら、楽しく歩けるのではないだろうか、あるい はそのポールを縮めてその歩く場所まで持って いき、ワクワクと歩きたいとか、そういうよう なことを我々産業人がお役所とも相談しながら 開発して、楽しく運動して、いつの間にか健康 になったということを実現できるような社会を つくっていきたいという思いを込めて、今回の 宣言に至ったわけです。 また、我々はささやかながら地道に地域スポ ーツ振興賞をつくって、本年の3月に第2回の シンポジウムを予定しておりますが、そこで草 の根の団体を探して表彰してさし上げたい。 原田先生にこのスポーツ振興賞も委員長にな っていただき、選考委員会も充実させて、半年 間、草の根の団体を探し出して、ぜひ表舞台に 出ていただく団体になっていただこう。ぜひ次 回の3月のシンポジウムの時にはここで発表で きるようにしたいと思いますので、御支援をよ ろしくお願いいたします。 司会 -50- どうもありがとうございました。 Ⅲ.パネルディスカッション スポーツは地域の未来を拓く ~スポーツビジネスによる地域活性化について~ コーディネーター:荻 原 健 司(参議院議員経済産業大臣政務官) パ ネ リ ス ト:佐 藤 健 一(カーリング チーム青森代表、青森市副市長) 野 川 春 夫(順天堂大学スポーツ健康科学部教授) 藤 井 純 一(㈱北海道日本ハムファイターズ代表取締役社長) 司会 ただいまから「スポーツは地域の未来を 拓く~スポーツビジネスによる地域活性化につ いて~」をテーマに、パネルディスカッション を行います。コーディネーターを務めていただ きます荻原健司様を御紹介させていただきます。 パネリストの方々の御紹介はコーディネーター の荻原政務官からさせていただきます。 荻原健司様は、冬季オリンピックノルディッ クスキー複合団体種目で連続金メダルを獲得さ れました。現在は参議院議員で、経済産業大臣 政務官をされておられます。それでは荻原政務 官、よろしくお願いいたします。 荻原 皆さんこんにちは。現在、経済産業省の 大臣政務官ということで活動させていただいて おり、また、役所の仕事の中でもスポーツ、あ るいは健康産業等いろいろな活性化について仕 事をさせていただいております。 まず第1部、私が牛島さんのお話を伺っての 印象というか、感想を簡単にお話をしたいと思 っております。茨城の鹿島につきまして、当時 は過疎貧困ということで大変な地域だったとい うお話を伺って、今の姿から全く想像ができな いなという印象をもちました。今、鹿嶋市は当 時のお話がうそのようなぐらい大変発展をして おります。 また、現在経済産業省の事務次官である北畑 さんがよく言う当時のエピソードの中に、特に あの地域はかつてから暴走行為をする若者が大 変多かった、それが今はいなくなった、全員が 鹿島アントラーズの応援団になったということ で、まちの活性化の一つとしては非常にこれは いい話だということでよく紹介をしていただい ております。 また、あそこは大会になりますと確かに駐車 場が不足をしているのですが、しかしそれを補 うように地域の民間の方々が自分のところの余 った庭先とかをお貸しになっています。ですか ら大会があると、地域の住民の皆さんが駐車場 管理とか、駐車場でまた稼ぐというか,いろん なおもしろいものがあり、本当に鹿島に行くた びに、つくづく不思議な思いで見させていただ いております。 先ほど、住金さんのお話もありました。雇用 対策、当時は「おまえは今度は茨城の鹿島に配 属だ」と言うと、みんな嫌がったそうです。 「い や、あんな過疎の田舎なんか行きたくない、だ ったら会社を辞めます」ということで、会社を 辞めるぐらいの地域というか、あそこには行き たくないというのが当時はあったそうですが、 最近では住金さんの若い従業員さんも、入社す るとぜひ鹿島で仕事をしたいという方がふえて きたということで、これもやはりいい傾向だな ということを伺ったことがあります。 いずれにしましても、本当にスポーツを通じ た地域貢献をするんだという本物の理念という ものがなければ成功しないという、最後の理念 とやはり本物を追求する、この二つはまさに重 要な点だなということを改めて教えていただき ました。 さて、第2部ということで、早速パネルディ スカッションを開始してまいりたいと思います。 まず最初に本日のパネリストの皆さんを御紹介 をします。カーリングチーム青森代表で、また 青森市の副市長さんでもございます、佐藤健一 様です。よろしくお願いいたします。 -51- 昨年続けてパ・リーグ二連覇をするわ、3年目 で日本一になるわということで、きょうは呼ん でいただいたんじゃないかなと思います。 私は牛島さんと一緒に一時サッカーにおりま して、7年ぐらいサッカーにたずさわっており ました、野球もサッカーも一回もやったことが ない人間でございます。あくまで地域活性化と 言いながら、いかに我々の球団が自立してもう けられるかということに徹しておりますので、 そういう話になると思いますが、よろしくお願 いいたします。 続きまして順天堂大学スポーツ健康科学部教 授の野川春夫様でございます。よろしくお願い いたします。 続きまして株式会社北海道日本ハムファイタ ーズ代表取締役社長、藤井純一様です。よろし くお願いいたします。 それではまずお一方ずつ自己紹介をいただけ ればと思います。佐藤さんの方からお願いでき ますでしょうか。 佐藤 御紹介いただきました青森の佐藤でご ざいます。チーム青森女子カーリングというこ とで、トリノオリンピック以来大変皆様の御声 援をいただくようになりました。 そのことは 20 数年前に青森でカーリングを 始めた時からの一つの夢であったわけでありま すが、一つこのことによって青森のまちが元気 になってきた、そして人々がカーリングは楽し いものだと広く認知していただけるようになっ た、それが日本全体のカーリングにとっても非 常によかったかなと思っています、まあ小さな アマチュアスポーツでも頑張ればそれなりのこ とでできるんだということの一つの事例として 皆さんに御紹介できればと思ってまかり越しま した。よろしくお願いいたします。 荻原 では野川さん、お願いいたします。 野川 順天堂の野川でございます。私の方は生 涯スポーツといいまして、ライフロングスポー ツというふうな研究をしております。いろんな 人間がいろんなイベントをやったり、日常的な 活動をするからこそ、そこにビジネスが生まれ る。そういう生涯スポーツのことをミュンヘン オリンピックのゴールドメダリストの田口先生 が、私も鹿屋にいたのですが、私に対して「野 川さんいいところに目をつけたね、いわゆる生 涯スポーツは商売スポーツだ、ビジネスになる」 ということをおっしゃいました。スポーツの商 品価値というお話を今日はさせていただきたい と思います。よろしくお願いいたします。 荻原 では藤井様、よろしくお願いいたします。 藤井 ファイターズの藤井でございます。東京 にいる時はあってもなかってもよかった球団が、 札幌に行くと何でお客さんが入って、去年と一 荻原 まず初めに私の方から議論に入ってい く前に、本日のテーマについて問題提起として 少し投げかけてみたいと思っております。 全国各地において、地域活性化のため地域経 営資源を活用したさまざまな取り組みが展開を されているところです。近年はそのツールとし てスポーツが大変重要なコンテンツになりつつ あります。スポーツはもともと次の三つの経営 資源が重要というふうになっていると思います。 まず一つが各種の施設、例えばスタジアムであ るとか、競技場、グラウンド、アリーナ、体育 館、プール、ジム、フィットネス施設、学校、 大学施設、宿泊施設といった施設、これはハー ドと言えると思います。 二つ目はこれらを運営するサービスマネジメ ントのシステム、一言でいうとマネジメントだ と思いますが、例えば大会イベント運営、集客 マネジメント、施設等の管理、選手等の人材育 成、また記録とか情報の管理といったソフト、 大まかに言ってこの二つ目はマネジメントソフ トということだと思います。 三つ目がこれらを支える多様な人材、人だと 思います。例えばトップアスリート、選手です ね。そしてサポーターやファン、そしてスポン サー、指導者であるとか、審判、トレーナーと か栄養士さんもいると思います。さらにはスポ ーツドクター、いわゆる経営という意味で経営 者、マネジメント人材、また先ほどお話もあり ましたけれどもボランティア、そういった人材、 人、つまりスポーツビジネスの振興はこうした 三つの地域経営資源を生かすことによってより 多くの集客効果と地域経済の活性化をもたらす ものであると思います。 さて、 「スポーツは未来を拓く」というのが本 日のテーマであるわけなんですが、まずこの具 -52- 体的な効果としては、次の三点が主な効果とし て考えられると思います。まず、その一つは、 スポーツは人々の健康、また生活の豊かさの実 現を通じて地域活性化に大きく寄与するもので ありまして、そのニーズと潜在需要は極めて高 いということであります。 二つ目は、スポーツのもつ明るいイメージが 人々の活力向上、また地域のアイデンティティ 向上につながり、若年層から高齢者まで幅広い 層による熱い支持が得られる、期待されるとい うことです。 三つ目が、スポーツは人と人、地域と地域を つなげ、世界にまでつながるコンテンツとして の可能性があるなどであり、これらの点にスポ ーツ活性化の意義があると考えております。 また、本日はスポーツビジネスの意味または 内容についてもまずここで一つ明確にしておか なければならないと思います。スポーツの楽し み方につきましては、見て楽しむものと、自分 がプレイをして楽しむものがあると思いますが、 こうした人々のニーズと潜在需要は大きく、こ れらを満たすサービスを通じた大きなビジネス チャンスがあると思います。 また、スポーツや健康に対するニーズはすべ ての年齢層に強く、これらニーズに応える商品、 サービス提供には持続性が高く、ビジネスとし て民間企業だけでなく、NPO法人や大学、行 政など、非営利組織の事業領域も大きい。これ らを踏まえて、スポーツビジネスとは施設、サ ービス、人材といった三つの経営資源を生かし、 地域との連携の中で成立するという、総合的な 事業、ビジネスであると言えると思います。こ れが定義ということではないかと思っておりま す。 さて、本日はテーマを大きく二つ分けました。 テーマ1といたしまして、地域を活性化するス ポーツビジネスの事例紹介と問題点、また課題 の検証、二つ目が、これらを踏まえて地域を活 性化するスポーツビジネスの手法と展望という ことで、テーマ1、テーマ2に沿いまして討議 を進めてまいります。 さて、それでは早速テーマ1、地域を活性化 するスポーツビジネスの事例紹介と問題点、そ して課題の検証ということで、話を進めてまい ります。そこでまずこのテーマ1の狙いとして は、スポーツビジネスの振興を通じて、地域活 性化を目指す各地の先進的取り組み事例につい て、札幌の日ハムファイターズ、あるいは青森 のカーリングのお話をいただけると思いますが、 これらの事業の発端であるとか、地域に根づく ための努力であるとか、事業拡大のための取り 組み、御苦労ということについてお話をいただ きたいと思います。さらにあわせて地域経営資 源として、ハード、ソフト、また人材、こうい うものをどういうふうに活用していったのか、 またどういったところに諸問題があるのか、こ ういったことにもお触れいただきたいというふ うに思っております。 さて、牛島さんと御一緒にお仕事をされたと いうお話をされた藤井さん、東京にいたら全く 浮かばれなかったというお話がありましたが、 まず北海道、なぜ札幌を選んだのが、ちょっと お話を伺えればと思います。 藤井 野球って意外と各チームとも遍歴がご ざいまして、当然私どもも昔は東急から始まり まして、60 年の歴史の中で動いているわけです。 ちょうど 10 球団にしたらどうだとか、1リーグ 制がどうだとかという、スポーツビジネスとし て初めてJリーグというのがビジネスという名 目のもとで日本では動きだした段階で、野球に ついてはビジネスじゃないんです。 しょせん親会社の広告塔で、親会社からのタ ニマチで動いているという状況でございまして、 東京にあっても基本的にはビジネスとしては成 り立たないという状況でございましたから、日 本ハムは関西でサッカーチームを今2部へ落ち ていますが、セレッソ大阪を運営をしておりま したので、その時に地域密着ということを非常 に勉強させていただいたので、じゃあ東京でや っていても地域がどこかわからない、もともと 日本ハム出身の四国とか、それから長野とか静 岡とか、札幌とか、こういうところに移転をし なければ地域密着活動はできないねということ で検討したようです。 最終的にはやはり札幌ドームという、一つの ハードいう部分が非常に魅力的であった、現実 的にはやってみると非常に使い勝手の悪いスタ ジアムだったのですが、でもなかなか見た目は いいし、冬でもできるというハードがございま して、そこへ移転したというのが本当のところ です。札幌、北海道からも来ていただきたいと いうお互いの関係もできましたので、移転が決 まったと思っております。 -53- 荻原 藤井さんはかつてはJリーグのセレッ ソ大阪の社長さんでもあったということですが、 日ハムを札幌に根づかせるという地域のことを 考えて取り組むという上で、このセレッソ大阪 での取り組みというのは大分生きたわけですか。 藤井 野球とサッカーという競技内容は違う のですが、ファンサービスとかお客様サービス で、しょせんサービス業でございますから、そ れは野球でもサッカーでも全然変わらなくて、 やはりサッカーの時代にいろいろ教えてもらっ たことが非常に役立っているということです。 基本的には同じことしかやってないと言えます。 荻原 私はかつてスキーの選手をやっていた 関係で、北海道の友人や知人が大変多いんです ね。当時、おまえはどこのチームのファンだと いうと、間違いなく読売ジャイアンツのファン だった。特に夏場は円山球場に巨人戦が来るの を、北海道の人たちは待ちに待って、夏が来た ら巨人戦だ、円山球場だと、そんな雰囲気だっ たんですね。そういうところによく乗り込んで いったなという気持ちもあるのですが、大変御 苦労もあったわけですか。 藤井 北海道の方は、熱しやすく冷めやすいと、 巨人のファンの人が 70%だからというような ことをいっぱい言われたんですが、でも反対に、 北海道の人たちというのは本当に北海道が大好 きなんですね。私みたいに転勤族ですと、自分 の故郷がどこだとか、自分の地盤がどこだと言 われてもなかなかピンと来ない、でも北海道の 人というのは本当に北海道が好きで、北海道に 戻りたいという方が非常に多いですね。それを 知りまして、本当にそれは我々にとってはつい ていた。 荻原 実は私の妻の実家は札幌なんです。妻の お母さんはスキーも含めて野球も含めて余り興 味がなかったそうなんですが、最近はよく日ハ ム戦に出かけるというんですね。どうしたの、 そんなに急に変わっちゃって?と言いましたら、 新庄さんが何だか印象的らしいんですね。やは り確実にファンというのがふえている。 そしてかつて読売ジャイアンツのファンだっ たという人たちも、今はもう日ハムのキャップ や、稲葉なんて背中にプリントされているユニ フォームを着て勢いづいています。 藤井 おかげさまで札幌ドームというのは女 性のファンが非常に多いんですね。それも 30 歳、40 歳、50 歳代の。昔はジャイアンツファン の方々は僕らみたいにおっちゃんがテレビを見 ていて、野球ファンやった、奥様方は野球を見 たことなかった、たまたま札幌にファイターズ が来て、新庄見たさ、ダルビッシュ見たさ、そ れから当時外人の監督ヒルマンでございまして、 そういう意味では非常にファンサービスを一生 懸命やってくれたんですね。 新庄も海外から帰って来まして、ファンがあ っての自分たちだということで、各地を回って サインをしてくれたり、そういう意味では新し い風を吹き込んでくれたから、それと、たまた ま若い選手ばかりでございましたら、みんなが 新庄にのせられて、おれも目立ちたいというよ うな形で、いろいろ選手が目立つ。それからお 客様も私はあの汚い顔をした小谷野よとか、礼 儀正しい稲葉さんがいいとか、そういう具合に ファンの人たち自身がたくさんいろんな選手の ファンになっていただいたということが非常に 大きい。 荻原 続いて佐藤さんにもお話を伺いたいの ですが、最近は青森のカーリング、有名ですね。 トリノオリンピック第7位ということで入賞、 もう世界に通用するチームまで成長されたとい うことなんですが、カーリングというスポーツ、 これはイギリスですか、カナダでは大変有名な スポーツだと思いますが、なぜ青森だったんで すか。 佐藤 今から 23 年前に青森市に県営スケート 場ができたんです。これは大変なことになるぞ と僕らちょっと危機感を感じました。 というのはスケートとかアイスホッケーとか、 まあフィギュアは余り青森は盛んじゃないので すが、八戸がメッカなのに、青森にあって青森 のスポーツ施設が何も使わない状態でどうしよ うという、それともう一つは、青森というのは 冬はどうしても雪が多いですから暗いんですね。 みんな元気がなくて、雪かきばかり一生懸命や っているようなところがありまして、当時の若 い青年会議所の連中とか、いろんな地域づくり に一生懸命だった市民グループが集まって、何 -54- かあのスケート場を何とかしてあげないと大変 なことになるぞ、氷を使って何か冬のスポーツ でやれる、今からとっかかっても何とかなりそ うなスポーツは何かといって、世界中を探して カーリングにぶちあたったんです。突然何もな いところにカーリングのルールブックを求めて カーリングの線を氷の中に書き込んで始めた、 とても電信柱に花を咲かせようという変な入り 方でスタートいたしました。 荻原 佐藤さん自身はカーリングは御存じで したか。 佐藤 それまでは知りませんでした。 荻原 御自身では何か他のスポーツはなさっ ていたんでしょうか。 佐藤 私は小さい時は野球をやっていました が、まあ青森ですからスキーはやっていました。 荻原 そこで地域の皆さんと相談した上で、カ ーリングというスポーツがいいんじゃないかと いうことですが、まずまちの皆さんの反応とい うのはどうだったですか。 佐藤 カーリングって何だべ? という状態 でした。見たこともないし、大体あのテレビで チラチラ出る時には何かひょうきんな、氷の上 でほうきを一生懸命やって、何であんなばかば かしいことをするんだよというシチュエーショ ンで使われているCMにちょっと出たのを見た ことがあるというのがせいぜいだと思います。 23 年前は。 ですからカーリングを始めますというと、じ ゃああの石どうするんだというと、実はセット が 120 万円もするんですね。石のセットだけで 8個8個 16 個、これは完全に1セットでなきゃ あ使い物にならないんですが、それを買うだけ で 120 万円かかる。何もないところで 120 万円 どうするんだというので、しょうがないからち ょっとみんな地域振興に意欲をもっている連中 でしたから、一人に5万円ずつ出してとかと言 って、5万円出せば初代の青森県カーリング協 会理事にしてやるとかと言って金を集めて、そ れでたらし込んで、今の市長は当時まだ商工会 議所副会頭だったんですが、そういった方から 金を集めてスタートした、強引にスタートした んです。 荻原 野川さんにちょっとお話を伺いたいの ですが、今のお話のような地域、実際何もなか った、でもかなり戦略的に今このスポーツで地 域振興しているぞなんていう地域は他にござい ますでしょうか。 野川 例えば鹿児島県の指宿。正月が終わって しまうともう誰も来ない。観光協会が大変困っ たんですね。それで1月2月は一番観光客が落 ち込むということで、成人式に合わせたような 形の菜の花マラソンというのをやりました。こ のイベントに協力してくれる地元のお店とか、 いろんなところを回りながらランナーが走るわ けですね。必ず協力した人たちはピーナツを出 してくれたり、まあ焼酎までは出さないんです が、外に出て応援してくれる。 それがだんだん始まっていくと、簡単に言っ てしまうと欲と二人連れというんですか、もう ただ単にボランティアでやるというような単純 な発想ではなくて、やはり自分のビジネスを進 めていくために、どういうふうなスポーツが観 光資源となるかという形でやっているのが指宿 の菜の花マラソンです。 それからもう一つは佐渡島のトライアスロン です。これは大体 5,000 人ぐらいの島民がみん ながワーとボランティアで出てくる。見る楽し みと、それからする楽しみ以外に、お手伝いす る楽しみという、そういう楽しみ方の方々が最 近は参加型でどんどん出てきた、その人たちが ソーシャルキャピタルとして大変おもしろい。 トライアスロンの場合には必ず前々日に入って、 それが自転車や何かのチェックをしてもらわな くちゃあいけないとか、それからコースの試走 をする、それで走り終わったらもうフェリーは ない、必ず3泊しないといけないというふうに 非常に戦略的です。 荻原 これはかなり戦略的ですね。 野川 これを一番最初にやったのは多分宮古 島のトライアスロンだったと思います。結局、 参加者を1日で帰さないようにするためにどの ような味つけとか、それから時間をもってきた らいいかというのが今いろんなところでやられ ていると思います。 -55- 荻原 札幌という土地柄を考えますと、藤井社 長、お客様を球場から出さないとか、そんなこ とはできないでしょう? しかしお客様からお 財布を開いてもらうという行為の仕掛けという のは何かありますか。 荻原 先ほど牛島さんのお話のように、地域の ボランティアの皆さんを使うというわけには、 なかなかいかないのかもしれませんが。 藤井 そうですね、とりあえず一番は、ファイ ターズの場合は集客なんですね。いかにお客さ んをたくさん入れるかということをメインにお いていまして、まずはチームの集客がふえれば、 当然マーチャンダイジングの売上げも上がりま すし、それから地域の地下鉄の乗車率も非常に 上がって、何か札幌市の地下鉄は黒字になった らしいですけど、それからドームの中の飲食も 売れる、それで我々にとってはスポンサーも当 然ふえてきたり、それから放映もふえるという ようなことがございますので、とりあえずは集 客をメインでやろう。 北海道といいましても稚内、釧路から6時間 かかるということで、基本的には平日は札幌の お客様しかやはり期待できないということもご ざいますので、集客のためのイベントとかとい うのは一生懸命努力してやっています。 荻原 具体的にどういうところでボランティ アを? 荻原 藤井さんはコストカッターという異名 をお持ちだとお伺いしました。収入をふやす一 方でコストを削るといった場合に、どういった ところのコストというのは削れるものですか。 藤井 まあ単純に言えば、しょせん今まではフ ァイターズは普通の会社じゃなかったわけでご ざいますから、言い方は悪いですが親方日の丸、 タニマチ経営でございますから、経費に対する きちっとした考え方をもってないというところ がございますから、それを普通の会社だったら 当然効率的な支出の考え方をするだけの話なの で、それをやるだけの話なんですね。しょせん 新しいことに投資をしていかなければいけない わけですから、そのためにはむだな経費を省い て、新しいことにお金をどんどん注ぎ込むとい う考え方でやっていってます。 だから警備の問題もそうですし、チケッティ ングについてもIT化をどう進めるかとか、今 までは人海作戦でやっていた部分をいかに効率 的で、またマーケティングデータもとれるよう にどうするかというようなことを考えていると いうところで、別に僕はケチじゃないですから。 藤井 いや使っています。 藤井 やはり今年はサミットもございますの で、ゴミの分別とか、それからチケットのもぎ りとか、身障者の方の御案内とか、そういうと ころに大体1試合 60 名ぐらい入っていただい ています。 荻原 そうしますと、例えば何か見返りがある んですか。それとも全く見返りを期待しないで やってくれということですか。 藤井 そうですね、基本的には地下鉄のウィズ ユーカードというのを1枚渡すだけですが、お 弁当も何も出しませんし、別に試合を見れるわ けでもないですから、それで一般募集して、400 人ぐらい登録していただいています。 荻原 カーリングの佐藤さん、青森も先ほど 86 年頃からカーリングを地域一体となって始めて いった、ただ単なるスポーツ振興だけではなく て、やはりある意味ビジネスベースに乗せてい くというような取り組みをされてきたと思いま す。私が伺ったところでは、カーリングバナナ とか、カーリングにちなんだ商品を提供して、 その売上げの一部を強化費、運営費に、そんな 取り組みをされておりますけれど、具体的な事 例をお話しいただけますか。 佐藤 カーリングバナナは大変ありがたいこ とに、トリノオリンピックへの出場が決まった という時点で、青森市内の青果の卸元が、じゃ あそれ用にこれから青森のカーリングを応援し ようじゃないかということで、卸値段の1%分 を寄付してくれるということで、このカーリン グバナナのシールを貼って売り出してくれたん ですね。 今は年間 150 万ぐらいの御支援をいただいて いるのですが、最初の 15 年間ぐらいは低迷して よくなかったんですが、カーリングがだんだん -56- 知られてきて、それが冬季アジア大会を契機に カーリング専用場を青森市内にある日突然つく っちゃったものですから、それで選手が集まる ようになってきて、そして日本選手権でも優勝 するようになった、いよいよオリンピックへも 出るようになったということを市民の皆さんが 自分たちの問題というか、自分たちの喜びとし て受け取ってくれて、これは誇りだ、カーリン グは応援しなきゃあいけないということで、一 番最初に支援を申し出てくれたのがこれですね。 私どもとしてはこのバナナだけは、他の支援し てくれるところよりもいつもいの一番で対応す るようにしております。大変ありがたい話です。 荻原 先ほど鹿島の自分の地域にプライドと いうのが芽生えたというお話だったんですが、 青森にも似たような状況というのはありますか。 佐藤 はい、それはやっぱりNHKのBS等で オリンピックであれだけ長時間ずっとカーリン グを放映してくれて、あろうことか、チームジ ャパンでなくて、チーム青森と叫んでくれたも のですから、これは私どもの作戦勝ちだったの ですが、それで大変成功したと思います。 カーリングはどうしてもそういうチーム構成 力みたいなものがあり、ローカルのチームがそ のままグローバルというところがございます。 青森という名前を聞くだけで、もう本当に半 年ぐらいの間はチーム青森チーム青森とみんな 全国どこへ行っても言ってくれる、それは青森 市民にとっては、また青森県民にとって非常に 誇りに思えたし、青森の皆さんにはとても元気 を与えたのだと思います。 荻原 86 年からの取り組みということであれ ば、おおよそ 20 年ということですが、その勢い というか、熱気というか、そういうものは変わ っていませんか。 佐藤 15 年間ぐらいは東北大会を突破するぐ らいがせいぜいで、ですから全国へ行くと片や ずっと歴史がある北海道、片やオリンピックで 勢いがついた長野にずっと青森は実は負けてい た。どうにも歯が立たないという状態が続いて いたのですが、先ほどの冬季アジア大会を契機 に、実は市長もカーリングを昔やった人でした から、私が当時助役でしたから、実はこれは武 道館をつくるという建前で、カーリング場を滑 り込ませてつくっちゃっているんです。 ですから当時議会ではさんざんなことを言わ れました。カーリング競技人口は何人あるんだ、 何でそんなことのために何億も金を使うんだと。 スポーツコンプレックスの中の一部ですから、 全体としてはわかりにくい構造になっているん ですが、面積計算をすると9億ぐらいになった んです。 ですからそれを冬季アジア大会のためにどう しても必要だという理屈をこねまわして、議会 を何とか通して、ともかく強いチームができて、 その結果トリノオリンピックから帰って来たら、 もう誰も文句を言わなくなりました。 荻原 野川さん、やはり今スポーツ施設を作り たいというのになかなかいい顔をする人はいな いんですか。 野川 やっぱりこれだけ景気が悪いと、税金を そんなに使うのかということに多分なると思い ます。大体 2002 年ぐらいまでにはすごい数のス ポーツ施設が建っているんです。ワールドカッ プの 2002 年の時で、一番高いのは 700 億円ぐら いお金を使った。税金をいっぱい使っていて、 その宴の後どうするかというのがやっぱり話題 になっていた。 やはり国体が回り始めていくとどうしても体 育館とか、陸上競技場を新築ではなくて改築と いう形でやっています。改築の時に例えば可能 であれば国際的なイベントももってこれるよう にということで、いろんなことをやってくると 今大変難しいんじゃないかと思います。 荻原 日本のスポーツ施設というのは、ある意 味エンターテイメントに対応できてない、単な る選手をスポーツ関係者の訓練施設であって、 エンターテイメント産業では考えてこられなか ったという意見もよくお伺いしますが、やはり そういうことでしょうか。 野川 いわゆる客をもっと入れやすいように するのか、お客がもっと見やすいようにするの か、あるいは選手が試合をやりやすいようにす るのか、そういう意味でのどちらなのかなとい うことと、ドーム球場になりますと気圧の関係 があるので、どことどこのドアをどういうふう -57- に開けたらいいかと、それは戦略的にあると思 うんですね。 ただ、2002 年のワールドカップですと、今日 産スタジアムというふうに呼ばれているところ は、一番高い 13 万円の席から見てもタッチライ ンのプレイは見えない。あるいはこの間世界陸 上のあった長居競技場ですと、やはり観客席が 余りにも奥の方になってしまっていて、アクシ ョンが見えない。例えば、ハイジャンプの決勝 が始まると、皆さんハイジャンプが見やすい席 へゾロゾロ移動します。そうすると何かの拍子 でテレビカメラが観客席を映した時に、空席が 目立ってしまうのです。たまたま先日、アメリ カのオレゴン州ユージーン市で全米陸上選手選 考会を見物しました。会場のヘイワード陸上競 技場はあまり大きくなく、非常に見やすい、そ れからトレーニングをしやすいというつくり方 をしています。 やっぱりスポーツ施設は競技力向上の振興の ためであるというのが第一義だから、そこでス ポーツ以外の何かのいろんなことをやろうとい うふうなアイデアには予算がつかない。それと もう一つは、施設はきれいに使うべきだ、壊し ちゃあいけない、だから今人気のフットサルは 公共体育館ではお断りされる。確かにサッカー ボールを思い切り蹴ると、天井や壁などがボコ ボコに壊れてしまうことがあるので、フットサ ルは断られやすいのですが、施設保護・管理が 第一主義という公共施設運営のメンタリティで は、これからの時代にはそぐわないと言えます。 荻原 はい、ありがとうございました。藤井社 長さんの方から御用意をいただいたパワーポイ ントで少しお話を伺えればと思います。 藤井 一番最初に何でファイターズは北海道 へ行ったかというところの部分を、パワーポイ ントに簡単にまとめています。 東京にいた時は日本ハム 100%の子会社でし たが、札幌に行きまして日本ハムが 74%ぐらい で、あとは北海道の地域の皆様の主要企業さん に出資をしていただいているという会社に変わ っております。 新球団の発足は 2004 年でございまして、4月 2日は雪の中の開幕(大体ファイターズの場合 はいつも雪の中の開幕になる)であった。それ から選手がみんなハイタッチをする。始球式が この時初めてありまして、2004 年から札幌ドー ムで試合を始めたわけでございます。 企業理念としまして、スポーツコミュニティ という言葉を使っています。地域社会との一員 として、地域社会との共生を図るということで、 いかに地域の中に入っていくか、地域の皆様方 に支持して愛されるチームになるかということ を基本的な企業理念として持っています。 経営理念は、チャレンジウィズドリームでご ざいまして、これは既成概念に縛られない夢を もった挑戦を実践するということで、今まで普 通の企業じゃなかったわけでございまして、タ ニマチ企業でございますし、非常に古い体質で あった。だから今までの体質を全部捨てたら、 何でも新しいことに挑戦しましょうということ で、経営理念としてやっています。 活動指針はファンサービスファーストという 言葉でございまして、ファンのためにまず第一 義のことを考えましょうというのが活動指針で ございます。 それを実現するためには当然チームの方は、 ファイターズは最後まで諦めないで、試合をす る、結果的に負けても、現実に優秀しても 10 試合のうち5割7分ぐらいですから、半分は絶 対に負けるんですね。私が見に行くけど全部負 けるわという人もいらっしゃるわけですね。で もその人たちに行ってよかったね、何か感動を 与えなければいけないという考え方なんで、最 後まで諦めない。打てないチームでございます ので、やっと打てるのが7回8回9回ぐらいに 打てるので、どうにか最後には追いついたり追 いつけなかったりというようなチームで、見て いるとハラハラされるようでございますが、そ ういう最後まで諦めるな。 それからフロントの方については、やはりス ポーツエンターテイメントを提供するために積 極的な行動を社員全部でやりましょうというよ うなことを基本的な活動指針にしています。 地域との関係は、開幕の時とか、いろいろ商 店街と一緒になって旗を出してもらったり、1 丁目から7丁目までありますので、相当長いで すけど、商店連合会の皆様方にやってもらうと いうようなことをやったり、それから学校訪問 で選手が年に4回ぐらい小学校を回ります。養 護学校も当然回るわけでございます。それから ベースボールアカデミー、これはサッカー教室 と同じような形でございますが、野球の場合は -58- 高校生は教えられないので、プロアマの問題が ございまして、サッカーみたいにピラミッド型 になかなかつくるわけにはいかないんですが、 ベースボールアカデミーというのをやっており まして、これは元プロ野球の選手6人がやって います。道内は当然端から端まで回る、それか ら夏になりますとサマーキャンプをやる、それ から 10 月からは高校に向かってクラブ活動を 終えた子供たちを高校の野球部に行くために塾 で徹底的にしごく、そういうことをやっており ます。 今の野球教室で、去年は例えば岩見沢から甲 子園に出たんですが、その中に選手が二人ぐら い、これはベースボールアカデミーの塾に中学 時代に来ていたというメンバーが入っていたり、 そういう意味では地域との関係が徐々にできつ つあるのかなという考え方になっています。 あとは選手より有名な、マスコットのB・B というのがおりまして、このB・Bは幼稚園を ずっと訪問しています。これも基本的に試合以 外の時にやっておりますが、応募が非常に多く て手が回らない。 札幌はいわゆる日本の東京みたいなところで、 北海道の東京みたいなところで帯広や釧路や網 走やいろんなところからみんな札幌に来られて いるということなので、地域を各回りまして、 そこの観光案内等は地域の皆さん方と一緒にビ デオ撮影をしてきて、札幌ドームで流す。そう すると当然昔私は北見出身やったけど、懐かし いわとか、こういうような話が出てくるという ような非常に地道でベタベタのことですが、そ ういうことをしています。 それから北海道という名前をつけさせていた だいておりますので、今年もやっておりますが、 帯広、釧路、旭川、函館については一軍の試合、 二軍の試合についてはその他の地域で、例えば 滝川とか網走とか、今度は黒松内という 2,000 人の町でやりますけど、そういうところで試合 をするというようなことをしております。そう いうコツコツした地域との関わりをしておりま して、札幌ドームが満員になりますと 43,000 人のお客さんが入るわけでございますが、こう いう満員になることを何回か実現することがで きるようになったという次第でございます。手 前味噌で申しわけございません。 荻原 それでは野川さんに、御説明いただけれ ばと思います。 野川 少子高齢化というところから、コミュニ ティスポーツビジネス、いわゆる地域スポーツ ビジネスがどんどん始まってきた、いわゆる文 部科学省が始めた総合型地域スポーツクラブ、 これだけ沢山あるのにほとんど知られていない。 愛知県半田市の成岩というところは大変有名 なところで、文部科学省の育成モデル事業だっ た。それで中学校の少年を守る会という、スポ ーツをやろうではなくて、少年を守るというと ころから出発して、親が自分の子供たちをどう いうふうにしたらいいかということで、一番集 まりやすいのはスポーツというキーワードだと いうことから始めて、ここは今、年間1億円ぐ らいの予算でやっております。 子供の心と体力低下が今問題で、文部科学省 の予算をどうやってもってくるかということを 上手にやりながらやっている。そしてウイング という体育館を上手につくって、そこにクラブ ハウスを指定管理者制度を利用して、いろいろ 最新のものをどんどんやっていくやり方でござ います。 神戸(ゴウド)スポーツクラブというのは、 岐阜県のクラブでございまして、やはりこちら の方はサポーター制度を導入して、1サポータ ー1万円ずつ出してもらい、一番最初は 40 万円 入ったんだけれども、それから3年たったら 170 万円、いわゆる 170 のスポンサーが入って いる。 それから元リクルートの金哲彦さんが、順大 に来られました。それで何とか地域ビジネスを やりたいという話でした。