日本語版 - Fuji Xerox

Sustainability
Report
2010
私たちの考える社 会とのかかわり
Sustainability
Report
2010
Conte nt s
CSRに関するコミュニケーション方針
非財務情報の開示に関する考え方
富士ゼロックスと関連会社は、EU諸国を先行例とするCSR
側面の非財務情報開示の法制化の動向に注意を払い、Global
Reporting Initiativeなど国際的な報告基準への準拠を高め
01
02
03
CSR に関するコミュニケーション方針
05
トップコミットメント
11
サステナビリティレポートの編集方針
CSR 経営の仕組み
ハイライト1
革新的なサービス事業を通じて
オフィスの環境負荷低減を支える
~トップレベルの要求に応える~
15
ハイライト2
市場の進化とグローバル経営
~ CSR の新たなガバナンスに挑む~
19
23
ハイライト3
健全性を適正に開示する体制と運用を整備します。
CSR側面の非財務情報の開示は、本サステナビリティレポー
トを主な媒体として、毎年行ないます。
社内外のステークホルダーとのコミュニケーション機能を本
誌で、また網羅性と詳細性を備えた情報開示機能をウェブサイ
トで実現しています。
当社は非上場会社ですが、富士フイルムホールディングス(東
証1部上場)の連結子会社として、投資家の皆様の関心にも配慮
した情報開示を進めてまいります。
また、ステークホルダーのCSRに対する関心が高まり、それぞ
れの立場に応じた非財務情報開示の要求が強まると予想され
ることから、きめ細かい補完的な情報の開示、質問の受付・回答、
対話の機会等を充実することも検討します。
一人ひとりが働きがいを実感する
企業を目指す
報告対象に関する考え方
社会の課題に学ぶ
いて、正確かつ適時に開示することがステークホルダーから求
視覚障がい児の生きる権利を
支える技術の役割
~拡大教科書の製作支援をきっかけに~
27
ながら、結果のみならず、意思決定プロセスの透明性とPDCAの
各国関連会社の CSR 活動 2010
CSR 活動推進状況
29
30
33
モニタリングとレビューの仕組み
39
40
41
富士ゼロックスの事業概要
継続的な CSR 活動
主要な CSR 指標一覧
第三者意見
編集後記
CSR側面の情報は、法人や組織がそれぞれの説明責任にお
められます。その一方、開示の可否や内容を各関連会社の裁量
に任せ過ぎると、情報の不統一などの弊害が心配されます。そ
こで、富士ゼロックスと関連会社は、CSR側面の情報の報告を
次の考え方で行ないます。
● 富士ゼロックスと関連会社全体としてのサステナビリティ報
告は、富士ゼロックスが本誌およびウェブサイトで行ないます。
● 各国・地域の関連会社において、現地の法令規則や市場への対
応などの理由から独自にサステナビリティ報告を行なう必要性が
ある場合は、個別にサステナビリティ報告書を制作・発行します。
開示情報の正確性の保証に関する考え方
CSR側面の情報開示は、ステークホルダーに重大な利害を
生む場合もあるので、開示する情報の正確性の確保について最
善の努力を払う必要があります。富士ゼロックスは、一つの情報
の正確性を当該情報の担当部署、編集の担当部署、広報担当の
部署で三重に確認した上で開示します。
また、富士ゼロックスは、第三者による保証業務や保証に関
する国際基準の適用も検討していますが、現時点ではいずれも
目的適合性、網羅性、完全性、客観性において十分と判断でき
ないことから見送っています。しかしながら、外部からの意見を
取り入れた報告書とするために、専門家による第三者意見を掲
載しています。
01
Fuji Xerox
サステナビリティレポートの編集方針
このレポートは、当社が考え実践する社会
とのかかわりをステークホルダーの皆様にお
❶ 全体を通じたテーマを「グローバルなCSR展開を支える知と絆」としました。
世界同時不況からの立て直しや新興国の発展のなかで、ビジネスと環境・社
伝えするとともに、皆様からご意見をお聞き
会との関係の深化に対して、グループ各社の連携と相互啓発を通じて挑戦し
して改善につなげるツールと位置付けていま
ている様子を報告します。
す。また、読者の皆様の関心事に応じて使い
分けていただくよう、本誌、取り組み編、ウェ
ブサイトの三つで構成しています
(下図参照)。
2010年度のレポートは、2009年度の報
告様式を基本的に踏襲しながら、次の特色
を持たせました。
❷ 過去のレポートで報告した活動のうち、ステークホルダーの皆様からお問い合
わせの多い活動の進捗について、
「 継続的なCSR活動」のページを設けました。
❸ CSR側面の非財務情報の制度開示への国際規模での移行を想定して、国際
的な報告基準に十分配慮しながらCSRとレポーティングに関する考え方を明
確にし、本報告書の随所に反映する工夫を施しました。
Sustainability Report 2010 の構成
http://www.fujixerox.co.jp/company/public/sr2010/
グローバルで共通の情報
本誌は日本語版、英語版、中国語版で発行し、取り組み編、ウェブサイトは、日本語版、英語版で発信しています。
【本誌】
【取り組み編】
Sustainability Report 2010
【ウェブサイト】
取り組み編
私たちの考える社会とのかかわり
ステークホルダーとのかかわり
「社会から何を期待されているのか」 「富士ゼロックスにとって重要なことは何か」
社会からの信頼に応えるために、私たちは日々試行錯誤を繰り返し、企業活動を行なっています。
この冊子では、富士ゼロックスの事業活動の中でも特に社会からの期待が高いと思われるものを
ステークホルダーごとに整理し、その成果および実績について報告しています。
お客様
株主・
投資家
従業員
富士ゼロックス
地球環境・
将来世代
取引先
地域社会
Contents
01 2009年度のトピックス
07 地球環境・将来世代とのかかわり
16 株主・投資家とのかかわり
03 お客様とのかかわり
13 地域社会とのかかわり
17 マネジメント
05 従業員とのかかわり
15 取引先とのかかわり
国内外関連会社の情報
ウェブサイトでは、本誌、取り組み編を
含んだ詳細な情報を掲載しています。
関連会社では、現地に即した情報を発信しています。上記ウェブサイトをご覧ください。
その他の関連情報
● 会社概要
http://www.fujixerox.co.jp/company/public/company.html
● 財務情報
http://www.fujixerox.co.jp/company/about/finance.html
● 情報セキュリティ報告書 http://www.fujixerox.co.jp/company/public/security.html
● 富士フイルムホールディングスの
CSR の取り組み http://www.fujifilmholdings.com/ja/sustainability/index.html
Sustainability Report 2010 の報告内容について
● 報告対象期間
2009年度(2009年4月から2010年3
月まで)の取り組みを中心に、2010年度
の方針や活動についても一部報告します。
● 報告対象組織
富 士ゼロックスおよび 国 内 外 の 関 連
● 参考にしたガイドライン
Global Reporting Initiative「サステナビリ
ティ・レポーティング・ガイドライン第3版」に準
拠しました。同ガイドラインが定めるアプリケー
ションレベルAに該当すると自己評価します。
その 他 、環 境 省「 環 境 報
告ガイドライン2007年版」
会 社 を 報 告 の 対 象とします。特 定 の 地
および 経 済 同 友 会「 第 1 5
際にはその点を明記します。
を参考にしました。
域や法 人に限 定される事 項を報 告する
回企業白書・企業評価基準」
● グローバル・コンパクトへの報告
本レポートは、グローバル・コンパクト署 名 企
業として4分野10原則の進捗を報告する「Global
Compact Communication on Progress」
として、
国連に提出しています。グローバ
ル・コンパクトへの参画について
はウェブサイトをご覧ください。
● 次回報告の予定
2011年9月
Sustainability Report 2010
02
CSR経営の仕組み
サステナビリティの実現に向けて
富士ゼロックスは、コミュニケーションの進化を通じて人間
させることが 重 要であると考えています。
「 C S Rは経 営その
社会の相互理解を促進し、ステークホルダーの皆様のサステ
ものである」という考えのもと、サステナビリティの 観 点 に
ナビリティとその先にある社会と地球のサステナビリティに
立って自らの事 業 活 動を変 革して当社の競 争力を継 続 的に
貢献することを目的として活動しています。
高めると同時に、ステークホルダーへ新たな魅力を提供して、
そのためには、社会の変化に応じてステークホルダーの期
社会の発展に貢献し続けることを目指します。
待や要請を経営に取り込み、社会に提供する価値を常に進化
●
●
一人ひとりの成長の実感と喜びの実現
経営戦略
理念・共有価値
経営計画 ● 事業・商品計画
● CSR計画 ● 環境計画
● 社会貢献計画
●
SR
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な価 値を提 供し続けることを可 能にする企 業の
足
満
と
様
者
客
●C
企業品質とは時として、矛盾しがちな「経済価値」
「社会価値」
「 人間価値」を、イノベーションによっ
「品質」のこと。
価値
提供
●お
企業品質
て高いレベルで統合し、ステークホルダーに有用
内報
公
世界の相互信頼と文化の発展への貢献
●社
式
ホ
ー
長
●
メ
環
ッ
境・
セ
社
会
知の創造と活用をすすめる環境の構築
ケ
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ス
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ム ージ キ
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貢
社
Mission Statement
コ
ミ
ュ
私たちが目指すもの
ン
ョ
シ
内
CSR経営のフレームワーク
富士ゼロックスは、CSR活動の評価とフィードバックを経
営プロセスのなかに埋め込み、CSRの定着を図るために、
「コ
ミュニケーション」
と
「モニタリング」を重視し、そのためのメカ
への価値が提供できるという考え方に基づきます。
関係記事は 01 ページ
ニズムを構築中です。
2. モニタリング 私たちの事業活動が社会のさまざまなス
1. コミュニケーション サステナビリティレポートやウェブサイ
テークホルダーの期待や要請に現状どの程度お応えしている
トなど、CSR情報の受発信を通じてステークホルダーとの対話
のかを定量的にとらえ、正確な事実に基づいたCSR課題を抽
を促進しています。
なかでも、
サステナビリティレポートは従業員
出し、経営レベルで改善を図ることを重視しています。そのた
に対するコミュニケーションツールの一つと位置づけています。
めに、ステークホルダーの満足度調査や、国内外の関連会社
これは、役員・従業員が当社の考え方や行動を積極的にお
のCSR側面をとらえるグループ内CSRアンケートなどを実施
客様や関係先に説明し、社会との接点を厚くすることで、現場
03
に立脚した課題認識やアイデアが生まれ、ステークホルダー
Fuji Xerox
しています。 関係記事は 29 ページ
CSRを推進する経営体制
富士ゼロックスは、事業とCSRを融合した経営を徹底する
ため、2010年4月から全社会議としてCSR会議を設けまし
た。CSR会議は、財務や事業の視点だけでなく、ステークホル
2010年度は、ステークホルダーの視点から当社が取り組
むべき重点項目を再整理します。
また、ステークホルダーの要請にタイムリーに応えるために、
ダーの視点から、より積極的なCSR経営の在り方を経営層が
日本・海外を問わず関連会社間の役割を明確化し、連携する
議論することで、当社の中長期的な競争力強化と、当社と社会
ためのグローバルなCSRガバナンスの整備に本格的に着手
の相互発展につなげることを目指しています。
します。 関係記事は 15 ページ
サステナビリティ
ステークホルダー
取引先
取引先との共存共栄の精神のもと、
CSR調達を浸透・拡大します。 関係記事は 32 ページ
従業員
商品・サービス など
お客様
地球環境・
将来世代
株主・
投資家
地域
社会
従業員が成長する機会と場、そして多様な
働き方を提供します。 関係記事は 19 ページ
お客様の期待に応える価値を提供し、
お客様やそのステークホルダーの皆様の
持続可能な発展に貢献します。
2020年度までに商品ライフサイクル全体のCO 2 排出量を
2005年度比で30%削減します。 関係記事は 11,30,31ページ
文化の発展と拠点地域のより良い
社会づくりに貢献します。 関係記事は 27 ページ
健全で透明性の高い経営を行ない、
株主・投資家の期待に応えます。
"Our business goal is to achieve better understanding among men
through better communications" Joseph C. Wilson
優先的に取り組むCSRテーマ
2010年度にステークホルダーの
お客様: お客様の期待に応える価値の提供と、それによるお客様の発展
視点から当社が重点的に取り組む活
従業員: 個が能力を最大限に発揮できる環境の構築
動として、右記のテーマについて検
地球環境・将来世代: 全社で統合した環境経営への取り組み強化
討を進めています。
取引先: サプライヤーエンゲージメントの強化
地域社会: 事業活動や従業員の社会参画を通じたより良い社会変革の貢献
Sustainability Report 2010
04
Top Commitment
CSRを軸とした経営を強化し、
お客様と社会の発展に貢献します
富士ゼロックス株式会社
代表取締役社長
05
Fuji Xerox
Top Commitment
1)
現在の社 会 動 向の認 識と富 士ゼロックスにおけるC SRの位 置 付け
現在の世界経済状況と企業経営の役割
新興国市場が貿易の回復と堅調な内需を背景に力強い景
争の副作用」が露呈し、企業がこれらの克服により深く向き
気回復を遂げている一方、先進諸国の財政悪化が世界経済
合うことが求められています。私は、企業の経営がこれまでの
の不安要因としてくすぶり、予断を許さないビジネス環境が
ような景気循環への対応の議論だけではなく、
「 資本主義メ
続いています。当社の中核 商 品である複 写 機・複 合 機・プリ
カニズムの変革に企業がどうポジティブに貢献できるのか」
ンター市場も、景気回復の波に乗り、新興国市場を中心に出
を真剣に考える時期にあると思います。環境問題や経済格差
荷・販売台数では2009年を底に堅調な回復傾向を見せてい
の克服を経営課題に据え付け、解決に導く創造力や応用力を
ますが、いずれの国でもお客様のご要望は低価格、先進機能、
持った従業員を育成し、さらに国際規模で連携しなければな
省エネなど高い水準の企業努力を求める傾向にあります。
らない要素については新しいルールの確立に参画することが、
一方、新興国市場の経済成長によって、資源獲得競争の激
経営者の役割と考えます。
化、地球温暖化の加速、新たな経済格差の発生など「経済競
富士ゼロックスが担うべき役割
富 士ゼロックスは、ドキュメントを通じて人々の知 恵や想
持ちまで通い合うことはありません。より深いコミュニケー
いをつなぐことによって、
「 知の創造と活用」、
「 世界の相互信
ションを実 現するには、単に伝えるだけでなく、働き方の影
頼」、
「 文化の発展」に寄与することを基本理念として活動して
響など、広い視野での総合的な研究も必要です。お客様や社
きました。この基本理念のもとに、国境をこえて、政府や企業、
会の潜在的なニーズを理解して個々の要望に応えるためには、
NGOが互いにスムーズにコミュニケーションできる環境の構
当社が持つ画像・動画技術や音声・通信技術を最大限に活用
築に貢献することが、国際社会における当社の役割であると
することはもちろんのこと、さまざまな知恵や技術を持った他
我々は考えています。つまり、
「 出身・言語・国籍の違いや障が
社や研究機関、社会課題を先取りして取り組んでいるNG O 、
いの有無を乗り越え、多様な価値観を重ね合わせるなかから、
そして行政等と連携する必要があります。本年4月、横浜市の
すべての人が文化的で健康的な生活を持続できる社会をつく
「みなとみらい21」に開設した研究・開発拠点「富 士ゼロッ
りたい、私たちが提供する商品やサービスがその一助になっ
クスR & Dスクエア」はそうした連 携を実 践するコラボレー
てほしい」
という気持ちが我々の仕事を支えています。
ションの場にしていきたいと考えています。
しかし、言葉やインターネットでつなぐだけでは、想いや気
ドキュメントを通じて、
お客 様のコミュニケーションをより円 滑にするお手 伝いをする。
それが、富 士ゼロックスの本 来の役 割です。
Sustainability Report 2010
06
2)
2 0 0 9 年 度のC S R 重 点 方 針およびステークホルダーごとの活 動 実 績と評 価
CSR重点方針の実績と評価
2009年度は、CSRの視点から優先すべき次の三つの課題
について強化・充実を図りました。
「お客様のダントツな満足」では、お客様が抱える課題を知
ることに重点を置いて“Go To Customers”、すなわち「お客
を11年連続受賞したほか、2020年度に向けた温室効果ガス
削減目標達成の基盤である「正確かつ迅速に環境負荷を把握
する仕組み」を再構築するために、社内タスクフォースを設置
して推進しました。
様の視点に合わせたやり方にすべての仕事の在り方を軌道修
「グローバル化に伴う組織・人材の活用」では、プロフェッ
正する全社運動」を推進した結果、お客様の満足度の向上や
ショナルな人材を増やし、総合的な対応力や提案力を強化し
苦情・クレームの半減などの成果を得ることができました。
てより社会性の豊かな組織への成長を図るため、人事本部に
「商品ライフサイクルにおける一貫した環境配慮」では、当
社のデジタルカラー複合機が経済産業省主催の省エネ大賞
教育部を新設し、問題解決力の教育プログラムの充実を図る
上での基盤を整備しました。
CSR会議の復活と全社CSRアンケートによるCSR経営の強化
私は、
「 各事業や各組織が普段の活動のなかで自然とCSR
年度に導入した「全社CSRアンケート」によれば、改善してい
を実践できなければならない」
という考え方の下に、社長就任
る項目もあるものの、女性社員の幹部登用等、満足できるレ
後にCSR会議を廃止しましたが、通常の各事業のなかではど
ベルでないものも少なくありません。こうした重要な問題につ
うしても短期的な市場対応の議論に終始し、ステークホルダー
いて、CSR会議等で全社の知恵を集め、腰を据えて対策を進
への中長期的な価値創造の観点が欠如しがちでした。そこで
める必要を痛感しています。2009年度の全社CSRアンケー
2010年4月にCSR会議を復活しました。国際規模で急速に進
トの結果の一部は本誌の33〜38ページに掲載していますの
む「ビジネスとCSRとの融合」を踏まえて、会社のあるべき姿を
でご覧ください。
中長期的な観点から議論する場、国境を越えてグループ内外
の創造力を結集する場として活用していく考えです。
また、全社の取り組みを毎年モニタリングするために2009
これらの活動状況を踏まえ、各ステークホルダーにかかわ
る2009年度の取り組みについて、私の考えを以下の通り報
告します。
お客様に関する経営活動の現状
2009年度は2008年度から継続して
「Go To Customers」
を経営方針に掲げ、すべての従業員がお客様の経営課題を考
で3位の評価をいただきました。
え、各々の仕事の方向性や関係性を再構築することを進めて
こうしたサービス事業では、お客様と接する営業だけでな
きました。その結果、外部調査の結果によると、国内事業につ
く、SEやスタッフなど後方支援の従業員も含めてお客様の課
いては、16項目中9項目で昨年度より改善をみることができ
題を発 見する能力を磨き、広い視 野を持つことが 不 可 欠で
