富士ゼロックスの資源循環システム

限りなく廃棄ゼロを目指して
富士ゼロックスの資源循環システム
― Progress Report 2016―
目次
Ⅰ
ごあいさつ
P3
富士ゼロックスの資源循環システム
P4
 商品リサイクル全社方針
 富士ゼロックスの資源循環システム
Ⅱ
資源循環システムの進化に向けて
Ⅲ
2015年のトピックス
P5
 資源循環活動のトピックス
Ⅳ
P6
2015年の活動の実績(日本)
P7
 インバース・マニュファクチャリング
 クローズド・ループ・システム
 ゼロ・エミッション
 総合評価
Ⅴ
2015年の活動の実績(海外)
P8
 原則1:メーカー責任で回収することにより、不法投棄を防止する
 原則2:廃棄物になるものは持ち込まない
 原則3:輸入国/地域(リサイクル拠点設立国/地域)に環境インパクトを与えない
 原則4:輸入国/地域(リサイクル拠点設立国/地域)にメリットを還元する
∼ プログレスレポート発行の主旨と編集形態 ∼
当レポートは資源循環システム活動の年度報告としてまとめ公開するものであ
り、活動概要はパンフレット「富士ゼロックスの資源循環システム ―富士ゼ
ロックスの商品リサイクルの取り組み―」で紹介しています。パンフレットは、
当レポートの各項目と対比形式で制作しておりますのでぜひご利用下さい。
∼ プログレスレポートの記述範囲・対象期間・対象地域 ∼
■ 記述範囲 ・・・ 使用済み商品(含むカートリッジ)のリサイクル活動について
■ 対象範囲 ・・・ 2015年4月から2016年3月
■ 対象地域 ・・・ 日本および海外の営業地域
2
ごあいさつ
昨年パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)は、初日
から150カ国の首脳たちが集結、世界的な環境への関心の高まりを感じます。 COP21
では、2020年以降の温暖化対策の国際枠組み『パリ協定』が採択されました。パリ協
定では、5年ごとに削減目標の報告、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度
未満に抑制、途上国への資金支援を先進国に求めるなど、高い目標と共に厳しい取り組
みが必要となってきます。日本は、東日本大震災以降その多くが停止している原子力発
電所の稼動問題や、再生エネルギーの更なる拡大が大きなテーマとなっております。
富士ゼロックスは、持続的な地球環境を実現するために、今後も、温室効果ガスの削
減と、新規資源の投入抑制を進めていきます。2015年度のリユース活動の実績は、新
規資源の抑制量が3,273t(対前年+357t)、CO2 の排出抑制量は17,732t-CO2
(対前年+1,292t)になりました。対前年で新規資源抑制量/ CO2の排出抑制量が増
加した理由は、前年に対してリユース部品を活用した商品及び消耗品の量が増加したた
めです。「廃棄ゼロ」に向けた取組みでは、日本、アジア・パシフィック、中国、台湾、
韓国、オーストラリア、ニュージーランドの各地域において、再資源化率99.5%以上
を引き続き達成することができました。富士ゼロックスは、今後も「廃棄ゼロ」を継続
し、 CO2の排出抑制と新規資源の投入抑制につとめていきます。
最後に、富士ゼロックスの資源循環システムをこれまで支えていただいた、お客様、
パートナー企業、各国政府関係者の方々に、この場をかりて改めて感謝するとともに、
今後も地球環境の保全に向けた活動を進めていきます。
本レポートによって、富士ゼロックス資源循環システムへのご理解を深めていただく
ことができれば幸いです。
富士ゼロックス株式会社
執行役員
生産本部 本部長
3
富士ゼロックスの資源循環システム
商品リサイクル全社方針
商品リサイクル全社方針
「限りなく『廃棄ゼロ』を目指し、資源の再活用を推進する」
富士ゼロックスの資源循環システム
当社は、製造者として自らが生産した商品が使用済みとなった
後も環境負荷低減に努めることが「企業の社会に対する責任:
CSR (Corporate Social Responsibility)」の取り組みの一
つであるとの認識のもと、「資源循環システム」を構築しました。
このシステムは「使用済み商品は廃棄物ではなく、貴重な資源
である」との考えに基づく商品のライフサイクル全体での環境
負荷低減を目指したものづくりです。市場に出した商品を回収
し、選別した部品を、厳格な品質保証に基づき閉じた輪の中で
循環させる「クローズド・ループ・システム」を根幹とし、部
品の再利用により環境負荷の少ない商品作りを目指す「イン
バース・マニュファクチャリング(逆製造)」、再使用できな
い部品を分別・再資源化し、資源として徹底的な活用を目指す
「ゼロ・エミッション」へと活動範囲を拡大してきました。
∼ 資源循環システムのあゆみ ∼