日本ランナーズをや ろうということで出発しました。それで現在い ろんなプログラムをやっているのですが、いわ ゆる地域ビジネスでどういうことができるかと いうのを、我々も一緒にやっております。 あとはやはりクラブの事業化ということで、 プロスポーツとか独立リーグというのが今どん どん出てきている。これはJリーグの影響が大 変強くて、地域密着型から地域活性化への貢献 という形で、独立リーグが今度は関西独立リー グもできそうだというのが出ております。地域 アイデンティティとかコミュニティ意識という ものをどうやって醸成するかというので、非常 にみんな知恵を絞っている。 野球の場合には野球の選手になりたいという -59- 人がいっぱいいるということで、アイランドリ ーグが発足し、やっているわけです。地域密着 だけではなくて、選手たちが待っているのでは なくて、自分たちから出て行って、いろんなフ ァンサービスをするという、これまでの「来た らサインしてやるよ」というようなサービスは 絶対にしないような形になってきた。彼らが一 番やりたいのは固定層、いわゆるリピーターを どうやって獲得するかということと、地域ビジ ネスとどうやっていって結びつくかということ をやっている。赤字続きで大変だったんですが、 どうやらリーグトップの香川はそろそろ黒字の 転換にもなりそうだという。 それでこういういろいろな問題があるのを、 どうやってクリアしていくか、特にNFL方式 のシングル・エンティティーという形でやって いるのが本当にいいのかどうかというのは、多 分出てくると思います。それをいわゆるまねし た形のBCリーグというのも今始まっている。 やはり多様な地域活動ということで、自分たち の一番強みをその地域に還元する。地域の密着 をやっているという事例がございます。 生涯スポーツのイベントとか地域スポーツイ ベントということで、いろんなイベントがござ います。日本スリーデーズマーチ、これも早稲 田の方々が始めた全米をずっと歩いたものを、 今度は埼玉県の東松山から歩く、これで始めて います。昨年 30 回大会がありまして、大体3日 間で延べ 11 万人ぐらいの参加者が来ます。12 億円ぐらいの経済効果が出てくることがわかっ ております。 結局歩くということだけではなくて、学校が この期間休みになりますので、小学生、中学生、 高校生が歩くという文化に触れていく、いわゆ る体力とかいろんな問題というのを、こういう ところで何とかしていこうというふうなやり方 でございます。 昨年から大人気の東京マラソンが一番いい例 なんです。私も今年走ってみました、大変おも しろいです。1万円出しても全然惜しくない。 参加者がいろんなところから来る。東京で走り たい、東京のいろんなところへ行ってみたい、 36,000 人、実は全員来ないと思っていたから、 Tシャツとかいろんなものをちょっと少なく用 意していたら、最後の 400 人に行き渡らなかっ たということがあったという嬉しい誤算があっ たそうです。 生涯スポーツイベントというようなことで、 我々はどうしても経済的な効果の話になるんで すが、やはり非経済的な効果という社会的効果 というのも非常に重要になる。残念ながらこれ の測定が非常に難しい。 国際交流ということでも、私の元同僚だった 長ヶ原君という神戸大学の先生がマスターズ甲 子園というのを始めました。会長は星野仙一さ ん。いわゆる一回も出たことがない、甲子園に 行きたい。マスターズ甲子園を始めた一番最初 は予選がなかったんですが、今年は 300 何校が 出場する予選が全国で始まった。これは何を意 味しているかというと、地域ビジネスとしてい ろんなスポーツイベントの予選がどんどん出て くる。この商品価値は大変ある。いわゆるノス タルジアイベントですが、こういうのが出てき たということです。 一番最後になりますが、ツーリズムが必ずく っついてくるのがスポーツイベント、それから スポーツ合宿というのを日本は昔からやってお ります。またスポーツ修学旅行は学校単位でや るということで、日本旅行社がこれに一番強い んですが、これをとっておくというのは非常に 安定財源ですよね。スポーツが目玉になって、 合宿をやったり修学旅行をする。スポーツ合宿 のメッカはなんと言っても菅平です。菅平の地 域振興としては、ハードを上手に充実させるこ とが重要です。スポーツ合宿を目玉にする場合、 ハードが充実していないと勝負になりません。 しかし、ハードを整備したところでストップし てしまうと、いわゆる箱物だけで終わってホス ピタリティがなくなる、ホスピタリティサービ スをどうするかがなかなか難しいというところ でございます。 Jビレッジは、東京から大体 270 キロぐらい ですばらしい施設で行ってみたい所ですね。J ビレッジの周囲にはスポーツ合宿ができる芝生 のグラウンドとか、体育館がいっぱいあるが、 それはなかなか有効活用されない。いわゆる露 出が少ないという典型的なことがわかりました。 今一番ホットなのは、多分スキーリゾートで す。 「ようこそジャパン」という国のキャンペー ンがありながら、余り日本人は知らないと思い ます。北海道の場合ですと中国人と韓国人の方 は1泊で帰っちゃうんですよね。平均1泊です。 それがオーストラリア人とかニュージーランド 人は平均 10 泊から 15 泊する。スキーの雪質で -60- 一番すばらしい場所がニセコだとわかった。じ ゃあ土地を買おうじゃないか、できれば通年い ようじゃないかというようなことで、ニセコは どんどん人気が出てきました。いわゆるアジア ナンバーワンの国際リゾート地になった。それ から地価が上がり始めた、いろいろなビジネス が始まった。直行便まで出てきました。 そして地域住民との交流。いろいろな組織の 一元化、これが本当はすごい重要なんです。い わゆる観光協会は観光協会だけでやって、教育 委員会は教育委員会だけ、あるいは別のセクシ ョンは別でやったりすると非常に効率が悪い。 これをどうやって束ねるか。これが成功した例 がニセコです。いわゆるエリアマネジメントと いう視点がある。 そして今年の2月ぐらいから同じようなニュ ースが出てきました。白馬五竜スキー場、この スキー場は北海道よりももっと近く、雪質は最 高のところだということで、今出てきた。やっ ぱり組織の一元化で白馬村の観光局が先頭に立 ってやる。欲と二人連れでないとうまくいかな いということがわかると思うんですけれど、プ ログラムの充実、それから地消地産という言い 方で地場の食べ物をどんどん提供する。それか ら広告活動でいかに知ってもらうかという、こ ういう努力が大変です。 最後はスポーツ修学旅行。然別湖を拠点でや っていて、どんどん人気が出てきて、体験メニ ューということで、いろんなことができる。こ のような多彩なイベント、あるいはいろいろな プログラムがありますということです。以上で ございます。 荻原 さて、テーマ2として地域を活性化する スポーツビジネスの手法と展望ということで、 お話を進めていきたいと思っております。 さて藤井さん、北海道内でもいろいろな地域 で試合を運営されているわけですが、やはり北 海道全体をしっかり見据えているということで すか。 藤井 そうですね。せっかく北海道という名前 をつけさせていただいたという点もございます し、札幌は非常に一極集中しているわけですが、 地方に行きますと、夕張を初め非常に厳しい都 市が多い、でも毎年毎年こういうふうに地道に 地方球場をやっていますと、3年目になります と、1年目はやっぱり釧路も満員にならなかっ た。3年間続けてくると、去年ぐらいからは全 然お客様が入れない状態になってきた。 そうするとやはり地域の皆さん方も非常に喜 んでいただけるというところもございますし、 どこへ行ってもファイターズが話題になる。ま あ北海道の方が本州へ行きますと、前はそうい う話じゃなかったらしいですが、最近「日本ハ ムファイターズはどうですね」という話が出て くるというふうに聞きますし、そういう意味で は地域の皆さん方にとって何か話題提供をさせ ていただいている。 それからもう一つは、やはり札幌だけ見据え るんじゃなしに、全道的に我々はお客様だとい う考え方をもっていますので、全道を見据えて できる範囲のことをやろう、もちろん選手が回 るのが一番いいのですが、選手は一応全道 10 都市は年末に2人ずつ1泊2日で回らすんです ね。サイン会をさせたり、夜は地域でパーティ をやらせたりして、うちの球団ぐらいしかでき ないからというぐらい、選手会が協力的です。 荻原 選手の方々、ファンサービスの時に、日 ハムの商品をしっかりPRもさせるんですか。 藤井 それは余り、親会社とのイベントの時も ありますし、反対に当然他の出資会社さんのイ ベントもありますので、その時によって変えま す。基本的には今日ハムという、親会社という 意識をしておりませんので、我々日本ハムファ イターズって余り言わない。北海道のファイタ ーズの藤井ですと、こう言うんですね。 これは自立しようということで、親会社はあ くまでJリーグと同じようにスポンサーである べきだという考え方をもっているところがござ います。地域の球団になりたいということがご ざいまして、日ハムとは余り言わなくて、ファ イターズというふうに言います。 荻原 野川さん、先ほど例えばスキーでニセコ とか長野の白馬の事例なども御紹介をいただき ましたが、これからスポーツビジネスの市場性 というか、あるいは可能性というものについて はどういうふうに見ておられますか。 野川 かなりあるとは思うんです。しかしビッ グビジネスにはなかなかなりにくいんじゃない -61- でしょうか。特にスペクテーター型のもので、 Jリーグがあって、プロ野球があっても、日本 だとフットボールはうまくいかない。ラグビー もあまりうまくいってない。いろんな種目であ とは何があるのかというと、フランチャイズ制 をしいた場合にどんなスポーツが来るか、ちょ っと読みづらいですね。 ではする方だということになってくると、そ れは残念ながらスポーツをするというのは、ま だ文化というよりも福利厚生的な意識が強い。 健康になるために、そしたらクラブに入ってス ポーツをするか、あるいは自分の家の回りを歩 くかというような話になってくる。それでクラ ブでやるというメリットがどのぐらいあるかと いうのが、まだなかなか浸透しないというとこ ろがありますが、マーケットは確実にあります。 特にメタボ、それから高齢者のこと、それから いわゆる少子高齢化の子供をどうやって調整力 があるといいますか、自分の体を自分でコント ロールできるような能力を身につけることとい うのが、もう学校だけではできなくなってきた とわかっていますから、それをどうするかとい った時に、親はいいプログラムであればお金を 払う、そういうは時代ですね。 ですからあとはどこでやるかという話と、そ れを完全にコマーシャルベースでやるのか、も うちょっと安めの地域ビジネスとして総合型み たいなものを広めてやった方がいいのか、この 辺はまだどっちとも言いようがないというとこ ろはあります。 荻原 今、野川さんから、市場性は可能性はあ るだろう、しかしなかなかビッグビジネスには 結びついていかないじゃないか、難しいという お話を伺って、先ほど牛島さんのお話、ロマン とそろばん、これはなかなか両立しない、ある いはさせるのは大変難しいということですが、 ここで佐藤さんにお伺いしたいのですが、この カーリングは普及振興をやっていく上で、この 辺の財政はどういうふうになされているんです か。 佐藤 まず青森の場合はカーリング場が非常 に安く使える仕組みをつくっています。1時間 1人 90 円、2時間で 180 円とかという、1シー ト借り切っても1時間 500 円とかといって、全 国的にも唖然呆然、おまえたちは何をやってい るんだというんですが、市役所でつくった施設 ですから、一応計算上のルールがありまして、 それ以上はとれないことになっている。 カーリング人口は一気にふえていますし、今 はもう休日は朝から、平日でも午後4時以降は ほとんど予約がとれない状態になって、ナショ ナルチームだから練習をさせろと言っても、ど こか先に予約をとったところに泣きを入れて、 何とかその時間だけ譲ってちょうだいといって やっているぐらいの状態で、本当はもう一つ必 要になってきているんです。 ただそれ以外のところになってきますと、余 り金の回りというのが見えてこない。大きな大 会をやる、またチーム青森のネームバリューで いろんなイベントをやった時に売れるものがた くさんあるといったような形での金の回りはで きますが、ちなみにチーム青森自体は年間で今 1,600 万ぐらいのチーム運営費で動いています。 その他に選手1人1人をサポートするために、 実質1年のうちほとんど働きに出ないけれど、 1年分給料を払うよというスポンサー企業が今 四つついています。もう一つは市役所ですから、 5人目は問題はないが。それぐらいの経済基盤 がないと、あれだけのチームがうまく回らない。 かつ、地域で何かやろうとすると、そういう トップチームを育てるだけじゃなくて、常にい ろんなレベルの大会を開き続けなきゃあいけな いといったようなこともあります。それを支え る人たちも必要ですが、例えば県大会はもちろ ん、東北大会はやります、日本選手権はやりま す、日本ジュニアはやります、高校選手権はや ります、それからアジアオセアニアゾーンのパ シフィック選手権はやります、世界選手権も去 年青森でやっています。 といったようなことをやっていくと、その都 度金はかかるわけですが、それが何とか回る程 度のスポンサーはついているというのが実情で す。スポンサーにとっては、それだけの見返り があるかどうかというのは、まだ未知数です。 地元の関係で、例えば 500 万お願いします、 1,000 万お願いしますというのは、何とか出し ていただいているというところが実情です。ス ポンサーにとってはそれだけのメリットがある とはまだ思えません。 ただ、カーリング、またはチーム青森という 名前をNHK-BSを初めとして出してくれま すので、そこは金に換算できない部分で、それ -62- からうちの企業では例えば山浦選手をうちは使 ってますよ、それからうちはスキップの目黒選 手を使ってますよというのはみちのく銀行とい う、青森のローカルの銀行なんですが、最近テ レビにボンボン出していまして、これは非常に うまく使っている例だと思います。 選手を1人1年間食わせるというとやっぱり トータルで 500 万ぐらいの金はかかる、その他 にチーム運営費で 1,600 万という金がかかって いる、それをサポートするためだけの財源的な 裏打ちが必要ということです。 荻原 そうすると今のところは財源であると か、その収支という意味ではそんなに心配して いないということですか。 佐藤 おかげさまでトリノオリンピックでち ょっとお金が集まったやつを今基金として積ん でおりまして、それを少しずつ崩しながら、J OCの補助残の3分の1とか4分の1の地元負 担分を支払っているという状態です。 荻原 しかし市からの持ち出しというのは? 佐藤 ありません。それは実質安いお金で今の 施設を使っていただいているということだけで す。それは一般市民もみんな一緒ですから。 荻原 野川さん、藤井さんのケースというのは 民間主導と言えると思います。また、佐藤さん のケースは行政主導型と言えるんだと思います が、野川さんから見て、この民間主導なのか、 行政主導なのか、この辺について何か御意見は ありますか。 野川 スポーツビジネスを本当に進めようと すると、やはり民間の知恵を借りていかないと 無理である。PPPと言い方で、いわゆるパブ リック、プライベート、パートナーシップ、こ れを実現させようとしたら、いろいろな条例と かというものをもうちょっと緩和していかない と実現はできない。 例えばの話ですが、現在は公共スポーツ施設 ですと、利用料金制度になっていて、上限が決 められている。やっぱり上限が決められている ということは、例えば一番人気のある時間帯に 一番いいプログラムもそれほど高くなくて提供 せざるを得ない。これはビジネスからいったら、 ナンセンスな話。これは需要と供給の関係です から、それは当然スポーツツーリズム的に言っ ても、飛行機でもそうですし、ハイピークの時 には値段が高くなる。それを上手にスポーツビ ジネスに生かしていくやり方というのはどうし ても民間の知恵を使っていかないといけないだ ろうとは思います。 ただ、僕は余りボランティアというのは好き じゃないんですよ。人を食い物にしているよう なところがあるので。今スポーツ系大学のバブ ルと言われていまして、来年は法政大学にも体 育系学部でき、その次は明治にできて、東京六 大学に全部体育系ができる。そうすると全部で 250 校ぐらい体育部体育学科になってきます。 その人間たちがスポーツで飯を食いたいと言っ た時に、どういうビジネスのところに我々は行 かせてあげられるのか、もう本当に心許ない。 大変困るのは、本当スポーツビジネスでできる よといいながら、本当のマーケットはちゃんと ないんです。 荻原 しかし、そこは非常に重要な点だと思う。 これまではスポーツというのは、大体無料で施 設が借りられた、国民全体もまだその公共施設 に行くのにお金を払うなんて、そんなのはない だろうというような雰囲気はあるんだと思いま すが、ですからそういうところから、もう根っ こから変えていかなきゃあいけないということ でしょうか。 野川 これは地域によって温度差がある。です から私の前に住んでいたK県の方だとやっぱり 難しい。何で国の財産のところを我々が使って お金を払うのか、我々の税金でやっていて、さ らにお金をとるのかと怒られるわけです。でも、 だんだん中央に近くなってくると、いいもので あればもう当然だろうというふうに文化が違っ てくる。だから一概には言えないが、もうこれ だけ高齢化が進んで、いろんな問題があって、 それを国民医療費の 33 兆円という中でどうに かしようといったら、思い切って税金でガバッ とやってしまうのも一つかもしれない。 前に宮崎県で言ったことがあるが、スポーツ 消費税みたいな、還元税みたいなのはできない だろうか、いわゆるみんな自分の健康は自分で 守るために、民間フィットネスクラブや何かに -63- 12,000 円毎月払って運動、エクササイズをやっ ている、その人たちが自分の健康を自分のお金 で守っているのに、なぜそれをやらない人たち という言い方は悪いですが、別の人たちのため に自分たちの健康保険が使われるのか。それだ ったらばスポーツクラブに入ったり、いろいろ やっていたら、それに対してキャッシュバック みたいなものがもっとあっていいんじゃないだ ろうか。それを宮崎県でできませんかと話をし た時に、おもしろいけど難しいねというんです ね。いわゆる国がやらないことを県でできるの かということです。中央集権の壁ですよね。 ういうのは非常にやりやすい。 それからハード面については、やはり非常に 使い勝手が悪いスタジアムで、見る階層とトイ レとか売店の階が全然違うので、上がって下が って、上がって下がってとしなければトイレに 行けないと言う。デザイン的には最高らしいん ですが、お客さんにとっては最低で、一番前の 席に座っているとトイレに行くのが大変だから、 ビールもう一杯飲みたいけどやっぱりやめてお こうという話になる。そういう問題が非常にあ る。札幌市といろいろ交渉していますので、応 援よろしくお願いします。 荻原 藤井さんにお伺いします。札幌ドームは 株式会社札幌ドームが、運営をしているわけで すが、藤井さんは、かなり前からドームを一体 的に活用したい、運用したいということで、そ の経営権を何としても譲ってくれというお話を 相当されてこられたということですが、今後見 通しはどうでしょうか。 荻原 陰ながらさせていただければと思いま す。佐藤さん、カーリング場には、例えば、日 ハムさんのようなマスコットキャラクターを何 か売るとか、そういう金の成る木というか、何 かそんなものをこしらえているんですか。 藤井 札幌ドームがもうかってますからね。こ れが赤字だったらすごい可能性があるんですけ ど、まず利益が出ているというのが非常に問題 ですよね。まあ問題と言ってはいけないですが。 荻原 藤井さんにとっては問題なんですね。 藤井 別に札幌ドームの利益をうちがとろう としているわけではないが、よりよいサービス をしようと思うと、やはり経営は別でもいいが、 一体に運営する、一緒になって運営するという 考え方がなければ、集客のために我々はいろん なイベントを全部するわけですが、基本的には ドームさんもそれに関して関わらないわけです。 そのイベントに関して一生懸命集客するけど、 例えば弁当についてはとか、飲食については札 幌ドームさんが全部権利をお持ちなんで、親会 社があんなまずいものを出すなと、こう言われ るわけですよ。クレームはうちにくる。 そういう状況で、パ・リーグのファイターズ 以外の球団は全部一体経営に近い形に変わって いるんです。ソフトバンクさんは今まで売れて ない飲食の店は閉めさせて、新しい店をつくっ て、お客さんに向いて扇風機か何かで匂いを出 すらしいですよ。それぐらい徹底してやはりい ろんな新しいことをアピールしていくとか、そ 佐藤 市の施設ですから基本的には何もない。 ただ、現実には大会を開きますと、お弁当だと かいろいろなものが必要になってきますので、 それは指定管理者制度に移管した段階でかなり 青森の関連グッズとか、売れるようにしましょ うということで、おそらく今度のシーズンから かなり解禁されることになると思います。この カーリング関係グッズというのは、結構町中で 売ってまして、インターネットもついて、そこ そこ売れています。ですからもちろんその場で も、売れる手段は用意したいなと思っています。 荻原 最後にまとめ的に皆さんにまたお話を 伺いたいと思いますが、野川さん、これからス ポーツを通じた地域振興、あるいはビジネスと いう取り組みをする時に、この地域というキー ワードというのは相当な武器になっていく可能 性もあると思います。 何か御意見はございませんか。 野川 一番皆さんが狙っているのは、やはり地 域の施設を狙うわけですよね。だからそれを上 手に使えるようにしてあげる。まあ日本全国で 公共スポーツ施設でまともに使えるのは 24,000 ぐらいしかないというわけ。一応 65,000 あるんだけれども、河川敷とかいろんなところ を入れるとなかなかない。 それから残念ながらスポーツ施設というのは -64- 迷惑施設と呼ばれる。土曜日とか日曜日、週休 2日制になって朝の6時半ぐらいから野球を家 のそばでやられたら皆さんどう思うか、あるい は夜の 10 時になって、まだ光は当てるわ、花火 をやっていたらどうなるかというようなことで、 その辺がなかなか難しい。 だから地域ということでキーワードでやりな がら、地域のスポーツに直接的間接的に関係の ある、ステークホルダーみたいな方々、これを いかに上手に巻き込んでいくかということをや りながら、スポーツをやるための地域ではなく て、スポーツがメディアといいますか、起爆剤 になりながら、いろんないい面をもたらしてく るようなものという形で、みんなをバインディ ングするというか、そういう形にしながら、ゆ っくりでもいいから僕はビジネスにしていけば すばらしいものになるんじゃないかと思います。 みんなスポーツと水と空気はタダだと思ってい た、いやもう違うよ、21 世紀は水、空気、スポ ーツはすごい重要なものになって、これは価値 がつく、そういうふうなキャンペーンをどこか でやってほしいと思います。 荻原 スポーツを通じて地域を盛り上げるぞ というと、多くの皆さんがプロスポーツを御想 像されるということですが、必ずしもそうでは なくてもやっていけるということですか。 野川 それはやっていけると思います。やっぱ りプロスポーツはどうだこうだ言っても利益、 利潤追求ですから、一番人口が多くて一番ビジ ネスチャンスのあるところに移って当たり前で す。それを考えていくと、ファンは常に裏切り 続けられる。NBAバスケットボールは今度シ アトルのスーパーソニックスがミズーリに行っ てしまう、フランチャイズが移動するのは大変 残念だというけど、今度別のチームを連れてく ればいいとみんな言います。いわゆるプロチー ムは代わりがいても、自分たちの地域というの はまた別じゃないかと思うんです。 あとはどのようにしてコラボをやりながら相 乗効果を出すということで、PPPというのを もっと具体的に我々はスキームを考えていきた いなと思いますけど、チャンスはあると思いま す。 荻原 藤井さんにもお伺いしたいのですが、例 えば四国九州アイランドリーグとか、BCリー グ、ああいった各地域でリーグが立ち上がって きておりますけれども、その将来性、可能性に ついて、また、そのためにはどういう取り組み が必要なのか、何か御意見はございますか。 藤井 まず、スポーツビジネスは何がいるか。 各大学は非常に多いわけですが、現実にプロ野 球も 12 球団あってもしょせん 1,200 億ぐらいの 市場です。100 億を平均として。私どもが大体 平均売上げが 100 億ですから、だけど現実には そのうちスポンサー料が 40 億ぐらいで、観客動 員の集客の分は 35 億とか、マーチャンダイジン グがグッズで 12 億とか、放映権が 10 億とか、 大体そういう構成率です。 鹿島アントラーズさんで 40 億ぐらいという ことになると、J全体でもやっぱり 1,000 億ぐ らいかなというふうには考えられると思う。そ うするとプロと言われている部分のほんの市場 は 2,200 億ぐらいしかない。これもスポーツビ ジネスとは言いながらも、みんな野球なんか現 実的に赤字なわけです。もうかっているのはジ ャイアンツさんと阪神さんぐらいかもわからな いし、やっとパ・リーグの方もいかに赤字を減 らすかということで必死になっているというの が現実でございますから、ビジネスじゃないん です。 だからマーケィングは僕はあると思う。基本 的に地域マーケィングの部分として、どう地域 の皆さんが支えるか、例えばJも小さいクラブ だと2億とか3億で現実にできるわけです。ヨ ーロッパなんか行きますと各地域のグランドが あって、そこで子供たちがみんなサッカー大会 をする、地域コミュニティとしていわゆるサッ カー場のクラブハウスでみんなビールを飲んだ り楽しんで、地域でみんな盛り立てるという形 があると思う。そういう形の部分がやはり今後 非常に必要だろう。当然一部のすごいすばらし いチームがあるわけですが、各地域地域がそう いう部分としてマーケティング的に地域コミュ ニティをどうつくっていくかという観点でいけ ば非常に楽しいことができるんじゃないかなと いう感じがします。 アイランドリーグとか、プロと言いながらも、 これはなかなか難しいなという感じは非常にし ているのですが、だから受け皿としては当然そ の中からすばらしい選手も何人か出てこられて -65- いるみたいですから、それはそれであるんじゃ ないかなと思いますし、あとは地域の皆さんと 一緒に、Jリーグはザスパ草津があったりとか、 そういう地域とのコミュニティがうまくやられ ているところもあると思いますので、やはり我 が町のチームやと思ってもらえるようなものを、 プロであろうが、アマであろうが、つくること が非常に僕は必要じゃないかなという気がすご くするんです。 荻原 私は群馬の草津の生まれ育ちなんです が、ザスパ草津は今は活動の中心地が前橋市に なってしまった。言いかえれば強くなった、い いチームになったからということだと思います。 J2に上がるためにはそれなりのグラウンド施 設というんでしょうか、何万人収容の施設がな ければいけないということで、私の生まれた町 にはないものですから、どうしても前橋へ行か ざるを得なかった。ただ、これは発展的に成長 していただく、活動がどこであっても、草津と いうのがついている限りは我々の誇りですから 頑張っていただきたい。 さて、最後に、佐藤さん、四国九州アイラン ドリーグ、BCリーグと、地域に根ざした野球 のリーグが立ち上がっております。また、バス ケットボールではBJリーグというのも今活動 されています。BJについても、チームを黒字 化しているというところでも、まだまだ現状で は厳しいというふうに伺っています。あれはま ずはJBLさんとの問題もきちんと解決しない と、これは基本的にはいけないのかなと思いま すが、そういう事例を各地域で見る中で、青森 であるとか、東北でこのスポーツでいくぞなん ていう、何かちょっと今隠し持っているものは 何かあるんでしょうか。 佐藤 私の中にはありません。ただ、どのスポ ーツでも共通して言える、地域からずっと持ち 上げていくために必要なことは、やっぱり楽し く楽しく誇らしくと僕は思うのですが、やって 楽しいスポーツをまず探さなきゃあいけない。 やって楽しい、見て楽しい、そしてそういう人 たちが少し強くなった人たちを応援する、支援 することで誇らしく思える、楽しく楽しく誇ら しくというところまでいければ、一つはその地 域のスポーツは次のステージにブレイクできる のかなということをいつも考えております。 そのスポーツがある程度全国レベル、または プロの世界で認められるようになってくれば、 または世界で認められるようになってくれば、 やがて地域が嬉しがる、地域が動きだすという、 こういうステージを踏んでいくんだと思うんで す。ほとんどのスポーツはやって楽しい、見て 楽しいというところから始まるんだと思うので す。それが長続きする要素だと思います。 荻原 地域の皆さんが地域を自慢できる、誇ら しく思える、こういうことがやはり重要だとい う御意見だったと思います。 藤井 地域の中に入っていくためにどんなこ とをしているかというのがちょっとありまして、 これは少年野球ジュニア王座決定戦という、フ ァイターズカップというのをやっていまして、 去年は札幌市の少年野球 178 チーム、今年は全 道でございますので、600 チームぐらいが参加 しておりまして、それで準々決勝と準決勝につ いては、札幌ドームで一軍の試合の後に試合が できるというのが特徴でございます。集客の一 環として子供たちをより大事にしようという形 でこういうことをしております。 それからもう一つは、ユニフォームを全部北 海道という形にしまして、去年は3日間、今年 は6日間やるんですが、We love 北海道デーと いう形で、屋台は帯広の豚丼の店、室蘭の焼き 鳥の店、函館のいかめしの店とか、そういう北 海道地域の物産展というか、飲食店を皆さんに 来てもらいます。 北海道というのは、札幌は東京ですので、各 地域の方が来られて懐かしく、私は帯広出身や とかいう形でやってもらう。本当にこれは成功 した部類です。いろんなことを思いついたら何 でもやるという会社なんで、いっぱい失敗して います。10 個やって1個ぐらいしか成功してな いんですが、とりあえず何でもやる。 それからもう一つは、ファイターズのインタ ーネットで旬感!北海道という物産を売ってい ます。北海道だけじゃなしに全国に発信しよう という形で、旬感!北海道という名前でインタ ーネットで物産を売って、北空知農協さんから 直送してもらうというようなことをしておりま す。 それからボランティアの導入ということです ね。 -66- それからもう一つは環境の部分について取り 組んでおりまして、マイお買い物袋を札幌ドー ムで去年は4万枚、東京ドームで3万5千枚、 鎌ヶ谷で5千枚、今年は4万枚また配っており ますが、それも基本的にギブアウェイでござい ますので、スポンサーをつけまして、半分はス ポンサーにもってもらうというような形で皆さ んに、家に持って帰ってもらって、もう一回再 利用してもらえるものをつくろう、こういうこ とをやりますと、私どもがやるとパブリッシュ 効果もすごいいいんです。NHKで放送してく れるとか。 それからマーチャンダイジングの配送車と、 B・Bの幼稚園訪問車ですが、これは全部3台 ともバイオジーゼルで走っています。これも私 どもの関係会社の工場でできる食物廃油で走ら せています。これも何でも新しいことをやろう ということです。 それからもう一つはB・Bの森という形で、 今年洞爺湖サミットに照らし合わせて 2004 年 の台風で 9,000 ヘクタールの森林がつぶれまし たので、それをファンクラブの方々に呼びかけ たりとか、社員もみんなで一緒になって年に4 回ぐらい下草刈りとか植樹に行こうというよう なことをやり始めています。そういう地域との かかわりで、スポーツだけじゃなしに、新しい ことに取り組むことによってファイターズをで きるだけ一般の方々にも認知してもらうという ようなことを主にしております。 あとはもう一つだけおもしろいことがありま して、パ・リーグの野球って最初に国歌斉唱を やるんです。たまに有名人を呼んできて歌わす んですね。テープを流してもしょうがないとい うことで、一般募集したんです。今回7月 22 日から誰でも歌えますと。そうすると 300 人ぐ らい応募がございまして、これから素人さんに 歌ってもらう国歌斉唱が聞きものやなと思って いますので、またぜひとも札幌ドームへいって ください。 荻原 どうもありがとうございました。応募す れば誰でも国歌を歌えるんですね。これからプ ロ球団、あるいはプロチーム、あるいはスポー ツイベントも、地球環境のことも考えていかな きゃあいけないという大変な時代になってきた なというふうに思います。 先日、札幌ドームに行った理由は、これは経 済産業省の仕事の一環で行きました。今、雪氷 グリーン熱証書という取り組みを日ハムさんと 経済産業省でやらせていただいている、実証事 業ですが、要は札幌ドームの空調のエネルギー を自然エネルギーでまかなっているという、そ ういう取り組みの実証事業です。美唄で採れた お米を雪を使って、雪の冷気で保存している。 そのかかった費用の一部を札幌ドームさんが出 しているということで、札幌ドームさんとすれ ば、この施設のエネルギーはそういう自然エネ ルギーを使ったと言える、証書の交換でそう言 えるということになるわけです。 野川さん、これからそのスポーツイベントや そのスポーツ施設も、スポーツはタダ、施設を 使うのはタダの時代に、これからエネルギーの こととか地球環境のことを、よく最近はカーボ ンオフセットの話も出てきて、結構大変になり ませんか。私は大変になるんじゃないかと見え るんですが。 野川 おっしゃるとおりだと思うんですが、2 年前にドイツでワールドカップがございました 時に、ドイツの組織委員会のキャッチフレーズ が環境にやさしいということだった。いわゆる どのぐらいゴミが出て、どのぐらいエネルギー を使って、どのぐらい環境に影響を与えたか。 同じようにこの間の東京マラソンでも、延々と いろんなものが捨てられます。飲んだ紙コップ は自分で持ったまま走っていますとバランスを 崩しますから、紙コップを捨てちゃうんです。 大型になればなるほどやっぱり環境問題ってす ごく重要になってくる。 前にNHKで見たんですが、人間が歩く、い わゆる踏んだホースプレートみたいなところに、 そのエネルギーが貯められるそうです。大型の スポーツイベントなどでは参加者や観戦者が多 いことから、バイオメカニクスや運動生化学な どの知識を利用して、そのエネルギーを環境保 全に役立てるような研究に取り組んでいくこと も必要ですね。 荻原 佐藤さん、カーリングもあの大きい建物 が、冷蔵庫で言えば氷が入っているところです よね。相当エネルギーは使ってらっしゃるわけ ですか。 佐藤 -67- そうですね。大体冬のあの時期だけで月 をする国にしよう、それを生涯スポーツ社会と 呼んで、ところが今度G8が始まりましたけど、 あの先進国でまだ最低のレベルです。ですから この辺にもっともっとまだまだ力を入れていか ないと、その地域、特に行政等の動きが鈍くな ってしまう。私が漏れ聞くところでいうと、地 方公共団体で、もう 2010 年までの計画なんだか ら、もうスポーツの予算を余り出さなくていい ねなんていう話まで漏れ聞こえてくるので、こ の辺はスポーツ省といった時にどういうふうに 市民スポーツ等々をお考えなのかということを お聞かせいただければと思います。 70~80 万の電気代を使いますので、ですから一 冬というと、まあ 600 万から 700 万ぐらいの電 気代を使っているということになります。相当 エネルギーを食うことは事実です。 荻原 何か具体的に今後そういう環境面、また はエネルギーをできるだけ使わないようなこと はお考えでしょうか。 佐藤 今の冷房システムではなかなかそれが できないんですが、ただ一つできることは、も うちょっと効率のいい太陽光発電のシステムが できればなと思っています。ちなみに私は自分 の家の電気は全部うちの太陽光パネルでやって いますから、実は私は東北電力と年間差し引き 1円もやりとりしないで暮らしています。 ですから今スポーツ会館の壁をそういったパ ネルで南側を使うことができれば、相当の発電 はできると思います。その時は使っても、夏の 天気のいい時にどんどん売り超しをしていく、 そしてトータルではチャラというのが一番理想 的かと思います。 荻原 話題がエネルギー問題にまで入ってし まいましたが、以上で終了させていただきたい と思います。さて、ここからはぜひ会場の皆様 からは御質問、御提案等をいただければと思っ ております。 質問1 上智大学の師岡と申します。コーディ ネーターの荻原先生に質問をさせていただきま す。先生は自民党の中でスポーツ立国調査会を 立ち上げられて、今スポーツ省に向かっている ということで、大変このスポーツビジネスにと ってもありがたい追い風になると思うのですが、 漏れ聞こえてくるのは、どうもイベントスポー ツの方に重点がおかれている、これは当然だと 思うのですが、このスポーツビジネス、特に地 域を考えた時に生涯スポーツとか市民スポーツ、 こちらに対する施策とか、そういう力の入れ方 というのも非常に重要だというふうに私は思っ ているんです。 