ました。残された課題事項につきましては、方針と目標を定め、
すし、そのためには自分の仕事と社会との関係性やお客様の
引き続き改善を図ってまいります。
状 況を分析できる能力が必要です。そこで当社では、自身の
2009度に実感したのは、お客様の事業活動のグローバル
業務や職場でのムリ・ムダ・ムラの洗い出し、プロセスの共通
化が進むなかで、生産性の向上や競争力の強化、CSR側面へ
化、ルールやドキュメントの標準化などを積極的に進めるこ
の配慮など、経営課題の解決に直結する提案を当社に求める
とによって、関係者の課題発見力や解決力を磨くと同時に、お
声が増えていることです。
客様に自信を持ってお勧めできる実践的なソリューションを
そうしたなか、2009年8月、当社と米国ゼロックス・コーポ
品揃えする「言行一致」活動を2008年度から継続しています。
レーションが提供しているアウトソーシングサービスの質の
2009年度は幾つかのトライアルを始めましたが、成果という
高さが評価されて、国際的な業界専門誌、年刊ガイド「2009
面では十分ではありませんでした。2010年度は実践すること
年ブラック・ブック・オブ・アウトソーシング 」の「ドキュメン
に重点を置いて、成果に結び付けていきます。
ト・プロセス・アウトソーシング」部門で1位、
「 最も優れたグ
07
ローバル・アウトソーシング企業」部門では、世界4,839社中
Fuji Xerox
Top Commitment
従業員に関する経営活動の現状
近年、アジア・パシフィックや中国における事業活動の比重
また、グローバルサービス営業本部では、国境を超えてビ
が高まるなかで、グローバルな視点を持ちつつ、現地のニーズ
ジネスを円滑に進めるコミュニケーション・スキル、多様な国
にきめ細かく対応できるプロフェッショナルな人材の育成と、
籍・文化・経験のメンバーで構成するチームのマネジメント・
多様な人材が活躍できる職場環境の整備を急いでいます。
スキルなど、グローバル対応力の訓練プログラムを導入しま
当社が必要とするプロフェッショナルな人材とは、自分自身
で課題を発見して解決方法を導き、インテリジェンスのある
判断や行動を周囲に伝播できる従業員です。
これまでは、人材育成というと技術や知識を習得する教育
した。
当社は、1 9 6 2 年の創 業から男女 均 等の採 用や処 遇を行
なっていましたし、約20年前から育児・介護やボランティア活
動を奨励する人事制度を導入してきました。こうした「人を中
研修が主流でしたが、これからは自分で考える能力や、経験を
心に考える経営」の良き伝統を発展させて、自立した従業員
踏まえて行動できる能力が重要になるので、統合的な能力開
たちが、働き方を広く選択することによって相乗効果を生み
発に転換することが必要です。そこで、人事本部に新たに「教育
出し、お客様への高い価値提供を創造できる企業となるよう
部」を設け、人材育成の再整備を進めることとしました。
リードしていきます。
地球環境・将来世代に関する経営活動の現状
2009年度は、2009年2月に発表した「2020年温室効果
ガス削 減目標 」を各 機 能 部 門の計 画に織り込むことを中心
定しました。まず、主 要な生 産 事 業 所の「 土 地 利用状 況の調
査」を完了し、環境計画に反映していく予定です。
に、環境経営を推進しました。具体的には、事業所での大幅な
省資源化、廃棄ゼロを目指して取り組んでいる国際資源循
CO 2の削減や、商品設計時の小型化による省エネや省資源な
環システムは、日本・タイ・中国で継続して稼働していますが、
どの強化により商品1台当たりの環境負荷の低減を図るため
事業構造の変化や海外における関連法令の変化等も見られ
に必要な技術の検討を行ないました。また、
「 環境負荷の見え
ることから、中長期的にこのシステムを活かし続けるための
る化タスク」を設置し、商品ライフサイクル全体での環境負荷
議論が必要な段階に来ていると認識しています。
情報をリアルタイムで正確かつ迅速に把握する仕組みを構築
最後に、経済産業省主催の2009年度の第20回省エネ大
するための準備を始めました。国内省エネ法対応、環境負荷
賞において、フルカラーデジタル複合機「ApeosPort-Ⅳシ
低減措置の費用対効果の明確化などについて、2011年まで
リーズ」4機種と「DocuCentre-Ⅳシリーズ」4機種の計8機
に結論をまとめる予定です。
種11商品が、
「 経済産業大臣賞」を受賞したことを報告しま
さらに、国際的に関心が高まっている生物多様性への取り
組みについて、事業者として責任ある活動計画を策定するた
す。これで省エネ大賞を11年連続で受賞したことになります。
皆様の温かいご支援に感謝申し上げます。
め、当社事業と生物多様性の関係性を整理し、行動計画を決
私は、
「CSRは経 営そのもの」と 述べてきました。
ステークホルダーの皆 様にどのような価 値を
提 供すべきか、
どう実 践すべきか、
経 営 層が中長 期 的な観 点から
議論を深めてまいります。
Sustainability Report 2010
08
取引先企業に関する経営活動の現状
ここ数年、サプライチェーン全体を含むCSR経営の実践を
お客様から求められるようになりました。大型の商談で、入札
条件や契約条項として詳細な報告を求められるケースも増え
ています。
社34社にも2009年3月から同様の活動をお願いし、改善活
動を始めています。
私は、環境、人権・労働、企業倫理を適切に行ない、それを
商品のQ(品質)C(価格)D(納期)の向上につなげることが企
当 社 の C S R 調 達 活 動 は 、2 0 0 7 年 度 に 資 材 調 達 の 主 要
業の経営者の仕事であると考えています。こうした活動は、中
取 引 先 企 業 を 対 象 に 本 格 導 入してから2 0 0 9 年 度 まで に
長期的な視点で見れば、お客様、従業員、取引先様との信頼
PDCAサイクルを2回まわし、
「 浸透」から「定着」の段階に移
関係を強化し、長期的なビジネスの安定につながると信じる
りつつあります。
からです。私は、厚い信頼に基づいて相互に繁栄するサプライ
また、取引先企業のなかには、当社から提供したチェックリ
チェーンを構築したいと考えています。今後、新規に取引を始
スト等を活用して、自社の協力会社にCSR調達を展開される
める際には、まずCSRの評価を行ない、その基準を満たした
企業も現れており、今後はこのような取り組みをお手伝いし
企業が次のステップであるQCD評価に進むような手続きに
ていきたいと思います。
段階的に変更していきたいと考えています。
また、富士フイルムロジスティックスと共同で、物流協力会
地域社会に関する経営活動の現状
当社は、これまで社会貢献活動として、
「 端数倶楽部」に代
きませんので、音声、映像、触覚なども取り込んだ実現性や実
表される従業員の積極的なボランティア活動への参加を会社
用性の高い対処方法をドキュメントのプロとして支援してま
として支援する仕組みや、小林節太郎記念基金によるアジア
いります。
留学生の研究支援や拡大教科書普及への貢献など、さまざま
その好事例の一つが2009年度のサステナビリティレポー
な社会貢献プログラムを行なってきました。これらのプログラ
トで紹介した拡大教科書普及への貢献です。2009年度は文
ムは今後も継続する考えではありますが、
「 各地域社会の発
部科学省から「教科書デジタルデータ提供の在り方に関する
展に対して、富士ゼロックスが本業を活かし、誰よりも上手く、
調査研究事業」を受託し、製作ボランティア団体の皆様が利
効果的に貢献できることは何か」という視点で地域社会に関
用しやすいデータ形式、情報提供、サポート環境などを具体
する経営活動を再検討して、グローバルな規模で方針・計画
的に整理して国に報告しました。BtoBモデルで蓄えた当社の
をまとめ直すことが必要だと考えています。
技術や業務ノウハウが、障がいのあるお子様や高齢者の方々
例えば、人材の多様性や障がい者の情報アクセスにおいて
技術的に橋渡しが不足しているならば、それを解決するのも
の情報アクセシビリティに役立つことを実感できた点におい
て、当社にとりましても大変有意義な仕事でした。
当社の役割だと考えています。従来の紙媒体だけでは実現で
株主・投資家に関する経営活動の現状
2009年度は、新商品の市場導入、商品原価の低減、研究開
09
また、投資家や社会から関心が高まっているコンプライア
発の効率化、販売費および一般管理費の削減を徹底・継続し、
ンス、財務報告、
リスク管理、内部統制につきましては、これら
利益を創出できる体質づくりを進めました。しかし、需要の低
を経営品質の重要な要素と位置付けて、これまで以上に維持、
迷による販売の減少に加え、為替の円高影響などにより、連結
充実を図りました。
売上高9,435億円(前年度10,884億円)、経常利益201億円
こうした活動の結果、販売量の拡大とサービス事業の収益
(前年度415億円)と対前年減収減益という結果に終わりまし
基盤化、中国や新興国を中心とした市場開拓といった事業の
た。資金調達やキャッシュフローは堅調に推移しています。
中心的な課題が明確になりました。
Fuji Xerox
Top Commitment
3)
2 0 1 0 年 度の挑 戦と皆 様へのお約 束
2010年度の挑戦と経営方針
本年度は、3年連続で「Go To Customers」を経営方針と
して掲げた上で、これまでの環境整備を踏まえた「変革」を完
フ・バランスを支える働き方の領域で当社の存在価値を示し
たいと考えています。
遂し、きっちり成果を出す最終章にするとの覚悟で経営にあ
第三に、成長を支える機能改革と経営革新による体質変革
たっています。そして、その達成のために次の重点戦略を当社
です。まず、グローバル規 模での事 業 活 動に適した洞 察力と
および国内外関連会社で推進しています。
機動力を備えるために、意思決定と内部統制の仕組みを、さ
第一に、新興国地域での成長です。中国市場やアジア・パシ
らに一段高いレベルで整備いたします。従業員一人ひとりが
フィック市 場におきましては、地 元の行 政や市 民セクターと
お客様の視点で自分の意識と行動を変革するよう、各種のプ
連携を図りながら、CSRに配慮した事業運営を通じて、市場
ログラムを並行して走らせて、組織力の強化に努めます。
の開拓と販売量の拡大に全力投球します。
上記の重点戦略を推進する前提条件として、各ステークホ
第二に、日本国内の成長領域拡大による事業変革です。日
ルダーに対する課題に実直に取り組んでまいります。そのう
本国内では、機器市場が飽和状態に近づくなか、既存の基幹
ち特に重要と考える取り組みにつきましては、ニュースリリー
事業の最適化を継続しつつ、ソリューションサービス提供型
ス等の形で皆様にタイムリーにお知らせします。
へ事業転換を図っています。特に環境負荷低減やワーク・ライ
責任ある経営のお約束
以 上の通り、本 年 度 以 降 、環 境 問 題や経 済 格 差の克 服を
値観を普及させることにも引き続き努力を払ってまいります。
経営課題に据え付けてThink Globally, Act Locallyの視
当社が世界、国、地域のいずれにおいても人間社会や地球
点でCSR経営をどのように実行していくか、解決に導く創造
環境に貢献する誇りある企業であり続けるため、私自身が強
力や応用力を持った従業員をいかに育成するか、といったグ
いリーダーシップを発揮し、責任を持って当社の舵取りに努
ローバルなCSRガバナンスの在り方を考えてまいります。
めることをお約束します。
それと同時に、国連グローバル・コンパクトのように、国境を
皆様からの忌憚のないご意見やご指摘をお待ちしています。
またいで多くのステークホルダーを連携させる世界共通の価
今 、富 士ゼロックスは大きな変 革の時を迎えています。
多 様な従 業員が集い、新しい知 恵が続々と出てくるような
環 境をつくりたいと考えています。
R&Dスクエアに植栽している
タラヨウ
(通称はがきの木)
の葉
Sustainability Report 2010
10
Highlight
01
革新的なサービス事業を通じてオフィスの
環境負荷低減を支える 〜トップレベルの要求に応える〜
地球温暖化への対策が急がれるなか、多くの企業が自らの環境負荷の低減に取り組んでいる。
お客様の要求に応えるには運用が簡単で低コストの統一されたサービスが必要だ。
この難しい課題にチャレンジする富士ゼロックスの現状を報告する。
Man age d Prin
t Serv ices for
you and the
plan et.
Expert suppo
rt is now in place
to monitor and
in your office.
maintain the
Energy is saved.
new and curren
Toner is recycle
1.6 million pound
t equipment
d. Paper use
s of paper each
is reduced, saving
year. You and
as much as
the environment
can now breath
e easier.
緑のカーペットで従業員の環境意識を高める P&G(広州)Ltd.にて
革新的なサービスの提供
CO 2 削減効果だけを謳い文句に商品
こうし た 国 際 社 会 の 要 請 に 応 えて 、
サービスと事業活動全体を通じた低炭
が単品で売れる時代は過去のものとな
2009年2月、富士ゼロックスは、2020
素 化を実 現し、C O 2 排出量を2 0 0 5 年
りつつある。グローバル企 業のお客 様
年をターゲットにした温室効果ガス削
度比で30%、約50万トンを削減するこ
が 富 士ゼロックスに求めるのは、商 品
減目標を発 表した。この目標は二つの
と。もう一つは、新しい「 働き方 」や「 働
の 省エネ性 能 の 向 上 にとどまらず、業
柱で構成されている。一つは、自社の研
く場 」の 普 及 を 通じてお 客 様 のオフィ
務全体の効率性や生産性を追求しつつ
究 、開 発 、調 達 、生 産 、物 流 、お 客 様 使
ス・事 業 所におけるC O 2 削 減に貢 献す
環境負荷の低減に拍車を掛ける革新的
用時の電力量から再資源化まで商品・
ることで、C O 2 排出量を年 間 7 0 0 万ト
なサービスである。こうしたトップレベ
ルの要求に応える実力を備えなければ、
ビジネス・パートナーとして市場で生き
残るのは難しい。
富 士 ゼロックスはこれまで、地 球 温
暖化防止に向けて、自社の生産現場や
オフィスの環境負荷への配慮だけでな
く、お客様のオフィス・事業所で稼働す
る複写機の電力使用量やリユース部品
の 活 用 など、商 品ライフサイクルを 通
じてC O 2 削 減 を目指してきた。しかし、
G8先進国首脳会議が発表した「2050
年 までに 世 界 全 体 で 温 室 効 果 ガス排
出量を少なくとも5 0%削 減する」とい
う世 界 的 な 長 期 目 標 を 達 成 するには 、
今 後 1 0 年 、2 0 年の間に低 炭 素 社 会に
向けた大きな社 会 変 革を起こしていく
必要がある。
11
Fuji Xerox
富士ゼロックス2020年温室効果ガス削減目標
Ecology
持続可能な社会
低炭素社会
Economy
世界の経済発展
自社ライフサイクルのCO 2 削減
富士ゼロックスは自社の責任として、ライフサイクル全体の
低 炭 素 化を実 現し、C O 2 排出量を2 0 2 0 年 度に2 0 0 5 年 度
比で30%削減することを目指します。
新しい「働き方」を通した社会システム変革
富士ゼロックスは自社の役割として、これからの社会にふさ
わしい新しい「働き方」や「働く場」を創造し、社会全体への
普及を通じて低炭素社会の実現に貢献します。
2020年度に社会のCO 2 排出量を
年間700万トン削減することを目指します
ン削減することである。
この 野 心 的 な目 標 を 達 成 するには 、
C O 2 排 出 の 現 状 をリアル タイム で 正
確に把 握する、実 体 験に裏 付けされた
下、新たなサービス事業の展開でCO 2
サービスの商 品ラインナップをそろえ
削減に貢献する富士ゼロックスの取り
るといった条 件 整 備が 必 要である。以
組みを報告する。
正確な環境情報を提供する責任
近年、各国のお客様から、商品や用紙
のC O 2 排出量やカーボンフットプリン
も、先進国と新興国・発展途上国で求め
語る。
「 環 境負荷や環 境 性 能 の情 報は、
る利益が異なることが背景にある。
ややもすれば恣意的な表現に陥るリス
ト、環 境負荷を低 減する利用方 法に関
その上 、環 境 性 能や環 境パフォーマ
クがあります。商品の基本情報である以
する問い合わせが急増している。こうし
ンスは、実体を視覚でとらえられないう
上、お客様の視点に立って、グローバル
たお客様の要望に対して、富士ゼロック
えに、数 値 化する際も解 釈の幅が広い
に通用する科学的な方式や基準で情報
スには公正で正確な情報をタイムリー
ケースが多く、受け手に誤解を与える可
を整備しなければなりません。現在、環
に提供する「責任」がある。
能 性を避けられない。公 表する数 値や
境シミュレーターをはじめとするさまざ
説 明の正 確さは、その企 業がどれだけ
まな仕 組みを導 入して、当社 製の複 合
その 利 害に応じて、国や地 域で 大きく
誠実に市場に向き合っているかの表れ
機やプリンターをご利用いただく際の
異なる。従って、お客様の評価指標は国
でもある。環境経営の基本には、公正で
環境負荷をCO 2 換算で把握できる体制
や地 域でばらつきが 多く、標 準 化が 進
正確な情報をタイムリーに開示する不
の整備を進めています。仕組みを導入し
んでいない。ポスト京 都 議 定 書に向け
断の努力を忘れてはならない。
て安心するのではなく、その精度を向上
しかし、C O 2 削 減に取り組む姿 勢は、
た国際的な合意形成が難航しているの
富士ゼロックスCSR部長の澁谷隆は
し続けることが大切と考えています」。
お客様が求める統合型のサービス
一般的なオフィスの消費電力に占める
方」を介したお客様の「働き方」の革新に
これからお客 様 が 求めるのは、運 用
複合機やプリンターの消費電力の割合
よって低炭素社会の実現に貢献しよう、
が 簡 単 で 合 理 的 なコスト負 担 で 享 受
は1〜2%にとどまり、
どれほど努力して
それをサービス事業の形でお客様に提
できる統合型のサービスと考えられる。
も削減する絶対量には限界がある。そこ
供しようというのが富士ゼロックスの温
単発の技術や商品では大きな差異がな
で、商品の改善だけでなく商品の「使い
室効果ガス削減目標の考え方である。
くなってきた現 在 、クラウドコンピュー
Sustainability Report 2010
12
ティングに代表されるように、お客様は
実証する。そして、その経験と成果に基
生 産・物 流 、事 業 所 が 各々の 要 請に基
「効果」
「費用」
「 簡 便 性 」を備えるシス
づいて「お客様のオフィス・事業所にお
づいて独自に推進してきたCO 2 排出の
けるCO 2 排出の計測・施策立案サービ
管 理を統 合して、その経 済 効 果までリ
ス」につなげていくことを検討している。
アルタイムに可 視 化して経 営 情 報とし
の完成度である。富士ゼロックスは、ま
サービス提 供に向けた条 件 整 備は、こ
て活用できるよう、管理基準、推進体制、
ず自社内で商 品・サービスと事 業 活 動
うした考え方で進められている。
情報システムを全社的に再編する作業
テムを望んでいるのである。
そして、ここで重 要なのは、システム
全 体における「 環 境負荷の正 確かつリ
その第一歩として、富士ゼロックスで
である。2年後の完了に向けて、全社規
アルタイムな把握」と「当該データに基
は2009年から「環境負荷の見える化タ
模のタスクチームが 設 置され 、関 係 部
づく経済効果の可視化」の実現方法を
スク」を発足している。商品設計、調達・
門による協働が進んでいる。
先進企業の高い要求に応えるために
ところで、富士ゼロックスが考えてい
る「 効 率 性や生 産 性を追 求しつつ環 境
化して、お客様に提供している。
負荷の低 減に拍 車を掛けるサービス」
P&Gは2007年に再定義した「サス
は、どのようにお客様に提供されるので
テナビリティ実現に向けた5つの戦略」
あろうか。その方 向 性が 分かる先 行 事
のなかで、自社の事 業 活 動で発 生する
例を紹介しよう。
環境負荷の低減を重要な戦略の一つに
約80カ国に拠点を持ち従業員約12