国内/海外の全拠点によるグローバル。ワークショップを開催
韓国/オーストラリア/ニュージーランドで再資源化処理を自国処理化
中国統合リサイクル拠点で「廃棄ゼロ」を達成
中国統合リサイクル拠点、中国政府から電機製品再製造モデル企業と認定
アジア・パシフィック地域で「廃棄ゼロ」を達成
中国統合リサイクル拠点、蘇州市リサイクル経済モデル企業に認定
中国統合リサイクルシステム操業開始
リサイクルパーツ使用商品 生産台数30万台突破
アジア・パシフィック統合リサイクルシステム操業開始
「複写機・複合機回収システム」
「プリンター回収システム」
構築・サービス開始
「広域再生利用指定産業廃棄物処理者」指定を取得
国内で「廃棄ゼロ」を達成
新しいエコラベル「製品エコデータ」により環境データ公開
回収した商品の廃棄ゼロシステム全国展開開始
リサイクルパーツ使用商品 生産台数10万台突破
リサイクルABS樹脂クローズドループシステム確立
リサイクルパーツ使用商品 市場導入
商品リサイクル全社方針制定
循環システム(商品リサイクル)コンセプト立案
全社環境基本方針制定
大統領賞」
‘14 ‘ 14. 「資源循環先導企業大賞
富士ゼロックスコリア
‘13
‘12
‘11
‘10
‘09
‘08
‘07
‘06
‘05
‘04
‘03
‘02
‘01
‘00
‘99
‘98
‘97
‘95
‘93
‘91
4
‘ 13. 「桃園県卓越企業優秀賞」
富士ゼロックス台湾
‘’12 神奈川県環境整備功労者 県知事表彰
富士ゼロックスマニュファクチュアリング
‘ 10.11廃棄物管理工場ランキング金賞受賞
アジア・パシフィック統合拠点
‘ 09.11 日経地球環境技術賞
ものづくり環境特別賞
‘ 07.10 資源循環技術・システム表彰
産業技術環境局長賞、奨励賞
‘ 05.4 第14回 地球環境大賞
フジサンケイグループ賞
‘03.10 3R推進功労者協議会会長賞
‘03.4 第12回 地球環境大賞
地球環境会議が選ぶ優秀企業賞
‘01.4 第10回 地球環境大賞
地球環境会議が選ぶ優秀企業賞
‘01.4 朝日新聞 第2回 明日への環境賞
‘01.3 資源循環技術・システム表彰 経済産業大臣賞
‘ 99.6 第26回 環境賞 優良賞
‘ 98.12 地球温暖化防止活動大臣表彰
‘ 98.10 優秀先端事業所賞
‘ 98.4 地球環境大賞 科学技術省長官賞
青字:トピックス
緑字:当システムによる受賞歴
資源循環システムの進化に向けて
当社の資源循環システムは、使用済み商品を資源として活用することで環境負荷を低減し、持続可能な社会の構
築に貢献することを目指した活動です。日本では、1995年にリユース部品を活用した商品を市場導入し、
2000年にはリユースできない部品や部品リユースに活用できない商品を徹底的に再資源化する廃棄ゼロシステ
ムを確立、その後、更なる改善に向けた活動を継続してきました。今後も商品のライフサイクルでの環境負荷低
減を追及し、システムを進化させていきます。
資源循環システムの最適化への取組み
富士ゼロックスは、事業のグローバル化とともに海外でも
日本と同じレベルで環境負荷低減に取り組まなければなら
ないと考えています。この考えに基づき、2004年度には
タイに、2007年度には台湾に、2008年度には中国・蘇
州にリサイクル拠点を設立、 2012年度には、韓国・
オーストラリア・ニュージーランドをタイ拠点から独立さ
せた上で、日本同等の資源循環システムを構築しています。
富士ゼロックスは、資源循環システムの最適化に向けて、
「廃棄ゼロ」を維持しつつ、再資源化プロセスの「質」の
向上を進めていきます。
新規資源投入抑制量拡大に向けた次なるステップへ
富士ゼロックスは、「使用済商品は廃棄物ではなく貴重な資源である」との考えのもと、1995年より、リ
ユース部品を活用した商品を市場に導入してきました。市場から回収される商品は、設置後数年が経過して
おり、この間に発売された新しい商品には新たな技術が導入されるため、部品のリユースを困難にすると
いった課題があります。富士ゼロックスは、部品リユースの拡大を図るために、新商品の開発段階から部品
のリユースが可能な設計に取り組むとともに、プラスチック素材の循環活用の拡大に努めます。「廃棄ゼ
ロ」を維持しつつ、新規資源投入抑制量の拡大を次なるステップとして位置づけ今後も活動を進めていきま
す。
部品リユース
■回収した資源をより環境負荷の少ない活用方法で
資源として循環させることを目指します
回収した資源の活用方法には、いくつかの活用形態があ
大切な資源を環境負
荷の少ない方法で再
び資源として活用
ります。大きくは、部品を部品として再び活用する「部
・CO2抑制
・新規資源抑制
品リユース」、部品を素材に戻し素材として活用する
「マテリアル・リサイクル」、部品を助燃材として活用