どういう方向で今進んでいるのかということ をお聞きしたいということと、実は文部科学省 がスポーツ振興基本計画を立ててますが、2010 年でもう目標が止まったままになっています。 それから成人人口の 50%が週一度はスポーツ 荻原 御質問ありがとうございました。先日、 自民党内のスポーツ立国調査会の中間報告の取 りまとめというのをいたしました。その中には やはりスポーツを産業、いわゆる経済の視点と いうのをしっかり見据えて、これを活性化させ る、発展させていくということが盛り込まれて おります。 ただ、その中間取りまとめの時に、その文言 がしっかり書き込まれていたわけなんですが、 例えば、ある議員さんが御意見の中で、プロス ポーツの位置づけはどうなるんだという御質問 がありました。プロスポーツというのはある意 味スポーツ産業の一つだと思うのです。スポー ツ産業というものが、果たして何なのかという のが、議員の先生方の頭の中が一致してないと いうのが現状だと思います。 私からすれば、プロ野球、Jリーグというの はまさにスポーツ産業そのものだと思いますが、 その文言に書かれているかどうかにかかわらず、 プロ野球とかJリーグの話はどうするんだとい うような御意見が出るぐらいですから、もうち ょっと国会の先生方が、スポーツというものを 今現状はどうなっているのかというのを見る必 要があると思うんです。 やっぱりスポーツの効果というか、あるいは スポーツ振興していく上で、やはり各議員とい うのはその狙いといいましょうか、スポーツは こう発展していってほしいというのは、もう 100 人いれば 100 人が 100 通りのお考えがあり ます。例えば、スポーツ産業なんていうのが書 いてあると、心身の育成に一番のものを変に経 済手法でやるのはどうなんだみたいな御意見も される方ももちろんおります。 この意見をまとめていくというのは大変難し -68- いなというふうに思っておりますし、実際、今 スポーツ議員連盟、これは超党派ですが、その 中でスポーツ振興法の改正を取り組んでいます が、議論すればするほどスポーツ振興というの は幅が広すぎて、まとまらなくなってきたぞな んてというような弱音を吐いている先生方もい らっしゃいます。しかし、方向性としては、間 違いなくスポーツ産業というのは、一つの産業 としてしっかり育成していくということは明確 にしておりますし、今いろいろと御心配をいた だきましたけれども、その発展についてはさほ ど心配はなさらずに結構だと思っております。 また、私の方からもきちんと指摘をしていきた い。 ただ、これがもし本当にスポーツ省とかスポ ーツ庁という話になると、省庁再編の話になっ てきますので、多分これは相当な役所の抵抗と いうのはあるだろうと思います。やはり今スポ ーツ関連予算というのは各省庁にわたっている ものを、これを集約をすることで税金の無駄遣 いをやめよう、かつ一本化していく、一元化し ていく、こういうことをやっぱりやっていかな いと、本当の意味のスポーツ振興というのはブ ツ切れ状態になってしまうと思いますから、こ れは政治的には大変な作業になると思いますが、 しっかり皆さんの御期待をいただいて取り組ん でいきたいと思っております。 質問2 電通の足木と申します。スポーツ文化 ということをすごく最近は考えておりまして、 日本人のスポーツ文化って何なんだろう、やは りアメリカというのを取り上げられますと、あ れがすごく幼い頃からスポーツをやってきて、 例えばマイケルジョーダンはバスケットボール じゃなくMLBにも興味を抱いていたり、夢を 膨らませて育ってきている環境があるのかなと いうのを考えているのですが、やはりなかなか 日本人の中では、例えばオリンピックイヤーだ とそこだけ熱くなってしまったり、サッカーだ とそこの部分だけ熱く、一時的なものになって しまって、それがすごく最近残念だなと思うよ うになっているんですが、皆さんの中で日本人 のスポーツはこうありたいなという、スポーツ 文化というものが何なのかというのを、ぜひ4 人の方にお伺いしたいと思うんですが、よろし くお願いします。 荻原 それでは、まず初めに野川さんの方から お願いします。 野川 難しいんですよ。文化って名がつくと、 本当のことを言うとちょっと怪しいような気も するんです。スポーツカルチャーなんて本当あ るかもしれないと思った時もあるんですね。実 際にアメリカ人は楽しみ方を知っていて、でも 文化として云々といった時に、たかだか 200 年 の文化じゃないかと言ってはいけないんですが、 日本人だって祭りの楽しみ方を知っている。日 本という国は非常に社会のペースが、動きが早 いんですよ。 アメリカの場合は、ニューヨークとか一部の ところ以外は本当にもうペースは遅い。そうい うところでゆったり自分の時間を楽しむという、 そういうふうな社会経済的なものをもっている アメリカ人に対して、日本人のようにどっちか というと非常に情報に左右される、操作される 国民というのは、あれがいいというとすぐにそ ちらに行く、日本人は常に先頭集団にいたいと いう文化なんですかね。それがだからスポーツ の中でも一番おもしろいところだけしか見ない。 もうどんどんいろんなスポーツが出てきて、プ ロ野球ニュースにしてもそうですが、ゆっくり じっくり見るというような文化じゃなくなって きているんじゃないか、どっちが勝ったの、負 けたの、それが一番皆さんが知りたいんじゃな いか。 これは 70 年代のアメリカと一緒なんです。い わゆるマクドナルドが入ってきて、マクドナリ ゼーションというように向こうで言っていたの ですが、もうペイシェンツというのか、トーレ ランス、我慢ができなくなってくる。結果だけ 知りたい、おいしいところだけでいい。本来ス ポーツの楽しさって、プロセスにあるのではな いかというようなところがあるんですが、それ がだんだん変容してきているような気はします。 ただ、一つ言えることは、日本は一本どっこ なんです。一本どっこの子守歌みたいなもので、 一つの種目をやったらずっとやらなくちゃあい けないような制度なんですね。それはシステム になっている。これはやっぱり非常に大きな影 響を与えていると思います。他の種目に浮気を しちゃあいけないんです。野球をやっていて、 それから急にサッカーに移ると裏切り者なんで す。 -69- 考えてみると、アメリカの場合はシーズンス ポーツです。何月から何月までは野球、その次 には今度はバスケットボールをやってという、 どんどん変えていける。そういうところで育っ ている人たちというのは、四季折々のスポーツ をちょうど楽しんできましたから、そういうも のが身についているというふうに思いますね。 だからと言って日本人にスポーツ文化はない とは思わない。ただ、ディファレント、違うだ けじゃないか、それがいいとか悪いとかという のとはちょっと違うというふうに思います。た だ、大変難しい質問なんで、スポーツ文化とは 何ですかと言われた時に、きちっと答えられる のは日本中でも、それから海外でも、数えられ るほどしかいないので、私はそこまではまだ到 達しておりませんで、今後勉強してみたいと思 っております。 荻原 藤井さん、どうでしょうか。 藤井 非常に難しい質問ですね。早い話が生活 の中にスポーツがある、要するに逆転でスポー ツ文化じゃなしに、生活の文化の中にスポーツ があるというだけの話じゃないか。だから当然 生活の中にはスポーツもあるし、他のこともい っぱいあるんじゃないか、その中の一つがスポ ーツじゃないなという気がするんですね。 例えばヨーロッパなんかそうですが、地域社 会の中に当然スポーツが一つのコミュニティの 形成の一つの型としてあるのと一緒のようなも のじゃないかなという気はするんですけどね。 野球が文化とか、サッカーが文化だとか、そう いう見方もあると思いますけど、もっと広い意 味で見ればそういう形になるんじゃないかなと、 僕は個人的には、答えになってないと思います が、そう思います。 荻原 佐藤さんはいかがですか。 佐藤 あるプロ野球のGMが言ってましたが、 日本には文武両道のトップ選手がいないという んですね。どんなスポーツでも世界で通用する、 または日本のトップで通用するということにな ってくると、相当の時間をそれに費やして集中 しないと、しかもタレントがないとそこに到達 できないということがありますが、でもスポー ツはやっぱり文化の一つの分野でしかないと思 うんですね。それがその人のすべてを規定する ものだということでトップスポーツが見られて しまうと、その人はじゃあトップアスリートで なくなった時にじゃあ何もないのかということ になってしまう。 そういったことではないと思います。それは 心の余裕を社会がもってスポーツを見ることが、 スポーツ文化を客観的に見れる、非常に大事な 視点だと思うんですね。ですからよく言われる のは、オリンピックでトップアスリートだった、 特に欧米の選手に多いんですが、その後一流の 外科医になったり、一流の学者になったりとい う方がたくさんおられます。スポーツは自分の 成長するための一時期、そのトップを目指すこ とはあっても、それは自分の人生のすべてでは ないという心のためが、のりしろがやっぱり 我々には必要ではないかなと思います。 例えばチーム青森で小野寺と林がチームを離 脱すると言った時に、僕は特に反対しませんで した。それぞれ人生はあってしかるべきだし、 またそのスポーツをもう一回距離をおいて見る という時間も必要なんだと思います。そのこと によって、例えば2年目に小野寺がカーリング のミックスダブルスの世界選手権に出たいとい うことで出て来た時もそれは当然だとみんな受 け止めましたし、大人の感覚で受け止めること が、ワンノブゼムだと考えることが大事じゃな いかなと私は思います。 荻原 最後に、私の方から。私としては、純粋 に年月を積み重ねていくところなんじゃないか なと思うんです。私はそういう意味では佐藤さ んのカーリングというのはもう 20 年も続いて きたわけで、これはもう完全に地域の一つの文 化として、私は根づいているというふうに思っ ています。 また、Jリーグも、当時は日本が負けると、 やはり日本にはまだまだサッカー文化がないか らかなとか、何か一つ負けの言い訳的に使われ てきたが、今はそういうものが聞かれることは ありません。ですから、サッカーの人たちも、 もうこれだけ長くやっているのに文化がないと か何とかということで、言い訳はしてられない なという、そういうある意味自負というんでし ょうか、これだけやってきたんだ、それだけ日々 の積み重ねをやってきたんだという、そういう ところではないかなと思っています。 -70- ですから、文化というのは最初はないかもし れませんが、我々の取り組み次第では作ること もできる、これが文化だと思っています。そこ で、多分重要なのが先ほどアントラーズの牛島 さんがおっしゃったように、理念というのがき ちんとあるかないか、これが文化が根づくかど うかという、その別れ道ではないかな、私とし てはそんなことを考えております。 若干早めに始まりましたディスカッションも 本当に皆さんの御意見で大変すばらしい会にな ったのではないかなというふうに思います。 以上、第1部・第2部にわたりまして、本日 はスポーツを通じた地域振興、経済振興として 議題を進めさせていただきました。 最後の御質問、でスポーツ文化とは何だとい うような御質問をいただきました。私は文化と いうのは作れるものではないか、作ろうよとい うような御意見を申し上げさせていただいたと ころでございます。 これからスポーツはビジネスという視点から も我々の努力次第、頑張り次第で作り上げてい くことができると思います。さらなる日本のス ポーツ文化を作っていく上でも、この経済指標、 ビジネス指標というものをきちんと見据えてい く必要がある、またそのためのいろいろな具体 的な事例を今日は皆さんからお話を伺いました。 大変いい機会になったと思います。 以上をもちまして、シンポジウムは終了させ ていただきたいと思います。 (終了) -71- 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 平成 20 年度 第1回情報交換会(抄) 開催日:平成 20 年 12 月 5 日(金)17:00~19:00 場 所:弘済会館 4階会議室「桜」 楽しくなけりゃ、スポーツじゃない! ~ライフスタイルの変化と健康・スポーツ産業;スポ団連へ期待されること~ ○挨 拶 斎藤 敏一(社団法人スポーツ健康産業団体連合会 ○来賓挨拶 藤本 康二(経済産業省商務情報政策局サービス産業課 ○講 演 会長) 課長) 牛窪 恵 (マーケティングライター、インフィニティ代表取締役) 《 演題 》 「女性トレンドと最新レジャー&スポーツ事情」 ○意見交換会 司会 丁野 朗(社団法人スポーツ健康産業団体連合会 理事 事業委員会委員長) 敬称略 (開会) 司会 これより社団法人スポーツ健康産業団 体連合会の平成 20 年度第1回目の情報交換会 を開催させていただきます。 この情報交換会は、スポーツあるいは健康と いったことをキーワードに、新しい産業創造、 あるいはビジネスチャンスを生み出すことを目 的として、スポーツ業界の方だけではなくて、 異業種の方々に沢山お集まりいただいておりま して、今回のセミナーを通して新しいコラボレ ーションを推進出来ればということで開催して おります。 サービス業統計を見ておりますと、新しい産 業というのは、特にサービスの場合はその他サ ービス、つまりよく分からないというような所 から大体生まれて来ているものが多い。それが どんどん肥大化すると、統計を組み立て直さな きゃあいけないということになる訳であります が、この情報交換会で目的としておりますのは、 その他サービスの中から金の卵を見つけ出そう というような趣旨で皆さんから色々な御意見を ちょうだいしたいということでございます。 私はこの連合会で事業委員長を仰せつかって おりまして、普段は日本観光協会の総合研究所 の所長を務めております丁野朗と申します。ど うかよろしくお願いいたします。 開催に先立ちまして私ども連合会の会長であ ります斎藤敏一から一言ご挨拶を申し上げます。 斎藤 今年になってから色々新機軸を出した つもりですが、実に今日のような情報交換会を やりたかった。今日はまだ聴衆の方はいつもよ りちょっと若返った程度で変わっていませんが、 講師はガラッと変わったということで、皆様に ここからまた新しいスポーツ健康産業団体連合 会が始まると思っていただきたい。 今スポーツの社会は若い人がなかなかスポー ツに参加しないというような現象が出てきてい ます。我々フィットネスクラブも 20 代 30 代の 女性が、いわゆる複合フィットネスクラブ、総 合フィットネスクラブと言われているところか ら減ってきております。ただ、スタジオプログ ラムだけで構成しているところは流行っている、 あるいはピラティスだけとか、そういうような 専門化が始まっていると思います。 -72- 3年ぐらい前だったと思いますが、牛窪さん に講師に来ていただいて、企業内ベンチャーと いう観点でもすばらしい講演をしていただいた ので、今回もこういうスポーツ団体が困ってい る時に、今の若者はどういうような消費傾向を 示すのか、マインドをもっているのか、お話し してもらいたいと思いました。何しろ彼女はキ ーワードづくりがうまい、お嬢マンとか、独身 王子とか、おひとりさまとか、我々ではとても 思いつかないようなキーワードでその時代をえ ぐって、その人たちには何が必要かというよう なことを非常にわかりやすくお話ししてくれる 方として牛窪さんを講師にお願いしたところ、 快くお引き受けいただきました。我々の業界に 刺激を与えてくれる方のお話を今後もどんどん 聞いていきたいと思いますので、よろしくお願 いいたします。 司会 どうもありがとうございました。続きま して日頃から御支援御指導をいただいておりま す経済産業省商務情報政策局サービス産業課長 の藤本康二様からご挨拶をちょうだいしたいと 思います。 藤本 経済産業省の藤本と申します。経済産業 省には製造業関係というのはものすごく部局が ある。このサービスというのはサービス産業課 とサービス政策課というこの二つ。なぜ経済産 業省にサービスという、我々はサービスユニッ トと呼んでおりますが、それを置いたのかとい うのは、こういうふうに中で議論をしています。 日本人は今まで物を売ってくる、いい車を作 って見せる、それをみんなが買うということを やってきた。言葉の通じない世界には非常にい いものをつくれば、強力に売り込める訳です。 他の先進国がやってきたこと、あるいはやりつ つあることというのは、目に見えないものを、 どういうふうに説明してあなたにとって価値が あるものだということを見せていく、その目に 見えないものを売るやり方というんでしょうか、 そういうものを彼らはうまく形にしていく、そ れはものごとの制度作りであったり、目に見え ないものを売るための制度作りり、ルール作り であったりとか、標準化だったりとか、そうい うことである訳なんです。だから目に見えない ものをどういうふうに売るかというのはものす ごく彼らは長けているというか、例えば政治の 三権分立だって、長い歴史の中で彼らは血で血 を争うようなことをやったり、三権分立という 目に見えないけれども、そういうルールを作る と、非常に物事がバランス良く行くであろうと いう仕組みを作って来ている訳です。 アメリカも色んな制度をビジネスの中で作っ て来て、金融制度を作って来て、その制度は色 んなルールでやるので、そのルールがちょっと おかしくなったりすると、それを変えていくと いう力をすごく持っている。そういう目に見え ないものを扱っていく時に、それをどういうふ うにビジネス化していくのかという、日本人の まじめであるが故に、あるいは謙遜の心を持っ ているがゆえに、なかなか目に見えないものを 押しつけるのは下手だ。あるいは目に見えない ものはタダで、これはサービスで差し上げます みたいな表現とか、そういうある意味でいい美 徳ですが、ある意味では損している部分をどう やってみんなで変えていくのか。 我々は車だって、ただ単に車を売るのではな くて、最近は事故が起こった時には自動で通報 がいくようなシステムが付いているので、これ だけの値段ですよといって売っていく訳ですか ら、付加価値みたいな言い方になっちゃうと、 何かものに付随しているような感じだと思いま すが、私はむしろ人々が期待しているものをう まくパッケージにして売っていくようなもの、 我々スポーツというと、昔の陸軍の兵隊を養成 するための体操みたいなところから始まってい るところがあって、そうすると学校教育なんか はそういうのに引きずられてくる訳です。 そうすると体を鍛えるという方向で色々学校 でやられると、何かつらくないとスポーツじゃ ないみたいな議論ってどうしてもあると思う。 大人になって考えてみると、やっぱりスポーツ は本当にリラックス出来るとか、楽しいだとか、 体を動かすということを味わった人たちはそっ ちへ行くだろうけれども、なかなかその機会が ない、そういうふうにならないとか、じゃあス ポーツの我々産業の振興という観点で見ますけ れども、産業としてそういう人たちに提供出来 るのかということが一つの大きな議論のポイン トになると思うのです。 だからそういう意味で今日の牛窪さんの講演 は私も楽しみにしてきたのですが、そういう人 の価値にどうやってこたえていくんだろうか。 例えば任天堂のWiiというゲーム機だって、 -73- 司会 それではここで牛窪恵様を御紹介いた します。東京都のお生まれで、日本大学芸術学 部映画学科を御卒業の後、大手の出版社にいて 編集PRの仕事に従事された後に、フリーライ ターとして独立、そして 2004 年には、『男が知 らない「おひとりさま」マーケット』を出版さ れ、20~30 代のシングル女性の消費行動と心理 などを描いて大きな話題になっております。 今年 11 月には『草食系男子「お嬢マン」が日 本を変える』という本を出版されておられます。 今日は、女性トレンドと最新レジャー&スポー ツ事情というタイトルで御講演をいただきます。 それでは牛窪様、よろしくお願いいたします。 あれでスポーツをやった気になった人はいるん だけれども、スポーツを実際にやっている人か ら見ると、やった気になっているという表現に なっちゃうのですが、でもやっている人はスポ ーツに期待して何かとてもコアな部分をあれで 体験出来ていると思っているはずなんです。 だからそこはちゃんと着目していかないと、 それは実は同じ業種かもしれない、だからそう いうことを議論しながら、目に見えないものを 売っていく術、その最先端にいるのがスポーツ 産業じゃないかなというふうに思っていますの で、今日はそういう議論を一緒にさせていただ ければと思ってまいりました。 講 演 牛窪 恵 (マーケティングライター、インフィニティ代表取締役) 《 演題 》 -女性トレンドと最新レジャー&スポーツ事情- 牛窪 皆様、本日はよろしくお願いいたします。 今問題として言われているのが、もちろん不 況もあるのですが、やはり世の中元気がない。 その中の一つの要因が、雇用の問題で、特に 20 代の男女が非常に非正規雇用が多いという人た ちです。そして草食系男子お嬢マンたちは、今 の時代に対して満足してない訳ではないけれど も、とことん何かを追い求めようという肉食系 の欲求もない。 クリスマス、20~30 代、200 人の女の子に聞 きました。今年のクリスマスは何の予定もない という方が 49%、それからお仕事かアルバイト をするという方が 15%、何とホテルに行くとい う方は 2.5%しかいません。その前にやった 20 ~30 代の女性への調査では、ラブホテルでも割 り勘にするという方が何と全体で3割を超えて います。20 代でいうと、20 代前半は4割を超え ています。 色々グループインタビューをやると、女性は もちろん割り勘でいいと思っている訳ではない、 ただやはり男の子はお金ないし、テンパってい るっぽいし、それほど別にガツガツしてないか ら、まあいいかなというぐらいのニュアンスで す。女性の方が非常に時代に対して柔軟。背景 にはやはり男性との関わりというのが非常にあ ります。 今御紹介いただいたのですが、私自身は小学 館、小学館プロダクションという出版社に5年 間おり、その後フリーになって会社を起こしま した。本としてはまず日本経済新聞社さんから 2冊出しましたのが、 『男が知らない「おひとり さま」マーケット』と『独身王子に聞け!』で す。こちらはどちらもシングルの男女を対象と していますが、基本的にはバブル世代と言われ る、バブルの経験がある方、そしてお金に対し ても非常にメリハリをつけて消費するのがこの 女性たち、後で御紹介します。 一方の独身王子の方々は、男性に特徴的です が、ハマったものにはとことんハマる、トラッ プ消費というふうに私は呼んでいますが、例え ばガンダムが好きだったらもうガンダムのもの ばかり買い集めるとか、サッカーが好きだった らJリーグの応援に入って、WOWOWのサッ カー番組を観てという、どんどん好きな分野を とことん追及していく人たちです。この人たち、 今スポーツクラブなんかでもいいお客様ではあ ると思うのですが、その下の、主に 20 代の男女 とは全く消費傾向が違います。全く別物という ふうにお考えいただいた方がわかりやすいと思 います。 20 代に関しては、去年PHP研究所さんから 『20 代・ハッピー☆パラサイトの消費のチカ ラ』という本で、20 代をハピパラということで 書かせていただいたのと、草食系男子お嬢マン ですね、基本的にはこのお嬢マンたちは自分の ことが大好き、家族のことも大好き、彼女がど -74- うこうというよりは友達、地元も非常に愛する 人たちです。消費傾向というのが、エエッ!と 驚くような、信じられない行動をとる。もちろ ん女の子も同じような傾向があります。 基本的には恋愛のプライオリティーが低い人 たち。私たちのバブルの時代は、基本的には恋 愛を中心にクリスマスもそうですが、消費が全 部回っていました。一方で、今の 20 代はそれほ ど恋愛ということを重要視してない人たちです。 かといって別に恋愛したくないとかではないの ですが、私たちバブル世代に比べてこの人たち が成人の時、何と2割以上彼女がいない、彼氏 がいない人の率が多い。男子(20 歳)で、彼女 がいる方が2割しかいません。 そして今年、流行語大賞になりましたアラフ ォー、 「おひとりさまマーケット」で御紹介した ような方々です。 バブルを知っている、非常に消費意欲がある。 それからもう一つ、非常に大きいのが、アイラ ブ自分、自分が大好きな人たちです。非常に根 拠のない自信があります。これは特に女性はあ る程度は、特に都市部の在住の方というのは、 もう軒並み男性にチヤホヤされていた訳です。 大学時代、3高・アッシー・メッシー・ミツグ くんというのが流行語でした。男の子が大学ま で車で迎えに来る、全部おごる、先ほどのラブ ホテルで割り勘なんてあり得ない。基本的には 男の子に全部やってもらうということに慣れて いた人たちです。 ただ、この人たちもその後の男女平等とか、 いう流れで、今は男の人の手を借りようとかい う意識ではなくなって来ているのですが、基本 的には自分はまだもっといい女になれるぞと、 40 過ぎても思っているような人たちです。非常 に打たれ強く前向きで、あともう一つ、この一 つ上、このアラフォーの一つ上が今 43 歳から 48 歳ぐらいのハナコ世代ですね。ハナコ世代と いう方は、その名のとおり雑誌「Hanako」とい うのを読んで、海外旅行とかブランド、グルメ とか、一番積極的に消費し始めた人たちです。 アラフォーと非常に消費傾向は似ています。 この人たちは海外旅行も非常に数多く経験し、 本物志向が非常に高い、それから上質なものに はお金をどんどん使う、逆にいうとそんなに安 いものというのは、安かろう悪かろうという意 識がまだあります。非常に本物に対してはお金 を使う人たちなので、やはりそこに対してはお 金を惜しまない。 ただ、この不景気の中で、皆さんそんなにお 金があり余っている訳ではないですから、やは りメリハリ消費をします。お金を使わない時は、 カフェーに入るのももったいないからペットボ トルにお茶を入れて持ち歩きますというような 人たちです。お風呂の残り湯しか洗濯には使い ませんよ、そういう人が1個 20 万もする窓のブ ラインドを買いましたとか、5万円ぐらいする 掃除機を3台買いましたとか、エエッ何で?と いうところですね。やはりそれなりのこだわり があって、安いものよりは、やはり本物の方が いいというふうに、彼女たちの中の価値で認め ているものに対してはポンとお金を使います。 これはスポーツに対しても同じです。中途半端 なものは絶対に売れない人たちです。 今年はアラフォーが流行だった訳ですが、振 り返ってみると非常に時代を表して象徴的です。 今言ったアラフォーの人たちは、青春時代がバ ブル全盛期に当たっています。それからハナコ 世代はバブル予兆期です。この時代の流行語と いうのがどちらかというと、やはりバブリーな 言葉ばかりで並びます。なんとなくクリスタル、 マルキン・マルビ、くれない族、キャパクラ、 こんな言葉があったんですね。それから3高・ アッシー・ミツグくん、おニャン子、ワンレン、 ボディコン、インポートブランド、海外旅行、 リゾート&グルメ、非常にいい言葉ばかりです。 このあと団塊ジュニアと言われる人たちが、 人口のボリュームゾーンで大きなところですが、 今の 32 歳から 37 歳ぐらいまでの男女です。こ の人たちは大学に入って、ヨシッいい思いが出 来るなと思った時にバブルがはじけて不景気に なりました。カード破産、複合不況、冬彦さん、 同情するなら金をくれとか、全くパッとしない 言葉ばかりが始まります。 そしてあとは今の 20 代の中心層、プリクラ世 代という方々は、非常に女性が元気だった世代 です。援助交際、女子高校生がそういうブーム の火付け役だと言われました。チョベリバ、ア ムラーとか、いわゆるガングロ、コギャル、厚 底ブーツとか、あとは写ルンですとか、こうい う文化を作っているのは女子高校生パワーとい うふうに言われた人たちです。ここから約 10 年たっています。当時のいわゆるアムラーとい われた女子高生が今の 20 代の半ばぐらいにな っているということです。非常に女性が元気で、 -75- 男性はこのころからかなりもう草食化が始まっ ています。 このあと段々貸しはがしとか、負け犬とか、 熟年離婚とか、ずっとこういうマイナスな言葉 というのが並んできます。今年も蟹工船とか、 何か非常に不景気を象徴する言葉が出てくるん ですが、それに比べるとこの時代のバブルの時 代はいかに華やかな言葉が多かったか。 私がジュリアナ東京、実はお立ち台で踊って いたことがあるという話をしますと、20 代のお 嬢マンたちは、 「ハア?まあノーテンキな時代で すね。何のためにこんな格好して踊ってるんで すか」 「何のためにって、いい男の子と出会って 色々してもらうという理由で」ということを言 うと、 「何ですかそれ!」と、全く彼らはこの時 代を知らない、まず記憶がないんですね。 大体今の 20 代半ばというのは、この時代はま だ生まれたばかりとか、せいぜい6歳ぐらいま でです。このジュリアナの映像、バブルの象徴 の映像というのはもう資料映像というふうに言 います。このころ、何でこんなことやっていた んですか、このころ金貯めておきゃあ今負け犬 になって、こんな苦労しなくていいのにねみた いな、バブル世代、高度成長世代を冷めた目で 見ています。彼らが必ず言うことは、お父さん のことは本当に尊敬している、本当に感謝して いる、でもああはなりたくないです、自分は違 いますよ、家族も大事にします、そんな会社の ために仕事ばかり優先しませんよと、非常にそ ういうバランス感覚を大事にしようとする人た ちです。 当時売れた車というのはセダン、クーペ、ツ ーシーターばかりです。それで男の子が運転を して、女の子が隣に座る。盛装をして、おしゃ れにドレスアップして行く訳です。男の子に 色々やってもらうということに慣れていた。髪 の毛も非常に長かったです。 この後男女雇用機会均等法というのが 86 年 に施行されて、団塊ジュニアから男女平等志向 というのが非常に強まってきます。団塊ジュニ アぐらいから本当の意味で男女平等というニュ アンスの採用が始まりまして、この人たちは非 常に親の影響もあります。親も団塊世代で平等 志向が強いですね。男女平等という感覚が強い です。 そしてこの人たちを、香山リカさんは、大変 だね、せっかくバブルを味わえると思ったのに 味わえなかった、貧乏クジ世代だというふうに 言っていますが、この人たちは非常にセンスが いいと言われます。そして自分たちで色々オリ ジナルなものを編集出来る、特にファッション 能力があります。その上はとにかくブランドが いい、高級ブランドがいい、クリスマスの贈り 物といったらみんなティファニーのオープンハ ートをもらっていた時代です。その価値観が、 団塊ジュニアを境に変わりました。レア物とい われる希少価値の高いもの、値段はそんなに高 くなくても、希少価値が高い、カシオのGショ ックとか、ナイキのエアーマックスとか、こう いうものがはやり始めました。 それとともに、フリーマーケットのブームと いうのがありました。それからアウトドアです ね。実際、スキーのブームというのはその上の 世代、アラフォー世代が牽引者です。スキーの ブームは何故かというと 87 年かな、私をスキー に連れていってという、ホイチョイ・プロダク ションの映画が大ヒットしまして、もうアラフ ォー世代はほとんどが、私も含めてスキー場を 必ずデートの場として利用していた。そしてい まだにやはり 40 代アラフォーから 35 ぐらいま での人たちのスキー人口というのは非常に多い。 この人たちより後から、今度はスノボー世代に 段々移行してきます。 やはりアウトドアというのは、あんなゾロー としたワンレンの髪の毛で行けるものではない。 そしてショートカットがはやりました。女性も 運転するようになった、そして車も2人の世界 ではなくて、もう友達も一緒にじゃあスキーに 行こうぜとか、どこかアウトドアに行こうぜと なった。アウトドアなら行くだけならタダです。 まあバーベキューをやっても 300 円ぐらいです ね。アウトドアは非常に安くて楽しめる、そう いう遊びを彼らは考えた。しかも自然と戯れる ような遊びというのが非常に好きな人たちです。 実はですからこのころからエコ志向というのは 始まっていました。 女性の方はバブルがはじけて、ああ何だ会社 でなんかおいしいところへ連れていってもらえ なくなっちゃったなぐらいの感覚です。タクシ ーチケットが出なくなった。でも男の子は非常 にストレスを感じていました。これは今の団塊 ジュニア、それからその上のアラフォー世代の 男子たち、60 人ぐらいに聞きましたが、もう7 割以上がこの山一ショックは非常にショックで -76- したと言ってました。 何でかというと、それまでリストラとか、あ り得なかったんですね。彼らはずっと年功序列、 終身雇用という中で、お父さんたち、お兄さん たちを見てきて、自分もいい会社に入れれば一 生安泰だというふうに親に言われて育っていま す。そのために我慢して子供のころから「8時 だョ!全員集合」とか見たい番組があっても塾 通いを続けていかないと、お母さんにも、今だ けだから、今頑張っていい学校へ入れればいい 会社へ入れて、一生大丈夫だよと言われていた のに、何だ、山一でもつぶれるじゃないか、じ ゃあ俺が今まで頑張ってきたのは何だったんだ ということです。これには非常にショックを受 けています。ここはやはり男性と女性がかなり 感覚的に違う、団塊ジュニアぐらいまでは、や はり男が妻子を養うべきだという感覚でずっと 親から言われて育っています。特に都会もそう ですが、地方の御出身の方は間違いなく全員と いって言いほどそういう感覚を持っています。 ですから独身が増えていったというのは、一 つは、やはり女性が社会進出したということば かり言われますが、彼らのやはりショックも大 きかった。女性は結婚志向が高まっているのに 何で男性は草食化して独身王子みたいなことに なっているのか、結構稼いでいる人も独身じゃ ないかということを言いますが、彼らはやはり 自分の足元が安定しない状態で結婚すると怖い、 自分だけじゃなくて妻子を養えない、そこまで 何か巻き添えにするんじゃないかとか、非常に 何か漠然とした不安感をここで持ってしまった というところです。 ただ、その下の 20 代は、もう世の中こんなも のでしょう、20 代は右肩上がりを知らない人た ちというのがほとんどですので、悲しいかな、 それだけもう世の中に期待をしてない。別にリ ーマンがつぶれても、世の中そんなものじゃな いですかというぐらいの感覚です。 一方で、先ほど言った旧プリクラ世代、この 人たちが高校時代、こういう感じだった。ルー ズソックスとか履いて、アムラー、ガングロ、 コギャルで茶髪にしてという時代です。女の子 がすごく元気だった。男の子も実は色々おしゃ れな文化を生み出していった。一つは 95 年ぐら いからはやった裏原ブームですね。東京で裏原 宿というのがありますのが、いわゆるセレクト ショップ、路地裏の店まで行って、古着とか、 そういうちょっと発掘されてないようなデザイ ナーさんのデザインを買うという人たちです。 それからもう一つはメンズ・コスメブームで すね。これは販路が広がった。大体この時代、 この人たちが高校生時代、今から 10 年ぐらい前 ですから、90 年代の半ばというのが大体ドラッ グストアとかコンビニで化粧品を売り始めたり とか、そういう時代です。資生堂さんがアンケ ートをとっていたんですが、当時の 10 代男子、 高校生の3割ぐらいが彼女に眉毛の手入れをや ってもらったことがあるというふうに既に答え ていました。 私たちは本当にびっくりした。ただ、その時 代からもう女の子が文化をリードしていって、 格好いい男の子にしたいというところが非常に ありました。今も車を持っているより格好いい 男の方がモテる時代ですから、そういうところ を非常に気にしているというところです。 そのアラフォーとか団塊ジュニアぐらいの世 代というのが、今どうなっているかというと、 皆さんにとっていいお客様だと思いますが、ま ずシングルが非常に多い、全国で言うと今未婚 率は 30 代女性全体の 25.2%です。これだと4 人に1人ですが、東京だと3人に1人が未婚で す。未婚というのは皆さん一回も結婚してない 人ですから、その他にバツイチというのが大体 1割ぐらいいます。非常にシングルが多いとい うのがまず今の現状です。2003 年に酒井順子さ んが「負け犬の遠吠え」という本を書きました が、負け犬論争というのがやはり起こっていっ たというところです。決してレアケースではな いということです。 ではこの人たちを何で狙っていきたいか、シ ングルの方が可処分所得が明らかに高いです。 それから女性の場合、結婚して妊娠して第一子 を出産した段階でいまだに7割が仕事を一たん 辞めてしまいます。それからまた復帰するとい っても、やはり正社員として復帰するのは難し くて、そこからやはりパート、アルバイトにな るというのが圧倒的に多いです。そうなったら、 可処分所得がガタッと減ります。 ただ、シングル、ディンクス、そういう方々 は自分の好きに使えるお金が結構あるというこ とで、この人たちを狙っていった雑誌というの が次々に出てきました。特に 40 歳を基本的にタ ーゲットにしているSTORY、この雑誌とい うのは非常にキャッチコピーのつけ方とか売り -77- 方が上手です。 