位 置 付け、2 0 1 2 年までの削 減目標を
万7千人を抱える世界最大の日用消費
定 めている。この 戦 略に基づきアジア
財・化粧品・食料品等のメーカーである
では、環 境負荷の低 減に向けた主な実
プロクター・アンド・ギャンブル・グルー
施事項の一つとして、すべての主要なオ
プ( P & G )。数 十 年 以 上 前 から事 業 戦
フィスにXOSを導入した。
略の中心にサステナビリティを位 置 付
P&Gは、国や地域の違いにかかわら
けている。その施策の一環として、世界
ず、XOSを導入した全拠点において、紙
中の各拠点が独自に調達していた複合
の使用量と使用電力の変化を統一した
機 、プリンター 、ファクスなどを撤 去し、
指標や手法で管理することを導入の当
環 境 負 荷 の 低 減 を同じ 基 準 で 計 測し、
米ゼロックスおよび 富 士ゼロックスの
初 から富 士 ゼロックスに求めた。なぜ
互 いに啓 発し合 いながら、私たちのオ
Xerox Office Service (XOS)に切
ならば、それまでP&Gは45,000台を
フィスの環 境負荷を低 減することが 重
り替える方針が2009年にP&G米国本
超えるプリンターや複写機、スキャナー
要です」。
社から発信された。
やファクスといった機 器の環 境負荷の
しかし、ここで富士ゼロックスと各国
デ ータを一 元 的にとらえられないこと
の販売会社は大きな壁に突き当たった。
を問題視していたからである。
環境負荷の低減に対する理解や取り組
X O S は 、機 器 の 利 用 状 況 を 分 析し 、
それらの最適配置や使用方法を助言す
13
ある。XOSではこれらのデータを定量
P&G(広州)Ltd. Greater China External Relations
General Manager レネ・コー氏
るとともに、アジア・パシフィック地域に
P&G(広州)Ltd.で中国全土の渉外
みは国や地域によって大きく異なる。活
おいてその管理業務を富士ゼロックス
とサステナビリティを統 括するグレー
動 の目的 が 正しく伝 わらないと、結 果
が一括して受託することで、オフィスの
ター・チャイナ・エクスターナル・リレー
が目標に届かなかったり、従 業員の不
業務効率の向上、コストの削減、そして
ションズのゼネラル・マネジャーである
満につながったりする事態が心配され
環境負荷の低減を実現するサービスで
レネ・コー氏は語る。
「 アジア16拠点で
たのだ。このプロジェクトを担当したグ
Fuji Xerox
Highlight
01
お客様の生産性向上に向けて富士ゼロックスの
システムを説明 P&Gジャパン 神戸本社にて
ローバルサービス営業本部のエドワー
ター や 複 合 機 の 統 合 や 紙 の 削 減 には 、
改革を含めた息の長い活動を行なうこ
ド・チンは 語る。
「どれほど素 晴らしい
そこで働く従業員の理解と協力が欠か
とで、従業員のサステナビリティへの関
システムをつくっても、運用するスタッ
せません。当初 、従 業員の間には、これ
心 が 高まり、職 場で 実 践することの気
フやお客様の理解やモチベーションが
らの活動に対して、これまでより不便に
運が高まっています。私たちは、この活
一致しなければ、
トップレベルの均質な
なるという誤解がありました。こうした
動のなかで、社員がプリントする前に本
サービスは実現できません。まず、この
誤 解を解くために、環 境負荷の低 減と
当にそのプリントが必要なのか再考を
サービスを利用する従業員の意識の改
業務の効率化を同時に実現する有意義
促したり、電子ドキュメントをもっと活
革に着手する必要がありました」。
な活 動であることを従 業員に納 得して
用するよう促したりすることで、環境負
そこで、富士ゼロックスは、お客様の
もらう必要がありました。そこで富士ゼ
荷の低減と併せて業務効率を高める活
シンガポールオフィスと協働して、環境
ロックスの協力を得て、働く従業員の意
動を実 施しています。業 務の生 産 性や
負 荷 を 大 きく低 減 で きる 使 用 方 法 の
識 の変 革を促すセミナーや、ポスター
効 率を高めることが 、環 境負荷の効 果
啓 発・教 育を行なった。また、お客 様に
の作 成や社内コンテストの実 施といっ
的な低減につながることを多くの従業
もっと効 果 的な提 案ができるようにと、
た効 果 的な啓 発 活 動を行ないました」。
員が理解してくれるようになってきまし
部署・フロアごとの出力状況の表示、用
富士ゼロックスは、P&Gの他のアジア
た。アジア太平洋地域での用紙削減20
紙の削減量を競うコンテストなど、いろ
の各 拠 点とも協 業して、環 境負荷の低
〜 3 0%と消 費 電力3 0%削 減という目
いろな施策を社内で試みた。
減に関する従業員の意識改革に貢献し
標に対し、XOSを導入した2009年 度
ている。
の実績ではアジア地域での成果が高く、
シンガポールで始めたこれらの活動
は、段 階 的にアジアの各 拠 点に導 入さ
「富士ゼロックスと当社がパートナー
れている。レネ・コー氏は語る。
「 プリン
としてお 互 いに協力し、従 業 員の 意 識
目標を大幅に上回って推移しています」。
レネ・コー氏の表情は明るい。
お客様の「働き方」の革新に向けて
環境負荷の低減を単なるビジネスの
グローバル・サービス営 業 本 部を統
道具にしてはならない。富士ゼロックス
括する執行役員の岡野正樹は語る。「こ
にとって大切なことは、お客様が低炭素
れからは、モバイル技術を駆使して、仕
化に取り組みやすい環 境を整え、持 続
事の生産性向上、ワーク・ライフ・バラン
可能な社会の実現を支えることである。
スの充実、そして、環境負荷の低減を同
そのためには、世界トップレベルのお客
時に実 現する新しいオフィス環 境を提
様に鍛えていただき、ビジネスを通じて
案していきたいと考えています。こうし
それを広く社会に還元することが重要
た価 値 観に国 境はありません。お客 様
である。机上で考えた計画ではなく、現
の経営課題こそ我々の挑戦テーマです。
場での実 践を通じて得たノウハウこそ
世 界 最 高のプロフェッショナル集 団と
意味がある。
なり、価値あるサービスの実現に向けて、
し かし 、X O S に 代 表 さ れ る 現 在 の
ビジネスを牽引したいと思います」。
富士ゼロックス 執行役員
岡野正樹
かに高く、その実現には自社だけでなく、
サービスは、商品の「使い方」を最大限
2020年の温室効果ガス削減目標に
お客様やさまざまなパートナーと協 業
工夫しているものの、お客様の「働き方」
向 けた 活 動 が 着 実 に 進 み 始 めている 。
する必 要がある。この野 心 的な目標の
の革 新に対しては、まだ一 歩 手 前の段
お客様のオフィスのCO 2 排出量を年間
達成を目指して、富士ゼロックスの挑戦
階にある。
700万トン削減するという目標は、はる
は続く。
Sustainability Report 2010
14
Highlight
02
市場の進化とグローバル経営
〜 C S R の新たなガバナンスに挑む〜
市 場 の 要 求 は 急 速 に 変 化している 。
急 いでグ ロ ー バ ル な C S R ガバナンスを 整 備しなけ れ ば ならな い 。
経 営とスタッフが 新しい 体 制 づくりへと動 き出した 富 士 ゼ ロックスの 状 況 を 報 告 する 。
ビジネスとCSRとの融合の進展
日本 企 業 が C S Rを本 格 的に理 解す
な調 和を図るべき」との主 張が 展 開さ
業の調達行動において「CSRに誠実に
る契機となった資料の一つに経済同友
れている。実際のところ、企業不祥事な
取り組む企業」を評価・選択して「 環 境
会 第 1 5 回 企 業 白 書「『 市 場 の 進 化 』と
ど企 業 が 社 会 からネガティブな評 価・
性能の高い商品」を購入する動きが国
社会的責任経営」
( 2003年)がある。こ
選択を受けることはある。しかし、企業
際 的 な 広 がりを示しているのだ 。その
の資料では、業績比較や価格性能競争
の良き行動に対する「肯定的な評価・選
結果、環境性能を含むCSRへの配慮不
だけでなく非経済的価値を含めて市場
択 」がどこまで影 響力を発 揮するのか、
足は、市場対応の観点からいえば、今後、
が企業を評価・選択する時代が到来す
るとの予測のもとに、
「 企業の積極的な
「 市 場 の 進 化 」が 現 実 に 起きるのかど
うか、企業の関係者は半信半疑だった。
イニシアティブによって、市 場のダイナ
近 年 、これを確 信させるビジネス環
ミズムを通じた企業と社会との自立的
境の変化が起きている。政府や大手企
ビジネスのパスポートを失う危険を抱
え込む結 果につながる。まさに、
「市場
の進化」への対応が、企業経営における
現実のテーマとなったのである。
多様化するお客様の要望
富士ゼロックスのある海外販売会社
富士ゼロックス
海外営業本部 山口哲利
15
Fuji Xerox
出データをなんとかまとめた。
からシンガポールのアジア・パシフィッ
「 欧 米の多 国 籍 企 業が現 地サプライ
ク地 域 統 括 拠 点 に連 絡 が 入った。
「政
ヤーを対 象にC S R 調 達を展 開する動
府 調 達 の 入 札 仕 様 書( R F P )で、商 品
きはありましたが 、近 年は各 国の公 的
の環 境負荷 性 能の詳しいデ ータと、グ
調達でも同様の動きが増えてきました。
ル ープ 全 体 の C S R の 取り組 み 状 況 に
こうした質問書は質問量が多い上にそ
関する情 報 が 求められています。該当
れぞれ内 容が 異なるので、一 件ごとに
のデータを至急提供してください」。営
回 答を手 作りしています。現 地で 保 有
業 支 援 を 担 当する海 外 営 業 本 部 の 山
していないデ ータを求められたときは、
口哲利は、東京本社CSR部の支援を受
海をまたがる連 携も必 要になります」。
け、富士ゼロックスオーストラリアが以
山口は対応の苦労をこう語る。
前 対 応した事 例を参 考にしながら、提
お 客 様 から求められるデ ータは 、現
地法人のCSRパフォーマンスだけでな
リントなど、いろいろな 形 態 の 指 標 に
既存の日常管理のデータだけでは足り
く、企業グループやサプライチェーン全
換算して提出することが求められる。し
ないケースもあり、対応に苦慮している
体のパフォーマンスを含む場合が多い。
かし、指 標の「 考え方 」は存 在しても具
のが現場の実態である。
その上、用紙一枚当たりのエコフットプ
体的な算出基準があいまいであったり、
現地拠点と本社の役割分担と連携
表面的な対応によってお客様の真の
グループ全体の取り組みをお客様に訴
現地のマネジメントにどこまでの裁量を
要求を見落としてはならない。いま現場
求 するため 、もっと連 携 を強 化 すべき
与えるのか、権限を明確にすれば、もっ
で何が 起きているのか、各 拠 点と本 社
だ」との意見が相次いだ。確かに、本社
と効率的かつスピーディに連携できるの
の役割分担をどのように整理すれば効
によるそれまでのCSR推進は、日本国
ではないでしょうか」。
果的な連携が可能なのかを話し合うた
内の活動を日本の関係者に伝えるので
グローバルなCSRガバナンスに直ち
め、2009年12月、CSR専門部署を設
精 一 杯だった。本 社 C S R 部は、各 国の
に取り組まなければいけない、
という問
置し、ビジネスでの活用を積 極 的に推
現 場に赴き、ひざ詰めで情 報 交 換する
題認識がこうして関係者に共有された。
進している富士ゼロックスオーストラリ
努力が足りなかったことを痛感した。
ア本社で、富士ゼロックスオーストラリ
富士ゼロックスオーストラリアのCSR
ア、海外営業本部と本社CSR部のミー
推進者アマンダ・キーオーは、望ましい
ティングが開かれた。
本 社の役 割について、日頃の想いを次
本社 CSR部は、これまで富士ゼロッ
のように述べた。
「 各国の販売会社によ
クスが 推 進してきた省エネ商 品 、国 際
る業績と成長を保証する上での喫緊の
資源循環システム、CSR調達やグロー
課題は、お客様から求められるCSRパ
バル・コンパクト参 加 の 意 味 合 いや課
フォーマンスの 情 報を整 備してタイム
題について詳しく説明した。オーストラ
リーに提供することにあります。中期的
リアの 参 加 者 からは「これまでの 情 報
な課題は、環境配慮や社会性配慮につ
提供では富士ゼロックスにおけるCSR
いて、本社が何をどのように牽引するの
活 動 の 真 の 価 値 を 理 解 できな かった 。
か、明確な方針を各国の役員と従業員
せっかく良い活 動をしているのだから、
に伝えることにあります。それと同時に、
富士ゼロックスオーストラリア
Environment And Sustainability Corporate Affairs
Manager アマンダ・キーオー
Sustainability Report 2010
16
グローバル CSRワーキンググループ 始動
組織の社会的責任全般に関するガイ
「 ビ ジ ネスとC S R の 融 合 」を 、本 社 の
る本 社として必 要な情 報を整 備・提 供
ダンス文書(ISO26000)、CSRの要
役員や関 係スタッフに一 人でも多く納
する責任を痛感した。それと同時に、国
点を示す国 連グローバル・コンパクト、
得してもらい、グ ロ ー バル 経 営 におけ
際 規 模での 状 況 把 握 や営 業 連 携 に機
CSR報告に関するGRIガイドラインな
る本 社の役 割を認 識してもらうことを
動的に対応できるグローバル人材の育
ど、CSR分野の国際規模での標準化は
優先課題と考えた。
成・確保を急ぐ必要性を再認識した。
着々と進んでいる。しかし、CSRの真の
2 0 1 0 年 春 、東 京 に再びメンバー が
そこでまず、情 報 連 携を円 滑に行 な
課題や優先順位は国や地域によって異
集 結した。まず、アマンダ・キーオー が
う体 制 づくりについて議 論した。従 来
なる。しかも、社会の共感を得る発想や
富 士ゼロックスの事 業 計 画 、国 際 営 業 、
の 地 域 別 、機 能 別 の 意 思 決 定 プ ロ セ
アイデアは現 地・現 場でしか生まれな
人事労政、人材教育、広報宣伝、環境な
スでは 、こうした広 い視 点での 対 応 が
い。本社の号令一下だけで進めるCSR
どのスタッフに、オーストラリアの営 業
図りにくい 。そこで、グ ロ ー バ ル C S R
は、現地の社会要請を十分に配慮でき
現 場の状 況を説 明し、お客 様のサプラ
ワーキンググループ 活 動を富 士ゼロッ
ず、本物とは言い難い。
イヤー選択基準のなかに高いレベルで
クスオーストラリア、海 外 営 業 本 部 、そ
富 士 ゼロックスオーストラリアで 話
の環 境・社 会 性の要 素が 増えているこ
して本社CSR部の三者で開始し、各国
し合ったメンバーは、3カ月間にわたっ
とを報 告した。説 明を聞いた本 社の関
のニーズと動 向 を共 有したり、全 社 の
て 議 論 を 重 ね た 結 果 、近 年 中 にア ジ
係者は、各国の営業現場が機動的に対
C S R 側 面の方 向 性について現 場 視 点
ア・パシフィック全域に広がるであろう
応できるよう、グローバル 経 営におけ
で協議したりすることにした。具体的に
は、まず「ビジネスとCSRの融合」が先
行している国や地域の営業現場でお客
様 が 求 める事 項 を整 理して、グル ープ
共通で実施すべきことと現地で個別対
応すべきことに切り分ける作 業を行な
い、各 国の販 売 会 社も巻き込んで展 開
していくことを決めた。
「この活 動はま
だ 始まったば かりですが 、この 体 制 を
整え 、海 外 営 業 本 部 のメンバーとして
各国の販売会社や本社との連携を密に
して、各 国のお客 様の要 求に迅 速に応
えられるようにしたいと思います」と山
口は語る。
人 事・総 務・法 務・C S R 担 当の 常 務
執 行 役員日比 谷 武は、こうした一 連の
活動を次のように評価する。
「 春先に訪
れた名刹の路傍で『一年先を考える人
は花を植える、十 年 先を考える人は木
サステナビリティに関する考え方や取り組みを、
積極的にコミュニケーションする富士ゼロックスオーストラリアのウェブサイト
17
Fuji Xerox
を植える、百 年 先を考える人は人を育
てる』という言 葉 を見つけ足 が 止まり
Highlight
02
Sustainability Report 2009
ました。近 年 、即 戦 力の 人 材 を 求 め 過
は何かと自ら深く考え抜いて行 動する
り越えて主 体 的に連 携し、経 営に望ま
ぎたのではないかという反 省がありま
人 間 力 、多くの 人 を 巻き込 むコミュニ
しい対 策を提 言する、といった仕 事 の
す。グローバルなビジネスでは、正解は
ケーション能力、異 文 化 適 応 能力を備
進め方は、今 後ますます重 要になるで
一つではありません。仕事のマニュアル
えた従業員による責任ある仕事が会社
しょう。経 営も、そうした現 場やスタッ
は通 用しませんし、進むべき道を自分
を支え、人を成長させると思います。今
フからの提言に虚心坦懐に耳を傾ける
で 切り開 かなければなりません。問 題
回のように、営 業の最 前 線の課 題をス
姿勢が大切だと思います」。
の本 質は何か、取り組むべき優 先 課 題
タッフがいち早く察知し、国境の壁を乗
新たな CSRガバナンスを目指して
海 外 営 業 担 当の 常 務 執 行 役 員 柳 川
勝彦は語る。
「 アジア・パシフィックにお
るテーマを抽出して水 平 展 開すること
も、本社の重要な役割である。
的につながって、グ ロ ーカル 経 営 が 実
現する。富 士ゼロックスのグロ ーバル
いて、
『 市 場 の 進 化 』は 、確 実 に進んで
「 急 速に変 容する現 在のグローバル
なC S Rガバナンスは、いま幕を開けた
いると感じます。これまでは、欧米市場
経 営で必 要なのは、卓 越した先 見 性と
段 階である。より先 進 的なC S Rガバナ
と共通性の高いオーストラリア、ニュー
強力なリーダーシップ、そして『考え』を
ンスを実 現することが 、真 のグ ロ ー バ
ジーランド、シンガポール、香港の市場
『 形 』に変える実 現力です。富 士ゼロッ
ル企 業となり、お客 様と社 会の発 展に
での 動きでしたが 、最 近 は中 国やタイ、
クスのグローバルなCSRガバナンスは、
フィリピンといった国々においても、環
『 何 をやるべきか 』から『どうやるべき
境対応が強く要求されています。こうし
か』の段階にあります。これらを実現す
た状 況が 進めば 、地 球のどこかで行な
るため、グローバルC S Rワーキンググ
われている最 先 端のソリューションも、
ループの進 言も踏まえて、各 国 関 連 会
富 士ゼロックスに頼めば探して提 供し
社間や本社との横連携を強化するとと
てくれる、そんな付 加 価 値 の 高 いサー
もに、プロフェッショナルで多様な人材
ビスの実現力が求められるようになる
の抜 擢 、情 報 共 有システムの充 実など、
と思います」。
次のステージにつなげる施策の充実を
富 士ゼロックスは、地 球 規 模で考え、
寄与する道につながるのではないだろ
うか。富士ゼロックスの挑戦は続く。
図っていきます」。柳川は熱く語る。
地域視点で行動するグローカル経営を
国や地 域でのイニシアティブを強 化
目指している。大 規 模 な投 資やブラン
し、連携を強めることで、地域の発展に
ディングに直結するテーマは本社の主
貢 献する喜びを実 感し、従 業員や役員
導で牽引する一 方 、地 域に根 差した貢
間 の一 体 感を強め、富 士ゼロックスと
献 を 各 拠 点 で 考え 実 行 するの が 基 本
しての信 頼やブランドの構 築にもつな
的な姿勢である。また、それと並行して、
げたいと、富 士ゼロックスの 関 係 者 は
各拠点がそれぞれの地域の課題に対し
考えている。
て自主的に行なっている活動のなかか
本 社 が 牽 引すべきテ ーマ、そして 各
ら富士ゼロックスらしい精神を象 徴す
拠点が自主的に行なうべき活動が有機
富士ゼロックス 取締役 常務執行役員
海外営業本部長
柳川勝彦
Sustainability Report 2010
18
Highlight
03
一人ひとりが働きがいを
実感する企業を目指す
中 国 社 会 が いま 求 めるの は 、従 業 員 の自己 実 現 を 支 える 経 営と夢 や 誇りを 持って