金属類
する「サーマル・リサイクル」、当社では、環境負荷の
マテリアル・リサイクル
高炉
還元剤
少ない「部品リユース」を最優先とした資源の再活用を
推進しています。
プラス
チック
補助
燃料
サーマル・リサイクル
5
環境負荷多
環境負荷少
2015年のトピックス
富士ゼロックスアジアパシフィック
「サステナブル ビジネス アワード シンガポール 2015」を受賞
アジア・太平洋地域の販売会社を統括する富士ゼロックス アジアパシフィックが Global Initiatives
(グローバル イニシアティブ)社主催の「サステナブル ビジネス アワード シンガポール 2015」を
受賞しました。この賞は、シンガポール/ロンドン/香港などに拠点を置く Global Initiatives社が
ASEAN6カ国(シンガポール/インドネシア/マレーシア/フィリピン/タイランド/ベトナム)で開催して
いるものです。
授賞式の様子
授賞式の様子
富士ゼロックスアジアパシフィックは、オーストラリアやフィリピン、インドネシア、シンガポール、
タイなど9 カ国・地域の拠点において「埋め立て廃棄ゼロ」「汚染ゼロ」「不法投棄ゼロ」を達成し、
環境に配慮したサステナブルな事業活動を展開しています。
例えば、化学メーカーと提携
し、使用済みプラスチックを
回収して高品質なプラスチッ
ク材料に再生する国際的な資
源循環システムを構築しまし
た。サステナブル ビジネス
アワードの受賞は、このよう
な自社のビジネス領域を越え
た、資源循環型社会への継続
的な貢献が高く評価されたも
のといえます。
6
2015年の活動の実績(日本)
インバース・マニュファクチャリング
部品リユース活動をさらに拡大していく活動
商品の企画・設計の段階から、リユース部品の使用を前提とするライフサイクル企画によって、次世代への部品リユース活用
を拡大しています。 2015年度のリサイクル設計マニュアル適用機種は5機種、98年からの累計で88機種になりました。
富士ゼロックスは、多くのリユース部品を使用可能にするため、リユース/リサイクル設計を継続しています。今後もこの設
計方法に基づく適用機種を拡大していく予定です。
クローズド・ループ・システム
自社の使用済み商品は責任をもって回収し、資源の有効活用を推進する活動
2015年度の部品リユースによる新規資源の投入抑制量は
新規資源投入抑制量(グローバル)
3,273tになりました。前年に対して約357tの新しい資源
(t)
を抑制したことになります。これは、リユース部品を活用した
4,000
商品や消耗品の生産量が増加したことによるもので、今後も、
3,000
環境負荷の少ないリユースによる新規資源の投入抑制量の増加
に向けた活動を進めていきます。
2,272
2,361
'11
'12
2,834
2,916
3,273
'13
'14
'15
2,000
1,000
0
ゼロ・エミッション
「廃棄ゼロ/汚染ゼロ/不法投棄ゼロ」に向けた活動
2015年度に回収された使用済み商品は、埋立率0%、継続し
てゼロ・エミッションを達成しました。消耗品であるカート
再資源化率(国内・機械本体)
(%)
リッジも同様に埋立率0%を達成、維持継続しています。
2015年度は、前年に引き続き解体・分別の「質」を向上させ
100
99.9
99.9
99.9
99.9
99.9
'11
'12
'13
'14
'15
50
るため、作業環境の改善に取り組みました。今後も「廃棄ゼ
ロ」を維持しつつ、環境負荷のより少ない方法へと質の向上に
0
取組んでいきます。
総合評価
「資源循環システム」の活動を進めることによる環境負荷低減効果
使用済み商品を回収して部品として再びリユースすることによ
り、新品部品だけを使用して製造された商品に対してCO2の発
生を抑制することができます。2015年度は、CO2の排出抑制
CO2排出抑制量(グローバル)
(t-CO2)
量が17,732t-CO2(対前年+1,292t)になりました。
20,000
富士ゼロックスでは、2020年にCO2の排出量を30%低減
15,000
10,000
5,000
0
(対2005年)することを目標に活動を進めています。
17,732
14,91214,41716,55816,440
'11
7
'12
'13
'14
'15
2015年の活動の実績(海外)
原則1:メーカー責任で回収することにより、不法投棄を防止する。
販売会社の輸出からリサイクルパートナーでの処理完了までのリサイクルプロセスを通したト
ラッキングシステムの実施(以下)により、不法投棄がないことを確認しました。
① 販売会社の出荷情報と富士ゼロックス・エコマニュファクチャリング/富士ゼロックス・エコマニュファクチャリ
ング(蘇州)での受入情報の照合