基本的には主婦をターゲットにしていますが、 気持ちの背景にあるものは同じです。アイラブ 自分、ここにもありますね、いつまでも夢見る 女でいようとか、非常に前向きな言葉、この人 たちに後ろ向きな言葉をタイトルにつけても全 く売れないそうです。そういうものには関心な い、私はもう常に前へ前へ行きますよ、お金も 出しますよという、非常にポジティブな人たち です。こういうところを狙っていこうよという 企業さんがいっぱいいらっしゃいます。 じゃあこの人たちが何を思って消費するか、 ひとりッチ、 「おひとりさまマーケット」に登場 した人たちです。まずよくいわれるのが非日常 を買うということなんですが、これまでは、も っぱら文化系の消費が多かったのですが、最近 はクルム伊達さんの応援ツアーなど、スポーツ の影響があります。あとは石川遼君もあります が、こういう観戦ツアーに行っていたり、休日 はやはりお友達と連れ立って見に行ったり、あ とはゴルフなどは夜間でも出来ますから、そう いうところで自分が非日常を味わう。 この人たちは中途半端なものは嫌いですから、 ある程度お金をかける時はかけます。やる時に は自分はやっぱり格好いい自分、きれいな自分 でありたいということで、なんちゃってセレブ 感覚があります。例えば美術館に行くといった ら、きれいなお洋服を新しく買って、ストッキ ングも新しいものを持ってとか、バッグもいつ も会社に持ってきているものとは違うものを持 っていったりとか、そういうところにお金をか ける。普段はすごく倹約するんだけれども、そ ういうところにはお金をかける人たちです。そ れからスポーツを見に行って、自分がやる気に なったら、じゃあ伊達公子と同じラケットを買 おうかなとか、別にその足でドン・キホーテに 行くような人たちではないんです。自分が気に 入ったものを買いたいという人たちです。非常 に右肩上がりの時代に育っていますから、習い 事を続けることが得意です。 あとで御紹介する 20 代は続けることが苦手 ですし、頑張った先にいいことがあると思って ないから、彼らは今いいことを味わいたいんで す。ただ、アラフォーたちは頑張ればもっとい い私になれる、もっとすてきになれるという根 拠のない自信、根拠のないそういう期待感とい うのがありますので、非常に続けることは得意 な人たちです。ですから一たんお客さまとして つかまえてしまうと、続けやすい。ただ浮気性 です。男性とは違います。同じテニスをやる、 同じヨガをやるのでも、あああっちの方が良さ そうだなと思うと、そっちに移っちゃうという 可能性はあります。 この人たち、もう一つはやはり休日は一人温 泉、一人ホテルで、ロンリーワンをオンリーマ ンにと書きました。アラフォーのドラマでも、 この天海祐希さんが一人で日帰り温泉とかに行 っていました。何をしているかというと、夜、 旅館のリッチなお食事を食べて、温泉に入って、 その後お笑いのDVDとか見ていたりするんで すね。ベルサイユのばら全巻を持っていて読ん でいますとか、やはり普段とは違う空間で思い 切り電話も携帯も切っちゃう、パソコンも見な い、そういう中で自分がのびのび開放されたい という人たちです。都内に住んでいるのにわざ わざ休日に都内のホテルに泊まるとか、日帰り で箱根ぐらいまで温泉に行って、また帰ってく るという、そういうことに割とお金を使う、し かも旅行が好きな人たちです。 そして最近ペットを飼っている女性、シング ル女性のうちの 30 代シングルの確か3~4割、 家族と同居している方はたしか5割が飼ってい ます。ペットとお出かけというのも増えていま すので、ペットと連れ立って温泉旅館に行った りとか、スポーツをしてらっしゃる方もいらっ しゃいますね。例えば乗馬とか、新たな発見を して、ああ楽しいな、もう一回やってみたいな と思ったら結構ちゃんと東京に戻ってからもや るような人たちです。いいものを一回味わった ら、ああじゃあ私はもっと上達するんじゃない かという根拠のない自信がありますので、まず この人たちにはやはり体験させるとことが重要 です。 次に、ごほうびを買う、聞きましたところ、 圧倒的にエステとスパでした。この時代は、物 はもういいんだ、この人たちはバブルの時にい いかげんブランド物をもらったり、自分で買っ たりしていますから、もうそれは余り興味ない。 むしろコト消費、見えないものに価値を感じた い人たちです。サービス、おもてなしというこ とが特にお好きな人たちです。 この人たちは何でネイルをやるか、一つはも ちろん若い人たちの影響力、もう一つは、やは り手元がきれいになると自分に自信がもてると -78- か、要するに内面を豊かにしたいので、そのた めに外見をきれいにしたいという人たちです。 きれいにしたでしょう?どうどうどう?と言い ふらすためにやっている訳ではない。ここが非 常に重要なところで、やはり自分の内面を豊か にしてくれるサービス、ですから逆に言えばあ る程度お金は使いますから、中途半端なネイル サロンに行くよりは、多少高くても自分が落ち 着いてゆったりとスタッフの方と会話が出来た り、自然の中で自分がもう一度復活出来るとか、 そういう空間というのを非常に重視しています。 なぜこういうところに行くかというと、私は 「長距離ランナーの給水所」というふうに言っ ていますが、昔は大体2~3年の腰掛けOLと いうふうに、基本的には今 30 代でも、結婚して いる方も入れても6割以上、40 代でも7割以上 の女性が働いている訳ですね。そうなるとずっ と走り続けなきゃあいけないけれども、どこか でやっぱり給水所がないととてもじゃないけど もたないよということで、自分にごほうびをあ げる。お給料後というのが圧倒的に聞くと多い のですが、もう一つはやはり気持ちの中でプロ ジェクトが終わった時とか、ある程度自分が目 標にしていた仕事が一段落した時、そういう時 にやはり自分に所々給水所感覚でごほうびをあ げているというところです。この金額が 20 代よ りはかなり使うのが 30 代です。 もう一つ、日常でもチョコチョコしたごほう びというのももちろんやっています。デパ地下 スイーツとか、シャンパンとか、こういうもの というのを自分へのごほうびと位置づけている 方もいらっしゃいますが、一番やっぱりお家の 中で味わうごほうびとして多いのはお風呂です。 週末、バスボムというのを買って、自分でお 風呂の中にシュワッと入れる、これは一個 700 ~800 円するんですが、このラッシュ・ミニと いう新宿、池袋とか、あの駅ナカにあるお店、 5坪しかないお店です。平均滞留時間は5分に 満たないぐらいなのに客単価は 1,800 円以上い っています。これらは 20~30 代女性が主に買う。 買うのは圧倒的に金曜日の夜に買って、自分で お風呂に入れて、ああ今週も頑張ったなという ところですね。例えば桜のシーズンは桜の花び らを浮かすとかして自分にごほうびをあげる、 これがリラックスタイムだということですね。 一個 700 円で使っちゃったら終わっちゃうので すが、それでもやはり自分にごほうびをあげて、 じゃあ頑張るか来週からというところがありま す。 次も、よく言われます自分磨きです。これは スポーツと非常に結びつきやすい。この人たち、 右肩上がりの時代というのをよくよく見ていま すから、チャレンジ精神というのは非常にあり ます。トレーニングもやり始めたら結構頑張る、 最近増えているのは自転車通勤です。ラストフ レンズであの 20 代の子が乗っていた自転車と、 このアラフォーのドラマで天海さんが乗ってい た自転車をよく見ていただくと全然違います。 基本的には 20 代は、オシャレ感覚のゆるい自転 車が好きですが、アラフォーはクロスバイクと か、やはり本気の感じが非常に好きな人たちで す。 それからあとはジョギングです。これは東京 マラソンの影響とか、長谷川理恵さんの影響と かあるのですが、基本的にはジョギング熱とい うのも非常に復活しています。本気でやる時に はやって、パッと切りかえるという人たちです。 おうちでヨガ、こういうものも日常的にやる、 そしてこういう自分を「見て見て、私って素敵 でしょう」と言いたいような人たちです。自分 に非常に自信を持っています。そしてどちらか というと、セクシー&ヘルシー、非常にヘルシ ーなものが好きなんですが、セクシーでないと 響かない、ここがアラフォーとかこのあたりの ポイントです。ハナコ世代もそうです。 何故かというと、彼女たちは女として一番良 い時代にチヤホヤされていた訳ですね。ですか ら女であるということを露出することが、世の 中的に得をする、自分が得をすることだという のはわかっています。その下の世代は、逆に女 を出すと、社会的に損だとか、男女平等じゃな くなるという意識が非常に強いのですが、その 上の世代まではその記憶が残っています。女ら しさを感じさせることで、何となく自分に得が ありそうだなというのは思っていますから、結 構年がいもなく肩を出したりとか、露出するフ ァッションでスポーツクラブに通ったりとかし ます。 意外に若い子の方が、結構男っぽい格好でス ポーツしたりします。若い子は結構ガードもあ ります。でもアラフォーはその割にはかなり露 出したりとか、結構ピタッとしたウェアを着た りということをする人たちです。でも別にナン パを待つとか、そういうことではないのですが、 -79- そういう自分が好きという人たちです。 じゃあ結婚したら習い事とかスポーツクラブ とか興味がなくなるのかというと、彼女たちと いうのは上昇志向があります。結婚してお子さ んがいらっしゃっても、未就学児ありの女性を 除いて、既婚女性の3~4割が習い事をしてい る、週二回以上お稽古している方も 17%、30~ 40 代はいます。しかもこの人たちはやはり本物 志向というのが好きで、空間とか、そこに集う 仲間というのも非常に重視します。例えばフラ だったらフラの世界観がある空間でやりたいと か、和の空間だったら、やはり空間全体が和に なっている、それから和服をちゃんと着て、た だ単にお茶菓子を食べて終わりというのではな くて、ちゃんと着付けもして、ちゃんと何々も やってという人たちです。形から入る人たちな ので、やはりスポーツにもそういう空間の重要 性が求められます。 もう一つはコアなところに段々向かっていく、 オタク志向、こだわり志向というのがあります。 うまくなることよりも、一番大事なのは、彼 女たちはコミュニティに集う仲間と会話したい んです。終わった後、どうだった、今週大変だ ったよね、そういう話をする仲間というのは同 じ価値観の仲間です。 特に年齢的なこともありますし、やはり非常 にコアな趣味とか、そういうのを持った人たち も多い世代です。その人にあった世界観を演出 しやすいような空間、照明とかそういうもので、 そういう教室の講座によって変えていくとか、 例えば香りを変えるとか、そういうチェンジの 仕方というのは出来ると思います。そういうも のも含めて非常に世界観というのを大事にする 人たちです。 この 20 代、お嬢マン世代、実はここが今から 非常にターゲットとしては大きくなってくる、 見逃せない人たちではあります。ただ、その上 とは全く別物、別生物というふうに思っていた だいた方がいいと思います。 まず「パッと見」です。男の子もファッショ ンとかネイルとか、こういうものに非常に関心 が高い、今のこの 20 代男子、床屋に行っている 方と美容院、いわゆるサロンに行ってる方は 半々です。5割がサロン、美容院に行ってらっ しゃいます。 スポーツクラブもそうです。昔だったら、家 族会員というのは親がいるところは何となく嫌 だなという人も多かったですが、もうそういう 気合は全然ないです。むしろ、今日も母親が来 てるかという、そういう感じだったり、あとは もちろん親がお金を出してくれたら、その方が いいなという人たちです。基本的にただパッと 見に非常に関心が高くて、その上の世代の男た るものみたいな概念は全く持っていません。私 が通っている表参道のネイルサロンも4割が男 性客です。そういう時代です。 男女の差がない、何でお嬢マンと言ったかと いうと、実はある自動車メーカーと名古屋嬢の 研究というのを1年ちょっとやっていました。 名古屋嬢というのは、多分クルクルの巻き毛で ブランド好きで、親と仲がいいというところで すが、巻き毛はともかく、彼等は見た目に非常 に関心が高い。それから親御さん、家族とすご く仲がいい、もう一つはおうちの中が大好き、 名古屋も外食産業とか余り伸びないんですが、 基本的におうちが非常に大好きな人たち、地元 も大好きな人たちです。この人たちも困ったこ とに、スポーツクラブでずっとやるよりは、自 分の家でやれることはやりたい、やはり「おう ちでスポーツ」が大好きな人たちです。 そしてもう一つは男女の差がない、男女の感 覚がない、グループインタビューをやっても、 必ず一番出てくるキーワードは「カワイイ」で す。男の子も「カワイイ」です。ちょっと上ま では格好いいとか、クールとか、そういう言葉 が男っぽいとか、俺は好きですというところで すが、男の子もカワイイものが好きです。この カワイイのニュアンスは使い勝手がいいとか、 自分に近い存在とか、いとおしいとか、色んな 意味合いで言っているのですが、とにかく「カ ワイイ、カワイイ」、これが出てきます。車とか、 かばんとか、こういうものも全部、 「ああ、カワ イイっすね、カワイイっすね」ということです ね。ですからアンケートをとると、余りよく分 からない、何を考えているんだと分からない人 たちです。非常に語彙が乏しいというのもあり ますが、もう一つは男の子がカワイイから買い ましたというのは、昔は大人の前では言いにく かったと思うのですが、全然そういうてらいは ありません。 もう一つ、ここはスポーツをやる上で大きな ところです。ダイエット志向というのが男女と もに非常に高い。ビリーズブートキャンプとい うのもはやりましたが、やはり男の子でも女の -80- 子と同じぐらい、こういう新しいはやりモノに 飛びつきます。すぐに関心を持つ、情報力にま ずすごく長けています。こういう家でやれるも のというのは好きですから、とりあえず取り組 んでみる。でももちろんすぐに飽きる人たちで す。どちらかというとおうちで出来たり、手軽 にすき間の時間で出来るようなことというのが 好きです。やはりサーキットトレーニングみた いに 15 分とか 30 分とかで出来るようなこと、 ボディーズの丸の内店はもうお昼休みにOLさ んが制服姿で来て、ネームプレートも付けたま まで来る、それでワーとやって、ちょっと汗を ふいて、はいお疲れさまでしたと言って午後の 始業前に帰っていくということです。 じゃあお昼御飯はどうしているんだ、と思う でしょう。お昼は食べない、基本的にこの人た ちは食べないんです。非常に食べる量が少ない。 男性も私たちバブル時代より、1人あたり食べ ているお米の量が3分の2しかない。食調査を やると、もちろん焼き肉ガッツリとか食べてい る日もあるのですが、それ以外1日二食とか一 食とか、コーヒーしか飲んでないとか、よくそ れで平気だと思います。 夜9時以降に食べると太ると彼女に言われた から食べませんとか、コンビニのお弁当って大 体何百カロリーとあるんですよ、お弁当を買う よりプリン二個の方がカロリー数が低いから夕 飯プリン二個でいいですとも言う。エエッ!な んでそんなにやせたいの?というと、ディオー ルオムのスリムなジーンズが履きたいんですと か、まあ彼女に太っていると言われたくないと か、そういったニュアンスです。 本当にやせている男の子が多いと思いますが、 やはり基本的にはダイエット志向はあるのです が、頑張って汗かいて、その先にいいことがあ って頑張ろうというよりは、やせるのだったら じゃあ動かないで、とりあえず省エネで、食べ る量は減らして、その方がお金もかからないし 太らないし、楽でいいやという感覚が強い人た ちです。残念ながら。これは親の教育がとか、 そういう問題ではなくて、志向がそういうとこ ろにいっちゃっています。ダイエット志向は高 いのですが、じゃあスポーツをするかというと、 そこは必ずしも一致しないという人たちです。 独身王子とか、その上の世代の人たちはどち らかというと努力して頑張って、そういう自分 が好きという人たちですが、お嬢マンは頑張っ ているところを見せたくないんです。汗流して 格好いいだろうと、そういうガツガツした肉食 的なところは見せたくない。恋愛もそうです。 ですから告白して失敗したら格好悪い、それぐ らいだったら別にコクらなくてもいいやという ことです。20 代は好きになっても告白しないと いう男性が5割以上います。そういう状態です。 ただ、やる気ないんだ、こいつら、何に興味 があるのかなと思われると思いますが、基本的 には男の子も女の子も人より早く色んなものを 体験して、こんなだったよ、あんなだったよと いうことをコミュニケーションで言いたいとい うところがあります。物欲がもうないんです。 基本的にこの人たちはもう生まれた時からコン ビニもありました、ファミレスもありましたか ら、いつでも物も食べられるし、買えるし、そ れで今は携帯でも買える、インターネットでも 買えるということです。 携帯ショッピングのゴールデンタイムという のは夜中の 11 時から朝明け方の4時、この時間 帯に 20 代の人たちは携帯で買い物をするとい う、そういう時代です。ですからこの人たちは どちらかというと、買いたいものはいつでも買 えるんだから、そんなもの別に今じゃなくてい いや、物に関しては期間限定とか、そういうも のには並ぶんです。H&Mみたいに、売り切れ 御免となれば、じゃあ人より先に行っておこう とか、買っておかないとこのデザインはなくな るという焦りがありますが、それがない限り、 まあいつでもいいのならいいやというふうにな りがちです。 ただ、このコミュニケーション欲があります ので、人より先に色んなサービスとか、そうい うものを体験させてあげますよというと、これ を口コミしたい。ただその場合にビジュアルで 何か伝えられるものを用意するというのがネッ クです。ミステリートイレというトイレがある と、ああ何なの、これ、ああ何か得しちゃった、 こんなトイレに出会っちゃったということで、 この人たちは何をするとかいうと、必ず写メで 撮ります。携帯のカメラで撮ります。そしてそ れをブログで、早い人だともうその場でアップ します。人に言いたいんです。とにかく自慢し たいというところが強いんです。 それからJR西日本さん、アンジェルブとい う有料トイレを展開しています。これは1時間 300 円とります。 -81- 300 円もとって何かというところなんですが、 基本的にはここにサンプル商品があります。資 生堂さんとかパナソニックさんとか、そういっ た商品もタダで使えたりとか、タダでワコール さんのストッキングを使えたりとか色々ありま す。それを持って帰れたりとか、普段売ってい るものとちょっと違うものがあったりとか、あ とはこういう空間が、お姫様みたいな、こうい うシャンデリアとかある訳です。こんなトイレ で皆さん何をやっているかというと、缶ジュー スを買っていって、1時間ダベッているという 風景が多いですね。いつも混んでいます。そし て浴衣のシーズンはこの中で着付けをやってあ げたりというサービスもします。 もう一つ、東京の原宿にあるサンプルラボさ ん、企業さんがこのスペースを買って、そこに 新商品を置く、そこに会員になって女の子、男 の子が行って、基本的には女の子たちが誰より は早く化粧品の新商品とか、そういうものをと りにいく。これも会員制で 300 円とるのですが、 やはり自分の欲しいサンプルがもらえる。普通 サンプルというのはタダでもらうもののはずな んですが、わざわざここに取りに行く。そして 好きなものをもらう訳です。 まあ何が一番ミソかというと、企業さんはこ の人たちにブログにアップして欲しい訳です。 例えばこれが新商品だとすると、コンビニに並 べても、コンビニは大体新商品を出して2週間 回転率が悪かったら、もうすぐに取り払われて しまいます。ということは商品が出た段階であ る程度話題になってないと、もう残っていけな いんですね。ですから企業さんはそういったこ とで売る前からこういう仕掛けをしなきゃあい けないというところがあります。 ですから本当はサンプルラボさん、この空間 は撮影禁止と言っているのですが、実は撮影に 目くじらを立てません。撮影してブログにアッ プしてもらおう、それがメーカーさんの望んで いることだし、実際それをやってもらっている というところですね。やはり人に口コミしたい んですね。 スポーツクラブなんかに行くと必ず携帯禁止 ですね。写メも撮れません。しかしやはりそう いう何か伝えられる、目で見て伝えられるもの というのを、ああこんなのあるんだよ、ここは、 私はこういうところへ通っているんだよ、と自 慢したくなるような何か本当にツリーとか、そ ういうものでもちょっと変わったものとかがあ るといい。やはりそういうところはなるべく本 当はブログに撮影したものをあげてもらうとか、 そういうような仕掛けというのは若干していっ た方がいいかもしれないです。やはり物よりも コミュニケーション欲、人に、どう私が行って いるところはいいでしょう?そういうことを自 慢したい人たちです。 次の、そこそこ消費ですが、これがちょっと 困ったものです。アラサーというのがアラフォ ーの下の 30 前後の女性です。この人たちはロス ジェネというような言われ方もします。失われ た 10 年ですね。日本の要するにバブルがはじけ た後の元気がなかった後の 10 年間に一番当た ってしまった人たちと言われるのですが、基本 的にはこの人たち、右肩上がりを知りません。 今のアラサー女子、頑張った先にいいことがあ ると思えませんから、もうそれよりは今気持ち いいと今感じることをしたいと考えます。ケイ コとマナブ、リクルートの調査でも、今はもう レベルアップとか、そういうものよりもストレ ス発散、気分転換、ここがダントツにやはりト ップに来ます。 それからプライベートを充実させたい。ある 意味、派遣社員が多い、契約社員が多いという ことは、5時ぐらいで帰れる人が結構いるとい うことです。そうなってくると時間はある、ア フター5をそんなにお金は持ってないんだけれ ども、でもやりたいことをそこそこ充実させた いという流れは出てきています。一回でちょっ と気持ちいい感じとか、ちょっと何となく汗か いてやせそうとか、岩盤浴的なもの、そういう ものが伸びます。 それからもう一つはプチボランティア感覚、 エコ志向、やはり社会モテを目指す人たちです。 でも、電車の中で化粧してるじゃないかと思い ますが、彼女たちはあの電車の中の化粧は、自 分たちの回りの人が目に入ってないだけで、別 に回りに迷惑をかけているという意識は一切な いです。それより新聞を広げて読んでいる親父 の方が悪いだろうという感覚ですね。私はちゃ んと 250 円払って電車に乗っているのに、何で 悪いの、見ないで下さいよという感覚なので、 そこは全然罪悪感はない。たばこのポイ捨てと か、あとは企業の不正とか、そういった社会的 にNGとされることというのは、ものすごく嫌 います。 -82- 男性もそうです。男性サラリーマンが接待と かいって、自分の行きたい店に行って領収書を 切ったりすると、何だよみたいな、すごくそう いうことは批判します。ですからちょっとやり にくいというか、扱いにくいんですが、そうい ういい意味で社会モテというのを目指していま すので、こういったボランティア志向、は好き です。 ですからボルビックさんの、何とかキャンペ ーンで、これを買ってもらうとアフリカの難民 に寄附されますとか、サッカーだと中田ヒデが やっていますが、スポーツでもボランティア的 なニュアンスというのは非常に響く世代です。 どちらかというと勝ち組負け組みたいなことで、 回りを蹴倒してもどんどん稼ごうというよりは、 自分はそこそこでいいというところです。自分 はそこそこでいいんだけれども、ただ回りもみ んな幸せにいけるといいねというようなニュア ンスですね。自分の上司とか先輩は、そこは別 にどうでもいいかなというぐらいのニュアンス です。ちょっとテリトリー意識が違うんですが、 基本的にはそういう人たちなので、割とコンビ ニ募金もするような子たちです。 このお嬢マン、あともう一つは、スピード感 とか、危ないことが嫌いなんです。これはやは りお母さんが大事に大事に育てたという影響が あると思うのですが、例えば車が売れない、何 で売れないかというと、先ほど一つ言いました。 まあいい車に乗っていたからって女の子にモテ る時代じゃない、むしろ持ってなくてもいいし、 パパの車に乗っている方が駐車場代もかからな いし、燃費も保険もかからないんでしょう、そ っちの方が賢いじゃんと、女の子もそういうこ とを言う時代です。それよりはむしろ自分の見 た目にお金をかけた方がいいというのが一つ。 もう一つ、車に乗らない理由は、やはり親が 小さい時から、車は危ないということを言って いた、よくテレビを見ても、刑務所 24 時間とか やって、交通事故を起こした人が映ってたりす るんですが、やはりああいうことは絶対にやり たくない、危ないことは大嫌いです。たばこも 吸わない人が7割もいます。それから人から嫌 われることというのは極力したくない人たちで す。 ですから売れないのは当然なんですが、じゃ あどうやって売っていくかというと、基本的に はまずほっこり感、居心地ですね。キューブ、 マイルームというふうに日産さんは言いました が、やはり走ることも、スピードを出すことは 嫌いです。危ないですから。それよりは車でほ っこりする方が気持ちいい。それから自分が車 に乗っても彼女と二人じゃないです。友達もど んどん携帯で、何時何処にいるといって、どん どん乗せていきます。憧れのステータスとして 車を所有したいというよりは、レンタカーでも いいし、みんなが居心地良く乗れる方がいい、 そういう車の方がいいという感覚です。 自分の部屋がそのまま移動しているようなニ ュアンスということで、走りより居心地で車を 売った。F1も全く興味ないですから、そうい う危ないこととか、それが格好いいというより は、居心地がいい、ほっこり出来る方がいい、 まったり・ほっこりという世代です。ですから 売り方を買えないと売れない。ただこの人たち、 やはり7~8割は親と同居していますから、家 の中で存分にガンガン音楽が聞けるかというと、 親の目があったりして聞けない、近所の目があ ったりして聞けない、じゃあ車の中なら出来ま すよねとか、そういうふうに全く考え方を変え ないとものが売れにくくなっています。 今後のスポーツとの関わりということも含め て、マーケットはどうなるかというと、まずや はりシングルの男女というのが増えます。三つ 理由があります。一つは団塊の世代、今 57 歳か ら 62 歳ぐらいの方ですね、団塊の世代の方は大 体奥様がだんな様より3歳から5歳若い方が多 いというのが平均ですが、これは平均寿命に照 らすと、奥様がだんな様より 10 年長生きすると いうふうに言われています。この後、団塊の世 代は一番ボリュームゾーンですが、高齢化して きた時に、奥様が結局一人で残るというケース が圧倒的に考えられます。ただし、一人で残る かは分からない。シングルの方、パラサイトの 方が非常に数多くいらっしゃいますから、そこ はあるのですが、基本的にはこの一人で残る妻 たちもある程度のボリュームが考えられます。 もう既に単身世帯というのが一番多い世帯傾向 になっています。 こうなってきた時に、どうなるか。今団塊の 世代ぐらいまでは、もちろん年金不安もあるの ですが、かなり消費意欲がある世代の高度成長 期の人たちです。だんなが亡くなったら私はゴ ルフでも始めてみようかなとか、今やったらい いじゃないかと思うのですが、今やるとだんな -83- さんにグチャグチャ言われるからとか、お友達 と海外へ行ってゴルフやりたいのよね、ハワイ でやりたいのよねとか言います。車も何かだん なさんがもったいないとかいって安いのに買い 換えちゃったんだけど、私はだんなが死んだら ピンクのプジョーに乗りたいのよね、カワイイ でしょうとか、そういうことを言うような人た ちです。ですからこのぐらいまでは結構年金も ある程度保障されていますので、かなり消費意 欲はあります。 石川遼のブームで、彼のファンクラブは 95% が 40 代 50 代の奥様方だと聞いていますので、 その世代、ゴルフ人口というのは非常に増えて いるというところです。もっと上の世代もある 程度そういうことを言います。女性一人になっ た時に、何かスポーツを始めてみたい。私たち が調査をしてても。だんなとちょっと離れて出 来るのならやりたいわという人たちもいるよう な世代です。 この下のアラフォーの人たち、男性も今 30 代でもシングルが、未婚が何と2人に1人いら っしゃいます。この人たち、アラフォー世代と いうのはこの5年余り、期待されたほど結婚し ませんでした。この後もなかなか結婚しないだ ろうな、そして男の方、ちなみに生涯未婚率と いうのが今は 16%ぐらいですが、この後、厚生 労働省の試算でも、十数年後には大体4人に1 人が未婚になってくるだろうという、一生に一 回も結婚しない人が男性に4人に1人になると いわれています。 そうなった時に、シングルはどうなるか。 「パ ラサイト・シングルの時代」の本を書かれて、 今年婚活という言葉を流行らせた山田昌弘さん という社会学者さんがいらっしゃいます。山田 先生がおっしゃるには、団塊の世代が 80 歳にな った時に、パラサイトのお子さまがまだ一緒に 同居している確率は何と全体の4割いるだろう というふうに試算されています。 お子さんは、その頃にはもう 50 歳ぐらいにな っている訳です。それでもまだ親御さんと一緒 に住んでいる、もしくはやはり仕事もフルタイ ムで働いているとは限らないという状況になっ てくると、この人たち非常に意欲はあるのです が、果たしてそれだけ消費できるだけのパワー が残っているかなというのは若干不安なところ はあります。一番の心配事はやはりお子さんが 御結婚されてない場合は、特に自立してない場 合、稼ぎもない場合というのは、やっぱり一人 残して死ねないというのをおっしゃっています。 そういう将来不安はあります。 そして最後、一番これから頑張って消費して もらわなきゃあいけない、本当は子供を作って 欲しい 20 代ですね。この人たちに聞くと、基本 的に女の子は、先ほどのバブル世代を非常には すに見ています。私はあんなアラフォーみたい な、ああいうイタイ女にはなりたくないです、 私はちゃんと 30 歳ぐらいで結婚して、子供も産 んで、ワークライフバランスでちゃんとお仕事 もしながら、家事もそこそこやって、でもだん なさんにもそこそこ手伝ってもらってという、 それが彼女たちの一番の多い志向です。そうは 言っても、オーネットの通年調査を見ると、大 体 20 代前半ぐらいだと男性と結婚したくない という方が基本的に3割いらっしゃいます。 これは毎年の傾向ですが、じゃあ何で結婚し たくないかというと、6割以上の女性が一人で いる方が気が楽、男性と一緒にいるのは面倒く さいということを言っています。個室文化に慣 れているとか、一人遊びに慣れているとか、そ ういうのもありますが、まあ基本的には一人と いう時間を大事にしたい人たちなので、ここが 非常にネックですね。結婚してくれるのか、子 供を作ってくれるのかというのが、ちょっと微 妙なところです。 ただ、逆に言えば、シングルとかディンクス、 今のところパラサイトが圧倒的に多いので、そ うなってくると可処分所得が圧倒的に高いです。 ちなみに大広さんのアラウンド 40 調査は 38 歳 から 43 歳ぐらいですか、首都圏、大阪近郊も含 めての調査ですが、それによると何とアラフォ ーのシングルの女性のうち月 10 万円以上自由 になると答えた方が 41%いらっしゃる。という ことは、シングルが増えていくというのは、子 供ができないというのはもちろんありますが、 ただ一方で親が元気なうちは可処分所得が高い、 それだけスポーツも含めて色んなことにお金を 使えると言えます。ここ5年 10 年というのは、 やはりその親子消費、いわゆる親に甘えて何か 消費をしていこうと考える。そういう傾向があ ります。 女性がやはり主導権を握る時代になってきま した。前まではこのアラフォーも含めて、女性 というのは男の人に甘えて、基本的には男の人 の花でいろと言われた人たちだったのですが、 -84- もうそろそろそれも飽きてきた。ましてや働い ていれば、男と同じぐらい頑張って働いている んだからという感覚があって、かなり強いこと を言うようになってきています。 ましてや 20 代はさっきのガングロ、コギャル ですから、もともと高校時代から女の子が主導 権を握っていました。そうなるとますます何が 起こるか?冬ソナ現象にあった、女の子からの 「口コミ伝染」現象。まず彼女たちが何処に口 コミするかというと、一つ上の世代とか、御近 所の友人とか、会社の同僚とか、そういう人に 「冬ソナ見た?何か面白いらしいよ」と、そう いうことを口コミを始めます。 実際これは起こった現象ですが、この人たち が初め、衛星放送で冬ソナを見始めたんですね。 NHK総合1チャンネルで始まった時に、やは りここからお母様に口コミがいきました。この 直後JTBさんとか、近ツリさんとか、皆さん 冬ソナツアーというのを売り出されたんですが、 冬ソナツアーは基本的には女性の参加者が圧倒 的に多い、しかもお母様方はお父さんとは一緒 に行きたくない、なぜなら初恋の人を思い出し て行きたいのに、夫がいると気分が壊れるとい うのがJTBさんにもっぱら寄せられた声だっ たそうです。 実はフォードさんが、冬ソナのドラマとタイ アップされていました。エクスプローラーとい うのは、パジェロより大きな車で大体 500~600 万円する、この車は車高も非常に高いんですね。 この車はただヨン様がスキー場に行った時に、 ユジンという役の、あのチェ・ジウをエスコー トする車です。 放映されていった中で、このフォードエクス プローラーの売り上げが前年対比で 1.4 倍ぐら いふえています。それでフォードさんにインタ ビューしたところ、やはり圧倒的にまず女性か ら電話がかかってきて、何処で売っているんだ、 あの車は何処で買えますか、何処で見られます か、と聞かれたそうです。そしてその後ショー ルームで、この子たちが男性たちを引っ張って くる。そして実際私たちがインタビューした独 身王子の中でも、一人なんですが、この白いエ クスプローラー、ヨン様が乗っていたのと同じ ものを彼女にせがまれて買いましたよ、どうせ 何でもいいと思っていたから別にいいんですけ どねと言っていました。 ですから彼女たち、消費の現場では浮気性な んですが、基本的には親や男性たちを引っ張る 役目は果たします。しかも男性の方は、気に入 ったらハマる人たちですので、本当はスポーツ 系もこの流れをもっと強化されるといいと思う んです。情報は確実にこの上の 30 代以上という のは女の子の方が早い、ですからこの人達にま ず情報を与えて、いいよいいよということで、 「やってみない?一緒に」ということで男性を 引っ張って来させる、実際にエステ業界も完全 に女性が引っ張って来たという流れが強くなっ ています。 この流れというのはもっとスポーツで出て来 るのではないかなと思います。 ただ、非常に厄介なことが年金問題です。こ のサブプライム問題が起きる前から、もう皆さ ん財布のひもはガチガチに固くなっていました。 特にアラフォー、シングルで先行き不透明で、 これから結婚もどうしようかなというような人、 それから団塊の世代からちょっと下ぐらいです ね、やはり今からお金を貯めておかないと将来 ダメなのかしらね、幾ら貯めればいいのかしら ね、せっかくあれほど使う気になっていた人た ちが、今かなりそういったことで財布のひもが 固くなっちゃったという部分が強くあります。 そういう中で生理不順になったりとか、体を 壊す人も多く見られます。ですから今スポーツ クラブでもやはり健康診断とか、もちろんメタ ボリック対策もありますが、やはりメンタルな 面も含めてこういう健康診断的なニュアンスの ものというのがもっと出てきてもいいかなと思 います。基本的に体を壊しちゃうんですね。こ の先行きの不透明感というのがやはり、特に女 性、30~40 代ぐらい、かなり体の変化がありま すので、そこで体を壊したりするという女性の 傾向があります。 もう一つは、何かに使うというよりは、じゃ あ投資セミナーで備えておくかとか、じゃあ家 をもうちょっとリフォームして新しくするかと か、そういうニュアンス、もう守りに入ってき ちゃったんですね。お城のバリケードを築いち ゃってるような状態です。なるべくこの人たち を外に出させるには、やっぱり外に出るといい ことがあるよとか、楽しいことがあるよという のを当たり前ですが、感じさせていかなければ いけない。 「Hahako(ハハコ・母娘)世代」、団塊ジュニ アと団塊世代は特に象徴的ですが、やはりお母 -85- 様と仲のいい女の子というのがまず非常に多い。 団塊ジュニア、シングルの 75%割が親と同居を しています。30 代も4人に1人が未婚で、その 中の8割が親と同居しているというような状態 になって、これは全国の数値です。東京は 65% ぐらいですが、やはりパラサイト率というのは 東京以外の都市部は多くなります。特に名古屋 はシングルの9割以上が親と同居をしています。 そういう中で親御さんとセットで売っていく、 家族消費が一つありますが、もう一つは昔の遺 産を掘り起こすという消費ですね。最近、アラ ウンド 40、R35 とか、コンピレーションアルバ ム売れています。振り返って、ヨシッ、あの時 も良かったけど、もっと今は輝いているな、今 の私素敵ね、もっと素敵になるわという人たち がこのアラフォー世代です。ここを刺激すると いうところでいうと、スポーツではスキーとか スノボーでしょう。 