働く従 業 員である 。 従 業 員 支 援 プ ログラム ( E A P:Employee Assistance Program ) を
基 盤として経 営と従 業 員の 心 を結びつける富 士 ゼロックス深 圳 の 取り組 みを紹 介 する。
経済発展と労働者の意識の変化
中国政府は、2010年3月開催の全国
ションが 改 善し、同 社の従 業員の離 職
専門家に相談して客観的で正確な情報
人民代表会議で、輸出・投資依存から内
率は深圳市の平均値と比べて約3分の
を入手する仕組みを身近に提供してあ
需・消費拡大への転換とともに、農村と
1程度におさまっている。
げることが重要なのです」。
都市部の格差解消に努める政策を決定
総務統括部統括長の王英は語る。
した。
しかし、
ますます拡大する所得格差
「 従 業 員 支 援 プ ログラムは 、特 に 工 場
や都市部の生活コストの上昇を背景とし
のラインで働く従 業員に対して不 可 欠
て、外資系工場を中心に賃上げ要求のう
なサービスです。彼らは、工場の敷地外
ねりが中国全土で続出した。その背景に
で家 族と一 緒に暮らすスタッフ職とは
は労使の対話不足が指摘されている。
違い、敷 地 内の寮で生 活している人が
1995年に深圳市で操業を開始した
富 士ゼロックス深 圳ではどのように
従業員支援プログラムを展開している
か、以下に報告する。
多く、身近に相 談できる家 族 が いませ
富士ゼロックス深圳では、2006年から
ん。友 人や寮の同 僚に相 談してもその
従 業員支 援プログラム( E A P )の充 実
アドバイスがいつも適 切とは限らない
を図り続けた結果、労使のコミュニケー
ので、難しい悩みを抱えた時に、外部の
総務統括部 統括長 王英
富士ゼロックス深圳の従業員支援プログラム推進の経緯
2006年、出稼ぎで農村から出てきた
る者19%、人間関係に悩む者14%、心
定(メンタルヘルス)等である。この教育
若い従業員のキャパシティビルディング
理 状 態 の不 安 定を自覚する者 3 0%と
の受講者は、延べ12,105名、満足度は
いう驚くべき結果だった。
常に9 0%以 上を維 持し、講 座・プログ
( 自 助 能 力 を 高 めるプ ログラム )を 推
19
進する現地NGO深圳当代社会観察研
そこで管理部門が一丸となり、引き続
ラムの維持・拡大を望む声が根強い。
究所(ICO)の協力を得てコミュニケー
きICOの協力を得て従業員教育3カ年
同社の教育プログラムがうまく機能
ション講座を開催したところ、予想以上
計画をまとめて実施した。教育プログラ
しているのは、担当スタッフの地道な努
の反響があった。アンケート調査を行な
ムの内容は、
「 人と人とのコミュニケー
力によるところが大きい。全体の企画・
うと、上司や同僚とのコミュニケーショ
ション」の 講 座 に加え 、給 与 の 使 い 方 、
推進に携わったCSR部科長の劉美華
ン障害を訴える者37%、孤独感を訴え
友人・異性との付き合い方、精神的な安
は語る。
「 I C Oに依 頼するときは、当社
Fuji Xerox
の仕事や従業員の状況を綿密に伝えて
「 今 、中 国 は 急 速 にストレス 社 会 に 移
受けた富士ゼロックス深圳の責任者は、
います。毎月の講座は、事前にテーマの
行しています。工場では上司から厳しく
即座に家族や出身学校の先生、病院と
候補と概要を講師から説明してもらい、
仕事を管理され、職場や寮生活にも馴
連携して、最悪の事態を回避した。心理
当社が意見を述べた後で説明資料をつ
染めないと、心の安らぎはなかなか得
ホットライン受 付や対 面カウンセリン
くってもらいます。そして、その説明資料
られません。会社は、父親のように知識
グは、自殺や行 方 不 明などを防ぐ効 果
を使って模擬授業を行なった上で、もっ
やスキルを叩きこむ厳しさは発 揮でき
もあるのだ。
と有 効にするための修 正を加えてもら
ても、母 親のように精 神 的な安 定をも
います。だから、
ICOの知 見に富 士ゼ
たらすことは難しいものです」。このよ
ロックス深 圳でのニーズを反 映した独
うに戴影頻氏は語る。
自の教育内容になっています」。
受講者のアンケートを分析した結果、
通 常 、カウンセリング は 会 社に本 人
の氏 名を伝えない条 件で実 施する。し
ストレスを強く感じる従 業員には個 別
かし、ある従業員の精 神 状 態が 極めて
に対応する必要があることも判明した。
危険であると戴影頻氏から緊急連絡を
事実、親身に教える講師のもとへ、悩み
を相談する従業員からの手紙が複数寄
せられた。そこで、個別の相談に応じる
電話ホットラインや対面カウンセリング、
従業員の声を会社が継続して吸い上げ
る仕組みなどの構築も急いだ。
心理カウンセリングを提供する深圳
市 東 方 心 智 心 理 カウンセリングセン
ターの総 経 理で自らもカウンセラーの
資 格 を持つ 戴 影 頻 氏 は 深 圳 地 区 の 労
働者のストレスの要因を大きく4つ掲げ
る。第1に、恋 愛と家 族 問 題 、第2は仕
事のプレッシャー、第3は育児と子供の
教育、そして4番目に情緒の安定である。
東方心智 総経理 戴影頻氏
富士ゼロックス深圳の従業員支援プログラムの概要
種 類
従業員が意見を
述べる仕組み
(2005年導入)
従業員に対する
概 要
❷CSR意見箱
2006年導入。年間約100件投函。
❸工場経営者と従業員との懇談
2008年導入。年間18回開催。
❶新入社員講座
全従業員対象。
社会人教育講座・ ❷スタッフ向け講座
メンタルヘルス
(2006年導入)
精神的な安定を
支える仕組み
(2006年導入)
実 績
❶イントラネットを活用した
2005年導入。年間約1,000件投函。
機能部門との意見交換(メール)
希望者のみ。2009年度は6回開催。
❸工場のラインで働く従業員
向け講座
希望者のみ。2009年度は22回開催。講座後の
アンケートでは受講者の99%が「満足」
と回答。
❶ 心理カウンセリング電話
ホットライン(専門企業に委託)
2006年導入。
2009年度利用者:延べ681人、計591時間。
❷ 心理カウンセリング(対面)
(専門企業に委託)
2009年度利用者:延べ97人、計146時間(1回
平均1.8時間)。
うつ病の早期発見、
うつ病発症
時の対策検討・導入。
Sustainability Report 2010
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変化し続ける従業員の意識
こうしたキャパシティビルディングや
カウンセリングの充実によって、工場の
ラインで働く従業員の仕事や自身の成
長に対する意識はどのように変化したの
であろうか。2006年入社、湖北省出身
の姜露は語る。
「 講座のなかでは2回目の
『自信を持って明るく生きよう』が一 番
役に立ちました。学校時代の同級生に比
第一製造部 姜露
第一製造部 胡志明
たと感じます。仕事は疲れるけれど、働く
湖北省出身の胡志明は語る。
「 私はずっ
やコミュニケーションの面で 難しさが
ことの価値を体験する絶好の機会と思
とこの会社で働いているので慣れてい
増しています。そうした難しさのなかで、
うようになりました。班長になれるよう
ますが、勤 務 経 験が短い従 業員にはス
安全第一や品質目標を確保しなければ
べ知識がとても増え、自分は大人になっ
に日本語も勉強しています。スタッフ向
トレスを感じている人が 多いと思いま
ならないストレスも高まっています。従
けの講座にも参加して、もっと多くのこ
す。その背景には、市場競争に勝つため
業員支援プログラムはいろいろな考え
とを学びたいです」。この姜露のように
に、要員削減、コスト改善、二桁の生産
方を学び、ストレスを回避する効果があ
従業員支援プログラムがきっかけで向
性アップがたえず求められる職場や仕
るので参加しています」。仕事の負荷が
学心に火が付いた従業員は少なくない。
事の状況があります。また、1990年代
年々増すなか、従業員の安心・安全をこ
一方、ベテランの従業員は、どのよう
に生まれた世代とそれ以前の世代では
のプログラムが支えている構造が明確
に感じているだろうか 。1 9 9 9 年 入 社 、
価値観や常識に違いがあり、人間関係
になってきたと言える。
従業員支援プログラムの先にあるもの
中国 社 会は、急 激な経 済 発 展によっ
て国 際 社 会 での 存 在 感 を 高 める一 方 、
この会社に根をおろせば自分の可能性
その先に取り組むべき課題は何か。
を広げられると従 業員に実 感してもら
高学歴の大学卒業生の就職難と生産を
ICO所長の劉開明氏は、企業が今や
支える労働力の不足という二つの根本
るべきことを次のように説明する。
「雇
的な雇用問 題を抱えている。従 業員支
用のミスマッチ、貧富の格差の拡大、中
人事部長の董美花も、従業員の意識が
流層以上にメリットが多い内需拡大政
「 都 会に出て働く」段 階から「 仕 事を通
策などによって、労働者や失業者の不満
じて自己実現を図る」段階に変化する兆
やストレスが非常に高まっています。企
しがあると指摘する。
「 企業が優秀な人
業が 今やるべきことは、労 働 者の視 点
材の確保や、定着・習熟・多能工化を促
ICO 所長 劉開明氏
21
援プログラムをベースラインとすれば 、
Fuji Xerox
える企業になることが、従業員と企業が
共存共栄できる最良の道なのです」。
にたって、雇用機会を拡大し、自助能力
進するには、従業員満足度を高い水準
の向上をサポートすることです。学習と
で維持する必要があります。当社で従業
経 験を通じて成 長した人 材は、職 場の
員の推薦による従業員募集を行なった
良きリーダーとなり、組 織の生 産 性 改
ところ、謝礼を支払わないのに従業員が
善に貢献してくれるでしょう。ですから、
積極的に動いてくれて、当社の採用基準
Highlight
スタッフ向け講座の様子
03
妊娠した従業員のための「妊婦休憩室」。1日1時間、就業時間中に休憩することが
できる。2009年度の講座には「どのように子供を愛するか」
「 幼児心理」が加わった
を十分満たす人材を300人も採用でき
援 策が 不 可 欠である。富 士ゼロックス
ス深 圳の従 業員支 援プログラムは、今
ました。当社の従業員支援プログラムも、
深 圳では、出産 後も働き続ける女 性 従
まさに中国の工場経営に必要な施策で
全体のレベルアップの段階から個人の
業員が増えている。
す。私は、今、労働争議に対応する地方
自己実現の段階に移ることを考えなけ
1 9 9 6 年 入 社 、四川省出身の黎 洪は
政 府にも協力しています。地 方 政 府や
ればなりません。数年内には、一人ひと
語る。
「 私は富士ゼロックス深圳で社内
企 業の関 係 者には、富 士ゼロックス深
りのキャリアデザインを包含したプログ
結婚し、5歳の子供がいます。仲の良い
圳が行なっている従業員支援プログラ
ラムに進化させたいと思います。それと
同僚と毎日楽しく仕事できることが、こ
ムを紹介しています。従業員のストレス
同時に、従業員がライフステージに応じ
の会社で働き続ける理由です。私にとっ
を緩和し、彼らのニーズに応え、定着率
た働き方を選択できるよう、人間価値重
て一 番 大 切なことは、家 族 全員と一 緒
や生産性の向上につなげるためにも、こ
視の人事政策を展開したいですね」。
に幸 せに暮らすことです。仕 事と家 庭
ういった施策が持つ意味を、もっと多く
従 業員の自己実 現には、企 業と地 方
生 活を両 立するために、会 社はいろい
の方々に知ってもらいたいですね」。
行 政によるワーク・ライフ・バランス支
ろ相談にのってくれるし、柔軟に対応し
富士ゼロックスの「つよい、やさしい、
てくれるので、安心して働き続けること
おもしろい」の理念が、ここ中国の工場
ができます。農村から出てきた私たちは、
でも実現している。
医 療や学 校の利用に際して、現 在の戸
籍制度の壁(注: 農民戸籍と都市戸籍
に区分され利用できる公的サービスに
違いがある)に突き当たります。従業員
が希望すれば、会社は戸籍取得の手続
きも支援してくれます」。
人事部長 董美花
劉開明氏は指摘する。
「 富士ゼロック
心理カウンセリングを周知するために、
従業員全員にカードを配布
次のステージに向けて
低 コストの 潤 沢 な 労 働 力 を 武 器 に
経営の手腕が問われている。
問し面接して合否を決めています。だか
世 界 工 場として 台 頭した 中 国 の 役 割
富士ゼロックス深圳総経理の岡地俊
ら人事部のメンバーには、
『 ご両親から
は大きな転 換 期を迎えている。その大
彦は語る。
「 生産する商品数の拡大、中
大事なお子さんを預かっている』という
変 革のなかで、中国の強みを活かした
国の生産機能の統合、生産量の需要増
気 持ちがありますし、それが 従 業員支
グローバル経営を実現できるかどうか、
減 、OEM 顧 客 へ の 対 応 など、当 社 は 、
援プログラムをここまで充 実してきた
量 、質 、スピードのすべての面において
原動力だと言えます。これからもこのプ
非常に高いパフォーマンスが求められ
ログラムやCSRを重視して、従業員や
るようになりました。従業員一人ひとり
地元の声に根差した経営を着実に展開
に求められるものも急速に変化してい
します。その基本を徹底することによっ
るため、従 業員が 心身の健 康を損なう
て、グローバルな事 業 への成 長を図っ
危険を常に意識しなければなりません。
ていきます」。
富士ゼロックス深圳 総経理 岡地俊彦
当社の経 営は、従 業員を大 切にする文
従 業 員のキャパシティビルディング
化を継 承してきました。正 社 員の 採 用
を通じて、企 業の成 長を考える富 士ゼ
は、すべて人事部員が、全国の学校を訪
ロックス深圳の挑戦は続く。
Sustainability Report 2010
22
社 会 の 課 題に学 ぶ
視覚障がい児の生きる権利を支える技術の役割
〜拡大教科書の製作支援をきっかけに〜
CS Rが本 業から離れてしまっては長 続きしない。富 士ゼロックスで開 発・保 有する技 術・サービスが
視覚障がい児の教 育と自立の支 援につながる道はないのだろうか。専 門の心 理 学に立 脚して
視覚障がい児 教 育の最 前 線で活 躍される慶 應義 塾 大 学 経 済 学 部 教 授の中野 泰 志 氏にお話を伺った。
シミュレーション眼鏡で弱視の見え方を体感している様子
技術資産を活かした社会貢献の模索
富士ゼロックスは、弱視の児童・生徒をサポートする拡大写本の製作ボランティアにデジタルカラー複写機/複合機を無償で
利用していただくサービスを1994年から続けている。
2009年度は文部科学省から「教科書デジタルデータ提供の在り方に関する調査研究事業」を受託し、ボランティアが利用し
やすいデータ形式、情報提供、サポート環境などを具体的に整理して国に報告した。
種田 拡大写本ボランティアへの複写
いのです。視覚障がいのある児童・生徒
社員の皆さんの対応も全国的に行き届
機/複合機の無償利用サービスには、関
の教 育 現 場に、富 士ゼロックスの技 術
いていて、弱視児の大きな助けになって
係者の皆様から過分な評価をいただき
陣も深くかかわることで、なにか新しい
います。また、デジタル複写機の拡大機
恐縮しています。
しかし、ショウルームに
展開を生み出せないかと考えています。
能や白黒反転機能を使いこなすことに
設 置する商 品を使っていただくだけで
中野 複写機/複合機の無償利用サー
よって、学習意欲や学習効率を飛躍的に
は十分に責任を果たしていると思えな
23
Fuji Xerox
ビスでは、富士ゼロックスや販売会社の
改善した弱視の児童・生徒が私の周囲
慶應義塾大学経済学部教授 自然科学研究教育センター副所長
中野 泰志氏
慶應義塾大学社会学研究科修士課程修了。大学院では、実験心理学の
手法で人間の知覚に関する基礎研究を実施。その後、国立特別支援教
育総合研究所において障がい者の視機能評価や支援技術に関する研
究、東京大学先端科学技術研究センターにおいてヒューマンインター
フェイスや 福 祉 のまちづくりに 関 する実 践 的 研 究 等 を 実 施 。現 在 は 、
バリアフリー・サイエンスの樹立を目指して研究・活動を展開している。
聞き手
富士ゼロックス 常務執行役員
富士ゼロックスアドバンストテクノロジー 代表取締役社長
種田 乾吾
にもたくさんいます。本日はその感謝を
め、開 発 者や営 業 がとても苦 慮してい
伝えたい気持ちもあって伺いました。
るのが実情です。
種田 ありがとうございます。私たちは、
中野 そうした悩みはよく理解できま
障がいのある方々にも便 利に使ってい
す。私も、デジタル技術を利用した教育
ただける商品やサービスを充実するこ
方 法を1 9 8 8 年から研 究していますが、
とが社会的責任の一つであると考えて
現 場の理 解を得たり、時 機を見 計らっ
います。そこで、オフィス・コンビニ・学
たりするためにいろいろ苦 労してきま
校・図書館等でのご利用を前提に、商品
した。ユニバーサルデザインやアクセシ
のユニバーサルデザインやアクセシビリ
ビリティの「手段」を考えついても、それ
ティの研究開発を長年続けています。
し
を受け入れる「社会の諸条件」が整わな
かし、まとまったニーズが見込めないこ
いと展 開できない、必 要なはずの技 術
とから事 業 性を確 保することが 難しく、
なのに届かない、というもどかしさを痛
永続的に提供するとお約束しづらいた
感しています。
弱視の児童・生徒の
まぶしさ軽減には白黒反転が効果的
原本教科書は、
『 社会6下』教育出版株式会社より掲載協力
幼児期における情報アクセシビリティ確保の重要性
2006年に「障害者の権利に関する条約」が国連で採択された(日本は署名済みだが未批准)。
この条約では、障がい者の人権と基本的自由を実現する上で、各種制度、法律、施設・サービスなど、あらゆる社会的側面にお
いて、障がいのある人々の生きる権利やQuality of Lifeの実質的な保障が求められる。
これを契機に、
「 支援の充実」から「基本的人権の保障」に発想の転換が求められる。
種田 富士ゼロックスがお手伝いして
ミュニケーションをとって集団に帰属す
いる弱視の児童・生徒用の拡大教科書
中野 拡 大 教 科 書の安 定 供 給の見 通
しが 立ちつつある今 、次の大きな課 題
る上で、流行のアニメや音楽など、いろ
については、関 係 者の奮 闘 努力のおか
は、学校教育の前提である「幼児期にお
いろな情報に触れて、消化しておく必要
げで2 0 0 8 年に教 科 書バリアフリー 法
ける情報アクセシビリティの確保」であ
があるのでしょうね。
が成立した結果、教科書発行会社によ
ると考えています。例えば、弱視の幼児
る標準規格版発行と民間ボランティア
の場 合 、家 庭で読 書や殴り書きをいっ
中野 その通りです。しかし、保護者が
すべて手作りで情報を加工できるかと
によるプライベートサービスという2系
ぱい経験しておいてほしいのです。お絵
いうと難しいですし、拡 大 写 本 のボラ
統の供給経路が定まったと聞いていま
描きを通して目と手の協 応をしっかり
ンティアも拡大教科書の製作で手一杯
す。これは 画 期 的 な前 進と私も感じて
経験する、絵本・マンガなどで文字を楽
な状況です。今後、デジタルデータの流
います。それ以外に、視覚障がいのある
しむための経 験を積むといったことが 、
通が 広がって、必 要なデ ータ変 換を簡
児童・生徒の教育においてどのような取
その後の成長にとって極めて重要な経
単に実行できる仕掛けが提供されれば、
り組みが重要であると中野先生はお考
験となります。
多くの子供や保護者の皆さんが助かる
えですか。
種 田 幼 児 期 に は 、ほ か の 子 供とコ
と思います。
Sustainability Report 2010
24
視覚障がい児の教育現場におけるデジタルデータの効用と制約
米国政府は2006年12月に「障害のある個人のための教育法」
( IDEA)を改正し、連邦政府の資金提供のもとに「教科書デジ
タルデータの貯蔵機関」
( NIMAC)を設立した。
同機関では、小学校から高校の教科書・副教材の全国共通フォーマット(NIMAS)を開発して、教科書発行者から共通フォー
マットで提供される教科書デジタルデータを需要者に提供する仕組みを運営している。
種田 視覚障がいのある児童・生徒に
で即応する柔軟なシステムが必要となり
に乗らない限り、自由自在な加工や流通
出版 物のコンテンツをデジタルデ ータ
ます。デジタルデータの形式で情報を提
というのは現実には高い壁があるので
の形で提供して本人に加工利用させる