② 富士ゼロックス・エコマニュファクチャリング/富士ゼロックス・エコマニュファクチャリング(蘇州)での受入
情報と分解・分別完了情報の照合
③ 富士ゼロックス・エコマニュファクチャリング/富士ゼロックス・エコマニュファクチャリング(蘇州)が再資源
化対象品出荷時に発行するマニフェストとリサイクル・パートナーが処理完了時返送するマニフェストの照合
※韓国/台湾/オーストラリア/ニュージーランドにおいても、マニフェストの管理により不法投棄が無いことを確認し
ております。
原則2:廃棄物になるものは持ち込まない。
使用済み商品を “貴重な資源”として、「限りなく“廃棄ゼロ”(埋立/単純焼却)を目指
す」ため、リサイクルパートナーの協力のもと、徹底的に再資源化処理を行います。
再資源化率(アジア・パシフィック地域・機械本体)
(%)
100
99.9
99.9
99.6
99.6
再資源化率(中国・機械本体)
(%)
99.7
100
80
80
60
60
40
40
20
20
0
99.9
99.7
99.7
99.9
99.9
'11
'12
'13
'14
'15
0
'11
'12
'13
'14
'15
その他の海外拠点の2015年度再資源化率実績は下記のとおり
・韓国:99.9% 台湾:99.9% オーストラリア:99.6% ニュージーランド:99.7%
原則3:輸入国/地域(リサイクル拠点設立国/地域)に環境インパクトを与えない。
資源循環システム構築のためにはリサイクルパートナーの協力が必要です。独自の基準(以
下)に基づいた環境調査を定期的に実施しています。結果、問題ないことを確認しました。
① 環境マネジメントシステムがあり、機能している。
② 労働安全衛生対策が十分取られている。
③ 環境、安全に関する適切な監視、記録、報告プログラムがある。
④ 従業員に対する適切な教育プログラムがある。
⑤ 適切な緊急対応計画がある。
原則4:輸入国/地域(リサイクル拠点設立国/地域)にメリットを還元する。
資源循環システムを継続するには、環境インパクトの徹底的な排除だけでなく、資源として活
用できることが再生用資源の輸入であり、輸入国へのメリットの還元であると考えます。輸入
した使用済み商品から分解・分別した部品はリサイクル拠点設立国内のリサイクルパートナー
で処理され、資源として再生されました。
8
終わりに
活動報告書を最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
世界的な環境問題に率先して取り組み、さらに資源循環システムを進化させるべく努力を続けてまい
りました。 1年間の活動を振り返ると、まだまだ新たな活動・チャレンジが登場してきます。
私たちは、現状に満足することなく、更なる『広がり』を目指して活動を進めていく所存です。
この報告書を通じて、皆様からのご意見をちょうだいできれば幸いです。
下記ホームページにも掲載しています。どうぞご覧ください。
資源循環システム・・・ http://www.fujixerox.co.jp/company/eco/cycle/concept.html
資源循環システムパンフレット・・・
http://www.fujixerox.co.jp/eco/cycle/communication/publications.html
資源循環型商品ラベル・・・
http://www.fujixerox.co.jp/company/eco/cycle/communication/eco_label.html
製品エコデータ・・・http://www.fujixerox.co.jp/company/eco/office/green/product_eco/
発行
富士ゼロックス株式会社
生産本部
グローバル・リサイクリング・システム部
協力
富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社
竹松事業所、鈴鹿事業所
富士ゼロックス・エコマニュファクチャリング(タイ)
富士ゼロックス・エコマニュファクチャリング(蘇州)(中国)
本Reportに対するご意見・お問い合わせ
富士ゼロックス株式会社
生産本部
グローバル・リサイクリング・システム部
[email protected]
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 Xerox、Xeroxロゴ、および Fuji Xeroxロゴは、米国ゼロックス社の登録商標または商標です。
 Apeosは富士ゼロックス株式会社の登録商標です。
 本パンフレットは、電子情報による社内ネットワーク展開を通じてお客様への配布を行っております。
必要に応じ当社のカラー複写機・複合機で、オンデマンドで作成することで、在庫によって発生する紙資源の抑制を行っています。
 記載情報は、2016年9月現在のものです。