この人たち、これは日経さんのデータですが、 スキー&スノボーに行くという男女のうちの5 割以上が 30 代から 40 代と出ています。昔の体 験にプラスアルファで今の時代に見合った格好 いいスキーをやりたい、スケートをやってみた いとか、そういう昔のニュアンスの延長で考え ています。 ですからもちろんスキーも一生懸命やりたい んですが、やっぱりこれは恋愛イメージが強い。 恋愛軸で考えていましたから。例えばホテルと セットにして、ちょっとだんな様が奥様にあり がとうと言って何か贈るとか、そういうものと セットにするとか、そういう恋愛心、あのころ は良かったよね、でも私は今もっと幸せという ようなプランというのをやっぱり考えていった 方がいい。 もうちょっとエアロビ的なスポーツをアレン ジしていくとか、過去の遺産をもう一度考え直 すと、色々とやっぱり埋まっているものがあり ます。まず、やはりバブルの時代というのは、 彼女たち、彼らに根拠のない自信を与えた。 そして結婚してもレジャーに前向きなので、 赤ちゃんがいても、昔だったら外に出ませんで したが、今はもうベビーカーを引いてバギー族 といわれるお母様が外に出ています。ましてや 子供がいても自分磨きを欠かさないということ で、子ダシ消費とかよく日経さんも言っていま すが、本当にそうです。このハナコ世代とかア ラフォーとか、親子で海外留学というのは 10 年前の 10 倍以上に増えているのですが、この人 たちは子供のために行くとみんな言うんですよ。 でも聞いてみると、私も実は留学したかったん だけど、嫌な時期に結婚しちゃってとか、自分 が行きたかった、それを今かなえたいという人 たちです。ですから昔の夢をあきらめてないん ですね。 それからヨガも自分はやりたいことはあきら めたくないという人たちなので、何とかこのお 子さんがいらしても、一緒に行けたりとか、一 緒に楽しめるというのをもうちょっと空間的に、 まあ全面だとシングルの方も結構いらっしゃい ますから、難しいんですが、そういうものとい うのを講座として持ってみたりしてもいいんじ ゃないか。 もう一つ欠かせないのが祖父母力です。この おじいちゃんおばちゃんが元気かどうかという のが非常に大きなネックになります。今、もう 20 代のうちの近接居住は全国で6割強、30 代も 5割強です。この近接居住というのはだんな様 か奥様の実家から 30 分以内の距離に住んでい るということですね。 野村総研さんはインビジブルファミリー、見 えざる家族と言っていますが、普段はバラバラ に住んでいても、結局は土日、それからお子さ んを預ける、そういうことでしょっちゅう行き 来している。ということは、彼女たちもそうだ し、もちろん二世代というのはそうなんですが、 この三世代というくくりももう一つあるねとい うことですね。ただ、この祖父母力によって、 結局今の若い夫婦の財力だったりとか、興味の 関心の範囲とか、そういうものも変わってきち ゃっているというのが格差社会の現状ではあり ます。こういうところも絡めればもっともっと 消費してもらえる。 それからWii Fitみたいなものを聞い てみると、結構おじいちゃんおばあちゃんが買 っています。昔は大体高額消費というと、ひな 人形とか、ビデオカメラとか、こういうものを おじいちゃんおばあちゃんが買ったりしたんで すが、今はもうこういったゲームソフトぐらい でも、若夫婦は、「ああ、じゃあおじいちゃん、 おばあちゃんに買ってもらいなさいよ」みたい なことは平気で言ったりしていますので、ここ をまた刺激していくという考え方もまだ出来る だろうというところです。 最後ですが、やはりよく言われるように、中 -86- 途半端なものはもう受け入れられない、若い人 たちは、このスピーディ&チープというのを非 常に得意とします。こちらに興味があります。 サーキットトレーニングとか岩盤浴、ただ、彼 らがいつも安いものばかりかというと、もちろ んスロー&リッチにも興味はあります。ただ悲 しいかな、20 代には経験価値がない。 この間のJTBさんの調査だと、何と 20 代の うち、海外旅行に一度も行ったことがないと答 えた男子が、29 歳まで入れて3割以上いました。 やはりいいものというのは体験させてあげない と分からない。 体験限定した人たちだけでもいいので、そう いうことをやってみると、ああこういうものは 気持ちいいんだというのがまた広がってきます。 しかも地元でも、自分と同じような価値観が ある人たちの中でつるんで動いていますから、 多分海外旅行に行ったことがある人たちは、そ こでガッと固まっているんですね。一方で、経 験価値がない人たちがガッと固まっていますか ら、スポーツにしても、やはりこういうことを したことがないという人たちの中に、誰か一人 でもいいですから体験させてあげて、極上のそ ういうサービスとかやってあげると、 「すごいい いんだぜ、ちょっと行ってみなよ」ということ になりかねない。しかも自分には財力がなくて も、じゃあお母さん一緒に行こうよとか、じゃ あ親父一緒に行こうよとなりやすい。お父さん のことも、ものすごく好きな子たちです、尊敬 はしています、ああはなりたくないとは言いま すが、尊敬はしています。お金がないのであれ は親と絡める、あるいは体験がないのであれば、 何か体験させてあげる、やっぱりここが一番大 事になってくると思われます。 じゃあそのためには何をすればいいかという ことですが、やはり特に今男の子も若い子は、 心理、モードで消費します。ちょっと今日はそ ういう気分じゃないからとか、今日はちょっと 何か買う気になっちゃったから買っちゃうかな みたいなところです。もちろんこれは出来るけ ど、これは採算が合わないというものもあると 思うのですが、やはりその箱を活かすのであれ ば、そこにあったサービスの提供をしなきゃあ いけない。 例えば駅地下とか駅ナカにあるのだったら、 もうパッパッと済ませたいのに決まっています から、ある程度短時間で出来る、しかも安く出 来る、空き時間で出来るという内容を提供する。 あるいはちょっと離れたところにあれば、やっ ぱりワンストップで全部済ませたいという心理 がありますので、そういうところではやっぱり 色んな複合的なサービスを提供していく。スポ ーツだけじゃなくて、ネイルもやれるとか、岩 盤浴もできるとか、色んなものを複合的にやっ ていくということももちろん大事です。 それから母娘で行くメリットを感じさせるよ うなところ、例えば宿泊施設がついているとか、 母娘プランみたいなものを展開して、どっちか から口コミさせて、長く通わせるとか、そうい った需要というのを喚起する。基本的にはこの 人たちはシーンでお金を使いますので、どうい う時に来たいかな、こういう例えば海のそばに 来たら、そんなにさっさと帰りたい訳はないん ですね。ここでのんびりしたいのに決まってい ますから、そうであればゆっくりハーブティを 飲んでいただいてとか、あとは色んなレストラ ンメニューもつけて、これも健康にいいですよ ということを言ったりとかということも出来ま す。 パッと買えるようなところでは、物販と組み 合わせましょうとか、企業にはシーンでものを 考えていただきたいなというふうに思います。 一番やはりお伝えしたいのは、こういう時代 になって、グループインタビューをやると、明 らかに皆さんもう消費意欲というのは落ちちゃ っています。ただ、元気な世代というのもあり ます。アラフォーはみんな胸を張って入ってき ます。入ってきた瞬間に世代がわかります。そ れだけ経済というのが人に与える影響というの は、ものすごく大きい。 ですから若い人たち、お嬢マンはいい子が多 い。草食で本当に牙を剥かない人たちです。た だ経験価値がない、欲もない、そういう人たち にちょっとでも色んなものをやっぱり伝えてあ げて欲しい。そういう中で色んな売り方がある と思うのですが、是非まずは体験させてあげる というような場を何とか採算の中でつくってい ただければと思います。彼らもああそうか、こ ういうことにお金を使うと気持ちいいんだ、こ ういうことで使うと楽しいんだ、じゃあ頑張っ て働こうかなとか、そこがまた労働意欲にもつ ながりますので、是非そういう体験をさせてあ げて欲しいなと思います。絶対にまったりして いるよりも汗を流す方が気持ちがいいのに決ま -87- っています。私も本を書き終えましたので、来 週からスポーツクラブ復活です。今日はどうも ありがとうございました。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 意見交換会 司会 牛窪さん、どうもありがとうございまし た。今日はこの後、意見交換というふうなこと にさせていただきたいと思います。藤本課長、 牛窪様、それから連合会からは斎藤会長が着席 をさせていただきます。それでは斎藤会長、お 願いします。 斎藤 牛窪さん、本当にどうもありがとうござ いました。長女が 38 歳でアラフォー世代なので すが、自分の子供とは違った角度から色んなお 話を聞かせていただいて参考になりました。 色んな外部の勉強会なんかに行って情報を収 集しているのですが、それもいつもは無理なの で、今バーチャルで、テレビの世界でドラマを なるべく多く見るということで各世代のビヘビ アーを見ていました。今度は是非日本の最先端 の情報をもう少しとって、事業への一助に考え たいと思っています。 司会 次は藤本課長お願いします。 藤本 私は 46 歳なので、アラフォーとか、あ の辺の話まではまあそうだろうなと思いつつ聞 いていたのですが、段々20 代ぐらいになってく ると、よく分からない。ただ、聞くと確かにそ うだよな、経験がないというのは多分時代の流 れとして、貪欲にやる理由もなければ、場所も なかったということで、いい悪いは別にして、 そういう世代なんだろうなと思います。 そういう世代がこういうビジネスや産業を通 じて何か経験していけると、いい悪いかは別に して、そういうことなんだろうな、やっぱり人 間の何か経験したいとか、さっきのコミュニケ ーションを求めるとか、根本のところは余り変 わってないような気もするんですが、20 代のと ころはとても勉強になりました。 司会 さて、玉川大学の折戸先生、御感想御意 見を含めて何か一言いただければと思い。 折戸 牛窪先生にちょっと御質問をさせてい ただきたいと思いますが、私も今の 20 代という 人たちの気持ちをつかむのはなかなか難しくて、 大学で 20 代の前半を教えている訳ですが、以前、 私に御褒美という形で、非常に人気があった時 代があったのですが、その後の今の 20 代という のが、実は私は観光を教えているのですが、観 光に興味がない訳じゃないんですね。ただ、前 のように派手に旅行に行ったとか、行かなかっ たとか、余り会話にならないんですね。聞くと 行ってますと言うんです。先ほどのお話の中で、 パッと見というのが私は非常に新鮮で、20 代の 人たちのパッと見という心理というのは、その 後の行動としてはどういうふうに行動していく のかなということをお聞かせいただければと思 います。 牛窪 パッと見というのは、要するにやっぱり 見た目が大事で口コミをしたい人たちだという ニュアンスのところですか。まず、一つは旅行 に行った行かなかったというところですが、20 代はバブル世代というのをバカにしています。 すごくバカにしていますから、海外旅行とか、 もちろんブランドものも彼女たちも持ってない 訳じゃないですし、割と旅行でお金を使ったり、 全くしてない訳でもないのですが、それを大声 で言うのは格好悪いというところですね。 別にそこは自慢にならなくて、非常に極端に 言えば、同じものだったら安く買う方が格好い い。それから同じようなものだったら安いもの を買って、それがパッと見で格好よく見える方 がもっと格好いいだろうということです。要す るに高いお金を払っていいものを買うとか、い いサービスを受けるというのは当たり前で、そ こにステータスは感じない。20 代の方はどっち かというとキムタクが着ていたモンクレールみ たいに見えるユニクロのジャケットを自慢した い。すごく格好いい男の子、そのぐらいのお金 あるじゃんという子が、わざわざ同じようなも のをダイエーに見に行ってダイエーで買いまし -88- たとか、これはそんなに安く見えないでしょ う?という、そこが自慢なのです。 例えば旅行でも、運よく抽選ですごく何かに 当たって、すごく安く行けたとか、皆さんが気 づいてないようなところに行って、お得なこと を味わったなら自慢になる。お得とかタダとか、 誰かより安く手に入れたというのがもの凄い嬉 しいんですね。普通にお金を出して行ったとか、 普通に申し込んで行ったとか、誰もが行くとこ ろに行ったというのは全く自慢にならないので、 そこは余り言いたがらない。 彼女たち、彼らはやはり情報の取捨選択とい うのをものすごくスピーディに行う。こんな面 白いものがあるんだよ、ここは何か妖怪が出る 部屋があるらしいよとか、こういう置物があっ て、これがオシャレでと、そういうパッと見が 伝わりやすいんですよね。ですから旅行のよう に、自分で見えないものを自慢するのは、伝え にくい、話に時間がかかるし嫌がるというのは すごくあると思います。 折戸 はい、ありがとうございました。最後に 一つだけ、20 代の人たちの可処分所得って大体 どのぐらいなんですか。 牛窪 まず年収ですが、国税庁の民間企業実態 統計調査では大体 20 代も男女結構違うのです が、男性でも 330 とか 340 万ぐらいだったと思 います。そのうちの可処分所得はまた別のデー タにしかないのですが、シングルの方だとその うち1円も家に入れてない方がまず4割以上い らっしゃいます。それから入れている方の平均 金額というのが 20 代だと大体 25,000 円いくか いかないかです。やはり可処分所得はあるとい うことです。 ただ、使わないというところが問題です。使 えるんだけど、使い渋っちゃっているというの が今の 20 代の守りの思考です。 折戸 ありがとうございました。 司会 長沼さん、一言何かございませんか。 長沼 私どもは総合ユニコムという会社で、レ ジャー産業とか、そういう雑誌を出している。 質問というよりは、ちょっと感想ですが、最近 私どもの会社でも 20 代の男女が結構いて、仕事 で怒る時、産業系というのは心技体の順番で怒 れと、まず気持ちの話、あとは自分の技量だと か、仕事のやり方だとか、最後は会長だと体の 話ということで、だけどそういう形で気持ちの 方から色々叱る話をしても、何かやっぱりのれ んに腕押しみたいなところがあって、今のお話 を聞いていると、さすがにやっぱり我々が仕事 で覚えてきたようなやり方の話で怒ってもほと んどもう意味はないのかなということがよくわ かって、非常に面白い話を聞かせていただいて, 改めてまたそういうことも踏まえて仕事だとか、 マーケットにまた取り組んで行きたいなと思い ます。 牛窪 そうですね。上の世代から見ると、今の 20 代はどうやって怒っていいのか分からない、 何を考えているのか分からない、そこがすごく あるようです。 ただ、基本的には女の子と感覚が似ているの で、まずほめるのが大事。僕はほめられると伸 びるタイプなんですよみたいなことを言うので、 ほめて、しかもナンバーワンには憧れはないの で、ナンバーワンよりやっぱりオンリーワン、 君がいるからこれが出来るんだよ、ああ上手に 出来るねとか、まずほめてあげる。根っこでは 自信のない人たちなので、ほめてあげて、でも もうちょっとこういうふうにしたら良くなるん じゃないかなという感じで言うと、割と素直に 変われる人たちだと思います。是非その潜在的 な能力をお母さんのような感覚で指導していた だければと思います。 斎藤 ちょっと質問しますが、今日お話を伺っ て、なるほどなとは思ったんですが、今日お話 に出て来たような女性男性が、会社の身近にい ないような気もするんですね。それはひょっと すると、スポーツ系の会社というのは女性は大 体 10 歳以上実年齢より若いんです。それは常に 最先端のものに接しているから若いのか、若々 しくする術を知っているから若いのか、ちょっ と原因はわかりません。 男性を見ると、お嬢マン世代の真っただ中に いる男性に聞いたんですが、ちょっとやっぱり 雰囲気が違うんですね。会社以外でそのような 友達はいるかい?と聞いたら、いると言うんで すが、だからひょっとすると今、世の中がこう 流れているのに、スポーツ関連業界の人たちは -89- ちょっと違うんじゃないかという疑問が出て来 ました。この特殊な業界を一度インタビューし て、スポーツ業界が如何に世の中から外れてい るかというようなところもお調べいただけると 嬉しいなと思ったものですから、こんな質問を させていただきました。 牛窪 女性が実年齢より 10 歳若いというのは、 これは基本的にはどの業界もそうなんですが、 ただ、やはり男性が多い、男性ばかりの業界だ と、そこに気づいていらっしゃらない。気づい ていらっしゃるだけすばらしいが、色んな大企 業さんに行きますが、必ずアラフォーがと言う と、もうおばさんでしょう?もうそんな人がお 金を使うんですか、そんなところ狙っていって 何になるんですか?と言われるんですね。こう いう人たちは女らしくありたい、自分が綺麗な 女でありたい、いつまでも女だと思いたいんで すよと言えば、気持ち悪いですねとか、そんな 人がどれぐらいいるんですかということを言わ れてしまう。そんな男性も銀座などに行ってい ただければ、いかにオシャレな女性が多いかわ かるはず。特にスポーツ業界の女性の皆さんは お若いので、近くにいらっしゃる方が、女性に 関してはかなり平均的だと思っていただいてい いかもしれません。 ただ、スポーツ業界の方は非常に意欲的です。 やっぱりはつらつとされていますし、色んなこ とにチャレンジしている方が多いので、そうい う意味では一般の派遣のOLさんとかよりはポ ジティブに色んなことにトライする方じゃない かなと思います。 男性に関しては、確かにお嬢マンはどっちか というと、パッと見が好きで守りに入る草食系 ですから、肉食の体育会系みたいなのは余り好 きではない。ただ、実際にそこを隠していたり するので、今例えばスポーツ業界にいるから、 そういうふうに見せてないだけで、実際は昔の 地元の友達と集まると、途端におしゃれな髪形 で行ったりとか、変えているかもしれないです ね。 スポーツ業界さんは、特にメーカーさん関係 は非常に体質が古いですよね。最近色んな業界 が参入してきますから、将来的にはどうでしょ う。ウエアだけでも普通のアパレルさんがどん どんスポーツ業界に入ってきますし、サプリメ ントもそうですし、色んな業界から乗り入れて くる訳なので、そういった部分では若干見直し が必要な部分はあるかもしれないなというのを 感じますね。 司会 藤本課長に今日のお話、サービス戦略だ とか、スポーツ戦略とか、政策的な視点からお 聞きになっていただいて、どんな感想をお持ち かというあたりをちょっとお答えいただければ ありがたいのですが。 藤本 今 20 代の人が年収が 200 万とか 300 万 とかあって、それを使わずに、それは貯金され てしまうんですか。そうするとその貯金は、例 えば銀行に預けられて、ちょっと上の世代がそ れを預かる訳ですよね。 じゃあ例えば 20 代の、あるいは 30 代前半の 人にマーケティングと企画を任せると、うまく いく、要するに感覚的に乖離しているところが どうしてもあるので、多分無理に考えてもいけ ないんじゃないかという気もするんですね。 大体、世代が若返ると、例えば、戦後の役所 の局長さんってみんな 40 代だったんですね。そ の上の人はみんなパージされていなくて、その 時はみんな結構元気にはつらつとしていた部分 もあって、最近は違うんじゃないかみたいな議 論をしていて、何というか、やっぱり世代の交 代ってすごく大事だと思うんですよ。よく色ん な学説があっても、結局は世代が変わるまでは 真実と思われている学説も日の目を見なかった とか、そういうのって絶対にあると思うんです が、今の 20 代 30 代はどういうふうにもってい くと、そういうふうな力になっていくのかなと 思うのですが。 牛窪 まず若い人向けの商品開発は確実に 20 代 30 代前半ぐらいの方に任せる。サービスもそ うですね、彼らの価値観というのはやはり全然 違いますので、そこを君だったらどう?じゃあ ちょっと任せてみるけどというと、そこはすご く張り切ってやります。基本的には非常に頭の いい子たちなので、どちらかというと社会正義 で自分はこれをやりたいというこだわりでやっ ていくとか。やっぱりこれは仕事なんだ、それ でどのぐらいの市場規模があって、どのぐらい がビジネスとして成り立つのかちゃんと調べろ というと、それはやります。 しかも自分の感性が生かせて、君だから出来 -90- るんだよというと、調子に乗ってそこもやりま すので、そこはいいと思うのですが、ただ最終 的にその上の方とのバランスのとり方は、下手 ですね。上の方は例えば会社の中では多分根回 しとか、そういういわゆる日本の慣習というも のをのもすごく通すほう。もちろん行政もそう ですが、そこが非常にネックなんですが、彼ら はそこは何でそんなことが必要なんだ、全部小 理屈をこねてきて、基本的にはシロかクロかで 考えたい人なので、そこで多分ぶつかると思う んです。 アイデアとしては良いものが出てくると思い ますし、それじゃあ上にどう通していくかが課 題です。あとはその上の上司がちょっとでも、 これじゃあ会議に出せないからちょっと根回し するまで待ってよねと言うと、何でですか、会 議の場で話し合えばいいじゃないですかという ふうになりがちなので、そこは非常に難しいと ころですね。 根回しとか、そういう文化が完全になくなる のであればいいですが、なかなか日本の場合そ こがなくなっていくということは、そうそうす ぐにはないかなと思われるので、そこでの葛藤 は彼らと上の世代というのはあるんじゃないか なとは思います。 藤本 そうですね。何か思考がデジタルという のと、アナログとの違いというのが、よくデジ タルなんて役所の中でも言うんですが、思考が デジタルになっちゃうところとか、何かそうい うところって、じゃあ今言われたような根回し とか、何か古いものの象徴のように言われます が、別に日本だけじゃなくて、根回しってもっ と激しくやっている国が多いと思うんですよ、 目に見えない形で。 どうそういう世代をうまく商品開発まで組み 込んでいくのかなという、結構世代間の悩みっ てあると思うんですよ。 牛窪 リクルートさんがよくやってらっしゃ るのは、社外活動みたいな感じで、クラブ活動 みたいな、好きなことをやらせる方法。皆さん の場合、ある程度社内 PJ として認められるので あれば、それでお茶を飲むとかぐらいは予算を 付けてあげて、じゃあやりたいことをやってみ なよと、そこからビジネスの種があったら、そ れは会社として出すよとか、お尻をたたいては どうでしょう。 ただ、やりたいことが見えてないので、漠然 としている方が多いので、そこは道筋を付けて あげないとダメです。 司会 ありがとうございました。全然違った観 点からの御質問でも結構ですので。 吉田 初めまして。私はゴルフの練習場を経営 しております吉田と申します。お話をお伺いし た中で、気になったフレーズがありまして、女 性は浮気性であるというようなことが何回か出 たと思うんですね。実はマーケットを僕らは作 っていこうという時に、余り浮気性でも少し困 っちゃうなというところもありまして、でもフ ァッションなんか見ていても毎年毎年変わらな きゃあいけないしというような部分で、ああい うファッション的なものであればいいんですが、 業態としてある程度投資をして、やっていく時 に、余り浮気をされちゃいますと困っちゃうな という部分で、その辺の部分は女性はどんなふ うに考えてらっしゃいますか。 牛窪 最終的にやはり女性がリピートするに は、やはり人です。そのスタッフの指導の方、 受付の方、どなたでもいいですが、やはりもう 一度来たい、本当に当たり前のことなんですが、 そう思わせるような人というのがいれば、行く んです。新しいもの、口コミをして、新しいも の、こんなのやった、こんな所へ行ったという ことが言いたいので、まあ本当に六本木ヒルズ とか新しい施設が出来れば行くんですが、すぐ に閑古鳥になっちゃうというのが悲しいかな現 状です。すぐに飽きられてしまうというところ があります。 ただ、飽きさせないためにはやはり人ですね。 特に、アラフォー世代はやはりイケメン、ここ に非常に弱いです。今例えば運転免許持ってな いアラフォー女性に、運転を始めたいと言われ、 じゃあどうしますか、教習所に通いますかと聞 いたとする。基本的にはイケメンで優しくて、 もう一回私も通いたいという気にさせてくれる スタッフがいるかどうか、やっぱりここが大事 です。 斎藤 「ギラギラ」というホストクラブのドラ マ、その中で 36 歳のホストが、ホスト道を追求 -91- している訳です。アラフォーの人というのはあ あいう雰囲気のやさしさというのにはやっぱり 引かれるんですかね。 牛窪 私も一度行ったことがあります。団体で 女性起業家の会で行ったんですが、いわゆるあ れにハマる方というのは特殊な方だと思います。 ただやっぱりすごいなと思うのは、そこのナン バーワンホスト、彼が何をやってきたかという と、じゃあ本をあげるよと言って渡したんです ね。 そうしたら何と次の日に私のまず会社のメル アドに、本を読んで感想を全部書いてきたんで すよ。やっぱりそれは私はすごいなと思いまし た。プロだなと思いました。やっぱりそこまで 必死なんだなというのは、多分私に例えばすご く財力があるとか、私の夫がかまってくれない とか、私が何かで自信をなくして疲れていたと かだと、やっぱり女の人は自分を認めて欲しい という思いがすごくあるので、そこまでされた らやっぱりああと思っちゃうんだろうなという のはすごく思いましたね。かなり分厚い本なの に徹夜で読んだんだと思います。すごいなと思 いました。 司会 是非女性の方からも一言いただけない でしょうか。それでは荻原先生の秘書の鈴木さ ん、一言お願いします。 鈴木 今日は大変勉強になるお話をいただき ましてありがとうございました。私はアラフォ ーとアラサーのはざまというか、中途半端なオ イルショックの年に生まれて、高校生の時に女 子大生ブーム、大学生になったら女子高生ブー ムというようなはざまにいたので、上の世代、 下の世代はよく分かるんですが、多分私の世代 というのが一番消費をしないというか、そうい うことなんだろうなというふうに思いました。 感想になってしまうのですが、今までスポー ツというものがやはり教育の観点からというこ とで、スポーツというのは体育というところか ら進んでいるような状態で、行政の方もスポー ツ行政とか言えば文部科学省がやっているとい う流れなんですが、スポーツが産業として成熟 していくこれからになるんだというところを見 ておりますので、今日のお話をお伺いして、な かなかそのスポーツ産業の方にどういった形で つながっていくのかなというのが、なかなか答 えが難しいなとは思ったのですが、勉強させて いただきたいなと思います。 司会 スポーツ 21 エンタープライズの三ツ谷 さん、最後をまとめる意味で一言お願いいたし ます。 三ツ谷 私は団塊の世代です。息子はいるので すが、エエッ!そんなものなのか、エエッ女性 がみたいな驚きの連続でした。ただ、世代によ って本当にそのように色分け出来るということ は、すごく新しい発見で、私の所属するスポー ツ業界、大変古い世界で、男性ばかりなので、 なかなか女性と接する機会もない、それから息 子ですから、息子の世代の若い女性と話すこと もないんです。お嫁さんの世代がどんなふうに 考えているのか参考になりました。 2倍3倍の大変情報が沢山詰まっておりまし て、まだ十分に理解は出来ておりませんけれど も、その世代の差、それから男女の差、それか ら最近の若者というのがこういうアプローチを すればいいんだなということが大変ヒントにな りまして、本当にありがとうございました。 司会 どうもありがとうございました。情報交 換会はこれにて終了させていただきたいと思い ます。 (終了) -92- 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 第2回シンポジウム(抄) 開催日:平成 21 年3月 12 日(木)13:30~16:40 場 所:如水会館 「松風の間」 スポーツは地域の未来を拓く ~スポーツを起爆剤とした地域の活性化~ Ⅰ.基調講演 池田 弘(㈱アルビレックス新潟 取締役会長,NSG グループ代表) 「人と街を元気にするスポーツ ~ 池田 弘・新潟からの報告 ~」 Ⅱ.第1回 地域・スポーツ振興賞授賞式 Ⅲ.パネルディスカッション コーディネーター 野川 春夫(順天堂大学スポーツ健康科学部 教授) パネリスト 池田 弘(㈱アルビレックス新潟 取締役会長,NSG グループ代表) 篠原 靖(内閣府地域活性化伝道師:東武トラベル企画仕入部副部長) 藤本 康二(経済産業省商務情報政策局サービス産業課長) 松澤 淳子(早稲田大学スポーツビジネス研究所 客員研究員) 敬称略 (開会) 司会 ただいまから始めさせていただきます。 開催に先立ちまして、私ども連合会の会長で あります斎藤敏一からごあいさつを申し上げま す。 斎藤 ただいま御紹介いただきましたスポー ツ健康産業団体連合会の会長をしております斎 藤でございます。 私は2年前から故鬼塚会長のあとを引き受け まして会長になり、新しいスポーツ産業団体に しようということで、情報発信をしていきたい と考え、最初は情報交換会から始め、シンポジ ウムに発展し、第1回目は当時の荻原政務官に 司会もしていただいた訳ですが、今回は第2回 を迎えることができました。しかも今回は地域 スポーツ振興賞を創設して、その第1回の受賞 者の方々をお招きしまして、今日発表と同時に 表彰する運びになっております。 このシンポジウムが皆様にとって有意義な場 になることを期待いたしまして、私の挨拶とさ せていただきます。 司会 本日は参議院議員の荻原先生においで いただいておりますので、一言ご挨拶お願いい たします。 荻原 皆さん、こんにちは。御紹介をいただき ました参議院議員の荻原健司でございます。皆 -93- さんとはもう既に何度かお目にかかった方ばか りだと思います。今日は池田さんのお話を初め、 パネルディスカッションまで、国会の日程で最 後までいられるかどうかわかりませんが、是非 今日1日勉強して帰ってまいりたいと思ってお ります。 現在、参議院の経済産業委員会の理事を務め ておりまして、スポーツを通じて単に教育的な 側面でないスポーツ、これからの経済振興とい う観点に立ってしっかり取り組んでまいりたい と思っておりますので、今後とも皆様の御指導 をよろしくお願い申し上げたいと思います。 司会 ありがとうございました。本日の基調講 演を行っていただきます池田弘様を御紹介をさ せていただきます。池田様は、1977 年に新潟総 合学院を開校し、大学院大学、大学、専門学校、 高等学校等の教育機関と医療福祉機関を運営す るNSGグループの代表を務めておられます。 1996 年にアルビレックス新潟の代表取締役 に就任され、2003 年にはJ1入りを実現され、 さらに 2004 年 11 月にJ1リーグ戦の年間観客 動員数の新記録 565,336 人を達成ということで ございます。また 2005 年プロバスケットリーグ bjリーグの立ち上げにも御尽力されました。 現在は創業支援にも力を入れており、501 社の 公開並み企業の育成を目指す企業支援プロジェ クトにも取り組んでおられます。 本日は「人と街を元気にするスポーツ~池田 弘・新潟からの報告」についてお話を賜ります。 池田様、よろしくお願いいたします。 Ⅰ.基調講演 池田 弘(㈱アルビレックス新潟 取締役会長,NSG グループ代表) 《 演題 》 人と街を元気にするスポーツ ~池田弘・新潟からの報告 ~ 池田 皆さん、こんにちは。基調講演というこ とで、大変いい機会をありがとうございました。 今も一番の本職は宮司でございまして、新潟 市の繁華街のど真ん中にある、歴史は古いので すが、小さなお宮の息子で、そこの跡継ぎとい うことで、小さなお宮というところがみそでご ざいまして、生活がほとんどできない。新潟の 中心街がシャッター通りになり、人口がみんな 郊外に行き、郊外にいろんなショッピングセタ ーができて、昔からの新潟ナンバーワンの商店 街といえども衰退をしていったころのお宮の息 子でございますので、将来を見るとなかなか厳 しい。相当悩みましたが、跡を継ぐという結論 で 25 歳に神主の修行をして戻るということを 約束して戻りました。 その時に、じゃあどうやって生計を立ててい くかということが非常に大きなポイントでござ いました。お宮を継ぎながらできる仕事という ことで、25 歳で学校をスタートさせました。境 内の社務所を壊して、小さな校舎を作って始め たというのがスタートでございます。 なぜ教育事業かと申しますと、神社がやれる 寺子屋的な発想でございます。新潟総合学院と いうことで学習塾、またカルチャースクール、 語学学校、それから国家試験受験塾、本当に小 さな木造の2階建ての校舎を作ってスタートし た、そこで何とか生計を立てようということで やってまいりました。 昭和 50 年頃に生涯学習という概念も大きく 出まして、そこの時流にうまく乗れました。お 宮を母体にしたということもあり、信頼をいた だきながら創業してまいった訳です。専門学校 を一つコアにチャレンジさせていただいた。お 宮の目標が地域の周りの氏子さんの幸せを御祈 祷する訳です。それと家内安全でございます。 商業地域でございますので、氏子さんの中に商 業の方が多くおられまして、商売繁盛、そして お祭ということですね。まち、地域の活性化の お祭ということをやった。 だけどどんどん衰退していく訳で、氏子さん も減っていく中で、やっぱりお宮の大きな目標 が地域の発展を御祈祷するということで、あわ せて事業をやっていく。専門学校をやり始めた 時に新潟に若者がほとんど滞留してなかった。 -94- 大学また専門学校がほとんどなかった訳でござ いまして、ほとんど東京に出て行った。そうす るとやっぱり街がどうも衰退をしていってる雰 囲気が感ずる訳です。 私の同級生なんかも東京へ出たら帰って来な い、長男は一部しぶしぶ帰ってくる跡継ぎ等は いるのですが、人気企業ナンバー1はどこかと いうと新潟県庁、2番目が新潟市役所という感 じで、あとは銀行さんがチョボチョボあり、マ スコミがチョボチョボある、なかなか優秀なや つらはもう帰って来ない。何か夢がないという ようなことも感じ、専門学校を作る中でまず新 潟にどうやって若者を残そうか、新潟にある専 門学校の期待とか信頼などはほとんどないとこ ろでございますので、それをどうやってストッ プ・ザ東京、いわゆる東京に行く若者達を新潟 に残すかという中で、じゃあ東京以上の教育内 容にすることがやっぱりベースだろうというこ とで、その目標とする検定試験とか技能とかい うことで日本一を目指そうという表題をあげま して、いろんなプロジェクトを組んでチャレン ジしてまいりました。 いろんな分野で日本一を達成させていただく ことができて、その方法論としては学生達のモ チベーションを高めまして、夜の夜中まで残し て答案練成をさせて合格点まで到達するという ことを先生が情熱をもって頑張りました。そう いうことを実践している専門学校の国家試験の 合格率が高いんだろうということをもちろん冷 静に分析しながら新潟で達成していった。 今、新潟で 24 校及びプラス5校が郡山にござ いますが、24 種類の専門学校を作っていろんな ことにチャレンジしてきたんですが、その中で 技能的なこととか、例えば地方で作られた介護 の専門学校としては多分初めてです。ストッ プ・ザ東京ということ、介護で、その作った頃 に世界で一番進んでいるノウハウはどこにある かということを調査したらスウェーデンにあっ た。スウェーデンの大学と姉妹提携をして、そ こと交流をしてノウハウを持ってきたというこ とでございます。 それをいろんな分野でやっております。例え ば動物系ですと、アメリカのアニマルセラピー という概念を日本に持ち込んだのは私どもだと いうふうな自負がございます。在校生における 目標とする国家試験とか検定を日本一にすると いうことをやった、もしくは技能も先進的な技 能をもってくるというようなことをやっていっ たということです。 そうしたら全国から地方の方々が見学にまい りました。新潟で異常なことをやっている学校 があるということで、専門学校を設立して7年 目ぐらいから御指導、またコンサルタントをさ せていただいて、全国ほとんどの県庁所在地 津々浦々に御指導をさせていただきまして、百 数十校の専門学校の設立をお手伝いをさせてい ただいた。今は少子化で地方の大学、専門学校 は大変なんです。しかし私どもと連携をしてい る専門学校は今のところ地方で頑張っている。 少子化の中で大変きついところでございますが、 今もグループを組んで勉強をしている。 なぜそんな話をさせていただくかというと、 やっぱり地方には若者が残らないとか、いろん な方が地方で生計を立てている、また地方を思 う人がそういうことを感じたんですね。あわせ て新潟の活性化というのは若者を残し、地方を 活性化するということがすごく大事です。そう いう意味では教育機関というのはすごく機能す るというふうに確信をいたしまして、ストッ プ・ザ東京で学生を残すよう、もしくは専門学 校の進学率はずっと高まっていった時期でござ いますし、高めたというふうに言えるかもしれ ません。 