供できれば、各自が必要に応じて調整す
はないのでしょうか。
動きが国際的にも注目を集めていると
ることが可能になるので、少ないコスト
聞きますが、それにはどのような背景が
で高いアクセシビリティを確保すること
中野 ご指摘の通りです。障がいのある
あるのでしょうか。
が期待できる訳です。
中野 視覚障がいのある児童・生徒の
種田 電子出版は当社の事業範囲と深
児童・生徒の教育という公的事業であっ
ても、コンテンツの著作者の協力と著作
権保護が絶対的な条件になります。先行
見え方・見えにくさは多様ですし、発達
くかかわってくると予 測されるので、そ
している米国などでも著作権保護にか
段階に応じた教育を提供しなければな
の効用はよく分かります。情報の流通コ
なりの配慮や工夫を行なっています。そ
りません。例えば、弱視の子供の場合、文
ストも飛躍的に節減できるかも知れま
れにもう一つ、デジタルデータのフォー
字サイズだけでなく、字間・行間・フォン
せん。
しかも、障がいのある児童・生徒だ
マットの問題があります。例えばデジタ
ト・ルビなどを変更した拡大図書や音声
けでなく、生活者の高齢化に向けても有
ルデータの共通フォーマットを求める声
情報などを一人ひとりの見え方や発達
用な視点だと思います。しかし、その一
がありますが、各出版社の競争力の確保
課題に応じて提供するのが理想です。で
方で、コンテンツの著作権もしっかり保
やトータルなコストなども考慮して決定
すから、個々の異なるニーズへ低コスト
障しなければならないので、商業ベース
していく必要があると思います。
制約条件を乗り越える開発行為の進め方
2003年の著作権法改正で、教科書発行者の「許諾」がなくても教科書発行者への
「 通 知 」( 営 利の場 合は補 償 金も必 要 )があれば 、拡 大 教 科用 図 書の製 作が 可 能と
なった。しかし、デジタルデ ータや制 作 成 果を利用者 本 人 以 外に「 横 方 向 」で共 有
するには個別の「許諾」が必要であることに変わりない。
種 田 法 律 改 正や国 の 予 算 がからむ
と時間がかかってしまうことがあります。
もよいと考えています。また、早 期に実
民間企業では賛同者を集めてコンソー
現するためには、
「 正 確 性 は 9 0 %しか
れがコンテンツの権利者の負担能力の
シアムを結成し、デファクト化を狙うア
保 証できません、正 確な情 報は原 本で
範 囲で実 現 可 能であることや、その波
プローチも珍しくありません。米国では、
確認してください」と割り切ることも大
に乗ることがコンテンツの権利者にとっ
デジタル化の波へ著作者団体が現実的
切だと思 います。将 来 の完 全デジタル
て中長期的な利益につながることを納
に対応していると聞きますが、そうした
対応までの過渡期においては、紙メディ
得してもらえるかどうかでしょうね。
柔 軟 性は、国 際 競 争力を維 持・強 化す
アの文章に埋め込んだタグで必要な情
る上でも大切ではないでしょうか。
報におおむねアクセスできる補助手段
中野 同感です。その新しい方法がコ
ンテンツの権利者の表現や製作などの
中野 デジタルデータの作成・活用に
など、
「 大 体のところが 分かる情 報 源 」
妨げにはならない点を理 解してもらう
も検討する価値があると思います。
ことも、参加を呼びかける上で重要です。
関しては、まだクリアしなければならな
種 田 情 報 処 理や画 像 処 理の整 備は
その上で、全体を標準化したり標準化を
のためには、迅 速に進 展させる必 要が
当 社 のサ ービ ス 事 業 の 根 幹 ですから、
率先したりすることが市場の拡大や競
あります。完璧なデジタル教科書をいき
デジタルデ ータの共 通フォーマットの
争優位につながるという理解が広まる
なり目指すのではなく、教科書と併用し
普 及にも、何らかの形で貢 献できるの
ように、関係者のコンセンサスを得なが
て文 字 情 報 へのアクセシビリティを保
ではないかと思います。重要なのは、そ
ら、丁寧に話を進めるべきだと思います。
い課 題が 多いと思いますが 、子 供たち
25
障する補助教材という考え方があって
Fuji Xerox
紙から電子へ、電子から紙へ
障がいのある従業員に対して、建物のバリアフリー、読み上げソフト、手話通訳、パソ
コン要約筆記などのサポートを企業では提供する。また、弱視の従業員は、紙メディ
アの情報が届くと、光学的補助具を使うか複合機でスキャンしてパソコン画面で拡
大するかして理解する。デジタルデータの流通以外にも多様な手段が必要である。
「 紙から電
種田 富士ゼロックスでは、
ら、紙 の 活 字 へアクセスする力も育て
うですが、
「 変換」を意識させずに「知の
子へ、電子から紙へ」を合言葉に、デー
なければなりません。活字は、デジタル
共有と創造」、
すなわち人間社会のコミュ
タ変換を簡単かつスムーズに行なう環
と比べ、手軽に扱え、全体を見通したり、
ニケーションを促進することは、富士ゼ
境 の 提 供 を 考 えています。特 に 、紙 メ
行きつ戻りつしながら情 報にアクセス
ロックスの企業理念の実現そのものです。
ディアを読み込むと文 字と画 像とを分
できるという良さがあるからです。その
離して認識して指定通りに加工する、ダ
場合、先ほどの「幼児期における情報ア
「 見えに
中野 素晴らしい視点ですね。
くさ」で困っているのは視覚障がいのあ
ウンロードしたデータを簡単な操作で
クセシビリティ」もそうですが、流通する
る児童・生徒だけではありません。大人
加工編集して出力する、といったことを
紙メディアの情 報を瞬 時にアクセス可
の視 覚 障がい者 、高 齢 者 、病 気や治 療
得意分野としています。この分野の技術
能な状態に変換するツールがあれば状
中で一時的に見えにくい状況にある人
は、オフィス以外にも活用の余地があり
況を画期的に改善することができます。
にも共通のニーズがあります。本質を探
そうですね。
種田 例えば、身近な装置でスキャンす
ればビジネスとしても期 待できるので
中野 視覚障がいのある児童・生徒の
ると、拡大、レイアウト、書体(フォント)、
はないでしょうか。社 会 貢 献 活 動を出
教育では、子供たちの自立や社 会参 加
線の太さが簡単に変更できる、
といった
発点としながら、規模や対象が広がって
に 向 けた 主 体 的 な 取り組 み を 支 援し
ことでしょうか。技術者の感覚としては、
ビジネスに発 展するならば 、それは必
ます。デジタル化がいくら進んでも紙メ
既存の技術を組み合わせることで実現で
要な社会サービスを継続的に安定供給
ディアがなくなることはないわけですか
きそうにも思います。自動翻訳などもそ
する上で望ましい姿だと思います。
社会貢献活動を通じて技術の価値を伸ばす
本業を通じたCSRこそが重要であると指摘されて久しい。本業の延長上に社会貢献を考えるのではなく、社会貢献まで
本業の枠組みを拡張する発想と行動、またそれを実現する社会的な連携を働きかけることが大切ではないだろうか。
中野 視覚障がいのある児童・生徒の
者の皆様がいらっしゃいます。こうした
のある子供たちの人権や、夢や希望を求
教育は、デジタル技術の利用で飛 躍的
方々と協力しながら、関係者で仕事を分
めて生きる力を支え続けていただきたい
に進 歩 する可 能 性 があります。早くそ
担し、品 質の高いサービスを安 定 的に
と思います。とても期待していますので、
の基 盤を固めなければなりません。研
供給できるよう、社会に向けて提言する
よろしくお願いいたします。
究者の仕事もたくさんあります。例えば、
ことも我々への期待であると理解してい
どのような見え方の子 供にはどのよう
ます。
種 田 当 社 の 事 業 は B t o B モ デル 中
な教 科 書・教 材が良いかを評 価するた
中野 国連の「障害者の権利に関する
まったく新しい視 点で自分たちの技術
条約」では、障がいのある人の尊厳と権
の利用価値を考えることができました。
デジタル化によって教育方法の選択肢
利を保障するために、社会への完全かつ
市場競争だけではなく社会サービスの
を多様化するためには、こうした基礎研
効果的な参加およびインクルージョン
側面からも技術を活かす道を探るのが
究をしっかり行なう必要があります。
を目指しています。富士ゼロックスの「紙
メーカーのCSRであると改めて実感し
種 田 認識とコミュニケーションに関
から電子へ、電子から紙へ」は、障がい
ました。本日のご指摘をヒントに、産学
めの方法論を確立する必要があります。
心なので、中野 先 生の話をお聞きして、
する技 術・ノウハウは当 社 が 得 意とす
のある人の権利を保障する重要な技術
官協働のソーシャルビジネスなど、技術
るところですから、そうした研究の発展
の一つになると思います。皆さんの「技
の真価を発揮できる社会基盤づくりに
にもぜひ参加したいですね。また、富士
術」が視覚障がいのある児童・生徒の人
も取り組んでいきたいと思います。本日
ゼロックスのビジネスパートナーには、
生を左右すると言っても過言ではありま
はありがとうございました。
DT P 制 作 、軽 印 刷 等 、さまざまな事 業
せん。本業を通じたCSRで視覚障がい
Sustainability Report 2010
26
▶各国関連会社の CSR 活動 2010
富士ゼロックスは
社会と私たちをつなぐ「舞台」です
富士ゼロックス
富士ゼロックス
タイランド
タイの販売会社。従業員1,265名
タイにおける環境活動を
リードする
中国の販売会社。従業員1,619名
子供たちの希望と
明るい未来のために
東京
東京都を担当する販売会社。従業員2,553名
障がい者が誇りを持って
自立できる仕事を創出
タイで は 、政 府 が「 2 0 1 1 年 までにグ
私 たちは 、中 国 の 山 岳 地 方 で ある 重
私たちは、
ドキュメント・サービス・セン
リーン調達率60%達成」を目標に掲げる
慶市開県に「富士ゼロックス陽光小学校
ター(DSC)を社内に設立し、障がい者
など、環境保全に対する意識が急速に高
(Fuji Xerox Sunshine School)」を
の法定雇用率 ※の達成と社内業務の生産
まりつつあります。私たちは、タイ政府か
2007年に設立し、子供たちの教育支援
らグリーンラベルの認証を取得した環境
を続けています。
性向上を実現しています。
DSCでは、販促ポスターやお客様への
中国では、都市部と農村部の教育格差
キャンペーンレターの制 作や発 送 、社 内
るとともに自社内でもグリーン購入を積
が 社 会 課 題となっていますが 、開 校によ
メールの集配など、社内のドキュメントの
極 的に実 践しています。これらの活 動が
り山 岳 地 方の数 百 名の子 供たちの就 学
作成から廃棄までを一括で請け負います。
評価され、タイ政府から「グリーン商品・
環境が大幅に改善されました。
いずれも重要な営業ツールであり、プロ
配慮型複合機(40機種)を市場に提供す
また、当社 からコンピューターやプリ
としての高い品質が求められますが、メン
ンター、図書室用の書籍を寄贈するほか、
バーの切磋琢磨によって、さまざまな依頼
ト」を展開。当社の事業活動を通じて1年
従業員から寄せられた文具、体育用品な
に対応できるようになり、現場の作業負担
間に排出するCO 2が約3,800t-CO 2であ
どの寄 贈も継 続 的に行なっています。さ
軽減に大きく貢献しています。また、営業
サービス企業賞」を受賞しました。
さらに、
「 持 続 可 能 な 森 林 プ ロジェク
ることから、5年で3,800本以上の木を植
らに、一部の生活に困窮している生徒お
からの感謝の声をメンバーに伝え、働き甲
える目標を設定し、400名近くの従業員
よび教師には、就学支援金や教育支援金
斐を実感してもらうとともに、体調不良時
や家族が活動しています。また、タイの象
を提供しています。
に休暇を取りやすくするために業務を二
徴であり、絶滅が危ぶまれるゾウの保護
今後も、経済成長が遅れている地域の
人一組で実施するなど、
さまざまな配慮も
活動にも取り組み、活動資金の寄付だけ
次世代の育成に引き続き関心を寄せ、和
行なっています。また、お客様にDSCを見
でなく、200名以上の従業員が保護活動
諧( 調 和のとれた)社 会を実 現するため
学していただく機会には、メンバー自らが
に参加しています。
に努力したいと考えています。
現場を紹介するなど、働き甲斐のある職
今後も政府やさまざまなお客様の環境
に対するニーズの把握に努め、それに応え
る商品・サービスの提供とともに、全社一
丸となって環境配慮活動に取り組みます。
27
チャイナ
富士ゼロックス
Fuji Xerox
※ 富士ゼロックス深圳、富士ゼロックス上海でも
同 様の支 援 活 動を行ない、中 国における富 士
ゼロックス全 社で 6 校 の 小 学 校 を支 援してい
ます。
場作りを目指しています。
※日本では、常用雇用労働者数56人以上の企業
は全 従 業員の1 . 8%の障がい者 雇用を国から
義務付けられています。
富士ゼロックスは、日本およびアジア・パシフィック地域連結対象の63法人、40,228名(2010年3月末現在)で構成されます。
それぞれの法人では、グループの基本的な価値観を共有した役員と従業員が、地域社会の課題をとらえて、
ニーズに応じたCSR活動を実践しています。ここでは、各法人でいま一番力を入れている活動のうち、代表的なものを紹介します。
▶これ以外の各法人の活動はウェブサイトで紹介しています。
各国関連会社のCSR活動: http://www.fujixerox.co.jp/company/public/sr2010/stakeholder/community/activity.html
富士ゼロックス
アジアパシフィック
マレーシア
オペレーションズ
富士ゼロックス
ニュージーランド
ニュージーランドの販売会社。従業員573名
将来を担う若者の
環境意識を高める
私たちは、サー・ピーター・ブレーク財
マレーシアの販売会社。従業員576名
Let’s Green It!
(さあ、グリーン化だ!)
マレーシア国内においても環境配慮の
富士ゼロックス
京都
京都府、滋賀県を担当する販売会社。従業員329名
伝統文化の継承を
目指した古文書の復元
京都は、1,200年を超える歴史のある
団とスポンサー契約を結び、財団と協力
意 識が 急 速に高まっています。私たちは、
街です。京都市指定有形文化財の奈良屋
して環境に貢献した若者を表彰する賞を
環境配慮型複合機の新商品の導入に
杉 本 家 には 、江 戸 時 代 の月例 行 事 や 行
創設しています。また、財団事務局スタッ
合わせて、
「 Let’s Green It!」というス
事に出す料理レシピなど、京都の商家の
フとして協力するほか、財 団が 主 催する
ローガンを発表し、それをプリントしたT
慣習が 書かれた「 歳中覚 」という古 文 書
河川や海 岸での清 掃 活 動などの環 境 保
シャツを全 従 業員に配 布しました。社内
が保管され、現在でも日々の暮らしの手
護 活 動に、年に2日間 取 得 可 能なボラン
の「グリーンデー」や、社外の環境保護活
本として使 われています。この古 文 書は
ティア休暇を利用して従業員が参加して
動やイベントへの参加時に着用を呼びか
200年近くが経過し老朽化で傷みがひど
います。
けました。
く、このままでは 使 い続けられなくなる
これらの活動を通じ、従業員の環境保
さらに、お 客 様 向けイベントを通じ植
全や社 会 貢 献 活 動に対する意 識は年々
樹キャンペーンも行 ないました。これは 、
恐れがありました。
そこで、当社の複合機で原本をデジタ
向上しており、社会に必要とされているこ
イベントの参加者一人につき当社が5本
ル化 、文 字の汚 れを補 正し、新しい和 紙
とは何かを一 人ひとりが考え、自発 的に
の木を植えるもので、2 0 0 9 年は、N P O
にコピーして複製本を完成させました。コ
取り組む組織文化が醸成されています。
のマレーシア自然 協 会の協力のもと、合
ピー用紙に単に複 製するのではなく、古
ニュージーランドでは、大 手のお客 様
計1,000本のマングローブの木を植樹し
文書の和紙に近い用紙を使用し、紙の折
ました。
り方や薄墨の色などを再現する工夫を重
から、環 境やサステナビリティへの 取り
組 み を 求 められることが 増 えています。
また、これまで取り組んできた環 境 経
ねました。この経験を活かし、今後も、京
今 後は、より多くの従 業員がこれらの活
営や、環境負荷低減の技術・ソリューショ
都の老舗の蔵に数多く埋もれている暮ら
動に参 加するよう啓 発を行ない、ニュー
ンをお客 様に紹 介する「 e c o s p a c e 」を
しのなかで使われてきた古文書を復元し、
ジーランドの未来を育てる人材の育成活
本社ショウルームに設けています。今後は
直接手に触れられる古文書アーカイブを
「 e c o s p a c e 」を活用して環 境 配 慮 型の
作りあげ、京都の文化の保存と紹介に貢
動に貢献したいと考えています。
商品やサービスをお客様に積極的に提案
献していきたいと考えています。
し、環境経営のベストパートナーとして認
知いただけるよう活動を続けていきます。
Sustainability Report 2010
28
CSR 活動推進状況
富士ゼロックスは、ステークホルダーとの対話を重視し、CSR活動の評価と改善を図っています。
ここでは、モニタリングとレビューの仕組み、継続的なCSR活動、主なCSR指標を報告します。
モニタリングとレビューの仕組み
富士ゼロックスの事業活動が、社会のさまざまなステークホ
ルダーの期 待や要 請に現 状どの程 度お応えしているのかを定
量的にとらえるために、右記の方法でモニタリングを行ない、経
営レベルでの改善につなげるためのレビューを行なっています。
モニタリングの概要
●第三者からの評価:CSR識者とのダイアログ
●ステークホルダーからの評価:お客様満足度調査・ブランド調査・従業
員モラールサーベイ
●取引先CSR調達セルフチェックなどを通じた取引先のCSR経営の把握
●グループ内CSRアンケート
(PDCA調査)
グループ内CSRアンケート 調査概要
富士ゼロックスおよび国内外の関連会社のCSR側面をとらえる
10原則」や「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言
ために、2009年5月から毎年1度、対象法人(2010年度は63社)
(ILO)」を、経営・管理上の視点からは、
「 経済同友会 新『企業
にCSRアンケートを送付し、各社の自己評価を回収しています。
CSRアンケートの調査項目は、国際的に認知されている各調
評価基準』」、
「 OECD多国籍企業ガイドライン」、
「 ISO26000」
および「 E I C C ※の行 動 規 範 」を、非 財 務 情 報の開 示については
査やグローバルなガイドラインを参照して作成しています。特に、 「GRIガイドライン」を参考にしました。
CSRの理念や考え方については、
「 国連グローバル・コンパクト
※ElectronicIndustryCitizenshipCoalition
重点質問項目
一般質問項目
重点(機会創出)❶
社 会・お客様に対する、CO 2削減に配慮したダントツの商品・サービスの提供
重点(機会創出)❷
グローバル化・サービス化に貢献する多様な人材の確保と活用
重点(機会創出)❸
争優位に繋がるサプライチェーン・マネジメントの展開
競
ステークホルダーごとの一般質
問項目(従業員、お客様、地球環
境・将 来 世 代 、地 域 社 会 、株 主・
投資家)
重点(リスク対応)❶ グローバル化で求められる基本的労働条件の遵守(児童労働の防止)
重点(リスク対応)❷ 商 品・事業所における化学物質管理の徹底(RoHS対応)
重点(リスク対応)❸ ステークホルダーの満足度を正確に把握する富士ゼロックスおよび関連会社の仕組み
2010年度CSRアンケート設問の事例
「重点(機会創出)❷ グローバル化・サービス化に貢献する多様な人材の確保と活用」の設問より
分析と活用
関係者の声
このアンケート調査は、富士ゼロックスの経営における現状把
握と対策の立案に役立てることに加え、国内外の関連会社でも、
社会の要請や経営課題の理解を深めることに活用しています。
アンケート調査の結果(例)
A 仕組みがある B 仕組みはないが施策は実施 C ない
設問
対応状況
0
50
富士ゼロックス単独
B100
女性の管理職
全体平均
A 10
B32
C59
登用を推進
国内非生産平均
A 12
B27
C61
する仕組みが
国内生産平均
ありますか?