それで全国から街づくりのコアの一つとして 専門学校は必要じゃないかということと、私自 身がそれを指導しているうちに、ナンバーワン の学校を作ろう、また新潟でしかできないオン リーワンの学校を作ろうということで、スキー、 スノボードの専門学校とかサッカーの専門学校 とか、そういったことにもチャレンジした。県 外から学生も専門学校で相当呼べるようになっ てきました。 だけどその時のハードルとして、街づくりと いう視点でやっている、若者を残す、県外から 若者を呼べたら、これはすごいなということで、 チャレンジを始めたんです。その時に新潟とい うまちという視点でどうも行ってみたい街、住 んでみたい街じゃないなということをすごく感 じるようになりました。お酒がおいしい、お米 がおいしい、あとは何か暗いな、冬になると雪 が降って人が住めないんじゃないか等々、印象 度が非常に薄いんですね。 新潟市のお話をさせていただくと、港町で、 横浜が今年開港 150 周年、新潟は 140 周年です。 -95- 明治の時の開港5港でございます。新潟、横浜、 函館、長崎、神戸、他は全部外国の匂いがしま す。新潟も実は外国船が多く来たんですが、残 念ながら港が浅くて、大きく交流が発展しなか ったという歴史があるのですが、開港した頃に 何と調べると、新潟県の人口では 180 万人いて、 日本一の人口の県でございました。140 年間で 衰退しました。日本の人口がその時には 3,500 万人で4倍になった、本来は新潟県は 700 万人 ぐらいの人口になってなければいけないんです が、今は 240 万ですので、460 万人がこの 140 年間に新潟県から輩出していった。集団就職だ ったり、いろんなことで。それは若者が中心だ った。ですから新潟県人会は最も大きい県人会 なんです。 そんな背景があり、新潟というのはマイナー なイメージで、集団就職で人が住まない、雪が 降ると閉鎖されて、村で高齢者が亡くなってし まったとか等々やっぱり全体的に印象が悪い。 港街のわりには他の四つは行ってみたい街です が、新潟は決して行ってみたい街ではない、下 手すると行ってみたくない街、下手すれば拉致 されちゃうぞみたいな、そういうイメージです。 そんな中で街の活性化を考えるということで、 イベントのお手伝いをしているうちに、ワール ドカップを新潟に誘致しようという運動をサッ カーの方が提唱され、またそこに新潟県が乗っ たというところに、私ども経済人に声がかかっ たというのがスタートでございます。 何だ、玉けりかという感じでみんなは思って いました。というのは新潟県の人達というのは、 雪国でもあり、サッカーに関してはほとんど経 験のない人たちばかりでございまして、野球も 甲子園に出るとすぐに負け等々、事実私の高校 の時は新潟県は五つの高校でしかサッカー部が なかった。サッカーを盛り上げていく時に、私 の仲間なんかに話しますと、何だそのサッカー って? という感じで、したこともない、俺は バスケットだとか野球だとか、なかなか協力を いただけなかった、理解をいただけなかったの が現状でございます。 そんな中で、ロサンゼルスのワールドカップ アメリカ大会があった時、10 年ぐらい前ですか、 そこに誘致運動の1人として、ロサンゼルスに 行きました。その時に準決勝、決勝、ローズボ ールという9万人のスタジアムでブラジルとス ウェーデンの準決勝があって、そこの9万人の スタジアムに入った時の驚きと感動と言います か、熱狂で身が震えるような感動を覚えたとい うのがございました。 スタジアムの一番上からそのサッカーの試合 を見て、米粒が行ったり来たりして、0対0で PKでした。何だこんなつまらないゲーム、P Kって何だアレはと思って、点数が入らない訳 です。ちっともおもしろくなかったんですが、 その周りのブラジル人とか、そういうものを見 ることによって、そこの感動はすごいものがあ った。人間がこれだけ集まるとこれだけの異常 な異空間をつくり、得もしれない感動を与える ものだなあということがあって、何とかこの大 会を新潟に是が非でも呼びたいと思いました。 そこで帰って誘致するにはどうしたらいいの かと分析していきますと、そのころはJリーグ が出来たばかりです。Jリーグを目指すチーム がなければ新潟は無理だということがございま して、どうやってつくるんだ、サッカー関係者 と話をしているうちに、ルール上は新潟で一番 最高の位置にいるチームを強化していくしか原 則方法はないということだったんです。そうす ると北陸信越地区のクラブチームで高校のOB チーム、アマチュアチームがある、そこを強化 してそこを勝ち抜いて全国リーグにいって、そ してJリーグにいきますよとエントリーをして、 そこで優勝、準優勝をするしか方法がないとい うことがわかりました。 まあ新潟は下馬評からいっても無理でござい ました。週刊誌、スポーツ紙がよく開催地はど うのこうのといっても、無印でございまして、 新潟は無視されていたというような現状でござ いました。でも何とか呼びたい、そうするとこ のJリーグを目指すチームを作るしか方法がな い、私自身も後悔するにちがいない、あれだけ の感動的なイベントを新潟でもし開いたら、新 潟の人達に物すごい感動を与えるはずだという ふうなこと、それで是非開きたいと思っており ます、そのチームを作るということをサッカー 関係者がやりましょうということで、私もやり ましょうと煽ったら、池田さん引き受けろとい うこと。 最終的にお引き受けをさせていただいて、地 域の皆さんに、今はマスコミとか地方の大きな 企業さんに御出資を頼んで3億ちょっとのお金 を集めました。30 社でございます。 発起人を作りまして、その時の口説き文句は、 -96- ワールドカップを新潟に呼ぶためにこのチーム をつくらないと絶対に来ないんですよ、Jリー グを目指すチームなんだけれども、誰も上がれ ると思ってない。新潟の人は大体サッカーもわ かりませんし、Jリーグは何となく盛り上がっ ている、でもみんな大企業の子会社だねという 感じで、座して死ぬより作って頑張りましょう という感じで、口説きあげまして、出資金を集 めてスタートをした。 最後に象徴的な話なんですが、サッカー協会 がJリーグを作り、サッカーを盛り上げていく という考え方の人の中に、当時の川口チェアマ ンが、地域密着型の総合型スポーツクラブを、 ヨーロッパドイツをモデルとした、地域密着と いうプロリーグを提案をされた。 総合型スポーツクラブはサッカーだけじゃな い、総合型スポーツクラブを津々浦々に作ると いう理念でやり、それをもっと盛り上げるため にワールドカップを誘致しようと言ってるんじ ゃないかということが何となくわかってきて、 そして私どものサッカー協会の当時の理事長、 今は会長ですが、その方が最後の誘致のところ で、日韓共同開催になって日本だけの開催だと 15 カ所だったのが、それが 10 カ所になった。 そうすると新潟はもう絶対にダメだ、そんなジ タバタしてもダメだという噂だったのですが、 そこで最後に是非発言をさせてくれということ で、新潟のみんなの思いを背負ってますから、 発言せざるを得なかったぐらいの重い気持ちに なったんだと思うんですね。 そこでどういう発言をしたかというと、この 決まった場所を見てください、北海道、大分、 これは別としても、あとは全部太平洋側じゃな いですか、日本海側には一つもない、北陸信越 地区にもない、9カ所はバタバタと決まって、 最後に名古屋の豊田さんと勝負になっていまし た。誰しもがトヨタカップをやっている豊田さ んと新潟が勝負したら、もう決まる訳がないと 言われていたにも拘わらず、その発言だけでは ないと思うのですが、最終的に新潟に決まった。 判官びいきですね。理念がそうだったというこ とですね。 チームもできて3年ぐらい経って、集めた金 も 30 社プラス 150 社で6億ちょっとのお金を集 めたが、3年経って毎年2億ぐらい損しますか ら、もう金がない。このチームどうするという ところで、ヨーロッパを調べているうちに、こ ういう新潟のマイナーな地域こそプロチームが、 おらがチームが必要だと思うようになり、何と か存続をさせたいという気持ちが高まったとい うのが今回のアルビレックス新潟が誕生した経 過でございます。 その様子を見て、マスコミの人達はやっぱり ヨタヨタしているし大変だ、まあいつどうなる かわからないようなチームだしということで、 取材追っかけをしていただいて、テレビ局さん 幾つか、NHKさんにも取材をしていただいた ものを再編集したのがございます。また、今バ スケットだとか野球とか、を提唱して、幾つか のランニングクラブとか、スキー、スノボード とか、シンガポールにも今私どもはサッカーチ ームを作っております、そういった経緯もあり ますので、そのビデオが収録されていますので、 少しご覧いただければと思います。 (ビデオ放映) 池田 貴重な時間ビデオを見ていただきまし てありがとうございました。当初の目的であり ましたワールドカップの感動ということで、 43,000 人のスタジアムが出来て、試合が3試合 行われて、イギリスのベッカムも来ましたし、 地元は大変盛り上がりました。そのうち1試合 20,000 人ぐらいずつ新潟県の方々が見られた んですが、映像を見てサッカーって何かすごい 盛り上がっているなと初めて感じました。 新潟の田圃のど真ん中に巨大なスタジアムが 出来て、サッカーはよくわからないけど、何か すごいイベントらしいということが、じいちゃ んばあちゃんにもわかり始めた。新潟県の県庁 の人達は県立ですから、43,000 人のスタジアム をホームにするなんて誰も思っていない訳です。 つぶれる寸前の常に 2,000~3,000 人しか来な いようなチームでございます。新潟市の陸上競 技場のスタジアムでやった、ホームにするなん てとせせら笑われたという感じでございます。 ワールドカップが出来て、スタジアムが出来 たんですが、県民への御披露のイベントは何を したかというと、新潟県内の民謡芸能大会、ミ ュージカル、ビデオをやって、県民にエクスキ ューズするという感じですかね。地元でワール -97- ドカップを目指したアルビレックスには記念試 合みたいなものをやらせてもらえませんかとい う話をしても、そんなの当てにしていない。サ ッカーのイベントでオープニングをやるという のはあってもいいですよね、予算はありません かねと言うと、ゼロということでございました。 悔しくて悔しくて、ホームに使うとも思って くれてなくて、まあ年間1~2回は使わせてや るわみたいな顔をされて、挙げ句の果てにスタ ジアムは、ちょうどその頃に全国にスタジアム が出来て、300 億だか 400 億使って何をするん だ、粗大ゴミ論が出まして、新潟もあれはどう するのということが地元のマスコミ、全国のマ スコミで叩かれ始めました。そうしたら有効利 用検討委員会なるものが 20 人ぐらい関係者を 集めて出来た。そこに当然アルビレックスも呼 ばれたんです。 何を議論していたかというと、音楽イベント はどうするとか、どこかの宗教団体のイベント も呼ぼうよとか、ワールド陸上大会も呼ぼうよ とか、それでも年間5回か 10 回も埋まらない話 なんですね。アルビレックスに使わせてくださ いよと言うと、おまえら使用料は払えるのかと いう顔をされました。 悔しくて出たアイデアというのが、何とか存 続させるためにはどうしたらいいか、そして私 が感動した満員のスタジアムにすればサッカー がわからない人、もしくは新しいスタジアムと いうことに関して興味をもっていましたので、 お呼びをして、スタジアムを見ましょうよとい うことで、地域のおじいちゃん達にチラシをま いて、無料チケットをまいて、見学ツアーだと 結構来ていただくんですね。見学して、わあす ごいのが出来たねと言って、もうすぐに試合だ というと試合を見ないで帰り始めるんですね。 ちょっと待ってくださいよ、折角だから見てく ださいよというところから始まったんです。 それで 43,000 人のスタジアムに 33,000~ 34,000 人入りまして、超満員です。もう僕は感 動で、ああよく来てくれたという感じでござい ます。その時にやった新潟と京都の試合が大変 感動的な試合で、延長線までいって、最後の再 後に追いついて負けたんですが、何だ面白いじ ゃんという感じで、その時にスタジアムが一体 となって、新潟!新潟!と、何かよくわからな いけれど、新潟が一生懸命やった、選手も日頃 もう負ける寸前になると大体歩いて選手が最後 まで走っているんですね。そんなことで同点に 追いついたというようなこともあり、やっぱり 一生懸命やっている姿にはみんな感動するとい う感じで、スポーツのルールもわからないし、 一生懸命さに感動したという、それがだんだん 口コミでその夏から今度は毎試合やれるように なった。 それで何とJ1に上がるまでの2年半、勝つ か引き分け、負け知らずのスタジアムになった。 だから新潟の人達は負けたことを知らない人達 がほとんどでございました。そしてJ1に上が って 10 試合勝てないということで、7試合目ぐ らいで、ブーイングというのが初めて大きく出 た。みんなブーイングなんて知らないんですね。 ブーイングというのはヨーロッパ的な、アメリ カ的な叱咤激励する習慣です。日本人、特に新 潟の人達にはそんな習慣はない訳でございまし て、何であんな一生懸命やっている選手達を、 その試合はシーンとしたんですが、次の試合に また負けたんですが、あんなに一生懸命やって いる選手達ということで、みんなで拍手が起こ ったんですね。ブーイングがまた起きたんです が、全体は拍手で打ち消されたというようなス タジアムなんです。日本人は一生懸命やったこ とには拍手で送ってやろうよみたいな感じで、 すごく感動的でございました。 あのスタジアムでいろんなことが起こりまし た。あれだけの人間のそういう熱気があること によって選手を後押しし、負け知らずのスタジ アムになるみたいなことが、スタジアムに参加 する人達にいろんな勇気を与えた。立場のある 人達が、みんなオレンジ友に入っていまして、 大きな声で「愛してるよ新潟」なんて歌を歌っ てるというようなスタジアムが出来あがりまし た。それは当初予想した新潟に活気を、ワール ドカップをということで、チームが新潟の人達 が、おらがチームを勇気を与えてくれるという ことの仮説の中で思わぬ展開になっていったと いうか、予想以上の展開になったということで す。 ワールドカップが来たことによって、当初の 目標の新潟が世界中に放映をされました。だけ ど一時的ですね。その時におらがチームを持つ ということが萌芽していました。少ないが、そ のサポーターが出来た。そういう満員にしたこ とのみで成功したのではなくて、皆さんにお願 いに行ったのは、赤字で倒産寸前、おらがチー -98- ムは新潟にとって必要だから、何とか一緒に支 えてください、社会貢献でお願いに行った。 そのイベントが素晴らしい、サッカーイベン トが素晴らしいとか、興行が素晴らしいじゃな くて、おらがチームをみんなで持ちましょうよ、 そういうことに訴えて後援会を作り始めたんで す。年間1万円の個人会員、商店さん、企業さ ん、地元の企業さんは3万円で地域のためにと にかく支えて下さいよというようなことでお願 いにあがって、日本一の後援会を作った。その 後援会で無料チケットを配布して、見に来たら そういうスタジアムで感動していただいた、感 動していただいた輪が広がって、もちろん戦略 的にいろんな手を打ちましたが、有料化してい った。J2に上がった時には 43,000 のうちの 22,000、半分以上にシーズンパスを出したら、 1カ月以内に完売しまして、ウェイティングが 出たというところまできたんです。 残念ながら昨年度は降格寸前まで行ってます。 観客が暫減しております。目標は日本一のチー ムで、出来れば世界のチームも目指しています ので、何とかこれを乗り越えて日本一のチーム になって行きたい。今回開幕戦がございまして、 4対1で勝ちました。昨年度J1で得点数がビ リですが、今年は何とかいけるんじゃないか。 今年はアウェーで初めてJ1で勝ちましたか ら。ホームで鹿島を撃沈させれば、今年は本当 に上位に行けるという確信を持つぐらいの攻撃 的なチームです。ホームで勝つということで新 潟はすごく明るくなります。負けるとよく言わ れるのは、その日と翌週は家が暗くてしょうが ない、うちの母ちゃんがまともに飯まで作って くれないなんて感じで怒られちゃうのですが、 そういう状況です。 そういうことを通して何を感じたかというと、 スポーツのあり方というのは日本と韓国のみが 特殊だった。それは中央集権の中で企業が伸び る、企業スポーツに極端に頼ってきた、それは それですごく効果があっただろうと思います。 この世界恐慌の中で企業で廃部になっているよ うなスポーツが出て来ています。その中で何が 支えるんだ、やっぱり原則地域が支えることに よって、当然高低はあるにしても、地域の人達 がいる限り存続はしていく。 ましてやスポーツのあり方も、実業団リーグ がトップリーグだったというのは世界で稀なケ ースです。韓国が日本をまね、一部台湾にも残 っている。世界中見るとみんな地域が 100 年以 上かかって、地域の皆さんがスポーツクラブを 作って、その頂点のチームがリーグを組んでプ ロリーグを組成していった、ヨーロッパの方は いろんなスポーツが全部プロになっている。も ちろんアメリカもそう。 スポーツは地域の人心をまとめあげるのに物 すごい効果がある。これはアメリカが実践して います。スタジアムとかグランドを作って、チ ームを誘致するのに金まで出してやるんです。 いろんな人種がいらして、いろんな宗教があっ て、その地域をまとめるというのは、乗り越え るというのはスポーツが物すごい効果があると いうことがわかっています。野球でもバスケッ トでもみんなハイタッチしますよね。いろんな 人種の人達が、いろんなスポーツのクラブが勝 つと感動して物すごい盛り上がるということな んです。 アメリカはこの指とまれで、採算さえ合えば どんなスポーツもプロリーグ化しちゃうんです。 ヨーロッパは 100 年かかって地域密着の頂点の チームを2部リーグ、3部リーグ、4部リーグ という、サッカーはそうですし、いろんなスポ ーツをプロリーグ化した。日本は実業団という 中央集権の中で大企業が、ファミリー経営です ので、ファミリーの象徴として企業のアイデン ティティと企業の広報という戦略で作りあげて いった。それにおんぶに抱っこしていった。地 域の協会も全部そういう一部リーグが回ること によって、その興行権をもらって、もしくは開 催させてもらうのに金を実業団からもらって成 り立っていた。そういう意味で今ガタガタにな っています。そういう問題がスポーツのトップ の方にはある。 もう一つが地域という視点で非常に大きなこ とがございます。新潟がスポーツでは不毛の地 と言われているのですが、中学ぐらいで活躍し ますと僕らの頃は大体ヘッドハンティングされ ました。たまに才能のある子がいると、全中で 活躍しますと、強化している高校に抜かれてい ったというのが現状でございます。 アルビレックスが出来て、プロチームが出来 て、J2、J1でやっているうちにやっぱり日 本の一流を見たこと、もしくはコーチもいろん な才能を新潟に入れて来たこと、何とアルビレ ックスユースというジュニアユースというチー ムを作ってやっているうちに、今各世代ごと、 -99- 年齢ごとに分けてU18 だとか 17 だとか 16 とか、 日本中から才能をピックアップしてチームをつ くって、国際大会をやる。25 人の枠、ほとんど 新潟の子が最低1人入っているという状況にな りました。新潟で育成できるようになった。 そのままヘッドハンティングされるというこ とも若干ありましたので、悔しくて私は、開志 高校という通信通学の高校を作ろうということ で、アルビックレスユースの子供達は全寮制で そこに通わせている。開志高校というチームを 作って、そこは悔しいから全国から呼んでやれ といって、ほとんど全国の中学から来ています。 新潟の高校の先生方には叩かれました。そん なの全国から優秀なのを集めてチームを作って も、でもまだそんな一流が呼べる訳はないんだ けれども、叩かれました。新潟県の高校の枠が 全国大会に行けないじゃないかと。でも残念な がら準決勝で連続負けていますので、まだ行け てないのですが、でも全国から才能が集まって 来ています。だからこれを乗り越えられなけれ ば新潟県のレベルが上がらない。強化をしてい る高校がなかったということが致命傷でござい ました。今新潟というのは物すごい盛り上がっ ている。まず5年後 10 年後に日本代表は間違い なく出るというふうに確信をしております。 基本的には新潟の地元でそういう子供達を、 トップアスリートを育てられる環境が出来てき た。それが二つ目、そういう育成という仕組み が地方でも出来るんだ、新潟がこんなことをや ったことによって、全国各地で、新潟でサッカ ーが出来るなら、おらが街に出来ないはずがな いということで、全部手を挙げていただいた。 今はJ2を含めて物すごい数。何でこんな地域 にサッカーが盛り上がったんだ、地域のアイデ ンティティとその興行だとか、そういうことじ ゃなくて、やっぱり自分達の気持ちの発露とし て、中央集権の中で地方が今自立しろと言われ ている時代の中で、自分達の誇りを持てる地域 の戦略の一つとしておらが自信を持つ。 痛快じゃないですか。山形の地域がジュビロ のヤマハの大企業の子会社のチームに6対1で 勝つんですよ。FC東京に新潟のクラブチーム が今回4対1で勝って、気持ちいいですよね。 みんな後ろめたかったんですよね。地域の人達 は、若者を送り出して、東京に幸福があり宝が あると思っていたら、なかった。勉強して一生 懸命やって大企業に入ればみんな幸福になれる ねといったんだけれど、東京の山の方のマンシ ョンの中で孤独死している人がいっぱいいる。 まあ田舎も限界型集落が出来たけど、町中も 限界型マンションが出来たじゃないですかとい うふうなことで、日本の国家が成功するという 戦略の中で、素晴らしい国作りをやってきたと いうのは間違いないが、やっぱりこぼしたこと が山ほどある。その時に置き去りにされたのは 地方もある。今日はスポーツ産業ということで ございまして、多くの人が今回もFC東京との 試合でどのぐらいの人が行ったかというと、 4,000 人ぐらいの人が東京まで出かけてくる訳 です。 スポーツツーリズムみたいなこととか、スポ ーツ王国になってみせるぞという今気概があっ て、いろんな交流が出て来ているということで ございます。サッカーでそのようにみんなで支 える仕組みを作れば、他のスポーツでも出来な い訳はないということで、bjリーグというバ スケットのリーグを提案させてもらった。 6チームで戦ってバスケットボール協会の 方々に叩かれて、bjリーグを作り上げた。だ けど地方の人は待ってました。そして地方の業 界の人達は全面的に支援をするんです。あのプ ロリーグに関与したら永久除名だ、という文書 が協会から出たんです。審判なんか特にそうだ、 もう絶対に審判は笛吹けないぞというふうな文 章まで出たにも拘わらず、こっそりと応援をし ていただいた。 野球の審判なんかはまだ高野連に邪魔されて、 その中で本当に金がかかって苦労しながらやっ ているとか、既存の日本のヒエラルキーの中の 中央集権のスポーツ界では最も遅れている組織 でございます。本当に協会の既存の利権とか、 そういうものが多分ある。それは学校の先生方 が多いから。 それと俺が大将だということがあって、俺が 作り上げたという誇りがあるので、でもそれは 大事なことは大事だし、だけどバスケットなん かでもアジアでどう考えても不思議なのは、7 位か8位です、サッカーも7位か8位だったん です。Jリーグが出来ることによって、きら星 のようにヨーロッパに出したじゃないですか。 アジアで優勝するじゃないですか。やっぱりヒ ーロー、舞台が出来ることによって、命懸けで 子供達も頑張るんですすね。それに感動するん です。 -100- 倉さんという女性が初めて短距離でアジア予選 を通過した、女性では初めて。これもみんな新 潟の人達が広く薄く個人で支える仕組みを作り あげて支えているということです。 私の今日のお話が産業に結びつくかどうかは 別として、そうやって盛り上がることでいろん なことの交流が起こって来たり、いろんなこと が起こって来る、活発になることによっていろ んなトレーナーだとか施設だとか、いろんなこ とが産業として起こって来ているというふうに 確信しています。新潟からの御報告ということ で、お話をさせていただきました。御清聴あり がとうございました。 バスケットでもプロリーグという輝く舞台が 出来ると絶対にアジアナンバーワンになれるは ずだ。実業団はそれは甘い。食えるから。普通 はバスケットをやってなかったら入れなかった 大企業に、バスケットをやれば入れて、けがす れば残れて、一応社員でも残れるという甘さが やっぱりある。ギリギリまでやらないというよ うなことがありまして、それだったら野球も出 来るんじゃないかということで、マイナーな新 潟、石川、長野、富山で4チームを作ったら、 福井と群馬が俺も入れろといって、プロリーグ が出来た。 普通のスポーツの水泳でもランニングでも出 来るんじゃないか、皆川賢太郎君は怪我をして 企業がアウトになった、それを私どもの地域で みんなで支える仕組みを作って、オリンピック で見事4位に入賞した。そして今回北京オリン ピックでランニングクラブというところの久保 司会 本日はスポーツを柱とした熱意と夢の ある地域活性化についての貴重なお話をいただ き、誠にありがとうございました。 Ⅱ.第1回 地域・スポーツ振興賞授賞式 司会 ただいまから第1回地域スポーツ振興 賞の授賞式を開催させていただきます。この制 度は昨年7月8日に開催しました本連合会の第 1回シンポジウムで御案内をさせていただき、 昨年 11 月の中旬から今年の1月末までの間の 募集で 38 件の多数の応募がありました。連合会 の選考委員会において慎重厳正に審議し、最優 秀を一点、優秀二点を決定させていただきまし た。 最優秀賞は株式会社ジャパン・ベースボー ル・マーケティング社のBCリーグによる MIKITO AED PROJECT、優秀賞は新雪マラソン大 会実行委員会様の十日町新雪マラソン大会と千 葉県知的障害者サッカー連盟様のサッカーを通 じた出会いの場です。選考委員長を務められま した早稲田大学スポーツ科学学術院教授の原田 宗彦先生に御講評をいただきたいと思います。 原田 選考委員長の原田と申します。今回は第 1回の地域スポーツ振興賞の発表ということで、 これまで応募総数 38 件の作品の中から最優秀 一点、優秀賞二点、佳作六点を私達の選考委員 会で選びました。 どういう視点でこれを選んだかということな んですが、地域にいろんなイノベーションが起 きる、そしてそれが非常に多くの社会的価値を 持って地域に還元される、できればそれがまた ビジネス、あるいは産業として成立する、ある いは非営利の事業として大きなインパクトを与 える、そういう様々な視点を持って選考に臨み ました。 ただ、この事業の内容も非常に多様にわたっ ておりますので、一つの評価視点だけで選ぶこ とは困難でありました。そういうことで各委員 からいろんな御意見を拝聴して、厳正な審査の 結果、それを得点化して選んだということです。 今回は最優秀賞としまして、北信越ベースボー ルチャレンジリーグによる MIKITO AED PROJECT を経済産業省商務情報政策局長賞ということで 最優秀賞に選ばせていただきました。あとは優 秀賞が二点、そして佳作が六点というふうにな っております。 この地域スポーツ振興賞は少しでも将来的に さざ波のようにまた全国に広がって、より多く の応募があることを祈りつつ、委員長からの講 評とさせていただきます。どうもありがとうご ざいました。 -101- 司会 ありがとうございました。ただいまから 受賞者のお名前をお呼びします。 藤本 (賞状)地域スポーツ振興賞 株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング殿 あなたは社団法人スポーツ健康産業団体連合会第1回地域スポーツ振興賞の応募において、スポー ツを通じて地域振興に最も貢献したと認められましたので、これを賞します。 平成 21 年3月 12 日 経済産業省商務情報政策局長 近藤賢二 斎藤 (賞状)地域スポーツ振興賞 新雪マラソン大会実行委員会殿 あなたは社団法人スポーツ健康産業団体連合会第1回地域スポーツ振興賞の応募において、スポー ツを通じて地域振興に貢献したと認められましたので、これを賞します。 平成 21 年3月 12 日 社団法人スポーツ健康産業団体連合会会長 斎藤敏一 斎藤 (賞状)地域スポーツ振興賞 千葉県知的障害者サッカー連盟殿 あなたは社団法人スポーツ健康産業団体連合会第1回地域スポーツ振興賞の応募において、スポー ツを通じて地域振興に貢献したと認められましたので、これを賞します。 平成 21 年3月 12 日 社団法人スポーツ健康産業団体連合会会長 斎藤敏一 司会 最優秀賞を受賞されました株式会社ジ ャパン・ベースボール・マーティング様から一 言ご挨拶を賜りたいと思います。 村山 皆さま、改めましてこんにちは。3年目 を迎えます北信越6県で小さな小さなプロ野球 の独立リーグをやらせていただいておりますベ ースボールチャレンジリーグの村山哲二と申し ま す 。 隣 に い ら っ し ゃ る の は MIKITO AED PROJECT を作るきっかけになった水島樹人君の お母さんの、今日は水島正枝さんも来ていただ いております。 2006 年の2月だったでしょうか、先ほど基調 講演をされました池田弘さんから、僕は当時新 潟の電通の営業部長だったのですが、呼び出し をくらいまして、野球を通じて地域を活性化出 来るビジネスモデルを作って欲しいということ の依頼を受けました。 プロ野球の独立リーグを作って、アルビレッ クス新潟のノウハウを生かせばどんなに小さな 独立リーグでもきっと地域を活性化出来るはず ですというレポートを出しました。そうしたら 池田さんから、おまえがやれということを言わ れまして、この道に飛び込んで来ました。 そこでその3月に会社を辞め、4月からリー グ戦を始めるには4チームなければいけません から、新潟以外のこの3県に対して、野球事業 を通じて地域を活性化できる県民球団を作りま しょうということで、出資金を集めに回りまし た。長野が出来て、富山が出来ました。でもど うしても4県目が出来ませんでした。7月ぐら いだったでしょうか、石川に何回足を運んでも どうしてもウンと言ってくれる人がいません。 北信越地域で、野球も後進国で、雨もあって 雪もあって、野球の興行なんかやったって 2,000 人も 3,000 人も集まる訳ないじゃないか、 やめとけやめとけとみんなから言われました。 どんなに名刺をまいても言われました。長野の 球団代表になった人と、新潟と富山の代表者の 3人で、今この7月にこの事業を何人かの人に 頭を下げてお詫びをして、何人かの人にお金を 返せれば、もしかすると戻れるかもしれない、 今だったら戻れるかもしれないという危機的状 況の時に、水島マサエさんから一通の手紙をも らいました。 今日はその手紙を持ってきました。正枝さん -102- がその年の7月に自分の息子である樹人君が野 球の試合のグランドでランニング中に突然倒れ て息を引き取った、AEDがあれば助かったか もしれない命でした。樹人は日頃サッカーをバ スケットを見て、何で新潟にはプロの野球チー ムがないんだろうということを話していました。 お葬式の日に村山さんの記事を新聞で見て涙が 止まらなかった、樹人は村山さんの作るプロ野 球の独立リーグを見ることは出来ないかもしれ ないけれど、樹人のためにも必ずこのリーグを 作って下さい、このリーグを必ず成功させてく ださいという手紙をいただきました。僕と長野 の球団代表と長野の安い居酒屋で声をあげてボ ロボロ泣きました。 その時に絶対に樹人のためにこの独立リーグ を作ろうということを心に決めて、もう一回み んなで石川球団に行って、出資を集めて、4県 ができて、信じられないスピードでBCリーグ がスタートいたしました。樹人に何か恩返しを しようということで、MIKITO AED PROJECT とい うのを全員で作りました。初年度はシリコンバ ンド、500 円で球場だけで売ります。シリコン バンドを売ってAEDを購入して、私達のスポ ーツの施設に届けようという活動をしました。 10,000 個売れました。2年目はファイテンさん から協力をいただいて、このリストバンドを作 りました。3年目もこの活動は続けていきたい というふうに思っております。多くの人に支え られてこの事業が今成立していて、このAED の普及活動に僕らは取り組んでいます。 この事業というのは、樹人がいるから出来て いるというふうに思っています。お金を出して くれる人達、スポンサー、ファンの皆さんに対 して、僕達は何でお返しをするのか、それは地 域の人達に夢や感動や希望を与えることだ、地 域の人達や地域の子供達に僕達はお金をいただ いたものをお返ししようということで、地域貢 献プロジェクトというものを立ち上げました。 BCリーグの3年目を迎え、さらに地域の人 達のために精いっぱいこれから努力をして行き ますので、ぜひ皆様、僕らのリーグ、ちっぽけ なリーグですが、ぜひBCリーグを見にいらし てください。4月の 11 日に開幕をする予定です。 正枝さんから一言もらいます。 水島 本日はありがとうございます。新潟は今 日雪でした。朝出て参りましたが、こちらの良 いお天気に今日のお祝いと一緒に喜んでおりま す。2年前の7月、夏の大会の準決勝の朝に球 場に着いてすぐに樹人は倒れてしまいました。 そのまま笑顔を見せることなく家に帰って来ま した。ユニフォームをもう一度着させて試合が 続けられるように天に送りました。それと同時 に、今ここで野球の事業を進めようとしている という村山さんと出会い、一緒に活動を続けさ せていただいている自分が今ここにいます。 樹人のお兄ちゃんも高校で甲子園を目指すと いうことで野球を続けていますし、妹も女の子 ながら少年野球チームに入って頑張っています。 新潟だけじゃなくて6県、6球団で回っていま して、どこに行っても子供達が目を輝かせてB Cリーグの選手を今は目標に試合を見に行って います。間近で触れられる選手がうれしくてう れしくて仕方ないんですね。そういう事業を立 ち上げて下さった方にも感謝をし、ファンの方 がすごくふえているということも、やっぱりと てもうれしいです。 AEDのプロジェクトですが、本当にその時 その瞬間、樹人に使えたら今6年生で卒業式を 迎えるという時期です。私のところにも招待状 が来ました。お友達と一緒に卒業式に出たいと 思っています。野球を通じて命の大切さ、子供 達の夢をBCリーグの選手に託しています。 これから私も本当に命を懸けて野球と一緒に 樹人の夢を頑張ってやっていきたい、AEDの 普及、自分ももしその場に立ち会うことがあっ たとしたら誰かの手助けをしたい、そう思いな がら頑張っていきます。これからも応援をよろ しくお願いいたします。 司会 熱意と感動のあるお話を賜りましてあ りがとうございました。 -103- Ⅲ.パネルディスカッション コーディネーター 野川 春夫(順天堂大学スポーツ健康科学部 教授) パネリスト 池田 弘(㈱アルビレックス新潟 取締役会長,NSG グループ代表) 篠原 靖(内閣府地域活性化伝道師:東武トラベル企画仕入部副部長) 藤本 康二(経済産業省商務情報政策局サービス産業課長) 松澤 淳子(早稲田大学スポーツビジネス研究所 客員研究員) 司会 次の「スポーツは地域の未来を拓く~ス ポーツを起爆剤とした地域の活性化~」をテー マにパネルディスカッションをさせていただき ます。本日のコーディネーターを務めていただ きます野川春夫様を御紹介させていただきます。 野川様は順天堂大学スポーツ健康科学部の教 授で、専門分野はスポーツ社会学、生涯スポー ツ、イベントマネジメント等でございます。ま た執筆も多数ございまして、代表的なものは『生 涯スポーツ実践論』。また、日本生涯スポーツ学 会の理事長と公の職務も多方面で御活躍されて おられます。それでは野川先生、よろしくお願 いいたします。 野川 皆さんこんにちは。よろしくお願いいた します。今日は「スポーツは未来を拓く~スポ ーツを起爆剤とした地域の活性化~」というテ ーマでございます。本日のパネリストの方を簡 単に御紹介させていただきます。 一番目の方はパネリストの池田弘様でござい ます。先ほど御紹介がございました。 その次の方は篠原靖さんでございます。内閣 府地域活性化伝道師ということで、御所属は東 武トラベル株式会社でございます。新しい観光 プログラムの開発やニューツーリズムによる集 客システムの開発等ということを手掛けられて おります。本日はヘルスツーリズムということ を中心にお話をお願いしております。 三番目の方は藤本康二様です。経済産業省商 務情報政策局のサービス産業課長でいらっしゃ います。2005 年にJETROのドイツ・デュッ セルドルフのセンターに勤務されていらっしゃ いました。ハーバード大学の留学経験等も含め て海外の事情等、経済産業省としていわゆるス ポーツ及び健康の方の分野でどのような方向に 行くのかということも踏まえて後ほどいろんな お話をお聞きするようになってございます。 四番目の方は松澤淳子様です。鹿屋体育大学 の客員助教授をもされ、現在は早稲田大学スポ ーツ科学部の非常勤講師をされていらっしゃい ます。前職は、余暇開発センターで色々なライ フスタイル等の研究あるいは調査をされており ます。本日はものを買わなくなった若者、それ から女性はどういう形でスポーツに関わるか、 そのあたりのところをお話しいただくようにな っております。4人の方、よろしくお願いいた します。 それでは本日はテーマが二つに分かれてござ います。