海外非生産平均
海外生産平均
29
100%
Fuji Xerox
B33
C67
B42
A17
C58
B33
C50
CSRアンケートは、富士ゼロックスオーストラリアがサ
ステナビリティについて取り組むべき課題を特定し、その取
り組みの優先順位を決定し、計画に反映する上でとても役
立ちます。アジア・パシフィック地域のステークホルダーの
新たな要請をとらえ、富士ゼロック
ス全体としてその情報を活用でき
るよう、次回のCSRアンケートで
は、各 社からの意 見を記 述できる
よう工夫されることを提案します。
富士ゼロックスオーストラリア
代表取締役社長
ニック・クーゲンシラン
継続的なCSR活動 1
地球温暖化抑制の取り組み
当社の活動の特長
当社は、自社のライフサイクルで発生する環境負荷を責任範囲
の削減数値と達成のための重点項目を定め、事業のあらゆる側面
ととらえ、CO 2に換算し早くからその削減に取り組んできました。
においてこの削減数値目標の達成を目指します。
これまで、
「 商 品 系 」と「 事 業 活 動 系 」の二つの分 野で取り組み、
※1G8北海道洞爺湖サミット首脳宣言(2008年7月)
なかでも複合機・プリンターの利便性と、お客様先での消費電力
低減につながる省エネ商品の開発に注力し、低速から高速、モノ
ライフサイクルを通じた取り組み
クロ、カラーの全商品エリアで省エネ商品を開発しました。その
部材購入
結果、11年連続「省エネ大賞」
( 1999~2009年度)を受賞しま
素材
した。また、2009年2月に、2050年までに世界全体で温室効果
部品
製造・販売
商品
物流
開発
生産
販売
お客様使用時
流通
省エネ商品の開発
IS014001EMS
ガス排出量を50%削減するという世界的な長期目標 ※1に向け
消費者
リユース
て当社の責任と役割の再検討を行ない、温室効果ガス削減目標
資源循環システム
を設定しました。
廃棄ゼロ
リサイクル
この目標では、実現に向けたシナリオが想定可能な2020年度
活動の経緯
省エネ
環境効率
絶対量削減へ
●商品の省エネ長期目標
2002 環境効率目標※2
2008 カーボンバランス目標※3
●省エネ大賞初受賞
※2社会価値(売上高)
と環境負荷(CO2排出量)
の効率を見るもの
※3お客様先でのCO2排出抑制量と当社の事業活動によるCO2排出量のバランスを見るもの
1995~2002
●ISO
14000 認証の取得開始
2009 2020年温室効果ガス
削減目標
2009年度活動の概要
2020年温室効果ガス削減目標
●自社ライフサイクル全体のCO 2排出量を
2020年度までに2005年度比で30%削減
●お客様先におけるCO 2排出量を2020年度までに
年間700万トン削減する
重 点 取り組み項目
❶お客様使用時の環境負荷を限りなく低減する商品の開発と普及
❷サプライチェーン全体を含めた低炭素なものづくりの仕組み構築
❸新しい「働き方」を通した社会システム変革に貢献
2 0 0 9 年 度は「 2 0 2 0 年 温 室 効 果ガス削 減目標 」を実 現する
た。また、2009年度は、
「 ApeosPort-IVシリーズ」4機種および
ため の 重 点 取り組 み 項 目を 関 係 部 門と上 記 の 通り定 めまし
「DocuCentre-IVシリーズ」4機種の計8機種11商品が、省エ
た。そして、こうした目標を実現する上で基礎となる全社のCO 2
ネ大賞の最高賞(機器・システム部門)の「経済産業大臣賞」を受
をタイムリーに把握し、精度を向上させるための総合計画を練
賞し、業界初の11年連続受賞となりました。
る「 環 境負荷の見える化の促 進 」のタスクチームを稼 働しまし
2010年度活動の概要
「2020年温室効果ガス削減目標」の達成のための具体策を各
の精度向上を保証する仕組みの構築を目指すとともに、お客様
担当部門と協議し、推進します。また、環境負荷の「見える化」タ
の環境負荷を低減するソリューション、サービスの開発を強化す
スクチームにおいて、商品ライフサイクルにおける環境負荷把握
る予定です。
関連する記事については、ニュースリリースおよび過去のサステナビリティレポートをご覧ください。
●ニュースリリース
・ライフサイクル全体の CO 2排出量を2020 年度までに2005 年度比 30%削減( 2009 年 2月16日)
http://www.fujixerox.co.jp/company/news/release/2009/0216_co2.html
●過去のサステナビリティレポート: http://www.fujixerox.co.jp/company/public/sr2010/backnumber.html
・ダントツ商品でお客様の環境配慮に貢献する( 2008 年)
Sustainability Report 2010
30
CSR 活動推進状況
継続的なCSR活動 2
商品の廃棄ゼロへの取り組み
当社の活動の特長
「使用済み商品は廃棄物ではなく、貴重な資源である」という
2004年12月にはアジア・パシフィック地域(タイ)に、2008年1
考えのもと、お客様が使用した商品を回収し、リユース・リサイク
月には中国・蘇州にリサイクル拠点を設立し、ビジネステリトリー
ルすることで、資源の有効活用と限りなく廃棄ゼロ※を目指す「資
全体で、日本と同等の「統合リサイクルシステム」を構築しています。
源循環活動」を推進してきました。事業のグローバル化とともに、
※当社の「廃棄ゼロ」の定義:単純焼却と埋め立てを、廃棄物総発生重量の
0.5%以下にする
活動の経緯
システム構築
1991 全社環境基本方針制定
1995 商品リサイクル全社方針制定
リサイクルパーツ使用商品市場導入
2000 回収した商品の廃棄ゼロシステム
全国展開開始
システム稼働地域拡大
2004 アジア・パシフィック統合
リサイクルシステム操業開始
2008 中国統合リサイクル
システム操業開始
システム最適化
中国における再資源化率の
向 上と国 内・海 外でのリサ
イクルシステムの効率化
2003 広域再生利用指定産業廃棄物処理者
指定を取得
2009年度活動の概要
2009年度の実績は、新規資源投入4,460t抑制、商品の再資源化率日本99.9%、アジア・パシフィッ
ク99.8%、中国98.6%でした。特に、アジア・パシフィック地域においては現地パートナーの協力によ
り、単純焼却していた熱エネルギーを活用できる仕組みが稼働し、海外で初めて再資源化率が目標の
99.5%を上回り廃棄ゼロを達成しました。
また、
「 中国統合リサイクルシステム」
( 2008年稼働開始)は、中国政府から電機製品再製造モデル企業
蘇州市からの認定証
と認定、蘇州市リサイクル経済モデル企業と認定されるなど、その活動が評価されています。
中国における統合リサイクルシステムの構造
お客様
回収
使用済みの
複写機を回収
販売
再生したトナー/
ドラムカートリッジ
リサイクル
パートナー
富士ゼロックスエコマニュファクチャリング
(蘇州)
販売会社
部品としてリユース
トナー/ドラムカートリッジ
厳しい品質検査で
合格した部品を再利用
素材としてリサイクル
その他の部品
リサイクル
再資源化
約70カテゴリーに分解・分別
してリサイクルパートナーへ
2010年度活動の概要
中国地域での廃棄ゼロを目指した再資源化率の向上を図るとともに、国内・海外でのリサイクルシステムの最適化を進めていきます。
関連する記事については、ニュースリリースおよび過去のサステナビリティレポートをご覧ください。
●ニュースリリース
・タイのリサイクル拠点で廃棄ゼロを達成( 2010 年 7月6日)
http://www.fujixerox.co.jp/company/news/release/2010/0706_fxem.html
・中国リサイクル拠点が中国政府から電機製品再製造モデル企業と認定( 2010 年 2月2日)
http://www.fujixerox.co.jp/company/news/release/2010/0202_fxems.html
●過去のサステナビリティレポート: http://www.fujixerox.co.jp/company/public/sr2010/backnumber.html
・資源枯渇問題に国境は無い( 2005 年) ・循環型生産システムへの果てなき挑戦( 2006 年)
・豊かさを実感できる社会を資源循環システムでつくる( 2009 年)
31
Fuji Xerox
継続的なCSR活動 3
CSR調達の推進
当社の活動の特長
取引先企業とCSRに関する価値観や目標を共有し、
「ともに学
具体的には、取引先各社が自主的にCSR活動に取り組めるよう
び、ともに強くなる」関係の構築を目指し、環境や人権・労働、企
マネジメント・ガイドラインやCSRセルフチェックリストを提供
業倫理に関するリスクを最小化することで、取引先企業と共存
するとともに、改善事例を共有し、各社の改善活動を支援してい
共栄の関係を構築することを狙いとして、CSR調達活動を推進
ます。これらの活動を通じて、各社と共存共栄し、QCD面もCSR
しています。
面も高いレベルで管理されたサプライチェーンの構築を目指し
この理念のもと、2007年から第1ステップとして甚大なリス
ています。2008年度からは、資材調達に加え、物流機能につい
クにつながる可能性のある項目の取り組み率を、すべての対象
ても、富士フイルムロジスティックスと共同で主要な一次協力会
取引先で9 0%以 上 適 合することを目指して活 動してきました。
社に対して展開しています。
活動の経緯
開始宣言
継続的な改善支援
管理レベルの向上
物流分野の支援強化
2007
●CSR 特別セミナー
2008
2009
2010
●チェックリスト配布
●継続的な改善支援
●物流分野での展開を開始
●現場確認の強化
●改善支援の強化
●現場訪問・確認
●開始宣言・説明会
●個別改善支援
●管理レベルの向上
●管理の効率化
●継続的な改善支援
●自主的活動の奨励
●物流機能での展開拡大
●物流分野の支援強化
2009年度活動の概要
資材調達については、適合していないと甚大なリスクにつなが
物流機能についても、2009年度は、一次協力会社へのヒアリン
る可能性のあるセルフチェックリストの最重要項目(57項目)の
グ、セルフチェックを行ないました。その結果、企業倫理の取り組
90%以上の適合を、全対象取引先で達成できていることを目指し
み率が低いなど重要項目の適合率にばらつきがある等の課題が
ました。結果として100%には至りませんでしたが、96.9%の取
抽出されました。
引先が目標値を達成しました。 セルフチェック適合率90%以上の社数比率
100%
100%
●計画 ■実績
96.9%
85%
80%
CSRセルフチェックリスト
CSRセルフチェックリスト
CSRセルフチェックリスト
事業所編
事業所編
事業所編
100%
Version1.3
Version1.3
Version1.3
CSR に
2010.7.1
2010.7.1
73%
取引先
各社向
け
関するマ
ネジメン
ト・ガイド
人権
ライ
【環境、
2010年 2010年
CSRセルフチェックリスト改訂について
CSRセルフチェックリスト改訂について
2010.7.1
2009年10月に発行したセルフチェックリストVer.1.2から、印の変更が必要なものについては
印
2009年10月に発行したセルフチェックリストVer.1.2から、印の変更が必要なものについては
印
の変更、追加が必要なものについては関連設問の追加、を実施しました。
の変更、追加が必要なものについては関連設問の追加、を実施しました。
2010年 CSRセルフチェックリスト改訂について
1. 印の修正(△の設問)箇所
1. 印の修正(△の設問)箇所
60%
2009年10月に発行したセルフチェックリストVer.1.2から、印の変更が必要なものについては 印
修正した理由
修正した理由
'09→'10'09→'10
設問No.設問No.
の変更、追加が必要なものについては関連設問の追加、を実施しました。
1
企業倫理
ン
】
1. 印の修正(△の設問)箇所
2. 関連設問追加(△および無印の設問)箇所
2. 関連設問追加(△および無印の設問)箇所
'09→'10
印
40%
・労働、
2009.10.1
3
「クリーン生産促進法」(中国)の第18条を受けて、質問レベルを上
「クリーン生産促進法」(中国)の第18条を受けて、質問レベルを上
無印→△
1 無印→△
EN5-1cEN5-1c
げる げる
46%
2007年度
(実績値)
n=265
設問No.
修正した理由
追加した理由
追加した理由
印設問No.設問No.
「クリーン生産促進法」(中国)の第18条を受けて、質問レベルを上
「職場における職業上の健康監督管理に関する暫定規定」(中国)
「職場における職業上の健康監督管理に関する暫定規定」(中国)
1 1 無印→△
EN5-1c
△
1
△L6-1a-1
L6-1a-1げる
の第18条を受けて、L6-1aの関連設問として追加する
の第18条を受けて、L6-1aの関連設問として追加する
新規取引先企業へのCSR調達説明会
2008年度
2009年度
n=291
n=262
(目標値/実績値)
(目標値/実績値)
2010年度
(目標値)
「職場における職業上の健康監督管理に関する暫定規定」(中国)
「職場における職業上の健康監督管理に関する暫定規定」(中国)
2
無印
2
無印
L6-1c-1L6-1c-1
2. 関連設問追加(△および無印の設問)箇所
の第33条を受けて、L6-1cの関連設問として追加する
の第33条を受けて、L6-1cの関連設問として追加する
印
追加した理由
設問No.
「職場における職業上の健康監督管理に関する暫定規定」(中国)
《 実施前に必ずお読みください。
》
》
1《 実施前に必ずお読みください。
△
L6-1a-1
の第18条を受けて、L6-1aの関連設問として追加する
これまでに多くご質問があった語句については、下記のように定義しておりますので、
これまでに多くご質問があった語句については、下記のように定義しておりますので、
ご回答前に必ずご確認ください。
ご回答前に必ずご確認ください。
「職場における職業上の健康監督管理に関する暫定規定」(中国)
1)プログラム・仕組み
21)プログラム・仕組み
無印
L6-1c-1
の第33条を受けて、L6-1cの関連設問として追加する
「プログラム」は個別施策を指し、「仕組み」とは個別施策をまとめた全体に関わるシステムを指します。
「プログラム」は個別施策を指し、「仕組み」とは個別施策をまとめた全体に関わるシステムを指します。
プログラム・仕組み共に、現在のご担当者が変わっても継続される体制・プロセスがある事が求められます。
プログラム・仕組み共に、現在のご担当者が変わっても継続される体制・プロセスがある事が求められます。
CSRセルフチェックリスト、
マネジメント・ガイドライン
2)方針2)方針
「方針」はそのテーマについて会社がどのような姿勢で臨むかを経営トップが明示したものです。その方針のもと、
「方針」はそのテーマについて会社がどのような姿勢で臨むかを経営トップが明示したものです。その方針のもと、
規則・手続き・ガイドラインが作成されるのが一般的です。行動規範などもこれに含まれます。
規則・手続き・ガイドラインが作成されるのが一般的です。行動規範などもこれに含まれます。
《 実施前に必ずお読みください。
》
3)従業者・労働者
3)従業者・労働者
これまでに多くご質問があった語句については、下記のように定義しておりますので、
このチェックリストでは、「労働者」と「従業員」を次の意味で使い分けています。
このチェックリストでは、「労働者」と「従業員」を次の意味で使い分けています。
ご回答前に必ずご確認ください。
「労働者」は、会社と直接に労働契約を締結して働いている者の意味です。正社員、パートタイム社員、
「労働者」は、会社と直接に労働契約を締結して働いている者の意味です。正社員、パートタイム社員、
期間契約社員、短期アルバイト等をさします。
期間契約社員、短期アルバイト等をさします。
1)プログラム・仕組み
「従業者」は、「労働者」に加え、第三者との労働関係にもとづき貴社の事業場内で働いている者の意味です。
「従業者」は、「労働者」に加え、第三者との労働関係にもとづき貴社の事業場内で働いている者の意味です。
<禁複写
「プログラム」は個別施策を指し、「仕組み」とは個別施策をまとめた全体に関わるシステムを指します。
「労働者」のほか、派遣労働者、請負会社社員等をさします。
「労働者」のほか、派遣労働者、請負会社社員等をさします。
>
なお、若年労働者、移民労働者、出稼ぎ労働者は、一般の慣用に従い「労働者」と表現していますが、
なお、若年労働者、移民労働者、出稼ぎ労働者は、一般の慣用に従い「労働者」と表現していますが、
プログラム・仕組み共に、現在のご担当者が変わっても継続される体制・プロセスがある事が求められます。
2)方針
「方針」はそのテーマについて会社がどのような姿勢で臨むかを経営トップが明示したものです。その方針のもと、
<禁複写>
<禁複写>
規則・手続き・ガイドラインが作成されるのが一般的です。行動規範などもこれに含まれます。
2010年度活動の概要
2010年度は、資材調達について重点57項目に全対象取引先
が適合することを目指すとともに、すでに達成された取引先企業
1
3)従業者・労働者
このチェックリストでは、「労働者」と「従業員」を次の意味で使い分けています。
「労働者」は、会社と直接に労働契約を締結して働いている者の意味です。正社員、パートタイム社員、
期間契約社員、短期アルバイト等をさします。
「従業者」は、「労働者」に加え、第三者との労働関係にもとづき貴社の事業場内で働いている者の意味です。
「労働者」のほか、派遣労働者、請負会社社員等をさします。
なお、若年労働者、移民労働者、出稼ぎ労働者は、一般の慣用に従い「労働者」と表現していますが、
めに、交流会の開催などにより活動の趣旨の理解促進を図ります。
<禁複写>
そして、
これらの活動を次のステップに高めるために、取引先企業
には次に重要な75項目を加え、合計132項目の改善をお願いし
の改善に役立つ事例を共有する場を設けるなど、改善支援にいっ
ます。また、物流機能については、取り組みのばらつきをなくすた
そうの力を注ぎます。
関連する記事については、過去のサステナビリティレポートをご覧ください。
●過去のサステナビリティレポート: http://www.fujixerox.co.jp/company/public/sr2010/backnumber.html
・取引先企業と学びあうCSR( 2007 年) ・国境や会社を超えて高めあう~進化するCSR 調達( 2008 年)
Sustainability Report 2010
32
CSR 活動推進状況
主要な CSR 指標一覧
富士ゼロックスは、CSRの推進を定量的にはかるCSR指標を設け、取り組み内容の改善を図っています。
ここでは、そのなかでも富士ゼロックスが社会とのかかわりを考える上で重視し、かつ社会から関心が高いと考えられる項目を抽出し、
その進捗状況を報告しています。
これらの指標は、関連会社を対象に行なったCSRアンケートをもとに開示しています(29ページ参照)。また、2010年度は、各開示
指標がGRIガイドライン( GRI )および国連グローバル・コンパクト原則( G.C )のどの項目にあたるか付記しています。
お客様
指標
重大商品事故発生件数
定義
2007 年度実績
2008 年度実績
0件
1件
821kt-CO 2
1,006kt-CO 2
2007 年度実績
2008 年度実績
GRI PR1 、PR2
富士ゼロックスおよび
製造事業者である富士ゼロックスが認識している商品関連トラブル 関連会社
のうち、死亡・重症・後遺症・CO 中毒・火災等の重大な被害もしくは ( OEM 販売も含む)
その危険性を伴い、かつ多発性が認められる商品事故の年間発生件
数を示した指標です。
お客様のオフィス・工場でのCO2削減貢献量
定義
対象範囲
GRI EN6 、EN26
G.C 原則 7-9
市場で稼働する富士ゼロックス製の複合機やプリンターの消費電力
量が 2000 年の消費電力量と比べてどの程度削減されたかをCO 2 排
出量に換算して示した指標です。
富士ゼロックスおよび
関連会社
従業員
指標
総従業員に占める直接雇用の比率
定義
対象範囲
GRI LA1
富士ゼロックスおよび関連会社の総従業員に占める直接雇用の割合
を示した指標です。直接雇用には、期間を定めない雇用契約だけでな
く、有期雇用契約も含まれています。
従業員満足度を調査している法人の割合
定義
定義
33
Fuji Xerox
GRI LA13
G.C 原則 6
GRI LA13
G.C 原則 6
富士ゼロックスおよび国内の関連会社のうち障害者雇用促進法に
基づく法定雇用率( 1.8 %)を達成した法人数の割合を示した指標
です。
従業員一人当たりの年間総労働時間
定義
80.8%
国内の関連会社
77.9%
80.3%
海外の関連会社
90.2%
90.7%
GRI LA7
G.C 原則 1
富士ゼロックスおよび関連会社における従業員一人当たりの年間総
労働時間を示した指標です。
100%
(回答率 89.2%)
100%
( 回答率 89.5%)
国内の関連会社
78.2%
100.0%
海外の関連会社
89.5%
89.5%
1.5%
2.1%
2.1%
2.3%
22.7%
21.1%
富士ゼロックス(単独)
富士ゼロックスおよび関連会社の役員および管理職に占める女性の割合 国内の関連会社
を示した指標です。なお、ここでの「管理職」は部下の有無にかかわらず、
海外の関連会社
人事制度上の管理職に該当する従業員を意味しています。
障がい者法定雇用率を達成している
法人の割合(日本国内のみ)
定義
82.4%
富士ゼロックス(単独)
富士ゼロックスおよび関連会社のうち、従業員満足度の調査を実施
している法人の割合を示した指標です。
役員および管理職に占める女性の割合
富士ゼロックス(単独)
富士ゼロックス(単独)
100%
国内の関連会社(販売会社除く)
58.3%
国内の販売会社
44.1%
100%
(雇用率 1.88%)
54.5%
( 11 社中 6 社)
73.5%
( 34 社中 25 社)
富士ゼロックス(単独)
2,007.2 時間
1,970.8 時間
国内の関連会社(事務職)
2,111.4 時間
2,113.4 時間
国内の関連会社(製造スタッフ)
2,030.7 時間
2,064.0 時間
海外の関連会社(事務職)
2,005.3 時間
2,032.6 時間
海外の関連会社(製造スタッフ)
2,205.1 時間
2,285.0 時間
2009年度の実績は、次の「従業員」および「地域社会」の項目について、算出時の定義を以下のように変更しました。
2007年度および2008年度の実績も同様の定義で再計算したものを掲載しています。
対象項目
・総従業員に占める直接雇用の比率
・役員および管理職に占める女性の割合
・従業員を1,000人に換算した場合の労働災害の発生件数
・産業医・産業保健スタッフ一人当たりの従業員数
・国・地域別従業員数の増減
2009 年度目標/実績
2010 年度目標
2009 年度実績(解説)および課題・目標
実績
0件 /
1件
算出時の定義
・直 接労働契約を締結している従業員数(給与支払いベース)を報告。
( 2008年度までは有価証券報告書ベースで
従業員数を報告)
・従業員数のうち正社員(直接労働契約を締結している社員)
および社員外従業員(パート、期間契約社員、雇員、
アワー
スタッフ、再雇用)
を直接雇用と定義、派遣社員を間接雇用と定義(2008年度までは正社員のみを直接雇用と定義)。
・国内海外の関連会社の実績を加重平均で算出(2008年度は単純平均で算出)。
0件
当社が 3 社にOEM 供給するモノクロレーザープリンターにおいて、極めてまれではあるものの発火
に至る可能性が判明したため、OEM 先企業とともに市場への告知、並びに無償部品交換を行ない
ました。本件は関係法令等で行政当局への報告が義務付けられる重大商品事故には該当しないも
のの、消費者の安全を優先して予防的見地から対応を図ったものです( 2008 年度の1 件も同様)。
目標・ 商品安全管理体制を再点検して必要な改善措置を講じるとともに、関係するすべての役員およ
課題
び従業員に対して商品安全教育を再度徹底します。
1,182kt-CO 2 /
1,038kt-CO 2
2009 年度目標/実績
ー/
ー
ー/
100% /
( 回答率 88.9%)
100% /
100% /
ー/
100% /
100%
100% /
70%
( 10 社中 7 社)
82.4%
( 34 社中 28 社)
ー/
1,926.0 時間
ー/
2,040.9 時間
ー/
2,015.0 時間
ー/
1,981.0 時間
ー/
2,270.2 時間
実績
ー
100%
目標・
課題
2009 年度は、富士ゼロックスが 0.3%( 6 名)の微増となったものの、国内外の関連会社はほぼ
横ばいの状態でした。
事業特性と本人の実績・意欲・能力などを勘案し、社員一人ひとりが自己の能力を最大限に発
揮できる人材登用を推し進めます。
2009 年度は、法定雇用率を達成できなかった法人に対して、関連会社のベストプラクティスの
実績
100%
100%
2009 年度は、国内では実施率 100%を維持したものの、海外では 6.2% 低下しました。なお、
昨年度に課題として掲げた「主要な評価項目の共通化」については、富士ゼロックスと国内関連
の計 34 社で、コアモラール「仕事のやりがい」・「 職場の働きがい」・「 上司のマネジメント」・「 人
事制度・運営への支持」
「 経営・組織運営への支持」を含む主要 11 項目を統一し、連結ベースの
従業員満足度を共通の判断軸で把握できるように改善しました。
目標・ 海外の関連会社を含め、調査の 100%実施に向けた取り組みを徹底するとともに、従業員満足
課題
度の向上を目指した各種施策を推し進めます。
実績
21.2%
( 雇用率 1.89%)
100% /
100%
100%
2.2%
2009 年度は、国内では生産ラインの強化や技術の内製化などに向けて、派遣契約から直接雇
用への切り替えを積極的に促進しました。さらに、定年再雇用者の増加も加わり、富士ゼロック
スで2.4%、国内の関連会社で4.4%、直接雇用率が上がりました。海外では、急激な生産量の増
加に伴って派遣社員を増員したことにより、直接雇用率は1.9%低下しました。
コア業務の内製化や社内ノウハウの伝承の観点から課題を整理した上で、最適
目標・ 2010 年度は、
課題
な雇用ポートフォリオの検討を継続します。
83.3%
ー/
2009 年度実績(解説)および課題・目標
実績
100%
2.4%
2 0 1 0 年 度 は引き続 き省 エネ 商 品 の 開 発 、サ ービス・ソリュー ション 事 業 の 強 化 に 努 め 、
1,025kt-CO 2の削減貢献を目指します。
ー
100%
ー/
目標・
課題
2010 年度目標
88.8%
100%
2009 年度は、省エネ効果の小さい小型商品の販売比率が高まるとともに、サービス・ソリュー
ションによる削減貢献量が計画を下回りました。その結果、削減貢献量は目標には到達しませ
んでした。
1,025kt-CO 2
83.2%
/ 84.7%
実績
水平展開や、地域限定就労を希望する求職者の紹介など雇用促進の働きかけを行ないました。
その結果、国内の関連会社・販売会社の 4 社で雇用状況を改善し、法定雇用率を達成した社数
は合計 35社になりました。
法定雇用率が未達成の 9 社については、富士ゼロックスから採用活動の積極的な推進を継続し
目標・
て働きかけるとともに、地域限定就労希望求職者を各社へ紹介することにより、すべての法人
課題
で法定雇用率がすみやかに達成されるよう、
フォローを徹底します。
実績
2009 年度は、グローバルな規模で、生産量の見直し、残業抑制活動の強化、各業務の棚卸し、
労働時間マネジメントの徹底などを進めました。その結果、富士ゼロックスでは、前年度比で
44.8 時間減少しました。また、国内の関連会社(事務職)では 72.5 時間、国内の関連会社(製
造)では49 時間、海外の関連会社(事務職)では51.6 時間減少しました。
目標・
課題
仕事の生産性向上、環境負荷低減、従業員のワーク・ライフ・バランス推進を踏まえた「新しい
働き方の実現」
と合わせて、年間総労働時間の在り方を引き続き検討します。
ー
Sustainability Report 2010
34
CSR 活動推進状況
従業員
指標
従業員を1,000 人に換算した場合の
労働災害の発生件数
定義
GRI LA7
G.C 原則 1
従業員を 1,000 人に換算した場合の一社当たりの業務災害および
通勤災害の発生頻度を示した指標です。
産業医・産業保健スタッフ一人当たりの
従業員数
定義
対象範囲
GRI LA8
G.C 原則 1
富士ゼロックスおよび関連会社における産業医・産業保健スタッフ
( 非常勤を含む) 一人当たりの従業員数 ( 派遣社員を含む)を示した指
標です。
2007 年度実績
2008 年度実績
ー
4.08 件※1
3.76 件
5.56 件
海外の関連会社(販売会社除く)
ー ※3
ー ※3
海外の販売会社
ー ※3
ー ※3
富士ゼロックス(単独)
517.0 人
521.4 人
国内の関連会社
110.3 人
89.9 人
海外の関連会社
ー ※3
ー ※3
富士ゼロックス(単独)
国内の関連会社
( 2.43 件)※2
(2.98 件 )※2
地球環境・将来世代
指標
事業所での CO2排出量
定義
富士ゼロックスおよび関連会社が自社の工場やオフィスで消費した
電力などのエネルギーをCO 2排出量に換算して示した指標です。
部品リユースによる製造段階での
CO2排出抑制量
定義
35
Fuji Xerox
GRI EN23 、EN24 、EN28
G.C 原則 7 、8
EU の RoHS 指令やその他の規制に不適合な事案(販売前を含む)の
件数を示した指標です。
販売する用紙のうち、
FSC 認証紙 / 古紙利用の割合
定義
GRI EN8
G.C 原則 7 、8
富士ゼロックスおよび関連会社が国内外の製造段階で使用した水の
量を示しています。
化学物質規制の問題発生件数
定義
GRI EN27
G.C 原則 7-9
国内外で回収された使用済みの複合機やプリンターの機械本体にお
いて、リユース部品として使用できなかったものを素材・熱など再び
資源化して活用した割合を示した指標です。
生産プロセスでの水使用量
定義
GRI EN5 、EN18
G.C 原則 7-9
富士ゼロックスおよび関連会社が製造過程でリユース部品を活用した
ことによって、仮に新造の部品を使用すればその製造工程で発生した
であろうCO 2の排出量を削減できた量を示した指標です。
回収された使用済み商品の再資源化率
定義
GRI EN3 、EN4 、EN16
G.C 原則 7-9
対象範囲
2007 年度実績
国内外の開発・生産事業所
119kt-CO 2
114kt-CO 2
58.9kt-CO 2
58.3kt-CO 2
25kt-CO 2
22.4kt-CO 2
国内・機械本体
99.9%
99.9%
アジア・パシフィック・機械本体
99.3%
99.2%
中国・機械本体
ー
96.8%
国内外のオフィス
富士ゼロックスおよび
関連会社
富士ゼロックスおよび
国内生産関連会社
海外生産関連会社
富士ゼロックスおよび
関連会社
2008 年度実績
244 万 t
210 万 t
52 万 t
48 万 t
4件
5件
40%
17%
GRI EN2 、EN26
G.C 原則 7 、8
富士ゼロックスおよび国内関連会社が国内で年間を通じて販売した
用紙総量に占めるFSC 認証紙 / 古紙利用の割合を示した指標です。
( FSC 認証紙・・・販売枚数比率)
(古紙・・・古紙配合商品の販売総量における古紙パルプの配合比率 )
富士ゼロックスおよび
国内関連会社
2009 年度目標/実績
2010 年度目標
2009 年度実績(解説)および課題・目標
3.66 件※1
( 2.93 件)※2
4.30 件
2.84 件
実績
ー
目標・
課題
8.84 件
506.2 人※4
65.0 人※4
2010 年度は、海外関連会社の取り組みを支援するとともに、引き続き労働災害発生の撲滅に
向けて取り組みを推し進めます。
実績
2009 年度は、産業保健スタッフが十分でない国内の関連会社に選任・配置の働きかけを継続
しました。一人当たりの従業員数は前年度比で富士ゼロックスは平均 15 人、国内の関連会社は
平均 25 人減少しました。
目標・
課題
産業医・産業保健スタッフの体制が適正でない法人については、その理由と対策を明らかにし、
善後策を講じるようにフォローを継続します。
ー
455.2 人※4
2009 年度は、富士ゼロックスでは「労災ニュース」を定期発行するなど、従業員の意識啓発に
努めました。その結果、従業員を1,000 人に換算した場合の労働災害の発生件数は 4.08 件か
ら3.66 件に減少しました。
※1: 2008 年度から派遣社員を含めた人数で労働災害の発生件数を報告することにしました。 ※2: 派遣社員を除く労働災害の発生件数
※3:海外の関連会社については、2008 年度以前のデータに関して新しい基準での集計ができないため、2009 年度の実績のみ開示しています。
※4:富士ゼロックス(単独)および一部の法人では専任の産業医・産業保健スタッフを配置しています。それ以外の法人では非常勤の産業医・産業保健スタッフを配置しています。
2009 年度目標/実績
124kt-CO 2 /
117kt-CO 2
57.7kt-CO 2 /
53.6kt-CO 2
30kt-CO 2 /
28.1kt-CO 2
99.9% /
99.9%
2010 年度目標
135kt-CO 2
対 2007 年度
3%削減
98.6%
98.6%
0件 /
2件
2011 年度までに
2005 年度比
25%減
19% /
① FSC販売増加率
②古紙
34% /
②古紙配合比率
※5
※6
14.7%
29.0%
目標・
課題
2010 年度は、すべての開発・生産部門が、より多くのリユース部品活用商品を提供するための
施策を検討します。
実績
2009 年度は、地域別にみると、日本の統合リサイクル拠点の再資源化率は 99.9%を維持しま
した。また、中国の統合リサイクル拠点の再資源化率は 98.6%と、昨年度より1.8%向上しまし
た。さらに、タイの統合リサイクル拠点では、廃棄物を焼却する際に放出する熱エネルギーを活
用する仕組みが現地パートナーの協力によって稼働しました。その結果、再資源化率は初めて
目標の99.5%を達成しました。
目標・ 中国地域での廃棄ゼロを目指した再資源化率の向上を図るとともに、国内・海外でのリサイク
課題
ルシステムの最適化を進めていきます。
実績
5%
60%
2009 年度は、国内の生産事業所において生産設備の移転に伴い空調関係施設の停止、コンプ
レッサーの台数制御運転、生産量の減少などにより水使用量は減少しました。一方、海外生産事
業所では、生産事業所の統合・拡大によって水使用量が増加しました。その結果、国内・海外生産
事業所の 2009 年度実績は、全体では2005 年度に対して39%の大幅な削減となりました。
2011 年以降の資源利用(水使用量含
目標・ 2010 年度は、最適な使用量の管理を継続するとともに、
課題
む)に関する中期計画を策定する予定です。
EU の RoHS 規制にかかわる不具合が 2 件発生しました。直接の原因はいずれも、部品の取引先
実績
企業の管理プロセスが適正に運用されていなかった点にありますが、当社側の検査体制も見直
しを行ない、全体を通じて必要な是正処置を講じました。
目標・
課題
2010 年度は、RoHS 対応管理を強化し、海外拠点の現地取引先企業にも展開することで管理
0件
① FSC
備に注力します。その一環として、機械本体・消耗品の生産工程別にエネルギー使用量の原単
位管理を徹底するとともに、エネルギー管理教育や管理標準の徹底による設備の省エネ運転
管理を強化し、さらなる省エネ活動を推進します。なお、2010 年度の目標値は、2010 年 4 月に
稼働を始めた横浜みなとみらい事業所の排出分を反映しています。
2009 年度は、リユース部品を活用する商品の生産台数が増加し、リユース率が向上しました。
その結果、部品リユースによる製造段階での CO 2排出抑制量は28.1kt-CO 2となり、目標には至
らないものの、2008 年度より約 25%増加しました。
99.9%
96.8% /