今の時代、人々がスポーツに求めるも のは何かということが第一番目のテーマでござ います。そして第二番目のテーマは、スポーツ 人口の拡大、する人、見る人、支える人プラス α、いわゆるこのパイを如何に拡大するかとい うことと、その定着、そしてそれによる地域活 性化の手法や提案ということについて、パネル ディスカッションをさせていただきたいと思い ます。 導入といたしましては、スポーツ人口の裾野 を如何にして広げるか、いわゆるパイがないと やはり産業としての魅力がないということでご ざいます。スポーツは色々なかかわり方ができ る、東京マラソンでも出てまいります。10,000 円払ってわざわざ苦しい 42 キロを走る、何故こ んなことを人間はするのか。 10,000 円だけに限らないんですよ。10,000 円払った瞬間、あなたは走れますよというと、 走りきるための道具を買う訳です。トレーニン グをする訳です。いわゆる皇居の周りを毎週走 ってますよね。私も走りに行きますけど、どう したんだろう、人間が同じ方向に走る、いわゆ るこのムーブメントが出てきた瞬間に、靴もい い靴がほしい、それからタイツがないと冬は寒 い、そのタイツはちょっと角度が曲がっていて、 いわゆる足の筋肉にいいという触れ込みのもの -104- を買う訳。一つ 15,000 円、一個じゃダメよ2つ だよ、靴だって最低云々となる訳です。それか ら今度はウェア、女性はもうファッショナブル ですよ、そういうことで色々なものが出てくる。 東京マラソンが満員になった瞬間に、荒川マ ラソンと江東マラソンと柏マラソン、全部満員 になっちゃう。ジョギングブームはずっと前に 終わったと言われていた。でも急にグワーと出 てくる。これは何なんだろう。眠っていたニー ズをどこかでプッシュした、それで今、回り始 めてきた、大きなうねりになってきた。これを どうつなげていくか、それによってどのような ビジネスが更に派生してくるか。 それだけではなくて、人が絡んできます。走 れなければボランティアですよ。見る阿呆では なくて、支える阿呆になりたいというのが 12,000 人いる訳です。これがまたビジネスにな っている。ただ単に流れに任せるのではなくて、 新しいマーケットに対してどのような具体的な 方策を考えていくか、そういうふうな方向性を 考えるというようなことでさせていただきたい と思います。 社会経済的な情勢は大変悪い。これだけ不景 気になると一番最初にカットするのは福利厚生。 同じように企業スポーツがどんどん切られた。 あるいは切られている最中。なのにスポーツに 対する顕在的潜在的な需要というのは確実にあ る。 じゃあどういうふうに掘り起こして、どう攻 めていったら、より広がっていくかということ と、それが地域の活性化、簡単にいうと税金と 場所が地域にある訳です。それと人がいる。こ の三つを如何にスポーツに向けるかというふう な話になってくるんだろうということで、この 団体もスポーツ産業団体からスポーツ健康産業 という間口を広げたということになってござい ます。 早速色々と御質問をさせていだたきたいと思 います。 では篠原さん、ツーリズムというのは確実に スポーツと絡んでくる。スポーツ&ヘルスツー リズムのいわゆる市場の現況、それから今後の 可能性、方向性あたりをお願いいたします。 篠原 御紹介をいただきました篠原と申しま す。どうぞよろしくお願い申し上げます。今、 本業は東武鉄道の旅行会社である東武トラベル に籍がございまして、現役バリバリで旅行商品 造成、ツアーの企画を担当しております。現在 は内閣府の地域活性化伝道師として観光地の活 性化のお手伝いで全国を飛び回っております。 この制度は安倍総理の時代に、何とか地方の活 性化を加速度的に推進させるという目的で、伝 道師が制度化された訳でございます。伝道師の 主な役割として、国は多々ある地域支援事業で お金を地域に落としますが、一過性になりやす くなかなかその成果が定着出来ていないケース も多いのが実態です。そこで内閣府地域活性化 統合事務局では地域活性化に欠かすことが出来 ない専門分野で活躍する専門家を民間からピッ クアップし、そうした国の支援事業を成功に導 くために伝道師を国の支援事業を成功に導くた めに地域に送り込もうと言うものです。その中 でも私の担当は観光地域活性化が担当です。私 も民間企業人ですから、実行していくプロジェ クトや企画は、採算が取れなければ社内稟議が 通らないわけで、言い換えれば商売のベースに 乗らなくては厳しい企業環境の中では事業に踏 み込むことは出来ません。本日は私からはその ブジネスモデル化に重点を置き、お話をさせて いただきます。 スポーツ人口を如何に広げていくかというこ とと、この旅の結びつきというのは大変私は深 いものがあると実感しております。一例をあげ ますと、私が 20 代の若い頃の話です。私は主に 学校の教育旅行を担当する修学旅行の営業マン だったんです。その頃の教育現場は大変荒廃し ており、車を止めて職員室へ向かっていました ら、椅子とか黒板消しが上から飛んで来たり、 先生をバカ野郎呼ばわりで、どっちが先生か生 徒かわからなかったような時代でした。そのよ うな学校教育の荒廃した時代環境では「スポー ツ修学旅行」が一種の流行になりました。これ は何故かというと、通常の京都や奈良などを始 めとした一般的な観光修学旅行では、先生方は 生徒の管理が出来ないような環境下にあったと 言う事です。スポーツ修学旅行の代表格と言え ばスキー修学旅行があげられます。スキーの場 合は下界と分離し生徒を山の中で缶詰に出来る こと、すなわち管理上安心できると言う大きな メリットがあり、かつまた日中は学生をインス トラクターにそっくり預け任せられる事が教員 サイドのメリットになりました。スキー修学旅 行がブームになったもう一つの要因は、短期間、 -105- 2泊3日、3泊4日の中で全く滑れなかった、 まさに立つこともできなかったリーゼントのお 兄ちゃんが、最後は格好よく滑る訳ですね。生 徒としても、チャレンジすれば上手になる、上 達する喜びをまさに生きた実体験により体得で きる訳です。こうした体験に対し、生徒からの アンケート調査でも「一般観光旅行以上に感動 の旅行になった」 「人生で初めて達成感を味わっ た」 「友情が深くなった」等の意見が多く寄せら れました。こうした社会環境や生徒たちの生の 声により、全国的にスキー修旅ブームが広がっ たのです。 皆さんは今から 20 年程前の大スキーブーム となった事を皆さん御存じでしょうか。 今ご紹介した時代の生徒が卒業し成人を迎え る訳ですが、実はその年代がまさにスキーの大 ブームになった訳です。言い換えれば、スキー 修学旅行の体験がスキーブームーの大きな背景 になったと言うことです。しかし、その後、学 校の教育現場は落ちつきを取り戻し、スキー修 学旅行から一般的な観光修学旅行に旅行形態が 戻っていきました。こうしたスキー体験が無い 方々が成人していったころ、逆にスキーマーケ ットは大きく落ち込み現在に至っております。 では、次に現在の旅行業界のお話をさせてい ただきますと、旅行業界も従来型ビジネスモデ ルを追及していては産業としての役割は終わっ てしまうと感じております。なぜかといえば、 昔、お客様が旅行会社にご来店いただきく際の 動機というのは、そこに旅に関する情報が集中 していたからだと思います。 それが今では、インターネットでお家の中で 超新鮮な旅情報が取れる訳でありまして、例え ば昨日のオープンしたハワイのホテルがライブ カメラでご覧いただけるわけですから、かない ません!一例をあげれば旅行会社が宿泊商品を 作ってパンフレットにしていますが、あれらの パンフレットの内容は半年前に旅行会社が旅館 と仕入交渉をし、パンフレットへ掲載していま すが、旅館が設定する料金はインターネットの 直販でしたら、流通が一つ無いということと、 インターネット料金は直販だということで、今 や旅行会社を通さない方が割安販売を平然と行 われてれて居るのが現状です。JRさんの新幹 線もそうですし、航空機もマイルやポイントを 付与し流通の中抜きが当たり前になって来てい ます。 こうした環境の中で旅行業界はどうやって生 き残るかというのが業界の全体の問題でもござ います。皆さんはニューツーリズムという言葉 をご存知でしょうか?従来の観光素材とは別の 価値を視点にした新たな付加価値型旅行の事で す。まさにジョイント出来る可能性がある業界 は幅広く、まさにスポーツ業界と旅行ビジネス との融合の可能性は無限大であると感じており ます。旅行業界が次世代において生き残って行 くためには、従来の観光関連事業者とのタイア ップのみでは無く、他産業や同じサービス業同 士の融合などを行い、 「そこの旅行会社を通さな ければ味わえない、体験できない商品開発」な どが必要とされています。旅行会社を通さなけ れば体験できない、味わえない様なものに他業 種タイアップで企画を仕立てるということが次 世代の旅行業界の中で生き残って行くすべだと 思います。 このニューツーリズムという大きなくくりの 中に、 「ヘルスツーリズム」という分野がありま す。実は観光庁の方もこの辺のヘルスツーリズ ム、健康ツアーに注目しておりまして、国の施 策として伸ばしていこうという動きになってお ります。実は去年一昨年とこんなヘルスツーリ ヅムツアーを作りました。 一つは財政破綻をいたしました夕張でござい まして、夕張は炭鉱のまちが観光の町になりま した、しかし観光で破綻しまして、今どういう まちを目指しているかというと、健康のまちに しようというような動きになっております。地 元の夕張市民病院での検診と北海道大学を中心 にして大学の研究結果からでたエビデンスを基 にして「夕張メタボ改善ツアー」を企画しまし た。この夕張の健康のまちづくりを支えている のが、予防医学の推進で名高い、夕張の市民病 院の村上智彦医師です。この地元の町の顔の病 院を観光素材にして、ヘルスツーリズムの切り 口で商品化されました。こうしたヘルスの側面 と従来の観光素材を磨きあげるために、新たな 見せ方や体験プログラムを開発しました。例え ば、現在でもはまだ夕張には 2,000 万年前のま だ石炭が市内のあちこちにある。そこで実際体 を動かしていただくような、その炭鉱夕張なら ではのメタボカロリー消費のためのプログラム を石炭採掘を楽しみならが行う事にしました。 またツアーでは予防医学の観点から、食育に関 連し、カロリーの自己コントロールや太らない -106- 食事法の勉強会なども 3 日間のプログラムに盛 り込みました。 あとはもう一つ、塩原温泉のヘルスツーリズ ムの事例がございます。栃木県塩原温泉は、日 本の中でも特に古い湯治場で、約 1,200 年の歴 史があります。この塩原温泉も他の温泉地同様、 大変厳しい状況になっておりました。お客様は ピークの半分になってしまっておりますが、そ の原因は、古い湯治場が故、昔の繁栄を夢にみ て旧来の団体志向、宴会方の宿の仕組みを個人 旅客志向への変革が遅れた事に加え、足利銀行 と言う地元のメインバンクが破綻したとが重な ったことに起因します。この塩原温泉を新たな コンセプトで建て直しを図るため、温泉と健康 の接点を見つけるという医科学的な裏づけに基 づいたヘルスツーリヅム(温泉ツーリズム)を 推進する事になりました。幸運なことに、昨年 の9月に栃木県の医師会が運営する温泉リハビ リ治療を目的にした栃木県医師会塩原温泉病院 が温泉街の中心にオープンしました。この病院 の院長先生は日本一のリハビリテーションの病 院にしたいという夢を持っておられました。 今時代の観光旅客を呼び込むためにはご当地 他とは違う何かを明確にして、それをPRでき ない地域にはお客様に来ていただけません。今 の時代、温泉だとか自然という言葉にだけでは お客様を呼ぶことは出来ません、地域おこしに してもスポーツにしてもそうだと思うんですが、 他とどこがどう違うかをキチンと説明ができな いとダメだと言うことです。 今回の塩原温泉活性化では不鮮明であった塩 原の売り物、温泉をこの塩原の湯はどうして凄 いのか?また 1200 年の歴史を持つ湯治場を現 代版湯治として医科学的な裏づけを明確にした プログラム造成を行い商品化しました。11 の異 なった泉質や噴出温度が全部違い、入浴の組み 合わせ次第では3日間で肩こりが楽になるとか、 筋肉痛がとれるなどのプログラムを温泉入浴と ウォーキング、気功療法と温泉合体させてプロ グラム化しました。 この春から「塩原流ヘルスツーリズム」とい う完成度の高いプログラムが完成し発売を開始 好調な販売が続いております。今後はスポーツ 業界の方のお知恵を借りて一緒にニューツーリ ズムの視点に立った新たなスポーツ旅行プログ ラムを育てて行ければと思います。 野川 次は藤本さん、スポーツ産業におけるス ポーツ人口拡大の意義というようなことも踏ま えて、御自身のドイツの経験も入れて、この辺 のところがやっぱり潜在需要ではないんだろう かということがございましたらお願いいたしま す。 藤本 ドイツのお話をさせていただく前に、産 業という観点でスポーツ人口を増やすというこ とをとらえると、スポーツ人口が増えれば産業 は活性化するという図式だと思います。本来人 間は生まれて子供を育てて御飯を食べて死んで いく、でもそれはなかなか1人ではできないの で、みんなで分担して始めた、そうすると何を 自分達が求めるかというのは、ある意味ではそ の基本動作を離れればあとは心の中にあると思 うんですね。 例えば幼稚園とかで子供が遊んでいるのをず っと見ていると、ある意味で原型となる答えは、 みんな子供達が遊んでいるやり方だとか、何が 喜んでいるのかとか、そういうところに結構答 えがあるような気がするんです。ちょっとやっ てみて達成感があるとか面白いとか、面白いと いうことが大事だと思いますが、それをちょっ と人に自慢してみて、仲間意識を確認してみた いとか、心の動きの原型みたいなのがあって、 大人になると同じことを幼稚園の園児みたいに はできないので、結局お金をかけていろんなと ころへ行って、実際やっていることは同じなの だけど、何となく高級な感じでやっていってる というような、一回りも二回りもお金をかけて いくという、きっとそういう図式であって、そ れは別に悪いことではなくて、人間の心ってそ ういうものだろうなと思います。 だからスポーツというのを聞いた時に、みん なそういう幼稚園の時に楽しいと思ったような ことを、もしかしたら再体験出来るんじゃない かと思って、そういう意味で参加してこようと 思うと思うんです。ところが現実的には、これ は昔の軍隊的なところから来ているのかもしれ ませんが、体育とかスポーツというと、苦しい とか厳しくしないといけないとか、何かそうい う感じなんですね。私も剣道部だったので、掃 除から始まって、先輩に楯突くと合法的に暴力 が返ってくるとか、そういう世界にいたもので すから、ちょっとこれは違うんじゃないかなと いうのは何となく常に感じていて、実はスキー -107- をやっていたことがあって、これは父親の仕事 の関係でオーストリアにいたことがあって、オ ーストリアでスキーを始めた時には本当に楽し かったです。 それは何故かというと、スキー自体が移動の 手段として、移動の手段なんだけど遊べるとい う、それ自体が目的ではない雰囲気がその社会 全体からある訳です。要するに道具なんだけど 遊べるよという感じなんだと思うんです。そう いうところに子供心に非常に楽しいなと思った 感じがあったんです。 じゃあ日本に帰ってきてスキーをというと、 何かがちょっと違う感じがして、やっぱり経済 的に人を呼んで、そこで何か活動してもらうこ とを目的にスキーが起こっているようなところ があって、最初にスキーを日本に持ち込んだ人 はもしかしたら違う観点だったのかもしれない けれども、何となく子供心に借り物みたいな感 じがしたんです。その時は高校生ぐらいでした が。 これは余談ですが、役所に入って毎年大体年 の暮れに御用納めをすると新幹線でスキーに行 ってたんですが、ある時、寒いのに何で自分は こんなことをやっているんだろうなと思って、 早く温泉に入りたいなと思ってハッと気がつい たのは、じゃあ温泉に入りたいのだったら最初 から温泉に行けばいいじゃないかと思って、そ れ以降スキーには行かなくなったんです。要す るに何を心で求めているかということだと思う んですね。 そういう心に求めることをうまく出してあげ るのが、経済活動ということを通じてお互いに 助け合う部分だとすれば、何を求めているかに ついて、スポーツということをいった時に、余 りたがをはめない方がいいんじゃないだろうか。 例えば、国民の健康増進をスポーツを通じてや るとか、体育で体力を向上させるとか、これは それで一つ大事なことです。本当は大事なこと は、そういうことプラスどうやって体を動かす という楽しさを、子供時代みたいに出来ないん だけれども、大人になってもその楽しさをどう やったら楽しめるかという手段を教えていくと ころだと思うし、その教えた時に産業を通じて 社会にそれを提供出来る場がある、自分もやる 場面もあれば、参加するということもあると思 います。 先ほど池田さんがお話しした新潟の事例とい うのは、やっぱり子供心の楽しいだとか、そう いうものを地域にうまく持ち込めたからみんな に受け入れられているところがあるんじゃない かと思う。そういうものをうまくつくっていく ということに対して、経済産業省の役割という のはそういう枠を外していくことにあると思う ので、是非皆さんと一緒に枠を外した、こうあ るべきだじゃなくて、スポーツって何だろう、 何をみんな期待しているのかというところから 始まっていくのがいいのかなというふうに思っ ています。 そういう意味で、例えばドイツは地域に根ざ したクラブがあって、特にサッカーですが、男 の子は大抵幼稚園の上の方になるとそういうと ころに所属してやっている、やっぱり立派な選 手なんかが周りに来て格好よくプレーをする訳 ですよ。そういうのを見ると憧れる訳ですね。 それが子供心に格好いいなと思って、そういう 心象風景みたいなのがやっぱり根づいていくの で、そこでそれが心の糧となって、当然大人に なってサッカーを続けている人は余りいないが、 スポーツというものの楽しさがあるような気が します。それはやっぱり社会にどれだけ根ざし ているかということかなという、そういう違い はあるような気がいたしました。 野川 ある意味からすると、かなり文化的な話 でございますよね。この間、3カ月ヨーロッパ の方に仕事としてスポーツの行政のことを調べ にいった方がいらして、総合型地域スポーツク ラブにイギリスで行ってみて、その後でドイツ で行ってみたら、ドイツはすごく良かったとい うんですよね。何から何まで楽しかった、居心 地が良かったというんです。 別にスポーツを習って、それで上手になるか らというよりも、自然で、やっぱりスポーツを 媒体としていろんな人と知り合えて、生活がリ ッチになるというんです。クオリティ・オブ・ ライフみたいなものがとてもいいという、そん な話をされた方もいらっしゃいます。 池田さんのところはどういうふうにして子供 達とか、サッカーとかいろんなものを提供ある いは開発しながら、運動部活動的ではないよう なスポーツの楽しさというのを地域に根づかせ ていってるんですか。 池田 -108- そういう視点で考えたことはないんで すが、現象だけというと、まず見るスポーツ、 スポーツを見るというよりはお祭というか、ス タジアムに非日常、晴れがあるという感じです かね。サッカーなんかしたことないおばちゃま が、ほら!走れーとか、監督何やってるんだー とか、大体みんなが監督になっているというよ うな状況ですね。そして楽しんでいる。もう熱 狂的ですね。だから月二回、2週間に一回お祭 があるという感じで楽しんでおられる。 その時の、じゃあお祭というのは核がある、 核って何だ、郷土愛みたいなところがあって、 ファミリー愛みたいなものですかね。自分の子 供みたいなつもりで叱りつけているという感じ で、それもまあ見方によると半狂乱の状況でや っておられる、それは本当に男性の社会的立場 のある方もやっておられるという感じですね。 それで息を抜いておられる。そういうことを通 し、女性も多いんですね。それで子供を連れて くる。 女性でサッカーをやっていたというのは新潟 はなかった訳ですが、サッカースクールとか、 フットサルコートとかに行ってお母様方がやっ て、やることによって、戦略的にもレディース もというか、女子を持つことかなということも あって、私どもは女子チームを持った。 高齢者が御夫婦で見に来ていたのが、お父ち ゃんがちょっと体を悪くして、おばあちゃんが 来れなくなったというようなこともあり、新潟 はスカパーの契約率が増えている。見るスポー ツはそういうことがある。それで奥様がやるこ とによって、今度は子供をいい意味で追っかけ みたいな形で、サッカースクール、ですからサ ッカー協会への登録数も登録率という意味では 日本で一番伸びてきた。それがいろんな経済的 活動の中で進んでいる。 旅行という意味では、私どものチームがアウ ェーへ本当に行って、弾丸ツアーで金曜の夜に 出て大分まで行って、そのままバスで終わった ら帰って来て、途中でやって、日曜の夕方に帰 ってくるというツアーなんかも2本3本出てい ますし、東京はバスツアーだけでも 40 本ぐらい 出ている。そんなことで経済効果はある。 あとはするという意味では子供がし、本当に 裾野が広がってきた。今まで地方都市では一流 の指導を受けられるとか、一流のものを直接見 るということは出来なかった。プロスポーツは 私の印象からいくと、みんな私の周りは全部ジ ャイアンツファンですね。ジァイアンツの試合 しかない。 要するにプロスポーツというのはテレビで見 るものだということで、それなのにまさか自分 でおらがチームを持てるなんていうのは想像だ にしなかったということが、サッカーがそれを 切り開いていただいた。新潟には一部リーグの 実業団もなかったから、私どものチームが出来 ることによって一流の選手が来、一流のコーチ がついて、それが先生方に刺激を与えて、それ が非常に裾野が広がったということが、今現象 として起こっているということです。 野川 同じようなお話を大分県の方でもやっ ぱりトリニータが強くなってきて、指導者が良 くなってきたら、これまでは全部広島に子供達 が行ってたそうなんですね。大分出身の子はほ とんど広島のサンフレッチェのジュニアでやっ て、それからどこかに行くというのが、今は大 分に逆に来る。だからそういう意味からして非 常に良いサイクルが回っている。 どうしても日本のスポーツはシーズン制では なくて、通年制です。サッカーをやる子はずっ とサッカーをやる、野球の子はずっと野球をや る、バスケットはバスケット、そうするとどう しても子供の取り合い、あるいは選手の取り合 いということになるんですが、その辺のところ で新潟の場合には、例えば子供達がシーズンで いろんなものが出来るような形にしているんで すか。 池田 していません。アルビレックス新潟とい うサッカーがあります。バスケットもみんなジ ュニアユース、ジュニアのチームを持っていま す。バスケットはやっぱり中学を持つと猛反対 が予想されるので、ジュニアだけしかしてない。 ジュニアユースなんて、中学生世代でやろうも のなら学校の先生に袋だたきにあうというので、 もう恐怖のど真ん中にいますので、それでジュ ニアで育てて、それを中学高校に返すみたいな 形になっています。 サッカーはもう完全に私どもクラブで育成組 織を持っています。ユースが日本代表が出て来 ているということがありますね。それが高校に 刺激を与えて、やっぱりそこそこ強い高校も出 て来ているというような感じです。 経営的にサッカーに他の競技を総合型スポー -109- ツクラブにして、重しを与えたらまずいという ことで、全部独立採算で株式会社に、野球、ラ ンニングクラブ、スキー、スノボードも独立採 算でやって、自分で努力して、どんないいこと をやろうが、どんなにボランティア的なことを やろうが、独立採算でやってくれ、サッカーは やっぱり日本一、世界一のチームを目指してい るので、サッカーで稼いだ金を他のチームなん か回さんぞという形で、まあ今のところは自立 でやっています。 みんな自立したら、最後に統合するというこ とは十分あり得るかなということと、ヨーロッ パ並に小さいころ野球をやったり、サッカーを やったり、冬はバスケットをやったり、バレー ボールをやったり、水泳をやったりする中で、 自分の好きなものを選んでいくというようなイ メージに統合出来ればいいなあとは思っていま すが、今はそんな状態じゃないということです。 野川 はい、ありがとうございます。女性のフ ァンだけではなくて、サッカーの選手も出て来 たということですが、松澤さんから東京マラソ ンの人気とか、それから女性ランナーで、どん どんきれいになっている日本の女性というよう なところからお話をお願いしたいと思います。 松澤 人々がスポーツに求めるもの、それを東 京マラソンの事例で御紹介することと、東京マ ラソンの関係で女性ランナーが契機になって増 えた理由を少し分析しましたので、それを皆さ んにお話ししたいと思います。 まず東京マラソンですが、3年前の 2007 年か ら始まって、今年は3月 22 日、もうすぐ第3回 目があります。その申し込み者数の推移でが、 東京マラソン参加申込者数の推移 (人) 急激に増えたというのはすごい。今の世の中で 下がるのはすごい勢いで下がっていることが多 いんですが、これだけポジティブに増えている というのは、いい現象だと思うんですね。合計 すると 26 万人ぐらいで、定員に対して 7.5 倍の 倍率に今なっているということで、抽選から漏 れてしまった方も多くいらっしゃいます。東京 マラソンのこういった人気が全国に波及してい て、3月のマラソン大会は、ロードレースを含 めて何と全国 100 カ所で行われている。そこに 参加する人の数も増えているということで、全 国への波及効果は上がっているということです。 普段走れないような場所を走れるということ が東京マラソンの最大の参加の魅力かなという こともありますし、参加する人の幅が広い。フ ルマラソン・デビューの人もいれば、国際級の 力を持っている人も一緒に走っている。憧れの 選手が側にいて走るというのは走る方はすごく 気持ちがいい。格好も割と自由。仮装大会のよ うな格好をした、そんな人もいたりして、非常 に自由な雰囲気がいいなというのもあります。 東京マラソン自体がスポーツの大会というよ りは、先ほど池田さんもおっしゃったようにお 祭なんですよね。晴れの日なんです。大きな舞 台になっていて、それに参加できる喜びという のは、子供のころ縁日に行った時にワクワクす るのと同じように、すごく楽しい気分になれる ということがあるかと思います。制限時間も7 時間という、非常にゆるい制限時間ということ もあります。 銀座や浅草を交通規制して、普段絶対に走れ ない道を走れるという、街全体を異空間にして います。スタジアムではないのですが、街全体 が日常と違ったしつらえになって、そこを走れ るし、沿道のお客さんの数、これは多分他のマ ラソン大会にはないすごい人垣が出来ています が、この応援力というか、ギャラリーのすごさ、 それがまたランナーにとっての喜びになったり 力になったりしています。このランナー同士と 応援の人、支える人達との一体感というのは、 先ほどのサッカーのスタジアムと似たような構 造になっているように思います。 なかには走るだけじゃなくて、ボランティア、 実際支えている方達もいらっしゃいます。給水 だけでなくて、いろいろな支えている業務があ って、そのボランティアの募集もしています。 今年は 38 日間ぐらいで 13,000 人の応募があっ たということです。 このボランティアは走る人の家族や友人だけ -110- じゃなくて、本当にボランティアをやりたいと いう形で手を挙げる人達が多く、私の知ってい る学生は全くスポーツをしないタイプの女性な んですが、東京マラソンのボランティアはやり たいと言い切ってました。 「何で?」 と聞いたら、 「一生懸命頑張っている人を応援したいという 気持ちがあるし、あとは達成感とか感動を共有 したい」と言うんですね。スポーツをしてない が、そういう感動とか分かち合いたいという気 持ちがすごく若い人にあるのかなという感じが しました。 女性のランナーの増加というのは、スポーツ の例えばウェア関係でも女性ランナーの関連用 品はこの不景気にも拘わらず伸びています。 2007 年2月に東京マラソンがあった後、2007 年6月の Hanako でこのような特集が組まれま した。 Hanako でこういったスポーツ系が特集され るのは珍しいと思います。 「東京を走る、格好よ く走る、美しく走れば体は変わる」というタイ トルになっています。中を読むと、競技として のマラソンではなくて、自分のペースで走り出 すランニングが今新しいと書いてあったり、初 心者やベテランのランナーも含めて、まさにラ イフスタイルというか、お仕事をしながらどう いうふうにマラソンを楽しんでいるかとか、そ れはファッションも含めてですが、色々な写真 とコメントがあって、本当に美しく生き生きと マラソンに取り組んでらっしゃるというのがあ りました。 どうして女性ランナーが増えて、たくさん物 も買ってくれるのか、どうして女性ランナーが 増えたかといえば、モデルさんが何年か前にホ ノルルマラソンを走って、それが映像に流れて、 モデルさんがマラソンを走ったというので若い 女性が目を引き寄せられたという下地はあった のですが、そこに東京マラソンの開催があって、 非常に波に乗ったというところがあります。 ただ、よくよく考えてみて、いろいろ調べて みると、見た目の美しさとか華やかなモデルが やっているからだけじゃないんだということが 段々わかってきたんです。じゃあ何で女性がラ ンニングに心を奪われ、行動のスイッチが入っ たかというと、私は「本気」がキーワードだと 思うんです。つまりモデルさんがあんなにきれ いなんだけど走った理由というのを読んでいる と、すごく内面を磨きたいみたいなことを書い てらっしゃったり、話してらっしゃったりする んです。本当にフルマラソンは大変なんだけれ ども、走ろうと自分で決意し、自分で意思決定 をして取り組む、やり遂げる、その本気さとか ブレがない自分の軸みたいなものに対して、今 の女性が共感したんじゃないかと思ったんです ね。 仕掛けられた流行とか、そういったものじゃ ないというのを敏感に女性達は感じ取って、特 にランニングする人達は嘘がないこととか、そ の本気さということに共感して、内面を鍛えて ポジティブに生きるんだみたいなところに共感 して、そして本当に健康であることが美しいん だというところに気づいた、そこが女性のラン ナーを増やしているスイッチになっていると思 います。 だから最近何が売れるかわからない、それは 景気が悪いせいもあるけれども、何か仕掛けら れた嘘くささというのは若い人も女性もちょっ と引いているというか、余り行動スイッチは入 らない。逆に本気であるとか、スポーツはまさ にそうですが、本気である、自分はこれに命を かけているぐらいが本当に伝わるのと、何か行 動スイッチが入るのかなと、そういう感じがし ました。 野川 ありがとうございます。今のお話からす ると、実際に自分の体を痛める訳です。そして 私も去年走ったんです。ちょうど去年は2月の 17 日か 18 日ぐらいなんですが、良い天気だっ た。 東京は 12 月の終わりぐらいから公共工事で 道路を一生懸命掘り始める訳ですよ。そうする とコンクリートのところとアスファルトと色々 なのがあっちこっちにあって、走っていて、ア スファルトは柔らかいからすごい走りやすいで す。ところがコンクリートはすごい走りにくい です。一番つらいのが銀座。銀座のところはテ カテカぐらい、もうどんどん体に痛みが来る。 俺は今何をしているんだろうと思いながら、 携帯で自分でネットに接続して、自分の番号を 入れると出て来るんです。君は今どこを走って いるって。これすごいですよ。いわゆるチップ を自分の靴に入れて、自分で走りながら、自分 は今どこにいて、1キロ何分のペースで走って いるかまで教えてくれる。このサービスがある んです。だからオーイ走るぞ、番号何番とやる -111- と、みんなカチャカチャカチャとやってくれる 訳ですよ。ああ、まだあいつ走ってるってわか る。これはテクノロジーですよね。 この本気が入ってきて、リアルというもの、 そしてスポーツの持っているのは挑戦ですよ。 やっぱり自分に挑戦したい。これと全く対極の Wii(ウィー)あるいはバーチャルがある。この 辺のところでスポーツ産業も二極化していくの かどうかというのをちょっと藤本さんに分析し て、占っていただけないでしょうか。 藤本 多分これは意見が分かれるところだと 思うのですが、私は 10 年ぐらい前、ちょうどイ ンターネットが出てきた時代に電子政策課とい うところで、どうしたらインターネットを日本 に普及させられるかというような、仕事をして いたんですが、その時代の雰囲気というか、経 験を見ると、将来的には必ず融合していくんじ ゃないかなと思うんですね。 デジタルの意味合いというのは、当時そうい う研究をしている人が教えてくれたのですが、 結局何でも0と1の信号になると。音声も画像 も含めて、それが本質で、それを運ぶ技術がど んどん進歩していくと、早く見せられたり、大 量に情報が送れたりするけれども、変化が起こ る、変化の本質はみんなフラットになるという 意味ですと、それは何でも同じところに流し込 めるんですということだと思うんです。 そうすると Wii(ウィー)のようなものも何 をやっているかというと、結局スポーツに対し てどういう興味を持つかとか、どんな面白味を 見出すかということを今はバーチャルに味わせ ようということなんですが、段々バーチャルと 現実と差がそれほどなくなっていくと思うんで す。それは同じ土壌というか、フラットなとこ ろに来て、そうするとそのバーチャルなものが 入り口になる場合もあるし、本当の部分が入り 口になって、例えばスキーには行けないけれど も、ちょっとバーチャルに味わってみる、それ を子供と一緒に遊んでみるということもあるか もしれないし、その逆もあるかもしれない、そ れは決して相入れないものじゃなくて、きっと 一緒になっていくんじゃないかなと思うんです ね。 もっと情報技術が取り入れられていけば、マ ラソンの例じゃないですが、それでまた楽しみ 方が変わってきて、自分はまだここで走ってい るんだぞというのを友達に見せることも出来る 訳ですし、それはある意味でゲーム感覚です。 そこに何かリアルがあるから若干の面白味が更 に付加するところがあって、そういう面白味と いう意味での道具の一つとしては、全くフラッ トになってくると思うので、それをうまく取り 込んだ業種というのか、そういうやり方が受け 入れられていくような気がするのですが。 野川 ありがとうございます。これに地域活性 化というのを絡めると、かなり難しい話になっ ちゃいます。やっぱり地域というのは集団です から、それが今はパーソナルで、個の方にどん どん行ってる。これをどうやってまとめていく かというメディアとしてのスポーツの媒体とい うふうな話で、先ほど池田さんがおっしゃった 訳です。個で楽しんでいるのだったら1人でや ればいい、だけどそれがみんなで楽しむともっ と楽しくなる。ただ単に経済の活性化だけでは なくて、やはり地域力をスポーツ力で高めるた めという話になると思う。 やっぱり個と地域社会というのをどういうふ うにブリッジしていくのかというのは、まだま だいろんなことを考えなくてはいけないかなと 思う。次のテーマ2といたしまして、スポーツ 人口の拡大と定着、そしてそれによる地域活性 化の手法ということなんですが、池田さんにお 聞きしたいんですが、アルビレックス新潟のJ リーグのサポーターは素晴らしい、バスを一杯 使ってどんどん行けるようになった。じゃあb jリーグはどうか、BCリーグ、いわゆる次の ビジネスモデルではどういうふうな形で、さら にスポーツ人口の拡大だけではなくて、定着さ せていこうとされているのか、その辺のエキス をお願いできますでしょうか。 池田 サッカーからバスケットをプロリーグ 化し、また野球をやると言ったら、インターネ ットを含めて私は総だたきにあう訳です。サッ カーの人達に何をやっているんだと。要するに アルビレックスのサッカーをつぶす気かみたい なことで、まあもちろん総だたきといってもネ ットでの総だたきだから、大多数はそうでもな いと思うんですが。 でも心底やっぱり新潟ってこんな小さい地域 で、サッカーがまだやっと生まれて、みんなこ んなに命がけで応援しているんだよ、もう本当 -112- に試合毎にアウェーに行ってる人もいるし、シ ーズンパスも買っていただいてというような状 況の中で、バスケットをやり野球をやりみたい な話で、サッカーは 15,000 人ぐらいのサポータ ーズクラブというか、後援会なんです。世帯数 からいうと新潟って一応合併して世帯数からい くと 28 万世帯ぐらいあるね、そうすると高齢者 とか単身世帯も引いて半分ぐらい削除しても 10 何万世帯ある、10 万強は間違いなくある。そ のうちのたかが1万幾らじゃないか。 サッカーで協力してよ、お願いするよといっ て、一応協力はしてくれるんだけれども、俺は そんなサッカーなんて茶髪の何かヒラヒラした やつをどうして応援しなきゃあいけないんだと 怒られながら、いやそうじゃなくて地域のため だからというようなことを言いながらやって、 じゃあその他の世代は何をしているんだという ふうに分析してみると、まだまだあるんじゃな いかということと、俺は野球をやったんだ、俺 はバスケットをやった、俺は違うことをやった というようなことが一応市場から考えればある んじゃないか。 もともとスポーツをやってみてすごく感じた のは、見るスポーツというのは、感動だとかエ ンターティメントとか、そういうことが複合化 されて、お祭だというふうに私は個人的に思う のですが、するスポーツってまた全然違うもの で、スポーツって何なのかとやっぱり考えるよ うになった。人間がもともと競技、いわゆる戦 うスポーツというのは、もしかしたら人間には 闘争本能があって、すごい野蛮で、それをルー ル化し、そういうエネルギーを発露して、フェ アプレーとかいう理念をつくって、人間が考え 出した知恵、それを命がけで戦うところにすご く面白さがあって、一定のルールで、終われば ノーサイドみたいな話です。 あとは個人競技については、人と競争すると いうのももちろんあるけれども、健康とか、や ることの爽やかさとか、やっぱりスポーツとい うのは子供達に対する、文科省の教育の部分が あると思います。共同でやることによって、今 少子化の一人っ子が人間関係を作るとか、物す ごい大事な要素だと思います。人づくり、地域 づくり、それをないがしろにしないで、やっぱ りスポーツの持つ、勉強じゃなくて、頭だけじ ゃなくて、身体共に成長していくべきだし、地 域の支える子供達に関してそういうことはすご く大事なことじゃないかなと思っています。そ ういう意味で随分市場があると思っています。 野川 やはりキーマンを探すこととか、それか らターゲットを色々細分化していく、そして地 域づくりという、どちらかというとCSRのよ うな観点ですね。個人のするスポーツの中には 健康とか教育が入ってくるということで、篠原 さん、潜在需要を掘り起こす、ターゲットにピ ンポイントの掘り起こし方、或いはプランニン グですが、スポーツと観光というところ、或い は観光だけでも結構ですが、もし事例があった ら御紹介をお願いしたいと思います。 篠原 潜在需要を掘り起こすための企画づく りの手法やプロセスは大まかにこのようなこと だと思います。わかりやすい事例を御紹介して みたいと思うんですが、やっぱり企画する側が 頭の中を柔らかくして行く訓練を知らず知らず 自分の中で行っている事に気がつきます。私の 場合、いつも新しい切り口のツアーを作らなく てはと、30 年間思い続けてきた訳で、電車に乗 っても若者ファッションや中吊り広告の見出し を常にチェックしたり、無意識にとトレンドら しき新刊雑誌などを物色している自分に気がつ きます。 では、ここであるヒットツアーが生まれたき っかけとストーリーをご披露しますが、実は今 から7~8年前になりますが、 「変身美男子ツア ー」というツアーを企画し大ヒットしました。 ある夜、いつものようにほろ酔い気分で帰宅し た私はテレビをつけました。そうしましたら、 そのころはまだ走りであった男性エステTBC のCMが流れました。木村拓哉が自分の彼女の 口紅をつけているショッキングな内容で、男も 綺麗に!とのキャッチにピンと来たことを覚え ています。また当時ワイドショーでは亭主改造 や亭主変身などの企画が目に付くようになりま した。それで私はツアー参加者を変身させよ う!ととっさに考えた訳です。 男性ファッション誌の編集長との交渉の結果 生まれたのが「変身美男子ツアー」です。内容 はまず、原宿の超人気美容室にて雑誌にたびた び登場する「憧れカリスマ美容師によるカット」 、 「流行の先端男性エステ」、「ファションコーデ ィネータによるファションチェック」最後に写 真スタジオにて最高に仕上がった自分の姿をお -113- さめる「プロカメラマンによるブロマイド撮影」 さらには極め付けは「有名フレンチシェフによ るツアー特製変身ヘルシー弁当」付で料金はし めて、12,000 円の日帰りバスツアーでパッケー ジにしました。新聞や雑誌にツアー告知のリリ ースを配布し、幾つかのメジャー新聞にそのタ イトルの面白さからツアー告知の記事が掲載さ れるやいなや、1 回 30 名のツアー5 本設定合計 150 名の枠は 2 日間で完売となりました。上は 65 歳から下は 16 歳の高校生まで全国から集ま りました。日本初の発想のこのツアーにはテレ ビは国内キー局をはじめイギリスBBC、台湾、 アメリカからテレビカメラが殺到し新聞雑誌関 係の記者を含めると 1 本のツアーに 50 名以上の 報道陣か取材に駆けつけ、まさにツアー参加は スター扱いとなりました。今回の企画はチョッ トしたテレビCMからのヒントがきっかけでヒ ット商品が生まれた事例です。 では、次に2年ほど前に 500 名程の信用金庫 のお客様の積み立て団体旅行に同行しました。1 泊目の宿泊は十和田湖の奥入瀬です。翌朝、20 人から 30 人近い方がトレパンをはいて玄関か ら入ってくるんですね。内のお客さんなのです、 お客様にどこに?と質問すると、今日はもう5 時に起きて朝風呂を済ませ、朝の静かな奥入瀬 渓流を自分達で歩いて来たというんですね。 お客さまにインタビューしました、そうする と、殆どの方が朝の散歩が毎日の日課でいつも 歩いている仲間だった。旅に出る目的の一つは 旅先での早朝ウォーキングが楽しみで仕方がな いとの事、外に出た時にまさに違う環境の中で 十分楽しみたいとの事でした。想像以上にスポ ーツは消費者の身近な存在、言わば、生活の一 部として定着して来て居る訳で、日常的に楽し んでいるスポーツを旅先で味わうことを目的に している人々に対する旅行マーケットは相当深 い物が在るように感じております。 また、同じ趣味をスポーツに持つ人々が旅先 で交流できるツアー企画をスポーツ業界の専門 家の方々の力を借りてツアー企画を実現できた らと感じています。スポーツ、旅行、仲間づく り、健康とか、これらを組み合わせて新たなビ ジネスモデルができると確信しています。それ からハイキング需要の底力の強さの一例を最後 にご報告したい。東武鉄道の沿線は東京・埼玉・ 千葉・群馬・栃木と一都4県に広がり非常に広 い。それぞれ沿線の市町村とのタイアップで、 東武健康ハイキングという企画をしております。 年に大体 20 回ぐらいいろんなところを回るん ですが、最近では一回の企画で何と 2,000 人ぐ らい来るんですよ。大きなイベントがあるわけ ではありません。 これもまだまだ私はもったいないなと思うの は、こうした健康スポーツに興味がある方々が 大勢おいでになりながら、参加者マーケットに 次なる仕掛けが出来ておりませんので、どうや って次のビジネスモデルを提案して行けるかが 旅行会社としても課題です。今まで旅行会社は 例えば旅館の社長とか、ドライブインの社長と か、バス会社の社長とお話をして仕入れ交渉を 行って来ました。しかし、これからは業種業態 の壁を越えたタイアップが不可欠になると感じ ております。 これから有望と思われるようなツアーと運動 を組み合わせて例えば健康イコール体を動かし ていくということですから、列車旅のあと二次 交通のバスを利用せず、徒歩で移動していただ く事を推奨したり、サイクリングや今流行の電 動自転車を二次交通としてセットして、レンタ ルでやっていくとか、未成熟な観光地の弱点を 克服するための健康旅行も十分成立の可能性が あるように思います。健康旅行をテーマにやっ ぱりメタボ市場というのは大変大きなものがあ ると思います。 実はそんなお話の中で、ダイエットツアーと か、それからメタボツアーが最近企画されてお りますが、なぜかツアーで売れていない。旅行 はお金を出す訳ですから楽しみたい訳。言いか れればニッチな客層を除き、苦しいダイエット に敢えてお金を出して自分で行くことは考えに くいと思うんです。 ですからメタボビジネスをツアーでやるには、 旅に出ればどれだけ楽にやせられるとか、それ 以上に楽しめるとか、そういうようなツアープ ログラムを実は今開発中でございまして、豪華 な北海道の料理を食べても太らないようなメニ ューの調理法の導入も始めております。 最後 に糖尿病メニューなどいう物がある事をご存知 でしょうか?最近ではドクターズメニューなど というのが旅館の独自の企画として発売されて おりますが、しっかり良い商品が出来ておりま す。今後は旅に出たくとも出られない糖尿病の 方々のために、その辺のマーケットを追及した いと思っております。 -114- それからあと四国八十八カ所巡礼の旅という のがあります。まさに巡礼は朱印を楽しみにそ の日巡った寺を思い出し、苦労の代償でもある のです。朱印をいただく訳です。こうしたよう なものが日常のスポーツビジネスと旅行とつな げていくようなことになれば面白いかと思いま す。 例えばあれもウォーキングですよ。やはり苦 しくても目標を持ったウォーキングです。しか し不思議なのは年齢を重ねて来ると何か別の信 仰心みたいなものが潜在的にありますので、バ スで廻る企画旅行だけでは無くこのウォーキン グをメインに歌い込み、新しい四国八十八カ所 の商品開発を行って見たいと思います。 野川 スポーツから健康、ヘルス、メディカル 的な話になって来て、メディカルツーリズムに はすごい需要があるんです。藤本さんの方から このメディカルツーリズムも含めて、国として スポーツ、健康、メディカル、この辺のところ の政策の話がもしかあればお聞かせいただけま すか。 藤本 スポーツと健康というのは切っても切 れないし、健康というのはある意味で幸せに過 ごす手段なのですが、スポーツというのはもし かしたらそこで味わうのは、それはある意味で は目的かもしれないと思うのですが、子供の頃 はやっぱりリアルな世界で格好いい選手に触れ るだとか、体としても達成感を得るとか、そう いう機会を如何に社会として増やすか、多分こ れは地域でやれることだし、地域でしかできな いことだと思うので、私はそこでスポーツと地 域が重なると思うんです。 ところが大人になってくると、だんだん時間 もなくなってくるけれども、そういうことを味 わいたいとなると、バーチャルな助けを借りた りとか、IT技術を使って、ちょっと楽しみを 倍加するみたいなことをやって、子供時代に何 とか戻ろうとするとか、そんな感じだと思うん です。そうなってくると、そこの部分で産業が 出てくる。 もう一つ、健康になろうというのは、我々も 含めて太り過ぎはいけないとか、やっぱり如何 に楽しく楽にやせるようにしていくか、管理を していくかということを考えないといけなくて、 これは健康サービス産業として今経産省も振興 していこう、これは特に医療と結びついていか ないとだめだろう。やっぱりお医者さんがある 程度管理していく、お医者さんによくあなたは 太り過ぎですね、運動しなさいとまで言われる んですが、この日々でどう運動していけばいい んだ、役所もそうですが、食事だって地下に行 くとカレーとラーメンしかない訳です。 そんな中でやせろと言われて、昼飯を食いに 行く場所もないじゃないかとなる時に、やっぱ り外食産業は産業で、ちゃんとドクターズメニ ューみたいなものが用意されている、その時に 大体この霞が関にいる人はこれだけのカロリー オーバーだからこれだけにしておいた方がいい とか、糖尿病の人は大体このぐらいの人数がい るというのは外食産業はある程度把握している とか、あるいはフィットネスの産業の方々がち ゃんと個別指導していくとか、そしてその結果 をドクターに返すとか、そういうちゃんと能力 のある産業が、人々がそれにやりやすいような 環境を提供していくというのが、一つのいい意 味でのビジネスというか、人々が求めているビ ジネスにつながっていくというふうに思います。 そこの背景に質のいい医療というのがあって、 日本の医療費は相対的に世界的には低い訳です ね。そして世界一の長寿の国ということで、非 常に効率がよくシステムが提供されている。た しかに偏在していたり、先生方が苦労している 部分があるんだけれども、これは全体から見る とかなり高い水準にある、だからそこをうまく システムを変えていくべきだと思うんですが、 そういう意味で日本の医療に対する国際的な期 待というんでしょうか、そういうのは途上国を 中心にある訳です。 例えばカンボジアは、まだ医療法もない訳で す。そういうところから見ると、日本の医療に 対しての期待はすごくあって、日本の医療のシ ステムをそういうところに、昔、明治時代に日 本が教わったように教えていくと同時に、10 年 20 年日本の医療の一環としていく、我々もその 医療の産業としてのパイが広がるので、そこで お金が回っていくから新しいことができるよう になるという、縮み志向じゃない形で国際的に 貢献しながら医療も発達していく、その周辺産 業も発達していくということで、いい循環が生 まれるんじゃないかというふうにとらえて考え てはいます。 -115- 野川 これは多分スポーツ、健康、その次に医 療がすぐに来ますが、その間のいわゆるけがを した人に対するリハビリテーションという考え 方から、加齢に伴う広い意味でのリハビリが多 分健康スポーツの領域で必要じゃないかという 感じがする。 円が高くなってウォンが安くなった瞬間に、 日本の女性が小じわをとりに韓国に行く。エス テ、美容というパイもとても大きい。余りエス テとか美容とは関係ないが、松澤さん、若者の ニーズは何か、いわゆるメタボにも余り関係な くて、そういう若者達のニーズやライフスタイ ルからみた今後の方向性というのはどのように 占われますか。 という、そういう世界もあるんですね。 じゃあスポーツはどうなんだと、本当に悩ま しいんですが、若者達がスポーツに対してどの ように思っているかがこの図です。スポーツを 松澤 データをお持ちしたんですが、どの業界 でも若者が今お金を使わなくて困る、先細りに なってしまうとすごく悩んでらっしゃって、じ ゃあ彼らは何にお金を使っているんだろうとい うこともあるんですが、十年前と比べて明らか に得るお金が減っているという事実も認識しな ければいけないなというデータを国税庁のデー タから持ってきたんですが、20 代前半で年間 30 万円前後、10 年前と比べて減っているんです。 本当に海外旅行1~2回分ぐらいのお金がすっ かり減っちゃっている訳ですから、それはなか なか行かないだろう。 非正規雇用者が 20 代で3~4割いますから、 ボーナスというまとまったお金が入らない中で、 車を買おうとか、海外旅行に行くとか、大きな 消費は出来ないことが前提としてあると思いま す。 お金はないけれどお金を使う、例えば今年東 京ディズニーランドが結構盛況だったり、つい 先日ファッションショーで女性が2万人ぐらい 殺到した東京ガールズコレクションというのが ありました。ちょっと年齢層が下がりますが、 モデルが着ている服を携帯ですぐに買える、そ の服は比較的お小遣いで買える値段設定なんで すね。ファッションショーと言えば超高価な服 で、手の届かないものを着てファッションショ ーをしていて、今もありますが、その辺の既成 の概念を打ち破っています。普通にユニクロも 出ていたんですが、お小遣いで買える服を、6 時間ぐらいのイベントの中で素敵なモデルが着 てやっていて、しかもすぐに携帯で買える、そ れで 24 時間で 3,500 万円ぐらい売り上げちゃう していない 20 代の若者に理由を聞いているの がこちらなんですが、上の棒がそれぞれ 20 代の 男女の平均で、下の棒が男性の平均、女性の平 均ということで見ていただけばと思うのですが、 20 代は言い訳かもしれないんですが、時間がな いというのが圧倒的に多いんです。でもよくよ く見ると、女性では機会がないも多い。好きで はないとまで言われてしまうとつらいのですが、 多少 20 代で多くなってしまっているんですよ ね。 この好きじゃないとか機会がないとか、疲れ る、体力がないとまで言われて「じゃあ、ダメ だ」と思わずに、だからこそチャンスがあるか もしれないと思っていただければと思うんです ね。事例として若者に支持されているフリーペ ーパーにR25 がある。活字に対するニーズはあ るというのを 200 人ぐらいインタビューをして つかむんですね。 インタビューした時に日経新聞を読んでます かと聞くと、多くの若者達がイエスと答えるけ れども、実際は読んでないという。つまり皆さ んマーケティング調査などすると思うんですが、 意外と本音を隠して答えていて、格好つけて答 えていることもあります。もしこれからマーテ ィングをまさにやる時には、本当に既成のもの とか思い込みとか先入観を外して、彼らに寄り 添う形で、生活の実態の調査というよりも、何 か本当に一緒になって作っちゃおうとか、ある いは気持ちに寄り添って、本当は何が欲しいの みたいな感じで、その辺から新しいものを作っ ていけば、もしかしたらこれから何か新しい需 要が若者の中でも発生するかなと思います。高 運動・スポーツをしない理由(20代) (%) 出所:SSF調査 -116- 額商品というよりは、彼らは身の丈消費ではあ ります。でも決して消費をしない訳ではないの で、可能性はあると思います。以上です。 野川 若い子達、ヨサコイソーランのこれをや るというと、すごい熱中します。このニーズっ て何なんだろうと思うような。あるいはスノボ ーも行きたがるとか、実は何かあるはずなんだ けれども、これまでの学校体育の枠の外の色々 なものが実は人気が出てきている、そういうサ ブカルチャーなのかもしれないかなという感じ がいたします。 フロアの方から二つぐらいの御質問あるいは 御提案を受け付けさせていただいて締めたいと 思います。 質問者 ルネサンスの近藤と申します。東京マ ラソンの話題が出ていますが、弊社と吉本興行 さんとちょうど東京マラソンのゴール付近でお 笑い健康ライブというのをやりますので、是非 皆さんお越しください。 それで一つ質問があるのですが、スポーツを テーマに地域の活性化を取り組む際に、当然行 政との連携って非常に重要だと思いますが、何 かその辺でポイントというか、気をつけるとい うことがございましたら、アドバイスをいただ きたいと思っております。 野川 藤本さんと池田さんの方から攻め手と 守り手という形でお願いできますか。 藤本 地域で健康とスポーツを考えようとす ると、自治体があって、産業があって、例えば お医者さんがいる、この三つがあると思うんで すね。これが連携しないと本当の意味の根ざし たプログラムって出来ていかないと思うのです が、その時に例えば産業から見ると、今全体を わかった、俺が全部金を出すから全部つなぎと めてやるというほどまだリスクをとれない。 例えばビジネスモデルが確定してないので、 例えば医療機関側から見ても本来自分達がやる べき話が産業の方にいってしまうんじゃないか なとか、そういう何となく疑心暗鬼みたいなも のがあるので、自治体は自治体で全部の予算的 な意味も含めて面倒はみられないと思うのです が、自治体というのは音頭はとれると思うんで す。 自治体にうまく音頭をとってもらいながら、 その音頭をとった先には環境を産業が用意する、 その時に医療機関側にうまく手伝ってもらうん だけれども、その時に医療機関側が自分達の使 命をちゃんと果たせるという確信を持たせてあ げるようなモデル的なことをしてあげないとい けない。こういうことを自治体なんかを中心に 議論すると、健康のための産業だとか、スポー ツをもって地域に根ざしていくということがや りやすくなるんじゃないかなというふうに、役 人的な視点からは思います。 野川 では攻め手の池田さんお願いします。 池田 では攻めの方から、アルビレックス新潟 は、他のチームはほとんど行政が出資されてい るんですが、うちはないんです。それは第三セ クターが新潟は色んなことを失敗して、お願い に行ったんだけど断られた、それが逆に功を奏 したかなと思うんです。というのは無料チケッ トをエリア的に配っていったら、直接やっぱり 市とか県に文句を言ったやつが何人かいるんで すね。何で俺のところに無料チケットをまかな いんだということ。そうすると多分行政が1割 でも出していると、オイオイちょっと来いと叱 りつけられて、全部まけと言われる、全部まか ない限りやめろとか、行政指導が絶対に入って きますね。ということが一杯ある。 ですからこういうことをやりたい、やってい るうちに、じゃあ行政とうまくいってないかと いうことはないんですね。でも行政はもう金が ないですから、余り当てにしない方がいいんじ ゃないかということとか、理由をつけてどうや って減らそうかといつも言っている。最初はや っぱり誘致ということで 5,000 万ぐらいいただ いたんですが、今は市も県も 1,000 万切りまし たね。おまえのところは利益を出しているんだ からいいんじゃないかというようなこととか、 やっぱりやることによって口を出すということ は絶対ある、それは安全の視点だとか平等の視 点だとか不平等なんだけど、平等の視点みたい な話が出てくる。やっぱり口を出されるという ことがある。 ただ、そうは言ってもやっぱり行政の、スタ ジアムの使い勝手が色んな使用規程みたいなも のがあって、それを弾力的に運用してもらうた めにもやっぱり陳情しなきゃあいけないので、 -117- は非常に素晴らしかったのではないかなと思い ますので、我々もこれから新潟アルビレックス をさらに追いかけて研究の材料にしたいと思っ ております。 やはりスポーツとの良い出会いをつくって本 物の環境を作る、バーチャルから本物か、本物 からバーチャルかということはあると思うので すが、できるだけパイを大きくしていくために 地域が何が出来るか、そこの中にスポーツ健康 産業のところで、やはりこういうことをすると こんないいことがあるよというようなモデルを きちっと提案しないといけない。 運動をやれば1人で走れちゃうんです。何も クラブに入る必要はない、それをここで習うと ころにどんな意味があるかという,その価値を つけるというようなことがこれから更に吟味さ れるのではないかなというふうに思っておりま す。産官学、それから地域というものが協力し あって、スポーツを使っての地域の活性化とい うことを更に進められればと思います。 仲良くしているとか、色んながんじがらめのそ ういうことを外してもらうとか、でもみんな個 人にかえると住民なんで、県庁とか市役所に、 今日は試合がありますよなんて庁内放送をやっ ていただいたり、行政の方も本当にサポーター が個人としては非常に多いというようなこと、 行政マンも住民であるということとか、そうい う視点はあるかな。 ただ、今お医者さんとか、色んなことにする 時に、やっぱりお上の仕組みの中で育って来た ということもあり、やっぱり印籠と同じで、行 政が参加しているということは、他の大企業さ んとか色んなところが組みやすくなるというこ とはあると思う。今はアルビレックスというこ とで大体免罪符になっていますが、最初何かや る時に行政がやっぱり後援についたり協力した り、音頭をとっていただくというのはすごく大 事なことで、こんなことが出来るかなというこ とでやっぱりこっちがしたいことを明確に持っ て、逆に関与されるリスク管理をしておいた方 がいいんじゃないかなという感じがします。 野川 よろしいでしょうか。今のは多分ただ単 に陳情に来るな、ちゃんとした明確な全体図を 明確にして、そして地域社会、スポーツの団体、 そして行政にとって三方にとってのウィンウィ ンの関係をきちっと説明出来るようにしろ、そ うしないと税金は使えない、非常にその辺のモ ニタリングがこれから厳しくなる。やっぱり説 明責任が出来るような形のものをもってきてく れ、そうすれば行政はできるだけ協力はしたい というようなことだと思います。ウィンウィン というようなことになってくると思うのですが、 第三セクターでなくてやったというのは、これ 司会 ありがとうございました。コーディネー ターの野川先生にはスポーツの考え方、健康、 地域振興、ツーリズムについての卓越した論点 の整理、ただいまはポイントをまとめていただ きました、ありがとうございました。 パネリストの皆様方にはスポーツ人口の潜在 需要の掘り起こし方、東京マラソンの多様性、 女性の本気さ、それから地域活性化についての 考え方、方策等々、ふだんは聞けない貴重なお 話を賜り、誠にありがとうございました。 それではこれでシンポジウムを閉会させてい ただきます。 (終了) -118- 2.調査研究報告書要覧 昭和 63 年度 ●通商産業省委託 ・サービス産業構造における競争要因に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・スポーツ・イベントを中心とした地域活性化に関する調査研究 平成元年度 ●機 械 枠(日本自転車振興会補助事業) ・スポーツ産業基盤整備調査研究 ●電源地域振興センター ・ニュースポーツを核とした地域活性化に関する調査 平成2年度 ●機 械 枠(日本自転車振興会補助事業) ・スポーツ産業基盤整備調査研究 ●産業研究所 ・我が国におけるニュースポーツ産業の動向に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・スポーツを軸とした文化振興調査 平成3年度 ●機 械 枠(日本自転車振興会補助事業) ・スポーツ産業における革新技術の導入と情報化の現状 ●公 益 枠(日本自転車振興会補助事業) ・スポーツ振興に関する調査研究 ニュースポーツの振興・その現状と課題 ・21 世紀に向けての我が国スポーツ環境整備の在り方 ●産業研究所 ・我が国におけるニュースポーツ産業の課題と展望に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・体育・スポーツ施設整備による地域活性化に関する調査 -119- ●通商産業省委託 ・スポーツ産業情報データベース 平成4年度 ●機 械 枠(日本自転車振興会補助事業) ・企業内スポーツ施設の開放、その現状と課題 ●産業研究所 ・ニュースポーツ産業の振興と人材育成の在り方に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・ニュースポーツをコアとした地域活性化に関する事例研究 平成5年度 ●機 械 枠(日本自転車振興会補助事業) (第一部) ・施設提供型スポーツ産業における社会的・地域的貢献活動の現状と課題 (第二部) ・市町村におけるニュースポーツの推進・普及状況の現状と課題 ●産業研究所 ・スポーツ産業の情報提供に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・スポーツを軸とした文化振興の在り方に関する調査研究 ●全国中小企業団体中央会 活路開拓ビジョン調査事業「ゆとりと豊かさ枠」 ・スポーツ産業における在学者企業研修に関する調査研究 ●通商産業省委託 ・ニュービジネスとしてのプロスポーツに関する調査研究 平成6年度 ●機 械 枠(日本自転車振興会補助事業) ・地域スポーツ活動による地域活性化についての調査研究 -茨城県鹿島町におけるJリーグチームによる地域活性化の事例- ●産業研究所 ・「スポーツサービス産業人材バンク」制度に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・スポーツをコアとした文化振興プログラム策定ガイド -120- ●全国中小企業団体中央会 ・スポーツ産業における在学者企業研修モデル講座実現化事業 ●通商産業省委託 ・スーパーインタラクティブスタジアム研究会 (ゆとりと豊かさ創造型サービス産業振興 指針) ・平成6年度サービス産業構造における競争要因に関する調査 (スポーツ産業・リゾート産業に関する調査研究) ・「インドアスポーツ」に関する調査研究 平成7年度 ●機 械 枠(日本自転車振興会補助事業) スポーツ産業人材育成事業 ・スポーツビジネス講座 ●産業研究所 ・我が国のシルバースポーツの活動実態に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・スポーツをコアとした文化振興調査(体験型スポーツイベントガイド) 平成 8 年度 ●公 益 枠(日本自転車振興会補助事業) ・「スポーツイベント市場」に関する調査研究 スポーツ産業人材育成事業 ・スポーツビジネス講座 ●財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団 ・企業スポーツにおける多目的体育施設の在り方および効果的な観客動員に関する 調査・研究 平成9年度 ●公 益 枠(日本自転車振興会補助事業) スポーツ産業人材育成事業 ・スポーツビジネス講座 -121- 平成 10 年度 ●公 益 枠(日本自転車振興会補助事業) スポーツ産業人材育成事業 ・スポーツビジネス講座 ●全国中小企業団体中央会 活路開拓ビジョン調査事業 ・スポーツ産業としてのジュニア育成を含めたクラブ経営に関する調査 ●電源地域振興センター ・電源地域における自然特性を活かした地域活性化に関する調査 (スキー場を活用した地域活性化調査) 平成 11 年度 ●公 益 枠(日本自転車振興会補助事業) スポーツ産業人材育成事業 ・スポーツビジネス講座 ●全国中小企業団体中央会 活路開拓実現化事業 ・ジュニアを中心としたスポーツプログラムの作成及び試行事業 ●電源地域振興センター ・電源地域における自然特性を活かした地域活性化に関する調査 ●通商産業省委託 ゆとり創造型ニュービジネス調査 ・スポーツビジョン 21 スポーツ産業振興方策に関する調査 商慣行改善行動計画策定研究 ・スポーツイベントに関する商慣行改善調査研究 平成 12 年度 ●全国中小企業団体中央会 活路開拓調査・実現化事業 ・ニュースポーツの現状と情報発信に関する調査 -122- 平成 13 年度 ●経済産業省委託 ・地域スポーツ情報経済ネットワーク構築事業 ●電源地域振興センター ・電源地域における自然特性を活かした地域活性化調査 平成 14 年度 ●経済産業省委託 ・スポーツ情報ネットワーク構築事業 ・地域におけるスポーツと健康に関する調査研究 ●電源地域振興センター ・電源地域における自然特性を活かした地域活性化に関する調査 ●全国中小企業団体中央会 活路開拓実現化事業 ・スポーツ施設経営に関する調査 平成 15 年度 ●経済産業省委託 ・スポーツ情報ネットワーク構築事業 ・ITシンポジウム in OKINAWA 2004 平成 16 年度 ●全国中小企業団体中央会 中小企業活路開拓調査・実現化事業 「中高年向けのスポーツ関連商品およびサービス」 第1章 本調査研究の目的、構成および方法 第2章 調査結果 第3章 ビジョンの提言 第4章 具体的事業提案 第5章 資料 -123- 平成 17 年度 ●全国中小企業団体中央会 中小企業活路開拓調査・実現化事業 「中高年(団塊の世代)層へのスポーツ人材活用」 第1章 調査の目的および方法 第2章 スポーツ施設運営業界の中高年人材活用の現状 第3章 中高年層へのスポーツ人材活用推進に向けて(ビジョンの提言) 第4章 資料 ●健康サービス産業振興機構 集客交流サービス(スポーツ・ビジネス)のあり方に関する調査研究事業 第1章 ヒアリング調査の目的および方法 第2章 各事業団体のマネジメント人材の現状とその育成の取り組み 第3章 ヒアリング調査結果のまとめ 第4章 資料 平成 18 年度 ●健康サービス産業振興機構 サービス産業創出支援事業「今後のスポーツ人口の裾野を拡げるための研究調査」 第1章 調査の概要 第2章 調査の背景 第3章 身近なスポーツと健康に関わる実態調査 第4章 今後のスポーツ人口の裾野を拡大するための方法論の研究 平成 19 年度 ●経済産業省委託 サービス産業生産性向上支援調査委託費 「スポーツ産業による子どものスポーツ人口拡大に関する調査研究」 第1章 子どものスポーツの現状 第2章 子どものスポーツに関する課題の整理 第3章 “望まれる子どものスポーツ指導者”像 第4章 今後の課題 -124- 平成 20 年度 ●経済産業省委託 サービス産業生産性向上支援調査事業 「現代のスポーツ健康産業の新たな課題とその対策に関する調査研究」 第1章 「ゲーム」が開拓したスポーツ健康市場とは 第2章 「ゲーム」は「スポーツ」の敵か 第3章 「ゲーム産業」が示唆した新たなスポーツ健康市場 -125- 会 員 名 正会員 13団体 特別会員 19社 賛助会員 3社 簿 計35会員 正 会 員 団 体 名 〒 住 所 TEL 財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団 141-0022 東京都品川区東五反田 1-10-4 エムアイビル2F 03-3446-7191 社団法人全国コンサートツアー事業者協会 150-0022 東京都渋谷区恵比寿南3-1-19 恵比寿ライトビル3F 03-5768-1731 社団法人日本アパレル産業協会 103-0027 東京都中央区日本橋2-8-6 SHIMA日本橋ビル5F 03-3275-0681 社団法人日本音楽事業者協会 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-26-3 03-3404-4133 社団法人日本ゴルフ場事業協会 101-0032 東京都千代田区岩本町3-11-15 アーバンネット岩本町ビル5F 03-3864-6701 社団法人日本ゴルフトーナメント振興協会 107-0052 東京都港区赤坂2-15-16 赤坂ふく源ビル5F 03-3585-7741 社団法人日本ゴルフ用品協会 101-0021 東京都千代田区外神田6-11-11 小林ビル4F 03-3832-8589 日本スポーツ用品協同組合連合会 101-0052 東京都千代田区神田小川町1-8-6 フタバビル3F 03-5297-1700 社団法人日本スポーツ用品工業協会 101-0052 東京都千代田区神田小川町3-28-9 三東ビル9F 03-3219-2041 社団法人日本テニス事業協会 160-0023 東京都新宿区西新宿1-8-3 小田急明治生命ビルB1F 03-3346-2007 社団法人日本パブリックゴルフ場事業協会 104-0061 東京都中央区銀座1-19-16 銀座昭和ビル2F B室 03-3563-2388 社団法人日本フィットネス産業協会 101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-4-8 エルヘンビル2F 03-5207-6107 社団法人日本ボウリング場協会 103-8484 東京都中央区日本橋浜町2-16-5 東味ビル6F 03-3666-5301 以上13団体 (平成21年6月12日現在) -127- 特別会員 会 社 名 〒 住 所 TEL 株式会社朝日広告社 104-8313 東京都中央区銀座7-16-12 G-7ビル 03-3547-5571 株式会社アシックス 650-8555 兵庫県神戸市中央区港島中町7-1-1 078-303-2230 株式会社イースタンスポーツ 151-0053 東京都渋谷区代々木2-11-15 新宿東京海上ビル9F 03-3379-7333 株式会社エバニュー 135-0042 東京都江東区木場6-4-38 03-3649-4611 オンヨネ株式会社 940-8548 新潟県長岡市高見町4327 0258-24-0048 サントリーホールディングス株式会社 107-0051 東京都港区元赤坂1-2-3 赤坂見附MTビル4F 03-3479-1531 株式会社ジェイティービー 140-8602 東京都品川区東品川2-3-11 03-5796-5655 株式会社スポーツ21エンタープライズ 157-0071 東京都世田谷区千歳台1-41-19-310 03-5490-7811 セノー株式会社 140-0004 東京都品川区南品川2-2-13 南品川JNビル 03-5461-4111 ゼビオ株式会社 963-8024 福島県郡山市朝日3-7-35 024-925-3015 株式会社電通 105-7001 東京都港区東新橋1-8-1 03-6216-8371 株式会社東京ドーム 112-0004 東京都文京区後楽1-3 03-3817-6369 株式会社博報堂 107-6322 東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー 03-6441-8620 ぴあ株式会社 102-0075 東京都千代田区三番町5-19 03-3261-1668 株式会社平野デザイン設計 158-0081 東京都世田谷区深沢8-12-7 03-3704-3111 ミズノ株式会社 101-8477 東京都千代田区神田小川町3-22 03-3233-7009 山本光学株式会社 577-0056 大阪府東大阪市長堂3-25-8 06-6783-0200 ヨネックス株式会社 113-0034 東京都文京区湯島3-23-13 03-3839-7112 株式会社ルネサンス 130-0026 東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア4F 03-5600-5311 以上19社 (平成21年6月12日現在) -128- 賛助会員 会 社 名 〒 住 所 TEL 株式会社創ファクトリー 104-0051 東京都中央区佃1-11-6 リバーポイントタワー2403 03-5560-9797 ホクエツ印刷株式会社 135-0033 東京都江東区深川2-26-7 北越ビル 03-5245-8821 株式会社ローザ 333-0851 埼玉県川口市芝新町8-32 048-268-1875 以上3社 (平成21年6月12日現在) -129- 平成20年度事業報告書・平成21年度事業計画書 (編集・発行) 社団法人スポーツ健康産業団体連合会 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3丁目6番地 能楽書林ビル6階 TEL (印 03-5276-0141 刷) ホクエツ印刷株式会社 平成21年6月12日発行
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