63 万 t
2009 年度は、全社規模で残業抑制や空調の管理強化等の省エネ対策を実施しました。また、景気の
影響で生産量が当初の計画を下回りました。その結果、CO2排出量は目標値を上回って減少しました。
実績
ー
99.8%
以下
目標・
課題
( 57.1kt-CO 2 )
99.8%
298.4万t
実績
2010 年度は、2020 年温室効果ガス削減目標( 2005 年度比 30%削減)を実現する基盤の整
99.5% /
179 万 t
2009 年度実績(解説)および課題・目標
実績
品質のさらなる向上を図り、
ミス・不具合の完全撲滅を目指します。
2009 年度は、FSC 認証基準が大幅に変更され当社の認証紙が 15 種類から5 種類に減少した
ことに加え、景気の影響で低価格の用紙商品に需要が集まりました。その結果、FSC 認証紙の
割合が 14.7%まで減少しました。一方、古紙配合商品の割合も、低価格品への需要集中の影響
で、目標の 34%に対して29%と低調でした。
2010 年度は、環境に配慮した原材料の利用拡大を目指します。具体的には、FSC 認証紙の販
売量を 2009 年度比で 5%増を目指します。また、古紙については、引き続き需給の逼迫が予想
目標・
されますが、高配合商品の販売量拡大および低配合商品の増配合化を促進し、全古紙配合商
課題
品における古紙の配合比率 60%を目指します。
(参考)古紙配合比率(%)={古紙使用量( t )÷古紙配合商品販売量( t )}× 100
※5: 2009 年度からは古紙の目標値を追加しました。 ※6: 2010 年度からはFSC 認証紙 / 古紙ともに目標値を変更しました。
Sustainability Report 2010
36
CSR 活動推進状況
地域社会
指標
対象範囲
国・地域別従業員数の増減
定義
GRI EC7,LA1
その国・地域に本社を置く富士ゼロックスおよび関連会社と直接労
働契約を締結している人数を示した指標です。
社会貢献支出
定義
GRI EC1,EC8
富士ゼロックスおよび関連会社の社会貢献活動に関連する支出の総
額を示した指標です。
生物多様性保全に向けた1 社 1テーマ運動の
テーマ登録を行なった会社の割合
定義
GRI EN14
G.C 原則 7 、8
生物多様性に関係する地域貢献活動を決めて本社にテーマ登録し
た法人の割合を示した指標です。
ボランティア活動を促進している法人の割合
定義
GRI EC8
特別休暇制度など従業員によるボランティア活動を会社として推進
する仕組みを設けている法人の割合を示した指標です。
全社で行なう本業を活かした弱者支援プログラムの
推進に取り組んでいる法人の割合
定義
GRI EC8
G.C 原則 1
本業を活かした弱者支援のプログラムを推進している会社の割合を
示した指標です。
2007 年度実績
2008 年度実績
日本
26,893 人
27,189 人
アジア・パシフィック
18,310 人
16,894 人
49 人
45 人
5 億 7,227 万円
5 億 2,148 万円
国内の関連会社
6,146 万円
7,235 万円
海外の関連会社
3,200 万円
1 億 230 万円※1
その他の地域
富士ゼロックス(単独)
富士ゼロックス(単独)
ー
ー
国内の関連会社
ー
ー
海外の関連会社
ー
ー
富士ゼロックス(単独)
ー
100%
国内の関連会社
ー
83%
海外の関連会社
ー
68%
富士ゼロックス(単独)
ー
ー
国内の関連会社
ー
ー
海外の関連会社
ー
ー
取引先
指標
生産資材におけるCSR 調達
セルフチェックリストの回収率
定義
GRI HR2
G.C 原則 1-10
富士ゼロックスおよび関連会社が取引先企業に依頼したCSR 調達の
セルフチェックリストについて期限内に回答が提出された比率を示
した指標です。
生産資材におけるCSR 調達
セルフチェックリスト重要項目の
適合率 90%以上の社数比
定義
GRI HR2
G.C 原則 1-10
富士ゼロックスおよび
関連会社
富士ゼロックスおよび
関連会社
2007 年度実績
2008 年度実績
90.3%※3
96.3%※4
45.0%
72.5%
65.6%
63.7%
CSR 調達対象取引先のうち最重要項目の適合率が 90%以上を達成
した取引先社数の比率を示した指標です。
海外生産拠点(中国)における原材料・部品の
現地調達比率(ローカルコンテンツ比率)
定義
対象範囲
GRI EC6
中国で操業する富士ゼロックス深圳、富士ゼロックス上海が行なう
原材料・部品の調達取引のうち中国国内の法人との取引契約の比率
を示した指標です。
富士ゼロックス深圳、
富士ゼロックス上海
株主・投資家
指標
内部統制・コンプライアンスの重大問題発生件数
定義
37
Fuji Xerox
対象範囲
GRI SO8
G.C 原則 10
公表を必要とする内部統制・コンプライアンスの問題の発生件数を
示した指標です。
富士ゼロックスおよび
関連会社
2007 年度実績
1件
2008 年度実績
0件
2009 年度目標/実績
2010 年度目標
2009 年度実績(解説)および課題・目標
2009 年度は、国内では派遣契約から直接雇用への切り替えを促進しましたが、定年退職者の増
26,742 人
17,507 人
ー
47 人
4億6,384万円
8,599万円
実績
加などにより、総従業員数は減少しました。国外では、アジア・パシフィックでの生産の増量に伴
い、総従業員数は増加しました。その結果、2009 年度の雇用状況は、日本国内で26,742 人、アジ
( 昨年度までは正社員のみの
ア・パシフィックで 17,507 人、その他の地域で 47 人となりました。
人数を報告しましたが、本年度からは社員外従業員を加えた直接雇用の総数を報告しています。)
目標・
課題
地域社会の労働事情のニーズを踏まえて雇用と職業訓練の促進に努めます。
実績
2009 年度は、社会貢献活動の理念と基本方針で定めた重点取り組み分野、および事業とのか
かわりの観点で、既存活動を見直し、整理しました。その結果、富士ゼロックスおよび国内外の
関連会社で年間総額6 億 4,288 万円の社会貢献支出を行ないました。
ー
安定的に社会貢献活動を実施できるよう、2010 年度も社会貢献支出の在り方や内容を評価し
目標・
ます。また、富士ゼロックスおよび関連会社が社会貢献活動を行なう際のガイドラインの策定
課題
9,305万円
に着手する予定です。
100%
47.7%
55.5%
実績
登録したテーマが「生物
多様性保全の活動」に関
する活動の割合: 40 %
(63社中24社)
目標・ 2010 年度は、全関連会社の登録を目指します。同時に、第 2ステップとして、各法人の活動状況
課題
の情報を共有して自社の活動の充実に役立てる仕組みの構築に着手する予定です。
100%
84.1%
ー
72.2%
100%
81.8%
すべての関連会社で生物多様性に関係する地域貢献活動に参画することを目的に「 1 社 1 テー
マ運動」を推進しています。2009 年度は、第1ステップとして、自然保護や環境保全活動の登録
を各法人に依頼しました。その結果、富士ゼロックスおよび関連会社 63 社の登録を目指しまし
たが、31 社にとどまりました。
環境保全全般にかかわる
活動テーマを登録する会
社の割合:100%(63社)
ー
16.7%
実績
2009 年度は、従業員によるボランティア活動を会社として促進する人事制度等を設けている
法人は、国内の関連会社で、84.1%( 44 社のうち37 社)、海外の関連会社で 72.2%( 18 社のう
となりました。前者は前年度とほぼ同様、後者は前年度から微増です。
ち13 社)
目標・ 従業員によるボランティア活動を推進する人事制度等を設けていない法人の未導入理由を明
課題
らかにし、各社の事情に合わせた形で導入できるように働きかけます。
実績
本業を活かした弱者支援について、国内では「拡大教科書製作支援 ※2 」、
「スペシャルオリンピッ
クスへの機材貸出し」の主に 2つのプログラムに取り組んでいます。拡大教科書製作支援は、富
士ゼロックスおよび国内販売会社を中心に2009 年度は26 社 43 拠点で実施しました。
目標・
課題
本業を活かした弱者支援については、国内では主なプログラムが 2つしかないこと、拡大教科書
製作支援に関してはニーズが変化しつつあること、海外では多くの会社が取り組みを行なって
いないことから、方針案や実行計画を検討していきます。
※1:【 2008 年度実績】 誤:1 億 112 万円 正:1 億 230 万円 2009 年度版に掲載したデータに誤りがあったため、本年度金額の修正をしました。
※2:【拡大教科書製作支援】 弱視の児童・生徒のために手づくりで「拡大教科書」を製作するボランティアの方々や弱視児童・生徒の保護者に対して、
カラー複合機を無料で利用していただきながら教科書づくりを行なえる場を提供する活動です。
2009 年度目標/実績
2010 年度目標
2009 年度実績(解説)および課題・目標
実績
100% /
97.3%
100%
当該取引先の理解と協力を得ること
目標・ 回収できていない取引先企業の未提出理由を明らかにし、
課題
で回収率 100%の達成に努めます。
実績
100% /
96.9%
2009 年度は、生産資材の取引先企業に対するCSR 調達の実施・展開状況を総点検し、新規に
対象となる取引先企業には説明会を実施するなど、セルフチェックリストに基づく自己点検の
徹底をお願いしました。その結果、回収率は96.3%から97.3%に上昇しました。
100%
2009 年度は、前年度調査の適合率が 90%未満の取引先に対して、訪問診断や個別アドバイス
などの改善支援を提供しました。また、適合率が 90%以上の取引先には、取り組みレベルの維
持・継続を依頼しました。新規の取引先に対しては、CSR 調達に関する勉強会を開催しました。
こうした活動の結果、適合率 90%以上の取引先は72.5%から96.9%に増加しました。
最重要項目の適合率 90%以上を対象全社に達成していただくために、改善事例の共有や個別
目標・
の支援を強化します。また、すでに 100 %適合されている取引先には、準重点項目の取り組み
課題
を進めるようお願いしていきます。
ー/
65.1%
ー
実績
2009 年度は、中国での部品購入および製造拡大を取引先各社に依頼しました。その結果、中
国における現地調達比率は 65.1%と、わずかですが上昇しました。
目標・
課題
2009 年 6月に設立した「 Fuji Xerox China Procurement Service Ltd.」を中心に、調達活
動の効率化、現地調達先の育成、ならびに現地調達比率の改善を継続的に推進します。
※3:【2007年度実績】誤:75.4% 正:90.3% ※4:【2008年度実績】誤:100% 正:96.3% 2009年度版に掲載したデータに誤りがあったため、本年度修正をしました。
2009 年度目標/実績
0件 /0件
2010 年度目標
0件
2009 年度実績(解説)および課題・目標
実績
2009 年度、内部統制・コンプライアンスに関する公表を必要とする重大問題は発生していませ
ん。また、金融商品取引法に基づく財務報告の内部統制報告におきましても「重大な欠陥」の記
載はありません。
目標・
課題
全法人および組織の各階層に対して、引き続き、内部統制・コンプライアンスの充実を図ります。
Sustainability Report 2010
38
▶富士ゼロックスの事業概要
会 社 概 要
名
称
富士ゼロックス株式会社(Fuji Xerox Co., Ltd.)
本
社
〒107-0052 東京都港区赤坂九丁目7番3号(東京ミッドタウン)
電
話
代表取締役社長
創
立
資
本
株
(03)6271-5111(代表)
山本 忠人
1962年(昭和37年)2月20日
富士写真フイルム株式会社と英国ランク・ゼロックス
(Rank Xerox:1997年10月31日にXerox Limitedへ変更)
との合弁会社
金
200億円
主
富士フイルムホールディングス株式会社(75%)
ゼロックス・リミテッド(25%)
従
業
員
数
40,228名(2010年3月期 連結)/9,911名(2010年3月期 単独)
事
業
概
要
オフィスプロダクト事業
オフィスプリンター 事 業
プロダクションサービス事業
グローバルサービス事業
オフィス 向 けのカラー /
モノクロデ ジタル 複 合 機
を中心としたビジネス
技 術 開 発 から 販 売 ま で の
一貫したメーカー体制で、ゼ
ログラフィー技術を基盤と
したカラー /モノクロレー
ザープリンタービジネス
デジタル印 刷 市 場 向けのオン
デマンド・プリンティングシス
テムやワークフロ ー 支 援サー
ビス、基 幹 業 務 出力 向 けの 連
続紙・カット紙プリンターの提
供を中心としたビジネス
グローバルにビジネスを
展 開するお 客 様 のドキュ
メントや 業 務 プ ロセスに
特化したアウトソーシング
ビジネス
事 業 所
[
本
社
]
開 発・生 産・
研 究 機 能
東京
<国内> 横浜みなとみらい事業所(神奈川県)、海老名事業所(神奈川県)、竹松事業所(神奈川県)、中井事業
所(神奈川県)、KSP事業所(神奈川県)、富士ゼロックスアドバンストテクノロジー株式会社(神奈川県)、富士ゼ
ロックスマニュファクチュアリング株式会社(神奈川県、三重県、富山県、新潟県)
<海外> Fuji Xerox of Shanghai Ltd.
(中国上海市)
、
Fuji Xerox of Shenzhen Ltd.
(中国深圳市)
、Fuji Xerox
Eco-Manufacturing Co., Ltd.(タイ)
、
Fuji Xerox Eco-Manufacturing (Suzhou) Co., Ltd.(中国蘇州市)、FX
Palo Alto Laboratory, Inc.(米国カリフォルニア州)
[主要支店・営業所]
[ 海 外 拠 点 ]
札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、沖縄ほか全国主要都市約300カ所
韓国、中国(香港、台湾を含む)、
フィリピン、ベトナム、
タイ、
マレーシア、シンガポール、
インドネシア、オーストラリア、
ニュージーランド、
アメリカの国・地域
販 売・サ ー ビ ス 活 動 地 域
主要な経営指標
日本、中国およびアジア・パシフィック地域を販売/サービスの
活 動 地 域としています。欧 米など、他の地 域については米 国ゼ
ロックスコーポレーションおよびゼロックスヨーロッパが担当し
ています。
中国
ラオス
ミャンマー
タイ
マレーシア
シンガポール
日本
韓国
台湾
香港
フィリピン
ベトナム
カンボジア
インドネシア
売上高・経常利益[連結]
(億円)
12,032
12,000
■ 売上高 ■経常利益
10,884
8,000
1,000
0
887
2007
グローバルサービス事業
約 8%
ニュージーランド
39
Fuji Xerox
オフィスプリンター事業
約17%
海外
約 38% 国内
約 62%
201
2009(年度)
事業分野別売上高[連結]構成
(2009年度)
プロダクションサービス事業
約13%
オーストラリア
9,435
415
2008
地域別売上高[連結]構成
(2009年度)
その他
オフィス
プロダクト
事業
約 53%
地域別従業員数[連結]
(2009年度)
海外
約 40% 国内
約 60%
▶第三者意見
高見幸子 氏
国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン代表
1974年よりスウェーデン在住。1995年より、スウェーデンへの環境視察のコーディネートや執筆
活動等を通じ、スウェーデンの環境保護などを日本に紹介している。1999年より、企業、行政向け
の環境教育を実施するスウェーデン発の国際NGOナチュラル・ステップの日本事務所設立にかかわ
り、2000年より、国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパンの代表。企業・自治体の環境教育のファ
シリテーターとして活動中。
富士ゼロックスのサステナビリティレ
業に委託)を設け、従業員の意見を述べ
ポートとウェブサイトに関するコミュニ
る仕組み、社会人教育プログラムの構築
ケーションにおいて一つ非常に優れた点
という極めて重要な対策を実施したこと
がある。それは、多くの企業の場合、成功
はすばらしいと思う。
「2020年温室効果ガス削減目標」
について
何 からバックキャス ティン グ を す る
か が 非 常 に 重 要 で ある 。今 、欧 米 で は 、
したCSR対策だけがコミュニケーション
また、中国で農村から都会に移住した
されがちであるが、富士ゼロックスは、自
場 合に起こる戸 籍の取 得 問 題などの支
2050年に100%あるいはそれ以上の温
社が直面している社会と環境の問題、そ
援もCSRの観点から優れた対策である。
室 効 果ガスの削 減が 必 要だという科 学
してチャレン ジ を 真 摯 にコミュニケー
ワーク・ライフ・バランスの課題は、社会
者の新しい学説が出てきている。その新
ションしている点である。
に福祉のインフラがない中国の環境の中
しい学 説からバックキャスティングする
で達成することは非常に困難だと思うが、
と2020年に2005年度比で30%削減だ
富士ゼロックスは、日本において人材育
と少ないという評価になる。また、ライフ
成に力を入れてきた経験がある。その知
サイクル全体で削減という表現があるが、
恵を活かして解決策を打ち出すことに期
サプライヤーによるCO 2も含まれている
待したい。
のだろうか 。また、カー ボンバランス指
中国での人材育成
富 士ゼロックスの連 結での 全 従 業員
は4 0 , 2 2 8 人である。国・地 域 別 従 業員
数を見ると、日本が26,742人で、次に中
国で10,232人である。3番目のオースト
ラリアの1,794人と比較して海外の従業
員のなかで中国が占める割 合は圧 倒 的
標という表現は、富士ゼロックス独自の
日本における
ワーク・ライフ・バランスについて
である。中国は、経 済 的に豊かになった
日本における大きな社会問題が、長時
が貧富の差が激しく、人権保護の法整備
間労働である。富士ゼロックスは、この問
が 整っていないと聞く。富 士ゼロックス
題の解決のために所定外労働時間に上
にとって、中国においての最も重 要なス
限を定めたり、長時間労働対象者に産業
テークホルダーは従業員と言っても過言
医が面談を実施している。そして大きな
ではないのではと考える。
成果を挙げている。特に国内の関連会社
その背景で、サステナビリティレポート
のハイライトで中国における雇用・労働
の事務職は2008年から2009年にかけ
て73時間も総労働時間が減っている。
ものだと思う。2010年末にISO14021
「企業の独自の環境宣言」の基準が発表
になる。グローバルなコミュニケーション
を確立するために、そのISO基準を活用
すると良いと思う。
地球規模で考え、地域視点で
行動するグローカル経営について
国や地 域によってC S Rの真の課 題や
優先順位は違う。そのため、富士ゼロック
環境の現在の問題点と対策、そして将来
もう一つは女 性の育 児と仕 事の両 立
スが、グローバルなCSRのワーキンググ
の課題を詳細にコミュニケーションして
への支援であるが、せっかくの育児支援
ループを設置したことは非常に賢明な対
制度の利用者が著しく少ない。その原因
策だと思う。まず、各国のニーズと動向を
の解明と対策に期待したい。
共有し、全社のCSRの方向性を議論する
いることを高く評価する。
先 進 的 な 対 策 だ と 思 う の は 、現 地
ことにしている。各国との協働が進めば、
NGOの協力を得てコミュニケーション講
全社平均で女性の管理職登用を進め
座を開催し、従業員がどのような精神状
る 仕 組 み を 持っているところが わず か
現地のマネジメントにかなりの裁量を与
態で働いているかアンケート分析をした
10%であるとは大きな課題である。ノル
えることで、より社会のニーズにあった活
ことだ。そして、驚くような結果がでたこ
ウェーは、クォーター制度を取り入れ、国
動が展開されると思う。
とに対して、早 急に従 業員教 育 3カ年 計
の 法 律 で 女 性 がトップ マネジメントに
画を始めている。特に、従 業員の精 神 的
40%いない企業は操業許可が下りない
な安定を支える仕組みとして、電話ホッ
ことになっている。早 急な戦 略と仕 組み
トラインと心 理カウンセリング( 専 門 企
づくりに期待したい。
富士ゼロックスのグローカル経営への
チャレンジに大いに期待する。
Sustainability Report 2010
40
編集後記
英国の政治家ウィンストン・チャーチル(1874~1965)の言葉に
※
があります。
「人は得るもので生計を立て、与えるもので人生を築く」
これを「経営」に置き換えれば、私たちがCSRを考え、実践する上で
の羅針盤になると思います。
2010年度のサステナビリティレポートは、グローバルなフィールド
で私たちはどのような価値を提供できるのだろうか、どうすれば国境
の壁を超えて智慧を紡ぎ合うことができるのだろうか、という視点で
制作しました。そして、情熱と勇気の大切さを再確認しました。
制作の過程で、国や会社、組織にかかわらず、働く人々・地域の人々
が幸せを覚えるときの「共通する何か」があることを感じました。そし
て、より多くの人々が幸せを感じることができるよう、情熱と勇気を
持ってエネルギッシュに働く多くの方々に出会いました。
ハイライト3でインタビューに応じた中国の若い従業員は、翌朝、工
場の正門で取材者を待っていました。大きな瞳を輝かせて、
「 私の夢
をもっと話していいですか」と微笑む彼女は、生きる力に溢れていま
した。会社が従業員に夢と機会を提供し、従業員が職場に活力を還元
するのは、なんと素晴らしいことでしょう。
今年もサステナビリティレポートの制作を通じて、
「 心の栄養」をた
くさんいただきました。本誌の制作にご協力くださいました皆様に心
から御礼申し上げます。そして「与えるもので人生を築く」という言葉
の意味をかみしめて、これからも充実したCSRを実現してまいります。
※We make a living by what we get, we make a life by what we give.
〒107-0052 東京都港区赤坂九丁目7番3号 TEL:03-6271-5111(代表)
【お問い合わせ先】 CSR部 TEL:03-6271-5160 FAX:03-6271-5167
http://www.fujixerox.co.jp/
発行年月:2010年9月
ⓒ Fuji Xerox 2010
201-238(10-09/10-11 第2版)
印刷サービスのグリーン購入に取り組んでいます
41
Fuji Xerox
Sustainability Report 2010